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幼児期から小学校への接続期におけるカリキュラムの具体 -「言葉と表現」

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幼児期から小学校への接続期におけるカリキュラムの具体 -「言葉と表現」
幼児期から小学校への接続期における
カリキュラムの具体
-「言葉と表現」の観点からカリキュラムをつなぐ―
生駒市立生駒台幼稚園
教諭
村
田
健
治
Murata Kenji
要
旨
これまでの幼稚園と小学校との交流活動や教員間の研修の実践及び実態調査の結
果から、幼児期の終わりから小学校第1学年の接続期における課題として「言語と
表現」という観点に着目した。その観点から、幼稚園と小学校の教員の連携の在り
方について考察を加え、接続期における具体的なカリキュラムを作成した。
キーワード:
幼小接続、幼小交流、幼児期から小学校への接続期実態調査、言葉
と表現、カリキュラム
1
はじめに
新しい幼稚園教育要領、保育所保育指針並びに小学校学習指導要領には、子どもの発達や学
びの連続性を保障するため、幼児期の教育と児童期の教育が円滑に接続し、体系的な教育が組
織的に行われることの重要性が説かれ、幼小接続に関しては相互に留意することが示されてい
る。
平成21年11月に文部科学省が実施した「幼稚園教育と小学校教育の円滑な接続に関するアン
ケート調査」によると、ほとんどの地方公共団体が幼小接続の重要性は認識している(都道府
県100%、市町村99%)ものの、その取組は十分実施されているとはいえない状況が明らかに
なっている(都道府県77%、市町村80%が未実施)。その理由としては「接続関係を具体的に
することが難しい(52%)」、
「幼小の教育の違いについて十分理解・意識していない(34%)」、
「接続した教育課程の編成に積極的ではない(23%)」等が挙げられ、「幼稚園と小学校が教
育課程の編成について連携している」とする幼稚園は34%にとどまっている(「平成22年度幼
児教育実態調査」文部科学省)状況にある。
そこで、本研究では、幼稚園における接続期の具体的な課題を考察するとともに、幼稚園の
遊びと小学校の学習を効果的につなぐカリキュラムの在り方について考えていきたい。
2
研究目的
小学校第1学年の現状と幼稚園における接続期の課題を捉えなおし、その課題を踏まえ活動
の具体的な接続性を明らかにした接続期のカリキュラムを作成することで、幼児期から児童期
にかけての教育のつながりを理解するための道筋を明らかにする。
3
研究方法
- 1 -
・幼稚園内での研究協議、小学校との研究交流、幼稚園・保育所・小学校の教員及び保育士を
対象としたアンケートの実施(7月)を通じて、実態と課題を把握する。
・課題となるテーマに沿って学年ごとに目指すべき幼児像を設定し、3歳児から5歳児までの
指導計画を見直し、活動のつながりについて幼稚園の教員間で共通理解を図る。
・課題となるテーマに基づいて、5歳児と小学校第1学年の接続期の在り方を探り、カリキュ
ラムを編成する。幼稚園の遊びが小学校以降の学びにどのように接続されているか活動を洗
い出し、体系化を図る。
・幼児の実態に応じて接続を意識した保育活動を展開(6月から10月)することで、効果的な
援助の在り方や教育環境の構成について考察する。
4
研究内容
(1)
幼稚園の幼小連携・接続状況
幼小接続を図り、接続期カリキュラムを編成していく上で第一歩となるのが、幼稚園と小
学校との連携・交流である。
「幼児期の教育と小学校教育の円滑な接続の在り方について(報
告)」(幼児期の教育と小学校教育の円滑な接続の在り方に関する調査研究協力者会議、平
成22年)によると、幼小の連携から接続への発展過程の目安が五つのステップで示されてい
る。
表1
幼小連携の進捗状況ステージ
ステップ0
ステップ1
ステップ2
連携の予定・計画がまだ無い。
連携・接続に着手したいが、まだ検討中である。
年数回の授業、行事、研究会などの交流があるが、接続を見通した教育課程
の編成・実施は行われていない。
ステップ3 授業、行事、研究会などの交流が充実し、接続を見通した教育課程の編成・
実施が行われている。
ステップ4 接続を見通して編成・実施された教育課程について、実践結果を踏まえ、更
によりよいものとなるよう検討が行われている。
まず、本園がどのステップにあるのか、何が求められるのかを確認する。
本園は、生駒台小学校に隣接し、かねてより行事では、焼き芋パーティー、授業では生活
科交流、ふれあい給食など、幼小間の交流活動が計画的に行われている。この交流活動を通
じて、子どもたちは小学校へ進学することへの期待感を高め、小学生は年下の子どもたちと
関わる機会をもつことで、責任感や使命感を味わう機会となっている。しかし、接続を見通
した教育課程の編成・実施は行われていない。
このような実態から、表1の「幼小連携の進捗状況ステージ」によると本園はステップ2
であることが分かる。次のステージに進むためには、恒常的な授業、行事、研究会などの交
流を発展させ、連携の実践を踏まえ、接続を見通した教育課程の編成・実施が必要になって
くる。
(2)
接続期をどのように捉えるか
本園の交流活動や接続状況について再確認することができたが、本論文の主題となる幼稚
園と小学校の「接続期」とされる時期を、どのように捉えるのかを明確にしたい。
まず、接続期の始点となる時期はいつになるのだろうか。生駒台幼稚園では2学期以降、
前述したように、小学校との交流活動を定期的に行っている。さらに、子どもはこの時期、
運動会や作品展など協同的な遊びや活動を多く経験し、個人としての成長から、友達と考え
- 2 -
を言葉で伝え合ったり相手の話に耳を傾けたりすることができるようになり、集団としての
成熟が見られる時期になる。つまり、友達と活動を通じて互いに「学び合う」ことが可能に
なってくる。これは小学校以降の学習活動へとつながる接続期の始点と捉えることができる
のではないかと考えた。
一方、接続期の終点としては、いわゆる「小1プロブレム」と呼ばれる入学初期の問題行
動が4月から5月末の間に顕著に現れるということを踏まえると、小学校入学初期の4月か
ら5月末頃までが、小学校での学習環境に慣れていく時期だということが考えられる。
このような観点から、幼稚園から小学校への接続期を5歳児2学期から小学校入学後の5
月末までと捉えることにした。
(3)
幼稚園における接続期の課題を捉える
滑らかな接続に向けて本園でどのような課題があるのか、子どもの実態、幼稚園の教育内
容、小学校との連携状況などについて園内検討会をもち、話し合った。その中で、卒園児の
現在の状況について実態を把握することが幼稚園の課題を認識することであると考え、幼稚
園と小学校の教員で研修会をもつことにした。
その研修会の場で議論する中で、課題の一つとして「大勢の前で元気よく話すことができ
ない」「集中できる時間が短い」などといった第1学年の実態が明らかになってきた。入学
当初の児童においてそれぞれの生活経験が異なることを考慮しても、クラスで前に出て自分
の気持ちを伝える、話すことに抵抗がある子どもや、話すことができない子どもの姿が多い
という点が話題に上った。
また今年度、奈良県立教育研究所が、奈良県の保育所・幼稚園・小学校の各機関に対して
行った「幼児期から小学校への接続期実態調査」のアンケートから、保育士、幼稚園教員、
小学校教員間で、子どもの現状や実態をどのように捉えているのかが明らかになった。「以
前に比べ子どもが変化した
自分の考えを相手にはっきり伝えることができる子どもが増えた
と思いますか」という設問
に対して、図1の「自分考
0.6%
20.8%
小学校
えを相手にはっきり伝える
ことができる子どもが増え
た」の項目に関して、保育
2.1%
幼稚園
3.6%
保育所
所では42.8%、幼稚園では
「そう思う」としたのに対し、
20%
30%
40%
50%
考えを相手に伝えることができるか
他の子とうまくコミュニケーションがとれなくなってきた
てもそう思う」
「そう思う」
と答えていないことが分か
10%
図1
小学校では21.4%しか「と
そう思う
39.2%
0%
34.3%が「とてもそう思う」
とてもそう思う
32.2%
10.7%
小学校
46.1%
った。また、図2の「他の
子とうまくコミュニケーシ
ョンがとれなくなってき
幼稚園 4.9%
とてもそう思う
33.9%
そう思う
保育所 6.0%
21.6%
た」という項目に関しては、
保育所では27.6%、幼稚園
では38.8%が、「とてもそう
0%
10%
図2
20%
30%
40%
50%
60%
他の子とのコミュニケーション
- 3 -
思う」「そう思う」と回答しているのに対し、小学校では56.8%が「とてもそう思う」「そ
う思う」と答えている。
この点については、保育所、幼稚園による幼児理解と、小学校における児童理解の観点の
違いということを踏まえても、保育所・幼稚園と小学校とでは、言語の獲得や人との関わり
の認識にずれがあるとうかがえる数値といえる。より一層の保育所、幼稚園、小学校間での
連携や、相互交流・理解の必要性を感じさせる結果となっている。
最後に、図3の「小学校就学までに、幼稚園・保育所で身に付けさせたい(身に付けさせ
てほしい)こと」という設
自分の考えや様子を自分なりのことばで話すこと
問 に 関し て は、「 自分 の考
えや様子を自分なりのこと
28.0%
小学校
ばで話すこと」という項目
について、幼稚園担任の59.
7%、保育所担任の52.8%
59.7%
幼稚園
52.8%
保育所
が重要だと捉えているのに
対し、小学校担任の28.0%
が重要だ捉えている。
0%
10%
図3
20%
30%
40%
50%
60%
70%
就学までに身に付けさせたいこと
図1、2のアンケート結果では、小学校も保育所、幼稚園と同じように、「言葉で相手に
思いを伝えることができにくい」実態があるにも関わらず、図3では、小学校担任が「自分
の考えや様子を自分なりのことばで話すこと」を小学校就学までに身に付けさせてほしいと
思っているのは3割にも満たないことが分かる。保育所、幼稚園においては、こういった言
葉や関わりの育ちを目指して様々な活動が行われていることを、小学校に対して啓発し相互
に子ども理解や指導の在り方を協議していく必要性があるといえる。
そこで、本研究のテーマである幼児期と小学校教育を接続するカリキュラムの観点として、
「言葉と表現」を考えた。
(4)
「言葉と表現」の観点からみる教育課程の見直し
まず、スムーズな接続を実現していくために、幼稚園と小学校の教育課程のつながりを、
課題として見えてきた「言葉と表現」の観点から見直していく必要があると考えた。
「幼小接続」というキーワードは、5歳児と小学校第1学年のみをつないでいくことだと
思われがちだが、5歳児の発達段階の背景には、3歳児、4歳児の学びや育ちがあることか
ら、3歳児から5歳児へのつながりを踏まえた上で、それぞれの時期に応じた様々な活動や
体験を通じて言葉に対する感覚や言葉で表現する力を培い、小学校へと接続されるべきだと
考えた。
そこで、「言葉と表現」という本園の課題をテーマとし、3歳児から5歳児にかけて、そ
れぞれの学年の終わりにあるべき幼児像を設定し、その姿に向けたねらいと内容を導き出す
とともに、小学校第1学年の学級担任との協議から入学初期の活動目標と合わせて、体系化
を試みた。そして「言葉と表現に焦点を当てたねらいと内容の道筋」として図4のような形
にまとめていった。図4を作成していく中で、3歳児から小学校第1学年までの一貫した「言
葉と表現」に関するねらいと内容のつながりが明確になったと考えられる。
- 4 -
…ねらいや達成したい内容
…目指す幼児像
…小学校入学初期の活動目標
1年生
○鉛筆を正しく持ち、平仮名を覚えて、教科書や本に親しもうとする。
○名前を呼ばれたら返事ができ、人の話を聞くことができる。
○自己紹介ができる(クラスで)
。
○楽しく歌い、リズム遊びができる。
○職員室、保健室、校長室、他の教室などへの出入りの仕方が分かり、相手に用事を伝える
ことができる。
○「ありがとう」「ごめんなさい」を素直に言うことができる。
○挨拶や返事ができる。
○友達と仲良く過ごすことができる。
○1日の流れが分かり、手際よく着替えたり、学習の準備ができたりする。
○困ったときに自分で教員や友達に伝えることができる。
○安全に登下校ができる。
5歳児
◎互いの思いを気軽に言葉で伝え合いながら、遊びを進めていくことができる。
◎みんなの前で自信をもって自分の思いや考えを話すことができる。
3学期:○友達と互いに考えやイメージを出し合いながら、協力して遊びを進めていく充実
感を味わう
○教員や友達の話を落ち着いて聞き、話の内容を正しく理解しようとする。
2学期:○互いに相談したりルールを考え合ったりするなど、互いに意見を出し合って遊ぶ
楽しさを味わう。
1学期:○自分の思いを言葉で伝えたり、相手の考えを聞いたりして遊ぶ楽しさを味わう。
4歳児
◎自分の思いを教員や友達に言葉で伝えたり、素直に表現したりする。
◎相手の話を注意して聞き、理解しようとする。また、適切な応答ができる。
3学期:○遊びの中で自分の思いを言葉で伝えようとしたり、相手の話を聞いて理解しようと
したりする。
2学期:○見たり聞いたりしたことを素直に表し、相手に分かるように話そうとする。
1学期:○自分の思いや感じたことなどを教員や友達に言葉で伝えようとする。
3歳児
みんなの前で自分
の感じたことや思
ったことを言葉で
伝える(5歳児)
。
友達と自分の思い
を言葉で出し合い
ながら遊びを楽し
む(4歳児)
。
◎感じたことや思ったことを、教員や友達に話す。
◎集団生活に必要な言葉を知り、場面に応じて使えるようになる。
○幼稚園での生活の仕方や生活の流れを知る。
○教員や友達と関わって遊ぶ楽しさを味わう。
○食べたり味わったりしたことを、いろいろな方法で表現しようとする。
○栽培活動を通して、気付いたことや感じたことを伝えたいと思うようになる。
○感触遊びを通して、感じたことを言葉で表現しようとする。
○絵本や紙芝居を見て、思ったことや感じたことを話そうとする。
※3歳児は個々の発達段階を考慮したねらいを定め、学期ごとの表記はしていない。
図4
自分のやりたい 遊
びを友達や教員 に
言葉や態度で伝 え
る(3歳児)
。
言葉と表現に焦点をあてたねらいと内容の道筋
次にそのねらいと内容から、幼稚園の3歳児から小学校第1学年にかけて具体的にどのよ
うな教育的活動が行われているのかを確認することが必要ではないかと考えた。そこで、改
めて小学校第1学年の学級担任と研修会の場を設けた。
そこでは幼稚園における「言葉と表現」という観点は、生駒台小学校では「言語活動」と
いう視点で捉えているということが分かり、さらに、小学校第1学年における具体的な言語
活動について聞き取りを行った。それらを基に幼稚園での活動と、小学校の言語活動をつな
- 5 -
がりとして捉え、図5のように体系化した。
・・・挨拶や簡単な会話をする活動
・・・みんなの前で話をする活動
・・・集団で話し合う活動
図5
・・・自分の経験を話す活動
・・・話を聞く態度を身に付ける活動
「言葉と表現」にかかわる活動から、「言語活動」への道筋
図5から分かるように、小学校第1学年では主に「言語活動」を国語科と生活科、特別活
動の時間に重点を置いている。具体的に、国語科では意識して自分の声を出す、音読や口の
体操などの活動を行い、生活科では調べ学習の発表の場を設けるようにしている。また、特
別活動では日直活動や台小タイムなどのように、決まった形で毎日繰り返し行う活動を通じ
て児童に自信をもたせる取組を続けている。
幼稚園の5歳児クラスでは運動会などの行事の中で、グループで話し合う場を設けたり、
みんなの前に出て自分の考えや思いを発表する場を意図的に設けたりしている。教員や友達
が一人一人の思いに耳を傾け、共感しながら、幼児がより自信をもって発言や表現すること
ができるように取り組んでいる。4歳児クラスにおいては、自分の思いを他者に言葉で知ら
せたり伝えたりすることに重点を置き、教員が言葉で援助しながら、言葉を引き出したり知
- 6 -
らせたりすることを日常的に行っている。3歳児クラスにおいては、安心して過ごす幼稚園
生活の中で、教員や友達などの他者と関わることに重点を置き、教員の援助が行われている。
つまり、「言葉と表現」の観点を基に、3歳児から小学校までの教育的活動を検証してい
くと、その年齢と発達段階に応じた形で活動が展開されていることが分かる。また、幼稚園
の保育活動全てが、小学校以降の学習活動へとつながっていることが確認できた。
(5)
「言葉と表現」の観点から幼稚園と小学校のカリキュラムをつなぐ
幼小接続を進めていく上で、小学生との活動交流や、教員間の連携、連絡については様々
な幼稚園・保育所において研究が進められてきている。下記の図6の「幼児期から小学校へ
の接続期実態調査」のアンケート結果にも示されたように、小学生との交流活動を中心に展
開しながら、保育所・幼稚園・小学校での連絡会の場を継続して設定したり、交流活動の指
導計画を小学校と共同で立案し、その評価を相互の観点から行ったりするなど、保育所・幼
稚園と小学校とが活動について連携し合う体制は整えられつつある。
実施した連携の内容
小学校
保育所
幼稚園
78.2%
幼児と1~3年の児童の日常的活動や授業、行事等の交流
43.1%
71.7%
22.5%
幼児と4~6年の児童の日常的活動や授業、行事等の交流
11.3%
33.9%
29.6%
33.1%
小学校教員や幼稚園教員、保育士との合同研修会の開催
41.1%
38.5%
小学校での授業参観や幼稚園・保育所での保育参観
48.8%
56.1%
50.8%
職員間での子どもの実態についての情報交換
75.6%
89.4%
2.6%
就学前又は就学後のカリキュラム 作成
図6
6.9%
9.4%
保育所・幼稚園・小学校の連携内容
しかし、「就学前又は就学後のカリキュラムの作成」という項目に関してはほとんど連携
が図れていない実態がある。本園はステップ2のステージにあり、幼稚園と小学校との交流
活動年間計画を策定し、継続的な実践をしている。しかし、アンケート結果と同じように、
接続期についてのカリキュラム編成にまでは踏み込むことができていないのが現状である。
本研究では、交流活動での学びの姿や、幼児期の終わりから、入学当初の子どもの姿につ
いて、幼稚園と小学校との連絡会を重ね、接続期の課題と考えられる点「言語と表現」(小
学校では「言語活動」という呼称)を導き出した。その観点から幼稚園の教育課程を再度検
討していくと、保育におけるねらい・内容が、学習における目標・内容とつながりがあるこ
とが分かった。また、具体的な活動においても、幼稚園での活動内容と小学校入学初期の学
習は体系化できることを示すことができた。
そこで、学年ごとに目指す幼児像を設定し、それに向けて各学期のねらいを定め、具体的
な活動内容を整理していくということが、幼小接続期をつなぐ一つのカリキュラムとして成
- 7 -
立するのではないかと考えた。また、「言語活動」の観点から小学校入学初期の各教科や特
別活動などの目標について小学校の教員と意見交換を行い、幼稚園から、小学校入学初期に
至るカリキュラムの編成を試みた。以下に図7から10として掲載している。
<3歳児>
目
指
す
幼
児
像
◎感じたことや思ったことを、教員や友達に話す。
◎集団生活に必要な言葉を知り、場面に応じて使える。
1学期
○園生活の仕方や流れを知る。
・安心して園生活を過ごす。
・元気よく挨拶をし、名前を呼ばれたら返事をする。
2学期
3学期
○教員や友達と関わって遊ぶ楽しさを味わう。
・同じ場所で遊んだり、同じものを持って遊んだりする。
事例①
・「入れて」や「かして」など、遊びの中で簡単なやりとりをする。
・してほしいことや困ったことなどを、言葉で教員や友達に伝える。
ね
ら
い
と
活
動
○食べたり味わったりしたことを、いろいろな方法で表現しようとする。
・おやつや弁当の時間を通して、みんなで食をともにする。
・教員や友達と一緒に、楽しんで食べる。
○体を思いきり動かして遊ぶ心地よさを味わう。
・固定遊具やサーキット遊びなど、体を動かして遊ぶ。
・鬼ごっこや簡単なルールのある遊びをする。
・教員や友達と一緒に、リズムに合わせて動いたり、表現遊びをしたりする。
○栽培活動を通して、気付いたことや感じたことを伝えたいと思うようになる。
・大きくなったことや赤くなってきたなどの変化に気付き、言葉で表現しようとする。
・個人栽培のミニトマトの収穫をする。
○感触遊びを通して、感じたことを言葉で表現しようとする。
・片栗粉粘土や水・泥・砂遊び、フィンガーペインティングなどの感触遊びをする。
○絵本や紙芝居を見て、思ったことや感じたことを話そうとする。
・みんなで同じ絵本を見て、同じ時間を共有する。
・繰り返しのある絵本を楽しんだり、文字のない絵本を見てイメージを膨らませたりする。
・お話の世界の中で遊ぶ。
図7
「言葉と表現」の観点からみる接続期カリキュラム(3歳児)
<4歳児>
目
指
す
幼
児
像
◎自分の思いを教員や友達に言葉で伝えたり、素直に表現したりする。
◎相手の話を注意して聞き、理解しようとする。また適切な応答ができる。
1学期
2学期
3学期
○自分の思いや感じたことなどを教員や友達に
言葉で伝えようとする。
○見たり聞いたりしたことを素直に表し、相手に
分かるように話そうとする。
○遊びの中で自分の思いを言葉で伝えたり、相手
の話を聞いて理解しようとしたりする。
・簡単な挨拶をする。
・名前を呼ばれたらはっきり返事をする。
☆あいさつ遊び「あくしゅでこんにちは」
☆名前を呼ぶ遊び「あなたのおなまえは」
・夏休みに経験したことをみんなの前で話す。
☆インタビューごっこ
・物の名前を表すいろいろな言葉に関心をもつ。
(名詞、動詞、形、色、数の多少 など)
・自分の体に関する動きや、動作を表すいろいろ
な言葉に関心をもつ。
・簡単な頭文字集めをする。
☆うた「アのじがつくから」
・冬休みに経験したことを、言葉で人に分かるよ
うに話す。
・簡単なしりとり遊びをする。
・「○○が△△している」など、文法に気付く遊
びをする。
・自分や友達の名前の文字に興味がもてるような
遊びをする。
・まねっこ遊び(友達の表現)をする。
・物の分類や所属に関する言葉遊びをする。
☆「品物なあに」(八百屋、パン屋 など)
・みんなで合唱や合奏をする。
ね
ら
い
(
・自分の体験から得た感動や驚きを言葉にして
自由に話す。
・まねっこ遊び(教員の表現)、表現遊びをする。
活 ・簡単ななぞなぞ遊びをする。
動 ・音の数遊びをする。
☆「音の数いくつ」遊び(例 ねこ →2)
言
葉 ・ゲーム遊びをする。
と
☆フルーツバスケット
表
☆こんなこいるかな?
現
)
・劇遊びをする。
・お話リレー遊びをする。(自分のひらめきを話す)
・月、日、曜日の名称に興味をもつ。
・簡単な用件をお家の人に伝える。
自分の経験したこと、遊んだことを話す。
事例②
いろいろな絵本や紙芝居を見たり、聞いたりする。
当番活動(みんなの前に立って、言葉をやりとりすることを知る。はっきりした声で話す。)
図8
「言葉と表現」の観点からみる接続期カリキュラム(4歳児)
- 8 -
<5歳児>
目
指
す
幼
児
像
◎互いの思いを気軽に言葉で伝え合いながら遊びを進めていくことができる。
◎みんなの前で自信をもって自分の思いや考えを話すことができる。
1学期
ね
ら
い
2学期
○自分の思いを言葉で伝えたり、相手の考えを
聞いたりしながら遊ぶ楽しさを味わう。
○自分たちで相談したり、ルールを考え合ったり
するなど、互いに意見を出し合いながら遊ぶ楽
しさを味わう。
3学期
○友達と互いに考えやイメージを出し合いながら、
協力して遊びを進めていく充実感を味わう。
○教員や友達の話を落ち着いて聞き、話の内容を
正しく理解しようとする。
友達と関わって遊ぶ中で育まれる「言葉」
□砂遊び(会話を通じて遊びを進めていく。砂の感触を言葉にして表す。) □ごっこ遊び(互いの思いを伝えあい、イメージを共有する。字を読んだり書いたり
□うずまきジャンケン(掛け声など、張りのある声を出して遊ぶ。)
する。)
□うさぎ当番(見たり、触れたり、嗅いだりして感じたことを言葉にする。) □葛藤場面(友達とのやり取りの中で自分の思いを言葉で表現する経験を重ねる。)
□製作・折り紙・ゲーム(友達同士で、遊び方やルールなどを教え合う。)
(
活
動
■話合い(自分たちでグループ名を考える。)
☆言葉遊び
しりとり・頭文字集め・連想ゲーム
スリーヒントゲーム・伝言ゲーム など
言
葉
と
表
現
事例③
■話合い(運動会リレーの作戦会議)
(学級で出てきた課題についてみんなで
話し合う。)
☆お話づくり(自分たちで物語を創作する。)
■友達のよいところを見つけよう
(得意なところ、がんばっているところ、
内面的なこと など)
)
絵本・童話などの読み聞かせ
■話合い(音楽会に向けて、それぞれのパートを
考え合う。)
(学級で出てきた課題について、意見を
出し合いながら解決の仕方を考える。)
☆カルタづくり・すごろくづくり
(遊びの中で言葉や文字に触れる機会をもつ。)
■修了式お別れの言葉づくり
(これまでの幼稚園生活の経験を振り返りながら
お別れの言葉を作り上げる。)
お知らせタイム(日々の生活の中で経験したこと・感じたことをみんなの前で自分なりの言葉で話す。)
事例④
当番活動(みんなの前で掛け声、次の当番紹介など、定型の言葉を自信をもって話す経験を繰り返す。)
図9
「言葉と表現」の観点からみる接続期カリキュラム(5歳児)
<小学校>
生駒台小学校「言語活動」の中での活動目標(4月から5月)
一
年
生
4
月
か
ら
5
月
末
の
目
標
・鉛筆を正しく持ち、ひらがなを覚えて、教科書や本に親しもうとする。
国語 ・名前を呼ばれたら返事ができ、人の話を聞くことができる。
・自己紹介ができる。(クラスで)
生活 ・職員室、保健室、校長室、他の教室などへの出入りの仕方が分かり、相手に用事を伝えることができる。
音楽 ・楽しく歌ったり、リズム遊びができる。
・「ありがとう」「ごめんなさい」を素直にいうことができる。
道徳 ・挨拶や返事ができる。
・友達と仲良く過ごすことができる。
特 別 活動
・1日の流れが分かり、手際よく着替えたり、学習の準備ができる。
・困ったときに自分で先生や友達に伝えることができる。
・安全に登下校ができる。
小学校学習指導要領より
、
小
学
校
一
相手に応じ、経験したことなどについて、事柄の順序を考えながら話す能力、大事なことを落とさないように聞く能力、話題に沿って話し合う
国語 能力を身に付けさせるとともに、進んで話したり聞いたりしようとする態度を育てる。
<第2章 第5節 国語 第2の1 各学年の目標及び内容より>
身近な人々、社会及び自然に関する活動の楽しさを味わうとともに、それらを通して気付いたことや楽しかったことなどについて、言葉、絵、
生活 動作、劇化などの方法により表現し、考えることができるようにする。
二
年
生
の
目
標
音楽
<第2章 第5節 生活 第2の1 各学年の目標及び内容より>
楽しく音楽にかかわり、音楽に対する興味・関心をもち、音楽経験を生かして生活を明るく潤いのあるものにする態度と習慣を育てる。
<第2章 第6節 音楽 第2の1 各学年の目標及び内容より>
道徳教育の目標は、第1章総則の第1の2に示すところにより、学校の教育活動全体を通じて、道徳的な心情、判断力、実践意欲と態度などの
道徳 道徳性を養うこととする。
<第3章 道徳 第1 目標より>
特別活動
望ましい集団活動を通して、心身の調和のとれた発達と個性の伸長を図り、集団の一員としてよりよい生活や人間関係を築こうとする自主的、
実践的な態度を育てるとともに、自己の生き方についての考えを深め、自己を生かす能力を養う。
<第6章 特別活動 第1 目標より>
図10
「言葉と表現」の観点からみる接続期カリキュラム(小学校第1学年4月から5月)
- 9 -
(6)
カリキュラムに基づく実践事例
上記のカリキュラムを基に、具体的な保育の実践事例を挙げる。「言葉と表現」という点
から、ふだんの保育の中で教員が見取った気付きや、幼児の学びを抜き出して示している。
事例
①
砂場遊びで楽しかった経験を言葉で伝える
<3歳児
5月>
自分から言葉を発する機会が少なかった Y 児。しかし、友達の遊びには関心があり、その様子をよく見ている。教員と
他の幼児が山を作っている様子を Y 児が見ていたので、「Y くんもする?」と誘いかけると、うなずいて参加し始めた。
教員と一緒にトンネルを作り、それぞれのトンネルがつながって握手ができたときにはとても喜んでいた。
T:
「今日、トンネル作って楽しかったね」
Y:「・・・うなずくの」
T:「誰と一緒に作ったの?」
Y:
「この子」と指をさす。
T:「S 君と作ったね?」
Y:
「・・・・・・S くん」
次の日。
T:
「今日も山作るの?」
Y:「うん」
T:
「誰と?」
Y:「S くん」
T:「じゃ S くんに遊ぼうって言ってみる?」
Y:
「うん・・・あそぼ」
○教員の思い
☆援助
◇幼児の学び・感じたこと
○楽しかった経験を振り返ってほしい。
☆言葉で自分の思いを伝えられるよう、ゆ
ったりと問いかける。
☆友達と関わる言葉を知らせ、一緒に遊ぶ
楽しさを味わわせる。
事例
②
◇自分から教員に挨拶をする姿が見られるようにな
った。
◇友達と一緒に遊ぶ姿が増え、言葉で相手と関わる
様子も見られた。
ままごと遊びの中で
<4歳児
10月>
A 児、B 児、C 児の3名は、自分がままごとで何役をするのか話をしている。特に B 児と C 児はお母さん役を
やりたい、という気持ちが強く、譲れない。
A:
「お母さんが2人とかおかしいで」
B:
「いいやん」
A:
「じゃんけんか、ゆじりあい(譲り合いのこと)
で決めようよ」
B:
「ゆじりあいってなに?」
A:
「ゆじりあいって言うのは『今日使ったから、
次のときはいいよ』とかするねん」
B:
「ふ~ん、じゃあじゃんけん。いい?」
C:
「うん」
B 児と C 児がじゃんけんをする。B 児が負ける。
B:
「お母さんがいい」
A:
「じゃあ背くらべで決めたらいいやん」
B 児と C 児が背を比べる、明らかに C 児のほうが低い。
B:
「私が高い」
A:
「分からへんで・・・C ちゃんの方が低いけど、
今日だけお母さんならせてあげていい?」
B:
「いやや」
A:
「じゃあ・・・もう2人ともお母さん」
○教員の思い
☆援助
○互いに自分のイメージを伝え合ったり、思い
を出し合ったりしながら遊んでほしい。
☆幼児同士の遊びの中で会話をしている様子を
見守り、必要に応じて解決方法を共に考えるな
どの援助をする。
◇幼児の学び・感じたこと
◇幼児なりに自分の知っている言葉を積極的に使い、相手と関りながら遊びを進めようとする姿
が見られた。
- 10 -
事例
③
運動会リレーに向けた話合いの中で
<5歳児
T:
「今日は残念ながら負けてしまったけど、
みんなどんな気持ちがした?」
D:
「くやしかった」
E:
「自分のクラスが1番やと思ってたけど、負けた」
F:
「力が足りひんかった。
心が一つになってなかった」
G:
「H ちゃんがバトン受け取るときに落としてた」
T:
「その時は H ちゃんどんな気持ちだったの?」
H:
「バトン落としてやばいと思ったし、ぞうぐみと
10月>
○教員の思い☆援助
○遊びの中で思った
こと、考えたことをす
ぐに言葉にして表す
機会をつくろう。
○一人一人の思いが
みんなに伝わるよう
にしたい。
☆リレーに対してク
ラス全体が意欲的に
取り組むことができ
るように幼児の言葉
に共感する。
くまぐみが先に走っていってくやしかった。
でも頑張って走ろうと思った」
T:
「そうかぁ。みんなは自分の順番が3位になって
た時は、どんな気持ちで走ったの?」
D:
「負けてて悔しかったけど、頑張ろうと思った」
T:
「じゃあ F ちゃんが言ってくれた心が一つに
なるってどういうこと?」
F:
「走ってる人は一人やけど、待ってる人が一緒に
『がんばれ~!』って応援する」
T:
「そうかぁ。走ってる人も待ってる人も一緒に
1位になるようにがんばるんだね」
◇幼児の学び・感じたこと
◇みんなの前で発表する経験を積み重ねてきたことから、自信をもって発表する姿が見られた。
◇「なぜそう思ったか」の理由を説明するなど、話す内容がより明確になった。
事例
④
お知らせタイム
~みんなに伝えよう~
<5歳児
9月>
T:
「今日のお知らせタイム、みんなに話したいことがある人はいる
かな?」
複数人から手が挙がる。A 児を指名する。
この日 A 児は朝の遊びの時間に教師と共に長縄に取り組み、目標の
回数に向けて何度も挑戦していた。
T:「今日はまず A ちゃんからみんなにお知らせしてもらいます。
どうぞ」
A:
「今日、朝来てすぐに長縄でいっぱい練習してん。何回も失敗し
てんけど、今日はたくさん跳べたから嬉しかった」
B:
「へぇ~。何回跳んだん?」
A:「昨日は52回やってんけど、今日は158回跳べた」
T:
「そうだね、先生も一緒に A ちゃんが跳んでいたところを応援し
ていたんだけど、何度も挑戦してあきらめずに頑張ってたね」
A:「うん!・・・でも次はもっと跳びたいねん。ぞう組の C ちゃんは
205回跳んでてん」
T:「そうかぁ、A ちゃんにはまだまだ目標があるんだね、じゃあ
明日またチャレンジしようね!」
○教師の思い
☆援助
◇幼児の学び・感じたこと
○幼児の思いをみんなで共有し感動し合う
◇続いて発表した他の子も、長縄の経験を思い
ことができる場にしたい。
出しながら、自分の頑張りを伝えようとしてい
○幼児の遊びの経験を聞いて他の幼児も遊
た。
びに興味・関心をもってほしい。
◇次の日の遊びで A 児が繰り返し長縄に挑戦す
☆幼児が自分なりの言葉で話を組み立てて
る姿が見られた。また、長縄に挑戦しようと多
いくことができるよう、言葉をかける。
くの幼児が参加するようになった。
- 11 -
3歳児の事例①では、教員の援助を受けながら、友達との遊びに言葉を使って関わることの
大切さについて示している。4歳児の事例②においては、ふだんの遊びの中で、友達と会話を
しながら遊びを進めて行く様子を中心に、教員の見取りを示している。また、5歳児の事例③
及び④では、クラスみんなの前で自分の気持ちや意見を出し合う活動を中心に抜き出した。
5
研究結果と考察
今回の研究では、「言葉と表現」という観点から接続期カリキュラムに踏み込んだことで、
幼稚園において3歳児から5歳児まで発達段階に応じた活動が展開されていることを再確認し
た。また、どの学年においても、幼小接続を意識した保育の取組の在り方を見直すことができ
たことで、幼稚園全体として小学校へつなげていく意識をもつことができ、幼小接続体制をよ
り確かなものとしていくことができた。
さらに、小学校との連絡会を複数回重ねる中で、小学校教員が感じている入学初期の児童の
様子や、幼児期の終わりまでに身に付けておいてほしい態度などを聞き、幼稚園側の思いを伝
えながら意見交換を積極的に行うことができた。しかし、その中で、幼稚園と小学校それぞれ
が互いの教育内容について理解を深めていく必要性を感じた。
幼稚園と小学校が相互理解を深めることで、幼稚園は小学校第1学年の具体的な学習内容や、
評価観点などを理解し、3歳児から5歳児への保育活動の先に小学校の学習があるという見通
しをもった保育の展開をしていくことができる。また小学校は、幼稚園での保育内容や幼児一
人一人の発達段階や育ちを丁寧に把握することで、入学初期の児童理解へとつながり、適切な
学習環境や授業展開の在り方を研究することができる。そのためには、交流活動を共同計画し
たり、積極的に保育・授業参観や研修会を行ったりするなどの方策をカリキュラム上に位置付
けていくことも求められる。
6
おわりに
今回の研究では、幼稚園の課題として浮かび上がった「言葉と表現」をテーマとしてカリキ
ュラム編成に踏み込んだ。そのことで接続期の幼児・児童の成長や学びについて理解を深めて
いくことができた。
しかし、幼小接続体制をより堅固なものとしていくために、継続的に幼稚園と小学校が接続
期の在り方について検討する場をもち、「言葉と表現」以外にも様々な課題を見つけて、連携
の在り方を模索し、接続期カリキュラム化していくことが求められる。
そうして様々な観点から接続期のカリキュラムを構成していくことは、幼稚園教員にとって
長期的な視点に立った保育や、幼児の発達を見通した援助の在り方を見つめ直すことができる
とともに、幼稚園全体が小学校への接続体制づくりを進めていくことができる。
今後は、様々な観点からの接続期カリキュラムの編成を進めていくとともに、積極的に保護
者や地域に発信し、「接続期」の存在と意義を伝えながら就学への不安を和らげ、安心感を与
えることができるような幼小接続体制を確立していきたいと考える。
参考・引用文献
(1)
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調査』
- 12 -
(2)
文部科学省(平成23年5月)『平成22年度幼児教育実態調査』
(3)
幼児期の教育と小学校教育の円滑な接続の在り方に関する調査研究協力者会議
(平成22年)
『幼児期の教育と小学校教育の円滑な接続の在り方について(報告)』
(4)
文部科学省(平成20年)『小学校学習指導要領解説国語編』東洋館出版社
(5)
文部科学省(平成20年)『小学校学習指導要領解説生活編』日本文教出版
(6)
文部科学省(平成20年)『小学校学習指導要領解説特別活動編』東洋館出版社
(7)
植松利春、廣岡由美、中村美喜江「幼児教育と小学校教育の円滑な接続の在り方」『平成
20年度奈良県立教育研究所研究紀要』16巻 pp.3-8
(8)
酒本智香(平成20年)「小学校教育との円滑な接続を目指した幼児教育の在り方―幼小の
連携を通して―」『平成20年度奈良県立教育研究所個人指定研究』16巻 pp.6-10
(9)
石井明子(平成15年)「幼稚園から小学校への滑らかな接続を目指して―幼稚園と小学校
の連携の在り方―」『平成15年度奈良県立教育研究所研究紀要』11巻 pp.2-6
(10)
善野八千子(平成22年)「幼小接続期におけるカリキュラムの開発」『奈良文化女子短期
大学紀要』41巻 pp.49-67
(11)
渡部(君和田)容子(平成16年)「幼・小接続教育の課題―埼玉県S市の取り組みをてがかり
に―」『鳥取短期大学研究紀要第50回記念号』 pp.63-71
(12)
ベネッセコーポレーション(2009)『これからの幼児教育を考える』 pp.6-10
(13)
上野ひろ美(2007)「保幼小連携の課題に関する考察」『教育実践総合センター研究紀要』
16巻 pp.109-121
(14)
木村吉彦(2010)『「スタートカリキュラム」のすべて~仙台市発信・幼小連携の新しい
視点』ぎょうせい
(15)
横井紘子(2007)「幼小連携における「接続期」の創造と展開」『お茶の水女子大学子ど
も発達教育研究センター紀要』4巻 pp.45-52
(16)
堺市教育委員会「接続期のカリキュラム」
http://www.city.sakai.lg.jp/kyoiku/stand_curri.html
(17)
末藤美津子(2010)「「言葉」に着目した「幼保小連携」に関する研究の意義―教育政策
の動向から―」『東京未来大学研究紀要2010年』3号 pp.45-55
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