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平成 27 年度 - 国立大学法人 信州大学 サテライト ベンチャー ビジネス
ごあいさつ 信州大学 SVBL 長 小西 哉 信州大学 SVBL の 2015 年度の活動報告書が完成いたしました.信州大学 SVBL の 1 年間の活 動成果をご一覧いただけましたら,ありがたく存じます. 本 SVBL は 2004 年に設立され,2005 年から実質的な活動が始まり,2015 年度まで 11 年間の 活動を行って参りました.その期間,運営委員会,専門部会,SVBL 専任助教,事務職員,技術 補佐員,研究員が一体となって SVBL の事業を企画・運営してまいりましたが,このたび,信 州大学の組織改革に伴い,本 SVBL は発展的に解散することになりました. 思い返せばこの 11 年間,当初の暗中模索のスタートから,スタッフのアイデアを元に,関 係各位のご協力を得て,SVBL 事業を拡大してまいりました.小さな所帯であったからこそ実現 できたこともたくさんありました.実施した事業は Try and Error の連続でもありましたが, 意欲の高い学生が集まって活動してくれたことは,スタッフにとって何よりもうれしいことで した. 2014 年からは長野県や県内大学・高専などの協力を得て「信州ベンチャーコンテスト」を開 催し,その中から具体的な起業例が生まれるなど,大きな成果を納めることができました.信 州ベンチャーコンテストは今後も開催を続けてまいります. また,SVBL が主体となって全学 1 年生向け共通教育授業科目「ベンチャービジネス概論」を 開講し,新入生のチャレンジ精神の鼓舞と,ベンチャー意識の啓蒙を全学的に展開しており, この教育活動も継続いたします. 学生の自主的活動として,信州上田の地場産業であった養蚕業の資源樹木である桑の活用方 法を研究開発する組織「桑まるごと活用塾」,SVBL に設置された分析・加工機器の利用技術を 学生が自主的に学習・習得する機器エキスパート活動「P-DEX」 ,学生による新しいものづくり 活動,信州の中山間地の活性化を目指すプロジェクトなど,信州大学の構成員である学生や教 職員と,地域企業や地域社会との連携に基づく活動も継続いたします. このように,本 SVBL は発展的に解散することになりましたが,学生のチャレンジ精神醸成 とベンチャーマインド育成に関わる活動は,新たな組織体制で引き続き継続してまいりますの で,関係各位の一層のご支援を賜りたく,謹んでお願い申し上げます.最後になりましたが, 長年に渡り SVBL の活動にご協力,ご指導を賜りましたこと,厚く御礼申し上げます. 信州大学 サテライト・ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー 活 動 報 告 書 平成 27 年度 目 次 ごあいさつ Ⅰ. ベンチャー教育活動 1. セミナー················································· 1 2. 展示会ツアー············································· 8 3. 機器エキスパート(P-DEX)養成事業 ························ 10 4. 機器講習会··············································· 16 5. 研修支援················································· 17 6. 共通教育講義「ベンチャービジネス概論」 ··················· 28 Ⅱ. ベンチャー創出支援事業 1. ベンチャー起業支援······································· 31 2. 信州ベンチャーコンテスト ································· 36 Ⅲ. SVBL 研究 1. プロジェクト研究 ········································ 39 2. 萌芽研究················································· 50 3. その他··················································· 56 Ⅳ. 資料 1. 事業歴··················································· 57 2. 広報····················································· 63 3. 業績リスト··············································· 64 Ⅰ. ベンチャー教育活動 1.セミナー ビジネスの基本,マネジメント能力の開発などに関する講演会やセミナー,演習を開催した. 1)広告セミナー 日々目にする,チラシ,CM,WEB,ソーシャルの広告宣伝,PR(広報)は,見た目重視の文芸的 な制作物だと誤解されてる人たちが多いが,広告はもっとも生活者に直接なげられるコミュニケーショ ンであり,より効率的に情報を伝え共感を得られるように,巧みな情報設計,ユーザービリティ,スト ーリーが考えられている. 広告宣伝のプロセスと仕組みを工学的な観点で説明していただいた(全 5 回). 日時・内容:2015 年 5 月 19 日(火)広告,宣伝,広報(PR)って各々の違い 2015 年 6 月 2 日(火)すべては三行から始まった 2015 年 6 月 16 日(火)広告宣伝,広報はコミュニケーションを創ること 2015 年 6 月 30 日(火)映像と画像のちから 2015 年 7 月 14 日(火)Facebook,Google などのオンライン広告の仕組みをしる 各 16:20~17:50 場所: 上田キャンパス 講義棟 12 番講義室 対象: 信州大学学生・教職員,一般 講師: 吉田達矢 氏(株式会社ハムラ) 参加者: 5/19 15 名,6/2 7 名,6/16 4 名,6/30 7 名, 7/14 8 名 2)動画制作ワークショップ 動画は,静止画の何倍もの情報を表現する力を持っており,例えばパワーポイントに動画を組み込む 事で,より表現力の豊かなプレゼンテーションを創ることもできる.このワークショップでは,スマホ やデジカメで動画を撮影し,切り貼り・テロップ・画面効果・BGM・アフレコといった編集作業の基 礎を学びながら 1 本の動画映像作品を制作し,YouTube 動画配信サービスを使って情報発信するまでの 一連の手順を体験した. 日時: 2015 年 6 月 13 日(土)13:00~16:10 2015 年 6 月 14 日(日)10:30~12:00 場所: 上田キャンパス SVBL 棟 406 室 対象: 信州大学学生 講師: 松村哲也 氏(SVBL 研究員) 内容: 1 日目 1)動画の構成・・YouTube 動画に学ぶ 2)動画の撮影法 3)シナリオ作りと動画素材の撮影 2 日目 4)YouTube 動画エディタを使った編集作業 5)作品レビューと情報発信 参加者:1 名 1 3)短時間でつかむ!知的財産権セミナー 学生(研究)だけでなく,企業で商品企画開発などを行うときも役に立つような幅広い内容を,身近 な具体例を用いて基礎事項から丁寧に,かつポイントを絞って説明頂いた. 日時・場所: 2015 年 6 月 22 日(月)16:20~17:50 伊那キャンパス 農学部 13 番教室 2015 年 6 月 24 日(水)16:20~17:50 上田キャンパス SVBL 棟 406 室 2015 年 7 月 6 日(月)16:20~17:50 松本キャンパス 理学部講義棟 5 番教室 2015 年 7 月 9 日(木)16:20~17:50 長野(工学)キャンパス 工学部講義棟 202 番教室 対象:信州大学学生・教職員 講師:篠塚由紀 氏 (株式会社信州 TLO 技術移転グループ) 参加者: 6/22 8 名,6/24 5 名,7/6 1 名,7/9 7名 4)キャンドル作りワークショップ 今年度も「P's Candle のキャンドル作りワークショップ」を開催した.参加者がそれぞれの感性で自 分の好きな香りをつけたアロマキャンドルや透明度の高いジェルキャンドルを作った. 2015 年 6 月 26 日(金)16:30~21:00 日時: 2015 年 9 月 30 日(水)13:30~20:00 2015 年 12 月 18 日(金)17:30~20:00(キャンドルナイト) 2016 年 1 月 8 日(金)16:30~20:30 2016 年 2 月 4 日(木)16:30~20:30 場所: 上田キャンパス SVBL 棟 104 室 講師: 小野口貴士 氏(P's Candle) 対象: 信州大学学生・教職員,一般 参加費: 無料(2 個目以降 500 円/個) 参加者: 6/26 18 名,9/30 16 名,1/8 8 名,2/4 12 名 5)信州ベンチャーコンテスト 2015 事前セミナー 信州ベンチャーコンテスト実行委員会主催で, 「信州ベンチャーコンテスト 2015」の応募に向けた事前 セミナーを,県内 3 か所を会場にして開催した.実践的な演習を通じての事業計画の作成手法やビジネ スプランの立て方,アイデアのまとめ方などを学ぶ場とした. 【長野会場】 日時: 2015 年 6 月 27 日(土),28 日(日)2 日間 各 10:00~17:15 場所: 長野市勤労者女性会館しなのき 講師: 相馬豊恒 氏((株)価値創造研究所 代表取締役社長) 参加者:2 名 【上田会場】 日時: 2015 年 7 月 22 日(水) ,23 日(木)2 日間 場所: HanaLab. TOKIDA 2 各 18:00~21:00 講師: 井上拓磨氏( (一社)ループサンパチ 代表理事) 参加者:7/22 6 名,7/23 3 名 【松本会場】 日時: 2015 年 7 月 5 日(日)10:00~16:00 場所: Social Hub Space Knower(s). 講師: 中山拓郎 氏(クラウドット株式会社 代表取締役) 赤沼留美子 氏(有限会社スマイル・ラボ) 参加者:11 名 6)LCMS,SEM 体験講座 SVBL では,学生が主体となって分析装置の技能勉強会の企画・運営を行い,原理・操作技術を学ぶ 機器分析エキスパート(P-DEX)の活動を支援している.今年も機器に親しんでもらいたいという思い か ら , 走 査 型 電 子 顕 微 鏡 ( JSM-6010LA, 日 本 電 子 製 ) と 液 体 ク ロ マ ト グ ラ フ 質 量 分 析 装 置 (LCMS-2010A,島津製作所製)の体験講座を開催した. 応募者多数だったため,LCMS 講座は後日 第 2 回目を実施した. 日時: SEM 講座 2015 年 8 月 5 日(水) ,6 日(木),7 日(金)各 10:30~16:00 LCMS 講座 2015 年 8 月 5 日(水)10:30~16:00,12 月 14 日(月)16:00~ 場所: 上田キャンパス SVBL 棟 2 階 201 室 対象: 信州大学学生 講師: 森脇洋 教授,掛川恵子 技術補佐員 参加者: LCMS 10 名(12/14 3 名) ,SEM 10 名 7)コピーライト講座 言葉づくりゼミ 印刷メディア,WEB 制作のデザインプランナーとして活動する専門家から,言葉(コピーライト) の考え方を軸とした,チラシやポスター制作などに活用できるテクニックを学んだ. 日時: 2015 年 10 月 6 日(火)16:30~18:00 初歩的なマーケティングを知る 2015 年 10 月 13 日(火)16:30~18:00 広告に必要な「心を動かす言葉」を考える 2015 年 10 月 20 日(火)16:30~18:00 誰でもできるポスターデザインの作り方 場所: 上田キャンパス SVBL 棟 406 室,講義棟 33 番講義室(第 2 回より) 講師: 間島賢一氏(株式会社間島宣伝事務所 代表取締役) 対象: 信州大学の学生・教職員,一般 参加者:10/6 22 名,10/13 27 名,10/26 15 名 3 8)上田市ハッカソン さまざまな業種の人と交流機会が持て,プロの技術者との共同作業を通して,実際の開発作業に近い プロセスを経験することができ,研究内容の事業化,社会還元へのアイデア創出に役立てた. 日時: 2015 年 10 月 23 日(金) ,24 日(土) 場所: Hanalab. Camp(上田市御所) 参加費(懇親会費込み) :一般 3,000 円/学生 1,500 円(信州大学の学生は無料) 対象: 一般,学生 主催: Hanalab. 信州大学サテライト・ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー 後援: 上田商工会議所,上田市,長野県 協賛: エプソンアヴァシス(株),八十二銀行,マリモ電子工業(株) 参加者: 32 名(うち一般 30 名) 9)編集・画像ソフト GIMP 初心者講座 無料グラフィック編集・画像ソフトウェア「GIMP」の基本操作説明に要点を絞った講座を全 3 回コ ースで開催した.研究発表用の資料やサークルメンバー募集のポスターなどに使える見栄えの良い画像 の作成方法,無料で高機能のソフトウェアの使い方を伝授頂いた. 日時: 2015 年 11 月 2 日(月) ,9 日(月) ,16 日(月)各 16:30~18:30 場所: 上田キャンパス SVBL 棟 406 室 講師: 児玉 対象: 信州大学学生・教職員 参加者: 11/2 10 名,11/9 10 名, 裕 氏(勝和堂) 11/16 6 名 10)真綿ワークショップ ふわふわで美しい真綿の素材を活かした布作りはとても難し く, 世界中を見渡してもこれといった技術は確立されていない. このワークショップでは,講師オリジナルの“真綿布”を使って, 世界に一つだけのコサージュを作った.また和布を使ったアー トキルトや小物の作品も展示され,鑑賞した. 日時: 2015 年 11 月 7 日(土)10:00~15:00 場所: 上田キャンパス SVBL 棟 406 室 講師: 小西 春江氏(アートキルト作家) 対象: 信州大学学生・教職員,一般 参加費: 1500 円(材料代) 参加者: 15 名(うち一般 12 名) 共催: 信州大学 COC 事業 4 11)フロントランナー講演会 イノベーション教育のフロントランナーである東京大学 i.school エグゼクティブ・ディレクターの堀 井氏より,イノベーションとは何かについて講演いただいた.イノベーションを生み出す方法論やイン ベーション人材等について学び,研究や就活に活かせるイノベーション人材を目指した. 日時: 2015 年 12 月 15 日(火)16:20~17:50 場所: 上田キャンパス 総合研究棟 7 階ミーティングルーム 1 講師: 堀井秀之氏(東京大学 i.school エグゼクティブ・ディレクター) 対象: 信州大学学生・教職員,一般 共催: 長野県, (公財)長野県中小企業振興センター, 信州大学地域戦略センター 参加者: 22 名(うち一般 13 名) 12)フロントランナー講演会 「地域を何とかしたい!!」その想いにそっと背中を押してくれるのが,地域活性化のフロントラン ナーである株式会社地域経済活性化支援機構(REVIC)の保井氏.地域企業の経営視点で見た地域再生 や地域活性化の支援等をしている REVIC 役員の保井氏から,地域活性化のノウハウや地域に求められ る人材等について学び,地域に貢献できる研究や人材を目指した. 日時: 2015 年 12 月 22 日(火)16:20~17:50 場所: 上田キャンパス 総合研究棟7階ミーティングルーム1 講師: 保井俊之氏(株式会社地域経済活性化支援機構 常務取締役 兼 システムデザイン・マネジメント研究科 対象: 信州大学学生・教職員,一般 共催: 長野県,信州大学地域戦略センター 参加者: 16 名(うち一般 13 名) 13)起業家座談会 慶應義塾大学大学院 特別招聘教授) コーヒー教室 2015 年に上田市で自家焙煎のコーヒーショップをオープンさせた若手起業家から,コーヒーの淹れ 方による風味の違いを学び,コーヒーの奥深いお話をいただいた.SVBL で活動している分析機器スペ シャリストを目指す学生団体 P-DEX とのコラボレーションによる,コーヒーの風味の科学的な分析も 試みた. 日時: 2016 年 2 月 4 日(木)13:00~16:00 場所: 上田キャンパス SVBL 棟 4 階リフレッシュスペース 講師: 中沢康輔氏(TORTOISE COFFEE beans by unite) タイトル: コーヒー教室 ペーパーハンドドリップ講座. 良いコーヒーと悪いコーヒー 対象: 信州大学学生・教職員,一般 参加者: 10 名(うち一般 2 名) 5 14)京都大学メディアセンターとの共催ワークショップ(企画) 「テクノプラザおかや ものづくりフェア 2016」で行われるイベント「ものづくりフェア取材大作戦! ものづくりワークショップ」内で,映像コンテンツを制作・発信し,新たな PR の視点を提案するワー クショップへの参加者を募集したが,申込がなかった. 日時: 2016 年 2 月 5 日(金) ,6 日(土)(2 日間) (中止) 場所: ララオカヤ・テクノプラザおかや(岡谷市) 対象: 信州大学学生 主催・共催:京都大学学術情報メディアセンター喜多研究室,信州大学 SVBL,諏訪産業集積研究セン ター(SIARC) 参加者: 0名 15)アントレプレナーシップ講演会 森・山・川・湖.豊かな自然に恵まれた信州は,アウトドア・アクティビティにも絶好のフィールド である.世界最高のクライマーに与えられるピオレドール賞を受賞した登山家であり,職業山岳ガイド でもある花谷泰広氏をお迎えして,アウトドア・アクティビティをなりわいとするキャリア・スタイル についてお話しいただいた. 日時: 2016 年 2 月 9 日(火)10:00~11:00 場所: 松本キャンパス理学部 12 番教室 講師: 花谷泰広氏(First Ascent 山岳ガイド) タイトル: 登山を仕事にするということ 対象: 信州大学学生・教職員,一般 参加者: 22 名(うち一般 6 名) 16)起業家座談会 昨年 9 月に開催された「信州ベンチャーコンテスト 2015」の起業部門で, 「犬の幸福度プラットフォ ーム:犬パシー」というテーマでグランプリを受賞した山口氏は,愛犬家として,犬の情動をよりよく 理解するための技術を開発したいと考え,独学で犬の気持ちの見えるセンサーを開発し,解析ロジック を研究してきた.山口氏の発明した「犬パシー」を紹介していただきながら,発明すること,その発明 から価値を生み出すことについてお話いただいた. 日時: 2016 年 2 月 16 日(火)16:30~18:00 場所: 上田キャンパス SVBL 棟 406 室 講師: 山口譲二氏(株式会社イヌパシー 代表取締役) タイトル: 新しいキャリアとしての「発明家」を考えよう 対象: 信州大学学生・教職員,一般 参加者: 4 名(うち一般 1 名) 6 17)SEM 写真コンテスト 日々の研究の一コマにある美しく,アーティスティックな顕微鏡写真.装置をより多くの学生に知っ てもらい,さまざまな現象や生物,材料などに興味を持つきっかけとなればという目的で,ミクロの世 界を表現する走査型電子顕微鏡(SEM)の写真コンテストを開催した. 募集内容: 走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影した写真(加工してもそのままでも可) 部門: ・原画部門 募集期間: 2015 年 7 月 14 日~11 月 30 日 作品掲示: 2015 年 12 月 1 日~12 月 25 日 ・アート部門 優秀賞発表: 2016 年 1 月初旬 (一般投票受付)上田キャンパス講義棟1F ロビー 上田キャンパス SVBL 棟にて発表 優秀賞受賞者には賞状と副賞を授与 審査員: SVBL SEM 写真コンテスト選考委員会 対象: 信州大学学生・教職員 参加賞: 自分の作品をプリントしたオリジナルエコバッグ 関連セミナー:SEM 体験講座,画像編集ソフト GIMP 講座 応募件数: 30 点 審査結果: 【原画部門】 優秀賞(一般投票) 森本周也さん(理工学系研究科繊維・感性工学専攻1年) 作品タイトル「枝晶」 優秀賞(選考委員会選考) 東城幸治先生(学術研究院理学系生物科学領域 准教授) 作品タイトル「カブラハバチ中脚の腿節-頸節の関節」 「枝晶」 【アート部門】 優秀賞(一般投票) 市川左近さん(繊維学部応用生物科学系 2 年) 作品タイトル「あんぐりドラゴン」 優秀賞(選考委員会選考) 土屋摂子さん(繊維学部技術部職員) 作品タイトル「パッチワーク」 「カブラハバチ中脚の腿節-頸節の関節」 「あんぐりドラゴン」 「パッチワーク」 7 2.展示会・学会見学ツアー SVBL が掲げる「アントレプレナーシップ向上プログラム」 (平成 27 年度戦略的経費)の一環で,展 示会参加を通じて自主的に学ぶプログラムを計画し,学生のアントレプレナーシップを向上させる目的 で,下記の展示会等の見学ツアーを行った. 1) 第 8 回大学は美味しい!!フェア 見学会 大学の研究や地域との連携で生まれた商品が一堂に介するフェア 会場:高島屋新宿店 11 階催会場 実施日:2015 年 5 月 30 日(土) 参加者:1 名 2) JASIS 2015 アジア最大級分析機器・科学機器専門展示会 主催:日本分析機器工業会,日本化学機器協会 会場:幕張メッセ国際展示場 実施日:2015 年 9 月 3 日(木) 参加者:4 名 3) SCAN TECH 2015 「試料内部構造を観る! ~断面作製テクニック 基礎技術から 最新技術まで~」をテーマに開催 主催:日本顕微鏡学会 走査電子顕微鏡分科会 会場:東京都市大学世田谷キャンパス 実施日:2015 年 9 月 11 日(金) 参加者:5 名(P-DEX) 4) 諏訪圏工業メッセ 2015 長野・諏訪から 『ものづくり』の情報発信を具現化する展示 会(主催:諏訪圏工業メッセ実行委員会) 会場:諏訪湖畔 諏訪湖イベントホール 実施日:2015 年 10 月 16 日(金) 参加者:5 名(小西研究室) 8 5) 東京農工大学科学博物館見学会 学術的価値のある繊維関連の多くの資料の展示や,農工大で行わ れている研究活動の紹介を見ることで,今後の研究に役立てた. 日時:2015 年 11 月 28 日(土)8:00~19:00 (見学 12:00~15:30) 場所:東京農工大学科学博物館(東京都小金井市) 交通手段:貸切高速バス 参加費:無料(食事は各自負担) 参加者:12 名 共催:信州大学 COC 事業 6)アイデアコンテスト観覧ツアー <EDGE INNOVATION CHALLENGE COMPETITION 2016 Day2 プレゼンテーション> 科学技術と人間視点でイノベーションを起こす実践型アイデアコン ペティション(主催:文部科学省) 日時:2016 年 2 月 28 日(日)13:00-18:00 場所:虎ノ門ヒルズ 4F ホール B 参加者:2 名 7) サイエンス・インカレ 見学 学生による自主研究の祭典(主催:文部科学省) 日時:2016 年 3 月 5 日(土)6 日(日) 場所:神戸国際会議場(兵庫県神戸市) 参加者:1 名 8) アイデアコンテスト観覧ツアー <起業家甲子園> ICT を用いて自ら開発した商品・サービスを,アントレプレナーシップ魂を込めたプレゼンテーショ ンにより競い合うビジネスコンテスト(主催:総務省) 日時:2016 年 3 月 8 日(火)13:00-18:00 場所:コクヨホール(東京・品川) 参加者:2 名 9 3. 機器エキスパート(P-DEX)養成事業 分析機器エキスパート (P-DEX)は,SVBL が保有する分析装置の中から学習したい機器を学生自 身が選択し,その機器について操作技能を習得するため学生自らが学習計画を立案し,技能を獲得する という取り組みである.特徴としては,上位の技能レベルを有する学生が下位の学生を指導するという Peer 教育( “教えることで学ぶ” )を実践している点である.2006 年に組織を立ち上げてからこれまで 120 名以上の学生が参画し,本取り組みで得られたデータにより学術論文が学術誌に掲載されるなどの 成果を上げている(2009 年度信州大学功労賞受賞) .また,本取組みは平成 26 年度,27 年度の学内版 GP に採択され,サイエンス・インカレの見学や,機器の体験講座を実施して各学部から多くの参加者 を得るなどして,より多くの学生に機器の利用を促している. 【活動内容】 ①100 時間以上のグループ学習活動 ②学習計画(機器の動作原理と機器操作の勉強会)を立案・実行 ③定期ミーティングの開催 ④学習・ミーティング記録の提出 ⑤機器の活用 ⑥機器技能レベル実技審査の受験 ⑦成果報告会における学習成果の報告 ⑧最終報告書(測定データも含む)の提出 【月度報告会開催】 日時・場所 4 月 30 日(木) 18:00~19:00 SVBL 棟 406 室 5 月 26 日(火) 18:00~19:00 SVBL 棟 406 室 6 月 23 日(火) 18:00~19:00 SVBL 棟 203 室 内容 ・今年度の活動について ・SVBL 主催イベントの紹介 ・外部コンテストの支援 ・目的・目標の設定 ・名簿・メーリングリストの確認 ・ひと・ものづくりプロジ ェクトの単位確認 ・SVBL 棟の使用法について ・月度報告会,新体制の報告(司会進行:P-DEX,議事録作成:モック) P-DEX,モック,ArkOak,桑まるごと活用塾,共創デザインラボ ・自己紹介 ・月度報告 ・名簿・メーリングリストの確認 ・ひと・ものづくりプロジェクトの単位確認 ・SVBL 棟の使用法について ・研究のすすめ方について ・諸連絡(ふしぎ・なるほど・おもしろサイエンス, 青少年のための科学の祭典,JA 松本主催科学イベント,動画制作ワークショップ, サイエンスインカレ) ・自己紹介 ・月度報告 ・名簿・メーリングリストの確認 ・ひと・ものづくりプロジェクトの単位確認 ・SVBL 棟の使用法について ・研究のすすめ方について ・諸連絡(ふしぎ・なるほど・おもしろサイエンス, 青少年のための科学の祭典,JA 松本主催科学イベント,動画制作ワークショップ, サイエンスインカレ) ・月度報告 ・青少年のための科学の祭典について ・松本の科学教室について ・JASIS,ScanTech について ・諸連絡 8 月 6 日(木) 15:00~16:30 SVBL 棟 203 室 10 月 27 日(火) ・月度報告 18:00~19:00 ・諸連絡 ・P-DEX 技能検定について 10 ・サイエンスインカレについて SVBL 棟 203 室 1 月 7 日(木) 18:00~19:00 SVBL 棟 406 室 ・月度報告 ・サイエンスインカレについて ・諸連絡 【今年度参加人数】 12 名 【使用機器】 表面プラズモン共鳴測定装置(SPR,Biacore AB 製 Biacore X) 液体クロマトグラフ質量分析装置(LCMS,(株)島津製作所製 LCMS-2010A) 走査型電子顕微鏡(SEM,日本電子(株)製 JSM-6010LA) 【技能検定】 機器ごとに技能レベルを設定 (Ⅳ-1 別紙資料 1 参照) 初級: 分析装置の取扱が可能であり,測定原理を理解している. 中級: 高度な分析技能を持ち,初級者に対して基本技能の指導ができる. 上級: 分析経験が豊富で,学内教職員や学生に対しての技術指導ができる. 液体クロマトグラフ質量分析装置(LCMS) 11 月 27 日(金) (初級) SVBL201 室 審査員:中西弘充(SVBL 助教) ,掛川恵子(SVBL 技術補佐員) 表面プラズモン共鳴測定装置 (SPR) 11 月 16 日(月) (中級)SVBL 棟 201 室 審査員:森脇洋(繊維学部教授) ,土屋摂子(繊維学部技術職員),中西弘充,掛川恵子 走査電子顕微鏡(SEM) 11 月 16 日(月) (中級)11 月 17 日(火)(初級) SVBL 棟 201 室 審査員:中西弘充,掛川恵子,土屋摂子 【修了者】10 名 液体クロマトグラフ質量分析装置(LCMS) (初級)応用化学課程 3 年 桑原 聖 生物機能科学課程 2 年 市川左近 生物資源・環境科学課程 2 年 白川美徳 表面プラズモン共鳴測定装置(SPR) (中級)生物機能科学課程 3 年 足立晴彦 走査型電子顕微鏡(SEM) (中級)バイオエンジニアリング課程 3 年 柴田 誠 応用化学課程 3 年 乾 滉平 (初級)生物機能科学課程 2 年 市川左近 生物資源・環境科学課程 2 年 難波広樹 バイオエンジニアリング課程 2 年 新井宏明 機能高分子学課程 2 年 浪江裕史 11 P-DEX の概要と活動報告 繊維学部 生物機能科学課程 3 年 足立晴彦 1. P-DEX とは P-DEX(Project Device Expert)とは,分析機器のエキスパートになることを目標にしている団体で ある.P-DEX では,主に SEM(走査型電子顕微鏡)・SPR(表面プラズモン共鳴測定装置)・LC/MS (液体クロマトグラフィ)の3つの分析機器を扱っている.機器毎にそれぞれ研究テーマを決め,テー マを進めていく中で実験技術や知識を身につけることができる.P-DEX では研究に興味がある人,な にか大きなことに挑戦したい人が集まり,楽しく分析機器について学んでいる. 2. 活動内容 昨年度に引き続き,SEM 班・SPR 班・LC/MS 班と分析機器毎に分かれて活動を行った.夏休み前ま では,勉強会を開きそれぞれの分析機器の原理や使用方法について学んだ.しっかりと機器について知 識を身につけた後,実際に上級生の下で実験を行った. 基本的にそれぞれの班ごとで活動を行っていたが,1 ヶ月に 1 回程度 P-DEX 全体で集会,報告会を 行った. 外部への取り組みとして,分析機器展 JASIS への参加,青少年のための科学の祭典への参加を行っ た. 3. 活動で得られたもの 様々な分析機器を扱うことができ,知識・技能を身につけることができた.専門分野以外の機器も扱 うことができ,視野を広げることができた.機器毎でテーマに沿って実験を行うことで,問題に対する 解決能力を養うことができた. P-DEX 全体で集まり,先生方・メンバーと話をすることで科学のおもしろさを再認識することがで きた. 分析機器展など外部での展示会に行くことで,企業の方と話をすることができ,貴重な経験となった. 青少年のための科学の祭典では,子供たちに伝える・教えることで,人にわかりやすく伝える練習をす ることができた. このように,分析機器に関する知識・技術だけでなく,幅広い知識・技術を身につけることができた. 4. 今年度の課題 昨年度は P-DEX の成果報告会やサイエンスインカレなど,外部への発信が多かったのに対し,今年 は P-DEX の成果を外部へ発信する機会が少なかったことが課題である. 来年度の始めに,P-DEX の成果報告会を開きたいと考えている. 5. 所感 今年度の P-DEX の活動は P-DEX 内での各機器班同士のつながりに力をいれてきた.集会の開催や 外部のイベントへの参加により異なる班員の話を聞くことができ,互いに刺激を受けサイエンスに対し てさらに興味を持つことができた.一方,課題でもあったように,昨年度の活動で力を入れていた活動 成果の外部への発信という点が悔やまれる.これからは内での活動,外での活動のバランスを大事にし ていきたい. 12 液体クロマトグラフ質量分析装置(LCMS) 繊維学部 応用化学課程 3 年 桑原 聖 繊維学部 生物機能科学課程 2 年 市川左近 繊維学部 生物資源・環境科学課程 2 年 白川美徳 1. 研究目的 身近な題材であるコーヒーに着目し,コーヒーの入れ方の違いによりコーヒー中のカフェインおよび クロロゲン酸の濃度がどのように変化するかを調べる.またカフェインおよびクロロゲン酸の濃度が実 際の味覚といかに関連しているのか調査する.この研究を通して液体クロマトグラフ質量分析装置の原 理を理解し,その基本的な操作方法を習得する. 2. 実験 2 種類のコーヒー豆を用意し,それぞれについて 60 度と 90 度のお湯で抽出を行い,サンプルを作成 した.サンプルを希釈し,フィルトレーションした後に LCMS を用いてそれぞれのサンプルに含まれ る,カフェインおよびクロロゲン酸の濃度を測定した.また 16 人の方にご協力を頂き,サンプルを苦 い,酸っぱさ,おいしさ,飲みやすさの 4 つの観点で官能試験を行った. 3. 結果 サンプルを測定した結果,ピークが検量線にのらず,サンプルに含まれるカフェインおよびクロロゲ ン酸の濃度を得る事が出来なかった.またクロロゲン酸ではピークが 2 つに割れてしまった. 官能試験の結果は以下の通りであった. ・ 苦さ キリマンジャロ 90℃ > モカ 90℃ > キリマンジャロ 60℃ > モカ 60℃ ・ 酸っぱさ キリマンジャロ 90℃ > モカ 90℃ > キリマンジャロ 60℃ > モカ 60℃ ・ 美味しさ モカ 90℃ > キリマンジャロ 90℃ > モカ 60℃ > キリマンジャロ 60℃ ・ 飲みやすさ モカ 60℃ > キリマンジャロ 60℃ > モカ 90℃ > キリマンジャロ 90℃ 4. 今後の課題 サンプルのピークが正確に得られなかった原因を究明するため,サンプルの保存方法や濃度が適切で あるか試験を繰り返し行う必要がある. 今回の実験ではペッパードリップでコーヒーをいれた.しかしこの方法では抽出時間やお湯の量,お 湯の注ぎ方の点で再現性がない.また官能試験もその都度サンプルを調整したため,最終的な温度が変 わってしまい評価が分かれると考えられる.再現性のあるコーヒーの抽出方法を確立し,コーヒー豆の 種類,抽出温度の点でサンプル数を増やし,評価していく. 5. 所感 機器を実際に扱うまでに時間がかかってしまい,本実験について十分な時間を確保する事が出来なか った.機器の基本的な原理や実験の難しさを学ぶ事が出来たため,来年度は実際に LCMS を操作する 時間を増やし,実験を行っていきたい. 13 表面プラズモン共鳴測定装置(SPR) 繊維学部 生物機能科学課程 3 年 足立晴彦 1. 研究目的 アセチルコリンは神経伝達物質であり,神経刺激を末梢に伝える働きをする.アセチルコリンの過剰 な存在・不足どちらも体内に悪影響がでる.アセチルコリンエステラーゼは体内に存在する酵素であり, アセチルコリンを分解することで過剰な神経刺激の伝達を防止している.このアセチルコリンエステラ ーゼは有機リン系の農薬や農薬によって阻害されることがわかっている.本研究の目的は,アセチルコ リンエステラーゼと農薬の相互作用を,SPR 測定装置を用いて測定し,体内の農薬の動態を予測するこ とである. 2. 実験 SPR を用いてのアセチルコリンエステラーゼと有機リン系農薬(アセフェート)の相互作用測定は, 繊維学部森脇研究室の協力のもと行った.森脇研究室では,アミンカップリングという手法を用いてア セチルコリンエステラーゼを測定場所であるセンサーチップに固定化することで,測定が行われていた. 一方,P-DEX では,より簡便な方法である His タグ付きアセチルコリンエステラーゼを用いた固定化 法でも同様の結果がでるのかどうかを検討した. 3. 結果および成果 His タグ付きアセチルコリンエステラーゼを用いた固定化法では,アミンカップリング法とは異なり, 相互作用の測定をすることができなかった.この原因としては,His タグによる固定化とアミンカップ リングによる固定化ではアセチルコリンエステラーゼの立体構造が異なることが考えられるが,実験数 が少ないため,検討が必要である. 4. 今後の課題 His タグによる固定化法での相互作用測定ができなかった原因の究明と改善を行いたい.また,SPR では,結合定数・解離定数を求めることができるので,それらの定数から,アセチルコリンエステラー ゼと農薬の体内での反応の挙動を予測することを目標としている. 5. 所感 後期からの研究室配属により,P-DEX の活動のための時間をなかなか確保できず,年度内にはっき りとした成果をだすことができなかった.これからは,コンスタントに時間を確保して様々なことに挑 戦していきたいと思う. 14 走査型電子顕微鏡(SEM) 繊維学部 応用化学課程 3 年 乾 機能高分子課程 2 年 滉平,バイオエンジニアリング課程 3 年 柴田 誠 浪江祐史,バイオエンジニアリング課程 2 年 新井宏明 生物機能科学課程 2 年 市川左近,生物資源・環境科学課程 2 年 難波広樹 1. 活動目的 走査型電子顕微鏡(SEM)装置の測定原理の学習と撮影した SEM 画像の加工の応用. 2. 活動計画 1)SEM の原理と基本操作の学習 2)EDS(エネルギー分散型 X 線分光器)による元素分析 3)様々な観察方法の実践 4)画像編集ソフト(GIMP)の講習会への参加と SEM 画像の着色 5)3D プリンタを用いた SEM 画像の立体化 6)SCAN TECH への参加 3. 結果および成果 ・ 今年度から加入した班員が各自で機器の立ち上げから観察までの操作方法を身につけた. ・ 画像編集ソフト(GIMP)の講習会に参加し,着色の技術を身につけた. 自分たちで撮影した SEM 画像の着色に挑戦し,学内で行われている SEM 写真コンテストに出展した. 3D プリンタを用いて SEM 画像の立体化に取り組んだ.SEM 画像のコントラストを利用して, ・ 観察した物質の凹凸を立体化として表現した.課題は残るものの,表面の構造の立体化に成功し た. ・ 顕微鏡学会主催の SCAN TECH に参加し,研究発表を聞いた. SEM についての最新の観察方 法や技術に触れた. 4. 今後の課題 ・ 昨年度に続き,SEM 画像の着色に取り組んだ.今年度は着色の技術を身に付けるだけでなく, 着色した SEM 画像を SEM 写真コンテストに出展し,外部に活動の成果を報告する機会を作る ことができた.今後も身につけた技術を外部に発信する活動を続けていきたい. ・ 今年度は昨年度から考えていた SEM 画像の立体化に,3D プリンタを利用して,取り組んだ.ハ スの葉やバラの花びらといった表面の構造の凹凸がはっきりとしたものについてはある程度の 立体化に成功したが,構造が複雑なものについてはうまく表現することができなかった. 5. 所感 今年度の活動では,3D プリンタによる SEM 画像の立体化や SEM 画像の着色といった画像加工 の応用に挑戦することができた.技術を身に付けるだけでなく,活動を通して,新しい発見に取り 組んだり,活動の成果を外部に発信したりして,活動の幅を広げることができたと思う.今後は, これに止まらずサイエンスインカレなど外部に活動を発信する場を増やしていきたい. 15 4. 機器講習会 教職員・学生の研修及び P-DEX の教育,SVBL 設置の測定機器の有効利用を図るため,下記機器に ついて講習会を実施した. 実施日 4 月~6 月 実施場所 機器名・講習名 講師 透過型電子顕微鏡 JEM-2100 実技講習 総合研究棟 1 階新 TEM 室 (初心者講習) 技術部 篠塚,伊藤,中村 氏 5 月 11 日 (月) , 3D プリンタ講習会 SVBL103 室 12 日(火) 技術部 5 月 18 日(月) 液体クロマトグラフ質量分析装置 SVBL201 室 LCMS-2010A メーカー講習会 参加人数 39 名 2名 市川氏 12 名 島津製作所製担当者 5 月 25 日 (月) , 透過型電子顕微鏡 JEM-2100 メーカー講 総合研究棟 1 階新 TEM 室 26 日(火) 習会 日本電子(株)村田 氏 27 日(水) 座学講習 実技講習 6 月 9 日(火) ラマン分光装置メーカー講習会 Kaiser 社製 Hololab5000 SVBL201 室 23 名 22 名 ST ジャパン担当者 7 月 7 日(火) ガスクロマトグラフ分析装置 GC-2014 メー SVBL201 室 12 名 島津製作所製担当者 カー講習会 12 月 2 日(水) オリンパス実態顕微鏡用ソフト CellSens メーカー講習会 SVBL201 室 5名 オリンパス担当者 12 月 4 日(金) 空間電荷装置 PEANUTS メーカー講習会 SVBL201 室 5名 ファイブラボ㈱担当者 2016 年 2 月 16 三次元計測装置バージョンアップ説明会 SVBL402 室 日(火) 全身解析ソフトウェア 3D Measure 浜野エンジニアリング担当 Workshop 説明会 者 ・走査電子顕微鏡(日本電子 JSM-6010 LA SVBL201 室 随時 In Touch Scope)操作指導 5名 73 件 掛川 SVBL 技術補佐員 18 件 ・ラマン分光装置 操作指導 7件 ・μEDX 操作指導 ラマン分光装置講習会の様子 16 5. 研修支援 若手研究者が研究テーマを起業化へ結びつけることを目指して,実用化に向けた研究の展開や,起業 化の方策を探ることを目的とした,海外や国内の大学・研究所等の関連機関での研修を支援する. 1) 研修支援内容 本年度は下記 1 名の海外研修に対して,旅費・滞在費の支援を行った. 氏名 Yan Yougjie 所属学年 修士課程 理工学系研究科 研修先 研修期間 2015 年 11 月 15 日~ イギリス 機械・ロボット学専攻 1 年 マンチェスター大学 2016 年 3 月 15 日 2)海外研修者報告(1) 氏名 田島和弥(修士課程 理工学系研究科 繊維・感性工学専攻 2 年) 研修期間 2014 年 5 月 1 日~2015 年 2 月 28 日 研修先 ノースカロライナ州立大学(アメリカ) 受入担当者氏名 Prof. Trevor J. Little 調査研修題目 ジーンズの着心地に関する研究 ◆ 研修目的 現在修士論文のテーマとなっている研究の課題解決および研究の事業化のため,人種や生活文化の違 いによるジーンズのイメージまたは着心地の違いを明らかにする.その目的を成し遂げるため,世界最大の経済 規模をもち,世界有数の多民族国家であるアメリカで,以下の 3 点を習得する. ・ 市場調査方法(本研修の対象はジーンズ) ・ 収集した市場データの分析方法 ・ 海外での官能検査のアプローチ方法 研修概要 私はノースカロライナ州立大学の繊維学部にて,Dr. Trevor J. Little の指導を仰ぎながら,ジーンズの着心地に関する研究を 行った.まず,アメリカに到着次第,Dr. Little と実験計画に ついて議論を行った.Dr. Little はこれまでに衣服のパターン メイキング,ナノファイバー,生理量計測,マーケティングと ノースカロライナ州立大学繊維学部の キャンパス 多方面に渡り研究をされている.そこで,現在修士論文のテー マとなっている研究を更に実用的な内容へと発展させるために,まず信州大学での研究では行っていな かったマーケティングの分野に関する研究を Dr.Little の指導の下取り組むことになった.そして,そ の研究結果をもとに実験試料の選定および実験条件の決定等を行い,私が信州大学で行っていたジーン ズの着心地と衣服圧に関する研究を行うこととなった.そして,被験者の性別は,信州大学での研究は 男性だったため,アメリカでは女性を対象に行うこととなった. 17 一つ目の実験として,インターネット(Facebook)を使用した市場調査を行なった.この市場調査の 目的としては,アメリカに住んでいる消費者のジーンズに対する嗜好,イメージ等を理解し,さらに最 も人気のあるジーンズブランドとシルエットを把握することであった.まず市場調査の対象(人種,年 齢,性別. . .etc.)について議論を行った.日本では男性,アメリカでは女性を対象として研究を行う ので,対象の性別は男女問わないことになった.そして 15 歳以上を市場調査の対象年齢とした.その 理由として,アメリカでは 15 歳は高校入学の年齢にあたり,その年齢からジーンズの購入を自分の嗜 好などに基づいて行うと我々は仮定したからである.また,アメリカは多民族国家であり,様々な国の 消費者が混在しているため,対象とする人種は問わないことにした.次に,市場調査の内容について議 論を行った.留学期間を考慮した結果,市場調査を行う回数は 1 回のみという結論に至ったため,必要 なデータを一度に全て収集する必要があった.しかし,市場調査の質問内容の量が多いと,被験者が市 場調査を最後まで協力しない可能性があったため,そこで,Dr. Little と議論となった.Dr. Little は市場調査の経験や知識も豊富だった為,どの程度の量までが被験者の負担にならない,どの様な質問 の順序が適切かなどの指導を彼から仰ぐことができた.結果として,市場調査の被験者数は最低数は達 成し,人気のあるシルエットやブランドを知ることができたが,被験者数の目標値を達成することがで きなかった.その原因として The Institutional Review Board(以下 IRB)という組織による制約が考 えられる.実験に被験者を使用する場合,IRB の承認を得る必要があり,被験者への Consent form の提 示などが義務と課される.市場調査の際にも Consent form を質問内容の最初に提示する必要があり, その Consent form の内容が過多であったため,多くの被験者が Consent form の時点で市場調査への参 加を諦めたと考えられる.実際にアンケートに参加した知人などから,Consent form についての指摘を 受けた.しかし,Dr. Little の話によると,アメリカでは,被験者を使用するために IRB の承認,Consent form の提示の義務といったシステムは,ごく一般的なものであるらしい.今後アメリカで,市場調査を 行う際には,このシステムを考慮し質問内容などを作成することが必要であると感じた.また,この IRB の承認を得るのには,申請書を提出してから 2 ヶ月程度時間を有し,承認を得るまで実験を開始するこ とはできない.この時間の問題も今後考慮すべき問題である. 次に官能検査方法と衣服圧測 定方法に関して,Dr. Little と 議論を行った.信州大学でこの 両測定を行った際は,被験者の 負担も考慮し複数回に分けて行 った.しかし,Dr. Little によ ると,被験者につき 1 回あたり 1 時間以内の計 2 回で行う必要が あった.理由としては,アメリ 普段使用していた room 3412 3D ボディスキャン カ人などは,各自が面倒に感じたりした時点で連絡もなしに実験の参加をやめる事が多々あるからだ. 実際に外が寒いという理由で被験者が実験に参加しなかったこともあった.日本では,面倒という理由 だけで連絡なしに参加をやめる被験者はほとんどいないため,必要な実験量を適切な量および回数に分 けることができた.結果として,最低限のデータ収集の為の実験内容で行うこととし,どの様に行えば 被験者が途中でやめることなく参加することができるかを第一に念頭に置きながら測定方法などを考 案した.日本人の被験者を使用する場合は,常識の範囲の実験量で収めさえすれば,後はどれだけ自分 の必要なデータを正確に収集すればいいかを考慮するだけであり,それがどれだけアメリカと比べて容 18 易であるかを実感することができた. 上記の様にアメリカで被験者を用いて実験 を行ったが,いくつも日本と異なる点を発見す ることができた.また,アメリカでは,いろん な場面において,何かの証明や承認を得る必要 性が日本以上にあると感じた.自分の主観的な 意見ではあるが,日本人の「生真面目で責任感 3D プリンター がある」国民性と,アメリカ人の「自分達の気 実験の様子 (官能検査) 持ちに素直に行動する」国民性があまりにもかけ離れているのが要因だと考える.実際に複数の知人 (ESL のクラスメイトや NCSU の教授)から,「日本人は約束を守り,なおかつ賢い」と言われたことが ある.そのため日本よりアメリカの方が,身分証の提示,書類の提出など様々な場面において日本より 厳しいと感じた.この様に,今回の留学において,アメリカでは日本と同様に実験を行うことができず, 様々な点に留意する必要があることを実際に体感することができた.現在データを解析中の為,本報告 書で結果を報告することができないが,興味深い結果が得られたのではないかと感じている. 活動体験談 a) 研修先における就労・教育システムの新たな知見 日本とアメリカの大学でいくつか大きく異なる点が見られたが,主に以下の 2 つが大きく異なってい ると感じた.1 つ目として,学生の普段の授業に対する姿勢である.アメリカでは,授業の「成績」が, 進学や就職に非常に大きな影響をもたらす.その上,一週間あたりの授業時間,宿題,課題,または中 テストなどの量が日本の大学と比べて多いように見られた.そのため,多くの学生は日々の勉強を日本 の学生よりも真面目に取り組んでいるように見られた.そこには,先程述べたように成績の重要度の違 いによるものであるが,その要因となるものが他にも見られた.それは授業の選択肢の多さである.日 本では学部や学科によって選択できる授業はある程度決めれられている(1 年時の一般教養のクラスを 除く)が,アメリカでは様々な学部の授業もしくは学年レベルの授業を選択することができる.そのた め,アメリカの学生は日本の学生よりも各々が興味のある授業に参加することができ,またスケジュー ルの自由度も高い様に見られた.よってアメリカの方が日本よりも意欲的に授業に取り組めるシステム なのではないかと考える.2 つ目の違いとして,PhD の学生の割合である.信州大学では博士課程に進 む学生はまれであるが,アメリカでは多くの学生が博士課程まで進み,PhD が存在がより一般的な存在 であるように感じられた.その背景としては,「学位」の扱い方の違いである.私の主観ではあるが, 日本では学位も重要であるが,大学のネームバリューがより大きな影響力を持っていると感じている. しかし,アメリカでは,学士よりも修士,修士よりも博士と明確に就職時のアドバンテージに違いがあ るようだ.そのため,多くの学生が修士もしくは博士の学位の取得に励んでいる. b) 研修先で印象に残った事柄(所属大学との比較など) 信州大学と比べた場合,施設の規模の違いが顕著にみられた.ノースカロライナ州立大学の図書館は 2 つあり,各キャンパスそれぞれに 1 つずつある.特に,センテニアルキャンパス(工学部系のキャン パス)の Hunt library は,私が今まで見た図書館の中で最も魅力的な図書館であった.各フロアには座 り心地がよい椅子がいくつもあり,3 階には壁に自由に書き込みができる独創的な勉強スペースや 3 デ ィスプレイのパソコン,4 階には多くの 2 ディスプレイの Windows のパソコンや Mac のパソコン,1 19 階にはカフェ,5 階には外を見渡せるテラスといった勉強を 快適にすることができる環境が整っていた.説明すればきり がないほどいろんな設備があり,多くの学生が利用していた. また繊維学部の建物にも最新の 3D ボディスキャン,三次元 編み機,3D プリンターなど,自分の学科の部屋だけでも多 くの最新機器がみられた.この様に施設の充実さもまた,学 生の勉学に対するモチベーションをあげる大きな要因なの ではないかと考える. 左上 Hunt library の外からの様子/右上 2 階の様子/ 左下 3 階にある休憩に適し た椅子/ 右下 3 階にある壁に自由に書き 込みができる勉強スペース c) 後輩へのアドバイス (i) 研修先で活動を行うに際して注意する事柄 Cashier’s office や housing office など大学にも様々な office があり,何かしらの理由でメールもしくは直接どこかの office に尋ねることはあると思うが, office によって親切さも仕事の丁寧さも全く違うことを注意しなければならない.メールで尋ねた場合, ある office は自分達の仕事の内容を把握していないのか,それとも面倒になり適当に対応をしたのか わからないが,自分達の仕事を他の office にたらい回しにすることが多々ある.一番いいのは直接 office を尋ねる形が一番スムーズに事が進むと思われる. 特に金銭的な問題には,慎重に取り組むべ きである.私の周りの何人かの友人も,明らかに大学側の過失であるにも関わらず,金銭的な問題にし っかり対処してもらえず,問題解決までに時間を有していた. (ii) 事前に必要な調査や準備について どの指導教員の下でどのような研究ができるのかを明確に確認する必要がある.私の使用した留学プ ログラムは,自ら教授にコンタクトをとり,受け入れ先を決める形となるので,留学の内容は,指導教 員にすごく依存する.よって,受け入れ先を正式に決定する前に,自分自身が必要とする条件を満たす ことができるのかどうかを明確にする必要がある.また,私が所属することになった Textile and Apparel, Technology and Management には,研究室の学生部屋というものが存在しなかった為,同じ研 究室に所属する学生との交流は多くなかった.そのような情報も事前に入手できるのであれば,入手し たほうがいいと思われる. (iii) 研修先での生活について キャンパス内のアパートに住んでいたが,私が住んでいた 寮は,4 人で 1 つのスイートルームを共有するタイプで,売店 やコンピュータラボ,ジムなどがあった.また,多くの学生 が同じアパート群に住んでいるため,スイートメートの友人 などがよく訪れたりと交流が盛んであった.また国籍を問わ ず親日家も時折いるため,いきなり日本語で話しかけられる こともあった.過ごしやすい環境ではあったが,夜に出歩く 際にはどこが危険なのかを把握しながら行動すべきである. 実際に留学期間中に何回かキャンパス内でナイフや銃による 強盗があったため,危険を回避するために細心の注意を払う べきである. (iv) その他 20 指導教員との写真 海外で生活することは,研究者としてだけでなく,一人の人間として成長することができるいい機会 である.知らない土地で母国語でコミュニケーションがとれない生活は非常に困難なものである.しか し,その生活を送ることで,自分で考え,自ら行動を起こすことができるようになる.また,日本を離 れて生活することで,「日本」という自分が生まれた国を客観的に見つめ直すことができ,日本は世界 中でどういう風に捉えられているかを知ることもできる.それを知ることが,私達が「日本人」として 海外で就職もしくは起業する場合の成功の 1 つの大きな鍵になると思われる. 3)海外研修者報告(2) 所属・学年 修士課程 理工学系研究科 機械・ロボット学専攻 1 年 氏名 YAN 研修期間 2015 年 11 月 15 日〜2016 年 3 月 16 日 研修先 マンチェスター大学 素材学部(イギリス) 受入担当者氏名 Professor Hugh Gong 調査研修 Electrostatic YONGJIE spinning preparation of graphene-based high performance electromagnetic shielding composites and their structure analysis 研修目的 In this research training, I plan to use silk fibroin (SF) as polymer matrix, and achieve natural distribution of oxidized graphene particles inside SF network through electrostatic spinning. In this process, I hope to proficiently manipulate electrostatic spinning and confirm relevant parameters, expecting to stably produce high performance composites which can be applied in electromagnetic interference (EMI) field. In order to develop new-type high performance electromagnetic shielding composites industry, I need to know about venture business knowledge. I am intended to learn venture business’s product development experiences from successful business cases in the School of Materials. In this way, I can obtain knowledge about fund raising, company establishment, and business operation. Through this research training, I expect to establish an effective experiment approach and master the product development processes of venture business. 研修概要 1. 緒言 In recent years, electromagnetic (EM) pollution from electronic devices has received much attention due to its damage to living/biological species. EM shielding materials are generally used to restrain the EM radiation into a certain workspace. On the basis of this conception, different EM shielding models have been designed and constructed, such as coating, and film. Latterly, graphene has been recognized to be potential in shielding or absorbing EM radiation owing to its unique properties, such as adjustable porosity, light weight, high conductivity, and resistance to corrosion. Therefore, it is worthy of deep investigation how to efficiently apply these materials to the practical EM shielding field. In consideration that plenty of electronic devices are sealed by packing shell, it is greatly significant to construct soft graphene film attached on the 21 surface of these shells as functional shielding component. SF has good mechanical property such as tensile strength, good flexibility, and resistance to most organic solvents. It could be used to carry filler graphene within the nanoscale range. Recently, I realized that fiber can act as good polymer matrix for loading functional nanoparticles due to its three dimensional network structure. Therefore, in this research, SF solutions with different amounts of graphene were prepared in order to produce SF fibers by electrostatic spinning. Good morphology and uniform size distribution are expected to be observed through scanning electron microscope. 2. 実験及び評価方法 2.1 Materials and Equipments Cocoons of B. mori silk worm silk, polyethylene oxide (PEO), lithium bromide (LiBr), oxidized graphene (GO), sodium carbonate, aluminum foil, Slide-a-Lyzer dialysis cassette (MWCO 3500), magnetic stirring apparatus, heating mantle, electrostatic spinning machine. 2.2 Preparation method 2.2.1 SF/GO Solution preparation Cocoons were boiled for 30 min in 0.02 M Na2CO3 aqueous solution and then rinsed thoroughly with distilled water to remove gluelike sericin proteins, followed by natural drying inside fume cupboard. Based on the weight of the extracted silk, a moderate amount of PEO was dissolved in 9.3 M LiBr aqueous solution to improve silk solubility. After dissolution, the silk was subsequently added. The suspension was stirred overnight for complete dissolution. This solution was dialyzed in pH 10 Na2CO3 aqueous solution by using dialysis cassette with 12 replacements in 48 hours. After that, the obtained clear solution was kept in 4 oC for electrostatic spinning use. 2.2.2 Electrospinning During electrospinning processes, as-prepared solutions were loaded into a 5 mL plastic syringe capped with a blunt needle as spinnerette. The syringe was pushed forward at 0.5 mL/h feed rate of solution. An electrode clip connected with high-voltage equipment was clamped onto the needle. Different high voltages ranging from 5 to 15 kV were applied to obtain a stable jet. Iron-made collecting screen covered with aluminum foil was placed at a fixed distance of 25 cm from the needle tip. For each set voltage, sample collecting on the surface of aluminum foil was lasted for 2 minutes. The whole preparation and drying process of as-spun nanofibers was conducted at room temperature in a glass container. 2.3 Characterization The electro-spun fibers were observed with a scanning electron microscope (SEM) (PHILIPS XL30 FEG-SEM, FEI Company, Hillsboro, USA). SEM images taken from the middle-upper areas on aluminum foil were used to measure the fiber diameter. The mean diameter of the fiber was calculated by using 50 measure points selected at proper intervals according to SEM image size. The ImageJ image analysis software (NIH, USA) was used to finally determine the mean fiber diameters. 22 3. 結果および考察 3.1 SEM characterization SEM was utilized to characterize the morphology and distribution of as-spun fibers. For improving spinnability, moderate amounts of PEO were added into the solution as a supporting polymer. As shown in Figure 1A-J, continuous fibers can be spun from both 0.1 and 1.0 wt % GO-included SF solutions under different voltages except for the 0.1 wt % GO-included SF solution at 6 kV (See Figure 1F). This is because low voltage resulted that the fibers spun could not reach the surface of aluminum foil, which is also demonstrated from a small number of fibers in Figure 1A. However, for even the same voltage, the fiber diameters changeable which can be seen from many figures such as Figure 1B and 1I. It is disadvantageous for effective electromagnetic shielding due to the leakage of the waves under different wave bands. This will be discussed more in Figure 3. Furthermore, there are not obvious graphene particles to be observed from Figure 1A-J. Therefore, it is potential to increase the graphene content inside fibers so that the shielding performance for this unique SFGO composite material can be enhanced further. Figure 1 SEM images of 0.1 and 1.0 wt % GO-included SFs under different voltage ranging from 6 Kv to 10 Kv. 3.2 Mean fiber diameter Figure 2 shows the SFGO fiber mean diameters under different voltage conditions. For both two SFGO solutions, the fibers under 9 kV show the smallest mean diameters, followed by the fibers under 8 Kv. From Figure 2, it can be expected that different fiber networks with controlled fiber diameters will be produced successfully by adjusting voltage to proper position in the following research on improving the electromagnetic shielding performance of inner graphene. Figure 2 Mean diameters of 0.1 and 1.0 wt % GO-included SFs under different voltage ranging from 6 Kv to 10 Kv. 23 3.3 Fiber diameter distribution Uneven fiber diameter will directly affect the shielding properties of this network structure composite material. For no GO, 0.1 and 1.0 wt % GO-included SFs, the fiber diameter distribution under the voltages ranging from 6Kv to 10 Kv are shown in Figure 3. It can be clearly observed that there are unified diameter distributions for all the samples mostly varying from 180 nm to 420 nm. This is attributed to the precipitation of the SF in the SFGO solution under low pH condition (about 10), resulting in unstable spinning at the needle tip. Thereby, higher pH environment has been considered to be applied in the further production of GOSF fibers. As a whole, the obtained 0.1 wt % GO-included SF under 9 Kv has more relatively narrow fiber diameter distribution which ranges from 190 nm to 250 nm (Figure 3B2). Although the GOSF under 8 kV shows narrow diameter distribution as well, distribution proportion is too average in the scope from 205 nm to 255 nm ((Figure 3B3). Therefore, 9 kV is thought to be the optimized voltage parameter. Because there is not obvious GO separation from the inner of fiber as described in Figure 1, it is analyzed that the oxidized graphite has good compatibility with SF. It is worth trying to increase the graphene content inside the solution to further confirm the diameter distribution of the spun fibers, although 1.0 wt % GO-included SF solution did not give a centralized diameter distribution as seen in Figure 3C2. Figure 3 Fiber diameter distribution of no GO, 0.1 and 1.0 wt % GO-included SFs under different voltage ranging from 6 Kv to 10 Kv. 4. 結論 In this research, continuous GOSF fibers can be spun from both 0.1 and 1.0 wt % GO-included SF solutions under different voltages ranging from 7 kV to 10 kV. Due to good compatibility of graphene with SF, it is potential to increase the graphene content inside fibers so that the shielding performance for this unique SFGO composite material can be enhanced further. Besides, higher pH environment has been considered to be applied in the further production of GOSF fibers in order to deal with the unified fiber diameter distribution. 9 kV is analyzed to be the optimized voltage parameter under which 0.1 wt % GO-included SF has 24 more relatively narrow fiber diameter distribution varying from 190 nm to 250 nm. It can be expected that different fiber networks with controlled fiber diameters will be produced successfully by adjusting voltage to proper position in the following research on improving the electromagnetic shielding property of inner graphene. 5. ベンチャービジネス After I came to the University of Manchester, I found that there is much interaction with business and external organizations. This extends to teaching, research, knowledge transfer and enterprise creation (as seen in Figure 4). The university will arrange regular opening days during which there are many instruction and explanation about different subject fields including venture investment business (Figure 4A). I participated in this activity, which gave me some inspiration. About the introduction of newly emerging products into market, it is a good way to join a strong combinatory, which can provide capital, management, resources, planning and other support to help enterprises to get started or bigger. Besides, we also have other various means to look for venture capital including internet search, attending meetings, direct-to-door, and so on. However, the most effective way is to be recommended by influential people. The university set up some venture capital funds varying from hundreds to thousands pounds. The students who have practical and feasible entrepreneurship programs can apply for these kinds of funds. One of my friends from the University of Manchester is a member of BREC, a social enterprise team with other PhD students, which serves the companies suffering from technique problems. They have ever applied one venture fund and presently they are actively promoting their services outside. Meanwhile, there are many business courses as well (Figure 4B). The university organized a number of industry-driven postgraduate research training programs, which find direct application in meeting the needs of business partners. There are also some products processing workshop for students to prepare their products (Figure 4C). Through the understanding or participation of these various activities, I think I have partially mastered product development routes and business strategies, which is helpful to my establishment of new-technique oriented company in the future. Figure 4 Left: business opening guidance, middle: business course, right: textile products processing workshop. 25 活動経験談 a) 研修先における就労・教育システムの新たな知見 ここで,学生と学校を中心に知見をまとめる.就労については,マンチェスターにはいろいろなサー ビス業種があり,アルバイトが探しやすく,時給が少なくとも6ポンドある.イギリスは EU メンバー であるが,他の EU 加盟国から来た学生達は,アルバイトの時間制限に限りのないイギリスでバイトを したいという話をよく聞いた.近年,イギリスの就労環境は厳しくなり,留学生が卒業後,当地または イギリスで正式な仕事を探せなかった実例が増えた. 教育については,多くの自国の大学生は,イギ リスに政府貸付で学費を納付している.この中には EU 加盟国の学生も含まれる.EU 以外の留学生は, より多くの学費がほぼ規定内で支払われる.イギリスの大学は,一般的に三年である.修士は一年間の みで,三学期に分けられる.前期と中期には,コースを中心とする.マンチェスター大学は,定期的な ゼミは少ないが,学生の意識があって,独自に問題に対応する能力が重視される.また,学生のプレゼ ンテーションスキルが強い.私の所属した研究室にはたくさんの博士の学生がいて,相互交流がよく見 られ,かなり有効な勉強手段といえる. b) 研修先で印象に残った事柄(所属大学との比較など) 壮大なゴシック建築が並び,賑やかな道がそこらじゅうにある.大学内には色々なカラーのレースが 見られ,国際的な大学であると感じた.図書館がとても大きく,多くの学習グループが小さな部屋で討 論したり,パソコンの前に座って文章をまじめに読んだりしてる場面をよく見た.パソコンがリモート 接続してあるため,どこで登録しても自分のデータを処理ことができる.また,学生間の交流が多く, 参考に値する学習モードといえる.研究経費に関しては,信州大学と比較すると,教員の下についてい る修士の学生達は,一定の経費を申請して別々に持ち,気をつけながら使うという話を聞いた. c) 後輩へのアドバイス (i) 研修先で活動を行うに際して注意する事柄 マンチェスターで,自分の指導教員に相談したいときは,予めメールで教員の都合のいい時間を予約 した方がいい.実験をやる前は必ず,学内の安全指導者に連絡を取り,安全訓練を受け,いくつかの必 要なフォームを記入して提出しないといけない.実験設備を使いたい場合,操作方法を知っていても, 事前に先輩に連絡した方がいい.機器の訓練を受けないと使えないし,もし自分で解決できない問題が 起こったら,先生や先輩に迷惑をかけるのではと心配しないで,丁寧に相談すべきである. (ii) 事前に必要な調査や準備について まず一番に言いたいことは,傘を持っていくということである.マンチェスターでは,雨が年間を通 してよく降る.防水性がよいコートも持っていった方がいい.また,風邪薬や解熱剤を少し携帯した方 が良い.マンチェスターへの直行航空便があまりないため,トランジット空港で受託荷物を受け取る必 要があるかどうか確認することを勧める.また,マンチェスターのホテルは宿泊費が高いため,出発す る前に先方の住居を確認することを勧める. (iii) 研修先での生活について マンチェスター大学は,ダウンタウンに近いため,通学路は歩行者が多く,賑やかな道となる.大学 に通う学生達とダウンタウンで働く社会人が主であると思う.私は,ハウスを借りて,他国の学生(ポ ーランドとパキスタンと南アフリカ)と一緒に住み,いろいろなことを交流して,楽しかった.英語で の交流については,地元のイギリス人は明らかなアクセントがあって,深く交流していくと少し聞き取 26 りが難しい時もあった.しかし,所属した研究室で先輩と毎日話し合うことにより,徐々にこのような 英語の雰囲気にも慣れた.また,マンチェスターでは,夜は安全のため外出しないほうがいい.治安が 少し悪く,時折強奪があったという話を聞いた.もしそのような事態に遭ったら,特に女性の場合は, お金を渡してしまうというのも賢い選択であると思う. (iv) その他 この研修を通して,マンチェスター大学で学生が研究を行う流れを経験した.製品の産業化を目指す 基本的な開発プロセスも分かった.いろいろな就労形式や教育制度,異文化を理解することができた. 最後に,SVBL のサポートのおかげでこの研修が実現でき,貴重な経験が得られた.心より感謝いたし ます. 27 6.共通教育講義「ベンチャービジネス概論」 平成 27 年度共通教育科目の授業として「ベンチャービジネス概論」を松本キャンパスにて開講した. 授業科目名: 法・政治・経済の諸相 授業題目名: ベンチャー・ビジネス概論 対象学生: 全学 1 年生 英文授業名: Introduction to Venture Business 授業担当教員:中西弘充(SVBL) 副担当教員: 小西 哉(繊維学系) ,桃井謙祐(社会学系),林 期間: 前期 曜日・時限: 水曜日・5 時限 受講者数: 50 名 靖人(地域戦略センター) 【授業の概要】 本授業では自らが会社をつくる(ベンチャーを起業する)ことに限定せず,研究室や就職後に企業の 組織に入って活躍する場面においても必要である,実践的なプロジェクト遂行に関する知識と能力を, グループワークで学ぶ.身近なところにある課題を見つけ,どのようにしたら解決できるかを考え,ど のように実行に移せるようになるかを計画する,課題解決型学習;PBL(Project Based Learning)を 実践した. 【授業内容】 (1)4/8「オリエンテーション」 (2)4/15「フロントランナー講演会(株式会社松本山雅 大月会長)」 (3)4/22「信州大学で活躍している学生団体の紹介・研究事例の紹介」 (4)5/1「プロジェクトマネジメントとは,プロジェクトの設定,協力企業の紹介」 (5)5/13「大学における知的財産とは,~知的創造サイクルを考える~(信州 TLO 篠塚氏)」 (6)5/20「社会に必要な能力を知る~【社会人基礎力】とは~,外部アイデアコンテストの紹介」 (7)5/27「グループの力で事業計画を作る:課題の発見【ブレインストーミング】他」 (8)6/3「グループの力で事業計画を作る:アイデアの整理【KJ 法】他」 (9)6/10「グループの力で事業計画を作る:戦略計画【SWOT 分析】他」 (10)6/17「グループの力で事業計画を作る:管理会計【損益分岐点】他」 (11)6/24「プレゼンテーション演習 1【プレゼンの構成】」 (12)7/1「プレゼンテーション演習 2【情報の可視化】」 (13)7/8「プレゼンテーション実習 前半」 (14)7/15「プレゼンテーション実習 後半」 (15)7/22「授業の総括」 28 1) ベンチャービジネス概論 特別講演会 2010 年の株式会社松本山雅の設立と同時に代表取締役社長に就任し,松本山雅 FC を支えてきた中心 人物である大月会長をお招きし,立ち上げから J リーグで躍動するに至った松本山雅 FC の成り立ちと 今後の成長戦略についてご講演いただいた. 日時: 2015 年 4 月 15 日(水)16:20~17:50 場所: 信州大学松本キャンパス 全学教育機構 第一講義棟 20 番講義室 対象: 信州大学学生・教職員,一般 講師: 大月弘士 氏(株式会社松本山雅 代表取締役会長) 演題: 未来への夢と感動へチャレンジ 参加者:70 名(授業履修者 50 名,授業履修者以外の本学学生・教職員 12 名,一般 8 名) 2)「社会人基礎力グランプリ」参加 ベンチャービジネス概論の授業で「くわとくるみのお菓子のパッケージデザイン」の課題において, デザイン思考に基づくパッケージ案を募集したところ,学生グループから提案があった.協力企業であ る上田市の株式会社柳澤と協議した結果,パッケージに採用された.採用された商品は信州大学の広告 承認を受けて 2015 年 12 月に販売開始となった.この活動について,「社会人基礎力育成グランプリ 2016」に SVBL 中西助教と共に「くわでくるみました!~ゼロからの社会人基礎力~」のテーマで応 募し,2015 年 12 月 6 日に拓殖大学で開催された関東地区予選大会に出場して奨励賞を受賞した. 学生グループ:渡部広機,斎藤悠介,山下愛,佐奈佳梨那 29 30 Ⅱ. ベンチャー創出支援事業 1. ベンチャー起業支援 SVBL は本学学生のベンチャー起業の支援事業として,ベンチャー起業を指向する下記学生団体に対 する助言,活動場所の提供などの支援を行った. 団体リスト 団体名 メンバー 活動内容 モック 9名 学生版 EMS (Electronics Manufacturing Service) ArkOak 7名 大学向けソフトウェア開発 共創デザインラボ 7名 絵本製作 AGRe:Bone 2名 豚骨ガラリサイクル 31 モック 修士課程 理工学系研究科 機械・ロボット学専攻 1 年 金田望, 青柳匡尚,北島一輝 繊維学部 機能機械学課程 3 年 渡邉智洋, 清田龍太郎, 岡村綱太 繊維学部 機能機械学課程 2 年 榊枝祐太,近藤晃弘,岡村悠太郎 1. 活動内容 電子技術開発を自前ではできない小規模企業の電子技術開発を受注することにより,当該企業の 技術開発・ビジネス展開・製品開発を支援する. 2. 活動報告 LED フラッシャキットの設計開発 ① 松本広域ものづくりフェアー(2015 年 7 月 18 日,19 日)で, 手をかざすと LED が点灯する 「LED フラッシャキット」の販売・作製補助を行った.今回は今までと異なるプログラムを 初めて採用したことで,子供たちの注目を集め用意した 200 セットを完売することができた. ② 若月先生からのセンサーの作製依頼 若月先生からセンサーとその回路の作製を依頼された.実験で使用できるような温度・湿度 センサーが市販されていないため,小さいセンサーを購入してもらい回路の製作を行い,納品 した. ③ ISO 学生委員からのゴミ分別キャンペーンの依頼 信州大学全学部で行われる缶のゴミ分別キャンペーンを促進するために,ゴミをゴミ箱に分 別し捨てると反応し,動作する機構の開発した.問題が起こったため時間がかかってしまった が納品した. 3. 来期活動計画 ・昨年のものづくりフェアでは 200 個用意したキットが短時間で無くなってしまい,多くの人を 断ることになったので,多くのキットを作成できるようにする. ・新しくメンバーが加入したので教育を行う. 4. 今後の課題 ・今まで主流であった PIC 以外のマイコンを用いることができるように勉強を行う. ・モックの活動を管理しやすくする. 5. 所感 今年中に後輩に引き継ぎを行う予定なので,それまでにモックの活動を整理し引き継いだ後の 活動を容易にしたい. 32 ArkOak 博士課程 総合工学系研究科 生命機能・ファイバー工学専攻 3 年 加納 徹 修士課程 工学系研究科 機械・ロボット学専攻 1 年 佐藤 翼 繊維学部 生物機能科学課程 4 年 丸山翔平 繊維学部 先進繊維工学課程 3 年 安藤 巧 繊維学部 バイオエンジニアリング課程 2 年 繊維学部 応用化学課程 2 年 森田 新井宏明 華, 山田麻夢 1. 活動内容 「ArkOak」は,大学や病院に向けて,教育・研究支援ソフトウェアの開発を行うベンチャー団体 である.大学教育や研究で使うちょっとしたソフトウェアを望む声は多いのに対して,専門性の高 いソフトウェアは市場が狭く,市販されているものは非常に高価であることが多い. 「ArkOak」で は大学と密接な立場である利点を活かしながら,専門的なソフトウェアを低価格で開発することで, 大学の悩みを解決していくことを事業理念としている. 2. 活動報告 1) ホームページ作成 長野県中小企業振興センター様より,信州ベンチャーコンテスト HP 作成・更新の依頼があ り,99,980 円で請け負った.HP の作成には HTML, JavaScript および PHP を用いた. 2) 企業への技術指導 昨年度より引き続き,某企業よりソフトウェア開発およびシミュレーションに関する技指導 の依頼があり,12 時間の講習を行った.講師料として 10 万円を請求した. 3) 勉強会の実施 ソフトウェアを開発できる人材を育成するため,月に 1~2 回,プログラミング等の勉強会を定期的に開催した.講師は持 ち回りで上回生が担当し,C 言語勉強会を 8 回,アルゴリズム 勉強会を 2 回,TeX 勉強会を 3 回,ホームページ作成勉強会を 1 回行った. 勉強会の様子 4) ロゴおよびマスコットキャラクターの作成 勉強会をより親しみやすいものとするため, ArkOak の新ロゴおよび新マスコットキャラク ターについて,各メンバが案を出し合ってきた. 3 月中に投票を行って決定する. 新ロゴ案 3. 来期活動計画 新マスコット案 (ちくわ君) これまで主としてソフトウェア開発の業務に従事してきた加納が抜けることになったため, ArkOak 内での関連業務は一時的に縮小する予定である.今後は,新代表の安藤のもと,ソフトウ ェア開発の新規契約および新市場開拓を目標に,勉強会中心の活動を行っていく. 4. 今後の課題 基礎的なプログラミング能力は習得している一方,応用力が必要な開発の経験が足りていないメ ンバが多い.今後は他大学や企業との交流を積極的に図り,経験を積んでいってもらいたい. 33 共創デザインラボ 繊維学部 感性工学課程 3 年 望月結花,小林萌,榎本彩乃 1. 活動内容 年間を通した大きな活動は前年度のクライアントからの依頼品作成を引き続き行いつつ新規クライ アント 1 名からの依頼を受け,それに伴う制作会の開催を 2 度行った.日常活動には週に 1 度,木曜日 に定期集会で制作の見通し報告会,制作の打ち合わせを行った. 2. 活動報告 今年度作成が終了した絵本は 1 冊である. 長期休暇に集中的にイラストの作成,文字入れなどを行い, 秋初めに製本が完了した.また,制作中の絵本が 2 冊である.そのうちの 1 冊は前年度依頼されたもの で,シナリオ,背景など完成している部分が多く早い段階での完成が期待される.もう 1 冊は今年度 12 月に依頼されたものであり,制作会を通してクライアントとの打ち合わせを終えたばかりである.しか しシナリオがすでに用意され,またシーンの要望やシーン割りといった骨格となる部分を大まかに決定 したため,これからイラストの作成に取り組もうとしているところである. 3. 来期活動計画 来期は制作中の 2 つの絵本を完成させるために,絵本のイラストの作成,イラストと文章のレイアウ ト決め,製本を行う.夏頃までに完成させる予定である. 4. 今後の課題 まず現在制作中の作品 2 作の完成が課題である.現在はどちらの作品にも大まかな流れがすでに出来 上がっているので,具体的な課題は絵本のイラスト作成およびイラストと文章のレイアウト決め,製本 を行う.うち 1 冊はキャラクター,背景案,シーン割りまで終了しているのでそれに沿ったイラストの 作成,レイアウト,製本を行う必要がある.もう一方はシーン割りが終了しているので,今後はキャラ クター・背景などの原案作成,それに沿ったイラストの作成,レイアウト,製本を行う必要がある. 5. 所感 自分達の勉学等に集中しすぎたあまり制作が進まず,クライアントから催促を受けてしまったので来 期はそのようなことがないように,計画的に制作を進めていこうと考える. 製本が完了した絵本に関しては,クライアントに喜んでいただくことができたので,今後もクライア ントに喜んでもらえるように制作中の絵本の制作を精一杯行っていこうと思う. また,現在メンバー4 人で活動しており,制作にあたり人手が足りていないため新 2 年生の勧誘をし, 増強する予定である. 34 AGRe:Bone 修士課程 理工学系研究科 応用生物科学専攻1年 山田貢太郎,佐々木瑞樹 1. 活動内容 現在,長野県内には信州麺友会を中心とした多数のラーメン店舗が存在している.それらの中では豚 骨を使用している店舗も多く,毎日豚骨が廃棄されている事を考えると膨大な量であることが予測され る.加えて,それらの廃棄された豚骨は回収された後,焼却処分されているとの事である.そこで我々 は,それらの豚骨を廃棄物ではなく資源として考え,有効な利用法がないかを模索している.その利用 法の1つとして,肥料としての利用が挙げられる.実際にラーメン店舗から豚骨を回収し,洗浄,滅菌, 乾燥の後粉砕する事で豚骨ガラ肥料を作成する.その豚骨ガラ肥料を農家に卸し,農作物を栽培し,そ れらをラーメン店を始めとした飲食店に還元するといった循環の形成を目指す. 2. 活動報告 実際に上田市のラーメン店舗から豚骨を回収し,前述の作成方法を用いて豚骨ガラ肥料を作成した. それらをネギに与えた結果,生育に明確な差が見られた.このような結果とアイデアを 2015 年度ベン チャービジネスコンテストにて発表した結果,アイデア部門にてグランプリを獲得した.また,それに 伴い,長野県知事の阿部守一様より県庁にご招待いただき,謁見した.佐久市の長野県環境サービス様 と連携を取り,佐久市のトマト農家様に豚骨ガラ肥料について話を聞いていただいた.その際,1農家 様より,肥料としてではない別の使用方法を提案していただき,試に使用してみたいと注文を承ること ができた.豚骨ガラ供給元のラーメン店舗としては,現在 20 店舗程が参加予定である. 3. 来期活動計画 上述の肥料としてではない使用方法についても検討を行う予定である.また,実際に様々な農作物に 対して豚骨ガラ肥料を与え,成長を観察し,データを収集する予定である.加えて,長野環境サービス 様のご意向により,望月の土地を貸していただき,事業を進めていく予定である. 4. 今後の課題 現在,農業用の粉砕機を用いて豚骨ガラ肥料を作成しており,以前と比較すると生産効率は遥かによ くなった.しかし,将来的にラーメン店舗から毎日回収するであろう豚骨ガラを粉砕する事を考慮する と,より生産効率を上げる必要がある.生産効率を現在以上に上げるためには,業務用の高価な粉砕機 を購入する必要がある.そのためにも,まずは現状の方法で豚骨ガラ肥料を作成し,実際に売りに出し, 商品として売れるかどうか,農家は我々の肥料に必要性を感じるかなど,販売ルートを確立し,事業と して成り立つかを明確にする必要がある. 5. 所感 実際に豚骨ガラの回収から処理,肥料の作成を自分達の手で行い,農家様の意見を聞いた.農家様の 意見を耳にして,新規の肥料に対して実践型の農家様もいれば,熟考型の農家様もみえるため,試験的 に農家様に使用していただくにしても,対象の農作物の実験データをあらかじめ自分達で収集する必要 があると実感した. 35 3. 信州ベンチャーコンテスト 2015 昨年に続き,信州ベンチャーコンテスト実行委員会として, 「信州ベンチャーコンテスト 2015」を開 催した.「信州を元気にする」新規ビジネスアイディア・プランを,一般・大学生・高校生から募集し, 計 89 件の応募の中から,各部門 5 件の発表を行い,各部門においてグランプリ,準グランプリ,奨励 賞を決定した. 日時: 2015 年 9 月 12 日(土)10:00~17:45 場所: 松本市 M ウイング南棟 6 階ホール 主催: 信州ベンチャーコンテスト実行委員会 構成団体:長野県/ 松本市/ 信州大学/ 長野大学/ 諏訪東京理科大学/ 長野工業高等 専門学校/ (株)八十二銀行/ トーマツベンチャーサポート(株)/ (一社)21 世紀ニ ュービジネス協議会/ (公財)長野県中小企業振興センター 共催: 信濃毎日新聞社/ 八十二キャピタル(株)/ 日本政策金融公庫 後援: 経済産業省関東経済産業局/ 長野県教育委員会/ (一社)長野県経営者協会/ 長野県中小 企業団体中央会/ (一社)長野県商工会議所連合会/ 長野県商工会連合会/ 長野県信用保 証協会/ 松本商工会議所/ NHK 長野放送局/ SBC 信越放送/ NBS 長野放送/ TSB テレビ信 州/ abn 長野朝日放送/ FM 長野 協力: 松本大学/ HanaLab. / Knower(s) / DEN/ CREEKS/ SENSE 協賛: (株)デンセン/(株)価値創造研究所/丸善食品工業(株)/(株)ミマキエ ンジニアリ ング/(株)ながのアド・ビューロ 審査員:森川 亮 氏(C Channel(株)代表取締役社長)(審査委員長) 羽田靖子 氏( (有)アクシス 代表取締役) 羽生田豪太 氏( (株)羽生田鉄工所 代表取締役) 前田剛彦氏( (株)八十二銀行 法人部長) 林 宏行 氏(長野県産業労働部 産業立地・経営支援課長) 参加者:観覧者 71 名,報道 7 名,サポーター11 名,関係者 43 名 プログラム: 10:00 開会式 10:10~11:00 実行委員会賞部門(1 チーム 5 分発表,質疑応答 5 分)×5 11:10~12:10 高校生部門(1 チーム 5 分発表,質疑応答 5 分)×5 12:10~13:20 お昼休憩 13:20~14:20 アイデア部門(1 チーム 5 分発表,質疑応答 5 分)×5 14:30~15:50 起業部門(1 チーム 7 分発表,質疑応答 7 分)×5 16:00~17:00 支援団体の紹介,および前年度受賞者の進捗紹介 17:00~17:45 結果発表・表彰式・記念撮影 18:30~19:30 交流会 36 審査 発表者,テーマ,審査結果: 氏 名 所 属 発表テーマ 審査結果 実行委員会賞部門 宮崎大輔 個人 長野県の耕作放棄地でキヌアを育てたい! 信州大学繊維学部 2 森田久美 ~1歩先のおいしいへ~「信州満腹化!計画」 年 次世代の農村を作るクリエイターズギルド【農 住田広樹 SOLA 実行委員会賞 村 JACK】 富士見町役場産業課 篠原貴幸 長野県×○○県でノマドワーカー(O ターン) 商工観光係 高校生部門 高橋みほ菜 真関友海 百瀬康太 (小林 愛) 梓川高等学校 3 年 梓川高等学校 3 年 平坂美紅 梓川高等学校 3 年 酒井菜々子 梓川高等学校 2 年 梓川高等学校 3 年 信州マイ観光マップ “いいじ~ぃ” おやき作成キット グランプリ 上高地線の運賃削減策(利用者と運営企業にや 準グランプリ さしいバイオディーゼル) 事故防止ネット付きはさみでみんなハッピー ☆ 「肌セレブ」というアプリ 奨励賞 アイデア部門 西澤美波 斎藤悠介 山田貢太郎 個人 信州大学経済学部 4 年 信州大学 1 年 信州大学大学院 1 年 三好正敏 個人 樋口 悟 アカザビジネス あなただけの村をつくって商品を GET! リアル村おこしアプリ「村ツク」 蚕の飼育キット 長野県産豚骨ガラ肥料“豚の真珠” プロジェクション・アートのダウンサイジング 展開 オーディエン ス賞 奨励賞 グランプリ 準グランプリ 起業部門 三橋亮太 仙波愛弓 木村かほり 関 泰秀 山口譲二 信州はアスリートで光り輝く PLAY MAKER プロジェ -日本初セカンドキャリア受入れ県として I タ 奨励賞 クト ーン勝ち組県へ効率的で快適な消費生活の実現で豊かな長野 個人 ライフを提供 地元のママたちが始めた,行政もできなかった 繋 INC. 準グランプリ 助け合いのネットワークの実現 「3 匹のこぶたからプロジェクト」 信 州 湯 の丸山 麓農 耕作放棄地解消と農村景観再生を目的とした 場/TALK 放牧養豚農業 (株)イヌパシー 犬の幸福度プラットフォーム:犬パシー グランプリ 代表取締役 37 表彰内容: 賞 部門 グランプリ(1 件) 準グランプリ (1 件) 奨励賞(1 件) 起業部門 賞金 10 万円 賞金 5 万円 賞金 2 万円 アイデア部門 図書カード 3 万円 図書カード 2 万円 図書カード 1 万円 高校生部門 図書カード 2 万円 図書カード 1 万円 図書カード 5 千円 実行委員会賞部門(1 件) 図書カード 2 万円 オーディエンス賞(1 件) 賞金 2 万円 信州ベンチャーコンテスト 2015 実行委員会開催 第 1 回 1 月 20 日 第2回 2 月 17 日 第3回 3 月 17 日 第 4 回 4 月 21 日 第5回 5 月 21 日 第 6 回 6 月 25 日 第7回 7 月 28 日 第8回 8 月 19 日 第9回 11 月 5 日 第 10 回 12 月 17 日 38 チャレンジ賞 (2 件) 図書カード各 2 千円 Ⅲ. SVBL 研究 1. プロジェクト研究 研究テーマ 研究者 中西弘充 葉緑体遺伝子情報を用いた桑栽培品種の系統解析 SVBL 助教 産学官連携ネットワークを必要とする希少生物保全の現状について 小西 繭 SVBL PD 研究員 松村哲也 馬搬林業が創造する多面的市場価値の算出 SVBL PD 研究員 水野淳史 イノベーション教育の研究と実践 SVBL 研究員 大熊ひとみ 金属ガラスを用いた磁歪式トルクセンサの開発 SVBL 研究員 39 葉緑体遺伝子情報を用いた桑栽培品種の系統解析 SVBL 助教 中西 弘充 理工学研究科 応用生物科学専攻 修士 2 年 桜井 里奈 1. 研究目的 日本で栽培されているクワの主な種は,カラヤマグワ(M. alba L.),ヤマグワ(M. bombycis Koidz.), ログワ(M. latifolia Poir.または M. lhu)の 3 種であり,これらは花及び葉の形態を基準として分類さ れる.農業的には,実用的特性を加味してクワ品種を白桑系(カラヤマグワ系),山桑系(ヤマグワ系), 魯桑系(ログワ系)に区分する方法も用いられ,繊維学部附属農場内の品種についても同様の区分によ り管理され,見本桑園のクワ 409 品種のうち 177 品種が系名不明として位置付けられている.クワの栽 培品種は品種間で複雑に交雑をしていることから,形態学的な観点だけでは正しい系統関係を示すこと ができず,遺伝学的な観点を盛り込む必要がある.近年の遺伝子工学の発達に伴い,DNA マーカーに よる系統解析や DNA バーコーディングを用いた種の識別が行われていることから,クワにおける葉緑 体ゲノムの DNA バーコーディングを用いることが系統関係の理解に効果的であると考えた.本研究で は,クワの葉緑体ゲノム上で DNA バーコーディングに利用可能な領域を探索するとともに,繊維学部 内のクワ遺伝資源を整備し,栽培品種を網羅的に分類する指標を作成することを試みた. 2. 実験 繊維学部附属農場の見本桑園で系統維持されているクワ 409 品種から,各系統を代表する品種 37 品 種および系名不明の 48 品種を選抜して使用した.各品種の葉 2~3 枚を自然乾燥させた試料から DNeasy Plant mini Kit(QIAGEN)を用いて DNA 抽出を行った.M. indica cv K2(ACCESSION No. DQ226511)の葉緑体ゲノム配列をもとに遺伝子間領域を中心に断片長が 1 kb 程度になるようにプライ マーを設計し,PCR を行った.シークエンス反応には BigDye® Terminator v3.1 Cycle Sequencing Kit (Applied Biosystems)を用いた.ABI PRISM 3130xl Genetic Analyzer (Applied Biosystems)を 用いて反応産物の塩基配列を判読した.得られた配列は,Finch TV (http://www.geospiza.com/)を用い て波形解析を,GENETYX ver. 10(ゼネティック社)を用いて配列の解析を行い,マルチプルアライ メントを ClustalX(http://www.clustal.org/)で行った.10 か所の多型情報でバーコードを作成し,類 縁関係の解析を行った. 3. 結果 白桑系,山桑系,魯桑系間の多型を検出するために,それぞれの系に属する赤目柳田,一ノ瀬,復興 桑および系名が不明な品種である上田早生の葉緑体ゲノムを増幅した.プライマー設計時に用いたイン ド桑(M. indica cv K2)を含めた 5 品種間で 35 か所の多型を検出した.さらに解析対象を増やし,新 たに 10 か所で多型を検出した.全 45 か所の多型のうち,15 か所が In/Del であり,30 か所が SNPs であった.その頻度は 20kbp の配列情報に対して各々0.56% と 0.14%であった.解析に適した 10 か所 の多型を選抜し,これを用いて分類の基準となる 17 品種について,品種を弁別するためのバーコード 表を作成した(Table 1).また,各品種間の類似性を推測するために数量化 III 類法及びクラスター解 析を行い,樹形図を作成した(Fig. 1).また,このバーコードを新たに 68 品種に適用し(合計 85 品 種),同様に樹形図を作成した.atpH-atpF 領域,atpB-rbcL 領域,ndhA イントロン領域内の多型を 40 用いることで,付属農場内の品種を大きく 2 つのグループに分けることができ,さらに国内品種が多く 含まれるグループをおおよそ 3 つのグループに分けることができた.これらの成果は,今後,養蚕農家 や神社などに残っている品種不明のクワを解析し,遺伝資源として活用する際に,有用な指標となるこ とが期待される. 41 生物多様性がもたらす地域ブランドの探索 産学官連携ネットワークを必要とする希少生物保全の現状について SVBL 研究員(理学部) 小西 繭 1. 背景・目的 国連環境会議(UNEP)から提出された TEEB 最 終 報 告 書 ( 2010 )( TEEB : The Economics of Ecosystem and Biodiversity,生物多様性と生 態系の経済学)は,生態系保全に年 3 兆 6 千億 円を投じれば,長期的には水産資源の増加や温 暖化防止効果などで年 400 兆円の経済価値を生 み出せることを報告しており,現代社会におけ る生物多様性の保全の重要性を訴えている. 日本国内における生物多様性という言葉の 図 1 保全知識の多い回答者ほど高い寄付意思 →啓発により経済的価値が高まる 認知度は,生物多様性条約の締約国会議(COP10, 2010)が愛知で開催されても,環境省によって 生物多様性の主流化の取り組みが積極的に行われても(環境白書,2010) ,一向に高まる気配を見せな い(内閣府世論調査,2014) .これは現代の日本社会における生物多様性の利用(経済)価値ならびに 非利用(存在)価値の低さ,そして一般市民の関心の低さを如実に示している. アンケート調査結果では,生物多様性や保全に関する知識を持ち合わせる回答者ほど,それらに対 し経済的価値を高く見積もる傾向が認められた(図 1:小西ら,2015).このことは生物多様性の価値 が現段階では形成過程にあり,社会の中で必ずしも明確な価値観が形成されていないことを示してい る.多くの市民が肯定的な意識を持ちながらも価値の底上げが為されない現状において,生物多様性 の保全が求めることは, 【学】科学者や専門家の評価に基づく保全措置に加え,【産】一般市民が利用 できる身近な代替商品の開発によって価値の転換を図り, 【官】社会システムに変革をもたらす,グリ ーイノベーションであると考えられる. 本発表では里山の絶滅危惧種と地域活性化を結び付けることを目的として, (1)これまでの研究成 果を長野県希少野生動植物保護条例に基づくシナイモツゴ保護回復事業計画立案に還元するとともに, (2)ブランド林檎のプロトタイプの制作および販売, (3)地域住民有志による任意保全活動団体の立 ち上げについて報告する. 2. 調査対象 対象とした長野県長野市内信里地域は,林檎畑や棚田のある典型的な里山景観を呈し,全国的にも 珍しい 400 以上のため池が集中する地域である.他地域と同様に本地域もまた,少子高齢化,農家の 減少,市街地への人口の流出が著しい.本地域は県の希少野生動植物に指定される絶滅危惧種シナイ モツゴの全国有数の生息地であり,里山の荒廃は本種の存続を脅かす極めて深刻な問題である. 3. 結果・成果 (1)シナイモツゴ保護回復事業:信里地域のため池の 4 割が放棄され,近い将来消失するとする調査結 果(小西ら,2015)等を鑑み,本事業計画ではため池群という生息域スケールの保存を視野に入れ, 県内ではこれまでに例のない画期的な保全対策が立案された. 42 (2)ブランド林檎の試作・販売:信里地域の低農薬林檎農園(シ ナイモツゴのため池を所有)および長野県更級農業高等学校(イ ラストの作成)と協力して,シナイモツゴのイラスト入り林檎 を作成した.販売は,自然食品販売店株式会社玄気豊橋店にて 行い(写真 1),その際シナイモツゴと里山の現状にまとめたチ ラシを置き周知を図った.通常の 2 倍の価格に設定されたが売 れ行きは順調であった. (3)任意団体ぽんすけ育成会の設立:信里のシナイモツゴの愛称 「ぽん」に因んで,シナイモツゴをシンボルとした地域の宝を “育成”する任意団体が地元有志により結成された. 「ぽんすけ」 の商標登録を得てブランド化を図り,地域の農家を応援しなが ら保全を実施することを目標とする.今後,シナイモツゴ調査,生き物観察会,専門家による講演 会,県内外の保全団体との交流など,地域の広報を視野に入れながら活動する予定である. (4) 各種講演会:長野県の里山ならびにシナイモツゴの現状に関 する普及啓発活動の一環として,高校,小学校,水族館,NPO 写真 1 シナイモツゴのイラスト入り 林檎の県外販売の様子 団体,自治体の開催するシンポジウムや講演会にて県内外を問わず積極的に講演を行った. ―その他の研究テーマ概要- 里山里川,生物多様性,および,魚類をキーワードとした基礎生物学的な研究成果を,地域資源・技術 を産業に活用することを目標とし,本年度実施した共同研究の概要を記す. (1)信州里山ため池の微生物群集解析ならびに有用微生物の探索(研究協力者) :信里地域のため池より, バイオエタノール生産原料の一つであるアルギン酸を分解する細菌を発見し,機能解析を進めている. 本研究は 2012 年度より繊維学部野村研究室との共同研究として継続している. (2)指向性スピーカーの開発と生物飼育への応用(研究協力者) :ウエタックス株式会社(上越市)によ って開発された指向性水中スピーカーを用いて,繊維学部森脇教授とともに魚類飼育への産業利用を 視野に入れた共同研究を実施した.金魚を用いた実験により上昇行動を誘発する照射条件を発見した. 本研究は H27 年度上越市新産業創造支援事業補助金により実施された. (3)千曲川中流域の魚類群集に関する研究(研究分担者) :付着藻類や水生昆虫の生産性の高いことで知 られる千曲川中流域では,近年,有用水産資源であるアユやウグイの生産量は激減している.本研究 では,特定外来生物に指定されるコクチバスが魚類群集の現存量の 8 割を占めること,また安定同位 体分析ならびに消化管内容物分析により,魚食性として名高いコクチバスが水生昆虫食であり,在来 魚である雑食性魚類の食地位と大きく重複していることを明らかにした.本研究は国交省河川砂防技 術研究開発地域課題分野(河川生態)FS 研究により実施された. (4)姉妹関係にある外来種と固有種の可塑的・遺伝的形質の種間比較による侵略機構の解明(研究代表 者) :外来種の中でも国内外来種(日本国内の他地域から人為的に持ち込まれた生物種)は認知度が 低く,その問題性が意識されることは少ない.次世代シーケンサーによって開発されたマイクロサテ ライトマーカー30 座,ならびに母系マーカーである mtDNA ハプロタイプ解析を用いて,松本城のお 堀,諏訪湖,ならびに奈良県から採集されたモツゴの遺伝的構造を明らかにした.その結果,3 個体 群の遺伝的混合のパターンは類似しており,国内外に由来する 3 系統間が著しく交雑していることが 強く示唆された.本研究は科研費基盤 C(H27~29 年度)によって実施された. 43 馬搬林業が創造する多面的市場価値の算出(中間報告) SVBL 研究員 1. 松村哲也 はじめに 馬搬林業はかつてわが国のどこででも見られた風景であったが,機械力の普及に連れて現在ではその 姿を見かける事は難しくなった.「人馬一体」とも称された従事馬・技術者とも姿を減らし,同時に搬 送器具の製作など馬搬技術を支える関連産業も激減し,「馬搬」という馬事文化は滅びつつある. そうした中,岩手県遠野地域における馬搬林業振興活動を代表に,馬搬に現代的な価値を見出だし, 技術と知恵を未来へ繋げようと行動する人々が存在している.その情熱と努力には賞賛するところであ るが,馬搬林業の伝承が風前の灯であることは否めず,効果的な対策が必要である. 従来,馬搬林業をテーマとして扱った研究の動向として,とくに前項(A:林業用動力としての運搬 性能)分野について,立川(岩手大),小野(元東京農大),松浦(東大院)らの業績を挙げる事ができ る.木材運搬性能について馬力を競合する機械力と比較検討し,主としてコスト分析の立場から経済的 適合性を論じ,また,林地表土をかく乱しない等の馬搬作業が持つ機能的優位性を指摘している. しかしながら,馬搬林業の前提である「極めて零細な規模の林業事業」について,「集約による規模 の拡大が求められる非効率な状態」とする認識が多勢であったものが社会環境の変化と農林政策の転換 を経て,零細な森林所有者自身が間伐等の林業 作業の主体となる事を支持しようとする議論が 高まっている現在,従来の議論では現状ならび に将来を十分に説明しきれない状態であり,再 評価に取り組む時期が来ている.併せて,馬搬 林業に要するコストだけではなく,創造するベ ネフィット,とりわけ馬搬文化・馬事文化がも たらす価値観についても市場経済的価値を基準 に据えた評価が求められている状況であると言 写真 1 馬による材木運搬(工藤氏提供) えよう. そこで本研究では,馬搬林業という馬事文化の継承隆興を急務と考え,既存事業体の経営ならびに馬 搬関連産業への新規就業・起業創業への支援を目的として,馬搬の林業用動力としての運搬性能の再評 価を皮切りに,馬搬林業が創造する多面的市場価値の算出を行うこととした. 2.材料と方法 本研究では,馬搬林業が創造する価値の評価に際して,下記の手順を採用する. (A) 林業工学的評価手法の踏襲により従来の研究との上位互換性を維持して議論の発展を目指す. (B) コストだけではなくベネフィットについても評価の対象とする. (C) 歴史性・文化性など多面的な性質を,市場経済的価値(価格)での表現を試みる. 価格での表現を可能とすることによって, (D) 馬搬非経験の者に対しても価値観・認識の共有が可能となる. (E) 経済活動として馬搬林業ならびに関連馬事産業の事業性を広く議論することが可能となる. (F) 事業性が明確になるため,既存事業者の経営改善にともに,新規起業・参入が促進される. 44 従来は,林業工学的手法から(A)の一部,実践的経験から(B)の一部を満たす結果を得ていたと 言える.しかし(A) (B)が統合されることはなく,それゆえに(C)段階以降への展開をみることは 叶わなかった. 本研究では,林業工学的分析手法と社会学経済学的分析手法を兼備した体制で望むことから, (A) (B) の統合的評価が可能となり,さらに CVM 手法等を通じて新たに(C)の算出が可能である.これによ り, (D) (E) (F)への展開を導き,産学官金連携による関連産業振興枠組みの構築を目指している. 2-1. 馬搬林業の林業工学的視点からの分析 【馬搬林業功程調査】馬搬林業実施地域における馬搬林業作業の実地功程調査を行う. 【馬搬林業費用分析】実地功程調査を基に施業に要した費用を算出する. 【従来型作業法との費用差異を算出】馬搬林業と同目的の作業を従来型作業法で実施したと仮定して, 馬搬作業との結果の差から,費用の差を算出する. 2-2. 馬搬林業による生産物の価値分析 【馬搬材価格調査】馬搬によって搬出された材木(馬搬材)の通常売価を調査する. 【馬搬材加工商品の開発と価格推定】馬搬林業実施地域を対象に,馬搬材の加工と商品化の可能性を検 討し,新商品の製造コストと販売価格を推定する. 2-3. 馬搬が創造する付加価値の分析 【印象マーケティング調査】馬搬ならびに関連商品などの印象・価値について通常アンケート法ならびに CVM 法を用いて市場経済価値を捉える. 3. 目指す目標と期待できる成果 馬搬林業の多面的価値を,万人が広く共有可能な市場経済的「価格」体系で表現する事で馬搬林業の 事業性について理解を進め,関連馬事産業の振興と新規参入・起業・創業の増加を目指す. 成果 1:現在の林業環境に即した馬搬の性能を示す. 成果 2:人々が馬搬に抱く印象・価値を示す. 成果 3:創造する多面的価値を「価格」体系で示す. 4. おわりに 農林業の現場に機械力が進出するにつれて,動力としての馬力利用は廃れ身近に馬の姿を見る事が難 しくなった.同時に獣医師をはじめ飼育資材業,装具業など馬の利用を支える関連産業も激減した. 本研究を通じて馬搬が創造する価値が明確に提示されることで,経済活動として馬力利用ならびに関 連する馬事産業の事業性を広く議論することが可能となる.この事業性の明確化により,既存事業者の 経営支援をはじめ新規事業参入・起業創業が促進される効果が期待できる. 5. 引用・参考文献 (1) 岩手県における馬搬作業の事例 [東北森林科学会誌, 4(1), 1999, pp.17-20] 立川史郎 (2) 一馬力の森林作業 [山林, 1367, 1998, p49-57] 小野耕平 (3) 馬力を活用した搬出作業の可能性に関する研究‐宮城県石巻市の馬搬搬出実験の事例‐[日本森林 学会大会発表 DB, 124(0), 303, 2013] 松浦満寿ら 45 イノベーション教育の研究と実践 SVBL 研究員 水野淳史 1. 研究目的 昨年度より,アントレプレナーシップを持ったイノベーション人材を育成するために,アントレプレ ナーシップ教育を研究している.また,昨年度より実施されている,文部科学省のグローバルアントレ プレナー育成促進事業(以下,EDGE プログラムという)に選定された 13 機関の取り組みも研究して いる.その過程において,アントレプレナーシップを持ったイノベーション人材を育成するためには, アントレプレナーシップ教育の研究だけでは不十分であると痛感した.そこで,イノベーション教育に ついても研究を推進し,アントレプレナーシップ教育と同時に実践することで,イノベーション人材を より効果的に育成していく. 2. 活動計画 EDGE プログラムの選定機関の 1 つであり,先進的なイノベーション教育とアントレプレナーシップ 教育のプログラムをシームレスに実施している東京大学 i.school と,同じく EDGE プログラムの選定 機関の 1 つであり, 「システム×デザイン教育」という,東京大学 i.school とは異なる観点から,イノベ ーション教育を実施している慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科(以下,慶應 SDM という)をベンチマーキングする.そして,東京大学 i.school と慶應 SDM が実施しているプログ ラムに参加し,イノベーション教育のフロンティアを学ぶことで,研究を促進していくと同時に,机上 の空論にするのではなく,研究の成果を自ら実践する. 3. 結果および成果 2 月 11 日(木)と 12 日(金)に,東京大学 i.school で開催された i.school EDGE に参加をした.こ の i.school EDGE は,若手研究人材が創造的な研究者になるために,ワークショップを通して,有益な 手法・ツール,姿勢・態度,動機の 3 要素を習得・涵養することを目指している.また, 「アナロジー」 をより実践的に活用して,アイディア創造のプロセスを習得することを目的としている.実施されたワ ークショップのプロセスは,次のとおりである.はじめに,参加者は,英語話者グループと日本語話者 グループに分かれ,既存の地域イノベーション事例について,活用されたリソースや創出された価値, そのメカニズムを分析した.次に,その分析に基づいて,表層的ではなく構造的なメカニズムから各事 例を分類していき,それぞれを概念化した.最後に,概念化されたメカニズムと分類された事例をもと に,アナロジーによって新たな地域イノベーションを創造した. この i.school EDGE を通して,単に事例を分析するだけでは,新しくてインパクトのあるアイディア を創出することができず,概念化やアナロジーを活用することで,より良いアイディアを創造すること ができることを体感した.また,アイディアを発想する効果的なプロセスや手法を学ぶことができた. 堀井(2015)は,「アナロジー」について,新しいアイディアを生み出すメカニズムには 9 つあり, その 1 つに「アナロジーを活用する」ことを挙げ, 「アナロジー思考によって『手段』の有効性を高め ることができる」と述べている. 12 月 15 日(火)に,その堀井氏を講師として招聘し,SVBL 主催のフロントランナー講演会を開催 した.堀井秀之氏は,東京大学大学院工学系研究科社会基盤学専攻教授であり,東京大学 i.school エグ 46 ゼクティブ・ディレクターとして,「人間中心イノベーション」を生み出すイノベーション人材を育成 するために,2009 年 9 月に,東京大学 i.school を設立し,ワークショップを中心とした教育プログラ ムを実施している.講演会では,東京大学 i.school の取り組みやイノベーション教育等について,紹介 があった.技術革新によるイノベーションである「技術中心イノベーション」とは異なり,人々のライ フスタイルや価値観の洞察によるイノベーションである「人間中心イノベーション」について説明した. また,イノベーション人材には,「スキルセット」, 「マインドセット」, 「モチベーション」という 3 つ の要素が必要であるとし,最も重要である「モチベーション」をどのように教育することができるのか が,イノベーション教育の最大の課題であると提起した.そして,ベンチャー・企業の社内ベンチャー による社会イノベーション事業の実現や,大学生のインターン参画,イノベーションワークショップ・ セミナーの実施等をする「社会イノベーションセンター」を提案した.最後に,新しい大学像として, イノベーション教育やアントレプレナーシップ教育等の価値創造教育の推進を強調した. また,翌週の 12 月 22 日(火)には, (株)地域経済活性化支援機構(以下,REVIC という)の常務 取締役であり,慶應 SDM 特別招聘教授の保井俊之氏を講師として招聘し,SVBL 主催のフロントラン ナー講演会を開催した.保井氏は,平日は REVIC で地域活性化等の支援業務を行い,休日は慶應 SDM でイノベーション教育をしている.講演会では,REVIC や慶應 SDM の取り組み,地域イノベーショ ン等について,紹介があった.慶應 SDM における「木を見て森も見る思考」である「システム思考」 と, 「前向きに社会を変える思考」である「デザイン思考」に基づいて, 「生活スタイルを一変する新し いソリューション」である「イノベーション」を創出する「システム×デザイン教育」について説明し た.また,地域のヒト・モノ・カネ・テクノロジーの組み合わせ(=システム)を新たにつなぎなおす ことで,地域にイノベーションを創出できると説明した.最後に,地域のオープン・イノベーションを 加速させるためには,異業種・異分野・他社の人・モノ・カネ・技術をつなぐマッチング機能として「イ ノベーションハブ」という「場」を創ることを提案した. 前野(2015)は,「システム×デザイン教育」について,「デザイン思考を取り入れることで,システ ム思考だけでは不足してしまいがちな『イノベーションの要素』を絶やさないようにすること.他方で, システム思考を取り入れることで,デザイン思考だけでは不足してしまいがちな,論理的で『システマ ティックな要素』を加えること.両者を組み合わせることによってはじめて,大規模・複雑なシステム にも斬新なイノベーションを起こすことが可能になる」と述べている.前野隆司氏は,慶應 SDM の教 授であり,委員長として, 「システム×デザイン教育」を実践している. このように,東京大学 i.school と慶應 SDM は,それぞれ異なる観点から,イノベーション教育にア プローチをしている.ただ,イノベーション教育を通して,イノベーション人材を育成する点は共通し ているといえる. また,それぞれのフロントランナー講演会には,本学の学生や教職員だけではなく,他大学の学生や 教員,高校の生徒や教員も参加していただいたことにより,イノベーション教育やイノベーション人材 の育成について,さらに普及させていくことができた. 4. 主要文献 堀井秀之(2015) 「東京大学 i.school におけるイノベーション教育の試み」『工学教育』Vol. 63,No.1 (2015 年 1 月号)pp. 37-42. 公益社団法人 日本工学教育協会. 前野隆司(2015) 「システム×デザイン教育の創造と実践」 『工学教育』Vol. 63,No.1(2015 年 1 月号) pp. 43-47. 公益社団法人 日本工学教育協会. 47 金属ガラスを用いたトルクセンサの開発-実機試験SVBL 研究員(工・繊維学部) 大熊ひとみ 1. 研究目的 金属ガラスの皮膜を用いたトルクセンサの実用化により,家電,自動車など,幅広い製品の高効率化 を目指す.金属ガラスとは,東北大で開発された次世代金属材料で高強度,高弾性,高耐食性,優れた 磁気特性,高い塑性加工性などの性質を持ち,幅広い応用が期待されている. 本研究では,Fe 基軟磁性合金の内,磁歪特性に優れたものを使用する.「磁歪」とは,磁性材料に磁 界を印加すると応力(歪み)が発生する現象である.その逆に,応力を与えると材料中に磁界が変化す る現象は「磁歪の逆現象」という.本研究のトルクセンサは「磁歪の逆現象」を利用している.図 1 に センサの構成を示す.トルクが加わる駆動軸とその上に溶射された金属ガラスの厚膜,厚膜を覆うコイ ル,コイルで検出した磁界の変化を取り出して増幅するアンプから成る.コイルは「励磁」と「磁界の 変化量検出」を同時に行う.磁界の変化は,位相検波という方法で電圧として検出し,それをアンプで 増幅・換算し,トルクの値として出力する. 磁歪の逆現象を利用したトルクセンサは既に実用化されているが,本研究の特色は,①金属ガラスと いう新素材を使用する,②溶射という技術で成膜している・・・という 2 点であり,高感度と省スペー スを期待できる.この点を生かし,省エネ化の要求の高い自動車,アシスト自転車,FA機器等の高効 率化に寄与することを目的とする. 2. 活動計画 (1)ブラックボックス化している装置の内容把握 出力(coil1,coil2) 本研究とそれに付随する特許は 2014 年度の終 盤に企業(以下 A 社)から引き継いだ.その際, センサ 企業の内部事情から引き継がれなかった情報が コイル 多かったため,現状の設計の把握のための実験を 行った. (2)センサの開発 研究と共に顧客も A 社から引き継いだため,量 図 1.トルクセンサ(上)と出力アンプ(下) 産を目標に,顧客企業(以下 B 社)のニーズに合 わせたトルクセンサを共同開発した. (3)金属ガラスの基礎特性の測定 ・温度特性 ・応力-磁気特性 などの基礎的な特性を調べ,設計や解析の指標 となるデータを取る. (JSTスーパーハイウェイ案件) 図 2.アンプ出力例(室温) 48 3. 結果および成果 計画(2)の中に(1)を含める形で実験を進めた. B 社の要求仕様が-40~150[℃]であり,A 社での開発では無負荷時のトルクの出力(ゼロ点)の温度変 動が大きく,それが課題として残った状況で引き継いだ.根本的解決には,コイルの仕様変更が必要だ が納期を要するため,まずはアンプの①位相検波角と②励磁周波数のパラメータ調整を行うことにした. 当初,アンプ調整用プログラムのアンプの設定値(パラメータP)と位相検波角の関係(関数)が不 明だった.そこで,P の入力値を徐々に変えてコイルの入力波形と出力波形の位相差を調べた結果,パ ラメータ P と位相差は線形の関数であると分かった. 図 3.無負荷時トルク出力の温度変動試作初期のP設定の場合(左)とP最適化後(右) その関数を用いて,温度変動が最小となる位相検波角を調べた結果,位相検波角を-60 [度]のときに温 度変動が最小となった.温度上昇に時間を要するため温度範囲は 25~80[℃]とした.左図は,A 社で経 験的に最適値とされていた位相検波角 76.3[度]における測定結果である.76.3[度]と-60[度]の coil1 の温 度変動の max-min 値を比較すると,-60[度]では温度変動の幅が 12[%]まで減少した. 次に,温度の影響をうけにくい励磁 周波数をインピーダンスアナライザで 調べた.当初の設計では,経験的に最 も感度が良かった 40[kHz]であったが, 感度が高い反面,温度変化の影響を受 けやすい. そこで,最適な周波数を調べるため 10~40[kHz]の範囲でインピーダンス の温度変化を測定した.コイルインピ ーダンスの Z 成分とωL 成分の角度θ はセンサコイルの感度の指標となるこ 図 4.励磁周波数別センサコイル感度θの温度変動(⊿θ) とから,室温を基準としたときのθの 差(θの温度変動)⊿θを求めた. 結果を図 4 に示す.16[kHz]のとき⊿θが最小となり,感度の温度変動が最小となることがわかった. コイルを仕様変更した結果については,B社にて実際の使用環境下での特性試験を行い,現在解析中 である.また,活動計画(3)については,3月中旬にかけて実施予定である. 4. 主要文献 WEBジャーナル 2015 年 12 月号 32-34 49 2. 萌芽研究 専有スペース利用登録者 所属 先進繊維工学課程 利用責任者 大越 金 豊 機能高分子学課程 バイオエンジニア リング課程 感性工学課程 研究テーマ 高性能繊維製造技術の開発 慶孝 平井利博 誘導高分子を利用した駆動材料/電気工学材料/衝撃センサー 材料の開発 藤井敏弘 生物模倣プロジェクト 細谷 衣類の着心地や動作性の評価 聡 機器利用登録者 所属 利用責任者 大越 先進繊維工学課程 豊 構造色の発見及び材料の作製 朱 テキスタイルの後処理 春紅 石澤広明 分光分析による繊維鑑別 高寺政行 衣服の個人対応設計に関する研究 和田 功 バイオエンジニア リング課程 応用化学課程 生分解性高分子の繊維・フィルム・ゲル・ナノファイバーの表 面構造観察 作法とデザイン~作法に基づくモノ・コトの提案~ 佐古井智紀 フイゴ効果と衣服の開孔面積の関係に関する実験 上條正義 PP を用いた快適肌着の開発研究 金 研究活動 翼水 小西 機能機械学課程 高性能繊維製造技術の開発 森川英明 田中稔久 感性工学課程 研究テーマ 哉 燃料電池用電極/触媒の開発 倪 慶清 スマート材料の開発及び評価 鮑 力民 繊維強化複合材料の特性の研究 姫野修廣 極微細粒子のブラウン凝集の確認 河村 カーリングロボットに関する研究 隆 飯塚浩二郎 チェアスキー用の合うトリガーに関する研究 若月 薫 個人防護服の耐熱性に関する研究 橋本 稔 PVC ゲルアクチュエータの解析 秋山佳丈 ラベルフリー磁気アセンブリによる筋組織構築 山口昌樹 微細周期構造の創成 谷上哲也 フォトニッククリスタルの作製 50 服部義之 ナノカーボンの精密構造解析 鈴木大介 微粒子開発 沖野不二雄 材料化学工学課程 生物機能科学課程 渉 電気化学エネルギーデバイス用材料の開発 村上 泰 絶縁高熱伝導材料の開発、電着技術の高度化 宇佐美久尚 マイクロチャンネル光化学反応器による光酸化反応の研究 福長 燃料電池の電極構造の最適化 博 長田光正 バイオマス由来のナノファイバー及びオリゴ糖の分析 吉田裕安材 新規な機能性高分子材料の開発 新規有機・無機複合材料の開発とその応用及び産業化に関する 研究 後藤康夫 機能性繊維の開発 寺本 彰 天然高分子を用いた極細繊維の開発 荒木 潤 結晶性多糖類微結晶の機能性材料への応用 伊藤恵啓 化学分解性を有する機能性有機材料の開発 小駒喜郎 新素材の開発及びバイオセンサーの開発 英 ゲル化剤の開発と応用 謙二 太田和親 強磁性 CNT の同定 下坂 キチン資化最近の遺伝子解析 誠 田口悟朗 植物有用成分の生合成機構の解析 野川優洋 葉緑体形質転換用のアグロバクテリウム菌の作成 志田敏夫 DNA 修復酵素、蛋白質分解酵素および難培養微生物に関する研究 山本博規 枯草菌のテイコ酸及びリポテイコ酸修飾機構の解明 森脇 新しい環境浄化法の開発 洋 新井亮一 生物資源・環境科学 課程 開発 杉本 滝沢辰洋 機能高分子学課程 炭素繊維のリチウムイオン電池への応用、新規ナノ炭素材料の 塩見邦博 玉田 靖 多様な天然タンパク質の構造機能解析及び人工タンパク質の設 計開発研究 チョウ目昆虫遺伝子の機能解析、カイコの休眠性と GABA 量の定 量 シルク材料の利用技術開発 堀江智明 植物の耐塩性関連遺伝子の機能解析 林田信明 新規な形態の野菜の開発 ヒト環境遺伝子実 松村英生 高等植物のゲノム情報の活用 験部門 小笠原寛 表層ストレス応答と細菌アクチンホモログの解析 その他 藤松 上げゲル紡糸 仁 51 生物模倣プロジェクト -永久(酸化)染毛剤によるケラチンフィルムの染色- 繊維学部 藤井敏弘,伊藤弓子 1. 研究目的 ヘアカラー製品は,永久染毛剤,半永久染毛料,一時染毛料の 3 種に大別されている.最も色落ちが しにくい永久染毛剤は毛髪表面のキューティクルのみではなく内部のコルテックス部位までを染着部 位と考えられている.毛髪タンパク質を自己組織化することにより形成したケラチンフィルムは,コ ルテックスを具象化する代替毛髪として認知度が上がってきている.従来までの不透明型フィルムに 加えて,透明型のケラチンフィルムの作製に成功している.これらの条件から,透明型ケラチンフィ ルムは永久染毛剤のターゲットとなり,透過光を利用した分析が容易にできることが推測される.こ のため,永久(酸化)染毛剤を使用して,2種類のケラチンフィルムと毛髪を染色して比較検討した. 2. 実験 透明型と不透明型ケラチンフィルムは,化学的処理履歴がない毛髪から信大法で抽出したタンパク 質からプレキャスト法で作製した.永久(酸化)染毛剤は 2 剤を混合するタイプを 4 種使用した.p-フェ ニレンジアミン, 2,4-ジアミノフェノキシエタノール, m-アミノフェノールなどの化合物の有無と比 率を変えたⅠ剤と過酸化水素を主成分としたⅡ剤を使用直前に混ぜて染色液として使用した.着色の 分析には分光測色計と紫外可視分光光度計を用いて測定した. 3. 結果および成果 白髪は 4 種のヘアカラー剤(ダークブラウン,ライトブラウン,レッド,ラベンダー)により染色 を受けるが,両フィルムはレッドを除く 3 種のカラー剤により有意な染色を受けた.透明型フィルム の方が不透明型フィルムと比べて高い染色濃度を示した.このため,透明型ケラチンフィルムとダー クブラウン剤の組み合わせによる染着性を調べた. 染色温度が 37℃下で反応時間の影響を調べたところ,時間に比例して着色の増加が視認できた.分 光光度計を使用して分析すると,400〜650 nm に比較的大きな吸収をもつスペクトルが得られた(Fig. 1A).このため,500 と 600 nm の吸光度と染色時間の関係をプロットしたところ,着色は短時間(10 〜15 分間)では低かった(Fig. 1B).これは薬剤の浸透,反応,発色,固定などに時間が必要である ためと考えられる.20 分以降 A B 1.5 では直線的な着色関係が見 1.5 500 nm 600 nm 90 min 60 1.0 45 0.5 様の結果が得られた.フィル 0.5 30 ムの厚さ,染色温度について もリーズナブルな結果が得 15 0.0 0 400 0.0 0 500 向を示した.分光測色計を用 いた色差(ΔE)においても同 吸光度 吸光度 1.0 られ,60 分以上で飽和する傾 600 700 波長 (nm) 800 15 30 45 60 90 染色時間 (min) Fig. 1 Effect of incubation time on the dyeing of the translucent keratin film The keratin film was dyed with the permanent hair color reagent (dark brown) for 0-90 min. A, absorption spectra. B, absorbance at 500 and 600 nm vs. dyeing time. 52 られることから,毛髪に替わ るデバイスになることが示 唆された. 誘電高分子ゲルの機能:光学機能材料への応用 繊維学部 佐藤洸,夏紅,平井利博 1. 研究目的:誘電高分子をゲル化したり,可塑化することで柔軟化することは広く行われている. コロッサル誘電率を示すことが当研究室で見出されて以来,電場応答機能を人工筋肉[1]や駆動素 子に活用することは,すでに長く検討され,他の研究者の参入も始まっている.本研究課題は,こ うした柔軟誘電材料のコロッサル誘電特性を光学機能[2]に用いようとする試みである. 2. 実験:ゲルに電場を印加し,ゲル内に形成される屈折率勾配を利用した光屈曲機能を測定した. ゲルとして PVA ゲルと可塑化 PVC について検討した.厚さ7 mm,光路長5cm のゲルに電場と直交するように光を照射,透 過光が2m の受光面に形成するスポットの移動から屈曲角を 求めた.装置の概要を図 1 に示した.組成の異なる試料につ いて測定を行い,その機能発現の機序を考察した. 3. 結果および成果:巨大な電気機械エネルギー変換を誘起する 図1. 光屈曲測定の概要 コロッサル誘電率は,屈折率を飛躍的に増加することも期待され ることから,電場印加下で材料内に大きな勾配を形成すること が予想される.ここでは PVA と PVC についての検討結果を示 図1.落球法による起電力測定 す.図 2 に示すように,顕著な電場応答を示した.また,PVA と PVC では電場依存性に顕著な違 いが見られた.ゲルの構造への依存性が極めて大きいことが示唆される.可塑化した PVC ゲルで は,屈曲角が電場の自乗に比例し,Kerr 効果が見られ, PVA ゲルでは,屈曲角は電場に比例し,Pockels 効果 が表れている.両ゲルとも透明で均一であるが,ナノ レベルでの構造上の差異が顕著であることが示唆さ れている.PVC ゲルが示す Kerr 効果は,ニトロベン ゼンの 25 倍にも達する.この差異はゲルであるか液 体であるかという以外の要因に影響を受けているこ とを示唆する.一方,PVA ゲルは,通常結晶性の化合 物で観測される Pockels 効果を示していることから, 図3.起電力の組成依存性 溶液様の均一構造ではなく,内部構造に高次の構造を 内包していることを示している.(ATC 2015, Deakin Univ., Australia) この結果は汎用の誘電高分子材料がナノ構造 図2.誘電高分子ゲルが示 制御によって電気光学機能材料として利用できることを示す. す電気光学効果 4. 主要文献 [1]平井利博,人工筋肉に求められる伸縮性・耐久性・運動性,Material Stage, 月刊マテリアルステージ, 14 巻4号, 20-22 (2014). [2]平井利博,ゲルテクノロジーハンドブック,中野義夫監修,第 1 編ゲルの機能・デザイン第 2 章運動・ アクチュエータ,第 1 章誘電性高分子ゲルの電場応答機能,pp.23-29 (2014). 53 繊維の延伸工程におけるボイド形成過程の解明 繊維学部 先進繊維工学課程 4 年 根崎喜広 1. 研究目的 多孔性繊維は軽量性・保温性などを付与できる. 現在の多孔性繊維の作製方法は溶融紡糸で特殊なノ ズルを使用する方法や, 海島繊維の島成分を溶脱する方法があるが, 通常の溶融紡糸と比較すると生 産性が悪い. そこで, 延伸工程において多数の中空部(ボイド)を形成させることで多孔性繊維を作製 する方法がある. しかし, 繊維の延伸中のボイド形成過程については知られていない. これは延伸中 の繊維断面をオンラインで観察できないことが原因である. そこで本研究では, 延伸を停止した際の ネック変形部付近の繊維断面観察を行い, 延伸繊維のボイド形成過程の解明を試みた. 2. 実験 IV=0.6 dl/g の PET について溶融紡糸を行い, 直径 120μm の as-spun 繊維を作製した.as-spun 繊維 を延伸前に 90℃で 1 時間熱処理を行った. 以下, 延伸前に熱処理を行っていない試料を UA, 90℃で熱 処理を行った試料を 90 と表記する. 各試料を延伸倍率 5~6.75 倍で延伸を行った. 延伸繊維の繊維断 面観察において, UA では延伸倍率 6.0 倍以上, 90 では 5.5 倍以上の条件においてボイドを形成した. ま た, 90 は UA と比較して多くのボイドを形成し た. そこで, 延伸倍率 6.5 倍で延伸した際のネ ック変形部付近の繊維を試料として採取した. Fig.1 に延伸倍率 6.5 倍の繊維断面画像を示す. 採取した試料をエポキシ樹脂に入れ, ミクロト ームで削り, SEM で断面観察を行い,また削り と繰り返し作業を行い, ネック変形開始点から Fig.1 The SEM images for cross section of PET 様々な位置で繊維断面観察を行った. drawn fibers. 3. 結果および成果 Fig.1 に UA と 90 のネック変形部の側面画像 を示す. 90 のネック角は UA と比べ鋭くなり、 90 の場合はネック変形速度が速いことが分か る. 断面観察結果より, ネック変形前とネッ ク変形領域ではボイド形成は観察できないが, ネック変形後に as-spun 繊維の試料はネック 変形開始点から 3.4mm の位置で, 延伸前に熱処 理を行った試料は 1.5mm の位置でボイド形成が Fig.2 The SEM images for side section of PET drawn fibers. 観察できた. 延伸前に熱処理工程を行った試料では as-spun 繊維の試料よりもネック変形開始点に近い 位置でボイドが確認した. つまり延伸前の熱処理はネック変形速度を早くさせ, ボイド形成も早める ため, 延伸後の繊維に, より多くボイドを形成するようと考えられる. 4. 主要文献 1) Andrzej Pawlak, Andrzej Galeski, Artur Rozanski, Progress in Polymer Science, 921-958, 2013 2) 鴨崎 剛, 佐藤学, 伊香賀敏文, 金慶孝, 大越豊, 繊維学会 , 繊維学会予稿集 2015 70-1(Tokyo, Japan):2P215 2015(Jun. 10) 54 DVD , 肌着の生地特性と長時間着用の快適性に関する研究 繊維学部 油井 明日美,細谷 聡 1. 研究目的 肌着を構成する生地の特性が長時間着用における着衣快適性に与える影響を明らかにし,生地特性と 着心地の関係を定量的に捉えることを目的とする.日常用肌着は 1 日中着用し続けるため,実験でも長 時間におよぶ快適性の評価を行う必要がある.本研究では生理計測,主観的評価,物理特性計測を行い, それらの関係性をみていく. 2. 実験 長時間着用実験の計測項目は 2 つである.まず,生理的ストレスを定量化するために心電図計測(CCI 社製のワイヤレス心電図計測システム)を行い,心拍変動解析により自律神経活動(生理的ストレス) の指標とされている LF/HF を求めた.2 つ目は質問紙を用いて SD 法に着用感に関する主観的評価を行っ た.項目は「汗の吸いやすさ」 「汗の乾きやすさ」 「通気性の高さ」 「ひんやり」 「やわらかさ」 「薄さ」 「蒸 れ感」 「べたつき」 「熱のこもらなさ」 「動きやすさ」 「快適」とした.被験者は大学生 20 名(男性 10 名, 女性 10 名)である.試料は表 1 に示す上衣 4 種類である.実験 は試料着用直後と 7.5 時間後に心電図計測とアンケートを行っ た.次に,長時間着用実験の肌着生地に対する物性値計測は, 曲 げ か た さ (KES-FB2) , せ ん 断 G(KES-FB3) , 引 張 り か た さ LT(KES-FB3),引張りエネルギー(KES-FB3) ,通気性(KES-FB8), 接触冷感(KES-FB3),保温性(サーモラボⅡB)である. 3. 結果および成果 長時間着用実験,図 1 は着用直後の LF/HF を 1 として 7.5 時間後の値を示した.試料内では試料 2 に 有意差がみられた.図 2 は 7.5 時間後のアンケート得点(平均値)を示す.評価語 4 項目で試料間に有意 差がみられた.物性値計測,通気性は試料 1 と 2,接触冷感は試料 1 と 3,2 と 4,保温性は試料 2 と 4, 曲げかたさコース方向は試料 1 と 2,2 と 4,せん断 G ウェル方向は試料 1 と 4,3 と 4,せん断 G コー ス方向は試料 1 と 3,引張りかたさ LT ウェル方向試料 2 と 3 以外で試料間に有意差がみられた.生地の 通気抵抗,接触冷感,保温性は含気量や含水量,撚り,厚さなどに依存しているため,これらに関する 生地の特性が生理的、心理的な着心地への影響が定量的に明らかになった. 図1 着用に対する生理的ストレス(LF/HF) 図2 55 着心地の主観的評価 3. その他 文部科学省地(知)の拠点整備事業の支援を受け,平成 27 年度信州アカデミア(信大 COC)事業 COC 研究教育補助の予算により,下記事業に協力した. 平成 27 年度信州アカデミア(信大 COC)事業 COC 研究教育補助 事業開始日: 平性 27 年 8 月 1 日(~平成 28 年 1 月) 研究代表者: 梶浦善太 研究課題名: 地域活性化を目指した蚕・桑・シルクを活用したものづくり 研究協力者:森川英明,茅野誠司,土屋摂子 背景と目的: 地域の特産である養蚕業や絹織物が衰退し,絹文化の継承が難しい状況の中,信州大学繊維学部は繊 維の教育研究の中心として,時代にニーズに合わせ,また伝統を継承しながら蚕糸を守っている.また, 信州大学 SVBL では,桑すべてを使った物作りを目的とした学生団体「桑まるごと活用塾」の支援をし ている.また,養蚕体験で自家繭の生糸づくりを目指す「蚕飼姫プロジェクト」が,繊維学部の農場を 舞台に活動している.これらが一緒になり,お互いの視点で蚕から製品作りまでのアイデアを出し,新 しい物づくりのきっかけにする. 協力内容: ・通信発行 第 1 号(2015 年 8 月号) 第 2 号(2015 年 9 月号) 第 3 号(2015 年 10 月号) 第 4 号(2015 年 11-12 月号) ・下記事業の補助 日時 内容 9 月 28 日(月) 座繰り体験 10 月 6 日(火) 角真綿作り 12 月 10 日(木) 天蚕繰糸体験 場所 講師:湯本左緒里氏(染織作家) 講師:鯰之久美子氏(日本真綿協会) 講師:梶浦教授,金勝教授 座繰り体験 繊維学部 D 棟生物学実験室 15 名 繊維学部D棟生物学実験室 18 名 繊維学部付属大室農場 10 名 角真綿作り 56 参加者 Ⅳ. 資料 1. 事業歴 2015 年度 4 月 2 日,3 日 新 2 年生,新入生ガイダンス 4 月~7 月 共通教育講義「ベンチャービジネス概論」 4 月 6,9 日 学生団体合同ガイダンス 実施 4 月 15 日 ベンチャービジネス概論 特別講演会((株)松本山雅 5 月 19 日,6 月 2,16, 30 日,7 月 14 日 広告セミナー 5 月 28 日~6 月 2 日 大学は美味しいフェア(高島屋新宿店)くわりんとう 5 月 30 日 大学は美味しいフェア見学会 開催 6 月 13,14 日 動画制作ワークショップ 6 月 22,24 日,7 月 6, 事業説明 出講 大月氏)開催 出品 開催 9日 知的財産権セミナー 開催 6 月 26 日 キャンドルワークショップ 開催 6 月 27,28 日 信州ベンチャーコンテスト事前セミナー(長野) 開催 7月5日 信州ベンチャーコンテスト事前セミナー(松本) 開催 7 月 22,23 日 信州ベンチャーコンテスト事前セミナー(上田) 開催 8 月 3,4 日 おもしろサイエンス in 創造館 8 月 5,6,7 日 LCMS,SEM 体験講座 開催 8 月 8,9 日 青少年のための科学の祭典 2015 長野大会 出展 8 月 11 日 JA 松本女性部料理教室と科学の実験 参加 8 月 12 日 信州ベンチャーコンテスト 2015 書類審査 8 月 21,26,31 日 信州ベンチャーコンテストブラッシュアップセミナー 9月3日 JASIS2015 見学ツアー 実施 9 月 11 日 SCANTECH2015 見学ツアー 実施 9 月 11,12 日 全国 VBL フォーラム(横浜) 9 月 12 日 信州ベンチャーコンテスト 2015 開催 9 月 30 日 キャンドルワークショップ 開催 10 月 6,13,20 日 言葉づくりゼミ 開催 10 月 16 日 諏訪圏工業メッセ 見学ツアー 10 月 23,24 日 上田地域産業展 10 月 23,24 日 上田市ハッカソン 参加 11 月 2,9,16 日 編集・画像ソフト GIMP 初心者講座 開催 11 月 7 日 真綿ワークショップ 開催 11 月 15 日~2016 年 3 月 15 日 11 月 16,26 日 出展 実施 実施 参加 実施 出展 海外研修支援 (イギリス マンチェスター大学, Yan Yongjie ) P-DEX 技能検定 (別紙資料 1) 実施 57 11 月 28 日 東京農工大学科学博物館見学会 12 月 3 日 微生物利用工学特別講演会 共催 12 月 6 日 社会人基礎力育成グランプリ 出場 12 月 9~25 日 SEM 写真コンテスト作品 12 月 15 日 フロントランナー講演会(東京大学 堀井氏) 開催 12 月 18 日 キャンドルナイト 協力 12 月 22 日 フロントランナー講演会((株)地域経済活性化支援機構 1 月 8 日,2 月 4 日 キャンドルワークショップ 開催 2月4日 起業家座談会 2 月 5~6 日 おかやものづくりフェア 2月9日 アントレプレナーシップ講演会(登山家 2月9日 アウトドアビジネス創業・経営応援セミナー 共催 2 月 16 日 起業家座談会( (株)イヌパシー 2 月 28 日 アイデアコンテスト観覧ツアー(エッジイノベーション) 3月3日 成果報告会 開催(別紙資料 2) 3 月 5 日,6 日 サイエンスインカレ 見学 3月8日 アイデアコンテスト観覧ツアー(起業家甲子園) 実施 開催 展示 保井氏) 開催 コーヒー教室 開催 58 ものづくりワークショップ 共催 花谷氏)開催 山口氏) 開催 実施 別紙資料(1) P-DEX 技能検定 ●液体クロマトグラフ質量分析装置(LCMS)技能レベル基準表 【初級】 □ LCMS の構造と原理を理解している. 【中級】 ・ 装置の構成について □ 初級講習者への指導を行うことができる. ・ 移動相について ・ 装置の原理・構造について ・ 固定相について ・ 上記初級者の操作項目について ・ 検出器について ・ 装置の操作上の注意について □ ・ イオン化方法について 装置のトラブル発生時の対応ができる. ・ 質量分析方法について □ 装置の起動・終了を行うことができる. □ 試料の前処理を行うことができる. 【上級】 □ 測定パラメータの設定ができる. □ 中級講習者への指導を行うことができる. □ 定性分析方法を理解している. □ 分析条件の選択をすることができる. □ 定量分析方法を理解している. □ 移動相の交換を行うことができる. □ 測定結果を理解することができる. □ カラムの交換を行うことができる. □ 装置の操作上の注意を知っている. □ プローブの交換を行うことができる. □ 質量分析計の分解洗浄をすることができる. ●表面プラズモン共鳴測定装置(SPR)技能レベル基準表 【初級】 □ 機器の原理を理解している. □ 機器の構造を理解している. □ センサーチップ CM5*1)の原理を理解している. □ センサーチップ CM5 を使うことができる. □ アミンカップリング法によって測定することができる. □ 解析ソフトを使って実験結果を編集することができる. □ 解析ソフトによる非線形解析法(分割解析を除く)で反応速度定数を求めることができる. □ 機器の起動・終了を行うことができる. □ 機器の定期的なメンテナンス(Sanitize を除く)を行うことができる. □ 機器のトラブルシューティングを行うことができる. *1)アミノ基,チオール基,アルデヒド基を介して,リガンドを固定化 【中級】 □ 初級講習者への指導を行うことができる. ・機器の原理・構造の説明について ・センサーチップ CM5 の原理・利用法について ・アミンカップリング法の原理・利用法について ・解析ソフトの使い方について ・機器のメンテナンスについて □ Sanitize を行うことができる. □ システムチェックを行うことができる. □ センサーチップ SA*2),NTA*3),HPA*4)の原理を理解している. *2)ビオチン化した DNA,ペプチド,タンパク質を固定化 *3)His-Tag タンパク質を固定化 *4)リン脂質,糖脂質などを固定化 【上級】 59 □ 中級講習者への指導を行うことができる. □ キャプチャー法を行うことができる. □ 濃度測定を行うことができる. □ 未知結合物質のスクリーニングを行うことができる. □ センサーチップ SA,NTA,HPA を使うことができる. □ たんぱく質-たんぱく質相互作用の解析を行うことができる. □ たんぱく質-ペプチド相互作用の解析を行うことができる. □ DNA-たんぱく質相互作用の解析を行うことができる. □ 糖-たんぱく質相互作用の解析を行うことができる. □ 脂質-たんぱく質相互作用の解析を行うことができる. □ 精製・スクリーニングへ応用することができる. □ BIACORE と他の分析手法との組み合わせ・比較を行うことができる. ●走査型電子顕微鏡(SEM)技能レベル基準表 【初級】 □ 機器の起動・停止が行える。 □ 基本的な操作(試料のセット、観察,画像取込・保存)が行える。 □ 適正な試料作成ができる(Ptコーティング装置が使用できる)。 □ 観察条件の変更が行える(高真空→低真空モード)。 □ 簡単なトラブルシューティングについて説明できる。 ・ チャージアップ現象 ・コンタミネーション ・ビームダメージなど 【中級】 □ 初級者に基本操作を指導できる。 □ 機器の内部構造および測定原理について説明できる。 □ (電子ビームを試料に当てた時出てくる情報と特徴も説明できる) □ 加速電圧と像質の関係が説明できる。 □ 3D sight などの様々なソフトを使うことが出来る。 □ 生物系試料の作成ができ観察できる。 □ EDS分析操作ができる。 【上級】 □ 中級者への指導ができる。 □ 画像障害の現れ方と原因が説明できる。 ・像が動く ・試料構造が見えない ・像がゆがむ ・像がざらつく ・明るさが不安定 □ 軸調整ができる。 □ EDS分析のデータ解析とピーク重なりなど判別できる。 □ 様々な試料について,正しいサンプリング(試料作成方法)を行って観察を行うことが出来る。 60 別紙資料(2) 2015 年度 信州大学 SVBL 成果報告会 プログラム 日 時 : 2016 年 3 月 3 日 ( 木 ) 13:00~ 16:00( 受 付 12: 30~ ) 場所:信州大学繊維学部総合研究棟ミーティングルーム 1 主 催 : 信 州 大 学 サ テ ラ イ ト ・ベ ン チ ャ ー ・ビ ジ ネ ス ・ラ ボ ラ ト リ ー ( 信 州 大 学 SVBL) (司会: SVBL 専門部会 繊維学部 准教授 小山俊樹) Ⅰ 開会式 13:00~13:05 SVBL 長 繊維学部 教授 小西 哉 開会の挨拶 Ⅱ SVBL プロジェクト研究 成果報告 13:05~13:55(発表 7 分,質疑応答 3 分) SVBL 助教 中西弘充 「葉緑体遺伝子情報を用いた桑栽培品種の系統解析」 「馬搬林業が創造する多面的市場価値の算出」 SVBL PD 研究員 「産学官連携ネットワークを必要とする希少生物保全の現状について」 SVBL PD 研究員 小西 繭 SVBL 研究員 水野淳史 「イノベーション教育の研究と実践」 SVBL 研究員 大熊ひとみ 「金属ガラスを用いた磁歪式トルクセンサの開発」 Ⅲ SVBL 萌芽研究(専有スペース利用者) 成果報告 13:55~14:10(発表 5 分 質疑応答 2 分) 「永久(酸化)染毛剤によるケラチンフィルムの染色」 「レーザー延伸による多孔性繊維の作製」 Ⅳ 松村哲也 藤井研究室/研究推進員 伊藤弓子 金研究室/先進繊維工学課程 4 年 根崎喜広 研修支援事業 成果報告 14:10~14:25 1) 概要説明(発表:5分) 繊維学部 准教授 平田雄一 2) 海外研修報告(発表:7分,質疑応答:3分) 「アメリカにおけるジーンズの消費および着心地に関する研究」 理工学系研究科 繊維・感性工学専攻 2 年 田島和弥 - 休 14:25~14:45 憩- 61 Ⅴ 学生起業支援 成果報告 14:45~15:15 1)セミナー・講習会 報告 (発表 5 分) SVBL 助教 中西弘充 2) 学生起業活動報告 (発表 5 分、質疑応答 2 分) 「モック活動報告」 「ArkOak 活動報告」 総合工学系研究科 「AgriBone」 Ⅵ 繊維学部 機能機械学課程 3 年 渡邉智洋 生命機能・ファイバー工学専攻 3 年 加納 徹 理工学系研究科 応用生物科学専攻1年 山田貢太郎 分析機器エキスパート(P-DEX)養成事業 / P-DEX 活動報告 15:15~15:45 SVBL 専門部会長 繊維学部 教授 森脇 洋 繊維学部 バイオエンジニアリング課程 3 年 柴田 誠 1) 概要説明(発表 5 分) 2) P-DEX 活動報告 (発表 5 分、質疑応答 2 分) 繊維学部 応用化学課程 3 年 桑原 聖 液体クロマトグラフ質量分析装置(LC-MS) 繊維学部 応用化学課程 3 年 乾 走査電子顕微鏡(SEM) Ⅶ 滉平 閉会式 15:45~16:00 SVBL 運営委員 SVBL 専門部会長 繊維学部 教授 森脇 洋 講評 閉会の辞 記念撮影 懇談会 16:00~ (繊維学部生協 1F、会費 1,000 円、学生無料) P-DEX 技能検定修了式 62 2. 広報 展示会出展 第 8 回「大学は美味しい!!」フェア 日時: 2015 年 5 月 28 日(木)~6 月 2 日(火) 場所: 新宿高島屋 11 階 催会場 展示内容:くわりんとう出展 第 15 回ふしぎ・なるほど・おもしろサイエンス in 上田創造館 2015 日時: 2015 年 8 月 3 日(月) ,4 日(火) 場所: 上田創造館 内容:ミクロの世界にパズルで挑戦! 見えない物を感じよう サーモグラフィ体験,SEM 写真クイズ,マイクロスコープ体験 2015 青少年のための科学の祭典 長野大会 日時: 2015 年 8 月 8 日(土) ,9 日(日) 場所: 信州大学工学部総合研究棟 内容:ミクロの世界にパズルで挑戦! 見えない物を感じよう サーモグラフィ体験,SEM 写真クイズ,マイクロスコープ体験 上田地域産業展 2015 日時: 2015 年 10 月 23 日(金) ,24 日(土) 場所: 上田城跡公園体育館 展示内容:くわりんとう出展 報道歴 月日 報道元 4 月 16 日 日本経済新聞 記事 31 面 林業用ウエア 若者に照準 信大と八戸市森林組合 4 月 16 日 市民タイムス 4 月 17 日 信濃毎日新聞 9月3日 信濃毎日新聞 6 面 デザイン・機能性両立 山雅の挑戦 信大生に講義 大月会長が「成長の軌跡」 26 面 「地域と共に成長できた」運営会社・大月会長 信大で講演 起業アイデア 若者の発想で 松本で12日コンテスト 9 月 13 日 信濃毎日新聞 10 面 起業アイデア 高校生ら提案 松本で「信州ベンチャーコンテスト」 10 月 25 日 信濃毎日新聞 32 面 異業種の人々で作ったチーム アイデア練り成果競う(ハッカソン) 63 3. 業績リスト ◆ 出願特許 1) 川副智行,藤井敏弘:“毛髪ケラチンフィルムを用いた化粧料の機能性評価方法”,特願 2015-197674 ◆ 投稿論文 1) 防護服開発に向けた林内紫外線環境の把握, 松村哲也・工藤義治, 中部森林研究, No.63, (印刷中) (査読有) 2) H. Xia, Y. Hashimoto, T. Morita, T. Hirai, Formation of Polyketone Particle Structure by Hexafluoroisopropanol Solvent Evaporation and Effects of Plasticizer Addition, J. Polym. Sci. Part B: Polym. Phys., 52, 887-892 (2014). 3) H. Xia, T. Hirai, New Shedding Motion, Based on Electroactuation Force, for Micro- and Nanoweaving, Advanced Engineering Materials (ADEM), 15, 962-965 (2013). 4) 平井利博、人工筋肉に求められる伸縮性・耐久性・運動性、Matarial Stage, 月刊マテリアルステ ージ、14 巻4号, 20-22 (2014). 5) 平井利博、ゲルテクノロジーハンドブック、中野義夫監修、第 1 編ゲルの機能・デザイン第 2 章運 動・アクチュエータ、第 1 章誘電性高分子ゲルの電場応答機能、pp.23-29 (2014). 6) Toshihiro Hirai, Soft Actuators, Eds. H.Okuzaki and K.Asaka, Chapter 10. Dielectric Gels, pp.169-182, Springer (2014). 7) Toshihiro Hirai, Soft Actuators, Eds. H.Okuzaki and K.Asaka, Chapter 19. Magnetic Fluid Composite Gels, pp.255-270, Springer (2014). ◆ 投稿論文・総説 1) 藤井敏弘,伊藤弓子: ケラチン付随タンパク質(KAPs)を欠いたヒト毛髪ケラチンフィルムの作製 とその性質. 繊維学会誌(Sen'i Gakkaishi), 71(6), 207-212 (2015) ◆ 学会発表 1) 中西弘充 1, 松村哲也 1, 小西繭 1, 水野淳史 1, 小西哉 1,2(1 信大・SVBL,2 信大・繊維) 「桑葉粉末 を練りこんだ「くわりんとう」の製品開発と販売展開」平成 27 年度日本繊維製品消費科学会年次 大会(上田)2015.6.27.-28. P05. 2) 山田貢太郎 1, 中西弘充 2, 森脇洋 1(1 信大・繊維,2 信大・SVBL)「表面プラズモン共鳴分析 (SPR:Surface Plasmon Resonance) を用いた脂質二重層およびアセチルコリンエステラーゼと水 溶性農薬との相互作用の解析」日本陸水学会甲信越支部会 第 41 回研究発表会(新潟)2015 年 11 月 3) 桜井里奈 1・林田信明 1・中西弘充 2(1 信大・繊維,2 信大・SVBL) 「葉緑体遺伝子情報を用いた桑 64 の系統解析」日本蚕糸学会 中部支部第 71 回研究発表会(松本)2015 年 12 月 4) 桜井里奈 1・林田信明 1・中西弘充 2(1 信大・繊維,2 信大・SVBL) 「葉緑体遺伝子情報を用いた桑 の系統解析」平成 28 年度蚕糸・昆虫機能利用学術講演会(京都)2016 年 3 月 5) 検尺作業の効率化を目指した小型機械の製作と運用, 松村哲也・三木敦朗・斎藤仁志・中西弘充・ 小西 哉, 第 126 回日本森林学会大会, 2015.3.26.-29., 学術講演集 p112. P1A065. 6) チェーンソー防護ズボンの汚れ付着部位, 松村哲也・工藤義治・掛川恵子・小西 消費科学会 2015 年年次大会, 2015.6.27.-28. P52. 哉, 日本繊維製品 7) 防護服開発に向けた林内紫外線環境の把握,松村哲也, 第五回中部森林学会大会研究発表会, 2015.10.3., 講演要旨集 p32. 8) チェーンソー防護ズボンの配色デザイン, 松村哲也・工藤義治, 森林利用学会第 22 回学術研究発表 会・現地見学会, 2015.12.4.-5., 講演要旨集 セッション「作業」 9) 猪股良平,伊藤弓子,比嘉善一,藤井敏弘:各種還元剤を使用して抽出したヒト毛髪タンパク質溶 液からのケラチンフィルムの作製 – シャンプー類評価への適用;第 135 回日本薬学会講演要旨集 28PB-pm131/P172 (2015) 10) 土屋正明,三上翼,小西 繭,森脇洋,野村隆臣.新規アルギン酸資化細菌 Nubsella sp. NT5 の アルギン酸分解能の評価とアルギン酸リアーゼの最適精製条件の検討.生化学会中部支部大会,信 州大学松本キャンパス,2015 年 5 月. 11) 三上翼,土屋正明,小西 繭,森脇洋,野村隆臣.新規アルギン酸資化細菌 Nubsella sp. NT5 の アルギン酸資化関連遺伝子の推定とクローニング.生化学会中部支部大会,信州大学松本キャンパ ス,2015 年 5 月. 12) 土屋正明,三上 翼,小西 繭,森脇 洋,野村隆臣. 新規アルギン酸資化細菌 Nubsella sp. NT5 の特性解析.BMB2015(日本分子生物学会,日本生化学会合同大会),神戸ポートアイランド,2015 年 12 月. 13) 北野 聡, 小西 繭, 田崎伸一, 矢澤諒人.千曲川中流域における魚類の資源利用パターン.第 63 回日本生態学会年会,仙台国際センター,2016 年 3 月. 14) 藤井敏弘,林香,猪股良平,伊藤弓子:ケラチン結合タンパク質を欠いたヒト毛髪ケラチンフィル ムの作製とその性質;第 135 回日本薬学会講演要旨集 28PB-pm132/P173 (2015) 15) 猪股良平,伊藤弓子,川副智行,藤井敏弘:ヒト毛髪ケラチンフィルムの作製と性質;還元-酸化 応答性;第 79 回日本生化学会中部支部 抄録集,P47 (2015) in 信州大学松本キャンパス 16) 伊藤弓子,猪股良平,藤井敏弘:ケラチン結合タンパク質(KAPs)がヒト毛髪ケラチンフィルム に与える影響;第 70 回繊維学会予稿集,70(1) 1P167 (2015) 17) 藤井敏弘,長橋由布子,林香:髪にやさしい水と美味しい水の比較;第 70 回繊維学会予稿集,70(1) 1P168 (2015) 18) 田村朋宏,林香,藤井敏弘:カラーリング剤による染色を評価するためのヒト毛髪ケラチンフィル ムの開発;第 70 回繊維学会予稿集,70(1) 1P270 (2015) 19) 猪股良平,伊藤弓子,藤井敏弘:プレキャスト法を用いた毛髪ケラチンフィルムの作製と性質-還 元,酸化,摩擦,吸着;第 70 回繊維学会予稿集,70(1) 1P271 (2015) 20) 藤井敏弘,林香,児山祥平,伊藤弓子:ヒト毛髪ケラチンフィルムを用いた酸化染毛剤処理による 65 ダメージの分析;第 70 回繊維学会予稿集,70(1) 2G03 (2015) 21) 藤井敏弘,林香,伊藤弓子:ヒト毛髪由来の多様なケラチンフィルムの作製とその性質;日本香粧 品学会第 40 回学術大会 講演要旨, 25 (2015) 22) 比嘉善一,小関道彦,藤井敏弘,川副智行:モデルシャンプー類の設計とケラチンフィルムを利用 した評価-摩擦と吸着-;第 36 回バイオメカニズム学術講演会, 45-46 (2015) 23) 猪股良平,伊藤弓子,藤井敏弘,川副智行:多様な毛髪ケラチンフィルムの作製と諸性質;第 36 回バイオメカニズム学術講演会, 47-48 (2015) 24) (特別講演)平井利博,自律応答材料としての期待 誘電柔軟高分子ゲル・エラストマーの電場応 答機能の可能性—PVC ゲルアクチュエータを中心にー 電場駆動、電気光学機能,センサー機能ま で ー MRS ポストシンポジウム,ソフトアクチュエータ産業化研究会,波止場会館,横浜,12 月 11 日,2015. 25) Hong Xia, Tsuneaki Yamabe, Toshihiro Hirai, Micro/nanofiber Weaving Technology Based on Electroactuation Force, International Symposium on Fiber Science and Technology (ISF 2014), Sept.29-Oct.1, Tokyo (2014). 26) H. Sato, T. Hirai, Electrical Function of Dielectric PVC Gel – Electro-optical function -, #355, International Symposium on Fiber Science and Technology (ISF 2014), Sept.29-Oct.1, Tokyo (2014). 27) M. Takasaki, M. Yoshizawa, N. Fukushi, S. Hoshi, Y. Yamaguchi, Y. Okoshi, T. Hirai, I. Omura, Preparation of Ultra-Fine Fiber of Drug-Loaded Polylactide by Laser-Electrospinning for Controlled Release of Drug, International Symposium on Fiber Science and Technology (ISF 2014), Sept.29-Oct., Tokyo (2014). 28) 田中佑耶,夏紅,佐藤洸,平井利博,高分子ゲルの衝撃センサー機能, 平成 26 年度繊維学会年次 大会, 2D-08, 繊維学会予稿集, 2014. 29) 佐藤洸,平井利博,電場で誘起される PVC ゲルの光弾性現象, 平成 26 年度繊維学会年次大会, 2P-118, 繊維学会予稿集, 2014. 30) Hong Xia, Yoshio Hashimoto, Toru Morita, Toshihiro Hirai, 溶媒 HFIP によるポリケトンの積層 粒子形成と可塑剤の添加効果, 平成 26 年度繊維学会年次大会, 2P-117, 繊維学会予稿集, 2014. ◆国際学会 1) (Keynote Lecture)Toshihiro Hirai, Electro-active Conventional Textile Polymers as Smart Materials – Autonomic Materials, The 2nd France-Japan Conference on Future Fibers and Textiles - Smart Fibers and Materials, INSA, Lyon, France. Dec. 9, 2015. 2) T. Hirai, PVA-gel with colossal dielectric constant can deflect laser beam, ATC-13 2016, Deakin Univ., Australia. Nov.4, 2015. 3) (基調講演)Plenary Lecture: T. Hirai, Soft Dielectric Polymers for Electroactive Materials, Polymeros 2015, Minho Univ., Portugal, Jun. 26-27, 2015. 4) (招待講演)T. Hirai, Plasticized Dielectric Poly(vinyl chloride) as an Electro-active Actuator, EMN Polymer Conference 2015, Jan. 7-10, Orlando, Florida, U.S.A. 66 5) (基調講演)Toshihiro Hirai, Prospect of Future Fiver and Textile Industry –What is ultimate fiber technology?-, The 7th Textile Bioengineering and Informatics Symposium (TBIS & APCC 2014), Aug.6-8, HKPU, Hong Kong, China 2014. Plenary Lecture 6) (招待講演)Toshihiro Hirai, New Possibility of Textile Polymers for Electro-active Materials, Innovative Composites Summit (ICS JE 14),March 11-13, Paris, JEC 2014. Invited Lecture 7) (招待講演)Toshihiro Hirai, Possibility of Dielectric Polymer Gel Actuators: How can they be electrically active? US-Japan Workshop on Soft Matter based Active Materials and Tactile Sensing and Their Integrated Systems, Sheraton Maui, May 21-23 (2014). Invited Lecture 8) (基調講演)Toshihiro Hirai, The movement to the smart fiber & textile development in Japan –Novel functions of dielectric polymers used in fibers and textiles-, Textile International Forum and Exhibition 2014 (TIFE 2014), Oct.1-3, Taipei, Taiwan (2014). Plenary Lecture 9) (招待講演)Toshihiro Hirai, Dielectric polymer gels as an electrically active soft actuator, Conference on the Physics, Chemistry and Biology of Water (the Water Conference 2014), Oct.9-12, Bulgaria, Invited Lecture ◆ 依頼講演・シンポジウム 1) 小西 繭,里山の役割とその重要性についてーシナイモツゴを通じて考えるー,ひみラボ市民公開 講座,氷見市,2015 年 6 月. 2) 小西 繭,里山の役割とその重要性についてーシナイモツゴを通じて考えるー,長野県更級農業高 等学校生物科学学科,長野市,2015 年 9 月. 3) 小西 繭,シナイモツゴと共に生きるには〜.特別講演会「守ろう!地域の淡水魚〜」 ,新潟市水族 館マリンピア日本海,新潟市,2015 年 10 月. 4) 小西 繭,北野聡,尾関雅章,高田啓介.長野県におけるシナイモツゴの保護,シナイモツゴ郷の 会主催 水辺の自然再生共同シンポジウム,東京環境工科専門学校,2015 年 10 月. 5) 小西 繭,絶滅危惧種を通して里山の役割について考える,大妻女子大学家政学部ライフデザイン 学科 小関ゼミ,2015 年 12 月. 6) 小西 繭,シナイモツゴを知っていますか?,松本市生物多様性シンポジウム交流会,松本市 M ウ ィング,2016 年 2 月. ◆研究会発表 1) 小西 繭,シナイモツゴにおける吸虫類の感染拡大について,第 61 回信州生態研究会,信州大学教 育学部,2015 年 12 月. 2) 北野 聡, 小西 繭, 田崎伸一, 矢澤諒人,千曲川中流域における魚類群集の特徴,第 61 回信州生 態研究会,信州大学教育学部,2015 年 12 月. ◆ 著書 1) 林業現場人,道具と技 Vol.13,全国林業改良普及協会,全国林業改良普及協会編,松村哲也 67 ほか 共著 p.97-100. 2015. ◆ 総説 1) 「クワ巨木探索プロジェクト」の試み, 松村哲也・小西 文 63:115-116. 2015. 繭・中西弘充・小西 哉, 中部森林研究 報 ◆ メディア出演 1) FM ラジオ「Oh Happpy Morning」生電話出演 信州ベンチャーコンテスト 2015 の紹介 2015 年 6 月 22 日(月)放送. 2) FM 軽井沢「KARUIZAWA AFTERNOON BLEND」生出演 信州ベンチャーコンテスト 2015 の 紹介 2015 年 7 月 7 日(火)放送. 3) 信州大学 放送公開講座「超最先端×高校生 信大のケンキュウがおもしろすぎる!」 第 4 回放 送内 ミニコーナー リアル信大「サテライト・ベンチャー・ビジネス・ラボラトリーとは?」 2015 年 9 月 5 日(土)放送. ◆ 出前講座 1) 上田高等学校夏季フィールドワーク 2015 年 8 月 3 日(月) 2) 梓川高等学校ブラッシュアップセミナー 2015 年 8 月 31 日(月),9 月 7 日(月) ◆ 受賞 1) 社会人基礎力育成グランプリ 2016 関東地区予選大会 くわでくるみました!~0からの社会人基礎力~ 中西弘充,渡部広機,斎藤悠介,山下愛,佐奈佳梨那 奨励賞 ◆ その他 1) 小西 繭,高学年対象シナイモツゴ学習,長野市立信里小学校,2016 年 6 月. 2) 古川諭,竹内幹,宇原宜雄,髙橋潤,町田千恵子,川口彰,水野淳史,「人口減少に伴う課題に地 域・企業・県民が協働して参加できる仕組みづくりについて」平成 27 年度長野県政策研究報告書, 2016 年 3) 田代晋久,脇若弘之,大熊ひとみ(信州大学) ,牧野彰浩(東北大学),軟磁性金属ガラス溶射によ る磁歪膜を用いたトルクセンサ,科学技術振興機構(JST)新技術説明会,2015 年 3 月. 4) 田代晋久,脇若弘之,大熊ひとみ(信州大学),牧野彰浩(東北大学),軟磁性金属ガラス溶射によ る磁歪膜を用いたトルクセンサ,JST フェア,2015 年 9 月. 68 信州大学サテライト・ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー 活動報告書 平成 27 年度 編集 信州大学 SVBL 活動報告書編集委員会 発行日 平成 28 年 3 月 31 日 発行 信州大学サテライト・ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー(信州大学 SVBL) 〒386-8567 長野県上田市常田 3-15-1 TEL 0268-21-5325 FAX 0268-21-5326 E-MAIL [email protected] URL http://www.svbl.jp/ 無断で複製・転載することを禁じます。 C 2016 信州大学サテライト・ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー ○