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タキサン療法の薬剤管理

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タキサン療法の薬剤管理
第4回
福岡大学病院と院外薬局との
がん治療連携勉強会
タキサン
福岡大学病院 薬剤部
森 みなみ
本日の内容
• タキサンの作用機序
• タキサンによる副作用
過敏症
悪心・嘔吐
末梢神経障害
関節痛・筋肉痛
浮腫
皮膚障害、爪障害
その他
• アブラキサン
• 血管外漏出について
作用機序
タキソール製品情報概要より
作用機序
タキソール製品情報概要より
副作用
当日
(点滴中)
当日~
数日
数日~
数週間
数週間~
数か月
アレルギー
悪心、嘔吐、食欲不振
筋肉・関節痛
下痢、疲労感
口内炎、味覚変化
皮膚の症状(発疹・皮膚炎)
骨髄抑制、脱毛
浮腫、しびれ
爪の変化、涙目
ドセタキセル患者様用小冊子より
副作用
過敏症
パクリタキセル
• 投与直後~10分後に発現。
• ハイリスク:初回投与、急速静注、高用量
• 症状:蕁麻疹、顔面紅潮、皮膚紅班、血管性浮腫、胸痛、
頻脈、呼吸困難、気道攣縮、血圧低下など
• 溶媒
ポリオキシエチレンヒマシ油
無水エタノール
→パクリタキセル312mgはビール約500mL相当!!!
副作用
過敏症
★前投薬
本剤投与30分前までに
デキサメタゾン8~20mgを静脈内投与
ラニチジン50mgまたはファモチジン20mgを静脈内投与
塩酸ジフェンヒドラミン50mgを経口投与
• 自家用車での来院は避けてもらう
• アルコール摂取時の症状を確認する
過敏症
ドセタキセル
ドセタキセルIFより
副作用
悪心・嘔吐
• 催吐性リスク分類
高度(90%以上)
中等度(30~90%)
軽度(10~30%)
最小度(10%未満)
パクリタキセル
ドセタキセル
★軽度催吐性リスクの抗がん薬に対する制吐療法
抗がん剤投与前 デキサメタゾン6.6mg
(リン酸デキサメタゾン換算で8mg)
制吐薬適正使用ガイドラインより
副作用
関節痛・筋肉痛
• 好発時期:2~3日後
• 肩や背中、腰や腕などの筋肉や関節に痛み
が現れることがある。
★症状は一過性のものなので数日で回復!
処方例
• 芍薬甘草湯 7.5g 3×毎食前
• ロキソプロフェン錠 1錠 1×頓用 疼痛時
副作用
末梢神経障害
• 好発時期:3~5日後
• 発現部位:手足の指先から掌、足裏、鼻の下、口唇周囲etc
• 1 回投与量、総投与量の増加に伴い発生頻度が高まる。
• 患者の自覚症状の把握!
しびれる、ぴりぴりする、力が入らない
→日常生活への影響は?
ボタンが留めにくい、字が書きにくい、箸がうまく使えない
携帯電話の操作がしにくい etc…
副作用
末梢神経障害
日常生活における注意点
• 履きやすく、歩きやすい靴を選択する。
ただし健康サンダルは刺激が強いので避けたほうがよい。
• つまずきやすくなるため、ちょっとした段差にも注意する。
• 握力低下により、手すりなど物をしっかりつかめなくなる
可能性がある。
• 熱いものや刃物など危険なものを取り扱うときには十分
注意する。
副作用
末梢神経障害
• 治療法
ビタミンB12、ビタミンB6、漢方薬、
疼痛を伴う場合にはアセトアミノフェン、NSAIDs、
トラマドールやプレガバリン
• 処方例
①牛車腎気丸 7.5g 3×毎食前
②メコバラミン500μg 3錠 3×毎食後
副作用
浮腫
ドセタキセル
• 発現機序:血管透過性が高まり、毛細血管外に
タンパクが漏出するため。
症状は下肢から出現する。
体重測定
★投与コース数の増加に伴い、副作用発現率が
上昇する傾向あり。
コース数
1
2
3
4
5
6
発現例数(%)
1.9
3.5
4.7
9.8
16.2
20.6
投与コース別浮腫発現率
ドセタキセルIFより
副作用
浮腫
<早期発見のために・・・>
体重増加
衣服やアクセサリーがきつくなる
皮膚を指で押して指圧痕が残る
<日常生活でのポイント>
毎日同じ条件で規則的に体重測定
塩分のとりすぎに気をつける
血液の循環を良くする
副作用
浮腫 処方例
• 副腎皮質ホルモンの予防的投与
デキサメタゾン 16mg/day 8mg1日2回
★ドセタキセル投与前日から3日間単独経口投与
ドセタキセルの催吐リスクは
軽度で吐き気止めではありません!!
• 浮腫が消失するまで休薬
副作用
皮膚障害
• 手掌や足底の皮膚に紅斑、疼痛性発赤、知覚過敏、
ほてり、腫脹を生じる皮膚炎。
• 水疱、びらん、形成を認め、物がつかめなくなったり、
歩行困難になる。
<日常生活でのポイント>
• 清潔の保持。
• 保湿クリームやローションをこまめに使用する。
• 長時間日光に当たることを避ける(帽子、日焼け止
めの使用etc)。
副作用
爪障害
• 爪の変色
• 膿が出る
• 爪がはがれる
<日常生活でのポイント>
• 爪を適度に切りそろえておく
• 爪がはがれた場合には、清潔に保ち絆創膏などで保護する
有害事象
爪の変化
Grade
1
2
3
4
変色、隆起
部分的又
は完全な
爪の欠損
日常生活
に支障あり
-
JCO 23 : 4424-4429 ; 2005
その他の副作用
脱毛
パクリタキセル 92.3 %
ドセタキセル 93.9%
ほぼ必発!!!
治療開始後3~4週間後から抜け始める。
まつげやまゆげなど、すべての体毛が抜け落ちることもある。
ウイッグ、帽子、バンダナなどを用意し上手に利用する。
髪に刺激を与えないように注意する。
骨髄抑制
口内炎
味覚変化
手洗い・うがいをこまめにおこなう。
外出時はマスクを着用、人ごみは避ける。
生もの(刺身など)を食べない。
予防が大切。口腔内を清潔に保つ。
固い食べ物や極端に熱いもの、刺激のある食べ物は
避ける。
食事の味付けを工夫する。
アブラキサン
• 一般名:パクリタキセル(アルブミン懸濁型)
•
•
•
•
30分の点滴注射
アルコール過敏患者にも投与可能
前投薬は必須ではない
組織への移行性が良い
アブラキサン患者用てびきより
血管外漏出
壊死性抗がん剤
炎症性抗がん剤
非炎症性抗がん剤
アントラサイクリン誘導体
トポイソメラーゼ阻害剤
アルキル化薬
ドキソルビシン、イダルビシン
エピルビシン、ダウノルビシン
ピラルビシン、アムルビシン
ミトキサントロン
イリノテカン、エトポシド
ノギテカン
ニムスチン
白金製剤
代謝拮抗薬
微小管作用薬
ドセタキセル、パクリタキセル
ビノレルビン、ビンクリスチン
ビンデシン、ビンブラスチン
抗腫瘍性抗生物質
アクチノマイシンD
マイトマイシンC
カルボプラチン、シスプラチン
ネダプラチン、オキサリプラチン
アルキル化薬
イホスファミド、ダカルバジン
シクロホスファミド
代謝拮抗薬
ゲムシタビン、フルオロウラシル
抗腫瘍性抗生物質
ブレオマイシン、ペプロマイシン
アクラルビシン
エノシタビン、シタラビン
メトトレキサート
酵素製剤
L-アスパラキナーゼ
サイトカイン
インターフェロン製剤
インターロイキン製剤
がん治療副作用対策マニュアルより
まとめ
• タキサン系薬剤に特徴的な副作用として、過敏症、筋肉痛・関節痛、
末梢神経障害、浮腫、皮膚障害、爪障害があげられる。
• 特にパクリタキセルでは過敏症反応のため前投薬が必須である。
• ドセタキセル投与時は、過敏症・浮腫の症状軽減のために投与前日から
3日間デキサメタゾン8~16mg/dayの経口投与が望ましいとされている。
• 脱毛はほぼ必発する。
• 副作用とは治療中付き合わなければならないため、日常生活への影響を
考慮していく必要がある。
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