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第1回 化学結合、混成軌道、反応の種類

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第1回 化学結合、混成軌道、反応の種類
化学系演習
2016
1
化学系演習
有機化学の基礎
2016
̶̶̶(1) 化学結合
1)原子と混成軌道
原子の内部構造は、中心に原子核(正の電荷を帯びている)があり、その周りに電子(負の電荷を帯びている)
が存在していて、原子全体としては電気的に中性である。
x 10 -²⁴ g)
陽子(1.673
(正の電荷を持つ)
原子核
(正の電荷を持つ)
原子
中性子(1.675
重さはほぼ同じ
x 10 -²⁴ g)
(電荷を持たない)
x 10 -²⁸ g)
電子(9.109
(負の電荷を持つ)
重さは陽子の約
1
1840
陽子や中性子に
比べてとても軽い
Lewis 構造式(点電子式)・・元素の周りに最外殻電子だけを点(・)で表した式のこと。
原子の回りに書くのは価電子(・)であり、第1周期では2個まで、第2周期では8個まで電子を書ける。
18 族元素は 8電子状態(オクテット)で書く。オクテット構造は閉殻構造であるため、非常に安定である
族
1
2
13
14
15
16
17
18
He
K殻には電子が2個までしか入らないので、電子対になる
H
不対電子
H
He
L殻に電子を持つ場合には、5個目から対にする。
Li
Be
B
C
N
O
F
Ne
Li
Be
B
C
N
O
F
Ne
非共有電子対
オクテット構造
化学結合
二つの原子が相互作用して原子間に化学結合が形成されると、より安定になる。結合形成によりエネルギーが低くなるた
め、結合形成時にエネルギーが放出される。
共有結合
H + H
配位結合
H H
H + Cl
H Cl
価電子を共有する
電気陰性度の差が2.0未満
(例)
H
Cl
2.1
3.0
0.9
非金属元素 + 非金属元素
からなる
H
H N H
H+
H
+
H N H
H
イオン結合
H
H N+ H
F + e-
Li + + eF
-
Li + F ( LiF )
H
4本のNーH結合は区別できない
片方の原子の 非共有電子対 を
もう一方の原子に提供して
できる結合
(共有結合の一種)
2
Li
陽イオンと陰イオンの
静電気的引力による結合
価電子を共有するのではない
電気陰性度の差が 2.0 以上
金属元素 + 非金属元素
からなる
化学系演習
有機化学の基礎
2016
̶̶̶(2) 混成軌道
★ 混成から分かること(1)原子の結合状態
(2)立体構造
(3)酸性度など
電子配置を決める時の規則:
(1)組み立て原理:電子はエネルギーの低い軌道から順に入る。
(2)Pauli の排他原理:ひとつの軌道には最高 2 個の電子が入ることができる。
2 個の電子のスピンは逆平行。逆向きの矢印で書く。
(3)Hund の規則:エネルギーが等しい軌道(縮退軌道)に電子が入るときは、電子は 1 個ずつ、別々の軌道に、
スピンを同じ向きにして、分かれて入る。全ての縮退軌道に 1 個ずつの電子が入った後に、
2 個目の電子がそれぞれの軌道にスピンを逆向きにして入る。
★ 炭素(C:第 2 周期、14 族、原子番号 6)の電子配置を考えてみよう。
不対電子
軌
道
の
エ
ネ
ル
ギ
I
2p
空軌道
2s
1s
電子対
2
2
炭素原子の基底状態での電子配置 1s 2s 2p
2
★原子軌道同士が重なって、分子軌道(結合)を形成する
★原子と原子が近づいて、結合ができ、形を持った分子ができる。
=原子軌道が重なり合って、分子軌道ができあがる。
s軌道
混成軌道
(sp , sp², sp³)
p 軌道
σ結合(単結合)を形成 するのに使われる
π結合(多重結合)を形成するのに使われる
芳香族性にも関与
原子軌道
H
H
H H
s 軌道
σ軌道
+
s 軌道
分子軌道
C
+
sp³ 混成軌道
H
C
s 軌道
σ軌道
例
H
+
C
C
p 軌道
Hの1s 軌道同士の重なり
H C H
H
Cのsp³ 混成軌道と
Hの1s 軌道との重なり
H
C
C
H
p 軌道
H
H
H
C
結合形成(赤部分)
π結合部分
3
π
σ
H
C
H
Cのp 軌道同士の重なり
(σはCの sp²混成軌道同士の重なり)
化学系演習
2) sp
3
2016
混成軌道(メタンを例に)
z
z
z
x
x
x
y
y
2 px
x
x
y
y
y
2s
z
z
2 py
sp³混成軌道 ×4
2 pz
3次元上で4つ のsp³混成軌道が
最も離れるように位置する
基底状態だとCの結合数は2
C
( sp³混成原子の結合角 109.5°)
sp³混成ならCの結合数は4
2p
sp3
2s
1s
1s
炭素原子の電子配置(基底状態)
H
メタンのでき方
H
C
H
C
H
H
H
C
H
H
H
H
109.5˚
H
H
sp³ 混成
H
C
H
109.5˚ H
H
(正四面体構造)
CH 4
1s x 4 + sp³混成軌道 x 4
(H x 4)+ (C)
σ結合
2
3) sp 混成軌道(エチレンを例に)
sp2 混成
C
H
H
H
H
C
H
120˚
H
120˚ H
C
C
H
H
H
C
C
H
H
H
C
C
H
H
σ結合
π結合の形成に使われる
2p
C 2p
3本の σ結合を形成
するのに使われる
sp2
2s
1s
1s
z
z
x
y
H
(平面構造)
(エテン)
電子的に見た
エチレンの炭素の混成
π結合
2p 軌道(π結合を形成する)
σ結合 + π 結合
x
+
σ
y
4
σ
化学系演習
2016
4)sp 混成軌道(アセチレンを例に)
σ結合 + π結合 + π結合
π結合
σ結合
180˚
H
sp 混成
C
H
C
形成される2本の
H
C
H
C
π結合は直交している
(アセチレン)
π結合
2本のπ結合のを形成
2p
するに使われる
C 2p
電子的に見た
エチンの炭素の混成
2s
sp
1s
1s
2本のσ結合を形成
するのに使われる
z
z
x
y
+
σ
σ
x
y
sp 混成
π結合の形成
σ結合の形成
5)混成軌道のまとめ(炭素以外でも同じ、第2周期元素のσ結合=混成軌道)
sp³ 混成軌道
H
化合物の例
H
C
H
s性
CーH 酸性度
C
C
H
エチレン
四面体構造
109.5˚
平面構造
120˚
s
1
=
4
s+p+p+p
s
1
=
3
s+p+p
33%
154 pm
長い
133 pm
CーC結合距離
pKa 50
弱い
H
H
H
25%
CーC結合距離
H
H
メタン
軌道の形、結合角
sp 混成軌道
sp² 混成軌道
45
C
C
H
アセチレン
直線構造
180˚
s
1
=
2
s+p
50%
120 pm
短い
22
強い
CーH 酸性度
s 性の意味:s 性は混成軌道のすべての数から、s軌道の性質がどのくらいあるかを示した数値である。軌
軌 道の大きさ
はp軌道>s 軌道であるから、s 性が小さい(p軌道の割合が大きい)炭素間の結合距離は長くなる。s 軌道は球形で、
+
原子核に一番近いところに位置する。このため、s 性が大きい炭素に結合している水素はプロトン(H )として放出さ
れ易くなる(ふつうの酸の強さを考えるときと同様に s 性が大きい炭素は電気陰性度が大きいと考えると理解しやすい)。
つまり、酸として強いことを意味している。
5
化学系演習
有機化学の基礎
2016
̶̶̶(3) 反応の種類
1.反応の種類(全体的なまとめ)詳細は各論で取り上げる
a.
置換反応
入れ替わり
H
入れ替わり
R
R
R
求電子置換
Nu
X
R
求核置換
Nu
1.求電子置換反応(芳香族化合物の置換反応はほとんどが該当する)
2.求核置換反応(SN 反応 ̶ nucleophilic substitution reaction)
a)SN1反応・・・反応速度は原料の濃度だけ(1分子)に依存、3
3 級基質で起こり易い
カ ルボカチオン中間体、ラセミ化
b) SN2反応・・反応速度は原料と試薬の両方の濃度 (2分子)に依存、1
1 級基質で起こり易い
立 体反転
b.
脱離反応(隣同士の炭素から HX が脱離する)
CH 3
H 3C
C
X
CH 3
H 3C
C
X
H 3C
脱離反応
B
CH 3
CH 3
E1
CH2
C
X
脱離反応
1.E 反応 ̶elimination reaction
CH 3
CH2
E2
CH 3
CH 3
C
H 3C
CH 3
H
H 3C
CH2
C
C
H 3C
CH 3
アルケンが生成
2.ザイツェフ則とホフマン則 (アルケンが生成するとき)付加反応では全く関係しない
・・・ザ
ザ イツェフ則は多置換アルケンが生成するという経験則(反意語がホフマン則)
3.E1反応・・・反応速度は原料の濃度だけ(1次反応)に依存、3級基質で起こり易い、
カ ルボカチオン中間体を経る、ザ
ザ イツェフ則に従う
中性及び酸性条件下で進行、カ
4.E2反応・・・反応速度は原料と試薬の両方の濃度(2次反応)に依存、
塩基性条件下で進行、3級基質で起こり易い(強塩基条件では1級基質でも進行する)
アンチ脱離、ザイツェフ則に従うが環
環 状基質ではザイツェフ則に従わない場合がある
̶
4 級アンモニウム塩の脱離反応はホ
ホ フマン則に従う
か さ高い塩基 [(CH3)3CO ]の使用や4
c.
付加反応
CH 3
H 3C
C
Br
CH 3
CH2
HBr
マルコフニコフ付加
C
H 3C
CH 3
H
HBr, ROOR
(過酸化物)
反マルコフニコフ付加
H 3C
C
CH 2Br
CH3
1.アルケンやアルキンへの求電子付加反応(マルコフニコフ則と反マルコフニコフ則)
・・・通常はマルコフニコフ則に従う
・・・アルケンのヒドロホウ素化(BH3)は反マルコフニコフ則に従う(シン付加でもある)
2.カルボニル化合物への求核付加反応
d.
転位反応(バイヤービリガー転位、クライゼン転位など
O
O
CH 3
バイヤービリガー転位
CH 3
O
(m-クロロ過安息香酸)
6
Advanced 項目)
O
クライゼン転位
OH
化学系演習
2016
2.付加、置換、脱離反応を区別する
付加反応 vs 脱離反応
付加反応
H
H 2O
H
H 2SO 4
(水和反応)
C C
H
H H
H
H C C H
H C C H
H OH
C
H 2SO 4
HgSO 4
(水和反応)
O
C
H
C
H
OH
H
C
C
H
O
付加反応
多重結合数が減る
H
逆に考えれば、脱離反応は
多重結合数が増える。
OH
H 2O
H 3C
H
H
H
H 2O
H 3C
(水和反応)
C OH
H
脱離反応
置換反応
H
H
HNO 3
H
H
NO 2
NO 2
- H
H 2SO4
H
H 3C
C
Br
H
(S
多重結合数に変化無し
多重結合上の置換は
付加ー脱離機構である
H
OH
H 3C
N2反応)
C
OH +
置換反応
Br
H
付加反応
O
C
H 3C
OH
NH 2OH
H
NOH
H 3C C NHOH
付加反応
- H 2O
H
C
H 3C
H
付加反応
オキシム
O
C
H
H C NHCH 3
付加反応
H
アルデヒドとケトンへの
NCH 3
OH
CH 3NH 2
- H 2O
H
反応は全て求核付加反応
C
H
H
イミン
見かけ上、反応の前後で結合数が変わっていないが、試薬が付加し、その後に脱水したと考えるため。
転位反応(Advanced)
O
転移で無いことに注意
クライゼン転位
O
OH
加熱
転位反応
原子の配列が変わる
H
クライゼン転位は芳香族性を維持するように、転位後にベンゼン環が再生する有名な転位反応の一つである。
転位反応は、新カリキュラムで発展的項目(Advanced 項目)に分類されたが、4大反応の一つである。
7
化学系演習
2016
3.反応の種類を知る(求電子と求核の違い)
電 気陰性度
分極
=
=
原子が共有電子対を引きつける強さを表す
電気陰性度の異なる原子が共有結合を形成するときに原子間で生じる電荷の偏り
は
で
族
2.1 δ+
、
H
H
の
表
期
周
H
C
δ-
2.5
行
へ
上
vs
Cl
H
δ+
C
2.5
Cl
δ-
3.0
H
B
H
A
く
き
大
ど
ほ
く
同
で
期
周
一
期
周
、
は
の
表
へ
右
ほ
く
行
クロロメタン(CH 3Cl)での例
一
非金属元素
金属元素
大
ど
同
電気陰性度
る
な
く
き
る
な
反応を考える上で重要なのは B
(炭素より電気陰性度の大きな原子に着目!)
最低限、知っておくべき電気陰性度の基本
ハロゲン > C > H > Metal
および
O > N > C
反応は大きく、求
求 電子と求核に分類される。また、付
付 加と置換があるのでこれらをまとめて概説すると、
(A) 求電子反応(付加と置換)
①結合ー炭素多重結合への求電子付加反応(C=C、C≡C への反応)
例(アルケンへの HBr の付加)
C
C
E
C
C
E
H
H
C
H
Br 2, HCl, HI, H 2O の付加など
H
H
C
H Br
Br
H C C H
H C C H
H H
H H
H
②結合ー炭素多重結合への求電子置換反応(ベンゼン環への反応)
例(ベンゼンのニトロ化)
H
H
E
NO 2
NO 2
- H+
NO 2
他にベンゼンの
スルホン化
ハロゲン化
FriedelーCrafts反応など
(B) 求核反応(置換と付加)
③炭素ーヘテロ原子への求核置換反応(C̶X への反応)
→ 炭素原子よりも電気陰性度の大きな原子 X(ハロゲンなど)が単結合している場合
Nu
C
または
Nu
例(ハロゲン化物の反応)
δ+ δ ー
C
Nu
X
H
Nu
HO
δー
+ H Cδ + Cl
H
HO
H
ーに荷電していなくても非共有電子対
をもてば反応する場合もある
C H + Cl
H
④炭素ーヘテロ原子への求核付加反応(C=O, C≡N への反応)
→ 炭素原子よりも電気陰性度の大きな原子(酸素、窒素など)が多重結合している場合
例(アルデヒドへのグリニャール試薬の付加)
δ+ δ ー
C
Nu
Nu
δ+ δ ー
O
C
Nu
Oδ
N
Nu
C
H
8
OH
ー
δ+
H
δ ー δ+
H 3C MgBr
H C H
CH 3
化学系演習
2016
チェック問題!
問1
次の化合物の矢印で示した炭素原子の混成の種類を答えなさい。
(
O
(
)
)
H
(
)
(
(
)
H
C
O
C
H
H
(
(
H C
H
H
)
)
)
(
)
H
H
C C C
O
(
(
H
H
(
問2
)
C
N
H
H
)
(
)
N
CH3
CH3
Cl
)
以下の記述に関して、正しいものには○を、誤っているものには×をつけ正しく直しなさい。
2
(a) アンモニアの窒素原子は、sp 混成軌道をもち、分子全体はほぼ平面構造である。(
2
(b) 三フッ化ホウ素(BF3)のホウ素原子は、sp 混成軌道をもつ。(
)
3
(c) イソプロピルカルボカチオンの中央炭素は、sp 混成軌道をもつ。(
2
(d) 安息香酸の炭素原子は、すべて sp 混成である。(
)
)
)
(e) 窒素分子の結合には、シグマ(σ)結合は含まれない。(
)
3
(f) sp 混成軌道は、1s 軌道と 3 つの 2p 軌道が混成して形成される。(
)
3
(g) メタンの炭素原子も水の酸素原子も sp 混成であるが、メタンの H-C-H 結合角より水の H-O-H 結合角の方が小さい。
(
)
(h) ethylene(ethane)と acetylene(ethyne)の炭素原子を比べると、後者の炭素原子のもつ軌道の s 性が大きい。
(
)
(i) s 性の大きい炭素に結合している水素のほうが、s 性の小さい炭素に結合している水素より酸性度が大きい。(
3
(j) エチルアミンは非共有電子対が、sp 混成軌道に収容され、塩基性を示す。(
2
(k) ピリジンは非共有電子対が、sp 混成軌道に収容され、塩基性を示す。(
(l) ピロールは非共有電子対が、sp 混成軌道に収容され、塩基性はない。(
)
)
)
(m) アセトニトリルの窒素の非共有電子対は p 軌道に収容され、塩基性はない。(
9
)
)
化学系演習
問3
以下の反応は、置換、付加、脱離、転位のどれに分類されるか(97-6)。
OH
CH 3
問4
CH 3
H 2O
+
付加反応はどれか(98-8)。
NO 2
HNO 3, H 2SO 4
1
OH
H 2SO 4
2
加熱
H 3C
CHO
+
3
H 3C
加熱
H 3C
CHO
H 3C
OH
4
問5
2016
OCH3
CH 3I, NaOH
次のうち、求核置換反応でないのはどれか(99-7)。
NaNH 2
1
NH 3
Cl
N
N
NH 2
O
O
3
(CH 3)2NH
Cl
2
HBr
(CH 3)3COH
N(CH 3)2
(CH 3)3CBr
O
O
OH
4
CH 3OH
OCH3
HCl
NO 2
HNO 3
5
H 2SO 4
問6
鎖状グルコースから環状グルコース A や B を生成する反応は、求核置換、求核付加、求電子置換、求電子付加、
脱離のどれか。反応が進行したのは、a で示した炭素である。(有機化学1
HO
HO
CH2OH
O
a
H
HO
OH
環状グルコース A
H
HO
H
H
CHO
OH
H
OH
OH
CH2OH
HO
HO
再試験問題を改変)。
CH2OH
O
a
OH
HO
H
鎖状グルコース
10
環状グルコース B
化学系演習
問7
2016
置換反応はどれか。1 つ選べ。(第 4 回国家試験模擬試験)。
O
1
OH
HCN
H
CN
O
CN
H 2SO 4
NH 2
2
Br
3
CH2
SO 3H
H 2SO 4
4
O
OH
加熱
5
問8
Br
Br 2
以下の反応のうち、共役付加反応が進行しているのはどれか。1つ選べ。(第 230 回国家試験模擬試験)。
O
1
2 H 3C
2 H 3C
H
CH 3
1) NaOCH 2CH 3, CH 3CH2OH
O
CH 3
H 3CO
OCH3
O
1) (CH 3)2CuLi
2) CH 3CH2OH
O
5
CH 3
O
Cl
CH 3OH
O
O
CO2CH 3
2) H 3O
O
4
O
CH 3
1) NaOCH 3, CH 3OH
O
O
H 3C
2) H 3O
O
3
O
H 3C
H
O
2
OH
NaOH, H 2O
OCH3
11
CH 3
化学系演習
問9
2016
次の反応式は、日本薬局方医薬品シブロヘプタジン塩酸塩水和物の合成法の 1 つについて、その一部分を示した
ものである。この合成法に関する記述のうち、正しいのはどれか。1 つ選べ。(94-13 を一部改変)。
O
SOCl2
Br
N
Br
O
AlCl3
反応 A
反応 B
Cl
COOH
反応 C
O
O
O
H 3C N
(C 2H 5)3N
MgBr
HO
反応 D
反応 E
O
N
N
CH 3
CH 3
シブロヘプタジン
1
反応 A は、二酸化イオウと塩化水素が発生するラジカル反応である。
2
反応 B は、芳香族求電子置換反応である。
3
反応 C は、ベンジル位における付加反応である。
4
反応 D は、脱離反応であり、(E)ーアルケンを与える。
5
反応 E の生成物には、不斉炭素が存在する。
問10
次の反応式は、日本薬局方医薬品ジフェンヒドラミンの合成法の一部を示したものである。この合成法とジフェ
ンヒドラミンの構造に関する記述のうち、正しいのはどれか。2 つ選べ。(95-13 を一部改変)。
H H
H Br
光 , Br 2
HOCH 2CH2N(CH 3)2
反応 B
反応 A
CH 3
N
CH 3
O
ジフェンヒドラミン
1
反応 A は、光による臭素の均一結合開裂(均等結合開裂、ホモリシス)により開始される。
2
反応 A には、炭素ラジカルの生成が関与する。
3
反応 B は、塩基性条件下における付加反応である。
4
ジフェンヒドラミンは、工ステル結合をもつ。
問11
図は日本薬局方医薬品アミノ安息香酸エチルの合成法を示したものである。この合成法に関する記述のうち、正
しいのはどれか。2 つ選べ。(96-13 を一部改変)。
CH 3
CH 3
A
O
CH 3
OH
O
HNO 3
KMnO 4
Zn, HCl
反応 W
反応 X
反応 Y
NO 2
NO 2
B
C
OH
O
反応 Z
NH 2
NH 2
D
E
1
反応 W は、ベンゼン環に対するニトロ基の付加反応である。
2
化合物 B は、二トロベンゼンを AlCl3 存在下、塩化メチルで処理しても合成できる。
3
反応 X は酸化反応であり、反応 Y は還元反応である。
4
反応 Z は、SN2 反応の機構で進行する。
5
化合物 E の矢印で示した酸素原子は、工タノール由来である。
12
O
CH 3CH2OH
HCl
Fly UP