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DME燃料利用機器開発事業制度の概要

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DME燃料利用機器開発事業制度の概要
DME燃料利用機器開発事業制度の概要
資料5
1.制度の目的
エネルギーの安定供給と環境制約の克服を同時に達成することは、我が国経済の持続的
成長にとって重要である。天然ガス等から製造されるジメチルエーテル(DME)は、硫
黄分を含まず、燃焼時において粒子状物質を全く排出せず窒素酸化物の排出量も少なく、
取扱いも簡便なことから次世代のクリーン新燃料として注目されており、民生用、発電用、
ディーゼルエンジン用、燃料電池用等の燃料として幅広い利用が期待されている。
このため、DMEを燃料とした機器の開発を行い、DME燃料の実用化・普及を促進す
ることにより、環境制約の克服と同時に、石油及び可燃性天然ガスの安定的かつ低廉な供
給の確保に資することを目的する(DME燃料利用機器開発費補助金公募要領)
。
なお、本事業は、経済産業省における【研究開発政策】
「クリーン燃料開発プログラム」
の一事業として開始され、
「クリーン燃料開発プログラム」の終了(平成16年度)にとも
ない、「燃料技術開発プログラム」
(平成17年度開始)内の開発制度として継承された。
更にDME燃料の普及・実用化については、これらの【研究開発政策】による成果を受
け継ぎ、
【エネルギー・環境政策】の中の施策「エネルギー源の多様化・エネルギーの高度
利用」、
「石油天然ガスの安定供給」により、実行が計画されている。
(図1.1)
DMEの開発は、他に「DME燃料実用化基盤整備事業」及び「環境負荷低減型燃料転
換技術開発」があり、クリーン燃料開発プログラム中の3つのDME関連事業によって、
DME製造・実用化・利用促進にかかわる一貫した研究開発が実施されている。
(図1.2)
1
<エネルギー・環境政策>
2007年版 エネルギー白書 巻頭言より抜粋
我が国を世界に冠たる省エネルギー国家とした省エネ技術のさらなる進展、原子力立国の実現、資源外
交やエネルギー・環境協力の総合的・戦略的な展開等を図ることで、エネルギー安全保障の確保と地球温
暖化問題の解決を同時に図るといった、今後のエネルギー政策の方向性も示しています。
研
究
開
発
段
階
か
ら
実
現
段
階
へ
事業の効果
(Intermediate Outcomes)
(施策)エネルギー源の多様化・エネルギーの高度利用
政策の実現
(Longterm Outcomes)
事業の効果
(Longterm Outcomes)
(施策)石油天然ガスの安定供給
<研究開発政策>
ー
ク
リ
施策目標:
自動車排出ガスに含まれる窒素酸化物等に低減資する技術
の開発、ガソリン硫黄分の低減技術の開発、石油製品に比べ
大幅に硫黄分等の環境負荷低減した石油製品かつ安定的な
供給及びDMEの普及、DMEを燃料とする新たな環境負荷低
減型機器等の開発、DME直接合成技術の開発
地球環境リスク
石油ガス合成技術実用化開発
事業 (補助金)(H19∼H21)
・地球温暖化
・環境悪化
(越境公害)
事業の効果
(Initial Outcomes)
(
)
︵
燃
料
H技
1術
7開
発
Hプ
2 ロ
2グ
ラ
ム
∼
統
合
Hン
1燃
4料
開
H発
1 プ
6 ロ
グ
ラ
ム
DME 燃料利用設備導入促進
(補助金)(H20∼H22)
D
M
E
関
連
事
業
群
DME燃料利用機器開発事業
(H14∼H18)
環境負荷低減型燃料転換技術開発
DME燃料実用化基盤整備事業
∼
ガソリン硫黄分低減化技術等の開発
事業
地球温暖化防止
国民負担との調和
◆DME燃料利用
機器の実験機
による実証
機D
器M
にE
よ燃
る料
実商
用業
実利
証用
D
M
の
E
普
燃
及
料
・
利
拡
用
大
機
器
先進的エネルギー技術
・産官の総合的エネルギー対策
・省エネルギー技術
・再生可能エネルギー技術
・新エネルギー技術
・既存エネルギー技術
・原子力平和利用技術
叡
智
無
限
国
民
的
合
意
の
形
成
国益との調和
石油精製技術向上
エネルギー供給不安
・資源保有国の資源戦略
・新興消費国の資源戦略
・反市場経済主義
精製分野における合理化
海外炭の安定供給確保
環境負荷の少ない石炭利用技術及
び普及
地球環境負荷低減
天
壌
無
窮
資
源
有
限
エネルギーセキュリティー確保
石炭利用技術向上
火力発電の高効率化のための技術
開発・高効率発電設備導入促進
天然ガス導入促進推進
天然ガス利用技術向上
メタンハイドレートの開発
新エネルギー技術向上
環境負荷物質対策
環境技術向上
他省庁も含むエネルギー・環境技術
図1.1
「DME燃料利用機器開発事業」の上位政策および施策における位置付け
2
経済的波及効果
)
研究開発活動
(Process、Activities)
事業の成果
(Outputs)
ガソリン硫黄分低減化技術等
の開発事業
・ゼロエミッション対応自動車用燃料技術
・石油燃焼機器クリーン・高度燃焼技術
・低エミッションオフロードエンジン技術
次世代石油燃料
大気改善研究開発
超クリーン石油系燃料
製造技術開発
DME燃料実用化基盤整備
DME燃料の安全性を
確保するための技術開発
ー
ク
リ
ン
燃
料
開
発
プ
ロ
グ
ラ
ム
D
M
E
関
連
事
業
群
DME流通インフラの
転用実証試験研究
DME燃料標準スペックの
確立研究
DME燃料利用機器開発【本制度】
(H14∼H18)
制度の指標:開発機器数
環境負荷低減型
燃料転換技術開発
大型ベンチプラント
運転研究
バックアップ研究
経済性評価
図1.2
事業の効果
(Initial Outcomes)
・軽質燃料油超クリーン化技術
・重質燃料油超クリーン化技術
・環境対応型高度精製オイル製造技術
・DMEの基本安全性・特性
・DMEの取扱い環境における安全性
・DMEの漏えい時の危険度
・DME保安対策技術
・実証試験設備
・実証試験設備における回転機器類の短期実運転で
の実証
・DME製造輸入スペック
・DMEの標準スペック:品質スペック
・試験評価方法
・DME大型ディーゼルエンジン発電システム
・DME焚きガスタービン低NOx燃焼器
・産業用重油焚きボイラのDME燃料転換システム
・DME・LPG対応型超低NOxマルチボイラ
・DME化学再生発電システム
・DME仕様りん酸形燃料電池
・自立型DME改質水素供給システム
・DME専用BOG回収スクリュー圧縮機
◆環境対応型機器・最適燃料品質
・ゼロエミッション対応自動車
・石油燃焼機器
・低エミッションオフロードエンジン
・ガソリン・軽油品質
◆クリーン燃料
・軽質燃料油
・重質燃料油
・環境対応型高度精製オイル
◆DME燃料に関する標準化
・LPガスとの相違点の明確化
・DME燃料の取扱い方法
・DME燃料に必要な安全対策
・DME燃料用のLPガスインフラ転用の
ガイドライン
・DME燃料の標準規格:品質、試験方法
◆DME燃料利用機器の実験機による
実証
・大型ベンチプラント
・大型ベンチプラントによる実証
・小型ベンチプラントによる要素研究
・商用規模でのDME製造
・商用規模プラントの概念設計
・製造コスト等の経済性
「DME燃料利用機器開発事業」の「クリーン燃料開発プログラム」における位置
3
<エネルギー・環境政策>
2.制度の必要性
経済産業省のDME燃料利用機器開発事業は、環境特性に優れ、取扱いも簡便なクリーンエネル
ギーとして期待されているDME燃料を実用化するために、DME利用機器の技術開発を行い、D
ME燃料の普及を図ることにより、環境負荷の低減に資する。しかし、開発に向けた難易度が高く
研究開発に要する費用も多額であり、機器開発にともなうリスクが極めて高いため、民間単独での
実用化は困難であると考えられる。
一方、本技術を実用化・商品化した際には、受益者となることから、開発者が経費の一部を負担
することにより事業を遂行することが適切である。
3.制度の概要
3.1
実施スキーム
図3.1に、①公募∼⑧評価までのフローを示す。
経済産業省資源エネルギー庁資源・燃料部石油流通課
図3.1 本事業のスキーム
④決定
③審査 採択
⑧評価委員会 評価
審査委員会
評価委員:採択時の審査委員
審査委員(学識経験者)
[報告会、現地調査、ヒアリング]
①公募
②提案
⑤補助金
申請
⑥補助金
交付
提案者(民間企業等)
・
⑦年度報告書提出
実施者(民間企業等)
補助率
・ 8研究開発グループ
: 補助対象経費の2/3以内
(13民間企業+1大学)
・ 補助事業の期間
: 原則として5年間程度以内
注)平成16年度まで、⑧について実施。
図3.1
3.2
制度のスキーム
補助事業となるための重要な判断要素
(DME燃料利用機器開発費補助金公募要領の抜粋)
<1> 補助金の交付申請者の対象となるための重要な判断要素
(1) 補助事業を的確に遂行する技術的能力を有すること。
(2) 補助事業を的確に遂行するのに必要な経費のうち、自己負担分の調達に関し、充分な経理的
基礎を有すること。
(3) 補助事業に係る経理その他の事務について的確な管理体制及び処理能力を有すること。
(4) 開発した機器の普及促進を行いうる能力を有すること。
4
(5) 二以上の補助事業者が共同して補助事業を実施しようとする場合は(1)から(4)のほか補助事
業及びその経費の分担区分が明確であること。ただし(4)については一以上の補助事業者が能
力を有していること。
(6) 補助事業者は、事業の実施によって生じた、いかなる損害賠償も当省が負わないことを了承
し、かつ、その実施に責任を有するものであること。
(7) 補助事業者間で事業内容の重複等が認められた場合は、効率的な研究を行うために、共同し
て研究を実施することを指示する場合があるので、予めこれを了承すること。
(8) 研究組合、公益法人等の名称で提案する場合、補助事業から得られた成果の実用化を図る計
画及びその実現について充分な能力を有している企業が参加しており、それぞれの明確な責
任と役割が示されていること。
(9) 補助事業者は、国内外法人を問わない。なお、国税を投資する観点から、補助事業者が補助
事業を日本国内で実施すること及び補助事業の成果の国内での優先的普及を図る計画を有す
ること。
(10) 補助事業者は、当省から提示された交付要綱及び交付要綱に基づく交付決定通知書に合意す
ること。
(11) 補助事業の一部でも分担ができる場合、補助事業に係る提案ができる。ただし、提案に際し
ては、補助事業全体の中での位置付けと、その目標を達成するための具体的な貢献について
明確化すること。
(12) 補助事業から、国民生活や経済社会への波及効果を期待できること。
<2> 補助事業となるための重要な判断要素
(1) 補助事業の実施内容
DMEは、クリーンな燃料であるが、燃料として使用された実績がなく、DME燃料利用機器の
開発を行うことが、DME燃料の実用化のためには必要不可欠である。特に、DME燃料実用化の
初期段階においては、産業用・工業用として需要を拡大し、規模の経済を働かせることによって、
DME燃料の価格低減を図ることが重要である。そのため、DME燃料の実用化を担いうるDME
を燃料とした産業用、工業用等の大型機器の開発を行う。
(2) 補助事業の仕様
DME燃料実用化の初期段階におけるDME燃料の需要を担う産業用、工業用等の大型機器を開
発。
・初期の導入のための市場があること
・将来的に普及するための市場規模があること
・従来燃料と比較し、環境に対する負荷が低減すること
5
3.3
補助金の交付対象となる経費
表3.1
区
補助金の交付対象となる経費
分
費
目
1.設備費
①機械装置費、②改造修理費、③保守費、④設備撤去費
2.労務費
①研究員費、②補助員雇上費
3.消耗品費等
①消耗品費、②光熱水料、③旅費・交通費、④委員会経費
⑤報告書作成費、⑥その他経費
4.一般管理費
上記経費を除く工場管理費、本社経費等の一般管理費
5.公租公課等
補助事業で取得した資産に係る固定資産税及び損害保険に要する経費
3.4
応募件数、採択件数、採択比率
表3.2
DME燃料利用機器開発事業における公募・採択状況
H14 年度
H15 年度
合計
751.5
748.3*
1,499.8
応募件数
5
5
10
採択件数
5
3
8
開発企業数
8
5
13
100
60
80
補助金予算額(採択初年度分)百万円
採択比率(%)
(注*:H15 年度採択案件に対する補助金予算額)
3.5
運営状況
(1) 運営状況の概要
本制度は、経済産業省資源エネルギー庁資源・燃料部石油流通課による直接の補助形式となって
おり、本制度の運営は同石油流通課にて行われている。
公募形式の本制度において、費用対効果の高い制度運用を行うためには、採択時の厳正かつ慎重
な審査、研究の進捗状況に対する定期的なチェックが重要であることから、本制度では、以下の①
∼③を実施している。
① 採択時における、有識者及び専門家による審査会委員による審査
②年度末の進捗状況評価(モニタリング)
③必要に応じ年度途中の調査
6
(2) 平成14年度採択分案件の状況
平成14年度内容
① 公募期間:平成14年8月12日∼平成14年9月6日
② 公募情報
・ 経済産業省公報(平成14年度8月12日付けで掲載)
・ 経済産業省ホームページに掲載(平成14年度8月12日付けで掲載)
・ なお、公募説明会は実施せず。
③ 提案書の提出(予算は、全研究開発年度分記載)
④ 審査
・ 外部有識者の指摘等を参考に審査
・ 提案者の上記に対する回答(11月初旬∼12月中旬)
⑤ 採択者決定
・ 公募案件5件に対して5件採択
⑥ 採択者決定通知(平成15年1月)
⑦ 平成14年度開発費補助金交付申請書提出(1月下旬∼2月初旬)
⑧ 補助金交付(2月5日∼2月17日)
⑨ 研究開始 (2月5日∼2月17日)
平成15年度内容
① 平成15年度開発費補助金交付申請書提出(4月初旬∼7月中旬)
② 審査(省内審査)
③ 補助金交付決定(4月1日∼8月1日)
④ 研究開始(4月1日∼8月1日)
⑤ 実施者側から、自己評価票の提出(審査会の事前資料 平成16年2月25日)
⑥ 審査会実施:平成16年3月10日(場所:経済産業省)
⑦ 現地研究施設の査察(平成16年3月30日)
[1箇所]
(3) 平成15年度採択案件の状況
平成15年度内容
① 公募期間:平成15年6月2日∼平成15年6月27日
② 公募情報
・ 経済産業省公報(平成15年度5月30日付けで掲載)
・ 経済産業省ホームページに掲載(平成15年度5月30日付けで掲載)
・ なお、公募説明会は実施せず。
③ 提案書の提出(予算は、全研究開発年度分記載)
④ 審査
・ 審査会による審査(委員:4名)
⑤ 採択者決定通知(平成15年11月10日)
⑥ 平成15年度開発費補助金交付申請書提出(11月21日∼11月25日)
⑦ 補助金交付決定(11月28日)
⑧ 研究開始(12月1日∼)
⑨ 経済産業省石油流通課によるヒアリングの実施(平成16年3月12日)
・ 実施者から自己評価票の提出
・ 事業成果並びに平成16年度事業及び将来事業計画の説明
7
(4) 平成16年度以降の運営状況
平成16年度内容
① 評価(平成17年3月3日)
・ 評価委員会による技術評価(委員:4名)
② 平成16年度開発費補助金交付申請書提出(3月中旬∼6月下旬)
③ 補助金交付決定(4月1日∼7月1日)
④ 研究開始(4月1日∼7月1日)
平成17年度内容
① 平成17年度開発費補助金交付申請書提出(3月中旬∼8月上旬)
② 補助金交付決定(4月1日∼8月1日)
③ 研究開始(4月1日∼8月1日)
平成18年度内容
① 平成18年度開発費補助金交付申請書提出(3月中旬∼7月下旬)
② 補助金交付決定(4月3日∼8月1日)
③ 研究開始(4月3日∼8月1日)
8
4.採択テーマ概要
4.1
補助金額及び採択テーマ
表4.1
開発費総額、補助金額
単位:百万円
H14
H15
H16
H17
H18
総額
予算額
751,500
1,496,600
1,391,792
380,100
296,478
4,019,992
補助金確定額
378,559
693,857
888,890
428,337
150,104
2,539,747
表4.2-a
平成14年度採択分事業テーマ
テーマ名
事業者
DME大型ディーゼルエンジン発電シ ・JFEエンジニアリング㈱
ステムの開発
開発期間
(年度)
H14∼H18
・ダイハツディーゼル㈱
・岩谷産業㈱
DME焚きガスタービン低NOx 燃焼 ・三菱重工業㈱
器の開発
H14∼H15
(H15/2∼H16/7)
産業用重油焚きボイラのDME燃料転 ・出光エンジニアリング㈱
H14∼H18
換システムの開発
DME・LPガス対応型超低NOx マル ・㈱ヒラカワガイダム
チボイラの開発
H14∼H16
(H15/2∼H17/6)
DME化学再生発電システムの開発
・㈱東芝
H14∼H18
・関西電力㈱
表4.2-b
平成15年度採択分事業テーマ
テーマ名
DME仕様りん酸形燃料電池の開発
(H15/2∼H19/7)
事業者
・新日本石油ガス㈱
開発期間
(年度)
H15∼H17
・東芝インターナショナルフュ
エルセルズ㈱
自立型DME改質水素供給システム開 ・住友精化㈱
発
H15∼H17
・電源開発㈱
DME専用BOG回収スクリュー圧縮 ・㈱前川製作所
機の開発
9
H15∼H17
4.2
採択テーマの概要
表4.3-a
開発機器
目
平成14年度採択テーマの概要
的
概
要
の名称
DME大
DMEはセタン価が高くディーゼルエ
世界的にも例のない大型・中速DMEディーゼ
型 デ ィ ー ンジンでの燃焼に適しており、特に排ガ ルエンジン(1,250kW クラス)を試作し、性能評
ゼ ル エ ン ス性状の大幅な改善が期待できる。今後 価と長期耐久試験を行う。併せて、DME国内長
ジ ン 発 電 ま す ま す 普 及 す る と 見 込 ま れ る 自 家 距離輸送、DME燃料添加剤選定、機関潤滑油開
シ ス テ ム 用・事業用分散発電設備を適用対象とし 発、DMEの選択還元性を利用した脱硝触媒開発
の開発
て 、 中 ∼ 大 型 設 備 の 中 心 規 模 で あ る など、DMEディーゼルエンジン発電システムの
1,000∼5,000kW 級DMEディーゼルエ 実用化に必要な一連の要素試験及び技術開発を
ンジンを開発し、効率と環境適合性を両 総合的に実施する。
立させたDME分散発電システムの早
期実用化を図る。
DME焚
従来の天然ガス焚きと同等もしくは優
ガスタービンを対象として、DME燃料を効率
き ガ ス タ れたDME焚き低NOx 燃焼機器の開 良くかつ低公害で燃焼させるための条件を実機
ー ビ ン 低 発を行い、高効率なコンバインドサイク の条件(圧力、空気温度)を再現できる基礎バー
NOx 燃焼 ルに適用できることを検証し、DME燃 ナで明らかにする。また、DMEに適した低NO
器の開発
料の普及を図る。
x バーナ用の予混合ノズルの開発を行い、実機運
転での高い信頼性、運転性、安全性を検証するた
め実機燃焼器を用いた実圧燃焼試験を行う。
産業用重
DMEは産業用燃料として普及した後
産業用重油焚きボイラの燃料転換に伴う改造
油 焚 き ボ にディーゼルエンジンや民生機器等へ 規模を最小とするDMEの液燃システムを開発
イ ラ の D 波及すると考えられ、産業用燃料として する。併せて、燃料転換によるボイラ能力低下を
M E 燃 料 の利用技術を確立し需要創出を図るこ 改善する燃焼方式の開発、設計仕様の異なるボイ
転 換 シ ス とは急務である。そこで、産業用重油焚 ラに対する炉内集熱パターンを予測する燃焼シ
テ ム の 開 きボイラを簡易な改造でDME焚きに ミュレーション技術の開発、実ボイラでの実証試
発
転換する技術を開発し、DMEの利用促 験など実用化のための総合的な技術開発を行う。
進と既存ボイラのクリーン化を図る。
DME・L
本事業の目的とする所は、DMEを燃
目的達成のための最大のポイントは、管巣燃焼
P ガ ス 対 料とするマルチボイラによる普及・促進 技術の導入にあり、(1)DMEを主燃料とするマ
応 型 超 低 と、環境制約を克服する超低NOx 化を ルチバーナシステムの開発、(2)管巣燃焼による
NOx マル 併せて進める技術として、従来の燃焼方 火炎冷却機能による低NOx 技術と伝熱、(3)大
チ ボ イ ラ 式である燃焼室空間に水管群を配置し 型マルチボイラ設計基準の構築を進めることに
の開発
た管巣燃焼技術を導入し、DME及びL ある。
Pガスにも適用可能なマルチボイラを
開発する。
10
開発機器
目
的
概
要
の名称
DME化
ガスタービンの排ガスを熱源として燃
システムのキー技術となる、加圧条件での水蒸
学 再 生 発 料の水蒸気改質(吸熱反応)を行い、排 気改質反応に対して、高いDME転化率とH2 選
電 シ ス テ 熱を燃料エネルギーに変換して発電効 択率が得られ、ガスタービン排ガス温度域で使用
ムの開発
率の向上を図る化学再生サイクルにつ 可能な触媒を見出すため、改質基礎試験と改質加
いて、本事業では燃料として新たにDM 圧試験を行い、触媒の改質特性を把握し、特性に
Eを適用し、発電効率向上と環境負荷低 合致したシステムの最適化検討を行う。更に改質
減を同時に達成し得る中小型発電シス 器と燃焼器について要素試験を行い、設計の妥当
テムを構築することを目的としている。 性を検証する。また、DME化学再生システムの
実証試験を行い、システムとしての性能、運用性
等を検証する。
11
表4.3-b
開発機器の
目
平成15年度採択テーマの概要
的
概
要
名称
DME仕様
りん酸形燃料電池の燃料として
燃料電池システム開発において、DMEの物性の
り ん 酸 形 燃 新たにDMEを適用し、DME燃 違いによるりん酸形燃料電池システムのマス&ヒ
料 電 池 の 開 料電池システムの検証を行うとと ートバランスの見直しと、それに伴う構成機器類の
発
もに、並行してりん酸形燃料電池 仕様変更、制御ソフトの変更等を実施するととも
用の最適改質触媒の選定を行う。
に、DMEの侵食性に対して燃料供給設備を含めた
また、選定された触媒を用いて 使用部材の見直し、選定を実施する。
運転を行い、耐久テスト及び実用化
の確認も行う。
燃料改質器の触媒選定については、DMEを燃料
とするりん酸形燃料電池の実例がないため、実機に
充てんする前にベンチスケール試験による検討を
行う。これらに加え運用・保守点検方法についても
検討を行う。
自立型DM
DMEを原燃料とし、システム内
開発するシステムは、DME改質装置、SOFC
E 改 質 水 素 の動力を全てSOFC(固体酸化 及びPSA(ガス精製装置)で構成され、システム
供 給 シ ス テ 物形燃料電池)から、供給する自 内動力を全てSOFCから供給可能な自立型を想
ム開発
立型の水素供給システムを開発し 定し設計を行う。このコンセプトを評価するため、
て、将来の水素供給システムとし SOFCを除いたDME改質器及びPSA等から
て適用できることを検証する。
なる簡素化したシステムを設計・製作して、フィー
ルド試験を実施。
フィールド試験及びSOFCの単セル試験装置
等を用いた模擬試験等で得られるデータを用いて
全体システムのシミュレーションを行い、水素供給
システムの検証を行う。
DME専用
DME流通システム確立のため、
油冷式スクリュー圧縮機は、多くのガス圧縮機に
B O G 回 収 海上輸送、受入基地、内陸輸送、 おいて実績を持つが、DME燃料等の溶媒性のある
ス ク リ ュ ー 中継基地等の一連の輸送・貯蔵に ガスを圧縮する場合は、潤滑油中にガスが溶け込む
圧 縮 機 の 開 必要なDME専用BOG(ボイル ことにより潤滑油粘度が低下し、軸受の異常摩擦や
発
オフガス)回収スクリュー圧縮機 メカニカルシールなどのシール材の膨潤、浸透によ
を開発する。
る可燃性流体の漏洩が問題となる。本事業では、そ
れらの問題点を解決するとともに、DME燃料中へ
のオイル混入量を最小限とするDME専用BOG
回収スクリュー圧縮機を開発する。
12
5.事業制度の目標及び目標達成状況
5.1
DME利用分野と本制度採択テーマの関係
DME供給インフラ概念図を図5.1に、DME利用分野を表5.1に、本事業制度の開発分野を
表5.2に示した。
表5.2から、本事業制度による開発で、運輸部門のディーゼル車、民生部門等を除いて、DM
Eの利用分野の機器開発をほぼカバーしており、テーマ選択の観点から本事業制度は成果を上げて
いるといえる。
図5.1
DME供給インフラ概念図
表5.1
DME利用分野
大分類
利用機器
集中型発電:ボイラ/タービン、ガスタービン
燃料
燃焼
分散型発電:ディーゼルエンジン、マイクロガスタービン
ディーゼル自動車
民生/工業用:民生用(家庭用コンロ等)、工業炉、ボイラ
改質
水素化し燃料電池(発電用、自動車用)
メタン化しSNG製造
化学原料
図5.1、表5.1の出典:
「新エネルギーDMEはどこまで有望なのか」:石油/天然ガスレビュー 2003.9
(独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構
13
本事業制度の開発分野
化学原料
DME焚きガスタービン低NOx 燃焼器の
◎
開発
産業用重油焚きボイラのDME燃料転換
〇
システムの開発
〇
DME・LPガス対応型超低NOx マルチ
◎
◎
ボイラの開発
DME化学再生発電システムの開発
◎
DME仕様りん酸形燃料電池の開発
◎
自立型DME改質水素供給システム開発
◎
の開発
他
◎
テムの開発
DME専用BOG回収スクリュー圧縮機
メタンSNG
改質
燃料電池
ボイラ
工業炉
民生/工業用
民生
運輸
ディーゼル車
DME大型ディーゼルエンジン発電シス
ディーゼル
発電
ガスタービン
ボイラ
流通インフラ
表5.2
◎
注:◎印は、開発テーマの目的の分野を表し、〇印は間接的に効果の有ると見られる分野を示す。
5.2
本制度の目標、指標
燃料技術開発プログラムの平成17年度事前評価書において、本事業の目標、指標は次のように
規定されている。「DMEは硫黄分を含まず、燃焼時において粒子状物質を全く排出せず、窒素酸
化物の排出も少ない等、環境負荷の少ないクリーンな新燃料として期待されている。しかし、DM
Eは、未だ燃料として利用された実績がなく、燃料とする機器も、まだ開発されていないため、D
ME燃料利用機器の開発を行うことにより、DME燃料の早期実用化及び普及の促進を図り、もっ
て環境問題の解決に資することを目標とする」
。
また、本制度の目標達成時期及び開発期間が最長の採択テーマの終了時期は、平成18年度(2
006年)となっている。
① 目標
クリーンな新燃料として期待されるDME燃料の実用化及び普及を図るため環境負荷低減に資
する技術開発を行う。
(a) 平成18年度末までに、1,000∼5,000kW級のDMEディーゼルエンジン発電シス
テムを開発する。
14
(b) 平成18年度末までに、産業用重油焚きボイラの燃料転換に伴う改造規模を最小とするDME
の液燃システムを開発する。併せて、燃料転換によるボイラ能力低下を改善する燃焼方式の開
発、設計仕様の異なるボイラに対する炉内集熱パターンを予測する燃焼シミュレーション技術
の開発、実ボイラでの実証試験など実用化のための総合的な技術開発を行う。
(c) 平成16年度末までに、DMEを主燃料とするマルチバーナーシステムの開発、管巣燃焼を用
いた火炎冷却機能による低NOx 技術の開発、大型マルチボイラ設計基準の構築を行う。
(d) 平成18年度末までに、改質基礎試験と改質加圧試験を行い、触媒の改質特性を把握、DME
の特性に合致したシステムの最適化検討を行う。更に、改質器と燃焼器について要素試験を行
い、設計の妥当性を検証する。また、DME化学再生システムの実証試験を行い、システムとし
ての性能、運用性等を検証する。
(e) 平成17年度末までに、燃料として新たにDMEを適用した燃料電池システムの検証を行うと
ともに、りん酸形燃料電池用の最適改質触媒の選定を行う。また、選定された触媒を用いて運
転を行い、耐久テスト及び実用化の見極めも行う。
(f) 平成17年度末までに、DMEを原燃料とし、システム内の動力を全てSOFC(固体酸化物
燃料電池)から供給する、自立型の水素供給システムを開発し、その検証を行う。
(g) 平成17年度末までに、海上輸送、受入基地、内陸輸送、中継基地等の一連の輸送貯蔵に必要
なDME専用BOG(Boil off Gas:タンク内で、撹拌、大気からの入熱などにより発生する
ガス体)回収スクリュー圧縮機を開発する。
② 指標
個々のDME燃料利用機器の開発
(a) 機関熱効率LHV(低位発熱量)42∼45%のDMEディーゼルエンジン発電システムの開
発(DME以外の既存燃料によるディーゼル機関と同程度)
排ガス NOx は、大都市圏の規制値をクリアする 110ppm 以下。
(b) 低圧液燃焼のシステム達成(ターンダウン比1:3における供給圧力3.8MPa以下)
(c) NOx 排出量30ppm 以下
(d) DME水蒸気改質触媒の特性検証
(e) 燃料改質触媒の耐久性の検証
(f) DME改質水素供給システムの適用性の検証
(g) すべり軸受けの偏芯率を0.75以下
③ 研究開発関連の共通指標
・ 論文数及びそれら論文の被引用件数
・ 特許等取得した知的所有権数、それらの実施状況
・ 特に、製品化に際してのライセンス供与数、取得ライセンス料
・ 国際標準形成への寄与
5.3
各テーマの成果概要
各テーマの成果概要を表5.3に、技術的波及効果を表5.4に示した。
15
表5.3
採択
各テーマの成果概要(平成19年3月時点)
開発期間
年度
テーマ名
(年度)
H14
DME大型ディーゼ
H14∼H18
成果概要
一連の要素研究および実証試験を予定どおり終了し、性
ルエンジン発電シス
能目標を達成すると共に、DME大型ディーゼルエンジ
テムの開発
ンの実用化に向けた総合的な技術を確立した。
DME焚きガスター
H14∼H15
気化燃焼/液体燃焼での実圧燃焼性能確認を行い、DM
ビン低NOx 燃焼器
(H15/2∼
E燃料が高効率なコンバインドサイクルに適用できる
H16/7)
目処を得た。今後適用先の運用を考慮した詳細な確認が
の開発
必要となる。
産業用重油焚きボイ
H14∼H18
DMEの液燃焼技術を確立。既存の重油ボイラで、重油
ラのDME燃料転換
バーナを用いたままDMEに燃料転換し、1 年間の長期
システムの開発
試験を実施。結果、燃焼安定性、システムの安全性、耐
久性、排ガスのクリーン化など、実用化に必要な各要件
を総合的に実証した。
ワイドレンジバーナの採用により、燃料圧力3.0MPa 以
内でターンダウン比1:4 以上を実現。目標値を上回る負
荷調整範囲を確保した。
独自の燃料孔構造により、DMEの輝炎燃焼を実現し
た。これにより、最大で2割の輻射伝熱向上効果が得ら
れることを、実際のボイラで確認した。
独自のDME燃焼モデル開発し、高精度での輻射伝熱量
予測を可能とした。
当該モデルを実際のボイラに適用し、実際の測定データ
と比較することで、モデル精度の立証するとともに、さ
らなるモデル改善を図った。
DME・LPガス対
H14∼H16
1t/h マルチボイラにおいて、当初の目標であるNOx
応型超低NOx マル
=10ppm 以下を達成し、10t/h マルチボイラのフィ
チボイラの開発
ールドテストでも、DME燃料においてはNOx=10
ppm 以下を達成
これらの成果をベースに、ボイラの大型化設計とシリー
ズ化を行った。
DME化学再生発電
システムの開発
H14∼H18
DME水蒸気改質反応に適した触媒を選別し、加圧改質
試験装置を設計・製作した。また同触媒の特性に合致し
た発電システムの予備解析を実施した。平成16年度以
降、改質基礎試験、加圧改質試験、システムの最適化検
討、要素試験および実証試験を行なった。
16
H15
DME仕様りん酸形
H15∼H17
新改質触媒を用い、50∼200kWの出力運転試験を
燃料電池の開発
実施し、累計運転時間
1744時間、累計発電量
2
34,100kWhに達し、目標性能を確認した。運転
終了後、燃料電池本体、DMEと接触する機器の点検、
特性試験を実施した結果、異常は認められず、DMEは
燃料電池の原燃料として利用できることを確認した。
自立型DME改質水
H15∼H17
SOFC が組込まれた全系システムを極力模擬した自立性
素供給システム開発
確認試験モード運転を行い、本コンセプトが実現可能で
あることを、フィールド試験にて確認し、週末停止をベ
ースとした連続運転試験を実施し、625 時間の連続運転
を達成すると共に、全期間を通じて 1,100 時間を超える
運用を行った。システムの正味プラント効率は 58.3%で
あり、本システムの優位性を示した。
DME専用BOG回
H15∼H17
平成17年度にフェールセーフ型メカニカルシール
収スクリュー圧縮機
を開発し、これを組み込んだシステムの運転研究、実用
の開発
規模を想定したシステムの検討を研究実施し、すべり軸
受の偏芯率、DMEガス中の潤滑油混入率に関する目標
を達成し、現在商用機の販売を進めている。
表5.4
技術的波及効果(平成20年3月時点)
特許
出願数
(内外国
出願)
原著
学会等
新聞等で
社外表彰
論文数
講演数
の発表数
など
2002 年度
0
0
0
0
1
0
2003 年度
4
0
4
0
0
0
2004 年度
2
1
8
5
3
0
2005 年度
5
0
11
15
4
0
2006 年度
8
1
8
9
3
0
2007 年度
0
1
11
21
3
2
合計
19
3
42
50
14
2
(注:複数社で実施しているテーマについては、テーマとしての件数)
【学会賞】
「DME化学再生発電システムの技術開発」については、日本ガスタービン学会技術賞を受賞
「DME大型ディーゼルエンジン発電システムの開発」については、日本エネルギー学会進歩賞(技
術部門)を受賞
17
6.中間評価の結果
6.1
中間評価の経過
平成16年度におけるDME燃料利用機器開発事業制度中間評価は次のように実施された。
1)審議経過
第 1 回 DME 燃料利用機器開発事業制度評価検討会(平成16年 9 月 15 日)
第 2 回 DME 燃料利用機器開発事業制度評価検討会(平成16年11月 1 日)
産業構造審議会産業技術分科会第 12 回評価小委員会(平成17年3月25日)
・評価検討会の原案通り、中間評価結果は了承された。
2)DME燃料利用機器開発事業制度評価検討会
座長 宮本 登
委員名簿
北海道大学名誉教授
委員 飯田 訓正 慶應義塾大学理工学部システムデザイン工学科教授
委員 浦田 隆
いすゞ自動車㈱技術本部開発部門パワートレイン担当執行役員
委員 小峰 裕
日本LPガス団体協議会企画委員会委員
委員 田中 雅
中部電力㈱ 電力技術研究所研究主幹
委員 藤本 暸一 早稲田大学知的財産戦略研究所客員教授
事務局:資源エネルギー庁資源・燃料部石油流通課
6.2
DME燃料利用機器開発事業制度評価検討会(中間評価)における評価結果
1)制度の目的及び必要性
DME燃料の導入・普及のための技術開発は、DMEがクリーン燃料として環境対策の観点から
優れているばかりでなく、石油代替燃料としてエネルギーセキュリティの確保及び一次エネルギー
源の多様化の観点からも重要である。
また、現在、燃料としてのDMEの市場がなく、ビジネスが不透明な状態でのDME利用機器開
発には大きなリスクを伴うため、民間だけに委ねるのは困難であり、国の支援が必要であることか
ら、本事業の制度の目的、必要性は妥当である。
最近の原油価格の高騰に見られるように、エネルギー価格は不安定であり、乱高下するのでエネル
ギー供給オプションの多様化、それを使用するための利用技術の体系を構築する必要があり、本制
度の目的・必要性は、制度開始時点に比較してますます強まっていると考えられる。
2)制度の目標達成状況
ほとんどの採択テーマは開発途上であるが、制度利用者のアンケート調査結果から進捗状況はお
おむね計画に沿っていると評価でき、目標達成に向け、今後の一層の努力を期待する。
採択テーマは、DME燃料の実用化に直結する技術開発として、テーマごとに定量的目標・指標が
設定されており妥当である。
目標達成時期については、開発期間が長いテーマでも平成18年度までとなっており、国内外の
DME燃料の開発動向から見て妥当である。
18
なお、当該技術開発終了から実用化までの必要ステップ、スケジュール(実用化ロードマップ)の
策定の有用性を指摘する意見もあった。
3)対象者とその採択状況
本制度を活用している対象者は、それぞれの分野で実績と高い開発力を持っている企業と判断で
きること、また、アンケートの結果から、制度利用者は本制度の目的を十分認識しており、開発終
了後に実用化のシナリオを持っていることからも目的に照らして妥当である。
また、公募情報を経済産業省公報及び同省ホームページに掲載したこと、プロジェクト採択に関
して平成14年度は外部有識者の指摘を参考に制度推進者が審査し、平成15年度は学術経験者等
からなる審査会において審査を行っており、平成14年度、平成15年度で選定プロセスは若干異
なるが、公募・選定のプロセスはおおむね妥当であった。
なお、応募件数10、採択件数8とDME燃料実用化という新規事業分野を目指したプロジェクト
であるために、応募企業が少ないことは理解できるが、多くの企業が応募する広報手段の工夫が必
要であったのではないかという意見もあった。
4)制度の運営状況に係る評価
審査会委員に対するヒアリング結果や制度利用者に対するアンケート結果から判断すると、プロ
ジェクト技術関連情報の交換、開発への情報がフィードバックされていること、関係者間の連絡・
調整などが機能していること、更に、提案公募方式の採用及び補助率を2/3以下とし受益者負担
を求め、意欲のある企業の参加を募ったことから、おおむね制度の運営は妥当であった。
他の制度等と一部重複しているが、問題とはならない程度の重複であるという意見があった。
中間評価の時期については、採択事業が平成14年度あるいは平成15年度の開始で平成17年
度ないしは平成18年度終了であることから、評価結果を制度運営に的確に反映させるためには早
期の評価が望ましく、ほぼ中間に当たるこの時期の評価は妥当である。
採択事業者へのアンケート、採択審査委員及びユーザー等へのヒアリングは、本制度推進の意義、
位置付けを再確認、再認識する上で有効な手段であった。
なお、開発を効率的、発展的に進める上で、開発に係わる情報・意見交換の場は重要であり、審
査委員等による現地研究施設の調査、年度末の進捗状況評価(モニタリング)、各採択事業者の実
施状況、中間評価結果、他の類似制度による開発状況、成果についての情報交換の場を多く持つこ
とを要望する。
また、我が国の予算制度上からやむを得ない面もあるが、予算の決定から公募、採択、実施までの
期間を早める工夫が必要である。
5)制度目的から見た成果
制度利用者に対するアンケート調査結果等から判断すると、本制度による助成によりDME燃料
利用機器開発が促進されており、本制度の目的を達成していると評価する。
また、ユーザー等のヒアリング結果から判断して、産業界等ユーザ−は本制度によるDME燃料
利用機器開発の成果に期待し、高い関心を持っている。
本制度による助成で各技術開発が達成すれば、より実用化に対しての課題が明確になり実用化が促
進されると判断する。
19
なお、今後の国際的な展開を考慮して、国際特許の積極的な取得が必要である。
6)問題点・改善策
本制度の成果としては、現在多くの開発テーマが開発途上で、研究開発の成果を評価するには早
計であり、引き続き開発実施状況のフォローアップを適宜行う必要がある。
実用化を想定して、技術的課題の解決とともに、供給や利用に必要な社会的・法的環境整備が必
要であり、更に、一般社会に向けた普及啓発等により、DME利用に対する関心を高める必要があ
る。
本制度終了後の本格的な実用化開発に関しては、DME燃料の市場が未形成の場合には、新たな支
援制度について柔軟な検討が必要であるとの意見もあった。
7)総合評価
本制度は、上位施策のエネルギーの安定供給及び環境保全に寄与し、社会的ニーズにも合ってい
る。引き続き国の政策的支援の下で研究開発を進めていく必要があり、現時点で、制度の目的・必
要性を特に変更する必要性はなく、提案公募型研究開発制度として妥当なものであると総括する。
本制度の成果としては、現在多くの開発テーマが開発途上であり、引き続き開発実施状況のフォ
ローアップを適宜行う必要がある。
20
6.3
中間評価指摘事項に対する対応
中間評価時の指摘事項に対する対応を表6.1に示す。
表6.1
中間評価時指摘事項にたいする対応状況
指摘事項
1
対応事項
引き続き開発実施状況のフォローアップ
を適宜行う必要
本事業の開発状況の結果を踏まえ、平成
20年度からDME燃料利用設備導入促
進事業としてボイラーの導入に対する補
助を開始する予定である。
2
供給や利用に必要な社会的・法的環境整備
が必要
DME燃料の供給に向け、民間会社にお
けるDME製造プラントの建設が行われ、
設備導入促進事業も予定されており、利用
を促進させる。
3
一般社会に向けた普及啓発等により、DM
E利用に対する関心を高める必要
エネルギー基本計画(平成19年3月閣
議決定)においては、新燃料の利用促進が
示され、短期的には、産業部門を中心にL
Pガスを補完するものとして利用拡大を
目指すことが重要であるため、DME利用
設備の導入促進等を行うと示されている。
4
DME燃料の市場が未形成の場合には、新
たな支援制度について柔軟な検討
供給面においては、平成20年に民間会
社によるDME製造プラントが建設され
製造が開始される予定であり、需要面では
平成20年度より、DME燃料利用設備導
入促進事業(補助金)を開始する予定であ
る。
21
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