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東海丘陵要素植物

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東海丘陵要素植物
豊田市自然観察の森
企画展
写真1 シデコブシ
写真2 マメナシ(実) 円内:花
∼
郷
土
の
宝
の
植
物
た
ち
∼
東
海
丘
陵
要
素
植
物
と
う
か
い
き
ゅ
う
り
ょ
う
よ
う
そ
し
ょ
く
ぶ
つ
写真3 ヒトツバタゴ
写真4 ハナノキの雌花
「東海丘陵要素植物」は東海地
方を代表する植物たちで、郷土の
宝といえます。この中には日本や
ヨーロッパなどで園芸種として人
気のあるシデコブシ(写真1)、果
物の梨と同じ仲間のマメナシ(写真
2)、古くからナンジャモンジャの
名前で親しまれたヒトツバタゴ(写
真3)、愛知県の木に選ばれたハナ
ノキ(写真4)、東海地方の秋の湿
地を彩るシラタマホシクサ
(写真5)
など、15種類があります。どのよ
うな植物たちなのかを見てみまし
ょう。
企画制作:(財)日本野鳥の会
写真・文:吉鶴靖則
写真5 シラタマホシクサ
レッドデータブック 評価区分について
環境省
指定植物
愛知県
岐阜県
三重県
I
I
I
I
IB
飛騨木曽川・
I
I
三河湾・愛知
高原・鈴鹿
[レッドデータブックのランク]
レッドデータブックとは、野生動植物の分布・生息状況等を調べ、絶滅の恐れがある種類を選定
し、保護策や開発時の配慮を求めるための基礎資料である。国(環境省)や都道府県などが絶滅の
危険度をランク付けして発行しており、ここでは環境省・愛知県・岐阜県・三重県の状況を紹介し、
ランクを略号で表示した。
絶滅
I(IA、IB)
その地域から絶滅したと考えられるもの
絶滅危惧I類(細分時:IA類、IB類)
近い将来での絶滅の危険性が極めて高いもの
I
I
絶滅危惧I
I類。絶滅の危険が増大しているもの
準
準絶滅危惧。生活環境が悪くなったりすると、
すぐに絶滅に向かってしまいそうなもの
不足
情報不足。条件によっては絶滅が危惧されるが、
評価するだけの情報が不足しているもの
外
リスト外。レッドデータブックに絶滅危惧種と
して選定されていないもの
無
その地域で分布が確認されていないもの
[指定植物]
ここでは「国立、国定公園特別地域内指定植物」を示し、国立公園や国定公園で主要な構成要素
となっているなどの理由により保護を目的に指定された植物。表では指定された国定公園名で記載
した。国立・国定公園内での自生がない場合は指定されていないため、リスト外でも貴重な種類が
ある。なお今回指定植物に選定されていないトウカイコモウセンゴケを含めたが、これは選定当時
コモウセンゴケと同一種として考えられていたためである。
企画制作:(財)
日本野鳥の会 文:吉鶴靖則
通称モンゴリナラ
ブナ科コナラ属
■分布等■■■
市内/西中山町、西広瀬町など
国内/愛知県、岐阜県など
詳細は不明
海外/不明
■見学適地■■
市内/西中山町の昭和の森
■生育地■■■
やせ地の尾根から中腹にかけて主
として生育。湧水湿地を取り囲むや
せ地に多い。
■起源■■■■
おそらく日本固有で、細かくは伊
勢湾地域の固有もしくは準固有と思
われる。氷河期に繁栄した冷温帯性
のミズナラが、後氷期の温暖化に伴
って競争相手の少ない東海地方のや
せ地に適応して遺存的に残存し、現
在では暖帯域の丘陵地に生育してい
花
ると考えられている。
■その他■■■
ミズナラに類似した植物で、正式
には未考証状態の種類で学名・和名
とも未記載のため、通称モンゴリナ
ラと記述した。大陸に分布するモン
ゴリナラと同一種と古くは考えられ
ていたが、近年はミズナラ起源の別
の植物と考える説が有力のようであ
る。したがって大陸に分布する本来
のモンゴリナラと切り分ける必要が
あり、通称でもモンゴリナラの名前
を使うのは避けるべきといわれるが、
それに変わる仮称もつけられていな
いようである。
ドングリ
葉
■レッドデータブック 評価区分■■
環境省
指定植物
愛知県
岐阜県
三重県
外
外
準
外
無
企画制作:(財)
日本野鳥の会 写真・文:吉鶴靖則
シデコブシ
モクレン科モクレン属
■分布等■■■
市内/扶桑町、琴平町、勘八町、
田茂平町など
国内/愛知、岐阜、三重の各県
海外/なし
■見学適地■■
市内/野見山町の保護地域
県内/田原市の国指定天然記念物
「椛のシデコブシ自生地」
と県指定天然記念物「伊川
津のシデコブシ」、瀬戸市
の海上の森
■生育地■■■
日当たりのよい湧水湿地やその周
辺、谷の、一般に貧栄養のやせ地に
生育。土壌などの立地条件により、
樹形が変わることが知られている。
■起源■■■■
日本固有種、細かくは伊勢湾地域
の固有種で、コブシが湿地に適応し
て誕生したと考えられている。化石
記録は鮮新世∼更鮮世(約250∼180
万年前)のものがあるが、化石その
ものの所在は現在不明であり、誤同
定かどうかの確認ができていない。
事実であれば、かなり古い時代から
シデコブシが存在したことになる。
■その他■■■
花は純白から濃いピンクまで変異が
大きく、やや小ぶりで花の色が濃い系
統は、
ヒメコブシの名で広く栽培されて
いる。英名ではスター・マグノリア
(Star magnolia)の名で知られ、海外で
も園芸種として愛好されている。
■レッドデータブック 評価区分■■
環境省
指定植物
愛知県
岐阜県
三重県
I
I
飛騨木曽川・
三河湾・愛知
高原・鈴鹿
I
I
I
I
IB
企画制作:(財)
日本野鳥の会 写真・文:吉鶴靖則
ヘビノボラズ
メギ科メギ属
■分布等■■■
市内/京ケ峰、矢並町、西中山町、
北篠平町など
国内/埼玉、富山、石川、山梨、
長野、岐阜、静岡、愛知、
三重、滋賀、京都、奈良、
鳥取、宮崎、愛媛の各府県
海外/なし
■見学適地■■
市内/西中山町の昭和の森、矢並
町の矢並湿地(公開日のみ)、
京ケ峰の豊田市自然観察の
森「トンボの湿地」
■生育地■■■
湧水湿地周辺の林縁や疎林内、湿
地内の若干の土壌部分に生育。アカマ
ツやイヌツゲなどのパイオニア植物と共
に侵入してくる植物のようである。
■起源■■■■
日本固有種で、分布は関東以西か
ら九州までと広いが、主に東海地方・
近畿地方で見られる。国内産のメギ
属の仲間にはヘビノボラズの他にも、
メギ、オオバメギと固有種が多く見
られる。国内の同属化石は中新世の
相浦型植物群からB. hujiokai Tanai、
同じく中新世の阿仁合型植物群から
B. saseboensis Tanai、そして鮮新世
∼更新世の明石型植物化石群からは
B. longispinus Mikiが記録されている。
しかし、現生種と化石種との類縁関
係ははっきりしないようである。
あいのうら
あ に あい
あか し
■その他■■■
ヘビノボラズの名前は鋭いトゲがあ
ってヘビが登れないということからき
ている。別名のトリトマラズも同様
の命名である。しかし個体変異があり、
トゲがほとんどないものもある。
実
■レッドデータブック 評価区分■■
環境省
指定植物
愛知県
岐阜県
三重県
外
外
準
I
I
準
企画制作:(財)
日本野鳥の会 写真・文:吉鶴靖則
地質時代と化石に残された植物群
地質年代表に記した年代値はおよその数値である。この年代値や時代区分はINTERNATIONAL
STRATIGRAPHIC CHART(2007)を主として用いた。
ネオジン、パレオジンの時代区分は、古くは新第三紀、古第三紀とされていたところで、2
つを合わせたものが第三紀である。これらの区分の変更が世界的に提案されており、現在日本
での取り扱いが議論されている最中で、適当な日本語訳となる名称はまだ提案されていない。
そのため今回は英語のカタカナ表記とした。また第四紀を廃止する提案、第四紀の開始年代を
258万8000年にする提案も議論されている最中のようである。
あいのうら
地質年代表
[相浦型植物群]
完新世
時代が中新世最前期、もしくは
漸新世と考えられている植物群。
第四紀
180万6000年前
鮮新世
ネオジン
新生代
あ に あい
[阿仁合型植物群]
漸新世
3390万年前
パレオジン
始新世
5580万年前
暁新世
6500万年前
白亜紀
顕生代
1億4550万年前
中生代
ジュラ紀
1億9960万年前
三畳紀
あかし
[明石型植物群]
2億5100年前
鮮新世末期∼更新世前半(約
250万∼80万年前)の植物群で、
ペルム紀(二畳紀)
2億9900万年前
石炭紀
温帯から暖帯の好湿性の針葉樹、
淡水沼沢性の植物化石が比較的多
3億5920万年前
デボン紀
く産出する。特筆すべきこととし
てシデコブシの化石がこの時代か
4億1600万年前
古生代
シルル紀
4億4370万年前
ら産出している。また、日本では
この時代までの残存が確認できる
化石種で、北アメリカや中国大陸
オルドビス紀
4億8830万年前
カンブリア紀
に現存している隔離分布種が知ら
目される植物群である。
533万2000年前
中新世
2303万年前
前期中新世前半(約2400∼2000
万年前)の日本が大陸の縁辺にあ
った最後の時代の植物群で、温帯
から冷温帯の落葉樹と針葉樹を中
心に産出する。冬季は氷結と降雪
れていることから、第三紀周北要
素や中国大陸要素の植物の絶滅過
程や遺存化の程度を示すとして注
1万1800年前
更新世
温帯から暖帯の植物を中心に産出
する。
を伴い、降雨量は夏季に多く冬季
に少なかった環境と想定されてい
る。
現在
5億4200年前
原生代
25億年前
太古代(始生代)
38億年前
冥王代
45億5000万年前
企画制作:(財)
日本野鳥の会 文:吉鶴靖則
マメナシ
(イヌナシ)
バラ科ナシ属
■分布等■■■
市内/なし
国内/愛知、岐阜、三重の各県
花
海外/朝鮮半島、中国大陸、
ベトナム北部
■見学適地■■
県内/名古屋市守山区の小幡緑地
■生育地■■■
ため池周辺などの湧水のある場所
に生育。
■起源■■■■
海外では朝鮮半島・中国大陸など
に分布し、隔離分布して愛知・岐阜・
三重県に見られるため、大陸要素の
残存分布と考えられている。
■その他■■■
ナシの仲間の栽培の歴史は古く、
中国などでは3,000年以上昔にさか
のぼることができる。しかし、マメ
ナシでは果実が直径1センチほどと
小さいことや分布域が狭いことから
か、利用した記録がないようである。
日本の山野で見られるものにヤマナ
シがあるが、弥生時代より古くは出
土しないこと、奈良時代には栽培が
確実なこと、人里近くにのみ見られ
ることなどから、現在見られるもの
は真の自生ではないと考えられてい
る。マメナシとヤマナシの雑種はア
イナシと呼ばれ、こちらも東海地方
で見られる。
実
■レッドデータブック 評価区分■■
環境省
指定植物
愛知県
岐阜県
三重県
IA
外
IA
不足
IB
企画制作:(財)
日本野鳥の会 写真・文:吉鶴靖則
ハナノキ
Acer pycnanthum K.Koch
カエデ科カエデ属
■分布等■■■
市内/旭八幡町の旭高原、田代町
など
国内/愛知、岐阜、長野の各県
海外/なし
■見学適地■■
市内/旭八幡町の旭高原八幡牧場
湿地
県内/豊根村川宇連神社の国指定
天然記念物「川宇連のハナ
ノキ自生地」
■生育地■■■
湧水地を好むが、小河川の氾濫原、
湿原、岩地の湿地でも生育。湧水源
からそのまま水路が形成され、砂礫
層に大きな礫が散乱しているような
緩傾斜地やごく小さな谷底平野を立
地としている。
雄花
■起源■■■■
日本固有種で、細かくは伊勢湾地
域の固有種である。祖先系の種類で
は瀬戸市や土岐市で約1,200∼1,100
万年前の化石(A. tricuspidatum Bronn)
が発見されている。
この仲間の化石は祖先系統が始新
世中期(約5,500∼3,900万年前)に
出現し、漸新世末期(約2,300万年
前)には北半球の広い地域から産出
される。しかし、現在では本種の他、
北アメリカ東部に分布するアメリカ
ハナノキが残されているのみである。
雌花
■その他■■■
愛知県の木に選定されているため、
各地で植栽されている。しかし、中
には区別のつきづらいアメリカハナ
ノキも同所的に植栽されている場合
があり、非常に紛らわしい。観察時
には注意が必要である。
■レッドデータブック 評価区分■■
環境省
指定植物
愛知県
岐阜県
三重県
I
I
外
IA
I
I
無
企画制作:(財)
日本野鳥の会 写真・文:吉鶴靖則
ナガボナツハゼ
(ホナガナツハゼ)
Vaccinium sieboldii Miq.
ツツジ科スノキ属
■分布等■■■
市内/なし
国内/愛知県、静岡県
海外/なし
■見学適地■■
県内/豊橋市岩崎町の葦毛湿原、
豊橋市大岩町の岩屋緑地
■生育地■■■
やせ地の疎林の林縁などに生育。
日当たりのよい半裸地を好み、かな
りの疎林であっても林内ではほとん
ど見られなくなるほど、日当たりの
よい条件を好むようである。
■起源■■■■
日本固有種で、細かくは伊勢湾地
域の固有種である。福井県以西の日
本海側に分布するアラゲナツハゼに
近縁といわれている。
■その他■■■
他の東海丘陵要素植物が砂や礫を
中心とした堆積岩類の地質に多い中
で、ナガボナツハゼの生育地のほと
んどがチャートの岩山や蛇紋岩など
の超塩基性岩地である。しかし、多
くの東海丘陵要素植物が見られる地
質と種類が違うものの、崩れやすく
石がごろごろとしている場所という
点では同じで、やせ地となりやすい
地質である。
■レッドデータブック 評価区分■■
環境省
指定植物
愛知県
岐阜県
三重県
I
I
外
IA
無
無
企画制作:(財)
日本野鳥の会 写真・文:吉鶴靖則
クロミノニシゴリ
Symplocos paniculata (Thunb.) Miq.
ハイノキ科ハイノキ属
■分布等■■■
市内/京ケ峰、亀首町など
国内/静岡、長野、愛知、岐阜、
三重、滋賀、京都、奈良、
大阪、兵庫の各府県
海外/なし
■見学適地■■
市内/京ケ峰の豊田市自然観察の
森「ミズギボウシの湿地」、白山町
の吉兼池周辺
■生育地■■■
ため池の近辺や里山の湿地近辺に
生育。
■起源■■■■
日本固有種で、細かくは東海・近
畿地域の固有種である。トウカイコ
モウセンゴケとよく似た分布域であ
る。
■その他■■■
愛知県や岐阜県では比較的見られ
るが、それ以外の府県の多くで絶滅
危惧種に指定されている。この仲間
はサワフタギなどの類似種と区別が
難しい。そのため古くは分布域がよ
くわからず、当初は東海丘陵要素植
物のリストに入っていなかった種類
である。分布域が精査された結果、
後に東海丘陵要素植物に追加されて
いる。
■レッドデータブック 評価区分■■
環境省
指定植物
愛知県
岐阜県
三重県
外
外
外
外
IB
企画制作:(財)
日本野鳥の会 写真・文:吉鶴靖則
ヒトツバタゴ
Chionanthus retusus Lindl. et Paxton
モクセイ科ヒトツバタゴ属
■分布等■■■
市内/なし
国内/愛知県、岐阜県、長野県、
長崎県対馬
海外/中国大陸、朝鮮半島、台湾
■見学適地■■
市内/西中山町の緑化センター
(植栽)
県内/犬山市池野西洞の国指定天
然記念物「ヒトツバタゴ自
生地」
■生育地■■■
岩塊地や河川際に生育。岩場で排
水がよく、大雨のときには流水の影
響を受けるぐらいの立地が多い。斜
面崩壊による堆積地や土石流の堆積
地を立地にしている可能性が指摘さ
れている。
■起源■■■■
海外では中国大陸から朝鮮半島を
経て、日本の長崎県対馬で見られる。
そこから隔離分布して岐阜・愛知・
長野県に見られるため、大陸要素の
植物の残存分布と考えられている。
古い時代には日本に広く分布したよ
うで、兵庫県明石市で約8∼6万年前
の種子と木材の化石が、埼玉県所沢
花
市では約40∼30万年前の木材の化石
が産出している。現生の近縁種では
アメリカ東南部に分布するアメリカ
ヒトツバタゴが知られている。
■その他■■■
ナンジャモンジャの木として親し
まれている種類である。
■レッドデータブック 評価区分■■
環境省
指定植物
愛知県
岐阜県
三重県
I
I
外
IB
I
I
無
企画制作:(財)
日本野鳥の会 写真・文:吉鶴靖則
ミカワバイケイソウ
Veratrum stamineum Maxim. var. micranthum Satake
ユリ科シュロソウ属
■分布等■■■
市内/田茂平町、西中山町、
矢並町など
国内/長野、静岡、愛知、岐阜の
各県
海外/なし
■見学適地■■
市内/西中山町の昭和の森
■生育地■■■
湧水湿地や、もう少し水量があっ
て礫が散乱している沢やごく細い水
路がある林内で生育。本来は陽地性
の植物と思われ、林内のものは花つ
きが悪いようである。
■起源■■■■
日本固有。細かくは伊勢湾地域の
固有で、氷期にコバイケイソウが中
部山岳地帯から周伊勢湾地域に降り
てきて、湿地に残存、特殊化するこ
とで最近になって誕生したと考えら
れている。コバイケイソウとその変
種ミカワバイケソウとも日本固有で
ある。
■その他■■■
コバイケイソウが亜高山から高山
に生える寒冷地系の植物であり、自
生南限地での標高は約900メートル
である。そのため低標高の丘陵地に
分布するミカワバイケイソウが発見
されたときは、信じてもらえなかっ
たそうである。発見者は鳥居喜一氏
で1942年(昭和17)に初めて世に紹介
されたが、江戸時代(1826年)に発刊
された草木図説には本種の可能性が
ある絵が掲載されていることが指摘
されている。
花拡大
■レッドデータブック 評価区分■■
環境省
指定植物
愛知県
岐阜県
三重県
I
I
飛騨木曽川・
愛知高原
I
I
I
I
IA
企画制作:(財)
日本野鳥の会 写真・文:吉鶴靖則
シラタマホシクサ
Eriocaulon nudicuspe Maxim.
ホシクサ科ホシクサ属
■分布等■■■
市内/矢並町、亀首町、西中山町
など
国内/静岡、愛知、岐阜、三重の
各県
海外/なし
■見学適地■■
市内/矢並町の矢並湿地(公開日
のみ)、西中山町の昭和の森
花拡大
■生育地■■■
貧栄養の湧水湿地で日当たりのよ
い場所に生育。
■起源■■■■
日本固有種。細かくは伊勢湾地域
の固有種で、東海地方で分化し、誕
生した種類と考えられている。本種
を含むホシクサ属は極めて固有性の
高い植物群として知られ、日本産38
種のおよそ半数が産地の限定された
固有のものといわれている。
■その他■■■
ホシクサ科植物の中では例外的に
花が美しいといわれ、ホタルの乱舞、
星空など、様々な姿に例えられる東
海地方の湿地の代表的種類である。
枯れた後もその面影を残しているの
で、ドライフラワー状となった晩秋
から冬でも筆者は楽しんでいる。
■レッドデータブック 評価区分■■
環境省
指定植物
愛知県
岐阜県
三重県
I
I
三河湾・愛知
高原・鈴鹿
I
I
I
I
IB
企画制作:(財)
日本野鳥の会 写真・文:吉鶴靖則
ウンヌケ
イネ科ウンヌケ属
■分布等■■■
市内/太平町、亀首町など
国内/静岡、愛知、岐阜、兵庫、
徳島(絶滅)、香川、福岡、
大分、宮崎?の各県
海外/朝鮮半島、中国大陸、
タイ、インドなど
■見学適地■■
市内/太平町の孫目池周辺
■生育地■■■
日当たりのよい草地、半裸地に生
育。やせ山の尾根筋や、湿地や沢を
取り囲む荒れた斜面、谷戸田周辺の
草地にも生育。
■起源■■■■
中国大陸からインドにかけて分布
し、本拠はパキスタン乾原といわれ
ている。大陸要素の植物の残存分布
と考えられている。
■その他■■■
一見ススキに似ているため、一般
にはあまり知られていない植物であ
る。
■レッドデータブック 評価区分■■
環境省
指定植物
愛知県
岐阜県
三重県
I
I
飛騨木曽川・
三河湾・
愛知高原
I
I
I
I
無
企画制作:(財)
日本野鳥の会 写真・文:吉鶴靖則
トウカイコモウセンゴケ
Drosera tokaiensis (Komiya et C. Shibata) T. Nakamura et Ueda
モウセンゴケ科モウセンゴケ属
■分布等■■■
市内/西中山町、亀首町、矢並町
など
国内/静岡(天竜川以西)、愛知、
三重、滋賀、京都、奈良、
兵庫の各府県
海外/なし
■見学適地■■
市内/西中山町の昭和の森
■生育地■■■
日当たりのよい酸性の湿地に生育。
近縁のモウセンゴケは湿地の冠水す
る場所を好み、トウカイコモウセン
ゴケは湧水量が少ないときには干上
がるような場所でも生育できる。ま
た、コモウセンゴケが同一箇所で見
られる場合でも、より土壌含水量が
多い場所を好み、すみ分けしている。
■起源■■■■
日本固有種で、モウセンゴケとコ
モウセンゴケの雑種を起源として誕
生したと考えられている。ただし東
海地方と関西地方では形態的差異が
あるため、同種の変異なのか、異な
る起源なのか、検討の必要性が指摘
されている。
■その他■■■
栄養が少ない場所で生育するため、
虫などの小動物をとることで足りな
い栄養を補っている食虫植物である。
葉に紅色の腺毛を持ち、腺毛から出
た粘液で捕虫すると、まず獲物を腺
毛と葉を折り曲げて包み込む。それ
と共に腺毛から酸性を帯びた消化液
が出るようになり、消化が進むと分
解物を葉面からどんどん吸収してい
き、栄養分を補っている。
葉
■レッドデータブック 評価区分■■
環境省
外
指定植物
飛騨木曽川・
三河湾・愛知高原・
室生赤目青山
愛知県
岐阜県
三重県
外
外
準
企画制作:(財)
日本野鳥の会 写真・文:吉鶴靖則
ナガバノイシモチソウ
Drosera indica L.
モウセンゴケ科モウセンゴケ属
■分布等■■■
市内/なし
国内/愛知、岐阜、三重、静岡、
宮崎、茨城、栃木、千葉の
各県
海外/インドから東南アジア、オ
ーストラリアなどの熱帯・
亜熱帯地域
■見学適地■■
県内/知多郡武豊町の壱町田湿地
(白色花)、豊明市沓掛町の
小廻間湿地(紅色花)が公開
日のみ見学可。
■生育地■■■
湧水湿地の、日当たりのよい半裸
地状の場所に生育。土壌は砂質、水
質は弱酸性を好む。
紅色花
■起源■■■■
モウセンゴケ属の起源は古く、ゴ
ンドワナ大陸起源と考えられている。
ゴンドワナ大陸は後に大陸の分裂、
移動によって現在のユーラシア大陸
の一部、オーストラリア大陸などに
なった、古い時代の大陸である。ゴ
ンドワナ大陸起源の祖先から生き残
ったため、現在日本、中国、インド、
東南アジア、オーストラリアなど、
海を隔てた遠隔地に分布していると
考えられている。日本では白色花の
生育地が多く、紅色花は国内では愛
知県(豊明市沓掛町、
豊橋市佐藤町)・
三重県(絶滅)のみに分布するため、
紅色花を独立してみた場合は伊勢湾
地域のみの分布である。
白色花
■その他■■■
食虫植物で、世界的には地域によ
って花の色や植物体に変異が多く、
日本で見られる紅色、白色の花の他、
だいだい色、薄紫色などの花がある。
また、植物体も真っ赤になるものが
知られている。
白色花:竹内一義氏 撮影
■レッドデータブック 評価区分■■
環境省
指定植物
愛知県
岐阜県
三重県
IB
三河湾
IA
外
絶滅
企画制作:(財)
日本野鳥の会 写真・文:吉鶴靖則
ミカワシオガマ
Pedicularis resupinata L. var. microphylla Honda
ゴマノハグサ科シオガマギク属
■分布等■■■
市内/矢並町など
国内/愛知、岐阜、静岡(絶滅)の
各県
海外/なし
■見学適地■■
市内/矢並町の矢並湿地
(公開日のみ)
■生育地■■■
湧水湿地の日当たりのよい場所や
林縁に生育。酸性の湿地を好む。
■起源■■■■
日本固有で、細かくは伊勢湾地域
の固有である。中国大陸東北部、朝
鮮半島、日本で見られるシオガマギ
クから、東海地方で湿地に適応して
誕生したものと考えられている。
■その他■■■
根の一部を他の植物に寄生させて
養分を吸収する半寄生植物である。
花が美しいために採取されることが
多いが、半寄生という特異な生活を
営む植物のため、栽培は極めて難し
い。採取は厳に慎むべきである。
■レッドデータブック 評価区分■■
環境省
指定植物
愛知県
岐阜県
三重県
IB
愛知高原
IB
I
無
企画制作:(財)
日本野鳥の会 写真・文:吉鶴靖則
ヒメミミカキグサ
Utricularia minutissima Vahl
タヌキモ科タヌキモ属
■分布等■■■
市内/1ケ所(非公開)
国内/愛知、三重(絶滅)、
静岡(絶滅)の各県
海外/インドから東南アジア、オ
ーストラリアなどの熱帯・
亜熱帯地域
■見学適地■■
県内/知多郡武豊町の壱町田湿地
(公開日のみ)
■生育地■■■
湧水湿地で裸地状の泥地に生育。
■起源■■■■
ミミカキグサの仲間を含むタヌキ
モ科の植物は、ゴンドワナ大陸起源
と考えられている。ゴンドワナ大陸
は後に大陸の分裂、移動によって現
在のユーラシア大陸の一部、オース
トラリア大陸などになっており、こ
のことが現在海を隔てた遠隔地に分
布する形となったようである。海外
では広く見られるものの、日本での
分布は東海地方のみである。かつて
は日本固有種(伊勢湾固有)とされ、
学名はU. nipponica Makinoであった。
■その他■■■
ほちゅう
食虫植物で、糸状の地下茎に捕虫
のう
嚢をまばらにつけ、ここで土中の微
小動物を捕まえて栄養にしている。
とにかく小さな植物で、高さが1∼3
センチほど、花は直径2∼2.5ミリほ
どであり、富栄養化して他の植物が
入り込むと競争には勝てずに消滅し
てしまう。湧水のある厳しい荒地こ
そ、この植物が生き延びる貴重な環
境である。相次ぐ湿地の消滅や富栄
養化で、国内の生息地はあと数ケ所
といわれる。
竹内一義氏 撮影
■レッドデータブック 評価区分■■
環境省
指定植物
愛知県
岐阜県
三重県
IB
三河湾
IB
無
絶滅
企画制作:(財)
日本野鳥の会 文:吉鶴靖則
東海丘陵要素植物の起源/固有植物
環境の変化への生物の対処方法
● すみやすい環境に移動
中国大陸要素・
● レヒュージア※に残存 第三紀周北要素・
ゴンドワナ要素の
※レヒュージアとは避難場所ともいわれ、
他の地域では競争に負けたり、気候の
植物など
変化などで生きていけなくなったりし
た生物が逃げ込む場所の意味。
● 変化した環境に適応
こうした
植物の一部が
東海丘陵要素
固有植物の誕生
植物に
● 移動できずに絶滅
固有植物 ∼シデコブシ、ミカワシオガマ、シラタマホシクサなどの起源∼
日本や東海地方の環境に適応して誕生した植物。
見られる区域や定義によって、東海丘陵要素の他
にもソハヤキ要素、日本海要素などと命名されて
いる植物たちがある。
● 氷河期に低地へ進出した植物が、
温暖化の際にレヒュージア的に低地で
生き残れるように適応
●冷温帯性のミズナラから、暖帯性の
通称モンゴリナラと呼ばれる植物が誕生
●亜高山性のコバイケイソウ(写真A)から、
低山地性のミカワバイケイソウが誕生
● 湿地に適応 ●コブシからシデコブシが誕生
写真A コバイケイソウ
●シオガマギクからミカワシオ
ガマが誕生
● 新たに誕生 ●モウセンゴケ(写真B)とコ
モウセンゴケの雑種から、ト
ウカイコモウセンゴケが誕生
● その他
●シラタマホシクサ、ナガボナ
ツハゼ、ヘビノボラズ、クロ
ミノニシゴリが固有植物
写真B モウセンゴケ
企画制作:(財)
日本野鳥の会 写真・文:吉鶴靖則
中国大陸要素の植物
∼マメナシ、
ウンヌケの起源∼
日本と中国大陸や、その西に延長し
たヒマラヤに共通して分布し、他の地
域では見られない植物。日本が中国大
陸とつながっていたころ(図1)の名
残を示し、現在の日本に残存した遺存
種と考えられている。
日本は中国大陸の一部で、
中国大陸と同様の植物が
分布。
参考:ソハヤキ要素の植物
日本固有種と中国大陸に分布してい
る近縁種で考えた場合、中国大陸要素
に類似した分布を示し、主な分布域を
九州山地、四国山地、紀伊山地などと
する植物(図2)。広義には東海丘陵
要素植物の分布域もソハヤキ区域に含
まれ、固有の植物の多くがソハヤキ要
素の植物といえる。ソハヤキとは、こ
の分布域の地名である、南九州の古い
地名「襲(そ)の国」、九州と四国の間
の豊予海峡の別名「速吸瀬戸(はやす
いのせと)」、紀伊半島の古い地名「紀
伊(きい)の国」の頭文字を取ったもの
淡水域
海水域
陸域
図1 日本列島が中国大陸の縁辺部に存在した漸新世前期
(約3300万年前)
である。
このような海で隔離された島の時代
に、オサムシの仲間などの一部の生物
が固有種に分化したと考えられている。
ソハヤキ要素の植物の誕生には、どう
影響しただろうか? 中国大陸要素の
植物は、これらの環境の変化にも耐え
て残存した。
なお、日本が大陸から分断された後
の時代にも、地続きとなった時代があ
り、一部の種類は大陸から日本へ移動
したと考えられている。
図は小笠原憲四郎・植村和彦(2006)日本列島の生
い立ちと動植物相の由来.国立科学博物館叢書4
日本列島の自然史.を元に改変
ソハヤキ区域の主要部分は
水没せずに陸地として存在。
一部の種類が固有のものへ
変化?
図2 日本列島が多島化した中新世前期(約1800∼1500万年前)
企画制作:(財)
日本野鳥の会 文:吉鶴靖則 図:市川智子
第三紀周北要素の植物
∼ハナノキ、ヒトツバタゴの起源∼
新生代第三紀 ※ の暁新世∼
始新世に北半球に広く分布し
ていた名残を示す植物。当時、
現在のユーラシア大陸と北米
大陸、ヨーロッパ大陸は陸続
き(図1)で、温暖な気候の下、
北極圏の周囲(周北の語源)
にも落葉樹と針葉樹の混交林
や落葉広葉樹林が広がってい
たことが化石から判明している。
この温暖な時代の日本の環境は、
山口県宇部市地域で見つかっ
た化石を例にすると、現在の
八重山諸島や台湾の亜熱帯林
に比較できるほどと考えられ
ている。
当時広範囲に分布していた
植物の中には、後の地球の寒
冷化などによって多くの地域
で絶滅したものの、一部の地
域に遺存、もしくは温暖な地
域に南下、分散して残存した
ものもあった。これらの種類
は各地の環境に適応して形態
が変化した結果、現在では海
を隔てたヨーロッパと北米、
東アジアと北米で見られるよ
うに、近縁種が隔離分布して
いると考えられている。
中国大陸
陸続きのため、移動や
分散ができ、広範囲に分布
北米大陸
ユーラシア大陸
ヨーロッパ大陸
図1 新生代始新世中期∼後期
(約5000∼3400万年前)の北極側から見た大陸
ハナノキの分布域
遠隔地に隔離分布
※最近の研究から、第三紀の名称が変
更される可能性がある。
近縁種アメリカ
ハナノキの分布域
図は棚井敏雅(2001)カエデ属の進化 −そのたどった道.
Newton植物の世界 樹木編.を元に改変
図2 現在の北極側から見た大陸
企画制作:(財)
日本野鳥の会 文:吉鶴靖則 図:市川智子
ゴンドワナ要素の植物
∼ヒメミミカキグサ、
ナガバノイシモチソウの起源∼
古生代∼中生代に存在したゴンドワナ大陸に起源を持つ植物。ゴンドワナ大陸は北のローラ
シア大陸などとつながって超大陸パンゲアを形成した時代(図1)、再び分裂、移動した時代(図2)
を経て、現在の南アメリカ、アフリカ、インド、オーストラリアなどを形成(図3)した。ゴンド
ワナ要素の植物の誕生は古生代の石炭紀の終わりからペルム紀の初めにかけてで、氷河のある
厳しい特殊環境で生育していた植物たちと考えられている。当時は植物の9割ほどがグロッソプ
テリス(Glossopteris)類という湿地性の植物で占められていた。この環境で誕生した植物の一部に、
食虫植物のモウセンゴケの仲間やミミカキグサなどのタヌキモの仲間などが考えられている。
後の中国大陸や日本
ゴンドワナ起源の
植物は当時分布せず
超大陸パンゲア
寒冷地で誕生した
ゴンドワナ起源の
植物は、暑い赤道
を越えられない
図1 古生代後期∼
中生代初期の大陸
(約2億4000万年前)
ゴンドワナ大陸域
ゴンドワナ植物分布域
後のインド
ゴンドワナ起源の植物を伴って移動
大陸移動で海を隔てた地域に分散。
移動に伴い、温暖な気候へも徐々に適応
図2 中生代白亜紀後期
(約6500万年前)
陸続きの時代にゴン
ドワナ起源の植物が
移動し、現在へ
図3 現代
図はDavid C. Christophel(1997)ゴンドワナ植物.植物の世界4、竹内均監修(1986)Newton Collection 生きている地球.を元に改変
企画制作:(財)
日本野鳥の会 文:吉鶴靖則 図:市川智子
分布
東海丘陵要素という名称は、主に東海地方の丘陵地に分布していることからの命名。
しかし他の地域に分布するものも含まれている。
●日本固有(東海地方固有)で、世界中でも日本の東海地方のみに分布する
もの。一部は国外では絶滅し、日本の東海地方に遺存したもの。
●日本の他の地域で見られる植物でも、多く見られるのが東海地方で、他の
地域ではほとんど見られないもの。この場合、他の分布地域は近畿地方や
九州の宮崎県高鍋地方が多い。
●国外で見られる植物でも、日本では東海地方のみに分布するもの。
東海・近畿地方が同様な環境でつながった
鮮新世∼更新世(約300∼100万年前)の古地理図
東海地方の分布範囲
東
海
堆
積
盆
近畿地方の分布範囲
?
境
界
不
明
古
琵
琶
湖
堆大
積阪
盆
淡水域
海水域
陸域
図は吉田史郎(1992)瀬戸内区の発達史 −第一・第二瀬戸内海形成期を中心に−.地質調査所月報 第43巻 第1/2号.を元に
改変
トウカイコモウセンゴケ、クロミノニシゴリなどの東海地方と近畿地方に見ら
れる植物は、2つの地域が同様な生育環境でつながった時代に移動、もしくは同
様な地史的環境が現在まで継続したことで残存した可能性がある。東海地方と近
畿地方、宮崎県高鍋地方はよく似た地質環境で、幾つかの種類が共通に分布して
いる。東海地方に比べて東海丘陵要素植物が少ない原因として、生育場所の多さ
や広さの違いが考えられている。
企画制作:(財)
日本野鳥の会 文:吉鶴靖則 図:市川智子
地質環境と地史
東海丘陵要素植物の生育地の主な地質は、河川、扇状地、湖沼など、様々な環境で堆積した砂
礫層を中心とした堆積物である。これらの堆積物が溜まった場所は東海堆積盆などと呼ばれてい
る。かつては現在の琵琶湖のような広大な湖「東海湖」に堆積したといわれたが、現在では湖が
あっても小規模なもので、多くは蛇行河川とその氾濫原で形成されたと考えられている。
砂礫層の上に形成されたトウカイコモウセンゴケやシラタマホシクサが見られる湿地 (撮影:川田奈穂子)
東海地方は数百万年以上も「砂礫が堆積した場所」と、「堆積した場所が地殻変動で隆起し、
堆積物が丘陵地や低山地を形作った場所」が少しずつ場所を変えながら作られ続けた地域であり、
現在もこれは継続中である。絶えずこの地質環境が存在したという地史により、やせ地が常にど
こかに存在し、東海丘陵要素と呼ばれる植物が誕生、遺存した地域になったと考えられている。
● 様々な定義と地史の関係
東海丘陵要素は、その地域や生育環境などの条件が特徴的な植物たちを示す名称である。東海
地方にこのような特殊な植物が多いことは古くから多くの研究者が認識しており、様々な名称が
提唱されてきた。
「伊勢湾地域」(杉本順一1958年提唱)
「東海固有要素」または「周伊勢湾要素」(井波一雄1960年ほか提唱)
ソハヤキ地域内の特別な場所として「美濃−三河地域」(前川文夫1977年提唱)
「周東海湖要素植物群」(愛知県植物研究会1995年提唱) など
上記のものは主に現在見られる地域を基準にまとめたもので、植物が誕生、遺存した地質や地
史的環境は考慮されていない。これが東海丘陵要素と他の要素との定義の違いを表す重要な要件
となっている。
企画制作:(財)
日本野鳥の会 文:吉鶴靖則
生育環境
日当たりがよく、土壌が発達していない栄養の乏しい場所に生育
地盤は砂礫層、チャート、蛇紋岩など、崩れやすい地質
湧水がある場合、比較的低温で弱酸性∼酸性の栄養が乏しい水質
荒地
尾根や斜面は砂礫がむき出しで、
乾燥しやすい貧栄養の裸地
ハナノキ:
緩傾斜で
湧水地近く
湧水地
ウンヌケ:
荒地の草原状の
ところ
モンゴリナラ:
植生遷移で初めの
ころの雑木林の形成
ナガボナツハゼ:
木がまばらに生える
程度の半裸地
シデコブシ:水路沿いの斜面や
小さな谷底の平らな場所。土壌
が発達した立地は高木型
ミカワバイ
ケイソウ:
水量の多い
水路沿い
湧水に水量があって
水路を形成し、流れる
ような砂礫地
湧水湿地
砂礫がむき出しの
斜面で湧水が染み
出し続け、流水に
よって裸地的状況
が維持される湿地
シラタマホシクサ:
背丈が低い草原
シデコブシ:
やせ地・株立ち型
シデコブシ:
地表が水で
覆われる場所
は灌木叢生型
ミカワシオガマ:
背丈が低い草原
ウンヌケ:土手の
日当たりの良い草地
ため池
ヒトツバタゴ:
流れ出た湧水で
形成された水路
沿いで、大きな
石や岩の堆積地
ヒメミミ
カキグサ:
泥地
ナガバノ
イシモチソウ:
半裸地
トウカイコモ
ウセンゴケ:
砂礫地
ヘビノボラズ:
次第に土壌が
作られたところ
湧水湿地
砂礫地が緩傾斜と
なり、比較的広い
谷底に湧水が供給
された湿地
クロミノニシゴリ:湿地周辺
マメナシ:湧水のある場所
クロミノニシゴリ:湧水のある場所
企画制作:(財)
日本野鳥の会 文:吉鶴靖則 イラスト:川田奈穂子
絶滅危惧種が多い東海丘陵要素植物
東海丘陵要素植物の多くがレッドデータブックで絶滅危惧種に選定され、場所によっては
国などの天然記念物に指定されている。
東海丘陵要素植物一覧表
種 名
レッドデータブックのランク
(※)
(丸数字は写真番号)
環境省 愛知県 岐阜県 三重県
モンゴリナラ(通称)
外
準
外
無
シデコブシ ヘビノボラズ
国 内
外
準
準
不足
ハナノキ
ナガボナツハゼ
無
外
外
おそらく日本固有と思われる
日本固有
東海地方
無
日本固有(東海地方固有)
無
日本固有(東海地方固有)
外
ヒトツバタゴ
無
東海地方、長崎県対馬
日本固有(東海地方固有)
シラタマホシクサ
日本固有(東海地方固有)
ウンヌケ
外
ナガバノイシモチソウ
外
朝鮮半島、中国大陸、台湾
無
東海・近畿・四国・九州地方
外
準
おそらく日本固有と思われる
外
絶滅
紅色花:東海地方
白色花:関東・東海地方、
宮崎県
無
日本固有(東海地方固有)
ミカワシオガマ
ヒメミミカキグサ
朝鮮半島、中国大陸、ベトナム
日本固有
ミカワバイケイソウ
トウカイコモウセンゴケ
海 外
日本固有(東海地方固有)
マメナシ
クロミノニシゴリ
主な分布地域等
無
絶滅
東海地方
朝鮮半島、中国大陸、タイ、インド
アジア・オセアニア・アフリカの
熱帯地域
アジア・オセアニアの熱帯地域
減少した主な原因
企画制作:(財)
日本野鳥の会 写真・文:吉鶴靖則
豊田市自然観察の森の湿地
自然観察の森の中ではトンボの湿地、ヨシの湿地、ミズギボウシの湿地、シダの谷で、湿地性
植物が観察できる。自生の東海丘陵要素植物はヘビノボラズ、クロミノニシゴリの2種類で、こ
の他に自生地消失のために移植されたシデコブシ、観察用に移植されたシラタマホシクサとマメ
ナシが観察できる。また、東海丘陵要素の定義から外されているものの、分布地域や生息環境が
類似するために準構成員的な植物といわれるサクラバハンノキ、ミズギボウシが観察できる。
2月
上
中
3月
下
上
中
4月
下
上
中
5月
下
上
中
6月
下
上
中
7月
下
上
中
8月
下
上
中
9月
下
上
中
10月
下
上
中
下
ハンノキ
サクラバハンノキ
ショウジョウバカマ
シデコブシ
ヘビノボラズ
クロミノニシゴリ
ヒメミクリ
オオバギボウシ
ヌマトラノオ
ノリウツギ
サギソウ
ミズギボウシ
サワヒヨドリ
ミズオトギリ
ミズトンボ
アキノウナギツカミ
アカバナ
サワギキョウ
マアザミ
(キセルアザミ)
ヌマダイコン
スイラン
■
春
の
花
■
■
■
サクラバハンノキ
サクラバハンノキの花
企画制作:(財)
日本野鳥の会 写真・文:吉鶴靖則
東海丘陵要素に含まれて
いない湿地性植物では、環
境省のレッドデータブック
で絶滅危惧II類のヒメミ
クリなどの希少種や、花の
形が面白いサギソウやミズ
トンボ、夕方から夜に咲く
ミズオトギリなどがある。
ヒメミクリは6∼7月が、
他の湿地性植物の多くは8
月中旬∼9月中旬ごろが見
ごろである。
ミズオトギリ
サワギキョウ
■
■
夏
の
花
秋
の
花
■
■
■
■
■
■
ヌマトラノオ
サワヒヨドリ
サギソウ
ヒメミクリの雄花
ヒメミクリの雌花
ミズトンボ
企画制作:(財)
日本野鳥の会 写真・文:吉鶴靖則
矢並湿地
矢並湿地は愛知高原国定公園に含まれており、環境省の日本の重要湿地500に選定されている
貴重な湿地である。東海丘陵要素植物ではミカワシオガマ、シラタマホシクサ、トウカイコモウ
センゴケ、ヘビノボラズ、ミカワバイケイソウ、ウンヌケが観察できる。その他の湿地性植物も
豊富で、ハルリンドウ、トキソウ、サギソウ、ウメバチソウなどが観察できる。また、東海丘陵
要素植物と同様な分布域と生息環境の昆虫として知られるヒメタイコウチも観察できる。これら
の貴重な動植物を盗掘などから守るため、現在はフェンスで囲まれて保護されており、一般公開
日でなければ見ることはできない。
3月
上
中
4月
下
上
中
5月
下
上
中
6月
下
上
中
7月
下
上
中
8月
下
上
中
9月
下
上
中
10月
下
上
中
下
11月
上
中
下
ショウジョウバカマ
ハルリンドウ
ヘビノボラズ
トキソウ
カキラン
トウカイコモウセンゴケ
コバノトンボソウ
モウセンゴケ
サギソウ
シラタマホシクサ
ミカワシオガマ
マアザミ
(キセルアザミ)
ウメバチソウ
ホソバリンドウ
■
春
の
花
■
■
■
ハルリンドウ(撮影:水野マリ子)
ショウジョウバカマ
企画制作:(財)
日本野鳥の会 写真・文:吉鶴靖則
花の見ごろはシラタマホ
シクサとミカワシオガマが
美しく咲き誇る9月下旬∼
10月中旬で、郷土の宝で
ある東海丘陵要素植物の美
しさ、特にミカワシオガマ
の素晴らしさを楽しめる世
界随一の場所といっても過
言ではない。一般公開はこ
の季節に合わせて3日間限
定で毎年行われている。
コバノトンボソウ
ホソバリンドウ
■
■
夏
の
花
秋
の
花
■
■
■
■
■
■
カキラン
マアザミ(キセルアザミ)
トキソウ
ウメバチソウ
企画制作:(財)
日本野鳥の会 写真・文:吉鶴靖則
謝
辞
東海丘陵要素植物については金沢大学教授の植田邦彦先生に、地質については森勇一博士、中根鉄信先生、宇佐美
徹先生、名古屋大学名誉教授の糸魚川淳二先生に、豊田市の植物の現状については鈴木勝己先生にご教授を頂き
ました。また、写真の一部は竹内一義さんにご協力をいただき、パネル作成では挙母印刷企画の壹岐点子さんに
お世話になりました。厚くお礼申し上げます。
編集
文:吉鶴靖則
イラスト:川田奈穂子
パネルデザイン:挙母印刷企画
壹岐点子
写真:吉鶴靖則・水野マリ子・川田奈穂子
図:市川智子
企画制作:財団法人日本野鳥の会
参考文献
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植田邦彦(1990)消えるシデコブシの林 東海地方の低湿地からの報告.科学朝日.Vol.50 No.11 p.17-18
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