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課題名:竹チップバイオマスボイラーシステムの小型化 1. 事業目的 2
竹チップバイオマスボイラーシステムの小型化(太陽工業株式会社) 事業実施者名:太陽工業株式会社 課題名:竹チップバイオマスボイラーシステムの小型化 1. 事業目的 竹など未利用バイオマスを使用できるバイオマスボイラーを弊社は開発を完了したが、商用機と して販売するためには、小型化、低コスト、軽量化が避けらない。また、竹などを燃焼させるバ イオマスボイラーは皆無であり、商用化が急がれている。本事業で得られる技術は、木チップだ けではなく、林地残渣である竹など、従来はクリンカ問題などで利用が行われなかったバイオマ スが利用できるようになることである。 今事業において商用機モデル(10万kcalタイプ)を長崎総合科学大学と共同で設計・製作を 行い、商用機拡販に繋げるものとする。 2. 事業実施目標 ①弊社では 2008 年末に熊本県山鹿市内のみかんハウスに弊社実証機を設置した。1 年目はクリン カ問題に直面し、その対策を模索。2 年目に改造を行い引き続き実証した。今回の試作機は山鹿 の実証機 25 万 kcal タイプから商用機 10 万 kcal へダウンサイジングするにあたり、システム各 部位を見直す。 ②竹チップをバイオマス燃料として燃焼させるには、燃焼灰は逐次火格子から排除されることが 重要。灰溶融温度に達する前に燃焼灰を火格子上から除去する事で連続的に燃焼が継続される。 これを達成するために溶融温度以下での燃焼を想定している。 ③以上の理由により本事業ではモニター調査を行なわず、運転は変更部分の性能評価にとどめる。 3. 事業概要 3.1.事業実施内容 ① 竹チップ燃焼に特化した弊社バイオマスボイラーシステムの商用機設計着手に際し、山鹿で の実証機 25 万 kcal タイプをベースに表 3.1 に主な見直し点を上げた。 3.3、3.4 では山鹿での実証試験機の概要を述べる。 参考までに図 3.2、 竹チップバイオマスボイラーシステムの小型化(太陽工業株式会社) 表 3.1 小型化に向けて見直す点 番号 見直す点 1 部品の低減 2 補助燃料(補助バーナ)の変更 3 燃焼空気温度の最適化 4 予熱方式の変更 5 制御方式の変更 ② 長崎総合科学大学にて、800 度、900 度、1000 度の 3 種類の燃焼温度によって竹材の灰溶融 の性状を調査する。調査結果は巻末資料-1 を参照。 ③ 試験機の排ガス測定を専門機関で実施した。結果報告書は巻末資料-2 を参照。 みかんハウスの加温実証試験 竹チップ専用 コンテナバッグ 煙突 実証場所:熊本県 山鹿市内 竹チップ供給量: 68kg/h 温風器出口温度: 60℃ 供給熱量: 250000kcal/h 供給ホッパ 図 3.2 山鹿市某民間みかんハウス実 証試験場全景 供給コンベア 熱ガス炉 空気 加熱器 熱交換器 図 3.3 山鹿実証試験機(弊社単独事業) 竹チップバイオマスボイラーシステムの小型化(太陽工業株式会社) 供給機→節ガス炉→空気加熱機→熱交換器→煙突で構成されるシステムである。熱ガス炉の上か ら竹チップを投入する。真ん中に火格子があり、その上でチップが燃焼する。システム全体をI DFで吸引しており、負圧を維持する。燃焼ガスは熱ガス炉の下部から空気加熱器に移り、熱ガ ス炉に入れる燃焼空気を加熱する。熱ガスは鉛直伝熱管を有した熱交換器に送られ、温風ファン で熱交換し、60度の温風を吐き出す。この温風をハウス内に配置されたダクトを通じてハウス 全域を加温するようにしている。竹は特に灰分が多いので熱交換器の伝熱管は鉛直配管したがこ のため温風ファンは側面配置となり、温風口はその反対側面から2ヶ所取り出した。 竹チップは均一に破砕できず不ぞろいな大きさ、形状なので定量供給機はスクリューコンベアー の形状と径を試行錯誤した。またホッパー内のブリッジ壊し機構にも工夫を要した。 2868 680 659 1880 1130 熱交換器 750 1170 1775 1894 煙突 温風出口 熱交換器 空気加熱器 熱ガス炉 IDF FDF 空気加熱器 図 3.4 山鹿実証試験機 熱ガス炉 模式図 温風ファン 竹チップバイオマスボイラーシステムの小型化(太陽工業株式会社) 3.2.事業実施体制 山鹿実証時から燃焼技術に関する指導を受けていた長崎総合化学大学の坂井正康教授(当時)及 び村上信明教授に今回の事業についても協力をお願いした。また実証機の機械製作に関する技術 協力と今回の試験実施施設を株式会社吉野製作所に協力して頂いた。 事業実施者 長崎総合科学大学 太陽工業株式会社 ・ 事業事務局 ・ 機器の試作・改良 ・ 運転データ取得 ・ 技術指導(機器の改造) ・ 運転データ分析 株式会社吉野製作所 ・ 機器の試作協力 ・ 試験実施協力 図 3.5 実施体制図 4. 事業実施の成果 4.1.事業実施成果 4.1.1 事業実施スケジュール 実施項目 1 10 万 kcal 試作ボイラの設計 2 10 万 kcal 試作ボイラの製作 3 10 万 kcal 試作ボイラの運転、調査 4 データ収集 5 性能評価 6 改良点の抽出 7 中間報告 8 成果報告会 9 成果報告書の作成 8月 9月 10 月 11 月 12 月 1月 2月 3月 竹チップバイオマスボイラーシステムの小型化(太陽工業株式会社) 4.1.2 試作機 製作 排気ダクト 供給機 スクリューコンベア 供給機ホッパー IDF 誘引ファン 熱交換器 点火トーチ 空気加熱器 制御盤 温風吐出口 温風ファン 補助バーナー FDF 押込ファン 熱交換器 熱ガス炉 小型バイオマスボイラーの全景 図 4.1 試作機全景 空気加熱器 熱ガス炉 830 熱交換器 温風出口 温風ファン 3680 2000 1100 IDF 1100 温風ファン 580×580 バイオマス 熱ガス炉 空気加熱器 FDF 1570 1420 空気 加熱器 図 4.2 試作機の模式図 竹チップバイオマスボイラーシステムの小型化(太陽工業株式会社) 4.2. 事業実施目標の達成度と評価 4.2.1 見直す点と具体策 表 4.1 見直す点と具体策 番号 見直す点 具体策 ① 部品の低減 バタフライ弁をなくす ② 補助燃料(補助バーナ)の変更 LPGから灯油へ ③ 燃焼空気温度の最適化 予熱空気から常温空気へ ④ 予熱方式の変更 予熱ユニットの変更 ⑤ 制御方式の変更 チップ使用量の最小化 ① ⑤ ③ ④ ② 制御盤 図表 4.2.1-1 見直し部位 4.2.2 山鹿と小型化の仕様比較 表 4.2 に各ユニット毎の仕様をまとめた。ここで山鹿の実証機と今回の試作機の比較をした。 竹チップバイオマスボイラーシステムの小型化(太陽工業株式会社) 表 4.2 山鹿と今回の仕様比較 ユニット 熱ガス炉 空気加熱器 部位 本体 山鹿実証機の仕様 今回試作機の仕様 上炉丸型/内筒空冷 上炉角型/キャスタブル 下炉角型/断熱・キャスタブル 下炉角型/断熱・キャスタブル 火格子 固定パイプ 独立回転空冷式 投入口 円筒/バタフライ弁・ジャマ棒付き 円筒/ジャマ棒付き 点検口 上炉 1 ヶ所、下炉1ヶ所 上炉 1 ヶ所、下炉 1 ヶ所 補助バーナー LPG 10 万 kcal/h 灯油 5 万 kcal/h 点火トーチ LPG 2 万 kcal/h 灯油 1 万 kcal/h 本体 角型/断熱 丸型/キャスタブル 伝熱 100A 4 パス 2連 コイル状パイプ 12 巻 1連 衝突カバー付き 熱交換器 定量供給器 上入れ、上出し、バルブ付き 下入れ、下出し、オリフィス付き 本体 角型/天板部のみ断熱 角型 伝熱 50A 点検口 下部室に 2 箇所 3 箇所(各パス) 送風位置 側面 上部 温風出口 片側面 排気口 下部室 上部 搬送方法 スクリューコンベア スクリューコンベア 駆動方式 チェイン駆動 ホッパー 2.3 立米 1.5 立米 攪拌機構 平行アジテータ 直交アジテータ 120 本 鉛直配置 1 パス 2 箇所 投入方式 1 本、70A 13 本、50A 15 本 水平配管 3 パス 両側面 1 ヶ所 計 2 箇所 ギヤードモータ直結式 コンベア連動、チェイン駆動 振動モータ Φ600 2基 ギヤードモータ直結 振動モータ 投入口 Φ1000 円形開口 蓋なし ホイスト コンテナバッグ下部から 1基 600×600 角型開口 蓋有り 100×100 メッシュ枠付 今回は手入れ ホッパ内に落としこみ 吸気 FDF 2.2kw 0.75kw 排気 IDF 3.7kw 2.2kw 計測器 熱電対 6 ヶ所 6 ヶ所 圧力計 2 ヶ所 2 ヶ所 微差圧計 1 ヶ所 0 箇所 制御盤 盤に 4 段サーモ後付 盤本体に 4 段サーモ組込み ソフト 燃焼温度制御 室温フィードバック制御 制御 竹チップバイオマスボイラーシステムの小型化(太陽工業株式会社) 4.2.3 竹に関するデータ (1) 竹の熱量 表 4.3 竹の熱量 水 分 率 18.6wt%(実測値) 15wt%(換算) 高位発熱量 3890 kcal/kg 4060 kcal/kg 低位発熱量 3520 kcal/kg 3670 kcal/kg (2)竹チップ投入量 山鹿 250000 kcal/h÷低位発熱量(3670 kcal/kg)= 68 kg/h 今回 110000 kcal/h÷低位発熱量(3670 kcal/kg)= 30 kg/h (3) 有機物の元素分析 表 4.4 有機物の元素分析 (wt%) 項目 竹 灰分 2.00 0.40 2.40 C 50.50 48.80 43.80 H 5.60 6.40 6.36 O 43.60 44.40 47.10 N 0.30 0.10 0.35 Cl 0.11 - 0.06 S 0.03 0.10 0.05 出典 杉 : (社)中国地域ニュービジネス協会 草 竹内善幸 平成 20 年 5 月 1 日 (抜粋) (4) 竹炭・木炭の無機質成分 カリウムとナトリウムが多いと灰融点は低下し、カルシウム、マグネシウム、珪素が多いと灰融 点が上昇すると言われている。 表 4.5 竹炭・木炭の無機質成分 炭化物 K Na Ca Mg Si Fe Mn モウソウ 0.85 0.01 0.05 0.14 0.62 0.01 0.05 マダケ 0.76 0.01 0.04 0.06 0.34 0.01 0.01 チシマササ 1.39 0.04 0.02 0.06 1.63 0.02 0.02 アカマツ 0.16 0.01 0.36 0.07 0.05 0.03 0.05 ナラ 0.25 0.04 0.37 0.03 - 0.02 0.01 出典 : (社)中国地域ニュービジネス協会 竹内善幸 平成 20 年 5 月 1 日 (抜粋) 竹チップバイオマスボイラーシステムの小型化(太陽工業株式会社) (5)竹の灰溶融固化(クリンカ) (山鹿での事例) 図 4.4 灰溶融塊 図 4.5 火格子上の灰溶融塊 (山鹿の事例) (山鹿の事例) 図 4.6 灰溜めの未燃物の遅れ燃焼 図 4.7 灰溶融物滴下成長 (山鹿の事例) (山鹿の事例) 竹チップバイオマスボイラーシステムの小型化(太陽工業株式会社) (6) 竹チップの水分が多い場合のトラブル (山鹿での例) 竹チップ水分が多いと ホッパー内でブリッジが発生しやす くなる → 供給量が不安定 竹チップ水分が多いと 燃焼炉内温度上昇不安定 図 4.8 ホッパ内の竹チップブリッジ(山鹿の例) → 温風温度低下 バーナー停止後チップで自燃 バーナーによるチップ燃焼 コンベア供給量に疎密あり ブリッジ発生している 400度以下で自動停止モードに入る 図 4.9 水分率 20.8%の竹チップ燃焼 竹チップ水分率 → 立上がり1時間半 21時間連続運転 11%の燃焼例 安定した燃焼継続が可能 自動停止まで45分 停止ボタン 押下げ 熱ガス炉出口温度1 燃焼空気温度 熱ガス炉上部温度 熱ガス炉出口温度2 IDF入口温度 熱ガス炉中部温度 温風温度 図 4.10 水分率 11%の竹チップ燃焼 ハウス温度 竹チップバイオマスボイラーシステムの小型化(太陽工業株式会社) (7) 不揃いな形状の竹チップの水分率の測定法 (社内基準案) 1 試料採集 コンテナーバッグの下部、中部、上部 からチップを各々1リットル採集する 2 試料分級 各試料について分級する 大級 サイズ 5cm以上 厚み 5mm以上 中級 サイズ 2cm以上、5cm未満 厚み 3mm以上、5mm未満 小級 サイズ 2cm未満 厚み 3 3mm未満 重量測定 各試料について大、中、小級の重量を 計測する 4 水分率測定と換算 大、中、小級について各々20点計測し、 平均水分率を求める。 ↓ 各試料後との平均水分率と重量から 水分量を求める。 ↓ 総試料水分と総試料重量から 総試料水分率を求め、 図 4.11 竹チップの水分率の分級測定 これを代表水分率とする。 竹チップバイオマスボイラーシステムの小型化(太陽工業株式会社) (8) 今回の定量供給機の供給量の測定 表4.6 コンベア周波数に対する 表4.7 1ヘルツ当りの供給量(kg/h) 供給量(kg/h) Hz 竹チップ 木質ペレット Hz 竹チップ 木質ペレット 10 13.3 24 10 1.3 2.4 20 17.9 54 20 0.9 2.7 30 29.4 30 1.0 40 41.4 40 1.0 50 47.9 50 1.0 60 64.1 60 1.1 平均値 1.05 114 180 計測値を1時間換算 2.0 2.65 竹チップ及び木質ペレット供給量 200.0 180.0 160.0 供給量 [kg/h] 140.0 120.0 竹チップ 木質ペレット 100.0 80.0 60.0 40.0 20.0 0.0 10 20 30 40 50 60 供給コンベア周波数 [Hz] 木質ペレットの形状は定形 竹チップの形状は不定形 図 4.12 供給量の測定 竹チップバイオマスボイラーシステムの小型化(太陽工業株式会社) 4.2.4 今回の燃焼性状 下部炉出口温度において、補助バーナーと点火トーチで 250℃まで加温。250℃でチップ投入する と、竹チップに着火し、一気に 700℃まで上昇する。その間上部温度が下がる。これはIDFで 吸引しており炉内が負圧状態のためである。600℃を越えると補助バーナー及び点火トーチを止め る。竹チップにしっかり着火しいるとそのまま温度は上昇し、継続してコンベアから炉内に投入 されるチップが着火するのとすでに燃焼を完了するチップが混在し、炉内温度が昇降する。 この状態が継続すれば燃焼は安定する。設定ハウス室温と実際のハウス室温と差を計算して、チ ップ投入量を加減、温度差が±0.5℃以内に納まるように制御した。 下部炉出口温度 上部炉140℃で 竹チップ投入 供給過剰 竹チップ投入停止 +1.0kpa 下部炉圧力 0.0kpa 上部炉温度 IDF入口温度 ハウス室温 上部炉圧力 -1.0kpa 熱交換器温風温度 2時間45分 竹チップ投入量 0.297m3 竹チップのカサ比重 232kg/m3 燃焼時間 2.75時間 竹チップ燃焼量 25.1kg/h 図 4.13 燃焼温度推移 竹チップバイオマスボイラーシステムの小型化(太陽工業株式会社) 4.2.5 小型化に際し、見直し点の具体策の評価 (1) 部品削減・・・・投入口のバタフライ弁をなくす 山鹿実証機では竹チップ投入口にバタフ ライ弁を付けモータで開閉している。左右 に開閉して、チップを分散落下させた。し かし火格子上の均等分散はしっかり出来 ているとは言いがたく、コストパフォーマ ンスは良くなかった。 この機能をジャマ棒のみで行えないかと 図 4.16 で示す形状のもので代替してみた。 バタフライ弁 図 4.14 バタフライ弁 バタフライ弁モータ 図 4.15 バタフライ弁モータ 結果、火格子上の最も高く積みあがったコ ーナーの対角隅が最も薄かった。1 コーナ ーに集中してチップが落下。均等分散化は 十分でなかった。ジャマ棒の形状はさらに 検討が必要と思われる。 但し、ジャマ棒だけで分散するのではなく、 スクリューコンベアの落とし口の傾斜角 度にも考慮が必要。 ジャマ棒 図 4.16 ジャマ棒 竹チップバイオマスボイラーシステムの小型化(太陽工業株式会社) (2) 補助燃料の変更・・・・LPGから灯油へ 表 4.8 灯油バーナの噴霧量による立上加温の比較 ノズル呼称 噴霧量 油圧力 相当熱量 炉内加温性状評価 1.65 Gx60°SS 6.0 L/h 0.7 MPa 50000 kcal/h 不足 2.5 Gx60°SS 9.5 L/h 0.7 MPa 79000 kcal/h 適正 3.0 Gx60°SS 11.3 L/h 0.7 MPa 94000 kcal/h 過多 バーナボディはそのままでノズル 噴霧量を 3 種類選択して熱ガス炉の 立上加温性状を見た。 補助バーナ 図 4.17 補助バーナ本体 バーナノズルを交換する事で噴霧量 バーナディフューザ を多くする事が出来るので熱出力が 変わる。(表 4.8 参照) 実際にノズル毎に加温したときの炉 内温度を測定したところ 2.5Gx60° SS が最適であった。 バーナノズル 図 4.18 バーナノズル交換 15:24:10 15:25:40 15:27:10 15:28:40 15:30:10 15:31:40 15:33:10 15:34:40 15:36:10 15:37:40 15:39:10 15:40:40 15:42:10 15:43:40 15:45:10 15:46:40 15:48:10 15:49:40 15:51:10 15:52:40 15:54:10 15:55:40 15:57:10 15:58:40 16:00:10 16:01:40 16:03:10 16:04:40 16:06:10 16:07:40 16:09:10 16:10:40 16:12:10 16:13:40 16:15:10 16:16:40 16:18:10 16:19:40 16:21:10 16:22:40 16:24:10 16:25:40 16:27:10 16:28:40 16:30:10 温 度 ℃ 500 24分 時 刻 図 4.20 79000kcal/h 相当ノズルの加温性状 5分30秒 400 300 3分 200 100 0 14:08:12 14:06:42 14:05:12 14:03:42 14:02:12 14:00:42 13:59:12 13:57:42 13:56:12 13:54:42 23分 13:53:12 13:51:42 13:50:12 13:48:42 13:47:12 13:45:42 13:44:12 13:42:42 13:41:12 13:39:42 13:38:12 13:36:42 13:35:12 13:33:42 13:32:12 13:30:42 13:29:12 13:27:42 温 度 ℃ 竹チップバイオマスボイラーシステムの小型化(太陽工業株式会社) 1.65Gxバーナーノズル 800 700 600 500 1分30秒 400 上炉 下炉 IDF入口 熱交出口 ハウス内 300 200 100 0 時 刻 図 4.19 50000kcal/h 相当ノズルの加温性状 2.5Gxバーナーノズル 800 700 600 上炉 下炉 IDF入口 熱交出口 ハウス内 図 4.22 補助バーナの加温状況 時 刻 図 4.21 94000kcal/h 相当ノズルの加温性状 16:02:08 16:00:08 15:58:08 15:56:08 15:54:08 15:52:08 15:50:08 15:48:08 15:46:08 15:44:08 15:42:08 15:40:08 15:38:08 15:36:08 15:34:08 15:32:08 15:30:08 15:28:08 15:26:08 15:24:08 15:22:08 15:20:08 15:18:08 15:16:08 15:14:08 15:12:08 15:10:08 15:08:08 15:06:08 15:04:08 15:02:08 15:00:08 温 度 ℃ 竹チップバイオマスボイラーシステムの小型化(太陽工業株式会社) 3.0Gxバーナーノズル 800 6分 700 600 500 400 上炉 下炉 IDF入口 熱交出口 ハウス内 300 200 100 0 竹チップバイオマスボイラーシステムの小型化(太陽工業株式会社) (3) 燃焼空気温度の最適化・・・・予熱空気から常温空気へ 空気加熱器からでた加熱空気を熱ガス炉へ入 れる経路を図 4.21 に示す。 空気加熱器からでた加熱空気は上部炉と下部 炉に別れ、それぞれ 3 方向から炉に入る。 FDFから空気加熱器へ入っていく常温空気 ダクトと加熱された空気が通る加熱空気ダク トにバイパスを設け、常温空気が空気加熱器 内を通らずに炉に入ってゆく経路を作り、常 温空気を炉に入れるように組替え、自動運転 に入った。 図4.21 熱ガス炉に入れる加熱空気供給経路 空気加熱器 常温空気 加熱空気 FDF フランジ部の仕切板 有無で通気経路切替 図4.22 加熱空気と常温空気の経路切替 補助バーナ、点火トーチ着火後炉が加温され始め、230℃前後から竹チップ投入開始。チップに着 火すると 14 分以内で 600℃を越え、灯油供給を止める。その後チップが自力で燃焼する。新しい 竹チップバイオマスボイラーシステムの小型化(太陽工業株式会社) チップが投入されるので炉内温度降下が生じる。加熱空気が入っているときは燃焼が継続される ため再度温度が上昇する(図 4.13 参照)。常温空気だと再度温度上昇が見られず燃焼継続しない 事がわかった。また炉の初期加温時間及び 600℃を超える所要時間も若干長いものと見られる。 常温空気投入 800 700 35 分 14 分 600 常温空気投入では 燃焼継続はしない 点火トーチOFF 温 度 ℃ 500 400 上炉 下炉 IDF入口 熱交出口 ハウス内 点火トーチにて 竹チップに着火 300 200 100 18:03:01 17:58:31 17:54:01 17:49:31 17:45:01 17:40:31 17:36:01 17:31:31 17:27:01 17:22:31 17:18:01 17:13:31 17:09:01 17:04:31 17:00:01 16:55:31 16:51:01 16:46:31 16:42:01 16:37:31 16:33:01 16:28:31 16:24:01 16:19:31 16:15:01 16:10:31 16:06:01 16:01:31 15:57:01 15:52:31 15:48:01 15:43:31 15:39:01 15:34:31 15:30:01 0 時 刻 図 4.23 常温空気投入による立上燃焼 (4)予熱方式の変更・・・・予熱ユニットの変更 山鹿の加熱空気は 380℃まで上り、熱交換器への入熱量がその分減少した。今回の加熱空気は 100℃~150℃であった。燃焼温度を 700℃に落としても熱交換器への入熱量は確保できた。 FDF 熱ガス炉 熱ガス炉 空気加熱器 空気加熱器 山鹿の例 FDF 4パス 伝熱管 2連 今回の例 図 4.24 空気加熱方式の比較 螺旋状伝熱管 12連 竹チップバイオマスボイラーシステムの小型化(太陽工業株式会社) (5) 制御方式の変更・・・・操作性向上。チップ使用量の最小化 350 700 61.2% 1,600×350 制御盤容積比 図 4.25 山鹿実証機用 制御盤 800 今回試験機の制御盤はタッチパネルを用いて状 態表示できるようにした。室温設定ツマミを盤 面に設け、4 段サーモ回路は盤内に組み入れた。 山鹿の場合は別ボックスで外付けとなっている。 また制御方式は山鹿の場合は燃焼温度を見て竹 1200×250 チップ投入をONOFFしている。常に一定量 が投入され、燃焼温度を一定にしている。(図 4.10 参照) 今回は設定室温を±0.5℃で追従できるように チップ投入コンベアをスピードコントロールし ている。これによりチップ消費量を減らし、ユ ーザーの燃料費負担が軽減できる。 図 4.26 当試験機用 制御盤 火格子上のチップ投入量は山鹿の場合 207.4kg/h/m2 、今回の実績 使用量は山鹿に比べ88%となり、チップは12%削減となった。 182.6kg/h/m2 で、今回の 竹チップバイオマスボイラーシステムの小型化(太陽工業株式会社) 図 4.27 タッチパネル表示「メニュー」画面 試験機の場合は全ての画面操作が必要。 商用機ではユーザー用画面とメーカー用画面を 用意して、ユーザーが誤操作しないよう配慮する。 図 4.28 「運転モニター」画面 ユーザー用画面。ハウス温度を設定する場合に盤 面上のツマミを回すと、設定温度表示値が変化し、 その値で登録する。 24 時間を任意の区間に区切り 4 種類のハウス温 度が登録できる 図 4.29 「温度圧力モニタ」画面 中央のコラムは各機器が運転時はピンク色に点 灯。両サイドコラムは各箇所の現在の温度や圧力 を表示する。 異常発生時は警報で知らせ、アラームボタンタッ チで異常内容が表示されるので、点検が容易とな る。 図 4.30 「手動運転」画面 これはメーカーメンテー用画面で単独運転が可 能。 チップ投入スピードは▲▼ボタンで可変。 その他に Data 設定画面などで各種パラメータ等 の数値入力を可能としており、最適化調整を容易 に確立できるようにした。 竹チップバイオマスボイラーシステムの小型化(太陽工業株式会社) 4.2.6 実施目標の達成度と評価 灰溶融温度以下での燃焼について 補足資料1. 『長崎総合科学大学による竹の灰化溶融調査』によると 800℃を越えると極一部の竹 に溶融が認められる。また 1000℃でも溶融が認められない部位もあった。この結果を踏まえ 800℃ を溶融が生じない限界温度として注意深く運転した。火格子上や下部炉灰溜めにおいて 800℃を 越える事がないような燃焼が継続するのか炉内部の温度をモニターした。おかげで山鹿の実証に 比べ、灰溶融は非常に少なくなった。今回の制御では室温設定温度に追従するように竹チップ投 入量をコントロールすることに重点をおいた。投入後の燃焼遅れなども考慮して投入量を可変さ せた。ただし、800℃を越えさせない炉内温度制御はできておらず、今後その要素を制御プログラ ムに反映させて行きたいと思っている。 システムの小型化について 山鹿の実証炉の重量は 4900 ㎏、今回の実証炉は 2200 ㎏で削減率は 55%であった。コスト面で は削減率 34%となり、50%削減には及ばなかった。IDF および FDF は 1 ランク下げることが可 能なのでコストダウンできるが、商品化に向けてはしメンテナンス性の視点から少し手を入れる ため加工コストが上がると見込まれるので相殺であろう。 小型化にむけて見直した点 見直した点の達成度と評価を表 4.9 にまとめた。また表 4.10 は山鹿と今回の部位別コスト比較、 表 4.11 は今回の試験機から更なる改良を示唆するポイントをまとめた。 竹チップバイオマスボイラーシステムの小型化(太陽工業株式会社) 表 4.9 達成度と評価 項目 1 小型化に際し何を 部品削減 どのようにした その結果どうなったか 投入口のバタフライ弁をなく チップの分散落下はジャ した マ棒のみとしたが均等分 散に至らず。その形状に工 評価 △ 夫必要 2 補助燃料の変更 LPG から灯油へ 50000kcal/h では立上時加 灯油バーナーの最適化 温に時間を要す。しかしノ ズル交換範囲で最適化は ○ 実現できた。 3 燃焼空気温度の最適 出来るだけ低い加熱空気 常温空気による燃焼継続 化 を熱ガス炉に投入し、熱交 は無理。 への入熱量を増やす。 4 予熱方式の変更 衝突型スクラバー+空気予熱ユ 予熱温度を下げる事がで ニット→接続管内に螺旋加熱 き、熱交への入熱を高める 配管組込み式へ 事ができた。しかし空気加 熱器の表面温度が高く、断 × △ 熱性能アップが必要。接続 管径を大きくする。 5 制御方式の変更 操作性向上。 パネル式にした。 チップ使用量の最適化。 影響パラメータを抽出し、 画面上に数値入力ボタン を設け最適化を図りやす くした。 ハウス温度追従制御ソフ トが組めた。 ○ 竹チップバイオマスボイラーシステムの小型化(太陽工業株式会社) 表 4.10 コスト比較 ユニット 山 炉本体 鹿 今 回 コスト比較 上丸 2 重、下角キャスタ 上下角、キャスタ 固定空冷式 櫛形独立回転空冷式 補助バーナー LPG 灯油 57.10% 点火トーチ LPG 灯油 98.10% 加熱器 タテ形 4パス 2 連 コイル状 12 巻き 50.00% 上入れ、上出し、バルブ付 下入れ、下出し、オリフィス付き タテ形 1 パス 120 本 ヨコ形 3 パス 29 本 温風ファン 側面 上置き 温風口 1 側面(2 口) 2 側面(2 方向) FDFの位置 下 下 52.80% IDFの位置 下 熱交上置き 83.30% 制御盤 シーケンス タッチパネル 73.00% 火格子 配管 熱交 機器全体 山鹿 51.70% 87.20% 今回 65.10% 表 4.11 今回の試験機から更なる改良を示唆するポイント 項 目 なにを どのように IDF 2.2kw インバータ制御 → 1.5kw インバータ制御 FDF 0.75kw → 0.4kw インバータ制御 熱交温風ファン 2.2kw → 2.2kw インバータ制御 熱交点検口 燃焼室点検口 → 半円から3/4円の蓋へ ホッパー アジテータ位置 → スクリュー上部へ移動 内容物消費量 → ロードセルで重量変化計測 シュート角度 → さらに急傾斜 停電時安全対策 → エアーダンパー 鉄板 → 透明ポリカーボネート アラーム表示 → タイムスタンプ機能 運転記録 → データログ機能 屋外温度計測 → データログ機能 チップ使用量 → データログ機能 運転状況通信 → 通信機能 投入口 スクリュー ケーシングカバー 制御系 竹チップバイオマスボイラーシステムの小型化(太陽工業株式会社) 4.3. 本事業で得られた今後の課題 表 4.12 今後の課題 今後の課題 停電時の対処 対応策 停電用発電機を用意するのは実用的ではない。 IDFが停止しても炉内バイオマスが燃焼する 間だけ安全燃焼を維持しつつ消火できる様にな る。 安全燃焼に入ると、単位時間当たりの供給熱量 間欠投入方式と変量連続投入方式とで温風出口 に対し、温風出口温度の応答性が思った以上に 温度の応答の違いを把握する。遅れ時間を制御 緩慢。 に組み込む。 炉の下限界運転温度の把握 補助燃料で追炊きせずに再立上げできる限界温 度を検証し、制御に組み込む。また、炉の保温 材を検討。蓄熱性を高め炉内温度低下を極小に する。 停電時の対処は緊急性があると判断し、ひとつの対策案を実施してみた。 停電になると供給機も停止するので、それ以上チップは炉の中に入らない。そのとき炉内に残っ ているチップが安全燃焼し終わればそれで良い。FDFが停止し、空気供給が行われないので燃 焼は徐々に収まるはずである。しかしIDFも停止しているので負圧状態が維持できず、炉内は 正圧となる。燃焼熱が投入口からスクリューコンベア側へ逆流しにくくして、炉内で燃焼を終え るようにしたい。このことから電気供給が無くなってから投入口を塞ぐ方法がないか検討してみ た。今回はその 1 案とする。コンプレッサーを平行運転しておき、停電時にエアーダンパがタン クに貯留した圧縮空気でシリンダーを動かし、ダンパを閉じる機構を作ってみた。 しかしダンパは完全に投入口を密閉する程の気密性を持たす事が難しく、投入口内径の 2mm程 度小さい。投入口面積の約2%の隙間を持っている。 図 4.31 エアーダンパ形状 図 4.32 投入口にエアーダンパを取付け 竹チップバイオマスボイラーシステムの小型化(太陽工業株式会社) 図 4.33 エアーコンプレッサ 図 4.34 エアーコンプレッサのブレー カとエアーダンパ開閉スイッチ 自動運転で立上げ、1 時間 30 分後に電力供給を強制的に遮断し、停電状態をメイクしたのが図 4.35 である。定量供給機、FDF,IDF、温風ファンなど全て瞬時に停止した。エアーダンパも閉 じた。しかし供給機停止と同時だったので、まさに落下しようとしたチップを噛みこんだ。よっ てエアーシリンダーの動作を遅くしてタイミングを外すことにした。 電力供給停止後 30 分程度で炉内残チップの燃焼は収束し温度降下した。上部炉内温度は 240℃ま で上昇して横ばい、下部炉内温度同様に降下経過をたどった。投入口からコンベアへの温度上昇 はほとんど見られず、安全に燃焼収束した。 停電メイク 700 煙が消えるまで30分程度 600 上炉 下炉 IDF入口 熱交出口 ハウス内 加熱空気 400 電力供給遮断 300 200 100 時 刻 図 4.35 停電時の燃焼温度推移 16:50:10 16:46:10 16:42:10 16:38:10 16:34:10 16:30:10 16:26:10 16:22:10 16:18:10 16:14:10 16:10:10 16:06:10 16:02:10 15:58:10 15:54:10 15:50:10 15:46:10 15:42:10 15:38:10 15:34:10 15:30:10 15:26:10 15:22:10 15:18:10 15:14:10 15:10:10 15:06:10 15:02:10 14:58:10 14:54:10 14:50:10 14:46:10 14:42:10 14:38:10 14:34:10 0 14:30:10 温 度 ℃ 500 竹チップバイオマスボイラーシステムの小型化(太陽工業株式会社) 5. 本事業の実施による将来展望 弊社の普及戦略は、地域の竹チップ製造会社を育成し、供給体制を構築しながら、ボイラ使用者 である行政、農事組合法人などをターゲットとして販促活動を行う。ハウス用加温機など単価が 安価なものは、弊社でレンタルすることも視野にいれて需要家の負担軽減を行い、燃料供給+ボ イラをシステム化した普及を行う。 (図 5.1、5.2 参照) 販売計画としては 平成 23 年度は「ハウス加温機 1 基」 、平成 24 年度は「ハウス加温機 20 基、 温水ボイラ 3 基」をめざす。 形状 図 5.1 竹の伐採からエネルギー利用まで 竹チップバイオマスボイラーシステムの小型化(太陽工業株式会社) 図 5.2 竹のエネルギー事業化の全体スキーム 竹チップバイオマスボイラーシステムの小型化(太陽工業株式会社) 補足資料 1. 長崎総合科学大学による竹の灰化溶融調査 2. 今回の試験機の排ガス測定結果 竹チップバイオマスボイラーシステムの小型化(太陽工業株式会社) 1. 長崎総合科学大学による竹の灰化溶融調査 竹チップバイオマスボイラーシステムの小型化(太陽工業株式会社) 竹チップバイオマスボイラーシステムの小型化(太陽工業株式会社) 竹チップバイオマスボイラーシステムの小型化(太陽工業株式会社) 竹チップバイオマスボイラーシステムの小型化(太陽工業株式会社) 竹チップバイオマスボイラーシステムの小型化(太陽工業株式会社) 2. 今回の試験機の排ガス測定結果