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フランス大使館 マリック・アイトゥ=アイサ氏講演 ただいま、ご紹介

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フランス大使館 マリック・アイトゥ=アイサ氏講演 ただいま、ご紹介
フランス大使館
マリック・アイトゥ=アイサ氏講演
ただいま、ご紹介いただきましたマリック・アイトゥ=アイサと申します。本日
はこのような機会をいただきありがとうございました。また、JFS に対しては非
常によい仕事をされていますので、それに対して感謝したいと思います。よく
JFS のウェブサイトを拝見させていただき、色々な情報を得、日本で何が起こっ
ているのかということを知る手立てとしていますので、それに対しても感謝し
たいと思います。
本日は非常に違った2つのトピックについてお話をさせていただきます。まず
初めに 2016 年にフランスで開催が予定されている COP21 に向けて、フランス
側としてどのように準備を進めているのかということについてお話しします。
その次に、CSR についてフランスとしてどのように考えているのかということ
をお話しします。本日は時間が限られていますので、2つのプレゼンテーション
の後に、色々とご質問をしていただければと思います。
地球温暖化というのは議論の余地がないほど確実に起こっています。すでに平
均気温が上がっており、1900 年から 2012 年までに 0.89℃上昇しています。も
しまったく手を打たなければ、かなり高水準にまでこの気温は上がるだろうと
言われています。ある仮説によると、6.4℃気温が上がるだろうとも言われてい
ます。このレベルの気温の変動というのは、氷河期と間氷河期を分ける熱的なシ
ョックに相当します。けれども、このような上昇というのは、通常は 1 万年をか
けて起こるものです。
最近の IPCC によると、このような上昇というのは人間の活動によって起こさ
れた可能性が非常に高いということです。このエコシステムに関する、また人間
の活動に対する、帰結というのは非常に劇的なものになります。例えば、氷が溶
けていってしまったり、あるいは海面が上昇したり、また海水の温度が上昇した
りということが起こりえます。
来年、パリで開催される COP21 というのは、地球温暖化に関する交渉において
非常に重要なステップとなるものです。コペンハーゲンで行われた 2009 年の会
議の際は同意に至ることができませんでした。そこで、その当時、言われたのが
次回このような議論をする場というのは 2015 年になるということでした。です
ので、2020 年に向けて交渉を大きく変えていく、すなわち 2020 年以降に大き
なコミットメントを果たしていくことを決める最後のチャンスであると言われ
ジャパン・フォー・サステナビリティ特別講演会
∼COP21 パリに向けたフランスの動向とフランス企業の CSR
ています。
地球規模で起こっている温暖化を 2℃の上昇でとどめるためにはどうすればい
いのか、重要になってくるポイントが5項目¥あります。
まず、1つめが野心的であることです。これが、おそらく一番難しいものになる
でしょう。それから2つめに、グローバルな支援。これは全員がきちんと賛同す
るということが大変重要です。3つめに透明性、それから4つめに包括性、もし
経済面の問題が議論されなければ開発途上国がコミットするのは難しいでしょ
う。そして最後の5つめは柔軟性です。
フランスの役割というのは、可能な限り中立なファシリテイターになるという
ことです。そして、可能な限りスムーズで、かつ効率的な準備のプロセスを会議
のために整えるということです。この目的を達成するためには、私たちは全ての
利害関係者、すべての関係国に耳を傾け、それぞれのポジションをきちんと理解
する必要があります。これが世界中にある、我々フランス大使館の最も重要な優
先事項となっています。
気候変動の影響の緩和はすべての関係者が背負わなければならない負担だとの
考え方から脱却するためのひとつの方法としてポジティブアジェンダという考
え方があります。ここでのポイントは気候変動に対して戦っていく中で、成長や
雇用、そして生活の質といった点で大きなメリットももたらされるのだと言う
ことを示していくということです。
このアプローチは国連の事務総長により受け入れられていますし、この事務総
長が気候に関するサミットについて市民団体の代表を招きました。そして、彼は
また気候に関して行動していくということと、経済的な安定成長の間には全く
矛盾はないとも言っています。
では、次にフランスにおける CSR についてお話します。
これは2つの定義によって理解されています。
1つが欧州委員会による定義で、これは企業が社会に対してもたらすインパク
トに対する責任と定義されています。
それから、ISO26000 の 2010 年の定義に書いてある通りです。
これは組織が負うべき責任であり、そしてその組織の意思決定や活動が社会や
環境に対して、影響を透明性と倫理的な行動によって責任を負うものである、と
ジャパン・フォー・サステナビリティ特別講演会
∼COP21 パリに向けたフランスの動向とフランス企業の CSR
するものです。
フランスにおける CSR については、ここ数年で今までよりも前面に出てくるよ
うになりました。というのも、非財務的な透明性というものが規制として実施さ
れてきているからです。
ここで、フランスの企業がどのように CSR に関する問題に関わっているかとい
うことをいくつか数字をご紹介してお見せします。
 50 人以上の被雇用者がいる会社のうち、半数以上が CSR 活動に関与し
ています。
 800 社の上場企業と 1500 社の非上場企業は、非財務的な報告を義務づ
けられています。
 6000 社以上の欧州企業は 2014 年4月に採択された非財務的な報告に
ついての新しい指令に準拠しなければなりません。
いくつか、フランスの環境省によって導入されたアクションがあります。
フランスの環境に関する省では CSR についてかなり関わっています。
これは、フランスとヨーロッパ双方の規制に関するプロセスにも関わっていま
す。また、フランスや国際社会との取り組みについて、よりよいコミュニケーシ
ョンやコラボレーションを推進するために活動してきていますし、また専門家
や市民社会とのコミュニケーションをよくしようと努力しています。
フランスの CSR 担当の役員の業界団体ですとか、あるいは フランス企業運動
通称 Medef というフランスで最大の雇用者の団体、それから組合や環境・CSR
関連の団体の要請により 2013 年に国レベルでの CSR プラットフォームが立ち
上がりました。
ここでの目的は、天然資源の枯渇、気候変動、人口動態的な変動による危機、そ
れから国際的な公的機関のガバナンスに関する問題など、こういった問題に直
面する中でどのようにして民間セクターがこうした課題に取り組んでいけば良
いのかをこういったプレイヤー達を巻き込んで道を模索していくということで
す。このプラットフォームが作られた背景には、企業というのは多くの問題の中
心であるけれども多くの解決策の中心にもなれるということがあります。
このプラットフォームにおいて、3つのワーキンググループが立ち上げられま
した。まず、1つめは競争力に関するもので、ここでの最初のレポートは特に中
ジャパン・フォー・サステナビリティ特別講演会
∼COP21 パリに向けたフランスの動向とフランス企業の CSR
小企業の CSR に対するコミットメントについてとりあげることになっていま
す。そして、2つめのワーキンググループが透明性に関するもので、ここでの最
初の仕事としては非財務的な報告に関する既存の規制の評価でした。そして、3
つめのワーキンググループが国際面ということで、サプライチェーンに関して
様々な国際的な規制がありますが、その規制に関するフランスの大企業グルー
プがどれほどその責任を理解しているかということについての評価を行いまし
た。これら3つのグループからの報告は、10 月の終わりにフランス政府に提出
されます。
なお、フランスでは、10 月 14 日に国民議会下院において、2015 年2月初旬に
は上院においても、消費電力に占める再生可能エネルギーの割合や、エネルギー
消費削減目標などを盛り込んだエネルギー移行法案が審議される予定です。
そして、ヨーロッパ全体のレベルでは、新たな欧州指令が今年の9月 29 日に採
択されました。この新しい欧州指令は、今まですでに義務づけられていた非財務
的な報告をさらに強化するものになります。特に、人権の分野で強化していくこ
とになります。例えば、その結果として、グローバル企業の子会社もまた、この
報告を求められることになります。
ご清聴ありがとうございました。
ジャパン・フォー・サステナビリティ特別講演会
∼COP21 パリに向けたフランスの動向とフランス企業の CSR
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