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1. 補強土壁の原理

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1. 補強土壁の原理
補強土の原理と
トラブル事例から学んだ教訓
1. 補強土壁の原理
2016. 5. 24
神戸大学大学院 工学研究科
教授 澁谷 啓
1
地盤災害の種類と原因
①自然斜面の崩壊・地すべり・落石
宅地
鉄道・道路盛土
原斜面
埋立地
水平地盤は安定
地盤を切ると崩れる
重力式L型擁壁
重力式もたれ擁壁
②擁壁・盛土の崩壊
③液状化
山間部
低地部
二大原因:水+揺れ⇒降雨+地震
地震による重力式擁壁の崩壊事例
2004年新潟県中越地震での擁壁・盛土の崩壊
1999年集集地震(台湾)
アスファルト舗装
about 7.0m
5.0m
0.6m 3.6m
0.7m
排水性が悪く
排水性が悪く締固めに
くい粘性土質の盛土
切土
道路
谷埋め盛土
谷埋め盛土
高い地下水位
90°
杭基礎が無い
安定性が低い
斜面上の重力
式擁壁
sandy
gravel
砂礫盛土
谷地(集水地形)
地山
想定すべり面
東京理科大 龍岡文夫教授 提供
高町団地
1
なぜ? 地震・降雨による一時的な圧力の増加
道路
長距離滑働した
重力式擁壁
余力?
若干滑働した
重力式擁壁
常時
重力式擁壁
常時
地震力
沢(集水地形)
盛土
水圧
地山
集水地形を
示す水溜り
東京理科大 龍岡文夫教授 提供
どうする? 地震に強い補強土盛土・擁壁の開発
崩れようと
する土塊
補強土盛土の効果(デモ実験)
補強材を引き
留める土塊
ただの盛土(Case-1)
土圧
アクリルの壁
擁壁+盛土(Case-2)
応力集中
L型擁壁と盛土
補強土盛土(Case-3)
補強土盛土と擁壁
Tatsuoka(2005)
補強材
(トイレットペーパー)
乾燥砂を壁で支えた盛土(Case-2)
ただの乾燥砂(Case-1)
アクリルの壁
Case-1
Case-2
 壁を抑えていると安定
 壁の抑えをはずすと土圧によって壁が押し
出され,破壊
 自立することもできず,盛土を作ることす
ら不可能
(M1三井,M1川尻)
(M1三井,M1川尻)
11
12
2
補強土盛土(Case-3)
補強材
(トイレットペーパー)
Case-3
2. 地山補強で耐震化
Reference;
➡ 龍岡文夫(地盤工学会地盤設計・施工基準委員会W
G5地山補強土工法)編集:地山補強土工法設計・施
工マニュアル,公益社団法人地盤工学会
 壁がなくても安定
 12kgの重りを載せても安定
 なんと!人が載っても安定!!!!
(M1三井,M1川尻)
13
堀削
15
16
堀削
すべり面
17
18
3
International Symposium on Design and Practice of Geosynthetic-Reinforced Soil Structures
Mitigation of Disasters by Earthquakes,
Tsunamis and Rains by Means of
Geosynthetic-Reinforced Soil Retaining
Walls
引張り補強材
A
Junichi KOSEKI (Institute of Industrial Science, University of Tokyo,
SHIBUYA (Civil Engineering, Kobe University, Japan)
Japan) and Satoru
※ Reference
➡ Junichi Koseki & Satoru Shibuya: Mitigation of Disasters by Earthquakes, Tsunamis,
and Rains by Means of Geosynthetic-Reinforced Soil Retaining Walls and Embankments,
Transportation Infrastructure Geotechnology, ISSN 2196-7202, (2014)
地山補強土工法での潜在すべり面に沿った要素A
19
Part 1
概 要
a) 無補強盛土の崩壊(宮城県山本町)
b)
a)
2011年3月11日
東北地方太平洋沖地震が発生した
後の補強土擁壁の状況
1. 地震時の挙動
2. 強化復旧の事例
b) 近傍のジオシンセティックス補強土壁
GRS (geosynthetic-reinforced soil) RW
(メタルフェイシング+ 排水パイプ)
Aomori:
58
Iwate:
23
Akita:
1
Yamagata:
3
Fukushima: 1
(total)
95
3R工法による補強土擁壁
面状の補強材
剛な壁
Drain hole
Co
Drain hole
1) Leveling pad for facing
Gravel gabion
Goesynthetic
Gravel gabion
Geosynthetic
1) Leveling pad for facing
2) Placing geosynthetic &
gravel gabions
3) Backfilling & compaction
4) Second layer
粘性土盛
織布
(引張り補強機能)
土に複合材を使
用
不織布
(排水機能)
2) Placing geosynthetic &
gravel gabions
Lift = 30 cm
3) Backfilling & compaction
4) Second layer
東北地方における剛な壁面を有す
るGRS RWsの分布
(After Tatsuoka et al. 2012)
5) Completion of
Wrapped-around wall
5) Completion of
wrapped-around wall
6) Casting-in-place
RC facing
6) Casting-in-place
RC facing
Murata et al. (1991) Tatsuoka (2001)
4
メタルフェーシングを有するGRS RWの被災例
福島県南相馬
8300
5650
5300
600
無補強擁壁の崩壊例 東北貨物線 (JR East, 2011)
Mano river
Concrete
facing
コンクリート
Collapsed
slope
地震後
Geogrid
ジオグリッド
Geogrid-reinforced
retaining wall
ジオグリッド補強土擁壁
剛な壁面を有するGRS RWによる強化復旧例 (JR East, 2011)
14@300
=4,200
地震後
300
7@ 300
=2,100
ふとんかご
砕石路盤 砕石路盤
Ballast
崩壊土のセメント改良
(40 kg/m3)
V: H
層厚管理材 層厚管理材
Geogrid
= 1:1.5
(W =(W=2m)
2000)
(W=2m)
1:1.5
V:
H = 1:1.5
1:1.5
1:1.5
Local soil*
セメント改良土
セメント改良土
1:1.5
クラッシャランC-40
クラッシャランC-40
砕石 (type C-40)
ふとんかご
Gravel mat
50 m
1,000
(V: H
= 1:1.5)
崩壊土量:
1,400 m3
1,000
10 m
7@300
=2,100
(バラスト)
層厚管理材 層厚管理材
Geogrid
(全面敷設)
(full
width) (全面敷設)
Unit in mm
14@ 300
=4,200
300
30 m
(地震前)
(JR East, 2011)
Local soil*セメント改良土
セメント改良土
(After
earthquake)
崩壊後の形状
崩壊後の形状
Pile
レール杭
レール杭
(using old rail material, L = 2000)
仙山線の無補強盛土の崩壊例
作並駅〜八森駅間
補強土盛土による強化復旧
(JR East, 2011)
(JR East, 2011)
5
3. 補強土壁のトラブル
の原因と対策
- Case 1 テールアルメ補強土壁の崩壊
‐ 事例研究より ‐
Reference;
Shibuya, S. , Kawaguchi, T. and Chae, J-G. (2007):
“Failure of Reinforced Earth wall as attacked
by Typhoon No. 23 in 2004”, Soils and Foundations,
Vol.46, No.2, pp.153-160.
テールアルメ壁工法による補強土擁壁
補強土擁壁が壊れた!
帯状の補強材
柔な壁
崩壊現場
発生時刻:
2004年10月21日
午前1時40分頃
設計では水を
考えない
http://www.hokyodo.jp/1_morido/a_ta/01_summary/01_summary.html より一部引用
崩壊直後の現場の写真撮影
補強土壁の崩壊範囲
➡崩壊部の中央付近は
沢(集水)地形
➡崩壊部の頂部にはテー
ルアルメ壁工法による補
強盛土(以下、テールア
ルメ補強盛土)
➡幅80m、高低差70m、
住宅
延長150mに及ぶ山腹
斜面が地肌をむき出し
6
斜面への降雨(#9)
崩壊土砂の末端付近の状況
(#1から撮影した全景)
崩壊土砂上のコンクリートスキンの散乱状況
(コンクリートスキンとメタルストリップの接着部の破断は見られなかった(#4))
残存したテールアルメ補強土壁(#11)
道路盛土崩壊頭頂部の状況
(雨水が崩壊斜面上を滝のように流れている.
また、両サイドに補強盛土の破壊断面がくっきりと見える)
崩壊盛土の東側の破断面の詳細
(盛土内部からの湧水が認められる(左の写
真).また,西側の破断面と同様に全体的に
ストリップの根元付近が斜め下を向いている)
崩壊盛土の西側の破断面の詳細(破断面
においてもストリップ自体に破断の形跡はな
い.また、全体的にストリップの根元付近が
斜め下を向いている)
▼
▲
崩壊盛土の西側の破断面付近の状
況(未舗装の道路の縦断方向の側
溝を伝わった雨水が崩壊地内に流入
している)
▼
▲
崩壊盛土の東側の破断
面付近の状況
7
崩壊現場の踏査
補強盛土の崩壊の形態
1)テールアルメ補強盛土のコンクリートスキン・ストリップが、
崩壊土砂の先端部にまで到達
2)崩壊したテールアルメ補強盛土のストリップとコンクリートス
キンとの接着部の破断およびストリップ自体の破断はなし
3)道路盛土の崩壊は延長約100mであり、この間にあった
テールアルメ補強盛土は完全に流失
4)降雨時に、相当量の雨水が崩壊斜面に流入
5)残存したテールアルメ補強盛土はほぼ原型を保持しており、
切り口の鋭い破断面を露呈
i) メタルストリップとコンクリートスキンとの結合箇所
およびスキンの破断は認められなかったこと
ii) 残存するテールアルメ補強盛土は、ほぼ原型を保
持していたこと
iii) 破断面には、崩壊盛土がすべり面とほぼ平行に
滑り落ちた痕跡があったこと
補強盛土のブロック的なすべり崩壊が全断面で発生
6)破断面においてストリップがすべり面とほぼ平行に傾斜
変状崩壊メカニズム(推定)
テールアルメ工法による施工
コンクリート地盤
地盤改良
地盤掘削
排水パイプ
補強土壁の崩壊メカニズム
対 策
豪雨発生!!
背後の谷から
雨水浸透
道路面から
雨水浸透
壁を押す力が増加
補強土壁の
「ダム化」
補強土擁壁の
設計では水を
考えない
盛土の飽和化
による弱体化
L型排水盛土防水工
Reference;
Kenji HARA,Satoru SHIBUYA,Masahiko SAITO,
Nobuyuki TORII,Takayuki MASUO :
A significance of L-shaped geosynthetic drain (LGD)
against seepage flow ,
Proceedings of the 9th International Conference on
Geosynthetics,pp. 1397-1402,2010.5
8
L型排水盛土防水工の特徴
浸透流解析によるL型排水材の効果
地山からの浸透水を,鉛直に設置したジオシンセティックス排水材により下方に落とし,底
部の排水層から効率よく盛土外へ排水することで,盛土に浸透する雨水の低減が図られる.
盛土自体を防水領域と考え,ただ,遮水することではなく,十分な排水によって,盛土背
面からの水の浸透および蓄積を防ぐことが特徴である.
排水材なし
L型排水材
降雨による飽和度の上昇が
広い範囲で生じる
降雨による飽和度の上昇は
遮水領域で小さい
齋藤ら(2008)
64
実物大盛土実験の各ケース概要①
L型ジオシンセテックス排水材の設計
遮水領域の水位は、排水材の
透水性能と配置により決まる‼
k
h
採用工法: テールアルメ擁壁
無対策盛土:ケース1
k
geodrain
kd
H

排水材の Kd=1(cm/sec)
P
d
L1
L2
区分
ケース1
盛土材
目標締固め度
Dc(%)
鉛直排水材
底部排水層
自然土
90
無し
無し
L
   2 2  1    


小型土槽実験のシミュレーション
kd d
L
h
,  = ,  = 1 kH
H
L
齋藤ら(200
8)
67
ジオシンセティックス鉛直排水材
実物大盛土実験の各ケース概要②

自然土:細粒分質礫質砂(SFG)
排水材の Kd=10(cm/sec)
採用工法: テールアルメ擁壁+L型排水盛土防水工
L型排水盛土防水工:ケース2,3,4
区分
ケース2
ケース3
ケース4
盛土材
自然土
製鋼スラグ
混合土
目標締固め度
Dc(%)
90
80〜85※
85※
鉛直排水材
底部排水層
あり
あり
あり
あり
あり
あり
※ 一般的な道路盛土の締固め度の下限値:Dc=90%
◆ 製鋼スラグの強度特性が優れるので,意図的に緩い締固め度
で施工して,盛土の挙動を観測する.

混合土:施工性を考慮して現場で混合
通水断面を確保
69
9
実験装置および施工過程
実験手順
給水管
挙動観測
1次給水
• 盛土内変位等の
• 背面水位を2.5m
データを集計
に維持させる
盛土側に等間隔で多数の小孔
を設け,小孔からの土の流入
を防ぐため不織布を巻いた塩
化ビニル管
周囲は防水シート
で被覆している
高さ 3m
定常状態
• 挙動観測
• 定常状態から,6
• 排水量測定
時間程度給水を続
• ケース3,4のみpH
ける
測定
奥行 4m
自然排水
幅 2m
荷重載荷
2次給水
• 12時間以上かけて,
• ケース3,4のみ2.2
• 1次給水と同様
盛土内の水位を低
トンの荷重を載荷
• 盛土内変位等の
下させる
し,給水を続ける
データを集計
• 排水量測定
大型土槽実験装置
▶ 施工は,壁面メッシュパネル,排水材,計測器,ストリップを設置した.
そして,土撒きだしをして転圧と締固め管理を行った.
70
計測結果:変形挙動-ケース1の崩壊状況
71
計測結果:変形挙動-ケース1(自然土,無対策)
ストリップの
投影位置
実験前
クラック①
 注水停止したが水位低下は
鈍く,壁は一体で大きく前方
へ挙動し,崩壊に至る
崩壊時
• 前面への排水は少なく,水
位上昇に伴い挙動増加
• 崩壊形態はブロック崩壊
72
計測結果:変形挙動-ケース2(自然土)
計測結果:変形挙動-ケース3(製鋼スラグ)
 ストリップ先端部付近で亀裂の
発生が確認された
クラック③
 壁面に目立った変化無く,変位
量も4㎜と小変形
クラック②
ストリップの
投影位置
 背面部での沈下進行に伴い,
排水材の変形が大きくなり機能
低下
水位上昇無く,補強土壁に挙動
は認められなかった.
※亀裂は背面側への押し戻しにより生じ
た可能性が考えられる。
 ストリップ先端部で亀裂発生(ク
ラック①)他に2箇所発生(クラッ
ク②,クラック③)
 クラック②,クラック③は背面側
への押し戻しにより生じた可能性
がある
クラック①
クラック①
 壁面は下段中心にとしたはら
み出しが発生
 盛土内水位の上昇に伴い補
強土背面部での亀裂が拡大
(50分)
実験中
▶ ケース1は,給水した後,約25分でストリップ先端部に亀裂が発生
さらに,排水量は少なく,水位上昇に伴い変形が増加
最終には,壁と一体になってブロック形で崩壊に至った.
 注水後約25分でストリップ先
端部に亀裂(クラック①)発
生し前方へ拡大
 荷重載荷後も変化はほとんど見
られなかった
クラック②
 壁面に目立った変化無く,最大
変位量も0.34㎜と小変形
 背面部での沈下進行に伴い,排
水材の変形が大きくなり排水機
能が低下した
地盤内の水位上昇無く,補強土壁
に挙動は認められなかった.
10
計測結果:変形挙動-ケース4(混合土)
 クラックなし
計測結果:浸潤線の変化およびpH値
盛土内の浸潤線
排出水のpH値
 荷重載荷後も変化はほとんど見
られなかった
 壁面に目立った変化無く,最大
変位量も0.3㎜と小変形
 背面土の沈下が生じなかったた
め,排水材は健全に機能し,
2日間通じて排水量の低下は
見られなかった
地盤内の水位上昇無く,補強土壁
に挙動は認められなかった
教訓 (Case 1: 1/2)
教訓 (Case 1: 2/2)
崩壊したテールアルメ補強土壁は,我が国の“設
計·施工マニュアル“に忠実に設計施工されていた.
➡豪雨に対する設計·施工マニュアルの改善
建設中は,盛土への雨水浸透を防止するために
道路面を仮舗装する.
補強土壁の内部だけでなく背面にも排水工(遮
水工ではない)を設置すべき.
補強土壁の短期安定解析では、想定すべり面上
の初期せん断応力を再現した一面せん断強度を用
いる.
原則,テールアルメ補強土壁はSPT N値が50
以上の堅固な基盤の上に建設すべき.
補強土壁の設計には,構造技術者と地盤技術
者の協力が不可欠.
ジオテキスタイル補強土壁の被害形態
- Case 2 ジオテキスタイル補強土壁の大変形
References;
Jung, M.S., Kawajiri, S., Hur, J.S. and Shibuya, S.(2010)
: CASE STUDY ON SEVERELY-DAMEAGED REINFORCED EARTH WALL
WITH GEO-TEXTILE IN HYOGO, JAPAN
Part I :Site Investigation into the cause of damage, pp.3~10
Hur, J.S., Kawajiri, S., Jung, M.S. and Shibuya, S.(2010)
PartⅡ :Numerical simulation into causes and countermeasure, pp.11~17
Proc. of 3rd Japan-Korea Geotechnical Engineering Workshop-Geotechnics in
Urban Areas, Japanese Geotechnical Society & Korean Geotechnical Society,
Ansan
11
現地調査と室内試験
現場の概要
(兵庫県佐用郡佐用町)
表面波探査(SWS)
PS検層,RI検層,
SPT
締固め特性
粒径加積曲線
細粒分の多い
軟弱地盤
ρdが低い
軟弱地盤
12
BE試験:
せん断波速度
水浸沈下挙動
せん断強度(DSB)
内壁
(ハンモック状態)
ハンモック状態とは?
ジオテキスタイル補強土壁の大変形に至るシナリオ
13
地下水位上昇とハンモック状態の影響の確認
背面排水工の設置
工事中の全景
ジオシンセティックス
50.0
12.0
日降水量 (mm/day)
流末からの排水量 (L/min)
45.0
10.0
40.0
50.0
10.0
40.0
4.0
5.0
8.0
30.0
25.0
6.0
20.0
4.0
15.0
10月24日
10月21日
10月18日
0.0
10月30日
10月27日
10月24日
10月21日
10月18日
10月9日
10月15日
10月12日
10月15日
10月12日
10月6日
10月9日
10月3日
10月6日
10月3日
9月30日
9月30日
9月27日
9月27日
9月24日
9月21日
9月24日
日 付
9月18日
9月21日
9月15日
9月12日
9月18日
9月9日
9月6日
9月15日
9月3日
8月31日
8月28日
8月25日
0.0
8月22日
9月6日
5.0
2.0
日 付
数値解析による安定性の評価
定性的解析
0.0
2.0
9月12日
9月3日
8月31日
8月28日
8月25日
8月22日
8月19日
0.0
9月9日
10.0
10月30日
日降水量 (mm/day)
10.0
流末からの排水量 (L/min)
35.0
15.0
6.0
12.0
日降水量 (mm/day)
流末からの排水量 (L/min)
45.0
20.0
10月27日
工事完了時の全景
25.0
8月19日
日降水量 (mm/day)
8.0
30.0
流末からの排水量 (L/min)
35.0
試験注入→室内試験
補修後の様子
(2010年4月に一般公開)
14
教訓 (Case 2)
当該現場は、豪雨時に沢水が盛土内部に浸透しやすい地形を
有している.浸透水は盛土材のせん断強度を低下させ,壁面
の変形をさらに進行させることが分かった.→ 対策: 効果的
な排水対策あるいは防水対策が必要
パネル式の補強土壁の場合、下部層の圧縮沈下により盛土内
にハンモック現象が発生,補強材と盛土材の間のせん断抵抗力
が消失されて, その結果として壁面に応力集中が生じて大きなせ
ん断変形が起こることが判明した.→ 対策: 壁面工の剛性
が大きくない場合、とりわけ鉛直応力が大きく作用する下部層で
は、良質の盛土材料と厳密な締固め管理が要求
下部軟弱層の地盤剛性を高めるために,グラウティングが適切
であることが判明した.また,壁面全体に対する所定の安全率
を確保するために、グラウンドアンカー工を併用して施工すること
が効果的であることを確認した.
-Case 3 ジオテキスタイル補強土壁のはらみだし
Reference;
Hur, J.S., Jung, M. S. and Shibuya, S.(2011)
: A case study on causes and countermeasures of a largely deformed
geotextile-rein- forced soil retaining wall,
Proc. of 5th International Conference on Deformation Characteristics of
Geomaterials, IS-Seoul, pp.1268-1275, September 1~3, 2011, Seoul, Korea
施工写真
Concrete culvert
Water leak
Drainage pipe
Ununiformed settlement
動態観測結果
Partial fracture of the metal facing
原位置地盤調査
:補強土壁の全体状況の調査
 深度増加によるN値の増加
傾向があまり見られない
 下部層の飽和度が上部より
相対的に高い
15
施工実績と材料特性
現場の締固め度の推定
:4種類の現地発生土利用
 室内水浸試験
Prescribed lower limit
(施工管理に利用)
 材料①と材料②,ボーリング試料の
粒度分布はほぼ同様.しかし,
 材料③と材料④より,細粒分が多い
 最大乾燥密度のバラツキが大きい
→全体試料をうまく代表出来ない
補強土壁面の変状メカニズム(推定)
対策工の検討
 現場の地盤物性値の決定
原因解明
考えて見ましょう❕❕
現地発生土の締固め曲線の最大乾燥密度はばらつく.
偶然に,締固め管理に採用された締固め曲線は,その中
に最も低い値を示している.地盤工学エンジニアは,故意
に締固め施工の低コスト化のために有利な締固め曲線を
選んではいけない。.
対策工
必要性
評価
• 計測結果による工
学的な判断
• 将来のイベントに対
する挙動予測
対策工
選定
• トラブル原因の解決
• 安定性,施工性及び
経済性考慮
安定性
検証
• 安定性評価(数値
解析)
• 経過観察(計測)
動態観測結果を基準として
+ 地盤調査+施工実績+逆解析
 2・3次元解析による挙動予測
 代表4断面解析
(計測位置)
 3D地形図と縦・横断面図
 地形条件(谷埋め),施工履歴
上部盛土の施工に伴う壁面の変位予測
壁面の深度別の水平変位
(2次元,No.50)
1. ジオテキスタイル補強土壁の水平変位が管理基準
2次元及び3次元のまとめ
値を超過: 高さの3%かつ30cm
2. 上部盛土が25m以上の重量であり,補強土壁の
中間部に締固め不足層の存在の可能性
 ジオシンセティクス補強土壁の水平変位の管
理基準:高さの3%かつ30cm
 ジオテキスタイルの伸びひずみの許容値:
1.987%
→ アンカー採用
3. 利用目的の重要性(道路)
→ 対策が必要!
16
 現在、補強アンカー設置完了・施工再開
 ジオテキスタイルの伸びひずみの観測実施
せん断変形増分図
無対策
対策工の採用時
壁面の変位量
補強材の伸びひずみ
補強工事の開始
HF‐1〜HF‐3のケーブル移設状況
壁面の変位計測
恒久対策の完了
動態観測結果
アンカー緊張前
アンカー緊張期間
+2.0㎝
アンカー緊張により変位が縮む
ジオテキスタイル
のひずみ観測結果
アンカー緊張前
アンカー緊張期間
無対策時,試し盛土約2.5mで,計測位置によって
2.5cm〜4.0cm程度の壁面の水平変位増加確認
教訓 (Case 3)
当該補強土壁の変状原因は、補強土壁の中間部に締
固めが不十分な盛土層が存在し、その層に沢水や雨水の
浸透による圧縮沈下が発生、結局,壁面の大変形が生じ
たと考えられる.
対策工としては,剛な壁とグランドアンカー工の併用は地
盤変位の抑制と構造物全体の安定性を高める方法として
有効であり,数値解析を通して、壁面の変位のみならず、
ジオテキスタイルの伸びひずみの減少効果を確認した.
格子接点一体型・溶着型
ジオグリッドの引き抜き
試験の比較
高盛土地盤構造物の場合,安定性だけではなく,応力
‐変形挙動(構造物の性能の問題)も考慮しなければなら
ない.
117
17
現場引抜き試験の概要
現場引抜き試験の条件
盛土材料およびジオテキスタイル
条
件
CASE-1 CASE-2 CASE-3
上載盛土高さ(m)
0.6
1.2
1.8
単位体積重量(kN/m3)
20.4
内部摩擦角(°)
35.7
粘着力(kN/m2)
12.4
試験体幅(m)
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
0.001
通過質量百分率(%)
目的:盛土材と補強材との摩擦特性の把握
↓
方法:原位置盛土材料を用いた現場引抜き試験
・補強材を敷設した試験盛土を施工し、試験盛土前面に設置したH鋼
+重機を反力体として、センターホールジャッキにより補強材を引抜き
0.3
定着長(m)
1.0
1.0
1.0
想定引抜き力(kN)
12.7
18.0
23.3
0.01
0.1
1
10
100
粒径(mm)
ジオテキスタイルの仕様
幅1m当たりの強度
➡ 1分ごとに引抜き荷重を1kNづつ増加させ、引張り
荷重がピークに達して引抜けが生じたときあるいは
ジオテキスタイルが破断した時点で試験を終了
製品基準強度
クリープ限度強度
製品基準強度
溶着型
クリープ限度強度
現場引抜き試験 計測機器
① 載荷装置及びロードセル
② 土圧計
幅0.3m当たりの強度
112 (kN/m)
72 (kN/m)
123 (kN/m)
62 (kN/m)
一体型
34
22
37
19
条件
(kN/0.3m)
(kN/0.3m)
(kN/0.3m)
(kN/0.3m)
敷設長 1.0m×幅 0.3m
敷設長 1.0m×幅 0.3m
使用したジオテキスタイル
③ 変位計
①引張り力:センターホールジャッキに取り付けたセンターホール型ロードセルで計測
②上載圧:ジオテキスタイルと同時に設置した土圧計で計測
③補強材の変位(伸び):ジオテキスタイルに変位伝達ロッドを取り付け変位計で計測
一体型
溶着型
現場引抜き試験 試験結果① H=1.8m
引き抜き荷重(kN)/土圧(kN/2)
盛土材撒きだし
ジオテキスタイル設置
転圧状況
15
100
ジャッキ変位計の盛換え
ジオテキスタイル破断
40
5
20
0
0
-5
-20
50cmの変位計は挙動不安定
-10
20
60
10
-40
荷重(kN)
土圧(kPa)
① 20cm(mm)
② 50cm(mm)
③ 80cm(mm)
ジャッキmm
25
ジオテキスタイル引抜け開始 80
15
100
ジオテキスタイル破断開始
80
引抜き量急増
60
10
40
5
20
0
0
-5
変位(mm)
荷重(kN)
土圧(kPa)
① 20cm(mm)
② 50cm(mm)
③ 80cm(mm)
ジャッキmm
20
変位(mm)
25
引き抜き荷重(kN)/土圧(kN/2)
現場引抜き試験 試験状況
-20
ジャッキ変位計の盛換え
-10
-40
ジオテキスタイル引抜け開始
-15
-60
0
5
10
15
20
-15
-60
0
5
10
15
20
経過時間(分)
経過時間(分)
溶着型
一体型
25
30
35
• 溶着型は一体型と比べて引抜き荷重6割程度で引き抜け破断
• 溶着型は引き抜け開始後引抜き荷重があまり上がらないが,一体型はある程度
転圧状況
ジオテキスタイル連結治具
試験状況
まで荷重が増加
18
盛土
ジオテキスタイル
引抜き荷重
盛土
ジオテキスタイル
と土の摩擦抵抗
※この段階では、ジオ
テキスタイルはほとん
ど移動しない
引抜き試験の模式図
現場引抜き試験 試験結果② H=1.8m
移動量あり
盛土
25
25
20
20
盛土
引抜き荷重
ジオテキスタイル
盛土
ジオテキスタイル
引抜き荷重(kN)
引抜き荷重(kN)
引抜き荷重
15
10
10
5
0
0
10
20
30
40
50
60
※この段階では、ジオ
盛土
盛土
テキスタイルはほとん
土のせん断面ジオテキスタイル
盛土
ど移動しない
土と土のせん断抵抗
ジオテキスタイル
※ジオテキスタイルがと土の摩擦抵抗
→土同士の摩擦抵抗+
と土の摩擦抵抗
土を巻き込み、一体化
ダイレイタンシー効果
土とジオテキスタイルの摩擦抵抗のみで引抜き抵抗を発揮する段階
して摩擦抵抗発揮
15
③ 80cm(mm)
② 50cm(mm)
① 20cm(mm)
5
引抜き荷重
③ 80cm(mm)
② 50cm(mm)
① 20cm(mm)
移動量あり
移動量あり
盛土
0
10
ジオテキスタイルの移動量(mm)
20
30
40
50
60
移動量あり
盛土
盛土
0
70
※この段階では、ジオ
テキスタイルはほとん
ど移動しない
70
引抜き荷重
ジオテキスタイルの移動量(mm)
引抜き荷重
引抜き荷重
一体型
溶着型
盛土
盛土
土のせん断面
盛土
土と土のせん断抵抗
※ジオテキスタイルが土を巻※ジオテキスタイルが
土と土のせん断抵抗
土と土のせん断抵抗
→土同士の摩擦抵抗+
き込む効果が小さいと、土同土を巻き込み、一体化
→土同士の摩擦抵抗+
ダイレイタンシー効果
士の強度発現量が小さい して摩擦抵抗発揮
ダイレイタンシー効果
• 移動が始まるまでの引抜き荷重は、溶着型が約8kN、一体型が約10kN
• ピーク荷重は、溶着型が約15kN、一体型が約22kN
移動量あり
溶着型
盛土
移動量あり
一体型
土のせん断面
※ジオテキスタイルが
土を巻き込み、一体化
して摩擦抵抗発揮
盛土
ジオテキスタイルと土がかみ合って引抜き抵抗を発揮する段階
引抜き荷重
引抜き荷重
盛土
盛土
土と土のせん断抵抗
※ジオテキスタイルが土を巻
き込む効果が小さいと、土同
土と土のせん断抵抗
士の強度発現量が小さい
※ジオテキスタイルが土を巻
き込む効果が小さいと、土同
士の強度発現量が小さい
引抜き試験 結果まとめ
1. ジオテキスタイルの引抜き抵抗
格子接点接着型および一体型
ジオグリッドの土中引抜き抵抗
特性の比較
Step①土とジオテキスタイルの摩擦抵抗
Step②ジオテキスタイルと周辺の土がかみ合って一体となり抵抗
2. ジオテキスタイルの引抜け時あるいは破断時の引抜き抵抗(Step②
に相当)には、土のダイレイタンシーの効果が寄与するため、良く締
固めれば僅かな変位で大きな強度▶▶締固めが何より重要
Reference;
➡ 澁谷啓,片岡沙都紀,植松尚大:格子接点接着型および
一体型ジオグリッドの土中引抜き抵抗特性の比較,第29回
ジオシンセティックスシンポジウム論文集(審査中),平成26年
12月中公開予定
3. 高盛土にジオテキスタイルを用いる場合は、ジオテキスタイルの伸び
に関する性能照査が必要▶▶事前の現場引抜き試験、動態観測
が重要
127
使用した鉄鋼スラグの物理,力学的性質
鉄鋼スラグを用いた各種ジオグリッドの土中引き抜き試験
格子接点が溶着しているもとの一体となっているものとで土中引抜き試験を実施し
,鉄鋼スラグと各種ジオグリッド間の引き抜き摩擦強さや引抜き摩擦角などを検討
← 粒径加積曲線
22mm
50mm
2.50
28mm
c=43.2kPa, °
↑ 引抜き試験装置
80mm
40mm
2.40
3
40mm
乾燥密度, d (g/cm )
交点一体型
40mm
← 鉛直応力とせん断応
力の関係
200
wopt =11.2 (%)
dmax = 2.319 (g/cm )
3
2.30
← 締固め曲線
せん断応力(kPa)
265mm
(一面せん断試験より,
2㎜以下試料して実施)
100
2.20
鉄鋼スラグ(9.5mm通過分)
A−a法
交点溶着型
2.10
6
10
含水比, w (%)
14
0
0
100
200
鉛直応力(kPa)
19
試験結果の例(ジオグリッドの引抜き変位と引抜き力の関係)
引抜き力( kN)
50
100
<交点一体型>
: =50kPa
: =100kPa
: =200kPa
50
引抜き力( kN)
100
0
50
0
0
試験結果の例(スラグとジオグリッド間の引抜き摩擦角の違い)
<交点溶着型>
: =50kPa
: =100kPa
: =200kPa
0
50
50
100
ジオグリットの引抜き変位( mm)
ジオグリッドの引抜き変位(mm)
0
0
50
100
ジオグリットの引抜き変位( mm)
ジオグリッドの引抜き変位(mm)
※引抜き摩擦強さは有効面積法にて算出
・ 鉄鋼スラグのように材料のc,φ が大きいものに関しては,交点が一体となってい
るジオグリッドのほうが強度が大きくなるが,交点一体型でも目合いの大きさによって
はスラグとのかみ合わせが悪くなり,逆に強度が小さくなる傾向になる.
・ 交点一体型は全体的に引抜き力が大きくなる傾向となる.
130
131
玉坂トンネルの履歴
- Case 4 既設盛土の耐震化の事例
(玉坂トンネル)
盛土範囲
流下方向
垂水妙法寺線既設盛土補強計画
旧ため池
• 「加圧注入型地山補強工法」および
• 「剛な壁を有する補強土壁工法」の適用について
昭和46年修正地形図
法面変状状況
平成22年地形図
変状状況写真(1)
クラック
浸出水
傾斜
クラック
防護柵変形
クラック
錆汁浸出
坑口全景(クラック、浸出水
状況)
パラペットクラック、浸出水、道路
側へ傾斜
法面上部舗装ひび割れ、防
護柵変形
クラック
遊離石灰
パラペットのひび割れ(貫通)
パラペットのひび割れ、漏水
20
変状状況写真(2)
法面への排水流入
排水施設損壊
のり枠工空洞化
パラペット変動量動態観測
反射板
縦排水溝の破損
(圧壊)
反射板設置状況
拡散レーザー変位計
拡散レーザー変位計設置状況
パラペット背面排水
溝の破損
パラペット端部排水
溝の破損
調査計画
盛土変状(擁壁変動量モニタリング結果)
計器点検修正
変動量=約3㎜
道路側に傾斜
№5、№4
・地中変位計測
・地下水変動計測
パラペット天端
・変位計測
パラペット天端が継続的に道路側へ変位している。
降雨後に変位が増大する傾向にある。
現況盛土の安全率
地盤調査結果
盛土内部のN値が10前後と低い
粘性土主体層、礫混じり砂質土(Sf)主体層の互層
湧水
地質調査から得られた土質定数
区 分
単位体積重量
γt (kN/m3)
弾性係数
E (MPa)
粘着力
c (kPa)
内部摩擦角 ポアソン比
φ (°)
粘土層が主体
の盛土層
17.0
25.0
15
5
0.33
一般の盛土層
17.0
30.0
0
25
0.30
カルバート上部の盛土の安全率は Fs=1.003
順解析でも盛土が不安定であることを確認した。
21
応急対策
応急対策の効果(動態観測)
降雨時期を前に盛土のり面の当
面の安定を確保する
目標安全率Fs=1.10
変動安定傾向
変動増加
傾向
Fs=1.16
上部排土
歩道確保
日降水量 100.5㎜
応急対策施工断面(一次施工)
のり面上部排土により起動側荷重を低減
応急対策の効果(パイプ歪計動態観測№4)
・応急対策で変位増加傾向は低減されたが、停止には至っていない。
・降雨時に変位が増加する傾向は継続
応急対策の効果(パイプ歪計動態観測№5)
顕著な変動累積傾向
№4ボーリング孔で地表近くで動きが見られるが深部での明らかな動きは見られない
恒久対策
☆応急対策では上部排土による常時安全率<Fs
=1.2満足していない。
☆排土後の盛土変動速度は低減されたが緩やか
な増加傾向、降雨時の変動増は継続している。
変動傾向緩和
№5ボーリング孔では深部での明らかな動きが見られ、
応急対策後に変動増加が緩和されている
のり面補強対策
• 盛土全体の安定対策
☆のり面直下の幹線道路に対し、地震時において
も安定確保が必要
22
対策案の抽出
対策レベルの決定
直下に幹線道路があり、損傷すると第三者および交
通機能に重大な影響を与える。
盛土土質が砂質土(SF)、粘性土(C)の低品質盛土
重要度Ⅰ
照査
レベル2地震動
地震動を考慮した円弧すべり法
適用不可
対策工
①すべりを抑止する対策工
or
②地盤強度を上げる対策工
①抑止杭
対策案
①抑止杭
②法面アンカー工法
起動力に対抗する根入確保不能
③地盤改良
④地山補強土工法
⑤安定盛土勾配での再盛土
②法面アンカー工法
比較検討
アンカー打設不能
地山補強土工法の選定
工法選定
☆必要アンカー長が10mを越える
☆N値が砂質土で50を越える
ラディッシュアンカー適用外
ロータスアンカー工法採用
盛土内の排水性能確保、施工性、経済性の比較結
果よりのり面補強対策としてロータスアンカーを採用
のり先の安定検討結果
のり先補強対策
パラペットは損傷によって塑性変形
パラペット撤去時
背面掘削
• 盛土のり先の安定対策
施工時
恒久対応(常時)
Fs=1.138>Fsa=1.10
OK
Fs=1.138<Fsa=1.20
NG
恒久対策が必要
23
のり先補強工法の選定
のり先補強に求められる性能
• 破壊モード
破壊時に直下の通行車両に被害を与えない
部分的な破壊が全体に波及しない
土のこぼれ出しを許容しない
• 排水性能
高い排水性能によって盛土内の地下水上昇を抑制する
もたれ式擁壁
排水性能に劣る
施工時の擁壁背面地山が不安定
• 補強性能
地山補強アンカーと一体となってレベル2地震動に対
し安定である
剛性壁補強土工法
排水性能に優れる
施工時の擁壁背面地山安定
◎
×
対策後の安全率(レベル2地震時)
Fs=1.01>1.0 →OK
• 「加圧注入型地山補強工法」と「剛な壁を有する補強土壁工法」を組み合わせ
て適用し低品質盛土安定性、耐震性を確保することが出来た。
157
ロータスアンカー工法(繰返し注入型地山補強土工法)
● 施工手順
● 持長
① 繰返し注入により補強体を拡大
➡ 大きな引抜き抵抗力
② 小型で打撃機能を有する削孔機を使用
➡ 硬質地盤や狭硲な場所での施工が可能
③ 繰返し注入は別士程で施工可能
➡ 作業時間の短い現場でも効率的な施工
● 繰返し注入のメカニズム
注入システム
繰
返
し
補強体の造成(概念図)
出典:ライト工業株式会社
158
出典:ライト工業株式会社
159
24
対策案標準断面
既設低品質盛土に対する「加圧注入型地山補
強工法」および「剛な壁を有する補強土壁工法」
適用の成果
• 集水地形にある既設低品質盛土の盛土強度、排
水性能を向上させ、不安定盛土を安定化させた
• 幹線道路が直下を通過する重要度Ⅰ盛土をレベル
2地震動に対して安定を確保した
加圧注入型地山補強工法
剛な壁を有する補強土壁工法
まとめ
▶ 補強土壁は,環境面,耐震性に優れている.しかし,
締固めと水対策に注意すべき
▶ パネル式壁面では特に壁面近くの締固め不足による各
種トラブルに注意.格子接点溶着型ジオグリッドは、砂
礫主体の盛土材に使用すると剥離破断しやすいので,
高盛土での使用は要注意
▶ 劣悪な既設盛土の耐震化の事例;大口径アンカー工
を用いた地山補強と補強土壁によるのり先補強の併用
25
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