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準天頂衛星が拓く 新しい位置情報の活用
「G空間×ICTシンポジウム2014 in 人吉 ~まちを守り、ひとを守り、しごとを創るG空間~」 準天頂衛星が拓く 新しい位置情報の活用 ~COCN2014プロジェクト 『3次元位置情報を用いたサービスと共通基盤整備』~ 2014年12月5日 宇宙システム事業部 安光 亮一郎 点から点群の時代へ • 高精度測位と高精度地図の技術進展 • 点から点群(Point Cloud)への技術進展 高精度測位補強 (準天頂衛星) ⇒ 全国均一・精緻な位置情報を用いた 新しいビジネス展開が期待 車レーザ測量 (三菱MMS) 航空レーザ測量 高精度測位 + 高精度地図 明治時代末期の山岳測量 出典:東映、日本測量協会 天文・航海・測量初期の技術:「ヤコブスタッフ」 出典:ジョン セラー「実用的な航海術」、1672 点群データによる3次元位置情報 1 地図と測位の密接な関係 • 高精度測位社会の実現に向け、自己位置の高精度の把握・特定が必要 • 測位と地図の一対にて、自らの位置特定の正確度が決定 - 測位結果を正しく表示できる地図がなければ、自己位置の高精度の把握・特定は困難 - 地図に基づいた測位結果でなければ、自己位置の高精度の把握・特定は困難 • 国の管理下にある地図の座標系と、測位方式の座標系の整合性が肝要 衛星測位結果と16世紀地図による、位置同定は困難 高精度の測位・地図により、高精度位置同定が可能 ? 2 1.COCN2014活動 『3次元位置情報を用いたサービスと共通基盤整備』 3 COCN概要 • 産業競争力懇談会COCN(Council on Competitiveness‐Nippon) とは、国の 持続的発展の基盤となる産業競争力を高めるため、科学技術政策、産業政策などの諸施策 や官民の役割分担を、産官学協力のもと合同検討により政策提言としてとりまとめ、関連機 関への働きかけを行い、実現を図る活動を実施する活動母体 • 2006年6月に発足 • 日本経済団体連合会、産業技術委員会担当常務理事と連携し、活動を推進 産業競争力懇談会 会長 (代表幹事) 西田 厚聰(株式会社東芝 相談役) 実行委員会 実行委員長 住川 雅晴(株式会社日立製作所 顧問) 企業会員数:34 大学・独立法人会員数:5 4 COCNにおける2014年度推進テーマ • 2014年度の推進テーマとして、10件採択 • うち、『3次元位置情報を用いたサービスと共通基盤整備』は三菱電機株式会社が提案元 • 上記の活動目的は、総てのアプリケーションユーザが使用できる位置情報共通基盤の実現 に向け、実現に向けた課題・政策提言の実施 タイトル 革新的高機能分離素材の開発(分離・除去・吸着)) 3次元位置情報を用いたサービスと共通基盤整備 2020年の日本から広がる先端社会システムの実現(東京五輪関連) 災害対応ロボットの社会実装 食品のバリューチェーン改革 安心・安全の実現に向けた空気浄化技術 健康チェック/マイデータによる健康管理 飛躍的な生産性の向上を実現する構工法の構築 オープンデータ利活用とプライバシー保護 ゼロエミッション・マイクログリッドの実現 5 COCN『3次元位置情報を用いた共通基盤整備』の活動目的 • 総務省試算62兆円ともいわれる、将来位置情報市場における共通的な情報インフラ整備 • 情報インフラ整備として、日本全国均一、総ての国民が使える3次元の高精度位置情報共通 基盤を整備 • 2020年の東京オリンピック開催を視野に入れ、自動車等による社会実証を検討 6 COCN『3次元位置情報を用いた共通基盤整備』 活用例(1/3) 車等のスマートな移動等に関する新産業・新サービス創出 道路形状や標識等の正確な3次元位置情報の把握 ⇒ 自動運転・安全運転支援、エコドライブ、パーソナルモビリティ、ロードプライシング (高齢化対策、交通事故低減、省エネルギー、二酸化炭素削減、バリアフリー対処) 三菱MMSで取得したレーザ点群の3次元位置情報 抽出された自動運転サービス用データ データ提供:アイサンテクノロジー株式会社 ビデオ紹介 7 COCN『3次元位置情報を用いた共通基盤整備』 活用例(2/3) 災害に強い街づくりに関する新産業・新サービス創出 地物地形や災害前後の正確な3次元位置情報の把握 ⇒ 被災状況の事前シミュレーション、災害現場の状況把握、災害時の避難誘導 (地球温暖化や地殻変動に起因した災害多発への対処、複雑化する都市防災対応) 被災前 被災後 データ提供:株式会社パスコ、株式会社昭文社 8 COCN『3次元位置情報を用いた共通基盤整備』 活用例(3/3) 老朽化した社会インフラの管理効率化に関する新産業・新サービス創出 道路、橋梁、トンネル、等の正確な3次元位置情報・変状情報の把握 ⇒ 空間的・経時的な変状を全国一律に管理する社会インフラ維持管理 (インフラ維持管理費用の低減、労働力減少への対処) 路面性状(ワダチ等)の点検 トンネル内部の点検 ビデオ紹介 9 3次元位置情報利用の新産業・新サービスの在り方(検討推進中) ■モビリティ・ロボット分野 同じ高精度な3次元位置情報を使用するサービス間連携の実現に向けた、共通的な3 次元位置情報の提供手法 各サービス/単体サービスの利用領域によって異なる3次元位置情報の精度等の要求 差異への対応により、3次元位置情報整備がコスト高傾向にあることへの対応 高精度な3次元位置情報の編集、後処理作業コストも考慮した、拡張可能な更新維持体 制の構築 ■ナビゲーション分野 モノ(車、マシン等)とヒト(歩行者、高齢者等)のサービスでは使用する位置情報の意 味・情報量が異なるため、整備する3次元位置情報の仕様を共通部分と拡張部分に分 離する等を考慮した使いやすさ(含、セキュリティ)の確立 屋外と屋内、及び境界領域の3次元位置情報のシームレスな連結手法の確立 ■社会インフラ分野 人の目に見やすく、かつ、点検の効率的管理やCIMに繋げることが可能なインフラの劣 化状況の座標表示の方法 3次元位置情報を活用したスクリーニングを実施し、点検箇所を絞り込むことによって、 人の手による点検の効率化を支援等の方策検討 各種インフラの変状状況や劣化状況を、人の目に見やすくかつICT技術として活用する ために必要な地図データベースとデータフォーマットの整備 10 3次元位置情報利用の本格活用に向けた共通基盤の在り方(検討推進中) • 下記課題等について、関係府省とのヒアリング結果を併せ、検討推進中 課題 解決すべき理由、解決手段等 官民/各サービス間におけるニーズ・シーズの不一致の解消(標準化フォーマット) ①標準化の推進 ②官民協調による整備 推進スキームの構築 ③更新維持体制の構築 品質管理の仕組み 更新手法のルール化 公開方法(含、配信方法) 業界単位での要求仕様の統一 民間の競争領域と官民の協調領域の明確化 上記を踏まえた官民一体となった推進母体の設立と推進スキームの在り方 経済的合理性を有する仕組み 官民が協調して推進可能なインセンティブの在り方 各種サービスを長期に渡って提供する体制の在り方 更新の頻度とコストを含めたデータ取得の最適化手法の検討 経済的合理性を有する仕組み 現行法体系との整合性、新規法体系の整備 既存の産業・サービスとの関係性、新産業・新サービスの創出に至る検討・施策 ①~③共通の課題 セキュリティの確保(含、国家安全保障観点) プライバシー保護の確保 測位衛星による測位結果と、国が定めた国土の位置の基準(測地系)とのマッチング 国際標準化に向けた活動推進 共通基盤と各種サービスのパッケージングによる海外市場展開 11 3次元位置情報利用の本格活用に向けた共通基盤の在り方(検討推進中) • 2月提出の最終報告書に向け、新産業・新サービス、並びに共通基盤検討を推進中 (中間報告書は右記に掲載:http://www.cocn.jp/common/pdf/thema69‐S.pdf) <共通基盤整備の検討視点> ①標準化の推進 ②官民協調による 整備推進スキームの構築 ③更新維持体制の構築 12 2.新しい位置情報活用に向けたツール 高精度測位と高精度3次元位置情報 ~準天頂衛星とモービルマッピングシステム~ 準天頂衛星利用ビデオ紹介 13 高精度な測位(1/2) ~測位衛星システム(準天頂衛星システム)~ • 自己位置を知る方法の一つが衛星測位 • 測位衛星として、米国のGPSが先進性・実用性の観点で有名だが、ロシアGLONASS、欧州 Galileo、中国BeiDou、インドIRNSS/GAGAN、日本における準天頂衛星システム(QZSS)が存在 QZSS 天文航法 地上測位 測位 (位置を知る) 電波航法 GPS 衛星測位 慣性航法 準天頂衛星システム QZSS:Quasi‐Zenith Satellite System • 2010年9月に1号機打上げ(第1世代) GLONASS • 2018年度より4機構成にて24時 間連続サービス開始(第2世代) Galileo • • BeiDou • IRNSS/GAGAN 将来的に7機構成(第3世代) ビルや山間部等の天頂付近(準天頂) の空隙に配置、 GPSと同じ信号を送信 し、 GPSを補完 QZSS独自となるセンチメータ級補強信 号を配信し、GPSを補強 14 高精度な測位(2/2) ~測位衛星システム(準天頂衛星システム)~ • 準天頂衛星のセンチメータ級補強配信は衛星からの「放送型」であるため、配信元とユーザが 1:Xの関係となり、準天頂衛星の整備により、多数の爆発的ユーザ増に対応可能 • 一方向の放送型により、日本全国均一・グローバルに高精度位置情報を放送が可能 • 放送元が準天頂衛星であり、可視性が保持できる高仰角位置から放送 15 実現される高精度位置情報サービス: QZO衛星1号機(みちびき)実績(静止体) 静止体アプリケーション: 例:測量 - Average Accuracy, Horizontal: 1.25cm(RMSE) - Time to First Fix: less than 60[sec] Measurement Results of cm-class accuracy (Accuracy is provided for all area of Japan) 1 Horizontal (RMSE) 1.25cm Vertical (RMSE) 3.00cm 2 1.10cm 2.80cm 3 1.30cm 2.75cm 4 1.20cm 2.95cm 5 1.35cm 2.80cm 6 1.35cm 2.95cm 7 1.20cm 3.15cm Average 1.25cm 2.90cm Area 1 2 7 5 6 4 3 M.Saito, et al., “Centimeter-class Augmentation System Utilizing A Quasi-Zenith Satellite System”, PPPRTK & open Standards Symposium, Germany, 2012.” ” 16 実現される高精度位置情報サービス: QZO衛星1号機(みちびき)実績(移動体) 移動体アプリケーション: 例:車、鉄道、船、パーソナルナビゲーション - Average Error while a car running (100km/h) Horizontal: 2.53cm (RMSE) Vertical: 3.98cm (RMSE) Latitude Error Average -0.61[cm] Std.deviation 1.95[cm] Longitude Error Average 0.97[cm] Std.deviation 1.12[cm] New Shonan Highway (Fujisawa ⇔Chigasaki) Height above sea level Error Average -3.34[cm] Std.deviation 2.15[cm] 実証試験ビデオ紹介 M.Saito, et al., “Centimeter-class Augmentation System Utilizing A Quasi-Zenith Satellite System”, PPPRTK & open Standards Symposium, Germany, 2012.” ” 17 実現される高精度位置情報サービス: 公共インフラの情報高度化支援 鉄道分野への運行管理支援例 - 駅の前後で複線分離できるレベルの位置情報を取得可能 • 高精度3次元位置情報を活用し、従来インフラにおける、運用や管理の情報高度化を促進 • 適用例として、①正確な列車位置把握による信号機等の削減、②インフラ管理の効率化、等 鉄道車両の高精度測位例 線路 測定データ 運行管理センタ <鉄道分野の市場規模> • • 保有車両:約4万両 (※) 総路線距離:約2万km (※) 金井、横山(東日本旅客鉄道),角谷、加賀谷、他(三菱電機) 、“埼京線E233系を用いた準天頂衛星による高精 (※)出典: 度測位の評価”, 第51回鉄道サイバネ・シンポジウム、2014年11月 http://www.geocities.jp/gargoyle6325/ote.html 18 高精度な地図 ~モービルマッピングシステム • • • • • • 高精度GPS移動計測装置 3次元位置情報の高精度点群データ構築 GPSアンテナ、レーザースキャナ、カメラなどの機器を車両に搭載 レーザ点(位置座標)にカメラ画像(色)を合成 走行しながら道路と周辺の3次元位置情報を高精度で効率的に取得出来るシステム 世界測地系座標準拠により、3次元GIS(地図情報システム)への展開も容易 各レーザ点群の 緯度・経度・高さ精度 絶対精度:10 [cm] 相対精度:1 [cm] 19 3.今を支える。そして未来への挑戦 20 今を支える。そして未来への挑戦 • 人口減少や雇用の場の縮小、自然災害多発といった課題に際して、 持続的な成長と経済の好循環化を考慮して、対処しなければならない。 • 障碍者、高齢者、子供、あるいは外国からの観光者でも安心して移動 できるサポート環境が整備されていれば、未来のまちの在り方を世界 に示すモデルになるに違いない。 • これらの課題解決の鍵となるのが地理空間情報であり、ICTと衛星測 位インフラを中核として、3次元位置情報の共通基盤を生成していく必 要がある。 • 日常の文房具のように、人々がスマートフォンやウェアラブルコン ピュータ等の端末を使い、無意識に衛星を利用している日も近いと信 じている。気が付けば「手のひらに宇宙」、豊かな住環境構築に寄与 するための挑戦を続ける。 21