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Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group 演習問題

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Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group 演習問題
2014/7/16
演習問題 | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group
2014/7/16
19-3 実在気体と仕事 | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group
Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab.,
Adsorption Group
Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab.,
Adsorption Group
Taku Iiyama / Shinshu University
Taku Iiyama / Shinshu University
演習問題
19-3 実在気体と仕事
印刷用ファイル (内容は下と同じ。未作成)
1 mol の CO2 (g) が 300 K の温度で 2.00 dm3 の体積を占めている。この気体を一定の外圧 Pex で、最終体積が
0.750 dm3 になるように等温圧縮する場合、 Pex がとりうる最小値を求めよ。
19-3 実在気体と仕事 2013/12/17
ただし CO2 (g)はこの条件のときファン・デル・ワールス状態方程式を満足すると仮定する。さらにこの Pex を使って得
19-7 圧縮過程のw 2013/03/13
られる仕事を計算せよ。
19-17 断熱圧縮と温度 2013/06/15
19-19 定圧過程のw,q 2013/03/13
注
19-38 反応エンタルピー 2013/06/11
20-9 膨張過程のΔS 2013/07/03
ファン・デル・ワールス状態方程式
20-14 物理変化とΔS 2014/06/12
20-18 相転移とΔS 2013/03/13
20-45 熱機関の効率 2012/02/28
21-2 定圧過程とΔS 2013/01/23
... (16.5)
21-19 標準モルエントロピー 2014/01/21
21-42 化学反応とΔS 2012/02/28
22-1 相変化とΔG 2013/03/13
23-4 固体と液体の蒸気圧 2014/01/21
23-13 液相と気相の密度 2014/07/16
CO2 のファン・デル・ワールス定数 (表16.3 より)
23-20 気液共存線の傾き 2014/02/05
26-10 ΔGと圧平衡定数 2012/02/28
化学種
a / dm6 bar mol-2
a / dm6 atm mol-2
b / dm3 mol-1
二酸化炭素
3.6551
3.6073
0.042816
ページ: 1 2
‹‹ 前: 授業メモ2014(物化III) 次: 19-3 実在気体と仕事 ››
‹‹ 前: 演習問題 次: 19-7 圧縮過程のw ››
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19-3 実在気体と仕事 | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group | ページ 2
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19-3 実在気体と仕事 | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group | ページ 2
圧力が高い状態では、実在気体のふるまいは理想気体の状態方程式からずれる。
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より実在気体のふるまいをよく再現するファン・デル・ワールス状態方程式は高圧(図の左側)で理想気体の式からず
れている。一定の圧力(例えば 60 bar のあたり)をみると、赤線は青線よりも左側にずれており、理想気体の状態方
程式から期待されるよりも体積が小さい、すなわち「密」であることがわかる。
なお、70 bar 付近にはファン・デル・ワールス状態方程式が示す相転移点(凝縮圧力)での独特のふるまいが現れて
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いる。(教科書 図16.7 参照)
さて、もしこの過程が可逆過程(P = Pex)として生じるなら、2.00 dm3 → 0.750 dm3 の圧縮の仕事は下図の赤い部
分の面積を計算すればよい。
19-3 実在気体と仕事
解答
体積を変えた時の圧力について計算する。
ファン・デル・ワールス状態方程式に従う、とあるので 式(16.5) を P について解き
しかし、この問題では「一定のPexで」とあるので、不可逆過程である。
また、Pex > P でないと圧縮は起こらない。
から計算できる。これを図に示すと、下記の赤線になる。
よって、「一定」かつ「最小」の Pex での仕事は下図の赤い部分の面積となり、求める Pex は、系の体積が 0.750
dm3 のときの圧力となる。
図中には理想気体の式から計算した場合を青線で示した。
(Pex の扱い方がよくわからない場合、問題19-7 も参照してください)
体積が 0.750 dm3 のときの圧力を求めるために、
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19-7 圧縮過程のw | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group
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に数値を代入する。ただし、用いる単位系(bar, dm3 )に合わせ、定数としては
a = 3.6551 dm6 bar mol-2
b = 0.042816 dm3 mol-1
19-7 圧縮過程のw
R = 0.08314 dm3 bar K-1 mol-1
1.33 bar で2.25 L を占める理想気体を考えよう。この気体を2.00 bar 定圧で1.50 L まで等温圧縮し、引き続いて
3.75 bar の定圧で0.800 L まで等温圧縮するのに要する仕事を計算せよ(図19.4参照)。その結果と、この気体を
を用いる。
2.25 L から0.800 L まで可逆的に等温圧縮する仕事とを比較せよ。
注
1 bar (バール)は圧力の単位
1 bar = 100 kPa (だいたい 1 気圧; 1 気圧 = 101.3 kPa)
標準状態とは 1 bar の圧力のことを指す。
1 L (リットル)は体積の単位だが、非SI単位であることに注意
1 L = 1 dm 3 = 10-3 m3
dm3 のd (デシ)は 10-1 を表す接頭語だが、(dm)3 = (10-1 m)3 = 10-3 m3 となることに注意。
圧縮の際の圧力(Pex)は一定である。このときに得られる仕事は、赤い部分の面積を求めればよい。
(参照 物理量の表現と四則演算)
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(教科書ミスプリ k 抜け)
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19-7 圧縮過程のw | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group | ページ 2
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19-7 圧縮過程のw | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group | ページ 2
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19-7 圧縮過程のw
解答
不可逆過程では赤の面積を求める。
最初の「2.00 bar 定圧で1.50 L まで等温圧縮し、引き続いて3.75 bar の定圧で0.800 L まで等温圧縮」の過程は
図の赤線に相当する。この過程は系の圧力 P と外界の圧力 Pex が一致していない「不可逆過程」である。
問題に示されている圧力は外界の圧力 Pexであり、圧縮の際は Pex > P となる。
の式に従い、
(そうでないと圧縮が起きない)
次の「この気体を 2.25 L から 0.800 L まで可逆的に等温圧縮」の過程は図の青線に相当する。
この過程では Pex = P である。
実際には Pex の方が少しでも P より大きくないと圧縮は起きないが、ほんの少しだけ大きくなるように・・という極限
を考えると、
上記のような Pex = P を保つ過程を考えることができる。
このような過程を「可逆過程」という。
(ΔV は新しい体積から古い体積を引く。2 段階なので、2 つの過程での仕事を足す)
さて、この両過程での「系になされる仕事」は各 P-V グラフの面積に等しい。
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(途中、bar と L を SI単位系の Pa とm3 に換算している(単位換算))
19-7 圧縮過程のw | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group | ページ 2
上の解答の中で、最初の計算(不可逆過程)では、最初の圧力として 2.00 bar を使っているけど、可逆過程を計算す
るときは最初の圧力として1.33 bar を使っている。どうもよくわからない。
可逆過程では青の面積を求める。
仕事を計算するときは系の圧力 P ではなく、周囲の圧力 Pex を使って計算します。
問題文中の「この気体を 2.00 bar 定圧で 1.50 L まで等温圧縮し」の圧縮を開始したとき、周囲の圧力 Pex は 2.00
bar ですが、系の圧力 P は 1.33 bar となっています。
P = 1.33 bar, Pex = 2.00 bar
Pex ≠ P
です。 こういうときも、仕事は Pex を使って計算します。
可逆過程というのは、系の圧力の増加とぴったり同じになるように周囲の圧力を調整する過程です。従って絶えず
Pex = P
(ここまではおきまりのパターン。Pex = P と理想気体の状態方程式を使っている。)
となります。この場合は圧縮開始時の圧力は
P = 1.33 bar, Pex = 1.33 bar
になっています。可逆過程の場合でも仕事の計算は Pex を使うのですが、これは P と同じなのです。
なお、可逆過程の計算は 式中に現れる nRT を、問題文中に数値が出てくる P1 V1 に置き換えています。P1 V1 で
はなく P2 V2 など、(上のグラフの青線上の点なら)他の組み合わせでも結果は変わりません。
(nRT は理想気体の状態方程式から PV と等しい。後ろは( 1/V )の定積分。)
ページ: 1 2
(102 は単位換算に伴って現れる)
‹‹ 前: 19-3 実在気体と仕事 次: 19-17 断熱圧縮と温度 ››
以上のように、圧縮過程では系が仕事をされるので w > 0 となる。(系がエネルギーを得る)
不可逆過程でされる仕事は、可逆過程でされる仕事より大きい。
不可逆過程は上記のパターン以外にも無数の過程が考えられるが、圧縮の場合、Pex > P となるので、
可逆過程が系になされる最小の仕事となる。
逆に膨張過程では w < 0 となり、
Pex < P なので、
可逆過程が系がする最大の仕事となる。
質問
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19-17 断熱圧縮と温度 | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group
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19-17 断熱圧縮と温度 | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group | ページ 2
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19-17 断熱圧縮と温度
19-17 断熱圧縮と温度
ある量の N2 (g) を、298 K で 20.0 dm3 から 5.00 dm3 の体積まで可逆的に断熱圧縮する。理想気体であると仮定
解答
して、N2 (g) の最終温度を計算せよ。
※断熱過程については質問と回答の「断熱過程のP-V図がよくわからない」も参照してください。
ただし、
教科書(19.17)式~(19.19)式(p.819)の導出を、熱容量を (5/2) R とし
て行うと
とせよ。
... (19.19b)
注
が得られる。
はモル定容熱容量。
圧縮発火器
変形して
ページ: 1 2
‹‹ 前: 19-7 圧縮過程のw 次: 19-19 定圧過程のw,q ››
数値を代入すると
T2 = 519 K
ちなみに、前の問題 19.16 のように、
単原子理想気体(CV = (3/2)R)で同じ圧縮をした場合、
T2 = 751 K
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19-19 定圧過程のw,q | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group
となり、次の問題 19.18 のように、
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非直線型分子 (CV = 3R)で同じ圧縮をした場合、
T2 = 473 K
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となる。
熱容量が大きい(温まりにくく冷めにくい)分子ほど、
圧縮時の温度上昇は小さいということですね。
19-19 定圧過程のw,q
25 °C、1 atm のエタン 1 mol を定圧で 1200 °C まで加熱する。理想気体であると仮定して、w, q, ΔU, ΔH を計算
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せよ。
このときエタンのモル熱容量がこの温度領域で
‹‹ 前: 19-7 圧縮過程のw 次: 19-19 定圧過程のw,q ››
で与えられるとせよ。また、定容過程の場合についても計算せよ。
注
式中の K-1 や K-2 は温度 T の単位がケルビンであることを示している。
かっこの後ろの T にケルビンで表された温度を代入すると、無次元になる。
左辺はガス定数 R (次元はJ K-1 mol-1 )で定容熱容量を割ることで、やはり無次元になっている。
理想気体なので、 式(19.39) より
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‹‹ 前: 19-17 断熱圧縮と温度 次: 19-38 反応エンタルピー ››
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19-19 定圧過程のw,q | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group | ページ 2
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19-19 定圧過程のw,q | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group | ページ 2
上のグラフ(CP をR で割ってある)は 0 °C ですでに 4 を越えているので、分子内の振動のエネルギーが無視できな
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いことがわかる。十分温度が高くなれば、振動運動による熱容量は(Cvib ) = 18 R となり、合計の熱容量は
CP = 22 R となるはずだが、1200 °C でもそれには達していない。
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(補足2)
このように「温度によって変化する量」を表すときは、
k 0 + k 1 T + k 2 T 2 + k 3 T 3 + k 4 T 4 + ···
と温度のべき乗(温度T の多項式)で表すのが常套手段。
T の次数の高い項を加えれば加えるほど(より広い温度範囲で)正確になっていく。
19-19 定圧過程のw,q
まず ΔH については定圧過程で吸収した熱量に等しいので、上記グラフの 25 °C から 1200 °C までの面積を求め
解答
ればよい。
熱容量 C は、単原子理想気体の場合
と表されるように、温度が変わっても一定(式の中に T が含まれていない)、と近似することが多いが、この問題では
実際の系に合わせ温度に対して変化するものとして扱っている1 。
与えられた熱容量 CP をグラフ化すると、下記のようになる。
内部エネルギーの増加 ΔU は定容熱容量と温度から求められる。
(補足1)
エタン(C2 H6 )は 8 原子分子であり、運動の自由度の合計は 8 × 3 = 24。うち並進の自由度は 3、回転 3。残りが振
動の自由度となり、振動の自由度は 18。
エネルギー等分配則から、並進運動による熱容量(Ctrans) = (3/2) R、回転運動による熱容量 (Crot) = (3/2) R。
ここまでの寄与を考えると CP = CV + R = Ctrans + Crot + R = 4R となるはず。
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19-19 定圧過程のw,q | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group | ページ 2
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19-38 反応エン タルピ ー | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group
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熱力学第一法則より
19-38 反応エンタルピー
表19.2の
定圧過程の場合
を計算せよ。
(a)
以上より、加えられた熱 q (122.9 kJ)の一部が系が膨張する際の仕事 w (9.8 kJ)に使われ(系がエネルギーを失っ
(b)
ているので符号はマイナス)、残りが内部エネルギーの増加 ΔU (113.1 kJ)に使われたことがわかる。
それぞれについて、反応が吸熱的か発熱的かを述べよ。
w = -9.770 kJ mol-1
q = 122.9 kJ mol-1
注
ΔU = 113.1 kJ mol-1
ΔH = 122.9 kJ mol
のデータを用いて、次の反応の
-1
は標準生成エンタルピー、
は標準反応エンタルピー。
物質名(化学式)の後ろの(s)は固体状態を、(l)は液体状態を、(g)は気体状態を示す。
定容過程の場合
(
は物質の状態(相)が異なると、違う値になる。)
単体(上の例だと塩素 Cl2 )はふつう標準生成エンタルピーの表には載っていない。
体積が変わらないので w = 0
標準生成エンタルピーは「分子を構成する元素の単体から、その分子 1 mol を生成させる場合の標準反応エ
U や H は状態関数なので、ΔU, ΔH は過程によらず最初の状態と最後の状態だけで決まる。よって ΔU, ΔH は定
ンタルピー」と定義されているためである。
圧過程と同じ値になる。
単体(表に示されている温度で通常の物理的状態にあるもの)の標準生成エンタルピーは 0 となる。
w = 0 kJ mol-1
q = 113.1 kJ mol-1
表19.2 種々の物質の 25 °C、1 bar のときの標準モル生成エンタルピー
ΔU = 113.1 kJ mol-1
(抜粋)
ΔH = 122.9 kJ mol-1
1. 理想気体であっても、振動エネルギーまで考えると、熱容量は温度依存性を持つ。 [↩]
/ kJ mol-1
物質
化学式
エタノール
C2 H5 OH(l)
-277.69
エテン(エチレン)
C2 H4 (g)
+52.28
塩化水素
HCl(g)
-92.31
テトラクロロエタン
CCl4 (l)
-135.44
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(四塩化炭素)
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19-38 反応エン タルピ ー | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group
(四塩化炭素)
水
メタン
CCl4 (g)
-102.9
H2 O(l)
-285.83
H2 O(g)
-241.8
CH4 (g)
-74.81
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19-38 反応エンタルピー
解答
‹‹ 前: 19-19 定圧過程のw,q 次: 20-9 膨張過程のΔS ››
(標準モル生成エンタルピー)
係数に注意して、生成物の
の和から、反応物の
の和を引けばよい。
(差 Δ は 新しいもの(この場合生成物)から 古いもの(この場合反応
物) を引く)
(a)
(b)
どちらの場合も
は負の値になっている。これは系から周囲へ熱が流れている(系がエネルギーを失っている)
ことを示している。
従って、(a), (b)とも反応は発熱的。
単位は、(b)の途中の計算で示したように、係数の単位が mol なので、
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20-9 膨張過程のΔS | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group
kJ mol-1 ではなく kJ になります。
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‹‹ 前: 19-19 定圧過程のw,q 次: 20-9 膨張過程のΔS ››
20-9 膨張過程のΔS
1 mol の理想気体を等温可逆的に 1.00 bar から 0.100 bar へ膨張させた場合の ΔS を計算せよ。ΔS の符号につ
いて説明せよ。
ページ: 1 2
‹‹ 前: 19-38 反応エンタルピー 次: 20-14 物理変化とΔS ››
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20-9 膨張過程のΔS | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group | ページ 2
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符号に注意して
20-9 膨張過程のΔS
解答
系のエントロピー変化 ΔS は次の式で計算できる。
エントロピー変化は正なので、系のエントロピーは増加する。
これは系の体積が増え、分子が運動できる領域が増えて乱雑さが増したことと対応していると考えられる。
qrev は「変化が可逆的に起きたと仮定したときに系に流入する熱量」で、実際の変化が可逆的(※)でも、不可逆的で
も計算にはこの値を使う。
符号の逆転が多いので計算には注意を要します。
この問題では「等温可逆的」な変化なので、そのまま計算すればよい。
膨張だから w は負 → q は正 → 系のエントロピーは正(増加)というような見積もりをすると良いでしょう。
等温変化なのでΔU = 0、従って
※可逆的変化 について
あとで見るように、「可逆的」な変化は
ΔS (全体) = ΔS (系) + ΔS (周囲) = 0
と定義されます。
実際の変化では、
可逆的膨張、可逆的圧縮では系の圧力 P と周囲の圧力 Pexが絶えず等しいような変化(P = Pex)、
wrev は
温度変化では系の温度 T と周囲の温度 Texが絶えず等しいような変化(T = Tex)が可逆過程になります。
ページ: 1 2
対数の中の体積比 V2 / V1 は、
理想気体なので P1 V1 = P2 V2 (PV = 一定)の関係を使って圧力の比に置き換えられる。
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20-14 物理変化とΔS | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group
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20-14 物理変化とΔS
20-14 物理変化とΔS
解答
が温度に依存しないとして、1 mol の理想気体を T1 、V1 から T2 、V2 に変化させると
状態関数である S の変化は経路によらないので、初めの状態と最後の状態を再現する適当な可逆過程の組み合
わせを仮定して計算してよい。
1 mol の理想気体を T1 、V1 から T2 、V2 へと変化させるのであれば
[過程1] T1 、V1 からT2 、V1 への定容可逆変化
であることを示せ。
3
3
また 1 mol のN2 (g)を 273 K、20.0 dm から 400 K、300 dm に膨張させた場合の
[過程2] T2 、V1 からT2 、V2 への等温可逆変化
を計算せよ。
とせよ。
の2つの連続する過程を考えればよい。
注
の基本式を使い、各過程のエントロピー変化を考える。
[過程1] T1、V1 からT2、V1 への定容可逆変化
(定容熱容量) と
(定圧熱容量)の違いに注意。
なので
理想気体の場合
となる。式(19.39)
ページ: 1 2
[1 mol あたり]を意味するバーを S と CV につけて
‹‹ 前: 20-9 膨張過程のΔS 次: 20-18 相転移とΔS ››
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20-14 物理変化とΔS | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group | ページ 2
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[過程2] T2、V1 からT2、V2 への等温可逆変化
上の式に数値を代入する。
等温変化なのでΔU = 0、従って
その前に CV (定容熱容量)は
wrev は
より、
である。
式中にT を含んでいるが、温度一定であるから、
の式に従って単純にT で割ればよい。
1 mol であるからn = 1、S にバーをつける。
ページ: 1 2
過程1, 2 のエントロピー変化を足して
‹‹ 前: 20-9 膨張過程のΔS 次: 20-18 相転移とΔS ››
(導出終了)
計算
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20-18 相転移とΔS
20-18 相転移とΔS
通常沸点(Tvap , 1 atm における沸点)における物質の気化は、Tvap 以下に無限小だけ冷却するとすべての蒸気が
解答
凝縮して液体となるし、逆に Tvap 以上に無限小だけ加熱するとすべての液体が気化するので、可逆過程とみなすこ
とができる。
沸点における物質の気化は可逆過程なので、式(20.3)
2 mol の水が 100.0 °C で気化する場合のエントロピー変化を計算せよ。
の値は 40.65 kJ mol-1 である。
の符号についてコメントせよ。
ページ: 1 2
... (20.3)
をそのまま使うことができます。
単位付きで代入すると
‹‹ 前: 20-14 物理変化とΔS 次: 20-45 熱機関の効率 ››
Δvap S の符号は正なので、液体→気体の変化はエントロピーが増大しており、これは気体の方が液体よりも乱雑さ
が大きいことを示しています。
標準データでやってみる
以下余談ですが、教科書の巻末などにある熱力学的データの表には、液体、気体の水のデータが下記のように記載
されています。
(ムーア 基礎物理化学(上)より)
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周囲のエントロピー変化は熱の出入りから計算します。周囲から系(水)へ 44.01 kJ の熱が流れるので、周囲のエン
種々の物質の標準状態(298.15 K)での熱力学的データ
トロピー変化は (-44.01 kJ) / (298.15 K) = -147.61 J K-1 (減少)となります。
物質
/ kJ mol-1
/ J K-1 mol-1
/ kJ mol-1
/ J K-1 mol-1
H2 O(l)
-285.84
69.44
-237.04
75.3
H2 O(g)
-241.83
188.72
-228.59
33.6
テーブルに書かれている S から求めたΔS は「系のエントロピー変化」、
テーブルに書かれている ΔH から ΔH/T として求めた ΔS は「周囲のエントロピー変化」、
と考えるとわかりやすいかもしれませんね。(可逆過程(沸点)なら、両者は一致。)
この表の値を用いると、298.15 K における水の気化(液体→気体)の相転移に伴うΔH、ΔS を求めることができます。
ページ: 1 2
ΔH = ΔfH(g) – ΔfH(l) = (-241.83) – (-285.84) kJ mol-1 = 44.01 kJ mol-1
(符号が正なので、吸熱)
ΔS = S(g) – S(l) = (188.72) – (69.44) J K-1 mol-1 = 119.28 J K-1 mol-1
(符号が正なので、エントロピー増大)
‹‹ 前: 20-14 物理変化とΔS 次: 20-45 熱機関の効率 ››
さて、この ΔH の値から、ΔS = q / T の式によりエントロピー変化を算出してみると、
となり、上のΔS (=119.28 J K-1 mol-1 ) と一致しません。
これはどういうことでしょうか。
式(20.3) のq には rev という添え字がついています。これは「可逆過程での熱」を意味しています。テーブルの値は
25 °C での数値であり、この温度での水の気化は可逆過程ではないのです。
上の 2 値の食い違いは次のように理解できます。
100 kPa(標準状態)、25 °C における 1 mol の水の気化では
水のエントロピー変化 ΔS (水)= 119.28 J K-1
周囲のエントロピー変化* ΔS (周囲) = -147.61 J K-1
よって全体のエントロピー変化は ΔS (全体) = (119.28)+(-147.61) = -28.33 J K-1
エントロピーは減少しているので、逆方向の変化(気体→液体)が自発的に生じる。
*周囲のエントロピー変化について
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20-45 熱機関の効率
20-45 熱機関の効率
圧力 25 atmにおける水の沸点は 223 °C である。20 °C と水の沸点の間で動作している蒸気機関の効率を、1 atm
解答
と 25 atmの場合で比較せよ。
熱機関とは、[熱]が[温度の高い物質]から[温度の低い物質]へと自発的に流れる現象を利用し、その一部を仕事とし
ページ: 1 2
て取り出す装置の総称です。
熱機関の最大効率 η (熱機関がする仕事を、熱機関が高温源で受け取った熱で割った割合)は、動作する 2 つの温
度だけで決まります。
‹‹ 前: 20-18 相転移とΔS 次: 21-2 定圧過程とΔS ››
... (20.34)
温度がK 単位であることに注意して、温度を代入していきます。
25 atmの場合
η = (496.15 – 293.15)/496.15 = 0.409
1 atmの場合
η = (373.15 – 293.15)/373.15 = 0.214
というわけで、効率は一般に温度差が大きいほど大きくなります。
式中の温度の単位は K です。
°C 単位の温度をそのまま代入すると、効率は全く異なった値になってしまいます。注意。
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21-2 定圧過程とΔS
21-2 定圧過程とΔS
H2 O(l) のモル熱容量は 0 °C から 100 °C でほぼ一定の値、
= 75.4 J K-1 mol-1 をもつ。2 mol の H2 O(l) を定
解答
圧で 10 °C から 90 °C まで加熱した場合の ΔS を計算せよ。
定圧変化では q = CP dT、 また ΔS = qrev / T であるので
ページ: 1 2
... (21.9)
‹‹ 前: 20-45 熱機関の効率 次: 21-19 標準モルエントロピー ››
代入して
この計算は対数が出てくるのでややこしく感じますが、下記のようにCP / T を温度で積分していることに相当します。
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21-19 標準モルエン トロ ピ ー | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group
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21-19 標準モルエントロピー
次のデータを用いて、 0 K から 1000 K におけるシクロプロパンの標準モルエントロピーを温度に対してプロットせ
ページ: 1 2
よ。
固体
‹‹ 前: 20-45 熱機関の効率 次: 21-19 標準モルエントロピー ››
液体
気体
Tfus = 145.5 K, Tvap = 240.3 K, ΔfusH = 5.44 kJ mol-1 , Δvap H = 20.05 kJ mol-1 , ΘD = 130 K, 非理想性の補正
0.54 J K-1 mol-1
解答ではエクセルを使用しています。
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‹‹ 前: 21-2 定圧過程とΔS 次: 21-42 化学反応とΔS ››
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21-19 標準モルエントロピー
まず数式を元に熱容量をプロットする。
エクセルで計算した CP
熱容量は T の多項式で表されている。(式の中に単位?→19-19 参照)
計算式の切り替わる温度 (15 K など)は行を2つ使って、前の計算式と後ろの計算式
(145.5 K なら固体の式と液体の式)の両方を計算している。
... (1)
図示すると
エクセルの一番左の行に T を 0 ~ 1000 K まで 1 K 刻みで用意し、
上式の a, b, c, d を入力すれば CP が表示されるようにしてみよう。
0~15 K はデバイの T3 則を使う。(教科書p.900)
シクロプロパンのCP
等圧熱容量 CP はおおむね温度とともに増加していることがわかる。(振動エネルギーの影響→18-20参照)
液体領域は相転移前後の固体や気体に比べ、熱容量が大きい。
エントロピーの変化は CP を T で割って積分すれば求められる。
(1)式を使えば
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... (2)
(2)式の T1 にはその式が有効な温度範囲の最初の温度(例えば15 K ~ 145.5 K なら 15 K) を、
T2 には S を求めたい温度(エクセルの一番左の列の温度) を用いる。
(2)式は定積分なので、T1 からの ΔS になっている。0 K からの S の絶対値を求めたいので、
前の式で計算した最後の温度 (例えば 15 K) での S を加える。
この操作は計算式の温度範囲が切り替わるたびに行う。
145.5 K では 固体→液体 の相転移が起こるので、相転移に伴う エントロピー変化分も加える。
240.3 K でも同様の操作を行う。
得られた S を図示すると次のようになる。
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21-42 化学反応とΔS | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group
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21-42 化学反応とΔS
シクロプロパンの S
ΔrS° の値が大きい方から順に、下の反応を並べよ。
上記の昇温操作は全て 1 bar で行われているので、上図がシクロプロパンの標準モルエントロピーとなる。
テーブルなどに与えられている 25°C の標準モルエントロピーは 上図青線の 298.15 K の値 237.2 J K-1 mol-1 で
(a) S(s) + O2 (g) → SO2 (g)
ある。(非理想性の補正 0.54 J K-1 mol-1 を加えるとより正確になる。)
(b) H2 (g) + O2 (g) → H2 O2 (l)
(c) CO(g) + 3H2 (g) → CH4 (g) + H2 O(l)
相転移温度で不連続に S が増加している所に注意してほしい。これは相転移に伴う熱の吸収によるもので、ジャン
(d) C(s) + H2 O(g) → CO(g) + H2 (g)
プ幅は 融解時より蒸発時の方が大きい。
(グラフでは、ここを垂直な縦線でつないでも良い。)
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下記にエクセルファイルを置くが、これは参考として、
ぜひ自力でグラフを描画できるよう挑戦してもらいたい。
21-19.xlsx
‹‹ 前: 21-19 標準モルエントロピー 次: 22-1 相変化とΔG ››
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‹‹ 前: 21-2 定圧過程とΔS 次: 21-42 化学反応とΔS ››
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= 10 J K-1
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(b) S° (H2 O2 (l)) – (S° (H2 (g)) + S° (O2 (g)))
= (110) – (131 + 205)
= -226 J K-1
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(c) (S° (CH4 (g)) + S° (H2 O(l))) – (S° (CO(g)) + 3 S° (H2 (g)))
= (186 + 70) – (198 + 3 · 131)
= -335 J K-1
21-42 化学反応とΔS
(d) (S° (CO(g)) + S° (H2 (g))) – (S° (C(s, グラファイト)) + S° (H2 O(g)))
= (198 + 131) – (6 + 189)
解答
= 134 J K-1
0 K での(完全結晶の)エントロピーは 0 である、という熱力学第 3 法則を使うと、それを基準として、それぞれの物質
というわけで、予測の通りの順序でした。
のモルエントロピー S を定めることができます。(相対値ではないので Δ はつかないことに注意)
(c) のように、Σ の計算の際には係数をかける必要があることに注意すること。
モルエントロピーS は圧力と温度に依存します。圧力を標準状態(100 kPa)とした S は標準モルエントロピーと呼ば
れ、添え字 ° をつけて S° とあらわされます。
標準モルエントロピーの比較については 21.7 節に詳しい説明があります。
化学反応におけるエントロピー変化 ΔrS° は、反応物と生成物のS° の差から求められます。
ページ: 1 2
ΔrS° =
Σ(生成物のS° ) - Σ(反応物のS° )
テーブルなどから上記の反応式に含まれる物質の S° を調べ、計算すれば ΔrS° を得ることができますが、気体分子
の S° は液体や固体状態に比べかなり大きいので、気体分子の増減でΔrS° の大小を推定することができます。
‹‹ 前: 21-19 標準モルエントロピー 次: 22-1 相変化とΔG ››
(a) 反応式中に、気体分子は生成物に1 mol、 反応物に1 mol 存在している。→変化なし
(b) 気体分子 2 mol 減
(c) 気体分子 3 mol 減
(d) 気体分子 1 mol 増
よって ΔrS° は (d) > (a) > (b) > (c) であることが推定できます。((b), (c) では符号が負)
補足(実際に計算してみる)
(めんどうだが)テーブルの値を使って正確な値を計算してみます。
(テーブルの値はアトキンス物理化学要論より, 298.15 K)
(a) S° (SO2 (g)) – (S° (S(s, 単斜)) + S° (O2 (g)))
= (248) – (33 + 205)
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22-1 相変化とΔG
22-1 相変化とΔG
ベンゼンの通常沸点(80.09 °C)におけるモル蒸発エンタルピーは 30.72 kJ mol-1 である。
80.09 °C での値のままと仮定して、75.0 °C, 80.09 °C, 85.0 °C での
と
解答
が
を計算せよ。
その結果を物理的に説明せよ。
... (22.12)
ページ: 1 2
式(22.12) より
‹‹ 前: 21-42 化学反応とΔS 次: 23-4 固体と液体の蒸気圧 ››
液体→気体の相転移中は T = 一定なので
ΔS は次の式で求めることができる。
ここで qrev は可逆過程における熱の流入量であり、沸点における液体→気体の相転移は可逆過程であり、
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の式を使い、T だけを変えればよい。
なので沸点(80.09 °C)におけるモルエントロピー変化は
であり、この過程(液体→気体)は自発過程ではない(逆反応の 気体→液体 が自発過程)ことを示してい
る。
となる。数値を算出しておくと
これは沸点以下では液相が気相より安定であることと対応している。
85.0 °C の場合
同様に、
である。
沸点(80.09°C)の場合
式から明らかなように
であり、この過程(液体→気体)は自発過程であることを示している。
これは沸点以上では気相が液相より安定であることと対応している。
ページ: 1 2
ギブズエネルギーの変化は 0 である。
これは、沸点では液体→気体の変化は可逆過程であり、その逆反応(気体→液体の変化)と同じ速度で生じ、平衡
状態となることを示している。
‹‹ 前: 21-42 化学反応とΔS 次: 23-4 固体と液体の蒸気圧 ››
75.0 °C の場合
「
と
が80.09 °C での値のままと仮定」とあるので、
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23-4 固体と液体の蒸気圧 | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group
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23-4 固体と液体の蒸気圧
23-4 固体と液体の蒸気圧
固体と液体の塩素の蒸気圧は、
解答
三重点では固体と気体の蒸気圧は等しいので、
で与えられる。ただし T は絶対温度である。塩素の三重点の温度と圧力を計算せよ。
として
(中身が等しければ、その対数も等しいので、上式のように右辺どうしを等しいと置ける。)
を解いて
注
数式中に単位が入っていることに違和感を感じる場合は 問題18-20 を参照。
ページ: 1 2
これが三重点の温度である。これをいずれかの式に代入すれば三重点の圧力も求まる。
‹‹ 前: 22-1 相変化とΔG 次: 23-13 液相と気相の密度 ››
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T を横軸として
23-4 固体と液体の蒸気圧 | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group | ページ 2
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23-13 液相と気相の密度 | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group
をプロットしてみよう。
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これは相図の固気共存線、気液共存線(飽和蒸気圧曲線)を描いていることに相当する。
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23-13 液相と気相の密度
メタノールの三重点から臨界点までの間で共存する液相と気相の密度は実験式、
2 つの曲線の交点が三重点である。(相図であれば、ここからほぼ垂直上方に固液の共存線が伸びていく。)
気相と共存するのは、三重点以下の温度では固体(青線)、
三重点以上の温度では液体(赤線)となるので、相図に現れるのは上のグラフの太線の方だけになる。
(過冷却状態の液体の飽和蒸気圧は、上の赤い細線のように、液体の飽和蒸気圧曲線の延長線上になることが知ら
れている。)
なお、教科書 p.984 で論じられているように、3重点近傍では
および
固体の蒸気圧曲線(太い青線)の方が液体の蒸気圧曲線(太い赤線)よりも勾配が大きくなる。
ページ: 1 2
でよく表される。ここで ρc = 8.40 mol L-1 , x = T / Tc である (ただし Tc = 512.60 K )。
‹‹ 前: 22-1 相変化とΔG 次: 23-13 液相と気相の密度 ››
この式を用いて、図23.7 のように温度に対して ρl と ρg をプロットせよ。T に対して (ρl + ρg ) / 2 もプロットせよ。
この線が T = Tc で ρl 曲線と ρg 曲線とに交わることを示せ。
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‹‹ 前: 23-4 固体と液体の蒸気圧 次: 23-20 気液共存線の傾き ››
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23-13 液相と気相の密度 | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group | ページ 2
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23-13 液相と気相の密度 | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group | ページ 2
両者は臨界温度 512.6 K に向かって急速に変化し、とうとう同じ密度となります。
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臨界温度では気体と液体の見分けはつかなくなります。1
グレーの線は両者の平均です。臨界温度で赤線、青線と交わっています。
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以下余談ですが、縦軸、密度(mol L-1 ; 1 L あたりの mol 数) の逆数を取ると
モル体積
(L mol -1 ; 1 mol あたりの体積(L)) になります。
これについてもプロットしてみましょう。
23-13 液相と気相の密度
ずいぶん複雑な数式ですが、両数式をそれぞれ ρl =、 ρg = の形に書き直し、気合でエクセル等でグラフにします。
(エクセルで数式をグラフ化する方法は問題16-33を参照。ここではMathematicaというソフトで作図しています。)
メタノールの共存する液相と気相のモル体積
おっと、低温では気液が共存する圧力が低いので、気体の体積(赤)がすごく大きくなり、図からはみ出してしまいま
す。また液体の体積(青)は温度上昇に伴ってすこしづつ大きくなっているのですが、値が小さいためにグラフ上では
ほとんど 0 になってしまっています。
縦軸を対数としてみます。
メタノールの共存する液相と気相の密度
青線が液体の密度、赤線が気体の密度です。
ここで示されているのは共存する(それぞれの温度の沸騰圧力における)液相と気相の密度であることに注意してく
ださい。
相図でいうと、気液共存線(蒸気圧曲線)に沿った液相と気相です。
液体の密度は、室温では気体よりかなり高いですが、温度とともに下がっています。
温度とともに熱膨張によって体積が大きくなり、密度が下がると考えてよいでしょう。
気体の密度は室温ではかなり小さいですが、温度とともに上昇します。
温度が上がると気体は膨張し、密度は下がるはずですが、
それ以上に共存線の圧力が上がり、圧縮されるためです。
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23-20 気液共存線の傾き
水の通常沸点 373.15 K における dT / dP を求めよ。モル蒸発エンタルピーを 40.65 kJ mol-1 、液体と蒸気の密度
をそれぞれ 0.9584 g mL-1 および 0.6010 g L-1 とする。
メタノールの共存する気相と液相のモル体積(対数表示)
2 atm における水の沸点を求めよ。
温度の上昇につれ、液体のモル体積は熱膨張によって次第に増大し、
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気体のモル体積は圧力の増加によって次第に減少し、
臨界点で同じ値になります。
密度よりこちらの方がわかりやすいかもしれませんね。
1. 余談ですが、臨界点ではグラフの傾きが「垂直」になっているところは注目に値します。液体は温度とともに膨張しますが、臨界温
度の瞬間は熱膨張率(上図の傾きに対応)は無限大になっているのです。無限大とはただ事ではありません。このような臨界点
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近傍の物質の振る舞いについては多くの興味が持たれ、研究が行われています。 [↩]
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23-20 気液共存線の傾き
解答
(22.4 L よりかなり大きいのは、100 °C での値だから)
沸点の dP / dT であれば相図(通常横軸 T, 縦軸 P である)中の気液共存線の沸点における傾きです。
これはクラペイロンの式で求められます。
これを先の式に代入します。
... (23.10)
問題にある dT / dP はこれの逆数です。
途中、SI単位系への換算には注意が必要です。(k → 103 , L → 10-3 m3 )
(※上の2式は状況によって使い分けますが、分子と分母を取り違えると大きな間違いになります。温度 T が右辺左
単位は dT / dP に対応して、K Pa-1 となります。
辺共に同じ側(式(23.10)なら、どちらも分母に T が含まれている) と覚えておくとよいでしょう。)
密度の値から
(= 相転移に伴う体積変化)を求めます。
モル蒸発エンタルピーの符号は液体→気体の変化になっているので、
もこれに合わせます。
密度(g L-1 )の逆数が 1 g あたりの体積(L g-1 )になります。また、g あたり を mol あたりに変換します。
圧力の単位を Pa から atm に換算すると (1 atm = 1.013 ·105 Pa) ※単位換算については16-1 も参照
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... (23.12)
またはそれを定積分した
2 atm まで
や
が変わらないとすると
(1 atm あたり 27.9 °C 沸点が上昇するので)
... (23.13)
2 atm での沸点は 127.9 °C
を使うとよいでしょう。
松本での沸点は?
式(23.13)を用いると松本での沸点は 97.88 °C となります。
以下余談です。
松本の標高は 592 m (市役所)で、平均気圧は大気圧方程式
1. 温度によって
も変わりますが、ΔV の効果の方が大きいです。 [↩]
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を用いて 940 hPa と算出できます。
1013 hPa との差を算出すると -73 hPa。
K Pa-1 単位の(dT / dP )を使うと
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となり、松本における水の沸点は 98 °C (98.00 °C)と算出できます。
実際には相図中の気液共存線は直線ではなく、かなり大きく曲がっています。
これは気体の体積が圧力、温度で大きく変わってしまうために、式(23.10)のΔV が一定値とみなせないためです1 。
正確を期すなら、これを加味したクラウジウス-クラペイロン式
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26-10 ΔGと圧平衡定数 | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group
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26-10 ΔGと圧平衡定数
26-10 ΔGと圧平衡定数
表26.1 のデータを用い、以下の反応について 25 °C における ΔrG° と KP(T) を計算せよ。
解答
(a)
ΔrG° は標準モル生成ギブズエネルギーから次のように計算されます。
(b)
ΔrG° =
(c)
Σ(生成物の ΔfG° ) – Σ(反応物の ΔfG° )
圧平衡定数 KP は ΔrG° から次のように計算できます。
注
表26.1
... (26.11)
298.15 K, 1 bar における種々の物質のモル標準生成ギブズエネルギー ΔfG° (抜粋)
物質
化学式
Δ fG° / kJ mol-1
アンモニア
NH3 (g)
-16.367
二酸化窒素
NO2 (g)
51.258
四酸化二窒素
N2 O4 (g)
97.787
ヨウ化水素
HI(g)
1.560
ヨウ素
I2 (g)
19.325
(a)
ΔrG° の計算のところでは係数の 2 をお忘れなく。
(b)
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H2 (g)は「最も安定な単体」なのでΔfG° は0。
ヨウ素はこの温度では固体が最も安定なので、I2 (g)は単体だが ΔfG° は 0 ではありません。
(c)
(教科書ミスプリ (c)の KP が合わない。原著でのアンモニアの ΔfG° の転記ミス。)
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