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2016(H28)改定 スケジュール(全体)
中小病院の 2016 年診療報酬改定対策 (2016 年 3 月 10 日現在情報) ■改定対策 今回の診療報酬改定は、次回トリプル改定(DPC・診療報酬・介護報酬)を見据える上で重要な 試金石であり、社会保障と税の一体改革で示された「2025 年(平成 37 年)の医療の姿」に向け進 められる「地域包括ケアシステムの推進と医療機能の分化・強化、連携」を重点課題としていま す。 現在進行形の大改革に備えて、各医療機関はどのような機能強化・効率化を進めなければなら ないかが問われる中で、医事担当者はこれらに関する迅速な情報収集とさまざまなシミュレーショ ンを行い、その結果を都度、病院経営幹部へ報告しなければならないでしょう。本レポートは今回 の改定における中小病院の対応例をまとめましたのでご参考になれば幸いです。 ■3 つのポイント ①中医協議論 今回も 2 月上旬(2 月 10 日)答申、3 月上旬(3 月 4 日)告示・通知等が出されましたが、こうした 日程の把握と事前の中医協議論の内容を知っておくことが重要なポイントです。答申や告示・通 知内容を知ってから、どの新規項目を取得していくかを調べるようでは、人の配置で算定できる項 目が多い報酬対策の対応は遅れてしまいます。既に議論は前年から行われており、入院医療・外 来医療・歯科医療・調剤報酬・在宅医療・個別事項、などから自院にかかわる項目を押さえて、迅 速に対応できるような根回・段取りが必要でしょう。 2016(H28)改定 スケジュール(全体) 12月21日(月) 改定率 1月13日(水) 諮問・骨子 1月22日(金) 公聴会 ≪中医協 週2回へ突入(水・金)≫ 1月27日(水) 個別改定項目(短冊) その1 1月29日(金) 個別改定項目(短冊) その2 2月 3日(水) 個別改定項目(短冊) その3 2月10日(水) 答申(点数) 「DPC三種の神器」通知 2月19日(金) DPC係数内示+ 2月26日(金) DPC調査実施説明資料連絡 3月 4日(金) 告示・通知等、~事務連絡 3月 7日(月)~以降、各団体の改定説明会 3月18日(金) 告示DPC機能評価係数ⅠⅡ等 3月31日(木) 疑義解釈 その1 ~ 届出4月14日(木)まで ツリー図・定義テーブル・電子点数表 2016(H28)改定 中医協議論まとめ 入院医療 その1 その2 その3 その4 その5 その6 その7 2015年3月4日 2015年6月10日 2015年10月14日 2015年10月23日 2015年10月28日 2015年11月25日 2015年12月9日 外来医療 その1 2015年4月8日 その2 2015年9月30日 その3 2015年11月18日 歯科医療 その1 2015年7月22日 その2 2015年11月20日 調剤報酬 その1 その2 2015年7月22日 2015年12月4日 在宅医療 その1 その2 その3 2015年2月18日 2015年5月27日 2015年10月7日 個別事項 その1 その2 その3 その4 その5 その6 その7 その8 2015年10月21日 2015年10月23日 2015年11月4日 2015年11月6日 2015年12月2日 2015年12月11日 2015年12月11日 2015年12月16日 ②各専門職団体の動向 人の配置や研修状況、モノの有無、診療件数実績等により算定する項目が多い中で、医事単独 の診療報酬対策には限界があるのが事実です。各部署のキーマンを巻き込んだ対策がポイント になります。 例えば、答申日の当日には各専門職団体(例;リハビリ、管理栄養士、薬剤師、など)がその職 種に関係する部分のみ抜粋してとりまとめて会員に通知するなど、所属学会・協会等の情報を素 早く入手できる各専門職に聞くこと、餅は餅屋でその道のことはやはり専門家が一番良く知ってい ます。多職種の診療報酬部分「○○師(士)会協会」所属の各専門職の視点で算定が可能かどう かの判断を見極めてもらうことも重要です。 ③シミュレーション 改定前と比べて具体的にどの項目が自院の医業収益増減に影響を及ぼすのか、DPC 別や診 療報酬区分別などのシミュレーションを行い、その結果次第で経営戦略の適宜修正を図って行く ことが重要です。経営(判断)には正確で正しい情報が必要です。自院の経営幹部へシミュレーシ ョン結果を適宜報告する行動は重要なポイントになります。 その重要な取り組みである改定シミュレーションと対策について次にご紹介致します。 ■DPC シミュレーション 今年は 2 月 19 日に厚労省 DPC 調査班より係数内示連絡がありましたが、その内容には係数を 算出した元データと次年度の新しい DPC 三種の神器(ツリー図・定義テーブル・電子点数表)など が含まれています。この厚労省返却データと新マスターから新旧点数比較の移行シミュレーション を行います。 筆者の所属する九州医事研究会では会員向けに自動シミュレーションツール(無料)が配布され ているので、そのツールを利用して、返却ファイル「施設コード_患者別返却データ」エクセルファイ ルの AO 列「H26 年度 DPC」と AR 列「H28 年度 DPC」を上記会員提供ファイルのシート「作業シー ト」に貼り付け、処理開始をクリックすると 1 分ほどで結果が算出されます。移行後の入院収入の 変化や件数ランク順、日数の変動が大きい DPC 分類が明らかになるなど、こういったツールを利 用することで作業効率が大幅に捗ります。 H28DPC点数置換試算 件数TOP20 ■新 DPC 点数変遷 2016 年度 DPC 改訂では、CCP マトリックスが脳梗塞、肺炎、糖尿病の 3 疾患に導入されたこと や機能評価係数Ⅱ8 番目に重症度指数が追加、入院期間Ⅲ日数・点数が 30 の整数倍で調整さ れるなど算定ルールが見直された他、提出データでは H ファイル(重症度、医療・看護必要度デー タ)や持参薬(EF ファイル)、回復期リハビリテーション病棟がある病院は FIM 得点データの収集が あるなど、大幅な変更がありました。 こうした中、変更点を押させることと同時に、自院の上位 DPC 件数の入院期間別・点数等の変 遷を医局・病床管理担当へ速やかに情報提供することがポイントです。例として肺炎、誤嚥性肺 炎 狭心症等+心カテ、狭心症等+PCI 術、2 型糖尿病など、症例数が多い分類の入院期間や点 数の変遷を示し、4 月以降のパスやベッドコントロールをイメージしてもらいます。 040080xx99x00x 肺炎 (14日入院の場合) 係数の変動がなければ 1520点 増点 となった改定。 040081xx99x00x 誤嚥性肺炎 (H24より新設) (入院期間Ⅰ) 肺炎 7日 2,977点 誤嚥性肺炎 10日 2,774点 (参考)地域包括 3,008点 (14日入院の場合) DPC点数 累計比較 肺炎 36,246点 誤嚥性肺炎 35,940点 (14日入院の場合) 係数の変動がなければ 218点 増点 となった改定。 306点差 050050xx99100x 狭心症等+心カテ (4日入院の場合) 係数の変動がなければ -395点 減点 となった改定。 050050xx02x0xx 狭心症等+ステント留置術 (9日入院の場合) 係数の変動がなければ 20点 増点 となった改定。 10070xxxxxxxx 2型糖尿病 (糖尿病性ケトアシドーシス) (14日入院の場合) 係数の変動がなければ -2,898 減点 となった改定。 ■新旧点数比較 今年は 3 月 4 日に告示・通知がありましたが、同日に厚労省保険局が運用している「診療報酬情 報提供サービス」においても新改定に対応したマスターが公開されます。3 月 4 日段階の次年度 の新診療行為マスター(7,379 件)、医薬品マスター(20,615 件)、特定器材マスター(1,302 件)をダ ウンロードし、これに前年度までのレセ電算診療行為コード旧点数との差を出すことで、新旧点数 増減シミュレーションが可能になります。 また、医薬品・特定器材の薬価・価格差は医薬材購入契約交渉で重要な情報になるため、速や かに総務・経理等へ報告することも重要です。 筆者の所属する九州医事研究会ではこのファイルも会員向けに無料配布されているので、ファ イルを利用して、自院の適当な該当月や該当年の行為別データ(件数)を反映させ、告示・通知日 の当日には新旧改定点数の影響度が算出可能です。主要改定項目にある「(新)」140 項目や 「(新設)」131 項目などの新マスターには自院の算定見通しで予想件数を入力し、医業収益増減 シミュレーションを行います。新旧比較のみ抜粋したり、新項目のみ別枠にするなど医療機関によ って報告の仕方はさまざまです。 改 定 新 旧 点 数 比 較 ■まとめ 中小病院の 2016 年診療報酬改定対策と題し簡単に取り組みを紹介しましたが、こういった対策 ノウハウを教わることや、最新の改定情報を入手するために最も効率が良いのは、全国医事研究 会や筆者の所属する九州医事研究会など、地域の医事担当者同士が交流できる会に所属するこ とだと思います。 餅は餅屋でその道のことはやはり診療報酬に詳しい専門家が一番良く知っています。その医事 担当者が集まっている地域の勉強会や SNS 等にある診療報酬改定グループに入ることで情報ア ンテナを張り巡らせることができます。まずはお住まいの地域の医事勉強会等を探されてみては 如何でしょうか。きっと良い出会いが待っています。 また 3 月 4 日の告示・通知後に各地方厚生局では「平成 28 年度診療報酬改定に関する問い合 わせ(質問)について」の案内を出しました(※九州・中国地域を除く)。こういった情報も、地域の 研究会に所属していれば速やかに情報が入手でき、算定方法等に悩まず、すぐ質問・問い合わ せが行えます。 ※九州・中国地域は未掲載ですが、集団指導時に質問票が配布されますので、参加施設より情 報が得られます。 (例:関東信越厚生局、茨城事務所の平成 28 年度診療報酬改定関係疑義照会票)