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『蓄蔵の騎士』の時間 MasakiKAWAmGASHI

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『蓄蔵の騎士』の時間 MasakiKAWAmGASHI
Akita University
秋
田
大
学
総 合 基 礎 教 育研 究 紀 要
『特 集 人 と 表 現 』
1
8- 2
5 (1996)
『蓄蔵 の騎 士』 の時 間
川
東
雅
樹
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オペ ラで の ホ フマ ンス タール とR.シ ュ トラ ウス の協 同作 業 は 『ェ レク トラ』 が最初 の成 果
で あ る。 20世紀 も終 わ る現 代 か ら見 れ ば古 典 的 で は な いが、 それ で もや は り随所 に西 洋音 楽
の伝 統 の本流 をゆ く美 しい旋律 が編 み込 まれ た この作 品 は、 発 表 され た 当時 と して は ま った く
斬 新 な もの で 、 そ の表 現 主義 的 な緊 張 に満 ち た響 きは聴 衆 を戸 惑わ せ るに充 分 な もの だ った。
これ を素 直 に受 け取 る感 性 は まだ育 って は い なか った もの の、 次 の作 品 に対 す る期 待 は 当然 前
作 の延 長 線 上 には く くまれ る こ とにな る.
1911年 1月 26日に ドレスデ ンで 初 演 を迎 え た の は 『蓄蕨 の騎 士
』
。
「蓄務 の騎 士 号 」
な る臨 時 列車 を走 らせ るほ どに注 目を集 め た新 作 は 予想 に反 して オペ ラ史 の時 間軸 を逆 に遡 る
もの だ った。 少 な くともそ う受 け取 られ る要 素 に事 欠 くもので は なか った。 た とえば音 楽 的 な
面 で は もはや アナ ク ロニ ズ ム と しか 受 け取 れ な い ワル ツの多 用 。 も とも とは農 民 の踊 りで あ っ
た もの が洗練 されて形 を整 えて きた、 この優雅 で は あ るが幾分 通俗 的 なセ ンチ メ ンタ リズム に
通 じる舞踊 音 楽 と、 時代 の最先 端 を歩 む 作 曲家 との組 み合 わ せ が批 評 家 を困惑 させ た こ とは想
像 に難 くない 。 しか しオ ックス とい う野 卑 で お めで た い 田舎 貴族 の無邪 気 と陶酔 をあ らわ す の
に これ 以 上 の リズ ムが な い こ とに思 い い たれ ば、 当時 の批 判 が的外 れ で あ るこ とは す くにわ か
る こ とで あ る。 あ るいはモ ー ツ アル トへ の接 近 。豊 麗 な旋 律 や祝祭 的 で晴朗 な音 づ く りは、 た
だ物語 が 18世紀 マ リア ・テ レジアの ウ ィー ンを舞 台 に して い るか らとい うだ けで ない . 19
世 紀 に ヴ ェル デ ィ とワー グナ ー で絶 頂 を極 め たオペ ラ とい うジ ャ ンル が、 たん な る音楽 以上 の
もの を一杯 に詰 め込 んで肥 大 し、 そ して そ の重 み で 自己崩 壊 しなが ら、娯 楽 に堕 落 し、 芸術 と
して の創 造性 を失 い つつ あ るなかで、 も うい ち ど現 実 とか 真実 とい った よ うな観 念 か ら身 を解
き放 ち、 ほん らいオペ ラが も って いた遊戯 的 で、 明朗 な錯 綜 の世界 へ の憧憶 が込 め られ て い る。
モ ー ツ アル トを意識 して いた の はむ しろホ フマ ンス タール の 方 だ った。 む ろん音 楽的 にで は
な く、 ドラマそれ も喜劇 と して で あ り、念 頭 に あ ったの は もち ろん 『フ ィガ ロの結 婚』 で あ る。
『フ ィガ ロの結 婚』 の原 作 は ボ ー マル シ ュで 、 それ をダ ・ボ ンテが モー ツ アル トのため に台 本
に したの だか 、 ホ フ マ ンス タール が念 頭 に置 いて い た の は あ くまで もモ ー ツ アル トの 『フ ィガ
ロの結 婚 』 で あ る。 つ ま り音 楽 抜 きの 『フ ィガ ロの結 婚』 な ど考 え られ な くて 、 陰 謀 に しろ、
階級 間 の争 い に しろ、 また不 可解 な恋 心 に して も、 あ の音 楽 と解 け合 う こ とに よ っては じめ て
想 像 可能 な統 一 した 世界 を形 作 る こ とが で きるので あ る。 これ は 『チ ャ ン ドス卿 の手紙 』 以 降
の ホ フマ ンス タール が夢想 したひ とつ の解 答 で もあ るの た 。
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『蕎嶺 の騎 士』 を執 筆 す るにあ た って ホ フマ ンスタール が ワー グナー とモー ツアル トを徹底
的 に研 究 した こ とは知 られて い る。 『フ ィガ ロの結婚』、 『ニ ュル ンベル クのマイスタ ー ジ ン
ガー』、 『蓄蔵 の騎 士』 と連 な る ドイ ツオペ ラの本流 に共通 す るモチー フは若者へ の年 寄 りも
し くは 中年 の横 恋慕 、 あ るいはか なわぬ恋で あ る。 ホ フマ ンスタールの研 究が これ らの作 品 の
モチー フの類 似 と直接 関係 あ るか どうか はわか らない。 もち ろんホ フマ ンスクール は どの才能
はそん な ことは百 も承知 で、 だか らこそあ えて似 た よ うな素材 に手 を染め、 そ して手 さ ば きの
違 い を世 に問 うた と想像 す るのはで きるだ ろ う。 けれ ども特 に この三 つ の作 品 に限 らず とも、
老 人の横 恋慕 とい う題材 は ヨー ロ ッパ文学 の歴史 の 中で は他 で も山ほ ど使 われて い るこ と、 た
とえば クライ ス トの 『こわ れ瓶』 、 シ ェイ クス ピアの 『ウイ ンザ ー の陽気 な女房 たち』 、モ リ
ェ-ル の 『女 房学校 』や 『守銭奴』 な どが ざ っ と挙 げ られ るこ とを考 えれ ば、 こ とさ ら注 目す
るほ どの ことで はな いのか も しれ ない。
それで も整理 す るな ら次 の よ うにな る。 まず 『フ ィガ ロの結婚』 。恋 す る老 人はアル マヴ イ
ー ヴ ァ伯爵、相 手は女 中のスザ ンナ。 スザ ンナの結婚相 手 は フ ィガ ロ。 この フ ィガ ロは、 『フ
ィガ ロの結婚 』 の前 話 に 当た る 『セ ヴ イ リアの理 髪 師』 で、 アル マ ヴ イー ヴ ア伯爵 の望 み通 り
に、 それ こそ老 人の横 恋慕 に追 いつ め られて いた ロジーナ の苦境 を救 い、 二 人 を結婚 に まで こ
ぎつ けさせた立役者 で、 い ってみれ ば、 恩 を徒 で返 され た とい う役 回 りをつ とめてい る。
『ニ ュル ンベ ル クの マイ スター ジ ンガー』 では、歌合戦 の勝利者 に授 け られ る懸 賞 !として
のエ ー フ アと騎 士 シュ トル ツ イング との間の恋 に、市 の書記ペ ックメ ヅサ ーが割 っては い る と
い う経緯 で、噂 い ものにされて惨 めにな るのがペ ックメ ッサーだか ら、彼 が 『フ ィガ ロの結婚』
のアル マ ヴ イー ヴ ア、 『香夜 の騎 士』 のオ ックス と同様 の役柄 とい うこ とにな る。だが よ く見
てみ る と、ペ ックメ ッサ ー よ りもむ しろそれ相 当の年齢 の主人公 ハ ンス ・ザ ックス こそ 、控 え
めな表現 なが らも若 いエー フ アに対 す る、恋 とはい えない に して も深 い情 愛 を隠 し持 っていた
ので あ り、 自らの立場 を十分 にわ きまえた、 もはや若 くはない男の静か な 自制 は 『蓄蔵 の騎 士』
の元 師夫人に通 じるものが あ る。老 人の横 恋慕 な どと乱暴 な分類 を持 ち込 んだが、 もう少 し丁
寧 に観 察 すれ ば二 つ に分 け られ る。 自 らの老 いを意識 し、 それ にふ さわ し く恋 の舞 台か ら身 を
引 いて い く者 (
A)と、 む しろ老 い を否定 し、 老 い を無視 して欲 望 の成 就 に向か って突 き進 んで
い く者 (B)o
アル マ ヴ イー ヴ ア伯 爵 (
B)
オ クタ- ヴ イア ン
元 帥夫 人 (
A)
B)
オ ヅクス (
若 さは いつ も同 じで あ るO 同 じよ うに描 かれ る.つ ま り若 さを描 いて独創 にいた るこ とは ま
れ と言 ってい い。若 さの持 つ 直情 と失敗 、 戸惑 い と初 々 しさ、未熟 と憧 れ はだれ もが 同 じよ う
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に経験 し、 同 じよ うに通 り過 ぎて い く。 それ を どう見 るか とい うところに しか違 いはな く、基
本 的 には経験 した こ との確 認 と回顧 、 そ して い ささか早 す ぎる郷 愁 が読 み と られ るだけで、新
しい もの な ど生 まれ よ うが な い。 だか らこそ逆 に言 えば深刻 にな らずに、 安心 して この種 の展
開 に身 を置 くこ とが で き るので あ り、 また そ うい う物語 で しか ない こ とを許 容 す る。 しか し老
い は違 う。人 それ ぞ れ は違 ったふ うに老 い を迎 え る。 とい うよ りも老 いに対 す る姿勢 が その人
物 の器 量 を決 め る と考 えて もい い。老 い に面 と向 き合 って生 きなけれ ばな らない長 さ と比べ れ
ば 、若 さな どはひ と ときの夢 に近 い もの で、 まさに この澱 の よ うに沈 み積 もって い く老 いの意
識 との関わ り以 上 に人生 を決定 す るもの は な い。
老 いた 人物、 あ るい は老 い を意識 した人物 の若者へ の愛 とい うモチー フは、 ほか な らぬ この
厳 然 た る摂理 、 つ ま り時 間 との対 時 を突 きつ け るは ずで あ るO三つ のオペ ラはその点 で それ ぞ
れ 異 な る。登 場 す る人物 た ちが それ ぞれ別 の 時 間 を生 きる こと、 そ してそれが葛藤 を生 み、対
立 の 中で物語 を運 ん で い くこ とこそ この モ チ ー フの眼 目にな るはずだが、 『フ ィガ ロの結 婚』
で は それが階級 闘争 の次 元 に移 し替 え られ 、 時 間 に対 して 内面が吐露 され るのは、第三幕で伯
爵 夫人が ア リア 「甘 さ と喜 び の美 しい時 は」 を歌 う ときただ一度 で あ る。 『ニ ュル ンベ ル クの
マ イスター ジ ンガー』 で はハ ンス ・ザ ックス の老成 と芸術理解 が ドイ ツ的 な るもの、 ドイ ツ市
民 社 会 の擁 護 と結 び つ け られ る。旅 の騎 士 シ ュ トル ツ イングの直線 的 な激情 と盲 目の愛情 は、
純 粋 に ドイ ツ的 な る もの を伝統 とい う形 で保 持 して きた、芸術 とい う形式 で制御 され る ことに
よ って、市民 社会 に 受 け入 れ られ、新 た な伝 統 の創 造 に貢献 す る とい うのだ。時 間はその とき
ハ ンス ・ザ ックス個 人 の もの で は な く、 民族 の核 心 を流 れ るもの とな る。
ホ フマ ンスタール の早熟 が尋 常 の もの で な か った こ とは文学 史 の常識 だが、早熟 とは要 す る
に早 す ぎる老成 の こ とには か な らない。神 童 は いつ まで も神童であ り続 け るわ けにはいか ない。
並 外 れ た才能 の早 す ぎる開花 は、 そ の花 が い つ まで も咲 き続 け るもので もない限 り、 しか もひ
ときわ見事 に咲 き誇 らな い限 りは、 や が て は幻 滅 と落胆 の視線 を浴 び る とい う代償 が待 ち受 け
て い るものな のだ。 唯 一 そ こか ら救 い 出 して くれ るものが 夫折 か 自殺 に よ る神 話化 で、 これ も
また文学 史 に よ くあ る話 で あ る。 ホ フマ ンス タール が死 んだのは 55歳、脳 卒 中だ った。神 童
と呼 ばれ た人 間 に似 合 わ な い病 で あ るが ゆ え に、逆 に この詩 人 の生 きて作 品 を作 り続 け る挑 戦
的 な苦闘 をみ て しま う。十代 か ら初 老 に い た るまで、周 囲 を驚 かす創作 活動 を続 けて くれ るは
ず だ とい う周 りの無 責任 な期 待 の なか に、 時 間 の仮借 の ない重 みがの しかか るの を感 じなか っ
た は ずが ない。 自分 が生 きた時 間 よ りは るか 先 を疾走 して いた才能 が、 やがて それが背後か ら
迫 りくるのをひ しひ しと感 じなが ら書 い た ものが 『蓄蔵 の騎 士』 で あ る。
『蓄蔵 の騎 士』 を構 成 す るの は元 師 夫 人、 オ ックス、 オ クタ- ヴ イア ン、 ゾ フ ィーの 4人 だ
とい って もいい。 そ の うち ゾ フ ィー は、 気 だ てが よ くて愛 ら しいが、 十人並 み の娘 にす ぎず、
元 師夫人 とオ クタ- ヴ イア ンをめ くって対 等 に関係 に立 つ こ と じたいが滑稽 で あ り、 人物 と し
て は一級 下が る、 とい う趣 旨の 内容 の手紙 を ホ フマ ンスタール 白身が R.シュ トラ ウス あて に
書 いて い る。確 か に その発 言 の重 み や 自 らの 意志 を表現 す る行為 にお いて、他 の三人 と比べ れ
ば押 し出 しに欠 け る点 が あ るが、 十代 の娘 に人格 とか性格 の独 自性 の よ うな もの を求 め るこ と
が そ もそ も無理 な こ とで、 ドラマ の設定 と して は、逆 になに も特 筆 す るこ とが ない とい うこ と
で その存在 の意 義が 認 め られ るもの だ ろ う。 ドラマの登場 人物 は すべ て個性 的で な けれ ばな ら
な いわ けでは な く、 あ くまで もそれ ぞれ の 人 物 が作 り出す関係 こそ ドラマが創 出 しなければ な
らない全 体的 な統 一 であ る。 もち ろん シ ェイ クス ピアの傑作 の よ うに一人 の突 出 した個 性 で成
り立つ ドラマ も もち ろん魅 力 が あ るが、 ホ フマ ンスタール の ドラマづ く りの要 諦 はあ くまで も
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ァ ンサ ンプル にあ り、 お のお の の 人物 の 緊張 関係 の 中で何 か が生 まれ る こ とを彼 は確 信 して い
た。
元 帥夫 人で は な く、 内面 の豊 か さ とい う点 で は 劣 って い る といわ ざ るを得 な い ゾ フ ィー をオ
クタ - ヴ イア ンが選 ん だ こ とで、 二 人 の女性 の コ ン トラス トの なか で オ クタ- ヴ イア ン とい う
人物 の役 割 が よ り鮮 明 にな る。 ドラマ の 人物 は 自分 自身 の陳述 や行 為 だ けで 自分 を語 るので は
な く、 む しろ他 者 との 関わ りの 中か らそれ を浮 か び 上 が らせ る こ とが よ くあ るo
オ クタ - ヴ イア ンは若 さ と愛 ら しさ以外 に さ した る美 点 を伴 わ な い ソ フ ィー に心 を移 す.元
師 夫 人 にいず れ くる愛 の終 わ りを伏 めか され た とは い え、 この一 目惚 れ は ドラマの論理 には基
づ か な い動 物 的 な性 格 を も って い る。 そ れ は この
17歳 の 少 年 の愛 の あ り方 を しめ す もので 、
オ ク タ- ヴ イア ンの 愛 は対象 が いか な るものか とい う こ とに依 存 して い な い。 つね に引 き合 い
に 出 され るよ うに、 同 じ くメ ゾ ・ソプラ ノが 受 け持 つ 『フ ィガ ロの結 婚 』 の両性 具 有 の 少年 ケ
ル ビー ノの よ うに、 オ クタ- ヴ イア ンは接 す る もの すべ て に愛情 を抱 くの だ.
壊 さな いで 天 国 の幸 せ を !
僕 だ けが 君 の こ とを知 って い る !
誰 も気 づか な い、 誰 も知 らな い !
で も、 で も !何 の こ と ?君 とか僕 とか ?
意 味 が あ るのか しら ?
言葉 、 言葉 だ け じゃな いの ?ね え !
しか しそれ以 外 に何 か が あ る め くるめ く魅 力 と、押 さ え切 れ ぬ憧 れ と、
燃 え る恋 の想 い と。
い ま僕 の手 が君 の手 に触 れ るよ うに、
この気持 ち、 この抱 擁 、
そ れ が僕 と君 のつ なが り
だが、僕 は君 の 中で消 え る ・ ・・
僕 は君 の もの、 だが 耳 も 目も消 えた な ら 君 の僕 は ど こにあ るの ?
(1)
オ クタ - ヴ イア ンに とって は、 愛 の なか で は わ た しとあ な たの 区別 が消 え る。 自我 と他 我 の
境 界 が 融解 して い る。 とい うよ りも まだ 自我 と他 我 の対 崎 が起 きて い な い。両性 具 有 とは 自 ら
の 内部 に男女 を抱 え込 む こ とで あ り、 それ 自体 で 一つ の全体 を作 って しま って いて 、 そ れ以 上
で もそれ以 下 で もな い。 つ ま り男女 に分 か れ る こ と、 引 き裂 かれ る こ と、 互 いが不 完全 で あ る
と気 づ くこ とが ない ため、 分 か たれ た ものが も う一度 結 び つ こ う とす る欲 望 が ない 。 い わ ば す
で に完 結 した、 満 た され た状 態 の至福 が オ ク タ- ヴ イア ンを支 配 して い る。 これか ら獲 得 す る
もの な ど実 は な に も ない. それ ゆ えオ クタ- ヴ イア ンの愛 の欲 望 は そ の 目指 す もの が きわ め て
唆 味 で あ る。 自 らの 内部 に男女 を抱 えた もの の愛 の欲 望 は、 自 らの 内部 で解 消 され る。 つ ま り
ナ ル シ シズ ムで あ る。オ クタ- ヴ イア ンが 元 師夫 人 の なか に兄 いだ して い るの は元 帥夫 人そ の
人 で は な く、 自分 自身 にはか な らな い。 「あ な た」 と呼 び か け る言葉 の 向 こ うに、 現実 に存在
す る元 帥 夫 人 の 姿 は な くて 、 異 質 な他 者 で は な く、 た だひ た す らに愛 す るだ け の 自分 が い る。
愛 の対 象 と して 「あ な た 」 とい う他 者 を認 め る こ との で きな い存 在 は 同時 に 自 らを 「わ た し」
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と確 か め るこ とがで きな い。他 者 と 自己が あ って愛 す るこ とが生 じるので はな く、愛 す る行 為
の 中で 自己 と他 者 が 分離 す るの だ と した ら、手探 りす るよ うな不確 か な欲望 の 中か らはやは り
不 確 か な 自己 と他 者 しか 生 まれ え な い。 第 2幕 で ゾフ ィーが喬夜 の騎 士 と して登場 したオ クク
ー ヴ イア ンの名 前 に つ いて 、 「オ ク タ- ヴ イア ン、 マ リー ア ・エー レンライ ヒ、 ボナ ヴ ェン ト
ウ- ラ、 フェル ナ ン、 ヒア シ ンス」 とさ らに付 け加 えて 「カ ンカ ン」
(2)
と自分 の知識 を披 露
す るが、 まさに この異 常 な多義性 こそが 、 その存在 が ひ とつの 自我 に固 ま らない もので あ る こ
と、 すなわ ち 自我 な どない こ とをあ らわ して い る。 そ して その よ うに 自分 にた くさん名 前が あ
る こ とす ら知 らない のが オ ククー ヴ イア ン 白身 で、 自己の意識 とは も とも とかかわ りが ない存
在 なので あ る。
オ クタ - ヴ イア ンが体 現 す るの は あ らゆ るものが まだ未分化 で、 あ らゆ るこ とが可能 であ る
が ゆ えに、 まだ なに も実 現 され て い な い状 態 であ る。 言葉 に よ る識別 と対象化 もまだな く、認
識 に汚 されて いない とい う意 味 で は無垢 だが、無垢 で あ るこ とが決 して価値 を もつわ けで もな
い始 ま りの状 態 で あ る。 これ は否定 的 に と らえて い るわ けで もその逆 で もない。 そ もそ もそ の
よ うな判 断 とは無縁 の次 元 の こ とで あ る。 『ア ド ・メ ・イ ブス ム (自分 白身 につ いて)』の 中
で ホ フマ ンス タール が使 った言葉 を借 りれ ば 「プ レ ・エ クシステ ンツ (前存在 )」 だろ うO プ
レ ・エ ク シス テ ンツ とは現 実 の生 とは直接 かかわ りを もたない 「輝 きに満 ちては い るが危険 な
状態」 (
3
) で、 あ りとあ らゆ るもの に感 応 し、 そ して合 体 し、 その姿 に変身 す るこ とが 可能 な
創 造 的 な存在 で あ る。 人 間 の倫 理 が通用 しないが ゆ えに、苦 しみや悲 しみは な く、元 師 夫人 と
の別 離 に オ クタ- ヴ イア ンに悲 哀 が な いの はその ためであ る。 ホ フマ ンスタール は 「プ レ ・エ
ク システ ンツ と責任 のア ン ビヴ ァ レンツ」
(4)
とい う言葉 を再 三用 いて い るが、 この世界 に縛
られ て いない もの に責任 な ど生 じよ うもな く、 そ して責任 を持 たない ものが生活 を営ん でい る
とはい え ないO オ ク タ- ヴ イア ンが生 きて い るのは現実 の生 ではな く夢 であ り、 自 ら紡 いだ夢
をただ演 じて い るだ けなの で あ る。
この夢 はひ とつ の菜 園 で あ る。 肉体 の重 みか ら解 放 され て、 自由に浮 遊 す るもの にあふれ た
世界 .肉体 か ら解 放 され て い るか らこそ、 愛は地 上 の それ とは違 って軽 やか で、 オ クタ- ヴ イ
ア ン と元 帥夫 人 の情 事 は そ の ため に人 間的 なモ ラル の澱 み を残 さな い。楽 園では成 長 もなけれ
ば変化 もない。瞬 間瞬 間が十全 で完結 してお り、 その まま永遠 の相貌 を見 せ る領域 だ といえる。
オ クタ- ヴ イア ンは い ま 目の前 にあ るもの と一体化 す るo 目の前 にあ るのは他者 で はな く、 す
で に 自分 のな か にあ った もので、 自 らと合 体 す るよ うに他 者 と交わ る。 しか しそ う した ところ
でオ クタ- ヴ イア ン 自身 に何 の変化 もお とずれ ない。彼 のなかには時間が流れ ていないか らだ。
時 間が流 れ な い とこ ろに反 省 も後 悔 も生 じよ うが ない。 こ う してオ クタ- ヴ イア ンは繰 り返 し
情 事 を重 ね る存在 と して舞 台 に立 って い るO第三幕 の終幕 直前 、元 帥夫人、 オ クタ- ヴ イア ン
そ して ゾ フ ィー の 三 重 唱 は天 上 の美 しき ともいえ る、 このオペ ラの最後 の聞 かせ どころだが、
そ こでオ クタ- ヴ イア ンは こ う歌 う。
いつ どこで、 こ うな った のか 。
訊 いて み た い
-
これ で い いの ?で も僕 は
この問 い を、許 され て い な い ら しい。
訊 いて み た い 、訊 いてみ た い なぜ、 この胸 が震 え る ?
悪 い こ とを したの か しら ?あ の人 に、
あの人 に、 あ の人 に、
一
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これ を問 うこ とは許 され な い 。
(5)
訊 ね る こ とが許 され て い ない とい うよ り、 問いか け と懐 疑 は時 間 とともに生 きる者 の行為 で
あ って、オ クタ- ヴ イア ンの存在 原理 にふ さわ し くな い。彼 に とって ゾ フィー との結婚 は、結
婚 とい うまさ に地 上 の慣 わ しに身 を置 くこ とで人 間的 な時 間 を歩み始 め る一歩 の よ うに も見 え
るが、 同時 に これか らも重 ね て い く情 事 の ひ とつ のあ り方で しか ないか も しれ ず、 この結未 は
未知 の ままに残 され て い る。 た だ マ リア ンデル に変装 したオ クタ- ヴ イア ンが、第三幕 でオ ッ
ク スを前 に して、 これ以 上 な く通 俗 的 に、 そ してセ ンチ メ ンタル に 「時 が過 ぎれ ば、風 の よ う
に、 あ っ しらだ って 消 え ち ま うよ」 (
6
) とさめ ざめ泣 く場 面で、醗薄 な時 間 と無 常 を嘆 く様 子
に深刻 な ところはか け らもな い こ とに気 づ けば、彼 の時 間 とのかかわ りはお のず と想像 で き る
もので あ る。
オ ックス男爵 はオ クタ- ヴ イア ンの あ り得 る未来 の姿 のひ とつで あ る。好色 と強欲 、 尊大 に
して無作法、傍 若無 人で あ って滑稽 な この憎 めない 田舎貴族 もオ クタ- ヴ イア ン同様 に時間 を
持 続 と しては生 きる こ とが な い。彼 も また瞬間 を生 きる。好色 の御 本尊 ジュ ピター に憧 れ、 そ
の名 の通 り雄 牛 の ご と く だが -
ジ ュ ピター こそ雄 牛 に姿 を変 えて気 に入 った女性 と交わ った の
手 当た り次 第 に欲 望 の赴 くま まに女性 に挑 みか か り、 そのだれ一 人 に とどま るこ と
もな く、次か ら次 に誇 ら しげ に 「愛 の狩 り」 を実行 す る。 オ ックスに とって はいか な る娘 も彼
の全 存在 を持 続 的 に満 た して くれ るもので は ない。 『ドン ・ジ ョヴ ァンニ』 の レポ レル ロの カ
タ ログの歌 さなが らに、次 々 に披 渥 され る上 品 とは言い難 い手柄 話 のひ とつひ とつ には何 の 関
連 もな くて、 ただ い ずれ の愛 の瞬 間 に も満 た され なか った分裂 した 自我 の、 オ クタ- ヴ イア ンの場 合 と同様 、 自我 と呼 べ るもので は ないが -
それ もまた
空虚 な残骸 で しか ない。
オ ックス には過 去 もな けれ ば未来 もな くて、繰 り返 し 「夜 は短 い」 と有頂 天 にひ と り悦 にい る
こ とので きる無邪気 な現在 だ けが あ る。
「レル ヒェナ ウの幸 せ 者 」 を不 幸 が襲 わ ないわ けで は ない。 少 な くとも彼 の従 者 のだ らしな
く薄汚 れ た 身 な りは そ の境 遇 の不如 意 を隠 しよ うが ない。現 実 は仮借 な く圧 力 を加 えて い る。
に もかかわ らずオ ックスは幸福 で あ る。 なぜ な ら彼 には現実 が見 えないか らで あ る。は るか昔
の栄 華 の夢 に その ま ま今 も浸 り続 け る才能 の前 では、 いか な る現実 の厳 しさ もそれ こそ夢 の よ
うに実体 のな い もの に変貌 し、 不運 をか み しめ させ る出来 事 は どこに も起 きない。オ ックス の
幸福 が まやか しで あ る とい って い るので は ない。 間違 いな く彼 に とっては人生 はめでた い こ と
ば か りなのだ か ら。 しか しそ の幸 福 が滑稽 であ る こ とには違 いは ない。 そ こが オ クタ- ヴ イア
ンの夢想 と異 な る と ころだ。 自 ら紡 い だ夢 とそれ とはあ ま りに もか け離れ た現 実 との距 離が笑
い を読 んで しま うの で あ る。永遠 の若 さ も、有 り余 る財産 も、 可愛 い奥 さん も、 そ して 女性 を
惹 きつ け るす ら りと した体 躯 もな に もな い 。オ ックス もまた プ レ ・エ クシステ ン ツを生 きる者
だ ったのだが、幻想 は ともか く、 肉体 は とっ くに地上 の時 間 を吸 い込 んで墜落 してい る。オ ク
タ- ヴ イア ンもいず れは そ うな るか も しれ ない。 しか し彼 には夢想 を許 され る時 間は まだた っ
ぷ りあ る。オ ックス の背後 には落 ちぶ れ るに足 りる充分 な時間 は あ って も、 これ か ら没 落か ら
は い上 が るに必要 な 時 間 は も う どこに もな い。 に もかかわ らず気 づか ない。
オ クタ- ヴ イア ンが オ ックス に もな りう る危 険 を早熟 なホ フマ ンスタール が我 が身の も と し
て感 じて いた こ とは 充分想 像 で き る こ とだ。夢想 に耽 溺 す るうちに も確 実 に肉体 に時間 は刻 み
込 まれ、 肉体 は抗 い が た い現 実性 を も って夢想 の限界 を宣 告 す る。元 帥夫人の諦念 は この よ う
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な 自己認識 か ら出て くるもので あ る。
元 帥夫 人 とオ クタ- ヴ イア ンが 自分 た ちの秘 密 の関係 を違 ったふ うに感 じて いたわ けでなか
った。 『蓄嶺 の騎 士』 の 冒頭 はオペ ラ史 にお いては空 前絶後 のベ ッ ドシー ンで幕 を開 け るが、
-
『フ ィガ ロの結 婚』 で は フ ィガ ロがベ ッ ドを置 くスペー ス を測 る場 面で始 まる -
そ
の時点 で二人 の心 に行 き違 いや ずれ は生 じて いない。世 の秩序 とは無関係 に情 事 に浸 る元師 夫
人 は夢想 と恋 の戯 れ に生 き るオ クタ- ヴ イア ンの仲 間のひ と りで あ る。そ のため二 人の愛 は瞬
間 に完 結 す るその場 限 りの 肉体 的 な もので 、精神 の深部 に深 く根 を下 ろ して持続 す るもので は
な い。元 帥夫人 もそ れ は承 知 の上 で、 肉体 的で あ るが ゆ えに、相 手 に心変わ りしない こ とな ど
要 求 せ ず、愛 に も責 任 を持 つ ひ とか どの男 に成 長 して 自分 の前 に立つ こ とをむ しろ拒 んでい る
か に見 え る。 密会 現場 へ の突 然 の 聞入 者 か ら身 を隠 すため にオ クタ- ヴ イア ンに女装 させ るの
も -
『フ ィガ ロの結 婚 』 で もケル ビー ノが 同 じよ うな場 面でやは り女装 す る -
成長す
る以前 の両性 具有 の状 態 にいつ まで も と どめてお きた いか らで あ り、 ひ とつの リア リテ ィあ る
姿へ 固 まって しま うの を嫌 い、 た え ず変 身 す るオ クタ- ヴ イア ンとのかかわ りの なかで 同時 に
自 らの 自由を感 じて い た い の だ。
『蓄蔵 の騎 士』 の主 人公 が あ くまで も元 師夫人であ るのは、 この人物 だ けが ドラマの 中で 変
貌 を遂 げ るか らで あ る。 オ ックス ともオ クタ- ヴ イア ン とも異 な る ところは彼 女 だけが 現実 と
向 き合 う覚悟 を決 め る とこ ろにあ る。現 実 とは時 間の こ とだ。夫の元 帥の夢 を見 て不 安 にお び
え る こ とか ら始 まる彼 女 の心 の移 り変 わ りにはすべ て時 間がかかわ って い る。夫の夢、 とい っ
たが 、 それ こそ現実 で あ って 、 い ま元 師 夫 人が い る場所 がむ しろ夢 の世界 で あ る。 そ して過 去
に も同 じよ うな出来 事 が あ った、 とい う記憶 が現在 の彼 女 を不安 に陥れ る と した ら、 そ の と き
は じめて過去 とい う時 間 の もつ否足 しが た い力の存在 を認 めた こ とにはか な らない。 「これ で
7
) と髪結 いに不満 を漏 らすの も、
は、 イポ リュー ト、 なん だかお婆 さん の よ うに見 え るわ 。 」 (
否足 しが たい時 間の仕業 を鏡 の 中 に 自分 に認 めて い るか らであ る。 そ してオ ックスへ の不快 感
が決定 的 な もの とな る。 た だ単 に好色 な 男へ の女性 か らの反感 で はない。 この意味 な ら元師夫
人 も同列 であ る。 『香蕨 の騎 士』 のあ とが きに もホ フマ ンスクール は こ う書 いて い る。 「元 師
夫 人 は孤 立 して そ こにい るので は な い。 オ ックス も またそ うだ。ふ た りは対立 し、 しか し互 い
に従属 しあ って い る。 」
(8)
と。元 帥 夫人は オ ックスの結婚相手 に決 め られた ゾフ ィー の姿に、
華 やかで あ るべ き若 さを結 婚 の名 の も とに台無 しに され た 自分 の娘 時代 を重 ね合 わせて い るの
で あ り、 それ ゆ え元 師 同様 オ ックスは時 間 の容赦 ない厳 しさを気 づかせ るものなのであ る。 だ
か ら不快 なの だ。 しか しこの不快 感 か ら顔 を背 けない ことで唯 一元 師夫 人はほか とは違 った道
を踏 み 出す こ とにな る。他 者 とか か わ るこ とは 同 じ時 間 を生 きるこ とで あ り、逆 に言えば 自 ら
の時 間が吸 い取 られ るこ とで初 めて他 者 は独 立 した存在 と して 自分 の前 に立つ。元 帥夫 人の認
識 とは この こ とで、 後 か ら取 り返 す こ とので きない よ うな時 間 を他 者 と共有 す るこ とが 、 自己
とい うものが無 限 の もので は な く、 この世界 の 中で限界 づ け られて はい るこ と、 そ して そ う し
て獲得 され た現 実性 だ けが生 の無 常 か ら人 間 を救 うもので あ るこ とを知 るので あ る。
わか らな い の ?み ん な も うお しまい よ。
婚約 の こ とも、 それ に まつ わ る
はか の こ とも、
も うい まはお しまい 。
(9)
オ クタ- ヴ イア ン との別 れ もオ ック ス に対 す る拒 絶 も、夢 の よ うに生 きた過 去 か らの訣別 で
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あ る と同時 に、 その よ うな過 去 を 自分 の 人生 と して 引 き受 け る決 意 を意 味 して い る。 プ レ ・エ
ク シ ステ ンツ を捨 て て エ ク システ ンツへ 歩み 出 す決 断 で あ る. オ クタ- ヴ イア ンに銀 の喬嶺 を
託 す こ とで 、 元 帥 夫 人 は ひ そ か にオ クタ - ヴ イア ンに は結 婚 とい う時 間 の 試練 の機 会 を与 え、
オ ックス には老 いの 認識 を突 きつ けて い るよ うに も見 え るが、 この こ とがふ た りに通 じて い る
か どうか はわ か らな い。 時 間が 肉体 を滅 ぼ す こ とは た しか に人 間 に とって は 当然 の摂理 で は あ
るが 、 この容赦 ない生 の無 常 に人間が 耐 え られ るの も時 間が終 わ りを告 げて くれ るか らであ る。
そ の よ うな逆 説 と不 思議 の もつ 唆 咲 きは生 それ 自体 が もつ唆 昧 さ と重 な り合 うもの で、 元 師 夫
人 の舞 台 か ら退 く姿 に共感 す るの は、 そ こには た だ去 って い く者 の寂 参 とは違 って 、 この唆 味
な生 に足 を踏 み入 れ て い く物静 か な意 志 の よ うな もの を感 じるか らで あ る。
参 考文献
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文 の 訳 は河 出書 房新 社版 「ホ フマ ンスタール 選 集
4」 (内垣 啓 一訳 ) 1973年 を使 わせ て
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(
2) DV. S.49
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