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5.婦人科感染症

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5.婦人科感染症
N―104
日産婦誌5
5巻5号
研修医のための必修知識
研
修
医
の
た
め
の
必
修
知
識
D.婦人科疾患の診断・治療・管理
Diagnosis, Treatment and Management of Gynecologic Disease
5.婦人科感染症
Gynecologic Infectious Disease
女性性器の下部の感染は次第に上行性に進展して付属器から腹腔内に至る場合が多い.
すなわち外陰,腟,子宮頸部および体部,卵管,卵巣,骨盤腹膜あるいは骨盤結合組織な
どで感染を起こし,それぞれ固有の病態を示す(図 1)
.婦人科感染症は近年,性感染症
(sexually transmitted disease,STD)
を中心に増加傾向にあり,骨盤内炎症性疾患
(pelvic inflammatory disease,PID)
として入院治療が必要となることがある.また疫
学的な原因以外に不潔な医療操作は容易に婦人科感染症を惹起することがあるので産婦人
科の診察,処置に際しては清潔に留意しなければならない.
(1)外陰および腟の感染症
成熟婦人の外陰部や腟は感染に対して比較的強い抵抗を示し,特に腟は乳酸桿菌の働き
卵管炎
付属器炎
子宮内膜炎
骨盤腹膜炎
子宮筋層炎
子宮傍結合織炎
子宮頸管炎
腟炎
外陰炎
(図 1)婦人性器感染症の進展
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N―105
2003年5月
(表1) 外陰部の感染症
病原体
病態
ブドウ球菌
大腸菌など
外陰炎
バルトリン膿瘍
梅毒トレポネーマ
硬性下疳,
真菌
カンジダ
外陰カンジダ症
ウィルス
単純ヘルペスウィルス
ヒトパピローマウィルス
性器ヘルペス
尖形コンジローマ
その他
しらみ
疥癬虫
毛じらみ症
疥癬
細菌
平コンジローマ
によって腟内容を pH4前後の強い酸性に
(表2) 外陰部の潰瘍形成性疾患
保って他の菌の増殖を抑制し,自浄作用の
感染症
性器ヘルペス
あることが知られている.しかし部位的に
梅毒
は排尿や排便,不潔な性交などに際して汚
軟性下疳
その他
染されやすく,また湿潤した粘膜部分があ
るので恒常状態が崩れると容易に感染が成
非感染症
ベーチェット症候群
癌
立する.
その他
1 外陰炎
○
感染性外陰炎を起こす病原微生物は成熟
婦人では表 1 に示すように STD として取
り扱われるものが多い.一方,外陰炎は抵抗力の弱い小児や妊婦,エストロゲンの低下し
た老婦人および糖尿病患者などで発症しやすい.
自覚症状としては外陰部の掻痒感や不快感,熱感,"痛,帯下感などがあり,局所の発
赤,腫脹,膿疱形成,潰瘍形成などがみられる.尖形コンジローマでは特有の尖った小腫
瘤を形成する.潰瘍を形成する場合は"痛を伴い,STD を原因とすることが多いが,非
感染性のベーチェット症候群との鑑別が重要である(表 2)
.
2 バルトリン腺炎
○
腟入口部の内側下方に開口するバルトリン腺に感染が起こると開口部は閉鎖して発赤,
腫脹し,やがて内部に膿を貯留して膿瘍を形成する.抗生物質の投与に加えて切開,排膿
などの処置を要するようになる.
3 外陰・腟真菌症
○
外陰や腟の真菌症はカンジダ 属,そ の 多 く は Candida albicans で 一 部 Candida
glabrata によって引き起こされる.一般には外陰と腟の両方に同時に感染症状を呈する
ので通常は外陰・腟カンジダ症として治療する.STD として感染,発症する場合とカン
ジダは常在菌なので日和見感染として発症する場合がある.特に抗生物質の使用後は菌交
代現象によって容易に発症することがあるので女性に対する抗生物質の投与は慎重にした
い.
自覚症状としては強い外陰部の掻痒感を訴え,外陰部の発赤と腟内に白色の豆腐を押し
つぶしたような,またはヨーグルト状の帯下がみられる.腟分泌物の直接鏡検によって分
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N―106
日産婦誌5
5巻5号
(表3) 腟炎の症状
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帯下感
掻痒感
帯下の性状
その他
カンジダ腟炎
トリコモナス腟炎
老人性腟炎
細菌性腟症
(+)
(++)
(++)
(+)
(+)
(±)
(+)
(±)
白色
ヨーグルト
∼酒粕状
淡黄色
泡沫状
黄褐色
漿液性
灰白色
クリーム状
腟壁に酒粕状
帯下が付着
子宮腟部に溢血点
腟壁粘膜の萎縮
発赤,出血
腟壁に帯下が薄く付着,
魚臭(アミン臭)
芽胞子,仮性菌糸がみられるが,判定
困難な場合は簡易培養を行う.
(表4) 細菌性腟症の診断基準(Spiegel)1)
1.帯下 均一で粘着性のある灰白色帯下の増量
2.帯下の pH 4.5 以上となる
3.鏡検で clue cell が存在する
4 腟炎
○
成人ではカンジダやトリコモナス原
腟上皮細胞周辺に多数の細菌がまとわり
つき,細胞の輪郭が不明瞭になった状態
虫の感染によるものが一般的で,STD
4.アミン臭
としてパートナーも含めて治療する必
10% KOH の滴下により強い悪臭がする
要がある.腟炎はエストロゲンの分泌
(上記のうち 3 つがみられる)
が不十分で自浄作用の低下した小児や
老人で起こりやすく,また起炎菌はさ
まざまで必ずしも同定できないことが
多い.老人性腟炎ではエストロゲンの投与が有効である.表 3 に各々の腟炎の症状をま
とめて示す.
5 細菌性腟症
○
(bacterial vaginosis)
乳酸桿菌を主とする腟内の正常細菌叢がそれ以外の複数の菌種に置換されると帯下が増
量するが,炎症所見は乏しいので"腟炎#というより"腟症#という言葉を使って細菌性
腟症と呼称されることがある.一般に Spiegel の診断基準(表 4)
に基づいて診断される
が,乳酸が減少して pH が上昇し特有のアミン臭(魚臭)
がする1).細菌性腟症は炎症所見
が少なく,自覚症状は必ずしも強くないが,将来 PID や術後感染,妊娠中の絨毛膜羊膜
炎などを引き起こしてくることがあるので早期に診断して治療することが望ましい.
(2)子宮の感染症
1 子宮頸管炎,子宮腟部びらん
○
子宮頸部は組織学的に単層円柱上皮と重層扁平上皮がみられる外子宮口から外の部分と
主として円柱上皮からなる頸管内では若干病態が異なる.外子宮口から外では連続する腟
の炎症と殆ど同じであるが,子宮腟部びらんに感染が起こるとびらん面は易出血性となっ
て帯下も増加する.子宮頸管内は STD の初期感染部位となっており,近年淋菌やクラミ
ジア・トラコマティスによる頸管炎が増加している.以後の上行性の進展の可能性を考え
ると頸管分泌物の細菌学的な検査を必ずしておきたい.その際腟内細菌の混入には十分注
意する.症状は軽度な場合が多いが,帯下が増量して粘液性,膿性となることがある.
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N―107
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2 子宮内膜炎,子宮筋層炎
○
子宮頸管内部の粘稠な粘液栓に
よって通常は子宮体部内腔への病原
体の侵入は容易には起こらないが,
分娩,流産,産褥時や子宮内の手術
操作によって,あるいは子宮体癌や
頸癌などの悪性腫瘍に合併して感染
が起こることがある.発熱と下腹痛
があり,外子宮口より膿性の分泌物
がみられる.炎症が内膜に限局して
いる場合は自覚症状は必ずしも強く
はないが,筋層炎になると子宮は腫
大して圧痛が強くなる.炎症による
頸管の狭窄や閉鎖が起こると膿性分
泌物が滞留して子宮留膿症
(pyometra)
となる(写真 1)
.
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(写真 1)子宮留膿症
(3)付属器の感染症
1 卵管炎,子宮付属器炎
○
卵管は炎症を起こしやすい臓器
で,卵管炎になると炎症は卵巣にも
波及して卵巣炎も併発しているの
で,臨床的には両者を区別せず子宮
付属器炎として取り扱われる場合が
多い.起炎菌の同定は容易ではない
が,大腸菌やぶどう球菌などのほか,
近年は淋菌やクラミジア・トラコマ
ティスの感染によるものがしばしば
みられる.発熱,強い下腹痛と内診
による圧痛がある.卵管内に膿が滞
留すると卵管留膿症(pyosalpinx)
(写真 2)
に,滲出液が貯留すると卵
管留水症(hydrosalpinx)
となる.
急性期には主として抗生物質の投与
によって治療するが,慢性期や難治
性のものでは手術が行われることが
ある.さらに炎症が慢性化すると発
熱はなく,軽度の癒着と付属器の抵
抗を触知するのみとなる.しかし付
属器炎の後は癒着を起こしやすいの
で卵管の狭窄,閉塞などが起こると
不妊症や子宮外妊娠などの原因とな
りやすい(表 5)
.
(写真 2)卵管留膿症
(表5) 付属器炎,PID の後遺症
不妊症
月経困難症
慢性疼痛
下腹痛
腰痛
性交痛
子宮外妊娠
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日産婦誌5
5巻5号
(表7) 婦人科感染症の治療
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感染臓器の確認
感染範囲の確認
病原体の確認
鏡検
培養,感受性テスト
抗原検出(DNA検査を含む)
抗体検出
患者背景の確認
年齢
セックスパートナー
妊娠
薬剤アレルギー
の有無
など
(写真 3) tubo-ovarian abscess
インフォームド・コンセント
(表6) PID の診断
臨床所見 発熱
下腹痛
下腹部の圧痛,抵抗,筋性防御
腹膜刺激症状
付属器の腫瘤,抵抗
子宮腟部の移動痛
ダグラス窩の膨隆,圧痛
検査
白血球増多
CRP 陽性
赤沈値亢進
超音波検査 tuboovarian abscess
ダグラス窩膿瘍
病原体の検出
抗微生物薬の投与
(経口剤,注射剤,坐剤,外用)
(単剤,併用)
(投与量,投与期間)
切開排膿,ドレナージ,手術的除去
2 性器結核
○
まれに肺結核から二次感染と考え
られる性器結核をみることがある.
結核性卵管炎による不妊症が疑われ
る場合には月経血からの結核菌培養
を行う.
(4)骨盤内の感染症
1 骨盤腹膜炎
○
卵管炎,付属器炎からさらに上行性に感染が進展すると小骨盤腔に至って骨盤腹膜炎と
なる.付属器炎も含めて広く骨盤内炎症性疾患(pelvic inflammatory disease,PID)
と
いう.卵巣と卵管が腫瘤性に一塊となったような腫瘍(tubo-ovarian abscess,写真 3)
やダグラス窩膿瘍を形成すると発熱,下腹痛,腹膜刺激症状を訴え,内診によって付属器
付近に腫瘤状の抵抗を触れ,ダグラス窩は膨隆し強い圧痛を示すようになる.PID の一
般的な診断基準を表 6 に示す.さらに PID が上腹部に波及すると肝周囲炎(Fitz-Fugh
Curtis 症候群)
を起こすことがある.最近ではクラミジア感染によるものが多い.
2 子宮傍結合組織炎
○
骨盤腹膜の外,すなわち子宮周囲の後腹膜下の結合組織の炎症で,分娩時の軟産道の損
傷,人工妊娠中絶時の頸管の損傷,広汎子宮全摘術などの際に発症することがある.発熱
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と下腹痛があり,内診すると子宮傍結合組織の部に圧痛のある抵抗を触れる.
時にドレナー
ジを要することもある.
3 子宮頸癌術後骨盤死腔炎
○
子宮頸癌根治手術の際に全内性器の摘出,リンパ節廓清などによって生じた骨盤死腔に
感染が起こることがある.今日ではその頻度は減少したが,手術にあたってはドレナージ
や抗生物質の投与など発生防止のために十分な注意が必要である.
(5)婦人科感染症の治療
婦人科感染症の治療方針を表 7 に示す.婦人科領域では病原体が比較的確認しやすい
のでそれに応じた化学療法を選択することになる.治療は急性期にはあくまでも化学療法
が主となるが,必要であれば切開,排膿などの手術的な処置も併用する.STD に起因し
たものではパートナーの治療もするようにしたい.また妊娠の有無の確認,以後の妊孕能
への配慮などを忘れてはならない.
《参考文献》
1.Amsel RT, Totten RA, Spiegel CA, Chen KC, Eschenbach D, Holmes KK.
Nonspecific vaginitis : diagnostic criteria and microbial and epidemiologic
associations. Am J Med 1983 ; 74 : 14―22
〈河野 一郎*〉
(6)性感染症
(STD)
1.性感染症(STD)
の概念とその変化
性行為によりパートナーからパートナーへ感染する疾患を,性感染症(Sexully transmitted disease : STD)
という.この原因となる微生物は80種類に及ぶといわれている
が,その主たるものは約20種類である(表 8)
.
このなかでも最も感染者が多いのは,平成12年
(2000年)
9 月に新たに制定された感染
症新法に,全数把握疾患とされた梅毒と,定点把握疾患性感染症の淋菌感染症,性器クラ
ミジア感染症,性器ヘルペス感染症,尖形コンジローマの 5 種類である(表 9)
.
性感染症の概念は,性交渉に伴う性器から性器への感染ということであったものが,近
年とりわけ20世紀末からは性器以外に臓器への感染も増加し,まさに性風俗の多様化を
如実に示している.そのうえ,初交年齢の低下は著しく,ティーンエイジャーでも15歳
前後のところまで STD は蔓延している時代に入った.
2.性感染症(STD)
の病原体
前にも述べたように STD は細菌によるもの,クラミジア属によるもの,それより更に
小さいウイルス属まで主たるものだけでも20種類に及ぶ.このなかには原虫やそれより
大きい疥癬,毛ジラミなどもある.このように極めて多数の微生物が STD の原因となる.
3.性感染症(STD)
の疫学
STD の流行が社会的要因により影響を受け,変化することはあるが,感染症新法の中
の性感染症関連疾患 5 種は,年々増加傾向にある.ただ本邦において,初めて HIV 感染
*
Ichiro KOHNO
Department of Obstetrics and Gynecology, Kawasaki Medical School, Okayama
Key words : Infection・Vulvovaginal・Uterine・Tubo-ovarian・Pelvic
*
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(表8) 性感染症(STD)
の種類
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疾患
病原体
細菌
淋菌感染症
梅毒
軟性下疳
鼠径肉芽腫症
Neisseria gonorrhoeae
Treponema pallidum
Haemophilus ducreyi
Calymmatobacterium granulomatis
クラミジア
性病性リンパ肉芽腫症
尿道炎・子宮頸管炎
Chlamydia trachomatis L1 ∼ L3
Chlamydia trachomatis D-K
ウイルス
性器ヘルペス感染症
尖形コンジローマ
陰部伝染性軟属腫
B 型ウイルス性肝炎
サイトメガロウイルス感染症
伝染性単核症
AIDS(後天性免疫不全症候群)
Herpes simplex virus
Human papilloma virus
Molluscum contagiosum virus
Hepatitis type B virus
Cytomegalovirus
Epstein-Barr virus
HIV(Human Immunodeficiency Virus)
マイコプラズマ
真菌
原虫
尿道炎・子宮頸管炎
外陰・腟カンジダ症
腟トリコモナス症
アメーバ赤痢(腸管感染症)
疥癖
毛じらみ症
Ureaplasma urealyticum
Candida albicans
Trichomonas vaginalis
Entamoeba histolytica
Sarcoptes scabiei var. hominis
Phthirus pubis
寄生虫
症が発見された時には, コンドーム・キャンペーンが HIV 感染防止策として行われた為,
その翌年の淋菌感染症が減少したという事実が存在する.しかし,その後は再び増加に転
じている.
また戦後の銭湯時代から,現在の自宅入浴やシャワー実施などの日常化により,トリコ
モナス腟症は激減したことも事実である.
STD の罹患者が増加していることは紛れもない事実ではあるが,一方,各疾患に対す
る診断方法の開発や改善が感染者の発見に貢献していることも否定はできない.
4.性感染症(STD)
1.梅毒
1)概念
スピロヘーターの一種梅毒トレポネーマ(Treponema pallidam)
の感染により発症す
る.
感染症新法による性感染症 5 種のうち,唯一の全数把握疾患である.
感染後の時間経過と共に発疹などの症状に変化があるが,症状がなくても梅毒血清反応
が陽性である無症候性梅毒と呼ばれる病態も存在する.
経胎盤的に母体内で胎児に感染した先天梅毒というものも存在し,生後に感染した後天
梅毒と区別される(表10)
.
2)病因
性行為により性器から性器へ,あるいは口腔性交により男性の性器から女性の咽頭,喉
頭に感染が起こり,時間の経過と共に血中に入り全身に感染が及ぶ.
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2003年5月
一類感染症
エボラ出血熱
クリミア・コンゴ出血熱
ペスト
マールブルグ病
ラッサ熱
5 疾病
二類感染症
三類感染症
四類感染症
全数届出(12 条 1 項 2 号)
急性灰白髄炎 腸管出血性大腸菌感染症 アメーバ赤痢
コレラ
エキノコックス症
細菌性赤痢
黄熱
ジフテリア
オウム病
腸チフス
回帰熱
パラチフス
Q熱
急性ウィルス性肝炎
狂犬病
クリプトスポリジウム症
クロイツフェルト・ヤコブ病
劇症型溶血性レンサ球菌感染症
後天性免疫不全症候群
コクシジオイデス症
ジアルジア症
腎症候性出血熱
髄膜炎菌性髄膜炎
先天性風疹症候群
炭疽
ツツガムシ病
デング熱
日本紅斑熱
日本脳炎
乳児ボツリヌス症
梅毒
破傷風
発疹チフス
バンコマイシン耐性腸球菌感染症
ハンタウィルス肺症候群
B ウィルス病
ブルセラ症
マラリア
ライム病
レジオネラ症
6 疾病
1 疾病
33 疾病
指定機関届出(14 条 2 項)
小児科
咽頭結膜熱
A 群溶血性レンサ球菌咽頭炎
感染性胃腸炎
水痘
手足口病
伝染性紅斑
突発性発疹
百日咳
風疹
ヘルパンギーナ
麻疹(成人麻疹を除く)
流行性耳下腺炎
内科小児科
インフルエンザ
眼科
急性出血性結膜炎
流行性角結膜炎
産婦人科等
性器クラミジア感染症
性器ヘルペスウィルス感染症
尖形コンジローム
淋菌感染症
内科外科病院 急性脳炎(日本脳炎を除く)
(患者 300 人 クラミジア肺炎(オウム病を除く)
収容施設)
細菌性髄膜炎
成人麻疹
ペニシリン耐性肺炎球菌感染症
マイコプラズマ肺炎
無菌性髄膜炎
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症
薬剤耐性緑膿菌感染症
27 疾病 28 感染症
N―111
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(表9) 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(1999 年 4 月 1 日)
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日産婦誌5
5巻5号
3)臨床症状
―第!期梅毒―
顕症梅毒では,治療が行われないまま放置しておけば臨床症状は変化する.
感染場所の皮膚や粘膜に初期硬結と呼ばれる硬い腫瘤ができる.また,同じ頃,無痛性
の鼠径リンパ節腫大が起きる.
―第"期梅毒―
感染後3カ月以上抗菌療法が施されないと,皮膚や粘膜に梅毒性のバラ診が出現する.
―第#期梅毒―
3年以上,無治療で放置されるとゴム腫が出現し,心臓や血管症状,神経症状が表れる
(表 11)
.
4)診断
初期硬結,もしくは硬性下疳の表面を
削り,パーカー社・ブルーブラックイン
(表 10)
梅毒の分類
クで染めると,梅毒トレポネーマ(6∼20
µ m)を鏡検できる.
1)顕症梅毒
皮膚,粘膜の発疹や臓器梅
毒を呈するもの
しかし多くの場合,カルジオライピン
2)無症候性梅毒 症 状 は 認 め ら れ な い も の
を抗原とするガラス板法かトレポネーマ
の,梅毒血清反応が陽性の
もの
・パリダムを抗原とする血清反応である
3)先天梅毒
胎児が母体内で胎盤を通し
TPHA 法を調べて感染を確認する.た
て感染したもの
だしこれらの反応は感染後,約 4 週以
4)後天梅毒
先天梅毒以外のもの
上経過しないと陽 性 と は な ら な い(表
12)
.
5)治療
(表 11)
顕症梅毒 臨床的特徴
ペニシリン製剤が第一選択.内服剤で
¿期梅毒 感染後 3 ∼ 6 週間の潜伏期の後に感
第!期 の も の は 4 週 間,第"期 で は 8
染局所に初期硬結や硬性下疳,無痛
週間,第#期 で12週 間 で 完 治 す る.た
性の鼠径部リンパ節腫張がみられ
る.
だし第#期梅毒で感染後,長期間経過し
À期梅毒 感染後 3 カ月を経過すると皮膚や粘
ている神経梅毒においては,静注用ペニ
膜に梅毒性バラ疹や丘疹性梅毒疹な
ど特有な発疹がみられる.
シリン製剤を 2 週間投与しないと完全
Á期梅毒 感染後 3 年以上を経過すると晩期顕
に治すことは困難である(表13)
.
症梅毒としてゴム腫や梅毒によると
考えられる心血管症状,神経症状,
眼症状が表れることがある.
(表 12) 梅毒の診断
(1) 初期硬結・硬性下疳の生検
(2) カルジオライピンを抗原とする
血清反応
(3) トレポネーマ・パリダムを抗原
とする血清反応
表面を削りパーカー社・ブルーブラックインクで染める.
6 ∼ 20μ m で 8 ∼ 20 のらせんをもつ病原体を鏡検する.
ガラス板 STS 法(Serologic test for syphilis)沈降反応
カードテスト RPR 法(rapid plasma reagain card test)
凝集法
TPHA 法(treponema pallidum hemagglutination test)
FTA-ABS 法(fluorescent treponemal antibody absorption test)
上記(2)のうちの 1 法及び(3)の 1 法の定性を行い陽性の場合は STS 法の定量を行う.
なお感染後 4 週間以上経過しないと(2),
(3)法は陽性にならない.
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2003年5月
(表 13)
梅毒の治療
殺菌的に働き,耐性のないペニシリンを第一選択とする
ベンジルペニシリンベンザチン(バイシリン G )
他の合成ペニシリン
ペニシリンアレルギー患者 塩酸ミノサイクリン(ミノマイシン)
妊婦 アセチルスピラマイシン(アセチルスピラマイシン)
投与期間 第 1 期 2 ∼ 4 週間
第 2 期 4 ∼ 8 週間
第 3 期 8 ∼ 12 週間
1 日 40 万単位× 3
1日
500mg × 3
1日
200mg × 4
1日
100mg × 2
内服
内服
内服
内服
なお無症候性梅毒では STS 法 16 倍以上のものは治療対象とする 8 ∼ 12 週間
神経梅毒,先天梅毒はベンジルペニシリンカリュームの点滴静注 1 日 200 ∼ 400 万単位× 6 を
2 週間投与
(表 14) 淋菌感染症の臨床的特徴
男性
女性
急性尿道炎として発症するのが一般的であるが放置すると前立腺炎,副睾丸
炎となる.
後遺症として尿道狭窄が起きる.
子宮頸管炎を起こすが自覚症状がない場合が多い.
感染が上行性に腹腔内に拡がり子宮内膜炎,卵管炎,骨盤内感染症を起こし
発熱と下腹痛を自覚する.
後遺症として不妊症が起きる.
その他咽頭や直腸への感染や産道感染により新生児結膜炎を発症する.
2.淋菌感染症
1)概念
20世紀後半まで性風俗産業を主な感染場所として,男性の間に感染者が多い疾患とさ
れてきた.しかし第二次大戦後,多様化した性風俗が特殊な場所における感染ではなく,
広く一般の男女にも感染が拡がり始めた.
時代と共に淋菌感染症は男性から女性へ,さらに若い男女へと患者が変化してきている.
この原因の一つに女性の場合,感染しても症状が乏しく,治療の対象になりにくいため
感染者の実数がつかめないことがあり,このように野放しにされるため,感染者はますま
す増える傾向にある.
2)疫学
第二次世界大戦後1947年のデータをみると,淋菌感染症は極めて高率にみられたが,
衛生面の改善が進み急速に罹患者は1960年まで順調に減少していた.しかしその後は横
這いが長く続いた.しかし1987年に本邦で初めての HIV 感染者が確認され,コンドーム・
キャンペーンが行われた結果,翌年には感染者が落ち込むことになった.この減少も長く
は続かず 2 年間だけの減少で,1989年には再び上昇に転じ,今も増加を続け,先進国で
淋菌感染症が増加しているのは日本だけであり憂慮すべき状況にある.
3)病因
淋菌の感染により発症するほとんどが性行為により感染するが,女性幼児では入浴時に
浴槽周辺に付着した淋菌が性器に接触することにより感染することがある.また近年,
オー
ラル・セックスにより咽頭に感染することも少なくない.
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研
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医
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N―114
日産婦誌5
5巻5号
(表 15) 淋菌感染症の治療
研
修
医
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め
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必
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知
識
淋菌性尿道炎
淋菌性子宮頸管炎
スペクチノマイシン(トロビシン)
アズトレオナム(アザクタム)
セフィキシム(セフスパン)
淋菌性子宮付属器炎
淋菌性骨盤腹膜炎
スペクチノマイシン(トロビシン)
アズトレオナム(アザクタム)
淋菌性咽頭炎
セフィキシム(セフスパン)
セフトリアキソン(ロセフィン)
筋注 2.0g
単回投与
筋注 2.0g
単回投与
経口 100mg 2 回 3 日間
筋注 2.0g
静注 2.0g
1 回 14 日間
2 回 14 日間
経口 100mg 2 回 7 日間
静注 1.0g
単回投与
4)症状
男性が淋菌に感染すると尿道炎を発症し激しい排尿痛を訴えるが,女性は子宮頸管炎と
いう初発症状でまったく自覚症状がないといっても過言ではない.しかし容易に上行性に
腹腔内へ進入し,子宮付属器炎や骨盤腹膜炎,さらに肝臓周囲炎など劇症の腹痛を示すこ
ともある.これは後述するクラミジア・トラコマティス感染症においても同様な症状を示
す(表14)
.
5)診断
淋菌培養は可能ではあるが決して容易なものではない.そのため,なかなか日常診療の
場では同定できないことが多かったが,近年核酸増幅診断法が開発され,極めて高感度で
特異性も高く,感染の存在が容易に診断できるようになった.
また腟内や子宮頸管分泌物のグラム染色により,グラム陰性双球菌の確認や白血球内に
貪食された淋菌を顕微鏡下でみることができる.
6)治療
淋菌感染症の治療に最も難しい点は,淋菌が速やかに耐性を作るという特性をもつため,
感受性がある抗菌薬の選択が重要である.現在(2003年)
の時点で,これまで良好な感受
性をもっていたニューキノロン系抗菌薬が60%以上の淋菌に無効である.
絶えず耐性菌の変化について情報を収集して,治療にあたる必要がある(表15)
.
3.性器クラミジア感染症
1)概念
結膜炎の病原体として知られていたクラミジア・トラコマティスは,子宮頸管炎の原因
にもなっていることが明らかになったのは1970年代に入ってからである.
淋菌感染症よりも,さらに女性感染者は感染時に無症状であるため治療の機会がなく増
え続けることになり,16∼25歳までに100万人を超す感染者があるといわれ,とりわけ85
万人とその多くが女性であるといわれている.
2)病因
クラミジア・トラコマティス(Chlamydia trachomatis)
が性交渉によりパートナーに
感染する.淋菌感染症同様,オーラル・セックスにより咽頭や副鼻腔にも感染する.また,
産道感染により分娩時に新生児にも感染し,新生児肺炎や結膜炎を発症する.
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N―115
2003年5月
(表16) Chlamydia trachomatis感染経路
研
修
医
の
た
め
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必
修
知
識
肝(肝周囲炎)=Fitz-Hugh-curtis症候群
骨盤腔
(骨盤腹膜炎)
STDとして
男性へ感染
(非淋菌性尿道炎・副睾丸炎)
卵管
(卵管炎)
卵管狭窄・卵管閉塞
(卵管性不妊・卵管妊娠)
子宮内膜
(子宮内膜炎)
絨毛羊膜炎(流産・早産)
子宮頸管
(子宮頸管炎)
産道感染(新生児結膜炎・新生児肺炎)
(表17) Chlamydia trachomatis 感染症の治療方法
投与症例
投与方法
投与期間
製 剤
商品名
1 日投与量
子宮頸管炎
子宮付属器炎
テトラサイクリン
ニューキノロン
マクロライド
100mg × 2
100mg × 3
150mg × 3
200mg × 2
経口 14 日間
経口 14 日間
骨盤腹膜炎
ミノマイシン
クラビット
トスキサシン
クラリシッド
クラリス
劇症骨盤腹膜炎
肝周囲炎
テトラサイクリン
ミノマイシン
200mg × 2
5 日間
点滴静注
経口 14 日間
妊婦はマクロライド製剤のみ使用.
点滴静注は 5 日間,その後は経口にきりかえる.
3)症状
子宮頸管炎が初発診断であるが,宿主はまったく感染に気が付かないまま淋菌感染症同
様,腹腔内から上腹部まで感染が拡がり,卵管やその周辺における癒着や卵管留水腫を形
2)
成し,不妊症の原因となる(表16)
.
また肝臓周囲炎(Fitz-Hugh-curtis 症候群)
は劇症で,緊急外来へ若年女性の上腹部痛
として搬送されることが多い.
4)治療
EIA である IDEIA PCE 法と核酸増幅法である PCR 法や LCR 法が開発され,子宮頸
管か腟内の分泌物から容易に診断がつく.抗体検査も IgA,IgG 検出を行うが,感染の既
往があればいつまでも陽性であるので,感染診断の有用性は低く治癒の判定に応用できな
い.
5)治療
感受性がある抗菌薬に限りがあるので抗菌療法には正しい知識が必要であるが,すべて
薬物療法が有効である.劇症の肝臓周囲炎でも,テトラサイクリン系抗菌薬で保存的に治
療できる(表17)
.
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N―116
日産婦誌5
5巻5号
(表18) 性器ヘルペスウイルス感染症の治療
研
修
医
の
た
め
の
必
修
知
識
初発例
再発例
アシクロビル(ゾビラックス)200mg
アシクロビル(ゾビラックス)5mg/kg
アシクロビル(ゾビラックス)200mg
軽症例 5% アシクロビル 軟膏
1 日 5 回 5 ∼ 10 日間経口
1 日 3 回 5 ∼ 10 日間点滴静注
1 日 5 回 5 日間経口
1 日 数回 5 ∼ 10 日間塗布
4.性器ヘルペス感染症
(表19)
尖形コンジローマの治療
1)概念
外科的切除
性器にヘルペスウイルスが感染し発症す
液体窒素による凍結療法
るが,極めて劇症なものから無自覚性のも
電気焼灼
保険適用
Co2 レーザー
のまでさまざまな病態を示すが,口唇ヘル
ペスのようなものと性器に発症するものが
簡便で有効な治療法として 10 ∼ 25% ポ
ドフィリンアルコール溶液を外用する.
あり,初感染後,神経にそって神経節に入
本邦では認可されていないが諸外国では
り,宿主の体調により再発を繰り返す.
一般薬として発売されている.
2)病因
塗布後 8 ∼ 24 時間後に洗浄する.週 1
単純ヘルペス1型と 2 型があり,1型が
∼ 3 回塗布で治癒する.
主に目・口・脳などの上半身に,2型は主
として性器に感染するといわれてきたが,
必ずしも決まってはいない.
1型は20歳までに50∼70%感染しているといわれ,2型は川名3)によれば20歳代で5∼10
%に存在するという.女性は男性の約 2 倍の感染者がある.
3)症状
初感染後3∼7日して外陰部に小水疱,または潰瘍性病変が数個出現し発熱がある.2∼
4週間で自然治癒するが,再発はしばしば起きる.外陰部のほか,臀部,大腿,子宮腟部
にも発症する.仙髓神経節に潜伏したウイルスが神経を伝わって再活性化に伴い再発する.
4)診断
外陰部の浅い潰瘍か水疱があればヘルペスウイルスの分離培養ができる.螢光抗体法で
単純ヘルペス抗原を証明できる.
血清抗体は発症後7∼10日して陽性になるが,診断はそれまでについているのであまり
有用ではない.
5)治療
抗ヘルペス剤の開発で発症期間の短縮や疼痛の緩和が可能となったが,根治的薬剤では
ないので,しばしば再発する(表18)
.
5.尖形コンジローマ
1)概念
ヒトパピローマ・ウイルス(ヒト乳頭腫ウイルス;HPV)
の感染により性器周辺に発生
する腫瘍.
80種以上の HPV が確認されているが,HPV 6型と HPV 11型の感染で尖形コンジロー
マが発症する.
ヒトパピローマ・ウイルスの16型,18型,52型,58型が子宮癌の発症に関与すると考
えられている.
このウイルスは培養ができないので研究が充分に行われていない.
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N―117
2003年5月
2)病因
ヒトパピローマ・ウイルス6型と11型の感染により発症する.近年,漸増傾向にある.
3)症状
特徴ある先の尖ったイボ状のものが,1個から多数発症する.
4)診断
確定診断は,病理組織学的診断によるが,核酸増幅診断も可能になった.
5)治療
外科的に切除するが再発する.農薬の一種であるポトフィリンの外用で,治癒され得る
として欧米では好んで用いられている. 本邦では医薬品として認可されていない(表19)
.
《参考文献》
1.熊本 悦明,他.日本における性感染症(STD)
流行の実態調査−2000年度の STD
センチナル・サーベイランス報告.日性感染症会誌 2001 ; 12 : 32―67
2.野口 靖之.卵管機能とその異常―感染症と卵管機能.日不妊会誌 2001 ; 46 : 25―
29
3.川名 尚.性器ヘルペス合併妊婦の管理.日産婦誌 1999 ; 51 : N95―N98
〈野口 昌良*〉
*
Masayoshi NOGUCHI
of Obstetrics and Gynecology, Aichi Medical University, School of Medicine, Aichi
Key Words : Sexully transmitted disease(STD)・Chlamydia trachomatis・Oral sex・
Fitz-Hugh-curtis-syndrome
*Department
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研
修
医
の
た
め
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必
修
知
識
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