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掲載内容
レベルゲージ無し車の
フルード交換 & 調整マニュアル
VOL.2
■
目 次
■
【本書の使い方】
. 本書について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
. フルード交換方法について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
. フルード推奨交換について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
. 点検・交換時のフルード温度について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
. 収録モデルについて ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
. ゲージレス車のタイプ別種類(参考)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
【収録メーカー】
. トヨタ(18 モデル)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
. レクサス(8 モデル)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 156
. 日 産(8 モデル)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 212
. マツダ(2 モデル)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 244
. スバル(3 モデル)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 252
・ご注意・
本書「レベルゲージ無し車のフルード交換&調整マニュアル VOL.2」の内容
につきましては、各自動車メーカーの技術資料を基に編集致しております。
収録モデルは、平成 27 年 8 月現在の生産車を主に対象としています。
収録データに尽きましては、可能な限り変更や追加内容を反映させており
ますが全てが完璧とは言えません。記載事項への疑問・ご不明箇所等がご
ざいましたら、弊社までご連絡下さい。再調査の上、ご連絡申し上げます。
( 株 ) 自動車公論社:03-3837-5730
2 アルファード&ヴェルファイア
H3♯型
■ 対象モデル
◎車両型式:DBA-AGH30W ・ 35W
◎生産年式:平成 27 年 1 月∼
◎エンジン型式:2AR-FE
◎ CVT 型式:K115 & K115F(CVT)
■ CVT フルード調整
−
. 作業前注意 −
【注意】・本車両はオイルフィラチューブおよびオイルレベルゲージが無いため、フルード注入はトランスアクスルケースのリフィルプラグ孔
から行い、フルード量調整はオイルパンのオーバーフローチューブから余剰分のフルードを排出 ( オーバーフロー ) させることで行う。
・フルード補充は、フルード温度が常温まで下がった状態にて、必要量を補充し、エンジンを暖機運転してアクスル内にフルードを循
環させた後、規定油温および油温検出モードで調整を行う必要がある。
・注入するフルードは、トヨタ純正 CVT フルード FE を使用する。
・作業は各手順および注意事項に従い実施する。
・本文中の CVT フルード温度は、GTS にて表示される CVT フルード油温 (V/B 内油温 ) を示す。
−9−
−
. 作業フロー−
◆下記の作業の流れを参照し、手順に従い作業を行う。
−
. 準備作業−
【注意】車両が傾斜していると正確な CVT フルード量の計測が出来ないため、車両前後傾斜± 1°以内で作業する。
① . 車両を水平状態に保ちリフトアップする。
② . エンジンアンダ カバー RR LH を取り外す。
−
. 初期補充 −
【注意】CVT フルード油温が高温の場合は、常温(周囲の外気温以下)に下がる
まで待機した後、作業を開始する。
(実施推奨フルード油温 : 20℃ 前後)
① . リフィルプラグおよびガスケットをリヤトランスアクスルケースから取り外
す。
− 10 −
【注意】以下の作業実施後は初期補充作業を行う必要がないため、次項の「規定量補充」に進む。
・オイル漏れ、にじみなどの修理をしたとき
・オイルクーラ及びクーラホース脱着時
② . ソケットヘキサゴンレンチ 6mm を使用して、オーバーフロープラグおよび
ガスケットをトランスアクスルオイルパン SUB-ASSY(CVT) から取り外す。
【注意】・オーバーフロープラグの取り外しによりフルードが排出された場合は、
CVT フルード量が滴下状態になるまで待つ。
・CVT フルードが排出された場合は初期補充は不要なため、オーバーフロ
ーチューブの締め付けトルクを確認後、初期補充を行わずにオーバーフ
ロープラグの仮締めを行う。
③ . ソケットヘキサゴンレンチ 6mm およびトルクレンチを使用して、オーバー
フローチューブが規定トルクで締め付けられていることを確認する。
締付トルク値= 1.7N ・ m{17Kgf ・ cm}
【注意】オーバーフローチューブが規定トルクで締め付けられていない場合、CVT
フルード量調整が正確に行えない。
*1
オーバーフローチューブ
【参考】ソケットヘキサゴンレンチ 6 mm をオーバーフロープラグ孔内に差し込み
締め付けトルクを点検する。
④ . 初期補充を実施する。
❶ . オーバーフロープラグ孔から流れ出るまで、CVT フルードをリフィル
プラグ孔から注入する。
【指定フルード】トヨタ純正 CVT フルード FE
− 11 −
❷ .CVT フルードの流出が、滴下状態になるまで待機する。
⑤ . ソケットヘキサゴンレンチ 6mm を使用して、ガスケットを介し、オーバー
フロープラグをトランスアクスルオイルパン SUB-ASSY(CVT) に仮締めする。
【参考】ガスケット交換およびオーバーフロープラグの本締めは、CVT フルード
量調整後に行う。
⑥ . ガスケットを介し、リフィルプラグをリヤトランスアクスルケースに仮締
めする。
【参考】ガスケット交換およびリフィルプラグの本締めは、CVT フルード量調整
後に行う。
−
. 規定量補充−
① . リフィルプラグおよびガスケットをリヤトランスアクスルケースから取り
外す。
− 12 −
② .CVT フルードをリフィルプラグ孔より、規定量補充する。
【指定フルード】トヨタ純正 CVT フルード FE
【参考】CVT フルード補充量は関連作業により異なる。
規定量
実施作業
補充量(参考)
コンティニュアスリバリアブルトランスアクスル ASSY 交換時
( 新品トルクコンバータ ASSY 使用時 )
5.0L
コンティニュアスリバリアブルトランスアクスル ASSY 交換時
( トルクコンバータ ASSY 再使用時 )
4.5L
・トランスアクスルオイルパン SUB-ASSY(CVT) 脱着時
( オイルドレーンを含む )
2.0L
・フロントドライブシャフト ASSY(LH & RH)脱着時
・CVT フルード取替時
トルクコンバータ ASSY 脱着時(新品トルクコンバータ ASSY 使用時)
3.0L
トルクコンバータ ASSY 脱着時(トルクコンバータ ASSY 再使用時)
2.5L
・オイル漏れ、オイルにじみなどの修理時
・オイルクーラー&オイルクーラホース脱着時
0.6L
③ . ガスケットを介し、リフィルプラグをリヤトランスアクスルケースに仮締
めする。
【参考】ガスケット交換およびリフィルプラグの本締めは、CVT フルード量調整
後に行う。
④ . 車両をリフトダウンする。
− . オイルポンプ ASSY W/ モータ−
( コンティニュアスリバリアブルトランスアクスル ASSY) エア抜き
【注意】CVT フルード抜き取りまたはコンティニュアスリバリアブルトランスアクスル ASSY 交換作業を実施した場合は、オイルポンプ
ASSY W/ モータ(コンティニュアスリバリアブルトランスアクスル ASSY)のエア抜きを行う。
① .GTS を DLC3 コネクタ(運転席足元中央下/コネクタ No. G9:16P カプラ)に接続する。
② .IG ON( エンジン停止 ) にする。
③ .GTS を ON にする。
④ .GTS を使用して以下のメニュー項目を選択し、実行する。
−
パワートレイン / ストップ & スタート / 作業サポート / CVT 油圧ポンプエア抜き
. フルード温度調整 −
▶フルード温度調整(GTS 使用時)
① .IG OFF で、GTS を DLC3 コネクタ(運転席足元中央下/コネクタ No. G9:16P カプラ)に接続する。
② .IG ON および GTS の電源を ON にする。
③ .GTS を使用して以下のメニュー項目を選択し、実行する。
パワートレイン / エンジン / アクティブテスト / TC 端子 ON
− 13 −
④ . モニター項目の「AT 油温1」を表示させた状態で、アクティブテスト「TC 端子 ON」を実行する。
【参考】GTS を使用することで、AT 油温センサ値をモニターしながらフルード温度の調整が行える。
⑤ . ブレーキペダルを踏み込んで保持する。
⑥ . エンジンを始動させる。
⑦ . シフトレバーを P から D ポジションまでゆっくり操作し、CVT フルードを
各部に循環させた後、再び P ポジションにシフトする。
【参考】各ポジションは 3 秒程度保持する。
⑧ . メータ内のシフトポジションインジケーター表示を注視しながら、シフト
レバーを 1.5 秒以内に N ←→ D ポジション間で繰り返し操作することを
6 秒以上連続して行う。
【注意】静止時間が 1.5 秒を超えないこと。
【参考】N → D → N 操作を 1.5 秒以内の間隔で 6 秒以上実施することにより油
温検出モードに移行する。
*a
シフトポジション
*b
シフトポジションインジケーター
*c
油温検出モード
*d
6 秒以上
*e
2 秒間
*f
1.5 秒以内
⑨ . シフトポジションインジケーターの [D] 表示が 2 秒間点灯後、消灯することを確認する。
【参考】・シフトポジションインジケーター [D] の 2 秒間の点灯は、油温検出モ
ードへの移行完了を表す。
・シフトポジションインジケーター [D] の 2 秒間の点灯が確認出来ない
場合は、TC 端子 ON から作業をやり直す。
⑩ . シフトレバーを P ポジションにシフトする。
⑪ . ブレーキペダルを開放する。
⑫ .GTS を操作し、TC 端子 “ON” → “OFF” にする。
【注意】TC 端子を開放しないとエンジン回転数の変動により正確な CVT フルー
ドレベル調整が出来ない為、必ず開放する。
【参考】・TC 端子解放後も油温検出モードは IG OFF まで継続される。
・TC 端子開放によりエンジン回転数制御モードに移行する。
・エンジン回転数制御は、フルード温度 35℃以上で制御を開始する。
⑬ .CVT フルード温度を CVT フルード量調整作業における適正温度に調整する。
❶ . シフトポジションインジケーターにより CVT フルード温度を確認する。
− シフトポジションインジケーター [D] 表示 −
適正油温以下
適正油温
適正油温以上
フルード温度/ GTS 表示油温
35℃ 未満
35℃ 以上 45℃ 未満
45℃ 以上
シフトポジションインジケーター [D] 表示
消灯
点灯
点滅
【参考】
・油温検出モード中、シフトポジションインジケーターの [D] 表示は CVT フルード温度によって点灯、消灯、点滅のいずれかを表示する。
・CVT フルード補充作業は、シフトポジションインジケーター [D] 表示点灯 (CVT フルード温度 35 to 45℃ ) 中に行う。
❷ . シフトポジションインジケーターの [D] 表示点灯の場合、すぐに次項の「 . フルード量調整」に進む。
▶フルード温度調整(DLC3 短絡作業時)
① .IG OFF で SST を使用して、DLC3 コネクタ(運転席足元中央下/コネク
タ No. G9:16P カプラ)の TC(13)-CG(4)を短絡する。
② . ブレーキペダルを踏み込んで保持する。
③ . エンジンを始動させる。
【注意】エアコン、オーディオ、灯火スイッチなど、電気部品を OFF にする。
− 14 −
④ . シフトレバーを P から D ポジションまでゆっくり操作して CVT フルード
を各部に循環させた後、再び P ポジションにシフトする。
【参考】各ポジションは 3 秒程度保持する。
⑤ . メータ内のシフトポジションインジケーター表示を注視しながら、シフト
レバーを 1.5 秒以内に N ←→ D ポジション間で繰り返し操作することを
6 秒以上連続して行う。
【注意】静止時間が 1.5 秒を超えないこと。
【参考】N → D → N 操作を 1.5 秒以内の間隔で 6 秒以上実施することにより油
温検出モードに移行する。
⑥ . シフトポジションインジケーターの [D] 表示が 2 秒間点灯後、消灯するこ
とを確認する。
*a
シフトポジション
*b
シフトポジションインジケーター
*c
油温検出モード
*d
6 秒以上
*e
2 秒間
*f
1.5 秒以内
【参考】・シフトポジションインジケーター [D] の 2 秒間の点灯は、油温検出モードへの移行完了を表す。
・シフトポジションインジケーター [D] の 2 秒間の点灯が確認出来ない場合は、TC 端子短絡 から作業をやり直す。
⑦ . シフトレバーを P ポジションにシフトする。
⑧ . ブレーキペダルを開放する。
⑨ .DLC3 コネクタ 内の 13(TC) ←→ 4(CG) 端子間を開放する。
【注意】TC 端子を開放しないとエンジン回転数の変動により正確な CVT フルー
ドレベル調整が出来ないため、必ず開放する。
【参考】・TC 端子解放後も油温検出モードは IG OFF まで継続される。
・TC 端子開放によりエンジン回転数制御モードに移行する。
・エンジン回転数制御は、フルード温度 35℃以上で制御を開始する。
⑩ .CVT フルード温度を CVT フルード量調整作業における適正温度に調整する。
❶ . シフトポジションインジケーターにより CVT フルード温度を確認する。
− シフトポジションインジケーター [D] 表示 −
適正油温以下
適正油温
適正油温以上
CVT フルード温度
35℃ 未満
35℃ 以上 45℃ 未満
45℃ 以上
シフトポジションインジケーター [D] 表示
消灯
点灯
点滅
【参考】
・油温検出モード中、シフトポジションインジケーターの [D] 表示は CVT フルード温度によって点灯、
消灯、点滅のいずれかを表示する。
・CVT フルード補充作業は、シフトポジションインジケーター [D] 表示点灯 (CVT フルード温度 35 to 45℃ ) 中に行う。
❷ . シフトポジションインジケーターの [D] 表示点灯の場合、すぐに「 . フルード量調整」に進む。
−
. フルード量調整−
① . 車両を水平状態に保ちリフトアップする。
② . ソケットヘキサゴンレンチ 6mm を使用して、オーバーフロープラグおよ
びガスケットをトランスアクスルオイルパン SUB-ASSY(CVT) から取り
外す。
− 15 −
③ . オーバーフロープラグ孔からの CVT フルード流出状態を確認する。
【注意】流出した CVT フルード量が少ない場合 ( 約 5cc) は、オーバーフローチューブ内に溜まったフルードが排出しただけの可能性があるた
め、オーバーフローしていない ( CVT フルード再補充が必要 ) と判断する。
➡
➡
〓 CVT フルードが排出された場合。〓(CVT フルードが排出された場合へ)
〓 CVT フルードが排出されなかった場合。〓(CVT フルードが排出されなかった場合へ)
《CVT フルードが排出された場合》
❶ . フルードがオーバーフローした場合は、フルードの流出が滴下状態にな
るまで待機する。
【参考】CVT フルードは油温上昇により膨張するため、CVT フルードの流出
が完全に停止することはない。
《フルードが排出されなかった場合》
❶ . フルードが排出されなかった場合は、リフィルプラグおよびガスケット
を取り外し、オーバーフロープラグ孔からフルードが排出されるまでフ
ルードをリフィルプラグ孔から注入する。
【指定フルード】トヨタ CVT フルード FE
− 16 −
④ . ソケットヘキサゴンレンチ 6mm を使用し、新品のガスケットを介してオ
ーバーフロープラグをオートマチックトランスアクスルオイルパン SUB
-ASSY(CVT)に本締めする。
締付トルク値= 40N ・ m{408Kgf ・ cm}
⑤ . 新品のガスケットを介して、リフィルプラグをリヤトランスアクスルケー
スに本締めする。
締付トルク値= 49N ・ m{500Kgf ・ cm}
⑥ .IG OFF にして、GTS を取り外す。(GTS 使用時 )
⑦ .IG OFF にする。(DLC3 内 TC 端子短絡時 )
⑧ . 車両をリフトダウンする。
−
. 復元作業 −
① . 車両をリフトアップし、各部を清掃しフルード漏れがないことを確認する。
② . エンジンアンダカバー RR LH を取り付ける。
③ . 車両をリフトダウンし、作業完了。
■ CVT フルード 高温域 調整
フルード高温域 調整作業
−
. 高温域調整 −
① . エンジンを暖機し、エンジンを停止する。
② .CVT フルード温度確認。
《温度確認手順》
❶ .IG OFF で、GTS を DLC3 コネクタ(運転席足元中央下/コネクタ No.G9:16P カプラ)に接続する。
❷ .IG ON および GTS の電源を ON にする。
【注意】エアコン、オーディオ、灯火スイッチなど、電気部品を OFF にする。
❸ .GTS を使用して、右記のメニュー項目を選択する。: パワートレイン エンジン / データモニタ / エンジン回転数、AT 油温 No.1
【注意】・ CVT フルード油温が 85 to 90℃ の温度領域のとき、エンジンアイドリング状態で油温が低下する傾向の車両は、90℃ 以上の油温
にしてから作業を実施する。
・ CVT フルード油温が 85 to 90℃ の温度領域のとき、エンジンアイドリング状態で油温が上昇する傾向の車両は、85℃ 以下の油温
にしてから作業を実施する。
・ CVT フルード油温が 85 to 90℃ の温度領域のとき、エンジンアイドリング状態で油温が変化しない車両は、87.5℃ の油温にして
から作業を実施する。
❹ . ブレーキペダルを踏み込み、保持する。
❺ . エンジンを始動する。
❻ . シフトレバーを P ポジションから D ポジションまでゆっくり操作して
CVT フルードを各部に循環させた後、再び P ポジションにシフトする。
【参考】各ポジションは 3 秒程度保持する。
③ . 車両を水平状態に保ちリフトアップする。
《同時作業》
エンジンアンダカバー RR LH を取り外す。
− 17 −
④ . リフィルプラグを緩める。
⑤ . ソケットヘキサゴンレンチ 6mm を使用して、オーバーフロープラグおよ
びガスケットを取り外し CVT フルードを抜き取る。
【注意】
・オーバーフロープラグを取り外す前に、CVT フルード油温が 85℃以上 90℃以下になっていることおよびエンジンアイドル回転数
が次項 [ 規定追加油量表 ] の範囲に入っていることを確認する。
・エンジンアイドル回転数の範囲に示す規定追加油量を次項の [ 規定追加油量表 ] にて必ず追加する。
・CVT フルードが流出しない場合は、CVT フルードがオーバーフロー孔から流出してくるまでリフィルプラグ孔より CVT フルード
を注入し、オーバーフロープラグを取り付けて、作業を前項の「 . 高温域調整①」からやり直す。
*a
CVT フルード油温 [℃ ]
*b
エンジンアイドル回転数 [r/min]
*c
オーバーフロープラグ取り外し
*d
オーバーフロープラグ取り付け
*e
時間
*f
例:エンジンアイドル回転数 600 to 700 r/min の間で
調整する場合
● 上図を参考に、CVT トランスアクスルフルード油温とエンジンアイドル回転数が同じ範囲であることを確認しながら CVT トランスアク
スルフルードの流出が滴下状態になるまで待つ。
【参考】CVT フルード油温が上昇している場合は体積が膨張しているため、CV
T フルードの流出が完全に停止することはない。
− 18 −
⑥ . ソケットヘキサゴンレンチ 6mm を使用し、新品のガスケットを介して、
オーバーフロープラグを締め付ける。
締付トルク値= 40N ・ m{408Kgf ・ cm}
⑦ . 車両をリフトダウンする。
⑧ .IG OFF にする。
⑨ . リフィルプラグおよびガスケットを取り外す。
⑩ .「ホース」および「じょうご」を、右図のようにリフィルプラグ孔に取り付
ける。
【注意】
・コンティニュアスリバリアブルトランスアクスル ASSY は、最適油量の状態で CVT フルード油温が約 40℃の時、油面の高さがオーバー
フローチューブ先端高さになるように設定してある。トヨタ純正 CVT フルード FE を油温 85 to 90℃ の状態において油量を調整する
場合、熱膨張で増加した体積分を一度流出させ、下記の表に示す規定追加油量を厳守して追加補充すること。
・CVT フルードの過多、過少はコンティニュアスリバリアブルトランスアクスル ASSY のトラブルの原因となるおそれがあるため、
規定追加油量を厳守すること。
【参考】使用するホースは透明で、「長さ 1250mm、外径 16mm」のものを使用すること。
⑪ .CVT フルードを規定の追加油量分、リフィルプラグ孔から注入する。
規定追加油量を計測する場合は下表を参考にする。
規定追加油量
エンジンアイドル回転数
85 to 90℃ での規定追加油量
550 to 850r/min
250g (300cc)
【注意】・ホースに CVT フルードが残ると規定量が守れないため、ホースに CVT フルードが残らないように確実に補充する。
・コンティニュアスリバリアブルトランスアクスル ASSY に注入する規定追加油量の許容誤差は、± 20 ㌘又は± 25cc。
・注入時に外部に漏れた場合 ( 規定量が守れない状況になった場合 ) は、作業を「 . 高温域調整①」からやり直す。
【指定フルード】トヨタ純正 CVT フルード FE
⑫ . ホースおよびじょうごを取り外し、新品のガスケットを介して、リフィル
プラグをリヤトランスアクスルケースに本締めする。
締付トルク値= 49N ・ m{500Kgf ・ cm}
⑬ .GTS を DLC3 コネクタ から切り離す。
−
. 復元作業 −
① . 車両をリフトアップし、各部を清掃しフルード漏れがないことを確認する。
② . エンジンアンダカバー RR LH を取り付ける。
③ . 車両をリフトダウンし、作業完了。
− 19 −
■ CVT フルード取替
フルード取替作業
−
.取 替 −
① . 車両を水平状態に保ちリフトアップする。
② . リフィルプラグおよびガスケットをリヤトランスアクスルケース SUB-AS
SY から取り外す。
③ . ソケットヘキサゴンレンチ 10mm を使用して、ドレンプラグおよびガス
ケットをトランスアクスルオイルパン SUB-ASSY(CVT) から取り外す。
④ . 抜き取った CVT フルード量を計測する。
【参考】次項「⑥」の手順では、抜き取った分と同量の CVT フルードを注入する。
⑤ . ソケットヘキサゴンレンチ 10mm を使用してガスケットを介し、ドレンプ
ラグをトランスアクスルオイルパン SUB-ASSY(CVT) に仮締めする。
【参考】ガスケット交換およびドレンプラグの本締めは、規定量補充前に行う。
− 20 −
⑥ . 前項「④」の手順で抜き取った CVT フルードと同量の新品の CVT フルー
ドをリフィルプラグ孔より注入する。
【指定フルード】トヨタ純正 CVT フルード FE
⑦ . ガスケットを介し、リフィルプラグをリヤトランスアクスルケース SUB-A
SSY に仮締めする。
【参考】ガスケット交換およびリフィルプラグの本締めは、CVT フルード量調整
後に行う。
⑧ . 車両をリフトダウンする。
⑨ . エンジンを始動する。
⑩ . フットブレーキをかけたまま、シフトレバーを P ポジションから D ポジシ
ョンまでゆっくり操作した後、再び P ポジションにシフトする。
【参考】各ポジションは 3 秒程度保持する。
⑪ .30 秒間アイドリング状態で暖機をする。
⑫ .IG OFF にする。
⑬ .「作業①」から「作業⑫」の作業を行う。
⑭ .「作業⑬」終了後、再度「作業①∼作業⑫」を行う。
⑮ . ソケットヘキサゴンレンチ 10mm を使用してガスケットを介し、ドレンプ
ラグをトランスアクスルオイルパン SUB-ASSY(CVT) に本締めする。
締付トルク値= 49N ・ m{500Kgf ・ cm}
−
. 規定量補充 −
① . 前項「規定量補充」を参照。
− . オイルポンプ ASSY W/ モータ−
( コンティニュアスリバリアブルトランスアクスル ASSY) エア抜き
① . 前項「オイルポンプ ASSY W/ モータ−」を参照。
−
. フルード温度調整 −
① . 前項「フルード温度調整」を参照。
−
. フルード量調整 −
① . 前項「フルード量調整」を参照。
−
. 復元作業 −
① . 前項「復元作業」を参照。
− 21 −
6 スカイライン HV
V37 型
■ 対象モデル
◎車両型式:DAA-HV37、DAA-HNV37
◎生産年式:平成 25 年 11 ∼
◎エンジン型式:VQ35HR-HM34
◎ A/T 型式:RE7R01H(7A/T)
1 A/T フルード交換調整
【注意】・本車両はオイルパンに設定されたオーバーフローチューブ式のため、ATF レベルゲージは装着されていない。
・ AT フルードの排出作業は、ATF の油温が 40℃以下の状態で行う。
・ AT フルードを適正量にするためフルード交換時(後)は、必ず「フルード量の補充調整作業」を行う。
・交換後、A/T フルードの漏れ点検を実施すること。
. 排出&注入作業
① .CONSULT で「AT/CVT」の「データモニタ」を選択する。
② .「ユオン 1」を選択し、A/T フルード温度が 40℃以下であることを確認する。
◎ CONSULT(メーカー故障診断機)をインパネ下の診断コネクタ A に接続する。
※本車両のフルード油温調整は、ダイアグカプラ短絡作業では行えない。
メーカーの故障診断機(CONSULT)又は外部診断機を使用すること。
③ . セレクトレバーが P レンジであることを確認し、パーキングブレーキを確実
に作動させる。
④ . 車両をリフトアップする。
⑤ . エンジンアンダカバー、フロントアンダカバー及びエンジンアンダカバーリヤ
を取り外す。
2WD
4WD
− 230 −
⑥ .A/T フルードウォーマホース B を取り外し、A/T フルードウォーマチューブ B と A/T フルードウォーマ間に ATF チェンジャを取り付ける。
2WD /ウォーターホース B
4WD /ウォーターホース B
− 231 −
【注意】A/T フルードの流れ方向に注意し、ATF チェンジャを取り付けること。
⑦ . 車両をリフトダウンする。
⑧ .ATF チェンジャを ON にする。
⑨ . 車両を「整備モード 5」の状態で READY にする。
【参考】自動的に ATF チェンジャ内の新油とトランスミッション内の A/T フル
ードを交換する。
⑩ .A/T フルードの色・量から交換完了を判断し、キースイッチを OFF にする。
⑪ .A/T フルードを規定量(7.0L)より、約 1.0L 多く注入する。
【指定フルード】ニッサン マッチックフルード S
⑫ .ATF チェンジャを OFF にする。
【注意】A/T フルードの量が少なくなることを防ぐため、キースイッチ OFF 後
に ATF チェンジャを OFF にすること。
. 油温&油量調整
⑬ . 車両をリフトアップする。
⑭ .ATF チェンジャを取り外し、A/T フルードウォーマホース B を取り付ける。
⑮ . 車両をリフトダウンする。
⑯ . 車両を「整備モード 5」の状態にする。
⑰ .CONSULT で “AT/CVT” の “ データモニタ ” を選択する。
⑱ .“ ユオン 1” 及び “ サブ電動オイルポンプ回転数 ” を選択する。
⑲ .“ ユオン 1” の数値が 35℃以下であることを確認する。
⑳ . 車両を READY にする。
. ブレーキペダルを踏みながらセレクトレバーを P から D まで一巡させ、P
レンジにする。
【参考】各レンジを 5 秒間保持すること。
. 車両をリフトアップする。
. オーバフロープラグをオイルパンから取り外す。
【参考】A/T フルードが抜けてこない場合は、
「補充調整」参照して A/T フルー
ドを注入する。
.CONSULT の “ データモニタ ” の “ ユオン 1” が 30℃∼ 40℃になり、
A/T フルードが滴状になったらオーバフロープラグをオイルパンに規定トル
クで締め付ける。 ▪締め付けトルク値= 12.4N ・ m
【注意】・アイドリング状態で作業を実施すること。
・ “ データモニタ ” の “ サブ電動オイルポンプ回転数 ” が 0 rpm であるか確認すること。
・オーバフロープラグは、再使用不可部品のため再使用しないこと。
. エンジンアンダカバー、フロントアンダカバー及びエンジンアンダカバーリヤを取り付ける。
. 車両をリフトダウンし、キースイッチを OFF にする。
− 232 −
2 A/T フルード補充量調整
【注意】・ A/T フルードレベル調整中は、油温を約 30 ∼ 40℃以下に保つように必ず「CONSULT」で確認しながら作業を行う。
・ 本フルード量調整作業は、「フルード量調整作業のみ」を行った場合の手順である。よって、前項のフルード交換手順の工程内で
行う「フルード量調整作業」と手順及び容量等が異なるケースがあるので注意する。
◎フルード温度&フルード量調整作業
① . セレクトレバーが P レンジであることを確認し、パーキングブレーキを確実に作動させる。
② . オイルパンから A/T フルードを抜いた場合は、下記の手順で A/T フルードをオイルパンに注入してから下表下の「手順③」へ進む。
❶
車両をリフトアップする。
❷
O リング(315268E000)
(A)をチャージングパイプ(310811EA5A)
(B)
に取り付ける。
❸
オーバフロープラグをオイルパンから取り外す。
❹
❺
❻
❼
❽
❾
チャージングパイプ(A)をオーバフロープラグ穴に取り付ける。
注意:チャージングパイプの締め付けは手締めで行うこと。
バケットポンプのホース(B)をチャージングパイプに取り付ける。
注意:バケットポンプのホースは、チャージングパイプの突き当たりまで確実に挿
入すること。
A/T フルードを約 3.0L 注入する。
【指定フルード】ニッサン マチックフルード S
ATF チェンジャ(又はバケットポンプ)のホース及びチャージングパイプを取り外し、オーバーフロープラグをオイルパンに取
り付る。
注意: A/T フルードがオイルパンから漏れてくるため、素早く作業を行うこと。
オーバフロープラグは使用済みのものを取り付けること。
車両をリフトダウンする。
サブ電動オイルポンプのエア抜きを行うため、モータ走行状態にして約 30 秒間保持する。
キースイッチを OFF にする。
③ . キースイッチを ON にする。
④ . 車両を「整備モード 5」の状態にする。
⑤ .CONSULT で “AT/CVT” の “ データモニタ ” を選択する。
⑥ .“ ユオン 1” 及び “ サブ電動オイルポンプ回転数 ” を選択する。
⑦ .“ ユオン 1” の数値が 35℃以下であることを確認する。
⑧ . 車両を READY にする。(READY 警告灯は右上図参照)
⑨ . ブレーキペダルを踏みながらセレクトレバーを P から D まで一巡させ、P
レンジにする。(各レンジを 5 秒間保持すること)
⑩ . 車両をリフトアップする。
⑪ . エンジンアンダカバーリヤを取り外す。
⑫ .A/T フルードの漏れがないか確認する。(右下図参照)
⑬ .O リング(315268E000)(A)をチャージングパイプ(310811EA5A)
(B)に取り付ける。
⑭ . オーバフロープラグをオイルパンから取り外す。
− 233 −
⑮ . チャージングパイプ(A)をオーバフロープラグ穴に取り付ける。
【注意】チャージングパイプは手で締め付けること。
⑯ . バケットポンプのホース(B)をチャージングパイプに取り付ける。
【注意】ATF チェンジャのホースは、チャージングパイプの突き当たりまで確実
に挿入すること。
⑰ .A/T フルードを約 0.5L 注入する。
【指定フルード】ニッサン マッチックフルード S
⑱ . バケットポンプのホースをチャージングパイプから取り外し、A/T フルード
がチャージングパイプから抜けてくることを確認する。
もし、抜けてこない場合は、再度 A/T フルードを約 0.5L 注入する。
【注意】・アイドリング状態で作業を実施すること。
・ “ データモニタ ” の “ サブ電動オイルポンプ回転数 ” が 0 rpm で
あるか確認すること。
⑲ .A/T フルードが滴状になったら、チャージングパイプをオイルパンから取り
外す。
⑳ . オーバフロープラグをオイルパンに規定トルクで締め付ける。
締め付けトルク値= 12.4N ・ m
【注意】オーバフロープラグは再使用不可部品のため、再使用しないこと。
. エンジンアンダカバーリヤを取り付ける。
. 車両をリフトダウンする。
. キースイッチを OFF にする。
整備モード移行
−整備モード操作手順−
エンジン暖機状態でリチウムバッテリーの充電状態が良好な場合は、停車中にエンジンが自動停止する。このため、フルード取替後に油
量確認等を行う場合などにエンジン連続運転必要時は、「整備モード」にすることでアイドリング状態にしておく事が可能である。
➡ ➡
▪整備モードシステム実施内容と条件▪
整備モード
主な使用目的
整備モード 5 エンジンのみで走行する場合等
制御内容
ハイブリッドシステム
12V 系
警告灯
充電警告灯
エンジンを連続運転する。
−
点滅状態
▪整備モードシステム作業時注意点▪
❶ . 整備モードはキースイッチを OFF にすることで解除され “CONSULT の EV/HEV” の “ アクティブテスト ” モードから他のモード
には移行出来ない。
❷ . 整備モードは一度のキースイッチ ON で一回のみ実施可能である。よって他の整備モードを実施する場合は、キースイッチを 1 度 OFF
にする必要がある。
キースイッチ ON ⇔ OFF
❸ . セレクトレバーが P 又は N レンジでは、スロットル開度の調整により、エンジン回転数が 3,000 rpm を越えない。
− 234 −
◎下記の要領で、「整備モード 5」へ移行操作を行う。
・CONSULT を使用する場合
※下記操作を 60 秒以内に行う。
. キースイッチを ON にする。
.“EV/HEV” の “ アクティブテスト ” モードの “ 整備モード 5” を選択する。
.“ON” を押す。
. 整備モード 5 に移行し、コンビネーションメータ内のハイブリッドシステム警告灯が点滅する。
. 車両を READY にする。(REDY 状態インジケーター:右下図参照)
・CONSULT を使用しない場合
※下記操作を 60 秒以内に行う。
. セレクトレバーを P レンジでキースイッチを ON にする。
. アクセルペダル全開、全閉を 6 回繰り返す。
. ブレーキを踏みながらセレクトレバーを N レンジにする。
. アクセルペダル全開、全閉を 6 回繰り返す。
. ブレーキを踏みながらセレクトレバーを P レンジにする。
. アクセルペダル全開、全閉を 6 回繰り返す。
. 整備モード 5 に移行し、コンビネーションメータ内のハイブリッドシステム警告灯が点滅する。
. 車両を READY にする。(REDY 状態インジケーター:右図参照)
・整備モード解除方法(共通作業)
キースイッチを OFF にすると「整備モード 5」は解除される。
− 235 −
2 ロードスター
ND 型
■ 対象モデル
◎車両型式:DBA-ND5RC
◎生産年式:平成 27 年 5 月∼
◎エンジン型式:P5-VPR
◎ A/T 型式:SJ6A-EL(6A/T)
1 A/T フルード交換
【注意】・本車両はオイルパンに設定されたオーバーフローチューブ式のため、ATF レベルゲージは装着されていない。
・ A/T フルード交換作業は、ATF の油温が冷間時の状態で行う。
・ A/T フルードを適正量にするため「フルード交換時(後)
」は、必ず「フルード量の調整」作業を行う。 ① . ドレーンプラグとドレーンプラグガスケットをオイルパンから取り外す。
② . ATF を抜き取る。
③ . ドレーンプラグを洗浄する。
④ . 新品のドレーンプラグガスケット、ドレーンプラグをオイルパンに取り付
ける。
▪締め付けトルク値= 18.0 ∼ 22.0N ・ m
【注意】・オーバーフロープラグとドレーンプラグを間違えて取り付けないこと。
・右図のように、ドレーンプラグガスケットの向きに注意して取付ける。
⑤ . オーバーフロープラグとオーバーフロープラグガスケットを取り外す。
⑥ . フィラープラグと O リングを取り外す。
⑦ . フィラープラグ穴から、指定フルードの ATF を注入する。
【指定フルード】マツダ ATF JWS3317
【参考】注入量:7.2 L
− 247 −
⑧ . オーバーフロー孔から ATF が垂れてくることを確認する。
【注意】オーバーフロープラグガスケットの向きに注意して取り付ける。
⑨ . 新品のオーバーフロープラグガスケット、オーバーフロープラグをオイル
パンに取り付ける。
▪締め付けトルク値= 18.0 ∼ 22.0N ・ m
【注意】フィラープラグの O リングに異常がある場合、O リングを新品にする。
⑩ . フィラープラグの O リングに ATF を塗布し、フィラープラグを取り付ける。
▪締め付けトルク値= 24.0 ∼ 54.0N ・ m
⑪ . 下記の、「ATF フルード量調整作業」を行う。
【注意】ATF を適正量にするため、ATF 交換時は必ず ATF 量の調整作業を行う。
2 A/T フルード量調整
. フルード量点検
【注意】・ ATF 温度が適正範囲(57.5℃∼ 62.5℃)にない場合、ATF 量の調整が正しく行えないため、下記の調整手順に従い作業を行う。
・ ATF 量は規定範囲より少ない場合でも、オーバーフローチューブ内に溜まった ATF が垂れてくるため、誤判断に注意する。 ◎ ATF 量調整は、オイルパンに設定されたオーバーフローチューブによる
オーバーフロータイプを採用している。
よって、オイルレベルゲージは装着されていない。
① . 車両をリフトアップする。
② . フィラープラグと O リングを取り外す。
【注意】・オーバーフロープラグとドレーンプラグを間違えないこと。
・フィラープラグの O リングに異常がある場合は、新品に交換する。
③ . オーバーフロープラグとオーバーフロープラグガスケットを取り外す。
④ . オーバーフロー孔から ATF が垂れてくるまで、フィラープラグ穴から指定
フルード ATF を補充する。
【指定フルード】マツダ ATF JWS3317
− 248 −
◎ ATF 補充量は作業内容によって異なるので、下表を参考にして補充を行う。
◆ ATF 補充量(参考)
ATF の抜き取りを伴う作業時
ATF の抜き取りを伴わない作業時
関連作業
・トランスミッション&トルコン交換時
・オイルクーラー交換時
・コントロールバルブボデー交換時
・ ATF 油温センサ交換時/電動オイルポンプ交換時
・オイルシール(エクステンションハウジング)交換時
・オイル漏れ、にじみ修理時など
⑤ . フィラープラグの O リングに ATF を塗布し、フィラープラグを取り付け
る。 ▪締め付けトルク値= 24.0 ∼ 54.0N ・ m
⑥ . オーバーフロープラグを仮締めする。
⑦ . エンジンを始動し、アイドリング状態で放置し、ATF 油温を上げる。
【注意】ATF 温度が適正範囲を越えるため、下記作業を速やかに行う。
⑧ . セレクトレバーを
レンジから レンジまで、各レンジ 2 秒以上かけて
一巡させる。その作業を 2 回繰り返した後、再度 レンジに戻す。
⑨ . ATF 温度が適正範囲(57.5℃∼ 62.5℃)にあることを確認する。
(250 頁の ATF 温度確認でチェックする)
⑩.
レンジ且つ、アイドリングの状態でオーバーフロープラグを取り外し、
オーバーフロー孔より ATF が垂れてくることを確認する。
◎ ATF が垂れてこない場合、エンジン停止後にオーバーフロープラグを取り
付け、再度フィラープラグ穴から ATF を補充し、
「手順⑦」から繰返す。 ⑪ . オーバーフロープラグからの ATF が滴下になるまで放置する。
【注意】右図に示すように、オーバーフロー・プラグ・ガスケットの向きに注意
して取付ける。
(チューブの上下位置に注意)
− 249 −
規定量
規定量の ATF を補充
(参考値:7.2 L)
少量の ATF を補充
⑫ .ATF の滴下が確認出来たら、新品のオーバーフロープラグガスケット、
オーバーフロープラグを取り付ける。 ▪締め付けトルク値= 18.0 ∼ 22.0N ・ m
⑬ . オーバーフロー・プラグから垂れた ATF を拭き取る。
⑭ . 車両をリフトダウンする。
. フルード温度確認
−車両診断機(M-MDS)使用時−
❶ . M-MDS をダイアグノシス・コネクタ 2 に接続する。
❷ . データ・モニタ「TFT」を使用し、ATF の温度を確認する。
❸ . ATF 温度が 57.5℃∼ 62.5℃になるまで、トランスミッションを暖機
する。
− A/T ワーニング・ライト(警告灯)使用時−
❶ .TCM の ATF 油温チェックコネクタの A 端子と B 端子を短絡させる。
❷ . 下記の操作で、オイルレベル調整用制御を作動させる。
◎
➡ ➡
操作を 1.5 秒以内で、A/T ワーニングライト(警告灯)が
点灯するまで連続して行う。
オートマチック・トランスミッション警告灯
【参考】ATF 量を調整する際、以下の図表を参照し、適正油温「57.5℃∼ 62.5℃」にフルード温度があることを確認する。 ◆オイルレベル調整用:A/T 警告灯点灯・タイムチャート表
ATF 状態
タイムチャート
● ATF 温度:57.5℃以下
▶オイルレベル調整可能油温より ATF 温度が低い場合
● ATF 温度:57.5℃∼ 62.5℃
▶オイルレベル調整可能油温と ATF 温度が同じ場合
● ATF 温度:62.5℃以上
▶オイルレベル調整可能油温より ATF 温度が高い場合
− 250 −
2 レヴォーグ&WRX S4
VM&VA 型
■ 対象モデル
◎車両型式:DBA-VMG / DBA-VAG
◎生産年式:平成 26 年 6 月∼/平成 26 年 8 月∼
◎エンジン型式:FA20E
◎ CVT 型式:TR690
※本車両の作業工程は、「 .CVT フルード調整」➡「
.CVT フルード交換」の順で行う。
1 CVT フルード調整
【注意】・ CVTF レベルは、CVTF 温度と共に変化する。よって、CVTF レベルを点検する時は、指定の CVTF 温度で点検すること。
・本車両の CVT フルード交換作業は、オーバーフロー方式のため CVT レベルゲージは装着されていない。
フルード温度&フルード量調整
① . エンジンをアイドリングさせ、スバルセレクトモニターに表示される CVT
F の温度を 35℃∼ 45℃(95°∼ 113°F)まで上げる。
【参考】セレクトモニターは、運転席右下データリンクコネクター(16P カプラ)
に接続する。
(右図 ○ 部内)
② . エンジンをアイドリング状態で、セレクトレバーを P → R → N → D、
D → N → R → P と操作し、CVTF を内部循環させる。 ③ . エンジン始動状態のまま、車両をリフトアップし、フィラープラグを取り
外す。
【注意】エンジンがアイドリング状態の為、以下の作業は十分に注意すること。
【参考】フィラープラグ穴の下端部に CVTF レベルがある時、油量は定量である。
④ . トランスミッションから CVTF の漏れがないことを確認し、フィラープラ
グ穴の下端部まで指定フルードを補充する。
【指定フルード】スバル ハイトルク CVT フルード リニアトロニック用
【注意】トランスミッションが冷えている時に、CVTF をフィラープラグ下端部
まで注入すると過注入になりオイル吹きの原因となる。
⑤ . フィラープラグを取り付ける。
【参考】新品のガスケットを使用する。
締付トルク値= 50N ・ m{5.1Kgf − m}
− 254 −
2 CVT フルード交換
フルード排出・注入&フルード温度・量調整
① . 車両をリフトアップし、CVTF ドレーンプラグを取り外す。
② .CVTF の状態点検を行う。
③ . 新品のガスケットを介して、CVTF ドレーンプラグ及びガスケットを取り
付ける。
【参考】新品のガスケットを使用する。
締付トルク値= 39.2N ・ m{4.0Kgf − m}
④ . フィラープラグを取り外す。
⑤ . 指定フルードをフィラープラグから注入する。
【指定フルード】スバル ハイトルク CVT フルード リニアトロニック用
【指定フルード容量】抜き取り時と同量の CVT フルードを充填する。
(参考/全容量:12.11 L ∼ 12.61 L)
⑥ . フィラープラグを仮締めする。
⑦ . エンジンをアイドリング状態にし、スバルセレクトモニターに表示される
CVTF の温度を 35℃∼ 45℃(95°∼ 113°F)まで上げる。
⑧ . エンジンをアイドリング状態で、セレクトレバーを P → R → N → D、
D → N → R → P と操作し、CVTF を内部循環させる。 【注意】エンジンがアイドリング状態の為、以下の作業は十分に注意すること。
⑨ . セレクトレバーを「P」レンジにシフトし、エンジン始動状態で車両をリ
フトアップする。
リフトアップ後、CVTF のレベル調整及び漏れ点検を行う。
⑩ . 新品のガスケットに交換して、フィラープラグを取り付ける。
T = 50N ・ m{5.1Kgf-m}
− 255 −
《資料転載協力》
●トヨタ自動車(株)
●日産自動車(株)
●マツダ(株)
●富士重工業(株)
【ご注意】
本書は、各自動車メーカーが発行する各種技術マニュアル・データを基にして編集しております。
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レベルゲージ無し車の
フルード交換&調整マニュアル
VOL.2
■ 発刊日:平成 27 年 10 月
■ 定 価:4,800 円 送 料:500 円(共に税込)
■ 印 刷:平成 27 年 10 月
■ 発行所:株式会社 自動車公論社
〒 110 -0005
東京都台東区上野 3 -1 -8 佐藤ビル 4F
TEL 03- 3837 -5730 FAX 03- 3837 - 5740
http://www.Jidousyakouronsya.com/
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