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No.2 - 愛知学泉大学
№ 2 2013.3 ある大型マンションで開催されたロビー講座 川崎市武蔵小杉の大型マンション シリーズ 「地域社会デザインを考える」 ① ●マンションコミュニティと地域をつなげる二つのアプローチ 今回は、都市の大型マンションのマネジメントの現場から、見えてきたことを報告したいと思います。 マンションに関する基本的な法律として、区分所有法(1962)がマンション内部の権利義務関係を明確化す ることを目的として決められています。この区分所有法の中で、マンションの管理を行うための区分所有者全員 からなる団体が管理組合として定められています。従来の地域コミュニティ(町内会・自治会)とマンション居 住者の関係が、都市部においてよく問題として指摘されますが、特に決まった対処法があるわけでありません。 一般にマンション居住者は、近隣関係に対して消極的であると思われがちであるにもかかわらず、新しくでき た大型マンションの場合、管理組合の役員は順番に務めることも多く、組織運営に平等性と民主性が重んじられ ていることが多いようです。 最近の大型マンションのアンケート調査によれば、管理組合の役員経験者の中から地域の活動に関心を広げる 人が少なからず現れるという報告もあります。 [注 1] 従来の戸建て住宅地の町内会の人材不足と高齢化による衰退が問題となる昨今、マンションコミュニティの人 材が持っている経験を活かす方法として二つのアプローチを思い描いてみました。一つは、既存の町内会に何ら かの方法で共有財産のような共同管理の対象となる資産を持たせることで、地域の管理主体であることを明確に すると同時に、積極的にマンションコミュニティに働きかけ、町内会役員にマンションコミュニティ出身者を迎 えていく戦略です。いわば、町内会の管理組合化です。もう一つのアプローチは、制度的な地域自治組織を立ち 上げ、町内会関係者だけでなく、積極的にマンション運営経験者を地域自治組織に組み入れていく戦略です。そ の際、同時にマンションの管理組合のネットワークをつくるなどして管理組合自体を地域に対して開いたものに していくことも重要です。こちらはマンションコミュニティの地域自治組織化といえるでしょう。 いずれにしても法的な規程のない現在の町内会組織に対して、継続的な人材育成と地域マネジメントを目的と した人材調達を期待することは難しく、都市部では今や3割近い人が暮らしているマンションコミュニティにそ の可能性を求めることは時代の趨勢と言えるのではないでしょうか。 [注 1] 「コモンズからの都市再生-地域共同管理と法の新たな役割-」 高村 学人 著 ミネルヴァ書房 2012.12.10 (文・伊藤 雅春) 第2回 日 時 :2012 年 12 月 19 日(水)13:30~14:15 報告者 : 畑田 康則 先生 テーマ : 「北京第二外国語学院 集中講義 2012(11/06~11/08)についての報告」 Q:講義された内容について簡単にお話ください。 A:事前にカリキュラムを見て、講義のテーマ・課題を設定しました。しかも、専門領域に深入りするこ とを極力避け、新聞の社説程度の講義を心がけました(?) 。 「 (第 1 日目)経済のグローバル化と現代経済学」と題して、グローバル経済下での「市場の自由競争」 が何をもたらすかは、決して自明のことではないとの認識のもとで、グローバルな資本主義国をグロー バルな共産主義国が支えているというある意味では奇妙な現状や景気拡大・財政健全化・金融市場の安 定化は同時には達成出来ないことについて論じました。 「 (第 2 日目)グローバル化時代の企業マネジメントの特徴=VBM(Value Based Management) の世界的な普及化」と題して、マクロ経済政策からミクロ経済=企業マネジメント重視へ移行している 現状を説明するとともに、VBM理論では、もはや価値、資本、コスト、利潤の概念は消え失せ、現実 においても「貨幣が貨幣を生む」という“識”のみが、擬制客観として支配していることを説いた。V BMの本質がニヒリズムであることを結論づけた。 「 (第 3 日目)新しい経済社会の構想にむけて=近代(西洋的)合理主義の特質と東洋思想による革新 の可能性」では、近代の西洋的価値観(個人主義、近代化、民主主義等々)=「個人の自由」や「経済 的豊かさ」は拡大すればするほど良いというのは本当に正しいことかどうかを問うてみた。一般的に、 科学の成立要件としては、 「客観性」 、 「没価値性」が重視される。しかし、自然科学とは違い、社会人文 科学では、それが人類の幸福を考える科学であるゆえ、 「価値」の問題を排除することもできないことも 事実。よって、そこでは、 「価値の純化」が求められることになる。そもそも、国民・民族には、それぞ れ固有の自然観、歴史観、人生観、死生観があり、それらが共通の価値を形成するものである。ここに、 「価値の純化・無化」ための一つの方法として、東洋思想の鉱脈=足元を掘り進めることの意義を提起 し、講義を終えました。 Q:どのような質問がありましたか。 A:後で分かったのですが、将来外資系の企業で働きたいと願っている学生諸君が多いようで、そうした こともあり、 「中国が先進資本主義諸国を支えている、その経済構造の特徴」や「現代のアメリカ型マネ ジメント手法の問題点」に関する質問がいくつかありました。 Q:二外の学生諸君についての印象はいかがでしたか。 A:そうですね。日本のようにアルバイトをしている学生は殆どいませんでしたね。本当にそんなヒマが ないそうです。深夜でも、大学の自習室や図書館に向かう学生が大勢いたのは印象的でした。また、外 国語+経済学、経営学あるいは社会学をマスターしようと考えている学生が多いようでした。卒業後は 主に海外の大学院に留学する学生が多いとのこと。もちろん、日本語はそれなりにしっかりマスターし ていました(3 年生で、全員が 1 年以上の海外留学を経験しているそうです) 。 Q:観光はされたのですか。 A:北京市の郊外にある「抗日戦争記念館」に行って来ました。勉強になりました。将来、日中共同で日 本分館ができればいいのになあ。 (文責:畑田 康則) 2 NPO ゼミナールについて <とよた NPO 大学> 平成 21 年からとよた市民活動センターと協働して、本学教員が講師を務めて地域の市民活動団体を対象 に「とよた NPO 大学」を開催している。今年度は IT と会計に関する各 2 回ずつのマネジメント講座を実 施し、NPO やボランティア団体の実務者や、市民活動に関心のある市民の方々にご参加を頂いた。大学の 教室やパソコン等の機材を活用して、実践的な講座を定期的に提供している。 ① 10 月 13 日 「ITコンサルティング ブログ編」 講師:飯田博 教授 ② 11 月 17 日 「ITコンサルティング ムービーメーカー編」 講師:今泉充啓 教授 ③ 2 月 2 日 「決算&事業報告書を作ろう!①」 講師:馬場英朗 准教授 ④ 2 月 16 日 「決算&事業報告書を作ろう!②」 講師:馬場英朗 准教授 <とよた NPO ゼミナール> 学泉祭 また今年度は新たに、専門ゼミの授業時間に市民活動団体から 6 名の実務者を招き、学生と教員が講師を 務めて NPO 会計を一緒に学ぶ「とよた NPO ゼミナール-丸ゴト学ぶ!NPO 会計」を実施した。これは 複式簿記や決算書作成、税務など、NPO 会計に関する一通りの知識を体系的に学べるように、学生も参加 しながら講座の内容を企画し、NPO 等の会計実務者にレクチャーするという試みである。 その後、ゼミナールへの参加団体である NPO 法人いさとスポーツクラブさんから、会計ソフトの導入に 困っているという相談を受けて、一部の学生が自主的に会計ソフトの設定と入力をお手伝いするという課外 活動へと広がった。ちょうど会計事務所にてインターンシップを行い、会計ソフトの入力作業を経験した学 生もいたが、団体の活動内容などを確認しながら会計ソフトの設定を行うのは初めての経験であり、試行錯 誤しながらも団体の方々と交流し、楽しみながら作業を実施した。学生が積極的に地域の方々と接し、大学 で学んだ専門知識を生かす場となった。 (文責:馬場 英朗) 会計ソフト導入支援 とよた NPO ゼミナール 3 昨年度の学泉祭は、例年から大きく体制を変え様々なことに挑戦しました。ステージを二つに増やしたり、メイン 開場の場所を変えたり、「夢人~DREAMERS~」というテーマを掲げ、学泉祭に革命を起こしました。結果、集客数 が増えるなどのメリットがありましたが、デメリットもありました。昨年のデメリットをなくしメリットを活かせるように、 今年も実行委員会は挑戦し続けます。 平成 25 年度 学泉祭実行委員長 4 現代マネジメント学部 2 年 大山 央人 安城学園 100 周年記念・地域社会デザイン総合研究所発足記念 シンポジウム報告 「豊田市が直面する課題と今後の展望-豊田学の構想に向けて」 日 時 : 2013 年 2 月 11 日(月) 13 時 30 分~16 時 15 分 場 所 : 豊田産業文化センター 小ホール 内 容 : (1) 基調講演 豊田市長 太田 稔彦 氏 「豊田市が直面する課題と今後の展望」 (2) 質疑応答(代表質問者) 1.愛知学泉大学経営学部 准教授 高橋 邦之 「豊田市の雇用問題について」 2.愛知学泉大学現代マネジメント学部 講師 松岡 崇暢 「豊田市の中山間地域問題について」 3.愛知学泉大学現代マネジメント学部 教授 伊藤 雅春 「豊田市の市民共働政策について」 まずはじめに、太田市長にお願いした豊田市政全般にわたる講演は、スライドを使いながら、随所に市 長の思いがこもった、学生たちにもわかりやすく興味深い内容であったことを報告し、太田市長には心よ りお礼申し上げたい。 当日は大きく4つのテーマが語られた。最初に合併によって豊田市が抱えることになった森林・山とい う自然資源の課題、二点目に環境をテーマとした「スマートコミュニティ」と交通政策の課題、三点目に ものづくりをテーマとした「イノベーションセンター」等の課題、四点目として「暮らし満足都市」とい う課題である。豊田市の重点課題である「森林」 「環境」 「ものづくり」 「暮らし」というこれら4つのテ ーマを関連づけて生み出す価値「ハイブリッド・シティ・とよた」が全体のキャッチフレーズというわけ である。 とりわけスライドの中では、冒頭に見せられた 2010 年の東海豪雨の際の矢作川の氾濫の写真が印象 的であった。豊田市の市街地と中山間地が矢作川でつながっていることに注意を喚起し、豊田市らしい豊 かなライフスタイルに思いを馳せる市長の気持ちが伝わる講演であったといえる。平成 17 年 4 月、7つ の市町村が合併をして以来、都市と農山村との共生は豊田市政のライフワークとなっていることを改めて 理解することができたのである。講演の中で「この合併をどう捉えるのかというのは、実は私としてはか なり深みのある話だなと思っています。それは何となく自分達の生き方そのものにも関わってくるような、 単なる便利だ不便だ、効率的だ非効率的だというような、いわゆるよくある価値判断ではないところで何 か捉える必要があるような、そういうテーマだという風に思っています」と語られた言葉は、太田市長の 今後の方向性を端的に表していて興味深い。 豊田市における豊かな暮らしとは何かを改めて考えた時、 「ハイ ブリッド・シティ・とよた」を標榜する一方で、とよた山里暮らし 通信員「おいでん・さんそんず」や「豊森なりわい塾」がキーワー ドとして提唱する「くらし・つとめ・なりわい」 のバランスのとれたコモンズとしての価値にこ だわる市長の姿勢が心に残った。最後に、市長 が高校時代に見たNHK特集「世界で2番目に 貧しい国」として紹介されたブータンの印象と 豊田市の中山間地域の暮らしの課題を重ね合わ せて語ったエピソードは、当研究所が豊田学を 構想する際の貴重なヒントであると思ったこと を問題提起とし、 シンポジウムの報告としたい。 (文責:伊藤 雅春) 5 雑感:コミュニティ社会における自治会長の活動 経営学部教授 城田 吉孝 筆者は平成 23 年 1 月 3 日から平成 25 年 1 月 3 日まで自治会長として活動した。 その活動から地域社 会の一端を紹介する。自治会長は 1 月 3 日の定期総会にて選挙で選出され任期は 2 年。自治地区は森忠、 140 世帯が 9 つの班に分かれている。会費は月額 1,000 円である。 Ⅰ.自治会長の主な仕事内容 1.自治会活動の総括:9 班に分かれているのでそのマネジメント 2.桑名市・三重県行政に係わる文書の配布:市や県の広報誌、交番だより、これがたくさんある。 3.共同募金・日本赤十字募金運動(日本赤十字協賛委員委嘱) 4.関係団体との調整:子供会(地蔵盆、ドンド焼き) 、社会福祉協議会(防犯パトロール)、消防団 (金銭的援助) 5.ゴミ減量啓発のための資源ごみ管理:推進員として(毎月第 2 水曜日 5 時 45 分から 8 時 30 分) 6.農家組合(原材料支給)との協力 7.小学校・中学校への協力(特別PTA会費や通学路について) 8.神社の祭礼への参加、氏子・宮守班と共同で管理(ほぼ毎月1回ある) 〔神社の祭典〕1 月:歳旦祭、厄除祭、成人祭、諸役就任奉告祭、2 月建国祭、祈念祭、3 月:春分 祭、4 月:結婚などの奉告祭、6 月:大祓式、7 月:夏祭、御嶽祭、9 月秋分祭、10 月例大祭、11 月:文化祭、新嘗祭 12 月:八天宮祭、天長祭、大祓式、除夜祭 12 月 31 日の篝火の責任者、門松の梅や松の木の相談 9.会員葬儀の参列 10.墓地管理:盆提灯の処理 11.七和連合自治会への協力 12.自転車放置・不法投棄の処理 13.防犯灯の取替・修理依頼(毎月Ⅰ-3件ある) 14.公民館の管理 15.会計へ伝票起票 16.防犯パトロール 17.役員会の開催 18.桑名市への土木工事の要望 19.回覧の準備 20.住宅開発による排水など環境変化にともなう住民集会の設定や境立会 Ⅱ.自治会長(役員)として 自分の生まれたところで、親も子供もみんな知っているのでやり易いこととやりにくいことがある。 家族からあまり出しゃばらずないようにと釘を刺される。人の意見をよく聞くことが大切である。一人 ではできず家族の協力が必須であった。 運転免許保持、パソコン能力、みんなと仲良く・できるだけ敵を作らない、威張らない・気配りが求 められるように思う。そして、当然だが公平で、きちんとNOということも大切である。 自分の住んでいる地区を良くする住みやすい街にするために、例えば新しい防災組織を提案して実施 するには相当のパワーを必要とするので次の役員に委ねた。 地域をデザインし実行に移すには、問題はどの地区でも同じようであるが少子化、高齢化、一人住ま いの増加が浮き彫りになってきている。しかしそれに対してどうするかは切羽つまらないとよい知恵が 生まれない。神社の祭典や神社の維持管理も大変になってくる。伝統文化の引き継ぎと信仰は難しい問 題であると思う。地域の人々と久しぶりに話をしたり親のことが話題となり懐かしく思った。 最後に、人には親切に真心を持って接するように心がけた。 (平成 25 年 3 月 5 日) 6 平成 24 年度 経営学部 卒業研究テーマ一覧 *コミュニティ政策学部の 「卒業研究テーマ一覧」 につきましては、 機関誌 「コミュニティ」 第 16 号 (2013 年 3 月 15 日発行)に掲載されております。 № 学生氏名 卒業研究テーマ № 学生氏名 卒業研究テーマ 1 天野 智裕 NBAの人材雇用と経営戦略 35 高柳 大樹 コンビニ業界の強み 2 伊藤 宅哉 会計制度の歴史と現状 36 竹下 寿和 パチンコシミュレーション 3 伊藤 真依 日本におけるNPOバンクの現状と課題 37 張 浩明 VBによる教育アプリケーションの作成 4 伊藤 ゆかり 玩具業界の販売戦略について 38 翟 婉露 中日ネットショッピング市場についての研究 5 伊吹 菜摘 信用金庫の歴史と今後の展開 39 鳥居 紀宏 コカコーラのマーケティング 6 岩上 孝次 電子マネーから広がる経営戦略の一考察 40 中 拓二 日本と欧米各国の自転車市場規模の比較 7 于 洋 日本と中国の文化(特に家族のあり方、働き方)の面 からの違いについて 41 永谷 大 音楽ビジネスについての研究 42 中野 光雄 ケータイ社会-世の中を変える通信業界- 8 太田 栄樹 インターネット時代の消費者行動に関する研究 9 大谷 友秋 旅行業界 JTBと近畿日本ツーリストの比較 43 中村 彩 ユニクロの経営戦略 10 大野 英祐 「資生堂」と「花王」の経営戦略 44 西尾 敏宏 通信販売とダイレクトマーケティング 11 大橋 祐哉 Java3Dオリジナルグラフィックス制作 45 西澤 航平 日本のバスケットボールの未来 -沖縄バスケのマネジメント- 12 大山 泰弘 プリウスの人気の理由 インサイトとの比較分析 46 野崎 卓 日本におけるプロ野球球団経営について考える 13 岡本 貴大 ベンチャー企業のこれからの経営 47 平野 弘貴 モチベーションについて 14 小野 美幸 起業家としてのスティーブ・ジョブズ 48 舩戸 大地 15 加藤 太一 ヤマト運輸と日本通運の営業比較 「関係性」とその研究 -マーケティング論、企業間関係論を通して- 16 加藤 万里江 ユニクロとH&Mの歴史とマーケティング戦略 49 蒿 晓亮 日中の再生可能エネルギーについて 17 菊田 光紘 アパレル企業の経営戦略 50 本多 保光 VBAによる待ち行列シミュレーション 18 北谷 侑也 ゴム産業について 51 前田 正輝 経営理念・ビジョンが組織や企業にもたらす効用 19 姜 輝 中国自動車産業と日本の自動車産業トヨタ 52 松元 一総 JBLとbjリーグの比較 20 国本 貴弘 世界の自動車市場について考える 53 水野 早姫 アパレルの経営戦略 21 久野 友也 日本一のお酢メーカー・ミツカンの経営者 54 箕浦 佑介 プロモーション戦略について 22 小金沢 直人 タマホームの経営戦略に関する一考察 55 森 千帆美 ファッションビジネスについて 23 小城 紀明 ビジネスチャンスとしての環境問題と自動車メーカー 56 矢野 喬之 ドラッグストアのマーケティング戦略 24 小寺 潤 テレビ産業の研究 57 山口 昭則 日本における公的保険制度の将来展望 25 佐々木 伸之 サッカーチームの経営について 58 横井 達也 リーガ・エスパニョーラの経営的問題点 26 佐藤 章範 牛丼業界について 59 李 亜敏 トヨタ生産方式とTOC理論の比較研究 27 柴田 千紘 化粧品業界の戦略 60 渡邉 丈士 東北楽天イーグルスの経営戦略 28 嶋田 暖冬 兵庫県の特産品の研究 61 岩田 光平 東京ディズニーリゾートの経営について 29 榛村 拓実 音楽業界についての研究 62 伊藤 竜樹 Unity3Dによる3Dコンテンツ作成 30 杉本 勇人 HARLEY-DAVIDSON JAPAN 経営戦略 63 李 東勲 サムスンの成長要因と問題点 31 鈴木 健太 経営の精神に関する研究一考察 64 神谷 秀一 電子書籍のマーケティング 32 鈴木 太輔 スポーツビジネスについての研究 65 姜 惠英 現代自動車のマーケティング戦略についての一考察 33 鈴木 雅人 スポーツビジネスについての研究 66 杉浦 正寛 貿易による経済の変化 34 高井 勇太 製品戦略について 67 金 宗鉉 競争力あるブランド資産は何か? 7 コミュニティ政策学会 第 12 回(福島)シンポジウム報告 テ ー マ :「原発災害とコミュニティ政策-福島県の避難市町村の現場から-」 開催日時 : 2012 年 12 月 22 日(土) 13 時 30 分~17 時 00 分 開催場所 : 福島大学 共通講義棟 M棟 1 階 M-2 教室 共 催 : 福島大学(福島大学うつくしまふくしま未来支援センター設立 2 周年シンポジウム) ● 開催主旨 原発事故によって住民の域外避難を余儀なくされた福島県の被災自治体、帰還への思いは切実だが、事故発生 から 1 年半以上が経過し、ある自治体は「帰還宣言」をし、ある自治体は「5 年間帰れない宣言」をするなど、 復興計画の方向は大きく分かれている。また国による避難指示区域指定が複雑に分かれた自治体もある。福島の 現場から、住民の帰還、そして自治体とコミュニティの再建といういわば極限のコミュニティ政策を考える。 ● シンポジスト報告 (1) 帰還宣言の村:川内村(双葉郡川内村復興対策課長 井出 寿一 氏) (2) 5 年間帰れない宣言の町:大熊町(双葉郡大熊町企画調整課課長補佐 幾橋 功 氏) (3) 避難指示区域指定により分断が続く市:南相馬市(南相馬市復興企画部企画課長 牛来 学 氏) (4) 総括的コメント コメンテーター:山川 充夫 氏 (福島大学うつくしまふくしま未来支援センター長/福島大学経済経営学類教授) 「放射線の問題については絶対に引き下がれないという住民の覚悟がある」と氏は訴える。安心を取り戻すた めには、住民自身による放射線量の測定が欠かせないと言う。そして、その場合には、コミュニティが一定、し っかりしている必要があるという指摘は興味深い。住民自らが放射線量を量り、自分達で暮らし方をマネジメン トするにはコミュニティの力量が問われるのである。 単純に除染ができても人々は帰ってこない。そこには教育の問題、医療の問題、雇用の問題が背景にあるとい う指摘の意味は重い。 「福島が失ったものは何か、誇れるものを失ったということであります」との言葉に対して は、返す言葉がない。福島の復興は単なる物理的な問題ではすまない、深く長い時間を要する問題を私たちに突 きつけている。帰宅困難地域、居住制限区域、避難指示解除準備区域など線引きによる自治体、地域の分断とい う問題の中で、地域を出た人も出なかった人も実は同じ悩みを抱えこんでいることがわかってきたという報告は、 今回の福島の問題の複雑さと深刻さを表現してあまりある。 ● パネルディスカッション 福島大学の支援センターからは、原子力災害を受けた市町村に対してセンター員 2 名を張り付けていること、 コーディネーターを独自に 2 名配置して自治体支援に取り組んでいること、サテライトを川内村、南相馬市に設 置し、各世代の住民意向を汲み取るよう努力していること、各種研究機関と現場との窓口として調整役を果たし ていることなどが報告された。最後にそれぞれの市町からは今後の課題として以下の点が指摘された。 ・川内村:双葉 8 ヶ町村の復帰による広域行政の回復が今後の課題。 ・大熊町:何とか帰るための施策を今後考えていきたい。 ・南相馬市:若い世代をどう帰還させるかが本当に課題となる。 以上、今回のシンポジウムはコーディネーターの牧田氏により、 「コミュニティに携わるものにとって正に根源 的な問が突きつけられている」という言葉で締めくくられたのである。 (文責:伊藤 雅春) 地域社会デザイン総合研究所だより No.2 発 行 愛知学泉大学地域社会デザイン総合研究所 2013 年 3 月 15 日 編 集 地域社会デザイン総合研究所運営委員会 8