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原油市場他:米国での石油在庫減少などにより100 ドルを突破するも

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原油市場他:米国での石油在庫減少などにより100 ドルを突破するも
更新日:2014/1/19
調査部:野神 隆之
原油市場他:米国での石油在庫減少などにより 100 ドルを突破するも、その後地政学的
リスク要因に対する市場の懸念後退等で 90 ドル台前半に戻る原油価格
(IEA、OPEC、米国 DOE/EIA 他)
① 米国では製油所の稼働上昇に伴う原油精製処理量の増加による石油製品生産活発化に合わせて
在庫も増加、ガソリン在庫量は平年幅上限付近に位置している他、留出油も平年並みの在庫量とな
っている。他方、製油所での原油精製処理が促進されたことに加え、米国メキシコ湾岸地域の製油
所等において年末に向けた課税対策で原油貯蔵が抑制された模様であることなどから、原油在庫
は減少が続いたが平年幅上限を超過する水準を維持している。
② 2013 年12 月末の OECD 諸国推定石油在庫量の対前月末比での増減は、原油については、欧州で
は原油精製処理量の伸び悩みもあり微減にとどまったものの、米国に加え日本でも原油精製処理が
比較的堅調であったこともあり減少となったことから、OECD 諸国全体としても減少となったが、平年
幅を超過する状態は続いている。他方、石油製品については、米国ではプロパンについて輸入上
の支障が発生したことに加え、11 月下旬以降の気温低下で暖房用需要が発生したことから、プロパ
ン在庫が 1,000 万バレル強の減少となったこと、欧州では製油所稼働の低迷で製品生産が不振であ
ったこと、日本では冬場の暖房シーズン到来とともに灯油在庫が減少したことなどにより、OECD 諸
国全体としても石油製品在庫は低下、この時期としては平年幅の下限を割り込む状態となっている
③ 2013 年 12 月中旬から 2004 年 1 月中旬にかけての原油市場においては、12 月中は米国経済が改
善していることを示唆する経済指標類、リビアやスーダンでの原油供給途絶に関する市場の懸念、
そして米国での原油や石油製品の在庫減少などにより、原油価格(WTI)は上昇基調となり、12 月 27
日には終値ベースで 3 ヶ月超ぶりに 100 ドルを超過した。ただ、その後は利益確定の動きが発生し
たうえ、リビア南西部の油田での操業再開、イランによるウラン濃縮プログラム縮小及び制裁緩和履
行に関する西側諸国等との合意に伴う市場でのイランからの石油供給増加観測の発生と中国経済
減速に対する市場の懸念の増大、米国金融当局による金融緩和策縮小に対する市場の観測と米ド
ル上昇、米国での石油製品在庫の増加などにより、原油価格は総じて下落基調となり、1 月に入って
からは殆どの時期は 1 バレル当たり 90 ドル台前半で推移した
④ 今後冬場の暖房用石油需要期が峠を越えるとともに製油所等による原油購入が不活発化することが
原油相場に下方圧力を加えてくることに加え、イラン問題等地政学的リスク要因に対する市場の懸念
緩和が、原油相場上昇を抑制する方向で作用すると考えられるが、地政学的リスク要因が完全に排
除されたわけでもないため、この面では原油相場は一定水準で下支えされると考えらえる。従って、
当面原油相場は一定の範囲内で変動していくと思われるが、1 月22 日にクッシングからメキシコ湾岸
への原油輸送パイプラインが操業を開始することで、クッシングでの原油需給引き締まり感が市場で
醸成されることから、WTI に対して上方圧力が加わる一方で、市場での WTI とブレントの価格差縮小
観測増大から WTI 先物購入の反面ブレント先物売却の取引が発生しやすくなることにより、ブレント
価格は少なくとももたつき気味場合によっては下落となる場面が見られることが予想される。
–1–
Global Disclaimer(免責事項)
本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま
れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らか
の投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一
切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
1.
原油市場を巡るファンダメンタルズ等
2013 年 10 月の米国ガソリン需要(確定値)は前年同月比 1.4%程度増加の日量 882 万バレルと速報
値(同904 万バレル、前年同月比2.5%程度の増加)から下方修正された(図1 参照)。これは、10 月のガ
ソリン需要(速報値)の算出の際に同国のガソリン輸出量が 8 月時点の確定値(この時のガソリン輸出量
は日量43 万バレル程度であった)が暫定的に利用されたと見られるものの、実際の 10 月のガソリン輸出
量(確定値)が日量 63 万バレルと、暫定値を日量 20 万バレル程度上回っている旨判明したことから、そ
の分を速報値のガソリン需要から差し引いた(つまり、本来輸出に計上するべき量が暫定段階での輸出
量の過小評価で米国国内需要に計上されたものを最終的に輸出に振り替え直した)ことが背景にあるも
のと考えられる。それでも、10 月の全米平均ガソリン小売価格が 1 ガロン当たり 3.420 ドルと前年同月(こ
の時は同 3.812 ドルであった)比で同 0.392 ドル低下していることもあり、この月としては 2010 年(この時
のガソリン需要は日量 902 万バレル)以来の高水準の需要となった。12 月の同国ガソリン需要(速報値)
は日量 880 万バレルと前年同月比で 4.9%程度の増加となっており、米国経済が回復途上にあることを
反映しガソリン需要が伸びているといった部分もあろうが、これは、前年同月時に米国経済不振(2013 年
第四四半期の米国経済成長率は前期比年率0.1%の増加と2011年第一四半期(この時は同1.3%低下)
以来の低い伸びであった)の影響から、この時のガソリン需要が前年同月比で 3.4%程度減少したことへ
の反動といった側面もあると考えられる。一方、製油所での原油精製処理量も堅調に増加してきている
(図 2 参照)とともにガソリン生産も活発化した(但し 1 月 10 日の週は米国の広い範囲に寒波が来襲した
ことに伴い気温が低下、複数の製油所の操業に支障が発生したことにより、同国の原油精製処理量が低
下するとともにガソリンの生産が低下している)(図 3 参照)ことから、当該製品在庫も増加、平年幅の上限
付近の量となっている(図 4 参照)。
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本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま
れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らか
の投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一
切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
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れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らか
の投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一
切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
他方、2013 年 9 月の米国留出油需要(確定値)は前年同月比 6.3%程度増加の日量 410 万バレルと
速報値(日量392 万バレル、前年同月比1.8%程度の増加)から上方修正されている(図5 参照)。これは
速報値時点では 10 月の同国からの留出油輸出量が推定日量 137 万バレル程度と見込まれた一方で実
際の確定値ベースでの留出油輸出量が同 129 万バレル程度と速報値時点から下方修正されたことに伴
い、速報値発表時点では暫定的に輸出とされた量の一部が確定値発表時には国内需要に振り替えられ
たことが一因であるが、この月においては、暖房油需要が前年同月の 3.4 倍になるなど急増したことも影
響している(10 月下旬に米国北東部の気温が平年を継続的に下回り始めるとともに一時気温が平年を下
回る旨予報が発表されたことが影響した可能性がある)と考えられる。また、12 月の同国留出油需要(速
報値)は日量 363 万バレル、前年同月比で 3.0%程度の増加となっている。これについては確定値に移
行する段階で暫定数値となっている輸出量の修正により変動する可能性があるので注意が必要である
が、12 月は米国北東部においてしばしば気温が平年を割り込んでいる(図 6 参照)ため、暖房用の留出
油需要が発生していると見られ、それが需要増加に結びついている他、ガソリン同様米国経済不振で
2012 年 12 月の同国留出油需要が前年同月比で 8.4%程度の減少となったことへの反動の影響もあると
思われる。他方、製油所での原油精製処理量の増加に伴い留出油生産も増加した(図 7 参照、但しガソ
リン同様 1 月 10 日の週は、米国への寒波来襲による製油所での操業上の不具合発生により留出油の生
産も低下している)結果、同国の留出油在庫は増加傾向となっており、1 月中旬時点では平年並みの量
となっている(図 8 参照)。
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切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
2013 年 10 月の米国石油需要(確定値)は日量 1,927 万バレル(前年同月比 3.0%程度の増加)と速報
値(日量 1,937 万バレル、前年同月比 3.6%程度の増加)から若干ながら下方修正された(図 9 参照)。こ
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れはガソリン需要の下方修正が影響しているものと考えられる。また、12 月の同国石油製品(速報値)は
前年同月比で 8.1%程度増加の日量 1,959 万バレルであった。これはガソリンや留出油需要の伸びの他、
「その他の石油」の範疇の需要が増加していることによるものであるが、シェールガス生産に随伴して生
産される NGL(Natural Gas Liquids:天然ガス液)の需要が堅調であることが一因であると見られる。他方、
米国での原油在庫については、製油所での原油精製処理量が増加したことに加え、米国メキシコ湾岸
地域における製油所等での年末の課税対策に伴う原油貯蔵の抑制と見受けられる行為により、特に当
該地域で在庫が減少傾向となった(米国のテキサス州やルイジアナ州では年末の石油在庫評価額に対
して課税がなされることから、精製業者等は必要以上の在庫を保有することを敬遠するとされるが、1 月
以降は製油所等での原油等の受入が再開されることから在庫が大幅に増加する光景がしばしば見られ
る)他、米国メキシコ湾岸の主要製油所に通じるヒューストン運河(Houston Ship Channel)において濃霧
による視界不良の影響で原油輸送タンカーの航行に支障が生じた時期もあったことから当該製油所で
の原油在庫の積み上げが鈍化したと見られることにより、米国全体でも原油在庫は減少となったが、1 月
初旬においても、量としては平年幅の上限を超過している(図 10 参照)。なお、原油在庫が平年幅を超
過、ガソリン在庫が平年幅上限付近に位置し、留出油が平年並みの在庫量となっていることから、原油と
ガソリンを合計した在庫は平年幅を超過する一方で、原油、ガソリン及び留出油を合計した在庫は平年
幅上限付近に位置している(図 11 及び 12 参照)。
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2013 年 12 月末の OECD 諸国推定石油在庫量の対前月末比での増減は、原油については、欧州で
は原油精製処理量の伸び悩みもあり微減となった一方、米国では製油所の稼働が活発化したことに加
え年末の課税対策の影響もあり相当程度減少、また日本においても秋場の製油所メンテナンス終了とと
もに原油精製処理量が増加してきたこともあり減少となったことから、OECD 諸国全体としても減少となっ
たが、例年この時期原油在庫は減少となることから、平年幅を超過する状態は続いている(図 13 参照)。
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の投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一
切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
他方、石油製品については、米国で Cochin プロパンパイプライン(カナダ アルバータ州フォート・サス
カチュワン(Fort Saskatchewan)~(米国中西部経由)~オンタリオ州ウィンザー(Windsor)、総延長 1,900
マイル(約 3,040 ㎞)、プロパン輸送能力日量 7.6 万バレル)が 11 月 27 日から 12 月 20 日までメンテナ
ンス作業により操業を停止したことに加え、11 月下旬以降しばしば気温が平年を割り込む水準にまで低
下したことに伴い暖房用需要が発生したことから、米国のプロパン在庫が 1,000 万バレル強の減少となっ
たこと、欧州では製油所の稼働が低迷したことに伴い製品生産が不振であったこと、日本では冬場の暖
房シーズン到来とともに灯油在庫が減少したことなどにより、OECD 諸国全体としても石油製品在庫は低
下、11 月末に引き続きこの時期としては平年幅の下限を割り込む状態となっている(図 14 参照)。なお、
原油在庫が平年幅の上限を超過する一方で石油製品在庫が平年幅の下限に届かない水準となってい
ることから、原油と石油製品を合計した在庫は平年幅の下方に位置している(図 15 参照)。また、12 月末
時点での OECD 諸国推定石油在庫日数は 55.4 日と 11 月末の推定在庫日数である 56.2 日から減少し
ている。
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シンガポールでのガソリン等の軽質製品在庫は、それまで低迷気味であった中国、韓国、インド、台湾
等からのシンガポール向けガソリン輸出が増加したこともあり、12 月 18 日には 1,100 万バレルと、前週の
950 万バレル余りから急増、そしてその後12 月中は在庫は 1,100 万バレル前後で推移していたが、2014
年に入り 1,200 万バレル台へと増加した。通常シンガポールでの軽質製品在庫は多くても 1,100 万バレ
ル台ということが殆どであるので、1,200 万バレルを超過する在庫量は非常に高い水準と言うことができる。
しかしながら、12 月 22 日に台湾プラスチック工業(Formosa Petrochamical)の麦寮(Mailiao)製油所(原油
精製能力日量18万バレル)において不具合発生により停止した残渣油流動分解装置(RFCC、生産能力
日量 8.4 万バレル)について、1 月末まで稼働が再開しないことに伴い当該製油所からの 1 月のガソリン
出荷が 2 月へとずれ込む旨同社が 12 月 24 日に明らかにした他、インドでも 1 月に入り複数の製油所が
メンテナンス作業に伴い操業を停止しており、また 2 月にもインドにおいて別の製油所がメンテナンス作
業で操業を停止する旨予定されることから、アジア市場におけるガソリン価格は原油価格に比べて底堅
く推移している。他方、LPG 需要増加と価格上昇に伴い相対的に割安なナフサに対する需要が増加し
たことに加え、1 月に入りインドで複数の製油所のメンテナンス作業を開始したことに伴い操業を停止し
たことや、さらに今後アジア諸国において製油所がメンテナンス作業実施により操業を停止する予定で
あることから、この先ナフサの供給が低下する恐れがあることが市場で意識されたこともあり、ナフサの価
格も総じて原油価格に比べて堅調に推移した。
シンガポールでの中間留分在庫は 12 月 11 日の 670 万バレル台半ば程度から 1 月 15 日には 1,100
万バレルを超過する水準へと増加傾向となった。これは、欧州において冬にしては温暖な気候であるこ
とから暖房用石油製品需要が低迷したうえ、降雨量が多い地域もあり外出が控えられたことが自動車用
軽油需要に影響したことにより、アジア諸国等の製油所が欧州に当該製品を輸出する代わりにシンガポ
ールに輸出したことが影響していると見る向きもある。ただ、ガソリン同様インドをはじめとしたアジア諸国
での製油所のメンテナンス作業に伴う操業の停止により今後供給が減少するとの観測から、アジア市場
の軽油価格は原油価格に比べて安定して推移している。
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れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らか
の投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一
切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
シンガポールの重油在庫については、12 月 11 日には 2,200 万バレル台前半の水準であったが、そ
の後は減少傾向となり 1 月15 日は 2,000 万バレル弱となった。米国やベネズエラからシンガポールへ重
油の輸出が行われたことで、当該在庫の減少幅は比較的小規模にとどまったが、在庫減少を反映し重
油は原油に比べると価格が比較的維持された。また、米国やベネズエラから輸出される重油は動粘性が
高く、動粘性の低い重油と混合することを通じて品質の調整が必要となるため、動粘性の低い重油の動
粘性の高い重油に対する割高感が増大した。
2.
2013 年 12 月中旬から 2004 年 1 月中旬にかけての原油市場等の状況
2013 年 12 月中旬から 2004 年 1 月中旬にかけての原油市場においては、12 月中は米国経済が改善
していることを示唆する経済指標類、リビアやスーダンでの原油供給途絶に関する市場の懸念、そして
米国での原油や石油製品の在庫減少などにより、原油価格(WTI)は上昇基調となり、12 月 13 日には 1
バレル当たり 96.60 ドルの終値であった価格は 12 月 27 日には 100.32 ドルの終値と、3 ヶ月超ぶりに終
値ベースで 100 ドルを超過した。ただ、その後は 100 ドルを突破したことに伴う利益確定の動きが発生し
たうえ、リビア南西部の油田での操業再開、イランによるウラン濃縮プログラム縮小及び制裁緩和履行に
関する西側諸国等との合意に伴う市場での将来のイランからの石油供給増加観測の発生と中国経済減
速に対する市場の懸念の増大、米国金融当局による金融緩和策縮小に関する市場の不安感の増大と
米ドル上昇、米国での石油製品在庫の増加などにより、原油価格は総じて下落基調となり、1 月に入って
からは殆どの時期は 1 バレル当たり 90 ドル台の前半で推移した(図 16 参照)。
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本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま
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切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
12 月 10 日にリビア東部地域の指導者が 12 月 15 日に同国東部石油ターミナルの封鎖を解除する旨
発言したものの、リビア中央政府との交渉が不調であったことから、12月15 日においても当該石油ターミ
ナルが閉鎖されたままとなっていることで、同国石油供給を巡る懸念が 12 月 16 日の市場で増大したこと
に加え、12 月16 日に英金融情報サービス会社マークイットが発表した 12 月のユーロ圏購買担当者指数
(速報値)(50 が景気拡大と縮小の分岐点)が 52.1 と 11 月の 51.7 から上昇した他市場の事前予想(51.9)
を上回ったこと、12 月 16 日に米国連邦準備理事会(FRB)から発表された 11 月の同国鉱工業生産指数
(2007 年=100)が前月比 1.1%の上昇と 2012 年 11 月(この時は同 1.3%上昇)以来の高水準の伸びと
なった他市場の事前予想(同0.5~0.6%上昇)を上回ったことから、12月16日の原油価格は前週末終値
比で 1 バレル当たり 0.88 ドル上昇し、終値は 97.48 ドルとなった。ただ、12 月 17 日には、翌日に米国エ
ネルギー省(EIA)から発表される予定の同国石油統計(12 月 13 日の週分)で石油製品在庫が増加して
いるとの観測が市場で発生したことに加え、12 月 17~18 日に開催される予定である米国連邦公開市場
委員会(FOMC)で金融緩和策縮小が決定されるのではないかとの観測が市場で発生したことから、この
日の原油価格の終値は 1 バレル当たり 97.22 ドルと前日終値比で 0.26 ドル下落した。しかしながら、12
月18日には、この日EIAから発表された同国石油統計で原油在庫が市場の事前予想(前週比230~400
万バレル程度の増加)の一部を上回る同 294 万バレルの減少となっていたことに加え、留出油在庫が市
場の事前予想(同 100 万バレル程度の減少~40 万バレル程度の増加)に反する、もしくは上回る、前週
比 211 万バレルの減少となっている旨判明したこと、12 月 17~18 日に開催された FOMC で FRB による
米国債等資産購入額を月額 850 億ドルから同 750 億ドルへと縮小する旨決定したものの、それまで米国
の失業率が 6.5%になるまで金利をゼロから 0.25%に維持するとしていた方針を、失業率が 6.5%を下回
っても相当期間当該低金利を維持するという方針に変更したことで、金融緩和策縮小の経済に対する影
響を巡る市場の懸念が後退したこと、そして翌19 日には、前日に EIA から発表された同国石油統計で原
油在庫が市場の一部予想を上回って減少した他留出油在庫が市場の事前予想に反して、もしくは上回
って減少していることが判明した流れに加え、12 月17~18 日に開催された FOMC における米国債等資
産購入額の引き下げと低金利政策維持決定の流れを引き継いだこと、12 月 19 日に仏大手国際石油会
社 Total の 4 ヶ所目の製油所(Donge 製油所(原油精製処理能力日量 23 万バレル)、なおこれ以外に
Gonfreville 製油所(同日量 20 万バレル)、La Mede 製油所(同 16 万バレル)、Feyzin 製油所(同 11.6 万
バレル)が 12 月13 日よりストライキを実施していた)がストライキを開始する決議を行ったとの情報が流れ
たことにより、これらの製油所での生産停止を穴埋めするための、欧州での留出油輸入需要が増加する
との懸念が市場で発生したことから、米国留出油先物相場が上昇したことにより、原油価格は 12 月 18~
19 日の 2 日間で併せて 1 バレル当たり 1.55 ドル上昇(12 月 19 日のみでは前日終値比 0.97 ドル上昇)、
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本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま
れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らか
の投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一
切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
12 月 19 日の終値は 98.77 ドルとなった(なお、ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の 2014 年 1 月渡し
WTI 原油先物契約取引はこの日を以て終了したが、2014 年 2 月渡し契約のこの日の終値は 99.04 ドル
(前日終値比 0.98 ドル上昇)であった)。12 月 20 日には、この日米国商務省から発表された 2013 年 7
~9 月期の同国国内総生産(GDP)成長率(確定値)が年率 4.1%と 12 月 5 日に発表された同 3.6%から
上方修正されたこと、Total が保有する 4 ヶ所の製油所でストライキが発生していることから欧州方面から
の留出油輸入が増加する一方米国に向けたガソリン輸出が低下するとの懸念が市場で発生したうえ、米
国内の複数の製油所で不具合が発生したことで石油製品供給低下懸念が市場で発生したことにより、米
国ガソリン及び留出油先物相場が上昇したことから、この日の原油価格の終値は 1 バレル当たり 99.32 ド
ルと前日終値からさらに 0.55 ドル上昇した。
12 月 23 日には、12 月 18~20 日の原油相場上昇に対する利益確定の動きが市場で発生したことによ
り、この日の原油価格は前週末終値比で 1 バレル当たり 0.41 ドル下落し終値は 98.91 ドルとなったもの
の、12 月 24 日には、この日米国商務省から発表された 11 月の同国耐久財受注が前月比 3.5%増加と
市場の事前予想(同2.0%増加)を上回ったうえ、南スーダンで内戦が激化した結果一部油田が閉鎖され、
同国の石油生産が日量 4.5 万バレル減少し同 20 万バレルになった旨同国石油相が 12 月 24 日に明ら
かにしたことで、同国を巡る石油供給途絶懸念が市場で増大したこと、翌 25 日はクリスマスの休日に伴
い NYMEX では原油先物取引が実施されなかったが、12 月 24 日夕方に米国石油協会(API)から発表さ
れた同国石油統計(12 月 20 日の週分)でガソリン在庫が前週比 250 万バレルの減少と、市場の事前予
想(同 110~130 万バレル程度の増加)を上回って減少している旨判明したうえ、12 月 26 日に米国労働
省から発表された同国新規失業保険申請件数(12 月 21 日の週分)が 33.8 万件と前週の 38.0 万件(改定
値)から 4.2 万件の減少となった他市場の事前予想(34.5 万件)を下回ったこと、12 月 27 日には、この日
EIA から発表された同国石油統計(12 月20 日の週分)で原油在庫及びガソリン在庫が、それぞれ前週比
473 万バレル、同61 万バレルの減少を示し、市場の事前予想(原油前週比230~265 万バレル程度の減
少、ガソリン同110~130 万バレル程度の増加)に反して、もしくは事前予想を上回って減少している旨判
明したことに加え、バイトマン欧州中央銀行(ECB)理事会委員(独連邦銀行総裁)が低インフレを低金利
政策実施の理由として利用すべきでない旨発言したと 12 月27 日に報じられたことで、ユーロが上昇した
反面米ドルが下落したことにより、原油価格は 12 月 24、26 及び 27 日はいずれも終値ベースで上昇、12
月 27 日の原油価格の終値は 1 バレル当たり 100.32 ドルと終値ベースでは 10 月 18 日(この時は 100.81
ドル)以来の 100 ドル超での終値となり、またこの 3 取引日合計の上昇幅は 1.41 ドルとなった。
ただ、12 月 27 日に 1 バレル当たり 100 ドルを超過したことに伴う利益確定の動きが市場で発生したこ
とに加え、12 月 30 日に全米不動産業協会(NAR)から発表された 11 月の米国中古住宅成約指数(2001
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本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま
れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らか
の投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一
切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
年=100)が前月比 0.2%上昇の 101.7 となったものの市場の事前予想(同 1.0%上昇)を下回ったこと、
同じく 12 月 30 日に中国地方政府の債務が 2013 年 6 月末時点で 17.9 兆元(約 311 兆円)に到達してい
る旨中国国家審計署が明らかにしたことで今後の同国経済運営に対する懸念が市場で発生したこと、12
月 31 日には、1 月 3 日に EIA から発表される予定の同国石油統計(12 月 27 日の週分)で石油製品在庫
が増加しているとの観測が市場で発生したこと、1 月 1 日は米国での新年の休日に伴い NYMEX では取
引が実施されなかったが、この日中国国家統計局及び中国物流購買連合会から発表された 2013 年 12
月の同国製造業購買担当者指数(PMI)(50 が当該部門拡大と縮小の分岐点)が 51.0 と 11 月の 51.4 から
低下した他市場の事前予想(51.2)を下回ったことに加え、1 月2 日に英大手金融機関HSBC 及びマーク
イットから発表された 12 月の中国製造業 PMI(改定値)が 50.5 と 11 月の 50.8 から低下している旨判明し
たこと、また同じく 1 月 2 日にリビア国営石油会社 NOC が、同国南西部の El Sharara 油田(原油生産量
日量 35 万バレル)で当該油田を封鎖していた抗議者とリビア政府との間で合意が成立したことから同油
田が操業再開に向け準備中である旨明らかになったことにより、同国からの原油供給増加観測が市場で
発生、また 1 月 2 日に米国労働省から発表された同国新規失業保険申請件数(12 月 28 日の週分)が
33.9 万件と市場の事前予想(34.4 万件)を下回った他、同じく同日米国供給管理協会(ISM)から発表され
た 12 月の同国製造業景況感指数(50 が当該部門拡大と縮小の分岐点)が 57.0 と 11 月(57.3)からは低
下したものの、2013 年としては 2 番目に高い水準となったことから、米国金融当局による金融緩和策縮小
が加速するのではないかとの観測が市場で発生したことにより米ドルが上昇したこと、1 月 2 日に米国北
東部が大雪となった(大雪は 3 日まで続いた)ため自動車向けガソリン需要が低下するとの懸念が市場
で発生し米国ガソリン先物相場が下落したこと、1 月 3 日には、リビアの El Sharara 油田が操業再開に向
け準備中であることに伴う同国からの原油供給増加観測の流れをこの日の市場も引き継いだうえ、この
日 EIA から発表された同国石油統計で留出油在庫が前週比 504 万バレルの増加と市場の事前予想(前
週比 30 万バレル程度の減少~120 万バレル程度の増加)に反して、もしくは事前予想を上回って増加し
ている旨判明したこと、1 月 3 日に米リッチンモンド連邦準備銀行のラッカー総裁が今後も金融緩和策は
縮小の方向性である旨示唆したこともあり米ドルが上昇したことから、12 月30~31 日及び 1 月2~3 日の
それぞれの取引日については、いずれの日も原油価格は終値ベースで下落、1 月3 日の原油価格の終
値は 1 バレル当たり 93.96 ドルと下落幅は合計で 6.36 ドルとなった。
また、1 月 5 日にリビア NOC が El Sharara 油田で生産が再開された旨明らかにしたことで、同国から
の石油供給に対する懸念が 1 月 6 日の市場で後退したことに加え、1 月 6 日に HSBC とマークイットから
発表された 12 月の中国サービス部門 PMI(50 が当該部門拡大と縮小の分岐点)が 50.9 と 11 月の 52.5
から低下したこと、1 月 6 日に米国 ISM から発表された 12 月の同国非製造業景況感指数(50 が当該部
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本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま
れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らか
の投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一
切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
門拡大と縮小の分岐点)が 53.0 と 11 月の 53.9 から低下、2013 年 6 月(この時は 52.8)以来の低水準と
なった他、市場の事前予想(54.5~54.7)を下回ったことにより、1 月 6 日の原油価格は前週末終値比で
1 バレル当たり 0.53 ドル下落、この日の終値は 93.43 ドルとなった。ただ、1 月 5 日にリビア海軍がマルタ
船籍のタンカーによる同国東部 Es Sider 石油ターミナル(この石油ターミナルはリビア政府に対する抗議
者により封鎖されていた)での原油積出を阻止した後、如何なるタンカーも抗議者により掌握されている
石油ターミナルでの原油積出を認めない旨 1 月 6 日に警告した一方で、1 月 7 日には、リビア東部キレ
ナイカ自治政府がEs Sider石油ターミナルを利用するタンカーの安全を保障する旨明らかにしたことで、
リビアでの政情不安と同国からの原油輸出に関する懸念が 1 月7 日の市場で増大したことに加え、1 月 7
日に米国北東部他幅広い地域で気温が大幅に低下したことで暖房油需要増加に関する市場の観測が
増大したうえ寒波により複数の製油所で操業に支障が発生したため石油製品需給逼迫懸念が市場で増
大したこと、1 月 8 日に EIA から発表される予定の同国石油統計(1 月 3 日の週分)で原油在庫が減少し
ているとの観測が市場で発生したこと、1 月7 日に独連邦雇用庁から発表された 12 月の同国失業者数が
11 月比で 1.5 万人の減少と 2013 年 7 月以来の減少となった他市場の事前予想(0~1,000 人の減少)を
上回ったこと、同日米国商務省から発表された 11 月の同国貿易収支が 342.5 億ドルの赤字と 2009 年 10
月(この時は 339.5 億ドルの赤字)以来の低水準の赤字幅となった他市場の事前予想(400 億ドルの赤
字)を下回ったことから 1 月7 日の米国株式相場が上昇したことで、この日の原油価格の終値は 1 バレル
当たり 93.67 ドルと前日終値比で 0.24 ドル上昇した。しかしながら、1 月 8 日には、この日 EIA から発表さ
れた同国石油統計でガソリン及び留出油在庫がそれぞれ前週比 624 万バレル、同 583 万バレルの増加
と市場の事前予想(ガソリン前週比200~250 万バレル程度の増加、留出油190~225 万バレル程度の増
加)を上回って増加したこと、1 月 8 日に発表された FOMC 議事録(12 月 17~18 日開催分)で金融緩和
策縮小を着実に実施していく方針が示唆されていた旨判明したこともあり米ドルが上昇したこと、また 1
月 9 日も前日に EIA から発表された同国石油統計でガソリン及び留出油在庫が市場の事前予想を上回
って増加したことによる市場での需給緩和感増大の流れを引き継いだことで、原油価格は 1月8~9 日の
2 日間合計で 1 バレル当たり 0.67 ドル下落、1 月 9 日の終値は 91.66 ドルとなった。ただ、1 月 10 日に
は、この日中国税関総署から発表された 12 月の同国原油輸入量が 2,678 万トン(推定日量 631 万バレ
ル)と日量ベースでは過去最高水準に到達した旨判明したうえ、1 月 10 日に米国労働省から発表された
12 月の同国非農業部門雇用者数が前月比7.4 万人増加と市場の事前予想(19.6~19.7 万人)を大きく下
回ったことで米国金融当局による金融緩和策縮小が減速するとの観測が市場で発生したことから、1 月
10 日の終値は 1 バレル当たり 92.84 ドルと前日終値比で 1.18 ドル上昇した。
また、1 月12 日にイランと国連安全保障理事会常任理事会5 ヶ国及びドイツの計6 ヶ国との間で、2013
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年 11 月 24 日に行われたイランのウラン濃縮活動縮小と同国に対する制裁の一部緩和に関する合意に
つき 1 月 20 日に履行を開始する旨意見が一致したことにより、将来のイランからの石油供給増加観測が
市場で発生したうえ、1 月 10 日に生産を停止した英領北海 Buzzard 油田(通常時原油生産量日量 20 万
バレル)が生産を再開し数日中に正常な操業に復帰する旨 1 月 13 日にオペレータの Nexen が明らかに
したこと、1 月15 日に EIA から発表される予定の同国石油統計(1 月 10 日の週分)でガソリン在庫が増加
しているとの観測が市場で発生したことから、1 月 13 日の原油価格は前週末終値比で 1 バレル当たり
1.04 ドル下落し、この日の終値は 91.80 ドルとなった。しかしながら、1 月 14 日には、この日米国商務省
から発表された 12 月の同国小売売上高が前月比 0.2%増加と市場の事前予想(同 0.1%増加)を上回っ
たこと、1 月 15 日に EIA から発表される予定の同国石油統計で原油在庫が減少している旨判明するとの
観測が市場で増大したこと、また、1 月 15 日には、この日 EIA から発表された同国石油統計で原油在庫
が前週比766 万バレルの減少と市場の事前予想(同60~160 万バレル程度の減少)を上回って減少して
いたうえ、留出油在庫が前週比で 102 万バレルの減少と市場の事前予想(同 125~150 万バレル程度の
増加)に反して減少していた旨判明したこと、1 月 14 日夕方に発表された世界銀行による「世界経済展
望」で世界銀行が 2014 年の世界経済成長率見通しを 3.2%と 2013 年 6 月 12 日発表時の 3.0%から上
方修正したうえ、1 月 15 日に発表された米大手金融機関バンク・オブ・アメリカの 2013 年 10~12 月期業
績が市場の事前予想を上回ったことに加え、1 月 15 日にニューヨーク連邦準備銀行から発表された 1 月
のニューヨーク地区製造業景況感指数(ゼロが当該部門拡大と縮小の分岐点)がプラス 12.51 と 2013 年
12 月のプラス 2.22 から上昇した他市場の事前予想(プラス 3.50~3.75)を上回ったことにより、1 月 15 日
の米国株式相場が上昇したことから、1 月 15 日の原油相場の終値は 1 バレル当たり 94.17 ドルと原油価
格は 1 月 14~15 日の 2 日間で合計 2.37 ドル上昇した。1 月 16 日には、この発表された石油輸出国機
構(OPEC)による「月刊オイル・マーケット・レポート」において、OPEC が 2014 年の世界石油需要見通し
を上方修正したものの、同年の非 OPEC 産油国石油生産量も併せて上方修正した結果、2014 年の対
OPEC 産油国原油需要が日量 2,958 万バレルと 2013 年の同 2,995 万バレルから減少するとの見解が改
めて示されたことで、世界石油需給緩和感を市場が再認識したことにより、この日の原油価格は前日終
値比で 1 バレル当たり 0.21 ドル下落し、終値は 93.96 ドルとなったものの、翌 17 日には、この日 FRB か
ら発表された 2013 年 12 月の同国鉱工業生産指数(2007 年=100)が前月比 0.3%上昇、2013 年第四四
半期では前期比年率 6.8%の上昇と、2010 年第二四半期(この時は同 8.7%の上昇)以来の大幅な上昇
となった旨判明したことに加え、この先米国北東部に寒波が到来し暖房用石油製品需要が増加するとの
観測が市場で増大したことにより米国暖房油先物相場が上昇したことから、この日の原油価格の終値は
1 バレル当たり 94.37 ドルと前日終値比で 0.41 ドル上昇している。
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3.
今後の見通し等
1 月 12 日に、国連安全保障理事会常任理事国 5 ヶ国にドイツを加えた 6 ヶ国とイランとの間で、2013
年 11 月 24 日に到達した両者間による第一段階の合意内容を記載した「共同行動計画」の具体的な履行
につきウラン濃縮活動縮小(5%を超過する濃縮ウラン生産の凍結、保管している 20%程度に濃縮され
たウランの希釈、イラン西部アラクにある重水炉の操業を中断)とイランに対する制裁措置の緩和に関し
て 1 月 20 日にそれらの実施を開始する旨意見が一致した。これに伴い欧州連合(EU)側もこの日を以て
イランからの原油輸入タンカーに付保する保険の引き受け禁止措置や同国からの石油化学製品の輸入
禁止措置を停止するなど、制裁措置を緩和する予定である。また、両者は2月にさらなる協議を進める可
能性が高い旨伝えられる他、米国のオバマ大統領は、議会上院が検討している、イランに対する制裁強
化の動きに対して、万一法案が議会で可決されても拒否権を行使する旨明らかにしており、この面では
両者の外交努力によるイラン問題解決に向けた動きは一定の前進を見ている。このようなことから、イラ
ンを巡る地政学的リスクに対する市場の懸念は後退する方向に向かいつつある。ただ、今後の両者のさ
らなる交渉は紆余曲折を経ることが予想される。また、1 月10 日にはロシアとイランとの原油交換プログラ
ム(イランの原油とロシア製品との交換取引で、イランから最大日量50万バレルの原油をロシアに輸出す
る代わりに輸出代金相当のロシア製品をイランが輸入するプログラム)について両者間で協議されてい
ると伝えられ、もしこれが実現すれば、実質的にはイランでの原油増産が可能になるものの、これは 11
月24 日の「共同行動計画」に関する合意(そしてその合意した当事者の中にロシアも含まれる)の実効性
を著しく低下させることになるため、他の西側諸国等の当事者(特に欧米諸国)の態度を硬化させ、今後
のウラン濃縮問題に関する交渉に影響が生ずる恐れが出てくるため、短期間にイランからの原油輸出が
増加するかどうかは依然不透明であると言わざるを得ない。また、イランの原油輸入タンカーに付保する
保険の引き受け禁止措置停止についても、既に各国政府が代替策を講じるなどしてイランからの原油輸
入を継続してきた一方で、イランに対する原油輸入削減措置自体は撤廃されているわけではないことか
ら、これによりイランからの原油輸入が大幅に増加する、という可能性もそれほど高くはないものと考えら
れる。このようなことから、今後のイランと西側諸国等との間での歩み寄りとイランからの原油輸出再開の
可能性は以前に比べて高まっていることにより、その分だけ原油価格上昇の確率は低くなったと考えら
れるが、イラン問題が根本的に解決しているわけではないので、この面では原油相場は引き続き下支え
されるものと考えられる。
他方、リビアについては、同国南西部にある El Sharara 油田で抗議者が封鎖を解除した後操業を再開
した旨リビア NOC が 1 月 4 日に明らかにしている。このようなこともあり、同国での石油生産量は 11~12
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月の日量 21 万バレル程度から日量 60~65 万バレル程度にまで回復した旨1月 13 日に同国のアルー
シ石油相が発言している。ただ、東部においては、石油ターミナルにおける抗議行動に伴う封鎖は解除
されていないどころか、石油ターミナルを封鎖している部族が独自に国外に石油を輸出しようとする動き
もあり、1 月5 日には、東部にあるEs Sider 石油ターミナルから石油の船積みを行おうとしたマルタ船籍の
タンカーに対してリビア海軍が発砲してそれを阻止したことに加え、1 月 8 日には、ゼイダン首相が抗議
者により掌握されている東部の石油ターミナルから石油を積み出そうとするタンカーに対して攻撃を加え
るかもしれないうえ、そのような者に対してはリビア政府が提訴する他将来の協力を拒否する旨示唆して
いる一方、東部地域の指導者は東部の石油ターミナルで船積みしようとしているタンカーに対してその
安全を保障する旨発言するなど、中央政府と東部を支配する部族との間での対立はやや深刻化する様
相を呈しており、その意味ではかつてに比べてリビア政府と抗議者との間での合意の可能性も少なくとも
増大はしておらず、むしろ低下しているように見受けられることから、東部地域における石油生産の増加
にはなおそれなりの時間を要すると考えられる。また、前述の通り生産を再開した El Sharara 油田におい
ても、抗議者であるところの地方自治権の拡大を要求する少数部族が自分たちの要求を中央政府が受
け入れなければ再度当該油田を封鎖する恐れがある旨表明しているなど、同国の石油生産も現在の水
準から再び低下する可能性すらある。その意味では、リビア情勢は現状でも原油相場を下支えする要因
として作用する他、石油生産が再度低下すれば、それが原油相場にとって上方圧力を加える材料となる
こともあり得よう。
他方、エジプトについては、1月 14~15 日において新憲法草案に対する国民投票が実施され、
98.1%の賛成多数で承認された旨 1 月 18 日にエジプトの選挙管理委員会が発表している。ただ 1 月 14
日の投票初日にはエジプト全土で衝突が発生し、多数の死傷者が出た。今後もモルシ前大統領支持派
と現政権との衝突が散発的に発生する可能性も否定できず、不安定な状況がしばらく続く恐れもあるが、
両者の衝突が頻発したときでさえ、中東と欧州を結ぶ石油輸送上の要所であるスエズ運河の通行には
支障が発生しなかったことからすると、今後衝突が発生しても直接当該運河に影響が及ぶ可能性はかな
り低いものと見られる。その意味では、エジプト情勢が今後余程急激に悪化する、といったことでない限
り、この面での原油相場への影響は限定的になるのではないかと考えられる。
シリアでは依然として内戦が続くものの、1 月 22 日にスイスのモントルーで和平のための国際会議が
開催される予定であり、また化学兵器の廃棄作業も継続していることから、米国による同国への空爆の可
能性は 2013 年 8 月時点に比べると大きく低下していることにより、この面でも原油相場への影響は大きく
はないと考えられる。
他方、今後も米国等での経済指標類が原油相場へ影響を及ぼしていくことが考えられる。ただ、経済
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情勢が改善していることを示唆する指標が発表されれば、景気が回復するとともに石油需要が増加する
という期待感が市場で高まり原油価格に上方圧力を加える反面、金融緩和策縮小が加速するという懸念
も高まり原油価格に下方圧力を加えることになる一方、経済情勢が悪化していることを示唆する指標が発
表されれば、景気が減速するとともに石油需要が鈍化するという不安感が市場で高まり原油価格に下方
圧力を加える反面、金融緩和策が加速するという懸念が後退することにより原油価格に上方圧力を加え
ることから、このような経済指標類は原油相場を変動させるものの、上方もしくは下方どちらかへの傾向を
形成するにはなお力不足となるのではないかと考えられる。また当面 2013 年 10~12 月期を中心とした
米国等企業の業績発表が行われるが、これが株式相場を変動させることを通じて原油相場に影響を及
ぼしてくる場合もありうる。
石油需給面については、まず、今後発表される EIA による石油統計が注目されることになろう。年末の
課税対策から米国メキシコ湾岸地域では製油所等が陸上での原油貯蔵を減少させた(その代わり米国メ
キシコ湾沖合にタンカーで原油を貯蔵しているとされる)。ただ、既に年末は過ぎたことから、製油所等
は陸上での原油貯蔵水準を引き上げ始める。12 月末までは 1 週間当たり最大で 1,000 万バレルを超過
する原油在庫の減少が発生していたが、今後当面は相当程度の原油在庫積み上げが進むと考えられる。
加えて、間もなく米国等では冬場の暖房シーズンに伴う暖房用石油製品需要期が峠を越え始めるととも
に製油所の春場のメンテナンス作業時期が視野に入ってくることから原油精製処理量の低下とともに原
油の購入が不活発になっていくものと考えられる。これらの要因により、原油相場の上昇が抑制される可
能性がある。但し、Keystone XL パイプラインの Gulf プロジェクト部分(クッシング~ヒューストン/ポートア
ーサー、原油輸送能力日量 70 万バレル)が 1 月 22 日に開通する予定となっていることから、クッシング
での原油在庫減少(クッシングでは周辺のパイプライン整備により、2013 年の秋場の製油所メンテナンス
作業シーズン到来に伴う製油所等による原油購入不活発時期であっても原油在庫の積み上がりは最大
でも 1 週間当たり 218 万バレルにとどまっており、当該パイプラインの完成で 1 週間当たり 500 万バレル
のクッシングでの原油在庫減少の効果がある)から、WTI がブレントとの価格差を縮小すべく上昇してい
く可能性がある。また、既に製油所の段階では冬場の暖房シーズンも残り少なくなってきているとの認識
が市場で広がりやすいとはいえ、依然として 3 月末までは当該シーズンは続くことから、この時期におい
て米国の暖房油消費の中心地である北東部で気温が平年を大きく下回る状況が発生したり、また発生
するとの予報が発表されたりすれば、暖房油価格の上昇を通じて、原油相場にその影響が及ぶ恐れが
あるので注意が必要であろう。
また、1 月21 日には IEAのオイル・マーケット・レポート(OMR:Oil Market Report)に加え、国際通貨基
金(IMF)から世界経済見通し(WEO:World Economic Outlook)(改訂版)が発表される予定である。IEA
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の OMRについては、世界石油需要見通しのみならず非OPEC 産油国の供給見通しの修正により、世界
石油需給の緩和もしくは引き締まりの観測が市場で発生することも予想され、IMF の WEO 改訂版につい
ても、世界経済成長に関して上方修正等が施されている旨判明すれば、市場で世界石油需要の増加観
測等が発生し、それにより原油相場が変動することも考えられる。
総合すると、地政学的リスク要因は改善しつつあるものの根本的な解決までにはなお時間を要するこ
とから、これにより原油相場は一定の範囲内にとどまる可能性が高いと考えられる。また、今後の春場の
石油不需要期接近や原油在庫の増加傾向が原油相場の上昇を抑制する。そのような中で米国経済指
標類により原油価格は変動することになろうが、WTI 価格はクッシングでの原油需給引き締まり観測で上
昇傾向となりやすいのに対し、ブレント価格は一定の範囲内での変動となるか、WTI との価格差縮小観
測に伴う先物契約売却の動きで下落するといった展開も予想される。
4.
世界天然ガス市場動向
米国では、天然ガス価格は一時に比べて上昇してきてはいるものの、シェールガス鉱床、特に液体炭
化水素を随伴で生産しない鉱床においては、多くの地域で引き続き開発・生産コストを割り込んでいると
見られ、天然ガス開発・生産のための水平坑井用掘削装置(つまり基本的にシェールガス開発・生産の
ための装置)稼働数が低迷したままとなっている(図 17 参照)。このようなこともあり、米国での天然ガス生
産量は 2010~11 年に見られたように堅調に増加しているわけではない(図 18 参照)。それでも、シェー
ルオイル生産の際に産出される随伴ガスに加え、米国北東部にあるマーセラス(Marcellus)シェール鉱
床(ここでは主に天然ガスが産出される)における天然ガス輸送パイプラインの整備(2012 年も、7 月に
Sunrise パイプライン(ウェスト・バージニア州ウェッツェル(Wetzel)郡~ペンシルバニア州グリーン
(Greene)郡、天然ガス輸送能力日量 3.1 億立方フィート)、9 月に Appalachian Gateway パイプライン(ウ
ェスト・バージニア州の天然ガス生産地帯~ペンシルバニア州南部、天然ガス輸送能力日量 4.7 億立方
フィート)及びブラックスビル(Blacksville)での昇圧基地(Compressor Station)(これにより天然ガス輸送
能力が日量 2 億立方フィート増強される)の建設が、それぞれ完了している他、2013~15 年にかけても、
複数の輸送インフラの整備が進められる予定である)により、これまで輸送能力の制限により抑制されて
いた当該地域でのシェールガス生産の拡大が可能となってきつつあることから、以前の見通しに比べて
米国天然ガス生産量が日量 20 億立方フィート程度上振れするであろうと市場では見られるようになって
いる。ただ、米国での比較的低水準の天然ガス価格が今後も継続することにより生産量の伸びは比較的
緩やかなものとなると考えられている。
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本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま
れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らか
の投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一
切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
一方で同国の液化天然ガス(LNG)輸入は低迷(図 19 参照)、また天然ガス価格の下落により発電部
門で石炭から天然ガスへと燃料利用が転換したことに伴い需要が盛り返したことなどから、同国の天然ガ
ス在庫(地下貯蔵量)は 2012 年 4 月の大幅緩和状態からは引き締まり、2013 年においてはその大半の
時期は平年並みの状況となり、それにより 2012 年には一時 100 万 Btu 当たり 2 ドルを割り込んだ天然ガ
ス価格は同 3 ドル台後半を中心とする価格帯へと回復するとともに、発電部門で利用されていた天然ガ
スの一部が石炭へと回帰した。ただ、米国では 11 月下旬に入り、しばしば寒波が到来したことにより、軒
並み気温が平年を下回った(図 20 参照)ことから、暖房用天然ガス需要が大幅に増加した(図 21 参照)
一方で、寒波はテキサス州等の産ガス地帯にも来襲したことで、天然ガス田における操業関連資機材が
凍結したことにより生産に支障が発生したことから、同国の在庫水準は大幅に減少(2013 年12 月13 日の
同国天然ガス地下貯蔵量は前週比で 2,850 億立方フィートの減少と、1993 年 12 月 31 日以降の週間地
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れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らか
の投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一
切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
下貯蔵統計上最大の減少幅となったが、2014 年 1 月 10 日の当該地下貯蔵量も前週比で 2,870 億立方
フィートの減少と 12 月 13 日の統計史上最大の貯蔵量減少幅の記録を更新してしまっている)、平年を割
り込む状態となり(1 月 10 日時点での同国の天然ガス地下貯蔵量は 2.53 兆立方フィートであったが、こ
れは過去5 年平均値を 15%弱下回る水準であった)、天然ガス需給はさらに引き締まった(図22 参照)。
それに伴い同国での天然ガス価格も上昇、2013 年 12 月 5 日には終値ベースで 100 万 Btu 当たり 4 ド
ルを突破、12 月 22 日夜~12 月 23 日午前中の取引では一時 100 万 Btu 当たり 4.5 ドルを超過する場面
も見られた(図 23 参照)。米国の天然ガス価格が 100 万 Btu 当たり 4.5 ドルを超過したのは、2011 年 7
月 21 日の取引以来であった。ただ、その後は気温が平年を上回るか平年並みとなる日が見られるように
なったことや、100 万Btu 当たり 4.5 ドル程度の価格が持続した場合、発電部門における石炭コストをも上
回る(図24参照)ことから、発電所において天然ガスから石炭へと使用燃料の転換が促進される結果、天
然ガス需要が抑制されるようになるとの観測も市場で出てくることもあり、米国での天然ガス価格は多少
下落してきたものの、それでも 1 月下旬は米国北部の広い範囲で気温が平年を下回るとの予想が発表さ
れていることから、100 万 Btu 当たり 4 ドルを超過する水準は維持されている。
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他方、欧州においては、債務問題は一時に比べて落ち着きつつあるように見受けられるが、域内経済
は引き続き低迷しているうえ、米国からの石炭の輸入が依然根強い(図 25 参照)こともあり、天然ガス価
格に比べて炭素排出権を加味しても石炭調達コストの方が安価な状態が継続していたことに加え、再生
可能エネルギーの固定価格買い取り制度に伴う風力発電等の導入による発電量の増加に挟まれる格好
にもなり、当該地域の天然ガス需要は前年比で若干ながらも減少を示しており(図 26 参照)、一方で
LNG の輸入も限定的な水準にとどまっている(図27 参照)。このような中、欧州では気温の低下とともに、
例えば英国の天然ガス価格は 100 万 Btu 当たり 10 ドル台から 11 ドル台へと上昇、12 月 3 日には 12 ド
ルを超過したと推定されるが、その後は欧州での冬場の気温が総じて平年を超過していた(図 28 参照)
こともあり、天然ガスは下落傾向となり、1 月中旬には 100 万 Btu 当たり 10 ドル台後半で推移している。ま
た、2013 年秋場の欧州域内の天然ガス貯蔵量も前年の秋場の最大値を約 1,000 億立方フィート下回る
地点で折り返し減少し始めたが、寒さが厳しくないこともあり貯蔵量の減少度合いも緩やかものになった
と見られ、1 月中旬時点での欧州での天然ガス貯蔵量は前年同期並みとなっている(図29 参照)。ただ、
その中でもスペインなどは 2013 年の年末に一時平年を割り込む気温が発生したことから、暖房向けの天
然ガスの確保の必要性に迫られたものの、当初スペインが輸入した LNG については、他方面への再輸
出手配が既に行われてしまっていたため、改めて同国での LNG のスポット調達のための活動が活発化
したことから、欧州地中海地域での LNG スポット価格が 2013 年末以降 100 万 Btu 当たり 15 ドル台後半
(12 月の当該スポット価格はそれまで同 13 ドル台後半から 14 ドル台前半で推移していた)へと跳ね上が
る場面も見られている。
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他方アジア諸国では、中国国務院が 9 月 12 日に大気汚染防止のための行動計画を発表、2017 年ま
でに中国の石炭消費を総エネルギー消費のうちの 65%(2012 年は 68%であった)に抑制する一方で他
のエネルギー源への転換を進める旨表明したことに合わせ、石炭を代替するための天然ガス(LNG)の
調達活動が活発化したこと、韓国では、5 月 28 日に韓国で稼働中の原子力発電所 2 基の安全装置に使
用されている部品につき性能確認試験結果書類が偽造されていた旨発覚したことにより、5 月 29 日に新
古里原子力発電所 2 号機及び新月城原子力発電所 1 号機が稼働を停止(また 4 月より定期点検で停止
中であった新古里原子力発電所 1 号機についても同様の理由で以降停止したままとなった)に加え、装
置の不具合等で停止したり定期点検中であったりする施設と併せ、12 月 4 日以降原子力発電所 7 基が
停止したこと(なお、新古里原子力発電所 1 号機と新月城原子力発電所 1 号機は 1 月 7 日に稼働を再開、
新古里原子力発電所 2 号機も 1 月 11 日に稼働を再開している)により、韓国では代替発電燃料としての
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天然ガスの確保に積極的になった他、日本では平年を下回る冬場の気温予報が発表されたことから天
然ガス需要が堅調であったことで、北東アジアの LNG スポット価格は 9 月末時点の 100 万 Btu 当たり 16
ドル弱から 1 月中旬には同 19 ドルを超過、2013 年 2 月以来の高水準にまで上昇している。また、実際
2013 年 10~11 月の日本や韓国での LNG 調達は前年を上回る状態となっている(図 30 参照)。
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