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1990年代の金融政策の効果 マクロ計量モデルによる歴史的

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1990年代の金融政策の効果 マクロ計量モデルによる歴史的
ESRI Discussion Paper Series No.37
1990年代の金融政策の効果
マクロ計量モデルによる歴史的シミュレーション
by
川崎研一・青木大樹
May 2003
内閣府経済社会総合研究所
Economic and Social Research Institute
Cabinet Office
Tokyo, Japan
ESRIディスカッション・ペーパー・シリーズは、内閣府経済社会総合研究所の研究者およ
び外部研究者によって行われた研究成果をとりまとめたものです。学界、研究機関等の関係する
方々から幅広くコメントを頂き、今後の研究に役立てることを意図して発表しております。
論文は、すべて研究者個人の責任で執筆されており、内閣府経済社会総合研究所の見解を示す
ものではありません。
1
1990年代の金融政策の効果 *
マクロ計量モデルによる歴史的シミュレーション
川崎研一 * * ・青木大樹 ***
内閣府経済社会総合研究所
2003 年 5 月
*
本稿は、経済社会総合研究所及び浜田宏一編として出版予定の金融政策についての論文集の一部として書かれ
たものである。論文集としては金融政策のより広範な問題を扱っている。執筆に当たっては、内閣府経済社会
総合研究所総括政策研究官 原田泰氏及び論文審査のための部内セミナー(2003年5月12日)に出席された方々
から貴重な意見を受け賜った。また、同研究所主任研究官 堀雅博氏には、モデル分析に当たって具体的な助
言をいただくとともに、論文の記述の詳細に渡ってコメントをいただいた。これらの方々に記して御礼申し上
げる。ただし、本稿に関しての残された誤りは全て筆者のものである。
**
内閣府経済社会総合研究所上席主任研究官
***
同研究官
要
旨
1.趣旨及び目的趣旨及び目的
1990年代、我が国の経済は、ときおり回復の兆しをみせながらも、総じて長期間に渡って低迷
した。その要因として、金融政策の対応が遅れたことが指摘されている。本稿の目的は、1990年代
における金融政策の対応の遅れが我が国経済にどの程度影響を及ぼしたのか、定量的に明らかにす
ることである。このことは、歴史上のある時点で、実際とは異なる金融政策を取っていたとすれば、
我が国経済がどのような異なる経路を歩んだ可能性があったのか、振り返ってみることである。
2.シミュレーション手法
定量的な試算に当たっては、内閣府経済社会総合研究所が維持・改良している「日本経済短期マ
クロ計量モデル」を用いる。その際、理論的に指摘されているいくつかの可能性について、そうい
った論点以外の部分については共通の枠組を維持した構造モデルによるシミュレーションを行うこ
とにより、その何れの要因が数量的にみた場合により重要なのか比較検討する。
3.分析結果の主要なポイント
1)テーラー・ルール型の政策反応関数によれば、1992年度以降の金利引下げの遅れが指摘され
ている。コール・レートが、1992年度から 1993年度にかけて3−4%程度引き下げられ、より
早くゼロ金利が実現していたとすると、長期金利は 1%程度低下する。金利の低下により、資
本の借入コストが低下し、
為替レートが減価する効果により、
実質 GDP は、1992年度には 0.4%
程度、1993年度には 0.6%程度押し上げられる結果となっている。
2)1990年代後半において、マネーサプライの増加率が毎年 1%ずつ高かった場合、伝統的なマ
クロ計量モデルのシミュレーションでは、実質 GDP は 0.1-0.2%程度しか増加しない。しかし
ながら、合理的な期待形成を導入すれば、実質GDP は 1998年度から 1999年度にかけて、1%
程度拡大する結果となり、伝統的なモデルによる試算結果と比べると、格段に大きなものとな
る。
このことは、マネーサプライが拡大することにより、1)インフレ期待によって名目金利以
上にインフレ率が加速することにより、実質金利の下落幅が大きくなり、民間企業設備、住宅
投資がより大きく刺激される、2)為替相場が、最終的なマネーサプライの増加率を上回って
下落し、このため、輸出の増加が大きくなり、実質 GDP を押し上げる、といった主に2つの
経路を通じる経済効果が生じることによる。
4.結び
本稿におけるシミュレーション分析結果からは、1990年代初期、金融政策がより早くより大きく
対応して緩和していれば、一定程度、我が国経済の落ち込みを下支えしていた可能性を見出せる。
一方、1990年代後半の超低金利時代については、名目金利の引下げに限界があっても、マネーサプ
ライの増加による金融緩和政策が有効で有り得る可能性が示されている。特に、為替相場の下落を
通じて、相対的に大きな経済効果を有することが期待される。
ただし、これらの経済効果は、人々の期待形成の在り方に大きく依存していることに留意する必
要がある。
1
Abstract
Japanese economic activities have generally been stagnant during the last decade in the 1990s,
with occasional signs of modest improvement. One reason, among others, for such weak economic
development has been attributed to the delay in easing Japan’s financial policies.
This paper attempts to provide a quantitative assessment of the impact of financial policies on
the Japanese economy by carrying out macroeconometric model simulations.
It is shown that the interest rate reductions in the early 1990s could support the Japanese
economy. Real GDP might have been higher by 0.4 percent in fiscal 1994, and by 0.6 percent in fiscal
1995, compared with the actual economic developments.
Even with the “zero interest rates” of the late 1990s, financial policies might still have been
effective in stimulating the economy. By introducing forward-looking behaviors into the traditional
macroeconometric model, it becomes clear that monetary expansion by 1 percent is shown to have
the effect of raising real GDP by around 1 percent, mainly due to the depreciation of the exchange
rate.
This impact is significantly larger than that suggested by the traditional macroeconometric
model, which employs backward-looking behavior. The possible impact of monetary expansion
would largely depend on whether economic behavior is forward-looking or backward-looking.
2
目
次
はじめに ............................................................................................... 1
1. 1990 年代の金融動向........................................................................ 1
2.金融緩和の経済効果 ........................................................................ 3
3.ゼロ金利下での金融政策の可能性 ..................................................... 6
おわりに ............................................................................................... 9
参考文献 ..............................................................................................11
図表 ................................................................................................... 12
3
はじめに
1990年代、我が国経済は、ときおり回復の兆しをみせながらも、総じて長期間に渡って低迷した。
その要因として、金融政策の対応が遅れたことが指摘されている。本稿の目的は、そのような遅れ
が我が国経済にどの程度の影響を及ぼしたのか、定量的に明らかにすること1 である。このことは、
歴史上のある時点で、実際とは異なる金融政策を取っていたとすれば、我が国経済がどのような異
なる経路を歩んだ可能性があったのか、振り返ってみることである。
定量的な試算に当たっては、マクロ計量モデル2 によるシミュレーション分析を行うこととする。
経済モデルによる分析結果は、用いる経済モデルの種類によって異なる可能性がある。本稿では、
マクロ計量モデルが経済全体の構造を包括的に描写していることを活かしつつ、いくつかの代替的
な試算を行う。理論的に指摘されているいくつかの点の可能性について、そういった論点以外の部
分については共通の枠組を維持した構造モデルによるシミュレーションを行うことにより、その何
れの要因が数量的にみた場合により重要なのか比較検討することを主眼としている。
すなわち、金融政策の在り方を巡っては、ゼロ金利時代に入り、名目金利の引下げが限界に直面
する一方で、いわゆる量的緩和論、インフレ・ターゲットの導入などが議論されている。本稿は、
そういったいくつかの政策の有効性を検討するため、それらが数量的な分析の枠組の中でどのよう
に位置づけられるのか、具体的な試算の例を論ずることを目的3 としている。
以下では、まず、分析の対象となる1990年代の金融動向を手短かに概観する。その上で、金融政
策が遅れたとされる1990年代前半において、
より早く金融緩和が行われていたとすると、
どの程度、
我が国経済の景気後退が回避されたのか、経済モデルにより推計してみる。さらに、ゼロ金利時代
となった1990年代後半において、金融緩和が効果を発揮するためには、どのような可能性が有り得
るのか、数値シミュレーション分析による比較検討を行う。
1 1990年代の金融動向
我が国経済は、バブルの崩壊後、景気基準日付(内閣府)によれば、1991年2月を景気の山として
後退局面に入った。1993年10月の景気の谷にいたる間、また、これを超えて、公共投資の追加、減
1
マクロ経済政策のもう一つの重要な手段である財政政策についても、その果たした役割は十分に検証されな
ければいけないが、本稿の分析の対象とはしていない。1990年代前半の景気後退期における財政、金融政策、
また、為替動向などの外的要因が我が国経済に与えた影響に関するマクロ計量モデル分析の一例については、
Kawasaki and Tsutsumi (1996)を参照。
2
ここでは、内閣府経済社会総合研究所が維持・改良している「日本経済短期マクロ計量モデル」を用いる。
同モデルの基本的な構造と特性については、堀他(2001)を参照。本稿では、同モデルの構造を基にしなが
ら、最近の経済動向を織り込みつつ、異なったモデルを用いてシミュレーション分析を行っているが、両者
のモデルの特性の相違は必ずしも大きなものではない。
3
経済モデルによるシミュレーション分析は、必ずしも一定の結論を断定的に論ずるためではなく、むしろ議
論の出発点として活用されるべきものと考えられる。
1
税などの財政政策が景気を下支えしたものの、民間投資の落ち込みが激しく、また、円高の進展の
影響もあり、実質経済成長率はゼロ近傍で推移した。
この間、図1に示される通り、景気後退のタイミングに多少は遅れながらも、コール・レートは
ほぼ一貫して引き下げられ、8%を超える水準から1994年には2%程度となった。他方、M2+CDで
みたマネーサプライの前年比増加率は、景気循環のタイミングとの関係では一定の先行性を示しな
がら、循環する姿を描いている。ただし、景気後退の過程では、コール・レートの低下にもかかわ
らず、回復する結果とはなっていない。
(図1 景気循環と金融動向)
金融政策の評価をめぐっては、マネーサプライの増加率の鈍化に着目する見方もある4 が、ここで
は、地主他(2000)
、Ahearne他(2002)で用いられているテイラー・ルール型の政策反応関数を基
にすることとする。この関数によれば、コール・レートは、インフレ率、実質GDP、為替レートに
ついての均衡値からのギャップにより表現される。
地主(2002)では、まず、バブル期前の1975−85年の間について、この政策反応関数を推計5 して
いる。
この関数を用いて導かれる1986年以降のコール・レートを一つのベンチマークとして、
「良い」
政策ルールに基づく値としている。この値を現実のコール・レートと比較し、バブル期とそれ以降
の実際の金融政策について、以下が描き出されるとされている。
・
・
・
・
1987−88年にかけての金融引締めの遅れ
1990−91年にかけての金融引締め不足
1992−95年初期にかけての金融緩和の遅れ
1997−98年初期にかけての金融緩和の遅れ
したがって、本稿では、以下の各節において、この1980年代後半から1990年代前半にかけての金
融政策の遅れ、また、1990年代後半における金融緩和の可能性の二つ6 に大きく分けて、シミュレー
4
他方、M2+CDで表されるような貨幣数量の動向は、貨幣に対する需要動向を反映したものであり、必ずし
も金融当局の貨幣供給行動を描写したものとは言えないとの見解もあろう。
5
推計されているコール・レート( rt )関数は、以下の通りである。
rt = 1.39 + 0.27 * (π t − π t∗ ) + 1.14 * ( yt − y ∗t ) + 0.03 * ( xt − xt∗ ) + 0. 39 * rt −1 + et
ただし、π t − π t∗ はインフレ率(π t )とそのt 期を中心とした10年間の平均値(π t∗ )との差、 y t − yt∗ は実質
GDPの対数値( yt )とその2次トレンド( y t∗ )との差、xt − x ∗t は為替レート( xt )とその t 期を中心とした
10年間の平均値( xt∗ )との差、 et は誤差項である。
6
図1に示される通り、コール・レートは一貫して引下げられている。1993年10月からの景気回復局面におい
て、金融当局がコール・レートを引き上げる機会を逸したかのようにも見られるが、地主(2002)で示され
る通り、その間も「良い」政策ルールに基づくコール・レートの水準より高くなっていることには変わりな
い。
2
ション分析を行うこととする。
2 金融緩和の経済効果
1980年代後半から1990年代前半にかけての金融政策の遅れが経済に与えた影響を推計するために
は、まず、その前提として、金融政策が遅れをとらなかった場合、どのような政策がとられ、また、
金融面の動向がどのように異なった状況を実現したのかを明確にしなければならない。
ここでは、金融政策が遅れをとらなかった場合、上述の「良い」政策ルールに基づくコール・レ
ートの値が実現されたものと想定7 することとする。言い換えれば、そのようなコール・レートの下
で実現したであろう経済の姿を推計し、現実の経済動向と比較することによって、金融政策が遅れ
をとったことの影響を試算することとする。
具体的には、まず、1992年第2四半期以降、コール・レートが「良い」政策ルールに基づいて決定
されていた場合の効果を試算する。この場合は、実際よりは金融緩和が迅速に行われ、1992年第3
期には、コール・レートがほぼゼロとなるいわゆるゼロ金利が実現していたこととなる。
短期金利が政策的に引下げられた場合、長期金利も名目ベースで一定程度低下する。シミュレー
ション結果によれば、コール・レートは、1992年度から1993年度にかけて3−4%程度引下げられる
こととなるが、これにより長期金利は1%程度低下する。後述の通り、景気が刺激されること、また、
円安が進むことにより物価が上昇するため、実質長期金利はこれより多少は大きく低下することと
なるが、そのような物価上昇が緩やかである限り、実質ベースでの金利の低下幅もさほど大きくは
ならない。
実質金利の低下は、
マクロ計量モデルによれば、
主に二つの経路を通じて経済活動を活発化する。
第一に、金利の低下は、資本の借入れコストを低下させることから、民間企業設備、民間住宅など
の民間投資を刺激する。民間企業設備は、1992年度には0.7%程度、また、1993年度にも3.4%程度、
金利が引下げられなかった場合に比べて増加する。また、民間住宅は、更に、金利に対して感応的
となっている。1992年度には2.2%程度、また、1993年度には6.5%程度増加している。
また、第二に、金利の低下は、為替相場を減価させ、内外での相対価格効果により、輸出を増加
させる効果がある。為替相場は、1992年度には2.3%程度、1993年度には7.8%程度減価し、財・サー
ビスの輸出は、それぞれ、0.3%程度、1.1%程度増加する。他方、輸入は、実質GDPの増加による所
得効果がこの価格効果を上回るため、一定程度増加するが、その大きさは、同様に、0.6%程度、0.4%
程度と、輸出の増加には及ばない結果となる。輸出から輸入を差し引いた外需全体では、時間とと
もに、実質GDPを押し上げる効果が推計されている。
7
モデルの解法上は、そのようなコール・レートの値を外生的に与えて試算することとする。マネーサプライ
は、モデルのメカニズムによって内生的に解かれ、何ら外生的な制約は課されていない。
3
他方、民間消費に与える影響は、以上ほど明瞭ではない。金利の低下は利払いを軽減するため、
債務者である企業部門の法人所得を増加させる一方で、債権者である家計部門の利子所得を減少さ
せる側面がある。今般の試算では、家計の可処分所得全体でも減少8 する結果となっており、民間消
費も減少傾向を示している。
これらの結果、コール・レートが早期に引下げられていた場合の経済効果は、図2にまとめられ
る通りである。実質GDPは、1992年度には0.4%程度、1993年度にも0.6%程度押し上げられる結果と
なっている。なお、図には示していないが、物価上昇率は1993年度で0.3%程度と僅かなものにとど
まる。これに対して、貨幣需要の増加率は名目GDPの増加率を大きく上回り、1992年度には2.9%、
1993年度にも5.8%増加する結果となっている。
(図2 コール・レートの低下が需要項目に与える効果)
以上の推計結果によれば、1992年度以降、景気が下降局面に入ったところで、金融政策が遅れを
とっていなかったとすると、我が国の経済成長を一定程度下支えすることができていたはずだと言
うことができる。1992年度、1993年度の2年間に渡って記録した0.4%といった低い実質経済成長率
は、0.7−0.8%程度に高まっていたものと推計されている。
ここで、1990年代前半においては、かなりの規模の財政政策による景気刺激が行われていたこと
が留意される。実際、国民経済計算ベースでの公的固定資本形成は、1991年度には31.5兆円程度か
ら1995年度には43.4兆円程度へと10兆円以上も拡大し、名目GDPに占める割合でも2%程度増加して
いる。
このような拡張的な財政政策が実施される場合には、金融政策がこれにどのように対応するかに
よって、経済全体に対する効果が変わり得ると指摘されているところである。ただし、本稿で用い
ているマクロ計量モデルによるシミュレーション分析によれば、そのようないわゆるクラウディン
グアウト効果は必ずしも大きくはない可能性が示されている。すなわち、実質GDPの1%分に相当
する実質公的固定資本形成を増加した場合、金融当局が完全なアコモデーションを行い、短期金利
の上昇が起こらないようにしたとしても、実質GDPにあらわれる乗数は、1年目はほぼ変わらず、2、
3年目でも0.1%程度の相違しか生じない結果となっている。
したがって、本節のシミュレーション結果は、そのような財政政策の発動に対して、金融政策に
よる調和が不十分なところもあったかも知れないが、その大きさはそもそもの金融政策自身の遅れ
に比べれば限定的なものであったと解釈することができよう。
8
これは、景気の後退期に労働分配率が上昇するという経験則を描写するメカニズムが、本稿で用いているマ
クロ計量モデルに織り込まれていることにもよる。このことは、景気が回復するようなシミュレーションを
行った場合に、労働分配率を低下させる力が働くメカニズムを織り込んでいることとなる。実際、本シミュ
レーションでは、財産所得のみならず、雇用者報酬も減少する結果となっている。このような効果を織り込
まない場合には、雇用者報酬が増加し、また、場合によってはその増加が財産所得の減少を上回り、家計の
可処分所得全体、更には、民間消費が増加する可能性もある。
4
他方、何れにせよ、このような経済効果の大きさは、景気後退期に入って即座にゼロ金利を実現
するような大胆な金融緩和を行っていたとしても、僅かな景気刺激効果しかなかった可能性をも同
時に示唆しているものとも言える。大雑把に言えば、1%ポイントのコール・レートの引下げは、実
質GDPを0.1−0.2%程度しか増加させない推計結果となっているのである。
このような金利低下の経済効果の大きさについては、それが金融政策自身の遅れによるものであ
れ、財政政策に対する不十分な調和であれ、マクロ計量モデルを構築する際の理論的な枠組に加え
て、
それぞれの関数における係数の値にも大きく依存していることには留意する必要がある。
特に、
9
経済構造の変化とともに、その大きさが変わっている可能性 がある。実際、内閣府経済社会総合研
究所が、旧経済企画庁経済研究所時代も含めて、維持・改良してきた日本経済短期マクロ計量モデ
ルにおける乗数の値を、本稿で用いているモデルのものと比較すると表1の通りである。
(表1 金融乗数の比較)
表に示された3つのマクロ計量モデルにおいては、
それぞれの関数の定式化は必ずしも共通ではな
い。したがって、厳密な意味では、これらの結果のみをもって、関数の推定係数の値が変わったこ
とによる影響とは判断できないことに留意する必要がある。しかしながら、短期金利を継続的に1%
ポイント低下させた場合の実質GDPに対する効果は、明らかに、推定期間が1990年代の後半をカバ
ーするほど小さくなっていることが示されている。その内訳では、民間企業設備の金利感応度が著
しく低下していることも注目されよう。
このことは、1990年代後半において、低金利状態が実現されながらも、民間企業設備を中心とし
た国内需要が十分に回復しなかったことを反映10 しているものと考えられる。したがって、1990年
代前半までを推定期間とするようなマクロ計量モデルを用い、即ち、その時点までの経済構造をよ
り反映したモデルを用いて、当時の金融政策の効果を推計すれば、本節で試算された実質GDPの押
上げ効果よりは大きくなるものと見込まれる。具体的には、表1の乗数の相違からは、そういった
実質GDPの押上げ効果は、1年目には2−3倍、2年目には2−5倍程度大きくなった可能性があるこ
とが示されている。
ただし、本稿では、後述の通り、1990年代後半における金融政策の在り方も共通の枠組で検討す
るため、そのような関数の推定期間は2001年までを含めた経済モデルを用いることとする。他方、
次節で論ずる1990年代後半における金融政策の効果試算に当たっては、1980年代を推定期間から除
き、1990年代後半の構造をより反映したマクロ計量モデルを用いて試算すると、逆に、実質GDPの
押上げ効果は、本モデルによる試算結果よりも小さくなるものと見込まれる。
9
例えば、Hori et al. (2002)では、1990年代後半以降、貨幣需要関数の金利弾性値が大きくなってきており、量
的金融緩和の経済効果は小さくなる傾向が見られることが指摘されている。
10
1990年初頭のバブル崩壊以降、資産価格の低迷、不良債権の顕在化、また、付随的に生じる一般物価の下落
などの多くの要因により、人々は将来の物価に対して下落の予想を抱くようになっていると考えられる。そ
の結果、企業は経済の先行きに懐疑的になり、設備投資を増やそうとするインセンティブがなくなっている
ものと考えられる。
5
金融緩和に当たっては、コール・レートをゼロに引下げることに加えて、いわゆる量的緩和など
のその他の政策も求められているところである。したがって、以上の推計結果が金融政策の全ての
効果であると論ずることは早計であろう。ゼロ金利下での金融政策の可能性については、次節で、
改めて検討することとする。
3 ゼロ金利下での金融政策の可能性
1990年代後半には、ゼロ金利がほぼ実現し、政策対応としてこれ自身を名目ベースでは引下げる
ことはできなくなっている。このため、その他の金融政策の有効性を検討するため、マネーサプラ
イが増加した場合に、どのような経済効果が有り得るのか、経済モデルによる感応度分析を行うこ
ととする。具体的には、1997年第2四半期以降の景気後退局面において、マネーサプライの増加率が
毎年1%ずつ高かった場合の効果を試算することとする。
前節でも用いた標準的なマクロ計量モデルによる試算結果は、
図3の細線で示される通りである。
マネーサプライの増加率を毎年1%程度増加させたとしても、実質GDPは0.1−0.2%程度しか増加し
ない結果となっている。
(図3 金融緩和の効果比較)
経済モデルによるシミュレーション結果については、外的なショックに対する線形性11 が一般的
に確保されていると言える。したがって、マネーサプライの増加率を2倍、3倍とすれば、通常なら
このような実質GDPの増加効果も2倍、3倍となることが期待される。しかしながら、1990年代後半
においては、そのようにマネーサプライの増加率を拡大しても、経済効果が比例的に大きくなると
は限らない、あるいは、ほぼ変わらない結果となることには留意する必要がある。
これは、経済モデルによるシミュレーション結果が、ショックが与えられる前の標準ケース、こ
こでは、実際の歴史的な推移に依存することによる。具体的には、短期金利がほぼゼロに近いとい
う低い水準にあったことによる。すなわち、マネーサプライを増加させても、名目ベースの短期金
利がゼロよりも下がらない限り、その低下幅に限界があるため、経済効果も小さく計測12 されてし
まうのである。ただし、そのような制約が発生しないほど、標準ケースにおける短期金利が高けれ
11
このことは、モデル体系を F (⋅) で表し、外的なショックを∆ X 、∆ Y としたとき、任意のパラメータα 、β
に対して、以下が成立することを言う。
∆F (α∆X , β∆Y ) = α∆F ( ∆X ) + β∆F ( ∆Y )
すなわち、特定のショックが2倍となれば効果も2倍となり、そのショックが反対となれば効果も反対とな
り、また、ある二つのショックに対する効果はそれぞれの効果の和となることを意味している。
12
逆に、マネーサプライを縮小すれば、短期金利はより大きく上昇し、一定程度の経済効果が計測されること
となる。その意味では、前述のショックに対する線形性、あるいは、ここでは対称性が確保されていないこ
ととなる。
6
ば、マネーサプライの増加率が大きくなるほど、短期金利の低下幅も比例的に大きくなり、経済効
果も大きく計測されることとなる。
このことは、金融政策の効果に関する重要なインプリケーションをもっている。すなわち、金利
が非常に低い場合には、マネーサプライを増加しただけでは、金融政策の効果に限界がある13 こと
を示唆されていることとなるのである。
しかしながら、このような結果が導かれるのは、シミュレーション分析に用いている経済モデル
の特性に大きく依存していることには留意する必要がある。すなわち、伝統的なマクロ計量モデル
においては、金融政策の効果は、直接、金利を引下げた場合のみならず、マネーサプライを増加さ
せるような場合でも、基本的には金利の低下を通じて計測される構造となっている。マネーサプラ
イの増加がその他の経路を通じて経済全般に与える効果は、あまり織り込まれていないものが多い
のである。
(期待形成の重要性)
したがって、以下では、一つの試みとして、標準的なマクロ計量モデルの枠組に合理的な期待形
成を織り込むことにより、以上のシミュレーション結果がどのように異なるか、比較検討すること
とする。伝統的なマクロ計量モデルであっても、一定の期待形成のメカニズムが織り込まれている
ことは同様だが、それらは、過去に経験した経済動向に基づく「後ろ向きな」期待である。合理的
な期待形成は、将来に予想される経済の推移に依存する「前向きな」ものであるところが大きく異
なる。
具体的には、Hori他(2002)で用いられているモデルにより、上述と同じマネーサプライ増加の
効果をシミュレーションする。このモデルでは、標準的なマクロ計量モデルに対して、主に以下の
三つの点で、合理的な期待形成に基づく決定メカニズムが導入14 されている。
・
・
・
投資関数における使用者費用(実質金利)
長期金利の期間構造における短期金利に対する期待
カバーされていない金利裁定式における為替相場に対する期待
このモデルによる試算結果15 は、図3の太線で示される通りである。実質GDPは、1998年度から1999
13
原田(2003)では、同様にマクロ計量モデルによる乗数分析を行い、1990年代におけるマネーサプライの増
加が、一定の景気刺激効果を持っていた可能性を指摘しているが、留意点として言及されている通り、その
際には、名目短期金利がかなりのマイナスとなることが前提とされており、その現実性は別途考えられなけ
ればいけないものと思われる。
14
将来に対する期待形成が、経済モデルにおける全ての側面で、モデル体系と整合的に決定されている訳では
ない。合理的な期待形成メカニズムが選択的に導入されているものと言えよう。
15
合理的な期待形成を導入したモデルでは、将来の経済変数の動向が現在の経済変数に影響を与えることとな
る。その際、そういった将来の変化が、事前に予想されたものであるか、あるいは、予想されなかったもの
7
年度にかけて、1%程度拡大する結果となっている。標準的なモデルによる試算結果と比べると、各
段に大きなものとなっていることが特筆される。
マネーサプライを拡大することがより大きな経済効果をもたらす経路は、主に二つにまとめられ
る。第一は、マネーサプライの増加に伴って、インフレ率が上昇すると期待されることである。イ
ンフレ率が加速しながらも、
名目金利がそれほど上昇しなければ、
実質金利の下落幅が大きくなり、
民間企業設備、住宅投資がより大きく刺激されることとなる。ただし、ここで用いているモデルで
は、そのようなインフレ率の上昇は、緩やかに加速するに過ぎないため、そういった経路を通じた
投資刺激効果も、必ずしもそれほど大きなものではない。
第二に、さらに重要なのは、為替相場の下落が大きくなることである。為替相場は、マネーサプ
ライが拡大する初期、あるいは、それ以前に遡って、また、最終的なマネーサプライの増加率( 3%)
を上回って下落する結果16 となっている。このため、輸出の増加が大きくなり、実質GDPを押し上
げることに大きく貢献している。また、他方で、輸入物価の上昇率を高め、上述のインフレを加速
することにも寄与している。
以上のシミュレーション結果からは、たとえゼロ金利というような低金利時代であっても、期待
形成のメカニズムが変われば、マネーサプライの増加といった金融政策が一定程度有効である可能
性が示されていると言える17 。
ところで、本稿の冒頭に記した通り、経済モデル分析のメリットの一つは、理論的に想定される
様々な経済の波及経路につき、その相対的な重要性を比較検討できる枠組を提供することである。
上述の二つの波及経路の相対的重要性を比較するため、更に、為替相場に対する期待形成だけは合
であるかによって、経済効果は異なることとなる。ここでは、マネーサプライの増加が、事前に予想されて
いた場合についてシミュレーションを行っている。この場合は、マネーサプライ自身は1997年度から増加さ
せているが、そのような将来における政策変更が事前に予想されれば、その効果はそれより以前にも発現す
ることとなる。
16
このメカニズムは、ドーンブッシュのオーバーシューティング・メカニズムとして知られるものである。そ
の内容については、Dornbusch (1976)を参照。
カバー無しの金利平価関係によれば、為替相場(et )は、国内の名目金利( it )と外国の名目金利( it∗ )
によって、以下の通りに書ける。
et +1 − et = it − i t∗
金融緩和によって国内の金利が下がることは、今後、為替相場の増価傾向が継続することを意味する。他
方、金融緩和によって現在の為替相場は減価することとなる。ドーンブッシュによれば、将来の変化方向と
足下の水準についての互いに矛盾するかのようにみえる二つの条件を同時に満たすためには、現時点での為
替相場が著しく安い水準に一挙にジャンプし、その後、長期的な均衡水準に向かって増価経路をたどること
が、成り立たなければならないというものである。
17
Hoei et al. (2002)でも議論されている通り、合理的期待を導入したモデルによるシミュレーションに当たって
は、貨幣の中立性など、モデルを解く際に設定する終端条件によって、その数量的な試算結果、従って、推
計される経済政策の有効性が異なる可能性があることには留意する必要がある。
8
理的に行われない場合につき、追加的にシミュレーションしてみると、その結果は、図4に比較され
る通りである。
(図4 合理的期待の経済効果比較)
為替相場も含め、上述の主に三つの点で、合理的な期待が形成される場合のマネーサプライの増
加効果は、図4の左図に示される通りである。実質GDPの押上げ効果に対する寄与をみると、民間
消費、民間投資などの内需に加えて、輸出等の増加による外需の寄与も大きくなっていることが分
かる。
このシミュレーション結果から、ほとんど自明であるが、為替相場に対する期待形成だけが合理
的に行われない場合について追加的にシミュレーションしてみると、図4の右図に示される通り、
外需の寄与がほとんどなくなるだけでなく、所得効果によって内需の増加効果も減少することが示
されている。
以上から、金融政策の効果については、たとえゼロ金利下であっても、マネーサプライの増加に
よってインフレ期待が高まれば、実質金利が低下することにより内需がある程度刺激されることが
示されている。ただし、その際、為替相場が減価することによる外需の増加効果も定量的に大きい
可能性が示されていると言える。
おわりに
本稿におけるシミュレーション分析結果からは、1990年代初期、金融政策がより早くより大きく
対応して緩和していれば、一定程度、我が国経済の落ち込みを下支えしていた可能性が見出せる。
そのような結果、
我が国経済が異なる経路を歩み始めていたとすると、
その後の経済動向も異なり、
また、経済政策の在り方の可能性も広がったものとも考えられる。
他方、そのような政策をとっていたとしても、そのような下支え効果は限定的であったとも評価
することもできよう。長期間に渡って我が国経済が停滞した要因については、財政政策などその他
の経済の在り方、為替相場、世界経済動向などの外的要因も含め、総合的に解明する必要がある。
ただし、金融政策の遅れに限ってみれば、それ自身が一定のマイナス要因となっていた可能性は、
少なくとも今振り帰ってみれば、指摘することはできよう。
一方、1990年代後半の超低金利時代については、名目金利の引下げに限界があっても、マネーサ
プライの増加による金融緩和政策が有効で有り得る可能性が示されている。
特に、
金融緩和により、
為替相場を下落させることが、相対的に大きな経済効果を有することが期待される結果となってい
る。
ただし、そのような経済効果が発現するためには、そもそも、マネーサプライを増加させること
9
で、実際にインフレ率が変化するか、しないかは別として、インフレ期待が高まることが前提とな
っている。そのような期待形成が実現しなければ、経済効果も発現しないこととなる。インフレ期
待を高めるためには、マネーサプライの増加が継続するという金融政策の方針転換自身が信頼され
ることが基礎となる。
また、今般のシミュレーションでは、金融緩和によって景気が刺激されても、貨幣需要に見合う
だけの貨幣が供給され、名目金利は上昇しない枠組で試算を行っている。ただし、実際には、名目
金利の上昇懸念が発生することも想定される。そのような場合には、金融政策の当局には、マネー
サプライを増加させるという政策に加えて、インフレ期待の一方で低金利を維持することが、一定
の景気刺激効果を実現するために求められていると解釈することもできよう。
最後に、マネーサプライの増加といった金融政策の効果につき、為替相場の下落を通じる効果が
大きいのであるとすれば、為替市場への介入など、その他の金融政策の対応策も検討に値しよう。
しかしながら、ここでも、そういった政策が効果を発現するためには、為替相場が大幅に下落する
ことが肝要であり、そのためには当局の政策方針が市場において信頼されることが必要である。
結局のところ、前向きな立場に立てば、期待形成を左右することができれば、金融政策が有効で
あると言える一方、悲観的な立場に立てば、金融政策が有効であるか否かは人々の期待次第とも言
えよう。そのような人々の期待形成自身は、政策の在り方への信頼次第といった側面があることに
も留意すべきであると考えられる。
10
(参考文献)
地主敏樹、黒木祥弘、宮尾龍蔵(2000)
、
「1980年代後半以降の金融政策:政策対応の遅れとその理
由」
、三木谷良一、アダム・S・ポーゼン編、清水啓典監訳、
「日本の金融危機:米国の経験と
日本への教訓」第5章、東洋経済新報社
原田泰(2003)
、
「財政政策か、金融政策か」
、
『日本の「大停滞」が終わる日』第6章、日本評論社
堀雅博、田邊智之、山根誠、井原剛志(2001)
、
「短期日本経済マクロ計量モデル(2001年暫定版)
の構造と乗数分析」
、ESRI Discussion Paper Series No.6, 内閣府経済社会総合研究所
Ahearne, A., J. Gagnon, J. Haltmaier, and S. Kamin and C. Erceg, J. Faust, L. Guerrieri, C. Hemphill, L. Kole, J.
Roush, J. Rogers, N. Sheets, and J. Wright (2002), “Preventing Deflation: Lessons from Japan’s
Experience in the 1990s”, International Finance Discussion Papers, No. 729, Board of Governors of the
Federal Reserve System
Dornbusch, R. (1976), “Expectations and exchange rate dynamics”, Journal of Political Economy, 84
Hori, M. et al. (2002), “Liquidity Trap and Monetary Policy: Simulations on the ESRI Short-Run Macro
Econometric Model of Japanese Economy”, ESRI Discussion Paper Series NO. 23, Economic and Social
Research Institute, Cabinet Office
Kawasaki, K. and M. Tsutsumi (1996), “Japan’s Extended Business Downturn: How Did It Happen? - Analyses
by the EPA World Economic Model Simulation”, Discussion Paper No. 65, Economic Research Institute,
Economic Planning Agency
11
図1 景気循環と金融動向
140
景気動向指数(
CI、左目盛)
マネーサプライ増加率(右目盛)
コールレート(右目盛)
130
120
(%)
14.0
12.0
10.0
110
8.0
100
6.0
90
4.0
80
2.0
70
0.0
60
1986 87
-2.0
88
89
90
91
92
93 94
95
96
97
98
99 2000 01
(出所) 内閣府 「景気動向指数」、日本銀行 「金融経済統計月報」
図2 コール・
レートの低下が需要項目に与える効果
(%)
1.5
1.0
0.5
0.0
-0.5
民間消費
民間企業設備
実質GDP
-1.0
民間住宅
外需
-1.5
1
2
3
1992
4
1
2
3
1993
4
1
2
3
1994
12
4
図3 金融緩和の効果比較
(%)
(%)
1.2
1.0
0.8
0.6
0.4
0.2
0.0
実質GDP
1.0
0.5
0.0
1996
1997
(%ポイント)
0.0
-0.1
-0.2
-0.3
-0.4
-0.5
-0.6
1996
1998
1999
消費デフレータ
1996
1997
(%)
8.0
名目長期金利
1998
1999
為替相場
6.0
4.0
2.0
0.0
1997
1998
1999
1996
1997
1998
1999
図4 合理的期待の経済効果比較
(%)
為替相場を含め合理的期待
為替相場のみ適合的期待
(%)
1.20
1.20
1.00
1.00
民間消費
民間投資
0.80
0.80
輸出等
実質GDP
0.60
0.60
0.40
0.40
0.20
0.20
0.00
0.00
-0.20
-0.20
1 2 3 4 1 2 3 4 1 2 3 4 1 2 3 4
1996
1997
1998
1 2 3 4 1 2 3 4 1 2 3 4 1 2 3 4
1999
1996
13
1997
1998
1999
表1 金融乗数の比較
短期金利を継続的に1%ポイント低下させた場合
(%)
モデル(1)
モデル(2)
モデル(3)
1年目
0.26
0.09
0.10
実質GDP
2年目
1.10
0.37
0.21
3年目
1.90
0.63
0.22
民間企業設備
1年目
2年目
0.60
2.14
0.28
1.33
0.23
0.98
3年目
3.73
2.28
0.94
モデル(1)は、EPA世界経済モデル第5次版日本モデル(
推定期間は、1983Q1 - 1992Q4)
モデル(2)は、EPA短期日本経済マクロ計量モデル(推定期間は、1985Q1 - 1997Q4)
モデル(3)は、本章で用いている日本経済マクロ計量モデル(推定期間は、1985Q1 - 2001Q4)
14
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