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Title 血中揮発性成分マルチマーカー

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Title 血中揮発性成分マルチマーカー
Title
Author(s)
血中揮発性成分マルチマーカープロファイリングシステ
ムの開発
角田, 省二
Citation
Issue Date
Text Version ETD
URL
http://hdl.handle.net/11094/52177
DOI
Rights
Osaka University
博士学位論文
血中揮発性成分マルチマーカー
プロファイリングシステムの開発
角田
省二
2015 年 1 月
大阪大学大学院工学研究科
目次
第一章
緒論
1
第二章
in vitro 酸化処理脂質から生成される揮発性成分プロファイリング
9
2-1 緒言
9
2-2 実験方法
11
2-2-1. 試薬
11
2-2-2. 酸化リン脂質標準品の調製
11
2-2-3. 分析条件
12
2-2-4. 抽出条件
13
2-2-5. 揮発性成分解析方法
13
2-3 結果
14
2-3-1. in vitro 酸化処理リン脂質標準品由来の揮発性成分分析
14
2-3-2. 市販マウス血しょうに含まれる揮発性成分分析
16
2-3-3. 酸化処理マウス血しょうの揮発性成分分析
18
2-4. 考察
第三章
ダイナミックヘッドスペース
21
ガスクロマトグラフィー/質量分析を
用いた血中揮発性成分プロファイリング技術の開発
25
3-1 緒言
25
3-2 実験方法
29
3-2-1. 試薬
29
3-2-2. in vitro 酸化処理マウス血しょうの調製方法
31
3-2-3. 疾患モデルマウス血しょう
31
3-2-4. 抽出条件及び分析条件
32
3-2-5. 揮発性成分の同定方法
34
3-2-6. 統計解析方法
34
3-3. 結果
35
3-3-1. 高圧注入条件の検討
35
3-3-2. 抽出担体の選択
38
3-3-3. HS-SPME 法の比較
40
3-3-4. DHS 法のバリデーションテスト
41
3-3-5. 血しょうに含まれる揮発性成分分析
47
3-4. 考察
第四章
総括
54
59
謝辞
65
補足資料
66
引用文献
75
発表論文
87
学会発表
88
第一章
緒論
生体内には様々な揮発性成分が存在し,これらが複雑に組み合わせることで
多種多様な「におい」が形成される.これまでにも,皮膚 1 や血液 2,尿 3,呼
気 4 などに含まれる揮発性成分が分析されており,生体内情報を反映する重要な
要素として揮発性成分は注目されてきた.揮発性成分は血液を介して移動する
事が報告されている 5.呼気や尿に含まれる揮発性成分は,それぞれ肺や腎臓で
血液から揮発性成分が拡散されることで移動する.この拡散移動は極性,揮発
性,濃度などに依存する 6.そのため,揮発性成分の組成は生体試料ごとに異な
る.例えばアルコール類は血液中から報告された成分のうち約 20%を占めるが,
呼気中では 5%程度であった.対して炭化水素類は血液中の 15%程度を占めてい
るが,呼気中では 40%程度と大きく分布が異なることが報告されている 5.尿や
呼気は採取の容易さから分析試料として用いられてきたが,このような拡散移
動により揮発性成分の組成が変化すると考えられる.その点,血液は全身を循
環しており,揮発性成分は血液を介して尿や呼気に移動するため,より生体情
報を有している試料であると示唆される.そのため,血液中の揮発性成分分析
は組織障害や疾患などの早期診断や長期モニタリング,または早期判別などが
期待されてきた 7.
過去には,疾患患者から拡散されるにおいを嗅ぎ分けて様々な疾患の判別が
試みられており,疾患ごとに様々なにおいの表現がされてきた 8.例えば,糖尿
病患者では疾患による代謝変動により,血液内でアセトンなどのケトン化合物
が生成されて,りんご臭がすることが知られている 9.このように疾患に特有の
におい物質を特定することができれば,それら揮発性成分を揮発性バイオマー
カー候補として利用できる.また近年では,生体中で揮発性成分が生理活性機
能を有するなど揮発性成分の機能が注目されている.例えば,アルデヒド類の
1
4-Hydroxy-2-nonenal (HNE) はシクロオキシゲナーゼ-2 (COX-2) の遺伝子発
現を特異的に誘導することが報告され,さらに動脈硬化発症の初期過程におけ
るマクロファージ泡沫化に関与している事が明らかとなった
10.タンパク質や
核酸などを修飾することにより細胞内情報伝達系の錯乱や変異誘発などを引き
起こすとともに,揮発性成分が二次メッセンジャーとして生体内機能の調節に
関与している.また,生体内で生成されたアルデヒド類はアルドース還元酵素
によりアルコール類に変換されていくことが報告されている
11.COX-2
の調節
因子である HNE を含むアルデヒド類の中には反応性が高く,細胞毒性を有する
成分も存在する.それら成分は,この還元酵素によりアルコールに代謝される
ことで無毒化が行われる.そして無毒化されたアルコール類は血液や呼気など
を経由して,体外へ放出される.この酵素は HNE のみならず Propanal や
Butanal などの飽和アルデヒド類や 2-Pentenal や 2-Hexenal などの不飽和アル
デヒド類など様々なアルデヒド化合物をアルコール化合物へ還元する事が報告
されている
12.そのため,生体中には多種多様な揮発性成分が存在すると考え
られているが,今日まで網羅的な揮発性成分分析は行われていなかった.
これまでの揮発性成分の分析法として,抗原抗体反応
13,高速液体クロマト
グラフィー14,ガスクロマトグラフィー15, 16 などが用いられてきた.抗原抗体反
応は揮発性成分付加体をターゲットとして,特定のタンパク質との抗原抗体反
応や酵素反応による呈色反応をもとに生体中の揮発性成分の定量を行う.その
ため,ごく微量に存在する揮発性成分も感度良く検出することが可能である.
しかし,対象化合物毎に対応する抗体を準備する必要があり,多岐に渡る揮発
性成分の一斉分析は困難であり,類似した構造が存在する場合には交差反応や
共有反応が生じる問題点があった.高速液体クロマトグラフィーやガスクロマ
ト グ ラ フ ィ ー で は 分 析 の 際 に , 試 料 を 蛍 光 プ ロ ー ブ や 2,4-Dinitrophenyl
2
hydrazone などの誘導体化試薬を用いて誘導体化を行う.しかし,誘導体化揮
発性成分はオゾンなどに分解されやすく
17,また前処理操作における種々の操
作により微量な揮発性成分を損失する問題があった.そのため,今日では揮発
性成分 分析 手法 とし てヘッ ドス ペー ス固 相マイ クロ 抽出 法 (Head Space
Microextraction, HS-SPME) が広く用いられてきた.
HS-SPME 法は 1990 年に Pawliszyn らが開発した揮発性成分抽出手法であ
18.HS-SPME
る
法はフューズドシリカロッドの表面にポリマーや吸着剤など
の抽出相が化学結合またはコーティングされたファイバーを用いる.試料をバ
イアルに封入し,加温することで揮発性成分を気相に移動させて,SPME ファ
イバーを気相中に露出することで揮発性成分の抽出,濃縮を行う.従来法に比
べて抽出溶媒を必要とせず,分析対象試料も固体,液体及び気体のいずれかか
らも抽出が可能である.加えて,抽出から分析までの操作が単純であるため,
呼気や尿,血液など様々な試料に含まれる揮発性成分分析で HS-SPME 法は適
用されてきた 3,4,19.以上のように揮発性成分の微量分析において HS-SPME 法
は用いられてきたが,SPME ファイバーの欠点や回収率の低さがこれまでに議
論されてきた.
抽出に用いる SPME ファイバーは抽出固定相が被膜であるため,体積はごく
微量であった.例えば 100 m Poly (dimethylsiloxane) ファイバー (PDMS フ
ァイバー) の場合は約 0.6 L の固定相がシリンジニードルにコーティングされ
ている
20.そのため高濃度の揮発性成分を抽出する場合,固定相体積が抽出効
率の律速となる問題があった.また,ファイバー固定相が壊れやすく,ファイ
バー由来成分のブリーディングが検出される問題がこれまでに報告されている
21.ファイバー固定相は熱脱着時に高温にさらされるため,揮発性成分が脱着さ
れると同時に固定相成分もカラムに導入されてしまい,微量成分ピークに影響
3
を与える問題があった.
また,HS-SPME 法の抽出法は揮発性成分の分配係数に則る静的な抽出法で
ある.そのため生体試料など夾雑物が多く含まれる場合,揮発性成分の回収率
が大きく低下する問題があった.Gottzein らが行った研究では,血液に含まれ
る揮発性成分で回収率が最小の化合物は 7%程度,最大の場合でも 60%程度であ
った
22.HS-SPME
法の抽出効率は夾雑物などによるサンプルロスや気液平衡
の時間により変動すると考えられており,それらの影響を最小限にする方法に
ついても検討されてきた.Alonso ら 23 は,血液を 1:5 で希釈することで夾雑物
よる揮発性成分の回収率の改善を試みていたが,目的揮発性成分が Benzene や
Xylene など大気汚染物質しか注目していなかった.加えて,沸点 150C 以上の
揮発性成分は血中夾雑物の影響が強く,希釈法を適用しても SPME 法の回収率
は改善されなかった.また最近では,一旦ファイバーにトラップされた揮発性
成分が抽出操作中に脱離し,より固定相と相互作用が強い揮発性成分と置換さ
れてしまい,回収率が低下することも報告されている 24.
このように化合物の物性により回収率が変化するため,HS-SPME 法の検出
感度も化合物ごとに異なることが報告されている.アルカン類 7 やアルデヒド類
25 に対する
コール類
26
HS-SPME 法の検出下限値はおよそ ng L-1 オーダーであるが,アル
はg L-1 オーダーと他の化合物に比べて感度が低い事が知られてい
た.これは,アルコール類のように水酸基を持った揮発性成分は水との水素結
合が強く,より水相に分配されやすくなるためだと考えられている
27.高温条
件で平衡化を行うことで,これら成分を強制的に気相に移動させることが可能
であるが,ファイバーも同時に高温で晒されてしまい全体の検出感度が低下す
る
28.そのため,HS-SPME
法は吸着担体と相互作用が強い成分が強調された
プロファイルしか得られない問題があり,生体試料中の低濃度揮発性成分を正
4
確かつ,再現性良く分析を行うためには前処理段階における課題が依然として
残っており
29
, こ れ ま で の 揮 発 性 成 分 分 析 は Malondialdehyde や
4-Hydroxy-2-nonenal などの特定の揮発性化合物に焦点を当てて分析が行われ
てきた
15, 30.これら揮発性成分はタンパク質や核酸などを修飾する高い反応性
の点から注目されており,これまでにリン脂質の一つであるホスファチジルエ
タノールアミンのアミン基にアルデヒド類が結合することが報告されていた 31.
また,呼気に含まれる炭素数 1 から 10 までの直鎖アルデヒド類について SPME
法を用いて分析を行い,健常者,喫煙者,そして肺がん患者の判別が試み,161
ng L-1 から 1582 g L-1 の濃度範囲で分析可能となったが,SPME 法の検出感
度 を 向 上 す る た め に O-(2,3,4,5,6-pentafuluorobenzyl) hydroxylamine
hydrochloride (PFBHA) を用いて誘導体化を行っていた 32.
しかし,アルドール還元酵素により生体中のアルデヒド化合物がアルコール
類に還元される事が報告されるなど
11,これまで注目されていた揮発性成分の
みならず,血液中にはさまざまな揮発性成分が存在すると考えられる 5.加えて,
揮発性成分は多種多様な生成経路を経て生成されるため,生体内にさまざまな
揮発性成分が存在すると考えられる.血中揮発性成分の生成経路の一つとして
酸化ストレスによる酸化反応がある.近年,酸化ストレスは多くの生活習慣病
や加齢に伴って発症する疾患と深く関わることが広く認められている.酸化ス
トレスにより生成された活性酸素種などのラジカルやリポキシゲナーゼなどの
酸化酵素により生体内代謝物が酸化され
33,酸化物が生成されると共に副生成
物として,さまざまな揮発性成分が生成される
34.この酸化反応は連鎖的に進
行するため,どのような揮発性成分が生成されるのかどうかは不明であった.
網羅的な揮発性成分の分析により生体内における揮発性成分変動を表現するこ
とが可能となるが,SPME 法では揮発性成分の多成分分析は困難であり,血液
5
に含まれる多種多様な揮発性成分を抽出,分析が可能なシステムの開発が求め
られていた 35.
揮発性成分の動的な抽出方法としてダイナミックヘッドスペース法,DHS 法
がある.DHS 法は,気相成分の平衡状態にもとづく静的な抽出を行う SPME
法と異なり気相部分の揮発性成分を不活性ガスで強制的にパージを行い,揮発
性成分を抽出担体に捕集する動的な抽出方法である.SPME 法ではバイアルの
液相,気相,固定相の平衡移動に依存するため,抽出段階における抽出ファイ
バーの温度や圧力により分配平衡が変動してしまい,抽出効率に影響を与える.
対して,DHS 法は気相成分の全量を抽出担体へ移動させて抽出を行い,気相に
移動した揮発性成分を効率よく担体に捕集することが可能である.
これまで DHS 法について,抽出担体のチューブ直径や長さ,担体粒子径の違
いなどが抽出操作に与える影響について検討されてきた.抽出担体チューブの
直径が 5 mm 以上,粒子径が 35-70 を超えると高い流速が必要となるため,抽
出担体として不適である事が知られており 36,これまで外径が約 3 mm のマイ
クロトラップが広く用いられている.これにより必要最低限の吸着能力を確保
しつつキャピラリーカラムに最適な流速で捕集した揮発性成分をカラムに導入
することが可能である.加えて,マイクロトラップを用いることで担体の熱容
量が小さくなるため,抽出担体を速やかに高温状態にすることが可能になり,
熱脱着操作を効率よく行うことが可能である.また,用いる担体は分析化合物
に応じて最適な抽出担体を充填することが可能であるため,適切な担体の選択
や組み合わせにより,試料に含まれる幅広い揮発性成分をより効率よく捕集す
ることが可能になると期待される.
Mallia ら 37 が食品のチーズに含まれる揮発性成分について SPME 法と DHS
法で比較した結果,DHS 法の方が高揮発性成分の抽出に適していることを報告
6
しており,またアルコール類など比較的中極性な揮発性成分の抽出において
DHS 法の方が SPME 法に比べて抽出効率が高い事が報告されていた
38.血液
に含まれる揮発性成分の濃度は ng L-1 からg L-1 オーダーと微量に存在するた
め 5,揮発性成分を効率よく捕集可能な DHS 法は血中揮発性成分の網羅的な解
析のための前処理手法として好適であると考えられた.
細胞内の化合物を網羅的に検出・解析し,生体内の機能解析を行う手法とし
てメタボロミクスがある.メタボロミクスの技術をベースとし複数成分の量比
バランスを解析することで微細な性質の違いを表現することが可能である.こ
れまでにも,メタボロミクス技術を用いたマルチマーカープロファイリングに
より食品品質評価
39 や出芽酵母寿命予測 40 など表現型に表れない変動の解析が
可能であることが示されている.そして近年,医学分野における臨床診断への
応用も進められている.血清に含まれる親水性代謝物の網羅的解析から,大腸
がんマーカーとして 4 種類の代謝物を同定し,それらの量比バランスを用いる
ことでステージ 0 から 2 の大腸がんを 85%の精度で判別することが可能となっ
41.また,肺がん患者の血しょうに含まれる代謝物解析により顕著な変化を
た
示す化合物が明らかになった事が示された 42.
生体中の揮発性成分も同様にさまざまな成分が存在するため,これら成分の
網羅的な分析が可能になれば,揮発性成分マルチマーカープロファイリングに
よる解析が可能になると考えられた.しかし,生体中にごく微量に存在する揮
発性成分に対する従来法の抽出・濃縮方法では回収率や検出感度の課題があり,
これまで特定の揮発性成分情報しか注目されていなかった.以上の背景から本
研究では,微量成分抽出に好適な DHS 法および分析に好適なガスクロマトグラ
フィー/質量分析を用いて,血中揮発性成分マルチマーカープロファイリングの
ための高感度かつ網羅的に解析可能な分析系の構築を目指した.
7
第二章では,各種脂肪酸や高度不飽和脂肪酸を側鎖にもつリン脂質標準品を
in vitro 酸化させ,酸化脂質より生成するアルデヒド類を中心とした揮発性成分
の分析を試みた.脂質酸化により脂肪酸から揮発性成分が生成される事が知ら
れているが,生体中には鎖長,不飽和度が異なる脂肪酸が存在するため揮発性
成分も多種多様で微量に存在すると考えられる 5.そのため,生体中でどのよう
な揮発性成分が生成・存在するかどうかは分からず,揮発性成分標準品をすべ
て入手することが難しかった.そのため,in vitro 酸化脂質標準品から生成され
る揮発性成分を分析するとともに,生体サンプルの解析の際に必要となる揮発
性成分ライブラリーの構築も併せて目指した.
第三章では,DHS 法を適用して血液試料に含まれる様々な揮発性成分を高感
度に分析可能なシステムの開発を試みた.DHS 法は HS-SPME 法に比べて動的
な抽出が可能であるため,より幅広い揮発性成分を抽出することが可能だと考
えられた.本研究では,DHS 法に高圧注入法の適用および抽出担体の選択を行
うことで試料導入時におけるサンプルロスの改善や抽出効率の向上を試み,微
量に存在する揮発性成分の検出感度の向上を目指した.そして,当該システム
を実サンプルに適用して生体レベルの揮発性成分濃度でも分析可能かどうか検
討を行い,揮発性成分プロファイリングの有用性の検討を目的として,急性炎
症および慢性炎症モデルマウスの血しょう解析を試みた.第四章では総括およ
び今後の揮発性成分解析の展望を述べた.
8
第二章
in vitro 酸化処理脂質から生成される揮発性成分プロファ
イリング
2-1 緒言
これまでに血液に含まれる揮発性成分の解析が試みられており,近年,この
揮発性成分が生成される由来として酸化脂質が注目されている.酸化脂質は生
活習慣病や加齢に伴って発症する疾患と深く関わる事が認められており,その
詳細なメカニズムの解明を目的として酸化脂質の解析が進められてきた
34.酸
化脂質は生体内で生成された活性酸素種やラジカル,リポキシゲナーゼなどの
酸化酵素による酵素的,非酵素的反応により生成されることが知られているが
33,この反応の際に,脂質の側鎖脂肪酸が酸化開裂することでアルデヒド体やカ
ルボン酸体などの短鎖脂肪酸が生成されることが報告された 34.
脂質の酸化により生成される揮発性成分は反応性の点から,2-アルケナール類
43, 44,4-ヒドロキシ-2-アルケナール類 45, 46,そしてケトアルデヒド類 47, 48 があ
げられる.これら揮発性成分は脂質過酸化により生成される主要成分であり,
その生成速度や反応性,解析の容易さから注目されてきた
47, 48.しかし,生体
中には鎖長,不飽和度が異なる脂肪酸が存在するため,実際に生体中の酸化脂
質から生成される揮発性成分は多種多様であると考えられた.これまでに加熱
処理により生成した過酸化脂質から,Octanal や Nonanal などアルデヒド類を
含む様々な揮発性成分が生成されることが報告されている
49.生体中にはこれ
まで 400 種類以上の脂質が存在することが報告されており
50,これら脂質が酸
化されることで様々な揮発性成分も生体内に生成すると示唆された.
前章で述べたように,これまでの揮発性成分の前処理方法として適用されて
きた HS-SPME 法は特定の揮発性成分の分析は検討されてきたが,夾雑物の影
9
響や揮発性成分の物性により回収率が異なる問題点が指摘されてきた.そのた
め,血液に含まれる揮発性成分の網羅的な解析を目的とした場合,HS-SPME
法では目的を達成することが困難であった.そこで本章では,HS-SPME 法に
変わる抽出方法としてダイナミックヘッドスペース法,DHS 法に注目した.
DHS 法は気液平衡に達した後,バイアルの気相成分をパージして,強制的に
抽出担体に捕集する抽出方法である.DHS 法は動的な抽出方法であり,バイア
ルの気相成分を全量捕集する事が可能となり,様々な揮発性成分を抽出可能に
なると期待できる.本研究では,DHS 法のひとつである in-tube extraction 法,
ITEX 法 (図 2-1) を適用した.
図 2-1 In tube extraction 法
ガスタイトシリンジとニードルの間に Tenax や活性炭などの吸着剤を充填し
たトラップニードルを装置し,シリンジを繰り返しストロークすることで強制
的に気相成分を捕集する.そのため,従来法では分配法則などにより回収率が
低かった揮発性成分も捕集することが可能になると考えられた.
10
しかし,酸化脂質からアルデヒド類の他にどのような揮発性成分が生成され
るのか不明であるため, 揮発性成分標準品を調製することは困難だった.本章
では,鎖長や不飽和度が異なる脂肪酸を側鎖にもつリン脂質標準品を in vitro
酸化させて,各種酸化処理脂質標準品から生成される揮発性成分の分析を試み
た.加えて,実サンプルの解析の際に必要となる揮発性成分解析のためのライ
ブラリー構築も目指した.
2-2 実験方法
2-2-1. 試薬
メタノール (HPLC グレード) はキシダ化学株式会社 (Osaka, Japan) から
購入し,塩化ナトリウム (残留農薬・PCB 試験用溶媒),蒸留水 (HPLC グレー
ド),そして 2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩,AAPH,は
和光純薬工業株式会社 (Osaka, Japan) から購入した.リン酸一ナトリウムと
リン酸水素ニナトリウム・12 水はナカライテスク (Kyoto, Japan) から購入し
た.リン脂質標準品としてホスファチジルコリン (PC) である 1,2-ジアシルグ
リセロ-3-ホスホコリン 5 種類 (16:0/18:0 PC (PSPC), 16:0/18:1 PC (POPC),
16:0/18:2 PC (PLPC), 16:0/20:4 PC (PAPC), 16:0/22:6 (PDPC))(純度 99%) は
Avanti Polar Lipids Inc. (Alabaster, Al, USA) から購入した.マウス血しょう
はコージンバイオ株式会社 (Saitama, Japan) から購入した.このマウス血し
ょうは 8-12 週齢の雌雄マウスのプール血しょうである.
2-2-2. 酸化リン脂質標準品の調製
酸化脂質由来の揮発性成分の標準品は販売されておらず,その生成反応から
多種多様な揮発性成分が生成されると示唆された.本研究では,リン脂質標準
品をインビトロ酸化し酸化脂質から生成される揮発性成分の分析を試みた.酸
11
化方法は,様々な酸化物を生成可能なラジカル酸化法として AAPH を添加する
酸化手法を適用した 51.
各種リン脂質をメタノールで 20 mmol L-1 に溶解し標準溶液を調製した.標
準溶液 100 L を 2 mL マイクロチューブに移し窒素ガスで乾燥した.500 L
の 0.5 mmol L-1 AAPH 溶液を添加し,ボルテックスミキサーで撹拌を行った.
撹拌操作後,通気条件下で 37C,1400 rpm,4 時間反応させ,これを酸化脂質
溶液とした.マウス血しょうサンプルの場合,500 L の試料に乾燥処理の除く
同様の条件で酸化処理を行い,これを酸化マウス血しょう溶液とした.
2-2-3. 分析条件
GC/MS 装置は TRACE GC 2000 システムと TRACE DSQ システム (Thermo
Finnigan, USA) を用いた.オートサンプラーは CTC Analytics CombiPal
(Zwingen, Switzerland) を用いた.GC/MS の分析条件は下記の通りに設定した.
分離カラムは Omegawax 250 fused silica キャピラリーカラム (30 m×0.25 mm
I.D.×0.25 m, SUPELCO, USA) を用い,検出器側のトランスファーラインに
CP-Sil 8 CB low-bleed カラム (0.75 m×0.25 mm I.D.×0.25 m, Varian Inc.,
Palo Alto, CA, USA) を用いた.キャリアガスはヘリウムガスを用い,流速は 1
mL min-1 に設定した.注入口とトランスファーラインの温度は 250C に設定し
た.
カラムオーブンの昇温条件は,35C で 2 分間保持した後,4C min-1 で 230C
まで昇温し,15 分間保持した.イオン化方法は EI 法を用い,m/z が 35 から
300 までの scan 分析を行った.GC/MS 分析は Xcalibur (v.1.3, Thermo
Finnigan) ,オートサンプラーは Cycle composer (v. 1.5.4., CTC Analytics) を
用いて制御した.
12
2-2-4. 抽出条件
ITEX 抽出法は Tenax TA が充填されたニードル (BGB Analytik AG,
Switzerland) を用い,1.3 mL シリンジ (CTC Analytics, Switzerland) に取り
付けた.100 L のマウス血しょう,または酸化処理試料を 40 mg の塩化ナトリ
ウムと共に 10 mL バイアルに添加し,18 mm silicone blue transparent/PTFE
white septa 付きスクリューキャップで密封した.バイアルを 50C,500 rpm,
30 秒間撹拌した後,200 L s-1 の速度で 1 mL までのシリンジストロークを 10
回繰り返し,抽出を行った.担体温度,シリンジ温度はそれぞれ 35C,45C
に設定した.抽出操作後,再び加温撹拌を行った.50C,500 rpm,5 分間で撹
拌し,再び 10 回シリンジストロークにより抽出操作を行った.この操作を 5 回
繰り返した.
抽出操作後,バイアルの気相から 500 L を熱脱着ガスとして回収し,ITEX
担体を 230C まで加温し,20 L s-1 で熱脱着を行い,抽出成分をカラム導入し
た.キャリーオーバーを防ぐため,熱脱着操作後に 250C で 10 分間ヘリウムガ
スを通気させてニードル洗浄を行った.
2-2-5. 揮発性成分解析方法
酸化処理リン脂質から検出された化合物は Xcalibur Qual Browser を用いて
解析を行った.酸化脂質由来揮発性成分のピークは対照サンプルである酸化処
理 PSPC のトータルイオンカレントクロマトグラムと比較して確認した.化合
物検索は,NIST MS Search 2.0 に収録されている NIST/EPA/NIH マススペク
トラルライブラリー (NIST02, 2002 年公開) を用いて実験で得られたマススペ
クトルの比較を行った.ライブラリー検索でアノテーションされなかったピー
クは Unknown とした.また各ピークで最も高い強度を示したフラグメントピ
ークのマスクロマトグラムからピーク面積値を求めた.
13
2-3 結果
2-3-1. in vitro 酸化処理リン脂質標準品由来の揮発性成分分析
生体中には様々な炭素数や不飽和度の脂肪酸を側鎖に持つ脂質が存在し,こ
れら脂質が酸化されることで多種多様な揮発性成分が生成される.しかし揮発
性成分はラジカル反応により生成されるため,脂質ごとに生成される揮発性成
分プロファイルを予測することは困難だった.そこで,in vitro 酸化処理した酸
化脂質標準品を調製し,酸化脂質から生成される揮発性成分の分析を試みた.
分析の結果,酸化処理脂質から 43 化合物の揮発性成分を検出した (表 2-1).
表 2-1. 各酸化処理リン脂質標準品から検出された揮発性化合物
RT
[min]
Alkanal
Compound
Phosphatidylcholine
3.7 Pentanal
LA
AA
6.1 Hexanal
LA
AA
9.0 Heptanal
O
12.4 Octanal
O
15.8 Nonanal
O
AA
AA
5.3 2-Butenal
6.9
7.7
DHA
2-Pentenal
DHA
10.3 2-Hexenal
Alkenal
AA
13.7 2-Heptenal
LA
AA
2-Octenal
LA
AA
20.4 2-Nonenal
LA
26.9 2-Undecenal
LA
16.3
17.1
18.5 2,4-Heptadienal
Alkane
dienal
DHA
22.4 2,4-Octadienal
LA
25.5 2,4-Nonadienal
LA
28.6 2,4-Decadienal
Ketone
DHA
AA
DHA
AA
5.7 2,3-Pentanedione
DHA
14
12.3
12.9
16.5
21.7
29.1
Alcohol
2-Octanone
1-Octen-3-one
3-Octen-2-one
3,5-Octadien-2-one
5-Decanone
LA
LA
DHA
AA
3.0 2-propanol
7.0 2-Methyl-1-propanol
8.9 1-Butanol
9.2
12.1
14.2
15.1
18.0
18.2
19.3
21.3
23.0
O
O
1-Penten-3-ol
1-Pentanol
2-Penten-1-ol
1-Hexanol
1-Octen-3-ol
Heptanol
2-Ethyl-1-hexanol
1-Octanol
2-Octen-1-ol
LA
LA
AA
AA
AA
DHA
DHA
DHA
LA
AA
DHA
AA
LA
O
O
O
AA
AA
23.8 1-Nonen-4-ol
Furan
AA
AA
AA
AA
7.3 2-n-Butyl furan
10.0 2-Pentyl furan
12.6 trans-2-(2-Pentenyl)furan
Furanone
17.4 5-Methyl-2(3H)-furanone
20.7 5-Methyl-2(5H)-furanone
Other
16.6 5-Etylcyclopent-1-enecarboxaldehyde
20.2 Benzaldehyde
30.9 2-Cyclopentylethanol
LA
LA
AA
AA
DHA
DHA
DHA
O
LA
AA
AA
AA
DHA
O: Oleic acid LA: Linoleic acid AA: Arachidonic acid DHA: Docosahexaenoic acid
オレイン酸を側鎖にもつリン脂質標準品,POPC を酸化処理した結果,12 種
類の揮発性成分を検出した.9 化合物は NIST ライブラリーから定性され,残り
3 化合物は unknown 化合物だった.アルデヒド類とともに,Benzaldehyde な
どの環状構造を有する化合物や Heptanol などの水酸基を有する化合物が酸化
脂質標準品から検出された.特に,酸化処理 POPC から Nonanal はピーク強度
15
が最も高く,検出強度も最大となる結果となった.
リノール酸を側鎖にもつリン脂質,PLPC を酸化処理した結果,22 化合物を
検出した.そのうち 17 化合物をライブラリー検索から定性された.定性された
揮発性成分には 2-Heptenal や 2-Octenal などのアルケナール類が含まれていた.
加えて,2,4-Nonadienal や 2,4-Decadienal などの二重結合を複数有する揮発性
成分が酸化処理 PLPC から検出された.
また,アラキドン酸やドコサヘキサエン酸などの高度不飽和脂肪酸を側鎖に
有するリン脂質標準品,PAPC, PDHAPC を酸化処理した結果,それぞれ 34 化
合物,24 化合物を検出した.1-Octen-3-ol や 2-Octen-1-ol などのアルコール類
Aldehyde
も
類 と 共 に 検 出 さ れ た . ま た , 2-Butylfuran
や
5-Methyl-2(5H)-furanone などこれまで報告されていない環状構造を有する揮
発性成分も検出された.
以上のように,各種脂質標準品を in vitro 酸化処理して調製した酸化処理脂質
標準品を ITEX-GC/MS を用いて分析した結果,アルデヒド類のみならず,アル
コール類やケトン類,環状構造を有する揮発性成分など様々な揮発性成分を検
出することができた.
2-3-2. 市販マウス血しょうに含まれる揮発性成分分析
ITEX-GC/MS を用いて酸化処理脂質標準品を分析した結果,40 種類以上のア
ルデヒド類を含むさまざまな揮発性成分を検出することが出来た.生体には鎖
長や不飽和度が異なる脂肪酸を側鎖に持つ脂質が存在するため,生体中にも同
様にさまざまな揮発性成分が存在すると示唆された.そこで酸化処理脂質から
得られた揮発性成分情報をもとに,血液中に存在する揮発性成分解析を試みた.
生体試料として,市販のマウス血しょうを用いた.解析方法は,酸化処理脂質
16
標準品分析の際に得た各揮発性成分の保持時間とマススペクトラムを比較し,
また NIST ライブラリーによる検索も行った.その結果,市販マウス血しょう
から 12 化合物の揮発性成分を検出した (表 2-2).
表 2-2. 市販マウス血しょうから検出された揮発性成分
RT
(min)
Calc.
mass
Compound
RSD (%, n=3)
RT
(min)
Area
1
3.1 2-Propanol
45
1.3
6.6
2
6.2 Hexanal
44
0.6
4.2
3
7.1 2-Methyl-1-propanol
43
0.2
4.1
4
8.9 1-Butanol
56
0.4
13.4
5
9.2 1-Penten-3-ol
57
0.3
11.2
6
11.9 1-Pentanol
42
0.8
2.7
7
15.1 1-Hexanol
56
0.3
3.6
8
18.1 1-Octen-3-ol
57
0.1
4.5
9
18.3 Heptanol
70
0.1
8.3
10
19.3 2-Ethyl-1-hexanol*
57
0.03
6.3
11
20.3 Benzaldehyde
77
0.08
6.0
105
0.1
7.4
12
*
24.1 Acetophenone
* NIST ライブラリーによる検索結果
2-Propanol の低分子揮発性成分や Hexanal がマウス血しょうから検出された.
また,肝がん患者の血液で顕著に増加することが報告されている 1-Octen-3-ol
もマウス血しょうから検出された 2.加えて,マウス血しょうから Benzaldehyde
も検出されており,この揮発性成分は肺がん患者のマーカー候補として注目さ
れている
52.マウス血しょうから検出された揮発性成分のうち,2-Propanol,
2-Methyl-1-propanol,Heptanol,2-Etyl-1-hexanol,そして Benzaldehyde は
17
オレイン酸を側鎖に持つリン脂質標準品から生成されると示唆され,その他の
揮発性成分はリノール酸やアラキドン酸などの不飽和度が高い脂肪酸を側鎖に
もつ脂質から生成されると示唆された.そのため,正常マウス血しょうにも不
飽和度が高い脂肪酸を側鎖に有する脂質から生成されうる揮発性成分が存在す
ることが明らかとなった.加えて,ITEX-GC/MS で検出された各揮発性成分の
保持時間および面積値の再現性を検討するため RSD 値を求めた.保持時間の
RSD 値は 1%であった.各ピークの面積値の RSD 値は,各化合物の最も高いマ
ススペクトラムのピークを calculated mass としたマスクロマトグラムから得
られた面積値から求めた.その結果,1-Butanol と 1-Propanol の RSD 値はそ
れぞれ 13%と 11%であったが、そのほかの揮発性成分は 10%以下となり,保持
時間および面積値の RSD 値は良好な結果が得られた.
2-3-3. 酸化処理マウス血しょうの揮発性成分分析
血液サンプルに ITEX-GC/MS を適用した結果,様々な揮発性成分を検出する
ことができた.検出された揮発性成分の中には,これまで報告されていない成
分も含まれており,揮発性成分の多成分分析において重要な成分であることが
示唆された.そこで本節は,マウス血しょうを in vitro 酸化させて酸化ストレス
が亢進された場合,どのような揮発性成分プロファイルを示すのかどうか検討
を行った.異なる酸化ストレスにおける揮発性成分プロファイルを比較するた
め,0.001, 0.01, 0.1, 0.5 mol L-1 に調製した酸化剤 AAPH を用いてマウス血し
ょうを酸化処理した.対照サンプルとして,リン酸緩衝生理食塩水をマウス血
しょうに添加したサンプルを用意した.これを 0 mol L-1 とした.酸化処理マウ
ス血しょうから合計 27 化合物を検出され,異なる酸化剤濃度でトータルイオン
カレントクロマトグラムでも変動が確認された (表 2-3,図 2-2) .
18
図 2-2. 異なる酸化剤濃度で処理したマウス血しょうのトータルイオンカレント
クロマトグラム
ピーク番号は表 2-3 に対応
19
A: 0 分-15 分
B:15 分-30 分
表 2-3. 各酸化剤濃度における揮発性成分の変動
RT
Oxidant concentration
(mol L-1)
0 0.001 0.01 0.1
0.5
Compound
(min)
0.9
0.74
0.86
1.08
1
3.7 Pentanal
−
−
−
0.05
1
3
6.1 Hexanal
0.01
0.01
0.02
0.57
1
4
5
7.0 2-Methyl-1-propanol
8.9 1-Butanol
0.9
0.84
0.86
0.95
1
0.58
0.53
0.55
0.98
1
6
7
9.0 Heptanal
9.2 1-Penten-3-ol
−
−
−
0.55
1
−
−
−
0.91
1
8
9
10
10.0 2-Pentylfuran
12.1 1-Pentanol
12.3 Octanal
−
−
−
0.42
1
−
−
−
0.3
1
−
−
−
−
1
11
12
12.9 1-Octen-3-one
13.7 2-Heptenal
−
−
−
0.8
1
−
−
−
0.97
1
13
14
15
14.3 2-Penten-1-ol
15.1 1-Hexanol
15.9 Nonanal
−
−
−
0.83
1
0.82
0.78
0.85
0.78
1
0.16
0.17
0.17
0.69
1
16
17
18
19
20
16.5
16.6
17.1
18.0
18.2
−
−
0.62
1
−
−
−
1
−
−
0.53
1
0.07
0.11
0.75
1
−
−
0.23
1
21
19.3 2-Ethyl-1-hexanol
1
0.85
1.01
0.98
1
22
23
24
25
20.2
21.3
21.6
23.0
0.04
0.04
0.06
0.53
1
−
−
−
0.31
1
−
−
0.2
1.54
1
−
−
−
0.59
1
26
27
23.8 1-Nonen-4-ol
25.5 2,4-Nonadienal
−
−
−
0.81
1
0.9
0.74
0.86
1.08
1
1
3.0 2-Propanol
2
−
3-Octen-2-one
5-Ethylcyclopent-1-enecarboxaldehyde −
−
2-Octenal
0.08
1-Octen-3-ol
−
Heptanol
Benzaldehyde
1-Octanol
3,5-Octadien-2-one
2-Octen-1-ol
各酸化剤濃度における面積値は,酸化剤 0.5 mol L-1 処理における面積値で除算
した.
20
分析の結果,0 mol L-1 と 0.001 mol L-1 の間で揮発性成分プロファイルの違い
は確認されなかったが,3.5-Octadien-2-one (RT = 21.61 分) は 0.01 mol L-1 以
上で増加する事が明らかとなった.酸化剤濃度が 0.1 mol L-1 以上ではアルデヒ
ド類のみならずアルコール類やフラン類を含むさまざまな揮発性成分が検出さ
れた.2-Propanol,2-Methyl-1-propanol,1-Hexanol,2-Ethyl-1-hexanol,そ
して 2,4-Nonadienal は酸化剤濃度に関わらず変動は確認されなかったが,22
化合物は酸化剤濃度に応じて面積値が増加することが明らかとなった.揮発性
成分プロファイルは酸化剤濃度に応じて変動することが明らかとなり,生体中
で酸化ストレスが亢進された場合,同様の変動となると示唆された.
2-4. 考察
本章では,鎖長や不飽和度が異なる脂肪酸を側鎖に持つさまざまな脂質標準
品を in vitro 酸化させて,酸化処理脂質標準品から生成される揮発性成分分析を
行い,これまで注目されてきたアルデヒド類を含む様々な揮発性成分の解析を
試みた.
生体中には鎖長や不飽和度が異なるさまざまな脂肪酸を側鎖にもつ脂質が存
在するため,酸化ストレスにより脂質が酸化された場合,さまざまな揮発性成
分が生成されると考えられた.しかし脂質酸化反応は多種多様であり,どのよ
うな揮発性成分が生成されるのか不明であった.そこで,まず in vitro 酸化処理
した脂質標準品を調製し,酸化脂質標準品から生成される揮発性成分プロファ
イルの獲得を試みた.その結果,酸化処理リン脂質標準品から 43 化合物の揮発
性成分を検出し,脂肪酸側鎖の違いにより生成される揮発性成分プロファイル
が異なる事が明らかとなった.
オレイン酸は不飽和度 1 の-9 脂肪酸であり,この炭素二重結合部分が酸化開
21
裂されたため,Nonanal が強く検出されたと考えられた.これまでの研究で,
加熱したトリオレインから生成される主要な揮発性成分の一つに Nonanal が含
まれることが報告されており 53,Nonanal や Octanal はオレイン酸を側鎖とし
て有する脂質が酸化されることで顕著に生成される揮発性成分であることが示
唆された.
リノール酸は不飽和度 2 の-6 脂肪酸であり,オレイン酸の場合に比べてさま
ざまな揮発性成分が生成された.酸化させたオレイン酸油から Pentanal や
Hexanal,2-Octenal などのアルデヒド類が報告されており 54,本研究でも同様
の揮発性成分プロファイルを示すことが明らかとなった.また,2,4-Nonadienal
と 2,4-Decadienal を検出したが,これら揮発性成分はトリリノール油から検出
されていた
44
.2-Heptenal はオレイン酸を有する脂質標準品から検出されず,
リノール酸を有する脂質標準品から検出することが報告されていたが,本研究
でも同様の結果を得ることが出来た.
高度不飽和脂肪酸を側鎖にもつ場合,酸化反応により開裂する炭素二重結合
は多数存在するため,さまざまな揮発性成分が生成されると考えられた.その
結果,二重結合を複数有する揮発性成分やフラノン類などの環状構造を有する
揮発性成分などを検出し,酸化脂質標準品からこれまで注目されていたアルデ
ヒド類のみならずアルコール類やフラノン類などバラエティに富む揮発性成分
が生成されることが示された.
これらの情報をもとにマウス血しょう分析を行った結果,生体試料に含まれ
る揮発性成分を検出することが出来た.検出された揮発性成分の中には,
2,4-Decadienal や Phenyl ethyl alanine などの代謝物から Benzaldehyde が生
成されることが報告されている.また,Acetophenone はこれまで酸化脂質標準
品や生体試料から報告がされていない揮発性成分であるが,構造が
22
Benzaldhyde と類似している点から,生体内で Benzaldhyde が反応したことに
より Acetophenone が生成されたと考えられた.また,マウス血しょうを in vitro
酸化処理した結果,27 種類の揮発性成分を検出することが出来た.正常マウス
血しょうを分析した時に検出された,1-Pentanol,1-Penten-3-ol,Heptanol,
Acetophenone は酸化処理マウス血しょうから検出されなかった.これは分析試
料条件の違いが考えられた.正常マウス血しょう分析の試料量は 100 L であっ
たが,酸化処理マウス血しょうの場合は 100 L を 500 L のリン酸緩衝生理食
塩水または AAPH 溶液で希釈されていた.これが原因となり,4 化合物が検出
されなかったと考えられた.しかし,そのほかの 8 化合物は in vitro 酸化処理
マウス血しょうでも検出されており,1-Octen-3-ol など酸化剤濃度に応じて変動
する揮発性成分が存在する事が確認出来た.
ま た 2-Pentylfuran や 3,5-Octadien-2-one は 酸 化 リ ノ ー ル 酸 や
2,4-Decadienal のストレッカー分解により生成することが知られているが 52,
55,
これまで生体から検出された報告はなかった.加えて,揮発性酸化脂質の一つ
である(E)-4,5-Epoxy-(E)-2-heptanal は窒素含有化合物と反応することで,
Propanal とアルキルピロール化合物が生成され,最終生成物としてフラン化合
物が得られる
56.以上のように,生体内では様々な反応によりアルデヒド類の
みならずアルコール類など様々な揮発性成分を分析することが出来た.
これまで揮発性成分分析では HS-SPME 法が適用されてきたが,熱脱着操作
におけるファイバー劣化やファイバー由来成分による夾雑物の影響などの問題
点が指摘されてきた 20,57.対して,本章で用いた ITEX 法は従来法に比べて担体
由来成分の影響が少なく,かつ抽出担体の体積も SPME ファイバーに比べて増
加している 58.また,ITEX 法はシリンジストロークにより気相成分を強制的に
抽出担体に通気させる動的な抽出方法である.揮発性成分の平衡移動に則った
23
抽出を行う HS-SPME と異なり,シリンジストロークにより気相成分に含まれ
る様々な揮発性成分を動的に捕集することが可能である.そのため,これまで
血液中から検出されていた揮発性成分のみならず,SPME 法では感度が不十分
のため検出が困難だった揮発性成分も検出することが可能になった.
以上より,気相を動的に抽出する ITEX 法を適用することで酸化脂質から生
成される揮発性成分の多成分分析を行うことが可能になった.そして,得られ
た揮発性成分情報をもとに生体試料分析に適用した結果,血液に存在するさま
ざまな揮発性成分を分析することが可能であった.当該分析手法は揮発性成分
の多成分分析に基づくマルチマーカープロファイリングに適すると考えられ,in
vitro 酸化処理脂質標準品から得られた揮発性成分情報は生体に含まれる揮発性
成分解析の際に必要となる揮発性成分ライブラリーとして今後,活用できる.
24
第三章
ダイナミックヘッドスペース
ガスクロマトグラフィー/
質量分析を用いた血中揮発性成分プロファイリング技術の開発
3-1 緒言
酸化脂質は,疾患などにより引き起こされる酸化ストレスにより脂質が酸化
されることで生成され,近年では,疾患と相関があるマーカー化合物として注
目されている.また酸化脂質の二次生成物としてアルデヒド体やカルボン酸体
などの短鎖脂肪酸が生成されることが知られている.これまでにも,酸化反応
により生成される揮発性成分は主に,2-アルケナール類,4-ヒドロキシ-2-アル
ケナール類,そしてケトアルデヒド類の 3 種類が報告されている
43-48.側鎖脂
肪酸の鎖長や不飽和度の組み合わせから,生体中には多種多様な脂質が存在す
ると考えられ,それが酸化されて生成される揮発性成分も多種多様であると考
えられた.
第二章では,鎖長や不飽和度が異なる脂肪酸を側鎖に持つ脂質標準品を in
vitro 酸化処理し,酸化脂質標準品から生成される揮発性成分プロファイリング
を試みた.その結果,アルデヒド類のみならずアルコール類やケトン類,フラ
ン類など様々な構造を有する揮発性成分が生成される事が明らかとなり,生体
中にも同様に存在することが示唆された.また,血液中に存在する揮発性成分
は微量に存在するため 5,揮発性成分分析を行うためには抽出および濃縮の前処
理操作が必要であった.
揮発性成分の前処理手法として HS-SPME 法が適用されてきたが,化合物ご
とに検出感度が大きく異なる問題があった.特にアルコール類など水酸基を有
する揮発性化合物は水との相互作用が強く水相に分配されるため,他の揮発性
化合物に比べて検出感度が低い事が報告されていた
25
27.そのため,低濃度で存
在する揮発性成分の高感度な分析を目的として DHS 法に着目したが,前処理に
おいて様々な課題があった.
DHS 法は強制的にパージすることで,気相成分の全量を抽出担体に捕集する
ことが可能であるが,抽出担体毎に破過容量が存在する.破過容量とは,揮発
性成分が抽出担体を通過するまでのパージガスの総量を表しており,この容量
を超えてガスパージを行うと一度抽出担体に捕集された揮発性成分が担体を通
過する問題があった.低濃度で存在する揮発性成分を抽出するためには多くの
パージガスが必要となるが,破過容量を超えたパージ操作により抽出効率が低
くなる問題があった.この問題を解決する方法として,担体を低温にすること
で破過容量を向上させることが可能である.しかし第二章で用いた ITEX 法で
は低温抽出を行うことは不可能だった.また,使用する抽出担体の選択も重要
である.これまで様々な抽出担体が用いられているが,大別すると合成樹脂系
と炭素系の 2 種類に分けられる.低濃度の揮発性成分を効率よく抽出,濃縮を
行うためには適切な抽出担体の選択が必要不可欠であった.
加えて,DHS 法の注入方法にも課題があった.従来,微量な揮発性成分分析
を行うためスプリットレス注入法が適用されてきた.しかし,スプリットレス
注入では DHS 法で捕集した揮発性成分の熱脱着に十分なガス流量を確保でき
ない (図 3-1A).対して,スプリット注入法では熱脱着に十分なガス流量を確保
できるが,揮発性成分のほとんどがカラム導入時に系外へ排出される問題があ
った (図 3-1B).そのため,最適な抽出担体を選択し抽出効率の向上が達成され
ても,注入操作による抽出成分の損失が大きくなってしまい,結果として検出
強度が低下する問題があった.
26
図 3-1 試料注入法の図
A:スプリットレス法
B:スプリット法
C:スプリット法+高圧注入法
そこで本章では高圧注入法に注目した (図 3-1C).高圧注入法は一時的に注入
口圧力を上昇させて全流量を確保しつつカラム流速を向上させる事が可能であ
る.高圧注入法によりスプリット比率が低くなり,カラムに導入される試料量
も増えるため検出強度が向上されると期待される.しかし,極端にスプリット
比率を下げると,ピークが高くなるよりも幅が広がる問題があり
59,検出感度
を向上させるためには最適な条件を設定する必要があった.また,揮発性成分
の捕集に用いる抽出担体は無機質,有機質のものを含めて様々であり,同一担
体でも物理的特性の異なる多種多様なものが存在する.適切な抽出担体の選択
や組み合わせを検討することで,より効率よく揮発性成分を抽出,分析するこ
27
とが可能となると考えられた.
また前章は in vitro 酸化処理を行った脂質標準品やマウス血しょうに含まれ
る揮発性成分を分析したが,実際の生体中では疾患などによる酸化ストレスに
より酸化反応が進行する.その疾患の基盤状態として近年,炎症が注目されて
いる.炎症には短期間で増悪,寛解する急性炎症と,長期間炎症が持続する慢
性炎症に区別されており,これまでにも炎症と酸化ストレスが関与することが
報告されてきた
60.例えば,アテローム性動脈硬化の進行において,脂質酸化
物由来生成物が炎症関連遺伝子の発現に関与しており,アルデヒド類も調節因
子の一つとして寄与していた
61
.酸化脂質由来揮発性成分である
4-Hydroxy-2-nonenal は,酸化 LDL の取り込みに関与する CD36 遺伝子の発現
を亢進させ,これにより炎症関連遺伝子である COX2 が活性化される
10.この
ように,血液中の揮発性成分について今日まで研究が行われているが,生体に
存在する揮発性成分は ng L-1,g L-1 レベルで存在するため 29, HS-SPME 法
を用いた網羅的な分析は行われておらず,これまで特定の揮発性成分しか解析
されていなかった.
以上の背景から
本章では,微量の揮発性成分の多成分分析に適する抽出担
体の検討や高圧注入法の適用による検出感度の向上を行い,揮発性成分の多成
分分析系の開発に取り組んだ.そして構築した分析系が生体中に存在する揮発
性成分にも適用可能かどうか,急性炎症と慢性炎症モデルマウスの血しょうを
用いて揮発性成分プロファイリングを行い,サンプル間における揮発性成分変
動の比較が可能であるかどうか検討を試みた.
28
3-2 実験方法
3-2-1. 試薬
アセトン (HPLC グレード) はキシダ化学株式会社 (Osaka, Japan) から購
入した.リン酸一ナトリウム,リン酸水素二ナトリウム・12 水はナカライテス
ク (Kyoto, Japan) から購入した.塩化ナトリウム (残留農薬・PCB 試験用),
蒸留水 (HPLC グレード),そして 2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)
二塩酸塩,AAPH,は和光純薬工業株式会社 (Osaka,Japan) から購入した.50
種類の揮発性成分標準品は和光純薬工業株式会社 (Osaka, Japan),東京化成工
業株式会社 (Tokyo, Japan),キシダ化学株式会社 (Osaka, Japan),ナカライテ
スク (Kyoto, Japan),Sigma-Aldrich (St. Kouis, MO, USA) からそれぞれ購入
した (表 3-1).これら揮発性成分は第二章で酸化処理リン脂質標準品から検出さ
れた成分を選択し,アセトンで 100 ng L-1 に希釈した.マウス血しょうはコー
ジンバイオ株式会社 (Saitama, Japan) から購入した.このマウス血しょうは
8-12 週齢の雌雄マウスのプール血しょうである.
表 3-1 揮発性成分標準品リスト
Functional
group
Alkane
Aldehyde
CAS
Analyte name
RT
MW
(min)
(g/mol)
Target
ion
(m/z)
142-82-5
Heptane
10.33
100.21
57
19549-87-2
2,4-Dimethyl-1-heptene
15.64
126.24
55
78-84-2
2-Methylpropanal
6.76
72.11
57
123-72-8
Butanal
7.56
74.12
44
590-86-3
3-Methylbutanal
9.23
86.13
58
96-17-3
2-Methylbutanal
9.51
86.13
58
4170-30-3
2-Butenal
9.60
70.09
69
110-62-3
Pentanal
10.61
86.13
44
497-03-0
(E)-2-Methyl-2-butenal
12.57
84.12
84
1576-87-0
(E)-2-Pentenal
13.05
84.12
83
29
Alcohol
Ketone
66-25-1
Hexanal
14.33
100.16
41
6728-26-3
(E)-2-Hexenal
16.68
98.14
41
111-71-7
Heptanal
18.20
114.19
43
18829-55-5
(E)-2-Heptenal
20.51
112.17
41
124-13-0
Octanal
21.87
128.21
41
100-52-7
Benzaldehyde
21.95
106.12
105
4313-03-5
2,4-Heptadienal
22.94
110.15
81
2548-87-0
(E)-2-Octenal
24.08
126.20
55
124-19-6
Nonanal
25.33
142.24
41
30361-28-5
(E,E)-2,4-Octadienal
26.22
124.18
81
18829-56-6
(E)-2-Nonenal
27.42
140.22
41
112-31-2
Decanal
28.57
156.27
67
5910-87-2
(E,E)-2,4-Nonadienal
29.51
138.21
81
25152-84-5
2,4-Decadienal
32.50
152.23
81
71-23-8
1-Propanol
7.63
60.10
59
78-92-2
2-Butanol
8.24
74.12
59
78-83-1
2-Methyl-1-propanol
9.22
74.12
73
71-36-3
1-Butanol
10.42
74.12
56
616-25-1
1-Penten-3-ol
11.02
86.13
57
123-51-3
3-Methyl-1-butanol
12.71
88.15
42
108-11-2
4-Methyl-2-pentanol
13.15
102.17
45
71-41-0
1-Pentanol
13.92
88.15
55
1576-95-0
(Z)-2-Penten-1-ol
14.65
86.13
57
111-27-3
1-Hexanol
17.60
102.17
56
111-70-6
1-Heptanol
21.20
116.12
55
50999-79-6
1-Octen-3-ol
21.49
128.21
57
104-76-7
2-Ethyl-1-hexanol
23.15
130.23
57
35192-73-5
1-Nonen-4-ol
24.44
142.24
55
111-87-5
1-Octanol
24.62
130.23
55
18409-17-1
(E)-2-Octen-1-ol
24.85
128.21
57
100-51-6
Benzyl alcohol
26.58
108.14
79
107-87-9
2-Pentanone
10.29
86.13
58
4312-99-6
1-Octen-3-one
21.07
126.20
55
111-13-7
2-Octanone
21.43
128.21
58
1669-44-9
3-Octen-2-one
23.35
126.20
55
30
Cyclic
compound
Internal
standard
625-86-5
2,5-Dimethylfuran
10.91
96.13
96
108-88-3
Toluene
13.32
92.14
91
4466-24-4
2-n-Butylfuran
17.79
124.18
81
100-42-5
Styrene
18.33
104.15
104
3777-69-3
2-Pentylfuran
21.43
138.21
81
12.87
168.04
99
920-66-1
1,1,1,3,3,3-Hexafluoro-2propanol
3-2-2. in vitro 酸化処理マウス血しょうの調製方法
酸化処理方法は Niki らの方法に基づいて行った 33.マウス血しょう 100 L
にリン酸緩衝生理食塩水 250 L を添加した.試料を通気条件下で 37C,1400
rpm,1 時間反応させた後,AAPH 50 L を添加した.この時,AAPH の最終
濃度が 30 mmol L-1 になるように設定した.しかし,この条件で引き起こされ
る酸化ストレスは非生理的であるため,低濃度条件の 0.3 mmol L-1 も合わせて
準備した.AAPH 添加後,同条件で 4 時間反応させて,in vitro 酸化処理マウス
血しょうを得た.
3-2-3. 疾患モデルマウス血しょう
in vivo マウスモデルとして本研究では,ザイモザン投与マウスと IL10 ノッ
クアウトマウスの 2 サンプルを用いた.ザイモザン投与マウスは急性炎症モデ
ルサンプルである.C57BL/6J マウス (n=5) の腹腔にザイモザン A (1 mg/body,
10 mg/body) を注射し,腹膜炎を発症させた.対照群には賦形剤を投与した.
72 時間後にマウス血しょうを回収した.このサンプルはアスビオファーマ株式
会社より動物実験倫理員会の承認を得て提供して頂いた.
IL10 ノックアウトマウスは,加齢性慢性炎症であるクローン病モデルとして
用いられている.炎症程度が軽度な場合と重度な場合の比較を行うため,8 週齢
31
と 16 週齢の IL10 ノックアウトマウス (n=6) から血しょうを回収した.対照群
は 8 週齢の C57BL/6J 野生型マウスを用いた.このサンプルは神戸大学医学研
研究科より動物実験倫理委員会の承認を得て提供して頂いた.
3-2-4. 抽出条件及び分析条件
100 L のマウス血しょう,または 400 L の in vitro 酸化処理マウス血しょ
う液にリン酸緩衝生理食塩水を添加し,サンプル溶液を 1 mL にした.ザイモザ
ン投与マウスの場合は 50 L の血しょうを用いた.サンプル溶液を 20 mL バイ
アルに移し,塩析効果を目的として 1.4 g の炭酸カリウムを添加した.100 ng
L-1 内部標準物質を 1 L をバイアルに添加し,クリンプキャップで密封した.
セプタムは直径 20 mm の silicone/PTFE high temperature seals を用いた
HS-SPME 抽出は下記の条件で行った.50C のウォーターバスに 10 分間,
バイアルを加温し,平衡化を行った.平衡化後,DVB/CAR/PDMS ファイバー (2
cm 50/30 m, Supelco) を 5 分間,バイアルの気相中に露出し揮発性成分の抽出
を行った.抽出操作後,2 分間ファイバーを GC の注入口に露出させて熱脱着を
行った.注入条件はスプリットレス法で,注入口温度は 280C に設定した.
ダイナミックヘッドスペース抽出は HS20 (Shimadzu, Kyoto, Japan) を用い
て行った.キャリアガスはヘリウムを用い,抽出はトラップモードで行った.
HS20 側サンプルラインおよびトランスファーライン温度は 150C に設定し,
冷却トラップ温度と待機温度はそれぞれ-10C および 25C に設定した.バイア
ル撹拌は 3 とした.
不活性ガスでパージを行う前に,バイアルを 50C,10 分間加温した.そして
100 kPa で 2 分間不活性ガスを加圧し,0.1 分平衡化した後に気相成分を 1 分間
抽出担体に捕集した.抽出担体は,合成樹脂系の担体にグラファイトを 30%配
32
合することで破過容量が向上した Tenax GR (50 mg, 60-80 mesh) を用いた.そ
の後,0.1 分平衡化を行い同様の抽出操作を行った.以上の操作を 5 回繰り返し
た.抽出後,抽出担体を 280C で 2 分間急速加温し熱脱着を行い,ニードル洗
浄を 5 分間行った.
ガスクロマトグラフィー質量分析計は GCMS-TQ8030 (Shimadzu, Kyoto,
Japan) を用いた.揮発性成分混合品の分離のため,InertCap 5MS/NP カラム
(0.25 mm × 30 m, 1 m, GL Sciences Inc., Tokyo, Japan) と InertCap
WAX-HT カラム (0.25 mm×30 m, 0.25 m, GL Sciences Inc., Tokyo, Japan)
をイナートシールコネクタ (GL Sciences Inc., Tokyo, Japan) で接続したカラ
ムを用いた.サンプルはスプリット比 1:10 (v/v) の高圧注入法を用いてカラム
注入した.高圧注入法を適用することにより,カラム流速が向上するためスプ
リット比率が一時的に低くなるため,カラムに導入されるサンプル量が向上し,
検出感度が改善されると考えられた.しかしカラム流速が速くなるため,揮発
性成分の溶出が前半にシフトする,また過剰にスプリット比率が低くなること
によりピーク幅が広がる事が報告されており
59,揮発性成分の分離が不十分と
なる問題があった.本章では,各揮発性成分のピーク分離と検出強度が最も良
好だった条件,注入口圧力 360 kPa,サンプル導入時間 2 分間に設定した.ア
ルゴンガスは 200 kPa で CID ガスとして用いた.キャリアガスはヘリウムガス
を用いて,線速度は 30 cm s-1 とした.
カラムオーブン温度は,50C,3 分間保持した後,5C min-1 で 230C まで上
昇させ,1 分間保持する条件を設定した.検出器側トランスファーラインとイオ
ン源温度は 230C に設定した.検出方法は scan/SIM モードで行った.Scan 時
間と SIM ループ時間はそれぞれ 0.1 s と 0.2 s とした.m/z 範囲は scan モード
で 35 から 300 まで設定した.最小イベント時間は 0.012 s で,dwell time は 4.5
33
ms とした.
3-2-5. 揮発性成分の同定方法
得られた結果は GCMS solution ソフトウェア (Shimadzu, Kyoto, Japan) を
用いて行った.検出されたピークはターゲット m/z および保持時間から同定し
た (表 3-1).未同定ピークは NIST/EPA/NIH マススペクトラルライブラリー
(NIST11, 2011 年公開) を用いて定性を行った.面積値はそれぞれのターゲット
m/z のマスクロマトグラムから求めた.
3-2-6. 統計解析方法
それぞれの面積値は内部標準物質の面積値で除算した.相対面積値は平均値
±標準偏差として表した.有意差検定は Microsoft Excel 2010 を用いて行った
34
3-3. 結果
3-3-1. 高圧注入条件の検討
緒言で述べた通り,DHS 法はキャリアガスとして用いる不活性ガスを用いて
サンプルの気相成分をパージさせて揮発性成分の抽出を行う.パージされた揮
発性成分は吸着担体が充填されたトラップで捕集され,抽出および濃縮操作が
行われる.そして捕集された揮発性成分は担体を急速加熱することで熱脱着さ
れ,分析カラムに導入される.しかし,この熱脱着操作はキャリアガスを用い
て行われるため,十分なカラム流速を確保する必要があり,従来の微量成分分
析に適用されてきたスプリットレス注入法ではなく,スプリット注入法を適用
する必要があった.しかし,スプリット注入法は注入された試料の一部しかカ
ラムに導入されず,熱脱着された揮発性成分のほとんどは系外へ排出されるた
め,DHS 法で抽出した成分の損失が生じる問題があった.
この問題を解決するため,本章では高圧注入法に着目した.試料注入時に注
入口圧力を一時的に上昇させることで,全流量を確保しつつカラム流速を向上
することが可能である.その結果,スプリット比が減少しカラム導入される試
料量も向上し DHS 法の課題を解決できると考えた.
まず,注入時の圧力の検討を行った.注入口圧力を 300, 330, 360, 400 kPa
に設定し,分析試料は 100 ng の揮発性成分混合標準品を用いた.揮発性成分は,
第二章で in vitro 酸化処理した参加し質から生成された揮発性成分の標準品を
購入し,研究室で調製したものを用いた.吸着担体は Tenax TA を用い,注入時
間は 3 分間に設定した.
分析の結果,当該分析手法で揮発性成分をすべて検出することが出来た.得
られた結果を図 3-2 にまとめた.また,すべての揮発性成分の結果は補足資料
にまとめた (補足資料 1).
35
図 3-2 異なる注入圧力における揮発性成分の面積値
黒色:300 kPa,白色:330 kPa,灰色:360 kPa,斜線: 400 kPa
分析の結果,従来法では検出感度が悪かったアルコール類を ng オーダーで検
出された.そして,注入圧力の上昇に伴い各揮発性成分の面積値も上昇するこ
とが確認された.400 kPa 条件下ではスプリット比が最も小さくなり,導入さ
れる試料量も最大となるが,得られた面積値は減少する事が明らかとなった.
揮発性成分の平均 RSD 値は,アルコール類は 7%程度だったが他の化合物群は
15%となった.対して,330 kPa,360 kPa 条件下ではアルコール類の平均 RSD
値はそれぞれ 4%,6%と,4 つの条件の中で低い RSD 値が得られた.しかし,
2-Propanol などの低分子揮発性成分の面積値を比較すると,360 kPa の方が高
い結果が得られた.また,アルデヒド類やフラン類などの揮発性成分の RSD 値
は 360 kPa で平均して 6%となり,最も低い値が得られた.以上の点から,注入
圧力は 360 kPa に設定した.
36
次に,注入時間の検討を行った.高圧注入法では注入操作の間,カラム流速
が向上するため,注入時間が長くなればカラムに導入される試料量も向上する.
しかし,通常分析に比べて高圧注入法ではカラム流速が速くなっているため,
分析前半に要する揮発性成分のピーク分離やピーク形状に影響を与える問題が
あった.また注入時間が短い場合,熱脱着操作が十分に行われず分析の誤差が
大きくなると考えられた.そこで注入時間を 1,2,3,5 分に設定し,注入圧力
360 kPa で 100 ng 揮発性成分混合標準品を用いて面積値の変動を検討した.得
られた結果は図 3-3 にまとめ,すべての揮発性成分の結果は補足資料にまとめ
た (補足資料 2).
図 3-3 異なる注入時間における揮発性成分の面積値
黒色:1 分,白色:2 分,灰色:3 分,斜線:5 分
分析の結果,注入時間が 2 分を超えるとすべての揮発性成分の面積値が一定
となった.しかし,1-Propanol,2-Butanol,2-Methyl-1-Propanol,Butanal
などの低分子揮発性成分は 3 分以降で面積値が減少する傾向が確認された.こ
37
れは,カラム流速が長時間早い状態が維持されたことで、カラム液相に十分保
持されずピーク形状が低くなってしまった事が原因であると考えられた.また,
溶出時間が前にシフトしたことでインジェクションショックによるピークと重
なる問題も確認された.注入時間が 2 分では,すべての揮発性成分の RSD 値が
10%以下と良好な結果が得られた.特に,1-Propanol は注入時間が 1 分の時,
RSD 値は 25%であったが,2 分の時の RSD 値は 7%まで改善され,面積値も向
上した.
以上の点から,DHS 法を用いた高圧注入条件は 360 kPa,2 分に設定するこ
とで,微量な揮発性成分も感度良く検出できることが示せた.
3-3-2. 抽出担体の選択
DHS 法の抽出効率に大きく寄与する要因として,注入方法に加えて吸着担体
が挙げられる.DHS 法では,不活性ガスでパージされた気相成分は抽出担体へ
通気することで揮発性成分が捕集される.これまでシリカゲルが抽出担体とし
て用いられてきたが,水分の保持が強く,高温条件下で特性変動が生じるため
DHS 法の加熱脱着用吸着剤として制限があった.そのため現在,吸着担体の基
材は合成樹脂と炭素系の 2 種類に大別される.合成樹脂系の担体として広く用
いられているのは,2,6-Diphenyl-p-phenylene oxide 樹脂であり,低分子極性化
合物などさまざまな成分の捕集に有効である.対して,炭素系はグラファイト
カーボンブラックやカーボンモレキュラーシーブが担体として用いられている.
前者は非多孔性,後者は多孔性の吸着担体であり,中沸点,高沸点化合物の捕
集に用いられる.本章では,合成樹脂系吸着担体である Tenax TA,炭素系吸着
担体である Carboxen 1000/Carbopack,そして合成樹脂系にグラファイトカー
ボンを配合した Tenax GR を用いて抽出担体の検討を行った.分析結果を図 3-4
38
にまとめ,すべての揮発性成分の結果は補足資料にまとめた (補足資料 3).
図 3-4 異なる抽出担体を用いた揮発性成分の面積値
黒色:Tenax TA,白色:Tenax GR,灰色:Carboxen 1000/carbopack
各担体の RSD 値を比較した結果,Tenax GR は平均 4%となり,Tenax TA の
場合は 7%だった.しかし Tenax TA を用いた時,2-Butanol,1-Octanol,
2-Octen-1-ol,Benzyl alcohol は 10%だった.加えて,各揮発性成分の面積値を
比較すると,Tenax GR は Tenax TA に比べて 2 倍高くなる事が示されており,
低分子極性化合物に対しても Tenax GR が良好な結果を得られることが明らか
となった.炭素系担体である Carboxen 1000/Carbopack を用いた時の面積値は
Tenax TA に比べて低くなる事が明らかとなった.Carboxen1000/Carbopack は
水分を強く保持するため,抽出操作後のドライパージが Tenax TA,Tenax GR
に比べて長時間なってしまった事が原因であると考えられた.以上の結果から,
Tenax GR が最も抽出効率が高い抽出担体であることが明らかとなった.
39
3-3-3. HS-SPME 法の比較
動的な抽出方法である DHS 法と静的な抽出方法である HS-SPME 法の比較
を試みた.従来法の HS-SPME 法はこれまでにも,ファイバー相と相互作用が
強い化合物や高濃度成分が強調されたプロファイルとなり,低分子化合物の抽
出効率が低くなる問題があった.対して,DHS 法は気相成分を強制的に抽出担
体へパージし揮発性成分を抽出するため,従来法と異なる揮発性成分プロファ
イルが得られると考えられた.そこで,従来法と当該分析法の比較を行い得ら
れる揮発性成分プロファイルの違いを検討した.分析結果を図 3-5 にまとめた.
また,すべての化合物の結果は補足資料にまとめた (補足資料 4).
図 3-5 DHS 法と HS-SPME 法を用いた揮発性成分分析の比較
黒色: DHS 法,白色:HS-SPME 法
HS-SPME 法 で は , 1-Propanol , 2-Butanol , 2-Methyl-1-propanol ,
1-Penten-3-ol , 2-Pentanone , 2-Methylpropanal , 3-Methylbutanal ,
2-Methylbutanal,2-Pentenal は検出されなかった.また,3-Methyl-1-butanol
40
や 4-Methyl-2-pentanol,2-Penten-1-ol などの化合物は DHS 法に比べて面積値
が 1/10 倍 と な る 化 合 物 も 確 認 さ れ た . し か し , 2-Ethyl-1-hexanol や
1-Octen-3-one などの揮発性成分は DHS 法と HS-SPME 法で同等の面積値であ
る事が明らかとなった.加えて,各抽出法における化合物の平均 RSD 値を比較
すると,DHS 法は 8%,HS-SPME 法は 20%となり,アルコール類ではそれぞ
れ 10%と 15%となった.
以上より,DHS 法と高圧注入法を組み合わせることで,さまざまな揮発性成
分の多成分分析が可能であることが示せた.そして,HS-SPME 法では分析が
困難だったアルコール類などの低分子揮発性成分を高感度に検出することが可
能であることが示せた.
3-3-4. DHS 法のバリデーションテスト
次に構築した分析系のバリデーションテストを行った.バリデーション項目
は,直線性,R2,LOD,LOD 付近の RSD 値,日内及び日間変動,添加回収実
験の 6 項目を検討した.一般的には LOD は S/N 比が 3 となる濃度と定められ
るが 62,本研究ではトルエンなどブランク試料においても S/N 比>3 となる揮発
性成分が存在したため,S/N 比による LOD の算出が困難だった.そこで本研究
では LOD 算出に IUPAC で定められた定量値の標準偏差及び検量線の傾きに基
づく計算式,LOD = 3.3×S.D./slope,を採用した 62. RSD 値は,検量線作成時
の揮発性成分混合標準品濃度 (0, 0.1, 0.5, 1, 10, 25, 50, 100 ng mL-1) のうち,
LOD に最も近い濃度の分析結果から算出した.そして添加回収実験では,揮発
性成分混合標準品を 100 L マウス血しょうにスパイクし検討を行った.バリデ
ーション結果を図 3-6,表 3-2 にまとめた
41
42
図 3-6 揮発性成分混合標準品のトータルイオンカレントクロマトグラム
A:7 分-16 分 B:16 分-25 分 C:25 分-34 分
43
表 3-2 各揮発性成分のバリデーション結果
Recovery
RSD
(25 ng mL-1,
(50 ng mL-1)
Compound
Slope
Intercept
R2
Linear
LOD
(ng mL-1) (ng mL-1)
n=3)
RSD
Intraday
Interday
Average
(%)*
(n=3)
(n=9)
(%)
RSD
Alkane
Heptane
7353
2437
0.9997 0-10
0.14
3.0 b
3.1
12
105
5.9
14292
8590
0.9991 0-100
0.08
14 a
1.6
13
98
1.4
1-Propanol
2612
1743
0.9960 0-50
0.32
8.4 b
9.3
12
85
13
2-Butanol
3836
1531
0.9998 0-100
0.07
14 a
7.4
9.9
95
11
115
34
0.9989 1-100
4.20
11 d
6.9
9.3
147
15
1-Butanol
13499
33574
0.9950 0-100
0.31
5.5 b
6.3
8.1
96
7.9
1-Penten-3-ol
41632
42049
0.9984 0-100
0.08
15 a
6.8
9.2
94
11
3-Methyl-1-butanol
16560
18299
0.9981 0-100
0.08
21 a
5.8
8.8
93
10
4-Methyl-2-pentanol
48338
67615
0.9969 0-100
0.06
12 a
5.5
7.9
98
9.4
1-Pentanol
28655
30427
0.9986 0-100
0.09
15 a
6.0
8.8
92
9.3
2-Penten-1-ol
12086
6758
0.9996 0-100
0.09
25 a
5.7
8.6
84
8.6
1-Octen-3-ol
28041
19704
0.9992 0-100
0.20
6.8 b
3.6
7.6
90
7.4
1-Hexanol
14910
14651
0.9990 0-100
0.15
5.0 b
4.5
7.9
90
8.6
2,4-Dimethyl-1-heptene
Alcohol
2-Methyl-1-propanol
44
1-Heptanol
14543
8829
0.9997 0-100
0.28
11 b
3.6
8.0
88
8.5
2-Ethyl-1-hexanol
21992
260285
0.9996 0-100
3.71
11 d
3.8
8.8
84
2.2
1-Nonen-4-ol
36095
8761
0.9997 0-100
0.08
19 a
3.7
7.8
87
8.3
1-Octanol
14541
7333
0.9997 0-100
0.51
20 b
3.5
8.2
89
9.1
2-Octen-1-ol
11441
281
0.9994 0-100
0.33
20 b
3.6
8.0
82
8.6
Benzyl alcohol
20360
62381
0.9994 0-100
0.58
8.0 b
3.8
6.9
77
6.0
6122
3925
0.9976 0-100
0.11
7.0 b
3.7
13
100
2.7
1-Octen-3-one
12077
-3209
0.9993 0-50
0.49
20 b
14
11
71
2.4
2-Octanone
24930
39841
0.9968 0-100
0.02
6.0 a
3.1
12
101
2.2
3-Octen-2-one
31667
14012
0.9980 0-100
0.02
1.5 a
3.3
12
93
2.0
172
200
0.9872 0-100
0.90
18 c
4.3
25
102
11
Butanal
4710
3421
0.9930 0-50
0.24
2.6 b
1.0
14
95
2.7
3-Methylbutanal
3182
3425
0.9980 0-100
0.07
15 a
2.4
10
112
4.1
2-Methylbutanal
5538
4103
0.9987 0-100
0.06
20 a
2.6
9.8
112
4.2
2-Butenal
6393
2700
0.9995 0-100
0.10
23 a
4.9
10
126
16
Pentanal
5352
13476
0.9958 0-100
1.03
10 c
0.7
12
128
3.1
2-Methyl-2-butenal
13361
18808
0.9963 0-100
0.04
12 a
2.0
11
119
2.9
2-Pentenal
10972
1341
0.9997 0-100
0.04
9.0 a
3.3
10
69
13
Hexanal
6864
7373
0.9984 0-100
0.20
13 b
3.2
12
121
4.0
2-Hexenal
6892
1113
0.9997 0-100
0.25
9.3 b
3.4
11
89
4.2
Heptanal
2025
3809
0.9976 0-100
0.86
3.1 c
4.2
9.9
116
5.3
Ketone
2-Pentanone
Aldehyde
2-Methylpropanal
45
2-Heptenal
6947
-5171
0.9983 0-100
0.11
17 b
5.4
9.0
81
7.0
Octanal
5533
-589
0.9968 0-100
0.27
5.4 b
13
8.9
112
5.3
28487
-494
0.9994 0-100
0.04
10 a
7.3
7.6
91
9.0
2-Octenal
6626
-16090
0.9852 0-100
0.12
22 b
13
7.7
75
9.1
Nonanal
3877
-2753
0.9865 0-100
1.26
22 d
23
15
108
5.8
24419
-19659
0.9956 0-100
0.05
13 a
14
9.1
92
5.9
2-Nonenal
1671
-3695
0.9997 0.5-50
0.99
10 c
26
21
66
16
Decanal
2089
-1445
0.9683 0-100
1.97
24 d
35
27
94
9.2
2,4-Nonadienal
41974
-41813
0.9903 0-100
0.08
15 a
24
20
92
9.0
2,4-Decadienal
8695
-14893
0.9781 0-100
0.12
11 b
37
39
92
12
Benzaldehyde
34279
64892
0.9984 0-100
0.41
8.7 b
5.5
8.8
144
10
19228
18172
0.9981 0-100
0.12
7.0 b
4.9
12
94
2.7
103199
3000000
0.9980 0.5-100
5.64
4.4 d
3.7
11
95
3.2
2-n-Butylfuran
41227
46372
0.9973 0-100
0.01
6.6 a
2.9
12
101
2.4
2-Pentylfuran
29035
40791
0.9971 0-100
0.01
5.2 a
2.8
12
99
2.3
Styrene
35586
35963
0.9974 0-100
0.05
16 a
2.9
13
99
2.2
2,4-Heptadienal
2,4-Octadienal
Cyclic compound
2,5-Dimethylfuran
Toluene
* LOD に最も近い濃度の混合標準品を分析した時の RSD 値
a: 0.1 ng mL-1 b: 0.5 ng mL-1 c:1 ng mL-1 d: 10 ng mL-1
46
DHS 法を適用することで,図 3-6 に示したように 1 ng mL-1 の揮発性成分混
合標準品を検出することが可能であり,幅広い揮発性成分を高感度に検出する
事が可能である事が示せた.また scan 分析に加えて,表 3-1 でまとめた各揮発
性成分の target m/z で SIM 分析を行っているため,従来法で感度が低いアルコ
ール類をアルデヒド類と同様の検出感度で分析が可能となり,ng オーダーで揮
発性成分を検出することが可能であることを示せた.DHS 法は揮発性成分の平
衡移動に則る抽出法である HS-SPME 法と異なり,気相成分を強制的にパージ
することで揮発性成分をより効率よく抽出担体へ移動させることが可能であっ
た.そのため,低分子の揮発性成分も抽出担体へ捕集されるため,全体として
検出感度が向上したと考えられた.また,LOD 付近の RSD 値は化合物に応じ
て異なる結果が得られ,LOD が低くても安定して分析できる揮発性成分と誤差
が大きくなる揮発性成分が存在するということが示唆され,揮発性成分の多成
分分析において化合物ごとの傾向を捉えられると考えられた.
ま た 日内,日間変動はほとんどの揮発性成分は 10%以下になったが ,
2-Nonenal,Decadienal,2,4-Nonadienal,2,4-Decadienal は RSD 値が 20%
以上となった.添加回収実験では 2-Methyl-1-Propanol の RSD 値 15%を除き,
そのほかの成分は 10%以下となり良好な結果が得られた.加えて,平均回収率
も生体試料に含まれる夾雑物による影響は確認されなかった.
バリデーションテストの結果から,本分析系の適用によりさまざまな揮発性
成分を高感度に検出できる事が明らかとなった.
3-3-5. 血しょうに含まれる揮発性成分分析
構築した分析系を用いて,生体試料に含まれる揮発性成分分析を検討した.
生体内の酸化反応により多種多様な揮発性成分が生成されると考えられ,生体
47
試料を in vitro 酸化させ,異なる酸化条件における揮発性成分プロファイルの変
化を検討した.生体試料はマウス血しょうを用いて,酸化処理方法は Niki らの
プロトコルに基づき,0,0.3,30 mmol L-1 の酸化剤で処理した 63.その結果,
酸化剤の濃度に依存して増加する揮発性成分のみならず,低濃度の酸化剤処理
で増加し高濃度では減少する,または濃度に依存して減少する揮発性成分プロ
ファイルを示す事を明らかにすることができた (表 3-3).これまでの in vitro 酸
化処理血しょうでは,低濃度処理はマイルドな酸化条件となるため溶血反応な
どは確認されず,200 mmol L-1 以上で確認されていた.しかし,-トコフェロ
ールやアスコルビン酸などの抗酸化物質は酸化剤添加直後から減少し,脂質過
酸化物が生成されることが報告されており
63,本分析系を適用することで溶血
反応が確認されない低濃度酸化剤条件下における揮発性成分の変動を明らかに
することができた.
次に,in vivo サンプルとしてザイモザン投与マウス血しょう,IL10 ノックア
ウトマウス血しょうに含まれる揮発性成分プロファイリングを行った.ザイモ
ザン投与マウスは,マウス腹腔にザイモザンを投与し急性炎症を引き起こすモ
デルであり,IL10 ノックアウトマウスは消化器炎症を引き起こす慢性炎症疾患
であるクローン病モデルである.
ザイモザン投与マウス血しょうを分析した結果,39 化合物を検出し,そのうち
18 化合物はサンプル間で有意な差が確認された (表 3-4).得られた 18 揮発性成
分 の う ち
2-Butenal,
2-n-Butylfuran,
1-Octen-3-one,
2-Octanone,
2-Octen-1-one, 2-Ethyl-1-hexanol, 2-Butyl-1-octanol, 1-Decanol は in vitro 酸
化処理マウス血しょうと同様のプロファイルを示すことが明らかとなった.ザ
イモザン投与モデルは急性炎症モデルであり,生体内の代謝変動もダイナミッ
クであると考えられる.投与後 72 時間後では,10 mg/body サンプルで炎症は
48
最も亢進されており
63,当該分析手法を適用することで,急性炎症モデルで酸
化脂質由来揮発性成分も生成され,それら揮発性成分プロファイリングを行う
ことができた.
IL10 ノックアウトマウス血しょう分析では,解剖時所見で腸炎発症程度がほ
とんどない,あるいは軽度なマウスと顕著に炎症が発症しているマウス血しょ
うを用いた.その結果,40 化合物を検出し,そのうち 15 化合物はサンプル間
で有意な差が確認された (表 3-5).15 化合物のうち,3-Methyl-1-butanol,
Butanal,
2-n-Butylfuran,
2-Butyl-1-octanol,
2,4-Dimethyl-1-heptene,
2-Butanol, Hexanal, Toluene, Acetone, 2-Propanol は in vitro 酸化処理マウス
血しょうと同じプロファイルを示す事が明らかとなり,加えて
3-Methyl-2-butanol と 2-Methyl-2-butanol は IL10 ノックアウトマウス血しょ
うのみに検出された.IL10 ノックアウトマウスは慢性炎症モデルの一つであり,
急性炎症と異なり,生体内の酸化ストレスは長期間にわたって持続する.本シ
ステムにより揮発性成分を網羅的に解析できるようになった結果,炎症反応に
よる血液中に生成された揮発性成分プロファイルを明らかにすることができた.
さらに異なる炎症タイプで共通して検出された揮発性成分について,揮発性
成分プロファイルの比較を行った (表 3-6) .その結果,1-Butanol, 1-Hexanol,
1-Octanol, 2-Octanone, Nonanal, Decanal のアルデヒド類やアルコール類が,
急性炎症モデルで有意に増加している事が明らかとなり,慢性炎症モデルでは
アルコール類に加えて Toluene や 2,4-Dimethyl-1-heptene などが検出された.
SPME 法では検出感度の違いから明らかに出来なかった血液中の揮発性成分プ
ロファイリングを本分析システムに適用することで獲得することができた.
49
表 3-3. in vitro 酸化処理マウス血しょうで得られた揮発性成分プロファイル
Increased in low concentration,
Decreased in high concentration
Increased according to concentration
Decreased according
to concentration
Alkane
Alcohol
Nonanal
Alcohol
Styrene
Heptane
2,4-Dimethyl-1-heptene
Alcohol
1-Butanol
2-Butanol
3-Methyl-1-butanol
1-Hexanol
1-Heptanol
2-Ethyl-1-hexanol
1-Octanol
1-Penten-3-ol
2-Penten-1-ol
1-Pentanol
2,4-Octadienal
2,4-Heptadienal
Ketone
2-Pentanone
2-Octanone
1-Octen-3-one
Cyclic compound
1-Propanol
2-Octen-1-ol
Benzyl alcohol
Aldehyde
2-Methyl-2-butenal
Octanal
2-Octenal
Decanal
Cyclic compound
1-Octen-3-ol
2-n-Butylfuran
Aldehyde
2-Pentylfuran
2-Methylpropanal
Butanal
Pentanal
Hexanal
Heptanal
Toluene
Benzaldehyde
50
表 3-4. ザイモザン投与マウス血しょうに含まれる有意差が確認された揮発性成分
Not reported compounds
Reported compounds
Control vs. 1 mg/body
1 mg/body vs. 10 mg/body
Control vs. 1 mg/body
3-Methyl-1-butanol
1-Hexanol
2-Butenala
Acetoneb
2,4-Dimethyl-1-heptene
1-Octen-3-one
1-Octen-3-one
1-Propanol
1 mg/body vs. 10 mg/body
2-Ethyl-1-hexanola
2-Octanone
2-Butanola
Acetoneb
1-Octanol
2-Butyl-1-octanolb
3-Methylbutanala
1-Propanol
Control vs. 10 mg/body 1-Decanolb
Heptanea
1-Pentanol
2-Butenala
1-Butanola
1-Octen-3-ol
2-n-Butylfurana
Control vs. 10 mg/body
Nonanal
2-Octen-1-ola
1-Propanol
2-Pentanone
a: in vitro 酸化処理マウス血しょうと同じプロファイルパターン
51
b: NIST ライブラリーによる検索結果
表 3-5. IL10 ノックアウトマウス血しょうに含まれる有意差が確認された揮発性成分
Not reported compounds
Reported compounds
Control vs. 8 weeks
8 weeks vs. 16 weeks
Control vs. 8 weeks
2,4-Dimethyl-1-heptenea
3-Methyl-1-butanola
2-Pentanone
Hexanala
Acetonea,b
Control vs. 16 weeks
2-n-Butylfurana
2,4-Dimethyl-1-heptenea
2-Propanola,b
Butanala
2-Methyl-2-butanolc
Control vs. 16 weeks
8 weeks vs. 16 weeks
2-n-Butylfurana
2-Butanola
Toluenea
2-Butyl-1-octanola
Heptane
2-Propanola,b
3-Methyl-2-butanolc
Toluenea
2-Methyl-2-butanolc
Hexanala
a: in vitro 酸化処理マウス血しょうと同じプロファイルパターン
c: IL10 ノックアウトマウス血しょうにのみ検出
52
b: NIST ライブラリーによる検索結果
表 3-6.
急性炎症と慢性炎症における揮発性成分プロファイル比較
Acute samples, zymosan
Chronic samples, IL10 KO
Same pattern in both samples
3-Methylbutanalb
Acetonec
Butanal
2-Butenalb
2-Propanolc
1-Propanol
1-Butanola
2-Butanola
Heptane
1-Hexanola
2-Pentanonea
1-Pentanol
1-Octen-3-olb
3-Methyl-1-butanola
2-n-Butylfuran
2-Ethyl-1-hexanol
Toluenea
1-Octen-3-one
1-Octanola
2,4-Dimethyl-1-heptene
Hexanal
2-Octanonea
3-Methyl-2-butanolb,c
2-Octen-1-ol
Nonanala
2-Methyl-2-butanolb,c
Decanala
2-Butyl-1-octanolc
a: p < 0.05 (スチューデントまたはウェルチの t 検定)
b: サンプル特異的な揮発性成分
53
c: NIST ライブラリーによる検索結果
3-4. 考察
本章では,揮発性成分の多成分分析を目的として高圧注入法および抽出担体
の検討を行い,従来法で検出が困難だった成分を含めた高感度の揮発性成分分
析システムの構築を行った.また,当該分析システムを用いて疾患モデルサン
プルの揮発性成分プロファイリングの比較を試みた.
DHS 法に高圧注入法を適用することで,SPME 法で検出感度が他の揮発性成
分に比べて異なるアルコール類を含めて高感度に検出することが可能になった.
これまでにアルコール類を分析対象として,抽出ファイバーに酸化ニオブをコ
ーティングしたガラスセラミックロッドを用いた分析が試みられていた
65.そ
の結果,アルコール類の検出限界は 0.8 g L-1 以下まで改善されたが,アルコー
ル類以外の多成分の揮発性成分分析は検討されていなかった.これに対して,
本章で開発したシステムを用いることで,アルコール類を含むすべての揮発性
成分を高感度に検出することが出来た.
加えて抽出担体の検討により,Tenax GR を用いることで最も高い検出感度が
得られることが明らかとなった.Tenax GR は合成樹脂系担体 Tenax TA に活性
炭を 38%配合しているため,低分子物質に対する保持力が改善されており,揮
発性成分の破過容量が向上している事が報告されている
66.そのため,より多
くの気相成分を担体に通気させて揮発性成分を捕集することが可能となり,
Tenax TA に比べてピーク面積値が向上したと考えられた.対して,炭素系担体
の Carboxen 1000/Carbopack を用いた時に得られた各揮発性成分の面積値は
Tenax TA に 比 べ て 低 く な っ た . カ ー ボ ン モ レ キ ュ ラ ー シ ー ブ タ イ プ の
Carboxen は高湿度条件下で担体 1 g に対して 400 mg の水分を保持することが
報告されている
67.そのため,微量な揮発性成分よりも水分が強く保持されて
しまい抽出効率が低くなってしまったと考えられた.また多くの水分を保持す
54
るため,吸着担体に残留した水分の除去に長時間のドライパージが必要である
ことが確認された.以上の理由から,Carboxen 1000/Carbopack 担体は Tenax
担体に比べて揮発性成分のピーク面積値が全体的に低下したと考えられた.
抽出方法検討を行った後,HS-SPME 法と DHS 法の揮発性成分プロファイ
ルの比較を試みた.その結果,アルコール類や炭素数 3 や 4 の低分子化合物は
HS-SPME 法で検出されず,2-Penten-1-ol などの面積値は DHS 法に比べて 1/10
倍となった.HS-SPME 法は液相と気相,そして気相と固定相間の平衡移動に
則るため,より気相成分に移動しやすい極性が低い揮発性成分やファイバーと
相互作用が強い揮発性成分がより抽出される傾向があった.そのため,アルコ
ール類などの極性が強い揮発性成分の抽出効率は低下し,またファイバーと相
互作用が強い化合物が存在すると,抽出操作中に相互作用が低い成分と置換さ
れる問題がこれまでに報告されていた
24.そのため,HS-SPME
法を適用した
時は低分子揮発性成分の面積値が低く,高分子揮発性成分の面積値は DHS 法と
同等になったと考えられた.
各抽出法の RSD 値を比較すると,HS-SPME 法では 20%であったが DHS 法
は 8%となった.HS-SPME 法の抽出効率に影響を与える要因の一つに抽出温度
がある.HS-SPME 法の抽出操作時はファイバーを気相成分に露出し抽出を行
う.この時,水相に含まれる揮発性成分を気相へ移動させるためバイアルは加
温されており,抽出ファイバーも同時に加温されている状態である.これまで
に気相成分の温度変化が揮発性成分の吸着に影響を与える事が報告されている
28.対して,DHS
法はバイアルを加温し気液平衡に達した後,気相成分をパー
ジし抽出担体で捕集を行うため抽出操作における温度の影響は HS-SPME 法に
比べて少ない.また本システムで抽出操作時に吸着担体温度を-10C に設定した.
抽出担体を低温にすることで吸着担体の破過容量が向上するため
55
68,より多量
のパージガスを通気させることが可能となる.その結果,低分子揮発性成分を
より捕集することが可能である.以上より,DHS 法を用いることで HS-SPME
法では分析が困難だった成分を含めた揮発性成分の多成分分析が可能になった.
そして本システムのバリデーションテストを行った結果,アルコール類を含
む全ての揮発性成分を同等の検出感度で分析できる事が明らかとなった.これ
までも HS-SPME 法でアルコール分析は検討されてきたが、極性化合物の場合
は分析レンジが狭いことが指摘されていた 69.1 mL の血液サンプルに含まれる
Ethanol と Methanol の HS-SPME 分析における検出下限値はそれぞれ 5.6 g,
12.8 g であった 26.検出感度を向上させるため血液サンプルに塩を添加し塩析
効果を検討した報告もあるが,それでも検出感度はg から mg オーダーであっ
70.それに対して本システムのバリデーションテストにより,幅広い揮発性
た
成分を ng オーダーで検出することが達成された.
各揮発性成分の日内,日間変動を検討した結果,日内変動の RSD 値は 5%,
日間変動の RSD 値は 10%以下となることが明らかとなった.しかし,2-Nonenal,
Decanal,2,4-Nonadienal,2,4-Decadienal など炭素数 9 や 10 の揮発性成分の
日内,日間変動の RSD 値が 20%となることが明らかとなった.これまでに,疎
水性の高い揮発性成分の抽出効率が変動する原因として,抽出操作時にバイア
ル内壁に吸着される事が報告されていた 24.
またマウス血しょうを用いた揮発性成分の添加回収実験の結果,DHS 法では
夾雑物による顕著な感度低下は確認されなかった.HS-SPME 法は液相と気相,
そして気相と固定相間における揮発性成分の平衡移動で抽出が行われるため,
夾雑物の影響により回収率が低くなる事が報告されていた
71.Gottzein
らの報
告で 22,血中に含まれる揮発性成分の HS-SPME 法の回収率は 7.9%から 61.9%
とバラつきが大きく,Toluene は 46.2%であった.これに対して,本システムを
56
適用した結果ほとんどの揮発性成分の回収率が 90%以上となり,Toluene の回
収率は 95%だった.バリデーションテストの結果より,HS-SPME 法に比べて
幅広い揮発性成分を効率よく抽出できることが明らかとなり,本研究で構築し
た分析系は HS-SPME 法に比べて,幅広い揮発性成分を高感度に分析すること
が可能である事が示された.
次に,酸化ストレスが亢進された場合における揮発性成分プロファイルの変
動を検討するため,市販マウス血しょうに異なる濃度の酸化剤を添加し in vitro
酸化処理した.その結果,酸化剤濃度に応じて揮発性成分が増加するプロファ
イルのみならず,低濃度酸化剤処理で上昇し高濃度では減少するプロファイル
を示す揮発性成分を明らかすることができた.このような変動が得られた理由
として,低濃度酸化ストレスで生成された揮発性成分は酸化ストレスがより強
くなることで揮発性成分自体が酸化反応により分解される事が考えられた.ま
た,酸化剤濃度に依存して増加した化合物群は疾患の進行に応じて生成される
成分であると示唆され,これまでにも Hexanal や Heptanal は肺がん患者で,
Hexanal と 1-Octen-3-ol は肝臓がん患者で顕著に増加することが報告されてい
2, 72.
た
1-Propanol と 2-Octen-1-ol は酸化ストレス強度に応じて減少するプロファイ
ルが得られたが,これまでの報告で肺がん患者の呼気で 1-Propanol は健常者に
比べて増加することが報告されていた 73.in vitro 酸化処理では揮発性成分は酸
化反応により生成されるが,生体内の揮発性成分生成経路は酸化反応の他に報
告されている.生体内のシトクロム P450 酵素がアルカン類などの他の脂質過酸
化物をアルコールに変換する事が知られており
74,血液中の揮発性成分はさま
ざまな経路を介して生成,分解が行われていると考えられた.DHS 法を適用す
ることで,酸化反応により生成される揮発性成分が 3 種類の異なるプロファイ
57
ルを示す事を明らかにできた.
そこで,in vivo サンプルとして急性炎症と慢性炎症モデルマウスの血しょう
に DHS 法を適用し,異なる炎症タイプにおける揮発性成分プロファイルの比較
を試みた.その結果,炎症タイプに応じて異なる揮発性成分プロファイルを示
すことが明らかとなった.急性炎症モデルでは慢性炎症モデルに比べてアルコ
ール類やアルデヒド類が増加していることが明らかとなった.本章で用いた急
性炎症モデルのザイモザン投与モデルは,投与後 72 時間後に 10 mg/body サン
プルで炎症は最も亢進されており
64,生体内の代謝物変動もダイナミックであ
ると考えられた.これに対して,慢性炎症モデルではアルデヒド類やアルコー
ル類のみならず 2,4-Dimethyl-1-heptene や Toluene などの揮発性成分が急性炎
症モデルに比べて増加している事が明らかとなった.また,3-methyl-2-butanol
と 2-methyl-2-butanol の慢性炎症のみに検出される揮発性成分が明らかとなり,
揮発性成分マルチマーカープロファイリングにより急性炎症と慢性炎症におけ
る揮発性成分プロファイルを明らかにすることができた.これまで揮発性成分
抽出法として HS-SPME 法が汎用されてきたが,DHS 法を適用することでこれ
まで検出できなかったアルコール類を含む様々な揮発性成分のマルチマーカー
プロファイリングを行うことが可能となった.
以上より,DHS 法を用いて最適な高圧注入法および抽出担体を選択すること
により,HS-SPME 法では検出感度が低かったアルコール類を含む多数の揮発
性成分を ng オーダーで分析することが可能となった.そして当該分析手法を血
液に適用し揮発性成分の多成分分析を行った結果,異なる炎症タイプの血しょ
うサンプル間における揮発性成分プロファイルの違いを明らかにすることが出
来た.
58
第四章
総括
本論文で DHS 抽出法とガスクロマトグラフィー/質量分析を用いて,血中揮
発性成分マルチマーカープロファイリングのための高感度かつ網羅的に解析可
能な分析システムを構築した.
第二章では,in vitro 酸化処理した脂質標準品から生成される揮発性成分を分
析した結果,脂質毎に異なる揮発性成分が生成される事が明らかとなった.鎖
長や不飽和度が異なる脂肪酸の組み合わせは多種多様であるため,生体中に存
在する脂質も多種多様であると考えられていた.気相成分をシリンジストロー
クにより動的に抽出できる DHS 法である ITEX 抽出法を適用した結果,酸化処
理脂質標準品から 43 化合物の揮発性成分を検出し,脂肪酸側鎖の違いにより生
成される揮発性成分プロファイルが異なる事が明らかとなった.これまで解析
されてきたアルデヒド類に加えて,アルコール類やフラン類などが含まれてお
り,また直鎖構造の揮発性成分のみならず環状構造を有する揮発性成分も酸化
脂質から生成されることが明らかとなり,HS-SPME 法に比べて幅広い揮発性
成分情報を獲得でき,揮発性成分ライブラリーとして活用できると考えられた.
そこで得られた揮発性成分情報をもとにマウス血しょうサンプルに含まれる
揮発性成分プロファイルを試みた結果,12 種類の揮発性成分を検出することが
出来た.また異なる酸化剤濃度でマウス血しょうを酸化処理すると,27 化合物
の揮発性成分を検出することができ,酸化剤濃度に応じて化合物ごとに異なる
変動を示すことが明らかとなった.
DHS 法は,HS-SPME 法と異なり気相成分を強制的に抽出担体へ移動させる
ことが可能である.これまでアルコール類は極性の性質から液相に分配されや
すく,成分の平衡移動に則って抽出を行う HS-SPME 法では感度が低くなる問
題があった.また抽出担体の体積量も HS-SPME 法に比べて増加しているため,
59
より多量の気相成分を捕集することが可能となり,微量な成分も分析が可能と
なった.その結果,血液に含まれているが HS-SPME 法では検出されなかった
揮発性成分を含むさまざまな揮発性成分の多成分分析が可能となり,また当該
分析により得られた結果は実サンプルの解析の際に必要となる揮発性成分同定
のためのライブラリーとして期待できた.
第三章では,DHS 法の詳細な検討を行い,高圧注入法と Tenax GR 担体を用
いることで揮発性成分の検出感度が向上され,従来法では微量成分のため分析
の困難だった揮発性成分を含む揮発性成分マルチマーカープロファイリングシ
ステムを構築し,炎症疾患モデルマウス血しょうに含まれる揮発性成分プロフ
ァイリングの違いを明らかにすることが出来た.DHS 法に高圧注入法を組み合
わせることで注入時におけるスプリット比率が低くなり,カラムに導入される
揮発性成分の絶対量の向上が期待できた.加えて,合成樹脂系担体に炭素を配
合した抽出担体を用いることで,HS-SPME 法で検出感度が低かったアルコー
ル類も他の化合物と同等の検出感度まで向上し,HS-SPME 法で検出されなか
った 1-Propanol や 2-Butanol などの揮発性成分を含む 50 種類の揮発性成分を
高感度に検出することが可能となった.また,各揮発性成分の回収率も 90%以
上となり,その RSD 値も 10%以下であることから再現性良く抽出可能である事
を示せた.以上の点から DHS 法と高圧注入法を適用することで,HS-SPME 法
に比べて多成分の揮発性成分を高感度に検出する事が可能となり,揮発性成分
多成分プロファイリングが可能になった.
そして構築した分析システムをマウス血しょうに適用した結果,in vitro 酸化
処理マウス血しょうでは酸化剤濃度に応じて揮発性成分が増加するプロファイ
ルに加えて,低濃度酸化剤処理で増加し,高濃度酸化剤処理で減少する揮発性
成分と酸化剤濃度に応じて揮発性成分が減少する,3 つの揮発性成分プロファイ
60
ルを示す事が明らかとなった.そして,in vivo サンプルとして急性炎症および
慢性炎症モデルマウスの血しょうに含まれる揮発性成分プロファイリングを行
った結果,急性炎症でアルコール類やアルデヒド類が慢性炎症に比べて増加し
ていることが明らかとなった.また,慢性炎症ではアルコール類やアルデヒド
類に加えて,Toluene や 2,4-Dimethyl-1-hepten など急性炎症では検出されなか
った揮発性成分が含まれていることが明らかとなった.以上から,構築した分
析システムを適用して揮発性成分マルチマーカープロファイリングを行うこと
で,急性炎症および慢性炎症状態における揮発性成分プロファイルの違いを明
らかにすることができた.
これまでの生体内代謝物の変動解析により,脂質がシグナル伝達などの重要
な役割を果たすことが明らかとなり代謝解析の重要なターゲットの一つである.
また,酸化ストレスが多くの疾患の発症と深く関わる事が広く認められており,
その詳細なメカニズムの解明のため酸化ストレスマーカーである酸化脂質の解
析が行われており,これまでにも生体中の過酸化脂質の網羅的な解析が報告さ
れている
73.これら過酸化脂質が酸化開裂した際に,アルデヒドを含む様々な
揮発性成分も生成することも知られており
34,本研究で構築した揮発性成分の
高感度かつ網羅的な分析システムを適用することにより,生体中に生成される
揮発性成分の解析を行うことが可能となる.これまで行われてきた長鎖酸化脂
質とあわせて,生体内の脂質過酸化反応により生成される揮発性成分を解析す
ることにより生体内反応について新たな知見の獲得が期待できる.
また近年,揮発性成分は生体内で細胞シグナルや代謝物と反応し二次生成物
を形成する事が報告されており,特にアルデヒド類は二次細胞毒性メッセンジ
ャーとしても注目されており 75,76,揮発性成分とさまざまな病態との関連性が注
目されてきた.各種疾患の基盤病態として炎症反応が注目されており,近年,
61
揮発性成分が炎症反応に関与していることが報告されている
61.例えば,炎症
反応が亢進しているヒトから健常者とは異なるにおいが拡散されており,にお
いが早期の病気判別の手がかりになる事が報告されていた
75.また,酸化脂質
から生成される揮発性成分の一つである 4-Hydroxy-2-nonenal が,酸化 LDL 取
り込みに関与する CD36 の遺伝子発現に関与することが報告されている
75.生
体に含まれる揮発性成分を網羅的に解析することが可能になることで, 炎症や
疾患に関与する新たな揮発性成分の探索や知見の獲得が期待される.
また,これまでにトレーニングされたがん検知犬による肺がん患者や乳がん
患者の嗅ぎ分けを行った報告もあり
77,生体内の揮発性成分組成は疾患などに
より変動していると考えられた.しかし,この場合は健常者と疾患患者の違い
は明確にできるが,どのような揮発性成分が生成されているのか不明であった.
生体中の揮発性成分は微量に存在するため
29,従来法を用いた網羅的な分析は
行われていなかった.本研究で構築した分析システムを適用することで,メタ
ボロミクス技術に基づく揮発性成分のマルチマーカープロファイリングにより,
生体中の揮発性成分の量比バランス情報を獲得することが可能となる.加えて,
生体内の揮発性成分は多種多様な生成経路を経て生成されるため,それらの情
報から揮発性成分バイオマーカー候補の発見が可能となるとともに,疾患の判
別や予測が可能となると期待できる.
第三章で用いたザイモザン投与マウス (10 mg/body)
血しょうサンプルを
用いて,6 時間,24 時間,72 時間における揮発性成分の変動 (n=5) を解析し
た結果,経時的に増加する揮発性成分の他に,24 時間で最も増加し,72 時間で
減少するプロファイルを示す揮発性成分が確認された (補足資料 5).経時的に
増加が確認された揮発性成分 Hexanal72 や Nonanal32 などは肺がんの揮発性マ
ーカー候補として注目されていたが,本システムを適用したことで
62
2-Pentanone や 2-Propanol など初期段階の炎症で顕著に増加するプロファイル
を示す揮発性成分が存在することが示された.この結果より,生体内の炎症反
応ではこれまでマーカー候補として注目されている揮発性成分が変動すると共
に,炎症初期段階で顕著に増加する揮発性成分が存在することが推察された.
これまで疾患に特異的に増加する揮発性成分が注目され,それらが揮発性成
分バイオマーカーとして期待されていた.本システムの揮発性成分マルチマー
カープロファイリングにより,経時的に増加する揮発性成分のみならず初期段
階で顕著に増加する揮発性成分が存在する事を明らかにすることができた.従
来の単一成分による疾患の予測や判別に比べて,早期に変動が確認される揮発
性成分と経時的に増加する揮発性成分の量比バランスから,より詳細に生体内
変動を明らかにすることが可能となり,揮発性成分の多成分分析による疾患や
炎症の判別や予測することが可能になると期待できた.
本研究では,DHS 法の注入方法や抽出担体など微量な揮発性成分分析に重要
な要素を検討することにより,HS-SPME 法では分析が困難だった成分を含め
た多成分の揮発性成分の検出感度を向上する事に成功し,高感度かつ網羅的に
揮発性成分分析が可能となった.そして当該分析システムを用いることで,異
なる炎症タイプの揮発性成分プロファイルの違いを明らかにすることが出来た.
また,揮発性成分は生体内の多種多様な生成経路により生成される最終生成物
である.生体内揮発性成分を網羅的に解析することで得られる揮発性成分バイ
オマーカー候補の探索に本分析システムは有用であると考えられ,またサンプ
ルの前処理を必要としないため,臨床分野への実用的応用が期待できる.
今後,本研究で検討した分析システムは,生体中揮発性成分分析が発展して
いくための重要な技術であり,揮発性成分の高感度かつ網羅的な分析を通して
揮発性成分情報から揮発性成分バイオマーカーの探索や酸化脂質情報と組み合
63
わせた疾患メカニズムの解明など,揮発性成分研究のさらなる展開が期待され
る.
64
謝辞
本研究を遂行するにあたり,終始ご懇篤なるご指導とご鞭撻を賜りました大
阪大学大学院工学研究科,福崎英一郎教授に謹んで感謝の意を表します.
本論文の作成にあたり有益なご指導,ご助言を賜りました大阪大学大学院工
学研究科,藤山和仁教授,村中俊哉教授に心から厚く感謝申し上げます.
また,博士前期課程から 5 年間,懇切なるご指導を賜り,日頃から貴重なご
助言と叱咤激励の言葉を頂きました大阪大学大学院工学研究科,馬場健史准教
授に心から御礼申し上げます.
本研究を進めるにあたり,日頃より貴重なご助言を頂きました大阪大学大学
院工学研究科,小野比佐好助教に深く感謝いたします.
本研究で使用したマウス血しょうサンプルの提供と有益なご助言を頂きまし
た神戸大学研究科,吉田優准教授,西海信研究員,そしてアスビオファーマ株
式会社,藤枝祐介博士に深い感謝の意を表します.
本研究を行うに際し,多大なる協力を賜りました大阪大学大学院工学研究科
生命先端工学専攻生物資源工学領域,超臨界流体グループ,石橋愛実修士,田
口歌織修士,山田貴之修士,竹田浩章学士,上野真菜子学士,藤本浩史学士な
らびに生物資源工学領域,諸先輩方,研究員方,学生諸氏,事務の方々に心か
らの感謝の意を表します.
最後に,これまで常に支え続けてくれた家族,友人無くして本研究は成し得
なかったことを付記致します.
65
補足資料
66
補足資料 1
異なる注入圧力における揮発性成分の面積値
A: Alkane B: Alcohol C: Ketone D: Aldehyde E: Cyclic compound
黒色: 300 kPa,白色: 330 kPa,灰色: 360 kPa,斜線: 400 kPa
67
68
補足資料 2
異なる注入時間における揮発性成分の面積値
A: Alkane B: Alcohol C: Ketone D: Aldehyde E: Cyclic compound
黒色: 1 分,白色: 2 分,灰色: 3 分,斜線: 5 分
69
70
補足資料 3
異なる抽出担体を用いた揮発性成分の面積値
A: Alkane B: Alcohol C: Ketone D: Aldehyde E: Cyclic compound
黒色: Tenax TA,白色: Tenax GR,灰色: Carboxen 1000/carbopack
71
72
補足資料 4
DHS 法と HS-SPME 法を用いた揮発性成分分析の比較
A: Alkane B: Alcohol C: Ketone D: Aldehyde E: Cyclic compound
黒色: DHS 法,白色:HS-SPME 法
73
補足資料 5: ザイモザン投与マウス血しょうに含まれる揮発性成分の経時変化
(ザイモザン 10 mg/body,n=5,t 検定により有意差が確認された揮発性成分)
A: 投与後 24 時間で増加が確認された揮発性成分
B: 経時的な増加が確認さ
れた揮発性成分
黒色: 投与後 6 時間 白色: 投与後 24 時間 灰色: 投与後 72 時間
74
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発表論文
本学位論文に関与する論文
1.
S. Kakuta, Y. Bando, S. Nishiumi, M. Yoshida, E. Fukusaki, T. Bamba.
Metabolic Profiling of Oxidized Lipid-Derived Volatiles in Blood by Gas
Chromatography/Mass Spectrometry with In-Tube Extraction. Mass
Spectrometry. 2, A0018 (2013)
2. S. Kakuta, T. Yamashita, S. Nishiumi, M. Yoshida, E. Fukusaki, T. Bamba.
Multi-component
profiling
of
trace
volatiles
in
blood
by
gas
chromatography/mass spectrometry with dynamic headspace extraction.
Mass Spectrometry. In press
総説等
1. 角田省二,長澤由美子,福崎英一郎.生物工学基礎講座バイオよもやま話
量分析におけるイオン化法の重要性.生物工学会誌,91, 133-136 (2013)
87
質
学会発表
(国際学会)
1. S. Kakuta, Y. Bando, S. Nishiumi, M. Yoshida, E. Fukusaki, T. Bamba.
Analysis of oxidized lipid derived volatiles by Gas Chromatography/Mass
Spectrometry.
JSPS
Japanese-German
Graduate
Externship
International Symposium Biological and Chemical Methods for Selective
Catalysis. Dec 2012
2. S. Kakuta, Y. Bando, S. Nishiumi, M. Yoshida, E. Fukusaki, T. Bamba.
Analysis of oxidized lipid derived volatiles by Gas Chromatography/Mass
Spectrometry. The 19th International Mass Spectrometry Conference
(IMSC2012), Kyoto. Sep 2012
(国内学会)
1. 角田省二,板東泰彦,西海信,吉田優,福崎英一郎,馬場健史.ガスクロマ
トグラフィー/質量分析を用いた揮発性酸化脂質の分析.第 64 回
日本生物
工学会,神戸.2012 年 10 月
2. 角田省二,板東泰彦,西海信,吉田優,福崎英一郎,馬場健史.ガスクロマ
トグラフィー/質量分析を用いた揮発性酸化脂質の分析.第 7 回
メタボロー
ムシンポジウム,鶴岡.2012 年 10 月
3. 角田省二,山本隆士,西海信,吉田優,福崎英一郎,馬場健史.ガスクロマ
トグラフィー/質量分析を用いた揮発性酸化脂質プロファイリング技術の開
88
発,大阪.2011 年 10 月
89
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