...

4月24日~25日 事業検討開始 : 7 月 1日

by user

on
Category: Documents
5

views

Report

Comments

Transcript

4月24日~25日 事業検討開始 : 7 月 1日
<事業検討スケジュール>
事業提案の募集
事業検討開始
中間発表
最終発表
: 4月24日~25日
: 7 月 1日
: 9 月29日
:12月 1日
ポイント!
1.循環型による高品質肥料の開発 (有機ミネラル発酵肥料)
・生ゴミなど成分が不安定な原料から、品質の安定した肥料を製造する技術の開発
2.高品質野菜の栽培による野菜のブランド化 (有機ミネラル野菜)
・土壌診断、ミネラルバランス土壌による高品質野菜の栽培
3.健康への貢献度評価 (品質評価と生理作用による検証)
・消費者のニーズに伴う、野菜の味・栄養・ミネラル等の分析と生理作用の評価
4.消費者、肥料会社、農家との連携(地域連携による地産地消)
・循環型社会を支えるゾーニングと連携システムの構築
1 背景及び目的
近年、産地偽装や輸入野菜の基準値を大幅に超える残留農薬、事故米の食品への転化など、食の安全
や信頼が大幅に失われている。これらの課題は、本来国が対処すべきことであるが、背景に食料自給率
の低下や農業が直面する課題が山積していることが挙げられる。このため、市民意識調査の結果から最
も関心の高い健康への懸念は、国任せでは解決できない状況になっている。
ここでは、農業が直面する課題の中で、食に関する課題を幅広く整理し、一つの解決策として、食循
環システムの事業提案をするものである。
(1) 都市農業の現状(H17年度)
横浜市の現状
農地割合: 農地面積(3,370ha) / 市域面積(43,547ha) = 7.7 %
産出額の割合: 農業産出額(102億4千万円) / 総算出額(12兆6814億円)= 0.08 %
従業員数の割合: 農業従事者(6,577人) / 総従事者数(1,699,750人)= 0.39 %
(2) 農地・樹林者所有者へのアンケート (H19.9)
ア 農地を保有し耕作で続ける上での課題は?(有効回答数774人)
1 位 相続を乗り切れること
3大要因
税金・収入・後継者
都市農業の収入は?
高い or 低い?
2 位 農業で高収入が得られること
3 位 農業以外の安定収入が得られること
4 位 固定資産税等の税金の軽減
5 位 後継者ができること
イ あなたは、今後も農業を続けたいですか?
は い
2%
23%
29%
どちらともいえない
46%
いいえ
回答なし
(参考 H19年度 神奈川県平均)
農業収入
農外収入 年金等収入
農外支出
農業経費 公租公課
可処分所得
581万円 +1042万円 +75万円 - ( 483万円 + 369万円+395万円)= 451万円
(3) 市民意識調査 (H19年度)
<心配ごと>
「自分の病気や老後のこと」がほぼ4割
心配ごとや困っていることについては、
「自分の病気や老後のこと」
(39.3%)がほぼ4割で最
も多く、次いで「家族の健康や生活上の問題」
(33.7%)
、
「犯罪や防犯のこと」
(24.6%)
、
「景気
や生活費のこと」
(24.6%)などの順となっている。
2
(4) 食料・農業・農村の役割に関する世論調査(内閣府調査結果)
(2008.11.16 日本経済新聞掲載記事)
ア 食料の多くを輸入に依存している現状について
「外国産より高くても食料を国内で作る方がよい」 93.9%
イ 食料の生産・供給について
「外国産より高くても、できるだけ国内で作る方がよい」 51.5%
「米など基本的な食料は国内で作る方がよい」 42.4%
「外国産の方が安い、食料は輸入する方がよい」 3.1%
ウ 必要な施策について
「国内生産の拡大に向けた取り組み」 最多の 53.1%
「食育の推進など消費面からの取り組み」 36.0%
「生産者の自主的な取り組みに委ねる」 7.2%
* 調査は、全国20歳以上の男女5千人を対象に、9月11日から同28日にかけて面接方式で実施(有
効回収率 62.9%)
(5) 野菜に含まれる鉄分の経年変化 (1951-2000年)
鉄分の年度別減少比較 (科学技術庁 「日本食品標準成分表」)
《 減少率 2000/1951 》
にんじん
ほうれん草
大 根
りんご
鉄の他に、亜鉛、マグネシウ
ムなどミネラル全体が減少
-90.5%
-84.6%
-80.0%
-100%
2 提案概要
(1)食・資源の循環システムの形成
肥料工場、農家、消費者がそれぞれの役割を担い、食・資源の循環システムを構築することで、
以下のことが可能になる。
① 高品質なミネラル野菜の生産とブランド化
・ 野菜のブランド化は、品質と販売価格の安定化を促し、農業経営の支援策になる。
・ 消費者に品質の高い野菜を提供することが可能となる。
② 安全で美味しい野菜の品質確保と健康維持への貢献
・ 品質の良い肥料や高度な栽培技術を提供することで、高い品質が保たれる。
・健康維持との相関を明確にし、品質の良い野菜の効果を明確にする。
③ 食品残渣など都市廃棄物の資源化と地場野菜の流通促進による地産地消
・ 新技術の開発で、肥料の品質改善を図り、食品残渣等の資源化を促進する。
・原料及び野菜の地産地消による環境負荷軽減を図り、循環型社会を形成する。
3
<連携のイメージ図>
剪定枝チップ
畜産糞尿、他
肥料原料
(食品残渣)
ミネラル野菜のブランド化
消費者
(保育園・小学校
・大学、市民等)
品質確保と健康維持
堆肥工場
食品残渣の資源化と地産地消
役割 : 品質管理
役割 : 分別処理
品質管理
トレーサビリティ
農
土壌診断
ミネラル肥料
家
役割 : 栽培管理
(2)H21年度の連携事業
畜産業や農地が集中する戸塚区、栄区、泉区を中心にモデル事業として展開する。
大学、企業の協力により、新技術の開発や品質管理方法を確立する。また、その後の実プランの
事業展開は、PFI等による民間の資金や運営主体によって実施する。
4
(3)コストシミュレーション
新技術の開発や品質管理手法の確立を検証するため、モデル事業資金として算出した。実プラン
トの建設に伴う費用は、民間資本や国等の補助事業を活用して実施する。
(4)H21年度の事業スケジュール
野菜の品質管理とミネラル有機肥料の開発は、事業化の効率を図るため並行して行う。
5
3 横浜薬科大学、鎌倉女子大学の協力(連携の機能を支える品質管理)
(1) 予防医学に取組む横浜薬科大学では、高品質のミネラル有機野菜の栄養とその生理作用につい
て検証する。また、管理栄養学に取組む鎌倉女子大学との連携により、ミネラル野菜を使ったヘ
ルシー料理の開発や栄養学上の評価を行い、市民の健康増進、病気予防に役立てる。
これにより、循環型社会と市民の健康維持両立の可能性を立証する。
① 栄養素の分析
・アミノ酸、ミネラル、ビタミンなど 各20種類程度
② 生理作用の解析
・ 免疫賦活作用、ホルモン作用、向精神・神経作用、癌・糖尿病予防作用、他
・ 動物実験による栄養素の生理作用調査
③ ミネラル野菜を使った新メニューの開発支援
・ 保育園、小学校等の新メニューとして、能力・体力増強メニューの提案
・特養施設、病院等に薬膳料理、ヘルシーメニューなどを提案
(2)調査項目
① ミネラル野菜の栽培方法を提携農家と検証
・ 青木農園(戸塚区)金子農園(戸塚区)美濃口農園(泉区)原農園(栄区)ミネラル野菜に含
まれる栄養素の分析
分析方法の一例 「原子吸光分析法 官能評価法(テクスチャー測定法、色彩測定法)
」
② 特出する栄養素の生理作用を解析する。
・ 通常の野菜とミネラル肥料を使用して栽培した野菜の比較において、特出する成分、含有量な
どについて、更に詳細な項目を調査し、生理作用への影響、効果を解析する。
③ ミネラル野菜を使ったヘルシー料理等での効果検証
・ メタボリックシンドローム対策、集中力・学力向上、ダイエットメニューなど
④ 食育教材としての可能性
・ 保育園、小学校から大学、社会人講座など食育用材として活用する。
(3)調査内容
① 有機肥料原料の分析
・ 一般家庭・市民の提供する食品残渣
・ 学校・福祉施設からの食品残渣
・ 市場・JA・スーパーなどからの食品残渣
・ 鶏糞・牛糞・魚カス・他など
② ミネラル有機肥料の分析
・ ミネラル有機肥料の成分及び野菜への吸収量を解析
③ ミネラル野菜に含まれる栄養素の分析
○平成 21 年度に実施するミネラル、ビタミンの分析
<ミネラルの分析、定性定量>
・鉄、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウムなど
<ビタミンの分析、定性定量>
・β-カロテン、ビタミン B1、ビタミン B2、ビタミン C、ビタミン E など
6
○平成 22 年度は、平成 21 年度の分析で顕著な結果が出た野菜について更に別項目で分析
<アミノ酸の分析、定性定量>
・グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、
シスチン(システイン)
、メチオニン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸、
グルタミン、アルギニン、リジン、ヒスチジン、フェニルアラニン、チロシン、
トリプトファン、プロリンなど
<脂肪酸など、その他の栄養成分の分析>
・リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸など食品からしかとれず、体に必須な必須脂
肪酸
・ドコサヘキサエン酸(DHA)
、エイコサペンタエン酸(EPA)など生理作用が注目されて
いる脂肪酸
<食物繊維の分析>
・食物繊維総量
④ 分析結果に基づき、栄養素の生理作用に影響する効果を解析・評価する。
(注:既に、成分と生理作用の相関は示されているが、含有する量や種類の組合せによって、
野菜の効果や評価が異なってくるため、今回採れた野菜の総合評価を行う。
)
・ 特に多く含まれる栄養素の生理作用、新しく注目される作用を調べる
免疫賦活作用、ホルモン作用、向精神・神経作用、癌、糖尿病、高血圧、高脂血症など
の予防
メタボリック症候群の予防、高齢者・乳幼児の歯の健康への効果
女性の疾患予防、健康促進、美容(美肌等)に対する影響
・ 栄養素の生理作用を動物実験で調べる
マウス、ラットなどの動物を使って、動物に特定の栄養素を経口投与、注射などをして
生理作用を調べる。
・ サプリメント等未知の成分の発見、同定
・ 野菜のそしゃくに関する研究
⑤ ミネラル野菜を使ったヘルシー料理の開発
・ ミネラル野菜の味覚調査をする(官能検査)
・ ミネラル野菜、はま菜ちゃんなどを使った新しい料理、薬膳料理、ヘルシーメニュー
を開発
・ 栄養素を生かすだけでなく、おいしく食べる工夫を行う
・ 野菜の苦味を消して、食べやすくする工夫
・ ミネラル野菜の保存法の開発
(4)栽培計画
① 土壌の環境を整えるのは、数年の期間が必要となるため、これまでに栽培された野菜とミ
ネラルバランスを整えた土壌で栽培した野菜を比較し、効果を検証する。
② 平成 21 年度は、ミネラル有機肥料の製造が間に合わないため、ミネラル調整は、
「中嶋農
法」などの既存技術を代用する。
注: 有機肥料は、微生物の分解作用で酵素やアミノ酸等が多く含まれ、土壌改良効果などがあるた
め、既に有機農法で行われている農地は、ミネラルバランスの調整だけで野菜の品質向上に
期待ができる。
(開発するミネラル有機肥料は、資源の有効利用と肥料の品質向上+ミネラルバランスを目的として
いる。)
③ 栽培野菜の候補は40種類程度とし、協力農家の栽培計画を考慮して種類を決定する。
7
品
1. いんげん
2. うど
3. えだまめ
4. かぶ
5. カリフラワー
6. キャベツ
7. きゅうり
8. こまつな
9. ごぼう
10.さつまいも
11.
12.
13.
14.
15.
16.
17.
18.
19.
20.
目
(栽培野菜の候補)
さといも
しゅんぎく
じゃがいも
たまねぎ
だいこん
つけな類
とうもろこし
トマト
なす
にんじん
21.
22.
23.
24.
25.
26.
27.
28.
29.
30.
ねぎ
はくさい
ブロッコリー
ほうれんそう
みずな
レタス
アスパラガス
オクラ
シシトウ
シソ
31.
32.
33.
34.
35.
36.
37.
38.
39.
40.
ショウガ
スイカ
ズッキーニ
トウガン
ニガウリ
パプリカ
ピーマン
ヤマトイモ
ラッカセイ
モロヘイヤ
* NO,1~26までは、「はま菜ちゃん」に指定されている
(5)食育・環境保全・健康維持の推進と循環型社会の構築
① 小中学校などでミネラル野菜の栄養素、生理作用の説明会を開催
・ 食育の授業に取入れる
・ 子どもたちが横浜市という地域を理解し、誇りを持つ
・ 循環型社会に興味、関心を持つ
・ ミネラル野菜で学力向上を図る
一食あたりの摂取食品数と学習成績および5教科学力テスト偏差値
9
教
科
評
定
合
計
点
35
65
30
60
25
55
20
50
10
36
48
25
10
5
45
5
教
科
テ
ス
ト
偏
差
値
40
3.9以下 4.0-5.9 6.0-7.9
8.0-9.9
合計点
10.0- 12.0以上 (摂取品数)
偏差値 (数字は人数)
(広瀬正義『学力をつける食事』2003年、文春文庫PLUS)
(6)事業計画
ア 執行計画
調 査 項 目
平成21年度実施
平成 22 年度実施
平成 23 年度実施
①ミネラル野菜の栽培
◎
○
○
②野菜の含有栄養素の分析
◎
○
△
③栄養素の生理作用解析
◎
○
④食育への応用
◎
○
⑤評価法等の体系化
◎
8
イ 事業費
平成 21 年度予算
・野菜栽培費(土壌分析、ミネラル改良材、栽培委託)20万×4箇所
・分析委託費 (原子吸光光度計) 102,480 円/検体×40 種類
(ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなど野菜のミネラル分析)
・ビタミンなどの分析費用 40 種類
・栄養素を分析するための薬品、器具など(消耗品)
・人件費(準備、分析、データ解析等のスタッフ) 1人 (238人日)
・資料採取、シンポジウム・学会参加などの旅費、参加費、雑費など
80 万
410 万
総額
150 万
70 万
200 万
100 万
1,010 万
4 アミタ(株)、東京農業大学の協力(連携の機能を支える高品質肥料技術)
(1) 環境総合コンサルタントの技術を有する企業及び肥料技術など農業全般の研究に取組んでいる
大学の協力により、食品残渣など不安定な物質から安定した高品質肥料を製造する。
ア 食品残渣等を原料にした肥料製造施設(既存施設の課題)
既存施設の種類は、次の2種類に大別できるが、品質や食品残渣の使用量に課題がある。
① 食品残渣等の廃棄物の処理を目的とした肥料製造施設
・ 課題として、成分が不安定で発酵が未熟のため、生育障害などが発生している。この
ため、農家の理解が難しく肥料の普及促進に課題がある。
・ 肥料製品として商品価値が低く、無償で農家が引取るケースが多く見られる。また、
農家の栽培技術によっては、野菜の品質・免疫力が低下し、病害虫が多く発生している。
② 品質を考慮し、食品残渣等の混入量を制限した肥料製造施設
・ 群馬県東吾妻町で稼動する㈱エンザの肥料製造施設は、原料の混合割合を【畜糞(豚糞)5:
稲わら1: バーク(樹皮)1: 生ゴミ1~2】と規定している。また、発酵期間は 3 ヶ月
~1 年と完全熟成が行われ、品質の良い肥料が製造されている。
(N・P・K の品質管理)
・ 課題として、食品残渣の使用量が尐なく、製造期間が長いため製造コストが割高となる。
イ 高品質肥料の製造(配合技術の必要性)
省資源型農業を推進するため、不安定な原料から安定した品質の高い肥料を低価格で製造
する必要がある。このため、新技術として、ミネラル有機配合技術の開発とモデルプラント
の設置による実証が必要となる。
① 土壌診断
・ 耕作地の土壌分析を行い、配合する肥料の計画を立てる。(参考事例:中嶋農法)
・ 19項目の分析(PH、アンモニア態窒素、硝酸態窒素、リン酸、カリウム、マグネ
シウム、亜鉛、マンガン、ホウ素、鉄、銅、カルシウム、土壌微生物など)ミネラル
肥料配合技術
・ 食品残渣など不安定な物質から、成分の安定した肥料を製造する技術
・ 土壌診断に基づき、土壌と作物に合わせたミネラル配合肥料を製造
(2) 事業内容
①
②
③
④
⑤
一次処理した食品残渣(肥料原料)の成分分析
土壌診断に基づく配合計画の設計
配合計画に応じた配合技術と品質管理
二次発酵による完全発酵肥料の製造
ミネラルバランスを整えた有機ミネラル肥料の製造と商品化
9
(3) 肥料原料の調達
① 一次処理した食品残渣(肥料原料)の回収
・ 保育園等に設置している生ゴミ処理機から作られた肥料原料を回収(俣野保育園、他)
・ 教育委員会で管理している生ゴミ処理機から出る肥料原料を回収 (小学校 28校)
・ 大学等の事業所の生ゴミ処理機から出る肥料原料を回収(横浜薬科大学、フェリス女学院大学)
・ 家庭の生ゴミ処理機から出る肥料原料を回収(町内会等のエリアで集約)
・ 生ゴミ処理機で処理された肥料は、含水率20%程度のパウダー状で、通常肥料として使用さ
れているため、袋詰めにして平ダンプで回収する。
(肥料原料)
② 養鶏場・養豚場・牛舎の糞を回収する。
・ 固形・乾燥・液状等
・ 戸塚区、泉区等の畜産業者から発生する糞尿の実態調査
③ 魚粕の回収(卸売市場、魚加工会社の魚カス等を活用)
・ 南部卸売りセンター、中央卸売市場(発生量 1500t/日)
・ スーパーの生鮮食料加工場、他
④ バーク(グリーンコンポストなどの剪定枝を活用)
・ 剪定枝の発酵促進剤として、エノキ等菌床、発酵籾殻菌を活用する。
・ 製材所等から発生する大鋸屑を活用(市内に存在するか要確認)
⑤ 珪藻土の確保(土質改良材)
・ 北海道旭川市(不足するミネラル補給材として最適。将来は同等の近隣資材を活用)
⑥ その他
・ 稲わら 稲作農家から提供頂く
・ 発酵籾殻 千葉の研究企業から購入する(製品購入又は、技術提供)
・ 海草類(アオサ-海の公園から排出 600t/年)
・ 廃棄物交換システムの活用(神奈川県、横浜市)
http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/haikibututaisaku/recycle/03oth/exc.html
(4) 事業計画
ア H21年度事業計画 (生ごみ等を利用した発酵ミネラル肥料の製造:ケースⅠ)
① 処理能力
・ 乾燥食品残渣で 日量 数 10 kg~100 kg 程度
・ 牛糞等
日量 数 10 kg~100 kg 程度
・ 合 計
日量 200 kg(max)(0.2 m3) これを 60 日間、二次発酵させる
② 設
備
・ 土地
150 m2 程度(二次発酵スペース+資材置き場+作業スペース)
(確保可能な場合) 屋根付きコンクリート打ち放しの堆肥化スペース
(不可の場合) 屋根がなければ簡易なビニールハウス、床面は土で可
・ 微量成分の保管容器(ストッカー) 容量 100 L 程度×数個、ふた付き
・ 計量機 ヘルスメータなどを流用
・ 混合機 特に設けない(小型スコップなどで混合する)
・ 梱包機 特に設けない(20 L程度のビニール袋に詰める)
(あるいは中古品)
切り返し 特に設けない(牧草用のフォークやスコップで切り返す)
10
イ 事業費
平成21年度予算
・土地代 見込まない(無償で借用、市施設など)
0 万円
・施設整備費(雨水対策、臭気対策など)(2 万円 / m2)
・保管容器、計量機、他機材、ビニールハウス資材など
・労務費(作業員) 2 人、アルバイト(476 人日)
・光熱費
・ミネラルなどの調達費
・原料の収集運搬費+肥料の配達費
総額
350 万円
150 万円
400 万円
50 万円
150 万円
100 万円
12,00 万円
(1) H22年度事業計画 (生ごみ等を利用した液体肥料の製造:ケースⅡ)
生ゴミの多くは、含水率80%程度で廃棄されているため、資源の有効利用を促進するた
めに液体肥料の製造とメタン回収によるエネルギー利用を検討する。
液体肥料は、生ゴミ処理機が導入されていない保育園や小学校等の食品残渣を使用し、主に稲作
の肥料として利用される。需要は、それほど多くないと思われる。また、施設規模が大きくなり、
脱臭装置や付帯設備も必要となるなど事業化への検討課題は多いが、エネルギー回収率が優れてい
るなど魅了も大きい。なお、食品残渣の回収は、専門の許可業者に委託する必要がある。
① CO2 削減効果の算定
② 焼却処理とメタン醗酵(液肥の製造)のによる B/C (維持管理費は、焼却処理より安価)
③ 肥料プラント設置における経済性の算定(設置コスト、販売費、維持経費等)
④ 市内で発生する厨芥ゴミをメタン発酵した場合、液肥利用と環境負荷軽減効果が期待できる。
・ 不純物の混ざらないメタン発酵・・・液肥利用可能
・ 不純物が混入する場合・・・・・・・液肥利用不可
・ メタン発酵によって、焼却処理と比べ 60%の CO2 削減効果が期待できる。
バイオマス(液体肥料・メタンガス)のシミュレーション結果(参照)
11
5 国の動向(助成金関係)
事業・研究開発費については、極力国等の助成事業を活用するが、平成21年度事業の公募におい
ては、募集時期により申請準備が整わない可能性が大きい。
(1) 農林水産省関連
ア 地域内資源を循環利用する省資源型農業確立のための研究開発(新規)
概 要
① 対策のポイント
肥料価格の高騰に対応した、省資源型農業体系の推進に向けた研究開発
(肥料原料価格の高騰)
肥料原料価格は過去5年間で約2~3倍、特にリンの価格は過去1年間で約2倍に高騰
(省資源型農業とは)
地域内資源の循環利用の促進により、輸入肥料原料等に依存しない農業
② 政策目標
○リン投入量を2割削減する生産技術を開発
○化学肥料を全く使わない有機農業では、慣行農産物より生産費を2~3割高に抑制した体
系技術を確立
内 容
① 省資源型農業のための有機資材とその利用技術の開発
家畜ふん等を用いた肥料的価値の高い有機資材とその有効利用技術を開発
② 省資源型農業の生産技術体系の確立
・省化学肥料型
土壌蓄積養分の肥効評価や有効利用による省化学肥料技術を開発、実証
・有機農業型
有機農業の実践場面における省資源技術等の科学的解明を行い、有機農業における作物、
土壌、生物相等の管理指標を提示するとともに、有機農業における栽培技術体系を促進
<実施主体等>
実施主体:民間団体等
実施期間:平成21年度~平成25年度
事 業 費:300百万円
担 当 課: 農林水産技術会議事務局研究開発官(食料戦略)03-3502-2549(直)
http://www.s.affrc.go.jp/docs/project/2009/syoushigen-01.pdf
イ 研究成果実用化促進事業
概 要
① 対策のポイント
地域農業の育成に資する技術として実践的に活用されるようにする研究
② 政策目標
競争力ある地域農業を育成するため研究成果の活用を促進
内 容
① 農業に関する既存の研究成果のうち、農業の生産現場での実用化に向け、なお
解決すべき課題を有しているものについて、地域の関係機関相互の連携の下、さらに改善を
加え、生産現場でより実践的に活用されるようにする研究を行う。
<実施主体等>
実施主体:地域農業研究・普及協議会
実施期間:平成20年度~平成24年度
事 業 費:100百万円
担 当 課:農林水産技術会議事務局研究推進課 03-3502-7462(直)
http://www.s.affrc.go.jp/docs/project/practical/practical.htm
12
6 未利用資源の肥料化技術(神奈川県堆肥化マニュアル H9.3 引用)
神奈川県では、未利用資源の肥料化技術について、堆肥化マニュアルを作成している。これは、
ミネラル配合肥料技術に応用できるため、内容の一部を掲載する。
ア 未利用資源堆肥化の目的
神奈川県の農業発展のためには、都市との共栄が必要であり、有機性廃棄物である未利用資源の
農業利用技術開発は欠かせない問題である。未利用資源の農業利用では、堆肥化による利用が最も実
用性が高いと考えられる。下記に未利用資源活用によるリサイクルのイメージ図を示した。
家庭や公共施設、農園から出される有機性廃棄物を堆肥化し、農耕地や緑地に還元する資源リサイク
ル社会の実現は、都市と農業が共存する本県には不可欠である。しかし、未利用資源の堆肥化技術は、
まだまだ研究が始まったばかりであり、今後の技術開発に待つ点が多い。
この報告に示した堆肥化方法は、県の「堆肥化システム研究事業」及び国の「再生有機物肥料化促
進事業」の一環として、平成4年から8年の5年間にわたって実施されたものをとりまとめ、さらに
関連資料を調査してまとめたものである。今後、これらの技術を現場で適用しやすいものにするため
に、さらに研究開発をしてゆく必要がある。
この堆肥化試験を実施するにあたり、使用したプラントは未利用資源堆肥化のために平成4年に、
国庫補助を得て新たに導入したものであり、神奈川県農業総合研究所(平塚市上吉沢)に設置されて
いる。その外観と概要は以下に示した。
① 一次発酵槽(ミニプラント)
容積 1.200 L の密閉型発酵槽( 東海プラント株式会社製造)である。
形状は、円筒型の密閉型発酵槽で、上部から原料を毎日 200 L 投入し、下部から取り出す方式で
あり、内部に攪拌装置はもたず、6か所から供給する空気の流量制御だけで発酵を制御する。
攪拌装置がないため、あらかじめ原料を混合する必要があるが、通常の堆積方法に近い条件が再
現できる。
また、一次発酵槽、二次発酵槽ともに、ピートモスを使った微生物脱臭装置を併設し、悪臭の発生
は完全に抑制可能である。
② 二次発酵槽(箱形発酵槽)
通気装置のついた容積1.000 L( 1 m ×1 m ×1 m)の箱形発酵槽であり、下部に3 本の通気装置が
付いている。堆肥は全面の板をはずして投入や取り出しを行う。この装置が、3連で設置されている。
一次発酵槽(イメージ写真)
未利用資源リサイクルのイメージ図
13
イ 剪定屑
① 剪定屑の特性
・種類と発生量
剪定屑の正確な発生量の把握は困難であるが、平成 3 年度に横浜市の焼却場に持ち込まれた
剪定屑は約 10,000 万トンであり、県全体では 42,000 トン( 1991, 県調査) とされている。
しかし、焼却等の自家処分されている量が相当あり、その量を考慮すると県全体では 10 万トンを超
えると想定される。樹木の剪定は、一般には夏( 7~ 8 月) と冬( 11~ 12 月) の 2 回に集中
して行われるため、剪定屑の発生量は月により異なるが、7 月~ 12 月に年間総排出量の 70 % が
集中する。樹種も時期によって異なり、4 ~ 6 月はケヤキ、サクラ、マテバシイ、7 ~ 9 月はプ
ラタナス、ユリノキ、イチョウ、10 ~ 12 月はサワラ、トチ、シイノキが多くみられる。
剪定屑の堆肥化はすでに実施されているところがある。現在剪定屑を堆肥化しているのは、横
浜市が平成4年度より堆肥化し、グリーンコンポストという名称で出荷している。平成6年度からは
鎌倉市が同様な堆肥化を行い、平成9年現在、他の市町村にも堆肥化の動きがある。先行している横
浜市では、年間 2,000 トンの堆肥が生産され、農家に販売されている。製品に対する評価は年々高
くなり、需要をまかなえないほど好評である。また、民間企業でも剪定屑の堆肥化が実施されている
ところがある。
・堆肥化特性
剪定屑は、炭素分が多く窒素の尐ない枝と窒素の多い葉を含むため、堆肥化の原料としては適
している。街路樹に多いのは、イチョウ、ユリノキ、サクラ、ケヤキ、トウカエデ等が多く、公園に
はマテバシイやクスノキ等の常緑樹が多く植えられている。このうち堆肥化に適しているのは広葉樹
であり、針葉樹は分解に長期間を必要とする。また、剪定は夏と冬に集中的に行われるが、新枝や葉
の多い夏剪定屑は C / N 比が低く、堆肥化には適している。冬剪定屑の場合は硬い枝が多いため、
分解に長期間を必要とする。剪定屑の種類や部位、季節による違いを調査した結果を第 17 表に示し
た。夏剪定屑で葉の多い物は、粉砕すればそのまま堆肥化が可能であるが、冬剪定屑や針葉樹が多い
場合には、多尐の窒素源の添加が必要な場合がある。また、夏剪定の場合でも、剪定屑を長期間放置
し、乾燥させれば木質が硬化するとともに落葉し、多剪定屑と似た性格になるので、注意が必要であ
る。
② 密閉型発酵槽による堆肥化試験
・堆肥化方法
強制通気装置の付いた 1,200 L 容の連続投入式密閉型発酵槽( ミニプラント) により 20 日
間一次発酵、強制通気装置の付いた 1,000 L 容の箱形二次発酵槽で 6 か月間堆肥化を行なった。そ
のフローを図に示す。
剪定屑はオガコ製造機( タイムリー) により破砕、野菜屑はワラカッター( 山本製作所, CD250
C ) にて切断した投入原料は、桑枝及び観賞樹木剪定屑( 含水準 51 % 49 kg、雑草類( 含水
率 78 % ) 12 kg、リターン( 一次発酵物, 含水率 24 % ) 2.6 kg、合計 63.6 kg( 約 200 L)
を混合後、一次発酵槽に連日投入した。一次発酵は密閉型発酵槽で 20 日程度、二次発酵は箱形発酵
槽 170 日間堆積した。
投入物の平均含水率は45.4 であり、堆肥化のためには水分が尐なく、発酵槽の中は乾燥していたた
め、時々灌水した。そのため一次発酵槽切り出し品の平均含水率は54 % と原料よりも増加した。
二次発酵槽の投入時の含水率は43.4 % であり、60 日の堆積によっても含水率は46 % であった
ため、切り返し時に灌水した。その結果、170 日後には含水率は72.8 %になり有機物の分解も急激
に増加し、63.7 % の有機物が分解した。
物質収支のモデルは、一次発酵では有機物の分解が尐なく、二次発酵で有機物の分解が促進された。
二次発酵を終えると有機物の68 % が分解し、木質の分解がすすむため、しっとりとした感じの良
質の堆肥となった。
以上の結果、剪定屑はわずかな野菜屑を加え、水分を適切に保持すれば良質の堆肥となることが明
らかとなった。しかし、これは夏に実施したため新枝と葉が含まれていたことによると考えられ、冬
季の剪定屑についての試験が必要である。
14
共試材料と一次発酵生産物量
資 材 名
回 数 現 物 量 含 水 率 % 乾 物 量 有機物量 無機物量
桑枝剪定屑
5
51.4±5.7
211.0
109.9
103.2
6.62
観賞樹剪定屑
4
22.1±0.5
133.5
103.4
99.2
4.26
トウモロコシ・雑草
3
83.4 77.5±20.1
16.8
14.4
2.37
リターン
1
17.9
24.4
13.5
12.7
0.83
投入物
7
445.8 kg 45.4±2.02 243.6 kg 229.5 kg
14.1 kg
切り出し品
5
429.6 kg 54.0±39.0 193.1 kg 179.0 kg
14.1 kg
一次発酵分解率
3.6 %
20.7 %
22.0 %
0.0 %
二次発酵による変化
資 材 名
月 日
現物量 含水率 % 灰分率 乾物量 有機物量 無機物量
二次投入物
8/3
256.4 kg
43.4
6.51 145.0 kg 135.6 kg
9.5
切り出し1
10/4
216.4
46.3
8.12
116.2
106.8
9.5
切り出し2
1/22
215.8
72.8 16.13
58.6
49.2
9.5
一次発酵分解率
15.8 %
59.6 %
63.7 %
0.0 %
7 横浜市のグリーンコンポストとの連携事業(案)
ア 事業概要
① 横浜市のグリーンコンポスト(平成4 年より実用規模の堆肥化)
・堆肥化装置
破砕機( バトルクラッシャー方式, 処理能力 5 t / h)
粉砕機( 回転カットハンマークラッシャー方式, 処理能力 5 t / h)
屋外推肥盤
切り返し用機械( バックホウ)
・推肥化方法
横浜市の破砕機は直径10 cm 以下、長さ1.5m 以下の剪定屑に対応している。芝や笹を除く剪
定屑を破砕機で15 cm 以下に破砕した後、粉砕器でさらに粉砕し、2~ 3 cmの細かなチップ状
にする。
チップ状にした物を山状に推積する。チップが数 cm と荒いため通気性が良いので、高さ2m
程度に推積する。剪定屑の含水率は、夏場で40 % 、冬場で35 % 程度であるが、堆肥化に適
した含水率は60 % 程度のため、原料の含水率を測定し、必要に応じ加水する。
堆積場所は一般には、屋根付きの堆肥舎が好ましいが、剪定屑は水分が不足しやすいので屋外
に堆積することが適している、堆積中に表面は乾いた状態になりやすいが、内部は60 % 程度
の含水率で安定していることが多いため、表面だけでなく、内部の含水率を測定しておく必要が
ある。
堆積は6 か月以上行うが、この間、切り返しを1 か月に1 回程度行い、このときに水分が尐
なければ加水する。葉の尐ない冬季剪定屑や針葉樹が多い場合は、6 か月程度の堆積では不十
分であり、1 年程度堆積発酵することが好ましい。
・製品の特徴
製品の分析結果を第20 表に示したが、窒素が多くリン酸が尐ない堆肥である。剪定屑は炭素
が多いために含まれる窒素からの肥料効果はほとんど期待できないが、土壌の物理性改良にはき
わめて効果の高い堆肥である。また、重金属の有害成分も尐ない良質の有機物である。
15
グリーンコンポスト分析結果
成 分 名
窒素
リン酸
カリウム
カルシウム
マグネシウ
ムマンガン
く溶性ホウ
酸鉄
そう水銀
ヒ素
カドミウム
銅
亜鉛
分 析 値
1.41~1.64
0.316~0.379
0.400~0.610
2.47~3.16
0.508~0.597
376~410
16.2~23.3
0.801~1.76
0.02
単 位
%
%
%
%
%
Mg / kg
Mg / kg
%
Mg / kg
不検出
不検出
5.6~10.3
14.0~21.8
Mg / kg
Mg / kg
④ 剪定屑堆肥化の注意事項
葉と枝がバランス良く混合した原料を使うことが大切であり、枝だけでは堆肥化は困難である。
枝だけの場合や針葉樹だけの場合は窒素を補って堆積することが好ましく、窒素源としては、
米糠、
油粕、鶏ふんなどの有機肥料が適している。また、「おから」のような養分の多い未利用資源を利
用することも適している。
剪定屑は樹種によっては、作物根に有害なフェノール類を多く含む物があるので注意が必要であ
る。一般に針葉樹にフェノール類は多く含まれているが、広葉樹でも、イチョウ、クリ、サクラに
は多く含まれている。これらの資材は、堆積期間に十分に注意する必要があり、最低 6 か月堆積
すれば、全く問題はなくなる。
剪定屑を堆肥化するためにはチップ化しなければならないが、チップが小さいほど堆肥化は早い
が、チップ化に要する処理時間が長くなる。チップの大きさが、数 m 程度までチップ化したとき
は、堆積の山の高さを低く、高さ1.5 m 程度までにし、チップが数 cm 程度なら2 m 程度までの
高さに堆積する。
剪定屑は通気性が良いためあまり堆積規模が小さいと発酵熱が蓄積せず、温度が上昇しなくなる。
また、乾きやすいため、水分が不足すると発酵しなくなるので、含水率を55 ~ 65 % 程度に保
持することが必要である。
⑤ 剪定屑堆肥の使用方法
完熟した剪定屑堆肥は、そのまま使えばバーク堆肥や腐葉土と同様に使用することができる。一
般の堆肥と同じ効果が得たい場合は、
窒素源として剪定屑堆肥1,000 kgあたり、
鶏ふん40 ~ 50 kg
( 油粕なら20 kg, 尿素なら5 kg, 硫安なら10 kg ) を混合して、2 ~ 3 か月間堆積してお
くと良い。
・野菜用の培土: 用土の30 ~ 40 % (容積比)混合し、化学肥料を加える。
・花卉用の培土: 用土の30 ~ 40 % (容積比)混合し、化学肥料を加える。
・露地野菜: 10 a あたり1 作1 t 程度とする。根菜類に施用するときは、前作に施用することが
好ましい。作付け2 ~ 4 週間前に施用することが好ましい。
・施設野菜: 1O a あたり1 作1 ~ 2 t とする。連作している圃場では問題はないが、新たに栽
培する場合は、窒素飢餓の危険性があるので、窒素を10 %程度増肥することが必要である。ま
た、作付け2 ~ 4 週間前に施用することが好ましい
16
⑥ 剪定屑を使用した堆肥製造マニュアル
剪定屑・・・長期間の堆積が必要
夏剪定と冬剪定では堆積期間が違う
製造方法
剪 定 屑
数 cm 以下のチ
ップにする
破 砕 機
水分 60 %
にする
水分 50 %
剪 定 屑 堆 肥
堆 肥
1 か月に1 度切り返し6か月以上堆積
夏剪定の、葉の多いもの
6 か月以上の堆積
冬剪定の、葉の尐ないもの
1 年以上の堆積
イ グリーンコンポストとその応用技術
表は、平成 5 年度と平成13年度から平成19年度までの7年間について、受入量の比較を行
ったものですが、受入量は平成 5 年度に比べ倍増している。しかし、平成19年度の出荷量は、
1,000t 程度と受入量の1 /5 まで激減している。この背景には、神奈川県堆肥化マニュアルの
調査結果により、
剪定枝だけを肥料化した場合の問題点として挙げられている、
チップの発酵速度、
肥料成分のアンバランスなどを改良した「剪定枝+生ゴミ」、「剪定枝+豚糞」など成分調整され
た安い肥料が、周辺自体等によって製造され始めているためと思われる。
グリーンコンポストの受入量( t )
5 年度
13 年度
2,264
3,805
14 年度
3,995
15 年度
4,239
16 年度
3,647
17 年度
5,316
18 年度
4,255
19 年度
5,049
年平均
4,329
(平成 5年度と平成19年度までの 7年間の比較)
剪定枝は、肥料原料のバーク(樹皮)の代用として使用できるため、本アントレプレナーシップ事
業で調査した、
(株)エンザの群馬工場で製造されている肥料配合技術が活用できる。これによると、
二次発酵の配合割合は、「畜糞(5):稲わら(1):剪定枝(1):生ゴミ(2)」で肥料を製造
することで、成分の安定した高品質な肥料を製造できると考えられる。
また、生ゴミの配合割合を増加させるためには、発生元の成分の安定性に大きく左右されるが、本
アントレプレナーシップ事業では、産学官連携事業において、配合肥料技術の開発によって、ミネラ
ルバランスを整えた計画的な肥料の製造が可能である。
1 破砕・粉砕
2 野積たい肥化
3 出荷
枝葉を20 から 30 mm に粉砕
野積場で切返し・約177 ヶ月半発酵
製品は袋詰め装置で自動包装
ウ 微量要素欠乏対策(神奈川県作物別肥料基準 2002.8.23 引用)
炭素、酸素、水素、窒素、カリウム、リン、カルシウム、マグネシウム、イオウ、鉄、マンガン、
ホウ素、亜鉛、銅、モリブデン、塩素およびニッケルの17元素を、植物の必須元素という。この他、
ケイ素およびコバルトは、植物の種類によっては重要な役割を担う元素である。これらのうち、鉄、
マンガン、ホウ素、亜鉛、銅、モリブデン、塩素およびニッケルは、必要量が微量な必須元素である
ため、微量必須要素または微量要素と呼ばれている。微量要素欠乏症の発生原因には、土壌の母材に
起因する潜在的欠乏、他養分との拮抗による欠乏、土壌反応や土壌水分の急激な変動に伴う不可給態
化等が考えられる。これらのうち、母材に起因する潜在的欠乏が起こることは、本県ではまれである。
ここでは、本県において発生しやすい鉄、マンガン、ホウ素およびモリブデンの、4微量要素の欠
乏対策について述べる。
① 鉄
鉄欠乏が発生しやすい中性~アルカリ性の土壌条件では、水溶性の鉄、たとえば、硫酸第一鉄や
塩化鉄を施用しても、土に固定され、作物に吸収されない。このような場合の応急的な措置として、
硫酸第一鉄、または塩化第二鉄を葉面散布するとよい。陸稲に対しては、0.1 ~ 0.2 %液を、野
菜には、1 ~ 2 %液を葉面散布する。鉄欠乏は生長点に近いところから発生するので、その部分
に重点的に散布する。散布後1~2日で効果が現れるが、効果は長続きしないため、7日~10日に
1回散布する必要がある。この他に、硫安、塩安、塩化カリ等、土壌を酸性にしやすい肥料を施用
するのもよいが、土壌が強アルカリ性になっている場合には、イオウ華を10a当たり、20~30 kg
施用する方法もある。最近では、キレート鉄の葉面散布や土壌施用も行なわれているが、葉面散布
は薬害を起こしやすいので、10a当たり、2 ~ 3 kgのキレート鉄を施用するのがよい。根本的な
対策としては、土壌の反応を微酸性に保つことであり、特に、石灰で酸性改良する場合は、過剰な
石灰を施用しないよう注意しなければならない。この他、堆肥を十分施用して土の緩衝能を高めた
り、かん水施設を設けて土壌が過度に乾燥しないように注意することも大切である。
② マンガン
応急的な対策としては、硫酸マンガンの0.2 ~0.3 %液を 7日~10日に1回の割合で、2~3回
葉面散布する。マンガン欠乏は、中性~アルカリ性の土壌で多く発生するから、肥料は生理的酸性
肥料を用いたり、場合によってはイオウ華を施用して、土壌の反応を微酸性にする。硫酸マンガン
を10a当たり10 ~20 kgを施用するとよい。マンガンが過剰な場合は、石灰質資材を施用して土
壌の酸性を改良し、マンガンを不可給態化する。その際、リン酸を多量に施用すると、マンガンの
吸収を抑制することが知られている。また、排水不良の場合は、暗きょや明きょを施工し排水を促
進すると、マンガンの過剰害を回避することができる。根本的な対策としては、酸性改良と硫酸マ
ンガンやマンガン入り溶成リン肥(BM 熔リン)等のマンガン肥料を施用することである。また、
これと併せて、堆肥等の有機物を多量に施用し、土壌の緩衝能を高めることも必要である。
③ ホウ素
生育途中で欠乏症が発生したときには、ホウ酸やホウ砂を水に溶かして葉面散布する。いずれも
水に溶けにくいので、あらかじめ尐量の温湯に溶かしてから水で薄めて使用する。
散布濃度は、野菜や果樹では、ホウ砂またはホウ酸 0.2 ~ 0.3 %、ナタネでは 0.5~1.0 %く
らいがよいと言われている。ホウ素は薬害を起こしやすいので、特に散布濃度に注意しなければな
らない。薬害を防ぐためには、散布液が 0.3 %になるように生石灰を添加するとよい。欠乏症が
発生してからでは、土壌施用の効果はあまり期待できないが、10a当たり0.5~1.0 kgのホウ砂を
うね間に施用し、覆土する。熔リンにホウ素を添加した肥料(BM 熔リン)やホウ素入りの化成
肥料が販売されているが、ホウ素は土壌中での適量の幅が狭いので、過剰にならないように注意し
なければならない。堆肥の施用は極めて有効である。これは、有機物によってホウ素が供給される
以外に、土壌水分の保持力が強くなることにより干ばつの害を受けにくくなり、また、根が広く張
ってホウ素の吸収が良くなるためである。ただし、ホウ素の要求量の多いダイコンやキャベツの栽
培には、堆肥から供給されるホウ素量だけでは作物の吸収量に満たないため、ホウ素入りの化成肥
料の併用が必要である。この他、ホウ素はアルカリ性で不可給態化するので、酸性改良するときに
は、過度に石灰を施用することを避け、土壌の酸度を測定し、酸性改良するために必要な程度の石
灰を施用するように心がけることも必要である。
18
④ モリブデン
欠乏症が発生した場合には、モリブデン酸ナトリウムまたはモリブデン酸アンモニウムの0.01
~0.03 %液を葉面散布する。土壌に施用するときは、10a当たり、モリブデン酸ナトリウムまた
はモリブデン酸アンモニウム 30 ~100 gを100 Lくらいの水に溶かしてうね間に施用し、覆土
すればよい。土壌中の全モリブデン含量は0.5 ~3.0 ppmで、そのうち、可給態のモリブデンは10
分の 1 程度である。他の微量要素と異なり、モリブデンは土壌が酸性化すると、農作に利用可能
な可給態の量が減尐する。土壌の反応に留意し、石灰で酸性を改良しておかなければならない。さ
らに、土壌を健全に保つためには、十分な量の堆肥を施用し、有機物からのモリブデンの供給と土
壌の理化学性の改善を図ることが必要である。
8
モデル事業の概要
(1)モデル実施区(戸塚区・泉区・栄区)で検証
<イメージ図>
ア ミネラル有機肥料原料の調達
① 畜産業や農用地が集積する戸塚区・泉・栄を中心にモデル事業を実施
② 食品残渣等は、保育園、小学校、大学から回収
・ 俣野保育園、小学校(200校)
・ 大学(横浜薬科大学、フェリス女学院、明治学院、他)
③ 養鶏場・養豚場・牛舎の糞を活用
・ 泉区、戸塚区、他
④ 卸売市場の魚粕の回収
・南部市場、中央卸売市場、他
⑤ バーク(樹皮)
・代用として、グリーンコンポストなどの剪定枝を活用
⑥ 海洋資源の調達(海藻、珊瑚など)
・あおさ(発生量:約 556 t /年)
、貝殻など海洋資源の活用
⑦ 不足するミネラル成分の調達として珪藻土などの活用
19
イ 土壌分析と土壌診断
有機農業を行っている農家(一部化学肥料農家と比較)の協力により、中嶋農法の土壌分析と診
断を活用し、農家ごとの作物に合わせたミネラルバランスの調整を行う。ただし、食品残渣等の原
料だけでは不足するミネラル分は、ミネラル調整材を使用し、土壌バランスを整える。ミネラルバ
ランスを整える前と後で、作物の生育や栄養成分・含有量等の比較を行う。
③ 協力農家
・青木農園・金子農園(戸塚区)
、美濃口農園(泉区)
、原農園(栄区) 計4箇所
・栽培が難しい作物については、栽培可能な調査場所を拡大する。
④ 中嶋農法の概要(エーザイ生科研)
・播種前に土壌を採取し、分析センターで土壌分析と診断を行う。
・土壌の16項目を定量分析し、ミネラルバランスを調整するための処方を行う。
・処方には、石灰質資材、微量要素補給材、その他完熟堆肥などが使われる。
① 土壌改良前と改良後の比較
・ 土壌と植える作物の特性に応じて、ミネラルバランスの適正領域が異なるため、調整は作物
ごとに行う。
・ 作物の植付から収穫までは、気象条件や病害虫の被害を最小限に抑える努力が必要である。
② 作物の品質評価
・ ニンジンの事例を元に、土壌改良前と改良後の栄養成分で改善効果を検証
・ 土壌改良前と比べ、カロチンが 2 倍、リコピンが 1.75 倍、銅・亜鉛が 1.5 倍と軒並み改
善されている。
20
9 ミネラルの欠乏と疾患との関連
(1)
「健康日本 21」 厚生労働省の目標 (2000 年―2010 年)
「H16 国民健康・栄養調査報告」 国民の食事・生活調査結果より
1.野菜類の摂取量は、成人全体の平均で 266.7 g / 日
2.野菜摂取量の目標値は、成人 350 g/日 (目標値の 76.2 % )
日本人は、毎日野菜を現在の 1.3 倍食べる必要がある。
3.野菜は、ビタミン類、食物繊維などが豊富で、ビタミンは多種類を摂取することが望ましい。
4.ビタミンは、体を健康に保つ働きがある。
5.食物繊維は、大腸癌、糖尿病、虚血性心疾患の予防、血中コレステロール濃度の低下、
便秘・
肥満の改善などメタボリック症候群の予防に有効である。
6.日本人の鉄の摂取量は、男女ともあらゆる年代で非常に不足している。
平均摂取量は、男子で約 85 %、女子で約 70 %
鉄欠乏性貧血は、女性に多い病気。野菜では、こまつ菜、ほうれんそうに特に多い。
7.ビタミン C は、壊血病の予防に有効。かんきつ類、パセリ、ブロッコリー、ピーマンなど。
(2)亜鉛欠乏症について (研究医の紹介)
・亜鉛欠乏症は、味覚障害など様々な症状がある。 ⇒ 認識している医師が殆どいない。
・食欲不振・減退・拒食・貧血・下痢・口腔咽頭症状・皮膚疾患(アトピー)
4年間に、亜鉛欠乏症と考える患者さんは、250名超 (人口5,500名の村の 5%)
・原因不明とされてきた皮膚疾患、かゆみの皮膚症状 ⇒ 亜鉛補充療法で劇的に治癒
微量元素亜鉛の大切さに、新たな目を向ける必要がある。
25年前のアメリカの一般市民を対象とした調査と比較し、
『日本国民は微量元素亜鉛不足の傾向にある』
この25年間に何が起こったの!?
多くの食物に含まれる微量元素亜鉛が、尐なくなっているのでないか?
大地が痩せ、生物にとって大切な微量元素亜鉛などの含有量が減尐している。
この25年間で変化したことを真剣に考えるべき!
・医療関係者のみならず、医学、疫学や栄養学、農学や土壌学、農林畜産業に関わる人々、官僚、政治
家、国民皆、人類が関心を持つべき問題かも知れません。
・亜鉛だけでも、一つの研究所が作られても良い。
長野県 東御市立みまき温泉診療所
(旧)北御牧村温泉診療所
21
顧問
所長
倉澤 隆平
久堀 周治郎
(3)ストレスと亜鉛欠乏症の相関
ストレス と 亜鉛欠乏症
(亜鉛×ビタミンB6×ビタミンE など)
《亜鉛(Zn)は、
「免疫機能」 「生殖機能」に重要なかかわりをもつ必須ミネラル》
1) (卵胞刺激・黄体形成)ホルモンの働きを促進させる作用
2) 胎児の正常発育の維持や流産の予防作用
ミネラル、ビタミンなどが、
3) 生殖器の発育維持や性腺機能維持作用
相互に影響し、原因の
4) ビタミン E との相乗効果によって胎盤停滞の予防作用
究明が非常に難しい
《Zn の血中濃度は、ストレスに対し非常に鋭敏に反応》
・女性では出産直後から18-24時間後に、亜鉛の血中濃度が平均で40%ほど低下
・流産、死産などの場合、1週間後にかけて亜鉛の血中濃度は50%以上低下
・肉体的なストレス、精神的なストレス、特に10-30代後半の男女は、慢性的に精神的な
ストレスを受けることによって亜鉛の血中濃度は著しく低下する。 (キレ易い)
・
「味覚障害」や「不妊症」の原因 ⇒ 精神的なストレスによる 亜鉛の低下
《初期症状》
・気分障害(うつ)
、神経障害(痴呆)
、免疫力の低下 、生殖機能障害、アレルギー(アトピー)性皮
膚炎
糖尿病、 脱毛・粗毛、人格障害、味覚障害、難聴、食欲不振、など
10 他事業との連携の可能性
① 家庭ゴミの堆肥化を促進する仕組みとして、エコポイントの運用を図る。
(原資の確保)
② 原資は、公共工事のイメージアップ費(地域貢献事業)を活用する。
(約 300 億円×1.27 %×0.2 = 7,620 万円/年)
③ 一般家庭ゴミ残渣が減ることのメリットによる、焼却処理費用の還元
④ カーボンオフセットの活用(焼却処理に比べると CO2 削減効率60%が可能)
⑤ 農産物の流通・品質管理体制の整備と情報提供
⑥ CSR 協力企業の連携
⑦ 食育と環境保全活動の連携
11 PR・普及啓発
① 収穫祭等を通した生産者と消費者との意見交流会(エコポイントの活用)
② シンポジウム等の開催による農業の魅力と現状を紹介
事例:UDCY(アーバンデザイン研究機構)
③ 市内大学等との連携による環境・健康都市横浜の実現
④ 産学民連携によるモデル地域の拡大
22
12 参 考
(1) 連携事業
ア 食育事業や農業政策との連携(横浜市)
① 放課後キッズクラブ事業における食育プログラムの導入(こども青尐年局放課後児童育成課)
・おやつの提供、収穫体験、親子交流会など
http://www.city.yokohama.jp/me/kodomo/houkago/houkago/houkago-kids.html
② 妊産婦・乳幼児への保健指導・情報提供(こども青尐年局こども家庭課)
・育児講座、プレママ・パパ保育体験など
http://www.city.yokohama.jp/me/kodomo/kikaku/l_stage1.html
③ 市立保育所における食育の推進(こども青尐年局保育運営課)
・食育リーフレット、食育講座、子ども向け献立表など
http://www.city.yokohama.jp/me/kodomo/unei/syokuiku/shokuiku1.html
④ 健康横浜21推進事業(健康福祉局保健政策課)
・取組み重点分野である「食習慣の改善」で健康づくりのための食育を推進
http://www.city.yokohama.jp/me/kenkou/kenyoko21/kenyoko_index.html
⑤ 栄養改善・健康増進事業(各区福祉保険センター)
・肥満・高血圧・糖脳病等の食生活相談、食生活等改善推進の育成、活動支援など
http://www.city.yokohama.jp/me/kenkou/02sub_category/kenkou.html#00
⑥ リスクコミュニケーション推進事業(健康福祉局食品衛生課)
・食の安全懇話会やシンポジウム、
「食の安全ヨコハマ WEB」による情報提供、
「職のあっと
ほっとフォーラム」の活用
http://www.city.yokohama.jp/me/kenkou/syoku_anzen/torikumi/
⑦ 市民体験農園(環境創造局農地保全課)
・農作業体験や多様なタイプの市民農園を推進することで、農地への関心と保全を図る。
http://www.city.yokohama.jp/me/kankyou/nousan/fureai/siminnouen.html
⑧ 市民と農との地産地消連携事業(環境創造局農業振興課)
・直売農家の組織化の拡大を積極的に推進、農業者に対する栽培技術等の研修など
http://www.city.yokohama.jp/me/kankyou/nousan/tisantisyo/
イ 市内肥料会社等との連携
① 一般廃棄物処分業の許可を持つ登録再生利用事業者
・ 横浜市有機リサイクル協同組合 飼料化事業
・ 横浜エコポート株式会社 肥料化事業、飼料化事業
http://www.maff.go.jp/sogo_shokuryo/recycle/07/ref_data01/2-15b.pdf
② 特殊肥料生産業者リスト
http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/nogyosinko/hiryo/main/list.pdf
23
ウ 年次別家畜飼養頭羽数(横浜市)
年次別家畜飼養頭羽数
(調:横浜市緑政局農と緑のふれあいセンター/2005農林センサ
ス)
年次
昭和
昭和
昭和
平成
平成
平成
平成
平成
平成
平成
平成
平成
40 年
50 年
60 年
8年
9年
10 年
11 年
12 年
13 年
14 年
15 年
16 年
平成 17 年
神奈川
南
港南
旭
磯子
金沢
港北
緑
青葉
都筑
戸塚
栄
泉
瀬谷
乳用牛
戸数
頭数
504 5,101
151 2,869
90 2,209
38 1,135
34
986
33 1,007
28
962
28
901
25
794
22
741
22
717
22
755
19
645
肉用牛
戸数 頭数
446
481
43
498
48
809
34
733
38
792
33
730
33
771
33
762
28
715
29
665
23
564
21
552
15
豚
630
戸数
1,580
217
99
20
19
19
19
18
17
17
16
16
頭数
24,517
32,663
28,459
13,886
14,248
15,496
13,747
14,332
13,542
13,295
12,109
13,004
戸数
2,961
197
77
32
32
29
24
26
25
25
22
21
採卵鶏
羽数
1,636,000
498,360
303,917
106,020
87,942
73,320
59,365
56,170
47,270
46,870
40,035
37,060
13
11,116
19
26,938
1
1
2
1
1
1
8
277
4
324
6
3
165
149
5
3
88
75
24
3
1
4,290
7
4,026
1
1
1
1
1
2
1
1
1
3
3
1
2
7,300
280
15
エ ミネラル野菜の取組み事例(福島県西会津)
「健康な体づくり」は「健康な食べもの」から、「健康な食べもの」は「健康な土づくり」から!の考えのもと、町で
は平成10年から『健康な土づくり事業』を進めてきました。
日頃のしっかりとした食生活は、私たちが健康な日常生活を送る上で欠かせません。
私たちの体をつくり、維持している食べ物の多くは農産物です。農産物がおいしくない、生育が悪いなどの原
因の多くは「土」が健康な状態でないのが原因です。
『健康な土づくり事業』では「土」の栄養分やミネラル成分のバランスを整え土壌を健全にし、その土壌で栽培
された作物を食べることによって「体の健康づくり」を推進していきます。
①物理性(団粒性、透水性、通気性)が、作物の成育に適
するようになっているか
②化学性(肥料や微量ミネラルの成分のバランスなど)が
適正かどうか
③生物性(土中の微生物などのバランス)が良い状態に
あるかどうか
このような健康な土から育つ作物は、生育が良く、病害
虫にも強い「健康な作物」になり、農薬の使用も少なくでき
ます。
そして健康な作物からは、栄養分やミネラル成分が豊富
でおいしい農産物ができます。
まず土の状況を知ることから始まります。土を採取し詳しい診断(分析)を受けて、どのような問題があるかを
把握します。
診断で、改善が必要とされたことを計画的に実行する。
※過剰な肥料成分等は入れない。
※不足のミネラル成分などを必要量入れる。
※完熟堆肥や有機系石灰の投入などの性質を改善する。
作物の生育を見ながら追肥などを、こまめに継続して行う。
※場合によっては化学肥料や資材、農薬の利用も必要です。
■ 西会津町役場経済振興課 農林振興係 TEL 0241(45)4531
福島県耶麻郡西会津町 「にしあいづ健康ミネラル野菜普及会」
町民の平均寿命が延びた。
25
町を上げて取り組んだ 健康な土壌で ミネラルたっぷりの野菜づくり。
かつては「短命の町」と呼ばれ、平均寿命が県内 90 市町村の中でもワースト 10 の中に入りそうなほどだった
西会津町。その町が今、健康な土作りからはじめたミネラル野菜で「百歳への挑戦」をキャッチフレーズに健康
な町作りを進め「長寿の町」へと、生まれ変わろうとしている。
健康な土地から生まれる健康野菜
福島県西会津町は新潟県境にある山間の人口 9000 人の過疎と高齢化が進む典型的な農村の町。かつて
は、塩分過多の食生活から「短命の町」と呼ばれていたが、土壌改良によるミネラル野菜作りをはじめ、その野
菜を食するようになってから、平均寿命が延び、医療費削減などの効果を上げている町となったのである。
西会津町で健康ミネラル野菜を作るきっかけとなったのは、1997 年秋に開催された中嶋常允先生の講演だっ
た。中嶋先生は熊本市にある農村化学研究所所長であり、「中嶋農法」の提唱者。健康な野菜を作るためには、
健全な土壌作りからはじめることが大切であるというのが、この農法の基本的理念。独自の土壌検査に基づい
て、その土に足りないミネラルを補っていく事で健全な土づくり(土壌改良)を行うものである。そしてこの土地で
作られた本来の力と栄養価を取り戻した野菜を食べることで健康な体を作ろうというものなのだ。この野菜が町
の原動力となり、高齢者の元気の源になっている。
野菜からえぐみやアクが消え、本来の甘みややかさがある。
佐藤さん達は西会津町に戻ると、すぐに中嶋先生の指導のもと肥料や農薬の投与を抑え、土に不足してい
たマンガン、鉄、亜鉛、銅といった本来土にあるミネラル分を補い、99 年春から栽培をはじめた。
「野菜からえぐみやアクが消え、甘くなった。春菊、ホウレン草、枝豆まで食べてもうまい」「味が濃く、まろやかに
なった」と「にしあいづ健康ミネラル野菜普及会」の会員 80 名をまとめる宇多川洋さんはミネラル野菜の美味しさ
がこの農法の最大の魅力だと語る。
1999 年から取り組み始めた「健康ミネラル野菜」づくりは、西会津町の人々に大きな変化をもたらした。はじめ
は健康増進が目標だったが、野菜づくりが軌道に乗るにつれて、高齢者の生きがいづくりにも効果が出てきた。
「とにかく楽しい。朝起きるとまず畑。今日は何が採れるかなと、とても楽しみなんですよ」(佐藤さん)。はじめは
19 人で発足した「普及会」も、現在では 60 歳以上の女性を中心に 70 人を超え、まだまだその広がりを見せて
いる。そしてその夢も冬場のハウス栽培の整備などを含めて大きく膨らんでいるのだ。
保健・医療・福祉の「三位一体」。トータルケアの町づくり。
西会津町では、食生活改善事業を中心とする保健分野に加え、医療、福祉分野と三位一体で「トータルケア
の町づくり」を進めている。このプランを「百歳への挑戦」と名付け、ミネラル野菜の栽培も総合プランの柱のひと
つとなった。脳血栓疾患での死亡率は全国平均の 1.7 倍にもなり、町の負担する国民健康保険の赤字は膨ら
み、町の財政を圧迫するほどだった。それが「健康ミネラル野菜づくり」などをはじめてから、多彩な事業が功を
奏したのか、平均寿命も 2000 年には男性 77.6 歳、女性 84.1 歳となり、全国平均を上回り、県内で下から 3 番
目だった男性の平均寿命が、90 市町村中 22 位に大きく躍進。女性も 50 位になり、町の大きな課題となってい
た国民健康保険の減税も実現した。
特に「にしあいづ健康ミネラル野菜普及会」は大きな役割を果たしている。「健康な土づくりで健康な町づくり」
をスローガンにし、「健康な土から育った健康な野菜を食べて、健康になろう」と地産地消を展開。ミネラル野菜
で健康になることを推進している。
収入が増え、忙しく働く事でいつのまにか元気になった。
「今まであまれば捨てていたものを、直売所に出す事で収入にもつながっているのが、やりがいのひとつ」「収
入が増えて、孫達に小遣いをあげることができるし、忙しく体を動かす事で元気になった」と話す普及会のメン
バーもいる。
「ミネラル野菜じゃないと食べられないという人たちが増えている。私自身もミネラル野菜を食べているうちに、
26
アレルギー体質が改善しとっても丈夫になった」と会長の宇多川さん自身もあらゆる面でその効果を実感してい
る。
健康な野菜を食べて、「長寿の町」へ
9 月 3 日「道の駅・にしあいづ」(よりっせ)がオープン。この中の町の交流物産館では西会津町の物産品をは
じめ、「健康ミネラル野菜普及会」の会員が丹精こめて作った野菜も並んでいる。野菜売り場には、生産者の顔
写真もあり、顔の見える産直品として「ミネラル野菜」を買うことができるのだ。
「以前の直売所は、会員たち交代で販売をしていました。畑もやって、販売もしてではちょっと大変でしたけど、
買ってくださるお客さんと話ができたり楽しい事も多かった。でもこれからは畑仕事に集中できるから、遊び半分
ではなく真剣にミネラル野菜づくりに取り組んで行きたいですね」(佐藤さん)
「私は、お客さんと直接会えて、料理の話などをするのが楽しかったので、ちょっと残念ですけど・・・。でも、お
いしい野菜をたくさん作って、たくさんの人に食べて欲しい」と語るのは佐藤さんと同じグループの高橋栄子さ
ん。
西会津町ではじまったミネラル野菜栽培は、高齢化が進む農村を元気にするモデルケースとしてはもちろん、
農業活性化の成功例としても注目を集めている。現在、全国各地で官民一体となって取り組んでいる米や野菜
を中心としたバランスの良い日本型の食生活も大きく見直されはじめている。
西会津町は「健康な土から育った野菜を食べて、健康になろう」と、健康ミネラル野菜で「短命の町」から「長寿
の町」へと、大きく生まれ変わろうとしている。
9 月 3 日にオープンした「道の駅・にしあいづ」(よりっせ)
◎福島県西会津町役場経済振興課 農林振興係
http://www.town.nishiaizu.fukushima.jp/frame.php?type=list&sid=208&pid=196&gid=196&frame=main
◎ 福島県耶麻郡西会津町 「道の駅にしあいづ よりっせ」
http://www.aizu-zensyu.com/aizuzensyu/2005-2/0502-07.html
(2)関連法令
ア 肥料関連法令(農林水産省)
・肥料・土壌改良資材関係法令
http://www.famic.go.jp/ffis/fert/sub1.html
・持続農業法関連法令等
http://www.maff.go.jp/soshiki/nousan/nousan/kanpo/jizoku.htm
・食品リサイクル法
http://www.maff.go.jp/sogo_shokuryo/kankyou.htm
(3)参考資料
ア 食品成分データベース(文部科学省)
http://fooddb.jp/index.html
イ 未利用資源 堆肥化マニュアル(神奈川県)平成 9 年 3 月
http://www.agri.pref.kanagawa.jp/nosoken/KANKYO/1997/miriyou_manual199708.ht
ウ 平成18年度作物別施肥基準(神奈川県)
http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/nogyosinko/sehi19/h19mokuji.html
27
Fly UP