...

マクロ経済学

by user

on
Category: Documents
3

views

Report

Comments

Transcript

マクロ経済学
マクロ経済学
第21回 IS-LM(2): 政策効果
もう一度,復習・・・IS-LM分析
経済は,労働市場,生産物市場,貨幣市場,資本市場の4つに区分できる.
 その内, IS-LM分析とは物価水準を所与(一定)として,総需要関数の背景に
ある生産物市場と貨幣(及び資本)市場の同時均衡(決定)を扱う.
⇒わかりやすく言えば,
・「消費者の欲しいモノ」と「企業の生産物」はどのようにマッチングするのか
・その時,貨幣量(の価格である利子率)はどのように変化するのか

IS: 生産物市場の均衡(生産<供給>=支出<需要>)させ
るGDPと利子率との組合せのこと
LM:貨幣市場の均衡(貨幣需要=貨幣供給)させるGDPと利
子率との組合せのこと
理解すべきは,IS,LM曲線上の動きとシフト.
経済問題ではシフトが重要!
LM曲線 (1)
・ 貨幣市場の均衡(貨幣需要=貨幣供給)させる GDP Y と利子率 r との組合せのこと.
・ 貨幣市場において貨幣需要(流動性を求める) L と貨幣供給 M が一致している場合,次式が成立してい
る.ただし,貨幣供給 M は,政策的に供給される(つまり所与).
M =L
・ L は利子率 r と GDP Y から決定される.
1.
利子率 r の上昇は,現在の M より将来の M を需要することから,利子率 r と現在の M との関係は
負の相関(マイナス)となる.
2.
GDP Y の増加は,消費など需要(=取引需要)を増加させることから,GDP Y と現在の M との関係
は,正の相関(プラス)となる.
M = L r , Y 
 (−) (+) 
上式のカッコ内の金利とGDPが,変化しないためには,GDP上昇の時,金利上昇
正相関になることがわかる
均衡しているんだから...それが曲線の意味です
LM曲線 (2) 導出
ここで,利子率に変化がなくGDP(Y)が増加すると・・・(A点⇒B点)
Yの増加により貨幣需要が
増加
⇒Mが増加しないとすれば
超過需要状態
⇒均衡を取り戻すためには,
rが上昇して貨幣需要を
減少させる必要がある
B点⇒C点へ移動
利子率
C
A
B
GDP
LM曲線 (3) シフト
(外部環境の変化)
・ 外生変数である物価 P が上昇する(インフレになる)と,LM
利子率
曲線はどうなるのか.
LM曲線
・ インフレは貨幣の購買力を低下させる.つまり,同じ財を購
入するために,貨幣量が減少していることを意味する.
・ 一方,貨幣需要に変化がないとすれば,貨幣市場を均衡さ
r
せるためには,GDP が減少するか,利子率が上昇する,ある
r
いは,その両方が起きて貨幣需要を減少させる必要がある.
*
C
B
A
B
⇒つまり,インフレが起きると,金融引締め政策により,景気を悪
化(GDP を減少)させるか,金利を上昇させる.
Y
*
Y
GDP
IS曲線 (1)
・ 生産物市場の均衡(生産<供給>=支出<需要>)させる GDP Y と利子率 r との組合せのこと.
・ 生産物市場(閉鎖経済)において供給量 Y と需要量が一致している場合,次式が成立している.
Y =C +I +G
・ 消費 C は所得 Y の増加関数,設備投資 I は利子率の減少関数,政府支出 G は政策変数(外生)である
から,GDP Y と利子率 r との関係は,負の相関(マイナス)となる.ただし, C 0 は必需的消費, c は限界消
費性向とする.
Y =  c Y + C 0  + I  r  + G
  (−) 
 (+)
1




Y =  C0 + I  r  + G  ×
 (−) 

 1− c
金利とGDPが逆相関になることがわかる
IS曲線 (2) 導出
ここで,利子率に変化がなくGDP(Y )が増加すると・・・(A点⇒B点)
Yの増加はSの増加を意味する(全
てがCにならない)
⇒ Iが増加しない場合,Sの超過供
給状態
⇒均衡を取り戻すためには,rが低
下してIを増加させると同時に,貨
幣需要を増加させ,Sを減少させ
る必要がある.
B点⇒C点へ移動
・これを曲線で描くと,右下がりの曲
線となる
・「貨幣需要は利子率と負の関係」
にあることを思い出す!
利子率
A
B
C
GDP
IS曲線 (3) シフト
(外部環境の変化)
・ 外生変数である政府支出 G が増加(公共事業拡大,減税な
利子率
ど)と,IS 曲線はどうなるのか.
・ 財政政策の拡張により国債発行の増加あるいは租税徴収の
増加により,貯蓄 S が減少する.つまり,資本供給の不足状
態となる.
・ 生産物市場(資本市場)を均衡させるためには,GDP が増加
r’
r
C
B
A
して貯蓄 S が増加するか,利子率が上昇することにより企業
B
の設備投資 I が減少するか,あるいは,その両方が起きる必
IS曲線
要がある.
Y
⇒つまり,拡張的財政政策により,景気を浮揚(GDP を増加)させ
る一方,金利を上昇させる.
Y
’
GDP
IS-LM分析 (1) 金融緩和を実施
LM 曲線は,右下方にシフト:
・ 貨幣供給 M の増加により,貨幣需要が過小需要状態となる.貨幣市場の均衡には,所得の増加,利子
率の低下,あるいはその両方が必要となる.
IS 曲線は不変:
・ 利子率の低下により,企業の設備投資 I が増加すると同時に,貨幣需要の増加により貯蓄率 S も増加す
ることから,均衡は保たれる.
利子率
LM曲線
r
A
B
r’
IS曲線
Y
Y
GDP
IS-LM分析 (2) 財政拡張を実施
LM 曲線は不変:
・ 政府支出 が増加により GDP は増加し,超過需要となると同時に,利子率の上昇によっ
て貨幣需要は減少し, は均衡状態が保たれる.
IS 曲線は右上方にシフト:
・ 財政政策の拡張により国債発行の増加あるいは租税徴収の増加により,貯蓄 が減少し,
資本供給の不足状態となる.
・ 生産物市場(資本市場)を均衡させるためには,GDP が増加して貯蓄 が増加するか,
利子率が上昇することにより企業の設備投資 が減少するか,あるいは,その両方が起
きる必要がある
利子率
LM曲線
r’
r
B
A
IS曲線
Y
Y
GDP
では,どちらに..IS-LM分析

下記の状態の場合,それぞれどのように動くのか?
IS 曲線を右上方のシフトさせる要因は A
左下方のシフトさせる要因は B
LM曲線を右下方のシフトさせる要因は C
左上方のシフトさせる要因は D
(1)増税,
(2)貨幣需要の増加
(3)物価の下落,
(4)投資意欲の増大,
(5)名目貨幣供給量の増加, (6)財政支出の拡大,
(7)法定準備率の増加,
(8)貯蓄の増加,
(9)輸出の増加,
(10)公定歩合の引下げ
Fly UP