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発表資料はこちら - SASプレミアムラウンジ
大災害のリスクファイナンス
ー資本市場は、大災害(CAT)リスクに、どう立ち向かっているのかー
2012年8月3日(金曜日)
SASユーザー総会 2012
早稲田大学 大学院ファイナンス研究科
森平 爽一郎
大災害リスクと資本市場 ©森平
1
森平 CATリスクとリスクファイナンス
2
2012年3月31 Moody’s発表
全共連(JA共済)発行債券「MUTEKI」破綻
1. Moody’s は格付けをBa2からC(破綻)へ格下げ
2. 投資家は払込金額$300M(3億ドル)を全損
1. 払込日の円ドルレートは103円60銭、
2. 払込金は、円換算で311億円
3. 「MUTEKI」はLIBOR+440bpt(4.4%)の高利回り債
券(High Yield Bon)
4. 満期は、2011年5月14日、満期まであと44日間!
なぜ、この債券の破綻は、問題に、
特に、全共連にとって問題にならなかったのか?
大災害リスクと資本市場 ©森平
3
特別目的会社
MUTEKI Limited
森平 CATリスクとリスクファイナンス
4
JA共済 地震リスク証券化:目的
全国共済農業協同組合連合会
1. 本会では、建物更生共済を中心とした共済契約の引受を通じ、
地震や台風などの自然災害に対する保障を契約者に提供してい
るため、大規模自然災害が発生して も経営の健全性を損なうこ
となく契約者の負託にこたえられるように、主に伝統的な再保険
によって保有する自然災害リスクの移転を図っています。
2. しかしながら、伝統的な再保険市場はひとたび世界的な大規模
自然災害が発生すると、その後の再保険料の高騰、再保険会社
の信用力低下、さらに再保険取引規模の縮小等が起こることが
あります。
3. そのため、この不安定性を補完し、安定的なリスク移転のポート
フォリオを構築するために、本会はこれまでリスク移転方法の多
様化を検討・実施してきており、今回の証券化もこの一端を担うも
のとして、平成15年の証券化に続いて実施しました。
森平 CATリスクとリスクファイナンス
5
JA共済 地震リスクの証券化
全国共済農業協同組合連合会
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
発行体: MUTEKI Limited(ケイマン、SPC)
最終的な受益者:全共連
カウンターパーティー:ミュンヘン再保険(S&P格付:AA‐)
発行枠;10億ドル(シェルフ・プログラム、今回は3億ドル)
満期: 2008年5月14日から2011年5月14日(残存期間3年)
格付: Ba2(ムーディーズ)
利回り: LIBOR+440 bps、ドロップダウン・イベント発生後の
追加リスクプレミアムは、更に350 bpsの上乗せ金利
森平 CATリスクとリスクファイナンス
6
CAT債投資家にとって
非常に小さい確率p
で大地震が生じる
このCAT債
の価格は?
(LIBORを超
えるクーポ
ンはいくらに
なるか?)
大地震が満期までに発生
大地震の大きさによって、額面償還
額の一部あるいはすべて毀損!
1‐pの大きな確率で大地
震は起きない
毎期高い変動金利(LIBOR+α)を受取り
満期に額面を受け取る
現在
将来
森平 CATリスクとリスクファイナンス
7
CAT債の仕組み
1
カウンターパーティ
リスクを排除するため
事業会社
6
5
その他の関係者
格付け機関
CATリスク計測会社
信託銀行
保険金支払い
保険料
LIBOR+リスクプレミアム
投資金額
2
保険料
3
投資金額
特別目的会社
SPC
(再)保険会社
をタックスヘイブンに設立
トリガー条件該当時の
保険金支払
投資家
ヘッジファンド、年金基
金、ソブリンファハンドな
ど
LIBOR+リスクプレミアム:EERR
額面( トリガー条件該当しない場合)
毀損額面(トリガー条件該当)
8
CATリスクとリスクファイナンス
+
森平
4
JA共済 地震リスク証券化
トリガー
1. MUTEKI Limitedの発行した債券は、日本国内全域で発生し
た地震の強震記録(K‐net)をもとに、
2. 所定の方法で算出された指数が一定水準を超えた場合に
元本減額の条件を満たすことになります。
3. 元本減額となりうる地震の規模は、概ね100年に1回程度の
規模を想定していますが、
4. 25年に1回程度の規模の地震が発生した場合には、50年に
1回程度の規模まで元本減額の条件が引き下がる「ドロップ
ダウン条項」が付帯されています
5. 【参考】 リスク証券によるカバーイメージ図
森平 CATリスクとリスクファイナンス
9
強震ネット(K‐net)
気象庁「強震観測のページ」を参照
CATボンド 仕組みと価格決定
10
CATボンド 仕組みと価格決定
11
JA共済 地震リスク証券化 ケース1
100年に1回程度の災害が生じたとき
100%元本毀損
確率0.60%で生じる指数
値1,420まで
PLL:Prob. of Last Loss
元本毀損がここ
から始まる:
確率1.02%で生じる指数
値984から
PFL:Prob. of First Loss
この中間では、
線形補間?で
元本の毀損率
を計算
LIBOR+440 bpsの金利支払いに加え、
ドロップダウン・イベント発生後
更に350 bpsの上乗せ金利を支払う。
森平 CATリスクとリスクファイナンス
12
JA共済 地震リスク証券化 ケース1
50年に1回程度の地震が生じたとき
条件が落下
(ドロップダウ
ン)する
確率4%で生じる
指数値193から
次の地震が
生じたとき、
右の条件を
満たすと元
本の毀損が
始まる
森平 CATリスクとリスクファイナンス
確率1.80%で生じ
る指数値502まで
確率2.78%で生じ
る指数値276から
13
2012年1月!
全共連引き続き、「KIBOU(希望)」を発行!
次のARTEMISを参照
発行体(SPV:特別目的会社):Kibou Ltd. (Series 2012‐1)
http://www.artemis.bm
最終的な受益者:全共連
/deal_directory/kibou‐
カウンターパーティー: Hannover Re (S&P格付:AA‐)
ltd‐series‐20121/
組成会社:GC Securities are arranger and bookrunner
リスクモデリング会社: AIR Worldwide発行枠
リスク対象:強震ネットK‐Netで測定される日本の地震
トリッガータイプ:パラメトリック指数
$300M10億ドル
満期: 2012年1月14日から2011年5月14日(残存期間3年)
格付: BB+( S&P)
元本の毀損は、
1. 指数が、1,050に達すると始まり、指数が1,150で全損。それ以前に、
2. 指数が、270あるいはそれ以上に達することがあると、元本の毀損の開始と
全損は、指数が490から590の水準に「ドロップダウン」する。
12. 利回り: Treasury money market funds + 5%, ドロップダウン・イベント発生後の
追加リスクプレミアムは、更に9%の上乗せ金利
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
8.
9.
10.
11.
大災害リスクと資本市場 ©森平
14
JR東日本 地震リンク債
1. 発行者:JR東日本
2. 組成者:ミュンヘン再保険会社
3. 投資家:銀行、ヘッジファンド、再保険会社、年金基金、資
産管理会社など
4. 契約期間:2007年10月15日から2012年10月15日までの5年
間
5. トリガー:東京駅を中心とする、
1.
2.
内周40キロメートルの範囲においてマグニチュード7.0以上7.7まで
の地震
外周70キロメールから内周を差し引いた範囲においてマグニチュー
ド7.2以上7.7までの地震
CATボンド 仕組みと価格決定
15
5. 発行額(額面)2億6,000万ドルに対する毀損
率を掛けた金額がこの地震リンク債を購入
した投資家に支払われる。
6. クーポンレートはLIBOR3ヶ月+275ベーシス
ポイント
7. この地震リンク債券は、本論文でしめす、
Rare Eventリンク債のポートフォリオとみなす
ことができる。
8. 正確な毀損率は
CATボンド 仕組みと価格決定
16
CAT債が対象にする主なリスク
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
米国暴風雨(ハリケーン)
米国地震
米国その他のリスク(トルネード、山火事他)
欧州暴風雨
日本地震・津波
日本の暴風雨(台風)
多地域+他種類のリスク(AU+NZの地震や台風、メ
キシコの地震や台風、南ヨーロッパの地震など)
最近では、長寿や死亡率リスクを対象にしたものも増加している
森平 CATリスクとリスクファイナンス
17
CATボンド 発行データベース
Catastrophe Bond & Insurance‐
Linked Securities Deal Directory
2012/7/29
応用アセットプラシング 演習
18
CATボンド 発行データベース
Catastrophe Bond & Insurance‐
Linked Securities Deal Directory
2012/7/29
応用アセットプラシング 演習
19
EM‐DAT:
The International Disaster Database
http://www.emdat.be/
2012/7/29
応用アセットプラシング 演習
20
異常災害リスク取引所
Catastrophe Risk Exchange:CATEX
• 参加者:保険会社、再保険会社、保険ブローカー、
大企業とそのキャプティブ
• 1996年から
• ネットでの取引市場:ソフトウエヤーを開発
Kretzler, Carsten and Fred Wagner. "The Catastrophe Risk Exchange (Catex) In New York: An Exchange and Electronic Processing System For Reinsurance Business," Geneva Papers on Risk and Insurance ‐ Issues and Practice, 2000, 25(1,Jan), 136‐153.
2012/7/29
応用アセットプラシング 演習
21
CAT債投資のパーフォマンス
CAT債パズル
22
Swiss Re Cat Bond PR
ブルンバーグより
2011年3月11日
森平 CATリスクとリスクファイナンス
23
ILS:保険リンク債、流通市場スプレッド
2008年12月=100とした指数
2011年3月11日
ミュンヘン再保険 ILS Market Update Q2 2011 森平 CATリスクとリスクファイナンス
日本の地震
債券は除外 24
Historical Lane Financial Insurance Return Index (LFIRI)
2002年に100ドルを投資、2012年第1四半期まで の累積
10年で2.2倍!
金融リスクと相関が
極めて低いにも関わらず
240
220
TR Index
IR Index
200
トータルリターン
180
160
140
保険リターン
120
100
LaneILS価格指数とその分析方法
25
Historical Lane Financial Insurance Return Index (LFIRI)
四半期別 年あたり 収益率
8
TR 3 Months
6
TR 3 Months
4
2
0
東日本大
震災の影
響
‐2
‐4
LaneILS価格指数とその分析方法
26
四半期ベースのCAT債投資パーフォマンス–
2010年第4四半期まで
Morton N. Lane and Roger G. Beckwith 森平 CATリスクとリスクファイナンス
27
LaneILS価格指数とその分析方法
28
CAT債 新規発行データベース
大災害リスクと資本市場 ©森平
29
LaneILS価格指数とその分析方法
30
2010年度
CAT債 新規発行データベースの一部
大災害リスクと資本市場 ©森平
31
2010年度
CAT債 新規発行データベース: 続き
大災害リスクと資本市場 ©森平
32
Laneデータベース項目
注意:これらは発行市場データ
1. Spread Premium to Libor: 1年360日ベース、クーポンレー
トからLiborレートを差し引いたもの(%) リスクプレミアム
2. Adjusted Spread Premium to Libor: 上記を365日ベース
に修正したもの(%) 日数調整後のリスクプレミアム
3. EL: Expected Loss per face value: 額面1あたりの予想毀
損率(%), 注意:クレジットリスク分析では予想損失ELは金
額であるが、CATリスクでは額面に対する比率であること
に注意
4. Probability of First Dollar Loss(PFL,PF$L, PA(attachment):
損失が生じる確率、保険でいうFrequency(損害頻度)の
指標
5. Probability of Last Dollar Loss(PLL,PL$L, PE(Exhaust): 元本
すべてが毀損する確率
LaneILS価格指数とその分析方法
33
続き
6. EER(Expected Excess Return:期待超過リターン)= Adjusted Spread Premium to Libor- Expected Loss per face value. リスクプレミアム(Risk Loading)を表す。
7. CER(Conditional Expected Loss), ELGD(Expected Loss Given Default) =EL/PF$L 条件付き期待損失
Severityの指標、何故か?
E ⎡⎣ X ( a ,a+h ] ⎤⎦
1
EL
CER = E ⎡⎣ X ( a ,a+h ] X > a ⎤⎦ =
=
h
h Pr ( X > a ) PF $ L
損失額Xがa以上に成るという条件の下で、損失額がaとa+hの範囲にある期待値
LaneILS価格指数とその分析方法
34
CAT債のプライシング
LIBOR+CATリスク・プレミアムの推定
「ファイナンス理論」と「アクチュリアル
サイエンス(保険数理)」の
統合アプローチ
拡張Wang変換による分析
大災害リスクと資本市場 ©森平
35
災害リスク分析における利用 続き
工学的なアプローチ
生存確率 = 超過確率曲線
米国 商務省資料 2004年
確率DistortionとWang変換
36
災害リスク分析における利用
i番目のイ
ベント
イベントiが生じる
確率pi
イベントiが生じた
時の期待損失
イベントiが生じた
超過確率EP[li]=生存確率
ときの損失額L
i
確率DistortionとWang変換
計算は次のページを見よ
37
災害リスク分析における利用 続き
確率DistortionとWang変換
38
災害リスク分析における利用 続き
EP.つまり生存確
率をロスコント
ロールすること
により、下にシ
フトできた!
導入コストと期
待損失の減少
を比較する。
確率DistortionとWang変換
39
リスク調後の超過確率曲線に基づく
EL:期待損失(率)
超過確率
PFLQ
三角形の面積=(底辺×高さ)/2
=[1×(PFLQ‐PLLQ)]/2= (PFLQ‐PLLQ)/2
長方形の面積=1×PLLQ
合計した面積= (PFLQ‐PLLQ)/2+PLL= (PQ+PLLQ)/2
PLLQ
リスク調整後
の額面が全
損する確率
リスク調整後の
大災害の生じる
超過(生存)確率
0
1
リスク調整前の大
災害の生じる超過
1
確率
LaneILS価格指数とその分析方法
毀損(損失)率
=L(損失額)/額面
40
1ファクターWang変換による
CATボンドの評価 2つのリスク回避度
左辺はリスク調整後の期待損失でなければいけないが、
Spreadは額面100あたりの比率になっていることに注意
EL + Risk Loading
Adj. Spread = ∫
a+h
a
S XQ ( x )dx
実確率であることに注意
{
}
1
where S ( x ) = Φ ⎡⎣Φ −1 ( PFL ) + λ1 ⎤⎦ + Φ ⎡⎣Φ −1 ( PLL ) + λ2 ⎤⎦
2
Q
X
λ1 PFLに対するリスク回避度
λ2 PLLに対するリスク回避度
パラメータλの推定方法
1. 調整済みスプレッドを従属変数Y、PFLとPLSを二つの独立変数(X1,X2)として
データを収集(Laneから)
2. 上の1ファクター、2つのリスク回避度ワン変換モデルをExcelソルバーあるい
は
3. 非線形の最少二乗法あるいは最尤法によってλ>0を推定、
LaneILS価格指数とその分析方法
41
2つのリスク回避度を推定
LaneILS価格指数とその分析方法
42
推定結果と外挿テスト
モデルを推定するために用いたデー
タに対する適合度(内挿テスト)
16%
14%
12%
観察されたスプレッ
ド
推定スプレッド
パラメータの推定結果を用いて、新しい
データに対する適合度(外挿テスト)
8%
7%
6%
5%
10%
4%
8%
3%
6%
4%
2%
観察されたスプレッド
1%
推定スプレッド
0%
2%
0%
詳しい分析結果については、
森平爽一郎 「大災害のリスクファイナンス」、『経済セミナー』、2012年10‐12月号を参照
LaneILS価格指数とその分析方法
43
Wang変換による確率測度の変換
0.30 0.25 PFL
リスク調整後PFL
0.20 0.15 0.10 0.05 0.30 PLL
0.25 リスク調整後PLL
0.20 0.00 0.15 0.10 0.05 0.00 Prob. of First Loss(PFL)の変換
Prob. of Last Loss(PLL)の変換
LaneILS価格指数とその分析方法
44
CAT債パズル
CAT Bond Premium Pazzle
CAT債パズル
45
なぜCAT債が投資家にとって
魅力的なのか?
1. 大災害イベントが生じる確率は小さい
2. 多くのタイプ(地震、風水害、竜巻、生命理数く)
CATリスクに投資すると、リスクを分散すること
ができる
3. 多額の金融資産(債券、為替、株、商品)に投
資している投資家(年金基金、ヘッジファンド、
投資銀行)にとって、金融リスクと自然災害リス
クの相関はほぼゼロ(システマティックリスクβ)
はゼロ! それにもかかわらず
4. CAT債のリスクプレミアムは極めて高い!
森平 CATリスクとリスクファイナンス
46
1. CAT債のリスクプレミアムがなぜ高いのか?
1.
2.
3.
4.
5.
曖昧性回避(Ambiguity Aversion)
近視眼的損失回避(Myopic Loss Aversion)
選択バイアスと閾値行動(VaR)
元本損失の“おそれ”
固定的な学習費用
Bantwal and Kunreuther[2000], “A Cat Bond Premium Puzzle?” Journal of Psychology and Financial Markets 1 (1), 76–91 CAT債パズル
47
極値理論をもとにした
CAT債の評価
1.
2.
Zimbidis., Alexandros, A. Frangos, N.E., and Athanasios A. Pantelous, “Modeling Earthquake Risk via Extreme Value Theory and Pricing the Respective Catastrophe Bonds,” ASTIN bulletin, 37(1), 2007, 163‐183.
Alexandros A. Zimbidis, and Athanasios A. Pantelous, "A Predictive Earthquake Model and Alternative Risk Transfer Technique,"
森平 極値分布とCATリスク
48
極値
Tenki.jp 2011年7月19日 12時46分 より
大型で強い台風6号が、午前11時現在、高知県足摺岬の南を北上しています。九州
の太平洋側から四国地方が台風の暴風域に入っており、
九州から東海にかけての太平洋沿岸は猛烈なシケとなっています。また、西日本か
ら関東地方にかけての太平洋側では、台風に伴う湿った空気の影響で、広い範囲で
雨が降っています。
局地的に1時間に50ミリを超える雨が断続的に降っており、
高知県の魚梁瀬では、午前11時までの24時間雨量が700ミリを超えました。
(これは、観測史上1位を更新しました。この地点の平年の7月の降水量のおよそ1.2
倍の雨がおよそ1日で降ったことになります。)
「かつて経験したことがない大雨が、熊本や大分などで」、2012年7月12日、気象庁
森平 極値分布とCATリスク
49
一般化極値分布:GEV
ーvon Misesタイプ極値分布ー
−1/ξ
⎧⎪ ⎡
⎛ x − μ ⎞ ⎤ ⎫⎪
H ( x ) = exp ⎨− ⎢1 + ξ ⎜
⎟⎥ ⎬
⎝ σ ⎠ ⎦ + ⎪⎭
⎪⎩ ⎣
ξ = 1/ α > 0 → Frechet
ξ = −1/ α > 0 → Weibul
分布の形状を決める二つのパラメータξ (位置パラメータ) 、σ (ス
ケールパラメータ)。σ>0
森平 極値分布とCATリスク
50
ギリシャにおける過去の地震
森平 極値分布とCATリスク
51
1期間モデル
地震リスクのもとにある1期間割引債の価格P0は
P0 = e −( rF +e ) E0P ⎡⎣C ⎤⎦
ここで
rF=信用リスクの無い割引金利(1期間モデルでは確実であると考える)=2.10
パーセント
e=投資家の地震リスクに関するリスクプレミアム(確定変数)e=5パーセント
C=最大マグニチュードに依存したこの割引債の満期キャシュフロー(不確実)
⎧
⎪
⎪
⎪
⎪
⎪
⎪
C=⎨
⎪
⎪
⎪
⎪
⎪
⎪⎩
K (1 + 3R ) , if M ∈ [ 0,5.4]
K (1 + 2 R ) , if M ∈ [5.4,5.8]
K (1 + R ) , if M ∈ [5.8,6.2]
K,
if M ∈ [ 6.2,6.6]
2
K,
3
2
K,
3
0,
K=額面(1000€)
R=地震リスクが小さい時のクーポンレート、
Euriborに連動 1期間モデルでは確定、多
期間の時は不確実。2.08パーセント
if M ∈ [ 6.6,7.0]
if M ∈ [ 7.0,7.4]
if M ∈ [ 7.4, ∞ ]
森平 極値分布とCATリスク
52
モンテカルロ・シミュレーション
一般化極値分布に従う乱数の発生
−1/ξ
⎧⎪ ⎡
⎛ x − μ ⎞ ⎤ ⎫⎪
G ( x ) = exp ⎨− ⎢1 + ξ ⎜
⎟ ⎥ ⎬ を最大マグニチュードxに関して解くと
σ
⎝
⎠ ⎦ + ⎭⎪
⎪⎩ ⎣
(
)
−ξ
⎡
x = μ + σ 1 − ( − log G ( x ) ) ⎤
⎢⎣
⎥⎦
−( −0.1978 )
⎡
⎤
= 5.671 + 0.3657 1 − ( − log G ( x ) )
⎢⎣
⎥⎦
(
)
が得られる。ここで、G(x)は確率であるので、G(x)は[0,1]区間の一様分布に従
う、Excelの一様乱数RAND()を発生させて、上の式に代入することにより、最大
マグニチュードx(あるいはM)を発生させる。
3つのパラメータは最尤法で推定しておく
森平 極値分布とCATリスク
53
1期間モデルの推定値
P0 = e −( rF +e ) E0P ⎡⎣C ⎤⎦ = e −( 0.021+0.05) E0P ⎡⎣C ⎤⎦ = 952.5
最大マグニ
チュードはモンテ
カルロ法に生成
⎧ 1,000 (1 + 3 × 0.0208 ) ,
if M ∈ [ 0,5.4]
⎪
⎪ 1,000 (1 + 2 × 0.0208 ) , if M ∈ [5.4,5.8]
⎪ 1,000 (1 + 0.0208 ) ,
if M ∈ [5.8,6.2]
⎪
if M ∈ [ 6.2,6.6]
⎪ 1,000,
⎪
C=⎨ 2
if M ∈ [ 6.6,7.0]
⎪ 1,000,
⎪ 3
⎪ 1
if M ∈ [ 7.0,7.4]
⎪ 3 1,000,
⎪
if M ∈ [ 7.4, ∞ ]
⎪⎩ 0,
森平 極値分布とCATリスク
54
多期間(4年)クーポン債
t年末に投資家が受け取るキャシュフローCtは
⎧ K × 3Rt , if M t ∈ [ 0,5.4]
⎪
C t = ⎨ K × 2 Rt , if M t ∈ [5.4,5.8]
⎪ K × R , if M ∈ [5.8,6.2]
t
t
⎩
t=1,2,3,4年度(満期前)はクーポン支
払いのみ、Mt が6.2以上の時はクー
ポン支払い無し。
満期に投資家が受け取るキャシュフローは
⎧ K × 3R5 , if M 5 ∈ [ 0,5.4]
⎪
C 5 = ⎨ K × 2 R5 , if M 5 ∈ [5.4,5.8]
⎪ K × R , if M ∈ [5.8,6.2]
5
5
⎩
⎧ K,
⎪
⎪ 2 K,
⎪3
⎨
⎪ 2 K,
⎪3
⎪
⎩ 0,
if M Max ∈ [5.0,6.6]
if M Max ∈ [ 6.6,7.0]
t=4年目(満期)
if M Max ∈ [ 7.0,7.4]
if M Max > 7.4
ここでMMaxは5年間における最大マグニチュードの最大値
森平 極値分布とCATリスク
55
件数カウント型
Rare Event デリバティブ
台風の実例を見てみるが、
同様な考え方は、地震、津波、竜
巻、噴火などにも適用可能。
森平 CATリスクとリスクファイナンス
56
弘前公園の桜、早咲き補てん
2004/03/02, 日経金融新聞, 11ページ, 青森銀行は青森県弘前市のタクシー会社、北星交通(下山清司社長)に弘
前公園の桜の早咲きによる売上高の減少を補てんする天候デリバティブ(金
融派生商品)を仲介したと発表した。
仲介したのは同行の要請で東京海上火災保険が開発した「桜前線」。桜は
開花日前後に暖かい日が多いと、早く満開を迎える可能性が大きくなる。この
ため三月二十二日から四月十七日の間で、平均気温が八度を超えた日が一
定の日数を上回った場合に北星交通が補償金を受け取る契約を結んだ。
弘前公園の桜は例年ゴールデンウイークのころ満開になる。夏のねぷた祭
りと並ぶ弘前観光の目玉で、昨年は二百七万人が来場した。このため開花が
早まると観光関連業界への打撃が大きい。(青森)
森平 CATリスクとリスクファイナンス
57
弘前城 鷹丘橋
2009年4月29日
普通の
年では
森平 CATリスクとリスクファイナンス
58
日数カウント型の天候デリ
バティブズ:二つの事例
名古屋:
ベンディングマシンサービス
会社のための冷夏デリバティ
ブズ(最高気温日数に関する
コールオプション)
沖縄諸島:
(株)シーサのための暴風雨デ
リバティブズ
イベントリスクデリバティブ
59
冷夏デリバティブ(コールオプション)
1.
2.
3.
4.
5.
買い手: (株)パブリック・ベンド・サービス(名古屋)
ブローカー:名古屋銀行
オリジネータ:三井住友海上火災保険
契約期間(T): 2006年6月20日から8月20日の62日間において
保険金支払額(g0): 1.
2.
3.
4.
名古屋地域(名古屋管区気象台)の
1日の最高気温が
行使日数であるセ氏30度未満の日数20日(k=20)を上回る場合、
21日目から超過日数に応じて1日あたり(g0 =13万9千円を支払う。
6. 上限支払い額: 500万円(約36日分=上限56日-下限20日). 7. 保険料(C0) :保険料は100万円(内1割は名古屋銀行への手数料)
イベントリスクデリバティブ
60
オプションの用語では
• 原資産: 名古屋の日次最高気温が35℃以
下の日数
• 契約期間:T=N=62日
• 行使日数:k=20日
• オプション
• ペイオフ:一日あたりg0 =13万9千円
• 行使価格:K= g0×k=139.000×20日=
• オプションタイプ:ヨーロピアン・コール
イベントリスクデリバティブ
61
実例:1‐1
暴風デリバティブズ
1. 買い手: (株)シーサー(SEASIR Co.), 沖縄最大のダイビング
ショップ(訓練、宿泊、飲食店など).
2. ブローカー: 琉球銀行
3. 売り手: (株)東京海上火災
4. 保険
1.
2.
3.
4.
2002年10月10日から2002年12月31日までのあいだで
沖縄管区気象台統括地域で、秒速15メーター以上の暴風雨になる
日(原資産)XTが
k=2 日以上あれば、
2日目から1日あたり保険金をg0=208万円を、
5. 上限支払い額: 1040万円(5日分まで)を上限として支払う
6. 保険料(C0) : シーサーは2002年9月24日に保険料をC0=100
万円支払う。うち10%は琉球銀行への手数料支払い.
イベントリスクデリバティブ
62
Rare Eventsデリバティブズ
満期日t=T (XT)におけるRare Events発生日数
総イベント発生件数:Xt
X T
「計数過程」に従う
Rare Event
コールオプション
4
CT = g 0 Max ⎡⎣ X T − k , 0 ⎤⎦
3
ストライク件数(k)
2
Rare Eventにリンクした
債の満期ペイオフ(額面
支払い):FT=XT×g0 円
1
時間:t
0
満期 (t=T)
0
契約開始 t=0
Rare Event デリバティブズ
63
Rare Events コールオプション価格
(最高支払額制限のないとき)
満期Tの支払い額: 満期TにRare Events総発生件数XTがストライク件数kを
超えたときに、1件についてg0円を支払うような契約からの満期ペイオフは
CT = Max ⎣⎡ ST − K ,0 ⎦⎤ = Max ⎡⎣ X t g 0 − kg 0 ,0 ⎤⎦ = g 0 Max ⎡⎣ X t − k ,0 ⎤⎦
K ≡ kg 0
保険金支払額
k = ストライク「件数」
K= ストライク「価格」
1日あたり保険金支払額:g0円
RareEvents総
発生件数
0
k
Rare Event デリバティブズ
64
Rare Events コールオプション価格
C0 = e − rFT E0Q ⎡ Max ⎡⎣ ST − K ,0 ⎤⎦ ⎤ = e − rFT g 0 E0Q ⎡⎣ Max ⎡⎣ X T − k ,0 ⎤⎦ ⎤⎦
⎣
⎦
=e
− rF T
∞
g0
∑ (x −k)
e
− λ Qt
x = k +1
(λ t )
Q
x
リスク回避度hを反映した
リスク中立ポアソン確率
x!
ここで
最終的に,コールオプション価値C0は
(
)
λ Qt ≡ ( λ e − h ) t
(
)
C0 = S0 ⎡⎣1 − Pr k − 1; λ QT ⎤⎦ − Ke − rFT ⎡⎣1 − Pr k ; λ QT ⎤⎦
Rare Eventsにリ
ンクした割引債
価格
リスク調整済み
ポアソンパラメー
タλQを有するポ
アソン分布関数
−( rFT +h)
S0 = e
g0λT
行使価格の
現在価値(満
期にk×g0円
を確実に払
う)無リスク割
引債価格
Rare Event デリバティブズ
リスク調整済み
ポアソンパラメー
タλQを有するポ
アソン分布関数
65
Rare Events コールオプション価格
(
)
(
)
C0 = S0 ⎡⎣1 − Pr k − 1; λ QT ⎤⎦ − Ke − rFT ⎡⎣1 − Pr k ; λ QT ⎤⎦
ここで
S0 = e
− rFT
(
g0 λ T
Q
)
Rare Eventsに額面支払額がリ
ンクしたCAT債券価値
K = g0k
行使価格=1件あたり支払い額
×Rare Events発生件数
λ Q ≡ λe−h
(
)
k
Pr k; λ T = ∑
Q
x=0
−λQT
e
(λ T )
Q
x
x!
Rare Event デリバティブズ
リスク調整済み
ポアソンパラメータλQ
リスク調整済みポアソンパラ
メータλQを有する
ポアソン分布関数
66
なぜ生命リスク証券なのか?
• 年金と保険の発行残高の大きさ
• 年金基金のリスク
– ALMのミスマッチリスク
• 金利リスク
• 投資リスク
• 長命リスク 総リスクの20‐30パーセントではないか?
• 長命リスクは、組織的危険(Systematic risk)
• 長命リスクのヘッジ
– 年金と保険の同時販売
• 生命保険会社は可能
• 年金基金、信託銀行は難しい
– 再保険
– 留保する。LDI(Liability Driven Investment)
– 資本市場を通じたヘッジ:長命債券の発行。
生命リスクの証券化
67
生命リスクの証券化
• 長期の寿命債券
• 短期の死亡率指数債券
• 生存スワップ 固定支払い・変動死亡率指数コーポ
レートファイナンの受け
• 年金先物
• 年金と生保のオプション
• 年金・保険企業債務のヘッジ
• 生命保険の売買とその証券化
• その他
生命リスクの証券化
68
Swiss Re死亡率債券 額面償還額
額面償還額
コールオプションの「売り」のペイオフと同様
⎛ 150q0 − q ⎞
400 ⎜
⎟
⎝ 0.2q0 ⎠
400
死亡率指数 q
0
Q01.0
Q01.3 Q01.5
生命リスクの証券化
69
Swiss Re(スイス再保険)
短期死亡率債券
• 2004年12月から2007年1月までの、満期3年の
Cat(astrophe)債券
• 額面 $400M
• クーポン支払い 3ヶ月US$LIBOR+1.35%
• 死亡率指数がある一定水準を超えると額面償還額
が低下する。
• 死亡率指数はSwiss Reによって作成。加重平均
– US(70%),UK(15%),Italy(5%), and Switzeland(2.5%) – q=Max[q2005,q2005,q2006]
– ベース死亡率 q0 2002年の水準
生命リスクの証券化
70
企業価値最大化と大災害リスク
大災害リスクと資本市場 ©森平
71
大災害リスクと
コーポレート・ファイナンス
• 企業の目的は、企業価値(企業の資産価値、
あるいは株主価値)を高めること。
• 企業財務(コーポレート・ファイナンス)とその
理論は、企業価値最大化の方策を提示
• CATリスクに直面した企業の財務はどうある
べきなのか?
• 大災害のリスク・ファイナンス
大災害リスクと資本市場 ©森平
72
考えるべきトッピクス
1. 大災害を考えた
1. 事前と事後の
2. 設備投資と資金調達
2. 考えるべきトッピクス
(上場)企業は保険を買うことは「意味が無い」
大災害を対象にした「クレジットライン」
分散投資(地域やサプライチェーンなど)
コンティンジェント・ローン、2011年オリエンタルラン
ドの事例、60年ローンに組み込まれた複雑なオプ
ション
などなど。
1.
2.
3.
4.
大災害リスクと資本市場 ©森平
73
なぜ(上場)企業は保険を買うのか?
企業価値を高めることができる
1. 保険を買うことは、保険会社が提供するリスクマネージメン
トサービスを買うことである
1. 保険金支払いサービス(Claim処理)
2. 損失のコントロール(Loss Control) 2. リスク(ロス)ファイナンシング上の利点
1. 損失が生じたときの適切なしはらい。事故が起きたときの銀行融資
や、株式・社債に依る調達 対 保険の利用。
3. 予想デフォルトコストの減少
1. 期待デフォルトコストの減少
2. 株主以外のステークホルダー(利害関係者)の契約価値を毀損しな
い。
4. 節税
1. 保険購入による直接的な税控除効果。期待キャシュフローの増加。
2. 負債借入れ枠を増加できる。テキスト第14章 これらの理由につ
森平 企業の保険需要
いて、詳細に検討
する。
74
事例研究: 2010年8月 東京電力は
(任意の)原子力保険を更新しなかった!
• 上場企業としての東京電力(TEPCO)は、
– 企業価値最大化という目的に照らして、
– 原子力保険を上場企業である損害保険会社から
– 買う意味が無い。 なぜか?
• 実際には、多くの上場企業は上場保険会社
から保険を買っている。 なぜか?
• 「情報の非対称性」から生じる企業価値毀損
を回避するため。
大災害リスクと資本市場 ©森平
75
(再)保険会社のロスコントロール
欧米には『事故を起こさせないための保険』が存在する。
同書 帯より
ドイツの再保険会社に研修生として派遣された著者は、ロスプリベ
ンション(損害予防活動)の本質的意味を突き止めるため、派遣先企
業の堅いガードをあの手この手で破ろうとする。担当者によって食い
違う説明の矛盾点を衝き、派遣先の意向を無視して自前のレポート
を日本へ送るなど、強固な信念に基づく著者の行動、そして、少ない
材料から真実を導き出すべく緻密な推論。実体験を記録したもので
あるにもかかわらず、企業小説でも読んでいるような気分にさせられ
る、読み応えのある一冊。
amazon.comより
著者略歴 柏木 伸彦
1960年3月生まれ。1984年3月早稲田大学理工学部土木工学科卒業。同
年、日本機械保険連盟入社。技術部組立保険課勤務後、1991年4月、ドイ
ツ・ミュンヘン再保険会社を中心に1年間のヨーロッパ研修。1992年4月帰国
後、その体験を執筆、文芸社より刊行
森平 企業の保険需要
76
大災害リスク
金融機関、事業会社にとって
何が大事なのか?
大災害リスクと資本市場 ©森平
77
提案 銀行が提供する
イベントドリブン型の商品
1. ある規模の大災害(地震、津波、竜巻、水
害、暴風雨)などが起きると
2. 次の両方、あるいはいずれかを
1. 一定額の与信供与(与信枠)⇒スプレッド
2. 一定額の保険金を支払う(保険あるいはデリバ
ティブの形で)⇒毎月の長期掛金
3. 損害査定なしに、迅速に、契約者あるいは
融資先に支払うスキームの構築
森平 CATリスクとリスクファイナンス
78
銀行にとって必要なこと
1. 透明性の高い、理解しやすい、かつシンプルな
契約のデザイン
2. 金商法との折り合いをどうするか
3. 銀行にとってのヘッジスキームの構築
1. CAT債あるいはCATリスク保険購入
1. 銀行単体か
2. 銀行グループ、銀行協会
3. 国による再保険
4. 税制上の優遇処置
5. 銀行、証券、保険会社、国・地方自治体の連携
森平 CATリスクとリスクファイナンス
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銀行経営者、営業、企画部にとって必要なこと
1. CATリスクについて知る。
信用リスク管理では、PDと
LGDを常に測定し、管理して
1. 生起確率
いる!
2. 損害額の大きさ
2. 損害保険価格の決定方法と妥当性
3. CAT債市場の動向を常に把握
1. CAT債価格指数
2. どのようなCAT債が発行されているのか
3. 市場局面
4. 大学や国(防災研究所、歴史、地理、地震、土木)、(再)保
険会社、投資銀行、自然災害計量分析機関、との連携
5. 関連研究所、コンサル部門における災害リスクマネージメ
ントの専門家の養成
森平 CATリスクとリスクファイナンス
80
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