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東北管内6次産業化認定事業者 ~取組事例集~ 東北管内

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東北管内6次産業化認定事業者 ~取組事例集~ 東北管内
東北管内6次産業化認定事業者
~取組事例集~
平成27年7月版
東 北 農 政 局
(株)ヒロサキ(弘前市)
青森県
三種町森岳じゅんさいの里
活性化協議会
(三種町)
岩手県
秋田県
(株)西和賀産業公社
(西和賀町)
(資)エコニコ農園
(仙北市)
山形県
宮城県
(株)産直あぐり
(鶴岡市)
福島県
(有)おっとちグリーン
ステーション
(登米市)
エコファーム蔵王(株)
(蔵王町)
(株)ミールサービス
(山形市)
白河農業協同組合
(白河市)
-1-
福島県食品産業協議会
(福島市)
目 次
取組名
取組主体
県
頁
りんごの生産者が連携したカットりんごの
生産・販売
株式会社 ヒロサキ
【平成26年9月認定】
青森県
3
6次産業化の推進による町の明るい未来
を目指して
株式会社 西和賀産業公社
【平成24年2月認定】
岩手県
5
企業と連携した野菜パウダーの開発と販売
有限会社
おっとちグリーンステーション
【平成25年2月認定】
宮城県
7
直売施設を中核とした元気な地域づくり
農業生産法人
エコファーム蔵王株式会社
【平成24年5月認定】
宮城県
9
ブルーベリー栽培を通じた元気な地域づくり
合資会社 エコニコ農園
【平成25年2月認定】
秋田県
11
じゅんさい産業の振興で町を活性化
三種町森岳じゅんさいの里
活性化協議会
秋田県
13
6次産業化商品の販売で、地域生産者の
所得アップに貢献!
株式会社 産直あぐり
【平成25年2月認定】
山形県
15
高齢者向け食事提供サービス
株式会社 ミールサービス
山形県
17
「なつはぜ」を使った商品開発とブランドの確立
福島県食品産業協議会
福島県
19
農業者とJAが連携し商品開発に取組む
白河農業協同組合
福島県
21
-2-
青森県弘前市
株式会社 ヒロサキ
(平成26年度六次産業化・地産地消法認定事業者)
http://hirosakiap.com
取材に伺った12月、雪に覆われた給食センターを利用した
同社加工施設
りんご生産者が連携したカットりんごの生産・販売
(株)ヒロサキは、地域のりんご生産者や企業の出資により設立され、さらに農林漁業成長産
業化ファンドを活用し、地域で生産されたりんごを自社でカット加工、販売する事業に取り組
んでいます。
●
りんごの消費減少への対応と生産者の所得確保
(株)ヒロサキは、りんご商品の製造・販売を目的として、平成25年に地域のりんご生
産者や運送事業者、農業資材会社の出資により設立された会社で、カットりんごの製造・
販売を中心に、りんごの生鮮での販売や輸出などを行っています。
同社設立のきっかけは、同社代表取締役の工
藤信氏が、地元のりんご生産者が取り組んでい
たカットりんごの製造事業を引き継いだこと。
工藤氏は、使われなくなった市の給食セン
ターを改修し活用することで、りんごのカット
加工を行い、食べるのに手間がかかったりんご
を簡単に食べられるようにすることで、消費者
ニーズに応じた販売を行っています。
また、地域のりんご生産者約100名で構成
される「カットりんご生産者協議会」から、市
お話を伺った(株)ヒロサキの藤村管理部長(左)と
況に左右されない安定した価格でりんごを仕入
工藤代表取締役(右)
れることで、生産者の所得確保や地域の雇用確
保を図っていきたいとのことです。
加工施設内では、従業員によるりんごのカット作業がおこなわれていた。
-3-
●
ファンドの活用による事業の展開
同社の加工は、廃止された市の給食セン
ターを改修して、加工施設として利用し、
カットりんご生産者協議会などで生産された
りんごのうち、味などの品質は良くても一般
の販売にはサイズが小さいものなどを仕入れ、
30名の従業員の方々がりんごの冷蔵保管か
ら洗浄・カット作業などを行います。
りんごのカットは1/8カットやブロック
カット、いちょう切りなどさまざまで、需要
に応じた商品を提供しています。
この事業の実施に際し、加工品の生産や販
路の拡大を図る中で、既存の設備に加え衛生
管理施設や冷蔵施設などの整備が必要となり、
地元金融機関や(株)農林漁業成長産業化機構
(A-FIVE)などとの相談の結果、平成
26年に農林漁業成長産業化ファンドを活用
することにより、必要な資金調達を行いまし
た。
●
(株)ヒロサキの取組
ファンド
出資・
経営
支援
出資
企 業
出資
りんご
生産者
株式会社
ヒロサキ
カットりんご
等の製造
出荷
販売
業
務
・
小
売
用
販
売
りんご加工商品の展開による販路拡大
りんごの水洗浄
さらに丁寧に水洗い
手作業による芯抜き皮剥き加工
現在、カットりんごだけでなく、すりおろ
したものやコンポートなど、さらに加工を加
えた商品を加え、業務用・小売用に販売して
います。
また、販売先は県内の生協やスーパーなど
のほか、弘前市などの協力もあり、北海道の
ホテルから九州の小売事業者まで全国に広が
り、生産量も順調に増加しているとのことで
す。
なお、ホテルなど外国人観光客用向けは、
皮付きのりんごが好まれているとのこと。
今後の事業展開として、りんごの無くなる
端境期は、りんご以外の果物のカット加工に
も取り組んでみたいとのことです。
小売販売用商品
業務販売用商品
株式会社 ヒロサキ
青森県弘前市大字八代町9-5
電話0172-88-7685
http://hirosakiap.com
-4-
商品袋詰め作業
岩手県西和賀町
株式会社西和賀産業公社
(平成23年度六次産業化・地産地消法認定事業者)
6次産業化の推進による町の明るい未来を目指して
(株)西和賀産業公社(以下「公社」)は、西和賀町の気候風土が育んだ山菜や農産物、また昔
からの食文化が培ってきた郷土料理と加工技術のコラボによる加工品など、地元の地域資源を
活用した地域一体型の6次産業化を推進、若者が結婚・定住できるための雇用と所得を確保し、
お年寄りが元気で活躍しながら安心して暮らしていけるような町づくりを目指しています。
◆ 西わらび
雪解け水を吸って伸びる「西わらび」
アクやスジが少なくとろっとする「西わらび」
◆ 西和賀そば
西和賀町は昔から山菜の宝庫として知られていて、その
中でもアクやスジが少なく柔らかで粘りのあるおいしいわ
らびは「西わらび」と呼ばれ、現在でも県内各地で高く評
価されている山菜の一つだそうです。
西和賀町では平成14年に、この西わらびを手軽に栽培
できないかと実験を開始するとともに、その根茎を地元の
農家に無料配布し普及に努めたことから、町内各地でわら
び栽培が始まりました。平成18年には公社が、西わらび
の集荷・販売事業を町から依頼され、以降、西わらびの産
地化に向けて取り組んできました。
公社では、品質の良いわらびを出荷し安定した価格での
取引を実現するため、毎年収穫前に「目揃会」を開催して
規格等の統一を図り、栽培に意欲を持てる買取価格を維持
しています。また、ブランド化に向け平成20年には、西
わらびの商標登録を行っています。さらに、集荷場に持ち
込めない生産者には、公社の社員が1日2回自宅まで集荷
に行く体制を構築しています。
これらの取組により、当初の20名程度だった生産者は
現在113名に大きく増加、公社の取扱量も当初の3㌧弱
から11㌧と大幅に拡大しました。しかしながら、実需者
等からの取引希望は現状の倍以上あり、生産量の拡大が急
がれるほどの人気です。
西和賀町では、農業者の高齢化による遊休農地の増加を
解消しようと、平成22年度からそばや大豆の栽培による
遊休農地の再生を行っており、作付面積も年々増加してい
ます。
公社は平成24年からそばの販売部門を担うことになり
ましたが、玄ソバの価格下落のため「農家が再生産できる
価格で買取りするには、そばを加工して販売する以外に手
は無い」との思いから、24年度に公社が直営するレスト
ラン2店舗を「西和賀産そば粉100%使用の十割そば専
門店」としてリニューアルしました。
-5-
雪のような白い花の咲くそば畑
メニューは地元食材とのコラボメニューを充実させ、ま
た、レストランではそばや地元食材の魅力を発信するアン
テナショップとしての機能を備えることにしました。
さらに、西和賀そばの知名度を広めるため、豪雪地帯で
ある西和賀ならではの寒さを活用した「寒晒しそば」や
「雪室そば」の開発を進めるべく、平成23年度に国の六
次産業化・地産地消法に基づく総合化事業計画の認定を受
け、助成事業を活用したお土産用の乾麺の製造・販売を開
始しました。
将来は町内に西和賀そばを提供する店を増やし、「西和
賀そば街道」として観光客を呼び込めるよう、更に取組を
拡大していきたいとのことです。 ◆ 幻の漬物
オーナー制度で販売している
「幻の漬物」と言われた一本漬け
開発した「西和賀そば」
一本漬は、昔からこの地域の農家で作られてきたもので、
冬期間に大根をまるごと一本漬け込んだ伝統の漬物です。
塩分濃度3%以下という塩分の低い漬物であるため、漬け
置き管理が難しく、これまでは町内限定で寒い時期の12月
下旬から2月下旬の期間だけ食べることができる、まさに幻
の漬物でした。
しかし、町外の人にもおいしい一本漬を食べてもらおうと、
漬け置きの管理を公社が請け負い、食べる分だけ分割して送
る「オーナー制度」を平成23年度から始めました。
初年度は3千本限定で販売したところ、4日間で完売する
程の人気で、25年度には1万5千本に生産拡大しました。
また、原料の大根はすべて町内の農家や集落営農組合との契
約栽培で集荷し、また価格を市場価格よりも高い1本100
円で買い取り、生産者の栽培意欲の向上につなげることで、
今後は新たな産地化を目指して取組を進めていきたいとのこ
とです。
また、一本漬けがブランドになったことで、ほかの漬物商
品の売上が増加するという相乗効果も出てきています。
◆ つながる
公社では、商品のベースになっている資源や本物と呼ばれ
一本漬の保冷剤はびっしりと入れた天然の雪 る食材、食文化にストーリー性を持たせ、オンリーワンの魅
力ある商品づくりを進めていますが、同時に西和賀の歴史や
文化、風土等価値ある魅力を町外に発信していくことが西和
賀地域ブランドの確立につながると考えています。
これまで2回、都内において西和賀町を応援いただいてい
る方々や、興味を持たれている方々に、西和賀の食や暮らし、
風土の紹介に加え、西和賀町の明るい未来づくりに対する思
いや協働による新たな取組等を披露する「西和賀の夕べ」を
開催しており、今後も「興味→ファン→サポーター」になっ
てもらえるようなつながりをつくっていきたいとのことです。
(株)西和賀産業公社の取組
大根
わらびのアク抜き・一本漬の
漬け込み・缶詰加工・他
そば
十割そばの店直営店
「湯夢プラザ」 「峠山」
者
-6-
「農産物加工場」
費
株式会社西和賀産業公社
岩手県和賀郡西和賀町川尻40-73-11
電話 0197-82-2211
http://www.echna.ne.jp/~yudasan/
西和賀産業公社
わらび
消
地 域 生 産 者
都内で開催された
「西和賀の夕べ」の主役は町民
宮城県登米市
有限会社
おっとちグリーンステーション
(平成24年度六次産業化・地産地消法認定事業者)
開発した商品を前に、(有)おっとちグリーンステーション柳渕代表
取締役
企業と連携した野菜パウダーの開発と販売
(有)おっとちグリーンステーションでは、有機肥料を使い硝酸態窒素を低く抑えて
栽培したにんじん、ほうれんそう、ピーマンなど14種類の野菜を使い、高い抗酸化
と栄養価・色・風味を損なわないように加工した、独自の野菜パウダー「のなこ」を
開発・販売しています。
米、野菜、大豆の3部門による農産物生産
(有)おっとちグリーンステーションは、昭和
52年に設立した迫土地中央生産組合が母体とな
り、平成7年に3戸の農家で設立。気象災害、相
場の変動などのリスク分散と周年雇用を確保する
ため、生産を水稲、大豆、野菜の3部門に分け、
現在水稲32ヘクタール、大豆33ヘクタール、野菜9.6
ヘタール(にんじん5.2ヘクタール、小松菜0.53ヘク
タール、寒じめほうれんそう3.9ヘクタール)を栽培。
3つの生産部門は、役員3名が各部門を担当す
る担当責任体制をとっており、栽培技術から労働
配分、販売対策、収支分析など責任を持って担当
し、組織の枠組みの中で各自の能力を最大限に活
かす経営を目指しています。
青空の下収穫を待つにんじん畑
野菜の冠水被害を契機とした野菜パウダーの開発
野菜パウダーの開発・販売は、同社代表取締役で総括責任者であ
り、野菜生産部門、加工開発部門を担当している柳渕淳一氏が中心と
なって行っています。
開発のきっかけは、5年前の雨による冠水で4ヘクタール栽培していた
にんじんの8割が、裂果等により出荷できなくなったこと。
出荷できなくなったにんじんの活用方法を模索していたところ、県
の普及センターから野菜パウダーを勧められ、フリーズドライによる
製法でトライしたが、野菜の風味が出なかったことから、独自に乾燥
機械を製作・改良することにしたそうです。何度か試作機の開発を重
ね、3機目の試作機は市から助成を受け、また市内の企業の参加・連
携により製作することになったとのこと。
乾燥機械の製作を可能としたのは、柳渕氏がもともと機械に関心が
代表の柳渕氏自らが廃品の冷 あり、自社作業機などの改良を自身で行ってきた技術力と、すぐに試
蔵庫を使い、独自に製作した野 作機を製作する行動力があったからこそ。
自社生産の有機肥料を使った硝酸態窒素を低く抑えて栽培した野菜
菜乾燥機械の1号機
原料とし、独自の乾燥技術で作っているので、ほかではまねのできな
い、えぐみのない野菜本来の風味・栄養を維持したパウダーができる
とのことです。
-7-
企業との連携による製造、商品開発、販売
取材に伺った日は小松菜の乾燥加工を行っていた
野菜パウダーの開発は、山形県内の大学教授の紹介
で、健康食品の研究や開発などを行っている仙台市内
の健康食品会社を紹介されたことが、きっかけになっ
たとのこと。
健康食品会社との連携により、柳渕氏が独自開発し
た乾燥機械を活用し、野菜パウダーの本格的な生産・
商品化にについて、アドバイスを受けることとなり、
販売について協力・分担体制を構築、野菜パウダーの
生産は(有)おっとちグリーンステーションが行い、商
品開発や販売は健康食品会社が行っています。
平成25年2月には、六次産業化・地産地消法に基
づく総合化事業計画の認定を受け、支援措置を活用し
野菜パウダー加工施設を平成26年3月末に整備、現
在は、月1トンの野菜パウダーの販売を目標に生産が
行われています。
野菜パウダーは「のなこ」の名称で販売さ
れており、現在14種類の野菜(小松菜、
しょうが、ごぼう、赤しそ、かぼちゃ等)か
ら作られています。
パウダー状のため、加工品への添加が容易
であり、また通年供給が可能なことから、高
い抗酸化と栄養、風味を活かした健康食品や、
天然の色を活かした色素、料理のスパイスと
して様々な活用法が期待されます。
「のなこ」を使った商品は、現在カプセル
に詰めたサプリメントがネットで販売されて
いるほか、野菜駄菓子の原料に使用されてい
ますが、需要先のニーズに応じた対応が可能
とのこと。
同社では、加工部門による経営の安定を図
り、後継者の育成と、将来的には自社の野菜
を使用するだけでなく、地域の農業者に原料
生産を委託するなどして、地域全体が発展す
るような事業の展開を目指しています。
野菜パウダーを使った“のなこ「美味しい野菜パウダー」”
ほうれん草
かぼちゃ
赤ピーマン
ごぼう
紫たまねぎ
ケール
野菜パウダーの生産・販売体制
有限会社おっとちグリーンステーション
宮城県登米市米山町中津山筒場埣860
電話 0220-55-2964
http://ottochi.co.jp/index.html
野菜パウダー
及び商品
野
菜
生
産
(有)おっとちグリーンステーションのみなさん
商品開発販
売の委託
商品企画開発
販売
-8-
健康食品会社
(有)おっとち
グリーンステーション
販売
企
業
・
消
費
者
宮城県蔵王町
農業生産法人
エコファーム蔵王株式会社
(平成24年度六次産業化・地産地消法認定事業者)
エコファーム蔵王(株)佐藤代表取締役
直売施設を中核とした元気な地域づくり
エコファーム蔵王(株)は、水田営農の担い手組織として米生産・販売を行うほか、地域の
農産物販売・活動拠点施設として、農産物直売所「産直市場みんな野」を運営し、地域農業者
の生鮮農産物の販売だけでなく、味噌・漬物などの加工品の開発・販売や定期的なイベントの
開催など、地域の活性化に向け取り組んでいます。
出発は水田営農の担い手組織
エコファーム蔵王(株)は、蔵王町北東部の水田
地帯にあり、県の水田整備事業を契機に水田営農の
担い手組織として、平成18年9月に従来からあっ
た転作組織が発展的に解散し、個人12名と地元農
協の出資により設立されました。
同社では、転作、農作業受託、農産加工組織と連
携販売、農産物直売施設の開設などを目的として、
代表取締役の佐藤氏を中心に、“地域の農業を守り
楽しく元気な地域づくり”をスローガンに約13ヘ
クタールの米生産などを行っています。
また、5年ほど前からは「アグリ助っ人クラブ」
を作り、地域の兼業農家など約30名を登録、繁忙
期の農作業支援体制も整えています。
蔵王の山をバックに黄金色の田んぼが広がる中に、
エコファーム蔵王はある
米の生産販売と6次産業化
旬の農産物が販売されている「産直市場みんな野」
事務所に隣接した精米施設
同社は、平成19年に自らの販売のための拠点として、
直売施設「産直市場みんな野」を整備しました。
この直売施設では、自社米の販売だけでなく、地域の
生産者約100名が登録されているメンバーの農産物の
販売とともに、メンバーが開発した味噌や豆腐、漬物な
どの加工品もあわせて販売しています。
また、平成24年5月には六次産業化・地産地消法に
基づく総合化事業計画の認定を受け、これまで外部委託
を行っていた精米事業を精米機の導入により自社で行い、
自社ブランド「蔵王源流米」の商品を消費者がより手軽
に購入できるよう「ひとめぼれ」、「ササニシキ」、
「つや姫」、「やまのしずく」など販売品種を拡大する
とともに、5kg以下の少量包装サイズのバリエーション
を増やし、直売施設のほかネット販売を行っています。
今後は卸業者との連携などにより販路の拡大を行ってい
きたいとのことです。
-9-
直売施設を拠点とした元気な地域づくり
同社は、地域の農業組織の統合などによ
り、地域内の営農支援を行う体制が弱まる
中で、水田営農の担い手としてだけでなく、
地域の維持・活性化の中核的な役割も担い、
活動しています。
直売施設「みんな野」では、地場農産物
の販売のほか、直売出品会員を対象に新規
品目の栽培技術や農産加工の講習会、研修
会を開催し、会員が協働で味噌や豆腐、漬
物などの新たな販売品目の充実を図るなど、
生産者の所得向上に向けた取組を展開して
います。
直売施設内には、会員農家が持ち込んだ野菜が多く並んでいた
このほか、直売施設では毎月、旬の農産物
販売などのイベントを開催するなど、お客様
の農業への理解促進と地域の活性化に向けた
活動を行っており、現在、年間約9万人の来
客と約1,600人のポイント会員の登録者
を有しているとのこと。
また、同社のウェブページからの米、味噌
などの加工品の販売はもとより、生産者の紹
介からイベント開催案内など、幅広く発信し
ています。
同社では、直売施設を中心に地域を巻き込
みながら、こうした活動を広げていくことに
より、地域を守り維持・活性化につなげてい
きたいとのことです。
「蔵王源流」の名前が付いたエコファーム蔵王オリジナル商品
エコファーム蔵王の取組
エコファーム蔵王
米生産
地
域
生
産
者
エコファーム蔵王が運営するウェヴページ「みんな野市」
エコファーム蔵王株式会社
宮城県刈田郡蔵王町大字平沢字寺前77
電話 0224-22-7231
http://www.ecofarm-zao.co.jp/
- 10 -
直売所「みんな野」
販売
消
費
者
農産物販売のほか、味噌、
豆腐、漬物など加工品の開
発・販売
秋田県仙北市
合資会社エコニコ農園
(平成24年度六次産業化・地産地消法認定事業者)
(資)エコニコ農園の小島無限責任社員
ブルーベリー栽培を通じた元気な地域づくり
(資)エコニコ農園では、ブルーベリーの摘み取り園の経営や生鮮販売、ブルーベリー加工
品の製造・販売のほか、地域でのブルーベリー栽培の促進などを通じて、地域活性化に取り組
んでいます。
◆劇団わらび座の農業部門
劇団わらび座を運営する(株)わらび座は、自社が運営する「た
ざわこ芸術村」への来場者に、自然の中でリフレッシュしてもら
いたいとの考えから自社内に緑化部門を設け、平成15年にブ
ルーベリーの栽培(0.8ヘクタール、900本)をスタート。平成
18年には農業生産法人(資)エコニコ農園を設立し、摘み取り
園や直売を開始しました。
同農園では、現在ブルーベリーを4.8ヘクタール(約1万本)栽
培していますが、その栽培方法はブルーベリー栽培では日本の第
一人者の指導を受け、農薬を使用せず土づくりから行い、全ての
果実に太陽の光が届くように徹底的に枝を剪定し、大粒で糖度の
高い実がつくように工夫した栽培を行っています。
また、販売する果実は樹上完熟したものだけを収穫、一粒一粒
手作業で選別しており、生鮮・加工品とも品種別の風味を味わっ
ていただけるようにしているとのことです。
◆ブルーベリー栽培による地域づくり
ブルーベリーの収穫
ブルーベリー苗木(植栽2年目)
転作田の有効活用や、新たな地域特産品の開発等による経営の安定と元気で魅力的な地域を
つくろうと、仙北市や大仙市、美郷町の農家とともにエコニコ農園が事務局となり、「みずほ
の里いきいきネット協議会」を平成20年に設立しました。
同協議会では、エコニコ農園が主体となり、ブルーベ
リー栽培を通じた産地づくりを進めるため、毎年研修会等
を開催した結果、設立当初は0.8ヘクタールであったブルー
ベリー栽培も平成26年には10.1ヘクタールまで拡大して
います。
また、平成24年には同協議会が主体となり、全国のブ
ルーベリー生産者を集めた産地シンポジウムを開催したこ
とがきっかけとなり、JA秋田おばこにブルーベリー部会
が設立され、現在、同協議会の栽培農家20戸がJA秋田
おばこを通じた生鮮の出荷や直売のほか、地域の小学生等
の収穫体験などを実施しているとのことです。
栽培ほ場の視察研修会
- 11 -
◆ブルーベリーを使った6次産業化の取組
エコニコ農園では、地域のブルーベリー栽培を拡大し、
また、販路の確保や新たな特産品の開発・販売を通じて
需要の開拓を図るため、平成24年度に六次産業化・地
産地消法の認定を受けました。
平成25、26年には、県の助成事業を活用しブルー
ベリーの苗木を新たに植栽するとともに、加工品の製造
を行うための冷凍庫や加工所などを整備しています。
現在、ブルーベリーは、たざわこ芸術村来場者や首都
圏及び秋田県内のホテル、飲食店などへ生鮮で販売して
いるほか、ブルーベリーの品種別の特性を活かした数種
類のジャムなどの加工品の製造・販売を行っています。
また、地元農産物を加工販売する仙北市の6次産業化
拠点施設「食彩・町家館」等でも販売を行っているとのこ
とです。
ブルーベリー(品種:ウェイマウス)
◆消費者と地域の交流
エコニコ農園が所在するたざわこ芸術村では、専門の
コーディネーターを配置し、昭和52年から継続して農
業体験学習旅行を受け入れています。近隣はもとより秋
田県内の農家と連携することにより年間約2万人を受け
入れ、田植えや稲刈り、野菜の収穫などその季節にあっ
た農作業が体験できるほか、劇団わらび座の観劇など、
自然体験、労働体験、芸術体験など幅広い体験学習がで
きるメニューを提供しています。
特に、学校法人和光学園(東京都町田市)とは38年
に及ぶ交流があり、平成20年からは受け入れ農家が栽
培した米「和光米」を、同学園生徒の家庭や同窓生の
方々等向けに、年間約20トン(平成22年産米)ほど
直接販売しているとのことです。
エコニコ農園の小島無限責任社員((株)わらび座会
長)は、“魅力ある地域づくりに少しでも貢献できるよ
うにしたい”と話しています。
(資)ニコニコ農園の取組
合資会社エコニコ農園
秋田県仙北市田沢湖卒田字早稲田390
電話:0187-44-3929
たざわこ芸術村:http://www.warabi.or.jp/
- 12 -
ブルーベリージャム(品種:ブルークロップ)
農業体験
秋田県三種町
三種町森岳じゅんさいの里
活性化協議会
平成26年度ふるさと秋田農林水産大賞、農林水産大臣賞受賞
じゅんさい産業の振興で町を活性化
秋田県三種町の「三種町森岳じゅんさいの里活性化協議会」は、三種町を代表する生産量日
本一の「じゅんさい」で、農家所得の向上や、食文化を伝承した地域の活性化を目指し、JG
APの取得による品質の確保、料理・加工品の開発と販路拡大や観光客誘致を進めるなど、各
分野で役割分担を行いながら、産地一体となった取組を進めています。
◆関係者が一体となった協議会の設立
三種町では、昭和50年代から転作作物としてじゅんさいの
栽培が盛んになりました。その後、農家の高齢化に伴う摘み手
不足、さらに安価な中国産の増加などによって生産者が減少し、
現在248戸の生産者により、112ヘクタールの栽培と年間474
トンのじゅんさいが生産されていますが、その規模はピーク時の
平成3年の1/3程度となっています。(平成25年推計値。
役場調べ。)
“三種町を代表するじゅんさい産業をどうにかしたい”と平
成23年から町が中心となり、生産者や加工業者、商工会、JA
などにより「三種町森岳じゅんさいの里活性化協議会」が設立
され、じゅんさいを使った町の活性化がスタートしました。
じゅんさい
◆JGAPの認証取得と品質・所得の確保
認証マーク
JGAP認証のじゅんさいを使った商品
じゅんさい生産者の育成・確保を図り、高品質な商品
を消費者に届けるため、JA秋田やまもとの指導のもと、
JGAPの138項目に及ぶ基準に従った栽培を促進し
ており、これを国産じゅんさいのブランドの確立、付加
価値向上による所得の向上につなげていきたいとのこと。
平成25年度に20農場の生産者グループがJGAP
認証を取得し、26年度には31農場、16.9ヘクタール
まで拡大しており、
今後もJGAP認 「じゅんさい」とは?
じゅんさいは、沼や池に自生するスイレン科の植
証取得を進め、ま
物で、水面下の寒天状のぬるぬるとした透明な粘質
た地域の価値を高 物の付いた幼葉や葉柄を摘んで食します。
古くから食用とされており、
めるべく、じゅん
「古事記」や「万葉集」にも
さいの生産から加 記載が見られ、とても淡白な
工までの一貫した 味わいですが、水中に芽吹く
エメラルドとも讃えられ、涼
取組を拡大してい しげな風情とツルッとした食
きたいとのことで 感・喉ごしが楽しめます。
す。
- 13 -
◆新メニュー、加工品の開発
三種町内の飲食店4店で構成される「三種
じゅんさい料理推進協議会」が主体となり、
じゅんさいを使った新料理の開発に取り組み、
各店がそれぞれオリジナルメニューを開発、お
店で提供しています。
また、加工品開発では、町内の食品加工業者
と連携し、「じゅんさいピクルス」などの開
発・販売を行っており、生産から加工、販売ま
で地域の多様な事業者と連携し、販路の拡大に
向け取り組んでいます。
さらに、同協議会の主催により、じゅんさい
料理のレシピを学生・一般の2部門から募集す
る「料理コンクール」を平成27年2月に開催
し、じゅんさい料理の普及に取り組んでいます。
開発したじゅんさい料理
プルルナーラ
じゅん玉めん
三種宝うどん
じゅんさいのベーゼ
◆観光客誘致などの取組
じゅんさいを観光にも活かすため、じゅんさいやその加工品などを販売している町内の直売
施設「じゅんさいの館」内にじゅんさい情報センターを設け、じゅんさい情報の発信を行うと
ともに、毎年5月から8月頃まで摘み採り体験を実施しています。
また、町内での各種イベント時には「流しじゅんさい」を行い、楽しみながらじゅんさいに
触れてもらう機会を増やしており、さらに平成26年には第1回世界じゅんさい摘み採り選手
権大会を開催するなど、イベントを通じてじゅんさいのPRを行っているとのことです。
今後も引き続き、じゅんさい日本一のブランドと、そのブランドを活用した様々なイベント
事業を町の活性化につなげていきたいとのことです。
第1回世界じゅんさい摘み採り選手権
ベテランによるじゅんさい摘み採り
流しじゅんさい
三種町山本農林産物展示販売施設
「じゅんさいの館」
三種町森岳じゅんさいの里活性化協議会
(三種町役場 商工観光交流課)
秋田県山本郡三種町鵜川字岩谷子8番地
電話 0185-85-4830
http://junsaijapan.com/
会長:三種町長
副会長:三種町商工会長
副会長:JA秋田やまもと組合長
協議会メンバー
三種町役場
三種町商工会
JA秋田やまもと
秋田銀行
北都銀行
三種町観光協会
秋田県
グリーンツーリズム推進協議会
じゅんさい生産農家
じゅんさい加工業者組合
じゅんさい料理推進協議会
じゅんさい鍋倶楽部 など
推
JGAP
認証取得
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新メニュー
の開発
進
事
業
販路開拓
観光
イベント
三種町森岳じゅんさいの里活性化協議会の構成
山形県鶴岡市
株式会社産直あぐり
(平成24年度六次産業化・地産地消法認定事業者)
株式会社産直あぐり 澤川 代表取締役
■ 6次産業化商品の販売で、地域生産者の所得アップに貢献!
(株)産直あぐりは、地元農家が出資して組織する会社で、株主である地域の生産者が生産し
た農産物を販売する産直部門、農産加工品を製造・販売する加工部門、旬な地元野菜等を使っ
て田舎料理を提供するレストラン部門などの運営により、活気ある地域づくりの拠点となって
います。
◆ フルーツタウン構想からの出発
(株)産直あぐりは、山形県の米どころ
庄内平野の南部に位置する鶴岡市郊外の
旧櫛引町内、国道112号線沿いにあり
ます。
旧櫛引町では、平成3年以降、地域の
特色を活かし、果樹・野菜等を振興する
フルーツタウン構想を掲げ、その実現に
向け平成9年に産直施設の整備と「フ
ルーツタウン直売施設運営管理組合」を
設立、平成20年に「株式会社産直あぐ
り」となりました。
青空の下、連日にぎわう「産直あぐり」
◆ 地域資源の『強み』を生かした商品づくり
新鮮な野菜・果物が並ぶ施設内
6次産業化商品を製造する加工施設
平成9年にオープンした産直施設は、果物をメインに販
売しています。初夏のさくらんぼを皮切りに、もも、ぶど
う、りんご、和・洋なし、かきまで、店内には季節を通じ
て多彩な果物が並べられ、来店者はいつでも旬の味を求め
ることができます。そのため、地元消費者のほか、国道沿
いの好立地条件もあって、県内はもとより県外からの来客
者も大変多く、観光施設の一面も併せ持っています。
6次産業化商品を製造する加工施設は、平成11年に運
営がスタートしました。“地域資源である果物がココにあ
るから!”その『強み』を最大限に生かした地域の特産加
工品づくりが、6次産業化のきっかけでした。
提供する商品は、新鮮な果物を原料とした各種ジュース
やお菓子をはじめ、ジャム、餅、赤飯、団子など。さらに、
有名レストランシェフ直伝のトマトケチャップやトマト
ピューレも製造し、オリジナルブランドとして販売してい
ます。
また、販路拡大を図るための商談会等にも積極的に参加
しており、自慢の商品のセールス活動を展開しています。
- 15 -
◆ 6次産業化の可能性は広がる
平成24年度に、国の六次産業化・地産地消
法に基づく総合化事業計画の認定を受け、地域
特産の西洋なし「ラ・フランス」を原料とした
『プレミアム ラ・フランスジュース』が誕生し
ました。
以前からラ・フランスジュースの商品はあり
ましたが、熟した食べ頃の果実は加工が難しく、
ジュースにできませんでした。しかし、柔らか
い果実でも搾汁ができる新たなジューサーを導
入することができたことで、トロリとした舌触
りで、芳醇な香りあふれるプレミアムなジュー
スが完成しました。
さらに、このジュースを原料とした『プレミ
アム ラ・フランスソフトクリーム』も好評を博
し、地域ではラ・フランスの増産も検討されて
います。同社が取り組む6次産業化は、原料を
供給する地域生産者の所得アップに結びつく事
業になろうとしています。
芳醇な香り!プレミアム ラ・フランスジュース
人気商品 左:丸餅 右:トマトケチャップとトマトピューレ
現在、同社の加工品製造能力に限界が生じている
ため、事業拡大に向け新たな加工施設の整備が検討
されており、ハード面を強化して、6次産業化事業
の更なる拡大を目指しています。
「6次産業化は、まだまだ可能性がある。」と、
澤川社長は笑顔で話してくれました。地域の生産者
と連携した地域資源を活用した6次産業化の取組は、
同社の可能性とともに地域の生産者の発展へと期待
左から澤川社長、叶野店長、6次産業化担当安野さん が膨らみます。“にぎわい”ある地域の拠点として、
(株)産直あぐりの今後が楽しみです。
(株)産直あぐりの取り組み
(株)産直あぐり
地
域
生
産
者
産直部門
・農産物のほか、農
産加工品を販売
加工部門
レストラン部門
株式会社産直あぐり
山形県鶴岡市西荒屋字杉下106-3
電話:0235-57-3300
http://www.santyokuagri.jp/
(株)産直あぐりのホームページ
- 16 -
消
費
者
山形県山形市
株式会社ミールサービス
(株)ミールサービス石井代表取締役
高齢者向け食事提供サービス
(株)ミールサービスは、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、デイサービス施設などの
高齢者施設向けの食事提供、高齢者宅向け配食などを行うほか、ソフト食の独自開発や自社農
場での野菜生産にも取り組んでいます。
◆配食事業とソフト食の開発
(株)ミールサービスの石井代表は、ご
主人の会社で宴会場、仕出しを手がけて
いた際、高齢者宅への宅配を頼まれたこ
とを契機に、平成18年に会社を設立、
介護施設・病院に食事を提供するための
セントラルキッチン業務を始めました。
その後、品評会へ粥状食品を出展した
際、一緒に添えてあったはんぺん状のや
わらかい「たくあん漬」が銀行、商工会
議所の方の目にとまったことがきっかけ
となり、ソフト食を開発することとなり
ました。
以降、さまざまな食材を使ったソフト
食を同社が独自に開発・提供し、利用者
から好評を得、平成26年7月には山形市
に新工場を建設しています。
個人宅配食(1日分)サンプル例
◆「飽きのこない食事の提供」を
目指して
「美味しく食べていただけること。そう
でなければ、いくら栄養バランスを考えた
食事でも、高齢者の生き生きとした生活の
支えにはなりません。」と話す石井代表。
豪華な食事は美味しいが、毎日食べれば
飽きてしまう。同社では、料理の彩りやぬ
くもり感を大切にし、食べるたのしみが湧
き出るような食事の提供を目指していると
のことです。
山形市みはらしの丘の新工場
- 17 -
◆自社農場生産事業への取組
(株)ミールサービスでは、生産委託した農業
法人から野菜を調達するなど、国内産の野菜に
こだわっており、山形県の農林水産業創意工夫
プロジェクト支援事業の「県産野菜・果実の高
付加価値創出による「農・食・医」連携構築プ
ロジェクト」も実施しています。
山形県産の野菜やフルーツを利用した農産加
工品を開発し、衛生面で高い信頼を得られる施
設において、加工した農産品を県内外に広く提
供して高度化する食ニーズに対応しています。
また、耕作放棄地を利用した自社農場におい
て、農業者より指導を受け野菜等を栽培するた
めの準備をすすめています。山形県内ではあま
り栽培されていない作物にも注目し、作付けを
予定しているとのことです。
食事の盛り付け例
◆きめ細やかな食事の提供と
利用者のメリット
クックチルシステムの基本プロセス
行程
高齢者向けの食事では、各人の症
状により食事制限が必要な方にも、
同じ料理で栄養価・塩分のパターン
を変えた料理を提供しており、アイ
テム数は2,000を超えています。
提供する食事は、加熱調理した食
材を急速冷却しチルド温度帯で保
存・配達する「クックチルシステ
ム」を採用し、真空パックの調理済
チルド食品として、提供しています。
食事の提供を受ける高齢者施設等
では、調理設備が簡略化できる、生
ゴミなどの廃棄物もほとんど発生し
ないほか、自ら調理を行わないため
コスト削減が可能となるなど、利用
するメリットは大きいとのことです。
さらに、チルド食品は、温めるだ
けで食せるため、食事制限がある人
でも、携行することで旅行が可能に
なるなど、ニーズは多岐に渡ります。
現在、(株)ミールサービスでは山
形県産の食材使用にこだわった、高
齢者施設向けの食事提供を企画する
など、大手事業者には対応が難しい、
きめ細やかな対応を行うことで、大
手事業者と棲み分けを図っていると
のことです。
使用機器類
注意事項
・食材入荷検収
・鮮度確認
素材
▼
下拵え
各種調理機器
衛星管理
(二次汚染防止)
スチームコンベクションオーブン
TT管理
プラストテラー
加熱後30分以内に開始
90分以内に芯温を0~3℃以下に
高温チルド庫
冷蔵庫等
温度帯管理(3℃以下)
▼
加熱調理
▼
急速冷却
▼
冷蔵保存
▼
(配送)
再加熱
チルド配送
湯煎
スチームコンベクションオープン
芯温85℃以上
▼
提供
株式会社ミールサービス
〒990-2317 山形市みはらしの丘二丁目35番地1
TEL. 023-665-4585
再加熱後2時間以内に喫食
(株)ミールサービスの取組
- 18 -
福島県福島市
福島県食品産業協議会
(事務局:福島県中小企業団体中央会内)
福島県食品産業協議会 岸会長(写真後列中央)と
「なつはぜプロジェクト商品」製造事業者の皆様方
「なつはぜ」を使った商品開発とブランドの確立
福島県食品産業協議会では、「なつはぜ」の持つ機能性に着目し「なつはぜふるーてぃ」と
いうブランドを立ち上げ、協議会会員となつはぜ生産者が連携しながら、原料となるなつはぜ
の生産確保に努めるとともに、独自の技術やノウハウを活かした商品開発に取り組んでいます。
◆ 福島発!! なつはぜプロジェクトによる商品開発と販売
福島県食品産業協議会は、食品産業の振興を目的
に福島県内の食品製造事業者と県、大学などの関係
機関が加入する団体です。
同協議会では、平成23年度からポリフェノール
などを多く含んでいる「なつはぜ」に着目、商品開
発に取り組むこととし、「なつはぜふるーてぃ」の
ブランド名で商品化することとしました。
会員の食品製造事業者10社と、なつはぜ生産者
が連携体制を構築し、なつはぜプロジェクトとして
商品化に取り組む中、これまで各社から12商品が
開発・販売されており、今後も商品開発を続けなが
ら、商品の充実を図っていくこととしています。
商品化されたビールやリキュールなどのアルコー
ル飲料、サイダー、はちみつ、和洋菓子、乾めんな
どの商品は、各社の販売網のほか、日本橋ふくしま
館MIDETTE(県のアンテナショップ)や県内
の道の駅・観光地などで販売されています。
「なつはぜプロジェクト商品」の特設コーナーにて、商品PR・販
売促進に取り組む(日本橋ふくしま館MIDETTEより)
◆ なつはぜ生産者の組織化により安定供給体制を確立
なつはぜプロジェクトでは、生産量の少ない福島
県産なつはぜの安定的な生産を図り、福島県の主要
な産品とするため、平成26年に県内のなつはぜ生
産を行っている農業者12名(うち六次産業化・地
産地消法認定事業者2者)により、「なつはぜ生産
者の会」を設立しました。
同生産者の会は、プロジェクトの構成事業者への
なつはぜの安定供給を目指し、遊休農地等を活用し
ながら、生産拡大に取組、栽培面積は約2ヘクタール
(収穫量約1トン)まで拡大しているとのことです。
- 19 -
◆ 六次産業化・地産地消法認定事業者によるなつはぜを使った商品化事例
①
自社のはちみつを利用した新商品開発(有限会社ハニー松本)
養蜂業の(有)ハニー松本では、標高600~800mの
山々の自然豊かな様々な樹木の花(栃の木、アカシア、山
桜、そば、かき、百花蜜)から、採蜜を行い、味わいの異
なるはちみつの販売を主体に事業を行っています。
同社は、はちみつの自家採取用に蜜蜂約300群を飼養
するとともに、なつはぜの生産についても生産樹木約
250本を栽培(契約栽培も含む)しています。
平成24年度からなつはぜとはちみつを合わせた商品開
発に取組、平成26年12月に新商品「ハチミツと4種の
ベリーソース」を開発しました。
開発商品は、はちみつの芳醇な甘さと4種のベリー(ブ
ルーベリー、いちご、ラズベリー、なつはぜ)をミックス。
香りや甘さ・酸味等を活かした、ほど良くサッパリとした
味わいを楽しめる商品となっており、ヨーグルトのトッピ
ングやお菓子作りの素材として利用いただきたいとのこと
で、商品は消費者に直接販売が可能な自社販売とインター
ネットでの販売を展開しています。
今後は、なつはぜのソースを使用したゼリーの商品開発
に取組ながら、事業の発展を目指すとのことです。
②
新たに開発した「ハチミツと4種のベリーソース」
遊休農地を活用したなつはぜ生産と商品開発(株式会社エガワコントラクター)
(株)エガワコントラクターは、平成21年12月に農業
生産法人として組織化し、農作業受託部門、農業生産部門、
商品開発・販売部門の3部門を運営しています。また、平
成22年から喜多方市の遊休農地を借受けてなつはぜの生
産に取り組んでおり、現在約250本を栽培しています。
同社は、このなつはぜを原料に「なつはぜサイダー」を
開発・販売しており、なつはぜの真紅な色合いと会津産山
桜のはちみつの風味がうまく調和され、さわやかな飲み口
が特徴で、地元を中心に販売されています。
今後は、原料のなつはぜを安定的に生産するとともに、
なつはぜを利用したペーストの開発・販売に取り組むこと
としており、商品開発・販売部門の強化を図りたいとのこ
とです。
飲み口さわやかな地サイダーに仕上がりました
福島県食品産業協議会(福島県中小企業団体中央会内)
福島県福島市三河南町1番20号(コラッセふくしま10階)
024-536-1265
http://www.chuokai-fukushima.or.jp/syokusankyou/
有限会社ハニー松本
福島県会津若松市材木町2丁目1-4
0242-27-2131
http://matsumoto38.com/
株式会社エガワコントラクター
福島県喜多方市関柴町上高額字上中1175-8
0241-23-5418
- 20 -
福島県白河市
白河農業協同組合
白河農業協同組合
代表理事組合長
薄井 惣吉 氏
農業者とJAが連携し商品開発に取組む
白河農業協同組合(JAしらかわ)では、地域特産物であるハトムギの効能に着目したお茶、
お菓子及び化粧品を開発・販売しています。また、販路拡大を図るため海外への輸出も行って
います。
◆ 6次産業化により地域のハトムギ生産をバックアップ
JAしらかわ管内では、昭和55年から遊休農
地の活用や水田の転作作物として、湿地でも栽
培が可能なハトムギを導入し、泉崎村を中心に
産地化が図られてきました。
同時期に地域特産作物を振興する国の支援に
よりハトムギの加工施設を導入し、ハトムギ茶
の生産も開始しました。
しかし、中国産の安いハトムギに押され、管
内での作付面積が減少してきたため、ハトムギ
の効能を活かした商品を開発し生産をバック
アップしていこうと、JAしらかわの主導によ
り農業者と連携した新たなハトムギ茶の生産・
販売を行っています。
ハトムギ
◆ 生産部会を設立し生産技術を向上
ハトムギ焙煎機
JAしらかわでは、平成24年7月に生産者10名
でハトムギ部会を設立し、現在9ヘクタールの栽
培を行っていますが、同部会では効率のよい栽培
方法や一定の規格を確立するため、先進地の調査
などで生産技術の向上を図り、当初10アール当
たりの収量が200kgでしたが、現在では250
kgまで増加しました。
また、作業効率を上げるため、収穫及び加工は
同JAの関連会社である(株)JAしらかわアグリが
一括して行っています。
ハトムギ生産者が少なくなり後継者育成が課題
となっていますが、今後さらなる生産技術の向上
と会員の増加を図り、販路の拡大を目指している
とのことです。
- 21 -
◆ 多様なハトムギ商品の開発
JAしらかわでは、ハトムギ茶のほかにも多くの
ハトムギ関連商品を開発・販売しています。
平成23年に「はとむぎ入りせんべい」と「はと
むぎ美麗・化粧水」、24年には「はとむぎ美麗・
濃密美容乳液」、「洗顔ソープ」を発売し、「はと
むぎ美麗シリーズ(化粧水、乳液、洗顔ソープ)を
完成しました。
商品は、同JA職員による提案や各地の取り組み
をヒントに試作を重ねて開発、ハトムギの効能を活
かしたことが、商品化のコツとのことでした。
また、商品開発とは別に、平成22年からハトム
ギ栽培30周年を記念して農業の振興・育成のため、
管内の市町村を対象に、ハトムギ茶ペットボトルの
1本の売り上げに応じて、5円を販売還元金として
交付する取り組みも継続して行っています。
ハトムギ関連商品
はとむぎ美麗
(化粧水)
◆ 販路の拡大と輸出の取組
タイ国への輸出出発式
ハトムギを使った商品は、同JAの直売所
「ファーマーズマーケットり菜あん」や各支所、
管内温泉宿泊施設等で販売しています。
直売所では、組合員が生産した野菜や果物の
ほか、納豆などの加工品も販売しています。
また、平成26年の海外調査を契機に、「は
とむぎ茶」をタイに輸出しました。
タイにおける健康志向の高まりに着目し、健
康補助飲料としての需要を見込んでおり、これ
を足がかりに他の農産物等の輸出も検討してい
るとのことです。
同JAでは、これからもハトムギ生産者と連
携し、商品のリニューアルや新商品の開発を重
ね、地域農業の振興につなげたいとしています。
白河農業協同組合
<生産>
ハトムギ部会
直売所「ファーマーズマーケット り菜あん」
・JA直売所
(収穫・一次加工等)
・JA各支所
各商品製造業者
・公共販売施設
・温泉販売施設
商
- 22 -
<販売>
JAしらかわアグリ
等
白河農業協同組合
福島県白河市弥次郎窪29-1
電話 0248-22-5151
http://www.ja-shirakawa.or.jp/
<加工>
品
等
利用上の留意点
○ 掲載情報は編集時点のものです。常に最新の
ものとは限らないことをご了承ください。
【お問い合わせ先】
農林水産省東北農政局経営・事業支援部事業戦略課
担 当 : 6次産業化担当
T E L : (代)022-263-1111(内線4379)
(直)022-221-6146(総合相談受付窓口)
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