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マンスリー・レター - JPモルガン・アセット・マネジメント

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マンスリー・レター - JPモルガン・アセット・マネジメント
2007
BRICS
マンスリー・レター
1
お客様用資料
January
筆者のご紹介
門倉 貴史 (かどくら・たかし)
BRICs経済研究所 代表
1995年慶應義塾大学経済学部卒業。同大学卒業後、浜銀総合研究所
の研究員となり、社団法人日本経済研究センター、東南アジア研究所(シ
ンガポール)への出向を経験。2002年第一生命経済研究所に移籍。経
済調査部主任エコノミストとして、アジアやBRICs諸国についての論文を
数多く発表する。2005年に同研究所を退社してフリーとなる。
主な著書
「BRICs富裕層」(東洋経済新報社)
各国のトピックス
「図説 BRICs経済」(日本経済新聞社)
「大図解 インド経済の実力」(日本経済新聞社)
「インドが中国に勝つ」(洋泉社)
「BRICs新興する大国と日本」(平凡社)
ブラジル
ブラジルの家電市場が急拡大している。業界団体のAbineeによると、家電産業の売上高は98年の374億レアルから
2005年には928億レアルへと、7年間で2.5倍の規模に膨らんだ。Abineeでは、2006年の売上高が1057億レアル(前
年比+13.9%)、2007年が1214億レアル(同+14.9%)に達すると予測している。
セグメント別の売上高をみると、最近ではコンピュータや通信の分野で売上高の伸びが著しい。コンピュータ部門の
売上高は、2005年に前年比+18.5%の244.4億レアルを記録した。また、通信部門の売上高は2005年に前年比+
26.5%の164.5億レアルとなった。コンピュータと通信の売上高は、2006年も高い伸びになることが予測されている。
2005年におけるブラジルのパソコン普及率は10.52%、携帯電話普及率は46.25%にとどまっており、中長期的にみ
てもコンピュータや通信市場の拡大余地は大きい。国内向けだけではない。メルコスール(南米南部共同市場)向けを
中心に、輸出も好調だ。2005年の家電の輸出金額は前年比+45.3%の77.7億ドルを記録した。とくに輸出のウエイト
で20%を占めるアルゼンチン向けが好調で、2005年は前年比+62.2%の高い伸びとなった。ただブラジルの周辺国
の間では、国内雇用の確保という観点から、ブラジルの家電製品が南米市場を席巻することを危惧する声が高まりつ
つある。ブラジル製の白物家電が毎年大量に流入するアルゼンチンは、2004年からブラジルに対して輸出の自主規
制を求めている。2006年6月に輸出の自主規制は期限切れとなったが、アルゼンチン側はブラジルに対してなお輸出
の自主規制継続を求めている。
ロシア
寿司、天ぷら、懐石料理など・・・。現在、世界的に日本食の人気が高まりつつあるが、ロシアにおいても日本食が
大ブームになっている。首都モスクワなどの大都市部では寿司屋をはじめたくさんの日本食レストランが立ち並ぶよう
になった。日本の農林水産省の推計によると、ロシアにおける日本食レストランの数は現在約500店に上るという。
ロシアで日本食がブームとなっている背景には、急速な経済発展に伴い国民の生活水準が向上してきたことがある。
1人あたりの国民所得は、ソ連崩壊直後の1992年の段階ではわずか576ドルにすぎなかったが、直近の2005年は
5349ドルと9.3倍の規模に拡大した。また、国民の健康志向が強まるなか、カロリーが高く肥満になりやすい洋食より
も、ヘルシーな和食への関心が強まっているということもある。さらに、供給側の要因も見逃せない。それまでは、ロシ
アの庶民にとって日本食レストランは値段が高く、一部の富裕層しか楽しむことができないメニューであった。しかし
各レストランが経営努力によって品質を落とすことなく、中産階級が日本食を楽しめるぐらいの水準まで値段を下げて
きたため、これが需要層のすそ野の拡大につながっている。
日本食に対する需要の拡大を受けて、調味料メーカーなどもロシア市場の開拓に力を入れている。たとえば、キッ
コーマンは、ロシアや東欧におけるしょうゆ販売を強化する方針だ。ロシアでは、調味料としてのしょうゆの認知度が
まだ低いため、今後日本食ブームの広がりとともに醤油の市場も急拡大していく可能性が高い。また、日本食に合わ
せてロシア向けに、日本酒を輸出する動きも出てきている。
この資料はJPモルガン・アセット・マネジメント株式会社が、BRICS諸国の政治、経済、文化等の情報を提供するために、BRICs経済研究所の協力により作成したもので、証券取引法に基づいた開示書類では
ありません。この資料は特定のファンドもしくは個別銘柄への投資勧誘を目的としたものではありません。当資料は信頼性が高いとみなす情報に基づいて作成されていますが、弊社およびBRICs経済研究所
がその情報の正確性を保証するものではありません。また、当該意見・見通しは将来予告なしに変更されることがあります。またこの資料に掲載されている個別銘柄については、その売買の推奨を意図したも
のではなく、また弊社が運用するファンドへの組入れを示唆するものではありません。
お客様用資料
2007
各国のトピックス
1
January
インド
インドでは、急速な経済発展に伴い物流のニーズが大きく高まっているが、道路や鉄道など交通インフラの整備
は遅れている。たとえば、トラックの交通量は、1990年度から2000年度の10年間に2.2倍に増えたが、高速道路の
総延長は1.7倍にしか増えていない。外国企業がインドに進出するかどうかを決定する際には、道路の整備状況や
鉄道の整備状況が重要なポイントとなる。各都市で頻繁に起こる道路の渋滞を改善しなければ、外国企業のインド
への進出が細っていく懸念もある。外国企業を呼び込むことで経済成長率を高めようとしているインドにとって、遅れ
気味となっている道路の整備は喫緊の課題といえる。
そうした状況下、2006年12月に、日本とインドの両政府は、「日印特別経済パートナーシップ・イニシアチブ(SEP
I)」を策定した。SEPIでは、インドにおけるインフラ整備に関して日本の支援強化が盛り込まれている。今後、日本
は、官民パートナーシップ(PPP)などの活用により、デリー~ムンバイ間やデリー~コルカタ間の高速貨物鉄道整
備(総延長2800キロメートル)をはじめ、高速道路、工業団地、経済特区、港湾、空港、物流施設などの開発を支援
する予定だ。水環境や都市開発などの分野でも積極的に協力していく。高速貨物鉄道整備については、日本の新
幹線の技術が導入される可能性もある。日本が政府レベルでインドのインフラ整備を支援することによって、日本の
企業もインドに進出しやすくなるというメリットがある。
建設やセメントなどインドの民間企業も政府のインフラ整備に関する受託によって急成長しており、官公庁からの
受託関連企業の株価は大幅に上昇している。
中国
足元の中国経済は内需と外需がともに大きく拡大しており、これが成長のエンジンとなっている。
2006年10~12月期も内・外需がそろって高い伸びを示すとみられ、2006年通年の実質GDPは前年比+10.6%と
3年連続で10%台の高成長を達成しよう。
2007年の中国経済を展望すると、景気過熱を抑制するための金融引き締め政策が継続されるため、企業の投資
活動は過熱投資業種を中心に減速するとみられる。ただ、北京オリンピック・上海万博関連のインフラ投資、第11次
5ヵ年計画に沿った環境関連投資、西部大開発関連投資が増えるため、投資の減速幅は小さなものにとどまろう。
個人消費は雇用・所得環境が引き続き良好に推移するなか、沿岸都市部を中心に高い伸びが期待できる。注目さ
れるのは携帯電話市場だ。2007年は、中国で携帯電話の第3世代が開放される予定となっており、これが実現すれ
ば携帯電話市場の大幅な拡大が期待できるだろう。外需については、インフレを懸念する中央銀行が2007年に人民
元の上昇をある程度容認するとみられ、この影響で輸出の伸びは鈍化し、外需の成長への寄与は低下する。中国財
政部は、資源・エネルギーを国内で確保することを目的として、2006年11月1日から、原油や石炭、コークスなど110
の品目について輸出関税をかけることを決定した。一方、資源・エネルギーを輸入する際の輸入関税については、逆
に引き下げることを決めた。こうした関税率の変更も、2007年の外需の伸びを低下させる要因となろう。
個人消費は加速するものの投資と外需が減速するため、実質経済成長率は前年比+10.0%と2006年に比べると
若干鈍化する見通しだ。
南アフリカ
南アではエイズの問題が深刻化している。現在、エイズ感染は世界各地で急速な勢いで広がっているが、感染者の分
布には地域的な偏りがある。感染者が集中するのは、サハラ砂漠以南のアフリカ地域だ。全世界のHIV(エイズ・ウィル
ス)感染者は2005年時点で3860万人だが、全感染者の63.5%、人数にして2450万人がサハラ砂漠以南のアフリカ地域
に集中する。そして、サハラ以南の地域でHIVの感染者が最も多いのが南アフリカなのだ。国連合同エイズ計画の推計
によると、同国における2005年のHIV感染者数は550万人に達し、2003年時点(530万人)と比べて20万人も増加した。
2005年の15~49歳人口の実に18.8%がHIVに感染している計算になる。
エイズが原因で若くして亡くなる人口が多いため、南アの平均寿命は低下傾向にある。90~95年平均では平均寿命
が61.7歳だったが、00~05年平均では47.7歳まで低下した。国際連合の推計によると、00年から05年にかけては、エイ
ズの影響によって男性の平均寿命が17.9歳(エイズの影響がない場合に比べて28%短縮)、女性の平均寿命が19.7歳
短縮(同28%短縮)したということだ。国連は、2010年から2015年にかけて、エイズの平均寿命への影響はより深刻化す
るとみており、エイズの影響によって男性の平均寿命は24.7歳、女性の平均寿命は32.2歳も短縮すると予測されている。
エイズの蔓延によって、若年労働力人口が失われていくと、経済成長に必要な労働力の供給がままならなくなり、南アの
中長期的な経済成長が抑制される懸念がある。いまのところ、南アのHIV感染者の多くは、労働生産性の低い単純労働
者であるため、経済成長に深刻なダメージを及ぼす事態にまでは至っていないが、今後、HIV感染が労働生産性の高い
熟練労働者にも広がってくれば、南アの経済成長に無視できない悪影響が及ぶことになるだろう。
この資料はJPモルガン・アセット・マネジメント株式会社が、BRICS諸国の政治、経済、文化等の情報を提供するために、BRICs経済研究所の協力により作成したもので、証券取引法に基づいた開示書類では
ありません。この資料は特定のファンドもしくは個別銘柄への投資勧誘を目的としたものではありません。当資料は信頼性が高いとみなす情報に基づいて作成されていますが、弊社およびBRICs経済研究所
がその情報の正確性を保証するものではありません。また、当該意見・見通しは将来予告なしに変更されることがあります。またこの資料に掲載されている個別銘柄については、その売買の推奨を意図したも
のではなく、また弊社が運用するファンドへの組入れを示唆するものではありません。
お客様用資料
2007
1
ラム
今月のコ
January
中国:強まる人民元の上昇圧力
通貨・人民元の切り上げ圧力が強まっている。中国人民銀行は2005年7月21日に為替制度改革を実行した。改
革の内容は、これまで事実上米ドルに固定していた通貨・人民元を対ドルで約2%切り上げると同時に、ユーロや円、
ポンドなどを含めた複数の通貨に人民元を連動させる「通貨バスケット制」に移行するというものだ。この背景には、
中国の貿易黒字が拡大するなかで、人民元切り上げを求める国際的な要請が強まっていたことなどがある。為替制
度改革後の人民元の対ドル為替レートの推移をみると、徐々に人民元が上昇している様子が分かる。2005年7月
時点では1ドル=8.226元であったが、直近の2006年10月時点では1ドル=7.902元となった。ただ、人民元の上昇
のスピードは非常に緩やかなものにとどまっている。改革を開始した05年7月から06年10月までの15ヶ月間での上
昇幅はわずか3.9%だ。
人民元の割安感が依然払拭されないために、中国の貿易黒字は為替制度改革以降も拡大基調が続いている。
通関ベースの輸出金額は2006年に入ってからも前年比3割近くの高い伸びが続いており、10月は前年比+29.5%
を記録した。また、貿易黒字額は06年1月から10月までの累計で1336.8億ドルと、すでに2005年通年の貿易黒字
額(1018.5億ドル)を上回る高い水準にある。こうした状況下、米国をはじめとする先進諸国は、中国に対して人民
元の一段の切り上げを求めている。たとえば、2006年9月16日にシンガポールで開催されたG7(先進7カ国財務
相・中央銀行総裁会議)では、多額の経常黒字を計上している中国に対して「為替レートの一層の柔軟化が望まし
い」との声明を発表、人民元の実質的な切り上げを求めた。
中国にとっても、このまま人民元を割安に管理しておくことのリスクは大きい。割安に放置された人民元はインフレ
圧力の強まりというかたちで、いずれは国内経済に跳ね返り、経済成長に急ブレーキをかける恐れがあるからだ。
巨額の貿易黒字が計上されるなかにあっても、人民銀行は人民元が短期的に大きく上昇することがないよう、元高
圧力を弱めるためにドル買い・元売り介入を行っている。この結果、中国の外貨準備高は急速なスピードで積みあ
がってきている。中国の外貨準備高は、1990年代半ば以降大幅に増加しており、2006年10月時点で外貨準備高
は1兆96億ドルと、ついに1兆ドルの大台に乗った(図表1)。国内に流入した外貨を吸収して市場に人民元を放出
すれば過剰流動性が発生するので、人民銀行は中央銀行債などを発行して4大商業銀行に引き受けさせるといっ
た形で不介入の不胎化を図っている。しかし、不胎化にも限度がある。今後もいまのペースで外貨の蓄積が進んで
いけば、不胎化政策の実行は難しくなり、マネーサプライが大幅に増加してインフレを招く恐れがある。いまのところ、
消費者物価指数は安定した動きを示しているが、今後のインフレリスクについては十分な注意が必要といえるだろ
う。人民銀行もインフレリスクに対して警戒感を強めるようになっており、今後は潜在的なインフレ圧力を弱めるため
に人民元の変動幅をより柔軟にしていく公算が大きい。では、対ドルでみた人民元の実力はどの程度なのか。実力
レートと現実レートの比較を行ってみよう。ここでの実力レートとは、基準時点の為替レートに対象2カ国の物価上昇
率の比を乗じたものである。人民元の実力レートと現実レートの推移を示した図表2によると、実力レートは1990年
代後半以降、元高の方向に推移している。足元の2006年10月時点の実力レートは1ドル=6.645元、現実レートは
1ドル=7.902元で、両者の間には約18.9%もの大幅な乖離が生じている。今後、中国人民銀行は、徐々に人民元
の変動幅に柔軟性をもたせていき、最終的には完全変動相場制に移行するとみられる。
図表1 中国の外貨準備高
図表2 人民元の実力レートと実勢レート
人民元/ドル
10億ドル
1200
9.0
実勢レート
8.5
1000
8.0
元安
7.5
800
7.0
元高
6.5
600
消費者物価で算出した購買力平価(90年1月基準)
6.0
(実力レート)
5.5
400
5.0
200
4.5
4.0
.
.
0
99年
00
01
02
03
04
05
06
(年)
(出所)中国人民銀行資料
90年 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06
(年)
(出所)中国人民銀行資料などをもとにBRICs経済研究所作成
この資料はJPモルガン・アセット・マネジメント株式会社が、BRICS諸国の政治、経済、文化等の情報を提供するために、BRICs経済研究所の協力により作成したもので、証券取引法に基づいた開示書類では
ありません。この資料は特定のファンドもしくは個別銘柄への投資勧誘を目的としたものではありません。当資料は信頼性が高いとみなす情報に基づいて作成されていますが、弊社およびBRICs経済研究所
がその情報の正確性を保証するものではありません。また、当該意見・見通しは将来予告なしに変更されることがあります。またこの資料に掲載されている個別銘柄については、その売買の推奨を意図したも
のではなく、また弊社が運用するファンドへの組入れを示唆するものではありません。
お客様用資料
2007
ラム
今月のコ
1
January
インド:かつて広く行われていた「木婚」
約11億人の巨大な人口を抱えているうえ、婚姻率の高いインドでは、毎年たくさんのカップルがお見合いなどで結婚
している。インドの婚礼シーズンは9月頃なので、毎年8月から9月にかけては、金の宝飾品需要が大幅に増加する。
インドでは農村部を中心に、娘が結婚する際、親が花嫁に高価な金や銀のアクセサリーをもたせることが一般的な風
習(ダウリー制度)となっているためだ。
経済発展が著しいインドでは、結婚式も年々「ハデ婚」化する傾向にあり、それに伴って、ダウリーの金額も上がって
きている。インドには「娘を3人持つと家がつぶれる」という諺があるぐらいだ。これは、娘が結婚するたびに結婚相手
の家に多額の持参金や品物を贈らなくてはならず、3人目の娘が結婚するときには家が破産してしまうというもの。
また、婚礼シーズンになると、披露宴を盛り上げるための動物(象、ラクダ、白馬)が各地で調達される。花婿は白馬
にまたがり、象やラクダに先導されながら、公道をパレードするのだ。婚礼のパレードは、交通渋滞の一因にもなって
いる。
ところで、世界には様々な結婚の形態がある。現代の日本は「一夫一婦制」であるが、イスラム諸国のように、「一夫
多妻制」が認められている国もある。最近では、同性の結婚を認める国も出てきている。
しかし、人類史上最もユニークな結婚は、かつてのインドで広く行われていた「木婚」(ツリー・マリッジ、モック・マリッ
ジ)だろう。これは、読んで字のごとく、人間が植物の樹木と結婚するというものだ。日本では、結婚して5年目の記念
日を「木婚式」というが、インドの場合は、本当に樹木と結婚してしまうのである。
まず、インドのカーストの最上位に位置するブラーマンの間では、兄よりも先に弟が結婚してはいけないという習慣が
あった。ブラーマンは、元々はヒンズー教の祭祀を司る僧職の階級だった人たちである。
そこで、弟が彼女と恋愛をして結婚したいと思っているのに、兄がまだ結婚していない場合、兄は儀式的に樹木と結
婚することにして、弟が結婚できるようにしていたのである。樹木が倒れたり、枯れてしまうと、樹木と結婚した兄は晴
れて人間の女性との結婚が可能になる。「木と結婚するなんて・・・・」と思ってしまうが、「木婚」は世界でも非常に珍し
い結婚の形態といえるだろう。
また、ブラーマンでなくても、インドでは古来から結婚において奇数の数字が不吉とされているため、「奇数」を避け
るために、独身の男性があえて樹木と結婚するということもあったという。こうした習慣ができた背景には、男性の独身
者が未亡人と結婚すると、死後、魂が浄化されないという考え方があった。
2度目の再婚や4度目の再婚は偶数なので問題ないのだが、男の独身者が未亡人の女性と最初に結婚をする場合、
もしくは未亡人との結婚が男性にとって3度目の再婚となる場合には、縁起が悪いということになる。
そこで、奇数の場合には、1度、樹木と結婚したことにして、相手の未亡人との結婚が偶数回目になるように調整す
るのである(図表)。
結婚式の際には、まず、木の枝を折って腕輪の形にしたものが男性の手首に飾られる。そして、樹木との結婚で清
められた後、改めて未亡人と偶数回目の結婚をすることになる。もちろん、現在のインドではこのような風習はほとんど
なくなっている。
図表 インド男性が未亡人の女性と結婚する場合の手続き
結婚の回数
結婚相手
独身
樹木
再婚
未亡人
3回目
樹木
4回目
未亡人
5回目
樹木
次の結婚相手
未亡人
未亡人
未亡人
(出所)BRICs経済研究所作成
(注)現在のインドでは「木婚」の慣習はほとんど残っていない。
この資料はJPモルガン・アセット・マネジメント株式会社が、BRICS諸国の政治、経済、文化等の情報を提供するために、BRICs経済研究所の協力により作成したもので、証券取引法に基づいた開示書類では
ありません。この資料は特定のファンドもしくは個別銘柄への投資勧誘を目的としたものではありません。当資料は信頼性が高いとみなす情報に基づいて作成されていますが、弊社およびBRICs経済研究所
がその情報の正確性を保証するものではありません。また、当該意見・見通しは将来予告なしに変更されることがあります。またこの資料に掲載されている個別銘柄については、その売買の推奨を意図したも
のではなく、また弊社が運用するファンドへの組入れを示唆するものではありません。
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