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蛋白質核酸酵素:中枢神経系における神経栄養性因子とシナプスの可塑性

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蛋白質核酸酵素:中枢神経系における神経栄養性因子とシナプスの可塑性
● 総 説●
中枢神経系における神経栄養性因子とシナプスの可塑性
那波宏之 ・大津
洋
神経伝達物質に加えてガス分子や蛋白質因子など,実 にさまざまな細胞間物質が神経伝
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達の可塑性に寄与 していることが知られている。これ らの調節因子は,神 経細胞だけでな
くグリア細胞や血球系細胞により産生・
放出され,神 経伝達強度ばかりでなく,伝 達様式,
神経間結合を修飾することで,短 期間,ま たは長期にわたり神経活動様式を制御している
と考えられている。本稿では,蛋 白質性の可塑性調節因子である神経栄養性因子群にスポ
ットをあて,筆 者らの研究成果を交えながら神経栄養性因子がシナプスの可塑性に果たし
うる役割について論じたい。
Key
words
【シナ プ ス可塑性 】 【
神 経 栄養性 因 子】 【神経 伝達 物 質】
【
神 経 回路発 達 】
は じめ に
これ まで に 中 枢 神 経 系 に お い て 数 十 に及 ぶ
神経栄 養 性 因 子 と よ ば れ る蛋 白 質 性 神 経 成 長 性 因 子 ・
分化因 子 が 同 定 さ れ て い る。 特 にPCR法
分子生 物 学 的 手 法 の 飛 躍 と と も に,い
を代 表 とす る
くつ か の 新 規 の
神経栄 養 性 因 子 が 発 見 さ れ て い る。 多 く の場 合,こ
らの神 経 栄 養 性 因 子 は,何
ら か の 神 経 細 胞 の 生 存 を培
養下 で促 進 す る活 性 を有 し て い る こ とか ら,こ
を指標 に 精 製,も
れ
の活性
し くは 同 定 され る ケ ー ス が 多 い 。 し
かし,他 の シ ス テ ム で,細
胞成 長 因子 や血球 分化 因子
として 同 定 さ れ た細 胞 間 因 子(サ
イ トカ イ ン)の
にも,脳 神 経 細 胞 に 神 経 栄 養 活 性,神
なか
経 細胞 の分 化誘
置 づ け,そ
の活 性 を分 類 ・評 価 す る も の で あ る。
脳 内 で そ の 発 現 が 確 認 さ れ た 神 経 栄 養 性 因 子,サ
トカ イ ン,も
イ
し く は成 長 因 子 の な か で “可 塑 性 因 子 ”
と して の 活 性 を有 す る も の は約 十 数 個 報 告 され て い る
が(表1),「
神 経 伝 達 を調 節 す る」 と一 言 で い っ て も,
そ の 活 性 の 実 体 は さ ま ざ まで あ る。 伝 達 物 質 の 放 出 を
上 昇 さ せ る因 子,神
経 伝 達 物 質 の合 成 を調 節 す る因 子
あ る い は シ ナ プ スの 構 造 を変 化 させ る 因 子 等 々 あ り,神
経 可 塑 性 は これ ら の活 性 を有 す る 因 子 の い ろ い ろ な 分
子 メ カ ニ ズ ム に よ っ て 作 り出 され て い る 。 こ こで は,と
くに そ の 活 性 の 様 式 よ り,神 経 化 学 的 活 性,電
気生 理
導活性 を有 す る もの が あ る。 加 え て 最 近 に な っ て,神
学 的 活 性,形
の特徴
経細胞 に 働 く こ の よ う な 蛋 白 質 因 子 が,神
を解 説 して み よ う(図1)。
経 細 胞 の分
態 学 的 活 性 の3つ
に 分 類 し て,そ
化や生 存 を調 節 す る だ けで な く,神 経 伝 達 を基 盤 とす
る脳 機 能 自体 に も影 響 を与 え う る こ とが わ か っ て きて
I.可
塑 性 因 子の 発 現 制御
いる。 そ こで 本 稿 で は,上 記 の神 経 栄 養 性 因 子 群 の う
ち,神 経 伝 達 を調 節 し う る 因 子 を"可
Hiroyuki
Nawa,Yo
Otsu,新
塑 性 因 子"と
位
多 くの可 塑 性 因 子 の 存 在 が 脳 内 で 同 定 さ れ て い るが,
潟 大 学 脳 研 究 所 分 子 神 経 生 物 学 分 野(〒951新
Neurobiology, Brain Research Institute,
Niigata
University,
Asahimachi,
潟 市 旭 町 通 一 番 町) [Department
Niigata
of
Molecular
951, Japan]
Neurotrophic Factors and Synaptic Plasticity in the Central Nervous System
2513
2
核酸
酵素
Vol.41
No.16(1996)
神 経 可 塑性 に関 与 す る神 経栄 養性 因子,サ イ トカイ ン,成 長 因 子
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表1
蛋白質
個 々 の 可 塑 性 因 子 の 合 成 ・放 出 は,脳
の各部位 で特異
的 で か つ 複 数 の 調 節 を受 け て い る 。 た と え ば,シ
ス伝 達 効 率 の 長 期 増 強(LTP)で
ナプ
有 名 な海 馬 に は,実
に 多 くの 可 塑 性 因 子 が 発 現 して い る。 これ ま で の組 織
化 学 の 報 告 に よ る と,PDGF1),NGF2),BDNF3,4),
NT-35∼7),aFGF8),bFGF9),TGF-α10),そ
し てIL-
1β11)などの 存 在 が知 られ て い るが,こ れ らの発 現 は,海
馬 内 の 部 位 あ る い は細 胞 特 異 的 に 制 御 さ れ て い る(表
2)。 サ イ トカ イ ンIL-1β
は,本
来 免 疫 系 にお い て単 球
や マ ク ロ フ ァ ー ジ に お い て の み 合 成 ・放 出 さ れ る もの
と考 え られ て い た が,海
むCA3領
馬 歯 状 回 か ら の神 経 終 末 を含
域 に お い て そ の 存 在 が 確 認 さ れ て い る11)。
aFGFとbFGFも,末
梢 の 非 神 経 細 胞 で あ る上 皮 細 胞
が お もに 産 生 す る成 長 因 子 と考 え ら れ て い た が,実 際
に は,脳 神 経 細 胞 も産 生 し う る こ とが 今 で は知 られ て
い る。 た と え ば 海 馬CA2領
域 と 灰 白 小 束(fascila
cinerlum)の
錐 体 細 胞 はbFGF
mRNAを
り,GABA含
有 性 の 介 在 性 神 経 細 胞 はaFGF
を お も に発 現 して い る 。 加 え てNGFを
ロ フ ィ ン群 の 発 現 は,コ
図1
産 生 して お
mRNA
含 む ニ ュー ロ ト
リン 作 動 性 神 経 の 支 配 領 域 で
あ る海 馬 で詳 細 に研 究 さ れ て お り,各 ニ ュ ー ロ トロ フ
可 塑性 因 子 の3種 の活 性
(1)形 態学 的 活 性 。 標 的 細 胞 によ り合 成 され た分 泌 性 の 可 塑 性 因 子
ィ ン の メ ン バ ー が,特
が 成 長 円 錐 や シ ナ プ ス 部 に働 き,シ ナ プ ス 形 成 も し くは消 失 を誘
こ とが 知 られ て い る。NGFは
異 な 発 現 パ タ ー ン を示 し て い る
グ リ ア細 胞 を含 め,海 馬
導 す る。(2)電 気 生 理 学 的 活 性 。 シナ プ ス を と りま くい ろい ろ な細
胞 が 可 塑 性 因 子 を放 出 し,前
シナ プ ス 部 の カ ル シ ウ ムイ オ ン濃 度
全 体 にわ た っ て発 現 が み られ るの に対 し,BDNFは,そ
や 後 シナ プ ス 部 の 伝 達 物 質 受 容 体 の リ ン酸 化 を通 して,シ ナ プ ス
の ほ とん どが 神 経 細 胞 に 発 現 し,と
伝 達 効 率 を調 節 する。(3)神 経 化 学 的 活 性 。 可 塑 性 因子 が 新 規 の遺
高 い 発 現 が み られ る。 対 照 的 に,NT-3の
伝 子 発 現 を 誘 導 し,神 経 伝 達 物 質 や 受 容 体,酸
す 。NPY:ニ
ュ ー ロ ペ プ チ ド,SOM:ソ
AMPA型
グ ル タ ミン酸 受容 体 。
2514
くに 歯 状 回 領 域 に
発 現パターン
素 類 の 合 成 を促
マ トス タ チ ン,GluR1:
は か な り異 な っ て お り,CA2領
域 と歯 状 回 の神 経 細 胞
の み に 強 く発 現 し て い る に す ぎ な い。
3
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中枢 神経系における神経栄養性因子とシナプスの可塑性
表2
海 馬 にお け る可 塑性 因 子 のRNA発
DG:歯
状 回,FC:灰
白小 束,IN:介
現分 布 とそ の調 節
在 神 経 細 胞 。()内
の数 字 は 文 献 番 号 を示 す 。
この よ う な 可 塑 性 因 子 の発 現 量 は,そ れ 自 身,し
ば
しば神 経 活 動 依 存 的 に調 節 さ れ て い る 。 神 経 細 胞 に お
新 た な疑 問 を生 む 。NGFやBDNFで
は,そ の 分 泌 が
一部
,神 経 活 動 に依 存 して い る こ とか ら,神 経 活 動 が
けるNGFとBDNFの
そ の方 向 性 を調 節 して い る可 能 性 が 考 え られ る25∼27)。
こ
合 成 は,そ の グル タ ミ ン酸 受 容
体 を刺 激 す る こ とで 上 昇 す る12∼14)。
長 期 増 強 を誘 発 す
の よ う に可 塑 性 因 子 の 合 成 ・分 泌 過 程 は神 経 活 動 に 依
るよ うな 高 頻 度 刺 激 や け い れ ん性 の 活 動 とい っ た よ り
存 し て い る こ とか ら,こ れ ら可 塑 性 因 子 が,神
生理 的 な 刺 激 も,ニ
性 や 神 経 回 路 形 成 に影 響 を与 え て い るの で は な いか,と
ュ ー ロ トロ フ ィ ン の発 現 を誘 導 す
るこ とが 知 られ て い る15∼19)。ニ ュ ー ロ トロ フ ィ ン ばか
経可 塑
推 論 され てい る。
りで な く,カ イ ニ ン酸 で誘 導 され た け いれ ん に よ って,
bFGFやGDNFと
い っ た 可 塑 性 因 子 のmRNAも
海馬
II.可 塑性 因子の電気生理学的活性
にお いて 上 昇 す る こ とが 報 告 され て い る20,21)。また,こ
れ ほ ど強 い神 経 興 奮 で な く と も,低 い レベ ル の 神 経 活
前 節 で 述 べ た よ う に,神
経 活 動 が 可 塑 性 因 子 の合 成
動で も こ れ ら可 塑 性 因 子 の 発 現 は影 響 を受 け る こ とが
や 放 出 を調 節 し て い る こ と はわ か っ た が,そ
知 られ て い る22)。
に,可
歴 史 的 に は,「 標 的細 胞 で 合 成 ・
放 出 さ れ た神 経 栄 養
性因 子 は,シ
ナ プ ス前 神 経 細 胞 の 軸 索 終 末 か ら取 り込
まれ,細 胞 体 ま で 逆 行 輸 送 さ れ,機
能 ・生 存 の 維 持 に
れ と は逆
塑 性 因 子 は シ ナ プ ス伝 達 に どの よ う な 影 響 を与
え うるの で あ ろうか。1988年,Sastryら28,29)は,高
刺 激 を 加 え た 大 脳 皮 質 の 還 流 液 中 に,海
長 期 増 強(LTP)を
頻度
馬 ス ライス の
誘 導 す る因 子 が 存 在 す る こ と を発
関与 す る 」 と い う い わ ゆ る “トロ フ ィ ッ ク説 ” が 信 じ
見 して い る。 これ ら の 因 子 は熱 変 性 す る 因 子 で は あ る
られて い た 。 しか し,現 在 で は,細
が,神
神経 栄 養 性 因 子 が,順
胞体 で合 成 され た
行 性 に運 ば れ 軸 索 終 末 よ り放 出
経 細 胞 を脱 分 極,も
し く は入 力 抵 抗 を 変 化 させ
る能 力 は有 して い な い。 このLTP誘
導 因 子 は,複 数 の
され る現 象 が 報 告 され る に至 り,こ の説 は崩 れ 去 っ た。
蛋 白 質 性 因 子 よ りな り,高 分 子 画 分 は投 与 直 後 にLTP
NT-3が
を誘 導 す る の に対 し,低 分 子 画 分 はLTPを
その1つ の例 で,NT-3は
運ばれ,最
視 神 経 中 を順 行 性 に
終 的 に視 蓋 の標 的 神 経 細 胞 に 取 り込 まれ る
に約1時
間 の 時 間 を 要 す る。 ま た,け
形 成 す るの
い れ ん を誘 発 し
ことが知 られ て い る23)。また も う1つ の ニ ュ ー ロ トロフ
た動 物 の 海 馬 の 還 流 液 中 に は神 経 栄 養 性 因 子 活 性 も検
ィン で あ るBDNFは,神
出 さ れ て い る こ とか ら,上 記LTP誘
経 細 胞 か ら放 出 され た の ち,
それが そ の 神 経 細 胞 の表 面 に 存 在 す る 受 容 体 に作 用 す
るとい う,い わ ゆ る “オ ー トク ラ イ ン ” 型 の 分 泌 過 程
を行 なって い る可 能 性 が示 唆 され て い る24)。結 局,神
細胞栄 養 性 因 子,可
塑 性 因 子 に は,両
経
方 向 性 の軸 索 輸
導 因 子 は,神 経 栄
養 性 因 子 で あ る可 能 性が きわ め て 高 い 。
海 馬 ス ラ イ ス でLTPが
誘 導 さ れ る か ど うか とい うア
ッ セ イ シ ス テ ム を 用 い て,既
長 因 子,サ
知 の神 経 栄 養 性 因 子,成
イ トカ イ ン の な か に,シ
ナ プ ス伝 達 に 影 響
送の シ ス テ ム が 存 在 す る よ うで あ る。 これ らの 発 見 は,
を与 え う る 因 子 が 存 在 す るか 検 索 され る よ う に な っ た
さらに何 が どの よ う に輸 送 方 向 を 決 め て い るか と い う
(表3)。 成 長 因 子EGFとFGFは
と もに 神 経 栄 養 性 因
2515
4
蛋 白質
酵素
Vol.41
No.16(1996)
可 塑性 因 子 に よ る シナ プ ス伝達 の 調 節
表3
()内
核酸
の 数 字 は文 献 番 号 を示 す 。
子 活 性 を有 し,さ
LTPの
ら に海 馬 ス ラ イ ス のCA1領
域 での
増 強 レベ ル を増 大 させ る活 性 を有 す る。 しか し,
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これ ら可 塑 性 因 子 が 作 用 し,効 果 が 現 わ れ る まで に要
す る時 間 は異 な る。EGFの
増 強 効 果 は,LTPの
強 く現 わ れ る のに対 し,FGFの
それ は,LTP過
る34)。最 近,ニ
LTPが
イ ン タ ー フ ェ ロ ン の 海 馬CA1領
BDNFは,30分
程 の後
昇 させ る。 この 増 強 は,高
も,
同様 に遅 発 性 の 可 塑 性 因 子 と して の 活 性 を有 し,投 与
NT-3の
BDNFや
よ り大 きい が,長
は,高
の投 与 で 通 常 の テ ス ト刺 激 の伝 達 を3倍 近 くに上
頻 度 刺 激(tetanus)に
もの
頻 度 刺 激 前 後 に投 与 して い る こ とで,LTPの
阻 害 す る 。(参 考 文 献35と39よ
形 成 を著 しく
り改 変)
影 響 を与 え
ュ ー ロ トロ フ ィ ン の う ち,BDNFと
投 与 に よ り,頻 回刺 激 な しで も,CA1領
域に
の リ ン酸 化 活 性 を 通 して,ま
しか
共 役 す る こ とで,細
誘 発 さ れ る との 報 告 が な さ れ た35)(図2)。
た は ホ ス ホ リパ ー ゼCと
胞 内 カ ル シ ウ ム の 流 動 性 に影 響 を
与 え て い る41}43)。 した が っ て,仮
BDNFは,通
シ ナ プ ス 前 部 に位 置 す る な ら ば,カ
常,長
期 増 強 が誘 発 さ れ な い 幼 若 期 の ラ
ッ トの海 馬 ス ラ イ ス に お い て,頻
回 刺 激 に よ るLTPを
誘 導 可 能 に す る作 用 を 有 す る が,頻
い ず れ にせ よ,BDNFは
す る ら し く,BDNF遺
域 のLTPの
に これ ら の受 容体 が
ル シ ウ ム の濃 度 を
変 化 さ せ る こ とで 伝 達 物 質 の放 出 確 率 を調 節 して いる
回刺 激 な しで は
誘 導 す る活 性 を 示 さ な い とい う もの で あ る85)。
海 馬CA1領
よ るLTPの
い時 間 を 要 す る。 逆 に イ ン タ ー フ ェ ロ ン(INF)
し,そ の 一 方 で こ れ と は異 な る報 告 も な さ れ て い る 。
LTPを
域 の神経伝達
に 対 す る効 果
初期 に
期 に 顕 著 で あ る30∼33)。サ イ トカ イ ン で あ るTNFα
の1時 間 後 に 海 馬 ス ラ イ ス 中 で のLTPに
図2
長 期 増 強 の成 立 過 程 に 関 与
伝 子 の ノ ック ア ウ トマ ウス で は,
誘 発 が 著 し く困 難 で あ る こ と
と考 え られ る し,も
る な ら ば,神
し受 容 体 が シ ナ プ ス 後 部 に位 置 す
経 伝 達 物 質 の 受 容 体 を リ ン酸 化 して,そ
の 活 性 を制 御 し て い る 可 能 性 が 考 え ら れ る44)。実 際,
EGFやBDNFは
神 経 細 胞 内 カル シ ウム濃 度 を上 昇 させ
る活 性 が 知 られ て い る が,逆
にIL-1β
で は,電 位 依存
が 報 告 され てい る37)。可 塑 性 因 子 はすべ て 神 経 伝 達 に対
性 カ ル シ ウ ム チ ャ ネ ル の 開 口 を 阻 害 し,カ
しプ ラ ス に働 くも の ばか りで は な い 。 た と え ば,サ
度 上 昇 を抑 制 す る こ とが 報 告 され て い る45)。筋 神 経 接合
トカ イ ンIL-2は
シ ェ フ ァ ー 分 枝 とCA1領
ス で 長 期 増 強 を抑 制 し,そ
イ
域 の シナプ
の効 果 は洗 浄 後 も長 時 間 持
続 す る38)。サ イ トカ イ ンIL-1β
に お い て は,頻
回刺激
と は無 関 係 に,通 常 レベ ル の神 経 伝 達 の レベ ル を 低 下
部 の シ ナ プ ス で は,BDNFやNT-3が,自
ル シ ウ ム濃
発 性 シナプ
ス 電 流 の 発 現 頻 度 を上 昇 させ る こ と か ら,こ れ ら可塑
性 因 子 が 前 シ ナ プ ス部 の カ ル シ ウ ム 濃 度 を上 昇 させ た
もの と推 定 され て い る46,86)。しか し,Levineら
は47),後
させ る こ とが 知 られ て い る40)。この よ う に可 塑 性 因 子 は,
シ ナ プ ス 部 に 起 き る リ ン酸 化 と い っ た 現 象 の ほ うが重
通 常 レ ベ ル の神 経 伝 達 や 長 期 増 強 誘 発 ・発 現 過 程 に影
要 だ と も説 い て い る。
響 を与 え,シ
ナ プ ス 伝 達 効 率 を調 節 し て い る 。
この よ うな比 較 的 早 い可 塑 性 因 子 の 活 性 発 現 には,た
可 塑 性 因 子 の な か に は,シ
ナ プ ス 性 の 活 性 を発 現 す
る まで に よ り長 い 時 間 を 要 す る もの もあ る。 こ の よう
ぶん 細 胞 内 情 報 伝 達 系 が 関 与 して い る と推 察 され る。 ほ
な 遅 発 性 の 活 性 に は,シ
とん どの 成 長 因 子,神
や 翻 訳 調 節 が 関 与 す る場 合 が 多 く,こ の 可 塑 性 につ い
経 栄 養 性 因 子 に対 す る 受 容 体 は
細 胞 内 ドメ イ ンにチ ロ シ ン リ ン酸 化 酵 素 部 位 を有 し,そ
2516
ナ プ ス 関 連 物 質 の遺 伝 子 発現
て 次 の 節 で 論 じ て み た い48)。
5
中枢神経系における神経栄養性因子とシナプスの可塑性
III.可 塑性因子 による神経伝達の化学的調節
これ まで の 末 梢 神 経 系 に お け る研 究 か ら,神 経 伝 達
物質 の 合 成 は,神 経 分 化 因 子 に よ り可 塑 的 に調 節 され
うる こ とが 知 られ て い る。 最 も有 名 な 神 経 分 化/可 塑 性
因 子 は,交 感 神 経 に作 用 す る コ リン 作 動 性 分 化 因 子 で
あ ろ う。 この 可 塑 性 因 子 は,培
のア ドレナ リンの 合 成 を10分
アセ チ ル コ リ ンの 合 成 を100倍
養 した 交 感 神 経 細 胞 中
の1に 抑 制 し,代 わ りに
上 昇 さ せ る活 性 を 有 す
る49)。この よ うな神 経 伝 達 物 質 の合 成 変 化 は,電 気 生 理
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学 的 に も神 経 伝 達 様 式 の 変 化 と し て 顕 著 に観 察 さ れ て
ニ ュ ー ロ トロ フ ィ ン の 神 経 ペ プ チ ド誘 導 活 性
いる50)。あ る種 の 可 塑 性 因 子 は中 枢 神 経 系 にお いて 同 様
図3
の活性 を示 す場 合 が あ る。 た とえ ばBDNFは,培
ラ ッ ト胎 仔 よ り調 製 した 大 脳 皮 質 神 経 細 胞 に,種 々 の濃 度 の ニ ュ
ー ロ 卜ロ フ ィ ン3種 を7日 間 作 用 させ ,ニ ュ ー ロペ プチ ドYの 含
養 し
た脳 神 経 細 胞 に お い て 神 経 伝 達 物 質 で あ る ア セ チ ル コ
量 をラ ジオ イ ム ノア ッセイ で 定 量 した。BDNFとNT-5が
リンや,ソ
量 依 存 曲 線 を描 い た の に対 し,NT-3の
マ トス タ チ ン,ニ
ュー ロペ プ チ ドYの
発現
を特 異 的 に上 昇 さ せ る活 性 を 示 す51∼55)(図3)。 こ の よ
それ は2桁
同様の用
ほ ど低 感 度 であ
った 。
うな神 経 細 胞 の 表 現 型 を 変 化 させ る栄 養 性 活 性 は,従
来 か ら よ く知 ら れ て い る 神 経 細 胞 の 生 存 に 関 与 す る
こ とが 知 られ て い る62)。この矛 盾 の 詳 細 は不 明 で あるが,
BDNFの
前 述 の よ う に 可 塑 性 因 子 の 活 性 が,そ
活 性56,57)とは,ま っ た く異 な る もので あ る。 ま
た多 くの 神 経 栄 養 性 因 子,可
うに,BDNFも
作 用 す る神 経 細 胞 種 に依 存 し て そ の活
性が 変 化 す る。 も しBDNFを
させ た 場 合,大
GABAの
塑 性 因 子 が そ うで あ る よ
線 条 体 の神 経 細 胞 に作 用
脳 皮 質 神 経 細 胞 の 反 応 と は異 な り
合 成 を も上 昇 さ せ て し ま う51,58)。
ほぼ同 一の
活性 が,こ
のBDNFを
動 物(新 生 ラ ッ ト)の 脳 に直 接
の作 用時期 に よ
っ て 質 的 に異 な る こ とか ら考 え る と,こ
の ノ ックアウ
トマ ウ ス の 示 した 現 象 は,発 達 過 程 でBDNF低
下 がひ
き起 こ し た す べ て の 活 性 の 総 合 的 結 果 で あ る と考 え る
べ きか も し れ な い 。 も う1つ,同
様 に シナプ スの化学
的 形 質 に 顕 著 な 影 響 を与 える 因 子 と して,FGFが
Iacovitti63)ら の研 究 に よ る と,FGFは
あ る。
ドー パ ミ ンが 存
長 し た ラ ッ トで は
在 す る と未 熟 な 大 脳 皮 質 ま た は線 条 体 の 神 経 細 胞 に 作
その反 応 が 少 し変 化 し て くる59)。これ らの 観 察 か ら もわ
用 し,異 所 性 に ア ドレナ リン合 成 を誘 導 す る とい う。 本
か る よ う に 可 塑 性 因 子 の活 性 は,作
用 す る神 経 細 胞 の
来 の 正 常 な脳 発 達 過 程 で,こ
の よ うな活 性 をFGFが
種類 お よ び 成 熟 度 に よ り変 化 す る もの で あ る 。 シ ナ プ
っ て い る か 不 明 で あ る が,こ
の種 の可 塑 性 因 子 は,脳
ス分 子 に 関 す る遺 伝 子 発 現 を変 化 さ せ る場 合,実
際に
神 経 回 路 の 発 達 過 程 で 神 経 伝 達 物 質 の 合 成 を オ ン ・オ
その 影 響 が 神 経 伝 達 様 式 に及 ぶ ま で に は 時 間 が か か る
フす る こ とで 機 能 的 回 路 を変 換 して い る可 能 性 が 強 い。
投与 し た場 合 で も観 察 さ れ るが,成
もの の,影
響 そ の もの はか な り絶 大 で あ る と思 わ れ る。
た とえば,前
述 したBDNFは,海
に作 用 して,抑
馬 の介 在 性 神 経 細 胞
前 述 した 可 塑 性 因 子 は,前
因 子 で あ るが,そ
も
シナ プス部 の化 学的 調節
の ほ か に も後 シ ナ プ ス 部 に 分 布 す る
制性 の神 経伝 達物質 ニ ュー ロペ プチ ド
伝 達 物 質 受 容 体 の 発 現 レベ ル を 調 節 す る 可 塑 性 因 子 も
Yを 誘 導 す る こ とか ら,こ の 領 域 で の興 奮 性 神 経 伝 達
知 られ て い る 。 筋 ・神 経 終 末 部 で の ア セ チ ル コ リ ン受
を阻 害 す る こ とが 予 測 され て い た60)。実 際,最
容 体 の 遺 伝 子 発 現 は,運 動 神 経 よ り放 出 さ れ る ニ ュ ー
に よ る と,BDNFを
近の研究
ット
レ グ リ ン と よ ばれ る可 塑 性 因 子 に よ り正 確 に 制 御 され
のて ん か ん 発 作 を 静 め る こ とが 証 明 されて い る61)。興 味
て い る64)。まだ,中 枢 シナ プ ス部 で伝 達 物 質 受 容 体 に対
深 い こ と に,BDNF遺
す る可 塑 性 因 子 は見 つ か っ て い な い が,筆
(+/−)で
は,脳
直 接 脳 内 投 与 す る こ とで,ラ
伝 子 の ノ ッ ク ア ウ トマ ウ ス
内BDNF量
れ る に も か か わ らず,て
が 半 減 し て い る と予 想 さ
んか んの誘導 に阻害 がか か る
で は,BDNFに
者 らの観察
弱 い な が ら も そ の よ う な活 性 が あ る こ
とを見 いだ して い る65)。免 疫 系 の生 体 防 御 反 応 過 程 で動
2517
6
蛋白質
核酸
酵素
Vol.41
No.16(1996)
員 され るサ イ トカ イ ン と同 様
に,脳 神 経 系 に お い て も実 に
さ ま ざ ま な 蛋 白 質 性 因 子 が,
外 部 か らの 神 経 刺 激 に反 応 し
て 動 員 さ れ,周
囲 の神経細 胞
に 作 用 して い る様 子 が 浮 か び
上 が る(図4)66)。
IV.可
塑性 因子 の形態学 的影
響
“記 憶 と学 習 ”の脳 内 プ ロ セ
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ス に は2つ
の異 な るメカニ ズ
ム “短 期 記 憶 ” と “長 期 記 憶 ”
が 存 在 す る こ と が 唱 え られ て
い る67,68)。と くに後 者 にお いて
は,遺 伝 子 発 現 と何 ら か の シ
ナ プ ス の 形 態 変 化 が “長 期 記
憶 ” を形 成 す る の に 重 要 で あ
る と考 え ら れ る。 実 際 これ ま
図4
可 塑性 因 子 の合 成 細 胞 と その 放 出機 構
で に,記 憶 や 神 経 活 動 に 伴 う
可 塑 性 因 子 を合 成 す る脳 内細 胞 は,お
もに神経細胞
シナ プ ス 部 の 形 態 学 的 変 化 が
れ る 。 昔 は これ らの 可 塑 性 因子 は,標
的 細 胞 よ り逆 行 性 に 放 出 され,前
る もの と考 え られ て い たが,今
い くつ も観 察 さ れ て い て,そ
グ リア 細 胞,血
で は 神 経 伝 達 物 質 と 同様,活
球 細 胞 の3種
類 が考 えら
シナ プ ス 細 胞 に 作用 す
動 依 存 性 に標 的 細 胞 に 向 か っ て放
出 され る 場 合 が あ る と い う。
れ らには,シ ナプス の外 形,数
とい っ た 変 化 か ら,内 部 構 造
で あ る小 胞 体,ミ
トコ ン ド リア な ど の位 置 移 動 が 報 告
され て い る69∼72)。
で は,こ
の よ う な形 態 学 的 変 化 に対
な くな っ た た め で あ ろ う と考 え られ て い る75)。この よ う
な 現 象 は オ タ マ ジ ャ ク シ の 視 蓋 にBDNFを
注 入 するこ
して こ こで 取 りあ げ て い る可 塑 性 因 子 が 関 与 す る の で
とに よ っ て もみ られ,こ
あ ろ うか 。 こ こ で も,冒 頭 か ら よ く登 場 し て い る ニ ュ
に分 枝 し て し ま う76)。ほ か の ニ ュー ロ トロ フ ィ ンに対 し
ー ロ トロ フ ィ ン が 中 枢 や 末 梢 シ ナ プ ス形 態 を 調 節 す る
と報 告 され て い る 。 た と え ば,カ
部 でBDNFやNT-3は,前
エ ル の 筋 ・神 経 終 末
シナ プ ス部 の 数 を増 加 さ せ
の 場 合 に は視 神 経 終 末 が 複雑
て も,類 似 の 現 象 が 報 告 され てい る。NT-3は,脊
髄内
の 錐 体 路 の 運 動 神 経 軸 索 の 側 枝 発 芽 を誘 導 す る こ とが
知 られ て い る し,ま た,逆 にNGFに
対 す る 中 枢 抗 体 は,
る こ とで,筋 へ の 伝 達 効 率 を上 昇 させ て い る72)。中 枢 神
キ ン ドリング型 てん かん のモ デル動 物 の海馬 歯状 回で
経 系 に お け る シ ナ プ ス形 成 や 再 編 成 を考 え る う え で 多
み られ るmossy
用 さ れ る実 験 系 は,大 脳 皮 質 ・視 覚 野 の 眼 球 優 位 性 コ
る77,78)。この よ う な 可 塑 性 因 子 が,シ
ラム 形 成 を利 用 す る もの で,こ
の に影 響 を与 えて い る か どうか は不 明 な点 も多 い が,形
れ は,外 側 膝 状 体 線 維
fiberの 発 芽 を抑 制 す る と報 告 され てい
ナ プ ス形 態 そ の も
終 末 が 皮 質 内 で 視 覚 刺 激 に依 存 して どの よ う に分 布 す
成 さ れ る シ ナ プ ス の 数 や 位 置 を 制 御 す る こ とで 神 経結
るか を観 察 す る もの で あ る73,74)。
ニ ュー ロ トロ フ ィ ンの
合 の様 式 を調 節 して い る可 能 性 は十 分 考 え られ る 。
うち,BDNFとNT-4/5が
こ の過 程 に 関 与 す る もの と
推 測 さ れ て い て,多
量 に これ らニ ュー ロ トロ フ ィ ン を
V.可
塑性 因子の及ぼす動物行動の変化
皮 質 視 覚 野 内 に注 入 す る と コ ラ ム形 成 が 阻 害 さ れ る現
象 が み られ る 。 これ は お そ ら く,シ ナ プ ス が 集 約 で き
2518
これ ま で あ げ た よ う に,可
塑性 因 子が シナプ スの電
7
中枢神経系 における神経栄養性因子 とシナプスの可塑性
気 的,化
学 的,構
造 的 性 状 を調 節 して い る こ とか ら考
え る と,結 果 的 に こ れ ら因 子 は 動 物 行 動 に 重 大 な 影 響
を及 ぼ して い る こ とが 考 え られ る。 これ まで に,い
く
つ か の動 物 行 動 に 対 す る実 験 が 薬 理 学 的 に 実 施 さ れ て
い る。IL-1を
脳 室 内 投 与 す る と睡 眠 や 摂 食,無
痛現 象
が み られ る79∼81)。
ニ ュー ロ トロ フ ィン の場 合 は,BDNF
投 与 が ア ン フ ェ タ ミ ン に よ る 回 転 運 動 を 増 強 し た り,
NGF投
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13)
与 が 学 習 能 を向 上 させ る とい っ た報 告 が あ
る82∼84)。
いず れ の 動 物 実 験 に おい て も,可 塑 性 因 子 の 作
用部 位 は広 範 で あ る た め,そ
の活 性 が,ど
14)
の神 経 回 路
の ど の種 の 活 性 で あ る か 特 定 で きて い な い 。 今 後,最
新 の分 子 遺 伝 学 的 手 法 な どを取 り入 れ る ことに よ り,個
15)
16)
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体 レベ ル で これ ら残 さ れ た 生 理 学 的 課 題 が 解 明 さ れ る
べ きで あ ろ う。
17)
最後 に,こ れ ら一連 の研 究 を支援,強 力 して くださった中西重
忠教授,別 所康全君,水 野 啓子 さん,和 賀美保 さんと,そ の他多
くの海外共 同研究者 に感 謝の意 を表 したい。 これ らの研究 の一部
18)
は,内 藤記念財 団および加藤記 念財団の助成金 によって行なわれ
た ことを付記 したい。
19)
20)
文
献
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