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鹿児島市公共建築物節電マニュアル(PDF:4693KB)
鹿児島市公共建築物節電マニュアル ~無理せず続けられる節電~ 発行 鹿児島市・国立大学法人鹿児島大学 目次 はじめに ・・・1 第1章 節電の必要性と適切な節電 ・・・2 第2章 節電手法 ・・・5 第3章 環境対策技術の紹介 ・・・30 おわりに ・・・42 はじめに エネルギーの供給事情の変化は、地球温暖化やCO2 排出量削減に向けた取り組みにおい て、化石燃料から自然エネルギー、再生可能エネルギー等への方向転換が図られています。 また、日本では震災後、当面の電力需給動向について「ピーク時の電力不足」、「電力コ スト上昇」の懸念への対処の検討が必要とされています。 これには、まず電力供給側による、ピーク時の電力供給不足もしくは十分な電力の供給 ができない状態を想定して需要構造の改革に重点を置いた需要者への節電の取組要請。ま た、火力発電への代替措置による電力コスト上昇のリスクを抑制する対策が必要と考えら れます。 鹿児島市では、地球環境時代をリードする都市“環境リーディングシティ”の実現に向 けて、環境にやさしい持続可能なまち“かごしま”を築くために、まちづくりのあらゆる 分野において、環境の視点を重視した取り組みを進めています。 そのような中、「公共建築物環境対策調査研究事業」では、公共建築物におけるCO2 排 出量削減に向けて、環境対策技術の検証やエネルギー消費量の解析等を行ってきました。 平成 23 年度は、これまで蓄積してきたエネルギー消費データから主要な消費エネルギー である「電力」に着目し、“持続可能な節電対策”をテーマとした「かごしま省エネトライ アル」により、施設ごとの特性を踏まえた節電対策を実施し、ピーク時のみならず施設全 体の電力使用量の削減によるCO2 排出量削減の達成を図りました。 本書は、鹿児島市において今後の公共建築物の運営や施設計画に活用し、CO2 排出量削 減を実現するため、 「かごしま省エネトライアル」の成果を「鹿児島市公共建築物節電マニ ュアル~無理せず続けられる節電~」としてまとめたものです。 なお、本書の構成は、まず第1章では、「節電マニュアル」作成までの「公共建築物環境 対策調査研究事業」の取り組みと「適切な節電」についての考え方。第2章では、トライ アルで実施した節電手法の「概要」と「実施例」、それぞれの施設の状況に応じて利用する ための「実施に際しての留意点」や「プラスひと工夫アドバイス」の提案をしています。 また、第3章では、 「公共建築物環境対策調査研究事業」で検証してきた環境対策技術を紹 介しています。 本書が、公共施設の管理者や、それを支援する方々にとって有益であり、施設の運用に 資することができることを祈念いたします。 平成 24 年 3 月 -1- 第1章 節電の必要性と適切な節電 1.これまでの研究と節電の必要性 「公共建築物環境対策調査研究事業」は、かごしま環境未来館における環境対策の 効果についての鹿児島大学との共同研究をきっかけに、平成 21 年度から公共建築物の CO2 排出削減手法を研究する事業として始まりました。学校等における環境対策の検 証に加え、民間企業等から技術提案を公募し、試行・検証を行う産学官連携の取組み 「公共建築物の低炭素化を目指す鹿児島プロジェクト」へ発展・展開し、次のような 取り組みを行ってきました。 ● 公共建築物における環境対策の検証 学校での緑のカーテンや夜間換気等の検証、かごしま環境未来館での地中熱利 用や観光交流センターでの水冷式冷暖房等の効果の検証を行うとともに、鹿児島 市の既存公共建築物でのエネルギー消費量等の調査・解析を実施してきました。 ● 産学官連携による「公共建築物の低炭素化を目指す鹿児島プロジェクト」 企業からの技術提案の公募を行い、水噴霧冷却、窓ガラス遮熱コーティング、 遮熱塗料等の効果の検証を行いました。 ● 効果的な運用 かごしま環境未来館、観光交流センター、地域福祉館について施設、設備のよ り効果的な運用のための支援、助言を行ってきました。 これらの取り組みのうち、既存公共建築物でのエネルギー消費量等の調査・解析に おいて用途別に分類し解析してきた結果、 ・中間期と夏期のエネルギー消費量の差に違いがある。(季節要素) ・設備機器、建物環境によるエネルギー消費量の違いがある。(環境要素) ・同用途、同規模の施設での消費エネルギーに差がある。(運用要素) という、施設運用と建物環境が要因と考えられるエネルギー消費の違いがあること が分かり、施設の運用や環境改善による省エネルギーの可能性が見出されました。 特にどの施設でも使用する「電力」についての省エネルギー、「節電」の必要性が確 認されました。 -2- 2.節電の対象と適切な節電 (1) 節電の対象 ●対象となる設備 建物における「電力」の内訳は、オフィスビルであれば、空調による消費電力が 48%、照明が 24%、OA 機器が 15.5%を占めていると言われています。建物にお いて主に電力を使用するものはそれぞれ次のようなものです。 「空調」 エアコン、冷凍機(チラーユニット)、換気扇等 「照明」 一般的には電球、蛍光灯、LED 等の照明器具 「コンセント」 パソコン、コピー機等の OA 機器や冷蔵庫、電気ポット、温水洗浄便座等 建物における「空調」、「照明」、「コンセント」で使用する電力は大きく、この電 力消費を抑えることが必要と考えられます。 本マニュアルにおいては、 「空調」、 「照明」、 「コンセント」などの設備の運用面に よる節電と機器更新や断熱、遮熱等の導入により節電の向上を図る環境対策技術の 紹介をします。 ●対象者 施設を運営する中で、施設管理担当者が機器の運用で節電に取組むだけでなく、 職員や利用者の協力、取り組みも対象となります。但し、極端な我慢、乳幼児や高 齢者、身体的に負担の恐れがある人への無理な要請ではいけません。 ●取り組み方 本マニュアルでは、今後の環境リーディングシティ実現に向けた恒久的に持続可 能な節電の取り組みを目指します。 一時的な電力需給危機に対しての応急的節電、いわゆるピークカットだけでなく、 施設における無理のない適正な運用による節電を提案します。 それによって、平成 22 年度を基準年として運用とハード整備の改善による電力 使用量25%削減を目標として取り組み、省エネと運用コスト削減を図ります。 -3- (2) 適切な節電 節電についての取り組みを継続していくためには、快適性を犠牲にした極端な我 慢では施設運営にとって大きなマイナスとなってしまいます。 施設職員の作業効率、利用者の快適性と健康を考慮した室温、湿度、換気、照度 等を定めた室内環境を保ち、適切な節電に取組みましょう。 ●室温、湿度 「事務所衛生基準規則」により、業務に従事する事務室内の室温については、 室温:17℃以上 28℃以下とするよう努めること 湿度:40%以上 70%以下とするよう努めること としています。 鹿児島市では夏の室温 28℃、冬の室温 19℃を基準としています。 冷房設定温度の緩和等にとりくむ場合には、熱中症の危険性や心身への負荷が 高まらないように、適切な換気や扇風機の使用などにより風通しを良くするなど 室内環境への配慮を徹底しましょう。 ●換気 室内では CO2 や粉塵などが発生します。空気を清浄に保つため、適切な換気を行 いましょう。必要以上の換気は空調効果の低減の恐れがあるので、在室者数などに 応じた換気を実施しましょう。 ●照度 個々の部屋の使用目的に適した自然光の取り入れと照明の使用を調節しましょう。 -4- 第2章 節電手法 平成 23 年度、鹿児島市では既存公共建築物(対象 175 施設)の中から、エネルギー消費の 傾向が異なる3施設を抽出し、施設ごとの特徴・特性を踏まえた節電対策と効果の測定を行 う「かごしま省エネトライアル」に取組みました。 「かごしま省エネトライアル」において取組んだ節電対策の成果を「無理せず続けられる 節電手法」としてまとめました。 区分 空調 照明 コンセント その他 ※ 節電手法 No. 内容 節電目安 (建物全体) 1 冷暖房温度の設定 4%程度 2 空調機運転台数の制限 2%程度 3 冷暖房運転時間の制限 5%程度 4 換気扇の有効利用 5%程度 5 自然換気の利用(外気冷房) 5%程度 6 照明の部分消灯及び一時消灯 3~13%程度 7 OA 機器等の待機電力削減 3% 8 暖房、洗浄便座の使用制限 1%未満 9 冷蔵庫の使用制限 2%程度 10 ヨシズによる遮熱 3%程度 11 緑のカーテン 3%程度 12 オフィス快適性情報収集技術の活用 ― 節電目安は参考値であり、建物や設備の規模、条件、節電の実施方法によって効果は変化 します。 以上について、具体的な手法と効果、注意点等を紹介します。 -5- 冷暖房温度の設定 概要 ○ 対象 空調設備のある施設 ○ 内容 室内温度を夏は28℃、冬は19℃を保つように冷暖房温度を設定する。 ○ 効果 冷房であれば、設定温度を1℃上げることで、空調機の消費電力を約 10%程度抑えることができます。 実施例 ○ 和田福祉館での検証 和田福祉館では、冷房温度を利用者で設定 できるため、設定温度の違いによる消費電力 の変化について実験しました。 ○ 結果 24℃設定と28℃設定で実験を行った結 果、28℃設定での冷房消費電力は、24℃ 設定に比べ、約50%の消費電力となりまし た。 設定温度別消費電力比較 ‐6‐ 実施に際して ○施設で準備するもの 温度計 (室内の代表的な場所に設置) ○設定 温度計を見ながら、空調機の温度設定を実際 の室温が夏は28℃、冬は19℃になる設定に 調整しましょう。 プラスひと工夫 朝 昼 夜 1(月) 27℃ 30℃ 28℃ 2(火) 28℃ 29℃ 28℃ 3(水) - 28℃ 28℃ 4(木) 26℃ 28℃ 26℃ 5(金) 26℃ 28℃ 26℃ 6(土) - - - ○ 設定温度の徹底を図るために 部屋の滞在者や利用者で、退出時等に室温を 記録しましょう。それによって、空調使用時 の適切な設定を見出すとともに、節電意識の 向上を図ることができます。 ○ 予冷という手段も 部屋を利用し始める際に、そこが暑いと 急 激な冷房をする傾向があります。事前に自然 換気等で部屋を涼しくしておく方法も良いで しょう。 7(日) 室温記録(例) - ○ サーキュレーター・扇風機の活用 冷房運転中、サーキュレーターや扇風機を併 用することで冷房効果の向上が図れます。 室内の空気を強制的に対流させることで室内 温度の均等化します。風を直接人に当てる使 い方はしません。 この方法は、暖房時にも有効です。 ‐7‐ サーキュレーター 空調機運転台数の制限 概要 ○ 対象 空調設備のある施設で、部屋毎、系統毎に個別制御できる複数台の空調機が ある場合 ○ 内容 施設の空調使用状況や外気温等の諸条件にあわせ、空調機の運転台数を調整 する。 ○ 効果 運転台数を変更することで、使用しない空調機分の節電を効果が得られます。 空調機電力(kW)×停止台数×時間(h)=削減電力量(kWh) 実施例 ○ 松元支所での検証 4台ある熱源機(チラーユニット)を 4台→3台→2台に変更して効果を測 定しました。 松元支所 空調熱源機(チラーユニット) ○ 結果 チラー3台稼働(8月) 日中の平均気温が31℃未満の場合 には2台、31℃以上の場合には3台運 転が効率的となりました。 チラー2台稼働(9月) 600 528.8 579.2 566.8 517.8 478.4 469.6 467.2 外気温度など諸条件にあわせ運転台 数を変更することにより節電効果が あることが確認されました。 消 費 電力 量 【 kWh】 500 407.6 400 300 200 257.7 173.47 100 0 27℃-27.9℃ 28℃-28.9℃ 29℃-29.9℃ 30℃-30.9℃ 31℃-31.9℃ 32℃-32.9℃ 開館時間の平均気温 【 ℃】 チラー稼働台数と平均気温別の消費電力平均 ‐8‐ 実施に際して ○施設で準備するもの ・ 温度計 ・ 空調機毎の対象エリアや操作方法の把握 ○設定 例:松元支所空調機 操作パネル ・外気温、施設利用状況の確認 ・運転対象の空調機台数を決定 例):室内に空調室内機が複数台あり、個別制御ができる場合、 室内機の運転台数を1台減らす。 プラスひと工夫 ○ 空調機の台数を設定するために 空調機の運転台数を設定する判断要素として、その日の気温があります。 天気予報等で判断することも可能です。天候の変化もあるので、屋外に温度 計を設置して状況を把握するようにしましょう。 実験結果から、概ね外気温度31℃以下の場合、運転する空調機を1台減ら すことが可能と考えられます。 ○ 快適な節電のために 快適性を保つことができ、節電にも繋がる最適な温度設定と最適な空調機 の稼働台数を見つけ、適宜稼働台数を切り替えることで大きな節電効果が期 待できます。 ‐9‐ 冷暖房運転時間の制限 概要 ○ 対象 空調設備のある施設 (施設運用時間の決まっているもの) ○ 内容 施設運用時間中、常に冷暖房房を稼動させるのではなく、 夏期:早朝の熱負荷の少ない時間や終業前の冷房効果の持続できる時間 等について冷房運転を制限する。 冬期:室内が温まり、外気制御やブラインド・カーテン等による保温で 暖房効果を持続できる時間等について暖房運転を制限する。 ○ 効果 停止時間分の節電効果 空調機電力(kW)×台数×停止時間(h)=削減電力量(kWh) 実施例 ○ 松元支所での検証 松元支所において制限目安8:30~9:00、16:30~17:15 で運用実施。 ○ 結果 松元支所内の代表的な箇所で温度測定を実施。朝の時間帯での高温化が少な いこと、夕方は冷房効果を維持できることが確認されました。 36 34 外気温[ 1] 1F西窓側[ 2] 1F西中央[ 3] 32 1F西廊下[ 4] 1F西窓側[ 5] 1F西中央[ 6] 30 1F西廊下[ 7] 1F東窓側[ 8] 1F東中央[ 9] 28 1F東廊下[10] 26 8:50 9:00 9:10 9:20 9:30 9:40 9:50 10:00 10:10 10:20 10:30 10:40 10:50 11:00 11:10 11:20 11:30 11:40 11:50 12:00 12:10 12:20 12:30 12:40 12:50 13:00 13:10 13:20 13:30 13:40 13:50 14:00 14:10 14:20 14:30 14:40 14:50 15:00 15:10 15:20 15:30 15:40 15:50 16:00 16:10 16:20 16:30 16:40 16:50 17:00 17:10 8:30 24 始業 冷房使用 終業 2011/8/29 晴 松元支所での温度変化 ‐10‐ 実施に際して ○ 施設で準備するもの ・ 温度計 ・ 施設使用予定表等 ○ 設定 ・ 施設の利用状況の把握。 ・ 冷暖房運転開始時間、終了時間を定める。 例):始業後30分、終業前30分を制限時間とする。 ・ 冷暖房運転を開始する室内温度を定める。 例):室温が29℃になった場合に、冷房運転を開始する。 室温が18℃になった場合に、暖房運転を開始する。 プラスひと工夫 ○制限時間中の工夫 冷房においては、 始業後の制限時間について、朝の比較的外気温が低い時間 は窓を開ける自然換気の実施が有効です。また、夜間の涼しい外気を取り込ん で室内を冷却する夜間換気も効果的と考えられます。 終業前の制限時間については、それまで冷やした(温めた)空気を外に逃がさな いことで涼しい(温かい)環境を保ちます。ドアを開けたままにしない、換気扇 の風量を少なくする等が効果的と考えられます。暖房においては、ブラインド やカーテン等を閉めて窓等から暖気を逃がさないことが効果的です。 ‐11‐ 換気扇の有効利用 概要 ○ 対象 空調設備のある施設 ○ 内容 冷暖房時間中の空調換気扇の有効利用と不要な時間の換気停止。 ○ 効果 空調換気扇利用による冷暖房効果の増大。 不要な時間の換気扇停止による消費電力削減。 実施例 換気扇 グリル ○ 和田福祉館での検証 和田福祉館で冷房時間の空調換気扇利 用の啓発と部屋利用時間以外の換気扇停 止を行いました。 ○ 結果 対策実施前の7月に比べ、8月、9月に おいて換気扇における消費電力の大幅な 削減(78%程度)が確認されました。 2階換気扇 における比較 電灯による消費電力の省エネ対策前後比較 ‐12‐ 実施に際して ○ 入/切 施設で準備するもの 強/弱 ・施設の換気扇の配置、操作方法を確認。 ・換気扇の清掃 空調換気/普通換気 換気扇スイッチ ○ 設定 ・冷暖房中に換気する場合、空調換気扇スイッチを普通換気→空調換気にする。 但し、切り替えがない場合もある。 ・空調換気機能のない普通換気扇の場合は、冷暖房効果が減少しないよう換気時 間の縮減に勤める。 ・閉館時間等部屋を使用しない時間には換気扇を停止する。 プラスひと工夫 ○ 24時間換気とは 建築物ではシックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒド等の化学物 質が建材等から発散されるため、建築基準法に基づくシックハウス対策のた めの規制の1つとして換気設備設置が義務付けられています。そのため、ほ とんどの建物で常時換気できる24時間換気システムとして設置されています。 利用時間帯が日常的に限られている事務所等については、夜間等の人の不 在時に限って、換気設備を停止することも考えられます。但し、部屋の使用 開始前には窓を開けることや、換気設備を強風で運転するなどで速やかに室 内の空気を入れ換えるようにしましょう。 ‐13‐ 自然換気の利用(外気冷房) 概要 ○ 対象 全般 ○ 内容 外気温度の低い時間を利用して窓の開放により外気による室内の冷却を行 うことにより、冷房運転時間を短くします。 ○ 効果 冷房運転時間縮減による節電効果 実施例 ○ 観光交流センターでの検証 外気温度が室温より低い時間に自然換 気の有無による比較を行いました。 ○ 結果 系列1 温度[℃] 自然換気をすることにより、高くなっ ていた室内の温度が、外気温と同じ程度 まで下がりました。空調使用前の自然換 気の有効性が確認されました。 30 28 26 24 22 系列2 系列3 系列4 外気温 自然換気開始 20 18 16 14 自然換気を行った際の温度変化 ‐14‐ 実施に際して ○ 施設で準備するもの ・ 温度計(屋外、屋内に設置) ・ 換気に有効な窓等の把握 ○ 設定 ・外気温が室内温度より低い時に窓を開放。 外気温が高い場合は逆効果になります。 プラスひと工夫 ○ 降灰時には 降灰時は窓を開けての換気は困難です。 フィルター等がある場合は、換気扇で代用する方法も可能です。 換気扇 降灰対策フィルター 換気扇 降灰対策フィルター ‐15‐ 照明の部分消灯及び一時消灯 概要 ○ 対象 全般 ○ 内容 室内の照明について、自然採光の見込める部分などは消灯を実施する。 また、就業時間外や休み時間等の施設運営に支障のない時間の消灯を実施する。 さらに、夜間や雨天時でも照度が確保できる場合は、照明ランプの撤去も行う。 ○ 効果 照明電力(W)×灯数×停止時間(h)=削減電力量(Wh) 実施例 ○ 武・田上公民館での検証 武・田上公民館の毎日利用があり、照明 を使用する図書室において、照明の消費電 力量計測を実施しました。 8/6~8/31の一 日の消費電力量[%] 電灯その他 8% ○ 結果 図書室は毎日使用されている部屋であり、 施設の1日の消費電力の8%が図書室の電灯 電力となります。図書室全ての照明機器の 消費電力合計が図書室の電灯電力全体の約 75%を占めていました。 今回の計測場所は図書室であったため、 その利用目的から照明対策は難しいですが、 その他の目的で使用される部屋では支障の ない時間での消灯等による節電効果が大き いと考えられます。 ‐16‐ ジム 2% 1F チラー 14% 体育館照明 10% 2F チラー 15% 実施場所電力 図書室 8% 2F全体 3% 1F 全体 9% 動力その他 31% 武・田上公民館1日の消費電力割合 実施に際して ○ 施設で準備するもの ・ 室内の照明の配置の把握 ・ 窓等からの採光状況の把握 ・ 施設の照明利用時間帯の把握 ・ スイッチ毎の点灯エリアの把握 ○ 設定 部屋の利用形態に合わせた照 度や消灯時間の確認をし、暗 くなり過ぎないよう注意しま しょう。 プラスひと工夫 ○ 照明器具の取替えも 従来の蛍光灯をHf式インバーター蛍光灯に交換すると電力の消費量が大幅に 削減できます。Hf式インバーター蛍光灯は照明ランプの交換だけでは効果が得 られないため、照明器具ごとの更新が必要になります。 器具更新の判断は、器具の見た目ではわかりにくいため、専門知識が必要に なります。 例:「蛍光灯」を「高効率タイプ」に代えた場合 ○ 現行蛍光灯 (ラピッドスタート式 40W×2灯用) 消費電力85W、48個 Hf蛍光灯 (Hf 32W×2灯) 消費電力65W、48個 電力量(1日12時間稼働) 約49.0kWh 約37.4kWh 電力量(年間250日稼働) 約12,200kWh 約9,400kWh CO2排出量(0. 385kg/kWh) 約4,700kg 約3,600kg 電気料金(16円/kWh) 約196,000円 約150,000円 更新時の検討 照明器具の更新の際に、高効率蛍光灯やLED照明器具の導入の他に照明エリア の照度を調整できるスイッチやセンサーによって太陽光や人の存在を感知し必 要な時のみ自動点灯、調光を行う照明の採用も検討のひとつと考えられます。 ‐17‐ ○ 松元支所での検証 松元支所において、OA機器の電源を退 庁時にスイッチ付きコンセントで切る取 り組みを実施し計測を行いました。 [ ] ‐18‐ ] 0 :00 1 :00 2 :00 3 :00 4 :00 5 :00 6 :00 7 :00 8 :00 9 :00 1 0:0 0 1 1:0 0 1 2:0 0 1 3:0 0 1 4:0 0 1 5:0 0 1 6:0 0 1 7:0 0 1 8:0 0 1 9:0 0 2 0:0 0 2 1:0 0 2 2:0 0 2 3:0 0 0 :00 1 :00 2 :00 3 :00 4 :00 5 :00 6 :00 7 :00 8 :00 9 :00 1 0:0 0 1 1:0 0 1 2:0 0 1 3:0 0 1 4:0 0 1 5:0 0 1 6:0 0 1 7:0 0 1 8:0 0 1 9:0 0 2 0:0 0 2 1:0 0 2 2:0 0 2 3:0 0 0 :00 1 :00 2 :00 3 :00 4 :00 5 :00 6 :00 7 :00 8 :00 9 :00 1 0:0 0 1 1:0 0 1 2:0 0 1 3:0 0 1 4:0 0 1 5:0 0 1 6:0 0 1 7:0 0 1 8:0 0 1 9:0 0 2 0:0 0 2 1:0 0 2 2:0 0 2 3:0 0 [ 0 :00 :00 1 :00 :00 2 :00 :00 3 :00 :00 4 :00 :00 5 :00 :00 6 :00 :00 7 :00 :00 8 :00 :00 9 :00 :00 1 0:0 0:0 0 1 1:0 0:0 0 1 2:0 0:0 0 1 3:0 0:0 0 1 4:0 0:0 0 1 5:0 0:0 0 1 6:0 0:0 0 1 7:0 0:0 0 1 8:0 0:0 0 1 9:0 0:0 0 2 0:0 0:0 0 2 1:0 0:0 0 2 2:0 0:0 0 2 3:0 0:0 0 0 :00 :00 1 :00 :00 2 :00 :00 3 :00 :00 4 :00 :00 5 :00 :00 6 :00 :00 7 :00 :00 8 :00 :00 9 :00 :00 1 0:0 0:0 0 1 1:0 0:0 0 1 2:0 0:0 0 1 3:0 0:0 0 1 4:0 0:0 0 1 5:0 0:0 0 1 6:0 0:0 0 1 7:0 0:0 0 1 8:0 0:0 0 1 9:0 0:0 0 2 0:0 0:0 0 2 1:0 0:0 0 2 2:0 0:0 0 2 3:0 0:0 0 0 :00 :00 1 :00 :00 2 :00 :00 3 :00 :00 4 :00 :00 5 :00 :00 6 :00 :00 7 :00 :00 8 :00 :00 9 :00 :00 1 0:0 0:0 0 1 1:0 0:0 0 1 2:0 0:0 0 1 3:0 0:0 0 1 4:0 0:0 0 1 5:0 0:0 0 1 6:0 0:0 0 1 7:0 0:0 0 1 8:0 0:0 0 1 9:0 0:0 0 2 0:0 0:0 0 2 1:0 0:0 0 2 2:0 0:0 0 2 3:0 0:0 0 OA機器等の待機電力削減 概要 ○ 対象 全般 ○ 内容 事務所におけるOA機器や電化製品の電源をコンセント管理することで、待 機電力の削減を図る。 ○ 効果 機器を使用しない時間分の待機電力削減。閉庁時等はOA機器等の電力をゼロ に近づけることが可能。 実施例 90 80 70 消 50 費 電 力 60 W 40 ○ 結果 取り組み実施前に比較してOA機器分の 消費電力で約25%の削減ができました。 1 2 30 3 4 5 20 10 0 時刻 計測箇所のパソコンの消費電力(対策前) 90 80 70 消 50 費 電 力 W 40 60 1 2 30 3 4 5 20 10 0 時刻 計測箇所のパソコンの消費電力(対策後) 実施に際して ○ 施設で準備するもの 施設で使用しているOA機器や電化製品の数 や配置、コンセントの位置の把握。 ○ 設定 パソコン、プリンタ、コピー機等業務時間 のみ使用する機器の電源をスイッチではなく、 コンセントで切るようにします。 プラスひと工夫 ○ スイッチ付きOAタップ たくさんの電源プラグをコンセントから毎回抜くのは手間が掛かっていまい ます。 スイッチ付きOAタップ利用すると電源管理が便利になります。 ‐19‐ 暖房、洗浄便座の使用制限 概要 ○ 対象 トイレに暖房便座、洗浄便座のある施設。 ○ 内容 閉庁・閉館時間等は電源を切り、待機電力の削減を図るほか、夏期の暖房の 必要ない期間や、不要期間での使用停止や機能停止等を実施。 ○ 効果 暖房便座であれば、 消費電力(Wh)×停止時間(h)の節電効果 実施例 ○ 和田福祉館での検証 和田福祉館では夏の間、暖房便座の電 源プラグをコンセントから抜き、使用し ないよう取り組みました。 ○ 結果 暖房便座の消費電力は0.03kWh(弱設 定)であり、夏期期間中電源プラグを抜 くことで、一月で暖房便座1台あたり、 0.03kWh×24h×30日=21.6kWh 節電できたことになります。 ‐20‐ 実施に際して ○ 施設で準備するもの ・使用している暖房便座、温水洗浄便座の電源を把握 ○ 設定 ・暖房便座の場合:電源プラグをコンセントから抜きましょう。 ・洗浄便座の場合:暖房機能を「切」にしましょう。 プラスひと工夫 ○ 電源プラグの抜き差しの注意 暖房便座の電源プラグを抜いた場合、コードをどこにしまっておくかを考え なければなりません。トイレ掃除等の際にコンセントが濡れてしまわないよう に注意しましょう。故障、事故の原因になります。 コンセントにスイッチ付のタップを取り付けることでプラグを抜くのではな く、スイッチで簡単に節電を実施することが可能になります。 ‐21‐ 冷蔵庫の使用制限 概要 ○ 対象 複数の冷蔵庫を使用していて集約できる施設。 ○ 内容 冷蔵庫について、使用目的等に応じて使用時間や使用台数の集約を行う。 ○ 効果 冷蔵庫電力(kW)×台数×停止時間(h)=削減電力量(kWh) 実施例 ○ 和田福祉館での検証 和田福祉館では、使用目的別に複数台の 冷蔵庫がありました。 使用目的の限られる冷蔵庫について施設 管理者、利用者の協力の下、収容物の移動 を行い、使用する冷蔵庫の台数を削減しま した。 ○ 結果 停止した冷蔵庫の消費電力は0.05kWh程 度であり、夏期期間中電源プラグを抜くこ とで、一月あたり、 0.05kWh×24h×30日=36kWh 節電できたことになります。 ‐22‐ 実施に際して ○ 施設で準備するもの 施設内の冷蔵庫の使用目的、台数の把握 冷蔵庫内の整理 ○ 設定 使用状況に応じて不要な冷蔵庫は電源を切りましょう。 また、温度設定を「弱」にしましょう。 プラスひと工夫 ○ 古い冷蔵庫の場合には・・・ 古い冷蔵庫の場合、消費電力が最新機種の3倍程になる場合が、あります。 常に使う冷蔵庫については更新することが、コスト縮減に繋がります。 ‐23‐ ヨシズによる遮熱 概要 ○ 対象 窓からの日射侵入や、隣接建物屋根や舗装面からの輻射熱などのある施設。 ○ 内容 日射や輻射熱の入る窓の外にヨシズを設置。 ○ 効果 日射や輻射熱を遮ることで、空調の消費電力を削減。 実施例 ○ 和田福祉館での検証 和田福祉館では、隣接する住宅の瓦屋 根からの輻射熱が2階の部屋に侵入して いる状況があったため、ベランダにヨシ ズを設置し、空調の消費電力への影響を 確認しました。 ○ 結果 設置の前後を比較した結果、ヨシズの 設置後は部屋の利用者による冷房温度の 設定も高くなる傾向が見られました。 その結果、空調の消費電力は、設置前の 約65%となっていることが確認されまし た。 ヨシズ設置前後の空調消費電力 ‐24‐ 実施に際して ○ 施設で準備するもの ・ヨシズ ・ヨシズの設置スペースの確認 ・窓からの日射等侵入状況の確認 ○ 設定 日射や輻射熱の侵入する窓の外側に設 置します。 プラスひと工夫 ○ 設置箇所について 設置する場所は日射や輻射熱による温度上昇が著しいところにしましょう。 適度な採光ができている箇所に設置すると、暗くなるだけで、空調の節電で はなく照明の増加に繋がる場合があります。 ○ 窓ガラス遮熱コーティング 設置場所の問題で、ヨシズが設置できない場合には、窓ガラス遮熱コーティ ング(第Ⅲ章 参照)の導入も検討できます。 窓ガラスに塗布する透明の塗料で、日射や輻射熱の侵入を抑える効果があり ます。 窓ガラス遮熱コーティングを施工した窓(桜洲小学校) ‐25‐ 緑のカーテン 概要 ○ 対象 窓からの日射侵入や、隣接建物屋根や舗装面からの輻射熱などのある施設。 ○ 内容 日射や輻射熱の入る窓の外に緑のカーテンを設置。 ○ 効果 日射や輻射熱を遮ることで、空調の消費電力を削減。 実施例 ○ 学校での検証 桜丘東小学校で緑のカーテンを設置し、 効果の検証を実施しました。 緑のカーテン(桜丘東小学校) ○ 結果 緑のカーテン自体は温度上昇が見られ ないため、室内への熱放射を抑える効果 が 確かめられました。 室内熱画像 (上:緑のカーテン, 下:遮光カーテン) ‐26‐ 実施に際して ○ 施設で準備するもの ・ゴーヤ、アサガオ、ヘチマ等 ・植物を這わせるためのネット ・緑のカーテンの設置スペースの確認 緑のカーテン(南中学校) ・窓からの日射等侵入状況の確認 ○ 設定 日射や輻射熱の侵入する窓の外側に設置します。 プラスひと工夫 ○ 緑のカーテンに替わるもの 設置場所の条件や、維持管理の問題で、 緑のカーテンが設置できない場合には、 ヨシズの設置や、フラクタル日除け(第 Ⅲ章を参照)も考えられます。 フラクタル日除け(南中学校) ‐27‐ オフィス快適性情報収集技術の活用 概要 ○ 対象 空調、照明のある施設で、施設管理者により運転を行う施設。 ○ 内容 パソコン等の情報端末を使用し、施設内にいる人達から暑さや明るさ、業務 影響等の快適性情報を収集し、施設運転管理に反映する。 ○ 効果 節電を実施するなかで、施設にいる人達の体感情報をリアルタイムで把握し、 運転管理に反映することにより無理のない状況で節電を続けることが可能。 実施例 ○ 松元支所での検証 松元支所で省エネトライアルに取り組 む中で、職員用の業務端末を活用し、快 適性情報収集を実施しました。 アンケート画面 ○ 結果 空調温度設定の緩和や空調機の台数制 御等を実施する際に、施設滞在者からの 快適性情報を収集することで、設定の限 界の見極めができ、夏期の節電による業 務影響や不満を抑えることができました。 データ集計画面 ‐28‐ 実施に際して ○ 施設で準備するもの ・ネットワーク接続可能なパソコン(スマートフォンも可) ・クラウドサービスの登録(有料) ・体感情報収集プログラム開発 ※富士通アドバンスドエンジニアリング、鹿児島大学、鹿児島市の産学官 連携で作成したプログラムを活用し、施設にあわせることも可能です。 はじめから開発する場合、システムエンジニアへの委託が必要になります。 ○ 設定 アンケートに回答する時間等、運転管理での判断ができるようにルールを定めて実施しま しょう。 プラスひと工夫 ○ この技術の展望 本マニュアルで紹介した情報収集は、収集した情報を施設管理者で設備運 転に反映させるものですが、この技術が将来、制御技術と連動するものに展 開していくことも期待されています。 エネルギーマネジメント、節電、地球温暖化防止活動等の環境経営を実践 するための情報システムも開発されています。 ○ アンケート調査 本マニュアルでは、ネットワーク、ク ラウドシステムを活用した情報収集を 実施例として紹介しましたが、パソコ ンのない施設や在席者の少ない、人の 入れ替わりの多い施設、規模の小さい 施設では、定期的な紙や、口答での調 査も有効と思われます。 ‐29‐ オフィス環境情報調査 Q1. 現在の体感温度は? □暑い □普通 □寒い □普通 □明るい Q2. 現在の明るさは? □暗い 第3章 環境対策技術の紹介 これまで鹿児島市と鹿児島大学で共同研究を行ってきた環境対策技術等を紹介します。 第2章の節電手法による消費電力削減のほか、さらに節電の取り組みを効果的にするため の施設、設備の改善計画作成にご利用下さい。 環境対策技術一覧 環境配慮区分(環境への効果) 区 分 建 築 No 環境対策技術 (名称) 1 遮熱塗料 2 窓ガラス遮熱 コーティング 3 フラクタル日除け 4 屋上緑化 導入部位 (設置場所) 外壁 屋上 窓ガラス 外壁 広場 屋上 緑化 ヒート アイラ ンド対 策 ○ ○ ○ ○ ○ ○ 省エネ ルギー 自然資 源等の 有効利 用 その他 ○ ○ ○ 外壁 空 調 5 緑のカーテン 6 水噴霧冷却 大空間 広場 ○ 7 夜間機械換気 窓、サッシ 換気扇 ○ 8 アースピット (地中熱利用) 9 水冷式冷暖房 地下ピット 空調熱源 ○ (普及 啓発) ○ ○ ○ ○ ○ ○ コンセント 電 気 10 スイッチ付き OAタップ 11 太陽光発電 ○ ○ 屋上、屋根 (節電 意識) ○ ‐30‐ 遮熱塗料 概要 ○ 技術概要 日射熱を反射する遮熱塗料を屋上面や外壁 に塗布。 ○ 効果 日射による屋上面、外壁の温度上昇を抑え、 熱の流入による室内の温度上昇を抑制。 遮熱塗料 -未施工 -施工部 -外気温 検証 ○ 名山小学校での検証 名山小学校では、屋上面に遮熱塗料を塗布 し、教室内、屋上面などの温度差を計測しま した。 屋上面に塗布した場所と塗布していない場 所では、天井面の温度差が1度、屋上面の温 度差が19~22度ありました。 天井面温度変化 -未施工 -施工部 ■日射量 導入に際して ○ 導入対象 屋上面温度変化 屋根面積が広い建物の屋上や屋根、外壁。 ただし、 すでに断熱材がある場合はその 断熱効果が大きいため、遮熱塗料による効 果はあまり期待できません。 ○ 参考導入費用 5,000円/㎡~ ○ 導入事例 市営住宅(西伊敷住宅ほか) 西伊敷住宅26号棟 ‐31‐ 窓ガラス遮熱コーティング 概要 ○ 技術概要 熱を反射する透明の遮熱塗料をガラス面に 塗布。 ○ 効果 ガラス面からの日射熱を反射し、熱の流入 による室内の温度上昇を抑制。 窓ガラス遮熱コーティング 44 検証 外気温 普通ガラス室温 遮熱塗料有り室温 42 40 38 36 温 度 [℃ ] ○ 城南小学校での検証 城南小学校では、窓ガラス遮熱コーティン グを塗布し、教室内の温度差を計測しました。 34 32 30 28 26 24 窓ガラスに遮熱コーディングを塗布した教 室と塗布していない教室では、室内温度の温 度差が最大5度ありました。 0:00 3:00 6:00 9: 00 12:00 15: 00 室内温度変化 導入に際して ○ 導入対象 東西面や南面の窓面積が広く、日射がよ く差し込む部屋。 ○ 参考導入費用 8,000円/㎡~ ○ 導入事例 松元支所、吉田福祉センター、中山第3 児童クラブ ‐32‐ 18:00 松元支所 21:00 0:00 フラクタル日除け 概要 ○ 技術概要 輻射熱をおさえられるように幾何学模様を 用いた日除けを窓や壁に設置。 ○ 効果 日射を遮ることで、室内や窓、外壁が暖ま るのを防ぎ、熱の流入による室内の温度上昇 を抑制。 検証 フラクタル日除け 実測値 日除け無し(シミュレーシ ョン値) 500 ○ 南中学校での検証 南中学校では、フラクタル日除 けを教室の外に設置して、教室内 の温度差を計測しました。 侵 入熱 量 (W) 日除け無し 日除け有り 400 300 200 100 0 11:00 開放された部屋の温度を1度下 げました。また、フラクタル日除 けの真下では、日射は83%、熱 の流入は5割程度 削減できまし た。 11:30 12:00 12:30 13:00 13:30 14:00 時刻 日除けによる熱量の変化 導入に際して ○ 導入対象 南面、西面に面した窓や広場。 ○ 参考導入費用 42,000円/㎡~ ○ 導入事例 環境未来館 環境未来館 ‐33‐ 14:30 15:00 屋上緑化 概要 ○ 技術概要 芝生などの植栽を屋上に設置。 ○ 効果 日射が直接屋上面に当たるのを遮るととも に、蒸散作用により、屋上面の温度が上昇す るのを防ぎ、熱の流入による室内の温度上昇 を抑制。 屋上緑化 検証 ○ 山下小学校での検証 山下小学校では、屋上に芝生を設置し、 教室内、屋上面などの温度差を計測しまし た。 屋上面温度変化 温度(℃) 緑化あり 導入に際して 緑化なし 外気温 温度差(緑化なし-緑化あり) 40 38 36 34 32 30 28 26 24 22 20 5 4 3 2 1 0 -1 0:00 2:00 4:00 6:00 8:00 10:0012:0014:0016:0018:0020:0022:00 ○ 導入対象 時刻 室内温度の推移 屋根面積が広い建物の屋上。 ただし、 すでに断熱材がある場合はその 断熱効果が大きいため、屋上緑化による効果 はあまり期待できません。 ○ 参考導入費用 36,000円/㎡~ ○ 導入事例 本庁舎本館、環境未来館など 環境未来館 ‐34‐ 温度差(℃) 屋上緑化を施工した場所と施工していな い場所では、教室天井面の温度差が1度、 屋上面の温度差が30度ありました。 緑のカーテン 概要 ○ 技術概要 外壁にネットなどを設置し、植栽を施す。 ○ 効果 日射が直接窓や外壁に当たるのを遮るとと もに、植物の蒸散作用により、温度上昇を抑 制。 緑のカーテン 検証 ○ 桜丘東小学校での検証 桜丘東小学校では、緑のカーテンを 教室の外に設置して、教室内の温度差 や熱画像により温度を計測しました。 緑のカーテンを設置した場所と設置 していない場所では、日射の入る時間 帯で室温の温度差が最大7度ありまし た。また、熱画像では温度差が3度あ りました。 温度差 導入に際して ○ 導入対象 日射が直接入る窓。 ○ 参考導入費用 1,000円/㎡~ 熱画像による温度の違い ○ 導入事例 本庁舎本館、環境未来館など ‐35‐ 水噴霧冷却 概要 ○ 技術概要 微細な水滴を噴霧。 ○ 効果 水滴の気化熱により、周囲の温度を低下。 水噴霧冷却 検証 ○ 名山小学校での検証 名山小学校では、水噴霧冷却装置を教室の 外に設置して、教室内の温度差を計測しまし た。 平均室温の推移 水噴霧冷却装置を設置した場所と設置して いない場所では、窓側で2~5度の温度差が ありました。 導入に際して ○ 導入対象 大空間で自然風の通りがよい建物。 室内温度分布 風の吹き込む方向と部屋の位置に考慮する 必要があります。 ○ 参考導入費用 ー ○ 導入事例 平川動物公園 平川動物公園 ‐36‐ 夜間機械換気 概要 ○ 技術概要 換気扇などにより、夜間の外気を取得。 ○ 効果 夜間の外気を取り込むことで、室温を低下。 夜間機械換気 検証 ○ 城南小学校での検証 城南小学校では、夜間の外気取り込みによ る温度差を計測しました。 実施した部屋と締切った部屋では、夜間で 1度~3度の温度差がありました。 温度差の推移 導入に際して ○ 導入対象 夜間も内部発熱があり、換気扇のある部屋。 ○ 参考導入費用 ー ○ 導入事例 なし ‐37‐ アースピット 概要 ○ 技術概要 年間を通してほぼ温度が一定している地中 の温度を利用。 ○ 効果 地中熱の利用により、空調の負荷を低減。 アースピット 検証 環境未来館では、外気とアースピッ トの出入口の温度を計測しました。 温度差(℃) ○ 環境未来館での検証 アースピット出口の空気の温度差は、 夏は12度、冬は17度を確認しました。 外気とアースピット出口の温度差 導入に際して ○ 導入対象 新築の際に地下ピットを設けた建物。 ○ 参考導入費用 ー ○ 導入事例 環境未来館 ‐38‐ 水冷式冷暖房 概要 ○ 技術概要 空調機の熱交換の冷媒に、水温を利用した 空調設備。 ○ 効果 熱交換した熱を外気に放出しないためヒー トアイランド現象を緩和。また、規模によっ ては空調効率を向上。 水冷式冷暖房 導入に際して ○ 導入対象 600 5 500 4 400 3 300 2 200 1 100 0 0 設定温度別消費電力比較 除去熱量と消費電力(空冷式) 除去熱量 消費電力[kW] 機器単体の空調効率は空冷式よりも 高い値を示しました。ただし、揚水ポ ンプを含むシステム全体の空調効率は 水冷式が空冷式よりも低い値を示しま した。 室内機消費電力 水冷Hp 熱交換器 揚水ポンプ 室内機 6 600 5 500 4 400 3 300 2 200 1 100 0 0 空調面積が広く、良質な水資源が確 保できる施設。 除去熱量と消費電力(水冷式) ○ 参考導入費用 ー ○ 導入事例 環境未来館、観光交流センター ‐39‐ 除去熱量[kJ] 観光交流センターで、空調効率を計 測しました。 消 費電力[kW] ○ 観光交流センターでの検証 空冷Hp消費電力 6 除 去熱量[kJ] 除去熱量 検証 [ ] ○ 導入対象 待機電力が大きいOA機器。 ○ 参考導入費用 ー ○ 導入事例 松元支所ほか ‐40‐ ] 導入に際して [ 松元支所で、OA機器の電力を計測しまし た。 こまめにスイッチを切ることで、待機電力 の9割を削減することができました。 0 :00 1 :00 2 :00 3 :00 4 :00 5 :00 6 :00 7 :00 8 :00 9 :00 1 0:00 1 1:00 1 2:00 1 3:00 1 4:00 1 5:00 1 6:00 1 7:00 1 8:00 1 9:00 2 0:00 2 1:00 2 2:00 2 3:00 0 :00 1 :00 2 :00 3 :00 4 :00 5 :00 6 :00 7 :00 8 :00 9 :00 1 0:00 1 1:00 1 2:00 1 3:00 1 4:00 1 5:00 1 6:00 1 7:00 1 8:00 1 9:00 2 0:00 2 1:00 2 2:00 2 3:00 0 :00 1 :00 2 :00 3 :00 4 :00 5 :00 6 :00 7 :00 8 :00 9 :00 1 0:00 1 1:00 1 2:00 1 3:00 1 4:00 1 5:00 1 6:00 1 7:00 1 8:00 1 9:00 2 0:00 2 1:00 2 2:00 2 3:00 検証 ○ 松元支所での検証 0 0:00:00 1:00:00 2:00:00 3:00:00 4:00:00 5:00:00 6:00:00 7:00:00 8:00:00 9:00:00 10:00:0 0 11:00:0 0 12:00:0 0 13:00:0 0 14:00:0 0 15:00:0 0 16:00:0 0 17:00:0 0 18:00:0 0 19:00:0 0 20:00:0 0 21:00:0 0 22:00:0 0 23:00:0 0 0:00:00 1:00:00 2:00:00 3:00:00 4:00:00 5:00:00 6:00:00 7:00:00 8:00:00 9:00:00 10:00:0 0 11:00:0 0 12:00:0 0 13:00:0 0 14:00:0 0 15:00:0 0 16:00:0 0 17:00:0 0 18:00:0 0 19:00:0 0 20:00:0 0 21:00:0 0 22:00:0 0 23:00:0 0 0:00:00 1:00:00 2:00:00 3:00:00 4:00:00 5:00:00 6:00:00 7:00:00 8:00:00 9:00:00 10:00:0 0 11:00:0 0 12:00:0 0 13:00:0 0 14:00:0 0 15:00:0 0 16:00:0 0 17:00:0 0 18:00:0 0 19:00:0 0 20:00:0 0 21:00:0 0 22:00:0 0 23:00:0 0 スイッチ付OAタップ 概要 ○ 技術概要 スイッチのついている延長コード。 ○ 効果 機器の不使用時にスイッチを切り、待機電 力を削減。 スイッチ付OAタップ 90 80 70 消 50 費 電 力 W 40 60 1 2 3 30 4 5 20 10 0 時刻 消費電力(通常時) 90 80 70 60 消 50 費 電 力 W 40 1 2 30 3 4 20 5 10 時刻 消費電力(対策後) 太陽光発電 概要 ○ 技術概要 太陽電池により太陽光などの光を電 気に換える装置。 ○ 効果 自家発電した電力を施設に供給。 太陽光発電 検証 ○ 環境未来館での検証 環境未来館で、発電量と消費電力 を計測しました。 太陽光発電による電力は、施設全 体の電力の19%(年間値)を占めて いました。また、発電量は降灰の影 響を受けていました。 発電量と消費電力量 導入に際して ○ 導入対象 屋根面積が広い建物の屋上。 ただし、建物の方位や構造を再確認にし、 設置を検討する必要がある。 坂元小学校 ○ 参考導入費用 995,000円/kW ○ 導入事例 学校、環境未来館、松元支所ほか ‐41‐ おわりに 本書では「節電手法」と「環境対策技術」を中心に紹介してまいりました。これらの対 策については施設管理者の皆様では既に実施に取組んでおられるかと思いますが、このマ ニュアルを活用することにより、更なる節電効果の向上を図られたいとおもいます。また、 実施にあたっては、施設利用者の方への呼び掛けや啓発による意識向上と協力を得る取り 組みも重要と考えます。 節電意識の向上と情報発信の取り組みとして、本書については、鹿児島市の公共施設以 外の民間事務所、家庭でも活用頂けるよう各種イベント等を通し、情報発信を行っていく 予定です。 主な参加イベント ●環境フェスタかごしま (11 月開催 、場所: かごしま環境未来館) ●かごしま住まいと建築展 (11 月開催 、場所:かごしま県民交流センター) なお、「第3章 環境対策技術の紹介」の具体的応用については、共同研究のまとめとし て「環境対策技術導入設計指針(仮称)」に策定する予定です。 最後になりましたが、共同研究ならびに本マニュアル作成に尽力頂いた鹿児島大学理工 学研究科二宮秀與教授、鹿児島大学産学官連携推進機構 中武貞文准教授に深く御礼申し 上げます。 - 42 - 改 訂 記 録 改訂年月 平成24年 12月 改定箇所 P.4、5~7、10~13 改訂内容 冬の室温及び暖房に関する記述等を追加。 鹿児島市公共建築物節電マニュアル ~無理せず続けられる節電~ 平成 24 年 発行 3月 第1版 発行 平成 24 年 12 月 第2版 発行 鹿児島市 国立大学法人鹿児島大学 本マニュアルについてのお問い合わせは 鹿児島市建設局建築部設備課 TEL 099-216-1420、1421 または、 鹿児島市建設局建築部建築課 TEL 099-216-1407 まで、ご連絡下さい。