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第2章 北区の現状と課題

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第2章 北区の現状と課題
第2章 北区の現状と課題
1 自然環境
(1) 自然環境の保全
○ 福島潟をはじめ阿賀野川や海岸、田園風景などの北区の豊かな自然は、市民生活に潤
いと安らぎを与えています。
○ 環境保全意識のさらなる高揚と活動団体への財政的支援、活動団体間の情報共有とマ
ンパワーの確保が、今後とも必要となります。
① 福島潟
○ 福島潟は、県内有数の面積をもつ湖沼で、国の天然記念物オオヒシクイの日本一の越
冬地となっています。また、オニバスなど希少植物の宝庫でもあり、生物多様性が高
く、学術的にも貴重な場所と言えます。市民などとの協働による自然保護活動が活発に
行われています。
○ 上流河川からのごみの流入、潟の陸地化、外来種(セイタカアワダチソウなど)の侵
入、在来種(マコモなど)の減少についての対策や水質の向上、希少種(オニバスな
ど)の保護育成が、課題となっています。
(羽)
8,000
7,200
6,000
3,800
4,000
3,385
2,730
2,500
2,260
2,000
1,303 1,282 1,083 1,078
上池︵山形︶
朝日池︵上越市︶
風蓮湖︵北海道︶
シラルトロ湖︵北海道︶
八郎潟︵秋田︶
長都沼︵北海道︶
三日月湖︵北海道︶
化女沼︵宮城︶
小友沼︵秋田︶
福島潟
0
オオヒシクイ
(平成27年1月に北区の鳥に制定)
オオヒシクイの最大個体数
※亜種オオヒシクイ、亜種ヒシクイ含む
出典 : 平成25年度重要生態系
監視モニタリング推進事業
(環境省自然環境局)
ガンカモ類調査業務 2012/13 調査速報
春の福島潟
−9−
② 海辺の森
○ 海岸沿いに形成されている保安林は、海辺の森として市民の憩いの場所となっていま
す。
○ 松林の保全とそのためのボランティアの確保、松くい虫防除対策、飛砂防止対策、並
びにごみの不法投棄対策が課題となっています。
保安林としての海辺の森
③ 十二潟
○ 阿賀野川が蛇行していた時代の名残りである十二潟では、アサザやガガブタなどの希
少植物が見られますが、外来植物の駆除が課題となっています。
ガガブタの花
自然観察会(十二潟)
アサザの花
④ 河川水路など
○ 阿賀野川では、河川敷にスポーツ施設などが整備され、憩いの公園となっています。
また、新井郷川や福島潟放水路などの水辺の環境は、地域住民の生活に潤いを与えてい
ます。しかし、ごみの不法投棄対策やさらなる水質の向上が求められています。
○ 新潟東港と福島潟放水路で分断された下流側の水路などでは、特に農閑期に流量が不
足し、水質の悪化による臭気の発生などが課題となっています。
− 10 −
(2) 自然環境の活用
○ 北区は、豊かな自然から多くの恵みを受けてきました。特に、福島潟や海辺の森など
では、魅力ある自然環境を教育や観光に活用しています。
① 教育への活用
○ 福島潟では、環境教育や自然体験学習が、市内外の小中学校を中心に積極的に行われ
ています。また、海辺の森や十二潟でも、地元の小中学生が参加した環境教育の取り組
みが進められています。こうした活動は、指導者が限られることや、参加機会の充実な
どが課題となっています。
ザリガニ釣り
(福島潟)
自然体験学習(島見浜)
○ 自主的な地域づくりとして、地域コミュニティ協議会や地元有志の人々により、水辺
に花を植えたり、ごみを拾うなどの環境の保護・美化活動が行われています。
② 観光への活用
○ 福島潟は、新潟の原風景を今に残し、独自の自然環境が生み出す生活様式や食文化な
ども魅力の一つとなっています。
○ 海辺の森周辺では、キャンプ場や遊歩道が整備され、海水浴など自然を楽しむ空間と
して利用されています。
○ 福島潟や海辺の森の観光活用を進める上では、宿泊施設の不足や交通機関のアクセス
の向上が課題となっています。
(人)
60,000
50,000
40,000
30,000
20,000
10,000
平成
平成
平成
平成
平成
平成
平成
年度
13
年度
15
年度
17
年度
19
年度
21
年度
23
年度
25
11
年度
平成
0
水の駅「ビュー福島潟」有料入館者数
− 11 −
島見浜海水浴場
2 都市基盤
(1) 土地利用
○ 水田や畑などの農業用地が、北区全域に広がっています。日本海沿岸部には新潟東港
工業地帯があり、住宅地に利用されている松浜・濁川・早通・木崎・
塚などの市街化
区域が散在しています。
○ 北区全体のまちづくりに向け、都市機能の拠点となる地区の整備など、計画的な土地
利用が望まれます。
(2) 道路・雨水対策
① 道 路
○ 国道7号(新新バイパス)、国道113号、日本海東北自動車道などの東西に貫く幹線道
路が充実し、JR白新線も運行されていることから、新潟市中心部方面と新発田市方面
への接続には高い利便性があります。 ○ 今後は、江南区・南区へつながる新潟中央環状道路や、区内の拠点を結ぶ南北の道路
のさらなる整備が必要です。
区内の主な道路
− 12 −
② 雨水対策
○ 近年の都市化の進展や局所的な豪雨による市街地の冠水が発生しています。
○ 過去の浸水被害状況を踏まえた雨水対策施設の整備や治水対策の強化が必要です。
(3) 公共交通
○ 公共交通は、東西方向にJR白新線、新潟交通グループ路線バス(一部住民バス区
間)が運行され、新潟市中心部と区内の一部の地域を結んでいます。また、南北方向に
は、地域住民が運営主体である住民バス、区が運営主体である区バスが運行され、それ
ぞれJR新崎駅、豊栄駅に結節しています。
○ 区内には、公共交通が利用しにくい地域があり、日常の移動手段である生活交通の利
便性向上のために、引き続き検討が必要です。
○ 既存の公共交通については、運行内容などを継続的に見直し、生活交通としてさらに
使いやすくする必要があります。
━━ 区バス
━━ 住民バス(陽光・松浜・濁川地区)
━━ 住民バス(島見町・太郎代地区)
━━ 路線バス
デマンド交通(長浦・岡方地区)社会実験
区内の主な公共交通
− 13 −
(4) 新潟東港
○ 国際拠点港湾・総合的拠点港である新潟東港は、東アジア諸国を結ぶコンテナ航路が
あり、国際貿易港として機能整備が進められています。
○ 国際物流拠点としてのさらなる発展のためには、コンテナターミナルの拡張や港湾と
県内外各地とのアクセス向上が必要です。
新潟東港コンテナヤード
新潟東港全景
新潟市と東アジア諸国を結ぶ国際コンテナ航路
− 14 −
3 産 業
(1) 商工業
① 商 業
○ 北区各地の商店街は、郊外型大型店の進出などの影響や後継者不足により衰退が進
み、空き店舗が増えてきています。商店街それぞれが持つ魅力を高め、広くPRするとと
もに、消費者ニーズを把握し、集客力を高めることが必要となっています。
○ 塚と松浜には伝統ある露店市が開設され、多くの買い物客で賑わっています。しか
し、出店者の高齢化により、店舗数の減少が進んでいることから、新規参入を促進する
必要があります。
塚市
松浜市
② 工 業
○ 区内には多くの工業団地があり、製造業や物流関連企業が集積しています。
○ 特に、新潟東港は、本州日本海側で最大のコンテナ貨物取扱量を誇る物流拠点とし
て、その取扱量は順調に伸びています。新潟空港にも隣接し、国道7号(新新バイパス)
や高速道路などの交通網も整備されていることから、産業立地には優位な環境にあり、
この恵まれた立地環境を活かし、地域産業の活性化や雇用の拡大へつながる企業誘致を
進めることが必要です。
○ 国内外の企業間競争が厳しくなる中、国際的にも通用する新技術の開発や、新産業の
創出が必要となっています。
(千万円)
(所)
35,000
■製造品出荷額(千万円)
30,000
■事業社数(所)
25,000
3,500
3,000
2,500
20,000
2,000
15,000
1,500
10,000
1,000
5,000
西蒲区
西
区
南
区
秋葉区
江南区
中央区
東
区
北
区
0
500
生産用機械器具
559.191
その他
3,928.649
食料品
3,397.822
汎用機械器具
733.464
金属製品
1,113.529
化学
15,543.085
0
製造品出荷額および事業社数
北区産業別製造品出荷額内訳(千万円)
出典 : 総務省・経済産業省
「平成24年経済センサス活動調査」
出典 : 総務省・経済産業省
「平成24年経済センサス活動調査」
− 15 −
(2) 農水産業
○ 北区では米を中心に野菜、果樹、花き、畜産など、多種多様な農畜産物の生産や漁業
が行われ、中でもトマトとなすは、県下一の出荷量を誇っています。現在こうした農産
物を利用した地域ブランド商品の開発販売に向けた取り組みが、農商工学を中心に連携
して進められています。
○ 「大規模農業改革拠点」として国家戦略特区に指定されたことにより、「稼げる農
業」の確立に向けた機運が高まっています。その確立に向けて魅力的な農産物の掘り起
こしや付加価値の高い商品開発を行い、農業の6次産業化に向けた取り組みを広げていく
とともに、福祉分野や医療分野などとの連携が必要です。
北区
952.6t
県内他地域合計
723.9t
56.8%※1
43.2%※1
トマト
※1 県産トマトの全出荷量に対する割合
な す
北区
129.0t
県内他地域合計
363.1t
26.2%※2
73.8%※2
※2 県産なすの全出荷量に対する割合
0%
20%
40%
60%
80%
100%
北区産トマトとなすの出荷量
北区産トマト
出典 : 全農にいがた(H25)
北区
3,846ha
北区
466ha
15.2%
20.0%
田
畑
市内他区
21,528ha
市内他区
1,862ha
84.8%
80.0%
北区
32ha
4.3%
樹園地
市内他区
708ha
95.7%
経営耕地面積比較
北区産やきなす
出典 : 農林業センサス
(H22)
− 16 −
○ 米価の下落、農業者の高齢化や担い手不足、葉たばこの廃作による遊休農地(耕作放
棄地)の拡大など、解決しなければならない厳しい課題も多くあります。
○ 農地、とりわけ水田は、低湿地に広く展開していることから、用排水の管理が難し
く、中でも降雨時の排水は、排水ポンプに依存しています。しかし、排水ポンプは、老
朽化が進んでおり、排水施設の保全と修繕が必要となっています。
○ 水田や畑などの農地は、貯水・遊水機能とともに、水資源かん養や水質浄化機能も果
たしています。果樹園は、花咲く季節には、かけがえのない美しい景観を形成していま
す。こうした環境の維持、保全を続けていくことが必要です。
美しい水田
梨の受粉作業
(3) 観 光
○ 観光資源としては、福島潟をはじめとした美しい自然景勝地や歴史スポットが多数存
在します。
○ 海辺の森キャンプ場や島見浜海水浴場は、夏季のレジャースポットとして市内外から
の観光客や家族連れ客に人気があります。
○ 北区としては、地域の魅力や特徴を活かした、さらなる観光振興を図る必要がありま
す。
○ 新潟東港においては物流機能だけでなく、クルーズ客船の寄港など人的交流による観
光振興も視野に入れていくことが必要です。
推定樹齢1,200年「高森の大けやき」新潟県天然記念物
− 17 −
阿賀野川から見た夕日
4 教育・健康・福祉
(1) 教育とスポーツ
① 歴史・文化・芸術
○ 区民が郷土の歴史・文化・芸術に触れ、親しむことで、豊かな心を醸成し、地域に根
差しながら生きがいを持って暮らせる環境づくりが求められています。拠点施設のさら
なる強化と、区民の多彩な活動への支援が必要です。
② 学校教育
○ 学校教育活動のさらなる充実を図るため、地域との協力が必要です。
○ 少子化が進む中、次世代の地域を担う子どもたちに寄せられる期待が高まっていま
す。子どもたちの学習環境などのバックアップと、活力あるまちづくりに向けた基盤整
備が必要です。
③ 社会教育
○ 超高齢・少子社会の中で、年齢や性別、障がいの有無などに関わらず、互いの人権を
尊重し、市民力の向上と地域の課題の解決に向けた学習活動や、幅広い世代の生涯学習
活動の支援が必要です。
④ スポーツ
○ 人とのつながりと、健康で活力ある生き方が求められています。
○ 気軽に生涯スポーツに親しめるような取り組みと、多様な団体が主体となり、人と人
とをつなぐ、スポーツ・レクリエーション活動への支援が必要です。
毎年恒例のイベント 元旦歩こう会
− 18 −
(2) 健 康
○ 新潟市では、悪性新生物の中でも胃がん、気管、気管支及び肺がんで死亡する人の割
合が高い傾向にあります。北区においても同様の傾向があります。また、各種がん検診
のうち、子宮頸がんの受診率が低い傾向にあります。
○ 高齢化率が市全体を上回るスピードで進展している中で、日常生活動作が自立してい
る期間、いわゆる健康寿命の延伸に向けた取り組みが求められています。
○ 長期の療養が必要となった場合に、6割以上の人が在宅医療を希望しています。
24
22
20
18
■健康な期間
3.3年
1.5年
1.8年
17.2年
17.2年
20.5年
20.6年
12
10
全国平均
新潟市
男 性
悪性新生物
31.4%
その他
32.2%
16
14
3.9年
■健康でない期間
全国平均
新潟市
女 性
健康寿命
肺炎
9.4%
心疾患
(高血圧性除く)
脳血管
疾患
11.8%
15.2%
胃…15.7%
大腸
…12.8%
肝及び肝内胆管
…6.5%
気管、気管支及び肺
…19.1%
その他
…46.0%
主な死因別死亡割合
出典:新潟市保健所健康増進課
※65歳時点の平均余命年数のうち、
日常生活が自立している
期間(年数)
と自立していない期間(年数)を表す。
(3) 福 祉
① 地域福祉
○ 北区では、保健・福祉分野の区民のニーズに対応したさまざまな社会資源が幅広く形
成されてきています。
○ 地域福祉を推進するためには、今後も社会資源の充実やネットワーク化を図ることが
必要です。
○ 超高齢・少子社会が進む中で、地域住民同士の結びつきを深めるため、助けあいや交
流活動を盛んにすることも重要です。
サロンお茶の間
サロンふれあいカフェ
− 19 −
② 高齢福祉
○ 高齢者の単身世帯数のさらなる増加が見込まれます。また、孤独死・孤立死も発生し
ています。
○ 高齢者が、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを継続できるよう、住民組織やNPO
法人などの多様な事業主体を中心に、地域で高齢者を支える仕組みづくりや、医療・介
護のネットワーク形成が求められています。
○ 超高齢社会に対応するため、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供さ
れる「地域包括ケアシステム」の構築が必要となっています。
地域包括ケアシステム概念図
③ 障がい福祉 ○ 身体障がい者手帳・療育手帳・精神障がい者保健福祉手帳所持者は、年々増加してお
り、高齢化も進んでいます。
○ 障がいのある人が住みなれた地域や家庭で快適に生活できるよう、地域における本
人・家族への支援体制や多様化するニーズに対応したサービスの充実が必要となってい
ます。
− 20 −
(4) 子育て
○ 少子化・核家族化により、育児の悩みや心配事を相談できる人が身近にいないという
子育て世帯が増えています。
○ 子育てに関して、身近な地域で高齢者をはじめ、さまざまな世代の皆さんの意見を聴
いたりする交流の機会と場が必要となっています。
北区ふゆっこまつり
配食ボランティアの様子
5 市民生活
(1) コミュニティ
○ 地域コミュニティ協議会は、区内全域で結成されており、地域の福祉・防災防犯・環
境美化・青少年育成などに取り組んでいます。
○ 自治会などの各種団体の活動やサークル活動・祭りなどの地域活動は、自治会集会
所・公民館・コミュニティセンター・まちづくりセンターを中心に行われています。
○ 都市化の進展などによるコミュニティ意識の希薄化や地域活動の担い手不足が問題に
なってきており、これからのまちづくりを支える人材の育成が求められています。
青空お茶の間サロン
木崎地区芸術文化祭
− 21 −
(2) 防 災
○ 超高齢社会がさらに進む中、災害時に支援を必要とする高齢者が増加しています。ま
た、自力で避難することが困難な障がい者・妊婦・乳幼児・日本語が不自由な外国人が
います。
○ 地域・学校・行政が連携し、避難体制などを確立するとともに、区民へ緊急情報を迅
速に伝達する必要があります。
(3) 防犯・交通安全
○ 自転車などの乗物盗、事務所荒らし、振り込め詐欺などの犯罪が発生しています。ま
た、子どもに対する不審者情報が寄せられています。
○ 犯罪を未然に防止するため、地域の協力を得て、青色回転灯装備車(青パト)による
パトロールを実施しています。
○ 区民が、安心して、安全に暮らすことができるように、犯罪を未然に防止する自主防
犯の必要性について啓発するとともに、防犯意識の高揚を図ることが必要です。
○ 高齢者の増加に伴い、高齢者が自転車などによる交通事故に遭う割合が、多くなって
おり、高齢者に対する交通安全対策の強化が求められています。
(4) 北区役所庁舎
○ 現庁舎の本館は、昭和37年に建設されたもので、平成21年に応急的な耐震補強工事を
しましたが、大規模な改修が困難であったため、十分な耐震性は確保されていません。
また、老朽化による雨漏りなどが発生しています。
○ 本館は、エレベーターのある新館との接続部分が複雑な構造になっていて、来庁者に
不便をきたしています。また、執務や窓口サービスにおいて十分な広さを有していませ
ん。
○ 庁舎全体において、障がい者や高齢者などに配慮したバリアフリー化が、急務となっ
ています。
○ 防災拠点となるよう、耐震性や災害時の支援機能を十分に備えた施設が必要です。 交通安全啓発活動
北区役所現庁舎
− 22 −
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