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Wordの定石 A4 一枚文書
Word の定石 A4 一枚文書 ※本連載は Word 2007/2010 の操作を解説します(画面は Word 2010 です) ビジネス文書は A4 用紙一枚にスッキリとまとめ るのが理想。とはいえ、Wordでは文章が 1ペー ジに収まらず、苦労することも多い。文章は削り たくないし、レイアウトも崩したくない。今回は そんな悩みを解決する、定石のテクニックを紹 介しよう。 第 1 回 ページ設定で A4 用紙を有効に使う 伊佐 恵子 テクニカルライター Word の新規文書は、A4 サイズに 目の半分近くまではみ出している。 比べると、明らかに A4 一枚の方が 設定されている。用紙は縦置き、文 こうなると、つい修正を諦めがちに スマート。ぜひ、このテクニックを 字は横書きになっているので、たい なるが、文書を 2 枚に印刷するのは 身に付けていただきたい。 ていの文書はそのまま書き始められ 絶対に避けたい。大きな空白を残し る。文字を入力したら、タイトルや た 2 ページ目は野暮だし、何より紙 1ページの文字量を増やす 見出しを目立たせるなど、読みやす の無駄。さらに、報告書を A4 一枚 「 あふれ現象 」の主たる原因は、 くレイアウトしていけばよい。 にまとめられない無能ぶりを、社内 Word のページ設定にある。初期設 図 1 は、その手順で作成した社内 にさらすことにもなる。 定で、用紙の余白と行間が広めに取 向けの報告書。見やすいレイアウト よく起こる問題には、必ず適切な られているため、1 ページに入力で になっているものの、残念ながら文 解決方法がある。それが言うなれば、 きる文字量が少ないのだ。 章が 2 ページ目にあふれてしまった。 Word の定石テクニックだ。実際 2 新規文書を確認すると、上の余白 この「あふれ現象」は、Word の文書 ページ目にはみ出した文章は、この が 35mm、下と左右の余白が 30mm 作成でよく起こる問題だ。 定石(2 つの設定変更)で 1 ページに に設定されている(図 3) 。これは実 報告書の例では、文章が 2 ページ 収めることができた(図 2) 。両者を に A4 用紙の 44% を占める面積。つ ●簡単な設定で文書はA4一枚に収められる 図 1 Word の初期設定では、余白 や行間が広めに取られている。その ままレイアウトすると、文章が 2 ペ ージになってしまうことも多い 図 2 ページの余白を狭め、さらに行間を詰 めることで、文書は難なく一枚に収まった 日経パソコン 2012.4.9 77 中 級 記事に関連したファイルを、 「読者向けページ」からダウンロードできます まり文字を入力できる領域は、56% ントなので、文字は比較的ゆったり レイアウトが崩れたりしては元も子 しかないことになる。 した間隔で配置される(図 4) 。 もない。設定のコツを紹介しよう。 さらに初期設定では、1 ページの もうお分かりのように、文章を 1 行数が 36 行、行送りは 18 ポイント ページに収める定石とは、 「余白」と まず「余白」を狭くする と決められている。 「行送り」は 1 行 「行間」の 2 つを調節して、ページの 2 ページ目に文章があふれたとき の高さを示す数値で、Word では「行 文字量を増やすこと。A4 用紙を有 は、初めに余白を調節する。これだ 間」とも呼ぶ。標準の文字サイズは 効に使うテクニックだ。ただし、そ けで、文章が 1 ページに収まってく 10.5 ポイント、1 行の高さは 18 ポイ のために文章が読みにくくなったり、 れる可能性もあるからだ。ポイント は、上下左右の余白をバランス良く ●文書の初期設定スタイルはこうなっている 図 3 新規文書のページ設定。余白との境界はグレー の線で確認できる。 なお、 行数は標準の文字サイズ (10.5 ポイント)で入力した場合 35mm 30mm 30mm 減らすこと。さらに、余白を狭くし すぎないこと。用紙の端近くまで文 字が表示されると圧迫感があるし、 文章も読みにくくなる。ビジネス文 図 4 標準の文字サイズは 10.5 ポイント、行送り(行 間)は 18 ポイントに設定されている 書の場合、15mm 以下にしない方が 無難だ。もちろんこれは原則なので、 状況に応じて調節する。 36 行 10.5 ポイント 余白の設定は、 「ページレイアウ ト」タブの「余白」で行う。 「余白」 をクリックすると、メニューにいく 18 ポイント で、この中から取りあえず「やや狭 い」を選んでみてもよい。 30mm ●本文の領域を一気に広げる つかの設定パターンが表示されるの 余白を数値で指定する場合は、メ ニューから「ユーザー設定の余白」 図 5 ページ全体の設定は「ペー ジレイアウト」タブで行う。余白 を数値で設定する場合は、 「ページ レイアウト」タブの「余白」から「ユ ーザー設定の余白」を選択する を選択する(図 5) 。 「ページ設定」ダ イアログボックスが表示されたら、 上下左右の余白をそれぞれ設定しよ う。この例では、上と左右の余白を 20mm、下の余白を 15mm に変更し た(図 6) 。 これで余白が減り、文字の入力領 域は 71%に広がる。一度「OK」ボタ ンをクリックして編集画面に戻り、 文章が 1 ページに収まったか確認し てみよう。まだ 2 ページ目に文章が あふれている場合は、さらなる調整 が必要だ。実はこの例では、下余白 を 一 度 20mm に 設 定 し、 さ ら に 図 6 上下左右の余白をそれぞれ設定する。余白を狭め ると、本文の領域が広がる 78 日経パソコン 2012.4.9 15mmに変更した。 余白をこれ以上狭めたくない場合 Word の定石 A4 一枚文書 ●行間を狭めて文字量を増やす 「行送り」を初期設定の「18pt」から 図 9 本文の領域が広がり、行間が狭まった。これで 2 ペー 図 7 「文字数と行数」タブを開く。上下の余 図 8 「行数」は自動的に「46」 ジにまたがっていた文章は 1 ページに収まった。余白や行間は、 白調整により、 「行数」は初期設定の「36」行 「16pt」に変更する。 行に増える から「41」行に増えている 文章量に応じてそのつど調節しよう は、次の一手。行間を狭めて、1 ペ ●余白はドラッグで微調整できる ージの文字量を増やそう。 「行送り」か「行数」を調節 行間の設定も余白と同じく「ペー 図 10 余白はルーラー上でも 変更できる。境界部分にマウ スポインターを合わせ、両矢 印に変わったところでドラッ グすればよい。微調整したい ときに便利 ジ設定」ダイアログボックスで行う。 ダイアログボックスは、 「ページレイ アウト」タブの「ページ設定」という 表示の右にある、小さな矢印ボタン をクリックして開くことができる(図 9 の赤丸で囲んだボタン) 。 ダイアログボックスが表示された ら「文字数と行数」タブを開き、現 在の設定を確認しよう。報告書では に増えた。これで報告書の文章は、 に紹介しよう。 上下の余白を狭めたため、1 ページ 無事 1ページに収まった(図 9) 。 なお、あと数 mm で文章が収まる、 の「行数」が初期設定の「36」行から 「文字数と行数」タブでは「行送り」 という状況なら、余白をドラッグで 自動的に「41」行に増えている。た と「行数」のどちらを調節しても構 微調整する手もある(図10) 。 だし「行送り」は初期設定の「18pt」 わない。例えば「あと 2 行増やした のままだ(図 7) 。 い」なら、 「行数」を増やした方が簡 テンプレートで設定を省略 ここでは行間を狭めるため、 「行 単だ。その場合「行送り」は自動変 文書を作るたびに余白や行間を変 送り」を「16pt」に変更した(図 8) 。 更される。ちなみに「行送り」の下 更するのが面倒、という場合は、好 「行数」と「行送り」は連動している 限は「14.3pt」 。用紙全体の行間をこ みのページ設定を「テンプレート」 ので、どちらか一方を手動で変更す こまで狭めると、窮屈な印象になる。 として保存するのがお薦め。 ると、もう一方の数値が自動的に変 編集画面で部分的に行間を調整した まず、白紙の文書で余白や行間を わる。この例でも「行数」が「46」行 方がよい。そのテクニックは、次回 よく使う設定にする。次に「ファイ 日経パソコン 2012.4.9 79 中 級 ル」タブの「名前を付けて保存」を ●繰り返し使うならテンプレートとして保存 選択。ダイアログボックスで「ファ 図 11 白紙の文書でペ ー ジ イルの種類」に「Wordテンプレート」 の「名前を付けて保存」を選択。 ダイアログボックスで「ファ 設定を行い、 「ファイル」タブ を選ぶ。後はファイル名と保存先を イルの種類」に「Word テンプ 指定すればよい(図11) 。 レート」を選ぶ。ファイル名 と保存先を指定して「保存」ボ テンプレートを利用するときは、 タンをクリック 保存したファイルをダブルクリック する(図12) 。これでテンプレートは 新規文書として開く。余白や行間な どは設定済みなので、そのまま文書 図 12 テンプレ ー トフ ァ イ ルが作成された。利用すると きはダブルクリックで開く を作っていける。なお、テンプレー トをWord の「開く」や「最近使用し たファイル」から開くと、テンプレ 2 ートファイルそのものが開く。新規 文書にはならないので注意しよう。 Word から新規文書として開きた 「Templates」フォルダー に保存した場合 1 い場合は、テンプレートファイルを 「Templates」フォルダーに保存する (図 11) 。開くときは「新規作成」で 3 「マイテンプレート」をクリックし、 ダイアログボックスでテンプレート を選べばよい(図13) 。 余白を効果的に使う ●余白をただのスペースにしない活用法 見てきたように、A4 一枚の文書 では余白を狭めるのが定石のテクニ 図 13 テンプレートファイル を「Templates」フォルダー に保存すると、 「ファイル」タ ブの「新規作成」から開ける。 「マイテンプレート」をクリッ クし、 ダイアログボ ッ クスで テンプレートを選択。「OK」ボ タンをクリ ッ クすれば、 新し い文書として開く 図 14 余白にはヘッダーやフ ッ タ ー を挿入できる。 本文と は別の領域なので、 文書番号 など補足事項を表示するのに よい ック。でも、逆に余白を広く取って 利用することもできる。 例えば上下の余白には、本文から 独立した領域「ヘッダー/フッター」 を挿入できる(図14) 。文書番号など の補足事項を表示するのに、ちょう 右余白 どよいスペースだ。ヘッダーとフッ ターの使い方についても、回を改め て詳しく紹介する。 図 15 はセミナーで配布する資料。 文字量が少なかったため、A4 用紙 を横置きにして右余白を極端に広く 取った。空いたスペースは、受講者 が書き込めるメモに利用している。 80 日経パソコン 2012.4.9 図 15 余白はメモスペースにも利 用できる。 セミナ ー の資料では、 参加者が書き込めるように右余白 を広く取った。「Memo」の文字は テキストボックスで配置している