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ウイル ス性 腫瘍 の発育鶏卵 内培養 に関す る研究
616-006. 04: 576. 8. 093. 3 ウ イ ル ス性 腫 瘍 の 発 育 鶏 卵 内 培 養 に 関 す る 研 究 第2編 マ ウ ス 白 血 病 並 び に 乳 癌 よ り得 ら れ た ウ イ ル ス 材 料 の 発 育 鶏 卵 内 培 養 岡山大学医学 部平木内科教室(主 任:平 木 石 濱 真 治 〔 昭和38年9月20日 内 容 潔教授) 受稿〕 目 次 1.鶏 胎 児 生存 率 第2章 実 験 材 料 及 び実 験 方 法 2.鶏 胎 児臓 器の 肉 眼的 変 化 第3章 実 験 成 績 3.鶏 胎 児肝 臓 の組 織 学 的変 化 第1章 緒 言 I.漿 尿膜上接種 III.卵 黄 嚢 内接 種 1.鶏 胎児生存率 1.鶏 胎 児生 存 率 2.漿 尿 膜 並 び に鶏 胎 児 臓 器 の 肉眼 的 2.鶏 胎 児臓 器 の 肉眼 的 変 化 3.鶏 胎 児肝 臓 の組 織 学 的変 化 変化 3.漿 尿 膜 並 び に鶏 胎 児 肝臓 の組 織学 的変 化 第4章 総 括 並 び に考案 第5章 結 論 II.尿 膜 腔 内接 種 第1章 緒 C3H系 言 ウ イ ル ス の 発 育 鶏 卵 内 培 養 は, and Goodpasture等17)がfowl 1931年Woodruff pox virusを マ ウス 乳 癌 を 用 い て,濾 過 管通 過 法並 び に Fluorocarbon処 理 法 によつ て ウイル ス材 料 を 得て, 孵 化鶏 これ を 発育 鶏 卵漿 尿 膜上,尿 膜 腔 内 並 びに 卵黄 嚢 内 へ接 種 し,腫 瘍 ウ イル ス に よ る漿 尿膜 の変 化並 び に 卵 の 漿 尿 膜 に 接 種 し,そ こ に ウ イ ル ス が 増 殖 して 該 膜 の 肉 眼 的 変 化 を 来 し,又 組 織 学 的 に定 型 的 な封 入 体 を 含 ん だ 病 変 を 認 め た 事 を 報 告 し て 以 来,感 染 ウ その 孵 化鶏 胎 児 に及 ぼ す影 響 を観 察 し,興 味 あ る知 見 を 得 たの で ここ に報告 す る. 第2章 実験 材 料 及び 実 験方 法 イル スにつ い て は牛 痘 ウイ ル スを始 め単 純 胞疹 ウ イ ル ス,脊 髄 前 角 炎 ウ イ ル ス,麻 炎 ウ イ ル ス,デ 疹 ウ イ ル ス.日 ン グ熱 ウ イ ル ス,更 ザ ウ イ ル ス 等 に つ い て,多 本脳 に イ ン フル エ ン くの 研 究 者 に よ つ て 試 み られ て き た. Rousが and Goodpasture17)の 研 究 よ り以 前 に 家 鶏 肉腫 の 無 細 胞抽 出液 を 孵 化鶏 胎 児 に接 種 し,そ 存 のC58系 の 発 育 状 態 を 観 察 した 報 告 が み ら れ る が, そ の 後1938年KeughがRousの 1952年 隅 岡20)がVirus が 白 血 病 ウ イ ル ス の, 肉 腫 ウ イ ル ス の, HSTの, 1956年Graffi21) 1958年Prince22)がRousの 肉 腫 ウ イ ル ス の 発 育 鶏 卵 内 培 養 を 試 み て い る. マ ウ ス 骨 髄 性 白 血 病,淋 巴 性 白血病 並びに 巴 性 白血 病)OHS-ML(骨 血 病)の 脾 臓 とC3H系 髄性 白 マ ウス に 自然発 生 し た 乳 癌 の腫 瘍組 織 よ り得 られ た ウ イル ス材 料 を使 用 した. 又対 照 と して は健康 なC58系 マ ウ スの脾 臓 並 びに Cb系, D103系 マ ウスの 乳腺 組織 よ り得 られ た ウ イ ル ス材 料を 用 い た. 使 用鶏 卵:全 て レ グホー ン系家 鶏 の 受精 卵 を用 い, 漿 尿膜 上 接 種並 びに尿 膜 腔 内接 種 で は孵 化10∼12日 卵 を 卵黄 嚢 内接 種 で は3∼5日 第2節 実 験方 法 私 は教 室保 存 の マ ウ ス の ウ イ ル ス 性 腫 瘍即 ち C58系 マ ウ スの細 胞 移植 で 継 代 して い る 白血 病株OHS-LL(淋 一 方 腫 瘍 ウ イ ル ス の 鶏 卵 内 培 養 に 関 して の 研 究 は Woodruff 第1節 実 験 材料 接 種 材 料:岡 山 大学 マ ウス コロニ ー並 び に教 室保 1.ウ イル ス精製 法 卵 を 用 いた. 924 石 濾 過 管 通 過 法:図1の マ ウ ス 淋 巴 性,骨 kefeld-N又 ち 髄 性 白 血 病 脾 並 び に 乳 癌 組 織3g を 無 菌 的 に 摘 出 し,生 に か け10%乳 如 き 方 法 で 行 な つ た.即 浜 はChamberland-L3を Fluorocarbon処 carbon く,脾 C 理 法: CL Epstein23)の 方 法 に 準 じ, F2(Difron-Solvent 液 状Fluoro 下 し,外 部 か ら観 察 し得 るよ うに人 工気 室 の上 を カ バー グ ラスで 覆 い,パ ラフ ィ S)を 接 種 後毎 日気 室部 よ り光源 をあ て て,カ バ ー グ ラ ス上 よ り漿尿 膜 の形 態 を観 察 し,又 一 部開 卵 を行 な 用 い 漿尿 膜 を摘 出 し生 理食 塩 水 に浸 した 後,黒 紙 上 に ぼ透 明 と なつ た上 清 を ウ て膜 面 を肉 眼 的に 観 察 した.次 い で 漿尿 膜 並 びに鶏 イ ル ス 材 料 と し た. 胎 児肝 臓 を 固定 し, H. E染 色 を施 し て 組 織学 的 変 ∼4℃ 的 に 行 な つ た. の 冷 凍 室 内 で 全 く無 菌 化 を観 察 した. 尿膜 腔 内接 種:鶏 卵 の気 室 部 を上 に して 固定 し気 図1. 1.濾 and Burnet14)氏 の方法 ン にて 密封 し, 37℃ の孵 卵 器 に入 れ た. 除 蛋 白 し,ほ 上 記 操 作 は 全 て0℃ 種 方 法 及 び観 察 方法 ル ス材 料 を0.25cc滴 用 い て 濾 過 し濾 液 並 び に 乳 癌 組 織3gを CL2F-C い て5∼7回 2.接 に従 つ て,人 工 気 室 をつ くり,漿 尿膜 上 に接 種 ウイ 転 遠 沈 後 上 清 をBer を ウ イ ル ス 材 料 と した. 図2の)如 治 漿 尿 膜上 接 種: Bewerdge 理 食 塩 水 を 加 え てHomgenizer 剤 と し, 3000回 真 室 部 中 央の 卵 殻 の小 部 分を 消 毒 し て 錐 で 小 孔 を あ け, 1/2針 をつ け た ツベ ル ク リン注射 器 を 用 い,こ 過 管 通 過 法. の孔 を 通 じて 注射 針 の1.5cm迄 材 料 を0.25ccゆ 封 し37℃ さ し込 み ウ イル ス つ くり注 入 し た.接 種後 小 孔 を密 の 孵卵 器 に 入 れ た.以 後毎 日気 室 部 中央 よ り光 源 を あて て鶏 卵 を 回転 し,血 管 陰 影 の壱無 に よ り卵 の生 死 を 観察 し,又 一部 開 卵 を行 な い鶏胎 児 肝臓 を固定 しH. F染 色 を施 して組 織 学 的 変化 を観 察 した. 卵 黄 嚢 内接 種:尿 膜 腔 内接 種 法 と同様 に気 室 部 中 図2. 2. Fluorocarbon処 理 法. 央 の 卵殻 に 小孔 を 開 け,滅 菌 した注 射器 を 用い て, この 孔 よ り垂直 に3cm迄 を0.25ccゆ 一 気 に入 れ ウ イル ス材 料 つ くりと注 入 した.こ の際 念 の為 注 射 器の 内筒 を 引 き,卵 黄 の逆 流 を確 認 した.接 種 後 小 孔 を密封 し37℃ の 孵 卵 器 に 入 れ,尿 膜 腔 内接 種 法 と同 様 に して観 察 した. 第3章 実 験 成 績 I.漿 尿膜 上 接 種 1.鶏 胎 児生 存率(表1) 濾 過管 通 過法 に よ り得 られ た ウ イル ス材料 接 種: 骨 髄性 白血 病並 び に淋 巴性 白血 病 ウイ ル ス材料 接種 で は全 て順 調 に発 育 をつ づ け21日 目に 孵化 した.乳 第 一 表 濾 過 管 通過 法 に よ り得 られ た ウイル ス 材料 の 漿尿 膜 上 接種. ウイ ル ス性 腫 瘍 の発 育 鶏 卵 内培 養 に関 す る研究 Fluorocarbon処 理 法 に よ り得 られ た ウ イル ス 第 二 表 Fluorocarbon処 材料 の漿 尿 膜 上接 種 に鶏胎 児の 死亡 を みた が残 り28例 は順 調 な発 育 を示 し, 21日 目に孵 化 した.又 健 康 マ ウ ス碑 並 び に 乳腺 組 織を 用い た対 照 群 で は接 種 後 鶏 胎 児 は全 て 順 調 に 孵 化 した. Fluorocarbon処 理 法 に よ り得 られ た ウイル ス材料 接 種:骨 髄 性 白血 病 並 び に淋 巴性 白血 病 ウ イル ス材 料接 種 で は全 て順 調 に 発 育 をつ づ け21日 目に 孵 化 し た.乳 癌 ウ イル ス 材料 接 種 で は24例 中4例 は接 種後 り20例 は順 調 に 発育 し孵 化 した.一 方 健 康 マ ウス脾 並 び に乳 腺組 織 を用い た対 照 群 で は鶏 胎 児 は全 て 順 調 に孵 化 した. 2.漿 3.漿 尿膜 並 びに胎 児 肝臓 の組 織学 的変 化 a)濾 過 管通 過 法 に よ り得 られ た ウ イル ス材 料 接 種 i)骨 髄性 白血病 ウイル ス材 料接 種 漿尿 膜 の変 化:接 種後3日 目,並 び に4日 目で は 漿 尿膜 は浮腫 状 とな り,一 部 で線 維芽 細 胞 の増 殖 が 強 くそ の部 で は血 管 内膜 細 胞 も腫 大 し管 腔 が著 し く 狭 小 乃 至閉 塞 し,遊 走細 胞 の 浸潤 は少 な く一種 の瘢 痕 様 改築 像 を 示 して い た.又 そ の周 辺 の漿 尿膜 では 浮 腫 状 の間 質 に軽 度 に線 維 芽細 胞 が ふ え単 球様 細 胞 の浸 潤増 生 が あ り,好 酸 球 の 浸潤 は 少数 み られ るに 過 ぎず組 織 球様 細 胞 が主 体を な し一種 の 肉芽 炎 症 の 尿 膜 並 び に鶏 胎 児臓 器 の 肉眼 的 変化 漿尿膜 の肥 厚,充 血,溷 濁,白 斑,浮 腫 状 変 化並 びに 出血 の有 無 と鶏 胎 児 の肺,肝,脾 理 法に よ り得 られ た 乳 癌 ウ イル ス 材 料 の 漿 尿 膜 上 接 種 癌 ウイル ス材 料接 種 で は30例 中2例 は接 種 後3日 目 4日 目に鶏 胎 児 の死 亡 を み たが,残 925 の 肉眼 的 変 化 所 見 を呈 し,そ の中 に1∼2個 の 核分 裂 像 がみ られ, 被 覆 上皮 細 胞 は腫 大 し核 周 に空 胞 を認 めた.接 種 後 5日 目で は間質 は浮腫 状 とな り毛 細 管 は拡 張 し,極 につ き観 察 した. 濾過 管通 過 法 に よ り得 られ た ウ イル ス材 料 接 種: く少 数 の単 球様 細 胞 が血 管周 囲 に浸潤 し,外 側 被 覆 いづれ に も漿 尿膜 上 の 接 種 部 位 に接 種 後3日 目頃 よ 上 皮 に軽 度 な が らび ま ん性 の増 殖 を認 め,個 々の 上 り極 く軽 度 の充 血 並 びに 浮腫 状 変 化 を 認 めた が,鶏 皮 細 胞 は やや腫 大 し表 層 は好酸 性 に染 ま り核破 潰 を 胎 児に は何 ら変 化 をみ な かつ た. 認 め,多 核 白血 球 並 び に好 酸球 が 少 数上 皮 表 層に 集 Fluorocarbon処 理 法 に よ り得 られ た ウイル ス 材料 接 種:骨 髄 性 白血 病 並 び に淋 巴性 白血 病 ウ イル ス材 つ て い た(写 真2). 胎児 肝 臓 の変 化:接 種後3日 目で は殆 ん ど変 化 を 料 接種 のい ず れ に も漿尿 膜 の接 種 部位 に軽 度 の肥 厚, みな か つ た. 4日 目で は細 胞 質 に空 胞 の形成 のみ ら 充 血,溷 濁,浮 腫 状 変 化 等 をみ た が,出 血 及 び壊 死 れ る他 著変 を み なか つ た. 5日 目 も殆 ん ど変 化を み はみ られな かつ た.又 鶏胎 児 臓 器に はい ず れ に も認 ない が,グ む べ き変 化 は なか つ た.乳 癌 ウ イル ス材 料接 種 では 並 び に 星芒 状細 胞 の 活 性 化 と少 数の 円 形細 胞浸 潤 を リソン氏 鞘 周辺 に僅 かに 実質 細 胞 の萎 縮 24例 の 中接種 部 位 の 漿尿 膜 に 変 化を認 め た の は16例 認 め た. で67%で あつ た.漿 尿 膜 の 変 化 を みた 例 で は接 種 後 ii)淋 巴性 白血 病 ウイル ス材 料接 種 2日 目 よ り漸 次 充 血,溷 濁,浮 腫 状 変 化 が 出現 し, 漿尿 膜 の 変 化:接 種 後3日 目並 び に4日 目で は漿 5∼6日 目で は上 記変 化 は一段 と強 くな り肥 厚 並 び 尿 膜 は や や充 血 を示 す他 著変 をみ な かつ た. 5日 目 に腫瘍 様膨 隆 を認 め た.こ の 変 化は可 視 で き る漿 尿 で は 間質 は軽 度 に浮腫 状 とな り少 数 の単 球 様細 胞 の 膜 の大 部 分 に及 ん でい た.(写 真1)(表2)又 浸 潤 がみ られ,被 覆 上 皮 はわ ず か に増殖 をみ た(写 鶏胎 児 臓器 に は何 ら認 むべ き変 化 は な かつ た.一 方 健 康 真3). マ ウス脾並 び に乳 腺 を用 い た対 照 群 で は極 く軽 度 の 胎 児肝 臓 の 変 化:い ず れに も変 化を み なか つ た. 溷 濁を み る のみ るのみ で鶏 胎 児臓 器 には 変化 が な か iii)乳 癌 ウイ ル ス材 料接 種 つ た. 漿尿膜 の変 化:接 種 後3日 目で は上 皮 は絨毛 状 に 926 石 浜 真 治 腫 張 し血 管 拡 張 が み られ,間 質 は怪 度 に浮 腫 状 を 呈 細胞 並 び に 単球 様 細胞 を伴 つ た び まん性 の炎症 性 浸 した. 4日 目, 5日 目 で は漿尿 膜 は浮 腫状 で充 血 し, 潤 がみ られ た.又 被 覆上 皮 の所 々が 増殖 し,一 部 に 血 管 周 囲 に単 球 様細 胞 の浸 潤 が軽 度 に み られ,又 外 類壊 死 に 陥 つ た結 節状 組 織 の 附着 が 認 め られ た. 7 被 覆 下 に も少 数 の 浸 潤 がみ られ た. 6日 目 で は漿尿 日 目では 漿 尿膜 は浮腫 状 とな り,充 血並 びに 出血 を 膜 の肥 厚が 中等 度 に な り,間 質 は軽 度 な 線維 化の 傾 認 め被 覆 上 皮表 面 に は多 核 白血 球,好 酸 球 並 び に形 向を 来 し,上 皮 細 胞 は腫 大 し変性 像 を 示 した(写 真 質細 胞 の 浸 潤 がみ られ被 覆 上皮 の増 殖 をみ た. 8日 4). 目で は浸 出性 変 化 は 少 し減 少 し間 質 の一 部 は 尚浮腫 胎 児 肝臓 の変 化:い ずれ に も充 血 を み る他 著 変 は なか つ た. 状 で あ るが,他 の 部 で線 維 芽細 胞 の増 殖 が 著 明 とな り,被 覆 上 皮 の増殖 も著 明 にみ られ た iv)健 康 マ ウ ス脾並 びに 乳 腺 を用 い た 対 照 群 で は いず れ に も漿尿 膜 並 び に胎 児 肝臓 に於 い て著 変 は認 め なか つ た. (写真7). 胎 児 肝臓 の変 化:接 種 後3日 目 よ り6日 目迄 観察 したが 著 明 な変 化 はな か つ た. b) Fluorocarbon処 理 法 に よ り得 ら れ た ウ イル ス 材料 接 種 iv)健 康 マ ウス脾 並 び に乳 腺 を用 いた 対照 群 で は 漿尿 膜 並 び に胎 児肝 臓 に於 いて 著 明 な変 化 は認 め ら i)骨 髄 性 白血 病 ウイル ス材料 接 種 漿 尿 膜 の 変 化:接 種 後3日 目, 4日 目で は漿 尿膜 は浮 腫 状 に肥 厚 し,遊 走細 胞 の浸 潤 は強 くな いが 間 質 の一 部 で 線維 芽 細 胞 の増 殖 が み られ,こ の部 で上 皮 の結 節 状 増殖 を認 め た. 5日 目で は上 記変 化の他 に血 管 周 囲 に 少数 の 線維 芽 細 胞 の増 殖 を み た(写 真 5). 胎 児 肝臓 の変 化:接 種後3日 目 で細 胞質 は全 般 に 膨 化 し空 胞 を認 め た. 4日 目で は同 様 の変 化 の 他細 胞 質 に大小 不 規 則 な 空胞 形 成 をみ,び ま ん性 に実質 変性 像 が み られ,実 質 内の1, 2個 所 に小 さい限 局 性壊 死 巣 の 遺残 が あ り,こ の 部 で肝 細 胞 の脱 落 が あ り星 芒 状細 胞 のみ 活 性 を有 して残 り,粗 い網 眼 構造 れ なか つ た. II.尿 膜 腔 内接 種 1.鶏 胎 児生 存率(表3) 濾 過 管通 過 法 に よ り得 られた ウイ ル ス材 料 接種: 骨 髄 性 白血 病 ウイ ル ス材料 接 種 で は25例 中接 種 後2 日目 に1例 死 亡 した他 全例 順 調 に 孵 化 し, 96%の 生 存 率 をみ た,淋 巴性 白血病 ウ イル ス材 料接 種 で は全 例 順 調 に孵 化 した.乳 癌 ウイル ス材 料 接種 で は25例 中3例 に死 亡を み た他 全例 順 調 に孵 化 し, 88%の 生 存率 を み た.又 健 康 マ ウス脾 並 び に乳 腺 を用 い た対 照 群 で は全 例 順調 に孵 化 した. 第 三 表 濾 過管 通 過 法 に よ り得 られ た ウイル ス を示 した.又 遊 離 し濃縮 した肝 細 胞 少 数 が散 見 され 材 料 の 尿膜 腔 内接 種 痕 跡 的 に多核 白血 球 も散見 され るが,成 熟 動 物 に於 け る よ うな 活動 性 の 細 胞浸 潤 はみ られ な かつ た. ii)淋 巴性 白血 病 ウイル ス 材料 接 種 漿 尿 膜 の 変 化:接 種 後3日 目, 4日 目で は漿尿 膜 は や や浮腫 状 を呈 し, 5日 目で は上 記 変 化 の他被 覆 上 皮 は僅 か に増 殖 傾 向 を示 した(写 真6). 胎 児 肝臓 の変 化:接 種 後3日 目よ り5日 目迄 で は グ リソ ン氏 鞘 の極 く一 部 に好 酸球 並 びに単 球 様 細胞 Fluorocarbon処 理法 に よ り得 られ た ウイル ス材料 の尿 膜膜 内 接種 . 数個 の 集 積 よ りな る小結 節 を み た. iii)乳 癌 ウ イル ス材 料 接 種 漿 尿膜 の変 化:接 種後3日 目で は漿尿 膜 の 軽 度 の 肥 厚 が み られ, 4日 目で は漿 尿膜 は充 血強 く一 部 出 血 が み られ膜 の 肥厚 が著 明 に み られ,間 質 は浮腫 状 とな り線維 芽 細 胞 の増 殖,多 核 白血 球並 び に好 酸球 の 浸 潤 をみ,被 覆上 皮 の 増殖 が軽 度 に み られ た. 5 Fluorocarbon処 理 法 に よ り得 られ た ウ イルス材 料 日 目, 6日 目で は漿 尿 膜 は 浮腫 状 に 肥厚 し,間 質 結 接 種:骨 髄 性 白血 病 ウ イル ス材 料 接 種で は25例 中接 合組 織 は膨 化 し,好 酸 球 を主 と し,こ れ に淋 巴球 様 種 後3日 目に鶏胎 児 は2例 死 亡 した他 全 卵順 調 に発 ウ イル ス性 腫 瘍 の 発 育 鶏 卵内 培 養 に関 す る研究 927 育 し, 92%の 生 存率 を み た.淋 巴性 白血 病 ウイ ルス III.卵 黄嚢 内 接種 材料 接種 で は全 卵順 調 に 発 育 し孵 化 した.乳 癌 ウ イ 1.鶏 ル ス材料 接腫 で は25例 中4例 接 種 後3日 目迄 に死 亡 濾 過 管 通過 法 に よ り得 られた ウイル ス 材料 接種: し, 84%の 生 存率 を示 した.一 方 健 康 マ ウス脾 並 び 骨 髄 性 白血 病 ウ イル ス材 料接 種 で は25例 中接 種後5 に乳腺 を用 い た対 照群 で は全 例順 調 に孵 化 した. 2.鶏 に つ いて 観 察 した がい ずれに も肉眼 的変 化 は な かつ た. 3.鶏 5) 日目迄 に19例 死 亡 し, 9日 目迄 に全 例 死 亡 した.淋 巴性 白血病 ウ イル ス材 料接 種 で は25例 中接 種 後9日 胎 児臓 器 の 肉眼 的 変 化 主 と して鶏 胎 児肺,肝,脾 胎 児 生 存率(表4, 目迄 に15例, 12日 目迄 に全 例 死亡 した.乳 癌 ウイル ス材 料 接 種 では25例 中,接 種 後5日 目迄 に全例 死 亡 した.一 方健 康 マ ウ ス脾 並 び に乳 腺 を 用い た対 照 群 胎 児肝 臓 の組 織 学 的 変 化 で は8例 中接 種 後5日 目迄 に3例, 濾過 管通 過法 に よ り得 られた ウイ ル ス材 料接 種: いずれ に も何 ら著 明な 変 化 を認 めな かつ た. 9日 目迄 に2例 死亡 し,残 り3例 は順 調 に孵 化 した. Fluorocarbon処 理法 に よ り得 られ た ウ イル ス材 料 Fluorocarbon処 理 法 に よ り得 られ た ウイル ス材料 接 種:骨 髄 性 白血 病 並 び に乳 癌 ウイル ス材 料接 種 で 接 種:骨 髄 性 白血 病 並 び に淋 巴性 白血病 ウ イル ス材 は いず れ も25例 中接 種 後5日 目迄 に全例 の死亡 を み 料接種 で はい ず れ に も著 明 な変 化は み られな か つ た た.淋 巴 性 白血 病 ウイル ス料 材接 種 で は25例 中接 種 が,乳 癌 ウイル ス材 料 接 種 で は接 種 後4日 目並 び に 後5日 目迄 に20例, 5日 目に於 い て肝 に附 属 した軟 部 組 織 及 び血 管 周 囲 方 健康 マ ウス脾 並 び に乳 腺 を用 いた 群 で は11例 中接 に円形 細胞 並 び に 好酸 球 の 浸潤 がみ られ た.一 方健 種 後9日 迄 に6例 死 亡 し,他 は 順調 に孵 化 した. 9日 目迄 に は全 例死 亡 した.一 康 マ ウス脾 並 び に 乳腺 を 用 い た対 照 群 で は何 ら組織 2.鶏 学 的 に変 化を み な かつ た. 主 と して鶏 胎 児肺,肝,脾 第 四 表 第 五 表 胎 兎 臓 器 の 肉眼 的変 化 につ き観察 したが,い 濾 過管 通 過 法 に よ り得 られ た ウイル ス材 料 の 卵黄 襄 内接 種 Fluorocarbon処 理 法 に よ り得 ら れ た マ イ ル ス 材 料 の 卵 黄 襄 内 接 種 928 石 浜 ず れ に も肉眼 的変 化 を みな かつ た. 3.鶏 真 治 さて 私 は マ ウ ス 白血病 脾 並 び に乳 癌 組 織 よ り得 ら 胎児 肝 臓 の 組 織学 的変 化 れ た ウイル ス 材料 につ い て孵 化 鶏卵 内培 養 を試 み前 濾 過 管 通過 法 に よ り得 られた ウ イル ス材 料接 種: いず れ も組織 学 的著 変 を認 めな か つ た. 述 の如 き成 績 を得 た が,こ れ を総 括 す ると次 の如 く で あ る. Fluorocarbon処 理 法 に よ り得 られ た ウ イル ス材 料 接 種:骨 髄性 白血 病 ウ イル ス材 料接 種 で は接 種後3 1.漿 尿 膜 上 接 種 につ い て 濾 過 管通 過 法 に よ る ウイル ス 材料 の接 種 で は鶏 胎 日目 に於 い て静 脈 洞 は拡 張 し,少 数 で あ るが小 空 胞 児 の死 亡 は乳 癌 組織 ウイル ス材料 接 種 で7%に を認 め, 5日 目 で は上 記 変 化 はや や 強 くな つ た,淋 れ た のみ で,淋 巴 性 白血 病 脾並 びに 骨髄 性 白血 病 脾 巴性 白血 病 ウ イル ス材 料接 種 で は 殆 ん ど著 変 を認 め の ウイル ス材 料 接 種 では 鶏胎 児 の死 亡 は全 くみ られ みら ず,乳 癌 ウ イル ス材 料 接種 で は接 種 後3日 目で は軽 な かつ た.又Fluorocarbon処 度 な血 球 の 血 管 壁浸 透 が み られ,且 つ充 血 を み た他 材 料 の 接種 で は乳 癌 組 織 よ り得 られ た ウ イル ス材料 著 変 を みな か つ た. に於 い て のみ17%の 死 亡率 を示 した.な お健 康 マ ウ 理 法 に よ る ウイル ス ス脾 を 用 い た対照 群 で は死 亡 は全 く み ら れ な か つ 第4章 総括 並 び に考 按 た. 腫 瘍 の ウイル ス病 原 説 は1911年Rous18)に よつ て 確立 され た.即 ち彼 はプ リマス ロ ック種 の家 鶏 に 次 に 漿尿 膜 並 び に胎 児臓 器 の 肉 眼 的変 化 につ いて は,濾 過管 通 過法 に よ り得 られ た ウ イ ル ス 材料 の 自然 発生 し,そ の 後数 代 継 代 され た 肉腫 の 無細 胞 抽 接 種 で はい ず れ に も著 変 を認 め な か つ た が,一 方 出液 を 同系 の 家鶏 に接 種 して 腫 瘍 の継 代 に成 功 して Fluorocarbon処 理 法 に よ り得 られ た ウ イル ス材料 の い る.又Rous18)の この 発見 と ほぼ 時 を 同 じ くし 接 種 で は 白血病 脾 ウ イル ス材 料で は濾 過管 通 過法 に て, 1914年 本 邦 藤浪 等24)に よつ て も 同様 の 発 見 が よ る場 合 と同 様で あ つ たが,乳 癌 組 織 の ウ イル ス材 な され,こ れ を 藤浪 肉腫 と命 名 して い る.そ の後 各 料 接種 では 漿尿 膜 は接 種3日 種 の動 物 腫 瘍 か ら多 数 の腫 瘍 ウイ ル スが分 離 され て 溷 濁,浮 腫 状 変化 等 が 出現 し, 5日 目で は漿尿 膜 の い る. 肥 厚 は著 明 とな り腫 瘍様 膨 隆 が認 め られた.な お胎 一 方 腫 瘍 ウイ ルス の 発育 鶏 卵 内培 養 に関 す る研 究 は古 くは1911年Rolls18)が 家鶏 肉腫 の 無 細胞 抽 出 液 目よ り中 等度 の充 血, 児 臓 器 には 全 く変 化 は み られ なか つ た. 次 に濾 過 管通 過 法 に よ る ウ イル ス材料 接 種 で は, を孵 化鶏 胎児 に接 種 し,そ の発 育状 態 を観 察 した の 漿 尿膜 の組織 学 的 変 化 は骨 髄 性 白血 病脾 並 び に乳癌 を始 め と して, 1938年Keugh19)はRousの 組織 の ウ イル ス材 料 の接 種 で は被 覆 上皮 の 軽度 の増 肉腫 ウ イル ス を孵 化 後12日 目の発 育 鶏 卵漿 尿 膜上 に接 種 し, 殖,好 酸 球並 びに 単 球様 細 胞 の浸 潤 が極 く軽 度に み 接 種 局 所 に限 局 性 の 増生 を 認 め,こ れ をPockと られ る程 度 で あ つ た.一 方Fluorocarbon処 名 理法に 付 けて い る.本 邦で は1952年 隅 岡 等20)がVirus HST よ り得 られ た 白血病 ウイル ス材 料 接 種 では 濾過 管通 の脳 内接 種 を うけた マ ウスの脳 乳剤 を 同 じ く鶏 卵漿 過 法 に よ る場 合 と同様 の変 化 がや や 高度 に こみ られ た 尿 膜 上 に接種 し,漿 尿 膜 の接 種局 所 及 び そ の附 近 に 他,線 維 芽細 胞 の増 殖 もみ られ た.乳 癌 ウイル ス材 白斑 並 び に結 節 を認 め,な お鶏 卵培 養 した ウ イル ス 料接 種 で は接 種 後4日 目頃 よ り被 覆上 皮 の増 殖 が 中 の マ ウス 脳 内 へ の戻 し接 種 も試 み これ に成 功 して い 等度 にみ られ 間 質 の充 血 は 強度 で 一 部 出血巣 もみ ら る.最 近 で は1958年Prince22)等 腫 ウイ れ,線 維芽 細 胞 の増 殖 も著 明 で,そ の他 各種 細 胞 の ル スを 孵 化鶏 卵 内で培 養 し,精 細 な ウ イル ス学 的分 浸潤 が び まん 性 にみ られ, 6日 目で は被 覆上 皮 の一 析 を試 み て い る. 部 に類 壊死 に陥 つ た結 節状 組 織 の 附着 も認 め られ 白 はRous肉 以 上 今 日迄,腫 瘍 ウイル スの孵 化 鶏 卵 内培 養 につ い て 詳細 な検 討 が な された の はRousの Virus HSTが 家 鶏 肉腫 と あ るに 過 ぎな い が,発 育 鶏卵 が 自然感 血病 ウ イル ス材 料接 種 の場 合 とは 明 らか に差 異 が認 め られ,か か る組織 学 的変 化 は隅 岡20)がVirus HST 接種 の 場 合 に認 め た ウ イル ス性 病変 と全 く同 じ所 見 染 の 可能 性 の 少 な い事,又 比較 的抗 体産 生 の 少 な い で あ り,腫 瘍 ウ イル ス に基 く変 化 と考 え られ る,な 事,或 い は実 験 手技 が 比 較 的 簡単 な事 等 よ り ウイル お鶏 胎 児肝 臓 に は組 織 学 的 に殆 ん ど変 化はみ られな ス の 発育 鶏 卵 内培 養 は近 年 そ の応 用範 囲が 非 常 に広 かつ た. くな り,ウ イル ス性 腫 瘍 の 研究 の調 で も欠 くべ か ら ざ る重 要 な実 験 方法 の1つ と なつ て い る. 以 上 漿尿 膜 上 接種 に於 い て の鶏胎 児 死 亡率並 びに 漿尿 膜 の変 化 を み るに接種 ウイル ス の種 類並 び に ウ ウ イル ス性 腫 瘍 の発 育 鶏 卵 内培 養 に関 す る研究 929 イルス材 料精製 法 に よつ て 明 らか な 差 異 を見 出す 事 つ て 各 ウイル ス材 料 間 で死 亡 迄 の期 間 に若 子 差異 を が で きる.こ の ウイル ス 材 料接 種 に よ る変 化 は第1 認 め た事 に小 塚 等25)の 報告 にみ ら れ る ウ イル ス活 編 に報告 した 白血病 脾 並 び に乳 癌 組 織 移 植 に よ り生 性 の 差 異 に関 係 あ りと考 え られ る. じた変 化と類 似 点 が可 成 りみ られ,両 者 の 間 に一 脈 第5章 結 相通 じる ものが あ るよ うで あ る. さて 教室 小塚 等25)は “C58マ ウ ス白血 病 に 於 け るウィル ス抗 原 の 分 布 の研 究 ” に於 いて 本 実験 と同 様の ウイル ス精 製 法 を試 み,そ れ を 用 いて 抗血 清 を 私 はC58系 にC3H系 論 マ ウス骨 髄性,淋 巴性 白血病 脾 並 び マ ウス乳 癌 組織 か ら濾 過管 通 過法 並 び に Fluorocarbon処 理 法 に よつ て ウイル ス精 製 を試 み, 作製 し螢 光 抗体 法 で ウイ ル ス抗 原 の所 在 を観 察 した 得 られ た ウイル ス材 料 を発 育 鶏卵 を 用 いて そ の漿 尿 結果, Fluorocarbon処 理 法 に よ る ウ イル ス材 料 を 用 膜 上,尿 膜 腔 内,並 び に卵 黄 嚢 内に それ ぞ れ接 種 し, いて作 つ た抗血 清 が 濾 過 管通 過 法 に よ るもの よ り も 漿 尿 膜 の変 化 並 び にそ の孵 化 鶏胎 児 に及 ぼ す影 響 を は るか に高 度 の抗 ウ イル ス抗 原 活 性 を有 す る事 を明 観 察 し次 の 結 果 を得 た. らか に し,こ れ に よ りFluorocarbon処 理法 に よ る ウイルス材 料 が よ り多 くの ウ イル ス抗 原 を 含む事 が 1.漿 尿膜 上 接 種:濾 過 管通 過 法 に よ り得 られ た ウイル ス材 料接 種 で はい ず れ に も漿尿 膜 の接 種 部 位 考え られ ると報 告 して い る.又 太 田 等26)は マ ウス に軽 度 の肥 厚,充 血,溷 濁,浮 腫 状 変 化を み,胎 児臓 白血病並 びに マ ウス乳 癌 につ い て,そ の ウ イル ス を 器 に は何 ら変 化 をみ なか つ た.又 組織 学 的 に も被 覆 電顕的 に比 較 検索 し,乳 癌組 織 にみ られ る ウ イル ス 上 皮 は軽 度 に増 殖 し,漿 尿膜 間質 に は極 く軽 度 の 線 粒子 の数が 白血病 脾 にみ られ るウ イル ス 粒子 の 数十 維 芽 細胞 の増殖,単 球様 細胞 並 びに好 酸 球 の浸 潤 を 倍に達 す る事 を報 告 して い る.こ れ 等 の 報告 を 考慮 みた.一 方Fluorocarbon処 に入れ て私 の 実験 結 果 を 考察 してみ ると,マ ウス 白 血 病 ウ イル ス材料 接 種で はい ずれ に も濾 過管 通 過法 理 法 に よ り得 ら れ た 白 血病 ウ イル ス材 料接 種 の場 合 よ りも乳 癌 ウ イル ス材 に よ る ウイル ス材 料接 種 とほ ぼ同 程度 の 変化 を み た 料接種 の 方 に変 化 が著 しくみ られ た 事,又 濾 過 管通 に過 ぎない が,乳 癌組 織 よ り得 られ た ウ イル ス材料 過法 とFluorocardon処 理 法 に よ り得 ら れ た ウイル 接 種 で は漿尿 膜 は肥厚,溷 濁,充 血,浮 腫 状 変 化等 ス材料 を比 較 した 時,後 者 に よ り強 い 変 化の現 れ る が 著 明 で一 部 に 出血並 び に腫 瘍 様膨 隆 を 認 め,組 織 事が説 明 で き るの で はな い か と考 え られ る. 学 的 変 化 に於 いて も白血 病脾 よ り得 られ た ウ イル ス 2.尿 膜 腔 内接 種 につ い て 材 料 接種 で は被 覆 上皮 増 殖 の他 殆 ん ど変 化が み られ い ずれ も接 種 後 鶏胎 児 の死 亡 は殆 ん どみ られ ず, なか つ たの に対 して 乳癌 ウイル ス材料 接 種 で は被覆 又鶏胎 児臓 器 の 肉 眼的 並 び に組 織 学 的 観察 で も著変 上 皮 の増 殖 が 著 明で,好 酸 球,淋 巴球 様 細胞 並 び に はな かつ た.こ れ は第1編 に述 べ た細胞 移植 の成 績 単 球 様 細胞 の 浸 潤,線 維 芽細 胞 の増殖 が 著 明 にみ ら と全 く同 一 であ り,尿 膜 腔 内 は細 胞 並 び に ウイル ス れ た.な お胎 児臓 器 の 肉 眼的並 びに組 織 学 的観 察 で にと り不適 当 な培地 と考 え られ る. はい ず れ に も殆 ん ど変 化 はみ られ な かつ た. 3.卵 黄嚢 内接 種 につ い て 鶏胎 児 は ウイル ス 材精 の接 種 に よ つ て い ず れ も 100%の 死 亡率 を 示 した が,一 方 対 照 健康 マ ウス脾 並 びに乳 腺 を用 い た 群 で は40%以 上 の 鶏胎 児 が 順調 に発育 し孵化 して い る.こ の事 実 は 白血 病 並 びに乳 2.尿 膜 腔 内接 種:同 腫 瘍 ウイル ス接 種 で はい ず れ に も肉 眼的 並 び に組 織学 的 変 化を み ず鶏 胎児 死 亡 も殆 ん ど み られ なか つ た. 3.卵 黄嚢 内 接種:濾 過管 通 過法 に於 いて は骨 髄 性 白血 病 ウイル ス材 料 接 種 では9日 目迄 に,淋 巴性 癌 ウイル ス に細 胞 障 碍 作用 の あ る事 を 示 唆す る もの 白慮 病 ウ イル ス材 料接 種 で は12日 目迄 に,乳 癌 ウイ で あ る. ル ス 材料 接 種 で は5日 目迄 に鶏 胎 児 は100%の この卵黄 嚢 内接 種 に よ る鶏 胎 児 の死 亡率 に於 い て, を未 した.一 方Fluurocarbon処 死亡 理 法 に於 い て は骨 ウイル ス精 製 法 の 如何 に拘 らず淋 巴性 白血病 脾 ウ イ 髄性 白血 病並 び に乳癌 ウ イル ス材料 接 種 で は5日 目 ル ス材 料接 種 で は,他 の ウ イル ス材 料接 種 に比 し死 迄 に,淋 巴性 白血病 ウイル ス材 料接 種 で は9日 目迄 亡迄 の期 間が 遅 延 してい るが これ は第1編 の細 胞移 に鶏 胎 児 は100%の 死 亡 を来 した.な 植に於 い て淋 巴性 白血 病 脾 移 植 が他 の もの に比 して ウス脾 並 び に乳 腺 の接 種 の群 で は鶏 胎 児 死亡 率 は60 低 い死 亡率 を 示 した事 と符 合 し,何 か 共通 の 因 子 を %弱 であ つ た. 考え させ るもの で あ る.又 ウ イル ス精 製 の方 法 に よ お 対 照 健康 マ 以 上 の 実駅 成 績 の差 異 は ウ イル スの 種 類並 び に そ 930 石 浜 の活 性 の 相 異 に もとず く もの と考 え られ る. 真 治 川 教 授 に深 甚 の 謝意 を表 す. 擱 筆 す るに 当 り御 懇 篤 な る御指 導 と御校 閲を 賜 わ (本 論文 の要 旨は 昭 和37年 度 第24回 日本 血液 学会 りま し た平 木 教授 並 びに 角 南 講師 又 病 理学 的 方 面 に 総 会 並 びに 昭和37年 度 第21回 癌 学 会総 会 に 於い て発 於 い て適 切 な 御助 言 と御 指 導 を賜 つ た病 理 学 教 室小 表 した) 参 1) Murphy, J. 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From the observations on the changes of the chorio-allantoic membrane and on the influ ence of the inoculation to chick embryos, the following results are obtained. 1) Inoculation on the chorio-allantoic membrane. Inoculation of the filtered viral materials caused slight thickning, hyperemia, opacities and edema of the inoculated areas of the chorio-allantoic membrane. but no changes were observed in other embryonic organs. Histologically, the chorio-allantoic mambrane showed proliferation of fibroblasts and epithelial cells and infiltration of monocytoid cells and eosino phils in the interstitial tissue. In the inoculation of the fluorocarbon-purified viral materials from myelogenous and lymphocytic leukemia, the changes of the chorioallantoic membrane were almost the same as findings described above. But in the case of mammary cancer, changes such as thickning, opacities, hyperemia and edema of the inoculated areas of the chorioallantoic membrane were more remarkable and sometimes hemorrhages and tumor-like nodular swellings were also observed. Histologically, proliferation of epithelial cells, fibroblasts and infiltration of eosinophils, lymphoid and monocytoid cells were much more prominent. No pathologic changes of other embryonic organs were observed following inocuration of the viral materials isolated by either method. 2) Inoculation in the allantoic cavity. In all cases, no significant organ changes were observed and no death of the embryos occurred. 3) Inoculation in the yolk sac. Inoculation of the filtered viral materials caused 100% desth of the embryos by the ninth day after inoculation in the case of myelogenous leukemia, by the twelfth day in lymphocytic lukemia and by the fifth day in mammary cancer. 932 石 浜 真 治 On the other hand, in the inoculation of the fluorocarbon-purified viral materials, 100% mortality occurred by the fifth day in myelogenous leukemia and mammary cancer and by the ninth day in lymphocytic leukemia. These varied experimental results are considered to be related to the differences in strains and virulencies of the viruses. ウ イ ル ス性 腫 瘍 の 発育 鶏 卵 内培 養 に 関 す る研 究 石 文 附 図 写真1. 写 真2. 写 真3. 写 真4. 写 1) Fluorocabon処 浜 論 真 説 933 明 理 法 に よ り得 ら れ た 乳 癌 ウ イ ル ス 材 料 接 種 に よ る 漿 尿 膜 の 変 化 。(孵 化15日 卵 で 接 種 後 第 6日 の 例) 2)濾 過 管 通 過 法 に よ り得 ら れ た 骨 髄 性 白 血 病 ウ イ ル ス 材 料 接 種 に よ る 漿 尿 膜 の 組 織 学 的 変 化 。(孵 で 接 種 後 第6日 3)濾 過 管 通 過 法 に よ り 得 られ た 淋 巴 性 白 血 病 ウ イ ル ス 材 料 接 種 に よ る 漿 尿 膜 の 組 織 学 的 変 化 。(孵 で 接 種 後 第6日 4)濾 化15日 卵 の 例) 過 管 通 過 法 に よ り得 ら れ た 乳 燥 癌 ウ イル ス 材 料 接 種 に よ る 漿 尿 膜 の 組 織 学 的 変 化 。(孵 後 第6日 化15日 卵 で接 種 の 例) 5) Fluorocarhon処 理 法 に よ り得 ら れ た 骨 髄 性 白 血 病 ウ イ ル ス 材 料 接 種 に よ る 漿 尿 膜 の 組 織 学 的 変 化 。(孵 15日 卵 で 接 種 後 第6日 6) Fluorocarbon処 Fluorocarbon処 接 種 後 第6日 化 の 例) 理 法 に よ り得 ら れ た 乳 癌 ウ イ ル ス 材 料 接 種 に よ る 漿 尿 膜 の 組 織 学 的 変 化 。(孵 の 例) 化 の 例) 理 法 に よ り得 ら れ た 淋 巴 性 白 血 病 ウ イル ス 材 料 接 種 に よ る 漿 尿 膜 の 組 織 学 的 変 化 。(孵 15日 卵 で 接 種 後 第6日 7) 化15日 卵 の 例) 化15日 卵で 934 石 石 浜 浜 真 論 文 写真5. 治 附 図 写頂6. 写 真7.