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第 2話 - Intel

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第 2話 - Intel
下級生に向けた「漢字しりとり」や「なぞなぞ」をコンピューターで作成することを通して、
これまで国語の学習内容を振り返り、あらためて言葉について考えます。
第 2話
学年: 小学校 4年
国語
教師用パソコン
児童用パソコン
プリンター
学習したことを下級生に伝え
ることで国語力を高める
大阪府八尾市 - 八尾市立上之島小学校の福原先生 (2005年度当時) は、4年生の担任であると同時に、上之
島小学校の情報教育も担当しています。今回は情報機器を活用した、国語科に焦点を当てた学習に取り組みまし
た。国語に注目された理由は、「これからますます国語力が求められてくる 4年生に重要なことは、漢字や熟語などの "
言葉" に興味を持ち主体的に学習に取り組むことです。4年生の 3学期には、言葉の持つおもしろさにあらためて注目
し、『なぞなぞ』 『回文』 『なぞかけ』 『漢字しりとり』 などの言葉遊びを通して言葉の性質や役割を理解していきます。
そこで情報機器の活用を組み合わせることで、子どもたちがより主体的に学習に参加するのではないかと考えました。」
とのことです。
今回の学習のポイントとして福原先生が計画したことは、学習したことを活かして、きょうだい学年 (異学年間の連携)
である 2年生のために、4年生が国語の学習教材を作成するという活動でした。自分たちが国語・言葉の大切さを理
解するだけではなく、下級生である 2年生にその大切さを伝えていくことを通して、本当の意味で言葉の性質や役割を
理解することが目的です。そして、情報機器を活用することで「相手によりわかりやすく伝える」という視点についても学
びます。
初回の授業では、これまでの国語で学習したことを振り返り、言葉遊びについて知り、自ら作成する学習に取り組みま
した。
ここからが本格的な活動に入ります。次の授業では、「なぜ国語を勉強する必要があるのだろう ?」と児童に考えさせる
ことから始まりました。児童には、句読点や漢字が全く入っていない文章、句読点が入っている文章、句読点・漢字と
も入っている文章を音読し、文章の読みやすさなどについて考えていきました。この活動から児童は「句読点がないとと
ても読みづらい」、「漢字は意味を持っているので、違う漢字が入っているとまったく違う文章になる」ということを次々に
発表し合っていました。そこで再度「なぜ国語の勉強をする必要があるのだろう ?」と児童に考えさせたところ、さまざまな
意見が出てきましたが「友だちや周りの人に、自分の考えを正しく伝えていくため。」という素晴らしい意見が出てきまし
た。
それらの意見を引き出したあと、福原先生から「実は 2年生の先生から、『国語がだんだん難しくなっていて、みんなが
困っている。もっと国語の勉強を楽しくできるように、ぜひ 4年生に手伝ってほしい』 との依頼があるのだけれど、どうした
らいいかな ?」と言いながら 2年生の先生からの依頼の手紙を読み上げました。この依頼文の効果は絶大でした。児童
からは「なぞなぞで、文章を読んで考える練習をしたらいいよ !」 「漢字しりとりを作って漢字に慣れてもらおう !」 「回文が
いいよ !」などと次々に発言がありましたが、「2年生が楽しく学習できるもの」という視点から「なぞなぞ」と「漢字しりとり」
に絞られました。
その次の授業では、「なぞなぞ」と「漢字しりとり」を、どのような形式の成果物と
して 2年生に渡すかを考え、さっそく内容作成に入りました。2年生が国語の学
習教材として使えるものとして考えた結果、「なぞなぞ」はパワーポイントを使用
して作成し、「漢字しりとり」はワークシート形式にて作成することが決定しまし
た。
4年生はローマ字入力を始めたばかりのため、長文は文字入力ばかりに授業
時間が割かれてしまう傾向にあります。ですが、「なぞなぞ」であれば短文のため
入力に時間をかける必要がなく、「2年生にわかりやすく伝える」ことに意識をさせられることができました。わかりやすく・・・
ということを考えた結果、「2年生が楽しく学べ、飽きることなく考えられる教材」にしなければいけないと、アニメーションの
効果も取り入れながら主体的に作成に取り組むことができました。また、制作物の目標シート (ルーブリク) を事前に児
童に配布し、確認をさせたことにより、限られた時間の中でも全ての児童がほぼ目標を達成し、制作物を完成すること
ができました。
「漢字しりとり」を作成する時には辞書が大活躍しました。2年生までに学習した漢字のみで熟語を作るため、最初は
漢字の少なさに難しさを感じていたとのことでしたが、辞書を調べたり、個人で考えた内容をクラス全体で共有していくこ
とで、予想以上に多くの熟語が生まれることに驚き、積極的に考えることができるようになりました。
作成した「なぞなぞ」と「漢字しりとり」は 2年生の先生に渡し、実施してもらいました。先生方からは 4年生が意識して
いた「わかりやすく楽しめる教材」という点が、本当にそうなっていたと高く評価してもらうことができました。パワーポイント
でまとめられた「なぞなぞ」ではアニメーションの効果もあり 2年生は夢中になって実施し、「漢字しりとり」では、少し難し
い熟語でも、諦めることなく取り組めていたとのことでした。
福原先生は今回の学習を通して、外とつながっていく活動は、児童の集中力とやる気の向上につながると考えていま
す。「子どもたちは言葉の持つ面白さをあらためて感じたとともに、自分たちの学習が他の人の役に立つと感じ、自信を
深めたと思います。」
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