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CD206-ablationマウスを用いたM2マクロファージ の機能解析

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CD206-ablationマウスを用いたM2マクロファージ の機能解析
CD206-ablationマウスを用いたM2マクロファージ
の機能解析
富山大学
大学院医学薬学研究部(医学系) 講師 薄井 勲
背 景
実験結果
マクロファージ(M)は局所環境に応じて多彩な形態や機能示す。一般にMの表
実験1.CD206 ablationマウスの作成
現型は、M1/M2という2つの極性のなかで理解される。一般にM1 Mは炎症促進
(1-1) CD206プロモータの下流にジフテリアトキシン受容体(DTR)を結合
作用を持ち、一方M2 Mは創傷治癒や組織リモデリングなど、M1Mとは異なる機
(図A)。BAC-DNAをC57BL/6マウス由来のone-cell embryoにマイクロイ
能を担うとされる。しかしこれらは主にin vitroで証明されたもので、それぞれのM
ンジェクションすることによって、トランスジェニックマウスを作製した。
が担う役割をin vivoで直接に調べる有効な方法はなかった。
(1-2) DTRが本トランスジェニックマウスにのみ発現していることを、DNAレ
ベル(図B)および蛋白レベル(図C)で確認した。
目的
実験2.ジフテリアトキシン投与のM2M ablation効果
我々は、 M2M数を減少させることのできるマウスモデルを独自に作製した。
(2-1) ジフテリアトキシン(DTX)をPBSに5ng/g BWの濃度で溶解し、2日に
我々は最近、CD206がM2 Mの良い表面マーカーであることを報告した。そこ
一度腹腔内投与する。最終投与の2日後に解析を行う(図D)。
で、CD206のプロモーターの下流にジフテリアトキシン受容体(DTR)の遺伝子を
(2-2) 精巣上体脂肪に浸潤するマクロファージをフローサイトメトリーで解析
結合させたトランスジェニックマウスを作製した。野生型マウスにはDTRが発現し
した。DTX投与後、CD206-ablationマウスではM2マクロファージ数が約
ていない。そのため、このマウスにジフテリアトキシンを投与するとCD206陽性細
50%減少していた。M1マクロファージ数は変化しなかった(図E) 。
胞を選択的に減らすことができる(CD206-ablationマウス) 。本マウスモデルの
(2-3) 精巣上体脂肪のRT-PCRでも、M2Mのマーカー遺伝子(CD206、
解析を通じ、様々な病態におけるM2 Mの役割をin vitroで調べることを本研究
Mgl2)の発現は約50%低下した(図F) 。
の目的とする。
実験結果(図A-F)
B
D
F
DT Injection
A
Experiments
1.2
1
0.8
0.6
0.4
0.2
0
257 bp
Primer
Met
1
(DTR primer 1,3)
138 bp
Primer
2
CD206 BAC
DAY 1 2 3 4 5 6 7 8 910
CD206
**
1.2
1
0.8
0.6
0.4
0.2
0
MGL2
**
(DTR primer 1,2)
Tg CD206-DTR BAC
Primer Primer
Met
1
3
DTR
CD206DTR
E
pA
intron
1 kbp
C
WT
WT
CD206DTR
DTR
β-Actin
SPLEEN
WT
70
CD206DTR
DTR
β-Actin
WAT
CD206DTR
60
ns
WT
CD206DTR
50
(%)
WT
40
*
30
20
ns
10
0
F4/80
M1
M2
まとめ・今後の展望
我々は、生後 M2M数を減少させることのできるマウスモデルを独自に作製した (CD206-ablationマウス) 。今回は内臓脂肪組織のひとつである精巣上体脂肪に
おけるablationのデータまでを提示した。現在は、 M2Mのablationが糖代謝や間質性肺炎など様々な病態に与える影響について検討を進めている。
CD206陽性M2Mは多くの組織に常在するマクロファージであり、組織ごとに異なる機能を持つと予想される。組織ごとにablationの効率も異なり、またジフテリアト
キシンの投与方法を工夫するなどして、今後は組織特異的なablationの効果を調べることもできると考えている。
【地域社会や産業界での応用分野・活用方法 等】
炎症性の特徴を強く持つM1Mと比べ、組織常在型のM2 Mの生理的機能および様々な病態における役割は十分に解明されていない。
今回作成したCD206-ablationマウスは、生後 M2M数を減少させることを世界で初めて可能にした遺伝子改変マウスである。本マウスの解析を通じて、M2 Mの
機能を明らかにすると同時に、 M2 Mの機能をターゲットとした創薬などの分野に応用できるものと考えている。
連絡先
富山大学リエゾンオフィス・TLO
TEL:076-445-6392 FAX:076-445-6939 Email:[email protected]
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