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EViews の使い方 第 5 章

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EViews の使い方 第 5 章
1
EViews の使い方 第 5 章
小西葉子 ∗ 伊藤有希†
初版 2007 年 7 月 11 日
改訂 2010 年 5 月 17 日
目次
1
基本的な使い方 (パネルデータ)
3
1.1
データの読み込み . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
4
1.2
パネルデータとして認識させる . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
9
2
パネル記述統計
11
3
パネル分析の理論
14
3.1
Pooled OLS . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
14
3.2
Fixed Effects Model . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
14
3.3
random effects model . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
16
3.4
F Test(Pooled OLS vs Fixed Effect Model) . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
16
3.5
Hausman Test . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
16
3.6
推定方法のまとめ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
17
3.7
Time Fixed Effects Model と Time Random Effects Model . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
17
3.8
Two-way Fixed Effects Model と Two-way Random Effects Model . . . . . . . . . . . . . . . . .
17
EViews でパネル分析
19
4.1
Pooled OLS . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
19
4.2
Fixed Effects Model(固定効果モデル) . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
21
4.3
F Test (Pooled OLS vs Fixed Effect Model) . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
24
4.4
Random Effects Model(変量効果モデル) . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
25
4.5
Hausman Test(Fixed Effects Model vs Random Effects Model) . . . . . . . . . . . . . . . . .
28
4.6
Time Fixed Effects Model(時間固定効果モデル) . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
29
4.7
F Test (Pooled OLS vs Time Fixed Effect Model) . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
32
4.8
Time Random Effects Model(時間変量効果モデル) . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
33
4
∗
†
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目次
目次
4.9
Hausman Test(Time Fixed Effects Model vs Time Random Effects Model) . . . . . . . . . . .
36
4.10
Two-way Fixed Effects Model(2 方向固定効果モデル) . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
37
4.11
F Test (Pooled OLS vs Fixed Effect Model) . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
41
4.12
Two-way Random Effects Model(2 方向変量効果モデル) . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
42
4.13
Hausman Test(Two-way Fixed Effects vs Two-way Random Effects) . . . . . . . . . . . . . .
46
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1 基本的な使い方 (パネルデータ)
1 基本的な使い方 (パネルデータ)
以下のようなデータを用いて、パネル分析を行う。
• 企業の以下のような財務データ。y (単独 売上高合計)、k (単独 有形固定資産)、l(単独 従業員数合
計)の自然対数値 lny、lnk、lnl。
• クロスセクション。東京証券取引所第 1 部の業種分類が食料品(コードが 2000 番台)に属し、1980 年
から 2000 年まで上場している 48 の企業。
• 時系列。1980 年、1985 年、1990 年、1995 年、2000 年。
• 欠損値を含まない(balanced panel)。
表 1 銘柄名とコード
コード
2001
2002
2003
2004
2051
2052
2056
2102
2107
2108
2109
2201
2202
2204
2206
2207
銘柄名
日本製粉
日清製粉グループ本社
日東製粉
昭和産業
日本農産工業
協同飼料
日本配合飼料
台糖
東洋精糖
日本甜菜製糖
新三井製糖
森永製菓
明治製菓
中村屋
江崎グリコ
名糖産業
コード
銘柄名
コード
2211
2212
2215
2261
2262
2264
2281
2282
2284
2286
2288
2501
2502
2503
2531
2533
不二家
2536
2540
2571
2591
2601
2602
2604
2607
2801
2802
2809
2810
2811
2871
2875
2897
山崎製パン
第一屋製パン
明治乳業
雪印乳業
森永乳業
プリマハム
日本ハム
伊藤ハム
林兼産業
丸大食品
サッポロビール
アサヒビール
麒麟麦酒
宝ホールディングス
合同酒精
銘柄名
メルシャン
養命酒製造
中京コカ・コーラボトリング
カルピス
ホーネンコーポレーション
日清製油
吉原製油
不二製油
キッコーマン
味の素
キユーピー
ハウス食品
カゴメ
ニチレイ
東洋水産
日清食品
表 2 Excel ファイルの各系列の意味
ID
OBS
LNY
LNK
LNL
*1
各企業のコード
観測年 *1
実単 売上高合計(単位:100 万円)の自然対数値
実単 有形固定資産(単位:100 万円)の自然対数値
実単 従業員数合計(単位:100 万円)の自然対数値
1 が 1980 年、2 が 1985 年、3 が 1990 年、4 が 1995 年、5 が 2000 年をそれぞれ表す。
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1 基本的な使い方 (パネルデータ)
1.1 データの読み込み
1.1 データの読み込み
1.1.1 コピー&ペースト方式
1. Workfile 画面で「Quick」-「Empty Group (Edit Series)」をクリックする。
2. Excel ファイルを開き、読み込みたいセルを範囲指定してコピー(例:A1 から E241 まで)。*2
3. EViews のワークシートに貼り付ける。Excel の系列名をコピーしている場合は obs の右(1 の右上)の
セルを右クリックして「Paste」をクリックする。
*2
Excel の系列名は半角英数字で書いてある場合は、EViews に貼り付ける際にはそのまま変数名になる。
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1 基本的な使い方 (パネルデータ)
1.1 データの読み込み
1.1.2 Excel ファイルから Workfile を作成
この節では、これまでと違い Excel ファイルから、Workfike を作成する方法について述べる。
1. EViews を起動した状態で、メニューから「Open」-「Foreign Data as Workfile」をクリックし、任意の
Excel ファイル(例:panel panel panel.xls)を指定する。
2. 以下のような画面が表示されるが、そのまま「完了」をクリックする。
3. Workfile が自動的に作成され、Excel の各列のデータが読み込まれている。*3
*3
Excel の系列が Group の Object で読み込まれているがこの Object は削除してもよい。
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1 基本的な使い方 (パネルデータ)
1.1 データの読み込み
4. Workfile は以下のようになる。
1.1.3 Workfile を作成してから Excel ファイルを読み込む。
1. 新たに Workfile を作る。「File」-「New」-「Workfile」をクリックし、以下のように入力し「OK」をク
リックする。
Workfile structure type
Unstructured/Undated
Observations
240*4
2. 以下のような Workfile ができる。
*4
48 企業のデータが 5 年分あるので 240。
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1 基本的な使い方 (パネルデータ)
1.1 データの読み込み
3. Workfile 画面で「Proc」-「Import」-「Read Text-Lotus-Excel」をクリックし、読み込みたい任意の Excel
ファイルを指定(例:panel panel panel.xls)するとダイアログが表れるので以下のように入力する
・Data order
By Observation - series in columns *5
・Upper-left data cell
a2 *6
・Name of series…
5
・Excel 5+ sheet name
空欄のまま
4. 以下のような Workfile ができる。
*5
*6
系列を縦方向に読み込むという指定。
データの読み込みをはじめるセル (この例では Excel の spreadsheet で数字が入っているセルの中で一番左上) の場所を指定する。1
行目の系列名は自動的に読み込んでくれる。
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1 基本的な使い方 (パネルデータ)
5.
id を整数で表示する。
1.1 データの読み込み
id をダブルクリックして、spreadsheet を表示させる。数字の入っているセ
ルを右クリックし、「Display format」を選択する。*7
6. ダイアログが表示されるので、以下のように入力する。
・Numeric display
Fixed decimal *8
・Decimal places
0 *9
7. 以下のように整数表示となる。
*7
id は企業コードであったが、今回の方法で Excel から読み込んだ時点では、小数点以下の数字も表示されている。後の分析で、見
づらいので整数で表示させる。
小数点以下の表示桁数を固定する指定。
*9 小数点以下を 0 桁表示する指定。
*8
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1 基本的な使い方 (パネルデータ)
1.2
パネルデータとして認識させる
1.2 パネルデータとして認識させる
この節では、前の節で作成した Workfile について、EViews でパネルデータとして扱えるようにする方法に
ついて述べる。
1. Workfile の上側の Range と表示されている部分をダブルクリックする。
2. 現在の Workfile の構造が表示される。
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1 基本的な使い方 (パネルデータ)
1.2
パネルデータとして認識させる
3. Workfile の構造を日付入りパネルにする。
・Workfile structure type
Dated panel *10
・Cross-section ID series
id *11
・Data series
obs *12
4. 以下のように表示されれば OK。Range と Sample が変わっている。
5.
lny をダブルクリックする。これが、EViews のパネルデータの表示である。データの読み方の例。
2001-1 の右隣の値は、コード 2001 の企業(日本製粉)の 1980 年の lny の値である。2002-4 の右隣の
値は、コード 2002 の企業(日清製粉グループ本社)の 1995 年の lny の値である。
*10
日付(時間)のあるパネルデータの構造という指定。
クロスセクション方向は
id で分割するという指定
*12 時系列方向は
obs で分割するという指定
*11
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2 パネル記述統計
2 パネル記述統計
この節では、パネルデータの記述統計を EViews で計算する方法について述べる。
1. 全体の記述統計を計算する。
lny を開いている状態で「Views」-「Descriptive Statistics」-「Histogram
and Stats」をクリックする。
2. クロスセクション方向の記述統計。
lny を開いている状態で「Views」-「Descriptive Statistics」-
「Statistics by Classification」をクリックする。*13
・Series / Group for classify
*13
*14
id *14
ststistics の欄にある任意の統計量をチェックすれば、それを計算して出力してくれる。
id が同じデータに関して記述統計を計算する。
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2 パネル記述統計
3. 結果を見る。
4. 時系列方向の記述統計。
lny を開いている状態で「Views」-「Descriptive Statistics」-「Statistics by
Classification」をクリックする。*15
・Series / Group for classify
dateid *16
5. 結果を見る。
*15
*16
ststistics の欄にある任意の統計量をチェックすれば、それを計算して出力してくれる。
dateid(今回の場合は観測年)が同じデータに関して記述統計を計算する。
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2 パネル記述統計
6. ID に関する個別のグラフを書いてみる。「View」-「Graph」をクリックするとダイアログが表示される
ので、「Individual cross-section graphs」を選択し「OK」をクリックする。
7. 結果を見る。
8. ID に関する全体のグラフを書いてみる。「View」-「Graph」をクリックするとダイアログが表示される
ので、「Combined cross-section graphs」を選択し「OK」をクリックする。
9. 結果を見る。
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3 パネル分析の理論
3 パネル分析の理論
3.1 Pooled OLS
パネルデータを用いて以下のような回帰モデルを考える。データはクロスセクション方向に N 、時系列方
向に T あるとする。以下では、説明変数が一つの場合について述べる。説明変数が複数の場合でも、考え方
は同じである。
Yit = β0 + β1 Xit + εit , i = 1, 2, · · · , N, t = 1, 2, · · · , T
(1)
ただし、εit は標準的仮定をすべて満たしているとする。
このモデルでは経済主体(企業、個人、国など)の違いによって個別に生じる効果(個別効果)や時点の違
いによって生じる効果(時間効果) は考慮されていない。また β1 についても、個体間、時間を通じて常に一定
であると仮定する。このようなモデルは Pooled model と呼ばれ、OLS を用いて推定が可能である。この推定
方法を Pooled OLS と呼ぶ。
以下では、個別効果のみ(時間効果はない)を考慮したモデルを考える。
Yit = β0 + β1 Xit + uit , i = 1, 2, · · · , N, t = 1, 2, · · · , T
(2)
uit = µi + εit
(3)
このとき、µi は個別効果と呼ばれ,これをどのように扱うのかによって、望ましい推定方法や結果の解釈が変
わる。
3.2 Fixed Effects Model
個別効果が存在するモデルでは fixed effects model でも random effects model が分析によく用いられる。
fixed effects model でも random effects model でも µi を確率変数とするが、fixed effects model では µi と説明
変数に相関があるとし、random effects model では µi と説明変数に相関がないとする。この点が 2 つのモデ
ルの違いである。
3.2.1 Fixed Effects Model
この節では fixed effects model について解説する。(2) 式、(3) 式から
Yit = β0 + µi + β1 Xit + εit
(4)
となる。このとき、fixed effects model では µi が確率変数で、説明変数と相関があるとする。つまり、
Cov(µi , Xit ) ̸= 0
(5)
を仮定する。fixed effects model は経済主体(個人、企業、国など)の持つ、分析者には見えない(unobservable)
異質性(hetertogeneity)が時間に関して固定的である(時間には依存しない確率変数)と考えるモデルであ
る*17 。
*17
ただし,random effects model も,目に見えない異質性は時間に関して固定的である(時間には依存しない確率変数)
。
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3 パネル分析の理論
3.2
■LSDV(Least Square Dummy Variable)法
Fixed Effects Model
(4) 式はダミー変数を用いて以下のように書ける。
Yit = β0 + µ1 D1 + · · · + µN −1 DN −1 + β1 Xit + εit
(6)
ただし、
{
1,
Di =
0,
i = j,
i ̸= j
(7)
とする.(6) 式を最小二乗法で推定する方法を LSDV 法と呼ぶ.定数項があるモデルで推定する場合は、N − 1
個のダミーを用いる。
真のモデルが fixed effects model の場合、LSDV 法を用いた推定量は一致性、不偏性、有効性を持つ.一方,
真のモデルが fixed effects model の場合、Pooled OLS で得られる推定量 β̂0OLS , µ̂OLS
, β̂1OLS は誤差項と説明
i
変数が相関しているため、一致性、不偏性を持たない。
■サンプルサイズの問題 N が大きく、T が小さいと以下のような問題点がある。
• µi を推定することで自由度が少なくなり、不安定
• Xit が µi と似たような性質をもつと β̂1 はバイアスを持って推定される
(例)Xit が個人では異なるが時間方向で安定的な場合など。
3.2.2 Within 推定
µi を推定しない方法として within 推定がある。(4) 式の両辺から (4) 式の時間方向 t に関して平均をとった
ものを引くと以下の式が得られる。
(
)
Yit − Ȳi· = β1 Xit − X̄i· + (uit − ūi· )
ただし、Ȳi· =
∑T
Yit
t=1 T
(8)
とする。X̄i· , ūi,· も同様。時間方向 t に関して平均を算出し、各変数からの差をと
るので、時間方向に変化しない β0 , µi はモデルから落ちる。(8) 式を OLS で推定して得られる推定量 β̂1 は
within 推定量あるいは fixed effects 推定量と呼ばれ、LSDV model で推定する場合と同じ性質をもつ。
3.2.3 Between 推定
経済主体ごとに時間について平均をとる。
Ȳi = β0 + β1 X̄i· + ūi·
(9)
このとき、
Var (ūi· ) = σµ2 +
σε2
T
(10)
となる。(9) 式を OLS 推定したものが between 推定量である。真のモデルが fixed effects model の場合は説
明変数と誤差項に相関があるため between 推定量は一致性を持たない。真のモデルが(後で述べる)random
effects model の場合、一致性をもつ。
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3 パネル分析の理論
3.3 random effects model
3.3 random effects model
random effects model では,以下のように個別効果 µi が確率変数で説明変数と相関を持たないとする。
Yit = β0 + µi + β1 Xit + εit
(11)
Cov(µi , Xit ) = 0
(12)
で
とする。random effects model の場合、説明変数と誤差項は相関しないため Pooled OLS 推定量は一致性を持
つ。しかし、uit = µi + εit として誤差項を捉えると


 σµ + σε ,
cov(uit , ujs ) = σµ ,


0,
i = j, t = s,
i = j, t ̸= s,
i ̸= j
(13)
のように誤差項に正の系列相関があるので pooled OLS 推定量は有効性を持たない。random effects model が
真のモデルのとき、誤差項の系列相関を取り除いた GLS 推定量 β̂1GLS は一致性、有効性をもつ。この GLS 推
定方法を random effects 推定法、これによって得られた推定量を random effects 推定量と呼ぶ。GLS 推定の詳
細は Wooldridge (2009, Section 14.2) などを参照されたい。
3.4 F Test(Pooled OLS vs Fixed Effect Model)
個別効果が存在するかどうかを調べるため、以下のような検定を行う。
H0 : µ1 = µ2 = · · · = µN(つまり、個別効果が存在しない)
(14)
H1 : H0 ではない
(15)
帰無仮説 H0 のもとで、以下の検定統計量は自由度 N − 1, N T − N − k の F 分布に従う。ただし、k はモデ
ルに含まれる説明変数 X の数である。
(
)
RSS F E − RSS OLS / (N − 1)
RSS OLS / (N T − N − k)
(16)
RSS F E 、RSS OLS はそれぞれ fixed effects model、pooled model で推定した場合の Residual Sum of Squares
(残差二乗和)を表す。もし、帰無仮説が棄却されず個別効果がない可能性が高ければ pooled OLS を行う。詳
細は Greene (2007, Section 9.4.3) などを参照されたい。
3.5 Hausman Test
(3) 式について、個別効果が random effects であるか fixed effects であるかを検定するために Hausman test
を行う。帰無仮説 H0 と対立仮説 H1 は以下の通り。
H0 : Cov(µi , Xit ) = 0
(17)
H1 : Cov(µi , Xit ) ̸= 0
(18)
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3 パネル分析の理論
3.6 推定方法のまとめ
これは、以下のように解釈することが出来る。
H0 : 真のモデルは random effects model である
(19)
H1 : 真のモデルは fixed effects model である
(20)
µi が fixed effects でも random effects でも LSDV 推定量は一致性、不偏性を持つ。しかし,H0 のもとでは有
効性を持たない。一方、random effects 推定量は H1 の下では一致性を持たず、H0 のもとで一致性、不偏性、
有効性を持つ。
検定統計量はモデルの説明変数が一つの場合は以下のようになる。
H=
(β̂1F E − β̂1RE )2
Vd
ar(β̂ F E ) − Vd
ar(β̂ RE )
1
(21)
1
ただし、β̂1F E , β̂1RE はそれぞれ fixed effects 推定量と random effects 推定量で Vd
ar(β̂1F E ), Vd
ar(β̂1RE ) はそれ
らの分散の推定量である。説明変数が一つのときは漸近的に H ∼ χ2 (1)(自由度 1 のカイ二乗分布)となる
ことが知られている。
3.6 推定方法のまとめ
表 3 推定量の性質(真のモデルが fixed effects model)
真のモデル
推定量(推定方法)
一致性
不偏性
fixed effects model
fixed effects model
random effects estimaor(GLS)
fixed effects estimator (LSDV)
×
×
有効性
-
○
○
○
表 4 推定量の性質(真のモデルが random effects model)
真のモデル
推定量(推定方法)
一致性
不偏性
有効性
random effects model
random effects model
random effects estimaor(GLS)
fixed effects estimator(LSDV)
○
○
○
○
○
劣る
3.7 Time Fixed Effects Model と Time Random Effects Model
パネルデータを用いて、以下のような時間効果を考慮した回帰モデルを考える。
Yit = β0 + β1 Xit + uit
uit = γt + εit
(22)
(23)
fixed effects model と random effects model の場合との違いは (4) 式の µi と (23) 式の γt の違いである。time
fixed effects model と time random effects model の場合、個別効果はないが時間効果を考慮することとなる。
3.8 Two-way Fixed Effects Model と Two-way Random Effects Model
パネルデータを用いて、以下のような個別効果と時間効果の両方(Two-Way)を考慮した回帰モデルを考え
る。個別効果、時間効果がそれぞれ fixed effects であれば Two-way Fixed Effects Model、個別効果、時間効果
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3 パネル分析の理論
3.8
Two-way Fixed Effects Model と Two-way Random Effects Model
がそれぞれ random effects であれば Two-way Random Effects Model となる。
Yit = β0 + β1 Xit + uit
(24)
uit = µi + γt + εit
(25)
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4 EVIEWS でパネル分析
4 EViews でパネル分析
4.1 Pooled OLS
この節では、被説明変数に
lny、説明変数に
lnk と
lnl を用いて以下のような Pooled OLS を行う。
lnyit = c + β1 lnkit + β2 lnlit + εit
(26)
1. Pooled OLS を行う。Workfile を開いた状態で、「Quick」-「Estimate Equation」をクリックする。以下
のように入力し OK をクリックする。その他の欄はデフォルトのままとする。
・Equation specification
lny c lnk lnl
2. 結果を見る。
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4 EVIEWS でパネル分析
4.1 Pooled OLS
3. 推定式に名前をつける。推定結果を開いている状態で「Name」をクリックし、任意の名前(例:eq01)
を入力し OK をクリック。Workfile 上に
eq01 という Object が表示される。
4. 残差をグラフで見てみる。推定結果を開いた状態で「View」-「Actual, Fitted, Residual」-「Actual, Fitted,
Residual Graph」をクリックする。
5. 残差の Jarque-Bera Test(正規性の検定)を行う。推定結果を開いた状態で「View」-「Residual Tests」「Histogram-Normality」をクリックする。
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4.2 Fixed Effects Model(固定効果モデル)
4.2 Fixed Effects Model(固定効果モデル)
この節では、被説明変数に
lny、説明変数に
lnk と
lnl を用いて以下のような fixed effects model(固
定効果モデル)を考える*18 *19 。
lnyit = c + β1 lnkit + β2 lnlit + uit
uit = µi + εit
(27)
(28)
ここでは、各企業の個別効果 µi が確率的で説明変数と相関を持つとする。このとき、各企業のダミー変数を
dum1, dum2, · · · と表し、*20 LSDV model の形に書き換えると以下のようになる。
lnyit = c + µ1 dum1i + µ2 dum2i + · · · + µ48 dum48i + β1 lnkit + β2 lnlit + εit
(30)
1. Workfile を開いている状態で、
「Quick」-「Estimate Equation」をクリック。以下のような画面が現れる
ので、下記を入力。
・Equation specification
*18
*19
lny lnk lnl
*21
time fixed(or random) effects(時間固定効果あるいは時間変量効果)は考慮しない。
EViews でパネルの回帰分析を行う場合、固定(変量)効果を選ぶと、自動的に定数項が計算される。ダミー変数も ID の数だけあ
るので、完全な多重共線性があるように感じられる。しかし、EViews は自動的にダミー変数の係数の和が 0 となるような制約を
つけている(制約のもとで定数項を決めている)ので完全な多重共線性はない。制約により、EViews で計算される個別 ID の固定
(変量)効果は平均からの乖離となることに注意する。
ただし、dumji は以下のようなダミー変数とする。
*20
dumji =
*21
{
1 for i = j
0 for i ̸= j
(29)
fixed effects model や random effects model を選択する場合、c を書かなくても自動的に定数項が計算される。
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4.2 Fixed Effects Model(固定効果モデル)
2. オプションを指定。Panel Options タブを開いて以下のように記入して「OK」をクリックする。
・Cross-section
Fixed *22
・Period
None
3. 結果を見る。
*22
fixed effects model を推定するという指定。
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4.2 Fixed Effects Model(固定効果モデル)
4. fixed effects をみる。結果を開いている状態で、「View」-「Fixed/Random Effects」-「Cross-section
Effects」をクリックする。
5. 推定式に名前をつける。推定結果を開いている状態で「Name」をクリックし、任意の名前(例:eq02)
を入力し OK をクリック。Workfile 上に
eq02 という Object が表示される。
6. 残差をグラフで見てみる。推定結果を開いた状態で「View」-「Actual, Fitted, Residual」-「Actual, Fitted,
Residual Graph」をクリックする。
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4.3 F Test (Pooled OLS vs Fixed Effect Model)
7. 残差の Jarque-Bera Test(正規性の検定)を行う。推定結果を開いた状態で「View」-「Residual Tests」「Histogram-Normality」をクリックする。
4.3 F Test (Pooled OLS vs Fixed Effect Model)
個別効果が存在するかどうか、以下のような検定を行う。
H0 : µ1 = µ2 = · · · = µN
(31)
H1 : H0 ではない
(32)
帰無仮説 H0 が棄却されず、個別効果がない可能性が高ければ pooled OLS を行う。
1.
eq02 を開いた状態で「View」-「Fixed/Random Effects Testing」-「Redundant Fixed Effects . Likelihood
Ratio」をクリックする。*23
*23
EViews で、この検定を行う前には必ず fixed effects model で推定を行わなければならない。
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4.4
Random Effects Model(変量効果モデル)
4.4 Random Effects Model(変量効果モデル)
この節では、被説明変数に
(変量効果モデル)を考える。
lny、説明変数に
lnk と
lnl を用いて以下のような random effects Model
*24
lnyit = c + β1 lnkit + β2 lnlit + uit
uit = µi + εit
(33)
(34)
で、µi が確率変数で、以下のように説明変数と個別効果が無相関とする。
「Cov (lnkit , µi ) = 0 かつ Cov (lnlit , µi ) = 0」が成り立つ
(35)
1. Workfile を開いている状態で、
「Quick」-「Estimate Equation」をクリック。以下のような画面が現れる
ので、下記を入力。
・Equation specification
*24
*25
lny lnk lnl
*25
fixed(or random) time effects(時間固定効果あるいは時間変量効果)は考慮しない。
fixed effects model や random effects model を選択する場合、c を書かなくても自動的に定数項が計算される。
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4.4
Random Effects Model(変量効果モデル)
2. オプションを指定。Panel Options タブを開いて以下のように記入して「OK」をクリックする。
・Cross-section
Random *26
・Period
None
3. 結果を見る。
*26
random effects model を推定するという指定。
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4.4
Random Effects Model(変量効果モデル)
4. random effects をみる。結果を開いている状態で、「View」-「Fixed/Random Effects」-「Cross-section
Effects」をクリックする。
5. 推定式に名前をつける。推定結果を開いている状態で「Name」をクリックし、任意の名前(例:eq03)
を入力し OK をクリック。Workfile 上に
eq03 という Object が表示される。
6. 残差をグラフで見てみる。推定結果を開いた状態で「View」-「Actual, Fitted, Residual」-「Actual, Fitted,
Residual Graph」をクリックする。
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4.5 Hausman Test(Fixed Effects Model vs Random Effects Model)
7. 残差の Jarque-Bera Test(正規性の検定)を行う。推定結果を開いた状態で「View」-「Residual Tests」「Histogram-Normality」をクリックする。
4.5 Hausman Test(Fixed Effects Model vs Random Effects Model)
1. (33) 式、(34) 式に関して、以下のような Hausman Test を行う。
H0 : 真のモデルは random effects model である
(36)
H1 : 真のモデルは fixed effects model である
(37)
eq03 を開いている状態で*27「View」-「Fixed/Random Effects Testing」-「Hausman Test of Random
vs. Fixed」をクリックすると、以下の結果が出力される。
*27
EVies で Hausman Test を行う際には必ず、事前に random effects(or time random effects)を含む推定を行わなければならない。
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4.6
Time Fixed Effects Model(時間固定効果モデル)
4.6 Time Fixed Effects Model(時間固定効果モデル)
この節では、被説明変数に
lny、説明変数に
lnk と
lnl を用いて以下のような time fixed effects model
(時間固定効果モデル)を考える*28 。
lnyit = c + β1 lnkit + β2 lnlit + uit
uit = γt + εit
(38)
(39)
ただし、γ はクロスセクション方向には一定であり、時間効果 γt が確率変数で説明変数と相関を持つとする。
各年のダミー変数を timedum1980, timedum1985, · · · とする*29 。LSDV model の形に書き換えると以下の
ようになる。
lnyit = c + γ1 timedum1980t + γ2 timedum1985t + · · · + γ5 timedum2000t + β1 lnkit + β2 lnlit + εit
(41)
1. Workfile を開いている状態で、
「Quick」-「Estimate Equation」をクリック。以下のような画面が現れる
ので、下記を入力。
・Equation specification
*28
*29
fixed(or random)effects(固定効果あるいは変量効果)は考慮しない。
ただし、t は 1980 年のとき 1、1985 年のとき 2、· · · という値をとるので τ =
ミー変数とする。
timedumTt =
*30
lny lnk lnl
{
1
0
*30
T −1975
5
とすると timedumTt は以下のようなダ
for τ = t
for τ ̸= t
(40)
time fixed effects model や time random effects model を選択する場合、c を書かなくても自動的に定数項が計算される。
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4.6
Time Fixed Effects Model(時間固定効果モデル)
2. オプションを指定。Panel Options タブを開いて以下のように記入して「OK」をクリックする。
・Cross-section
None
・Period
Fixed *31
3. 結果を見る。
*31
time fixed effect model を推定するという指定。
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4.6
Time Fixed Effects Model(時間固定効果モデル)
4. time fixed effects をみる。結果を開いている状態で、
「View」-「Fixed/Random Effects」-「Period Effects」
をクリックする。
5. 推定式に名前をつける。推定結果を開いている状態で「Name」をクリックし、任意の名前(例:eq04)
を入力し OK をクリック。Workfile 上に
eq04 という Object が表示される。
6. 残差をグラフで見てみる。推定結果を開いた状態で「View」-「Actual, Fitted, Residual」-「Actual, Fitted,
Residual Graph」をクリックする。
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4.7 F Test (Pooled OLS vs Time Fixed Effect Model)
7. 残差の Jarque-Bera Test(正規性の検定)を行う。推定結果を開いた状態で「View」-「Residual Tests」「Histogram-Normality」をクリックする。
4.7 F Test (Pooled OLS vs Time Fixed Effect Model)
時間効果が存在するかどうか、以下のような検定を行う。
H0 : γ1 = γ2 = · · · = γT
(42)
H1 : H0 ではない
(43)
帰無仮説 H0 が棄却されず、時間効果がない可能性が高ければ pooled OLS を行う。
1.
eq04 を開いた状態で「View」-「Fixed/Random Effects Testing」-「Redundant Fixed Effects . Likelihood
Ratio」をクリックする。*32
*32
EViews で、この検定を行う前には必ず time fixed effects model で推定を行わなければならない。
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4 EVIEWS でパネル分析
4.8
Time Random Effects Model(時間変量効果モデル)
4.8 Time Random Effects Model(時間変量効果モデル)
この節では、被説明変数を
lny、説明変数に
lnk と
lnl を用いて time random effects model(時間変量
効果モデル)を考える。*33
lnyit = c + β1 lnkit + β2 lnli,t + uit
uit = γt + εit
(44)
(45)
ただし、γ はクロスセクション方向には一定であり、γt が確率変数で以下のように説明変数と無相関とする。
「Cov (lnkit , γt ) = 0 かつ Cov (lnlit , γt ) = 0」が成り立つ
(46)
1. Workfile を開いている状態で、
「Quick」-「Estimate Equation」をクリック。以下のような画面が現れる
ので、下記を入力。
・Equation specification
*33
*34
lny lnk lnl
*34
fixed(or random)effects(固定効果あるいは変量効果)は考慮しない。
Fixed Effects Model や Random Effects Model を選択する場合、c を書かなくても自動的に定数項が計算される。
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4 EVIEWS でパネル分析
4.8
Time Random Effects Model(時間変量効果モデル)
2. オプションを指定。Panel Options タブを開いて以下のように記入して「OK」をクリックする。
・Cross-section
None
・Period
Random *35
3. 結果を見る。
*35
time random effects model を推定するという指定。
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4.8
Time Random Effects Model(時間変量効果モデル)
4. time random effects をみる。結果を開いている状態で、「View」-「Fixed/Random Effects」-「Period
Effects」をクリックする。
5. 推定式に名前をつける。推定結果を開いている状態で「Name」をクリックし、任意の名前(例:eq05)
を入力し OK をクリック。Workfile 上に
eq05 という Object が表示される。
6. 残差をグラフで見てみる。推定結果を開いた状態で「View」-「Actual, Fitted, Residual」-「Actual, Fitted,
Residual Graph」をクリックする。
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4 EVIEWS でパネル分析 4.9 Hausman Test(Time Fixed Effects Model vs Time Random Effects Model)
7. 残差の Jarque-Bera Test(正規性の検定)を行う。推定結果を開いた状態で「View」-「Residual Tests」「Histogram-Normality」をクリックする。
4.9 Hausman Test(Time Fixed Effects Model vs Time Random Effects Model)
1. (44) 式、(45) 式に関して、以下のような Hausman Test を行う。
H0 : 真のモデルは time random effects model である
(47)
H1 : 真のモデルは time fixed effects model である
(48)
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4.10 Two-way Fixed Effects Model(2 方向固定効果モデル)
4.10 Two-way Fixed Effects Model(2 方向固定効果モデル)
この節では、被説明変数を
model(2
lny、説明変数に
lnk と
lnl を用いて以下のような two-way fixed effects
*36 を考える。
方向固定効果モデル)
lnyi,t = c + β1 lnki,t + β2 lnli,t + ui,t
ui,t = µi + γt + εi,t
(49)
(50)
ただし、µi は時系列方向に一定で、γt はクロスセクション方向に一定とする。個別効果 µi 、時間効果 γt がそ
れぞれ確率変数で以下のように説明変数と個別効果、説明変数と時間効果が相関しているとする。
「Cov (lnkit , µi ) ̸= 0 または Cov (lnlit , µi ) ̸= 0」かつ「Cov (lnyit , γt ) ̸= 0 または Cov (lnyit , γt ) ̸= 0」 (51)
LSDV model の形に書き換えると以下のようになる。
lnyi,t = c + µ1 dum1i + µ2 dum22 + · · · + µ48 dum48
+ γ1 timedum1980t + γ2 timedum1985t + · · · + γ5 timedum2000t
+ β1 lnki,t + β2 lnli,t + εi,t
(52)
1. Workfile を開いている状態で、
「Quick」-「Estimate Equation」をクリック。以下のような画面が現れる
ので、下記を入力。
・Equation specification
*36
*37
lny lnk lnl
*37
fixed effects と time fixed effects を考慮するモデル
fixed effects model や random effects model を選択する場合、c を書かなくても自動的に定数項が計算される。
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4 EVIEWS でパネル分析
4.10 Two-way Fixed Effects Model(2 方向固定効果モデル)
2. オプションを指定。Panel Options タブを開いて以下のように記入して「OK」をクリックする。
・Cross-section
Fixed *38
・Period
Fixed *39
3. 結果を見る。
*38
*39
fixed effect model を推定するという指定。
time fixed effect model を推定するという指定。
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4 EVIEWS でパネル分析
4.10 Two-way Fixed Effects Model(2 方向固定効果モデル)
4. fixed effects をみる。結果を開いている状態で、「View」-「Fixed/Random Effects」-「Cross-section
Effects」をクリックする。
5. time fixed effects をみる。結果を開いている状態で、
「View」-「Fixed/Random Effects」-「Period Effects」
をクリックする。
6. 推定式に名前をつける。推定結果を開いている状態で「Name」をクリックし、任意の名前(例:eq06)
を入力し OK をクリック。Workfile 上に
eq06 という Object が表示される。
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4.10 Two-way Fixed Effects Model(2 方向固定効果モデル)
7. 残差をグラフで見てみる。推定結果を開いた状態で「View」-「Actual, Fitted, Residual」-「Actual, Fitted,
Residual Graph」をクリックする。
8. 残差の Jarque-Bera Test(正規性の検定)を行う。推定結果を開いた状態で「View」-「Residual Tests」「Histogram-Normality」をクリックする。
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4.11 F Test (Pooled OLS vs Fixed Effect Model)
4.11 F Test (Pooled OLS vs Fixed Effect Model)
個別効果および時間効果が存在するかどうか、以下のような検定を行う。
H0 : µ1 = µ2 = · · · = µN かつγ1 = γ2 = · · · = γT
(53)
H1 : H0 ではない
(54)
帰無仮説 H0 が棄却されず、個別効果および時間効果がない可能性が高ければ pooled OLS を行う。
1.
eq06 を開いた状態で「View」-「Fixed/Random Effects Testing」-「Redundant Fixed Effects . Likelihood
Ratio」をクリックする。*40
*40
EViews で、この検定を行う前には必ず two-way fixed effects model で推定を行わなければならない。
– 41/46 –
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4 EVIEWS でパネル分析
4.12
Two-way Random Effects Model(2 方向変量効果モデル)
4.12 Two-way Random Effects Model(2 方向変量効果モデル)
この節では、被説明変数を
model(2
lny、説明変数に
lnk と
lnl を用いて以下のような two-way random effects
*41 を考える。
方向変量効果モデル)
lnyit = c + β1 lnkit + β2 lnlit + uit
uit = µi + γt + εit
(55)
(56)
ただし、µ は時系列方向に一定で、γ はクロスセクション方向に一定であり、それぞれが確率変数であるとす
る。さらに以下のように説明変数と個別効果、説明変数と時間効果がそれぞれ無相関であるとする。
「Cov (lnkit , µi ) = 0 かつ Cov (lnlit , µi ) = 0 かつ Cov (lnkit , γt ) = 0 かつ Cov (lnlit , γt ) = 0」が成り立つ
(57)
1. Workfile を開いている状態で、
「Quick」-「Estimate Equation」をクリック。以下のような画面が現れる
ので、下記を入力。
・Equation specification
*41
*42
lny lnk lnl
*42
random effects と time random effects を考慮するモデル
fixed effects model や random effects model を選択する場合、c を書かなくても自動的に定数項が計算される。
– 42/46 –
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4.12
Two-way Random Effects Model(2 方向変量効果モデル)
2. オプションを指定。Panel Options タブを開いて以下のように記入して「OK」をクリックする。
・Cross-section
Random *43
・Period
Random *44
3. 結果を見る。
*43
*44
random effect model を推定するという指定。
time random effect model を推定するという指定。
– 43/46 –
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Two-way Random Effects Model(2 方向変量効果モデル)
4. random effects をみる。結果を開いている状態で、「View」-「Fixed/Random Effects」-「Cross-section
Effects」をクリックする。
5. time random effects をみる。結果を開いている状態で、「View」-「Fixed/Random Effects」-「Period
Effects」をクリックする。
6. 推定式に名前をつける。推定結果を開いている状態で「Name」をクリックし、任意の名前(例:eq07)
を入力し OK をクリック。Workfile 上に
eq07 という Object が表示される。
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Two-way Random Effects Model(2 方向変量効果モデル)
7. 残差をグラフで見てみる。推定結果を開いた状態で「View」-「Actual, Fitted, Residual」-「Actual, Fitted,
Residual Graph」をクリックする。
8. 残差の Jarque-Bera Test(正規性の検定)を行う。推定結果を開いた状態で「View」-「Residual Tests」「Histogram-Normality」をクリックする。
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参考文献
4.13
Hausman Test(Two-way Fixed Effects vs Two-way Random Effects)
4.13 Hausman Test(Two-way Fixed Effects vs Two-way Random Effects)
1. (55) 式、(56) 式に関して、以下のような Hausman Test を行う。
H0 : 真のモデルは two-way random effects model である
(58)
H1 : 真のモデルは two-way fixed effects model である
(59)
参考文献
Greene, William H. (2007) Econometric analysis: Prentice Hall, 6th edition.
Wooldridge, Jeffrey M. (2009) Introductory econometrics : a modern approach: South-Western, 4th edition.
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