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抄録 - 宮崎県健康づくり推進センター

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抄録 - 宮崎県健康づくり推進センター
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高校生の食事の実態から“食育”のポイントをさぐる
~ 平 成 16 ・ 10 年 県 民 健 康 ・ 栄 養 調 査 の 再 解 析 結 果 よ り ~
都城保健所
興梠 郁子
【はじめに】
平 成 16 年 と 10 年 の 「 宮 崎 県 の 小 児 の 健 康 と 食 生 活 の 現 状 」 1) か ら 県 内 の 高 校 2 年 生
の食事の実態をもとに「食育」のポイントを探ることを目的として検討したので報告す
る。
【方
法】
平 成 16 年 ( 男 子 555 名 、 女 子 819 名 ) と 平 成 10 年 ( 男 子 452 名 、 女 子 545 名 ) の 高 校
2 年 生 の 結 果 に つ い て 「 2005 年 度 版 食 事 摂 取 基 準 活 用 に 当 た っ て の 留 意 点 」 2 )( 厚 生 労
働 省 ) に 示 さ れ て い る エ ネ ル ギ ー 、 た ん ぱ く 質 、 脂 質 、 ビ タ ミ ン 類 ( A 、 B1 、 B2 、 C)、
カ ル シ ウ ム 、 鉄 、 食 塩 相 当 量 の 10 項 目 に つ い て 「 日 本 人 の 食 事 摂 取 基 準 ( 2005 年 版 )」 2 )
を用いて比較解析を行った。
ま た 、 エ ネ ル ギ ー ・ 栄 養 素 の 給 源 を 独 自 に 27 食 品 群 に ま と め 、 食 品 群 別 に エ ネ ル ギ
ー・栄養素摂取量と寄与率について解析を行った。
県民健康・栄養調査は、基本的に国民健康栄養調査に準拠した調査方法を用いている
が 、 摂 取 食 品 か ら の 栄 養 価 算 出 に お い て は 、 5 訂 日 本 食 品 標 準 成 分 表 3) を 用 い て い る
点 が 異 な る 。 な お 、 平 成 10 年 調 査 結 果 に つ い て は 4 訂 補 日 本 食 品 標 準 成 分 表 4 ) で 入 力
されたものを可能な限り5訂版の栄養成分値に置き換えて再評価を行った後に比較を行
っている。
【結
果】
EAR が 求 め ら れ て い る 栄 養 素 に つ い て EAR 以 下 の 割 合 で 見 た と き 、 た ん ぱ く 質 の み
が 男 女 と も 充 足 し て い た 。他 の 栄 養 素 に つ い て は E A R -cutpoint 以 下 の 割 合 が 高 か っ た 。
平 成 16年 と 10年 を ① 平 均 エ ネ ル ギ ー 摂 取 量 で 比 較 ( 表 1 ) ② 脂 肪 エ ネ ル ギ ー 比 率 で 比 較 ( 表
2) ③ 各 栄 養 素 を EARで 比 較 ( 表 3) ④ カ ル シ ウ ム を 目 標 量 で 比 較 ( 表 4 ) ⑤ 乳 類 の 摂 取 量 で 比
較 ( 表 5) ⑥ ビ タ ミ ン B 1 、 Cの 摂 取 食 品 の 寄 与 率 で 比 較 ( 表 6) ⑦ 食 塩 相 当 量 で 比 較 ( 表 7) し た 。
性
男
女
① 平 均 エ ネ ル ギ ー 摂 取 量 ( 表 1)
別 年 度 摂 取 量( 中 央 値 ) E E R
子 16 年
2443
2750
10 年
2428
子 16 年
1793 **
2200
10 年
2058
性別
男子
女子
EER ‥ 推 定 エ ネ ル ギ ー 必 要 量
性
男
子
年
16
10
16
10
② 脂 肪 エ ネ ル ギ ー 比 率 (表 2 )
度 摂 取 量( 中 央 値 ) 過 剰 の 者 の 割 合
年
28.2% **
41.1%
年
26.7%
31.0%
年
29.5% **
47.4%
年
28.2%
39.3%
目標量‥20%以上30%未満
③ 各 栄 養 素 の EAR 以 下 の 者 の 割 合 ( 男 女 別 ・ 年 度 比 較 )( 表 3 )
年度
EAR 以 下 の 者 の 割 合
性
栄 養 素
年 度 EAR 以 下 の 者 の 割 合
た ん ぱ く 質 16 年
6.3%
女 たんぱく質
16 年
7.8%
10 年
2.8%
子
10 年
0.5%
ビ タ ミ ン B1 16 年
58.4% **
ビ タ ミ ン B1
16 年
68.0% **
10 年
72.1%
10 年
43.3%
ビ タ ミ ン B2 16 年
54.4% **
ビ タ ミ ン B2
16 年
56.9% **
10 年
71.9%
10 年
25.3%
ビ タ ミ ン C 16 年
60.2% **
ビタミンC
16 年
67.8% **
10 年
52.2%
10 年
48.1%
ビ タ ミ ン A 16 年
51.0% *
ビタミン A
16 年
49.6% **
10 年
59.3%
10 年
36.9%
鉄
16 年
79.8% **
鉄
16 年
82.7% **
10 年
49.8%
10 年
59.1%
栄 養 素
EAR ‥ 推 定 平 均 必 要 量
④ カ ル シ ウ ム の 目 標 量 未 満 の 者 の 割 合 ( 表 4 ) ⑥ ビ タ ミ ン B 1 と ビ タ ミ ン C の 寄 与 食 品 群 と 寄 与 率 ( 表 6 ) ( H16 年 )
性 別 年 度 目標量未満の者の割合
栄養素
性
寄与食品群
寄 与 率
89.1% **
83.2%
87.8% **
79.8%
ビ タ ミ ン B1
目 標 量 ‥ 男 子 850mg/ 日 、 女 子 650mg/ 日
ビタミン C
男
子
女
子
16
10
16
10
年
年
年
年
⑤ 乳 類 の 摂 取 量 ( 1 人 1 日 平 均 )( g ) (表 5 )
性
男
別
子
女
子
年
16
10
16
10
度
年
年
年
年
摂取量
107.3
136.3
57.8
84.8
男
子
女
子
男
子
女
子
豚
め
豚
め
肉
し
肉
し
その他の野菜
緑黄色野菜
その他の野菜
緑黄色野菜
35.6%
12.8%
34.0%
11.0%
30.7%
28.5%
29.2%
28.9%
⑦ 食 塩 相 当 量 の 目 標 量 以 上 の 者 の 割 合 ( 表 7)
表 に 共 通 ** は 1 % 、 * は 5 % の 危 険 率
で有意差が見られた。
性
男
別
子
女
子
年
16
10
16
10
度
年
年
年
年
目標量以上の者の割合
53.7%
51.8%
59.8%
81.8%
目 標 量 ‥ 男 子 10g/ 日 未 満 、 女 子 8g/ 日 未 満
① 平均エネル ギー摂取量 は女子 は有 意に減少した。
② 脂 肪 エ ネ ル ギ ー 比 率 と 過 剰 者 の 割 合 は 、 男 女 と も 10年 よ り 16年 が 有 意 に 増 加 し て い た 。
③ た ん ぱ く 質 は 男 女 と も 充 足 し て い た 。 ビ タ ミ ン B 1 、 B 2 、 C、 A お よ び 鉄 に つ い て は 、 不 足 者 が
見られた。
④ カルシウムの目標量 に充たない者の割合は男女と も約9割であった。
⑤乳類の摂取量は男女とも減少した。
⑥ 栄 養 素 に お け る 食 品 群 の 寄 与 率 は 、 ビ タ ミ ン B 1の 給 源 と し て 男 女 と も 豚 肉 で 約 3 割 を 占 め て
い た 。 ビ タ ミ ン Cに つ い て は 、 男 女 と も 野 菜 類 全 体 で 約 5 割 を 占 め て い た 。
⑦ 食塩相当量 は過剰 の割合の者が約5割を超えていた。
【考
察】
両調査共に1日調査であり個別には習慣的な食事を把握できていないという問題点に
留意しつつ以下の考察を行った。
カルシウムの目標量に充たない者の割合が男女とも約9割であったのは、カルシウム
の 給 源 で あ る 乳 類 の 摂 取 不 足 が 原 因 で あ る と 思 わ れ る 。 こ の こ と は 第 59 回 日 本 公 衆 衛
生 学 会 7)で も 報 告 し て い る と お り 、 高 校 生 に な り 給 食 を 実 施 し て い る と こ ろ が 少 な く な
ったためであると考えられる。このことから、高校生に対する「食育」のポイントはカ
ルシウムの摂取に重点を置くことであると考えられる。
【まとめ】
カルシウムの摂取量を増やすためには、一般的には乳類の摂取量を増やすことが考え
られるが、脂肪エネルギー比率の過剰の者の割合が高いことから、このことを配慮した
「食育」の進め方が必要になってくる。
そのためには、保健所としては高校生の親へはもとより、高校生に直接アプローチす
ることでこの現状を認識してもらうことが重要である。
その方策の一つとして、養護教諭や保健主事の先生方と連携して指導の場を広げるこ
とで「食育」の推進を図りたい。
参考文献
1 )「 宮 崎 県 の 小 児 の 健 康 と 食 生 活 の 現 状 」 平 成 1 2 年 3 月 宮 崎 県 福 祉 保 健 部
2 )「 2005 食 事 摂 取 基 準 」 平 成 1 6 年 1 0 月
厚労省
3 )「 5 訂 日 本 食 品 標 準 成 分 表 」
平成12年11月
科学技術庁資源調査会
4 )「 4 訂 日 本 食 品 標 準 成 分 表 」
昭和51年10月
科学技術庁資源調査会
5 )抄 録 「 高 校 生 の 栄 養 の 現 状 」 平 成 1 2 年
第59回日本公衆衛生学会
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