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研究テーマ 介護者からの視点に立った在宅介護の QOLを向上

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研究テーマ 介護者からの視点に立った在宅介護の QOLを向上
財団法人
在宅医療助成
2009年度
勇美記念財団の助成による
在宅医療助成
完了報告書
研究テーマ
介護者からの視点に立った在宅介護のQOL
を向上させるためのネットワーク作り
久留米市
在宅介護支援研究会代表
申請者
宮本冨美代
目
次
Ⅰ
研究テーマ
1
Ⅱ
研究の目的
1
Ⅲ テーマ設定の理由
1
Ⅳ
研究の概要と実績
2
Ⅴ
研究の実際
4
1
家族交流会
4
2
介護相談
7
3
実態調査と考察
10
4
在宅介護支援研究会の研修会
22
①研修視察
ひと息の村
(福岡県行橋市)
②研修報告
東京のALS患者・岡部宏生さんを訪問して
宮本冨美代・伊藤美智子
③体験発表
これまでを振り返って
杉本真由美(ALS患者家族・患者は在宅療養中)
④体験発表
なにげない一言が
小野由紀子(ALS患者家族・患者は入院中)
⑤神経内科医師による講演と医療・介護相談
西村靖子医師
宮本冨美代・伊藤美智子他 2 名
⑥カフアシストの研修
⑦上記以外の研修について
5
啓蒙活動
31
①新聞の投稿活動を通して
②福岡・佐賀難病ケア研究会で発表
Ⅵ
研究の成果と課題
39
Ⅶ
研究同人・研究協力者および講師
40
Ⅷ 実態調査で使用した資料
4 1
1
Ⅰ
研究テーマ
介護者からの視点に立った在宅介護の QOL を向上させるためのネットワーク作り
Ⅱ
研究の目的
介護者の切実な願いを知り、どのようなサポートが必要とされているか分析、検
討する。
介護者をサポートする仕組み(システム)を研究し、支援センター設立をめざす。
Ⅲ テーマ設定の理由
在宅療養は、患者の為にも家族の為にも、国の医療費の点からも最も良い介護の
形だと思う。しかし、在宅療養を続けていくには多くの問題がある。
それらの問題は、
① 病気の進行や体調の変化に関する不安
②ストレスや睡眠不足などを含む介護疲れ
③介護者の自由な時間の不足
④公的なサービスに対する不満
⑤主な介護者が事故や病気の時の介護の引き受け手に対する不安
⑥デイサービスやショートステイ、レスパイト入院などが利用しにくい
公的サービスを利用しない理由として、引き受け手が少ない、ショートステイ
や入院での介護が不十分。利用したくても患者や親戚等の承諾が得られない
など様々である。
このような時、誰に相談していいのかさえ分からず、不安な日々を過ごしている
人が多いと思われる。病状の進行にともない様々な選択をせまられる時、また、実
際の介護生活の中でおきる問題を相談できる事は、在宅療養生活を送る上でなによ
り心強いし、安心だと思う。
介護を受ける患者は、自分の介護によって相手を犠牲にしているのではという申
し訳なさを感じていることもあると思われる。介護者がくたくたになっていればな
おさらである。そうならないためには、介護者が、介護をしながら生活を楽しみ、
ともに過ごす日々を充実させることだと思う。ゆとりを持った介護によりそれは実
現できる。
以上のようなことから、困った時に相談にのり、手立てをこうじることが出来る
システム(仕組み)を作りたいと考える。そして、家族が介護しながら家族自身も
人生を楽しめるように支援したいと考える。
以上のような考えから本テーマを設定した。
2
Ⅳ
研究の概要と実績
研究は、在宅介護支援研究会を発足し、久留米市保健所や ALS 協会の協力を得
て患者や主な介護者の現状を把握することから始めた。家族交流会での意見交換や
郵送によるアンケート調査、訪問による聞き取り調査を行い、患者・家族が日ごろ
感じていることや介護状況・介護負担について把握した。また、通所施設、病院な
どの受け入れ態勢や利用の現状ついても調査した。調査にあたっては、医療依存度
が高く、介護上の問題を多く抱えていると思われる ALS【筋萎縮性側索硬化症】の
患者家族を対象とした。
在宅支援のネットワーク作りにあたっては、人との出会いを重視した。そこで、
志を一にする医療、介護、福祉に従事する人と連携をとり、講師を招いて具体的に
学習を進めていった。また、研究会では、患者家族の体験発表や患者宅訪問の報告、
実態調査の分析などの研修を取り入れた。そして、親睦とともに家族の介護力向上
とサービスの効果的な利用などの学習や日々の悩みを相談できる場を作った。悩み
相談は、電話や訪問などでも行い、啓蒙活動の一環として新聞の投稿や介護につい
ての発表を行った。さらに、先進的な取り組みをしている事例を学び、視察・実習・
講演等により共通理解を深めた。
研究実績
3月6日
共同研究者との打ち合わせ
3月7日
介護相談
(Aさん)
3月12日
介護相談
(Aさん)
3月20日
共同研究者との打ち合わせ
4月17日・23日
4 月24日
(在宅介護支援研究会発足にむけて)
(同上)
共同研究者との打ち合わせ
(同上)
第1回在宅介護支援研究会(在宅介護支援研究会発足)
4月25日
~5月13日
介護相談
4月30日
共同研究者との打ち合わせ
(Dさん)
(第2回在宅介護支援研の計画およびアンケートの検討)
5月15日
第2回在宅介護支援研究会
5月16日
共同研究者との打ち合わせ
(第3回在宅介護支援研の計画およびアンケートの内容検討)
5月18日
6月12日
6月19日
介護相談
(Iさん)
共同研究者との打ち合わせ(ALS患者・家族交流会の計画)
第3回在宅介護支援研究会
3
(ALS患者・家族交流会)
7月6日
介護相談
7月28日
共同研究者との打ち合わせ(ひと息の村視察の計画)
7月31日
(Iさん)
第4回在宅介護支援研究会
8月19日
(行橋市・ひと息の村視察)
共同研究者との打ち合わせ(今後の在宅介護支援研の計画)
8月20日
第5回在宅介護支援研究会
ALS患者宅訪問
9月4日
(東京
岡部
宏生さん)
共同研究者との打ち合わせ(第6回在宅介護支援研の計画)
9月11日
第30回福岡・佐賀難病ケア研究会に参加
9月25日
第6回在宅介護支援研究会
10月3日
介護相談
(Iさん)
10月5日
介護相談
(Dさん)
10 月 8 日
共同研究者との打ち合わせ(訪問調査の計画)
10月9日・19日
介護相談
10月13日~10月29日
10 月23日
介護相談
11月27日
12月18日
介護相談
介護相談
(Oさん)
第9回在宅介護支援研究会
12月19日~1月20日
12月23日
(Oさん)
第8回在宅介護支援研究会
3日・22 日
郵送による実態調査
共同研究者との打ち合わせ(アンケートの内容分析とまとめ方)
1月15日・20日
1月23日
(Iさん)
共同研究者との打ち合わせ(第8回在宅介護支援研の計画)
11月19日・22 日
12月
訪問による聞き取り調査
第7回在宅介護支援研究会
4日
11 月 13 日
(Oさん)
共同研究者との打ち合わせ(第7回在宅介護支援研の計画)
10月30日
11月
(メンバー5名)
介護相談
(Oさん)
第10回在宅介護支援研究会
2 月1日・5 日・12 日
2月8日・12日・18日
共同研究者との打ち合わせ
介護相談
(Oさん)
4
(研究のまとめの検討)
Ⅴ
研究の実際
1
家族交流会
6 月 19 日(土)13:00~15:30
参加者
於久留米市会議室
久留米・北筑後・南筑後保健所管内のALS患者・家族・関係者
患者2名
家族 14名
学生ボランティア 3 名
研究会メンバー5 名(家族を除く)
保健所関係数名
筑後地区のALS患者・家族交流会を開催した。3 年に 1 回ALS協会福岡県支
部主催で筑後地区の交流会が催されるのだが、それではどうしても足りないと思っ
ていた。毎年、総会や交流会があっているのだが、福岡市や北九州市では、遠くて
行きにくい。
開催にあたって、案内状配付、会の持ち方、交流会のアンケートなど久留米保健
所には、大変お世話になった。北筑後や南筑後の保健所にも管内の患者・家族に参
加を呼びかけて頂き、充実した会になった。研究会のメンバーが、打ち合わせから
準備・受付・記録・講師接待まで引き受けてくれた。患者家族である私は、当日の
準備などをはずしてもらい、本当に助かった。
当日は、まずオープニングセレモニーの形で、NPO法人博多笑い塾の「笑っ亭
風太郎さん」
(芸名)に健康漫談を披露
してもらった。交流会では、家族が、
自己紹介をかねて今の様子や気持ちな
どを順に話していった。療養生活が長
くなり、気管切開や胃ろうなどの措置
をうけた患者の家族がそれなりに安定
した生活を送っていることを話された
のと対照的に、病気になって間もない
人の家族が、涙ながらに話された。また、いろいろな問題を抱えている患者家族の
表情は、やはり暗かった。どちらにしろ、今の気持ちを正直に出せる事は、それは
それでいいなーと思った。途中で、交流の時間をとり、自由に話す機会を設けた。
時間が足りないくらいに、もりあがった。帰りには、参加者どうし車に同乗して帰
路に着く人も出たほどで、開催して本当に良かったと思った。研究会のメンバーは、
介護者の人がすこしでもホットできるようにと、手作りのお花
とお茶などの用意をしてくれていて、その気持ちが有難かった。
「参加者が、来てよかったと思ってくれたこと」が、研究会
のメンバーの喜びになった。
5
<交流会での参加者の声>
・10 年くらい前から在宅介護している。呼吸器をつけているので夜間の痰取りが
大変である。看護師さんに、アラームはあまり気にしなくていいといわれるが、
気になる。
・夫は、気管切開・呼吸器を嫌がっていた。今は、介護になれたが、夫は寝たきり
状態。まばたきはできる。あの時、救急車をよんで人工呼吸器をつけてよかった
と思えるようになり、今回の患者会にもやっと参加できた。
・病名が最初わからず、診断された時が一番さみしかった。その言葉を聞いただけ
で気持ちがいっぱいになった。
・誤嚥性肺炎を繰り返し、気管切開をしたときは、あきらめがついた。この病気の
中でどうやって生きていこうかと開き直った。
・病気がすすみ、体調が悪かったり、肺炎を起こしたりしていたが、胃ろう後良く
なっていった。
・筋肉と関節は動かさないと健康な人でもだめになる。リハビリはとても重要。
・介護って楽しいなと思えるように、みんなで手を組んで別の方向で捉えるように
なった今では夫に感謝している。
・夫は、気管切開だけしている。看護師さんに週 1 回訪問してもらっている。ヘル
パーさんは利用せずに、近くの妹と二人で主に介護をしている。
<参加者の感想>
・ 同じ病気の家族で、頑張っていらっしゃる話を聞いて、励まされました。
(家族)
・ 希望が、持てました。(家族)
・ 病状は、個人差があり、体験の話は参考になりました。(家族)
・ 大変な中、皆さんの介護の様子を聞いて勇気づけられました。進行の過程は、
さまざまですが、希望をもって主人が不安な思いをしないように介護しなけれ
ばと思いました。(家族)
・ 今回参加させていただき、本当によかったと思いました。又これからもよろし
くお願いします。(家族)
・ より以上一歩前進出来る力がついた思いです。(家族)
・ 家族の方の話を聞いて、皆大変な思いをして介護をしておられてびっくりしま
した。私の夫は、その方々に比べて足だけなのでよかったと思います。でもそ
ういう心配はしています。皆頑張っておられて頭が下がる思いがします。本当
にありがとうございました。(家族)
・ 義父母の将来を考えると・・。これから少しずつ考えることにします。
(研究会メンバー)
6
・ ALSのことは、何も知りませんでしたが、今日色々な話を聞かせていただい
て、心を打たれました。5 月にこの病気であることがわかったNさんが、この
会に出会ってきっときっと大きな支えをもらえるだろうなあ(この会に出会え
て本当によかったなあ)と思いました。知らないことばかりですが、自分でも
少しずつ学んでいきたいと思います。
(研究会メンバー)
・ このような患者・家族会に参加させていただく事は、初めてでした。学校で、
ALSについて勉強したことはあるものの、患者さんに会うのも初めてでした。
患者さんや家族の方のそれぞれの思いが聞けて勉強になりました。また、この
ような機会があれば参加したいと思います。
2
(ボランティアの学生)
介護相談
(相談事例1)私(宮本)が、夫と母を在宅介護している事を知っている知人か
ら、介護で困っているAさん家族の悩みを聞いてほしいと依頼が
あった。
(相談事例2・3)Dさん・Iさんの奥さんは、ALSの患者家族で、保健所の
紹介で知り合った友人である。相談を聞きあううちにお互い
に、何でも話せる間柄になった。
(相談事例4)Oさんの奥さんは、6月の家族交流会で出会った。アンケートの
訪問調査やお見舞いを通して家族の方とも知り合った。Oさんは、
次々と選択をせまられる一番苦しい時期であり、研究会の仲間や
家族会の仲間で何とか力になりたいと思っている。
相談事例1
Aさんの場合
Aさん 81 才でビュルガー病という特定疾患の難病を患い、身体障害者手帳を保持して
いる。(5の 1 級)糖尿病の治療中でもある。
3月7日
相談者
Aさんの妻と娘
夫(Aさん)が現在入院しているが、お見舞いに行くたびに「死にたい」と口にする。
どうしていいかわからず、このままでは自分も死にたい気分である。(Aさんの妻)
父と母が落ち込んでいて、自分も仕事と子育てで十分に休めず疲れ果てている。
(娘)
まず、Aさんと家族の不満を尋ねてみた。
Aさんの不満は、
○ 「夜間のトイレが禁止されたが、オムツ交換が不十分でいやだ」と言っている。
○ 「食事は、ベッドに座って食べるようになっているが、ベッドの上のテーブル
に足がつかえてあぐらができず、食べづらい」と言っている。
家族(妻)の不満は、
7
○ 入院してから、歩く・座るといった機能がおちた。
○ オムツ代 1 枚が 200 円、自分でオムツを持ち込むと処理料がかかる。他の患者
さんはみんな病院のオムツを使っているといわれた。昨日 3・4日分で 4000 円
のおむつ代の請求がきた。
○ 「胃ろうの人が多い中、Aさんは食べられるのだからひとりで食べるように」
と夫に言われたみたいだ。お見舞いに行くと、殆ど食べていないのに介助の人
が誰も来ない。
○ 病院に入院中に脱水症状をおこしているのに治療がしてもらえず、点滴もして
もらえなかった。薬も全くもらえない。治療は「他の病院でしてほしい」と言
われた。
○ (ビュルガー病の)主治医に診て貰うのに、退院しないといけないという理由
で、個室料 1 万円を払い、退院した形をとり、2 箇所の病院に 1 日で無理して
通院した。
○ 通院して病院に帰った時のこと。息子と娘で夫の肩をかかえて数メートル歩い
ていた時「Aさん歩けるとね。かくしとったとね。」。と言われすごく傷ついた。
○ 病院への不満をケアマネに相談したら、「どこの病院も 50 歩 100 歩でかわらな
い」と言われた。
○ 自分も、腰が悪くて要支援だったが、
「だいたい動けるなら、継続の必要はない。」
と、このケアマネに言われ、継続しなかった(が、後悔している。)
療養に対するAさん・家族の思いと現在の状況
○ 「Aさんは、家に帰りたい」と言っているし、家族も家で介護したいと思って
いる。
○ 施設は経済的に無理。娘は仕事、妻は腰痛があり、在宅介護に不安が大きい。
○ Aさんは、着替え、排泄、食事など殆ど介護状態にあるのだが、現在要介護2
なので、十分な在宅サービスが受けられない。
以上の話を研究会のメンバーに報告し、今後の対策を話し合った。
まず、家族に、在宅か入院かを選択してもらうことになった。数日後、できるな
ら在宅をしたいという申し出があり、以下のような対策をとるようにした。
① 要介護度を4か5に認定してもらい、在宅サービスが十分うけられるようにす
② 家族・患者に病院とケアマネに不信があるため、転院し、ケアマネを変更する。
③ 在宅にむけての準備として、まずB病院を紹介することにした。
B病院の院長先生は、宮本(研究会代表)の主治医であり、患者本位の医療を
目指している病院でもある。すくなくとも現在のC病院より患者の経済的心理的
負担は軽くなると思った。宮本の主治医に連絡をとり、相談する事にした。
8
3 月 12 日
B病院での相談
Aさんの妻と娘と宮本
B院長先生に現状を相談すると、転院と介護認定の診断を快く引き受けて下さっ
た。その時、「自分の病院は、介護病棟ではなく、医療病棟だから、治療もできる
し、自宅から近い病院に転院するのは自然なことだから、何も心配はいりません。」
と言ってもらいスムーズに転院できることになった。また、ケアマネも変更するこ
とになり、ケアプランの作成には、宮本も参加した。
B病院に入院し、介護認定を待つことになった。落ち着かれた頃、お見舞いにい
くと、Aさんの笑顔がみられ、ご家族の安心した言葉が返ってきた。その後、ケア
マネに対応をお任せする事にした。B病院では、リハビリの効果もあってぐんぐん
と元気になられていった。座ったり、歩いたりできるようになっていく様子に、ご
家族は、
「この様子ではもうすぐ在宅ができる」と喜んであった。ところが、8 月 5
日に「急逝された」という連絡が入った。葬儀の後、ご家族が、「とても残念だけ
れども、元気になって亡くなったのだから、仕方がない。B病院に移って、本当に
良かったと思っています。お世話になりました。」と涙ながらにお礼を言われた。
<この事例で思ったこと>
・病院の形態がいろいろあり、介護型と医療型では、療養の内容が違うことがわ
かった。健康保険の支払いの他に病院独自の徴収料金があり、納得できなくても
家族の立場では言いにくい。スタッフの対応も、病院によって、人によって大き
く違う。患者や家族の身になって接したり声かけしたりするなどの研修をつんで
ほしい。
・どの病院も同じではないということがわかった。医療関係者にとっては、大差
ないと思っても患者・家族にとっては、大きく感じる事がある。担当者は、まず
不満を受け止めて、アドバイスや援助をしてほしい。相談をうける担当者は、病
院・施設の種類や運営に関して情報を知っておくことも必要だと思う。
*相談事例2・3・4の内容は、個人情報保護のため削除しています。
<これまでの介護相談を通して思ったこと>
・相談をうけて、研究会のメンバーと解決にむけて話し合い実践してきた。相談
事例では、色々な人の力を集めて解決方法を考え、最善の方法がとれたと思う。
・相談だけでなく、気になったことや疲れたことなど何でも話せるようになり、
それが、お互いに心強く感じ、元気になっていったように思う。
・病気が発症しALSと診断されてからも、患者・家族同士が孤立している。連
絡を取ろうにもプライバシーの見地から、患者・家族は、お互いの存在が認識
9
できない。その為、情報交換ができず、意見交換や相談も出来ない。患者の情
報を知っている保健所の役割が、この点において大きいと思う。
・ 家族が、病気の進行や療養の基本姿勢をもっと学習すれば質の高い療養生活が
出来ると思う。病院で言われたとおりではなく、納得できる療養生活を送れる
ようになりたいと思う。病院や医師まかせにせず、判断し、責任を持つのは、
あくまで患者であり、家族であるという認識がいる。
・病院の対応に不満を感じた時に、コミュニケーションをとり、協力して患者を
みていこうという方向にいかない現状がある。患者側が我慢して疑問を伝えな
いこと、病院側もシステムについてよく説明しないことが原因のように思う。
・病院側の不正と疑われる料金請求や患者から料金の取りすぎではないかと思う
ような事例をなくす為には、何らかの形で公表することも大事だと思う。
・地域によって病院やサービス提供事業所が足りないのは、大きな問題である。
・病院のシステムを家族側が知らずに、不満を持ってしまっていることが多いよ
うに思う。長期療養病棟や救急病棟、介護病棟、障害者病棟、回復期病棟など
色々な形の病院・病棟があるが、そのサービス内容や支払いなどかなりの違い
がある。また、家族は、看護師は医師の指示がないと動けない(自分で判断す
る権限がほとんどない)ことに気づいていない。家族は、病院のあり方を知り、
どのようにつきあえばいいのかを学ぶことで、不満が感謝へと変わるように思
う。
3
実態調査及び考察
○調査の目的と内容
(1)ALSの患者・家族は、呼吸器をつけた後、在宅か入院かの選択をしてきた。
その選択にあたって、呼吸器をつけたら在宅は困難だという認識のもとに入院を選
択することが多いようだ。実際にALS患者と療養生活を送っている介護者は、在
宅介護と入院介護をどのように捉えているのだろうか。また、主な介護者が、それ
ぞれ、どのような悩みを持ち、どのような介護を望んでいるのだろうか。それらを
把握したいと考える。そして、入院療養と在宅療養のそれぞれの良さと問題点を明
らかにし、その対策を考える。在宅か入院のどちらをも選択でき、安心して療養で
きる環境を整備するための取り組みにつなげたい。
そのため
① 現在の療養状況で感じている主な介護者の満足・不満足感とその理由
② 入院・在宅双方の介護で感じている主な介護者の負担度とその内容
③ 主な介護者の体調の良・不良の要因と介護負担、支援体制との関係
10
④ 入院・在宅双方の必要な費用などの内訳等を調べることにした。
以上の内容を
質問項目1
療養者の状況
質問項目2
介護者の日ごろの悩みや思い
質問項目3
現在の介護状況
質問項目4
現在の介護負担
質問項目5
現在の費用負担
質問項目 6
患者家族との交流
質問項目7
呼吸器装着についてとして項目を分けて聞いた。
アンケート用紙は在宅、入院・入所、診断後間もない人用の4種類を用意し、実
態にあわせて聞き方をかえた。(使用したアンケート用紙は、資料として掲載)
(2)回答者自身が、どのような介護を望むのかを考え、様々なサービスや多様な
考え方があることを学ぶ機会にする。また、回答者が自分の介護生活を、客観
的に見直し、自覚する機会にする。さらに訪問調査を通して、研究会のメンバ
ーが患者家族と直接会って話を聞くことで、交流の機会とする。
○調査の実施方法
訪問による聞き取り調査と郵送によるアンケート調査
○調査対象者
久留米市・筑後地区のALS患者の主な介護者(18 名実施うち呼
吸器をつけた患者 13 名)
集計にあたっては、対象者が少ない為、数的な集計ではなく、一人ひとりの回答
を関連して見ていき、総合的に考察した。
<
呼吸器を装着している在宅療養者の主な介護者(3 名)の実態>
質問項目1
療養者の状況
・患者は、3 人とも男性で妻が主な介護者。3 人とも子供と同居。年齢は、50 才、
60 才、75才。胃ろう(腸ろう)造設 2 人、経管栄養 1 人。3 人とも要介護度
5。病気が発症して、それぞれ 14 年、9年、13 年。
質問項目2
介護者の日ごろの悩みや思い
・主治医の先生が、患者が入院できる病院付属の看護ステーションにしてほしい
と言われ、困る。また、カフアシストは、「責任がもてない」といわれて、使
うことができない。これまで色んなお世話になっているし、主治医を変える事
はできない。
・いくつかの事業所が入っているが、連携がうまくいかないので困る。
・日曜や祭日の訪問看護をする事業所が少なく、また保険適用でないため費用
が高く、経済的負担が大きい。
11
・いくつかの事業所に来てもらっているが、どこも人手不足で思うようなサービ
スが受けられない。
・療養に必要なガーゼ・カテーテルなどの物品や薬品のほとんどが有料で、市役
所に提出する診断書や訪問入浴の指示書まで有料で金銭的負担が大きい。
・娘と同居しているが、夜中は、主に自分が介護している。呼吸器のアラームが
なるのが不安。
質問項目3・4
現在の介護状況・介護負担
・現在の介護状況について、
満足 1 人、ほぼ満足 2 人。
3 人とも患者に対して思うような在宅介護が出来ているという点で満足、
ほぼ満足と回答。
・体調良好は、1 人。かなり疲れている 2 人。
・かなり疲れている 2 人は、睡眠不足、持病あり。いらいら、やる気がでないな
ど不安・精神的な疲れがある。と回答。介護以外の事でも疲れているは、1 人。
・介護負担度6(最大)が 2 人。介護負担度2が、1 人。
・レスパイト入院を利用している人は、1人。していない人 2 人。
・家でゆっくり出来る人2人。ゆっくり出来ない人 1 人。
・睡眠不足・介護疲れ・ストレスを感じている人 2 人。感じていない人 1 人。
・訪問サービスの利用が充実している人2人。充実していない 1 人。
・負担に思う介護内容は、便の始末(特に夜間)痰の吸引(2 人)、土・日など
訪問看護が入らない日(2人)、行事や家族の用事などが入った日(3 人)、患
者の体調が悪い日(1 人)患者の要求にこたえられない時(1 人)などに介護
が負担になっていると回答
・疲れない工夫やストレス解消の工夫の7項目~10項目に出来ていると回答
している人 2 人。
自分の健康管理やストレス解消ができていない項目に回答 1 人。
・訪問診療、訪問看護、訪問介護、訪問入浴は、回数は違うが、3 人とも利用。
訪問リハビリは、2 人、訪問歯科は、1 人。デイサービスに 1 人。レスパイト
入院に 1 人。人工呼吸器の事業を利用している人 2 人、1 人は不明。
・自立支援法による居宅介護サービスを利用している人 2 人。
・病気急変時や緊急時の連絡、支援体制は、3 人ともしっかり出来ている。
質問項目5
現在の費用負担
・3 人ともそれぞれ 53000 円、32000 円、48000 円
内訳は、介護保険 1 割負担金1~2 万程度(自費プラス2万の人あり)、訪問看
護の交通費 7000 円~9000 円、おむつ代 1 人は 6000 円(2 人は補助があり、
12
2000 円程度)、衛生材料 1 人は 1 万円(後の 2 人は主治医からの無料提供)、
書類代
随時で無料(1 人)~7000 円
質問項目6
患者家族との交流について
・3 人とも、患者家族との交流があり、家族会の参加は、2 人はあり 1 人はなし。
・家族交流会は、年に 1 回以上、できれば毎月してほしい。患者を看てくれる
時間が長ければ、参加できるが、サービスがなければ参加できない。
・交流会に参加して、夜中のおむつ交換はしていないと聞いてそれから自分も
していない。痰の吸引もしなくていい時があると聞いて自分も臨機応変に
介護するようになった。
質問項目7
呼吸器装着について
・3 人とも、主治医の勧めにより、呼吸器装着。呼吸器についての知識は詳しい。
呼吸器のはずれる事故について、昼間もあっているという回答あり。
・在宅を選択している理由は、在宅の方が患者にとって、よい療養生活ができる
からが 2 人。姑がいたので在宅を選択、その後は、娘の意見で在宅を続けてい
るが、患者の表情と体調が在宅の方がいいと感じているからが 1 人。在宅では、
様々なサービスを患者家族の必要に応じて組むことが出来、家族とのふれあい
も自然な形で出来る。訪問入浴で、お風呂に入ることが出来る。(病院では、
シャワーか機械浴)3 人とも、入院体験者で、病院の療養内容は、患者にとっ
て不十分だと感じている。だから、在宅介護を選択していると話している。
<
呼吸器を装着している在宅療養者の主な介護者(3 名)の分析と考察>
3 人とも、現在の介護状況には、満足、ほぼ満足している。しかし、在宅療養が
長期間になり、介護疲れとストレスなどの介護負担を感じている人もいる。
介護者自身が高齢である、健康状態に問題がある場合などは、長時間の昼間の
介護や主に 1 人で介護している夜間の痰の吸引や便の始末などが特に負担になっ
ている。また臨時や緊急時に患者を介護する人を確保するのが困難というのが、3
人共通の問題である。
公的サービスが受けにくい地域であるとか患者・家族の要求にスタッフが応え
らないなどの支援体制の不備も、在宅療養を続ける上で問題となっている。
在宅療養を選択して良かったと感じるのは、患者の表情や、体調が良く、患者
の容態が落ち着いている時である。この 3 人は、呼吸器をつけて在宅療養になった
後、入院治療が必要になった事は、あまり無いと話す。3 人とも、入院を経験して
おり、病院の療養体制では、思うような介護を期待できないと思っている。また、
病院へお見舞いに行き、介護する時間を考えると在宅介護の方が負担が軽いと感じ
13
ている。
呼吸器をつけると、24 時間の介護・見守りが必要になる。その介護に要する時
間の内容は、清拭や整容、排泄、食事など定期的、集中的に患者に関わる時間と患
者を見守りながら痰の吸引・身体を動かす・排泄など単発的、必要時に患者に関わ
る時間とがある。
だから、必ずしなければならない定期的、集中的な仕事は、家族の体調に関わ
らず訪問看護や訪問介護の利用をすると、家族の負担は、かなり軽減される。
また、24 時間と言っても介護内容に重軽がある。単に、痰をとるために見守り
をしておけばいい時間帯と、尿をとったり、経管栄養を始めたり、終わらせたり、
身体を動かしたりする必要のある時間帯とがある。主な介護者と他の介護者は、と
もに、全部の仕事ができることが望ましいが、その人の状況によって自分が出来る
ところで分担するとどの人も無理なく介護にあたることが出来る。日ごろからやり
方を知って、介護にあたっておくことで、介護を頼まれた人も心配なく引き受ける
ことが出来る。
さらに、主な介護者は、療養の責任を感じている。患者の体調だけでなく、自
分の体調の維持から他の家族の世話まで大きな精神的な圧迫があるとも言える。そ
れを、自他ともに理解することも大切である。主な介護者が、24 時間、365 日全
責任を負って介護をするのは、長時間、長期的な介護が必要な呼吸器をつけたAL
Sの患者の場合、無理である。何を誰にしてもらい、自分は何をするのかを常に意
識し、責任も分担すること(相手に任せること)が必要である。そのためには、家
族やスタッフとの間で協力関係と信頼関係を築くことが重要である。
在宅介護に取り組むことで、家族のきずなが強くなり、サービス提供者、社会
への感謝といった心を育むことができる。これは、介護者にとって、思わぬプレゼ
ントとなって、人生を豊かに生きる糧になると思う。
以上述べたように、在宅介護をする時に重要なのは、時間的にも仕事的にも精
神的にも介護負担を分担し、協力体制を作ることである。それは、患者を含めた家
族全員の協力とサービス従事者および事業所の協力とがあげられるが、どちらも、
みんなで作り上げていくもので、お互いが学習する必要があると思う。
<その他の在宅療養の主な介護者(5名)の実態>
質問項目1
療養者の実態
・患者は、38 才(女)、67 才(男)、69 才(女)、71 才(男)、78 才(男)。
診断をうけたのは、それぞれH18,1、H15,7、H22,5、H15、H3,2
医療措置なし 4 人、胃ろうのみ 1 人。要介護度
14
未認定 1 人。要支援1人。要介護
3が 1 人。要介護 5 が 1 人
同居家族も介護している 2 人。同居家族がいない人 3
人。うち別居家族の介護あり 1 人。
質問項目2
介護者の日ごろの悩みや思い
・病院へ行く時が困っている。最近、市の社協より車いすを借りて、市の介護者車
で、病院に行っている。近くへはタクシーを利用。いろいろな手続きを自分でやっ
ている。これ以上、進行しないように願っている。
・呼吸器の説明を聞いて、夫が、ショックをうけている。
・今のところ、熱もでないし、妹も敷地内にいて、日中は二人で介護している。
・よくなる見込みのない病気だから病院へ行かない日はテレビを見て暮らしている。
・四肢が殆ど動かず、食事は問題ないが、時々飲み込みが悪い。本人がしたい事を
してあげたいけれど、時間がない時などかゆいとか痛いとか本人も我慢している
・患者が、ヘルパーさんに気を使いすぎてしまう・
質問項目3
現在の介護状況
・現在の介護状況について
満足1人、ほぼ満足2人。満足していない1人。不明 1 人。
満足・ほぼ満足の 3 人は、
・必要な訪問サービスが行き届き、お見舞いの必要もなくゆっくりできている。
・訪問従事者に相談でき緊急時の対応がきちんとしている。
・ 夜間の介護のため、睡眠不足になることもある。
・ 患者が、主な介護者以外の介護を受け入れないため、人に任せられない。
・ 出来るだけ、自分達で出来る事はしようと思って訪問サービスは利用していな
い。緊急時の対応がきちんとしており、お見舞いの必要もないので、家でゆっ
くりできている。と回答している。
満足していない1人は、
・ 訪問従事者にいつでも相談できる。困ったことに対応できないとの両方に回答
している。訪問従事者の言葉や対応も気になっている。
・ 介護者の疲れや睡眠不足、自由な時間がとりにくい。患者が、主な介護者以外
の介護を受け入れないため、人に任せられない。
・ 患者や家族が望むような介護が出来ていない
質問項目3・4
と回答。
現在の介護状況・介護負担
質問項目3で満足・ほぼ満足と答えた 3 人は
・介護負担度1が 2 人、介護負担度4が 1 人。介護負担度1の人は、体調も良
好で、介護負担に感じる内容は、なし、外出と通院の付き添いと回答。
介護負担度4の人は、体調はおおむね良好であり、時々睡眠不足がある。食事の
15
準備と片付け、吸引セットの準備片付け、自分の体調の悪い時と回答。
質問項目3であまり満足していないと答えた1人は、介護負担度5(最大6)
・睡眠不足、腰痛、いらいら・・・、介護以外の事で疲れ
と殆どの項目に回答。
介護負担の内容は、入浴介助、体位交換。自分の体調の悪い時、家族の行事や用
事と重なった時、患者の要求に応えられない時と回答している。
質問項目5
それぞれ
現在の費用負担
なし、13000 円程度、病院代 1500 円、13500 円
質問項目6
患者家族との交流についての実態
交流があった人4人なかった人 1 人。してほしい交流回数は 1 年に 1 回が 1 人
1 年に 2 回が 2 人、あるときはいつでも参加したいが 1 人
<その他の在宅療養の主な介護者(5名)の分析と考察>
進行に対して不安を持ちながらも、現在の良好な病状で安心している家族の様子
がわかる。患者の状態がよく、介護上の問題が無い場合は介護負担度4(中間値3)
でも、満足していると回答している。それに反して、相談できる人はいても、日常
困っている問題が解決しない場合は、ストレスや疲れを感じている。
38 才の患者は、若年であり、自立支援法を利用している。若くして介護を受け
ることについての考え方や病気の受けいれ方などにも支援がいるように思う。
この時期に、ALSの病気の進行について学習し、対策を考えておくと、緊急事
態にあわてることはへるが、どうしても進行してからの対応になってしまっている。
<入院、入所の介護者の実態>
入院(8 名)入所(2 名)
質問項目1
療養者の実態
50 代 2 人、60代 5 人、70代 2 人、80 代 1 人
主な介護者 50 代 1 人、60 代 7 人、70 代 1 人、80 代 1 人
全員胃ろう、人工呼吸器装着、要介護5
発病後、1 年 1 人、1,5 年 1 人、
2 年 3 人、3,5 年 1 人、4 年1人、6 年 1 人、7 年 1 人
質問項目2
介護者の日ごろの悩みや思い
「入院」の人の家族の思い
・
ナースコールをおしてもすぐに来てくれないことが多く、本人が不安である。
・
ナースコールをおした時はすぐに来て欲しい。決められた時間に来て欲しい。
・
ナースコールが、本人の思うように鳴らないことがある。
・
夜間や休日など看護師さんの数がとても少ないので、大変だと思う。
・
だんだん、ボタンを押したり、意思表示できなくなるのが、不安。
16
・
患者が、呼吸器のアラームやトラブルに対して不安が残っている。
・
家族は、少しでも患者が、安心して入院生活が送れるようにと思っている。
・
呼吸器をつけていても、車いすに乗せてあげたい。病室の中だけに留まらず、
外の景色を見せてあげたい。(2 人)
・
犬が好きだったので見せてあげたい。
・
パジャマが、よだれで濡れてしまうので着替えさせたいが、一人ではできな
い。前は、出来ていた。
・
エアーベッドのため、一人で身体の向きを変えることができない。
・
夜間のおむつ交換は、3 時間おきに病院側でされる。昼間のおむつ交換や着
替えは、家族がしている。
・
吸引や胃ろうの処理に対して、責任感から重荷だったが、入院してホッとし
ている。毎日、病院に通っているが、優しい気持ちで接しているつもり。
・
痰の吸引は、患者が(家族にではなく)看護師さんにしてもらう事を希望し
ている。(2 人)
・
声かけだけでも常にして欲しい。
・
身体を全く動かせないため、ベッドの上で同じ体勢で寝ている。敏感に反応
し、しっかりしているが、意思を相手に伝えられないことが困っている。か
ゆくても、手足を動かしたくても何も伝える手段が無い為本人は、とてもつ
らい思いと不安でいっぱいの毎日を送っている。
「入所」の人の家族
・
共同部屋なので、室温管理が難しい。
・
施設にきて良かったと思う。車いすで朝の会に参加したり、笑顔で声かけし
てもらったりしてもらえ、満足している。
・
付き添いに行けないとき、親身になってお願いできる人を探す情報が欲しい。
・
楽しみに出来る事が減ってきているので、動けなくてもできる何かを少しで
も増やして頂けたらと思う。他の皆さんは、週に何度か自分の興味がある事
をされていて、おやつの時間もあるが、うちは、何もない。
・
患者が、不機嫌な時があり、つらい。
質問項目3・4
現在の介護状況・介護負担
満足 3 人、ほぼ満足 3 人、あまり満足していない 2 人、満足していない 2 人
満足・ほぼ満足の6人は、病院だから安心して任せられる。介護費用があま
りかからない、自由にできる時間がとれる、お見舞いに行きやすいの欄に回答
リハビリや外出が不十分に、4 人が回答。
あまり満足していない 2 人は、病院だから安心して任せられるに回答。しかし、
17
介護費用がかかる・自由にできる時間がない・お見舞いに行きにくいと回答。
さらに、病院での患者の看護、介護に不十分さを感じており、職員の対応に
3 人が疑問を感じている。この 3 人は、疲れ気味、かなり疲れているに回答。1
人は、不明。患者の病気の進行がはやく、心理的な面での疲れを訴えている人
もいる。
満足・ほぼ満足の6人のうち、介護負担度1が 3 人。介護負担度2が 1 人。
介護負担度3が 2 人。体調も良好で問題は無いと回答している。
あまり満足していない・満足していない 4 人は介護負担度4が 1 人。介護負担
度6(最大)が 1 人。2 人は、回答なし。かなり疲れている、疲れ気味に回答。
介護負担度6(最大)の人は、腰痛があり、介護が負担になっている上、介護
以外の事でも疲れがあり、睡眠不足と訴えている。
入院生活における介護負担や不安の内容は、
・患者の意思や思いを汲み取れずつらい。そのため、患者がかんしゃくをおこ
したり、悲しい顔をするのがつらい。
・
「在宅介護を」といわれたら、夜中に何かあったらと思うと不安。
・
家族が疲れていると、「家に帰るように」と言ってくれる。以前は、見舞い
客に病気の愚痴を言っていたが、今は病気を受け入れている。
・
呼吸器をつけている人は、お風呂が、週に 1 回なのが、不満。
・
1 日中、ベッド上の生活で、患者は不満。少しでもベッドから車いす等に移
動させて欲しい。外の空気を吸わせて欲しい。リハビリも、週に 1~2 回、
時間的には 10 分から 15 分では何もしないのと同じと思う。
・
家族がいると安心した顔でいる。
・
現在は、しっかりしているが、今後が心配。
・
本人が言いたいことが、段々と分かりにくくなってきた。パソコンやナース
コールの使用が困難になってきた。目を閉じてOKのサインをしているが、
今後が不安。
・
表情が、在宅の時と変わった。表情の変化がなくなった。痩せた。
・
痰の吸引の回数が多いので、時間ではなく必要な時に気持ちよく吸引して欲
しい。家族がいない時も、様子を見ながら吸引してもらい話しかけて欲しい。
・
患者の不安は、身体が不自由で、自力で動く事はできない。頭は、以前より
しっかりある。(感じる)それなのに、思うように伝達できず、痛くてもか
ゆくても相手を呼ぶことが出来ない。伝える事が出来れば本人は、楽になる
と思う。
質問項目5
現在の費用負担
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総額は、だいたい 3,5 万円から 6 万円。1 番大きい出費は、交通費。ガソリン
代として、4 千円から 4 万円まで。バスの定期やタクシー代 2 万円程度など自
宅からの距離によって違っている。施設の人は、住居費がかかる。介護用品の
費用として 1 万から 4 万円。その他外食費として 1 万円他クリーニング代等。
質問項目6
患者家族との交流について
交流があった人 6 人。交流がなかった人4人。あった人の感想は、
・考え方が前向きになった。何かあっても、相談できる人がいるだけで安心。
・介護の参考になった。
・勇気付けられた。が、先の事を考えると不安。
・色々と教えられたし、勉強になった。励ましになっている。
交流会の持ち方について 1 年に 2 回が 4 人。その他4人。(そのうち、2~3
月に 1 回 1 人。行けないから)無回答 2 人。
質問項目7
呼吸器装着について
回答 7 人。無回答 3 人。
・
毎日、元気な顔が見られるのが幸せです。
・
生きる選択をした。本人も、自分の意思で、苦しまぎれにつけた。
・
突然の呼吸困難(肺炎)で、挿管をし、その 2 週間後あと2~3年は生きた
いという本人と家族の思いが同じで呼吸器を選択。つけて良かったのか、今
もわからない。本人に、つらい思いをさせている。
・
呼吸器のおかげで何とか元気にしている。しかし、全く意思表示できず、寝
ている姿をみると何とも言いようのないむなしさ、くやしさでいっぱいにな
る。はたしてこれで良かったのか、良かったんだ・・と毎日これの繰り返し。
本人は、とてもつらく不安な日を死に向かって生きているのかと思うとつい
私をせめてしまう。どんな事になっても生きていて欲しいと主人を説得した
から。
・
呼吸が楽になり、苦しい事が少なくなり、本人は楽になったと思う。
・
生きてくれることには感謝。できるだけ痰の量が増えないで欲しいし、苦し
まないで欲しい。できるだけ、苦しみを減らして励まして生きたい。コミュ
ニケーションのとり方を模索中。
・
呼吸器をつけて約 3 年。病状が安定している時は、つけてよかったと思うが、
肺炎や高熱で辛そうな時はつけない方がよかったのではといつも思い悩ん
でいる。本人は、どう思っているか聞いてみたい時もあるが、本人が(呼吸
器を)とりたいと思っているとしたらこわくて聞けない。
<入院、入所の介護者(10 名)の分析と考察>
19
病院や施設での介護者を調査すると、全員呼吸器をつけている患者家族だった。
病院や施設に入っていることに関して、殆どの人が、安心していると回答。
現在の状況に満足している6人は、病院と自宅の距離が近く、お見舞いに負担を
感じていない。反対に、不満足の人は病院と自宅の距離が遠く、負担を感じている。
肺炎や高熱などの体調不良の時や痰の吸引がすぐに出来ない時、カニューレ交換
で出血する時など患者が辛そうな時は、家族も辛さを感じている。できるだけ、
苦しみを減らして楽に気持ちよく過ごさせたいというのが家族の願いである。病院
や施設に自宅が近い人は、毎日のように通って、昼間の介護の一役をにない、少し
でも患者の苦しみを減らすように努力している。しかし、病院から遠いとお見舞い
に行く回数や時間も制限される。してあげたいけど、自分も思うようにできない。
そのことが、現状を不満足と感じる一因になっていると考えられる。
介護状況では、痰の吸引、コミュニケーションのとり方、リハビリや外出には、
殆どの人が問題を抱えている。また、現在は、意志の伝達ができているが、今後の
事を心配している。痰の吸引は、大人数の患者を小数の看護師で看護するという病
院の制度上、リハビリ、外出などは、病院の療養方針で決められていて、患者・家
族は、従うほかない。ただ、家族自身がやりたいと思う事は全部否定されるわけで
はないので、主治医やスタッフと相談して取り組むことは出来る。病院の制度や運
営・療養方針に関しても、家族の学習が必要である。何を病院にお任せし、何を自
分で補充するのかを判断し、スタッフと連携をとって介護にあたることで、お互い
の信頼関係を築くことができる。家族が信頼してお任せしている気持ちは患者にも
伝わり、患者の不安感が減ると考えられる。
すなわち、患者の思いが家族に大きな影響を及ぼしているのと同じように、家族
の思いも患者に影響する。それは、病気の受け入れと呼吸器をつけたことに対して
もいえるのではないだろうか。
呼吸器をつけた患者の家族が、「動けなくなって、意思の伝達も出来なくなって
つらそうだ」と感じ、呼吸器をつけたことに対する後悔と生きていることに対する
感謝との間で揺れ動くのはしかたのないことかもしれない。しかし、そうであれば、
患者も同じ思いで揺れ動き、元気に生きていこうという心が定まらない。辛い現実
は、どうもがいても変わらない。西村医師の「まだある機能に感謝する生き方が大
切」という言葉を思い出す。後戻りは出来ない。前を向いて、今、出来るだけの事
をしよう。と心に決めることで明日への展望が開くと思う。
<呼吸器をつけたALS患者の療養生活にあたって>
患者は、動けない、話せない、食べられないという人間として最もつらい現状で
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あり、家族はその思いを共有している。そのような状況でも、人間としての生きが
いを持って日々を過ごしたいと願っている。家族は、患者が今出来る事を大事にし
たいとも思っている。
呼吸器をつけた患者が生活する場所として病院と自宅があるが、これまでの実態
調査や介護相談をもとに、それぞれの良さと問題点をまとめ、対策を考えた。
病院療養は、24 時間看護で家族の介護力に関わらず、介護の保証がされている。
食事とおむつ交換、痰の吸引などは、きちんと時間をきめて行われる。異常な事態
があれば、診察、検査、治療などがすぐに行われ、療養環境が整備されている。
病院では、安全第一の療養方針のため、患者をベッドから移動させることに慎重
で、散歩や外出が制限されている。長期療養病棟の場合、入浴は(シャワー浴、機
械浴で)週に1~2 回程度。着替えや清拭は、毎日しない所がある。リハビリは入
院での上限が決められており、満足するような時間・内容は望めない。病院の制度
上、患者の人数に対する看護師の数が決められているため、痰の吸引や臨時のおむ
つ交換などを要求してもすぐに対応出来ない事がある。
自宅から近ければ、
(病院に行く負担が少なければ)日ごろからお見舞いに行き、
患者とふれ合い、入院介護の不十分さを補うことができる。交通費などの費用もあ
まりかからない。しかし、病院が自宅から遠ければ、やはり、身体的・経済的・心
理的な負担が大きい。病院は、なるべく自宅から近い所を選択したいが、筑後地区
では限られている。久留米にもALS患者が長期入院できる病院がほしい。
在宅療養の場合、患者は住みなれた我が家で気を使わずに過ごすことができる。
日常的に家族と共に生き、いつでもふれ合う事ができる。訪問看護によって、1 対
1 か 1 対2ぐらいの手厚い看護を受けることができる。リハビリは、訪問リハビリ
の上限はあるが、患者にあったプログラムで十分行うことができる。訪問入浴では、
浴槽につかり、お風呂を楽しむことができる。また、しようと思う事は、制約もな
く、色々なことに挑戦できる。患者からみれば、治療の必要がなければ在宅療養が
望ましいと思う。しかし、24 時間介護をどのように組み立てるか、家族にとって
は、困難な問題がある。家族が在宅療養を選択する上で克服すべきことはいくつか
ある。1つは、主な介護者が、介護の内容を知り、実際に無理なく介護できる実技
を身につけること。2つ目は、どのようにして、介護の協力体制を築くかという点。
さらに、在宅介護は、孤立しやすく情報がはいりにくい。困った時には、自分から
積極的に調べ、解決にむけて、関係機関に出向く努力もいる。
在宅療養は、最初は困難なように思えても、日々の積み重ねによって自信ができ
てくる。初期にはどうしても、少しのことでも不安になるものであるが、慣れてく
ると生活にリズムが出来、トラブルにも対応出来るようになり、不安感が減ってく
21
る。最初の一歩の踏み出しと初期の介護生活をどう乗り越えるかが在宅療養を続け
るポイントである。
以上、入院と在宅の良さと問題点・対策をまとめたが、どちらを選択しても、か
けがえのない一日一日を元気に過ごしていきたい。そして、どんな小さなことでも
患者の生きる喜びにつながるようなことを見つけていきたいと思う。
4
在宅介護支援研究会の主な研修会
私たちの在宅介護支援研究会では、家族交流会や介護相談、介護実態調査、啓蒙
活動と共に、メンバーを中心として、医療関係者やメンバーの知人を交えて様々な
研修を行った。施設見学や患者家族の体験発表、神経内科医師による講演、理学療
法士による実習などの研修などである。楽しく学びあうことと同時にメンバーの特
技や経験を生かす内容も織り交ぜながら、メンバーのやる気が引き出され、信頼関
係が生まれるように工夫した。メンバー誰でもが、役割を持ち、活躍するように計
画した。以下、それぞれの研修会について述べる。
①施設見学
訪問先
住所
ひと息の村(在宅ホスピス支援ハウス)
福岡県行橋市行事 7 丁目25-3
連携機関
矢津内科消化器科クリニック
この施設は、福岡県で、ただ 1 箇所という「療養通所サービス」を行っている施設
としても有名である。キャッチフレーズは、
我が家のように自由きままに・・・
そんな「ふつうの暮らしを」してみませんか?
当日は、9 時に久留米を出発して、3時間かけて目的地に着いた。敷地面積
2998㎡(906 坪)の中に 3 階建て
のその施設はあった。建物は、「ホテル
感覚の在宅ホスピス支援ハウス」と謳
われている通り、広くて、明るく、行
き届いた設備に
圧倒された。
ファミリーキッ
チンやラウンジ、和室、ビューティールームなどの共有設備
を有していた。2 階の会議室では、部屋のいたる所やいろん
な物にスタッフの手作りの後がみられた。それは、利用者が、
安全で、使いやすいというばかりではなく、ホッとできる空
22
間にしたいというスタッフの思いの表れだと参加者全員感動した。
施設内では、訪問看護、デイサービス、デイホスピス、療養通所サービス、訪問
入浴、ヘルパーステーション、ケアプランサービスなどの在宅サービスが矢津クリ
ニックと連携し、24 時間体制できめ細やかなサービスが行われていた。
帰りのバスの中で、感想を発表した。
同じ経験をしても、それぞれ感動した
所が違うのがおもしろいと思った。
<ひと息の村見学の感想>
・ 置物や壁面の作り、陶板性の表示な
どから施設ではなく、一般住宅のよ
うな雰囲気がした。
・ 全体的に柔らかい色を基調にした配
色がなされていた。
・ 金属を目立たせないように布をまくなどスタッフの工夫が随所にみられた。
・ 色々なサービスが 1 か所に集まっていて、利用者のライフスタイルに合わせた
サービスが選べるのがいいと思った。
・ 今回の研修は、色々な面で刺激を受け得られたものも多く参考になった。
・ 自宅に近い形で過ごせるシステムになっているのがいいと思う。
・ 病院がすぐ近くにあり、医療が受けやすい。重度の医療措置が必要な場合も利
用しやすい。久留米にもこんな施設が欲しいと思う。
・ スタッフに絵顔で迎えられ、初めて会ってもすぐに打ち解けた。普段から利用
者にもそのように接しておられ、安心感を得られるのだろうと思った。
・ 同じ事業所なので、これだけのサービスができていると思った。
・ 支援するスタッフは、顔なじみというのが安心だと思う。・・・・・など
②岡部宏生さんを訪問して
(東京のALS在宅療養患者の報告)
岡部さんは、東京のALS在宅療養患者だ。日本ALS協会の川口さんに紹介し
ていただいた。東京に研究会メンバーがおり、その打ち合わせの機会を利用して訪
問した。岡部さんは、発病して日が浅いのに、既に呼吸器をつけている。それなの
に、明るく、元気である。そのわけをみんなで学びたいと思った。また、筑後地区
では、呼吸器をつけて、車いすで移動している人はいない。出来るという事を知ら
せたいと思って、報告した。
<岡部宏生さんの報告>
岡部さんの事を紹介します。
23
岡部さんは、窓際のベッドに横たわり、ヘルパーさんがお世話をしていました。
事前に質問していたことに関して解答と資料が用意されていました。口形を示し、
ヘルパーさんのあ列~お列までの問いかけに、まばたきで返答するやり方でとても
会話がはやく驚きました。
岡部さんは、患者の先輩や仲間の生き方を見たり、支えあったり出来るような交
流を持てた事、病気でもやりたいことがみつかった事が不安や悲しみを乗り越え、
今の自分を支えていると答えられました。
岡部さんの現在の目標は、ALSを知っても
らう事。それを通して価値観は無限にある事を
考えるきっかけにして欲しいので福祉に関わる
人も関わらない人ともたくさん接する機会を持
ちたい。2つ目に難病マンションの検討と実現。
3 つ目に患者と患者家族との交流と相互支援活
動。これらの目標の実現と生活のための法人を
設立したい。と書かれていました。
現在、重度訪問介護の時間が 650 時間給付で、同じ区内では前例の 2 倍以上だそ
うです。この時間を確保するのは、大変だったようです。
岡部さんは、これまでいくつかのスイッチを使ってあり、症状にあわせて変えら
れたようです。コミュニケーションのやり方も変わってきているようです。
ヘルパーさん 3 人につきそってもらい、
月に4・5回ほど地下鉄で移動している
ということでした。患者さんの自宅を訪
問したり、会議に参加したりするなど精
力的に活動している様子でした。
「さよならをする時、顔が動かない岡
部さんがさみしそうだね。ベッドが動
いてこちらを見られたらいいのに。そ
んなベッドがあればいいね。」と同行し
ていた伊藤さんが言ったので、はっとしました。ベッドが上下だけでなく、回転す
れば窓を見たり、さよならを言ったりと視界がひろがる。いい発想だと思う。
24
会話・お願いカード
ヘルパーさん用50音の文字盤
外出用車イス
(呼吸器・吸引機も携帯できる)
③在宅介護者の体験発表
体験発表原稿
これまでを振り返って
杉本真由美
みなさんこんにちは
私は、耳納連山のふもとにあります善導寺という所から参りました杉本と申しま
す。今日は、皆様方より少しだけ早く夫がALSを発症し、介護体験している事を
お話ししたいと思います。
私の夫は、「おーいお茶のコマーシャル」に出ていた海老造さんに似ていて、ハ
ンサムで背も高く、真面目で運動神経抜群の自慢の夫でしたが、35 才でALSと
診断されました。当時、長女は小学校 5 年生、次女は、1 年生、長男は 3 才でした。
症状が、だんだんひどくなる中、病院を転々とし、たどりついた九大病院での告
知でした。その病院で、「難病中の難病です。明日奥さんが病院に来られた時は、
呼吸器をつけなければならない状態かもしれないので、今すぐ装着の印かんを押し
25
てください。」といわれました。
私は、何の事を言ってあるのか全然理解できず、ただ体がこうりついて、家に一
人帰って涙が止まらなかったのを覚えています。
主治医からALSケアブックをもらったので、勉強しようと思いました。しかし、
その本の中に出てくる寝たきりとか人工呼吸器とかの表現を読んでも、「そんなの
私達には関係ない。絶対よくなってみせる。」となかなか病気を受け入れられませ
んでした。
1 ヶ月ちょうど経ったころ、病院から「ここでは病名をだすだけで何の治療も薬
も出ないので地元の病院を探すように。」と言われ、自分で神経内科の先生に頼み
に行きました。毎日、気休めのようなリハビリに通ったのですが、だんだんケアブ
ックに書いてある通りになってゆき、疲れがピークに達しました。
今度は、地元の病院に入院したのですが、主治医から、「病院にいるより、子供
さんも小さい事だし、家に帰って、わずかな時間の思い出作りをしてください。出
来るだけ早く奥さんが吸引やカニューレ交換をマスターするように。」と言われま
した。長女も、中学 1 年の時から吸引を覚え、二人で挑戦しました。
在宅にむけて計画をたてたのですが、まだ、介護保険もない時代で、ケアマネも
いなくて一人で訪問入浴や訪問看護ステーション、ヘルパーステーションを探して、
手探り状態で始めました。
現在、私の家では、
(月)・(木)に訪問入浴、
(火)・(金)・(土)・(日)に訪問看
護 1 時間半、水曜日にヘルパーさんと私とで清拭を行っています。吸引は、夫が許
す訪問看護師のみと他は昼夜かまわず私と長女が担当しています。人工呼吸器は、
10 年近く前から装着しています。介護にあたって、痰をつまらせないように、肺
炎など炎症を起こさないように、辱創などにならないように、気を使っています。
自発呼吸もその頃からあまり変わっておらず、入浴、清拭、タッピングの時だけ
はずしています。主治医からは、「もっとはずして。自発があるから訓練していい
よ。」と言われていますが、主人が「せん」といってちょっと消極的で困ったちゃ
んです。
発病してから、ずっと不安はついてまわりますが、在宅も慣れてくるとだんだん
自分のペースが出来てきて、「こういう時には大丈夫」とか人工呼吸器のしくみに
ついても普通の看護師さんよりにせものナースの私の方がよっぽど理解している
と自信がついてきます。
また、24 時間訪問看護ステーションや人工呼吸器の会社の方々と連絡が取れる
ので病院に預けているよりも目の前で夫の様子が見られるので私の場合は、安心で
した。ですから、人工呼吸器をつけてから、10 年近く、1 日も入院していません。
26
これは、私の唯一の自慢です。
今振り返れば、あっという間の 14 年間でした。子供 3 人とも非行にはしること
もなく、長女は、看護師、次女は薬学部、長男は高校 2 年生で、プロ野球選手を目
指してそれぞれの道を歩み始めました。
夫が病気をしたおかげで、家族はいつも「お父さんのため」を合言葉に頑張って
きました。このご時世の家族のきずながうすれゆく中、私の家族はみんな心がひと
つです。
常に前を向き、生きて命があれば必ずこの病気も克服できる日が来る。苦労した
分絶対幸せになる。そう信じて皆様と少しずつ輪を広げながらその日が来るまで人
生を全うしていきたいと思っています。これから、在宅をされる方へ少しでもお手
伝いできることがあれば、そして全国の難病の方々の生活の向上が出来るよう、研
究していきたいと思います。
④入院者介護の体験発表
小野さんは、在宅支援研究会の研究同人の一人だ。夫は、レスパイト先の病院
で、呼吸器をつけることになり、その後、専門医のいる病院での療養生活に入って
いる。小野さんのこの病院の第一印象は、「患者の家族の人達が暗い」だったそう
だ。そこで、小野さんは患者の家族の人達とお茶を飲んだり、食事をしたりして病
気についての考え方や病院介護のやりかたについて話していった。小野さんの周り
の人たちは、次第に元気になっていった。この病院の患者家族の人達は、何でも話
せる仲間ができ、本当に心強く思っている。在宅支援研究会では、小野さんの、こ
れまでのいくつもの取り組みの中から、「夫に娘の花嫁姿を見せたい」という小野
さんの願いから始まった取り組みを発表してもらうことになった。
体験発表原稿
なにげない一言が
小野由紀子
「夫に娘の花嫁姿を見せてあげたい」というなにげない一言が大きな幸せを運ん
でくれました。主人が発病して 4 年。その間、
長女が、結婚式をせずに、入籍。一人娘の花
嫁姿を見せてあげられない事だけが残念で、
心残りでした。
病院に入院し、呼吸器をつけての移動はや
はり難しく、あきらめていました。そんな時、
病棟の師長さんと話す機会があり、ふと口に
27
した言葉でした。師長さんは、その言葉から、私の願いを受け止めてくださり、
「な
んとか実現しよう」と病院長を動かしてくださったのです。「夫に娘の花嫁姿を見
せる」ということの実現にむけての取り組みがはじまりました。
結婚式は、隣の療養介護病棟の多目的ホールで行われることになりました。病棟
の看護師全員で準備をしていただきました。まず、目にしたのは、すてきなウエデ
ィングケーキ。タオルをまいて作ってあり、見た目は本物そっくりでした。結婚式
の看板、式場の飾りつけ。何もかも手作りでし
た。ドクターは、休みにもかかわらず出席され、
ずっと夫のそばについていて下さいました。師
長さんは、当日のシフト人数を増員して、参加
しやすい体制を取って頂きました。また、休み
の看護師さんは、結婚式の準備を手伝ってくだ
さいました。本当に、皆様に、温かい真心から
の結婚式をさせていただきました。
ALSという病気になったことは、大変つらく、苦しい思いの患者・家族です。
でも、かいこの糸のように細い糸でも重ね重ねしていくと、太い強い糸になる事を
知りました。この太い糸で病気で苦しんでいる患者・家族の輪を広げていきたいと
思います。それが、私たちの役目です。
国や市町村には、なかなか末端で苦しんでいる事など理解してもらえないし、情
報は伝わらないのが現状です。でも、患者や家族は今日という大切な一日、朝起き
ていつもと同じ一日が繰り返される事を信じて、一生懸命に生きています。今日が、
未来につながる事を信じて、かけがえのない大切な一日を過ごしています。
ALS患者小野さんがパソコンで書いた思い
今、一番不安なことは
小野義忠
何といっても、死のチャンスを断り、命ある生活をこの病院で送る以上不安などな
いことを願っていましたが、あまりにも暇な時間が多く色々先の事を考えた中で、
一番の不安は、コミュニケーションをどのようにしてとっていくか、それが、不安
です。現在多少なりとも右手の人差し指が動きますので、最小限のコミュニケは取
れていますが、これも時間の問題でここ数ヵ月後は指も動かなくなると思います。
さてその後の手段ですが、あ~おの表による相互確認でやっていくことになります。
いずれにしろ悪くなる一方ですのでコミュニケーションが一番不安です。
他にも不安は一杯あります。しかし命ある限りそれらと戦い勝たねばなりません。
負けたとき自分の命の終焉です。ご存知のように、この病気に良薬はありません。
28
後は何年生きるかの問題です。何年でなくどれだけの期間生きれるか、その期間を
どう生きていくか。余生は当病院で送ることになると思います。私の希望は期間中
明るく、楽しく、しとやかに、をモットーに生きていくつもりです。それには看護
師様方の理解ある優しい心と親切心が必要になります。よし、小野には余生を楽に
送らせよう。この気持ちで接していただけるなら最高の幸せです。そのご恩返しと
して、皆様の今後の人生に幸多からん事を、遠い空の上から応援することを約束い
たします。
⑤ 神経内科医師による講演と医療・介護相談
「ALSについて皆さんどのぐらい学んでいますか。」という問いかけで西村医師
の講演が始まり、筋萎縮性側策硬化症という病気と呼吸についての説明があった。
講演の中で特に印象に残った言葉が
ある。1つは、告知の時の話―「医学
的には余命半年と言われている症状
の患者さんの場合では、そのまま伝え
ると多くの人は、余命の宣告のまま亡
くなられる。しかし、『余命半年と言
われているけれども人によってはわ
かりません。』と告げると亡くなるま
での期間が長くなること。哲学的に前向きに生き方を思う人の病気の進行はゆる
やかであるということを経験しました。」―という話である。
2つ目は出来なくなっていく事を嘆くより残っている機能に感謝して「まだ残
っているものがあるじゃないか」という生き方が大事だと話された。
次に、医療・介護相談を行った。「患者が訪問看護者のやり方を受け入れない
ので困っている。」という質問に対し西村医師より以下のような話があった。
「在宅療養の場合は、家族の人の方が患者さんのことを良くわかっていくものです。
看護師さんは、多くの人を看ていて看護技術や知識は豊富なのですが、個々人の
身体の違いについては家族の方がよく知っているものです。だから、看護師さん
にそのことを上手に伝えることが大事です。」
在宅療養でよく話題になる家族と訪問看護者等との連携のとり方を学んだ。
29
⑥カフアシスト(排痰機器)の研修について
平成 22 年の 4 月から在宅で人工呼吸器を使用
している患者に対して医療保険が適用されるよ
うになった。保険適用が認められたこともあり、
もっと、使用する人が増えるようにと研修を行
った。
当日は国立病院機構
石川悠加医師の
八雲病院の小児科
医長
在宅人工呼吸器に関する講習
会での資料「機械的な排痰の適応と効果」をもとに説明した。
カフアシストは、排痰の効果が高く、呼吸器の装着を遅らせ、肺炎の予防に大き
く役立っていると言われている。私(宮本)は、カフアシストを使い出して 3 年に
なる。よく痰がとれ、パルスオキシメータの酸素濃度が以前より良くなった事実を
報告した。痰が減り、呼吸がとても楽になったように感じている。
それは、流れるようだった汗の量が
へり、130 ぐらいあった脈が 90 から 100
ぐらいまでに落ちたこととも大きく関
係していると思う。その体験も報告し
た。次に、理学療法士さんと行なって
いる実際のカフアシストの使い方と手
順を学んだ。
⑦上記以外の研修について
在宅介護支援研究会では、今までに述べた研修のほかにも、様々な研修を行った。
紙面の都合で以下その概要を述べる。
第2回在宅介護支援研究会では、看護師の冨安さんに、宮崎県の「母さんの家」
の研修報告をしてもらった。母さんの家は、NPO法人が、普通の民家を借りて始
めたホームホスピスという取り組みだ。医療との連携も含めた新たな挑戦は、住み
慣れた地域の暮らしを最後まで支えるために信頼の上に成り立っているというこ
とだった。人生の最後をどこで迎えるのかついての現状の説明を聞いて、日本人の
生き方や死に方について考えさせられた。
第5回在宅介護支援研究会では、東京大学大学院で厚生労働省の委託をうけて、
「訪問看護師にヘルパーが同行することについての研究」をしている成瀬さんに、
研究の内容を聞き意見交換をした。私達の日々の介護生活に直結しているので、大
変興味深く、また共感的に対話が進んだ。
30
第 7 回在宅介護支援研究会では、久留米保健所の伊藤さんに「久留米市の介護の
現状と課題」という題で講演していただいた。資料をもとに、1久留米市ALS患
者の概要、2久留米市の保健福祉の状況、3在宅難病患者支援、4ALS介護上の
問題点
5そして目指すものは・・・とわかりやすく講演していただいた。患者家
族の身になって介護支援を考えていらっしゃる心が伝わり大変心強く感じた。
さらに、この時は、社会福祉協議会で老人給食担当をしている堤さんに、活動内
容の報告と試食を用意してもらった。手作りのおやつを試食しながら説明を聞き、
心が打ち解けていった。
第8回在宅介護支援研究会では、ボランティア活動に関心をもち、かご作りが得
意な国本さんに、小さなかごの作りかたを教えてもらった。国本さんは、かご作り
が 1 時間でできるように見本と材料を準備してくれていた。介護生活を豊かにする
には、こういった趣味を楽しむことも必要だし、短い時間ではあったが、みんなで
作り楽しいひと時だった。後日、小野さんは、そのかごを病院のお見舞いのあい間
に、プレゼント用として20個ほど作ったと聞いた。
第9回在宅介護支援研究会では、お母さんの杉本真由美さんの体験発表を受けて、
長女の杉本麻衣さんに「子供から感じた介護生活」について発表してもらった。麻
衣さんは、家族として看護師に対して願っていた事と現場で働いてみてルーチンに
おわれる看護師の仕事があり、思うようにいかない心の葛藤を吐露された。
5
啓蒙活動
研究会の仲間や訪問サービスで訪れる看護師さんやヘルパーさん達の話を聞く
と病気療養をしている人の中には将来を悲観している人、現実の介護に疲れ果てど
うしていいか困っている人が多いという。
「頑張らない介護」とはよく聞くが、私は、それに加えて「楽しい介護生活」を
提案したい。もちろん、不安や悲しみがないわけではない。でも、生きることに感
謝して、毎日をせいいっぱい生きること。仲間とともに学びながら目の前の問題に
挑戦する事。生活を楽しむ事は、いつだって出来る。そんな事を伝えていけたらい
いなと思う。以下新聞への投稿と難病ケア研究会での発表という形にわけて述べる。
①新聞の投稿活動を通して
西日本新聞で、「胃ろうは、ただ胃に食べ物を流し込むだけのつらい生活」とい
う文に出会った。「義母が、施設側の要望で胃ろうを造ることになり、寝たきりの
生活を強いられた。自分は、そんな生き方はしたくない。」という内容だった。私
の夫は、胃ろうだけでなく、人工呼吸器をつけている。それでも決して、つらい生
活だとは思っていない。私は、どんな状況になっても、家族と元気に楽しく生きて
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いけることを伝えようと思った。この投稿が縁で、老人ホームに入っているTさん
との交流が始まった。Tさんは、生きる希望を求めたいという一心で私に手紙を下
さった。時々ではあるが、ホームを訪問したり手紙を交換したり交流を続けている。
以下その時々に感じた事を投稿し、西日本新聞に掲載された文である。
H22年3月掲載
「病気のつらさ感謝で超える」
三月一日付のこだまで「胃ろうは、ただ胃に食べ物を流し込むだけのつらい生活」
という表現がありました。確かに口から食べられない事は、悲しくつらいことです。
夫は、六年前に食べる事が次第に難しくなり、どんどんやせていきました。誤嚥か
ら何度も肺炎になり、つらい時期でした。とうとう口から食べる事が危険になり、
胃ろうを造りました。その後在宅療養をしながら、以前のように散歩や外出を楽し
んでいます。困った時には、夫に相談します。共に生きて暮らせるかけがえのない
日々を胃ろうが可能にしたのです。出来ないことが多くありますが、出来る事を楽
しもうと思っています。胃ろうのつらさをのり越えるものは「生きていて欲しい」
という家族の願いと「生きている事」への感謝の気持ちだと思います。身体がどん
な状態になっても喜びや悲しみを共有出来る人がいれば不幸せではないと信じて
います。
死に方は生き方だとつくづく思う毎日です。
H22年5月掲載
「難病患う夫と楽しく生きる」
夫が筋萎縮性側策硬化症と診断されてから八年が過ぎました。この病気は、全身
の筋肉が萎縮し、飲み込みや呼吸までも出
来なくなるという難病です。その病名を聞
いた時、不安と悲しみで涙があふれました。
その後、誤嚥性肺炎で何度も入院し胃ろ
う造設。呼吸困難になり、気管切開、人工
呼吸器装着。命を守る為とはいえつらい選
択でした。仕事が出来なくなり、人や器械
に頼って生きるという選択は、夫にとって
どれほど無念な事だったでしょう。
しかし、夫は、この五年間病気で入院し
た事はありません。ラジオを聞くのが好き
で、散歩や外出も楽しんでいます。私は、難病があっても、平穏に元気に過ごせる
ことがわかりました。病気になる前と同じ暮らしはできません。でも、新たな夢に
向かって、互いに力を合わせて暮らしていく事は可能です。晴れた日は晴れを、雨
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の日は雨を楽しむそんな人生を夫と共に歩いていきたいと思います。
H22年7月掲載
[家族亡くした
悲しみ共有を」
長崎県平戸市の海難事故で家族を亡くした女子生徒が、授業中の教諭の話で適応
障害になり、不登校になったという記事を読んだ。
4年前、父が亡くなって初めて、何日も、何ヶ月も涙がつきない悲しみを知った。
60歳に近い私でさえ父の死は打撃だったのに、この生徒にとって大切な家族の死
はどんなに受け入れがたい事実だったことか。それも、何の心の準備もなく、突然
の事故死であればなおさらのこと。
打撃が大きいということは、それだけ家族への思いが強いということ。周りの大
人たちは、女子生徒のそのような人間らしい心を誇りに思い、接してほしいと思う。
悲しみを共有し、悲しみが癒えるのを信じて待ちながら。
H22年9月掲載
「介護を通じて
きずな強める」
私は、筋萎縮性側索硬化症で要介護5の夫と脳卒中の後遺症で右半身不随の母と
受験生の息子と4人で暮らしています。
母は、自分で出来ることは自分でしようと努力し、着替えや歯磨き・洗面など一
人で出来るようになりました。また、寝たきりの夫の様子を気にかけていて「汗を
かいてるよ。」など教えてくれます。夫は、食べられない、話せない、動けないつ
らい状況でも決して愚痴を言いません。散歩やリハビリに前向きに取り組んでいま
す。それが私にとっても大きな励みです。
二人の介護を通して、人生を生きる上での大きなプレゼントをもらいました。
家族《人》とは、お世話をする、されるという一方的なものではないのです。それ
ぞれが出来ることをすること。我慢すること。努力すること。待つこと。協力には
いろんな形があるという事。相手を思う心が自分を強くし、お互いを支え合うとい
う当たり前の事を教えてくれました。
H22年11月掲載
「挑戦続ければ 介護も楽しく」
先日、福岡・佐賀難病ケア研究会があった。この会は、医者、看護師、介護士、保健師などの参
加者が、お金を出し合って学習している研究会だ。
「患者・家族から学ぶ」というテーマだったので私も参加した。講演された先生の「患者の生活の
質を高める」という実践に深く感動した。最後まで食べることに挑戦し続けた患者と周りの人の応
援と工夫により、その人らしい生き方を模索した具体的な実践だった。
難病の進行により、食べる、動く、話すという人間にとって最も大切な機能が失われるつらい現
33
実。しかし、学ぶことにより、その現実に立ち向かう考えと方法が見出せる。そして、患者・家族
が、
「何とかしたい。
」と思ったとき、応援してくれる人がいるのです。その人らしく生きる事を、
関わっているみんなで追究した時、心がひとつになるのだと気づきました。患者を中心にしてチャ
レンジすることで介護生活が、楽しくなると思います。
① 福岡・佐賀難病ケア研究会での発表
9 月に久留米大学で、第30 回福岡・佐賀難病ケア研究会が催された。この会は、医療関係者
が参加費を出し合って学習している研究会だ。
「患者・家族から学ぶ」ということでALS患
者家族として発表した。
難病ケア研究会発表原稿
「 助け合いの手を拡げたい」
はじめに
みなさんこんにちは。久留米市の宮本です。30 回を重ねるこのような神経難
病ケアの研究会に参加させていただきありがとうございます。ALS についての学習
ということで とても楽しみにしております。
夫は、ALS を発病してから8年になります。経管栄養になって7年、気管切開し
て6年すぎました。病気はあっても、元気で安らかに過ごすことができることがわ
かってきました。また、患者家族との交流も次第に増えてきました。そのような機
会に、家族の色々な悩みや問題を聞くことがあり、何とかできないだろうかと思う
ようになりました。
昨年、子供が、インターネットで勇美記念財団の存在を見つけました。勇美記念
財団は、オートバックスの住野勇氏が設立された在宅医療を支援する助成財団です。
ステーション久留米の荒巻さんや妹、患者会の小野さんに相談し、助成を申し込み
ました。今年の 4 月に研究会を発足するにあたって、友人や医療関係者に声をかけ、
活動を始めました。
学習を深めながら、患者や家族が困った時に相談にのり、手立てをこうじること
が出来るシステムを作りたいと思っています。
本日は、これまでの療養生活の中で私自身が感じたことと今までに相談を受けた
内容や家族の思いについてそのままを話したいと思います。失礼な事や誤解した内
容があるかもしれません。そのような場合には、どうぞご指摘、ご指導をお願いし
ます。また、この会には、在宅介護支援研究会の仲間も一緒に参加しています。
よろしくお願いいたします。それでは、レジメにそって話していきます。
1、告知後のフォローが、最も必要です。
8年前、ALS(筋萎縮性側策硬化症)と診断された時は、すごいショックでし
34
た。ALSの家族交流会の中でも、最近告知された患者の家族が、涙ながらに話さ
れます。それは、毎回のことです。病気が進むと歩けなくなる、食べられなくなる、
呼吸もできなくなるということを知って、違う病気であって欲しい、症状が止まっ
て欲しいと願う毎日でした。色々な健康食品や民間療法を試したのもこの頃です。
まだ歩いていた元気なうちから、不安や恐れでいっぱいでした。発症して腸ろうや
気管切開の手術をするまでの1,2年間が、最も苦しい時期だったように思います。
1 月に 1 回、外来に通いましたが、心細いかぎりでした。この時、妹や友人に、ど
んなに励まされたことでしょう。ALS協会の古江さんの存在も大きな支えになり
ました。
2、病名にとらわれずに目の前の患者を見て欲しい
1 回目の肺炎で入院した時、主治医の先生から、いつ呼吸困難になるかもしれな
いので早めに呼吸器をつけるように話されました。呼吸器をつけたらどうなるのか
質問しますと「呼吸器をつけたら、ベッドから離れられない」「一度つけたら、は
ずすことはできない」と言われました。
その時、夫は、毎日、3 キロぐらい歩いていました。そんな状況なら、呼吸器は
つけられないと思いました。そこで、ALS協会の古江さんに尋ねました。すると
「そんなことはないよ。うちは、お風呂の時とか、けっこう、はずしてるよ。自
発呼吸をできるだけ長くもたせるようにしたほうがいいよ。ALS協会の会長の松
本さん(当時)も自発呼吸の大切さをずっと言われてるよ。1 分でも 2 分でも長く
自分で呼吸できることが大事だそうよ。それに、呼吸器をつけて外国にだって行っ
ている人もいる」と教えてもらいました。
この先生は、呼吸器をつけて外出している人や、呼吸器を一時はずしてお風呂に
入ったり、着替えをしたりしている人をご存知なかったようです。
治らないという病気だからこそ、病院の中にいて診断を伝えるだけでなく、療養
についての正確な情報と患者や家族を励まそうという姿勢がほしいと思います。
医療関係のどの人にも言えますが、病名にとらわれずに目の前の患者を見て欲し
いと思います。その点、生活の質という観点で患者に接する人は、あまり病名にと
らわれることがないように思います。
患者・家族は呼吸器をつけた後どんな生活になるのかほとんどの場合知りません。
何も知らないままでいると、安全第一で、ずっとベッドで介護され続けることしか
出来ません。私は、呼吸器をつけて、健康な人以上に活躍している人がいることを
ALS協会の機関紙で知りました。呼吸器をつけて元気に暮らしている患者や家族
がいることは、大きな希望となりました。
夫がベッド上の生活になった時、私は、少しでも生きている実感を感じて欲しい
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と思いました。だから、風や光、川の流れる音、鳥の声などにふれる散歩を大事に
してきました。また、身体ふきや歯磨きは、コミュニケーションと考えました。ど
んな状態になっても、皮膚からでも思いは伝わるという考えに気づいた時、病気が
進行することへの恐れが減ったように思います。
この病気は、個人差が大きいとは、いつも言われます。
夫が、何が出来、何をのぞんでいるのかを見つけ、お互いに目標を持ち、これか
らもチャレンジしていきたいと思っています。
3、Mさんのこと
3 月に、難病のMさんのご家族から相談をうけました。奥さんは、「夫が、死に
たいと口にする。自分はどうしていいかわからず、このままの状態では、自分も死
にたい気分だ。」といわれます。お母さんと同居している娘さんは、
「父と母が落ち
込んでいて、仕事と子育てで自分も十分に休めない」というお話でした。Mさんが、
どんな不満をもっていらっしゃるのか。詳しく尋ねました。
・夜間のトイレが禁止されたが、オムツ交換が、不十分でいやだ。
・食事の介助がなく、「自分で食べるように」といわれたが、ベッド上のテーブ
ルに、足がつかえてあぐらがかけず、食べづらい。
ということを、訴えられるとのことでした。
家族の不満は、
・入院してから、歩く、座るといった機能がおちた。
・
オムツ代が 1 枚 200 円。持ち込んだ場合は、処理料がいる、他の人はたのん
でいるといわれた。3・4 日で 4000 円の請求がきて、驚いている。
・
現病院では、脱水症状をおこしているのに、点滴もしてもらえない。他の病
院の主治医に診てもらうには、一度退院しないといけないと言われ、その日
は書類上個室にはいったことになり、1 日、1 万円請求された。
・受診が終わり、息子と娘に、両肩をささえてもらい、数メートル歩いて病院に
帰ってきた時、
「Mさん、歩けたのね。歩けるのをかくしとったとね。」とい
われてすごく傷ついた。
・
ケアマネに相談したが「病院は、どこも同じようなもの」といわれた。
以上の話を聞いて、私もどうしていいかわからなかったので、研究会のメンバー
に相談しました。結果的には、入院先を変更し、5 ヶ月後に最後を迎えられまし
た。ご家族が、「今度の病院では、リハビリもしてもらい、夫が元気になりまし
た。在宅にむけて励ましていたところでした。お世話になりました。」といわれ
ました。病院は、どこも同じではありませんでした。
この事例から考えられるのは、病院の制度と経営上の問題およびスタッフの姿
36
勢のです。
病院は安全第一で、しかも大人数を数人で見ているので、足元が危ない人がト
イレに行くのは禁止になるようです。Mさんの場合も、しかたのないことだった
かもしれません。しかし、それは、本来の介護の姿ではないと思います。安全第
一で、手間をかけないという考えかたでいくと、介護の必要がある人は、出来る
ことも出来なくなります。また、出来るからといって、なんの援助もしないのも
問題です。Mさんの状態であれば、誰でもほったらかされていると感じるのでは
ないでしょうか。「死にたい」というのは、Mさんの助けを求める心の声だった
と思います。
4、ALSの患者の療養の問題
(1)入院や施設の場合
MさんやMさんのご家族が感じていたように、病院は、ひとりひとりに対応出来
ないという欠点があります。自分で動けないALSの患者にとって、つらいことが
多いようです。家族も不満やあきらめを感じている人が多いようです。その声の一
部を紹介します。
・
ナースコールをおしてもすぐに来てくれない。
・
必要な時に、吸引してくれない。
・
患者が、看護師さんの好き嫌いを言う。
・
ALSの病気を理解していない看護師さんがいる。
・
看護力が一定しているところ、看護師さんの看護力や、知識に差が大きいと
ころなどがあり、病院によって、看護師さんの対応に違いがある。
・
笑顔で接して頂き、呼吸器がずれない工夫や座った時に枕がずり落ちない工
夫をしていただき、感謝している病院もある。
・
カフアシストをしてほしいができない。
・
着替えや入浴、シャワー浴の回数が少ない。
・
散歩やリハビリなど、身体を動かすことが殆どない。
・
ベッドから離したいが、お願いできない。
・
患者が、不機嫌な時があり、つらい。といった声があります。
ALSの患者の場合は、あずけっぱなしの家族は少ないようです。なかには自宅
から病院まで数時間かけてお見舞いに通っている人もいます。それは、自分がいな
いと患者が十分な看護が受けられないと心配しているからです。また、重症の患者
を、一人でおいておけないという思いの人もいます。入院させていても心が休まら
ない家族もいます。病院の不十分な所を補いながら、病気を前向きにうけとめて元
気に看護するような生き方を家族自身も学習し、模索する事が必要だと思います。
37
(2)在宅の場合
在宅は、入院と違って病院と自宅の二重生活はありません。病院にくらべると 1
対1、2 対 1 という看護のため、お世話は、かなり行き届いています。しかし、在
宅療養の場合は、家族の介護に関する負担が大きいのが問題です。
家族の声の一部を紹介します。
・
主治医の先生が、患者が入院できる病院付属の看護ステーションにしてほし
いと言われる。
・
カフアシストは、「責任がもてない」といわれて、使うことができない。
・
いくつかの事業所が入っているが連携がうまくいかないので困る。
・
日曜や祭日の訪問看護をする事業所が少なく、また保険適用でないため、費
用が高く、経済的負担が大きい。
・ いくつかの事業所に来てもらっているが、どこも人手不足で思うようなサー
ビスが受けられない。
・
療養に必要なガーゼ・カテーテルなどの物品や薬品のほとんどが有料で、
市役所に提出する診断書や訪問入浴の指示書まで有料で負担が大きい。
といった声があります。
現在の訪問サービスは、家族の介護力の少ない人には、全く不足しています。在
宅療養を元気に続けるためには、訪問サービスやレスパイト・通所介護などの公的
サービスを充実させることが必要です。また、家族の疲れの原因には、主治医や訪
問サービスのスタッフの対応や家族の協力体制についての課題もあります。さらに、
在宅療養を安心して続ける為には、医療の面も重要です。
夫は、訪問診療の他に、眼科、皮膚科、泌尿器科、耳鼻科、歯科などにもお世話
になっています。往診をお願いすることもあります。訪問サービスが入っていて通
院する時間がとれない時や車椅子への移動ができない時です。ちょっと出かけるに
もひと苦労するだけに、往診は本当に助かっています。通院した時は、あまり待た
ずに診察して下さり、気になる症状があると、いつでも相談を受け付けてください
ます。お世話になっている先生方のこうした配慮はとても有難く、心から感謝して
います。
おわりに
家族の中には、希望を持てず、長期間の介護で苦しんでいる人もいます。
「この人の介護で自分の人生は、終わった」という感想では、患者も家族もあま
りに寂しすぎます。
目と耳と口の不自由にも負けず、社会貢献の歴史を残したヘレン・ケラーは、
「悲しみと苦痛は、人の為につくすという美しい花を咲かせる土壌なのです」と
38
いっています。苦しいからこそ、人の情けがみにしみます。健康な人が通り過ごし
ている当たり前のことにも感動や感謝といった心が生まれます。しかし、介護に疲
れきったら美しい花を咲かせることはできません。介護者が、悲しみと苦痛を自分
一人で抱えこむことがないように、元気に暮らしていく支援が必要だと考えます。
私たちの在宅介護支援研究会は、患者・家族をとりまく環境整備を進めるとともに
家族の交流会や学習会を通して、助け合いの手を拡げていきたいと考えています。
それぞれが、自分の出来るところで、少しずつを合言葉にしていきます。
これからも、よろしくお願いします
Ⅵ
研究の成果と課題
成果
・在宅介護支援研究会を発足し、研究会を開催したことで、多くの人と出会い、
ネットワークができてきた。
・実態調査を行い、全員ではないが久留米・筑後地区のALS患者の介護状況や
介護者の思いを捉えることが出来た。
・介護者同士が交流することで、情報を伝え合い、考え方を学びあうことで介護
者が元気になっていった。
・介護相談や実態調査を通して在宅介護や入院介護の問題点がよりはっきり見え
てきて、学習の観点や情報の必要性がわかってきた。
課題
・まだまだ、活動は始まったばかりであり、活動を継続し、ネットワークをより
強固なものにすると同時に、その輪を広げていくこと。
・公的機関や医療関係者に、ALS患者の介護状況や介護者の思いを知ってもら
い、介護の質を上げていくこと。
・家族は、自分でも病気や病気の進行、療養生活について学習することが求めら
れる。入院療養にあたっては、病院の制度や運営・療養方針に関して、在宅療
養では、介護についての考え方や技術・協力体制の作り方などを学ぶ必要があ
る。それらの情報交流を含め、患者・家族の親睦を深めていくこと。
・介護の質の向上について自ら学び、実践する態度を身につけるために、学習や
交流の機会を継続して持てるような仕組みを作ること。
39
おわりに
介護者自らが、日々の介護生活をより向上させようと高い研究心を持って取り組
むことができ、貴重な経験の数々をまとめることができたと思います。
研究同人や研究協力者がプロジェクトチームを組み、一人一人が持ち味を生かし
て喜んで参加することができました。研究同人として、この上にない達成感と満足
感に満たされた1年でした。
「この研究の成果となるであろう。」と申請書に書いた「人生哲学の深まり」が研
究同人全員の心の中にも深く刻まれた研究でした。
この勇美記念財団の助成があったればこそと、心よりの感謝を改めて申し上げま
す。
申請者
Ⅶ
宮本冨美代
研究同人・研究協力者および講師
研究会代表
宮本
冨美代
高丸
保也
荒巻
初子
伊藤
美智子
小野
由紀子
宮本
頼昌
伊藤
貴之
冨安
智子
渋田
美津子
国本
千代子
山口
公代
田上
妙子
堤
光子
井上
紀美子
坂本
明子
石崎
佐美絵
宮原
るり子
内田
公子
西島
和秀
遠藤
謙一郎
杉本
真由美
杉本
麻衣
西村
靖子
野村
直樹
伊藤
智美
古江和弘
久留米大学看護科学生ボランティア
―研究協力事業所・保健所―
訪問看護ステーション「くるめ」
聖マリア訪問看護ステーション
久留米保健所・北筑後保健所・南筑後保健所
40
Ⅷ
実態調査で使用した資料
アンケート用紙は在宅、入院、入所、診断後間もない人用の4種類を用意した。
*資料は、枚数の都合で(解答欄)を省略している所もある。
(在宅者用)
質問項目1
療養者についてお聞きします。
【1】療養者
男
女
(
【2】主な介護者
男
女 (
才)
才)
続柄 (
才)(同居
)
【3】主な介護者と共に
続柄(
)(男
女)(
別居)
介護している家族
続柄(
)
(男
女)
(
才)
(同居
別居)
続柄(
)
(男
女)
(
才)(同居
別居)
【4】どんな医療処置を受けていますか。該当する番号に○をつけてください。
④
ろう(腸ろう)
④ 留置(おしっこの管)
②気管切開
⑤中心静脈栄養
③人工呼吸器
⑥その他
(
)
⑤ 【5】要介護認定は次のどれですか。該当する番号に○をつけてください。
未認定
要介護
要支援
(
1
質問項目2
2
(
1
3
2)
4
5
)
今の介護生活で日ごろ思っている事をお聞かせ下
さい。また、在宅療養を続ける上で、困難なこと
や不安なことはありませんか。
質問項目3現在の介護状況についてお聞きします。
【1】ALSの診断をうけたのはいつですか。(
)
【2】現在の介護状況をあなたはどう思いますか。あう番号に○をつけて下さい。
①満足
②ほぼ満足
③あまり満足していない
④満足していない
【3】今の介護状況にあうものに○、あわないものに×をつけて下さい。
(
)必要な訪問サービスが充実していて、介護が十分行き届いている。
(
)緊急時の対応がきちんとしていて安心して生活できている。
(
)お見舞いにいく必要がないので、家でゆっくりできる。
(
)訪問従事者に、いつでも相談できるので困ったことが早めに解決できる。
(
)患者や家族が望むような介護が、出来ていない。
41
(
)困ったことに対応できない時があり、日常生活に不安がある。
(
)夜間や常時の介護のために、睡眠不足である。
(
)疲れやストレスがある。
(
)介護者の自由な時間がとりにくい。
(
)介護サービスの 1 割負担が気になってサービスを制限している。
(
)事業所の人手不足や介護保険の点数不足などの理由で訪問サービスが十
分受けられない。
(
)訪問従事者の言葉や対応が気になることがある。
(
)レスパイト入院(介護者の休養のための短期入院)やショートステイ・
デイサービス・デイケアを利用できない。
(
)患者が、主な介護者以外の介護を受け入れにくい為、介護を人に任せら
れない。
(
)家族や親族が、サービスを受け入れない為、介護を人に任せられない。
その他に、今の介護状況で気になっていることがあれば記入ください。
質問項目4現在の介護負担についてお聞きします。
【1】あなたの体調はどうですか。該当する番号に○をつけてください。
①良好
②おおむね良好
③疲れ気味である
④かなり疲れている
【2】上記で答えた状態に該当する番号に○をつけてください。(複数回答あり)
①特に問題はない。 ②
睡眠不足である。 ③腰痛などがある為、介護が負担に
なっている。④持病があり、通院・治療がある為、介護が負担になっている。
⑤ いらいら、やる気が出ない、不安、頭痛など精神的に疲れている。
⑥ 介護以外の事で疲れている。
⑦ その他
(
)
【3】あなたは、介護による負担をどのぐらい感じていますか。あう番号を○でか
こんで下さい。
負担感が小さい
1
2
負担感が大きい
3
4
5
6
【4】あなたはどんな介護内容に負担を感じますか。また介護を負担に感じるのは
どんな時ですか。
負担だと思う番号および内容に○をつけてください。現在の状況でお答えください。
(複数回答あり)
42
① 痰の吸引
清拭、整容
②入浴介助
シーツ交換
および食事の介助
⑩外出
③おむつ交換、便の始末など排泄介助
⑤体位交換
食事(経管栄養)の準備・片付け
⑦薬の管理および介助
⑪通院の付き添い
器などの管理
⑥
④着替え、
⑧
洗濯や部屋掃除
⑨散歩
⑫吸引セットや吸引器の準備・片付け、呼吸
⑬おむつや消毒液、ティッシュペーパーなど介護用品の購入・管理
⑭自分の体調の悪い時
⑮土・日・祭日など訪問看護が入らない日の介護
⑯家族の行事やお世話と介護が重なった時
⑰患者の無力感を感じる時
⑲患者の体調がよくない時
⑱患者の要求に応えられない時
⑳その他
【5】あなたは、疲れない為にまたストレスをためない為にどんな工夫をしていま
すか。心がけている項目の番号に○をつけてください。(複数回答あり)
① レスパイト入院(介護者の休養のための短期入院)やショートステイを利用し
ている。(泊まり)
② デイサービス・デイケアを利用している。(通所)
③ 訪問介護、訪問看護などのサービスの時に休憩するようにしている。
④ 家族で相談したり、介護を分担したりして、主な介護者に負担が集中しないよ
うにしている。
⑤ 公的なサービスに加えて、家族に介護をお願いできる体勢をとっている。
⑥ 公的なサービスに加えて、自費でサービスを入れている。
⑦ 困った時は、訪問従事者やケアマネに相談するようにしている。
⑧ お茶を飲んだり、おしゃべりしたりする時間をもつようにしている。
⑨ あまり無理をしないように気をつけて介護している。
⑩ 介護以外に自由にできる時間(趣味など)をもつようにしている。
⑪ その他
(
)
⑫ 自分の健康管理やストレス解消などはあまりできていない。
【6】利用している下記の医療・介護サービスの番号に○をつけ、1週ごとまたは
ひと月ごとのおおよその回数を(
①訪問診療(週
回)
④訪問リハビリ)
(週
⑥訪問マッサージ(週
)に記入してください。
②訪問看護(週
回)
(複数回答あり)
③訪問歯科(
回)
回) ⑤レスパイト入院(
月に
回で合計
日)
回)⑦訪問入浴(週
回)
⑧訪問介護(週
回)
⑨デイサービス・デイケア(週
⑪必要ないので利用しない。
回) ⑩ショートステイ(1月に
⑫わからない。
【7】自立支援法による居宅介護サービスを利用していますか。
① 利用している。(
月
訪問系・
活動系
43
)
回)
② 知らなかったので利用していない。
③必要ないので利用していない。
【8】病状急変時・緊急時の連絡、支援体制は出来ていますか。該当する番号に○
をつけてください。(複数回答あり)
① 24 時間で看護師さん、かかりつけの病院に相談することが出来る。
② 病状急変時・緊急時の入院先、避難先が決まっている。
③あまり出来ていない。
質問項目5介護にかかる、ひと月のおおまかな費用をお聞かせ下さい。
介護保険サービスを利用した時の 1 割負担金
訪問看護の交通費
おむつやティッシュペーパーなどの介護用品
衛生用品(吸引や胃ろうの手当てなどに必要な物品、人口鼻など)
通院費(歯科、眼科、耳鼻科、泌尿器か、内科などに支払う料金)や書類代、
その他
質問項目6
ALSの患者や家族との交流についてお聞きします。
【1】これまで、ALSの患者や家族と交流がありましたか。下記のあう番号に○
をつけて下さい。
①交流があった。
②交流がなかった。
【2】交流があった人は、病気や療養について、考えや生活の変化はありましたか。
【3】ALSの患者や家族との交流会は、どれぐらいの頻度がいいと思いますか。
今の気持ちにあう番号に○をつけて下さい。
①1年に2回程度
②1年に1回程度
④3年に1回程度
⑤その他
③2年に1回程度
【4】患者や家族との交流会に参加するために、困難なことはありませんか。
質問項目7
呼吸器をつけた人にお聞きします。
【1】呼吸器をつけた経過をお聞かせ下さい。(本人の意思・主治医の説明・家族
の思いなど)
【2】手術する前、呼吸器をつけた後の生活について下記の事を知っていましたか。
知っていた内容に○をつけてください。
(
)感染に注意する必要がある。
(
)肺炎に最も気をつけなければならない。
(
)気管切開により新たな痰ができ、2・3時間おきに痰の吸引が必要になる。
(
)痰の吸引の回数は人によっても、体調によってもかなり違う。
(
)呼吸器をつけても、在宅療養が出来る。
44
(
)呼吸器をつけても、車いすで移動できる。飛行機や新幹線で移動している
人もいる。
(
)呼吸器を一時はずして、お風呂に入っている人がいる。
(
)夜間だけ呼吸器をつけている人がいる。それは、夜間が特に呼吸の機能が
落ちるから。
(
)呼吸器がはずれる事故がけっこうあっている。特に夜間が多い。
【3】特定疾患の研究事業(人工呼吸器を装着した人の訪問看護)のサービスを利
用していますか。
①利用している。
②知らなかったので利用していない。
③必要ないので利用していない。
【4】 現在、在宅療養を選択している理由をお聞かせください。
(入院者用)
(入所者用)質問1を省く
質問項目2
入院生活で気になっている事はありませんか。困ってい
る事・やってみたい事など日ごろ思っていることをお聞
かせ下さい。
質問項目3
患者の入院生活についてお聞きします。
【1】患者が入院された時期は、発症してから何年目ですか。
(
年目)
【2】患者が入院されたきっかけは、何ですか。
【3】現在の介護状況を、あなたはどう思いますか。あう番号に○をつけて下さい。
①満足
②ほぼ満足
③あまり満足していない
④満足していない
【4】今の介護状況にあうものに○、会わないものに×をつけて下さい。
(
)病院だから安心して任せられる。
(
)家族の介護負担が少ない。
(
)介護費用が、あまりかからない。
(
)入院先まで、お見舞いに行きやすい。
(
)自由にできる時間を取りやすい。
(
)職員の言葉や対応が気になることがある。
(
)リハビリや散歩、外出が、不十分である。
(
)患者・家族が思うような看護・介護が出来ていない。
(
)入院先が自宅から遠いので、大変である。
(
)交通費など必要な費用が気になっている。
45
質問項目4あなたの介護負担(お見舞いを含む)についてお聞きします。
【1】あなたの体調はどうですか。該当する番号に○をつけてください。
①良好
②おおむね良好
③疲れ気味である
④かなり疲れている
【2】上記で答えた状態に該当する番号に○をつけてください。(複数回答あり)
①特に問題はない。②睡眠不足である。③腰痛などがある為、介護が負担になって
いる。④持病があり、通院・治療がある為、介護が負担になっている。
① いらいら、やる気が出ない、不安、頭痛など精神的に疲れている。
⑥介護以外の事で疲れている。
⑦その他
(
)
【3】あなたは、介護による負担をどのぐらい感じていますか。あう番号を○でか
こんで下さい。
負担感が小さい
1
負担感が大きい
2
3
4
5
6
【4】入院生活の中で、あなたはどんな介護内容(お見舞いを含む)に負担を感じ
ますか。入院生活を続ける上で不安なことはありませんか。
【5】あなたは、疲れない為にまたストレスをためない為にどんな工夫をしていま
すか。心がけている項目の番号に○をつけてください。(複数回答あり)
① あまり無理をしないように気をつけている。
② 時々、お茶を飲んだり、おしゃべりしたりする時間をもつようにしている。
③ 介護以外に自由にできる時間(趣味など)をもつようにしている。
④ 自分の健康管理やストレス解消などはあまりできていない。
⑤ その他
質問項目5介護にかかるひと月のおおまかな費用を教えてください。
交通費
おむつやティッシュペーパーなど介護用品
病院で支払う費用(クリーニング代、診断書など)
その他
総計
質問項目6
ALSの患者や家族との交流についてお聞きします。
【1】これまで、ALSの患者や家族と交流がありましたか。下記のあう番号に○
をつけて下さい。
①交流があった。
②交流がなかった。
【2】交流があった人は、病気や療養について、考えや生活の変化はありましたか。
46
【3】ALSの患者や家族との交流会は、どれぐらいの頻度がいいと思いますか。
今の気持ちにあう番号に○をつけて下さい。
①1年に2回程度
②1年に1回程度
④3年に1回程度
④その他
質問項目7
③2年に1回程度
呼吸器をつけた人にお聞きします。
【1】呼吸器をつけた経過をお聞かせ下さい。(本人の意思・主治医の判断・家族
の思いなど)
【2】手術する前、呼吸器をつけた後の生活について下記の事を知っていましたか。
知っていた内容に○をつけてください。
(
)感染に注意する必要がある。
(
)肺炎に最も気をつけなければならない。
(
)気管切開により新たな痰ができ、2・3時間おきに痰の吸引が必要になる。
(
)痰の吸引の回数は人によっても、体調によってもかなり違う。
(
)呼吸器をつけても、在宅療養が出来る。
(
)呼吸器をつけても、車いすで移動できる。飛行機や新幹線で移動している
人もいる。
(
)呼吸器を一時はずして、お風呂に入っている人がいる。
(
)夜間だけ呼吸器をつけている人がいる。
(
)呼吸器がはずれる事故がけっこうあっている。特に夜間が多い。
【3】呼吸器をつけたことについて、現在どのような感想を持っていますか。
(ALS診断後間もない人用)質問1を省く
質問項目2
質問項目3
現在、困っていることや不安こと
現在の状況についてお聞きします。
【1】ALSの診断をうけたのはいつですか。
【2】胃ろうや気管切開、人工呼吸器について主治医から説明を聞いていますか。
聞いている人はその内容をお聞かせ下さい。
【3】今の生活状況や病気について、あなたの考えにあうものに○、あわないもの
に×をつけて下さい。(複数回答あり)
(
)患者が自立しているので、介護する状況にはない。
(
)患者が、動きにくくなっているので、リハビリについて知りたい。
(
)患者が、食べにくくなっているので、どうしたらいいのか知りたい。
(
)患者が、話しにくくなっているので、どうしたらいいのか知りたい。
47
(
)病気が、いつ、どのように進行するか不安である。
(
)胃ろうを造設したら生活がどのようになるのか知りたい。
(
)気管切開し、人工呼吸器をつけたら生活がどのようになるのか知りたい。
(
)病気や療養について、どこに相談していいかわからない。
(
)患者をどのように、援助していいか悩んでいる。
(
)将来どんな介護サービスを利用できるのか知っておきたいと思っている。
【4】要介護状態になると下記の医療・介護サービスを利用できるのを知っていま
すか。(複数回答あり)
①訪問診療
②訪問看護
⑤レスパイト入院
③訪問歯科
⑥訪問マッサージ
⑨デイサービス・デイケア
④訪問リハビリ)
⑦訪問入浴
⑩ショートステイ
⑧訪問介護
⑪訪問散髪
⑫自立
支援法による居宅介護サービス
【5】病状急変時・緊急時の連絡、支援体制は出来ていますか。該当する番号に○
をつけてください。(複数回答あり)
③ 24 時間で看護師さん、かかりつけの病院に相談することが出来る。
④ 病状急変時・緊急時の入院先、避難先が決まっている。
⑤ あまり出来ていない。
④今のところ必要ない。
質問項目4現在の介護負担についてお聞きします。
【1】あなたの体調はどうですか。該当する番号に○をつけてください。
①良好
②おおむね良好
③疲れ気味である
④かなり疲れている
【2】上記で答えた状態に該当する番号に○をつけてください。(複数回答あり)
①特に問題はない。 ②
睡眠不足である。 ③腰痛などがある為、介護が負担に
なっている。④持病があり、通院・治療がある為、介護が負担になっている。
⑥ いらいら、やる気が出ない、不安、頭痛など精神的に疲れている。
⑦ 介護以外の事で疲れている。
⑧ その他
(
)
【3】あなたは、介護による負担をどのぐらい感じていますか。あう番号を○でか
こんで下さい。
負担感が小さい
1
2
負担感が大きい
3
4
48
5
6
質問項目5
ALSの患者や家族との交流についてお聞きします。
【1】これまで、ALSの患者や家族と交流がありましたか。下記のあう番号に○
をつけて下さい。
①交流があった。
②交流がなかった。
【2】交流があった人は、病気や療養について、考えや生活の変化はありましたか。
【3】ALSの患者や家族との交流会は、どれぐらいの頻度がいいと思いますか。
今の気持ちにあう番号に○をつけて下さい。
①1年に2回程度
②1年に1回程度
④3年に1回程度
⑤その他
③2年に1回程度
【4】患者や家族との交流会に参加するために、困難なことはありませんか。
また交流会についての要望をお聞かせください。
49
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