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試験問題・正解

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試験問題・正解
【第 23 回検定 2 級実技試験】
(はじめに)
すべての問題文の条件設定において,特に断りのない限り,他に特殊な事情がないものとし
ます。また,各問題の選択枝における条件設定は独立したものと考え,同一問題内における他
の選択枝には影響しないものとします。
特に日時の指定のない限り,2015年9月1日現在で施行されている法律等に基づいて解答し
なさい。
1
自動車部品メーカーX社は,技術者甲が独自に創作した新しい自動車部品の形状に関する発
明Aについて,特許出願Pをした。特許出願Pについて,甲がX社の知的財産部の部員乙に質
問したところ,乙は発言1をした。
発言1 「特許出願Pに対して出願審査請求をすることにより,原則として出願審査請求順に審
査官により審査が行われます。」
さらに,甲は,特許出願Pの出願後であって出願審査請求前に,発明Aに関連する発明Bを完
成した。特許出願Pの出願時における特許請求の範囲,明細書及び図面のいずれにも発明Bは記
載されていなかった。発明Bについて,乙は発言2をした。
発言2 「特許出願Pの出願日から3カ月しか経っておらず,出願審査請求をしていません。発
明Aと発明Bとは,発明の単一性を満たす関係にあるので,新たに特許出願をするこ
となく,発明Bを補正により特許出願Pの明細書に追加して記載することが可能で
す。」
その後,特許出願Pに対して拒絶理由通知がされた。この拒絶理由通知について,乙は発言3
をした。
発言3 「発明Aに係る製品は人気車種に採用された重要な部品ですので,是非とも権利化した
いものです。発明Aは自動車部品の形状に係る発明ですので,意匠登録出願に変更し
ましょう。」
以上を前提として,問1~問6に答えなさい。
問1
発言1について,適切と考えられる場合は「○」を,不適切と考えられる場合は「×」を,解
答用紙に記入しなさい。
問2
問1において,適切又は不適切と判断した理由として,最も適切と考えられるものを【理由群
Ⅰ】の中から1つだけ選び,対応する記号を解答用紙に記入しなさい。
1
【第 23 回検定 2 級実技試験】
【理由群Ⅰ】
ア
先願主義が採用されているので,審査は原則として出願日順に行われるため
イ
出願審査請求制度が採用されているので,審査は原則として出願審査請求がなされた順に行
われるため
ウ
出願公開請求制度が採用されているので,審査は原則として出願公開請求順に行われるため
問3
発言2について,適切と考えられる場合は「○」を,不適切と考えられる場合は「×」を,解
答用紙に記入しなさい。
問4
問3において,適切又は不適切と判断した理由として,最も適切と考えられるものを【理由群
Ⅱ】の中から1つだけ選び,対応する記号を解答用紙に記入しなさい。
【理由群Ⅱ】
ア
出願日から1年以内であれば,補正の際に所定の手続をすることにより発明Bを特許出願P
の明細書に追加できるため
イ
補正により特許出願Pの明細書に発明Bを記載することは,新規事項の追加となり,特許出
願Pの明細書に追加できないため
ウ
発明Aと発明Bが発明の単一性を満たす場合,すでに審査に係属していなければ発明Bが新
規事項であっても補正により特許出願Pの明細書に追加できるため
問5
発言3について,適切と考えられる場合は「○」を,不適切と考えられる場合は「×」を,解
答用紙に記入しなさい。
問6
問5において,適切又は不適切と判断した理由として,最も適切と考えられるものを【理由群
Ⅲ】の中から1つだけ選び,対応する記号を解答用紙に記入しなさい。
【理由群Ⅲ】
ア
特許出願Pに基づいて国内優先権を主張して意匠登録出願とすることにより,出願変更でき
るため
イ 特許出願と意匠登録出願との間では先後願の規定の適用がなく,特許出願から意匠登録出願
へ出願変更できないため
ウ 特許出願から意匠登録出願へ出願変更できるため
2
【第 23 回検定 2 級実技試験】
2
菓子メーカーX社は,「BLUE」という商品名で新商品のチョコレートの販売を検討して
いる。X社の知的財産部の部員甲が先行商標の調査を行ったところ,食品会社Y社が,7年前
に指定商品「チョコレート」,商標「ブルー」とする商標権Aについて,3年前に指定商品
「キャンデー」,商標「ブルー」とする商標権Bについて登録を受けていることがわかった。
調査報告に関して,知的財産部の部長乙に対して,甲が発言1をしている。なお,「チョコ
レート」と「キャンデー」とは,類似する商品である。
発言1 「新商品のチョコレートを商品名『BLUE』として販売しても,商標権Aを侵害する
ことはありません。」
さらに甲が調査を行ったところ,次のことがわかった。X社は10年前に指定商品「キャン
デー」について商標「BLUE」とする商標権Cについて登録を受け,X社のグループ会社の食
品会社W社が,6年前に指定商品「チーズ」について商標「BLUE」とする商標権Dについて
登録を受けていた。なお,X社は,商標権Cに係る登録商標を使用していないが,商標権Cは存
続している。また,W社は,商標権Dに係る商標登録出願をした後すぐに,テレビコマーシャル
や雑誌に広告を掲載する等の宣伝活動を行い,たちまち全国的に食品業界内では著名となり今に
至っている。調査報告に関して,乙に対して,甲が発言2~3をしている。なお,「キャンデー」
と「チーズ」は類似しない商品である。
発言2 「商標権Cの存在を理由として商標登録無効審判を請求した場合,商標権Aは無効にな
ります。」
発言3 「商標権Dの存在を理由として商標登録無効審判を請求した場合,商標権Bは無効にな
ります。」
以上を前提として,問7~問12に答えなさい。
問7
発言1について,適切と考えられる場合は「○」を,不適切と考えられる場合は「×」を,解
答用紙に記入しなさい。
問8
問7において,適切又は不適切と判断した理由として,最も適切と考えられるものを【理由群
Ⅳ】の中から1つだけ選び,対応する記号を解答用紙に記入しなさい。
【理由群Ⅳ】
ア 商品は同一だが,商標が異なり,商標権の侵害とならないため
イ 商品が同一で,商標の観念が共通し,称呼が同一であり,商標権の侵害となるため
ウ 商品は同一で,商標の観念は共通し,称呼は同一であるが,外観が異なり,商標権の侵害と
ならないため
3
【第 23 回検定 2 級実技試験】
問9
発言2について,適切と考えられる場合は「○」を,不適切と考えられる場合は「×」を,解
答用紙に記入しなさい。
問10
問9において,適切又は不適切と判断した理由として,最も適切と考えられるものを【理由群
Ⅴ】の中から1つだけ選び,対応する記号を解答用紙に記入しなさい。
問11
発言3について,適切と考えられる場合は「○」を,不適切と考えられる場合は「×」を,解
答用紙に記入しなさい。
問12
問11において,適切又は不適切と判断した理由として,最も適切と考えられるものを【理由
群Ⅴ】の中から1つだけ選び,対応する記号を解答用紙に記入しなさい。
【理由群Ⅴ】
ア
商標法第4条第1項第11号(先願先登録)を無効理由として,無効にすることができるた
め
イ
商標法第4条第1項第15号(商品又は役務の出所の混同)を無効理由として,無効にする
ことができるため
ウ
商標法第4条第1項第16号(商品の品質又は役務の質の誤認)を無効理由として,無効に
することができるため
エ
除斥期間を経過しており,無効にすることはできないため
4
【第 23 回検定 2 級実技試験】
3
X社の法務部の部員甲は,コンテンツの利用方法について発言1~3をしている。
発言1 「コンテンツAは,総務部の部員乙が個人で行っているブログを運用するため,乙が自
主的に個人情報保護法上の注意事項をまとめた資料です。コンテンツAはとてもわか
りやすいので,誰でも見ることができるように,わが社のホームページに掲載したい
と思います。法律に関する資料なので,乙に許諾を得ることなくわが社のホームペー
ジに掲載することができます。」
発言2 「コンテンツBは,わが社のホームページに掲載するためにわが社の会長のインタ
ビューを録画した動画です。コンテンツBでは,会長の後ろに,写真家丙が撮影した
写真が小さく写っていました。コンテンツBをわが社のホームページに掲載するため
には,丙の許諾を得る必要があります。」
発言3 「コンテンツCは,温泉巡りが趣味の同僚丁がY県の温泉の名前と場所の二項目を五十
音順に記載しただけのデータに,それを見た同僚戊がそれぞれの温泉に行ったときの
感想と写真を勝手に付け加えたものです。とても興味深いので私のブログに掲載した
いのですが,この場合,戊だけでなく丁の許諾も得る必要があります。」
以上を前提として,問13~問18に答えなさい。
問13
発言1について,適切と考えられる場合は「○」を,不適切と考えられる場合は「×」を,解
答用紙に記入しなさい。
問14
問13において,適切又は不適切と判断した理由として,最も適切と考えられるものを【理由
群Ⅵ】の中から1つだけ選び,対応する記号を解答用紙に記入しなさい。
問15
発言2について,適切と考えられる場合は「○」を,不適切と考えられる場合は「×」を,解
答用紙に記入しなさい。
問16
問15において,適切又は不適切と判断した理由として,最も適切と考えられるものを【理由
群Ⅵ】の中から1つだけ選び,対応する記号を解答用紙に記入しなさい。
問17
発言3について,適切と考えられる場合は「○」を,不適切と考えられる場合は「×」を,解
答用紙に記入しなさい。
問18
問17において,適切又は不適切と判断した理由として,最も適切と考えられるものを【理由
群Ⅵ】の中から1つだけ選び,対応する記号を解答用紙に記入しなさい。
5
【第 23 回検定 2 級実技試験】
【理由群Ⅵ】
ア
著作物にあたらないため
イ
著作物であり,著作権を侵害する場合にあたるため
ウ
著作物ではあるが,著作物を許諾なく利用できる場合にあたるため
6
【第 23 回検定 2 級実技試験】
4
問19~問33に答えなさい。
問19
医薬品メーカーX社の知的財産部の部員甲が,研究者を集めて特許情報調査に関する教育を
行っている。ア~エを比較して,甲の発言として,最も不適切と考えられるものはどれか。対応
する記号を解答用紙に記入しなさい。
ア
「特許情報は日本の文献だけでなく,米国特許商標庁に出願された米国出願等外国の文献も
あります。当社の技術が特許を取得できるか否かを調査する際には,可能であれば外国の
特許情報についても調査することが望ましいです。」
イ
「特許情報調査においては,他社の特許出願のみならず自社の過去の特許出願のチェックも
行うべきです。」
ウ
「特許情報調査は,研究開発を開始する時点で一度しっかりした遡及調査を行っておくこと
が必要です。しかしながら,その後は大した変化はないと考えられますので,継続的に調
査を行う必要はありません。」
エ
「特許情報は技術情報であるとともに他社の権利情報でもあります。研究開発テーマに関す
る技術開発動向調査ももちろん重要ですが,自社の技術を事業化するためには他社の権利
を侵害してはならず,そのために,しっかりと自社の技術開発に関連する他社特許の調査
を行わなければなりません。」
問20
ア~エを比較して,精密機器メーカーX社におけるリスクマネジメントに関して,最も不適切
と考えられるものはどれか。対応する記号を解答用紙に記入しなさい。
ア
競業関係にない者から権利行使を受けるケースもあるため,特許情報調査の範囲をライバル
企業の権利に限定するべきではない。
イ
近い将来におけるライバル会社の権利内容について予測するため,過去から現在に至るライ
バル会社の特許出願の傾向の変化について調査することが望ましい。
ウ
X社がY社の特許権を侵害していることが判明した場合,Y社に対して,特許無効審判を請
求するとX社が利害関係者であることがY社にわかってしまうので,侵害訴訟を提起される
までは気づかない振りをして実施を継続するべきである。
エ
新規事業を開始するにあたっては,ライバル会社の特許権だけでなく,係属中の特許出願に
ついても権利化の可能性,自社事業への影響などについて,十分な調査と検討を行うことが
望ましい。
7
【第 23 回検定 2 級実技試験】
問21
甲は,乙が映画監督を務め自主製作した実写映画Aのフィルムを所有している。実写映画Aは
公開されることがなかったため,甲は実写映画Aのフィルムを用いた上映会の開催を検討してい
る。ア~エを比較して,甲の考えとして,最も適切と考えられるものはどれか。対応する記号を
解答用紙に記入しなさい。なお,甲は,乙から実写映画Aに係る著作権の譲渡を受けていないも
のとする。
ア
実写映画Aは50年前に創作されているので,甲は,乙の許諾を得ることなく実写映画Aを
上映することができる。
イ
実写映画Aを初公開する上映会には,非営利かつ無料で近隣住民が200名招待される。こ
の場合,乙が実写映画Aの上映に反対していても,甲は,乙の許諾を得ることなく実写映画
Aを上映することができる。
ウ
甲は,上映のためではなく個人の英語の勉強のためならば,パソコンを用いて,実写映画A
に英語字幕を付することができる。
エ
甲は,パソコンを用いて公に上映するために,乙の許諾を得ることなく実写映画Aのフィル
ムをデジタル化することができる。
問22
自転車メーカーX社は,軽くて滑りにくいタイヤAを備える自転車の特許権Pを有している。
一方,タイヤメーカーY社は,タイヤAと同じタイヤBをX社に無断で製造して販売している。
X社は,Y社に対して特許権侵害の警告を行うか否かを検討している。ア~エを比較して,X社
の知的財産部の部員の発言として,最も不適切と考えられるものはどれか。対応する記号を解答
用紙に記入しなさい。
ア
「タイヤBは,特許権Pに係る特許発明の課題の解決に不可欠なものであったとしても,タ
イヤBが日本国内で広く一般に流通している場合,Y社の実施行為は特許権Pの間接侵害
に該当しない。」
イ
「タイヤBは,特許権Pに係る自転車にのみ用いることができるタイヤである場合,Y社の
実施行為は,特許権Pの間接侵害に該当する。」
ウ
「Z社がわが社と同じような自転車に関する発明について,特許権Pに係る特許出願をする
前に学会で発表していたとの情報がある。念のため,Y社に警告する前にZ社の学会発表
の内容を確認しよう。」
エ
「特許権Pは自転車に関するものであるが,Y社はタイヤBを製造販売しているだけで,特
許権Pに係る特許発明のすべてを実施しているわけではない。よって,Y社の実施行為は,
特許権Pの侵害となることはない。」
8
【第 23 回検定 2 級実技試験】
問23
X社は,自動で部屋の隅々まで掃除できる電気掃除機Aを製造販売している。X社は,電気掃
除機Aの構造についての特許権を有している。また,指定商品「電気掃除機」についての商標
「ロンボ」について登録を受け,その商標を電気掃除機Aに使用している。最近,Y社がX社に
無断で,商品名も構造も「ロンボ」に類似する商品を販売していることがわかった。ア~エを比
較して,X社の知的財産部の部長の発言として,最も不適切と考えられるものはどれか。対応す
る記号を解答用紙に記入しなさい。
ア
「Y社に警告書を送付する前に,わが社の特許権や商標権の有効性について調べよう。」
イ
「Y社に警告書を送付する前に,送付形式について検討しよう。当社の権利に係る特許公報
や商標公報の写しを同封するのであれば,内容証明郵便以外の形式で送付しなければなら
ない。」
ウ 「Y社に警告書を送付する前に,Y社の製品の販売価格,販売数量,販売地域,輸出の有無
などをY社に聞かなければならない。」
エ 「Y社に警告書を送付する前に,Y社の製品を購入し,わが社の権利が侵害されているか否
かを解析し,さらには念を入れて,専門家の意見も聞いてみよう。」
問24
文房具メーカーX社は,新規なボールペンAを創作し,ボールペンAのデザインについて意匠
登録出願Bを検討している。ア~エを比較して,X社の知的財産部の部員の考えとして,最も適
切と考えられるものはどれか。対応する記号を解答用紙に記入しなさい。
ア
X社が意匠登録出願Bに係るボールペンを展示会に出品した場合,新規性喪失の例外の適用
を受けることはできない。
イ 意匠登録出願Bをするにあたり,意匠を現した見本を提出する場合であっても図面の提出を
省略することはできない。
ウ 新規性喪失の例外の適用を受ける場合,当該適用を受けたい旨を記載した書面を,意匠登録
出願Bと同時に特許庁長官に提出しなければならない。
エ
出願書類の内容からボールペンに係る意匠であることが明らかなので,願書において「意匠
に係る物品」の記載を削除することができる。
9
【第 23 回検定 2 級実技試験】
問25
種苗会社X社の研究者甲は,バラの品種改良に成功し,その成果をどのように保護するかにつ
いて,知的財産部の部員乙に相談した。ア~エを比較して,甲の相談に対する乙の回答として,
最も適切と考えられるものはどれか。対応する記号を解答用紙に記入しなさい。
ア 「品種改良の成果について,特許出願又は品種登録出願のいずれもすることができますが,
先に品種登録出願をすると,特許出願がその品種登録出願の存在により先願を理由に拒絶
されることがありますので注意が必要です。」
イ 「品種改良の成果について,特許出願又は品種登録出願のいずれもすることができますが,
先に特許出願をすると,品種登録出願がその特許出願の存在により先願を理由に拒絶され
ることがありますので注意が必要です。」
ウ 「品種改良の成果について,品種登録を受けた場合であっても,他人がその品種に関する発
明について特許を受けた場合,その他人の特許発明の実施に育成者権の効力が及ばないこ
とがありますので注意が必要です。」
エ
「品種改良の成果について,特許を受けた場合であっても,他人がその品種に関して品種登
録を受けた場合,その他人の育成者権に基づいて登録品種の種苗の利用に特許権の効力が
及ばないことがありますので注意が必要です。」
問26
ソフトウエア開発会社X社は,金融機関Y社と開発契約を締結し,Y社の銀行業務で利用可能
な勘定系システムに関するプログラムAの開発を請け負っている。ア~エを比較して,最も適切
と考えられるものはどれか。対応する記号を解答用紙に記入しなさい。
ア 開発契約に特約がない限り,著作権の帰属にかかわらず,Y社は,プログラムAの複製物の
所有権を取得した後には,プログラムAについて,バックアップのためのコピーをとること
ができる。
イ 開発契約に特約がない限り,プログラムAに関する著作者はX社となるが,著作権はY社に
帰属する。
ウ 開発契約に特約がない限り,X社の従業員が発明したプログラムAに関する特許権はY社に
帰属する。
エ 開発契約に特約がない限り,Y社が請負代金の履行を遅滞した場合であっても,X社は,プ
ログラムAの複製物の引渡を拒絶することができない。
10
【第 23 回検定 2 級実技試験】
問27
日本の玩具メーカーX社は,自社製品の模倣品を排除するために,その方策を社内で検討して
いる。ア~エを比較して,模倣品排除の手段に関して,最も不適切と考えられるものはどれか。
対応する記号を解答用紙に記入しなさい。
ア
自社製品について日本で産業財産権を取得していても,模倣品の生産国においても産業財産
権を取得することが望ましい。
イ
日本で産業財産権のいずれかについて権利を取得していなくても,形態を模倣した製品につ
いては,不正競争防止法によりその製品の輸入を排除することができる場合がある。
ウ
自社製品について意匠権を取得した場合,その意匠権に係る製品のパッケージに「ⓇX株式
会社」の表記をする。
エ
自社の商標と類似する商標が使用される場合を考慮して,自社の商標について商標権を取得
する。
問28
ア~エを比較して,物品のデザインに関して,最も適切と考えられるものはどれか。対応する
記号を解答用紙に記入しなさい。
ア
マグカップの持ち手部分について部分意匠の登録がされている場合,マグカップ全体の形態
が異なっていても,持ち手部分の意匠が同一又は類似であれば,当該マグカップの実施に意
匠権の効力が及ぶ。
イ 指輪について1つのデザインコンセプトから生まれた複数のデザインについて,一の登録意
匠しか認められない。
ウ 変化する玩具のような,物品の形状等がその物品の機能に基づいて変化する意匠について,
意匠登録は受けられない。
エ 万年筆についての意匠権の効力は,登録意匠及びこれに類似する意匠の実施に加え,非類似
の意匠の実施にも及ぶ。
11
【第 23 回検定 2 級実技試験】
問29
塗料メーカーX社は,新規な塗料Aを開発し,「物」と「製造方法」に関する強力な特許網の
構築を検討している。当初,塗料Aは,建物の外壁塗装の用途で大きな需要を獲得できるのでは
ないかと想定していたが,競合品と比較して販売価格が大幅に高くなることが判明したため,他
の用途開発を行うことになった。そこで,塗料Aを使用してもらえそうなユーザー数社を訪問し,
塗料Aの物性,特徴を説明して回り,共同研究の方向性を探ることとした。ア~エを比較して,
X社の知的財産部の部員の発言として,最も適切と考えられるものはどれか。対応する記号を解
答用紙に記入しなさい。
ア 「共同研究についていろいろな会社に関心を持ってもらうために,塗料Aの成分や製造方法
等技術の詳細を記載した文章をわが社のウェブサイトに掲載しましょう。」
イ
「他社に説明して,共同研究の方向性が見えた時点で,すぐにその研究内容をカバーできる
ように塗料Aについて単独で特許出願することが望ましいです。」
ウ
「特許出願すると,内容が公知となり,共同研究先を探すことが困難になりますので,共同
研究先が決まるまで特許出願をしないことが望ましいです。」
エ
「塗料Aに関して特許出願をした上で,他社との共同研究の方向性を探るべきです。」
問30
飲料メーカーX社は,X社の健康飲料と,競合他社であるY社の健康飲料とを対比し,X社の
健康飲料が優れている実験結果を示したコマーシャルを流した。ア~エを比較して,Y社の知的
財産部の部員の発言として,最も不適切と考えられるものはどれか。対応する記号を解答用紙に
記入しなさい。
ア
「X社の健康飲料が優れていることを示す実験結果が虚偽である場合には,X社の広告は不
正競争行為に該当します。」
イ 「X社の健康飲料が優れていることを示す実験結果を広告に表示すること自体が,不正競争
行為に該当します。」
ウ 「X社のコマーシャルは,実験結果以外に,健康飲料の品質を誤認させるような表示をして
広告しています。X社のこの品質を誤認させる広告は不正競争行為に該当します。」
エ 「X社の健康飲料が優れていることを示す実験結果は,虚偽ではありません。そのため,X
社の広告は不正競争行為に該当しません。」
12
【第 23 回検定 2 級実技試験】
問31
家具メーカーX社は,新規な椅子の意匠Aを創作し,意匠Aのデザインについて意匠登録出願
Bをした。その後,意匠登録出願Bに対して,デンマークにおいて頒布された刊行物Cに記載さ
れた椅子の意匠Dと類似するという拒絶理由が通知された。ア~エを比較して,X社が意見書を
提出した場合,反論として認められる可能性のある主張として,最も適切と考えられるものはど
れか。対応する記号を解答用紙に記入しなさい。
ア
意匠Aが,意匠Dに基づいて容易に創作できたものではないこと
イ
意匠Dが,日本で意匠登録されていないこと
ウ
刊行物Cが,日本では頒布されていないこと
エ
刊行物Cが,意匠登録出願Bの出願後にデンマークにおいて頒布されたこと
問32
航空機メーカーX社は,軽量かつ強度が高い素材について,Y大学と共同研究開発を行い,そ
のための共同研究開発契約を締結することにした。ア~エを比較して,X社の技術部の部長の発
言として,最も適切と考えられるものはどれか。対応する記号を解答用紙に記入しなさい。
ア
「わが社の独自技術について,共同研究開発契約を締結する前に急いで特許出願しておくほ
うがよいね。」
イ
「共同研究開発した技術について特許権を共有して取得した場合に,わが社は他社に自由に
ライセンスできるようにしたいが,契約書で予めY大学の同意を得ておく必要はないね。」
ウ
「共同研究開発した技術について特許権を共有として取得した場合に,特許法上に持分の無
断譲渡に関する規定はないので,Y大学がライバルメーカーに持分を譲渡することがない
よう,契約書で持分の無断譲渡を禁止しておかなければならないね。」
エ 「共同研究開発開始後は,わが社が独自に完成した発明について,単独で特許出願はできな
いね。」
問33
自動車メーカーX社の技術者甲と乙は,衝突回避システムに関する職務発明Aを共同で完成し,
特許出願をした。ア~エを比較して,甲の行為として,最も不適切と考えられるものはどれか。
対応する記号を解答用紙に記入しなさい。但し,X社には職務発明の取扱について,規程がな
かったものとする。
ア
甲は,X社が職務発明Aを無断実施することについて,乙と共同してX社に対して補償金請
求権を行使するための警告を行った。
イ
甲は,単独で職務発明Aに係る特許出願について出願審査請求を行った。
ウ 甲は,乙の承諾を得て,職務発明Aに係る特許を受ける権利をX社に譲渡した。
エ
甲は,乙の承諾を得ることなく,職務発明Aに係る特許を受ける権利を放棄した。
13
【第 23 回検定 2 級実技試験】
5
問34に答えなさい。
問34
従業員1万人以上を擁するX社が,発明Aについて特許請求の範囲に請求項1から請求項10
までを記載した特許出願Pをした。その後,出願審査請求を行ったところ,特許請求の範囲につ
いて補正することなく,特許出願の出願日から4年後に特許査定の謄本が送達されてきた。この
場合,特許権の設定登録に必要な費用は,何円になるか求めて,算用数字で解答用紙に記入しな
さい。
《参考》
特許法第107条
各年の区分
金額
第1年から第3年まで
毎年2300円に一請求項につき200円を加えた額
第4年から第6年まで
毎年7100円に一請求項につき500円を加えた額
第7年から第9年まで
毎年21400円に一請求項につき1700円を加えた額
第10年から第25年まで
毎年61600円に一請求項につき4800円を加えた額
14
【第 23 回検定 2 級実技試験】
6
次の会話は,外国出願に関して,X社の知的財産部の部員甲が,部員乙の質問に対して回答
しているものである。問35~問37に答えなさい。
乙
「米国で特許を取得した場合,日本でも必ず特許を取得できますか。」
甲
「パリ条約の3大原則の1つである
1
の原則により,必ずしも日本で特許を取得できる
とは限りません。」
乙
「米国の特許出願が,
2
を米国と日本とした特許協力条約(PCT)による国際出願で
ある場合はどうですか。」
甲
「国際出願の場合,いずれかの
許が受けられ
3
2
における審査結果に基づいて統一的に他の
2
。」
問35
空欄
1
に入る最も適切な語句を【語群Ⅶ】の中から選び,解答用紙に記入しなさい。
2
に入る最も適切な語句を【語群Ⅶ】の中から選び,解答用紙に記入しなさい。
3
に入る最も適切な語句を【語群Ⅶ】の中から選び,解答用紙に記入しなさい。
問36
空欄
問37
空欄
【語群Ⅶ】
特許独立
同盟国
ます
指定国
るわけではありません
15
属地主義
で特
【第 23 回検定 2 級実技試験】
7
次の会話は,ゲームソフトメーカーX社の法務部の部員甲と部員乙のものである。問38~
問40に答えなさい。
甲
「家庭用ゲーム機で使われる中古ゲームソフトに関する最高裁判例があるそうですね。」
乙
「家庭用ゲーム機で使われる中古ゲームソフトは,映画の著作物にあたるとされました。と
いうのは,著作権法第2条第3項で映画の著作物について定義しているのですが,ここで
は,映画の効果に類似する視覚的又は視聴覚的効果を生じさせる方法で表現され,かつ,
1
著作物を映画の著作物と定義していて,当該ゲームソフトはこれにあたるとされた
ためです。」
甲
「では,中古ゲームソフトの著作権者は頒布権を有するということですね。」
乙
「はい,そうです。しかし,ゲームソフトが発売元から適法に販売され,小売店を介して需
要者に購入されると,そのゲームソフトの著作権について,頒布権のうち
の目的を達成したものとして
3
2
権利はそ
とされています。」
問38
空欄
1
に入る最も適切な語句を【語群Ⅷ】の中から選び,解答用紙に記入しなさい。
2
に入る最も適切な語句を【語群Ⅷ】の中から選び,解答用紙に記入しなさい。
3
に入る最も適切な語句を【語群Ⅷ】の中から選び,解答用紙に記入しなさい。
問39
空欄
問40
空欄
【語群Ⅷ】
公に頒布されている 物に固定されている 複製する 譲渡する 消尽する 改変される
16
知的財産教育協会
【2級実技】
番号 正解
問1 ○
問2 イ
問3 ×
問4 イ
問5 ○
問6 ウ
問7 ×
問8 イ
問9 ×
問10 エ
問11 ○
問12 イ
問13 ×
問14 イ
問15 ×
問16 ウ
問17 ×
問18 ア
問19 ウ
問20 ウ
問21 ウ
問22 エ
問23 ウ
問24 ウ
問25 ウ
問26 ア
問27 ウ
問28 ア
問29 エ
問30 イ
問31 エ
問32 ア
問33 ア
問34 12900(円)
問35 特許独立
問36 指定国
問37 るわけではありません
問38 物に固定されている
問39 譲渡する
問40 消尽する
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