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硫化水素中毒に対する 危機管理

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硫化水素中毒に対する 危機管理
む)と入浴剤の六一〇ハップ (硫黄、生石灰、カ
トイレ用洗剤であるサンポール (塩酸九・五%を含
ている。警察庁によると、二〇〇八年一〜五月末で
二〇〇八年に入り、硫化水素による自殺が急増し
化水素泉)により発生するほか、近年は人為的に発
で発生する。また、工場の事故や火山・硫黄泉(硫
ンポール の代わりにバッテリー液(硫酸を含む)、
さ せ て い る。 一 部 の イ ン タ ー ネ ッ ト 情 報 で は、 サ
ゼイン、硫化カリ含有)を混入して硫化水素を発生
⑴
工場の事故
化学工場において、硫黄を含む化合物(硫酸、亜硫
六一〇ハップ の代わりに農薬の石灰硫黄合剤を使
用しても硫化水素が発生するとの記載があり、サン
酸ナトリウム、その他の硫化物)と酸、アルカリ等
ポール と六一〇ハップ 以外の液剤にも十分な注
く、硫化水素ガスの発生により発生現場で重大な二
が反応し発生する。
が漏れる事故がしばしば発生している。硫化水素は、
次被害を起こす可能性が高く、発見者や家族、周辺
石油精製工場での脱硫装置の異常により硫化水素
住民を巻き込み、救急・救助者にも危害が及ぶ危険
意が必要である。
B
硫化水素中毒の発症機序と症状
1
硫化水素の毒性
硫 化 水 素 は、 硫 黄 と 水 素 か ら な る 無 機 化 合 物
⑵
汚水・廃棄物処理
施設での事故で硫化水素が発生することがある。
る。硫化水素は水溶性が高く、眼粘膜や鼻、咽頭、
重く、常温では卵の腐ったような特徴的な臭いがあ
汚水・廃棄物処理、汚泥処理、その他硫黄を扱う
⑶
地下工事
で、 化 学 式 は H、
分 子 量 は 三 八、 沸 点 マ イ ナ ス
2S
六〇・四 ℃の無色透明の可燃性の気体で、空気より
性があることである。
以降、内閣府を軸に、警察庁、消防庁、厚生労働省、
こ の た め、 表 1 ⑴に示すように、二〇〇八年四月
農林水産省等の各省庁だけでなく、学会や薬剤師会
により、硫化水素、メタン等が発生し、硫化水素中
低い濃度では粘膜刺激症状を生じ、二五〇pp m 以
喉頭等の気道の粘膜に速やかに溶解し吸収される。
マンホール、下水道、タンク内で、有機物の分解
毒や酸欠症の原因となる。
等の関連学界も危機管理対策を講じてきた。
院前及び病院内の対応について概説し、事例を通し
以上の濃度では意識障害が急速に進行し三〇〜六〇
上の濃度では呼吸器症状が進行する。五〇〇pp m
⑷
火山、温泉
分で心停止に至り、一、
〇〇〇pp m 以上では突然、
心停止に陥る。このため、
ノックダウンと言われる。
で温泉客が死亡する事故が絶えない。
最近増加している硫化水素による自殺事案では、
⑸
自殺
硫化水素は火山ガスのひとつであり、硫黄温泉地
て危機管理の問題点を検討する。
細菌により分解されるときに発生するため、有機物
硫化水素は、硫黄を含む有機物が嫌気的環境下で
A
硫化水素の発生原因
本稿では、硫化水素中毒の原因、毒性と病態、病
R
第21号 12
救急救命
■基礎医学講座
硫化水素中毒に対する
危機管理
が多いマンホール、下水道、地下工事現場、沼地、
山本 五十年
生させ自殺の手段となっている。
はじめに
東海大学医学部付属病院
高度救命救急センター
硫化水素による自殺は四八九件、五一七人で、前年
廃棄物等の処理場、製紙工場、魚の加工処理場など
R
R
同様に、インターネット情報の拡散によるだけでな
R
る。この硫化水素による自殺の特徴は、練炭自殺と
の二七件、二九人から急増していると報告されてい
R
R
あり、低酸素環境や有毒ガスの発生が疑われれば、
作業主任者等から現場状況を聴取することが可能で
した場合は、救急隊単独での活動は避け、応援隊
硫化水素は、眼粘膜や鼻、咽頭、喉頭等の上気道
周辺住民や救助者の安全を確保するために、環境気
したがって、労働作業場で事故が発生した場合、
の粘膜から分泌されるアルカリ塩と反応して硫化ナ
体の酸素濃度及び硫化水素濃度の測定を実施する。
ウォームゾーン、コールドゾーンを設定する。
実施して立ち入り禁止区域を設け、
ホットゾーン、
2
硫化水素中毒の発症機序
トリウムを生じ、粘膜刺激症状を起こすといわれて
換気できない場合や換気しても早急に酸素濃度が
一八%以上、硫化水素濃度が一〇pp m 以下にでき
④
立ち入り禁止区域に進入する場合は、空気呼吸
器を装着、レベルB以上の個人防護衣を着用する。
③
高濃度の硫化水素が停留していると想定される
場合は、集団災害でなくても、必ずゾーニングを
を要請して安全対策を講じる。
いる。
三価の鉄イオン(
硫化水素は、肺から血液中に速やかに吸収され、
ない場合は、救助隊又は消防隊に空気呼吸器を着用
呼吸鎖におけるエネルギー産生が停止し、細胞を障
周囲六〇m から風下方向に二〇〇m 、漏出が多い場
禁止区域を設定する。漏出が少ない場合は、現場の
工場等から硫化水素が漏出する場合は、立ち入り
処置を実施する。
の除去、コールドゾーンでの全身観察と救急救命
やかな移送、ウォームゾーンでの初期評価と衣服
3+と結合するため、ミトコン
Fe)
害する。嫌気性代謝が発動し、乳酸が蓄積し、乳酸
合は、現場の周囲一二〇m から風下方向に三〇〇m
かに着衣を除去する。硫化水素は、沸点がマイナ
あるいは救急車への搬入の前に除染の目的で速や
⑤
腐卵臭により、傷病者の着衣が硫化水素に汚染
されていると疑われる場合、救急救命処置の実施
定する。ホットゾーンからウォームゾーンへの速
アシドーシスになる。この機序は、青酸化合物と同
を設定し、まずこの範囲の住民を避難させることが
また、環境気体の酸素濃度及び硫化水素濃度を測
様である。
させる。
3+結合し酵
ドリア内のチトクローム酸化酵素の Feと
素活性を阻害する。このため、酸素が利用されず、
3
硫化水素中毒の症状
傷病者を安全な場所に速やかに移送したうえで、
ス六〇・四 ℃と低く常温で気体であるため、シャ
推奨されている。
m の濃度で眼粘膜の刺激症状が発生し、五〇pp m
初期評価、高濃度酸素の吸入等の救急処置を実施す
ワーによる除染は必要がない。
硫化水素は低濃度で腐卵臭を感じる。四〜五pp
以上の濃度が持続すると流涙、眼痛等の症状が出現
2
自殺企図者への現場対応
る。
⑥
救急車内に収容後は、車内の換気を十分に実施
するとともに、症状が軽い傷病者であっても、高
する。また、鼻炎、咽頭・喉頭の灼熱感、咳・痰等
自殺企図により硫化水素が住宅等の市民が生活す
濃度酸素を投与する。硫化水素中毒では、呼気を
の呼吸器症状が生じる。硫化水素の濃度が一五〇p
p m 以上になると嗅覚が喪失し、臭いを感じなくな
険性が高く、バイスタンダーや家族、周辺住民を巻
再吸入しないように、リザーバー付マスクを使う
る場所で発生した場合、甚大な二次災害を起こす危
き込み、救急・救助者にも危害が及ぶ危険性がある。
場合は、分時一〇リットル以上の高流量で酸素を
い濃度でも暴露時間が長い場合は、呼吸器症状が進
行する。五〇〇pp m 以上の濃度では脳組織の低酸
したがって、次のような措置が必要になる。
る。また、気管支炎・肺炎、肺水腫が生じるが、低
素症により、幻覚、意識障害、痙攣、呼吸抑制が急
場所へ避難するよう口頭指導を行う。硫化水素中
は、バイスタンダーに、傷病者の元を離れ安全な
きである。
ターヘリシステムがある地域では出動を要請すべ
医 療 施 設 を 選 定 し 搬 送 を 急 ぐ べ き で あ り、 ド ク
⑦
病院選定においては、解毒効果を有する亜硝酸
剤の投与が可能で集中治療を実施できる三次救急
投与する。リザーバー付マスクは禁忌ではない。
速に進行し、一、〇〇〇pp m 以上では短時間で心
①
通信指令室への入電時に、通信指令室職員が、
発生現場に異臭などの異常があると認識した場合
毒の傷病者に、心肺蘇生等の応急手当を指導する
停止に至る。
し、現場状況の正確な把握に努める必要がある。
ことはバイスタンダーの死を意味することを認識
場合や安全が確保されていない場合は、二次災害
②
消防・救助隊員は、現着時、まず、二次災害の
おそれがないことを確認し、安全確認が不確実な
発生か否かを確認し、必要に応じて集団災害医療
やかに除去するよう口頭で指導する。また、集団
1
労働作業場での対応
C
硫化水素中毒への病院前の対応
る。作業員が硫化水素中毒の危険性のある場所の作
硫化水素中毒は労働安全において重要な傷病であ
めに、労働安全衛生法により酸素欠乏・硫化水素危
態勢を確立する。
⑧
傷病者の収容依頼を受けた病院は、着衣を除去
したか否かを確認し、除去していない場合は、速
険作業主任者を置き、作業の方法を決定、指揮を執
の防止のため現場に立ち入らないことを原則とす
業において、硫化水素に曝露することを防止するた
り、測定器具・換気装置・空気呼吸器などの使用状
る。現場周辺に腐卵臭等の異臭があり危険を感知
⑨
消防機関は、硫化水素の発生場所を傷病者の救
況の監視を行うことが義務づけられている。
13
硫化水素を除去後、発生場所を開放する。
素を拡散させるか、硫化水素除去装置を使用して
助後に閉鎖し、住民避難終了後に開放して硫化水
の間から隣の居間に移送した。
寸前の状態であった。まず、症例4を浴室と洗面室
三〇〇、脈拍一〇回/分、呼吸六回/分の心肺停止
発見され、浴室と洗面室の間にいた症例4はJ CS
しようとした症例2及び症例3の三名が心肺停止で
入院したものは、消防職員八名(うち浴室進入者が
ぼった。そのうち、
症状を訴えた者は二八名に達し、
察職員一名、病院職員三名、親戚一名の五一名にの
ため、当院への受診者は、実に消防職員四六名、警
現場に出場した職員全員に対し検査受診を指示した
これら四名に対する救急救助あるいは診療等に従事
名が発症し、
うち二名が心肺停止に陥った。さらに、
に応急手当を実施しようとしたバイスタンダーの三
を使用した硫化水素中毒の事例を経験した。傷病者
院連絡時は、「サンポール と六一〇ハップ による
移送し、衣類を除去せずに救急車内に収容した。病
隊員一〇名が屋内に進入し、次々と傷病者を屋外に
りを外し、窓を開放した。次に後着の救急隊四隊の
間まで移送し、心肺蘇生を開始した。同時に、目張
屋内に進入し、浴室にいるCPAの傷病者三名を居
の使用を制限するよう広報活動を行った後、六名が
消防隊員は、可燃性ガスの発生を警戒して、火気
あったと言わざるを得ない。しかし、現場での適
かった。特に、異臭に対する危機管理が不十分で
①
今回、救急現場において消防職員が硫化水素の
発 生 を 疑 い、 安 全 管 理 を 徹 底 す る こ と が で き な
2
事例における問題点
退院となった。
一〇名は翌日まで経過観察し、特に問題なく、自宅
対応に奔走した看護師一名の一〇名であった。この
六名)、浴室に入った警察職員一名、救急室で初期
D
硫化水素中毒に対する危機管理
した五一名が救急外来に検査受診し、うち一〇名が
正な判断には日常的な中毒情報の収集が不可欠で
1
硫化水素中毒の集団発生事例
入院する事態に陥った。本事例は、自殺企図による
ガス中毒」との認識はあったが、硫化水素ガスとは
昨年七月、我々は、六一〇ハップ とサンポール
硫化水素中毒事例がほとんど発生していなかった時
②
一一九番入電段階でのバイスタンダーへの対応
に失敗した。今回、通信指令室職員が危険を認知
ムが必要であると考えられた。
救 急 車 の 病 院 到 着 と 同 時 に、 傷 病 者 が 救 急 室 に
していれば、避難指示によってバイスタンダーの
二〇〇七年七月、自宅浴室で硫化水素を発生させ
【現病歴】
二五病日、症例3は二七病日に死亡した。症例4は、
かし、脳幹機能は廃絶、脳波は平坦化し、症例2は
例2と3は自己心拍が再開しICUに入院した。し
例1、2、
3は来院時心肺停止で心電図は Asystole
で
あった。心肺蘇生の結果、症例1は死亡したが、症
表 2 に、 四 症 例 の 来 院 時 所 見 と 転 帰 を 示 す。 症
含まれることを痛感した。我々は、今回の事例を
過ぎない。口頭指導には、二次災害の防止機能が
のガイドラインに準拠して口頭指導を実施したに
は明記しておらず、通信指令室職員はMC協議会
会)が策定した心肺蘇生ガイドラインも口頭指導
地 区 メ デ ィ カ ル コ ン ト ロ ー ル 協 議 会( M C 協 議
生命を失わずに済んだと思われる。しかし、湘南
倒れている次男を、帰宅した母親、長男、姉が発見
救急隊員接触時の意識レベルはJ CS三〇〇であっ
装して玄関から屋内に入り、浴室で倒れている四名
を発見した。
で目張りしてあり、サンポール 一、〇〇〇㎖四本、
発見時、浴室内の換気口や窓の隙間に粘着テープ
に入室し、一〇病日には完全に回復し、自宅退院と
性中毒ガイドラインを新たに策定した ⑵。
教訓として、心肺蘇生ガイドラインを改訂し、急
なった。
ことが教訓化されなければならない。
く、着衣除去による除染が救急搬送の前提である
④
医療機関における危機管理もまた十分でなかっ
た。除染による救急室における安全確保は言うま
【当院受診・入院の状況】
た。硫化水素中毒との情報を入手した消防本部が、
の活動中に咽頭痛、頭痛、眩暈、吐気症状を発症し
今回、多くの職員が、これらの傷病者の救急救助
③
救 急 現 場 〜 搬 送 段 階 で の 安 全 確 保 が 不 十 分 で
あった。空気呼吸器等の安全装備の使用だけでな
たが、来院時には一〇〇まで改善していた。ICU
マニュアルも、
異臭に対する口頭指導(避難する)
し、
「二一歳の弟が風呂場でガス自殺を図り、意識、
断され、除去された。
続々と収容された。腐卵臭のする着衣は入室後に裁
【来院時の状況と経過】
あり、救急現場で活用できる中毒情報提供システ
判断できなかった。救急搬送中、窓を開放し車内換
整理し問題点を検討した。
【症例】
症例1(男性・次男、二一歳、主傷病者)
症例2(男性・長男、二三歳)
R
呼吸がない」
と一一九番通報した。入電から九分後、
症例3(女性・母親、四九歳)
気扇を使用した。
点での、想定外の事例であった。今回、その概要を
R
まず、救急隊長が救急隊員一名と空気呼吸器を着
救急隊一隊及び消防隊一隊が現場に到着した。
症例4(女性・長女、一八歳)
R
R
六一〇ハップ 四四〇㎖五本が浴槽内に置かれてい
R
た。浴槽内にいた症例1、浴槽外で応急手当を実施
R
第21号 14
救急救命
表1 硫化水素中毒事案への主な対応状況(「硫化水素による自殺事案への対応について」 より一部改変)
⑴
月 日
所 轄
内 容
3月11日
内閣府
インターネット・ホットラインセンターに対し、自殺手段としての硫化水素の製造方
法の書込みの存在を通報
4月1日
日本薬剤師会
日薬ニュースにおいて、イオウ含有入浴剤の大量購入者に対する用途確認について注
意喚起
4月7日
警察庁
神奈川県警察が硫化水素の製造を誘引する書込みについて、掲示板の管理者に対し対
応を依頼(以降、各都道府県警察において対応を依頼)
4月8日
消防庁
「救急活動における安全管理の再徹底について」(都道府県消防防災主管課あて)によ
り、安全管理、二次被害の防止等について通知
4月18日
内閣府
厚生労働省
WHOの自殺予防メディア関係者のための手引きを配布し、自殺報道への配慮を要請
4月18日
自殺予防学会
報道機関に対する緊急アピールを発表
4月24日
警察庁
「硫化水素を使用した自殺事案等現場臨場時における留意事項について」(警視総監及
び道府県警察本部長あて)により、二次被害の防止について通知
4月25日
消防庁
「硫化水素事案への対応について」(都道府県消防防災主管課等あて)により、救急活
動や住民の避難誘導について対応の周知徹底を通知
4月25日
日本薬剤師会
「硫化水素による自殺・事故の発生について」(都道府県薬剤師会会長あて)により、
薬局・薬店での販売に当たっての留意事項を通知
4月25日
厚生労働省
「硫化水素中毒への対応について」(都道府県救急医療担当課あて)により、硫化水素
中毒への対応に係る参考情報を送付
4月25日
厚生労働省
「有毒ガス発生事件に関する注意喚起について」(日本薬剤師会、全国医薬品小売商業
組合連合会など4団体あて)により、同種の事件の未然防止について、協力を依頼
4月30日
警察庁
「硫化水素ガスの製造を誘引する情報の取り扱いについて」(警視総監及び道府県警察
本部長あて)により、硫化水素ガスの製造を誘引する情報について 「有害情報」 とし、
削除等の措置を求めるよう通知するとともに、㈶インターネット協会に対し、硫化水
素ガスの製造を誘引する情報について「有害情報」に該当するものとして取り扱うよ
う通知
5月20日
農林水産省
「有毒ガス発生事件に関する注意喚起について」(全国農業協同組合連合会、全国農薬
協同組合あて)により、イオウを主成分とする農薬の販売に当たって、同種の事案の
未然防止について、協力を依頼
30/min
脈拍数
触れず
触れず
触れず
134/min
血 圧
不可
不可
不可
84/−
mmHg
心電図
Asystole
Asystole
Asystole
sinus
ERでの経過
死亡確認
心拍再開 心拍再開
ICU入室 ICU入室
転 帰
来院時
死亡
15
ICU入室
第25病日 第27病日 第10病日
死亡
死亡
軽快退院
関への安全管理上の措置の伝達が必要であると考
なし
でもなく、情報の速やかな収集に基づく、関係機
なし
える。
なし
おわりに
呼吸数
院内の対応について概説し、事例を通して危機管理
JCS 100
硫化水素中毒の原因、毒性と病態、病院前及び病
JCS 300
の問題点を検討した。本事例のような重大かつ緊急
JCS 300
性 の 高 い 事 例 に つ い て は、 地 区 メ デ ィ カ ル コ ン ト
JCS 300
ロール協議会において議論を尽くし、消防の諸活動
意 識
を強化するとともに、現場対応の徹底及び再発防止
症例4
を目的として、関係機関に速やかに連絡し、対策を
症例3
講じることが重要である。
症例2
来院時所見
症例1
参考文献
⑴
内閣 府 自殺 対 策 推 進室:硫 化 水素 に よ る自 殺 事案 への 対 応
について、平成二〇年五月
⑵
湘 南 地 区 メ デ ィ カ ル コ ン ト ロ ー ル 協 議 会 official web site,
http://shonan-mc.or.tv/index.html
表2 来院時所見と経過
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