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GC/MSD システムによる 経皮パッチからの抽出物/ 浸出物の分析
GC/MSD システムによる 経皮パッチからの抽出物/ 浸出物の分析 アプリケーションノート 医薬品 著者 概要 Diana M. Wong and Roger L. Firor 2 台の Agilent 5977A シリーズ GC/MSD システムにより、リドカイン接着パッチとフィ Agilent Technologies, Inc. ルム剥離ライナーを使用して、経皮薬剤搬送システム内の抽出物/浸出物を調査し 2850 Centerville Rd, ました。大容量液体注入法を使用し、プラスチック添加物および接着性添加物 Wilmington, DE 19808 USA を、アセトン、ジクロロメタン、ヘキサンの抽出液中で同定しました。高温ヘッ ドスペースと液体サンプリング法を使用して医薬品成分も同定しました。 はじめに 医薬品業界で使用されている容器施栓系 (CCS) での抽出物分析法に特に関心が持た れています。規制機関は、化学物質が一次包装材 (薬品に直接触れる包装) から抽 出される可能性があるかどうか、抽出物 (包装からの) が薬品内で浸出物として現 れるかどうかを確認することの必要性に向けて意識を高めています。抽出物の分 析には包装材から抽出された化合物も含まれ、包装材の成分と関連して高温度や 溶媒が使用されました。浸出物分析は、一次包装材から浸出した可能性のある薬 品中の成分の同定が含まれます。 抽出物および浸出物の主なソースは、包装材に柔軟性、剛性、安定性、障壁のよ うな物理的な保護的特性を提供する添加物です。抽出物には、プラスチックやエ ラストマー成分、コーティングのインクや接着剤、分解生成物 (加工、保管、およ び滅菌時に混入) があります。浸出物は、通常抽出物の一部ですが、薬品と包装材 の相互作用により新たに形成された成分もあります。 A 抽出物および浸出物のテストの指針は、徐々により包括的な 経皮薬剤搬送システムの概略図 ものになってきています。一般的なガイドラインと推奨テス 薬剤放出膜 トは、Product Quality Research Institute (PQRI)、国際標準化機構 薬剤リザーバ 色の付いた 支持体 接着剤 (ISO)、米国薬局方 (USP)、ヨーロッパ薬局方 (EP)、日本薬局方 フィルム剥離 離 ライナー (JP)、日米 EU 医薬品規制調和国際会議、医薬品の包装システ ム中の抽出物および浸出物のアセスメントについては、 USP<87>、USP <88>、USP <661>、EP 3.1、EP 3.2、ISO 10993、ICH B Q6A に記載されています。各ガイドラインは必須要件は定め フィルム剥離ライナーが除去されます。 ておらず、医療機器の評価のための任意の試験のみ示されて 接着パッチ います。 アメリカ食品医薬品局 (FDA) の業界向けガイドラインでは経 フィルム剥離 皮パッチは、その投与経路に関係する懸念がきわめて大きい パック式と、包装成分と剤形との間で相互作用が生じる可能 C 接着パッチが皮膚に適用されます。 性が高いものに分類されています [1]。経皮薬剤搬送システ 接着パッチ ム (パッチ) は薬品の有効成分を皮膚経由で循環系に統合する ために使用される技術です [2,3]。経皮パッチは、ある時間に わたって皮膚経由で投薬量を制御できるため望ましいもので 皮 す。接着パッチを除去することによって薬剤投与を終了する 血管 ことも可能です。 図 1. 経皮薬剤搬送システムの概略図 (A)、接着パッチおよび フィルム剥離ライナーの構成 (B)、皮膚に適用した場合 (C)。 このアプリケーションノートでは経皮パッチの抽出物および 浸出物の調査のモデルとして一般的なリドカイン接着パッチ を使用しました。このパッチは、ポリエチレンテレフタレー したパッチは、有効期限が 1 年以上過ぎていたものでした。 ト (PET) フィルム剥離ライナー、これでカバーされた不織ポ アセトン (650501)、ジクロロメタン (DCM) (650463)、ヘキサン リエステルフェルトの支持体、これに塗布された 5 % リドカ (34859) は Sigma-Aldrich 社から購入しました。 インを含む接着剤で構成されていました (図 1) [4,5]。フィル ム剥離ライナーは皮膚にパッチを適用する前に取り除きまし ALS GC/MS による抽出物および浸出物の分析 た。パッチとフィルムの抽出物と浸出物は、ヘッドスペース サンプル前処理 サンプリングおよび大容量液体注入技術を使用して分析しま 5 cm×7 cm シートのフィルム (1 cm2 の断片) と 400 mg のパッチ した。ガスクロマトグラフィー質量分析 (GC/MS) を使用し (1 cm2 の断片) をそれぞれに別の抽出用バイアルに入れまし て、揮発性および難揮発性の有機化合物を同定しました。 た。フィルムは、エタノールと水ですばやくすすがれ、パッ チからの残留物を最小に低減しました。パッチとフィルムは 実験 5.0 mL の溶媒 (アセトン、DCM、ヘキサン) で、別々の 12 mL の サンプル/試薬と機器 茶色のバイアル中で浸されました。バイアルは 5〜16 時間超 音波処理され、室温で 24 時間放置されました。有機層が 5 % リドカインパッチは業界大手の医薬品企業が製造したも GC/MS 分析用の茶色のオートサンプラバイアル内部に置かれ のです。リドカインパッチ中の抽出物/浸出物は 7697A ヘッ たガラスインサートに移送されました。MMI を使用して溶媒 ドスペースサンプラと 7890A GC および 5977A MSD (ヘッドス ベントモードで 10 μL の抽出液が注入されました。溶媒除去 ペース GC/MS) を組み合わせて使用し高温で分析しました。 ウイザードにより、アセトン、DCM、ヘキサン抽出液の分析 溶媒抽出物は 7693A シリーズオートサンプラと 7890A GC およ に固有のパラメータが開発されました。アセトン、DCM、ヘ び 5977 MSD (ALS GC/MS) を組み合わせて分析しました。ALS キサン抽出液は、それぞれ溶媒ベント時間 0.65〜2.0 分、0.6 GC/MS はマルチモード注入口 (MMI) を装備し、大容量液体注 〜2.0 分および 0.15〜0.30 分で調査されました。MMI の初期 入用の溶媒ベントモードで動作させました。この作業で使用 2 ホールド時間は、分析で使用した溶媒ベント時間に合わせて 表 2. 変更されました。すべての溶媒分析で、同様の GC と MSD の ヘッドスペース Agilent 7697A パラメータを使用しました (表 1)。 バイアル加圧ガス ヘリウム ループサイズ 1.0 mL バイアルスタンバイ流量 50 mL/min トランスファーライン 内径 0.53 mm 不活性化フューズドシリカ 表 1. ALS GC/MS による DCM 抽出液の分析のための GC および MSD の 機器パラメータ ヘッドスペース GC/MS による分析の機器パラメータ HS オーブン温度 250 °C GC Agilent 7890A HS ループ温度 250 °C 注入口 マルチモード注入口 (MMI) HS トランスファーライン温度 270 °C モード 溶媒ベント バイアル平衡化時間 25 分、レベル 2 振とう 注入口プログラム* -5 °C (0.7 分間) から 600 °C/min で 325 °C (5 分間) まで GC 分析時間 80 分 ライナー 内径 4 mm ウルトライナート (部品番号 5190-3162) バイアル 10 mL、PTFE/シリコンセプタム 注入口ベント 100 mL/min (5 psi) で 0.7 分間 バイアル充填モード 指定圧力まで一定流量 キャリアガス ヘリウム バイアル充填圧力 15 psi ループ充填モード カスタム ループ昇圧速度 20 psi/min ループ最終圧力 1.5 psi ループ平衡化時間 0.05 分 キャリア制御モード GC キャリア制御 抽出モード シングル 抽出後のベント ON スプリットベントへの パージ流量 3.15 分で 60 mL/min オーブンプログラム 50 °C (3 分間) から 6 °C/min で 340 °C (5 分間) まで カラム HP-5ms UI、30 m x 250 µm、0.25 µm (部品番号 19091S-433UI) MSD Agilent 5977A トランスファーライン 280 °C MS イオン源 300 °C MS 四重極 175 °C チューン atune.u スキャン 29〜700 amu、2.2 スキャン/秒 スレッシュホールド 150 ゲイン係数 ソフトウェア 注入後パージ 100 mL/min で 1 分間 GC Agilent 7890A 注入口 スプリット/スプリットレス ライナー 0.75 mm ウルトライナート、ストレート、 テーパ (部品番号 5190-4048) 1.0 注入口温度 280 °C Agilent MassHunter B.07.00 注入口流量 定流量、1.3 mL/min スプリット比 30:1 キャリアガス ヘリウム ヘッドスペース GC/MS による抽出物および浸出物の 分析 オーブンプログラム 35 °C (2 分間) から 8 °C/min で 320 °C (3 分間) まで カラム HP-5ms UI、30 m x 0.25 mm、0.5 µm (部品番号 19091S-133UI) 接着パッチとフィルムライナーは別のヘッドスペースバイア MSD Agilent 5977A ルで分析しました。フィルムライナーをエタノールと水です トランスファーライン 280 °C ばやくすすいで接着パッチから残留物を取り除きました。 MS イオン源 280 °C *初期温度および初期ホールド時間は、溶媒抽出液により異なります。 ヘッドスペース GC/MS 分析には 3 つの 1 cm2 (300 mg) 片のパッ MS 四重極 180 °C チと 5 cm × 7 cm シートのフィルム (1 cm2 の片) を使用しまし チューン atune.u た。フィルムとパッチを、別の 10 mL ヘッドスペースバイア スキャン 15〜700 amu、2.5 スキャン/秒 ルに移送し、窒素でパージし、高性能 PTFE クリンプキャッ スレッシュホールド 0 プで密閉します。システムパラメータを表 2 に示すように設 ゲイン係数 1.0 定して、フィルムとパッチは 250 °C のヘッドスペース平衡温 ソフトウェア Agilent MassHunter B.07.01 度で調査しました。 3 化合物の同定 さまざまな溶媒を用いて抽出することにより異なる可塑剤が 化学物質は、MSD ChemStation Data Analysis F.01.01、MassHunter 同定されました。アセトン抽出液を使用し、複数のテレフタ Unknowns Analysis B.07.00、および AMDIS 2.72 を使用して定性し レート可塑剤、フィルム剥離ライナーの成分を同定しました ました。すべての化合物の質量スペクトルは NIST ライブラ (表3、図2)。一方、DCM 抽出液を使用して DEHP およびベンゾ リ 2.2 で照合しました。質量スペクトルの類似性が 80 % 以上 フェノンが観察され (表 4、図 3) [7,8]、ヘキサン抽出液を使用 の化合物のうち、最も一致しているものを調査に使用しま して DEHA および他のフタレート可塑剤を定性しました (表 した。 5、図 4)。高温ヘッドスペース分析を使用してパルミチン酸 ブチルエステルおよびステアリン酸 2-メチルプロピルエステ 結果と考察 ルなどの脂肪酸可塑剤を同定しました (表 6、図 5)。ヘッドス ペース GC/MS を使用してフタレート可塑剤は同定されません ヘッドスペース GC/MS と ALS GC/MS を使用して、接着パッチ でした。これは、高濃度のリドカイン、およびクロマトグラ 中の有効成分と非有効成分を同定しました。接着パッチに フィーでの保持力が強いグリセリンとプロピレングリコール 700 mg の有効成分、リドカイン (50 mg リドカイン/g の接着剤) についてクロマトグラフィー性能が良くないことが原因と考 が含まれていました。同定された非有効成分は、プロピル えられます。 パラベン、メチルパラベン、尿素、プロピレングリコー ル、グリセリン、ソルビトールでした [6]。 表 3. アセトン抽出と ALS GC/MS によるリドカインパッチおよびフィルム中で同定された抽出物 RT (分) パッチ RT (分) フィルム 3.11 プロピレングリコール 4.12 2-ペンタノン, 4-ヒドロキシ-4-メチル- 8.33 1,1-エタンジオール, ジアセテート 7.12 グリセリン 12.29 2,6-キシリジン 10.48 尿素 12.40 2,6-ジメチルフェニルイソシアナート 13.48 フェノール, 2-メトキシ- 13.50 メキノール 16.87 2-アセチル-2-メチルテトラヒドロフラン 14.88 グリセリン 17.97 1,2-エタンジオール, モノベンゾエート 15.45 4-メチルホルムアニリド 18.84 メチルパラベン 16.53 尿素 19.32 安息香酸, 4-(アセチルオキシ)-, メチルエステル 18.61 ホルムアミド, N-(2,4-ジメチルフェニル)- 20.23 安息香酸, 4-エトキシ-, エチルエステル 18.81 メチルパラベン 20.86 エチルパラベン 19.18 1-ドデカノール 22.13 プロピルパラベン 19.49 メチルパラベン 27.08 リドカイン 19.72 ジメチルテレフタレート 28.09 ブチル 2-クロロプロピルフタレート 20.25 安息香酸, 4-エトキシ-, エチルエステル 31.55 ビス(2-ヒドロキシエチル) テレフタレート 20.52 d-マンニトール, 1,4-アンヒドロ- 22.68 プロピルパラベン 22.75 イソブチル 4-ヒドロキシベンゾアート 26.32 2-ヒドロキシエチルメチルテレフタレート 27.49 リドカイン 28.06 n-パルミチン酸 28.14 フタル酸ブチルシクロブチル 29.81 ソルビトール 31.15 ステアリン酸 31.38 ビス(2-ヒドロキシエチル) テレフタレート 34.53 ビス(2-エチルヘキシル) アジピン酸 4 ×109 1.1 1. プロピレングリコール A 2. 1,1-エタンジオール, ジアセテート 19 パッチ 3. 2,6-キシリジン 4. 2,6-ジメチルフェニルイソシアナート 1.0 5. メキノール 0.9 6,27. グリセリン 0.8 8,28. 尿素 7. 4-メチルホルムアニリド 9. ホルムアミド, N-(2,4-ジメチルフェニル)- カウント 0.7 10,32. メチルパラベン 0.6 11. 1-ドデカノール 1 0.5 12. メチルパラベン 13. ジメチルテレフタレート 0.4 5 0.3 6 エチルエステル 4 2 0.1 0 3 5 7 7 9 11 13 15 6 ×10 8 15. d-マンニトール, 1,4-アンヒドロ- 12 11 13 10 14 3 0.2 2.4 14,34. 安息香酸, 4-エトキシ-, 9 17 16,36. プロピルパラベン 20 16,17 21 19 21 23 リテンションタイム (分) 25 18. 2-ヒドロキシエチルメチル 24 22 18 15 17. イソブチル 4-ヒドロキシベンゾアート 23 25 27 29 31 33 20. n-パルミチン酸 21,38. フタル酸ブチルシクロブチル 22. ソルビトール B 2.2 テレフタレート 19,37. リドカイン 23. ステアリン酸 24,39. ビス (2-ヒドロキシエチル) テレフタレート 32 フィルム 25. ビス (2-エチルヘキシル) アジピン酸 2.0 26. 2-ペンタノン, 4-ヒドロキシ-4-メチル- 1.8 30. 2-アセチル-2-メチルテトラヒドロフラン 29. フェノール, 2-メトキシ31. 1,2-エタンジオール, モノベンゾエート 1.6 カウント 33. 安息香酸, 4-(アセチルオキシ)-, メチルエステル 36 1.4 35. エチルパラベン 1.2 1.0 0.8 0.6 34 0.4 0.2 0 図 2. 26 3 5 7 30 31 29 27 28 9 11 13 15 17 33 19 37 35 21 リテンションタイム (分) 23 25 27 38 39 29 アセトン抽出液と ALS GC/MS による、リドカインパッチ (A) およびフィルム (B) の抽出物の分析 5 31 33 表 4. DCM 抽出液と ALS GC/MS による、リドカインパッチとフィルム中で同定された抽出物 RT (分) パッチ RT (分) フィルム 10.91 グリセリン 7.19 グリセリン アセトフェノン 12.12 ベンゼン, 2-イソシアノ-1,3-ジメチル- 9.72 12.22 ベンゼンアミン, 2,4-ジメチル- 10.28 尿素 12.48 2,6-ジメチルフェニルイソシアナート 11.04 2-エチル-ヘキサン酸 15.43 4-メチルホルムアニリド 12.21 ベンゼンアミン, 2,4-ジメチル- 16.42 N- (2-フェニルエテニル) アセトアミド 13.14 チオフェン, テトラヒドロ-, 1,1-ジオキシド 23.21 メチルパラベン 13.46 メキノール 25.91 プロピルパラベン 15.41 4-メチルホルムアニリド 28.68 リドカイン 18.84 メチルパラベン プロピルパラベン 32.04 1,3-ブタジエン, 1,4-ジフルオ- 22.14 32.72 トリブチル アセチルシトレート 22.23 ベンゾフェノン 36.48 39.87 フタル酸ビス (2-エチルヘキシル) スクアレン 23.01 1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン, 1,3,5-トリ-2-プロペニル- 26.53 フタル酸ビス(2-メチルプロピル) 27.08 リドカイン 28.01 トリデカン酸 28.08 シクロブチル トリデカノール フタレート 30.36 ピレン 6 ×104 1,14. グリセリン A 2.6 8 2. ベンゼン, 2-イソシアノ-1,3-ジメチル- 9 3,18. ベンゼンアミン, 2,4-ジメチル- パッチ 4. 2,6-ジメチルフェニルイソシアナート 2.4 5. 4-メチルホルムアニリド 2.2 6. N-(2-フェニルエテニル) アセトアミド 7,22. メチルパラベン 2.0 8,23. プロピルパラベン 1.8 9,27. リドカイン 7 10. 1,3-ブタジエン, 1,4-ジフルオ- カウント 1.6 11. トリブチル アセチルシトレート 1.4 12. フタル酸ビス (2-エチルヘキシル) 1.2 13. スクアレン 15. アセトフェノン 1.0 4 16. 尿素 0.8 17. 2-エチル-ヘキサン酸 19. テトラヒドロチオフェン 1,1-ジオキシド 0.6 3 0.4 20. メキノール 21. 4-メチルホルムアニリド 2 5 1 0.2 10 6 11 13 12 0 7 9 11 13 15 17 19 3 ×10 2.3 B 21 23 25 リテンションタイム (分) 22 27 29 31 33 35 37 39 30. ピレン 27 1.7 1.5 カウント 1.4 1.3 1.1 19 0.7 0.5 26 25 14 15 0.3 16 28 20 21 17 18 29 24 30 0 7 図 3. 9 11 13 15 17 19 21 23 26. フタル酸ビス (2-メチルプロピル) 29. シクロブチル トリデカノール フタレート 23 1.9 0.9 25. 1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)トリオン, 1,3,5-トリ-2-プロペニル28. トリデカン酸 フィルム 2.1 24. ベンゾフェノン 25 リテンションタイム (分) 27 29 31 33 DCM 抽出液と ALS GC/MS による、リドカインパッチ (A) およびフィルム (B) の抽出物の分析 7 35 37 39 表 5. ヘキサン抽出液と ALS GC/MS による、リドカインパッチとフィルム中で同定された抽出物 RT (分) パッチ RT (分) フィルム 6.58 ホルムアミド, N,N-ジエチル 18.75 メチルパラベン 7.28 シクロプロパン, 2-ブロモ-1,1,3-トリメチル- 20.23 安息香酸, 4-エトキシ-, エチルエステルr 8.20 ベンゼン, 2-イソシアノ-1,3-ジメチル- 21.61 フタル酸ジエチル 12.20 2,6-キシリジン 22.10 プロピルパラベン 12.33 2,6-ジメチルフェニルイソシアナート 26.54 シクロブチル ヘプチル フタレート 12.77 エタノール, 1-(2-ブトキシエトキシ)- 27.09 リドカイン 14.40 テトラメチル スクシンイミド 28.09 フタル酸ジブチル 18.63 2',6'-ホルムアミド 34.52 ビス (2-エチルヘキシル) アジピン酸 21.54 メチルパラベン 24.58 プロピルパラベン 26.60 シクロブチル イソブチル フタレート 27.01 リドカイン 28.40 フタル酸6-エチル-3-オクチルブチル 31.16 ステアリン酸 36.48 ビス (2-ペンチル) フタレート 8 ×104 7.0 6.4 6.0 5.6 5.2 4.8 4.4 4.0 3.6 3.2 2.8 2.4 2.0 1.6 1.2 0.8 0.4 0 1. ホルムアミド, N,N-ジエチル A 2. シクロプロパン, 2-ブロモ-1,1,3-トリメチル- 12 パッチ 3. ベンゼン, 2-イソシアノ-1,3-ジメチル4. 2,6-キシリジン 5. 2,6-ジメチルフェニルイソシアナート 6. エタノール, 1-(2-ブトキシエトキシ)7. テトラメチル スクシンイミド 8. 2',6'-ホルムアミド カウント 9,16. メチルパラベン 10,19. プロピルパラベン 11,20. シクロブチル イソブチル フタレート 12,21. リドカイン 10 9 13. フタル酸6-エチル-3-オクチルブチル 14. ステアリン酸 15. ビス (2-ペンチル) フタレート 17. 安息香酸, 4-エトキシ-, エチルエステル 4 5 2 1 3 5 7 6 9 11 13 15 17 3 ×10 B 4.2 16 11 8 7 19 21 23 リテンションタイム (分) 25 27 13 29 18,22. フタル酸ジエチル 23. ビス (2-エチルヘキシル) アジピン酸 15 14 31 33 35 37 フィルム 3.9 3.6 3.3 19 3.0 カウント 2.7 2.4 2.1 21 1.8 1.5 1.2 0.9 22 0.6 0.3 0 図 4. 18 17 18 19 20 21 22 23 20 23 24 25 26 27 28 リテンションタイム (分) 29 30 31 32 33 ヘキサン抽出液と ALS GC/MS による、リドカインパッチ (A) およびフィルム (B) の抽出物の分析 9 34 35 36 表 6. ヘッドスペース GC/MS による、リドカインパッチとフィルム中で同定された抽出物 RT (分) パッチ RT (分) フィルム 1.29 (2-アジリジニルエチル) アミン 2.03 酢酸, メチルエステル 2.03 酢酸, メチルエステル 2.52 酢酸 2.16 2-プロペン-1-オール 4.22 エチレングリコール 5.18 グリシドール 5.13 プロピレングリコール 5.55 ピロール 5.79 シクロブテン, 2-プロペニリデン- 7.03 プロピレングリコール 14.53 ベンゼンアミン, 2,5-ジメチル- 7.08 ピラジン, メチル 14.62 2,6-ジメチルフェニルイソシアナート 7.29 フルフラール 16.57 イソソルビド 7.45 1H-ピロール, 2-メチル 19.39 メチルパラベン 7.41 エチレングリコール 21.99 プロピルパラベン 8.60 1,2-プロパンジオール, 1-アセタート 26.01 リドカイン 10.62 フェノール 29.15 パルミチン酸ブチルエステル 11.09 パラジン, 2-エチル-5-メチル 31.30 ステアリン酸 2-メチルプロピルエステル 13.29 1,2,3-プロパンチオール, 1-アセテート 32.42 ノナデカン 14.04 5H-5-メチル-6,7-ジヒドロシクロペンタピラジン 14.53 グリセリン 14.64 2,6-キシリジン 16.38 N,N-ジエチルエチレンジアミン 17.58 イソソルビド 19.72 1-ドデカノール 19.88 メチルパラベン 22.42 プロピルパラベン 25.16 アセトアミド, N-(2,6-ジメチルフェニル)-2-(エチルアミノ)- 26.08 リドカイン 29.15 パルミチン酸ブチルエステル 31.30 ステアリン酸 2-メチルプロピルエステル 32.42 ノナデカン 10 ×104 24 A 2.6 1. (2-アジリジニルエチル) アミン 2,28. 酢酸, メチルエステル 17 パッチ 3. 2‐プロペン‐1‐オール 4. グリシドール 2.4 5. ピロール 2.2 6,31. プロピレングリコール 7. ピラジン, メチル 2.0 1.8 9. 1H-ピロール, 2-メチル 10,30. エチレングリコール 10 1.4 1.2 6 1.0 0.4 0.2 0 11. 1,2-プロパンジオール1-アセタート 12. フェノール 9 8 13. パラジン, 2-エチル-5-メチル 14. 1,2,3-プロパンチオール, 1-アセテート 16 15. 5H-5-メチル-6,7ジヒドロシクロペンタピラジン 0.8 0.6 8. フルフラール 1 カウント 1.6 7 15 5 3 16. グリセリン 14 11 2 19 4 18 6 8 18. N,N-ジエチルエチレンジアミン 12 13 4 2 17. 2,6-キシリジン 21 10 12 14 16 20 18 20 22 リテンションタイム (分) 3 ×10 19,35. イソソルビド 23 22 25 26 27 24 26 28 30 32 24,38. リドカイン 29 フィルム 25,39. パルミチン酸ブチルエステル 26,40. ステアリン酸 2-メチルプロピルエステル 3.0 27,41 ノナデカン 31 29. 酢酸 2.7 32. シクロブテン, 2-プロペニリデン33. ベンゼンアミン, 2,5-ジメチル- 2.4 34. 2,6-ジメチルフェニルイソシアナート カウント 2.1 1.8 1.5 36 1.2 30 0.9 0 図 5. 40 33 0.6 0.3 22,37. プロピルパラベン 23. アセトアミド, N-(2,6-ジメチルフェニル) -2-(エチルアミノ)- 3.6 B 3.3 20. 1-ドデカノール 21,36. メチルパラベン 34 28 2 32 4 39 37 6 8 10 12 14 16 41 38 35 18 20 リテンションタイム (分) 22 24 26 ヘッドスペース GC/MS による、リドカインパッチ (A) およびフィルム (B) の抽出物の分析 11 28 30 32 可塑剤は、接着パッチの成分またはフィルム剥離ライナー された、抽出物と潜在的な浸出物を組み合わせたリストを示 からの移動に由来する場合があります。パッチ自体は、接 しています。これらの化合物は、プラスチック、ゴム、接着 着剤とポリエステルフェルトの支持体で構成され、フィル 剤に含まれる成分、医薬品の成分および前駆体で構成されて ム剥離ライナーは PET です。パッチで同定された抽出物は、 いました。 薬品リザーバに浸出物として移動する可能性があります。 表 7 はヘッドスペース GC/MS および ALS GC/MS によって同定 表 7. リドカイン接着パッチとフィルム剥離ライナーで同定された抽出物の一覧表 化合物 GC/MSD デバイス (2-アジリジニルエチル) アミン HS パッチ 1,1-エタンジオール, ジアセテート ALS (A) パッチ N,N-ジエチルエチレンジアミン HS パッチ エチレングリコール HS パッチ 1,2-エタンジオール, モノベンゾエート HS, ALS (A) フィルム 1,2-プロパンジオール, 1-アセタート HS パッチ 1,2,3-プロパンチオール, 1-アセテート HS 使用用途 可塑剤 パッチ 1,3,5-トリアジン-2,4,6 (1H,3H,5H)-トリオン, 1,3,5-トリ-2-プロペニル- ALS (D) フィルム 1,3-ブタジエン, 1,4-ジフルオ- ALS (D) パッチ 1-ドデカノール HS および ALS (A) パッチ 1H-ピロール, 2-メチル HS パッチ 2,6-ジメチルフェニルイソシアナート HS フィルム 2,6-ジメチルフェニルイソシアナート ALS (A, D, H) パッチ パッチ 潤滑剤 2',6'-ホルムアミド ALS (H) 2,6-キシリジン HS および ALS (A, H) パッチ 2-アセチル-2-メチルテトラヒドロフラン ALS (A) フィルム 2-エチル-ヘキサン酸 ALS (D) フィルム 2-ペンタノン, 4-ヒドロキシ-4-メチル- ALS (A) フィルム 2-プロペン-1-オール HS パッチ 4-メチルホルムアニリド ALS (A, D) パッチ 4-メチルホルムアニリド ALS (D) フィルム 5H-5-メチル-6,7-ジヒドロシクロペンタピラジン HS パッチ アセトアミド, N-(2,6-ジメチルフェニル)-2-(エチルアミノ)- HS パッチ 酢酸 HS フィルム 酢酸, メチルエステル HS パッチ、フィルム 接着剤 アセトフェノン ALS (D) フィルム ベンゼンアミン, 2,4-ジメチル- ALS (D) パッチ、フィルム ベンゼンアミン, 2,5-ジメチル- HS フィルム ベンゼン, 2-イソシアノ-1,3-ジメチル- ALS (D, H) パッチ 安息香酸, 4-(アセチルオキシ)-, メチルエステル ALS (A) フィルム 安息香酸, 4-エトキシ-, エチルエステル ALS (A) パッチ 安息香酸, 4-エトキシ-, エチルエステル ALS (A, H) フィルム ベンゾフェノン ALS (D) フィルム シクロブテン, 2-プロペニリデン- HS フィルム シクロプロパン、2-ブロモ-1,1,3-トリメチル- ALS (H) パッチ d-マンニトール, 1,4-アンヒドロ- ALS (A) パッチ リドカイン前駆体 香水 接着剤 可塑剤 HS: ヘッドスペース GC/MS、ALS: 自動液体サンプラ GC/MS、A: アセトン、D: ジクロロメタン、H: ヘキサン 12 表 7. リドカイン接着パッチとフィルム剥離ライナーで同定された抽出物の一覧表 (続き) 化合物 GC/MSD デバイス エタノール,1-(2-ブトキシエトキシ)- ALS (H) パッチ エチルパラベン ALS (A) フィルム ホルムアミド, N-(2,4-ジメチルフェニル)- ALS (A) パッチ ホルムアミド, N,N-ジエチル ALS (H) パッチ フルフラール HS パッチ 香水 グリセリン HS および ALS (A, D) パッチ 医薬品 グリセリン ALS (A, D) フィルム 医薬品 グリシドール HS パッチ 可塑剤 ヘキサデカン酸 ALS (A); パッチ 可塑剤 ヘキサデカン酸, ブチル エステル HS パッチ、 フィルム 可塑剤 アジピン酸, ビス(2-エチルヘキシル) エステル (DEHA) ALS (H) フィルム 可塑剤 可塑剤 使用用途 防腐剤 アジピン酸, ビス(2-エチルヘキシル) エステル (DEHA) ALS (A) パッチ イソブチル 4-ヒドロキシベンゾアート ALS (A) パッチ イソソルビド HS パッチ、 フィルム 医薬品 リドカイン HS パッチ、 フィルム 麻酔薬 リドカイン ALS (A, D, H) パッチ、 フィルム 麻酔薬 メキノール ALS (A) パッチ メキノール ALS (D) フィルム メチルパラベン HS, ALS (A, D, H) パッチ、 フィルム 防腐剤 N-(2-フェニルエテニル) アセトアミド ALS (D) パッチ ノナデカン HS パッチ、 フィルム 可塑剤 オクタデカン酸 ALS (A, H) パッチ 可塑剤 オクタデカン酸, 2-メチルプロピルエステル HS パッチ、 フィルム 可塑剤 フェノール HS パッチ プラスチック前駆体 フェノール, 2-メトキシ- ALS (A) フィルム フタレート, 6-エチル-3-オクチルブチル ALS (H) パッチ 可塑剤 フタレート, ビス(2-メチルプロピル) ALS (D) フィルム 可塑剤 フタレート, ビス(2-エチルヘキシル) ALS (D) パッチ 可塑剤 フタレート, ビス(2-ペンチル) ALS (H) パッチ 可塑剤 フタレート, ブチル 2-クロロプロピル ALS (A) フィルム 可塑剤 フタレート, ブチル シクロブチル ALS (A) パッチ 可塑剤 フタレート, シクロブチル ヘプチル ALS (H) フィルム 可塑剤 フタレート, シクロブチル イソブチル ALS (H) パッチ 可塑剤 フタレート, シクロブチル トリデシル ALS (D) フィルム 可塑剤 フタレート, ジブチル ALS (H) フィルム 可塑剤 フタレート, ジエチル ALS (H) フィルム 可塑剤 プロピレングリコール HS および ALS (A) パッチ 医薬品 プロピレングリコール HS フィルム 医薬品 プロピルパラベン HS および ALS (A, D, H) パッチ、 フィルム 防腐剤 パラジン, 2-エチル-5-メチル HS パッチ 香水 ピラジン, メチル HS パッチ 香水 ピレン ALS (D) フィルム HS: ヘッドスペース GC/MS、ALS: 自動液体サンプラ GC/MS、A: アセトン、D: ジクロロメタン、H: ヘキサン 13 表 7. リドカイン接着パッチとフィルム剥離ライナーで同定された抽出物の一覧表 (続き) 化合物 GC/MSD デバイス ピロール HS パッチ ソルビトール ALS (A) パッチ スクアレン ALS (D) パッチ 医薬品 テレフタレート, 2-ヒドロキシエチルメチル ALS (A) パッチ 可塑剤 テレフタレート, ビス (2-ヒドロキシエチル) ALS (A) パッチ、フィルム 可塑剤 テレフタレート, ジメチル ALS (A) パッチ 可塑剤 テトラメチル スクシンイミド ALS (H) パッチ 単量体 チオフェン, テトラヒドロ-, 1,1-ジオキシド ALS (D) フィルム トリブチル アセチルシトレート ALS (D) パッチ トリデカン酸 ALS (D) フィルム 尿素 ALS (A) パッチ 医薬品 尿素 ALS (A, D) フィルム 医薬品 使用用途 医薬品 可塑剤 HS: ヘッドスペース GC/MS、ALS: 自動液体サンプラ GC/MS、A: アセトン、D: ジクロロメタン、H: ヘキサン 14 結論 参考文献 ヘッドスペース GC/MS を使用すれば、サンプル前処理法の 1. Guidance for Industry: Container Closure Systems for Packaging Human Drugs and Biologics; US Department of Health and Human Services, Food and Drug Administration: Rockville, MD, 1999. 手間を軽減できるため、経皮パッチ中の抽出物を容易に分 析できます。一方、ALS GC/MS では、さまざまな有機溶媒か らの抽出物を解析できます。大容量の液体注入により、低 2. T. Tanner, R. Marks. “Delivering Drugs by the Transdermal Route: Review and Comment” Skin Res. Technol. 14, 249-260 (2008). レベル化合物の検出が向上します。フタレート可塑剤は大 容量注入を使用した場合のみ検出でき、これらの添加剤は 低レベルで存在する可能性があります。溶媒抽出は、高濃 3. K. Saroha, B. Yadav, B. Sharma. “Transdermal Patch: A Discrete Dosage Form” Int. J. Curr. Pharm. Res. 3, 98-108 (2011). 度の薬品成分を含む経皮パッチ中のフタレートの検出に とって最適なメソッドであると考えることができます。脂 4. D. Rolf, E. K. S. Urmann. “Non-Occulusive Adhesive Patch for Applying Medication to the Skin” US5536263 A, July 16 (1996). 肪酸可塑剤は、ヘッドスペースサンプリングを使用して同 定されました。 5. A. M. Comer, H. M. Lamb. “Lidocaine Patch 5%” Drugs 59, 245-249 (2000). 6. B. S. Galer, et al. “Topical Lidocaine Patch Relieves Postherpetic Neuralgia More Effectively than a Vehicle Topical Patch: Results of an Enriched Enrollment Study” Pain 80, 533-538 (1999). 7. B. E. Butterworth, et al. “Lack of Genotoxic Activity of di(2Ethylhexyl)phthalate (DEHP) in Rat and Human Hepatocytes” Carcinogenesis 5, 1329-1335 (1984). 8. M. C. Rhodes, et al. “Carcinogenesis Studies of Benzophenone in Rats and Mice” Food Chem. Toxicol. 45, 843-851 (2007). 詳細 本書に記載されたデータは典型的な結果です。アジレント 製品とサービスの詳細については、アジレントのウェブサ イト (www.agilent.com/chem/jp) をご覧ください。 15 www.agilent.com/chem/jp アジレントは、本文書に誤りが発見された場合、また、本文書の使用により 付随的または間接的に生じる損害について一切免責とさせていただきます。 本資料に記載の情報、説明、製品仕様等は予告なしに変更されることがあり ます。 アジレント・テクノロジー株式会社 © Agilent Technologies, Inc. 2016 Printed in Japan September 16, 2016 5991-5605JAJP