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セルラーゼ複合体 “セルロソーム”の構造と機能

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セルラーゼ複合体 “セルロソーム”の構造と機能
● 総 説●
セルラーゼ複合体 “セルロソーム”の構造と機能
粟冠和郎 ・木村哲哉 ・苅田修一 ・大宮邦雄
バイオマスは太陽エネルギーを蓄積する循環資源として注目されているが,そ のうちの植物
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繊維成分の分解利用にはセルラーゼが必須である.Clostridium thermocellumに 代表される
セルロース分解性嫌気性微生物は,“セルロソーム”とよばれる高分子セルラーゼ複合体を形成
する.複 合体の中核には,触 媒機能をもたない骨格蛋白質が存在 し,こ れに各種セルラーゼが
触媒サブユニットとして結合 していることがわかってきた.そ れぞれの結合領域もすでに特定
されており,蛋 白質間の分子認識機構についても徐々に明らかにな りつつある.
Key words
【セ ル ロ ー ス 】 【セ ル ロ ソ ー ム 】 【セ ル ラ ー ゼ 】 【キ シ ラ ナ ー ゼ 】
【
嫌気性細菌】【Clostridium thermocellum】
は じめ に
地 球 上 に絶 え 間 な く降 り注 ぐ太 陽 エ ネ ル ギ
ー は ,緑 色 植 物,藻
類,光
記 載 か ら始 ま っ て い る.そ の 後,多
合 成細 菌 に よって有 機物 の
形 に 変 換 さ れ バ イ オ マ ス と して 蓄 積 さ れ る.光
合成 に
未 熟 で あ っ た た め,個
よっ て陸上 や大 洋 中で年 間 に固定 化 され る炭素 の量 は
約800億
数 の微 生物起 源 の
セ ル ラ ー ゼ に つ い て 報 告 さ れ た が,当
時の 分析技 術 が
々 の 酵 素 の 基 質 分 解 特 性 な どの
記 載 に と ど ま ら ざ る を え な か っ た.
トン に達 す る とい わ れ て お り,こ の バ イ オ マ
しか し,遺 伝 子 操 作 技 術 の 普 及 に 伴 い,セ
ル ラー ゼ
ス に 蓄 積 さ れ る エ ネ ル ギ ー 量 は,人 類 の 年 間 消 費 エ ネ
に 関 す る 分 子 レベ ル の 解 析 は 急 速 に 進 展 した.セ
ル ギ ー の10倍
ー ゼ を生 産 しな い 宿 主 で の セ ル ラ ー ゼ遺 伝 子 の大 量 発
に 相 当 す る1).高 等 植 物 の 細 胞 壁 を 形 づ
ルラ
く る リグ ノ セ ル ロー ス は 全 バ イ オ マ ス の 約1/2を
占め
現 は,純 粋 な 酵 素 を提 供 し,酵 素 特 性 の 研 究 を著 し く
る が,そ
グノ
促 進 し た.ま
の 利 用 は,衣
料,紙,建
築 材 料 な ど,リ
た,X線
結 晶 構 造 解 析 技 術 やNMRに
セ ル ロ ー ス の もつ 安 定 で 分 解 さ れ に くい と い う特 性 に
る構 造 解 析 技 術 の 進 歩 と も あ わ せ,立
基 づ く もの に 限 られ て い た.し
飛 躍 的 に進 ん だ.同
か し,リ
グ ノセル ロー
触 媒 残 基 の 同 定 が 行 な わ れ,触
リ コ シ ド結 合 で 多 数 連 結 した 高 分 子 で あ る の で,分
らか と な っ て き て い る.
す れ ば燃 料 物 質 や,よ
の た め,セ
ル ロー スの
セ ル ラ ー ゼ を 分 泌 生 産 す る こ とが 知 ら れ て い る.お
代 の 初 め に,カ
タ ツ ム リ消
な セ ル ロ ー ス 分 解 性 微 生 物 を表1に
化 管 の セ ル ロ ー ス 分 解 酵 素(セ
Karuo
Sakka,Tetsuya
上浜 町1515)[Faculty
ル ラ ー ゼ)に
Kimura,Shuichi
of
媒反 応機 構 の詳細 が 明
セ ル ロ ー ス 分 解 力 の 強 い 微 生 物 は 例 外 な く多 種 類 の
り付 加 価 値 の 高 い 物 質 へ と生 物
変 換 す る こ とが 可 能 とな る.そ
生 物 分 解 の 研 究 は,1920年
体 構 造 の解 析 も
時 に,部 位 特 異 的 変 異 法 を 用 い て,
スの 主成 分 で あ る セ ル ロー ス は グ ル コー ス が β-1,4-グ
解
よ
8507,Japan]E-mai:[email protected]
for Molecular
れ ら
の 微 生 物 の セ ル ロー ス分 解 系 は2種 類 に 大 別 で き る.1
つい ての
Karita*,Kunio
Bioresources,*Center
ま と め た.そ
も
Ohmiya,三
Biology
重 大 学 生 物 資 源 学 部,*遺
and
Genetics,Mie
伝 子 実 験 施 設(〒514-8507
University,Kamihamacho,Tsu
津 市
514-
http://www.bio.mie-u.ac.jp/chem/obi/index.html
Struchure and Function of Cellulolytic Complex“Cellulosome”
1487
42
表1
蛋白質
核酸
酵素
Vol.44
No.10(1999)
代 表 的 なセ ル ロー ス分 解 性 微 生 物
取 り組 ん で きた.
本 稿 で は,セ
ル ラ ー ゼ の 基 本 的 な性 質 に つ い て 述 べ
た の ち,C.thermocellumを
中 心 に,セ ル ロ ソー ム研 究
の 現 状 に つ い て紹 介 す る.な
お,セ
ル ラー ゼ とセル ロ
ソー ム に つ い て は ほか に総 説 が あ る の で参 照 願 い た
い2∼5)。
1.セ
ル ロー ス とセ ル ラー ゼ の概 念
セ ル ロ ー ス は,グ
で100∼14,000個
ル コ ー ス が β-1,4-グ リ コ シ ド結 合
結 合 し た 直 鎖 状 の 高 分 子 多 糖 で,直
鎖 間 の 水 素 結 合 に よ り集 合 し微 細 繊 維 と な る.と
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水 素 結 合 が 密 に 存 在 す る と こ ろ で は,結
くに
晶構 造 を もっ
た 堅 い 繊 維 と な る(図1).セ
ル ロ ー ス を構 成 す る単 糖
は グ ル コ ー ス で あ るが,隣
り合 っ た グ ル コ ー ス ど う し
は180.回
転 した コ ン フ ォ メ ー シ ョ ン を と る の で,構
造
的 な く り返 し単 位 は セ ロ ビ オ ー ス と い え る.植 物 繊 維
中 で は セ ル ロ ー ス は 単 独 で存 在 す る の で はな く,セ ル ロ
ース
,ヘ ミセ ル ロ ー ス お よ び リ グニ ン が共 有 結 合 な らび
に そ の ほ か の 結 合 に よ り互 い に 強 く結 合 した 複 合 繊 維 で
あ る リグ ノ セ ル ロー ス と して存 在 す る.ヘ
つ は,Trichoderma reeseiな
どの 好 気 性 糸 状 菌 に代 表
ミセ ル ロ ー ス
は,セ ル ロー ス と非 共 有 的 に結 合 したヘ テ ロ多 糖 で あ り,
さ れ る 系 で あ り,細 胞 外 へ 分 泌 さ れ た 酵 素 が 複 合 体 を
植 物 繊 維 の ほ ぼ30%を
形 成 す る こ とな く,各 酵 素 が そ れ ぞ れ 単 独 で 基 質 に 作
スが β-1,4-グ リコ シ ド結 合 で連 結 した キ シ ラ ンで あ る.
用 す る こ と を特 徴 とす る.こ
最 近 の 系 統 的 酵 素 命 名 法(SWISS-PROTホ
ー ジ)に お い て セ ル ラ ー ゼ と はEC3 .2.1.4の
ほ か,さ
る.2つ
の グル ー プに は糸状菌 の
ま ざ ま な微 生 物 由 来 の セ ル ラ ー ゼ 系 が 含 まれ
目 は,高
分 子 セ ル ラ ー ゼ 複 合 体(セ ル ロ ソー ム)
を 形 成 す る 系 で あ り,Clostridium thermocellumに
代
占 め る.代 表 的 な 成 分 はキ シロー
式 名 と し て 用 い られ て い るが,こ
ーム ペ
酵 素 の公
の 酵 素 は 従 来1,4-β-
D-グ ル カ ン グ リ カ ノ ヒ ドロ ラ ー ゼ また は エ ン ドグ ル カ
表 さ れ る.嫌 気 性 微 生 物 以 外 で は セ ル ロ ソー ム を形 成
ナ ー ゼ と よ ば れ て い た も の で あ る.エ
す る例 は報 告 され て い な い.従
ゼ は セ ル ロ ー ス 鎖 の 内 部 を ラ ン ダ ム に加 水 分 解 す る 酵
来,酵
素活 性の強 さお
よ び そ の 生 産 量 の 点 か ら,主
として糸状 菌 のセ ル ラー ゼが
研 究 の 対 象 と され て き た.し
か し,C. thermocellumの
セ
ル ロー ス分解能 力 の高 い こ と
が わ か り,嫌 気 性 細 菌 の セ ル
ラーゼ系 が注 目され る よ うに
な っ た.筆
者 ら も,バ
イオ マ
ス の 有 効 利 用 を最 終 目 標 と し
て,C.thermocellumや
Clostridium josuiな
どの セ ル
ロ ソー ム の 形 成 機 構 の 解 明 に
図1
セ ル ロー スの構 造 とセ ル ロー ス分 解 の モ デ ル
ン ドグ ル カ ナ ー
セ ル ラ ー ゼ 複 合 体 “セ ル ロ ソー ム ” の 構 造 と機 能
素 で あ る.し
43
か し,一 般 的 に
は セ ル ラ ー ゼ とい え ば,セ
ル
ロ ー ス を 加 水 分 解 す る酵 素 の
総 称 と して 用 い られ,エ
ンド
グ ル カ ナ ー ゼ の ほ か,セ
ルロ
ー ス の 還 元 末 端 あ る い は非 還
元 末 端 か ら セ ロ ビオ ー ス 単 位
で 遊 離 さ せ る エ キ ソ セ ロ ビオ
ヒ ド ロ ラ ー ゼ(公
ロー ス1,4-β.セ
式 名:セ
ル
ロ ビオ シ ダー
ゼ)も 含 まれ る.こ
の 酵 素 は,
エ キ ソグル カナ ーゼ と もよば
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れ る.本 稿 で は,従 来 の 慣 例
に従 い エ ン ド グ ル カ ナ ー ゼ と
エ キ ソ セ ロ ビオ ヒ ドロ ラ ー ゼ
の総称 としてセ ル ラーゼ の語
図2
を用 い る.
C.thermocellumお
触 媒 ドメ イ ン,CBD,ド
よ びT.reesei由
来 の 代 表 的 セ ル ラー ゼ の ドメ イ ン構 成
ック リ ン以 外 の ドメ イ ンは 名 前 を省 略 した.
エ ン ド グ ル カ ナ ー ゼ とエ キ
ソ セ ロ ビオ ヒ ドロ ラ ー ゼ に よ
る セ ル ロ ー ス 分 解 の モ デ ル は 次 の よ う に考 え られ て い
の 位 置 は 決 ま っ て お らず,多
る(図1)6).エ
を形 成 す るC.thermocellumお
ン ドグル カナー ゼはセル ロース内部 の非
結 晶 性 領 域 に 作 用 し,可 溶 性 の 糖 を遊 離 さ せ る と と も
し な いT.reesei由
に,不 溶 性 セ ル ロ ー ス 内 に 新 た な 還 元 末 端 お よ び 非 還
構 成 を 図2に
元 末 端 を 生 ず る.一
ル ラ ー ゼ に は,CBDを
方,エ
キ ソ セ ロ ビオ ヒ ド ロ ラ ー ゼ
様 で あ る.セ
ル ロ ソーム
よび セ ル ロ ソー ム を形 成
来 の代 表 的 な セ ル ラ ー ゼ の ドメ イ ン
示 す.セ
ル ロ ソー ム の 構 成 成 分 で あ るセ
もた な い もの が 多 い.こ
れ は以
は セ ル ロ ー ス 鎖 の 末 端 か ら セ ロ ビオ ー ス を 生 じ る と 同
下 で 述 べ る よ う に,セ
時 に 新 た な セ ル ロ ー ス 鎖 を セ ル ロ ー ス 表 面 に露 出 させ
ス へ 結 合 す る た め,個
る と考 え ら れ る.こ
キ ソセ ロ ビ オ ヒ ドロ ラ ー ゼ は互 い に新 た な 基 質 を供 給
必 要 が な い た め で あ る.
一方
,セ ル ロ ソー ム に 組 み 込 まれ ず 遊 離 し て 存 在 す
し あ う こ と に よ り,セ ル ロー ス に対 し相 乗 的 に作 用 し,
るセ ル ラ ー ゼ は一 般 的 に触 媒 ドメ イ ンの ほか にCBDを
効 率 よ く分 解 す る と考 え られ て い る.
も ち,不
の よ う に エ ン ドグ ル カ ナ ー ゼ と エ
ル ロ ソー ム 全 体 と し て セ ル ロー
々 の 成 分 は必 ず し もCBDを
もつ
溶 性 基 質 へ 強 く結 合 す る性 質 を保 有 す る.以
下 にセ ル ロー スの分解 過 程 で重要 な働 きをす る触媒 ド
II.セ
ル ラ ー ゼの モ ジ ュ ラー 構 造 と ドメ イ ンの 機 能
メ イ ン とCBDに
1.セ
ル ラー ゼ の モ ジ ュ ラー 構 造
2.触
糸 状 菌 や 細 菌 由 来 の セ ル ラ ー ゼ は,触 媒 ドメ イ ン と
セ ル ロ ー ス 結 合 ドメ イ ン(CBD)の2つ
の 異 な る ドメ
イ ンか ら構 成 さ れ る の が 一 般 的 で あ り,さ
能 ド メ イ ン を もつ も の も多 い.各
の 部 品(モ
ジ ュ ー ル)と
らに別 の機
機 能 ドメ イ ン を1つ
考 え る と,セ ル ラ ー ゼ は い ろ
い ろ な部 品 の 組 合 せ に よ りで き て い る と い え る.こ
よ う な構 造 をモ ジ ュ ラ ー 構 造 と よ び,そ
ュ ラ ー 酵 素 と よ ぶ.ポ
の
の酵素 をモ ジ
リペ プ チ ド内 の 各 機 能 ド メ イ ン
つ い て 簡 単 に 述 べ る.
媒 ドメイ ン
触 媒 ドメ イ ン は,酵 素 活1生を担 う ドメ イ ンで あ る.セ
ル ラ ー ゼ や キ シ ラ ナ ー ゼ の ア ミノ 酸 配 列 の 情 報 が 増 え
る に つ れ,こ
れ ら触 媒 ドメ イ ンが い くつ か の グ ル ー プ
に分 類 で き る こ とが わ か っ た.Henrissatら
に よ り,セ
ル ラ ー ゼ や キ シ ラ ナ ー ゼ を含 む す べ て の 糖 質 加 水 分 解
酵 素(EC3.2.1.Xの
に基 づ い て,フ
酵 素)は,ア
ミノ 酸 配 列 の 相 同 性
ァ ミ リー に分 類 され てお り7),現 在72の
フ ァ ミ リー が 知 られ る.セ
ル ラー ゼ は11の
フ ァ ミ リー
1489
44
蛋 白質
表2
核酸
酵素
Vol.44
No.10(1999)
あ り,不 溶 性 基 質 の 表 面 に結
セ ル ラ ー ゼ お よ び キ シ ラ ナ ー ゼ の フ ァ ミ リー 分 類
合 す る こ とに よ り,触 媒 ドメ
イ ン を基 質 表 面 に濃 縮 す る作
用 を もつ.CBDは
セ ル ラー ゼ
の み で な くキ シ ラ ナ ー ゼ や マ
ン ナ ナ ー ゼ な どに も存 在 す る.
CBDの
分 類 もア ミノ酸 配 列 の
相 同 性 に 基 づ い て 行 な わ れ,
現 在12フ
ァ ミ リー に分 類 され
て い る8).フ ァ ミ リー は ロー マ
数 字 で 表 わ さ れ る.
CBDの
役 割 の 一 つ は,不 溶
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性 基質 の表 面 に結合 す る こと
に よ り,触 媒 ドメ イ ン を基 質
a)ア
ル フ ァ ベ ッ トは 旧 分 類 名.b)報
シ ラ ナ ー ゼ,14:キ
エ キ ソ-1,3-グ
ル カ ナ ー ゼ,75:エ
オ ヒ ド ロ ラー ゼ,99:ア
マ
型 で
告 例 の 多 い 順 に 記 載,X=4:エ
チ ナ ー ゼ,37:β-キ
シ ロ シ ダ ー ゼ,55:α-L-ア
ン ド-1,6-グ
ラ ビ ナ ー ゼ,123:エ
“保 存 型 ” と
ル カ ナ ー ゼ,78:β-マ
表 面 に濃 縮 す る こ とで あ る.こ
ン ドグ ル カ ナ ー ゼ,8:キ
の 効 果 は,低 濃 度 の 不 溶 性 基
ラ ビ ノ フ ラ ノ シ ダー ゼ,58:
ン ナ ナ ー ゼ,91:セ
ン ド グ ル コ セ ラ ミ ダ ー ゼ.c)反
ロ ビ
質 を用 い て 酵 素 反 応 を行 な っ
応 生 成 物 の ア ノ
た と き に明 ら か で あ る.す
“反 転 型 ” に 分 類.
わ ち,CBDを
に,キ
シ ラ ナ ー ゼ は6の
フ ァ ミ リー(フ ァ ミ リー5,8,
分 け られ て い る.こ
の 情 報 は イ ン タ ー ネ ッ ト上,次
もつ セ ル ラー ゼ
は そ の 濃 縮 効 果 に よ り低 濃 度 の 基 質 に対 し て も 高 い 活
(フ ァ ミ リー5,6,1,8,9,12,44,48,51,60,61)
10,11,43,54)に
性 を維 持 す る の に 対 し,CBDを
の分類 の最新
し い 低 下 が み られ る9).CBDの
の サ イ トで 公 開 さ れ て
ル ロー ス の 結 晶 性 を 弛 め,触
い る.
欠 く酵 素 で は活 性 の 著
も う一 つ の 役 割 は,セ
媒 ドメ イ ン に分 解 しや す
い基 質 を提 供 す る こ と で あ る と考 え ら れ て い る.Cel-
http://afmb.cnrs.mrs.fr/ pedro/CAZY/ghf.html
そ こで は,糖
質 加 水 分 解 酵 素 が フ ァ ミ リー ご と に ま と
め られ て お り,同 時 に そ れ ぞ れ の 酵 素 が 種 々 の デ ー タ
ベ ー ス と リン ク して い る の で,個
こ とが で き る.現
在,セ
々 の 情 報 を取 り出 す
ル ラー ゼ また はキ シ ラナー ゼ
活 性 が 確 認 さ れ た 酵 素 は約400種
登 録 さ れ て お り,ア
lulomonas fimiの
エ ン ドグ ル カ ナ ー ゼCenA(フ
リーII)のCBDに
は,脱 脂 綿 の 表 面 か ら セ ル ロ ー ス の
微 粒 子 を遊 離 さ せ た り,ラ
ラ に す る作 用 が あ る.こ
ァミ
ミー 綿 繊 維 の 表 面 を ザ ラ ザ
れ は 加 水 分 解 作 用 に よ る もの
で は な く,セ ル ロ ー ス 鎖 間 の 水 素 結 合 の 切 断 に よ る膨
潤 化 で あ り,CBDが
結 晶 構 造 を 弛 め る こ との 証 拠 と考
ミノ 酸 配 列 の 相 同 性 の み が 確 認 さ れ た も の を加 え る と
え られ る10).し か し,す べ て の フ ァ ミ リー のCBDに
約500種
の 作 用 が あ るわ け で は な い.こ
ち,セ
に達 す る.糖
質 加 水 分 解 酵 素 フ ァ ミ リー の う
ル ラー ゼ お よ び キ シ ラ ナ ー ゼ 関 連 の もの を表2に
ま と め た.ア
ミ ノ酸 配 列 と蛋 白 質 の 高 次 構 造 の 間 に は
密 接 な 関 係 が あ る こ と か ら,ア
ミ ノ酸 配 列 に 基 づ く糖
質 加 水 分 解 酵 素 の 分 類 体 系 は,(1)酵
反 映 す る,(2)酵
素の構造 的特 徴 を
素 間 の 進 化 的 な近 縁 関 係 を示 す,(3)酵
素 の 反 応 機 構 を 反 映 す る,と
こ ろ に特 徴 が あ り,酵 素
の性 質 を 記 載 す る際 の 重 要 な 項 目 とな っ て い る.
3.セ
CBDは
1490
な
ル ロ-ス
結 合 ド メ イ ン(CBD)
不 溶 性 セ ル ロ ー ス に親 和 性 を もつ ドメ イ ン で
れ とは 別 に非 結 晶 性 セ
ル ロ ー ス の み に親 和 性 を もつCBDも
た,Thermomonospora fuscaの
こ
知 られ て い る.ま
セ ル ラ ー ゼE4のCBD
(フ ァ ミ リーIII)を 除 去 す る と酵 素 反 応 の前 進 性(processivity:エ
キ ソ型 の 酵 素 が セ ル ロ ー ス鎖 の 末 端 結 合 し,
1回 の切 断 反 応 終 了 後 も基 質 か ら遊 離 せず,順
次 末端 か
ら切 断 し て い く性 質)が 低 下 す る こ とか ら,CBDは
素 の 作 用 様 式 に も影 響 を 与 え る と思 わ れ る11).
酵
45
セ ル ラ ー ゼ複 合 体 “セ ル ロソ ー ム ” の構 造 と機 能
III.C.thermocellumの
1.セ
セ ル ロ ソー ム
ル ロソーム の概 念
セ ル ロソー ム は,は
じめC.thermocellumの
細 胞 をセ
ル ロ ー ス へ 結 合 させ る た め の セ ル ロ ー ス 結 合 因 子 と し
て 見 い だ さ れ た が,こ
れ が 多 数 の セ ル ラ ー ゼ を含 む 高
分 子 複 合 体 で あ る こ とが わ か り,セ ル ロ ソ ー ム と命 名
され た12).セ ル ロ ソー ム は細 胞 表 層 に結 合 して 存 在 す る
場 合 に は,細 胞 表 層 の 突 起 物 と し て 観 察 さ れ る が,培
養 液 中 に も分 泌 生 産 され る.し
た が っ て,培
養 液 に不
溶 性 セ ル ロ ー ス を加 え,セ ル ロ ー ス に親 和 性 の あ る成
Database Center for Life Science Online Service
分 を 吸 着 させ た の ち,水
な どで 溶 出 さ せ,さ
らに ゲル
濾 過 で 高 分 子 画 分 を 回 収 す る こ とに よ りセ ル ロ ソー ム
を精 製 す る こ とが で き る.ま
た,セ
ル ロソーム を吸着
さ せ た セ ル ロ ー ス を 集 め 洗 浄 した の ち,そ
の ま ま酵 素
反 応 を行 な わ せ る と,セ ル ロ ー ス の 分 解 に伴 い セ ル ロ
ソ ー ム が遊 離 して く る.こ
れ を 回収 す る こ と に よ り純
図3
C.thermocellumの
セ ル ロ ソー ム の モ デル
度 の 高 い セ ル ロ ソ ー ム が 得 られ る13).
C.thermocellumの
とJW20株
27405株
セ ル ロ ソー ム の 大 き さ は,YS株
で は分 子 量2,000∼2,500Kで
で は6,500Kで
性 は保 持 さ れ る も の の,結
あ り,ATCC
あ る.ま た,SDS-PAGE分
晶 性 セ ル ロ ー ス に 対 す る活
性 は 著 し く低 下 す るか らで あ る16,17).セ ル ロ ソー ム は安
析
定 な 複 合 体 で あ り,8M尿
素 に よ る 処 理 に よ っ て も完
に よ り同 定 さ れ た セ ル ロ ソー ム の構 成 成 分 の 数 はYS株
全 に は 解 離 さ れ な い.セ
ル ロ ソー ム に よ る セ ル ロー ス
で は14,JW20株
の 分 解 産 物 は お もに セ ロ ビオ ー スで あ り,T.reeseiの
thermocellumの
で は26で
あ る14).現 在 ま で に,C、
異 な る5株 か ら多 数 の セ ル ラ ー ゼ お よ
び ヘ ミセ ル ラ ー ゼ遺 伝 子 が ク ロ ー ニ ン グ され て い るが,
そ れ ら の遺 伝 子 は い ず れ もNCBI
DNAに
10682株
の染 色 体
ハ イ ブ リダ イ ズ す る こ とが 報 告 され た15).し た
が っ て,株
に よ っ て セ ル ラ ー ゼ遺 伝 子 の 数 や 種 類 に 違
い は な い と思 わ れ,報
告 された セル ロ ソーム の大 きさ
や 構 成 蛋 白 質 の 数 の 違 い は,そ
れ ぞれの遺 伝子 の発 現
量 の 違 い に よ る もの と考 え られ る.
C.thermocellumとT.reeseiの
的 で あ る16).
こ こで,セ
ル ロ ソ ー ム の 構 造 の 概 略 に つ い て述 べ て
お く.セ ル ロ ソー ム は 多 数 の 構 成 成 分 か らな る複 合 体
で あ る が(図3),そ
の核 とな るの は骨 格 蛋 白質
(scaffoldingprotein)と
蛋 白質 で あ る.1つ
よ ば れ る触 媒 活 性 を もた な い
の 骨 格 蛋 白質 に 多 数 の触 媒 サ ブユ ニ
ッ ト(セ ル ラ ー ゼ や キ シ ラ ナ ー ゼ な ど)が 特 異 的 に 結
セ ル ロ ー ス分 解 活 性
の 強 さ を定 量 的 に 比 較 し た デ ー タ は な い.し
セ ル ラ ー ゼ 系 が もっ ぱ ら グ ル コ ー ス を生 ず る の と対 照
か し,両
合 す る こ と に よ り,複 合 体(セ
れ る.骨 格 蛋 白 質 に はCBDが
ル ロ ソ ー ム)が
あ るの で,セ
形成 さ
ル ロ ソーム
者 の培 養 液 あ た りの 酵 素 活 性 は ほ ぼ 等 し い と報 告 され
全 体 が セ ル ロ ー ス 表 面 に結 合 す る こ と に な る.こ
て お り,嫌 気 性 細 菌 の 蛋 白 質 生 産 量 が 糸 状 菌 の そ れ に
よ り,特 性 の 異 な る 多 数 の 酵 素 を 基 質 の 一 点 に 集 め 集
比 べ 低 い こ と を考 え る と,蛋
中 攻 撃 さ せ る こ とが 可 能 に な る.
C.thermocellumの
白 質 量 あ た り の比 活 性 は
れに
ほ うが 高 い と予 想 され る16).こ の 強
い活 性 を発 揮 す る に は セ ル ロ ソー ム が 完 全 な構 造 を と
る こ とが 必 要 で あ る と考 え ら れ て い る.EDTAやSDS
2.触
媒 サ ブユ ニ ッ ト
セ ル ロ ソ ー ム に 含 まれ る酵 素 成 分 を 触 媒 サ ブ ユ ニ ッ
によって セル ロ ソー ムの構 造 を破 壊 す る と,CMC(carbox-
ト と よ ぶ.セ
ymethyl-cellulose)や
な 構 成 成 分 を セ ル ロ ソ ー ム か ら精 製 す る こ とが 困 難 で
非 結 晶 性 セ ル ロ ー ス に 対 す る活
ル ロ ソ ー ム は構 造 的 に安 定 で あ り,純 粋
1491
46
蛋 白質
図4
核酸
Clostridium属
酵素
Vol.44
No.10(1999)
細 菌 由 来 の ド ッ ク リ ン の ア ミノ 酸 配 列
Database Center for Life Science Online Service
C.thermocellum(Ct),C.cellulolyticum(Cc)お
よ びC.josui(Cj)
由 来 の ド ッ ク リ ン配 列 の 典 型 的 な 例 を 示 した.C.thermocellum
CipAは
タ イ プIIド ッ ク リ ン で あ る.*は
合 に 関 与 す る と推 定 され る ア ミノ酸 。#は
カ ル シ ウム イ オ ン との 結
図5 Clostridium属
種 に特 徴 的 なア ミノ酸.
媒 性 サ ブ ユ ニ ッ トの ドメ イ ン 構 成
細 菌 由来 の 骨 格 蛋 白 質 とそ の他 の 非触
Cl:C.josui, Ccl:C.cellulolyticum, Ccv:C.cellulovorans,
Ct:C.thermocellum.
あ っ た た め,遺
伝 子 の ク ロー ニ ン グ が 行 な わ れ た.図
2にC.thermocellumの
セ ル ロ ソ ー ム の 触 媒 サ ブユ ニ ッ
トの ドメ イ ン 構 成 を示 す.セ
ル ロ ソ ー ム 蛋 白 質 の ドメ
イ ン の 名 づ け 方 は さ ま ざ まで あ る が,本
稿 で はBayer
との 相 互 作 用 が 必 要 で あ る こ と を示 唆 す る.し か し,こ
の 実 験 で は 蛋 白質 の 精 製 の 際 にSDSを
酵 素 の 失 活 も予 想 さ れ,CelS以
使 って い るの で,
外 の触媒 サ ブユニ ッ ト
ら の 定 義 し た 名 称18)を 使 用 す る 、 触 媒 サ ブ ユ ニ ッ トに
の 重 要 性 を 否 定 す る もの で は な い.CelJは
は触 媒 ド メ イ ン の ほ か 骨 格 蛋 白質 と結 合 す る た め の ド
触 媒 サ ブ ユ ニ ッ トで あ り,フ
メ イ ン(ド
異 な る 触 媒 ドメ イ ン を も つ マ ル チ ド メ イ ン エ ン ドグ ル
22ア
ッ ク リ ン)が 必 ず 存 在 す る.ド
ック リンは
ミノ 酸 の く り返 し か ら な っ て お り(図4),次
項で
最 も大 きな
ァ ミ リー9と44の2つ
カ ナ ー ゼ で あ る20).こ の フ ァ ミ リー44の
の
触 媒 ドメ イ ン
述 べ る骨 格 蛋 白質 中 に タ ン デ ム に 存 在 す る触 媒 サ ブ ユ
は セ ル ラ ー ゼ 活 性 だ け で な くキ シ ラ ナ ー ゼ 活 性 と リケ
ニ ッ ト結 合 ド メ イ ン(コ ヘ シ ン)(図5)と
ナ ー ゼ 活 性 も有 して い る21).CelAは
合 す る ド メ イ ン で あ る.CelEな
って い る が,骨 格 蛋 白質 にCBDが
触 媒 サ ブ ユ ニ ッ ト自 身 がCBDを
特 異 的 に結
ど は ほ か にCBDを
あ るの で,必
も
ず しも
もつ 必 要 は な い.
lum
YS株
し,こ
で14種
類,JW20株
で26種
れ ま で に ク ロ ー ニ ン グ さ れ て い る遺 伝 子 で,主
CelJ,CelS,CbhA,XynC)に
ミ リー48の
類(CelA,
す ぎな い.CelSは
ファ
触 媒 ドメ イ ン を もつ セ ロ ビ オ ヒ ドロ ラ ー ゼ
属
フ ァ ミ リー9
に属 す る セ ロ ビオ ヒ ドロ ラー ゼ で あ る.XynCは
ファ ミ
触 媒 ドメイ ンを もつ キ シラ ナ ー ゼで あ る22).C
thermocellumは
類 で あ る.し か
要 構 成 成 分 と し て 特 定 され て い る もの は5種
す る エ ン ドグル カ ナ ー ゼ で あ り,CbhAは
リー10の
セ ル ロ ソ ー ム の 主 要 な構 成 成 分 の 数 はC.thermocel-
フ ァ ミ リー8に
キ シ ロ ー ス や キ シ ラ ン を炭 素 源 と して
利 用 す る こ と が で き な い が,植
物 繊 維 中の セル ロース
を効 率 的 に 加 水 分 解 す るた め に,キ
シ ラ ナ ー ゼ を主 要
成 分 と し て 保 持 し て い る と思 わ れ る.ま
た,主
要成 分
で は な い が リケ ナ ー ゼ や マ ン ナ ナ ー ゼ も見 い だ され て
い る.多
くの セ ル ラ ー ゼ 成 分 の な か で,ア
ビ セ ル に対
で あ り,セ ル ロ ソー ム 中 で 最 も 多 量 に 存 在 す る サ ブ ユ
し比 較 的 強 い活1生が あ る の はCelA,CelJ,CelSで
ニ ッ トで あ る19).セ ル ロ ソー ム か らSDS存
り,こ れ ら は い ず れ も主 要 触 媒 サ ブ ユ ニ ッ ト と し て 同
在 下で い く
つ か の 成 分 を 分 画 す る と,こ れ らの 成 分 は 単 独 で は ア
定 され て い る.ま
ビ セ ル を ほ と ん ど分 解 で きな か っ た.し か し,CelSと
の 特 性(所 属 す る フ ァ ミ リー やEC番
CipA(後
述)を 混 合 し た と き に 強 い 活 性 が み られ た17).
こ の 結 果 は,結
晶 性 セ ル ロー ス の 分 解 に は,CelSが
要 な 働 き をす る こ と,CelSと
1492
重
触 媒 活 性 を もた な いCipA
る.こ
た,こ
れ らの 事 実 は,特
あ
れ ま で に特 定 さ れ た 主 要 成 分
号)は 異 な っ て い
性 の 異 な る,酵
素活 性 の強 い
酵 素 を 主 要 構 成 成 分 と し て含 む こ とで,効 率 よ くセ ル ロ
ー ス を 分 解 し よ う とす る 自然 の戦 略 の よ うに 思 わ れ る
.
セ ル ラ ー ゼ 複 合 体 “セル ロ ソー ム ” の 構 造 と 機 能
3.骨
格 蛋 白質
つ か ど うか は 明 ら か で な い.も
セ ル ロー ス結 合 能 を欠 い たC.thermocellumの
で は,分
子 量210Kの
変 異株
蛋 白 質 が 欠 失 し て い る こ とが 知
られ て い た が12),現 在 これ が セ ル ロ ソー ム の 核 とな る骨
し,す べ て の コヘ シ ン
の 特 性 が 同 じで な い な ら,CipAに
結 合 す る触 媒 サ ブ ユ
ニ ッ トの 順 序 は ラ ン ダ ム で な く,規 則 的 に 並 ぶ 可 能 性
が あ る.コ
ヘ シ ン と ドック リンの結合 には カル シ ウム
格 蛋 白質 で あ る こ とが 明 らか に さ れ て い る23).骨 格 蛋 白
イオ ン が 必 要 で あ る28).ド ッ ク リ ンの く り返 し配 列 の な
質 は 基 本 的 に 複 数 の コヘ シ ン とCBDか
か の は じ め の12ア
触 媒 活 性 を もた な い.コ
ら な り(図5),
ヘ シ ン は 触 媒 サ ブ ユ ニ ッ トに
ミ ノ 酸 は,EFハ
ン ドモ チ ー フ の カ
ル シ ウ ム 結 合 ル ー プ と ホ モ ロ ジ ー が あ り,カ ル シ ウ ム
存 在 す る ド ッ ク リ ン と結 合 す る こ とに よ り,骨 格 蛋 白
結 合 残 基 も保 存 され て い る の で,こ
質 の 回 り に触 媒 サ ブ ユ ニ ッ トを会 合 さ せ る.骨 格 蛋 白
ム 結 合 に 関 与 して い る可 能 性 が 高 い(図4).し
質 の な か で 最 初 に遺 伝 子 が ク ロ ー ニ ン グ さ れ た の は
ル シ ウム イオ ンの役 割 につ いて詳 しい こ とはわ か って
Clostridium cellulovoransの
い な い.ド
もの でcbpA(cellulose-
binding protein)と 名 づ け られ た.C.thermocellumの
tein)と よ ば れ て い る.CipAは9つ
2番 目 と3番
らに,C末
pro-
の コヘ シ ンを もち
目 の 間 に フ ァ ミ リーIIIのCBDが
あ る.さ
端 に は触 媒 サ ブ ユ ニ ッ トに み られ る ドック リ
ン と相 同 性 の高 い配 列 が存 在 す る.後 述 す る よ う に,こ
の ドメ イ ン は そ の 結 合 特 性 が 触 媒 サ ブ ユ ニ ッ トの ド ッ
ク リ ン の そ れ と は異 な る た め,タ
と よ ば れ る.コ
ヘ シ ン は 約147ア
い に 高 い 相 同 性 を も っ て い る.起
の領域 が カ ル シウ
イ プIIの ド ッ ク リ ン
れ ぞれ別 々 に
発 現 さ せ コ ヘ シ ン との 結 合 性 を調 べ た と こ ろ,単
は コヘ シ ン に 結 合 せ ず,両
独で
方 の サ ブ ドメ イ ン を混 合 し
た と きの み コヘ シ ンへ の 結 合 が み られ た29).し た が っ て,
ド ッ ク リ ン と コ ヘ シ ン の 結 合 に は,ド
ック リンの両方
の サ ブ ドメ イ ン が 必 要 で あ る と考 え られ る.
ド ッ ク リン を もつCelD30),CelE27)ま
cipA(ま
た はCipAのCBDと1∼2個
た はCelS31)と
の コヘ シ ン か ら
ミノ 酸 か らな り,互
な る ミニCipA)を
源 の 異 な る骨 格 蛋 白
ー ス に結 合 で き る よ う に な り
,ア
混 合 す る と,い ず れ の 酵 素 もセ ル ロ
ビセル に対 す る活性
質 中 の コヘ シ ン間 に も高 い相 同 性 が 保 た れて い る.CipA
も酵 素 単 独 の場 合 に比 べ て 最 大 で10倍
の コヘ シ ンの結 晶 構 造 解 析 が 行 な わ れ,9本
報 告 され て い る.ド
の β ス トラ
か し,カ
ッ ク リ ン を構 成 す る く り返 し配 列 を前 半 部
分 と後 半 部 分 の サ ブ ドメ イ ン に分 け,そ
骨 格 蛋 白 質 はCipA(cellulosome-integrating
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47
増 大 す る こ とが
ック リンを切 除 され たCelEとCipA
ン ドか ら な る ゼ リ ー ロ ー ル 構 造 で あ る こ とが 報 告 され
を混 合 した 場 合 で もア ビセ ル 分 解 の 相 乗 作 用 が 観 察 さ
た24).し か し,ド
れ る こ とか ら,CBDの
ッ ク リ ン と どの よ うに 結 合 す るか は明
らか に さ れ て お らず そ の 解 析 が 待 た れ る.CipAは
ク トー ス とN-ア
ガラ
セ チ ル グル コ サ ミンか らな る糖 鎖 がO
在 させ る機 能 だ け で な く,セ ル ロ ー ス の 結 晶 性 を 弛 め
る作 用 も重 要 だ と思 わ れ る27).
CipAに80Kの
結 合 型 で 結 合 して お り,糖 蛋 白質 とな っ て い る.
す る とCipA-触
4.ド
ック リ ン-コ ヘ シ ン相 互 作 用 と セ ル ロ ソー ム の 形
106と な るが,こ
106∼6.5×106)よ
成
ド ッ ク リ ン と コ ヘ シ ンの 相 互 作 用 は フ ァ ー ウ ェ ス タ
ン分 析 また は両 者 の 結 合 に基 づ くnative
PAGE上
移 動 度 の 変 化 か ら 測 定 で き る.CelDの
ドッ ク リ ン と
CipAの7番
での
目 の コヘ シ ン との 結 合 は フ ァー ウ ェ ス タ ン
機 能 の う ち 酵 素 を基 質 表 面 に局
触 媒 サ ブ ユ ニ ッ トが9つ
媒 サ ブ ユ ニ ッ ト複 合 体 の大 き さは約1×
の 値 は 実 際 の セ ル ロ ソ ー ム の 値(2×
り小 さい.し
た が っ て,cipA複
る.CipAのC末
端 に も触 媒 サ ブ ユ ニ ッ トの ドッ ク リ ン
に類 似 の 配 列 が 存 在 す るが,こ れ はCipA自
ン と は 結 合 し な か った た め,タ
4.1×10-7で
蛋 白質 が ス ク リー ニ ン グ され,SdbA(Scaffoldin
目 お よび3番
ド ッ ク リン と結 合 す る
目 の コ ヘ シ ン が セ ル ロ ソ ー ム 中 の ほ とん ど の 触 媒 サ ブ
erin binding)蛋
ユ ニ ッ トと結 合 す る こ と も示 さ れ た26).CipAに
プIIド ッ ク リ ン と結 合 す る ドメ イ ン は,タ
の コ ヘ シ ンが 存 在 す る が,CelEの
は9つ
ドックリンはすべて
身 の コヘ シ
イ プIIド ッ ク リ ン と名
づ け られ た25).そ こで,CipAの
た,CipAの2番
合体
が さ ら に会 合 して 真 の セ ル ロ ソ ー ム と な る と予 想 され
分 析 に よ っ て 証 明 さ れ た25).こ の 反 応 の 解 離 定 数 は
あ っ た.ま
結 合す る と
dock-
白 質 が 発 見 さ れ た32).SdbA中
シ ン と命 名 さ れ た.タ
イ プIと
の タイ
イ プIIコ ヘ
タ イ プIIの ドッ ク リ ン
の コヘ シ ンに 結 合 す る こ とが 示 唆 され て い る27).し か し,
は1次
す べ て の コヘ シ ン が ド ッ ク リン に対 し 同 じ親 和 性 を も
と タ イ プIIの コヘ シ ン の 間 に は 相 同 性 は み られ な い.
構 造 上 か な り類 似 して い るが(図4),タ
イ プI
1493
48
蛋 白質
SdbAに
核酸
酵素
Vol.44
No10(1999)
は タイ プIIの コヘ シ ンが1つ
しか ないの で,CipA
ど う し を会 合 さ せ る こ とは で きな い が,cipA4遺
近 傍 に 見 つ か っ たolpβ(outer
は4つ
layer protein)遺
の タイ プIIコ ヘ シ ン とSLHド
由 来 の コヘ シ ン と結 合 し な い た め,種
伝子の
伝子
メ イ ンか ら な る 蛋
白 質 を コー ド して い た33).し た が っ て,OlpBは4つ
の
CipAを
会 合 さ せ る こ とが で き る と予 想 され る.ま
SLHド
メ イ ン はペ プ チ ドグ リカ ン と結 合 す る ドメ イ ン
で あ り,OlpBがC.thermocellumの
た,
細 胞 表 層 上 に存 在
す る こ とが 確 か め られ て い る33).
以 上 の 知 見 を ま とめ て セ ロ ソ ー ム の 構 造 を 模 式 化 し
た の が 図3で
あ る.CipAに
複 数 の 触 媒 サ ブ ユ ニ ッ トが
結 合 し複 合 体 が 形 成 され る.こ
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存 在 す るOlpBに
体(セ
の 複 合 体 は細 胞 表 層 に
間 で特 異性 が あ
る と考 え られ た.両
者 の ド ック リ ン配 列 を比 較 す る と,
C.cellulolyticumに
はAIモ
mocellumに
はSTモ
る(図4)こ
チ ー フ が あ り,C.ther-
チ ー フが あ る こ とで 特 徴 づ け られ
とか ら,こ
れ らの2つ
の ア ミ ノ酸 が ド ッ ク
リ ン と コヘ シ ン間 の 選 択 性 を決 め る と推 定 され た.し
か し,最
近 筆 者 ら はC.thermocellum XynAがC.
josuiのCipAに
結 合 す る こ と を観 察 し て い る の で(未
発 表 デ ー タ),種
間 の 特 異 性 は厳 密 な もの で は な く,ま
た 単 に2ア
ミノ 酸 を認 識 す る と い う よ り,ド
ック リン
全 体 の 構 造 が 種 間 の 特 異 性 を決 め て い る よ う に 思 わ れ
る.
結 合 す る こ とに よ り,よ り大 き な複 合
ル ロ ソ ー ム)と
さ れ る.CipAに
な る と同 時 に細 胞 表 層 に 固 定 化
はCBDが
あ る の で,細
胞 はセ ル ロ ソ
2.そ
の他 の 細菌 のセ ル ロ ソーム
嫌 気 性 ル ー メ ン細 菌 も強 力 な セ ル ロ ー ス分 解 系 を も
ーム を介 してセル ロース上 に固定化 され る
.そ の 結 果,
つ.Ruminococcus albus41)やRuminococcus flave-
細 胞 は セ ル ロ ソー ム の 働 き に よ り セ ル ロ ー ス か ら遊 離
faciens42)で 分 子 量3000Kを
し て く るオ リ ゴ糖 を速 や か に 資 化 す る こ とが で き る.
ー ゼ 活 性 が 検 出 さ れ ,ま
こえ る高 分 子 画 分 にセ ル ラ
た電子 顕微 鏡観 察 に よっ て も
細 胞表 層 にセ ル ロ ソーム様 の突 起構 造 が観 察 され てい
IV.他
た.し
の 微 生 物 由来 の セ ル ロ ソー ム
か し,こ れ ま で ク ロ ー ニ ン グ さ れ た遺 伝 子 の な
か に は ド ッ ク リ ン 配 列 が コー ドさ れ て い なか っ た の で,
1.Clostridium属
細菌 の セル ロソー ム
従 来 の タ イ プ の セ ル ロ ソ ー ム は 形 成 さ れ な い と考 え ら
属 細 菌 の セ ル ロ ソ ー ム Clostridium
はC.thermocellumと
よ く似 た 機 構 で 形 成 され る.C.cellulolyticum 34)
とC.cellulovorans35)の
セ ル ロ ソ ー ム に つ い て は総 説 が
れ て きた.最
近 に な り,R.albusお
よ びR.flavefaciens
の セ ル ラ ー ゼ や キ シ ラ ナ ー ゼ に ド ッ ク リン 配 列 が 見 い
だ され た こ とか ら43),こ れ らの細 菌 もClostridium属
細
あ る の で 参 照 さ れ た い.C.cellulolyticum34),C.cellu-
菌 と同 様 な 構 造 の セ ル ロ ソー ム を形 成 し て い る 可 能 性
lovorans35)お よ びC.josui36)か
が 示 唆 さ れ る.
ら骨 格 蛋 白質 遺 伝 子 が
ク ロー ニ ン グ され て い る.CipC,CbpAお
い ず れ もコ ヘ シ ン とCBDの
つ が,C.thermocellum
よびCipAは
ほ か 親 水 性 の ドメ イ ン を も
CipAに
み られ る タ イ プIIド ッ
ク リ ン を 欠 い て い る.C.sellulolyticum37),C.cellulovorans38)お よ びC.josui36)の
そ れ ぞれ600,900,700Kと
mocellumの
最 近,Bacteroides cellulosolvensお
cellulolyticusか ら骨 格 蛋 白 質 遺 伝 子 が ク ロ ー ニ ン グ さ
れ,そ
の 遺 伝 子 産 物 のCipAと
の類 似 性 が 報 告 され
た4).
セ ル ロ ソー ム の 大 き さ は
報 告 され て お り,C.ther-
値 よ り小 さ い.こ れ は,そ れ ぞれ の 骨 格 蛋
3.嫌
気 性糸 状菌 の セル ロ ソーム
嫌 気 性 糸 状 菌 は,草
白 質 が タ イ プIIド ッ ク リ ン を もた な い た め に 多 量 体 化
息 し て お り,5属
し な い こ とが 原 因 と思 わ れ る.
frntalisか
C.cellulolyticumのCelAと
BIAcoreを
よ びAcetivibrio
用 い て 測 定 さ れ,解
算 出 され た39).C.cellulolyticum由
ミニCipCと
の親 和 性 が
離 定 数 が7×10-9Mと
来 の ドック リンはC.
ら は,複
食動 物 のル ー メ ンや消化 管 に生
が 知 ら れ て い る.neocallimastix
数 の セ ル ラ ー ゼ を含 む610Kの
複
合 体 が 単 離 さ れ て お り,こ れ は56∼126Kの
範 囲 の構
成 蛋 白 質 か らで き て い る44).Piromyces sp.に
おいて も
50∼190Kの
範 囲 の 蛋 白質 か らな る高 分 子 セ ル ラー ゼ 複
thermocellumの
それ と相 同 性 が 高 い に もか かわ らず,C.
合 体 の 存 在 が 確 認 され て い る45).結 晶 性 セ ル ロー ス分 解
thermocellum由
来 の コヘ シ ン と は結 合 し な い40).逆 に
活 性 は 高 分 子 画 分 に み ら れ る の で,こ
C.thermocellum由
1494
来 の ドック リン はC.cellulolyticum
C.thermocellumな
れ らの複 合体 は
どの セ ル ロ ソー ム と同 様 な複 合 体 で
セルラーゼ複合体 “
セル ロソーム”の構造と機能
あ る と考 え られ て い る.し か し,C.thermocellumの
セ
の 原 因 と し て,(1)セ
ル ロ ソー ム に よ る セ ル ロ ー ス の 最 終 分 解 産 物 が,セ
ロ
だ 得 られ て い な い,(2)大
ビオ ー ス で あ る の に対 して,N.frontalis傭
の複 合 体 は β-
グ ル コ シ ダ ー ゼ 活 性 を 含 ん で お り,そ の 分 解 産 物 が グ
ル コ ー ス で あ る の が 特 徴 で あ る44).
myces属
の 糸 状 菌 か らセ ル ラー ゼ な どの 植 物 繊 維 分 解 に
は付 加 さ れ る 糖 鎖 が 重 要 な 働 き を す る,な
菌で
どが考 え ら
れ らの 問 題 点 は セ ル ロ ソ ー ム の 機 能 を よ り正
ミ
れ らの 酵 素
課 題 で あ る.
セ ル ロ ソ ー ム 関 連 ドメ イ ン の 利 用 に つ い て は い くつ
か 提 案 さ れ て い る18).CBD遺
伝 子 は容 易 に発 現 ベ ク タ
に は細 菌 由 来 の セ ル ラ ー ゼ に 保 存 され て い る22ア
ミノ
ー に組 み 込 む こ とが で き るた め ,セ ル ロ ー ス 担 体 を 利
酸 の く り返 し か らな る ド ッ ク リ ン は み られ ず,そ
の代
用 し た 精 製 と固 定 化 の た め の ア フ ィニ テ ィ ー タ グ と し
わ り に約40ア
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の 結 果,こ
腸 菌で生 産 される構成 成分 が
確 に理 解 し,応 用 す る た め に解 決 し な け れ ば な ら な い
関 す る酵 素 の遺 伝 子 が 数 多 くク ロ ー ニ ン グ され,ア
ノ 酸 配 列 が 推 定 さ れ て い る.そ
ル ロ ソー ム構 成 に 重 要 な 成 分 が ま
本 来 の 活 性 を も つ 立 体 構 造 を と って い な い,(3)元
れ る.こ
す で にNeocallimastix属,Piromyces属,Orpino-
49
ミ ノ酸 か らな る く り返 し配 列 が 存 在 す る
て 利 用 可 能 で あ る.実 際 す で にCBD遺
伝 子 を組 み 込 ん
こ とが わ か っ て き た46).こ の く り返 し配 列 は,Neocal-
だ 発 現 ベ ク タ ー が 商 品 化 され て い る.ド
limastix属,Piromyces属
由来
ヘ シ ン との 特 異 性 の 高 い結 合 反 応 は 親 和 性 の 高 い ア フ
の保
ィ ニ テ ィー シ ス テ ム と し て 利 用 で き る.ド
よび
コヘ シ ン の そ れ ぞ れ に 酵 素 や ほ か の ア フ ィ ニ テ ィ ー シ
お よ びOrpinomyces属
の い ず れ 酵 素 に お い て も高 く保 存 され て い る.こ
存 さ れ た 配 列 はneocallimastix patriciarumお
Piromces
うち,そ
sp.か ら分 離 さ れ た セ ル ラー ゼ 複 合 体 成 分 の
れ ぞ れ116Kと97Kの
す る こ とか ら,セ
蛋 白質 に特 異 的 に結 合
ル ラ ー ゼ 複 合 体 の 形 成 に お い て,重
ス テ ム の 蛋 白 質(抗
ック リン とコ
ック リンと
体 や レ ク チ ン な ど)を 連 結 す る こ
と に よ り,目 的 蛋 白質 ど う し を 会 合 さ せ た り,複 雑 な
ア フ ィニ テ ィ ー シ ス テ ム を 構 築 す る こ とが で き る.ま
要 な 働 き をす る こ とが 示 唆 され た46).こ の 配 列 が 細 菌 に
た,特
お け る ド ッ ク リ ン に相 当 す る役 割 を も つ と予 想 され る
を つ く り,こ れ と適 当 な ド ッ ク リ ン を もつ 融 合 酵 素 と
こ と か ら,糸 状 菌 型 の ド ッ ク リ ン と名 づ け られ た4).
組 み 合 わ せ れ ば骨 格 蛋 白質 上 で 選 択 的 な結 合 が起 こ り,
こ の よ う に 嫌 気 性 糸 状 菌 は,Trichoderma属
に代 表
さ れ る好 気 性 セ ル ロ ー ス 分 解 性 糸 状 菌 と は 異 な り,嫌
気 性 細 菌 の セ ル ロ ソー ム に類 似 し た 酵 素 複 合 体 に よ り
セ ル ロ ー ス を 分 解 し て い る と考 え られ る.し
か し,骨
格 蛋 白 質 に つ い て は明 ら か に さ れ て お らず,嫌
気性 糸
性 の 異 な る コ ヘ シ ン を含 む骨 格 蛋 白 質 の キ メ ラ
多 酵 素 リア ク ター が で き る.ま た,目
的 蛋 白 質 をSLH
ドメ イ ン と連 結 した 融 合 蛋 白質 を発 現 さ せ れ ば細 胞 表
面 に 固 定 化 す る こ と も可 能 で あ ろ う.
以 上 の よ う に,セ
ル ロ ソー ム の 構 造 と機 能 に つ い て
は 解 明 す べ き 点 は ま だ 多 い も の の,か
た,セ
な り明 ら か に な
状 菌 の セ ル ラ ー ゼ 系 の 理 解 は今 後 の 解 析 を待 た ね ば な
っ て きた.ま
ら な い.
ル ロ ソー ム お よび セ ル ロ ソ ー ム 形
成 菌 の 応 用 に 関 して も大 きな 可 能 性 が あ り,こ れ らが
現 実 化 す る 日 も近 い と考 え て い る.
お わ りに
C.thermocellumで
発 見 され た セ ル ロ ソー ム
が 細 菌 に 限 ら ず 糸 状 菌 に も見 い だ さ れ た こ と か ら,嫌
気 性 微 生 物 に よ る セ ル ラ ー ゼ 複 合 体 形 成 は特 殊 な 現 象
で は な く,む
れ は,蛋
し ろ一 般 的 な も の で あ る と い え よ う.こ
文
1)
白 質 生 産 能 力 の 低 い嫌 気 性 微 生 物 が 難 分 解 性
の植物 細胞 壁 を効率 的 に分 解 す るた めに進化 させた 巧
2)
妙 な シ ス テ ム の よ う に 思 わ れ る.セ ル ロ ソ ー ム の 構 造
3)
に つ い て は そ の 全 体 像(図3)が
描 か れ る ま で に理 解 は
4)
進 ん だ.し
か し,大 腸 菌 か ら精 製 した 骨 格 蛋 白 質 と触
媒 サ ブ ユ ニ ッ トを 混 合 し て 得 られ る活 性 は,天
然 のセ
ル ロ ソー ム に比 べ る と微 弱 で あ り,活 性 の 強 い セ ル ロ
ソー ム を再 構 成 す る こ と に は まだ 成 功 して い な い.こ
5)
6)大
7)
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粟 冠和 郎
R.,Yaron,S.,Shoham,Y.,Frolow,F.:Structure,
略 歴:1982年
5,381-390(1997)
博 士 課 程 修 了.三 重 大 学 農 学 部 助 手,生 物 資 源 学 部 講 師
よ り現 所 属(助 教 授).研
究 テ ー マ:嫌 気
lan,M.,B6guin,P.,Aubert,J.-P.:J.Bacteriol.,
性 細 菌 の 糖 質分 解 酵 素 に関 す る研 究.抱
負:バ イ オ マ ス
176,2822-2827(1994)
の有 効 利 用 を め ざ した 嫌気 性 細 菌 の代 謝 工 学 ・
分 子育 種 を
25)Salamitou,S.,Raynaud,O.,Lemaire,M.,Cough-
26)Yaron,S.,Morag,E.,Bayer,E.A.,Lamed,R.,
Shoham,Y.:FEBSLett.,360,121-124(1995)
を経 て1989年
東 北大学 大学院農学研 究科農芸化 学専攻
行 ない た い.
27)Ciruela,A.,Gilbert,H.J.,Ali,B.R.S.,Hazlewood,J.P.:FEBSLett.,422,221-224(1998)
28)Choi,S.K.,Ljungdahl,L.G.:Biochemistry,35,
4906-4910(1996)「6583(1998)
大 宮 邦雄
略 歴:1968年
名古屋大学 大学院農学研 究科農芸化 学専
攻 博 士 課 程 修 了.名 古 屋 大 学 農 学 部 助 手,助 教 授 を経 て
29)Lytle,B.,Wu,J.H.D.:J.Bacteriol.,180,6581-
1990年 よ り現 所 属(教 授).研
30)Kataeva,I,Guglielmi,G.,Beguin,P.:Biochem.
スの 有 用 物資 への 微 生 物変 換.関
J.,326,617-624(1991)
31)Kruus,K.,Lua,A.C.,Demain,A.L.,Wu,J.H.
D.:Proc.Natl.Acad.Sci.USA,92,9254-9258
(1995)「3084(1996)
32)Leibovitz,E,Beguin,E.:J.Bacteriol.,178,307733)Lemaire,M.,Ohayon,H.,Gounon,P.,Fujino,T.,
Beguin,P.:J.Bacteriol.,177,2451-2459(1995)
1496
究 テ ーマ:未 利 用 バイ オマ
心 事 ・抱 負:未 利 用 ・
廃 棄 バ イ オ マ ス に蓄 積 ・
残 留 して いる 太 陽 エ ネル ギ ー を微
生 物 機 能 を利 用 して効 率 よ く取 り出 す とい う生物 資 源 の循
環 利 用 に よ り,化 石 資 源の 節減,環 境 負 荷の低 減,バ イオ
エ ネル ギ ー の持 続 的 供 給 を図 る.
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