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日本の特別地域特別編集61 これでいいのか 山形県
取材メルマガ 無料版配信中 !! http://tokku.jp 東北地方を縦に分断している奥羽山脈。その西側の山形県と秋田県は﹁裏東 北﹂といわれ、 東北きっての大都会・仙台を中心にした﹁表東北﹂と比べて、﹁裏﹂ のほうはさすがに地味⋮⋮。秋田はまだしも山形は周囲の8割強を高い山に囲 まれ、今でこそ太平洋側からの横断道が整備されてきたものの、東北の中で隔 絶されていた﹁秘境県﹂だった。山形県民は県民同士でかたまるといわれてい るが、そうなってしまうのも地勢的に当然の成り行きなのである。 出羽山地によって内陸部︵村山、最上、置賜︶と沿岸部︵庄内︶が隔絶され、 山形県 これでいいのか FREE 日本の特別地域 オフィシャルサイト 内陸部では盆地ごとに異なる生活圏が形成されている。山形は昔、多くの藩や 幕領が複雑に交錯していたから、強烈な地域間対立こそないものの、住民の文 化・気質が地域によって違う。さらに、隣町なのに使う言葉が違ったりするな ど、より﹁小さな地域﹂でのつながりが濃いのも特徴。小さな地域を強引にひ とまとめにしようとした平成の大合併が不調に終わったのも当然といえる。 そんな閉鎖と分断の国・山形は、東北の風土特有の貧困に悩まされ続けた。 昭和 年代の山形県民の富裕度は全国最低レベルで、多くの出稼ぎ者を生み出 形は﹁豊穣の地﹂と称されるほど。けど、ホントのところはどーなのよ 山形の真実の姿とは何なのか? これからじっくりと解き明かしていこう。 本誌では、保守的な山形の旧社会と伝統的な山形人にスポットを当て、各地 の問題点を浮き彫りにし、新旧が混濁する現代の山形社会の深遠に切り込んだ。 !? 再開発、企業誘致、巨大商業施設の建設などで生活レベルは上向いた。今や山 し、残された者たちもコツコツと働いた。そうした時代を経て、交通網の発達、 40 特別編集 日本の特別地域 だからといって、山形県民全体のまとまりが良いわけでもない。その要因も やっぱり山だ。県内は村山、最上、置賜、庄内の4つの地域に分かれているが、 は じ め に 合 併 YAMAGATA-KEN 平成の大合併では ほとんどまとまらず! 10 を負担するというもので、少ない 平成の大合併は 負担で大きな資産を得られるため、 財政難に喘ぐ自治体からすれば渡 しなくて良かった? りに舟の財政支援策でもあった。 ただ、国によるバラマキは功を奏 財政的に苦しい地方自治体を助 したが、合併によって地域自治体 けて、地方分権を推進させたいと 制がより広域化し、さらにハコモ いう名目で行われる市町村合併。 ノ建設の乱発も相まって、余計に それに加えて、市町村数を減らし 借金を膨らませてしまった自治体 て余分な金を地方に払いたくない が相次いだ。 国の事情から、1999年以降、 政府主導で推進されたのが、いわ 国が当初から目指していた地方 交付税の削減については、合併に ゆる﹁平成の大合併﹂である。 よって行政サービスに支障が出な 平成の大合併によって、全国の いようにと、合併してから最大 市町村は3200から1700へ 年間は据え置かれるという特例措 とほぼ半減した。当時、多くの市 置がとられた。だが、これもまた 町村が合併に至ったが、その成功 問題だった。合併のピークは20 要因のひとつが﹁合併特例債﹂と 04年から 年にかけて。つまり、 いうアメの存在だった。 年以降、多くの合併自治体の特 合併特例債とは国に背負う借金 例措置が切れることになるが、合 である。しかし、合併したのちの 併のメリットを享受できなかった 公共事業にその パーセントを充 自治体にとって地方交付金の削減 てられ、国が返済の パーセント 95 70 14 05 10 は た ま っ た も の で は な く、 ﹁国 策 は十分。1888年から実施され によって合併したのだから今後も た﹁明治の大合併﹂では、県内の 助けてくれ!﹂という声も聞かれ 自治体数を1458から221に る始末。 減らし、減少率 ・8パーセント と、平成の大合併のマイナス余 は全国 位︵全国平均の減少率は 波が噴出しそうな昨今だが、山形 ・8 パ ー セ ン ト︶。さ ら に、1 県の平成の大合併は、結果的にう 953年から実施された﹁昭和の まくいかなくて良かった? 大合併﹂でも自治体数を222か ら にまで減らしている。この時 合併を推進してきた の減少率 ・8パーセントは、な んと全国1位の数値だったのであ 山形県だったが⋮⋮ る︵全国平均は ・8パーセント︶ 。 平成の大合併は、基本的に東京 つまり、山形はもともと合併推進 や大阪などの大都市圏の動きが鈍 県 なのだ。 く、地方の県が積極的に動いたと 平成の大合併の時も、県は合併 いわれている。しかし、意外なこ に消極的だったわけではなかった。 とに東北は合併の動きが鈍いエリ 山形では人口減少や少子高齢化の アだった。平成の大合併時の市町 進展が問題化していることもあり、 村減少率の全国平均は ・6パー 将来的にさまざまな行政サービス セントだが、東北6県でこの数値 を充実させるには、苦しい財政状 を超えたのは宮城と秋田の2県の 況の市町村を合併させて財政力を み。青森︵ ・3パーセント︶と 強くするという選択肢しかない、 岩手︵ ・4パーセント︶は、全 という論調もあった。 国平均にやや届かず。福島も ・ その平成の大合併時、市町村同 4パーセントにとどまっている。 士 の 合 併 協 議 が 始 ま る 前、県 が さらに山形に至っては ・5パー ﹁合 併 推 進 構 想﹂を 作 成 し、市 町 セント。これは大阪、東京、神奈 村の組み合わせパターンなどを提 川、北海道、奈良に次いで低い減 示するケースが多く見られた。こ 少率だった。 の合併推進構想は、ほぼ合併が期 そんな山形は、市町村合併が嫌 待できない東京都と、相手を決め いな土地柄なのか? なくても比較的スンナリと合併が 実はその逆 で、過去を遡ってみても合併実績 捗りそうな 府県で作成されなか 42 40 11 46 20 34 12 県内の村山、最上、置賜、庄内の 4 地域にはそれぞ れ、 県の出先機関である総合支庁が置かれている。 庁舎の所在地は地域の中心ということで、庄内で は所在地をめぐっての争いも起きた 84 59 12 74 77 56 山形の地域分断の最大要因は「山」 だが、 県内を流 れる県民の母なる大河・最上川も地域分断に一役 買っていた。日本三急流にも数えられる流れの速 さは、 対岸への交通を妨げる障害でもあった ったが、山形では作成されている。 薦めた組み合わせパターンは、村 とはいえ、当初県が打ち出した合 山 地 域 が、 ﹁山 形 市・上 山 市・天 併推進案はうまくいかず、合併の 童市・山辺町・中山町﹂ ﹁村山市・ ピークをやや過ぎた2006年に、 東根市・尾花沢市・河北町・大石 新たに合併推進構想をまとめてい 田 町﹂ ﹁寒 河 江 市・西 川 町・朝 日 る。県としては、あまりにも捗ら 町・大江町﹂の3都市でまとまり、 ない合併を促進させたいという考 置賜地域と最上地域は、置賜が3 えがあったようだ。 市5町、最上が1市4町3村でひ しかし、事は県の思惑通りには とまとめになるというもの。超巨 進まなかった。昭和の大合併で最 大合併計画である。 も合併が進捗した反動か、地域を ただ、もともと村山や置賜地域 これ以上ひとまとめにする必要性 では協議のテーブルにつかなかっ を住民が感じなかったのだ︵住民 た自治体も多く︵村山市、天童市、 投 票 で は ど こ も 反 対 多 数︶ 。ま あ、 東 根 市、南 陽 市 な ど︶、た と え 合 お役所が一生懸命旗振りしても、 併協議会をつくっても一度解散し 気質や文化、自治体の事情を考慮 たらそれで終了してしまう。他県 せず、地図上で決めたような組み では決裂したら新たな組み合わせ 合わせを提示されても、住民の賛 での協議会を模索するケースもあ 成は得られはしない。 るが、それもない。たとえば、寒 河江市・西川町・朝日町や、米沢 話だけ聞いて 市・長井市・川西町では、合併任 意協議会︵行政と議会委員による 最終的にはノー 議論で合併に向けた具体的な協議 はない︶の設置と解散だけですべ ての協議が終わってしまった。潔 いというのか、とりあえず話だけ でも聞いてみようかというスタン スで、市町村レベルで積極的に合 併しようという意志が感じられな い。つまり、県が示した超巨大合 併というのは、実情を考えれば絵 に描いた餅だったのである。 さて、山形の平成の大合併の成 功事例は、沿岸部の庄内地域での み見られ、内陸部ではゼロだった。 庄内の合併についてはのちほど説 明することにして、まずは内陸部 各地域の合併失敗についてザッと 見ていくことにしよう。 進まない内陸部の合併に業を煮 やして、県が新・合併推進構想で 12 一方、最上地域の場合、その経 市が藤島町、羽黒町、櫛引町、朝 緯はちょっと複雑だ。最上では当 日村、温海町を吸収して新・鶴岡 初、8市町村による合併任意協議 市に、同年 月には酒田市が八幡 会が設置された︵もともと反対し 町、松 山 町、平 田 町 を 吸 収 し て ていた鮭川村が6日遅れて参加と 新・酒田市になった。ところが県 い う ド タ バ タ ぶ り だ っ た が︶ 。こ は、新・合併推進構想の中で、庄 の合併任意協議会はやがて、新庄 内地域内のさらなる合併パターン 市と舟形町の合併法定協議会︵合 を提示した。それが鶴岡市と三川 併に関するあらゆる事項を話し合 町の﹁南庄内合併﹂だった。 う組織︶に発展したが最終的に決 しかし、鶴岡市側は合併に乗り 裂。その約4年後、今度は新庄市、 気だったものの、合併の是非を問 真室川町、鮭川村、戸沢村による う三川町の町長選挙では反合併派 合併任意協議会が設けられ、ここ の 候 補 が 当 選。﹁合 併 は ノ ー﹂と から鮭川村が抜ける形で合併法定 いう民意を受け、三川町は合併を 協議会が設置された。しかし、こ 拒んで自立の道を選んだ。 こからさらに真室川町が抜け、最 こうして庄内再編のみで平成の 終的に新庄市と戸沢村による合併 大合併を終えた山形。実は各市町 法定協議会が設置されたが、話が 村の首長の半数以上は合併の必要 まとまらずに解散。新・合併推進 性を感じていたようだ。しかし、 構想以前に2つ、以後に3つ、都 多くが自立の道を選んだ。将来の 合5つの任意・法定協議会が設置 不安はどうあれ、現在の 市町村 されたものの、住民投票での反対 というのは、歴史、文化、伝統、 多数も響き、結局ひとつもまとま 住民気質などを考慮した、山形人 らなかった。 こだわりの地域割りなのだろう。 村山、置賜、最上など、生活圏が 庄内の合併も 同じだからひとつにまとまるとい うことではなく、もっと小さな地 結局ドタバタ 域単位の濃厚なつながりが、巨大 合併を許さなかったのだ。 さて、県内で唯一合併が行われ たのが庄内地域だ。2005年7 合併問題から見えてくる類稀な 月には立川町と余目町が合併して 地元へのこだわり。これこそが山 庄内町になり、同年 月には鶴岡 形人の強みなのかもしれない。 10 右の写真は米沢市役所。 「置賜はひとつ」の大号令 も虚しく、 米沢中心の大合併はならなかった。 一方、 左は新庄市役所。最上地域では合併協議会の設立 は多かったが、 いずれも実を結ばなかった 13 併 35 合 11 衰 退 YAMAGATA-KEN 廃れゆく裏東北に 浮上の余地はあるのか 種機関、商業施設などを市街地に コンパクトシティ化で 集める﹁コンパクトシティ化﹂が ずっと叫ばれ続けている。 空洞化にストップ コンパクトシティでの移動手段 は鉄道、バス、徒歩、自転車など 前項﹁レジャー﹂の最後で、山 が主だが、都会と違って地方では 形県民の身近なレジャースポット 自動車依存が強いので、そもそも として﹁イオンモール﹂のことに 本当にコンパクトシティ化するこ ついて書いた。 とが必要なのかという意見もあり、 郊外に建つイオンモールや大手 都市計画への導入に及び腰になっ のアウトレットモールといった巨 ている地方都市は多い。また、推 大商業施設は、一般消費者にとっ 進しても思惑通りの結果にならな て非常に魅力的なショッピングス かった、なんてこともある。 ポットである。ただ、地方都市の 山形県でも鶴岡では、公共機関 郊外にこうした施設が乱立してし や住宅団地を中心市街地に集めて まうと、中心市街地が廃れるケー コ ン パ ク ト シ テ ィ 化 を 進 め、﹁歩 ス も 見 ら れ る。街 中 に は シ ャ ッ いて暮らせる街﹂をつくることで ター商店街が生まれ、客を取られ 地域再生を目指している。とはい た大型百貨店は撤退してしまう。 え、電車は市民の足としてまるで これがいわゆる﹁地方のドーナツ 機能していないから、駅前には工 化現象﹂というやつである。 業団地と廃墟化した商業施設が建 こうした流れに歯止めを掛けよ っているのみ。コンパクトシティ うと、公共施設や病院といった各 !? 26 の核となりそうな駅周辺よりも、 地元の企業に 城を中心に街づくりをしているの は、さすが伝統の城下町・鶴岡と 元気がない! いったところか。ただ、国勢調査 によると、2005年から 年に また、地方都市郊外への大資本 か け て の 中 心 市 街 地︵鶴 岡 地 区︶ の進出は、地場産業の衰退を招く の人口は約3000人も減ってい 危険性もはらんでいる。 る︵鶴ヶ岡城址を中心とした景観 イオンに代表される巨大商業施 維持条例で高層マンションが建て 設は、地場スーパーチェーンにと ら れ な い し ね︶。現 在 の と こ ろ、 って脅威だ。たとえば家電量販店 鶴岡のコンパクトシティ化は、中 のヤマダ電機は﹁業界のトップに 心市街地からの人の流出を防ぐ手 なってこそ価値がある!﹂の大号 立てにはなっていないようで、こ 令のもと、同業他社を潰しにかか のままじゃ駅前も中心市街地も共 る戦略をとった。これがいわゆる 倒れになりかねない? 家電戦争だが、イオンなどの巨大 一方、県都・山形市もコンパク 資本のスーパーチェーンも似たよ トシティ化に動き出している。こ うなもので、地方の同業他社にと ちらは歴史的建造物を保全し、繁 っては競争相手なんて生易しい存 華街である七日町との回遊性を高 在ではない。 めることで中心市街地の魅力を高 イオングループは、イオン、イ めようとしている。ただ、駅前に オンモール、マックスバリュ、イ は開発されていない空き地があっ オンタウンなどを地場スーパーの たり、シャッター商店街も見られ 商圏にぶつけてくる。立地する場 るなど、七日町地区に比べて駅周 所の土地代が安いから巨大な駐車 辺の様子はチト寂しいが、中心市 場をつくり、さらにシャトルバス 街地の人口は大型マンション建設 を運行したりするなどしてアクセ も進んだことで増加傾向にはある スの向上を図る。集客力自体がハ ようだ。とはいえ、中心市街地の ンパではなく、地域性や激安価格 人口を増やして衰退に歯止めをか などを前面に出してイオンを蹴散 けようとしても、郊外以上に仙台 らす地場スーパーはあっても︵山 へ多くの人が流出しているのだか 形 で は ヤ マ ザ ワ や お ー ば ん な ど︶ 、 らせっかくの施策も意味がない。 体力やこれといったウリがない地 10 歴史的建造物の景観を守りながら、中心繁華街と の回遊性を高め、市街地の活性化をはかりたい県 都・山形市。とはいえ、 駅前には空き地が目立ち、 寂れた商店街が連なる。そして、 人がいない…… 27 場スーパーは廃業するか、飲み込 で、廃れている現状を肯定してし まれるのがオチであり︵茨城のカ まう強さがあるのだ。だから山形 ス ミ な ど︶、な か な か 共 存 共 栄 と には古い建築物やレトロな食堂が はいかない。こう考えると、中心 至るところに現存しているのだろ 市街地の空洞化よりも、問題は地 うし、合併による変化も根本的に 方都市の郊外が中央の大資本に席 は望んでいないのだ。 巻されている現状であり、それが しかし、衰退していく現状に手 地方の衰退に拍車をかけているよ をこまねいていいわけじゃない。 うに思えてならない。 県内でも特に最上地方には、社会 となると、地方の活性化には地 的な共同生活が困難になっている 元企業の盛り上がりが欠かせない。 高齢者ばかりの﹁限界集落﹂も少 しかし、山形の企業はここのとこ なくない。しかし、医療、防災、 ろ元気がなく、2011∼ 年の 冬なら除雪と、ひとつの集落にか 3年間、倒産件数が毎年増えてい かる自治体のコストはバカになら るのは東北で山形のみ︵帝国デー ない。個人の権利もあるから﹁誰 タバンク﹁全国企業倒産集計20 の助けもいらない。ここで暮らす﹂ 1 3 年 報﹂よ り︶ 。さ ら に、 年 と集落の住民に言われれば、その 4月には、県内で倒産した企業の 意思は当然尊重されるべきだが、 負債総額が平成に入ってからの最 自治体は行政サービスを放棄する 大を記録するなど、地元企業︵特 わけにはいかない。 に中小企業︶は不況から脱し切れ 地域の文化、郷土愛など限界集 ない状況が続いている。 落をめぐる問題は難しいが、こう した集落を存続させるには、地元 若者が都会に流出 民 同 士 の 助 け 合 い︵共 助・互 助︶ が必要不可欠である。ただ、そう 過疎化が止まらない はいっても地域全体のマンパワー が圧倒的に足りない。若者がいな 山形県民は﹁どこも自然ばっか りでさあ﹂や﹁遊ぶところがなく いからだ。 て﹂など、とかく田舎なことを自 山に囲まれた山形は、もともと 虐的に話したりする。だが、そこ 出るのも入るのも大変な場所だっ に悲壮感はまるでなくあっけらか た。しかし、高度成長期以降、交 んとしている。意外にポジティブ 通の便はみるみる良くなった。飛 13 14 郊外に集客力の高い巨大商業施設ができると、地 元の商店、 スーパーが打撃を受け、 閉店に追い込ま れたりする。近年の山形では倒産も増えており、 地元企業が体力と元気を失っている状況だ 28 昔と違って、交通の便が格段に良くなっている山 形。仙台といった近隣の大都市や東京にラクラク と出られるようになり、 便利になった反面、 働き場 所を求める若者の流出が相次いでいる 行機、新幹線、高速・高規格道路 向の高まりを受け、当地への移住 などが通り、東北一の都会・仙台 の促進、ヨソ者との交流に積極的 にも楽に行け、東京も遥か遠い場 に励んでいる過疎自治体もある。 所ではなくなった。ただ、こうし だが、全国の過疎で悩む自治体の て交通の利便性が高まるにつれ、 多くが似たような取り組みをして 山形からの人材流出は激しくなっ いるので、差別化が図れない現状 た。単に田舎を出たいという若者 では苦戦は目に見えている。 もいるが、多くが地元に雇用がな 子育ての環境は く、働く場所を求めて都会へ出て いったのである。一昔前の出稼ぎ 健全なのだが⋮⋮ のようなスタイルが、今も厳然と 残っているのだ。 山形、そして秋田といった裏東 北 で は、人 口 減 少 に よ る マ ン パ 多くの若者にとって山形は居る 価値のない場所となってしまった ワー不足が衰退に直結していると のだろうか、県内に残るのは高齢 いっていい。 者ばかりで、県の総人口は減る一 だが、山形には救いもあるのだ。 方だ。総務省が2014年6月に それは人口が減っているわりに、 発表した住民基本台帳に基づく人 1世帯あたりの構成人員数の多さ 口動態調査によると、山形は人口 は、依然高い数値︵2・ 人で全 増加率︵マイナス0・ ︶が全国 国2位︶を維持していることだ。 ワースト3位︵山形の下は秋田と 核家族化が進行する中、時代と逆 青森だけ︶ 。高齢化率は ・8パー 行しているが、3世代同居世帯が セントと全国5位の高さ。ほぼ3 多く残る社会というのは健全であ 人に1人が 歳以上の高齢者とい る。山形では両親が共働きで、子 う計算になる。 供の世話はジッチャンとバッチャ ンが見るのが基本。子育て環境と また、総務省の﹁過疎地域市町 村等一覧﹂ ︵2014年4月現在︶ しては申し分ない。こうした家族 を参照すると、山形県内で過疎指 の関係が伝統として息づいている 定されている市町村は もある。 のは山形の強みでもある。 実に県内の6割の市町村が過疎地 ただ、この強みが人口増につな 域に認定されているのだ。 がらないのは、景気低迷からくる 県内には、都会の若者の田舎志 社会不安もあるのだろう。 65 29 退 83 衰 96 28 21 ● はじめに ⋮⋮1 4 !? 山形県MAP ⋮⋮2 歴史 山形県の地域分断は江戸幕藩体制の名残⋮⋮6 合併 平成の大合併ではほとんどまとまらず!⋮⋮ 産業 山形県の強みといえばやっぱり農林水産業?⋮⋮ インフラ 使えない鉄道路線と着々と進む道路整備⋮⋮ レジャー 優良ソフトがあるのにイマイチパッとしない⋮⋮ 衰退 廃れゆく裏東北に浮上の余地はあるのか⋮⋮ 気候 激アツにして激サム! マジでヤバい寒暖差⋮⋮ 18 14 30 今の山形はどうやってできた?⋮ 山形県基礎データ⋮⋮ 10 26 40 第1章 44 42 中央と蝦夷の境界線でしたたかに発展した古代山形⋮⋮ 南北朝の混乱期に羽州支配を広げた斯波氏⋮⋮ 最上と伊達二大名将出現で勢力争いが激化⋮⋮ 最上氏改易で譜代・外様が入り乱れ⋮⋮ 46 !? 39 38 22 ビンボーだからまじめにコツコツ働くしかない ⋮ 閉鎖に分断 頑固な山形県民とは CONTENTS 激戦を繰り広げた戊辰戦争と山形の近代化⋮⋮ 山形県民の素性に迫る!⋮ コラム① 雑感、藤沢周平⋮⋮ 第2章 国〟⋮⋮ 山形県民ってホントはどんな人たち?⋮⋮ 地形によってつくられた4つの 山形は多言語地帯 同県人で言葉が通じない 素朴な山形食は意外に甘ごえ ⋮⋮ 〟 ● ● ⋮⋮ なぜか寿命が︵男︶延びた! 摩訶不思議な実態とは?⋮⋮ 不変の教育熱と激変のスポーツ魂⋮⋮ 県都・山形を擁する村山地域の実力とは コラム② 服部敬雄の﹁オレサマ伝説﹂⋮⋮ 第3章 都会と田舎で大きく異なる村山地域の住民気質⋮⋮ 山形市は〝裏東北〟の中心になりえるのか?⋮⋮ マンションか観光か 山形市の悩める再開発⋮⋮ 悲劇を生み出した上山の合併ズッコケ劇⋮⋮ 寒河江・大江の両地にちらばる飛び地ってナンダ?⋮⋮ 人口増加で垢抜けた東根の期待と不安⋮⋮ 74 66 70 68 ⋮ 65 !? 51 50 48 72 76 !? 56 54 52 !? 64 60 58 62 山形県 日本の特別地域 特別編集 これでいいのか 県内で最も注目される天童の未来⋮⋮ 尾花沢の名所になった銀山温泉の今⋮⋮ 高飛車な米沢じゃまとめ切れない置賜地域⋮ 庄内帝国の苦悩⋮ 83 コラム③ 月山では水にまみれろ!⋮⋮ 第4章 開放的だが一本気でマジメな置賜の人々⋮⋮ 置賜合併の失敗を招いた米沢のプライドと殿様ぶり⋮⋮ スマートシティ化を目指す長井の創造と野望⋮⋮ 人口だけでは計れない東西置賜郡の実力⋮⋮ 日本海沿岸の異国 コラム④ 米沢の隠れキリシタン⋮⋮ 第5章 遊佐のIUターンはやっぱり厳しい ⋮⋮ 102 ● ● 山形県民の自覚がない社交的な庄内人⋮⋮ 商人の街・酒田のシビアな損得勘定⋮⋮ 両雄並び立たず 庄内二大都市のセンター争い⋮⋮ !? 自主独立の道は茨の道 歯車が狂い始めた三川町⋮⋮ 合併はしてみたけれど新町名にブーイング飛び交う庄内町⋮⋮ 100 歴史と伝統でプライド激高の鶴岡⋮⋮ 88 86 84 90 94 106 !? 93 78 80 82 92 96 98 !? 104 !? CONTENTS 忍耐の地・最上地域に平和は訪れるのか?⋮ 合併決裂の金山町は吉とでるか凶とでるか⋮⋮ どうする! どうなる 小国川ダム問題⋮⋮ コラム⑥ 最上川舟下りの宣伝下手⋮⋮ ﹁開放﹂と﹁交流﹂が山形を変える ⋮ 第7章 いつまでもバラバラな山形県の限界⋮⋮ 128 個性派実力都市の林立が山形を強くする⋮⋮ ⋮⋮ !! !? 109 コラム⑤ 愛すべき名所︵?︶庄内砂丘⋮⋮ 第6章 個人は寛容だが集まると怖い最上人⋮⋮ 最上の中心・新庄で巻き起こる熾烈な商業バトル⋮⋮ 境界線グチャグチャ! なのに平成の合併ならず!⋮⋮ 韓国人妻が多い戸沢村の謎⋮⋮ 112 131 ● ● 116 山形県の未来を明るくするのは﹁しあわせ大家族﹂だ 126 124 123 108 120 118 114 110 122 !? ●街の気になるスポット⋮⋮ ●参考文献⋮⋮ 138 山形県 日本の特別地域 特別編集 これでいいのか 山形は多言語地帯 同県人で言葉が通じない え相手の言葉がわからないことも 言葉もアクセントも 多々ある。さらに同地域内でも使 う言葉がビミョーに違うという複 違いが多過ぎる! 雑さも持っている。また、アクセ ントに関しても、庄内地域と最上 山形県民には常識だが、他県民 には不思議な言葉の使い方が﹁い 地 域︵一 部 地 域 を 除 く︶ 、置 賜 地 ち ま る﹂ ﹁い ち か っ こ﹂で あ る。 域の小国町で使われる言葉には存 説明は不要だろうが、﹁いちまる﹂ 在 す る が︵北 奥 羽 式 ア ク セ ン ト︶、 とは①、 ﹁いちかっこ﹂とは︵1︶ 村山地域と置賜地域の大半、最上 のこと。県内の小中学校︵義務教 地域の最上町や舟形町で使われる 育︶ではこう読むのが一般的で、 言 葉 に は 無 い︵無 ア ク セ ン ト︶。 高校、大学になると、 ﹁まるいち﹂ 同じ地域でもアクセントに有無が ﹁か っ こ い ち﹂と な っ て い く。山 あるのだからややこしい。 大の教授の読み方が広まったとい 山形弁はフランス語のイント う説があるが、真相は謎だ。 ネーションに似ているといわれる が、それは庄内弁などの北奥羽式 これらは山形県民共通の言葉の 使い方だが、こと方言となるとな アクセントの方言がフランス語の かなか複雑だ。山形の言葉は山形 調子に似ているのか︵同じアクセ 弁といわれるが、厳密には山形弁 ント方式の津軽弁もフランス語に は存在せず、村山弁、置賜弁、庄 似 て い る と い う し︶ 、そ れ と も 村 内弁、新庄︵最上︶弁の4つに分 山弁などの無アクセントの尻上が けられ、地域が違えば同県人にさ り調がフランス語っぽいのか︵無 !? 56 アクセントの茨城弁はフランス語 敬意を含ませる っ ぽ い と い わ れ る し︶、筆 者 は 方 言の研究者じゃないのでわからな 味わい深い表現 いが、要は口を開けずにモゴモゴ と離すズーズー弁がフランス語っ と、非常に複雑で奥が深い山形 ぽく聞こえるのかもしれない。 の 方 言 だ が、あ ま り に も 朴 訥 で ただ、フランス語っぽいのはい 淡々としている上に、基本的に敬 いとして、困るのは方言のレベル 語がないから、山形県民と接する が世代によって違うこと。意味を とキツく感じてしまう人もいるよ 理解するにも難易度の幅が大きい うだ︵庄内弁はそう思われないよ のである。北関東のズーズー弁地 う だ が︶ 。け れ ど 山 形 の 方 言 は、 域出身の筆者にとって、山形各地 話し手が言葉の裏に込めた感情を 域の言語やイントネーションの違 聞き手が読み取らなければ上手な いは、なんとか理解できる。たと 会話のキャッチボールはできない。 えば﹁こわい﹂といわれれば﹁疲 慣れて味わいが出る方言であり、 れたんだべ﹂とわかるし、﹁ぎる﹂ まるで山形人そのもののようでも といえば﹁盗んだんだべ﹂とわか ある。でも敬語がないといっても、 る。村山弁の語尾の﹁ず﹂や庄内 たとえば﹁んだべ﹂を﹁んだべっ 弁の﹁のう﹂、置賜弁の﹁ごで﹂、 す﹂と語尾に﹁す﹂を付けて丁寧 新庄弁の﹁じゅ﹂なども、語尾に にしたり、電話の際に﹁もしもし ﹁べ﹂や﹁ぺ﹂を 付 け て き た キ ャ ∼でした﹂といきなり過去形で始 リアから理解は可能だ︵んだべ、 めて、婉曲的な形で丁寧なニュア ん だ っ ぺ な ど︶。し か し、筆 者 が ンスを含ませようとするのは、直 解読可能なのは中年世代くらいま 接的じゃない分、味わい深い。 での訛りで、高齢者のハードな訛 山形の方言は東北の中でも訛り りはお手上げだ︵山形の高齢者に が強く、山形人は完璧なバイリン 取材した時の音源は完全に解読不 ガル︵標準語と山形の方言を使い 能だった︶ 。 ﹁け﹂とか﹁く﹂とい こなす︶になるのは難しいという。 う短い言い回しを多用され、話す 全国的に若者の方言離れが進んで スピードも速いからどうしようも いるが、取ろうとしてもなかなか なく、あれじゃ英検のヒアリング 取れない山形の方言は、これから の方がまだわかりやすいって! もずっと残っていくことだろう。 57 標準語 村山弁 山形県の方言例 置賜弁 庄内弁 新庄弁 そうです んだず んだごで んだのー んだにゃー 怒る ごしゃぐ ごしゃぐ ごげる 探す たねる さがねる たねる たねる ください けろ おごやい くれ くろ・けろ 美味い んまい うめえ んめ うんめ 男の子 あんちゃこ・やろこ やろこ やろっこ やろこ ごしゃぐ これ かいず かえず こいづ けづ あれ あいず・はいず あえず あえった あえず・ほれ 知らない しゃあね・しゃね ししゃね しろばや しゃね ありがとう ありがとさま おしょうしな もっけだの あんがどさん 遠い とがぐ とがい とっぐい とがい くすぐったい こちょびたい くっちぐたえ こちょびでぇ こちょぐって だらしない びだれ こしどもなえ しょうだれ びしょたい みっともない みっだぐない みだぐなし みだぐね みだぐなす 捨てる ぶなげる・なげる なげる うだる・なげる なげる 疲れた こわい くたびっちゃ くたびっだ こえぇ 食べる く・くー くー くぅー・ふぅ くぅ 少し しこす・すこす ちいっと ちょっこし ちょべっと 酸っぱい すかい すかえ すっけ すっけえ 座る したえる・ねまる したぐ・でんちん ねまる ねまる あげる ける けっちぇやる くりる ける 兄 あんちゃ あんさ あや あんちゃ 惜しい いだすまい いだましぇ いだまし えだましい 触る ちょす えじる ちょす・わちゃ ちょす たくさん いっぺ・すこだま いがえ・ごえらさっと ごんげ・しこたま いっぺ・たんと ※各種資料より作成 都会と田舎で大きく異なる 村山地域の住民気質 の気質は、一癖も二癖もある︵ア カオスな歴史に ク も 強 い!︶ 。地 域 の 個 性 と も い えるが、そうした気質が醸成され 彩られた村山地域 てきた要因は、藩政時代にひとつ の藩家にずっと支配されていたこ 戊辰戦争で最後の最後までしぶ とく戦い抜いた幕末最強の誉れ高 とにある。藩風が長い年月をかけ い庄内藩。教育に重きを置いてい て住民に浸透していったのだ。 た名門藩にして、日本屈指の大地 だが、村山地域にはザンネンな 主も生み出すなど、その輝かしい がら一藩一家による永続した単独 歴史は、庄内人の鼻を天狗のよう 支配の歴史がない。始めこそ最上 に高くする。一方、米沢藩の置賜 という大殿様はいたけれど、お家 は上杉鷹山の改革に見られるよう 騒動で改易されてからというもの、 に、超ビンボー状態を進取の精神 いつしか山形藩は幕府の左遷地と で乗り切った歴史があるから、人 して、失脚者を受け入れるトホホ はどうにも理屈っぽくて説教くさ な藩に成り下がり、支配地も縮小 い︵ち ょ っ と 暗 い ⋮⋮︶。最 上 に されてしまった。そこに天領や小 しても僻地に押し込まれたビン 藩が入り乱れ、村山地域は混沌と ボー藩で、人々は豪雪ややませに していた。非領国地域みたいなも 耐え忍ぶ生活をおくっていた。な のだから、他の3地域のような特 ので、我慢強さはあるが多分にへ 徴的な気質が生まれなかったのだ。 そ曲がりだ︵かなり暗い⋮⋮︶ 。 なのだが、そんなザンネンでカ と、村山地域以外の3地域の人 オスな村山地域に希望の灯がとも 66 った。きっかけは明治の廃藩置県 とになるのだが、このことが住民 豪雪に虐げられてきたような暗さ である。山形には山形県の他に、 気質︵特に山形市民︶に影響を及 もないのだ。山形市民も東北人だ 大泉・米沢・新庄・上山・天童・ ぼすことになった。 が、東北人のステレオタイプとは 松嶺の6県が並び立ったが、さら 違った人種といえるだろう。それ 競争心が薄い山形市民 に整理されて山形・酒田・置賜の もこれも、県都となったことで田 3県となり、やがて3県は山形県 田舎は足の引っ張り 合い 舎にはない利便性と、仙台や東京 に統一され、県庁は村山地域の山 といった大都会に出やすい環境を 形に置かれることになった。県都 傍目から見ると単なる一地方都 手に入れたことから来る余裕なの が旧幕府側の鶴岡や米沢では何か 市に過ぎないが、村山民から見る だろう︵天童市民にもこんな同じ とメンドーだということで、小藩 山形市は県最大の都市にして都会 ような感じがある︶。 の寄せ集めに過ぎなかった村山の だ︵さすがに大都会という村山民 だが、村山地域といっても広い。 山形に白羽の矢が立ったのだ︵場 は い な か っ た け ど ね︶。山 形 市 民 山形市を離れて田舎部に行くと、 所も庄内と置賜の中間だしね︶ 。 は県内でもシティ派︵死語?︶な いかにも東北人っぽいタイプが現 こうして棚からぼた餅的に県都 の で 、 明 る く て ガ ツ ガ ツ し て お ら れる。現地をめぐって話をしても、 を擁することになった村山地域は、 ず、競争心も旺盛ではない。キツ のんびりしていてあっけらかんと 県の中心として大きく発展するこ めの方言のせいでつっけんどんな してるのだが、自分のことばかり 印象だが、おもてなし精神もあっ 話したがり、こちらの話を聞いて て根はやさしい。他の内陸部と比 くれているのかよくわからない。 べて雪がそんなに積もらないので、 ヨソ者のため警戒もしているのだ ろうが、彼らを見ると、山形市民 は﹁村山のレア・タイプ﹂に思え てくるから不思議だ。 村山地域の田舎で多くの人と話 はできたが、その中のひとりがこ ん な こ と を 言 っ て い た。 ﹁県 庁 が あるといってもさ、村山は小藩ば っかりだったから、今も各地が足 の引っ張り合いをしている。小ず るいというかな、だからまとまり はないんだよな﹂ なるほど、村山人の気質にも藩 政時代の歴史は影響していたのだ。 明るくガツガツしていない 村山地域民の気質 あっけらかん のんびりしている 意外にかかあ天下 保守的で手堅い 初対面ではとっつきづらい おもてなし精神が強い 競争心が薄い ※取材などにより作成 旧県庁舎及び県会議事堂の文翔館。村山地域にと って山形への県庁設置は歴史上最大の出来事 北山形駅前でファッションショー モデルはなんと小便小僧 !? 奥羽本線、左沢線、仙山線の3路線が乗り入れる小さいなが らも便利な北山形駅の東口ロータリーに小便小僧がある。そ れ自体はフツーの光景だが、 この小便小僧は衣替えすることで 有名だ。衣装を着せるようになったのは 1957 年と意外に古く、 衣替えは 1963 年からスタート。担当しているのは山形女子 専門学校の生徒たちで、 デザイン・縫製された衣装は季節感の あるものから時事ネタものまで、非常によく工夫されている。 67 両雄並び立たず 庄内二大都市のセンター争い いたほど。酒田の本間様が鶴岡の 噛み付く酒田に 酒井様にお金を工面してあげたの は、本間様がお殿様に心酔してい 余裕︵ ︶ の鶴岡 たから。あくまでも向こう︵酒田︶ は商人、こっち︵鶴岡︶は武士だ 平成の大合併で2005年 ∼ 月に誕生した新生酒田&鶴岡。 から﹂。これは鶴岡で聞いた話だが、 人口がともに 万人弱と勢力拮抗 ﹁仲 は 悪 く な い﹂と い う 人 た ち の していた両市だが、合併を経て、 話は、だいたいこんなものだった。 より多くの町村とまとまった鶴岡 鶴岡には大きな商家がまったくな に、酒田は水をあけられている状 かったが城が置かれ権力が集中し、 況だ。2014年6月1日現在、 酒田には大きな商家がいくつもあ その差は約1万5000人ほどだ る代わりに権力はなかった。お互 が、庄内平野の覇権争いを繰り広 いにないものを補完しあう関係だ げる両市のライバル関係は全国的 ったことが、ここまで2つの街の にも知られるほどで、酒田として 関係を良好にしてきた、というの は面白くないはず。 だ。三川町に庄内総合支庁が置か れたのは、酒田と鶴岡のパワーバ ところが地元で話を聞いてみる と、多くの人は判で押したように ランスに配慮して間を取ったため ﹁仲は悪くない﹂と言うのだ。﹁昔 とも聞くが、それについても﹁庄 から鶴岡と酒田は物凄く仲がいい 内エリアの中心だったから﹂とい ですよ。お城は鶴岡にあったけど、 う答えが両市民から返ってきた。 酒田の人は自分の街の城と思って ただ、中にはこんなことを言う !? 11 !? 10 10 100 大正天皇即位を記念して建てられた大寶館。図書 館∼資料館と転用され鶴岡の文化を支え続ける 酒田を代表するスポット・山居倉庫。 “庄内のシン ボル”を標榜するあたりはやっぱりね! 101 人もいた。これは鶴岡民から聞い 西の文化が入ってきていて、鶴岡 神社が建立されたのは1976年 た話だが、豪商で鳴らした酒田の よ り 派 手 好 き﹂。こ れ ら は 文 化 的 である。しかしその7年前に、鶴 本間家が鶴岡の窮状を何度も救っ な違いについて語っているものだ 岡と鹿児島が西郷つながりで姉妹 たことから、昔は﹁庄内には2人 が、その口ぶりがいかにも﹁鶴岡 都市宣言していたのだ。この一連 の 殿 様 が い る﹂と 揶 揄 さ れ、﹁本 より酒田が絶対に上!﹂な感じだ の流れを見るに、酒田としては鶴 間様にはおよばぬが った。 岡に出し抜かれた悔し紛れの反撃 せめてなり たや殿様に﹂というたわぶれ歌ま こうしてみると、若干酒田民に ︵と い う か あ て つ け︶で、南 洲 神 であったらしい。こういう話を聞 ライバル意識があるように思えて 社を建立したと見て間違いない。 くと、酒田の本音はどうなの? ならないが、鶴岡で聞いたある話 結局、両市民の口から直接的に と思ってしまうのだが、酒田でよ をきっかけに、その思いは確信に ﹁仲 が 悪 い﹂と い う 話 は 聞 か れ な くよく聞いてみると、少なからず 変わった。その話とは、西郷南洲 かった。ただ、酒田では鶴岡から 鶴岡をライバル視しているような 翁が鶴岡に来た際、酒田の視察を 来た人を重く取り立てる風習があ ニ ュ ア ン ス の 話 も あ っ た。 ﹁同 じ 希望して訪れたことに感激し、酒 る、な ん て 話 を 聞 く と、 ﹁そ れ っ 庄内でも酒田と鶴岡では言葉が違 田 市 内 に 南 洲 神 社 が 建 立 さ れ た 、 て酒田商人の抜け目なさなんじゃ って、鶴岡の方が言葉は柔らかい というものだ。鶴岡と酒田の蜜月 ないの?﹂と勘ぐってしまうのだ。 からお互いに話をすればその違い ぶりをアピールするために語られ 鶴岡にへりくだりつつウラでは実 は す ぐ に わ か る。鶴 岡 は 語 尾 に たものであり、聞き流してしまえ 権を握る酒田、の構図は300年 〝ん だ す や〟っ て つ け る ん だ け ど、 ばそれまでなのだが、帰京後調べ の時を経ても変わってないってこ 酒 田 で は 言 わ な い ね﹂ ﹁酒 田 は 関 てみて首を傾げてしまった。南洲 となのだろう。 鶴岡のおばちゃんは酒田民に比べて服装にも歩き 方にも品があるように見えるのは気のせい? 駅前一等地を堂々と占拠する 廃墟と化した商業ビル 2014 年にリニューアルした鶴岡駅。 駅舎の新しさでは酒 田より数歩リードしているが、やはりというべきか詰めが甘い。 駅前の超一等地を占拠する、廃墟と化したマリカ東館の処遇問 題だ。2005 年 12 月にジャスコが撤退し、2 年後にはこのビ ルを運営する三セク「鶴岡再開発ビル」が 16 億 6500 万円 の債務超過を抱え解散。一部は行政が使っているものの、 テナ ントは入らず幽霊ビル状態がいまも続いている。 合併してみたけれど新町名に ブーイング飛び交う庄内町 10 個人的には貸し工房と共同利用加 静かに暗雲垂れ込める 工場を備えた6次産業化工房に興 味津々。観光施設というには少し 今後の行く末 無理があるけど、試みとしては面 白い。また、国道 号沿いには新 庄内町は曇天の似合う街だ。平 べったくて横に長い余目駅の駅舎 たな温泉施設も建設中だ。ただこ や、高くても3階か4階建ての背 ちらは、残念なことにオープンが 丈の低い建物がならぶ街並みと、 2カ月ずれ込み2014年 月に 低く垂れ込めた雲の相性が抜群に なってしまった。しかもそれ以上 いい。これがスカッと抜けるよう にザンネンなのが﹁庄内町ギャラ な青空だったら街並みの印象が俄 リー温泉 町湯﹂というネーミン 然薄らいでしまうし、雨の日だと グ。町内で庄内民同士が話す分に 庄内の良さまでもが雨滴ににじん は﹁町湯﹂で通じるだろうけど、 でしまう。 ツイッターやFace boo kの ユーザー目線で考えると、キャッ 駅前は十年一日のごとき変化に 乏しい庄内町も、変化の兆しが見 チーでインパクトがある、略語に えている。2014年5月 日に し や す い 名 前 じ ゃ な い と。﹁今 日、 は余目駅前に庄内町新産業創造館 庄内の町湯に行ったよ!﹂では、 クラッセがオープンした。庄内人 まるでただの銭湯のようじゃない の 自 慢 の 種 で あ る ア ル・ケ ッ チ か! ァーノのオーナーシェフが監修し 冒頭でなんでこんなに余計なこ たレストランが目玉なんだろうが、 とをくどくど書くかというと、こ 10 47 104 れから書くことと無関係ではない ように、立川の衰退を憂いている。 苛 ま れ て い る。﹁合 併﹂と い う か か ら だ。庄 内 町 ホ ー ム ペ ー ジ の ここでようやく、くどくど先述し らわかりづらいが、企業でいうリ ﹁み ん な の 声﹂に は、町 民 か ら 行 た前フリが活きてくる。クラッセ ストラと考えればいい。栄えてい 政に寄せられたクレームがゾロゾ も町湯も︵やっぱ町湯じゃ伝わら るところにお金をかけ、辺境エリ ロと掲載されている。大半は、井 ないなあ︶旧余目町内の施設だ。 アは後回し。立川民が熱望した合 戸端会議で愚痴ってる程度の問題 提案者が嘆く状況が現実に起きて 併とはそんなものだ。合併するだ ばかりなのだが、中でひと際目を いる。 けで立川が活性化すると思ったら 奪われたのが﹁立川地域の活性化﹂ そもそも立川はビンボーだった 大間違いなのだ。 という︵珍しく?︶前向きな提案 こともあり、余目には﹁合併しだ 庄内町の抱える問題は旧立川の だった。この中で提案者は﹁若者 ぐねぇ﹂という意見もあった。そ 不満だけじゃない。合併によって は衰退していく町を見て悲しく思 の余目も、立川に三川も加えた東 手に入れた町名も物議を醸してい ってはいるけれど、活性させる術 田川郡3町での合併という話も一 る。いかにも庄内の代表選手みた がわかりません。お金もありませ 時あるにはあったが結局破談。さ いな﹁庄内町﹂というネーミング ん。だから、その上の大人たちに ら に 鶴 岡 と 酒 田 の 合 併 協 議 に 掟 破 に 、 心 中 穏やかでない人たちがい 導いて欲しいです﹂と切実に訴え りの二股掛けを決行するも離脱。 るのだ。 ﹁なんで余目と立川が〝庄 ている。そしてタイトルにもある 最後は立川を救ってあげる体裁で 内〟を名乗るの? 余目は余目だ 庄内町を発足させた。ここまでは し、立川は立川でしょ。違和感を 立川民も予定通りだったはず。と 覚えるんだよね。だから庄内町と ころが今は、見捨てられた気分に は 絶 対 に い わ な い﹂。こ れ は 庄 内 地域の某所で聞いた話だ︵ここま で口が悪いのは酒田民しかいない か ら バ レ バ レ だ け ど ね︶ 。あ る い は﹁庄内平野の中心が余目という のはいささか違う気がする﹂とい う声もあった。鶴岡民からそうい う声は聞かれなかったが、庄内藩 の藩都であり格を重んじる鶴岡が 黙っていることのほうがむしろ怖 い。分不相応な町名が、お家お取 り潰しのきっかけにならなければ い い ん だ け ど。相 手 は い ま だ に ﹁武家社会﹂の人たちなんだから。 105 庄内町が誕生 7月 知事による合併決定 2005年3月 合併協定書に調印 12月 新市の名称が庄内町に決定 2004年4月 立川町と余目町が「庄内中央合併協議会」を設置 4月 余目町が住民アンケートの結果を公表 賛成35.2%、反対28.4% 2003年3月 立川町と余目町が「余目町・立川町合併検討協議会」を設置 2002年12月 庄内町の合併経緯 ※山形県ホームページ「県内における市町村合併協議の経緯」参照 酒田市内に通う高校生が多い余目。駅の利用客も やはり学生が目立つ。合併するなら酒田だった? 尊皇志士の先駆けとして 幕末を駆け抜けた清河八郎 庄内町の郷士・清河八郎は、現代の山形民と同じく江戸に出 て名を成した人物。 私塾の塾頭を務める最中に勃発した桜田 門外の変をきっかけに倒幕運動に傾倒。志半ばで幕府に暗殺 されるものの、明治維新へとつながる道筋をつけた功績は地域 の誇りである。 清河の下に集まった同志には江戸無血開城の 立役者・山岡鉄舟、 また後に結成される浪士組には新撰組の沖 田、土方、近藤らそうそうたる面々が居並ぶ。 ・東根市 http://www.city.higashine.yamagata.jp/ ・祖父江孝男 ﹃県民性の人間学﹄2012年 筑摩書房 ・篠崎晃一 ﹃北海道・東北 ﹁方言﹂から見える県民性の謎﹄2014年 実業之日本社 ・横山昭男/編著 ﹃山形県謎解き散歩﹄2012年 新人物往来社 ・山形県の歴史散歩編集委員会/編 ﹃山形県の歴史散歩﹄2011年 山川出版社 ・横山昭男 誉田慶信 伊藤清郎 渡辺信/編 ﹃山形県の歴史﹄2011年 山川出版社 ・河北町 http://www.town.kahoku.yamagata.jp/ ・朝日町 http://www.town.asahi.yamagata.jp/ ・大江町 http://www.town.oe.yamagata.jp/ ・村山市 http://www.city.murayama.lg.jp/ ・尾花沢市 http://www.city.obanazawa.yamagata.jp/ ・寒河江市 http://www.city.sagae.yamagata.jp/ 参考文献 ・祖父江孝男 ﹃県民性 1971年 文化人類学的考察﹄ 中央公論社 ・西川町 http://www.town.nishikawa.yamagata.jp/ ・上山市 http://www.city.kaminoyama.yamagata.jp/ ・原中勝征 TPP阻止国民会議/編著 ﹃私たちはなぜTPPに反対するのか﹄2014年 祥伝社 ・米沢市 http://www.city.yonezawa.yamagata.jp/ ・長井市 http://www.city.nagai.yamagata.jp/ ・﹁山形学﹂企画委員会/編 ﹃山形学 山形における地域学の成立と展開﹄2014年 山形県生涯学習文化財団 ・本間勝喜 ﹃庄内藩﹄2009年 現代書館 ・南陽市 http://www.city.nanyo.yamagata.jp/ ・山形県 http://www.pref.yamagata.jp/ ︻サイト︼ ・小国町 http://www.town.oguni.yamagata.jp/ ・飯豊町 http://www.town.iide.yamagata.jp/ ・川西町 http://www.town.kawanishi.yamagata.jp/ ・高畠町 http://www.town.takahata.yamagata.jp/ ・山形市 http://www.city.yamagata-yamagata.lg.jp/ ・白鷹町 http://www.town.shirataka.lg.jp/ ・佃律志 ﹃﹁生涯改革者﹂上杉鷹山の教え︱成らぬは人の為さぬなりけり︱﹄2012年 日本経済新聞出版社 ・天童市 http://www.city.tendo.yamagata.jp/ 138 ・秋田市 http://www.city.akita.akita.jp/ ・仙台市 http://www.city.sendai.jp/ ・遊佐町 http://www.town.yuza.yamagata.jp/ ・庄内町 http://www.town.shonai.lg.jp/ ・三川町 http://www.town.mikawa.yamagata.jp/ ・酒田市 http://www.city.sakata.lg.jp/ ・鶴岡市 http://www.city.tsuruoka.lg.jp/ ・大蔵村 http://www.vill.ohkura.yamagata.jp/ ・鮭川村 http://www.vill.sakegawa.yamagata.jp/ ・真室川町 http://www.town.mamurogawa.yamagata.jp/ ・最上町 http://mogami.tv/ ・金山町 http://www.town.kaneyama.yamagata.jp/ ・戸沢村 http://www.vill.tozawa.yamagata.jp/ ・舟形町 http://www.town.funagata.yamagata.jp/ ・新庄市 http://www.city.shinjo.yamagata.jp/ ・イオンモール天童 http://tendo-aeonmall.com/ ・山形新聞 http://yamagata-np.jp/ ・山形県観光情報ポータルサイト﹁やまがたへの旅﹂ http://yamagatakanko.com/ ・NEXCO東日本 http://www.e-nexco.co.jp/ ・東急エージェンシー http://www.tokyu-agc.co.jp/ ・山形県警察 http://www.pref.yamagata.jp/police/ ・山形空港 http://www.yamagata-airport.co.jp/ ・山形鉄道 http://www.flower-liner.jp/ ・JR東日本 http://www.jreast.co.jp/ ・気象庁 http://www.jma.go.jp/ ・内閣府 http://www.cao.go.jp/ ・国土交通省 http://www.mlit.go.jp/ ・農林水産省 http://www.maff.go.jp/ ・文部科学省 http://www.mext.go.jp/ ・厚生労働省 http://www.mhlw.go.jp/ ・豊島区 http://www.city.toshima.lg.jp/ ・総務省 http://www.soumu.go.jp/ 139 ●編者 岡島慎二 1968年生まれのライター兼編集者。教育関連からギャンブル全般まで何でもご ざれの自称・器用貧乏。癖になりかけているギックリ腰と慢性の五十(四十?) 肩に苦しみつつ、古い居酒屋巡りを楽しみに毎日の仕事に励んでいる。山形の取 材中にも酒蔵や居酒屋に突入。酒どころ・山形の酒への頑固なこだわりと心温ま るおもてなしに感動してしまいました。 土屋幸仁 1969年生まれ。編集、ライター、フリーター。地域に息づく風俗(フーゾクで はない)と、それを代々受け継ぐ中で醸し出される街固有の匂いを肴に、地酒を やるのが何より楽しみな、自称:旅人。 「不自由の中にこそ自由がある」をモットー とすることで、〆切でがんじがらめの自分を慰める毎日。カバンに詰め込んで持 ち歩けるなら猫を飼いたい、と本気で思う近頃である。 日本の特別地域 特別編集 これでいいのか 山形県 【電子書籍版】 編 者 岡島慎二 土屋幸仁 発行人 武内静夫 発行所 株式会社マイクロマガジン社 〒 104-0041 東京都中央区新富 1-3-7 ヨドコウビル TEL 03-3206-1641 FAX 03-3551-1208(販売営業部) TEL 03-3551-9564 FAX 03-3551-9565(編 集 部) http://micromagazine.net/ 編 集 髙田泰治/尾上健太郎 装 丁 板東典子 本文デザイン レトロエレクトロ イラスト 協 力 田川秀樹 ㈱ n3o 校 閲 株式会社 文字工房燦光/野上史朗 ※本書の無断転載は、著作権法上の例外を除き、禁じられています ※本書の内容は 2014 年 8 月 1 日現在の状況で制作したものです ©SHINJI OKAJIMA & YUKIHITO TSUCHIYA 2014 Printed in Japan ©2014 MICRO MAGAZINE ※本作品全てあるいは一部を無断で複製、転載、配信、送信、放送したり、ホームページ上に転載することを禁止します。 本作品の内容を無断で改変、改ざん等を行うことも禁止します。 また、有償・無償にかかわらず本作品を第三者に譲渡することはできません。 当ファイルは「日本の特別地域 特別編集61 これでいいのか 山形県(2014年9月10日 第1版 第1刷発行)」に基づいて作成しております。 タダじゃ転ばない 仙台の伊達魂! 東北の中心地を自認する杜の都・仙台市。 しかし他市や他県民から は「その天狗っぷりが鼻につく」などとも陰口を叩かれることもしば しば。 知名度は全国区なものの、PR がヘタなのか伊達政宗と牛タン の2択しかありません。 以前はそれでも独立独歩の姿勢でなんとか なりましたが、 東日本大震災では沿岸地域に多大なる被害を被ってし まいました。 このままではヤバイ !? 仙台市の真実に迫った一冊です。 日本の特別地域 特別編集 これでいいのか 宮城県仙台市 佐藤圭亮・丸山佑介・和田虫象/編 B5版/144ページ/本体価格1,300円+税/ISBN 978-4-89637-394-3 悲運な福島の今までとこれから 不平・不安入り乱れる未来とは!? 福島は、寒冷で厳しい風土の東北の中にあって比較的気候に恵まれ ており、農産物が豊かに実るまさに「豊穣の地」でした。 ところが東 日本大震災とそれに伴う原発事故という未曾有の大災害は、福島県 を激変させてしまいました。さらに県内は山を挟んで 3 つのエリア に完全分断されており、まとまり欠けるという指摘もあります。本 書では、 そんな福島県の各地域の歴史や 特徴、 問題点などを現地取材から明らかにし ました。 日本の特別地域 特別編集 これでいいのか 福島県 岡島慎二・佐藤圭亮/編 B5版/144ページ/本体価格1,300円+税/ISBN 978-4-89637-418-6 衰退しまくりの新潟はもっと落ちぶれる? 日本列島改造計画に翻弄された県民 ご飯がウマい、酒がウマい、名湯や自然が豊富。 そんなふうに旅行パン フレット等で謳われる新潟はまるで楽園のようです。 しかし! その新潟から急激に人が減り続けています。 あまり知られ ていませんが、戦前の一時期、新潟は日本で最も人が多く住む県でし た。 ところが現在は雇用が無くひたすら廃れまくる新潟。 近年は過去 の栄光を取り戻そうとするかのように 「新潟州構想」を打ち出しました が、 それもどうなのでしょう !? 本書は新潟県の 酸いも甘いも忌憚なく取材いたしました !! 日本の特別地域 特別編集 これでいいのか 新潟県 岡島慎二・土屋幸仁/編 B5版/144ページ/本体価格1,300円+税/ISBN 978-4-89637-401-8 各地域の書店・コンビニ・Amazonにて発売中!! 日本の特別地域 特別編集 日本の特別地域 特別編集 日本の特別地域 特別編集 これでいいのか これでいいのか これでいいのか 福岡県 福島県 埼玉県 北九州市 たむらやすよ・ 宮沢玲奈/編 岡島慎二・ 佐藤圭亮/編 松立学・ 山中茂紀/編 B5判/144ページ/本体価格1,300円+税 ISBN 978-4-89637-418-6 日本の特別地域 特別編集 日本の特別地域 特別編集 日本の特別地域 特別編集 これでいいのか これでいいのか これでいいのか 兵庫県 東京都 岡島慎二・ 松立学/編 神戸市 B5判/144ページ/本体価格1,300円+税 ISBN 978-4-89637-422-3 世田谷区 松本広章・平賀太一・ 小坂空/編 岡島慎二・ 鈴木士郎/編 B5判/144ページ/本体価格1,300円+税 ISBN 978-4-89637-425-4 B5判/144ページ/本体価格1,300円+税 ISBN 978-4-89637-427-8 B5判/144ページ/本体価格1,300円+税 ISBN 978-4-89637-430-8 日本の特別地域 特別編集 日本の特別地域 特別編集 日本の特別地域 特別編集 これでいいのか これでいいのか これでいいのか 静岡県 長野県 香川県 浜松市 松立学・ 鈴木和樹/編 B5判/144ページ/本体価格1,300円+税 ISBN 978-4-89637-432-2 土屋幸仁・ 岡島慎二/編 昼間たかし/編 B5判/144ページ/本体価格1,300円+税 ISBN 978-4-89637-440-7 日本の特別地域 特別編集 日本の特別地域 特別編集 日本の特別地域 特別編集 これでいいのか これでいいのか これでいいのか 山口県 北海道 千葉県 岡島慎二/編 B5判/144ページ/本体価格1,300円+税 ISBN 978-4-89637-442-1 第2弾 B5判/144ページ/本体価格1,300円+税 ISBN 978-4-89637-437-7 札幌市 上岡哲次/編 鈴木ユータ・ 岡島慎二/編 B5判/144ページ/本体価格1,300円+税 ISBN 978-4-89637-445-2 B5判/144ページ/本体価格1,300円+税 ISBN 978-4-89637-448-3 日本の特別地域 特別編集 日本の特別地域 特別編集 日本の特別地域 特別編集 これでいいのか これでいいのか これでいいのか 三重県 東京都 熊本県 昼間たかし/編 町田市 諸友大・ 佐藤正彦/編 熊本市 岡島慎二・ 土屋幸仁/編 B5判/144ページ/本体価格1,300円+税 ISBN 978-4-89637-451-3 B5判/144ページ/本体価格1,300円+税 ISBN 978-4-89637-453-7 B5判/144ページ/本体価格1,300円+税 ISBN 978-4-89637-456-8 日本の特別地域 特別編集 日本の特別地域 特別編集 日本の特別地域 特別編集 これでいいのか これでいいのか これでいいのか 山梨県 滋賀県 鹿児島県 鈴木士郎・ 佐藤圭亮/編 B5判/144ページ/本体価格1,300円+税 ISBN 978-4-89637-457-5 日本の特別地域 特別編集 これでいいのか 山形県 岡島慎二・ 土屋幸仁/編 B5判/144ページ/本体価格1,300円+税 ISBN 978-4-89637-462-9 第2弾 茨城県 第2弾 B5判/144ページ/本体価格1,300円+税 ISBN 978-4-89637-415-5 鈴木士郎・ 佐藤圭亮/編 B5判/144ページ/本体価格1,300円+税 ISBN 978-4-89637-466-7 地域批評シリーズが 地域批評編集部の 公式ブログ運営中! 電子ブックになって登場!! 取材の㊙ウラ話が テンコ盛り! 検 索 地域批評 電子ブック お手持ちのスマートフォンで、ご自宅のパソコンで 電子書籍版「地域批評シリーズ」が今すぐ読める!! 岡島慎二・ 土屋幸仁/編 B5判/144ページ/本体価格1,300円+税 ISBN 978-4-89637-474-2 他にもマイクロマガジン社の魅力的なアイテムが目白押し! http:tokku.jp http://micromagazine.net/shop/ 日本の特別地域 特別編集 日本の特別地域 特別編集 日本の特別地域 特別編集 これでいいのか これでいいのか これでいいのか 東京都 神奈川県 神奈川県 杉並区2 佐藤圭亮・ 伊藤圭介/編 横浜市2 小森雅人・川野輪真彦・ 藤江孝次/編 相模原市 佐藤圭亮・橋本玉泉・ 伊藤圭介/編 B5判/144ページ/本体価格1,300円+税 ISBN 978-4-89637-350-9 B5判/144ページ/本体価格1,300円+税 ISBN 978-4-89637-355-4 B5判/144ページ/本体価格1,300円+税 ISBN 978-4-89637-361-5 日本の特別地域 特別編集 日本の特別地域 特別編集 日本の特別地域 特別編集 これでいいのか これでいいのか これでいいのか 福岡県 愛知県 茨城県 名古屋市 福岡市 たむらやすよ・前畑繁美・ 宮沢玲奈/編 澤村慎太郎・ 記者ネット名古屋/編 B5判/144ページ/本体価格1,300円+税 ISBN 978-4-89637-363-9 B5判/144ページ/本体価格1,300円+税 ISBN 978-4-89637-369-1 B5判/144ページ/本体価格1,300円+税 ISBN 978-4-89637-358-5 日本の特別地域 特別編集 日本の特別地域 特別編集 日本の特別地域 特別編集 これでいいのか これでいいのか これでいいのか 千葉県 北海道 東京都 葛南 札幌市 小森雅人・藤江孝次・ 佐藤圭亮/編 みたむらみっち・青木えり・ 上岡哲次/編 岡島慎二・ 松立学/編 立川市 岡島慎二・ 伊藤圭介/編 B5判/144ページ/本体価格1,300円+税 ISBN 978-4-89637-372-1 B5判/144ページ/本体価格1,300円+税 ISBN 978-4-89637-375-2 B5判/144ページ/本体価格1,300円+税 ISBN 978-4-89637-379-0 日本の特別地域 特別編集 日本の特別地域 特別編集 日本の特別地域 特別編集 これでいいのか これでいいのか これでいいのか 広島県 東京都 千葉県 八王子市& 広島市 多摩ニュータウン 川口有紀/編 岡島慎二・ 鈴木ユータ/編 千葉市 佐藤圭亮・小森雅人・ 藤江孝次/編 B5判/144ページ/本体価格1,300円+税 ISBN 978-4-89637-385-1 B5判/144ページ/本体価格1,300円+税 ISBN 978-4-89637-388-2 B5判/144ページ/本体価格1,300円+税 ISBN 978-4-89637-390-5 日本の特別地域 特別編集 日本の特別地域 特別編集 日本の特別地域 特別編集 これでいいのか これでいいのか これでいいのか 群馬県 宮城県 静岡県 仙台市 岡島慎二・ 土屋幸仁/編 佐藤圭亮・丸山佑介・ 和田虫象/編 B5判/144ページ/本体価格1,300円+税 ISBN 978-4-89637-394-3 日本の特別地域 特別編集 日本の特別地域 特別編集 これでいいのか これでいいのか 東京都 新潟県 大田区 第2弾 B5判/144ページ/本体価格1,300円+税 ISBN 978-4-89637-392-9 昼間たかし・ 佐藤圭亮/編 岡島慎二・ 土屋幸仁/編 静岡市 松立学・ 佐藤晴彦/編 B5判/144ページ/本体価格1,300円+税 ISBN 978-4-89637-397-4 日本の特別地域 特別編集 これでいいのか 東京都 武蔵野市 三鷹市 鈴木士郎/編 B5判/144ページ/本体価格1,300円+税 ISBN 978-4-89637-399-8 B5判/144ページ/本体価格1,300円+税 ISBN 978-4-89637-401-8 B5判/144ページ/本体価格1,300円+税 ISBN 978-4-89637-404-9 日本の特別地域 特別編集 日本の特別地域 特別編集 日本の特別地域 特別編集 これでいいのか これでいいのか これでいいのか 大阪府 栃木県 岡山県 大阪市 三宅敏行・山下敬三・ 橋村貴明/編 B5判/144ページ/本体価格1,300円+税 ISBN 978-4-89637-406-3 岡島慎二・ 土屋幸仁/編 B5判/144ページ/本体価格1,300円+税 ISBN 978-4-89637-409-4 昼間たかし/編 B5判/144ページ/本体価格1,300円+税 ISBN 978-4-89637-412-4 日本の特別地域 日本の特別地域 日本の特別地域 東京都 東京都 東京都 足立区 葛飾区 板橋区 昼間たかし/編 昼間たかし/編 荒井禎雄・ 山木陽介/編 A5判/176ページ/本体価格1,200円+税 ISBN 978-4-89637-253-3 A5判/176ページ/本体価格1,200円+税 ISBN 978-4-89637-280-9 A5判/176ページ/本体価格1,200円+税 ISBN 978-4-89637-287-8 日本の特別地域 日本の特別地域 日本の特別地域 東京都 東京都 東京都 豊島区 新宿区 渋谷区 橋本東堂/編 昼間たかし・ 佐藤圭亮/編 佐藤圭亮・ 丸茂潤吉/編 A5判/176ページ/本体価格1,200円+税 ISBN 978-4-89637-291-5 A5判/176ページ/本体価格1,200円+税 ISBN 978-4-89637-299-1 A5判/176ページ/本体価格1,200円+税 ISBN 978-4-89637-303-5 日本の特別地域 日本の特別地域 日本の特別地域 これでいいのか これでいいのか これでいいのか 東京都 東京都 東京都 中野区 佐藤圭亮・ 川口有紀/編 江東区 岡島慎二・ 渡月祐哉/編 大田区 昼間たかし・ 伊藤圭介/編 A5判/176ページ/本体価格1,200円+税 ISBN 978-4-89637-313-4 A5判/176ページ/本体価格1,300円+税 ISBN 978-4-89637-317-2 A5判/176ページ/本体価格1,300円+税 ISBN 978-4-89637-322-6 日本の特別地域 日本の特別地域 日本の特別地域 これでいいのか これでいいのか これでいいのか 東京都 東京都 東京都 台東区 世田谷区 足立区2 小森雅人・川野輪真彦・ 藤江孝次/編 岡島慎二・鈴木亮介・ 奥岡幹浩/編 A5判/176ページ/定価1,300円+税 ISBN 978-4-89637-323-3 A5判/176ページ/定価1,300円+税 ISBN 978-4-89637-327-1 A5判/176ページ/本体価格1,300円+税 ISBN 978-4-89637-333-2 日本の特別地域 日本の特別地域 日本の特別地域 特別編集 これでいいのか これでいいのか 東京都 千葉県 東京都 練馬区 岡島慎二・ 土屋幸仁/編 東葛エリア 小森雅人・川野輪真彦・ 藤江孝次/編 昼間たかし・ 伊藤圭介/編 杉並区 伊藤圭介・ 昼間たかし/編 A5判/176ページ/本体価格1,300円+税 ISBN 978-4-89637-340-0 A5判/176ページ/本体価格1,300円+税 ISBN 978-4-89637-342-4 日本の特別地域 特別編集 日本の特別地域 特別編集 日本の特別地域 特別編集 これでいいのか 東京都 足立区vs 副都心線 地域批評シリーズ 編集部/編 神奈川県 横浜市 小森雅人・ 川野輪真彦/編 B5判/144ページ/本体価格1,300円+税 ISBN 978-4-89637-290-8 これでいいのか 葛飾区vs 江戸川区 地域批評シリーズ 編集部/編 B5判/144ページ/本体価格1,300円+税 ISBN 978-4-89637-305-9 B5判/144ページ/本体価格1,300円+税 ISBN 978-4-89637-312-7 B5判/144ページ/本体価格1,300円+税 ISBN 978-4-89637-315-8 日本の特別地域 特別編集 日本の特別地域 特別編集 日本の特別地域 特別編集 これでいいのか これでいいのか これでいいのか 埼玉県 神奈川県 神奈川県 さいたま市 小森雅人・川野輪真彦・ 藤江孝次/編 B5判/144ページ/本体価格1,300円+税 ISBN 978-4-89637-329-5 川崎市 岡島慎二・ 浅井達幸/編 B5判/144ページ/本体価格1,300円+税 ISBN 978-4-89637-330-1 湘南エリア 橋本玉泉・ 岡島慎二/編 B5判/144ページ/本体価格1,300円+税 ISBN 978-4-89637-347-9