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認識の情報システム
認識の情報システム
−情報システム発展の方向−
牧 野 真 也
目 次
1.はじめに
2.情報システムの変遷と発展の方向
2.1 情報システム変遷の三段階
2.2 情報システム発展の方向−認識活動の支援
3.組織における認識活動のモデル
3.1 認識活動−知識に基づく解釈
3.2 組織における認識活動に関する諸論
3.3 組織における認識活動−参加・発散・収束
4.組織における認識活動の情報技術による支援
4.1 情報技術によるコミュニケーションの特徴
4.2 認識活動の各プロセスと情報技術
4.3 認識活動の支援−人間中心の情報技術の活用
5.おわりに
1.はじめに
今日の高度情報化社会において,企業をはじめとする組織の環境はますます多様化しつ
つある。そのために,組織においては,そのような環境の要求に応えた,多様で新しい価
値をつくり出す仕組みが必要となってきている(1)。組織のモデルにおいてもかつての安
定的な環境下におけるものから,環境変化を適切に認識し,それに対応していくものが求
められつつある。
かつての組織像としては,たとえば,アンソニー(R. N. Anthony)が示した経営管理シ
ステムの階層的なフレームワーク(2)や,コンテンジェンシー理論をはじめとする情報処
理モデルなどがあげられる(3)。そこでは,環境を認識し計画する機能とそれを担う人々
の分離や,環境の変化に対して機械的に反応する組織像が示された。
これに対して,今日では,組織の環境に対する多様な認識をうまく活用し,環境に対し
て能動的に対応していく組織像が示されつつある(4)。
組織との密接な関連のもとで構築される情報システム(5)においても,求められる組織
像の進展にともなった新しい枠組みが求められている。本稿では,そのための情報システ
ムとして,組織の認識活動の支援に焦点をおいた「認識の情報システム」の検討を行な
う。
以下の本論では,まず,これまでの情報システムの変遷を概観し,今後の発展の方向と
本文−1
して,組織の認識活動の支援が求められていることを見る(第2章)。次いで,組織にお
ける認識活動に関する諸論をもとに,そのモデル化を行なう(第3章)。そして,そのモ
デルに基づいて,組織の認識活動の情報技術による支援の可能性について検討する(第4
章)。
2.情報システムの変遷と発展の方向
2.1 情報システム変遷の三段階
組織における,とりわけ企業における,今日までの情報システム変遷の過程について
は,これまでさまざまな説明がなされている。ここでは,ウォード(J. Ward)の三世代
モデル(three-era model)を参考に以下の三つの段階でみていきたい(6)。
①自動化による作業の効率化(1960年ごろから)
②情報技術による組織の情報ニーズの充足(1970年代はじめから)
③組織と一体化した情報技術の活用(1980年代はじめから)
まず,第一の段階では,それ以前は手作業で行なわれていた仕事をコンピュータを使っ
て代替し自動化することが行なわれた。コンピュータによるデータ処理の効率化を行なう
システムはEDPS(Electronic Data Processing Systems:電子データ処理システム)と呼
ばれている(7)。
第二の段階では,情報技術による組織の情報ニーズの充足が指向された。
そのための情報システムの枠組みとして,まず,MIS(Management Information
Systems:経営情報システム)があげられる。ギャラガー(J. D. Gallagher)はMISの最
終目標について「経営管理のあらゆる階層に影響を与える経営内のすべての活動を,それ
らの階層にたえず完全に知らせること」(8)としている。しかし,MISはその対象が広
い範囲にわたったため,その普及が指向された1970年代当時の情報技術の未熟さもあり,
限定的な適用にとどまった(9)。
MISにかわって提唱されたのがDSS(Decision Support Systems:意思決定支援シス
テム)である。ゴーリー(G. A. Gorry)とスコット・モートン(M. S. Scott Morton)は,
アンソニーの経営管理の階層(=戦略的計画,マネジメント・コントロール,オペレー
ショナル・コントロール)(10)と,サイモン(H. A. Simon)の意思決定の型の区別である
「プログラム化しうる意思決定」(=問題の構造が明確であり反復的で定常的な意思決
定)と「プログラム化しえない意思決定」(=問題の構造が不明確であり単発的な意思決
定)(11)の両者を組み合わせた情報システムの枠組みを提示した(12)。なお,彼らは,両者
をそれぞれ情報システム活動の「目的」と「方法」という別の概念でとらえているが,ア
ンソニー自身が指摘するように両者は密接な相関関係にあるとみることができる(13)。
スコット・モートンらは,とくにサイモンの区別に着目し,意思決定を「構造的」(=
本文−2
プログラム化しうる),「非構造的」(=プログラム化しえない)およびそれらの中間的
なものである「半構造的」の3つに区別している。その上で,構造的な意思決定を支援す
る情報システムを構造的意思決定システム(Structured Decision Systems:SDS)とし,
これに対する半構造的・非構造的な意思決定を支援する情報システムであるDSSを提唱
した(14)。彼らによれば,従来のMISのほとんどは構造的な意思決定を支援するSDS
に該当する。
ドバノン(J. J. Donovan)とマドニック(S. E. Madnick)は,意思決定が反復的か否か
に着目し,制度的(institutional)DSSと単発的(ad hoc)DSSの2つのタイプのDS
Sを区別した(15)。制度的DSSは経営管理の階層のオペレーショナル・コントロール
に,単発的DSSは同じく戦略的計画にほぼ対応する。また,ロッカート(J. F.
Rockart)とトレーシー(M. E. Treacy)は,トップ・マネージメント(戦略的計画)の不
確実で単発的な意思決定を支援するための彼ら自身が直接操作できる情報システムとし
て,EIS(Executive Information Systems:経営者情報システム)を提唱している(16)。
以上にように,MIS,DSS,EISは,経営管理の階層であるオペレーショナル・
コントロール,マネジメント・コントロール,戦略的計画の,それぞれに対応した意思決
定を支援する情報システムとして,その枠組みが示されてきた。
第三の段階では,組織と一体化した情報技術の活用が指向された。
この段階に該当する情報システムの枠組みとして,SIS(Strategic Information
Systems:戦略的情報システム)とBPR(Business Process Reeingneering)があげられ
る。
SISとは,ワイズマン(C. Wiseman)によれば,「ある組織の競争戦略を支援あるい
は形成するための情報技術の活用」であり,競争戦略とは,「競争優位を獲得あるいは維
持するため,もしくはライバルの優位性を弱める(すなわち自己の劣性を弱める)ための
計画」である(17)。
また,BPRとは,ハマー(M. Hammer)とチャンピー(J. Champy)によれば,「コ
スト,品質,サービス,スピードのような,重大で現代的なパフォーマンス基準を劇的に
改善するために,ビジネス・プロセスを根本的に考え直し,抜本的にそれをデザインし直
すこと」と定義されている(18)。そして,そのために「最新の情報技術」は必要不可欠な
要素であるとしている(19)。
SISとBPRは,それぞれ,競争優位の獲得・維持や劇的な改善のために,組織との
密接な関連のもとで情報技術を活用する。その中で,SISは組織の戦略に,BPRは組
織の構造に重点がおかれているとみることができる。もちろん,組織の戦略と構造は相互
に密接に関連している(20)。
その一方で,SISとBPRの実際の情報システムの機能に着目すれば,前述した新た
な目的のために,第二段階以前の情報システムであるEDPS,MIS,DSSなどを場
本文−3
合によっては組み合わせて利用する情報システムとみることができる(21)。
2.2 情報システム発展の方向−認識活動の支援
前節でみたように,これまでの情報システムの枠組みは,その機能面に着目すると,実
行の代替と意思決定の支援の2つになる。その中で,意思決定についてもう少し詳しくみ
てみよう。
サイモンは人間の意思決定過程を構成する主要なものとして,①意思決定を必要とする
状況を探る「情報活動」,②可能な行為の代替案を作成し分析する「設計活動」,③代替
案の中から特定のものを選択する「選択活動」の3つをあげている(22)。しかし,前節で
概観したこれまでの情報システムにおいては,これらのうち「情報活動」は十分に支援さ
れてこなかったとみることができる。
スプレーグJr.(R. H. Sprague, Jr.)とカールソン(E. D. Carlson)は,MISやED
PSによる情報収集によって「情報活動」が支援されていると説明している(23)。しか
し,情報活動は,次章で見るように,単に情報を収集するだけではなく,主体による情報
の解釈すなわち「認識」を含んでいる。組織が環境の変化に適切に対応するためには,こ
の認識が最も重要であると思われる。とりわけ,今日の組織においては,多様な環境に適
応するために,個々人が多様な価値観に基づく多様な認識をもち,それを有効に活用して
いくことが求められている。
一方,組織論においても,安定的な環境下ににおける機械的な意思決定と環境への適応
をその中心とする「情報処理モデル」の限界として,選択を中心とする意思決定に重点が
おかれ,「見る」「知る」「わかる」といった認識活動が軽視されていたとの反省がなさ
れている(24)。
そして,アンソニーの経営管理の階層においても,戦略的計画の階層に,環境の認識と
計画の機能を集約し,以下の階層では戦略的計画の決定に基づいたコントロール活動がそ
の中心となっている。つまり個々人の多様な認識を活用するモデルとはなっていない。
同様に,遠田は,組織の活動に「認識」,「意思決定」,「実行(実施)」の3つの側
面があるとし,今日の経営学あるいは組織論は,意思決定を中心としたものから認識を中
心としたものへ移りつつあるとしている(25)。
情報システムにおいても,たとえば,かつてのSISやBPRでは,戦略に従った組織
をあらかじめ設計しておいて,そのための実行や意思決定のための情報システムを構築し
た。
しかし,イントラネットなどによる組織内の電子的コミュニケーションでは,たとえば
「電子メール組織文化」の形成といった組織の変革が企図されない結果として行なわれる
ことがある(26)。グループウェアにおいては,かつての決定された目的を実現するための
「分業」ではなく,新しい発見や創造のための「コラボレーション」が指向されている
本文−4
(27)
。情報システムにおいても,このような新しい枠組みが必要になってくるものと思わ
れる。そのためには組織の認識活動の支援が求められる。
遠田の枠組みに従えば,情報システムの変遷の各段階を,①「実行」の代替としてのE
DPS,②「意思決定」の支援としてのMIS・DSS,③「実行」と「意思決定」の両
方に関係する,あるいはそれらを統合したSIS・BPRと,それぞれ位置づけることが
可能となる。そして,その発展の方向として,組織における「認識」を支援する情報シス
テム(認識の情報システム)という枠組みが重要なものとなってくる。次章以降でこのこ
とを検討する。
3.組織における認識活動のモデル
3.1 認識活動−知識に基づく解釈
加護野は,認識を「知識の利用と獲得の過程」と幅広く定義し,組織の認識についての
考察をすすめている(28)。認識は相互に関連しあった二つの活動,①狭義の認識過程であ
る知識の利用の過程と,②学習あるいは発展の過程としての知識の獲得の過程から構成さ
れる。すなわち,主体は環境におけるさまざまな情報を認識する際に主体がもつ知識を利
用し,そして,その過程において新たな知識を獲得する。
また,ダフト(R. L. Daft)とワイク(K. E. Weick)は,「解釈システム(interpretation
system)」として組織をモデル化している。そこでは,①環境から情報(データ)を収集
する「スキャニング」,②収集した情報(データ)に意味を付与する「解釈」,③解釈に
基づいた行為により知識を獲得する「学習」の3つの段階があり,それらはフィードバッ
クループにより相互に結びついている(29)。
すなわち,認識活動においては,主体の知識に基づく情報に対する解釈(=意味付与)
が重要な役割を果たしている。
さて,組織における認識活動は,その最小の主体である個人の認識活動の創発体として
とらえることができる(30)。その個人(=人間)は,サイモンが指摘したように,環境の
複雑性に対してきわめて限られた情報処理能力しか有していない(31)。しかし,そうした
状況下で人間が認識活動を行ないうるのは,人間が特定の事柄に関連づけて構造化された
知識の枠組みをあらかじめもっていて,その枠組みに基づいて状況を解釈することにより
情報処理の負荷を軽減させているためと仮定される(32)。ここではその枠組みを「認識枠
組み」と呼ぶことにする。「認識枠組み」は認知心理学ではスキーマ,イメージ,フレー
ム,認知マップなどさまざまな名称で呼ばれている(33)。
いいかえれば,人間は認識枠組みをもつことによって,複雑な環境からの情報収集や,
その情報の解釈などが可能になる。その一方で,同じ情報に対しても認識枠組みが違って
いれば異なった解釈が行なわれうることとなる(34)。また,認識枠組みはいったんそれが
本文−5
形成されると変更が難しいという特性をもっている(35)。
認識活動を組織的に行なう意義としては,サイモンがいうように,組織化(階層化)に
より個人の情報処理を単純にし,その認識の限界を克服するということがあげられる
(36)
。しかし,今日の組織においては,階層化により個人の役割を単純化していくのでは
なく,個々人がもつ多様な認識をうまくまとめあげていくことによって,より創造的な活
動がなされるような仕組みづくりが求められている。
次節では,このような視点から,組織における認識活動について見ていく。
3.2 組織における認識活動に関する諸論
ワイクは,個人の解釈システムが異なるために発生する多義性(equivocality)(=あい
まいで複数の対立的な解釈の存在)を縮減することが組織化の基本であるとし,そのため
に主体間の意識的な相互連結行動(interlocked behaviors)が行なわれるとした(37)。すな
わち,組織において認識が対立したままでは行動に結びつけることができないので,それ
ぞれのコミュニケーションを通じて多様な認識を収束(=多義性の縮減)させることが行
なわれる。その一方で,組織がもつ解釈の多義性の幅が,その環境適応の範囲を決定す
る。ワイクをはじめとする生物進化論的モデルでは多義性の拡大と縮減によって組織が環
境に適用する組織像が示されている(38)。
上田は,認識活動に重点をおいた集団意思決定に関する研究において,組織的な認識活
動が個人によるものに優越するためには,組織における個々人の認識枠組み(上田のこと
ばでは「世界観」)を統合させ,それらを矛盾なく取り込んだ新しい認識枠組みが構築さ
れる必要があるとしている(上田のことばでは「世界観の止揚」)(39)。
前述したように,個人の認識枠組みは変化に抵抗するという特性をもっている。組織に
おいて,そのことを乗り越えて新しい認識枠組みを構築するためには,他の認識枠組みを
もつ個人とのコミュニケーションによるコンフリクトを通じて個々人が「危機意識」をも
ち,それを解消しようとする探索行動が行なわれる必要がある(40)。上田はそのためのプ
ロセスとして,シャイデル(T. M. Scheidel)の「発散的プロセス(divergent process)」と
「収束的プロセス(convergent process)」(41)を援用している(42)。
発散的プロセスは,個々人が自分の認識枠組みに従った,さまざまな意見を表明する段
階である。この段階では,個人間のコンフリクトが高まり,高い危機意識が抱かれるよう
になる。これに対して収束的プロセスは,コンフリクト解消のために,個々人が認識枠組
みを変革させる段階である。この2つのプロセスは明確に分割されるわけではなく,相互
作用的に繰り返し行なわれる。こうした2つのプロセスを通じて,組織において止揚され
た新しい認識枠組みが構築される。
上田は,認識枠組みが止揚されるためには,①危機意識をもつための集団メンバーの異
質性,②コンフリクトを高めるための異質な他者とのコミュニケーション,③個々人が危
本文−6
機意識解消の動機づけをもつこと,④個々人が互いに信頼し良好な関係を維持することが
必要であるとしている(43)。
野中らは,個人の知識(個人知)の相互作用によって組織全体で共有される知識(組織
知)がつくり出されていくことを組織的知識創造と呼び,そのプロセスについて理論化し
ている(44)。認識活動は,主体がもつ知識によるものであるから,この理論は重要であ
る。
野中らは,ポランニー(M. Polanyi)による知識の区別である「暗黙知」(=ことばで
表現できない主観的・身体的な知)と「形式知」(=ことばで表現できる客観的・理性的
な知)に着目し,組織におけるそれらの「知識変換」により,その質的・量的な拡大が行
なわれ,組織知さらには組織の枠を超えた知識となっていくとしている(=「知識スパイ
ラル」)(45)。
知識変換には,①個人の暗黙知に共感してその共有が行なわれる「共同化」,②暗黙知
をことばなどで表現された明確なコンセプト(=形式知)に変換する「表出化」,③コン
セプトを組み合わせて体系的な形式知をつくり出す「連結化」,そして④形式知を暗黙知
へと体化する「内面化」がある。①では共感のための「場」づくりが,②では「対話」に
よる多様な知識の収集とその検討による新たな視点の生成が,③ではさまざまな「形式知
の結合」が,④ではそれらの知識を使ってみる「行動による学習」が,それぞれ行なわれ
る。
野中らは,「知識スパイラル」を促進するために組織レベルで必要となる要件として次
の5つをあげている。
①目標への「思い」である組織の「意図」。組織の戦略やビジョンであり,「知識の真
実性を判断する最も重要な基準」(46)となる。
②個人やグループの「自律性」。自律性により「思いがけない機会を取り込むチャン
ス」を増やし,「動機づけ」が容易になる(47)。自律的に判断し行動するためには,
そのための十分な情報が必要となる。
③「ゆらぎと創造的なカオス」。組織と外部環境との相互作用を刺激する「ゆらぎ」に
より認識枠組みの「ブレイクダウン」を生じさせ,そこから新しい知識が創造される
(48)
。そのためには,外部の多様な情報を収集できるようにすることや,多様な解釈
が可能な戦略やビジョンを与えることがあげられる。
④情報の「冗長性」。「当面必要のない仕事上の情報を重複共有していること」(49)で
ある。
⑤「最小有効多様性」。組織が環境と同じ程度の多様性をその内部に持つこと(50)。そ
のためには平等な情報の共有が必要となる。
個人知である暗黙知が,4つの知識変換を経てダイナミックに増幅され組織知へと体化
されていくプロセスは,本章で検討している認識活動を内包しているものと思われる。と
本文−7
りわけ「表出化」と「内面化」,すなわち暗黙知と形式知の変換は関係が深いであろう。
3.3 組織における認識活動−参加・発散・収束
以上の検討から,本稿では,組織における認識活動として,「参加」「発散」「収束」
の3つのプロセスが相互に関連したモデルを提示したいと思う。
これらのうち「発散」と「収束」は,基本的には上田による「発散的プロセス」,「収
束的プロセス」に対応する。ワイクや生物進化論的モデルの「多義性の拡大」と「多義性
の縮減」もほぼこれに対応するものと思われる。野中らの組織的知識創造においても,こ
の2つのプロセスが基本的なものとなろう。たとえば,野中らが「知識変換」の中で最も
重視している「表出化」(=暗黙知から形式知への変換)では,「対話や議論によって多
様な知識が収集され,それが多様な観点から相互に比較検討され,肯定と否定の相互補完
的なプロセスが反復されることによって,新たな視点が生成されていく(51)」のであり,
それは発散と収束のプロセスで構成されている。
発散のプロセスでは,個々人が多様な意見を表明することが必要である。個人の自律性
はそのための条件の一つであり,平等な情報共有や,多様な情報収集を可能にすることも
重要であろう。
収束のプロセスでは,個々人の間の密接で頻繁なコミュニケーションが必要となる。認
識枠組みの止揚のためには,お互いの信頼や相互理解が必要である。組織における知識の
判断基準の確立も重要であろう。
そして,発散と収束のプロセスは相互に関係しあっている。あまりに発散するとそれを
収束させることが困難になるし,逆に発散が少ないと,認識枠組みの変革が促進されず,
収束のプロセスにおいて新しい認識枠組みが止揚されない(52)。
あと一つの「参加」のプロセスについて,われわれは,組織の認識活動における重要な
プロセスであると考えている。実際の認識活動は,組織全体で行なわれるのではなく,何
人かの限定された参加者で構成される公式あるいは非公式なチーム(以下,単にチーム)
によって行なわれる。こうしたチームは計画的に編成されたり,自然発生的に形成された
りする。一方,メンバー間の相互作用が発生する集団においては,人数の増加にともなう
生産性の阻害である「プロセス・ロス」が大きくなることが知られている。したがって,
チームには比較的少人数の最適人数が存在しているものと考えられる(53)。実際の組織,
たとえば企業においても,経営の意思決定には役員会のような少人数の集団があるし
(54)
,また特定の問題についてのプロジェクトチームはしばしば編成される。そして,こ
のチームへの参加者が決められるプロセスは重要なものとなろう。
この「参加」のプロセスにおいては,幅広い多様なメンバーの参加が求められる。多様
な状況に対応するためには,チームのメンバーがその状況と同じように多様である必要が
ある。また,メンバーの認識枠組みの変革をもたらすためには,それぞれの認識枠組みが
本文−8
十分に多様でなければならない。同様に,野中らは組織のさまざまな部署から広くメンバ
ーを募った職能横断的な自己組織化するチーム(self-organizing team)の有効性を主張し
ている(55)。しかしその一方で,メンバーがあまりに異質性な場合は危機意識よりも拒絶
の意識を持ったり,意見が「発散」しすぎたりすることもありうる。また,メンバー間の
相互理解や信頼がないと単なる言い争いに終わることもある(56)。たとえば,組織的知識
創造における暗黙知の共有はメンバー間の相互理解や信頼を築くための「場」づくりと意
味あいが強く(57),ここでいう「参加」と関係が深いものと考えられる。
そして,認識活動に参加するメンバーは固定ではなく,発散や収束のプロセスと相互に
関連してダイナミックに入れ替わっていくものと思われる。
以上,組織における認識活動を図示すると図1のようになろう。
発散
収束
参加
組織全体
(場合によっては組織外の関係者も含む)
図1 組織における認識活動
4.組織における認識活動の情報技術による支援
4.1 情報技術によるコミュニケーションの特徴
前章で見た組織の認識活動を支援する情報システム,すなわち「認識の情報システム」
はどのようなものか。すでにみたように組織の認識活動においては個人間の相互作用(=
コミュニケーション)が重要である。ここでは組織の認識活動と情報技術によるコミュニ
ケーションの関連について検討する。
本文−9
もちろん情報技術の検討だけで目的とする情報システムを構築していくことは容易では
ないであろう。マークス(M. L. Markus)とロベイ(D. Robey)がいうように情報技術と
組織活動の相互作用は複雑であり予測は困難である(58)。とりわけ組織の文化的・社会
的・政治的側面を配慮し総合的に構築していくことが重要であろう(59)。
また,コミュニケーションで用いられる情報には,文字や言葉で表わされるバーバル情
報(verbal information)だけではなく,表情,身ぶり手振り,目の輝きや動き,視線と
いったノンバーバル情報(non-verbal information)があり,重要な働きをしている(60)。今
日,情報技術の進展によりノンバーバル情報についてもある程度扱えるようになってきて
いる。しかし現状では一般に扱いが困難であろう。
したがって,本章では前章で検討した枠組みに基づいて,組織の認識活動における情報
技術活用の一側面を検討するにすぎない。
情報技術によるコミュニケーション(電子メディア・コミュニケーション)の特徴とし
て,たとえば以下のものがあげられる(61)。
①空間的(地理的)制約から開放する「広域性」。
②情報の発信から受信までの時間が十分に短い「即時性」。
③受信者と発信者が時間をあわさなくてもよい(時間的制約から開放する)「非同期
性」。
④同時に複数の(特定あるいは不特定の)受信者に対して情報を発信できる「同報
性」。
⑤受信者が発信者に,また発信者が受信者になることができる「双方向性」。
⑥さまざまな種類のメディアを扱える「広帯域性」。
⑦さまざまなメディアを関連づけて統合的に扱える「統合性」。
⑧発信者の匿名を保証することができ,逆に記名を保証することもできる「匿名・記名
性」。
⑨情報を蓄積でき,必要に応じて取り出せる「蓄積性」。
⑩個人レベルでの情報の受発信ができる「個人性」。
⑪多くの人が容易にアクセスできる「アクセス容易性」。
以上のように人間のコミュニケーション能力は情報技術によってさまざまに拡張されう
るのである。
4.2 認識活動の各プロセスと情報技術
組織の認識活動の中心はコミュニケーション活動であるから,基本的に情報技術による
その拡張はさまざまな利点をもたらすものと思われる。ここでは,前章で見た組織の認識
活動における参加・発散・収束の3つのプロセスのそれぞれにおいて,情報技術によって
支援されるいくつかの側面を見ていきたい。
本文−10
まず「参加」のプロセスについてみていこう。ここでは幅広い多様なメンバーの参加が
求められる。
情報技術は,コミュニケーションを時間的・空間的制約から開放する。また個人情報の
主体的な発信と,それに対するアクセスを容易にする。このことは,これまでコミュニケ
ーションできなかった人々の存在に気づかせ,多様なメンバーを発見しやすくする。そし
て,それら人々との間のコミュニケーションを深化させることができる。
たとえば,電子メールの普及によって組織内にインフォーマルな新しいコミュニティが
形成される(62)。また,最近のイントラネットでは,WWWサーバによる個人ホームペー
ジの開設によって個人情報が自主的に広く公開され,組織における人材の創造的活用を促
進している(63)。
「発散」のプロセスでは,個々人が多様な意見を表明することが求められる。
従来の対面的コミュニケーションでは,多様な意見の表明を阻害するさまざまな問題が
指摘されている。たとえば,あるメンバーの発言中には他のメンバーの発言が阻止される
こと(64),上下関係など社会的関係によって発言を控えてしまうこと(65),自分の発言が他
のメンバーにどう評価されるかを懸念すること(66),過去の発言に対する同調により意見
を変化させること(67)などがあげられる。
情報技術のもつ非同期性や,対面コミュニケーションと比較した場合の相手の実在感
(社会的実在感)の低さにより,相手の存在や発言の文脈に妨げられることなく多様な意
見を表明できるようになる。このことは匿名性を保証することによりさらに促進される
(68)
。
また,各メンバーが十分な情報を得られるようにしておくことにより,多様な意見の表
明が促進される。したがって情報技術によるメンバー間の情報共有の促進は有効である。
そして,「収束」のプロセスでは,メンバーがそれぞれの認識枠組みを変革していくた
めに綿密なコミュニケーションが必要となる。「発散」のプロセスでは有効と思われた,
情報技術によるコミュニケーションの低い文脈性や社会的存在感は,ここではマイナスに
はたらく。情報技術によるコミュニケーションでは極端な意見や感情的な意見の表出が多
く見られ,たとえばフレーミング(flaming)とよばれる悪口雑言をいいあう口げんかに
陥りやすいことが指摘されている(69)。
コミュニケーションの密接さを示す代表的な指標として,ダフト(R. L. Daft)とレンゲ
ル(R. H. Lengel)の「メディアのリッチ性(メディア・リッチネス:media richness)」
(70)
があげられる。
ダフトらは,組織における情報処理を,情報の「不確実性」の縮減と「多義性」の縮減
に区別した(71)。不確実性とは情報の不足であり,多義性とは,あいまい性であり,多様
でコンフリクトする解釈が存在することである(72)。不確実性の縮減は情報収集により解
消される。多義性の縮減のためは,関係者間のコミュニケーションによるコンフリクトの
本文−11
解消が求められる。
収束のプロセスで求められるのは,多義性の縮減である。ダフトらは,多義性の縮減の
ためには情報メディアの「リッチ性」が必要であるとしている。情報メディア(情報技術
の利用を前提とはしていない)の「リッチ性」は,そのフィードバックの速さ,利用され
るチャネルの数(情報の種類),個人性,言語がもつ多様性に関係している。たとえば,
対面的コミュニケーション(フェイス・トゥ・フェイス)は,即時のフィードバックがあ
り,身ぶり手振りや声のトーンなど多くのノンバーバル情報を含み,そして利用される自
然言語がもつ多様性などの理由で,最もリッチなメディアであるとされる(73)。若林は,
組織のコミュニケーションによく用いられる代表的なメディアについて,そのリッチ性
を,対面的コミュニケーション,テレビ会議,電話,電子メール,文書コミュニケーショ
ンの順に順序づけられるとしている(74)。
情報技術によるコミュニケーションは,マルチモーダル・インタフェイス(multi-modal
interface)に見られるような技術的進展はあるものの,そのリッチ性では遠く対面的コ
ミュニケーションにおよばないであろう。
しかし一方では,その対面的コミュニケーションにおいても,その特徴が常に発揮され
るとは限らない(75)。たとえば,ノンバーバル情報が多くても,受け手が下を向いている
などしてそれが伝わらない,(本節の「発散」のところで指摘したように)発言を阻止す
るさまざまな要因によって即時のフィードバックがためらわれる,(たとえば時間的・地
理的制約により)そもそも対面コミュニケーションができないなどの場合がありうる。多
様な情報チャネルがあっても,それがいつも利用可能とは限らない。また,利用者によっ
ては対面的コミュニケーションを好まない場合もあろう。
メンバーが,その主体性のもとで,さまざまなメディアを自由に組み合わせて利用でき
る環境の提供が求められる。
4.3 認識活動の支援−人間中心の情報技術の活用
以上,情報技術によるコミュニケーションがもつさまざまな特徴と,組織の認識活動の
プロセスとの関係を見てきた。
情報技術によるコミュニケーションは,組織の認識活動のそれぞれのプロセスを有効に
支援するものと思われる。実際の情報システム,たとえばイントラネットにおけるアプリ
ケーションやグループウェアなどにおいては,関係する組織の特性を十分に考慮して,さ
まざまな情報技術の組合せが検討されなければならない。ここで提示した情報技術がもつ
さまざまな特徴はその検討において有効に利用できるものと思われる。たとえば,イント
ラネットなどのWWWがもつ特徴としては,個人性,蓄積性,アクセス容易性,広域性,
非同期性,広帯域性,統合性などがあげられよう。
また,情報システム構築にあたっては,さまざまなメディアを人間中心に活用できる仕
本文−12
組みをつくることが重要である。相互理解,信頼の促進といったここではとりあげなかっ
た重要なことも,人間主導によるコミュニケーションのチャネルの増大により促進されよ
う。
なお,認識活動の情報技術による支援はコミュニケーションの側面に限定されるわけで
はない。たとえば発想支援ツールをはじめとした,さまざまな個人的なソフトウェア(76)
も,認識活動のいくつかの側面で有用であろう。
4.おわりに
本稿では,認識の情報システムの必要性を示し,組織の認識活動のプロセスと,それに
関連する情報技術について考察した。実際の情報システムにおいては,組織のさまざまな
側面に配慮した情報技術の組合せが求められる。したがって,今後の課題としては,ま
ず,認識の情報システムの事例調査があげられよう。
さらに,今日の組織の認識活動においては,その対象は組織の内部の主体にとどまらな
い。たとえば,今日のマーケティングにおいては,顧客との関係を強め,そこでの情報を
製品開発などに活用していくというコンセプトが示されている(77)。そのためには,顧客
をはじめとする外部の主体の多様な認識をうまく取り込んでいく仕組みが求められる。エ
レクトロニック・コマースをはじめとする情報技術を活用した仕組みづくりによって,そ
のような外部の認識の取り込みは大きく促進される可能性があろう。
一方,そうした情報システムの構築に目を向ければ,その計画段階においては,対象と
なるシステムにかかわるさまざまな主体の多様な認識を取り込んで,幅広い合意(=アコ
モデーション)に達することが求められる(78)。このことはまさに認識の情報システムが
担うべき機能である。すなわち,認識の情報システムが提供されることにより,情報シス
テム自体を計画する情報システムが提供されることとなる。このようなメタ的なレベルを
支援する情報システムにより,これまでの,あらかじめ設定された目標を達成する自己維
持的な情報システムから,新たな目標を自ら設定し実現していく自己組織化する情報シス
テムへと進化していくことが可能になる。その結果,組織がより能動的に環境に適応して
いくことが可能となるであろう。
情報システムの新しい枠組みの確立に向けて,以上のような課題を今後検討していきた
い。
本文−13
注
(1)
たとえば野村総合研究所(1990)など。
(2)
Anthony (1965).
(3)
加護野(1988)52−59ページ,野中(1990)1−41ページなど。
(4)
たとえば加護野(1988)の組織認識論や野中(1990)の組織的知識創造理論な
ど。
(5)
たとえば牧野(1998)など。
(6)
Ward (1995) , pp.1−22. 牧野(1992)でも同様の段階分けが提示されている。
(7)
島田・海老澤(1989)63−64ページによれば,EDPSには個別業務ごとのA
DP(Automatic Data Processing)とADPを統合したIDP(Integrated Data
Processing)がある。
(8)
Gallagher (1961) , 邦訳 2ページ。
(9)
島田・海老澤(1989),64ページ。
(10)
Anthony (1965).
(11)
Simon (1977) , 邦訳 62−67ページ。
(12)
Gorry=Scott Morton (1971).
(13)
Anthony (1965) , 邦訳 65ページ。
(14)
後にスコット・モートンらは,DSSの対象範囲として半構造的な意思決定を
中心に据えている。McCosh=Scott Morton (1978) , p.10. Keen=Scott Morton (1978) ,
p.1.
(15)
Donovan=Madnick (1977). 制度的DSS,単発的DSSの訳語は竹村(1981)
59ページに基づいた。
(16)
Rockart=Treacy (1982). 後のRockart=De Long (1988) ではESS(Executive
Support Systems)と呼んでいる。
(17)
Wiseman (1988) , p.104. 邦訳 95ページ。
(18)
Hammer=Champy (1993), 邦訳 57ページ。
(19)
Ibid., 邦訳 78, 128−151ページ。
(20)
Chandler.Jr (1962) , 邦訳 24−33ページ。Mintzberg (1989) , 邦訳 37−64ページ。
(21)
Wiseman (1988) , pp.93−100. 邦訳 83−91ページ。
(22)
Simon (1977) , 邦訳 55−67ページ。同書では,この3つの活動のほかに過去の
選択を再検討する「再検討活動」があるとしている。
(23)
Sprague=Carlson (1982) , 邦訳 35ページ。
(24)
加護野(1988),52−59ページ。
(25)
遠田(1996),35−36ページ。
注−1
(26)
高木・永戸(1997),19ページ。
(27)
Schrage (1990) , 邦訳 86−131ページ。
(28)
加護野(1988),60−61ページ。
(29)
Daft=Weick (1984) , pp.286-287.
(30)
加護野(1988),61ページ。
(31)
Simon (1981) , 邦訳 85−89ページ。
(32)
加護野(1988),64−67ページ。上田(1996),47−49ページ。
(33)
加護野(1988),64ページ。上田(1996)47−48,78ページ。など。
(34)
上田(1996),48ページ。
(35)
加護野(1988),70−72ページ。上田(1996),51−54ページ。
(36)
Simon (1976) , 邦訳 第5章。Simon (1981) , 邦訳 第7章。野中(1990),11ペー
ジ。
(37)
Weick (1979), 邦訳 4ページ。
(38)
加護野(1988),198−200ページ。
(39)
上田(1996),第2章。
(40)
同上,54−59ページ。
(41)
Scheidel (1986), p.122.
(42)
上田(1996),63−67ページ。
(43)
同上,61−63ページ。
(44)
野中(1990)。野中(1994)。Nonaka=Takeuchi (1995).
(45)
Nonaka=Takeuchi (1995), 邦訳 第3章。
(46)
Ibid., 邦訳 111ページ。
(47)
Ibid., 邦訳 112ページ。
(48)
Ibid., 邦訳 116ページ。
(49)
Ibid., 邦訳 119ページ。
(50)
Ibid., 邦訳 122ページ。
(51)
野中(1994),231−232ページ。
(52)
上田(1996),65−66ページ。
(53)
同上,253ページ
(54)
経営の意思決定機関として取締役会よりも常務会が機能している場合が多いこ
とも,この人数の最適性によるものと思われる。
(55)
Nonaka=Takeuchi (1995) , 邦訳 112−116ページ。
(56)
上田61−67ページ。Leonard=Straus (1997) , p.111. 邦訳 51ページ。
(57)
Nonaka=Takeuchi (1995) , 邦訳 126−127ページ。
(58)
Markus=Robey (1988).
注−2
(59)
牧野(1998)。
(60)
松下・岡田(1995),1−2,62−63ページ。同書によれば,対面的コミュニケ
ーションにおいてノンバーバル情報の占める割合は9割をこえるという報告もあ
る。
(61)
出口・新谷(1993),24−29ページ,宮田(1993),69−81ページを一部参考
にしている。
(62)
高木・永戸(1997),19ページ。Sproull=Kiesler (1991).
(63)
上村・大山(1997)。
(64)
上田(1996),254ページ。
(65)
Sproull=Kiesler (1992) , 邦訳 108ページ。
(66)
上田(1996),254ページ。
(67)
Sproull=Kiesler (1992) , 邦訳 114ページ。
(68)
Ibid., 邦訳 第4章や上田(1996)第8章では,このことを実証するさまざまな
実験結果が紹介されている。
(69)
Sproull=Kiesler (1992) , 邦訳 87−89,112−114ページ。
(70)
Daft=Lengel (1986).
(71)
Ibid., pp.556−557.
(72)
ここで多義性は,前章で説明したワイクを援用している。
(73)
Daft=Lengel (1986), p.560.
(74)
若林(1994),289−291ページ。
(75)
上田(1996),69−72ページ。
(76)
穂積(1997),95−110ページ。
(77)
たとえば井関(1996)。
(78)
牧野(1998),114−120ページ。
注−3
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