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No.8 - 山梨大学医学部

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No.8 - 山梨大学医学部
Platanus
vol. 8
プラタナス 第 8 号 2005 年 9 月 1 日発行 山梨大学 総合分析実験センター
お世話になりました!
これからもよろしく!
小径パイプを
寺田信幸
東洋大学工学部教授
山梨医科大学第2生理学教室、
実験実習機器
センター、
総合分析実験センター、
山梨大学総合
分析実験センターと23年間にわたる在職中に
は、
多くの方々にご指導、
ご支援、
ご協力を賜り
ました。
本当に有難うございました。
心より御礼
申し上げます。
また、
多くの方々にご迷惑もお掛
けしました。
ご迷惑をお掛けした皆様には、
心よ
りお詫び申し上げます。
思い起こせば13年前、
山
梨医科大学実験実習機器センターを立ち上げた
際、
組織や機器の整備と共に最初に手を付けた
のがこのセンターニュースの発行でした。
まだ、
パソコンで紙面を作るのが大変で、
予算も無く
印刷に出すことも出来ず、
悪戦苦闘したことが
思い出されます。
現在私が所属する機能ロボティクス学科は、
「人」
をキーワードに、
文理融合、
医工融合を推進
しうる人材の育成を目指しています。
そのため
「人体の機能としくみ」
や
「認知心理」
など、
これ
までの工学部には無い分野の教育カリキュラム
を展開しています。
私はライフサイエンス研究
室を立ち上げ、
マイクロ流体デバイスを用いた
生体情報モニターの開発やBio-Nano分野の医療
への展開を模索し始めました。
簡単かつ正確に
血液検査ができる超小型、
省電力な生体情報モ
ニターの開発は、
ベッドサイドや在宅などで使
える携帯型ユビキタス医療診断システムとして
展開できます。
また、
ウェアラブルな健康管理装
置へ発展させ、
次世代の携帯電話を用いた地域
医療ネットワークとの連携により、
大きな社会
挿入した流路
小径パイプ流
路における血
液の流れ
システムへの発展が期待されます。
現在、
糖尿病
を始めとする生活習慣病への対策は急務であ
り、
人が健康に生活するための生活支援システ
ムを構築することの意義は大きいと考えていま
す。
掲載した写真は、
UVレーザ加工と樹脂ラミ
ネート法を用いて作製したマイクロ流体デバイ
スです。
血液細胞を一列に並べて流し血球カウ
ントや血小板凝集塊の検出を目的としていま
す。
小径パイプを挿入した立体構造の流路(写
真:上)
と、
実際に血液を流したところを撮影し
たものです
(写真:下)
。
この他にも、
赤血球変形
能、
血小板凝集機能、
血液凝固機能を測定するこ
とを目的とした擬似毛細血管流路など、
実用化
に向けての取り組みをしています。
今後、
山梨大学の先生方とこれまで以上に共
同研究ができればありがたいと思っておりま
す。毎週月曜日か火曜日は総合分析実験セン
ター
(玉穂キャンパス)
におります。
是非、
声を掛
けてください。
お待ちしています。
-1-
新しい装置が入りました
前々回
(Platanus no. 6)
では、
新しく設置された
機器
(蛍光マイクロプレートリーダー、
蛍光顕微
鏡画像撮影システム、
マイクロインジェクショ
ンシステム、
FACSバージョンアップ)
をご紹介
しました。
今回はその続編として、
同じく新設機
器であるPCR装置、定量PCRシステム、エリス
ポットアッセイシステム、
共焦点レーザー顕微
鏡についてご紹介します。
も少なくなる、
といったメリットがあります
(複
数波長でPCRを行う 場合は多少の条件設定が
必要になりますが)
。
装置の操作そのものは至っ
て簡単で、
ウェル上のサンプルをデザインする
操作などは、
マイクロプレートリーダーの操作
に似ているでしょう。
しかし大変なのは、
データ
解析やコントロールの概念などを把握すること
です。
定量PCR法は真剣にやろうとすると、
かな
り奥の深い世界です。
それだけに説明会にて座
学が長くなるのも無理もないでしょう。
SDS7500取扱説明会
SDS7500
定量PCRシステム
(SDS7500)
操作上の注意
5月に行われた取扱説明会では、
操作にあたっ
SDS7500は核酸実験室(院生研究棟2階)に ての注意点がいくつかありました。
おさらいを
あったシステム
(SDS5700)
の上位機種です。
分 したいと思います。
まず、
サンプルトレイはデリ
析機器室2(基礎研究棟1F)
に設置されました。 ケートで、
かつ高価です
(7万円です)
。
表裏を間
SDS5700が単波長の蛍光しか測定できなかった 違えないようにしましょう。
また、
SDS5700のシ
のに対し、
SDS7500では最大5波長まで設定する ステムで使っていたコンプレッションパッド
ことができます。
同一チューブ内でターゲット は、
7500では必要ありません
(間違えて使うと故
と内在性コントロールを同時に反応させること 障の原因になります)
。
8連チューブの場合は縦
ができ、
試薬も半分で済み、
ピペッティング誤差 にセットしてください。
横にセットしてトレイ
をスライドさせると、
これも故障につながりま
す。
チューブは定量PCR専用のものを使ってく
SDS7500取扱説明会が行われました
ださい。
専用チューブは微妙に曇っており、
これ
が蛍光の乱反射を防ぐのだそうです。
SDS7500の取扱説明会は5月19日(木)
看護学科棟6Fにて、
午後4時から行われま
した。終了したのは午後8時を回っていま
した。
全体では約40名の参加でした。
ここ
からも定量PCRのニーズを伺い知ることが
できます。
長時間にもかかわらず、
最後まで
ご参加いただき、
ありがとうございました。
運用上の注意
ハードディスクへのデータ保存はドライブD
へお願いします。
また、
Windowsはウィルスに感
染しやすいので、
ネットワークには接続できま
せん(共有サーバーのBISONなどは使えませ
ん)
。
データ移動にはフラッシュメモリーをご利
-2-
用いただくようお願いします。
また、
HDに残さ (458nm・488nm・514nm)
、
HeNeG(543nm)
、
HeNeR
れたデータは不定期に消去しています。
共同利 (633nm)
の3種類です。
紫外線励起以外の蛍光色
用の場合はどのようなトラブルが生じるかわか 素なら、
ほとんどすべてに対応するでしょう。
こ
りません。データはその都度各自のPCへ保存 れまで同室にあるライカ社のレーザー顕微鏡
し、
装置のハードディスク内にはデータを残さ (古い装置ですが)を使っていた方にとって、
ないよう、
ご協力をお願いします。
FV1000の操作はとても楽に感じるはずです。
立
体画像の構築もあっという間です。
PCR装置
使用の際の注意点は、
これまでのレーザー顕
オイルレンズで使用した
分析機器室2には、
PCR装置が2台設置されま 微鏡とほぼ同じです。
水銀ラン
した。
0.2ml用と、
0.5ml用があります。
それぞれ専 時はレンズペーパーでしっかり拭く、
用のサンプルチューブアダプターがあります。 プ電源とレーザー管スイッチを切り忘れない、
などです。
データはフラッシュメモリーで管理
お間違えのないようご注意ください。
してください。
装置のディスクへの保存は一時
的なものとしてください。
なお、
現行のレーザー顕微鏡は、
ワークステー
ションがいつダウンしてもおかしくない状況に
なっています。
現在、
同ワークステーションは、
OFFになっています。
利用を希望される場合の
みONにします。
その際はご連絡ください。
KS ELISPOT システム
(カールツァイス)
マイクロプレートを実体顕微鏡下にセット
し、
ウェル内に培養された細胞の分泌物などに
ついて画像解析する装置です。
これまではウェ
ル単位での発色、
吸光度測定が行われていまし
た。
Elispot法では細胞単位の検出を行います。
細
胞単位での情報を検出するため、
感度は従来の
ELISA法より高くなります。
ステージは右下に傾いていますが、
これは実
体顕微鏡についているカメラ角度とステージの
角度を一致させるためです。
固定されており動
きません
(無理に動かすことはしないでくださ
い)
。
取扱説明会は4月27日に行われました。
Gene Amp PCRsystem 9700 0.5ml用
(左)
、
0.2ml用
(右)
FV1000
共焦点レーザー顕微鏡
(オリンパスFV1000)
新しい共焦点レーザー顕微鏡は、
画像解析室
(基礎研究棟1F)
に設置されました。
今回は倒立
型の顕微鏡のみにレーザーシステムが取り付け
られており、
正立型はありません。
スライドグラ
スでの観察を行う場合はカバーグラス側を下に
向けて観察してください。
レーザーは、
Multi-Ar
-3-
KS ELISPOT compact
こんなこともしています!
資源開発分野 大沼 仁
連続自動採血装置
左側:採血量、時間を制御するコン
トロールパネル
中央:検体の吸引、排出の駆動部の
シリンジユニット
右側:検体を冷却保存するフラク
ションコレクターユニット
A
Adrenalin (ng/ml)
0.12
-4-
0.08
*
0.04
0.00
18
20
22
24
2
4
6
8
10
12
14
Time of Day (hour)
B
*
0.12
Adrenalin (ng/ml)
血液中のホルモンや生理活性物質は、
様々な
環境要因により変動し、
生体が本来持っている
周期的変動に影響を及ぼします。
動物実験にお
ける採血は、少なからず動物にストレスを与
え、
血液中のホルモンや生理活性物質量を変動
させる可能性が考えられます。
これまでに報告
されている多くのデータは、
ヒトの接触より採
血されたものであり、
採血と言うストレスを含
んだ現象をとらえていることになります。
そこで、
連続自動採血装置
(DR-VS:
(株)
エイ
コム)
を用いてヒトが接触しない自然な状態で
の採血と、
採血時ヒトが入室し保定操作を行う
採血をそれぞれ経時的に行い、
血液採取の手順
の違いによる血中アドレナリン、
ノルアドレナ
リン、
血液化学成分の分泌パターンを比較検討
しました。
結果、
ヒトが接触しない状態でのアドレナリ
ン分泌
(A、
B)
に昼夜で差が認められ、
夜間の方
が昼間よりも高値を示しました。
採血時ヒトが
入室し一般に採血をする際の保定操作を行っ
た場合には、
この昼夜の差は消失しました。
ま
た、
ヒトが接触しない方が、
保定操作でヒトが
接触した場合よりも明らかに低値を示しまし
た。
ノルアドレナリン
(C、
D)
についても同様な
傾向が認められましたが、
統計的には有意では
ありませんでした。
血液化学成分については差
がありませんでした。
今回測定を行った血液中アドレナリン、
ノル
アドレナリンは、ヒトが接触しない採血に比
べ、
採血時の保定操作を行った際の測定データ
のばらつきは大きく、
針を刺すなどの苦痛を与
えないで留置したチューブからの採血であっ
ても、
ヒトが接触するだけで測定データが変動
することが明らかとなりました。
すなわち、
採
血を行うための飼育室への入室や保定操作な
ど実験動物とヒトとの接触がカテコールアミ
ン分泌を増加させ、
本来持っている基礎的な分
泌パターンをマスクしていると考えられまし
た。
今回、
無麻酔、
無拘束で採血できる環境を構
築し、
血液を採取する行為による影響を排除し
0.08
*
0.04
0.00
ヒト非接触群
ヒト接触群
16
形で活用されます。
医学生物学研究分野で使用
される真空ポンプは、主にロータリーポンプ、
ディフュージョンポンプ、
ターボモレキュラー
ポンプ、
イオンポンプがあります。
大別して、
大
気圧から作動して、
ある程度の真空状態を作る
もの
(ロータリーポンプ)
、
それを引き継いで、
さ
らに高真空に到達させるもの
(ディフュージョ
ンポンプ他)
があります。
C
Noradrenalin (ng/ml)
4.00
3.00
2.00
1.00
ロータリーポンプ
油回転ポンプとも呼ばれます。
到達真空度は
Time of Day (hour)
0.1パスカル程度で、
最も良く使われています。
4.00
0.1パスカルとはおよそ百万分の1気圧です。
こ
D
れでも中真空と呼ばれます
(千分の1気圧は低真
空と呼ばれます)
。
想像もつきませんが、
ちょう
3.00
どスペースシャトルが飛行する高度で、
地上か
らおよそ300-500km
(東京ー大阪間)
のあたりと
2.00
似た環境です。
ロータリーポンプは真空乾燥機、
凍結乾燥機、
1.00
エバポレーターなどに使われるほか、
さらに高
真空を要する機器
(電顕、
超遠心機、
蒸着器etc.)
の予備排気に使われます。
内部の固定翼が気体
0.00
をかきだして真空をつくります
(次ページ図1)
。
ヒト非接触群
ヒト接触群
油は気密性を維持するためにつかわれていま
す。油は定期的に交換が必要で、使われる気体
て、
ネコの概日リズムについて検討した所、ネ
(空気だけでなく有機溶媒など)
によって劣化の
コには弱いながらも概日リズムが存在してい
度合が違ってきます。
ることが明らかとなりました。
今回検討した自
動採血装置は実験動物にヒトが接触すること
リンゴの皮一枚
なく、無麻酔、無拘束の状態で日内変動する生
地上から上空へ行くにつれて、地球の引力
体内物質等の測定に有用であり、
動物へのスト
が空気を引き止められなくなり、空気が薄く
レスや研究者への負担が軽減されると思いま
なります。
海抜0メートルの地点で1気圧とな
す。
興味のある方は動物実験施設の大沼まで連
ります。
富士山頂は地上の3分の2気圧ほどで
絡ください。
0.00
20
22
24
2
4
6
8
10
12
14
16
Noradrenalin (ng/ml)
18
す。ちなみにジャンボジェットの飛行高度は
およそ10kmですが、
機内は海抜1500-2400
メートル
(富士山五合目くらい)
と同じくらい
実験装置の知識
の気圧に調節されています。だから高山病に
前々回、
Platanus no.6では、
蛍光色素が見える
しくみについて説明をしました。
今回は、
真空発
生装置と真空装置を使った機器について説明し
ます。
真空は工業分野ではメッキなどの薄膜を
作る技術として、
また、
食品ではフリーズドライ
食品などに活用されています。
医学生物学研究
でも、
コーティングや凍結乾燥をはじめ、
様々な
-5-
はかかりません。地球から離れると気圧はさ
らに低くなり、スペースシャトルや宇宙ス
テーションの軌道はまさに真空の世界です。
宇宙規模で考えると、
むしろ気圧のある、
地上
からわずか数キロの範囲の方が、特殊な空間
なのです。よくリンゴの皮一枚の空間と言い
ますが、
そのとおりです。
ディフュージョンポンプ
油拡散ポンプとも呼ばれます。
真空到達度は
-3
-6
10 から10 パスカルです
(約100億分の一気圧、
高真空とよばれます)
。
ロータリーポンプが大気
圧から作動するのに対し、
拡散ポンプはある程
度の真空状態にならなければ動きません。
その
ためロータリーポンプによる予備排気が必要と
なります。
過熱されて蒸気になった高速オイル
の分子が、
気体分子を吹き飛ばし、
真空を発生さ
せます。
蒸発したオイルは周囲の冷却パイプで
冷やされて、
また蒸発するサイクルを繰り返し
ます。
電子顕微鏡、
超遠心機で、
高真空状態をつ
くる際に使用します。
図2 ロータリーポンプ
(□ 部
分はオイルミストトラップ)
空引きにご注意
図1ポンプのしくみ
1
3
2
ロータリーポンプを大気圧状態
で作動させ続けると、オイルを含
んだ大量の空気が排出され、実験
室はオイルの煙で充満します。さ
らにそのまま続けると、オイルミ
ロータリーポンプ
ストトラップ(図2)から噴出した
オイルで、床一面が油だらけにな
ります。
これは、
装置のバルブなど
を開放したままポンプを作動させ
たことによります。大気圧で引い
ディフュージョンポンプ
ているときは、音が比較的静かな
1
2
3
ので、一見正常に動いているよう
に感じますが、実際はそうではあ
りません。いわゆる“空引き”はし
ないよう、
ご注意ください。
ターボモレキュラーポンプ
イオンポンプ
サンユー電子
(株)
より許可を得て転載
http://www.sanyu-electron.co.jp
ターボモレキュラーポンプ
Turbo Molecular Pump
(TMP)
の到達度は10-10パ
スカルです(約10兆分の一気圧以下、
超高真空と
呼ばれます)。
これは月周辺の気圧に等しくなり
ます。
数十年も前にアポロ計画で月面まで送ら
れた宇宙船や計測機器の凄さが実感できるよう
な気がします。
さて、
ターボモレキュラーポンプ
では、
角度のついたファンが超高速回転するこ
とで、気体分子を予備排気側へ押しやります。
ファンは数万rpmで回転するため、装置の固定
状態や、
軸ズレなどが起こると破損し、
大事故に
つながる可能性があります。
油を使わないため、
油拡散ポンプよりもさらに良好な真空を発生さ
せます。
電顕や凍結割断装置、
スパッター機器に
使われます。
イオンポンプ
強力な磁
真空到達度は約10-10パスカルです。
石と電極が使われています。
イオン化したチタ
-6-
ンと気体分子が反応し、
化合物をつくります。
ま
た、
気体分子もイオン化して電極へ引寄せられ
ます。
これらの反応が次第に気体を減少させ、
真
空をつくります。
イオンポンプでは、
ターボモレ
キュラーポンプと同様、
超高真空が得られます。
機能解析分野では、
唯一、
走査電顕S4500に使わ
れています。
真空を使った機器ー例えば超遠心機
高真空を利用して稼動する装置に、
超遠心機
があります。
超遠心機は、
生体分子の分離精製の
A
B
目的に用いられますが、
超遠心とはどれくらい
からの回転を指すのでしょうか?だいたい
30,000rpmと、
本には記載されています。
高速遠
心機と超遠心機の違いの一つに、
真空機構が備
わっているか否か、
があります。
高速遠心では回
転数が上昇すると、
空気の摩擦で大きな熱と音
が発生します
(高速遠心機の回転数上限はおよ
そ20,000rpm)
。
一方、
回転数が段違いに大きいに
も関わらず、
超遠心機の回転はとても静かです。
これはチャンバー内が真空なためです。
超遠心
機では、
ローターと呼ばれる主にチタン製やア
ルミ製の金属塊が超高速でチャンバー内を回転
図3 超遠心機
(Beckman Coulter社Optima 80K)
の
します。
超遠心と呼ばれる回転を行うには周囲
フロントパネルをはずしたところ
(上)
と、
□部分を
の空気が抵抗となりますので、
真空状態を作る
拡大したところ(下)、ロータリーポンプ(A)、ディ
必要があります。
フュージョンポンプ
(B)
超遠心機において、
高真空はどのように作ら
れるのでしょうか?超遠心機のフロントパネル ンスは補正しますが、
負担は必ずかかります。
バ
を開けると下の方に真空系が見えてます
(図3)
。 ランスはしっかりと、とりましょう。余談です
まず、
一次排気に使用されるのがロータリーポ が、
超遠心機のローター選択ミスによるスピー
ンプです
(図3-A)
。
これにより、
低真空までの排 ド超過で生じた事故写真が公開されていました
気が行われます。
一定の真空状態をクリアする (http://www.ehs.cornell.edu/lrs/Centrifuge/
と、
次にディフュージョンポンプ(油拡散ポン CentrifugeDamages.htm)
。
これは明らかな使用方
プ)
が動き始めます
(図3-B)
。
このポンプの稼動 法のミスで生じた事故ですが、
これだけのこと
によって超高速回転が可能な条件が整います。 が起り得る、
ということは肝に命じておかねば
このときに、
O-リングが劣化していたり、
ロー なりません。
ターに水滴が着いていたり、
グリースオイルを
塗りすぎていたりすると、
真空度が上がりませ いろいろな真空状態
“真空”
といっても、
その度合にはいろ
ん。
特にグリースそのものが真空度を低下させ 一言で
目的にあわせた能力の真空装置が使
ます。
また、
ホコリを噛んでしまい、
密閉度を低 いろあり、
ということをお分かりいただけま
下させます。
グリースオイルの塗りすぎは全く われている、
上記で説明し
意味がないのです
(ご注意を!)
。
全体にまんべん したでしょうか?真空ポンプは、
今後装置を使
なく、
極めてうすく、
少し光る程度で十分です。 たもの以外にも種類があります。
今回の説明や注意点を思い出しながら
また、
バランスをしっかりとることは重要です。 うとき、
近年の装置は性能もよくなり、
多少のインバラ ご利用いただけたら幸いです。
-7-
第24回学術セミナー報告
7月22日
(金)
17:30より、
第24回学術セミナー
が新臨床研究棟2Fにて行われました。
今回は
“小
動物実験とin vivoモレキュラーイメージング技
術の展望”
という演題で、GE Healthcacre アマ
シャムバイオサイエンス
(株)
の小野聡氏に講演
をしていただきました。
予想外の40名を越える
参加数で、
数人の方には資料のコピーしかお渡
しできず、
申し訳ありませんでした。
超音波、
X線、
CT、
MRI、
PET、
蛍光画像診断装
置などは、
近年、
細胞レベルの解像度を得られる
まで進歩しました。
これまでは病気の症状があ
る程度進行してから発見されていたものが、
細
胞、
分子レベルで細かい観察が可能になったこ
とで、
より早期に発見されるようになったので
す。
この臨床分野はモレキュラーメディスンと
呼ばれます。
これら解像度の向上は、
実験用の小
動物を対象とした核医学装置、
MRI装置として
応用されるようになり、
基礎研究用実験機器と
しても脚光を浴びています。
今回紹介された小
動物用CT装置の解像度は最高27マイクロメー
トルです。
このように、
分子レベルの情報を、
in
vivoで画像化する新しいイメージング技術、
こ
れをモレキュラーイメージングといいます。
セミナーで紹介された関連装置の中で、
最も
ニーズが高そうなのは蛍光イメージングシステ
ムです。
生体の深部で蛍光色素を励起するため
に、
赤外線が用いられるため、
使用する蛍光色素
も比較的超波長側となります。
その他CT、
PETも
紹介されました。
これらは、
高解像度となったこ
とが、
骨形成、
がん細胞の局在、
薬物動態、
遺伝子
発現など、
いろいろなことを小動物において可
能にしたと言えます。
小動物のin vivoモレキュラーイメージングに
より、
同個体内での複数回の実験が可能です。
こ
れによりデータの信頼性も向上するでしょう。
また、
屠殺する動物を減らすことができます。
動
物倫理だけでなく、
経済的にも有効です。
モレキュラーイメージング関連機器の価格は
数千万円台です。
機能解析分野では、
希望が出た
としても、
この装置を購入できるのはまだまだ
先の話のようです。
しかし、
一つの手段として、
5年間のリースにすれば、
数十万円/月でレンタ
ル可能です。
有志を募り、
設置することも不可能
ではないかもしれません。
ご希望の方はご相談
ください。
約1時間の講演でしたが、
様々なアプ
リケーションが紹介され、
内容の濃いセミナー
になったと思います。
今後も脚光を浴びている
分野をできるだけご紹介します。
もしリクエス
トなどがありましたら、
いつでもお寄せくださ
い。
企画できるよう努力します。
-8-
In vivo 蛍光イメージングシステム
eXplore Optix(GE Healthcare アマ
シャムバイオサイエンス社製)
編集後記
残暑が続いています。
日本の夏はほんと
に暑くなりました。
35℃を越える暑さに
も関わらず、
また、
湿度が80%を越えるに
も関わらず、さらに、雷にも襲われなが
ら、
センターのマシーンたちはがんばっ
ています。
過酷な夏を乗り越えた機器た
ちに、よくがんばった、
と声をかけたく
なる、
、
、
秋はそんな季節です。
Fly UP