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成人・保護者の方への説明書 - 果物アレルギーコンポーネント研究会
成人・保護者の方への説明書 「バラ科果物アレルギーの病態および抗原解析」 近年、リンゴやモモを中心とした果物アレルギーの症例報告数が増加してきています。花粉症 になったことにより発症する果物アレルギー(口腔アレルギー症候群)だけでなく、果物を食べた後 に運動の要素が加わって発症するアナフィラキシー(運動誘発アナフィラキシー)など様々なタイプ の疾患の報告数が増加してきています。 この増加の一因として花粉症患者の増加だけでなく大気汚染などが原因と考えられていますが、 まだ機序は十分解明されていません。 これら果物アレルギーの診断のための検査は現時点では十分なものではないため、日常生活 において、あるいは学校生活において困っている方が増えています。そのため日常診療で簡便に、 かつ信頼できる診断法の確率が望まれています。 本研究は、研究代表者を藤田保健衛生大板文種報徳會病院小児科 近藤康人とする多施 設共同研究です。 小児から成人までのバラ科を中心とした果物(特に代表的なモモとリンゴ)アレルギーの簡便 な診断法の確立、病態の解明、疾患増加のメカニズムを明らかにすることを目的として採血させ ていただきます。その一環として採血していただきました患者さんには、これらの果物のコンポー ネントアレルゲン、また花粉とそのコンポーネントアレルゲンに対する IgE を測定し解 説とともに結果を報告いたします。 なお、この研究への参加ならびに、治療途中での辞退も自由にできます。 また、参加されない場合でも治療上の不利益は全くありませんのでご安心下さい。 藤田保健衛生大学 小児科 免疫アレルギーグループ 研究責任者 近藤 康人 藤田保健衛生大学坂文種報德會病院 小児科 教授 連絡先 藤田保健衛生大学 坂文種報德會病院小児科 電話 052-323-5670(外来)5649(医局) 藤田保健衛生大学医学部小児科 電話 0569-93-2146(外来)2469(医局) 1 研究の方法 研究の方法 1、対象 リンゴ、モモによる明らかな即時型過敏反応を有する小児および成人で、即時型過敏反 応の内訳は、即時型反応(2 時間以内に出現する、体のかゆみ、紅斑、じんましん、腫れ、 目のかゆみ、まぶたの腫れ、咳、鼻汁、鼻閉、咳、声枯れ、呼吸困難、呼吸時のぜいぜい やヒューヒューなどの喘鳴、腹痛、嘔吐、下痢、眠気、だるさ、意識障害など)および口 腔アレルギー症候群(口腔粘膜、上あご、口唇、のど、耳の奥などに生じる違和感やかゆ みで時に腫脹を伴う症状)、運動誘発アナフィラキシー(食べただけであれば症状は出な いが、食べた後に運動すると全身の痒み、蕁麻疹、発赤、紅潮、呼吸困難、咳、嗄声など のアレルギー症状)です。 2、方法 1) 本研究に賛同し IgE 抗体測定を希望された患者さんは担当医師に相談して下さい。患者さん から相談を受けた担当医師はインターネットホームページの患者登録サイトに患者情報を入力し ます。この際登録する担当医師は患者さんの同意を得た上で、各施設において個人情報を一切 含まない情報を入力します(この時、担当医師は施設名と患者 ID 番号をのみを事務局に送りま す) 2) 入力された情報を元に、事務局は解析が必要と判断した症例について、「検体送付セット」を 後日(約 2 週間後)担当医師に発送し、検体の発送方法を指示いたします。検体の発送先ならび に保管場所は、藤田保健衛生大学小児科学研究室(住所はセットの中に含まれています)です。 (発送費用は担当医師の負担です) 「検体送付セット」の内容 ・患者 ID(事務局より新たに割り当てられる患者 ID です。事務局から問い合わせの際に使用 する ID ですので、この ID は担当医師が大切に保管してください)。本研究に用いる患者情報 は、ホームページへの症例登録時に連結可能匿名化された状態で取り扱われるため、全ての 患者情報は担当医師以外が個人を特定することはありません。 ・患者説明書の内容を熟読し、納得いただきましたら同意書に署名をお願いします。 ・担当医が患者情報入力用紙*1 に過去に分かっている検査値などを記入します。 ・担当医が採血をいたします。 ・担当医がプリックテスト(プリック針は事務局から送られるセットに含まれています)を実施し結 果を専用紙*2 に記載します。 3)血清は、可能であれば、担当医師が 2 本に分けて冷凍便にて事務局に送ります*3。(1.5ml と 2mL の 2 本です。検体量が足りないと以下の検査の一部が測定できなくなることに留意してくださ い。また。検体量が不足した際に選択される検査項目は事務局の判断によって決められます。) 4)担当医は検査データ、プリックテスト結果、患者はこれまでの臨床症状をインターネットのホーム ページ(fruit-allergy.jp)の患者情報登録サイトより入力します。 5) 発送約2か月後にバラ科果物に関連する sIgE(リンゴ, モモ, Mal d1, Mal d4, Pru av1, Pru av3, Pru av4, Pru p3)、および花粉に関連する sIgE(シラカンバ, ハンノキ, スギ, Bet v1, Bet v2, CCD)の測定(アラスタット 3gAllergy, シーメンスヘルスケア・ダイアグノスティクス)結果および結果 の解説書が送られてきます。 6) 入力された患者情報をもとに必要と判断した症例については、すでに採血いただいた血清で 追加試験(イムノブロットならびにインヒビション)が行われます(研究実施施設:藤田保健衛生大 学坂文種報徳會病院アレルギーセンター)。これらの追加試験は、病態の解明に役立ち将来的 には治療の開発に役立つものです。各果物に対するアレルギーの検体数がそろった時点で一斉 に行うことが望ましいため、イムノブロットの結果報告は学会のみで公表することをご理解ください 2 (追加試験の結果で解説書の内容が変わることはありません)。 7) 残った血清は事務局で 5 年間保存させていただきますが、匿名化されたうえで他の研 究にも使用させていただく場合があります。 *1 :皮膚テスト結果、ImmunoCAP 測定結果、HRT(ヒスタミン遊離試験)などの測定結果 および負荷試験の結果など、既に得られている患者情報を記載します。 *2 :補助診断のために行う皮膚試験の実施手順は、ガイドラインに準拠して行うものとし、 検査に使用するプリック針は統一したもので実施します。 *3 :回収用スピッツに必要な採血量は通常診療に必要とされる量とは別途に、少なくとも 全血として 7mL を採血し、血清として 3.5mL 以上を確保して送付する必要がありま す。(血清内訳 抗体価測定 1.5mL イムノブロット 2mL) スケジュールを示します。 一次登 録 検体送付セッ ト 発送 sIgE 測 定 イムノブロット /インヒビショ ン試験 デー タ解 析*3 報告 コメント 事務局/依頼 者 シーメン スヘルス ケア・ダ イアグノ スティク ス 研究代表 者 事務 局 代表世話 人 ● ● 調査日名称 ホームペー ジ 患者情報入手 ● アレルギー症状の確認 ● ● 1 同意取得* ● 採血 ● 2 皮膚テスト* 2 △* 症例報告書 免疫学的検査*2 抗原解 析 ● ● △*2 データ解析 結果の判 ● ● 定 *1:検体送付セットを送る際に同意文書と患者説明書を送り、実施前に文書で同意を取得させていただきま す。 *2:以前に検査結果が得られている場合は、参考として提供してください。 *3:データの入力は事務局で行います。 研究の利点と欠点 利点; 患者さんにバラ科果物(リンゴ, モモ, Mal d1, Mal d4, Pru av1, Pru av3, Pru av4, Pru p3)の IgE 抗体値、および花粉に関連する IgE(シラカンバ, ハンノキ, スギ, Bet v1, Bet v2, CCD)抗体値の測定(アラスタット 3gAllergy, シーメンスヘルスケア・ 3 ダイアグノスティクス)の結果を報告いたします。検査結果とともに結果のよみかたの解 説書も送られます。 欠点;採血時および皮膚試験への協力、皮膚試験に伴いアレルギー反応が生じるケースが ごくまれに見られますが、通常は抗ヒスタミン薬により軽快します。 3.費用負担 1)バラ科果物に関連する(リンゴ, モモ, Mal d1, Mal d4, Pru av1, Pru av3, Pru av4, Pru p3)IgE 抗体値、および花粉に関連する(シラカンバ, ハンノキ, スギ, Bet v1, Bet v2, CCD)IgE 抗体値(アラスタット 3gAllergy, シーメンスヘルスケア・ダイア グノスティクス) 測定および追加検査であるイムノブロット検査は無料で行います。 下記費用は患者様の負担とします。 2)外来診療費ならびに血液検査費用。 3)経口負荷試験のための入院費、および経口負荷試験に加工食品を用いる場合は、その 食品の代金。 4)採血に伴う副反応のために検査ならびに治療が必要となった際の診療費。 5)食物アレルギーや花粉症を含め他の疾患の診療のために要する診療費。また、皮膚試 験によりアレルギー症状が惹起された時に要する診療費および入院が必要になった場合の 入院費も含まれます。 起こりうる有害な反応に対する対処 稀に皮膚試験でアレルギー症状が出現する可能性があります。しかし、皮膚試験も当方 で配給するバイファッケイテッドニードル(またはプリックランセット)を使用するため安全性には十 分配慮しております。なおかつ、下記にしめす体制で安全性を確保し行います。 ① 救急医薬品を準備していつでも治療できる体制を整えています。 ② 医師の監督下で行います。 4