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平成26年度 園庭芝生化事業報告書 - 公益財団法人新潟県都市緑花

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平成26年度 園庭芝生化事業報告書 - 公益財団法人新潟県都市緑花
「にいがた緑のじゅうたん」プロジェクト
平成26年度
園庭芝生化事業報告書
平成27年4月
公益財団法人 新潟県都市緑花センター
芝生普及研究所
目 次
1.はじめに
……………………………………………………………
1
2.事業の概要 …………………………………………………………
2
(1)芝草の選定
…………………………………………
2
(2)工法の選定
…………………………………………
5
……………………………………………
5
(3)モデル園
3.実施概要 ……………………………………………………………
(1)船江保育園
(2)はじめ保育園
…………………………………………
6
6
……………………………………… 10
(3)真人幼稚園
………………………………………… 14
(4)聖母幼稚園
………………………………………… 18
4.植栽初年度における問題点・課題とその対応
…………………
22
はじめに
(公財)新潟県都市緑花センターは「まちに緑と花を!」をスローガンに、都市緑化
の普及啓発活動や都市公園の管理運営を行っています。
花や緑の魅力をより多くの皆さまのもとへお届けし、まちが花や緑、そして笑顔と安
らぎであふれるよう、様々な取り組みを進めています。
身近な緑を増やし、やすらぎを感じていただく方法の一つとして、平成25年度から
幼稚園や保育園の「園庭芝生化」に取り組んでいます。
幼稚園や保育園は、子ども達が1日の大半を過ごし、多様な体験を通じて豊かな感性
を育て創造性を培う場であり、中でも園庭は安心して遊べる憩の場として重要な役割を
果たしています。
昨今、子ども達の体力低下や地球温暖化、地域コミュニティの活性化などを社会的背
景とし、土のグラウンドから芝生のグラウンドにする学校や幼稚園・保育園などが増え
てきました。
このような状況の中、(公財)新潟県都市緑花センターでは、私立幼稚園・私立保育
園をモデル園として平成25年度には5園、平成26年度には4園の園庭芝生化に取り
組みました。
本報告書では平成26年度に実施したモデル園の実施状況や植栽初年度における課
題と対応を検証しました。
1
1.事業の概要
(1)芝草の選定
芝草は暖地型芝草と寒地型芝草の2つのグループに分類されます。
寒地型芝草
暖地型芝草
 冬は休眠して茶色
 年間を通して緑色
 夏の生育は旺盛
 暑さには非常に弱い
 硬く強い
 軟らかく繊細
代表的な芝草の種類と特性は下表の通りです。
種
類
校庭緑化
推 奨 度
環境性(耐性)
暑さ
寒さ
踏圧
日陰
生育
速度
回復
管理
難易
繁殖
方法
野芝
○
5
2
5
3
3
2
易
栄養
高麗芝
○
5
2
4
3
3
2
易
栄養
バミューダグラス
○
5
1
4
1
4
4
中
種子
ティフトン 419
◎
5
1
5
1
5
5
中
栄養
ティフトン 328
◎
5
1
5
1
5
5
中
栄養
ケンタッキーブルーグラス
△
3
4
3
2
2
4
難
種子
トールフェスク
△
4
3
4
4
3
3
難
種子
ペレニアルライグラス
△
2
2
4
3
4
2
難
種子
園(校)庭の芝生化を進める上で、環境性(耐性)や管理難易度、繁殖方法な
どを考慮すると、推奨される芝草はティフトン419及びティフトン328です
が、ティフトン328は多くのチッソ肥料を要することや成長が早く、刈り込み
回数が更に増えるなどの理由から、本事業では「ティフトン419」を推奨して
います。
また、秋から翌春にかけ、子ども達の利用がある場合、休眠期に入っているテ
ィフトン419をダメージから保護するため、ウインターオーバーシード(WO
S)を行っていますが、二年目以降、冬期間の芝生利用がない場合はウインター
オーバーシードを行わない幼稚園や保育園もあります。
ウインターオーバーシードには、ウインターオーバーシード用に育成され、従
来品種より春の移行がきわめてスムーズなインターメディエイトライグラス「サ
ツキワセ」を使用しています。
2
「ティフトン419」ってどんな芝生なの?
アメリカジョージア州ティフトンのコースタルプレーン農業試験場で品
種改良されたもので、バミューダグラスとアフリカギョウギシバの交雑種か
ら選抜された種子ができない栄養繁殖系の芝生品種です。
正式な品種名は「ティフウエイ」で、「ティフトン419」とは系統名で
すが、現在では「ティフトン419」が一般的な呼称になっています。
ゴルフ場のフェアウエイ用として販売されましたが、世界中のスポーツタ
ーフに使用されたり、校庭芝生化などに広く採用されています。
3
ウインターオーバーシードのしくみ
【9月~10月】
ベース芝となる「ティフトン419」の成育が衰退し始める前に「サツキ
ワセ」の種を蒔きます。
ウインターオーバーシード
【WOS】
【11月~3月】
ベース芝である「ティフトン419」は休眠し茎葉は茶色くなりますが、
「サツキワセ」が冬期間も緑色を保ちベース芝をダメージから保護します。
【4月~5月】
「ティフトン419」が休眠から覚め始めるころから、役目を終えた「サ
ツキワセ」を枯らすために短く刈り込むなどして「ティフトン419」の成
育を促します。
トランジション
【5月~9月】
「ティフトン419」の成長期
【9月~10月】
ベース芝となる「ティフトン419」の成育が衰退し始める前に「サツキ
ワセ」の種を蒔きます。
ウインターオーバーシード
【WOS】
4
(2)工法の選定
繁殖力が旺盛なティフトンの性質を活かし、費用対効果の高いセルポット苗で
植え付けました。
植え付け間隔は、新潟での育成実績を踏まえ50㎝間隔でポット苗を植え付け
ました。
(3)モデル園
平成25年度から幼稚園・保育園の園庭芝生化を進めてきましたが、その中で
も、行政支援を受けにくい私立園を対象としてきました。
今年度は5月に新潟市私立幼稚園協会、新潟市私立保育園協会の会員を対象に
園庭芝生化モデル園の募集を行いましたが、申込みは2園に止まり、芝生化予定
総面積1,500㎡に達しなかったため、新潟市の隣接地域である三条地域・新
発田地域・五泉地域の私立幼稚園を対象に、二次募集を行い、新たに3園が芝生
化モデル園として応募されました。
うち1園は園舎移転に伴い、新園舎の園庭500㎡を芝生化することで応募さ
れましたが、園舎建築工事との工程調整が整わず、芝生化を断念することになり
ました。
その他の4園については、うち2園で地盤造成工事が必要となりましたが、芝
生化を進めるにあたり大きな問題もなく、今年度は以下の4園をモデル園として
選定しました。
園
名
市町村
芝生化面積
船江保育園
新潟市
85㎡
はじめ保育園
新潟市
460㎡
真人幼稚園
新潟市
126㎡
聖母幼稚園
三条市
235㎡
計
906㎡
5
(4)植栽初年度の標準的な作業工程
ポット苗を植栽した初年度の標準的な作業工程は下表の通りとなります。
◆暖地型芝草「ティフトン419」+寒地型芝草「サツキワセ」の場合
作
業
名
7月
8月
9月
10月
11月
12月
1月
2月
3月
上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下
オーバーシード
夏芝
芝生の状態
ティフトン419
播種後3週間は立入禁止
サツキワセ播種
1回/週
芝刈り
刈高
40㎜
1回/週
30㎜
40g 40g 40g
施肥
40g
降雨日以外(乾燥状態による)
散水
考
冬芝
植栽後2ヵ月間は立入禁止
ポット苗植栽
備
40㎜
20g
20g
40g/㎡
1回
40㎜
20g 化成肥料
1㎡@
適宜
2.実施概要
(1)船江保育園
①実施場所
新潟市東区船江町
地内
②施工方法
(ア)園庭の地盤造成(業者委託により実施)
(イ)園との協働によるポット苗の植栽
(ウ)芝生の管理作業《刈込み・施肥・散水・ウインターオーバーシード等》
③植栽面積
85㎡
④地盤造成及びポット苗植栽
(ア)地盤造成 平成26年7月22日(火)
苗の安定的な成長性確保のため真砂土を投入
(イ)ポット苗植栽
平成26年7月23日(水)
ポット苗340株を植栽
⑤養生期間
平成26年7月23日~平成26年9月23日
※植栽時期や夏季の気温などの影響によりティフトンの成育が遅れたため養
生期間は延長されました。
6
⑥位置図
⑦平面図
1.0
10.9
0.9
14.7
1.7
9.1
7.5
4.5
5.0
1.5
4.6
0.8
2.9
7
⑧芝生化状況写真
月 日
状 況 写 真
7 月 22 日
7 月 23 日
【植栽日】
8月6日
【植栽後 2 週間】
8
月 日
状 況 写 真
8 月 20 日
【植栽後 4 週間】
9月3日
【植栽後 6 週間】
9 月 24 日
【植栽後 9 週間】
11 月 10 日
【WOS状況】
9
(2)はじめ保育園
①実施場所
新潟市東区河渡 地内
②施工方法
(ア)園との協働によるポット苗の植栽
(イ)芝生の管理作業《刈込み・施肥・散水・ウインターオーバーシード等》
③植栽面積
470㎡
④地盤造成及びポット苗植栽
(ア)ポット苗植栽
平成26年7月17日(木)
ポット苗1,880株を植栽
⑤養生期間
平成26年7月17日~平成26年9月17日
※植栽時期や夏季の気温などの影響によりティフトンの成育が遅れたため養
生期間は延長されました。
⑥位置図
10
⑦平面図
24.3
18.0
19.3
4.0
1.3
20.3
11
⑧芝生化状況写真
月 日
状 況 写 真
7 月 17 日
【植栽日】
7 月 24 日
【植栽後 1 週間】
8月6日
【植栽後 3 週間】
12
月 日
状 況 写 真
8 月 22 日
【植栽後 5 週間】
9月3日
【植栽後 7 週間】
9 月 11 日
【植栽後 8 週間】
11 月 10 日
【WOS状況】
13
(3)真人幼稚園
①実施場所
新潟市中央区鐙西
地内
②施工方法
(ア)園庭の地盤造成(業者委託により実施)
(イ)ポット苗の植栽
(ウ)芝生の管理作業《刈込み・施肥・散水・ウインターオーバーシード等》
③植栽面積
126㎡
④地盤造成及びポット苗植栽
(ア)地盤造成 平成26年7月30日(水)
苗の安定的な成長性確保のため真砂土を投入
(イ)ポット苗植栽
平成26年7月31日(木)
ポット苗504株を植栽
⑤養生期間
平成26年7月31日~平成26年8月28日
※園の運営事情により芝生化は中止
⑥位置図
14
⑦平面図
1.5
7.0
9.0
4.8
4.7
1.0
4.5
1.5
3.5
1.0
1.0
8.4
8.0
6.0
15
⑧芝生化状況写真
月 日
状 況 写 真
7 月 30 日
7 月 31 日
【植栽日】
16
月 日
状 況 写 真
8 月 15 日
【植栽後 2 週間】
8 月 22 日
【植栽後 3 週間】
8 月 28 日
【植栽後 4 週間】
9月3日
【植栽後 5 週間】
17
(4)聖母幼稚園
①実施場所
三条市月岡 地内
②施工方法
(ア)園庭の不陸整正(園関係者・園児保護者)
(イ)園との協働によるポット苗の植栽
(ウ)芝生の管理作業《刈込み・施肥・散水・ウインターオーバーシード等》
③植栽面積
235㎡
④地盤造成及びポット苗植栽
(ア)不陸整正 平成26年7月
(イ)ポット苗植栽
平成26年7月28日(月)
ポット苗940株を植栽
⑤養生期間
平成26年7月28日~平成26年9月28日
※植栽時期や夏季の気温などの影響によりティフトンの成育が遅れたため養
生期間は延長されました。
⑥位置図
18
⑦平面図
30.4
5.7
14.0
16.4
3.0
19
⑧芝生化状況写真
月 日
状 況 写 真
7 月 28 日
【植栽日】
8 月 11 日
【植栽後 2 週間】
20
月 日
状 況 写 真
8 月 25 日
【植栽後 4 週間】
9月8日
【植栽後 6 週間】
9 月 24 日
【植栽後 8 週間】
11 月 10 日
【WOS状況】
21
3.植栽初年度における問題点・課題とその対応
植栽時期における問題点・課題
当年度の植栽は7月中旬~下旬にかけて実施されましたが、2ヵ月間の養生期
間を経過する以前に、日平均気温が20℃を下回ってしまい、そのことが影響し、
ティフトンが園庭全面を均一に被覆しない状況が現れました。
対応
新潟での芝生化を進めるにあたっては、ティフトンの生育が気温
に大きく左右されてしまうことを考慮すると、植栽を6月上旬~7
月上旬に行い、養生期限が遅くとも9月上旬になるよう設定するこ
とが理想です。
初期養生における問題点・課題
植栽初年度における生育管理において、最も注意しなければいけないことは
「水切れ」です。
ポットで植え付けられた苗は、根が少なく、浅いため、乾燥には非常に弱く、
乾燥ストレスを一度受けてしまうと、生育が一時的に停止してしまいます。
当年度は7月下旬から8月上旬にかけては気温が上がり降水量が少なかった
ことで散水(初期養生)が間に合わず、初期生育が遅れてしまいました。
対応
植栽基盤の乾燥状態に応じた適切なタイミングと量での散水が茎
葉の伸長を促がし、スムーズなターフ化を可能としますが、上水道
を使用している園にとって費用的負担が残ってしまいます。
初期生育期が梅雨期にかかるよう、また、プール水を使用するな
ど効率的な散水を事前に考慮する必要があります。
22
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