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我が国石炭政策の歴史と現状 - 経済産業省・資源エネルギー庁
我が国石炭政策の歴史と現状 平成21年2月5日 経済産業省 資源エネルギー庁 資源・燃料部 石炭課長 國友 宏俊 ● 我が国の石炭利用及び石炭鉱業 の歴史と現状 1 我が国経済の復興に果たした国内炭の役割 ・ 戦後、国土は荒廃し、極度に落ち込んだ生産・生活水準の回復(経済復興)が経済政策全般の課題であり、 産業政策の目的は生産活動の再開にあった。 ・ こうした政策目的の実現のため、昭和21年より、石炭・鉄鋼を中心に資材等を優先的に割り当てる『傾斜生産 方式』を採用。これにより国内炭は大幅に増産され、戦前の規模まで回復。石炭・鉄鋼等の資材が国内に相 当程度供給されるようになり、生産活動全般が回復。 ・ しかしながら、昭和36年以降、一次エネルギー総供給に占めるシェアは石油が石炭を上回るようになり、昭和 37年に石油の輸入が自由化されると、国内のエネルギー供給の主役は石油に取って代わられ(エネルギー革 命)、国内石炭産業は、このときから合理化の道を歩むことになる。 我が国一次エネルギー総供給に占める石油・石炭のシェア 単位 % 単位:% 100.0% 90.0% 80.0% 70.0% 60.0% 50.0% 石油 40.0% 30.0% 20.0% 国内炭 10.0% 海外炭 0.0% 石油 昭和30年度 昭和35年度 昭和40年度 昭和45年度 昭和50年度 昭和55年度 昭和60年度 平成2年度 平成7年度 平成9年度 平成12年度 平成14年度 平成18年度 17.6% 37.6% 59.6% 71.9% 73.4% 66.1% 56.3% 58.3% 55.8% 53.6% 51.8% 48.5% 44.1% 海外炭 3.7% 6.4% 7.6% 12.1% 12.9% 13.6% 16.7% 15.3% 15.9% 16.4% 17.6% 19.5% 21.1% 国内炭 43.5% 34.8% 19.5% 7.8% 3.5% 3.3% 2.7% 1.3% 0.7% 0.5% 0.3% 0.2% 0.1% 出典:資源エネルギー白書等 2 石炭の我が国エネルギー供給における位置づけと国内炭 ・ 石炭の我が国の一次エネルギー供給に占める比率は、21.2%(2006年度、平成18年度)。 ・ 一方、国内石炭供給に占める国内炭の比率は、0.3%程度であり、国内における一次エネルギー総供給に占 める国内炭の比率は、0.1%未満。 ・ 2008年5月の長期エネルギー需要見通しでは、2030年度新エネルギーの最大導入ケースにおいても石炭の 一次エネルギー供給に占める割合は約18%となる見通しであり、当面の主要なエネルギー源の一つとして位 置づけられている。 我が国の一次エネルギー総供給と石炭のシェア 一次エネルギー総供給 (単位:10~15J (PJ)) 石炭のシェア(%) 25,000 国内石炭供給に占める海外炭比率 100.0% 50 90.0% 45 80.0% 20,000 40 70.0% 35 60.0% 15,000 30 50.0% 25 40.0% 10,000 20 30.0% 15 20.0% 5,000 10 5 0 0 S30 S35 S40 S45 S50 S55 S60 H2 H7 H9 H12 H14 H18 10.0% 0.0% S38 S40 S45 S50 S55 S60 H2 H7 H9 H12 H14 H18 海外炭比率 19.7 24.6 57.3 76.5 77.9 84.2 90.9 95.1 96.3 98.1 99.2 99.3 3 海 外 炭 の 輸 入 ・原料炭の輸入の歴史は古い: 1949年頃から、年間約100万トンのレベルでの輸入実績があり、その後も輸入 量は漸次拡大。これまでに約60年間の歴史がある。現在はほぼ横ばいの状 況。 ・一般炭輸入の歴史は比較的浅い: 1951年頃から輸入はなされているものの、 100万トンを超えたのは1977年。 (1960年代には、国内に十分な供給力がない原料炭と無煙炭のみに限定し、一 般炭については原則輸入を認めない時もあった ) 般炭については原則輸入を認めない時もあった。) その後は急速に量が拡大し、 100万トンを超えたのは1981年。原料炭と同レベ ルの6,000万トンに達したのは1990年代半ば。 ・無煙炭の輸入: 1949年頃から輸入がなされており、1961年から100万トン以上のレベルで輸入。 現在は、 550万トン。 ・IQ(Import Quota:輸入許可):国内炭の需給確保が目的 1992年 制度廃止 1996年 事前確認も廃止 4 国内石炭鉱業の合理化の歴史 国内炭生産量と炭鉱労働者数の歴史的推移 6,000 ・炭鉱労働者数も最大時には45万人以上 (昭和20年代)。 注)上記労働者数は、直轄で、坑内・坑外 の人数。(下請人数は含まない) (最近の主な閉山炭鉱) −平成 4年 9月:三井芦別炭鉱(26万トン) −平成 6年 2月:赤平炭鉱(46万トン) −平成 7年 3月:空知炭礦(41万トン) −平成 9年 3月:三井三池炭鉱(227万トン) −平成13年11月:池島炭鉱(96万トン) −平成14年 1月:太平洋炭鉱(181万トン) 注)カッコ内は閉山前3ヶ年の 年平均生産数量。 120,000 5,000 ( 生 産 量 : 万 ト ン ) ・現在、稼行炭鉱は8つ。 140,000 100,000 常用労働者数 4,000 80,000 3,000 国内炭生産量 60,000 2,000 (常用労働者数:人) ・炭鉱数は、最大時(昭和27年)1,047炭鉱。 40,000 1,000 0 生産量 20,000 S38 S40 S45 S50 S55 S60 H2 H7 H9 H10 H12 H18 H19 5,110 5,011 3,833 1,860 1,810 1,645 798 632 397 370 296 135 132 2,631 1,506 1,490 1,336 621 600 常用労働者数 122,82 107,09 47,929 22,493 18,285 14,298 4,651 0 5 保 安 状 況 ・保安の確保、炭鉱数の減少等により、炭鉱の災害回数は減少。 ・重大災害(同時に死亡者3人以上又は罹災者5人以上を生じた災害。)発生件数は、 平成4年度以降はゼロ。(平成13年度以降、死亡者はゼロ。) 石炭鉱山における災害回数 180,000 160,000 140,000 120 000 120,000 100,000 80,000 60,000 40,000 20,000 0 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 元 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 S25 S30 S35 S40 S45 S50 S55 S60 H1 H5 H10 H15 H19 災害回数 162,153 41,381 57,550 43,672 19,137 2,607 1,319 451 150 39 37 1 5 罹災者数(人) 163,600 52,866 57,998 44,354 19,280 2,700 1,317 538 150 37 38 1 5 683 873 693 260 87 36 32 28 26 22 16 14 10 炭鉱数 6 ● 石炭政策の歴史 7 国内石炭鉱業と石炭政策の推移 石炭政策史 石炭鉱業史 明治 5年 明治政府:炭鉱を国有化 大正14年 商工省・燃料局設置 昭和18年 軍需省・燃料局設置 昭和21年 傾斜生産方式決定[石炭:3,000万トン出炭計画] 商工省・石炭庁設置 明治元年 高島炭鉱【鍋島藩】日本初の様式立て坑完成 明治36年 石炭生産量1,000万トンを突破 石炭統制時代 昭和15年 5,631万トンの最高出炭量 昭和24年 通商産業省・資源庁設置、配炭公団の廃止 昭和27年 通商産業省・石炭局設置 昭和30年 石炭鉱業合理化臨時措置法 → 非能率炭鉱の買上、標準炭価制度導入 石炭鉱業審議会の設置 昭和36年 衆議院石炭特別委員会設置 昭和24年 石炭各社:自主販売体制に *翌年までに合計209炭鉱が休・廃止 第1次石炭鉱業調査団答申(S37・10・13) 第1次策 石炭対策大綱の実施に関する閣議決定(S37・11・29) 昭和38年 【第1次石炭政策】 [基本方針]石炭鉱業崩壊のもたらす経済・社会への影響を防止 エネルギー革命の進行に対応して生産構造を再編 [生産目標]5,500万トンを確保 昭和37年 原油輸入自由化 閉山の多発と大型化(S36-S38:223炭鉱が閉山) 炭鉱離職者の増加(S36→S38:約8万人) 昭和38年 三池炭じん爆発 昭和39年 世界一の石炭輸入国に 昭和40年 夕張ガス爆発 第2次策 第2次石炭鉱業調査団答申(S39・12・16) 昭和40年 【第2次石炭政策】 [基本方針]エネルギーの高い輸入依存度は、国債収支上も供給 の安定性という見地からも望ましくなく、重要な国 産エネルギー資源たる石炭を確保 [生産目標]5,500万トンを維持 昭和40年 山野ガス爆発 非能率炭鉱の閉山(S39-S40:125炭鉱) 第3次策 石炭鉱業審議会答申(S41・7・25) 昭和42年 【第3次石炭政策】 [基本方針]経営基盤回復対策とある程度の需要確保策を講ず れば、今後とも5,000万トン程度の出炭維持は可能 [生産目標]5,000万トンを確保 大手炭鉱各社の累積債務額の増大(下記額はS41のもの) 閉山合理化費用負担総額 54億円 累積実質赤字額 1,213億円 借入金残高 2,218億円 昭和42年 石炭対策特別会計創設 第4次策 石炭鉱業審議会答申(S43・12・25) 昭和44年 【第4次政策】 [基本方針]安定した出炭、供給体制構築 石炭企業は再建に努力する反面、維持・再建困難と なる場合進退を決すべき [生産目標]規模明示せず 昭和43年 大気汚染防止法施行 大規模炭鉱のナダレ閉山(S44-S46:100炭鉱) 昭和35年 三井三池争議 昭和36年 5,540万トンの戦後最高の出炭量 昭和46年 ブレトン・ウッズ体制の崩壊による急速な円高 (1ドル・360円→S47年12月:1ドル・301円台に) 8 国 内石炭 鉱業 と石 炭政策 の推移( つづき ) 石炭政策史 石炭鉱業審議会答申(S47・6・29) 第5次策 通商産業省・資源エネルギー庁設置 昭和48年 【第5次政策】 [基本方針]石炭鉱業の急激な縮小は多大な社会的混乱を惹起 するおそれがあることに鑑み、需要の引上げ及び 対策の拡充を図る [生産目標]2,000万トンを下らない規模 第6次策 石炭鉱業審議会答申(S50・7・16) 昭和51年 【第6次石炭政策】 [基本方針]エネルギーの安定供給の一環として石炭を可能な 限り活用 国内炭の生産を維持し、海外炭の輸入を円滑に行う [生産規模]2,000万トン以上の生産規模維持 第7次策 石炭鉱業審議会答申(S56・8・4) 昭和57年 【第7次石炭政策】 [基本方針]安全性と安全保障両面から国内炭を積極的に活用 国内炭生産量を維持し、石炭鉱業の自立達成を支援 [生産規模]2,000万トン以上の生産水準達成 第8次策 石炭鉱業審議会答申(S61・11・28) 昭和62年 【第8次石炭政策】 [基本方針]海外炭との競争条件改善は見込めず、国内炭の役割 は変化、段階的縮小やむなし 集中閉山回避、経済・雇用への影響を緩和 [生産規模]最終的には1,000万トン程度が適当 ポスト8次策 石炭鉱業審議会答申(H3・6・7) 平成 4年 【ポスト8次策】 [基本方針]90年代を構造調整の最終段階と位置付け、国民経済 的な役割と負担の均衡点まで国内炭生産の段階的縮 小を図る [生産規模]具体的水準を明記せず 石炭鉱業史 昭和48年 三菱大夕張炭鉱閉山 第1次石油危機 昭和49年 一般炭輸入開始 昭和50年 石炭生産量が2,000万トンを下回る 昭和53年 第2次石油危機 昭和55年 昭和56年 昭和57年 昭和59年 昭和60年 NEDO設立【石油代替エネルギー技術開発の推進】 北炭夕張新鉱・ガス突出 夕張新炭鉱閉山 三池炭鉱有明坑坑内火災 プラザ合意による円高の急速な進行に (S60年10月:1ドル・240円台→S61年12月:160円台) 南夕張炭鉱災害 昭和61年 高島炭鉱閉山 昭和62年 三井砂川炭鉱閉山 平成元年 幌内炭鉱閉山 平成 2年 鉄鋼業界による引取協力終了 石炭生産量が1,000万トンを下回る 平成 4年 三井芦別炭鉱閉山 平成 6年 赤平炭鉱閉山 平成 7年 空知炭鉱閉山 平成 9年 三池炭鉱閉山 平成11年 石炭鉱業審議会答申(H11・8・9) 平成13年 経済産業省・資源エネルギー庁設置 平成14年 衆議院石炭特別委員会廃止 石炭六法失効(3月末) 経済産業省・資源エネルギー庁石炭課発足(4月1日) 平成13年 池島炭鉱閉山(11月29日) 釧路コールマイン(株)設立(12月27日) 平成14年 太平洋炭鉱閉山(1月30日) 釧路コールマイン(株)釧路炭鉱出炭開始(4月9日) 9 石炭関係の主な法律 ●臨時石炭鉱業管理法(昭22.12制定、昭25.5廃止) ●臨時石炭鉱害復旧法 (昭27.8制定、 平14.3廃止) −国土の有効な利用と保全、民政の安定を図るために石炭鉱業、亜炭鉱業から生じた鉱害を 計画的に復旧する。 ●石炭鉱業構造調整臨時措置法 (昭30.8制定、平14.3廃止) (石炭鉱業合理化臨時措置法) −石炭鉱業構造調整基本計画等、NEDOの石炭鉱業構造調整業務、抗口の開設工事の許可、石炭鉱業 の安定の確保 等 ●炭鉱労働者等の雇用の安定等に関する臨時措置法 炭鉱労働者等 雇 安定等 関する臨時措置法(昭34.12制定、平14.3廃止) −炭鉱離職者の生活の安定に資するために、その離職者及び離職者を雇用する事業者に対し再就職に 関する援護その他の措置を講ずるもの ●産炭地域振興臨時措置法(昭36.11制定、平13.11失効∼激変緩和措置) −産炭地域における鉱工業等の急速かつ計画的な発展と石炭需要の安定的な拡大 ●石炭鉱害賠償等臨時措置法(昭38.6制定、平14.3廃止) −鉱害賠償を担保するための積立金制度及び鉱害賠償に関する紛争の裁定制度、石炭鉱業事業団設 立の設置根拠規定整備 等 ●石炭鉱業の構造調整の完了等に伴う関係法律の整備等に関する法律 10 公団等石炭関係組織の変遷 • 配炭公団 昭和22年設立 (昭和24年廃止) • 石炭鉱業整備事業団:昭和30年(非能率炭鉱の買収) • 石炭鉱業合理化事業団: 昭和35年に改組(スクラップの強化とビ ルドの促進(近代化資金貸付制度の発足) ↓ (旧合理化事業団はNEDOへ吸収合併) ↓(石油代替エネルギーの開発及び導入の促進に関する法律公布) • 新エネルギー総合開発機構(NEDO)発足:昭和55年 新エネルギー・産業技術総合開発機構改組:昭和63年 (平成15年に特殊法人から独立行政法人へ) 11 経済産業省における石炭関係機構の変遷 商工省 経済産業省 通商産業省 1.昭和20年8月26日 2.昭和27年9月1日 3.昭和48年7月25日 (資源庁廃止、通商産業省に併合) (資源エネルギー庁設立) 石炭庁 生産課 商 務 局 石炭部 油 部 計画課 技術課 炭業課 鉱害課 産炭地域 振興課 工 務 局 繊 維 局 石 公 益 事 業 部 長 官 官 房 資源・燃料部 政策課 電 力 ・ガ ス 事 業 部 調整課 長 官 官 房 省 エネ ・新 エネ 部 炭政課 総 務 局 資源エネルギー庁 資源エネルギー庁 石炭局 長官官房 4.平成14年4月1日 石油・天然ガス課 石油精製備蓄課 鉱害課 鉱 山 局 石油流通課 燃政課 燃 料 局 石炭 課 石 炭 課 瓦斯課 電 力 局 石油課 鉱物資源課 発酵 工業課 整 理 局 12 現在の国内炭鉱 ・国内では、北海道に、坑内掘炭鉱1炭坑、露天掘炭鉱7炭鉱のみ。 ・生産量は約130万トン。国内消費量の約0.7%。 坑内掘炭鉱 露天掘炭鉱 計 吉住 1炭鉱(釧路炭鉱) 7炭鉱 8炭鉱 留萌炭田 (よしずみ) 空知新 東芦別 新旭 釧路炭鉱(坑内掘) 北菱美唄 ● 札幌 (ほくりょうびばい) 三美 砂子 石狩炭田 (さんび) 釧路炭田 13 ● エネルギー政策の中の石炭 14 石炭から石油へ、さらに石炭に回帰 第二次世界大戦に敗戦した日本は、疲弊した国内産業の建て直し のために、国策として石炭の増産を実施し(傾斜生産方式)、戦後の 復興を遂げた。 当時、火力発電は、ほとんど石炭を燃料としていた。しかし 、1960年 から発電用燃料として石油の使用量が増大し、1970年代には石炭 のみを使う火力発電所は新設されなくなった。 のみを使う火力発電所は新設されなくなった 1973年の石油危機後は、石炭が石油代替エネルギーとして見直さ れ、石炭火力が拡大。さらには、LNG火力も。 IEAの勧告(1979年)で、ベースロード用石油火力の新設が禁止。 ∼1950年 石炭火力 1960年 石油火力 1980年∼ 石炭火力・LNG火力 15 重油と石炭 (石炭鉱業の合理化推進) • 重油ボイラー規制(昭和30年9月∼) 炭主油従時代 重油ボイラーの設置の制限等に関する臨時措置に関する法律 重油の進出を抑制するため。(石炭鉱業の合理化を円滑化に推進。) 5年間の時限立法(3年間の延長) 石油の輸入自由化(昭和26年∼)開始による影響 • MITI:石炭産業を構造不況産業と位置づけ( 昭和34年) 重油ボイラー規制を緩和して石油への転換 (エネルギーコストを引き下げ日本の国際競争力を向上) 油主炭従時代 • オイルショック 山元発電(低品位炭発電、ボタ山発電) 石油代替エネ法 石油代替エネルギー時代 ・石炭は石油代替エネルギーの柱の一つ(石炭の復権) ・石炭液化、ガス化等の技術開発の推進 16 需給見通しの変化 昭和41(1966)年 品目 数量単 位 換算単位:7,000Kcal/Kg石炭換算102 t 37年度 実数 換算 水 力 105KWh 原子力 t 石 炭 102 t 68,220 61,722 国内炭 〃 57,373 輸入炭 〃 亜 炭 石 油 62,372 37,423 42年度 構成比(%) 20.2 実数 換算 47年度 構成比(%) 実数 換算 構成比(%) 82,800 49,680 16.5 93,300 59,980 12.7 58 580 0.2 400 4,000 0.9 33.3 79,230 72,483 24.1 81,282 74,740 16.9 49,790 26.9 62,700 54,300 18.1 62,700 54,300 12.3 10,847 11,932 6.4 16,530 18,183 6.0 18,582 20,440 4.6 103 t 1,057 529 0.3 900 450 0.2 700 350 0.1 103Kl 55,277 79,046 42.6 118,104 168,889 56.2 206,970 295,981 66.9 国産原油 〃 876 1,253 0.7 1,100 1,573 0.5 1,000 1,573 0.3 輸入原油 〃 47,261 67,583 36.4 109,926 157,194 52.3 296,375 280,816 63.5 製品輸入 〃 7,140 10,210 5.5 7,078 10,122 3.4 9,505 13,592 3.1 127 217 0.1 272 465 0.2 272 465 0.1 106 m3 1,586 2,147 1.2 3,115 4,279 1.4 5,400 7,454 1.7 油田ガス 〃 1,304 1,826 1.0 2,800 3,920 1.3 5,000 7,000 1.6 炭田ガス 〃 282 321 0.2 315 359 0.1 400 454 0.1 4,350 2.3 3,693 1.2 3,200 0.7 LPG 天然ガス 103 t 薪 炭 103 t 薪 103 t 6,600 3,300 1.8 5,600 2,800 0.9 5,000 2,500 0.5 木炭 103 t 1,050 1,050 0.5 893 893 0.3 720 720 0.2 185,434 100.0 300,519 100.0 442,190 100.0 合計 17 需給見通しの変化(つづき) 昭和50(1975)年∼ 項 目 / 年 ( )内数値は換算値:1013 kcal 度 48年度(実績) 55年度 省エネルギー前の需要 国産 エネ ル ギ ギー 準国 産エ ネル ギー 784(1013 kcal)[8.3億kl] 383(1013 kcal) 6.4% 9.4% 省エネルギー後の需要 [石油換算4.1億kl] 530(1013 kcal)[5.6億kl] 710(1013 kcal)[7.6億kl] / 区分 実数 構成比(%) 実数 構成比(%) 実数 構成比(%) 2,120万kW 140万kW 4.6 2,350万kW 680万kW 4.2 2,830万kW 1,410万kW 3.7 3万kW 0.0 30万kW 0.1 210万kW 0.5 370万kl 0.9 640万kl 1.2 1,400万kl 1.8 2,168万t 3.8 2,000万t 2.5 2,000万t 1.9 国産計 (37) 9.5 (44) 8.1 (57) 8.0 原子力 230万kW 0.6 1,660万kW 4.4 4,900万kW 9.6 (39) 10.1 (67) 12.5 (125) 17.6 237万t 0.8 2,060万t 5.2 4,200万t 7.9 5,800万t (0) 11.7 9,200万t (470万t) 13.4 10,240万t (1,460万t) 11.2 油 3億1,800万kl 77.4 3億9,300万kl 68.9 4億8,500万kl 63.3 輸入計 (344) 89.9 (463) 87.5 (585) 82.4 (383) 100.0 (530) 100.0 (710) 100.0 地 一般水力 揚水 熱 国内石油・天然ガス 国内石炭 国産・純国産エネルギー計 LNG 輸入 エネ ル ギー 566(1013 kcal)[6.0億kl] 省エネルギー率 一次エネルギー種別 水力 60年度 石 炭 (うち一般炭) 石 合 計 18 需給見通しの変化(つづき) 昭和58(1983)年∼ 項 目 / 年 度 57年度(実績) エネルギー需要 エネルギー別 / 区分 石 炭 (うち国内石炭) (うち一般炭) 65年度 3.88億kl 実数 構成比 (%) 70年度 4.6億kl 実数 構成比 (%) 75年度(試算) 5.3億kl 構成比 (%) 実数 6億kl程度 実数 構成比 (%) 9,450万t (1,830万t) (2,840万t) 18.5 10,800万t (1,800∼2,000万t) (4,300万t) 17.5 12,800万t (1,800∼2,000万t) (5,800万t) 18 16,000∼17,000万t 20程度 原子力 1,730万kW 6.9 3,400万kW 10.8 4,800万kW 14 6,200万kW程度 16程度 天然ガス (うち国内天然ガス) (うち LNG) 2,700万kl ( 21億m3) ( 1,760万t) 7.0 5,600万kl ( 43億m3) ( 3,650万t) 12.1 6,100万kl ( 50億m3) (4,000万t) 6,400∼6,600万kl 11程度 12 水力 1,940万kW 1 940万kW 1,400万kW 5.4 22,200万kW 200万kW 1,800万kW 5.0 22,400万kW 400万kW 1,950万kW 5 22,650万kW 650万kW 2,200万kW 5程度 40万kl 0.1 150万kl 0.3 350万kl 1 600∼700万kl 1程度 90万kl 0.2 800万kl 1.7 1,900万kl 4 3,500∼5,500万kl 6∼9 2.40億kl ( 48万kl) (1,570万t) 61.9 2.40億kl ( 150万kl) ( 1,900万t) 52.5 2.5億kl ( 190万kl) ( 2,100万t) 48 2.5∼2.6億kl 42程度 3.88億kl 100.0 4.6億kl 100.0 5.3億kl 100 6億kl程度 100 地 一般水力 般水力 揚 水 熱 新燃料油、新エネルギー、その他 石 合 油 (うち 国内石油) (うち LPG) 計 (一部抜粋) 1.この見通しは、民間の最大限の理解と努力のもとに、政府の総合的なエネルギー政策の重点的かつ計画的な遂行を前提とした場合のエネルギー需給見通しを示すものである。 2.今後の経済社会情勢は流動的であり、一方、エネルギー政策には現実的かつ弾力的な対処が要求されることに鑑み、この見通しにおいて定められる目標値は、 硬直的なものとしてではなく、幅を持って理解すべきものである。 4.昭和75年度のエネルギー需給見通しは、エネルギー政策の長期的性格に鑑み、1つの試算として将来のエネルギー需給の方向を示したものである。 19 需給見通しの変化(つづき) 平成2(1990)年∼ 項 目 / 年 度 1989年度 一次エネルギー総供給 エネルギー別 / 区分 新エネルギー等 2000年度 4.99億kl 実数 構成比(%) 2010年度 5.94億kl 実数 構成比(%) 6.57億kl 実数 構成比(%) 650万kl 1.3 1,740万kl 3.0 3,460万kl 5.3 水 力 880億kwh (2,050万kw) 4.6 910億kwh (2,270万kw) 3.7 1,050億kwh (2,620万kw) 3.7 地 熱 40万kl 0.1 180万kl 0.3 600万kl程度 0.9 1,830億kwh (2,940万kw) 8.9 3,300kwh (5,050万kw) 13.3 4,740kwh (7,250万kw) 16.9 天然ガス 4,990万kl 10.0 6,500万kl 10.9 8,000万kl 12.2 石 炭 11,360万t 17.2 14,200万t 17.5 14,200万t 15.7 石 油 2.89億kl 57.9 3.05億kl 51.3 2.98億kl程度 45.3 合 計 4.99億kl 100.0 5.94億kl 100.0 6.57億kl 100.0 原子力 20 需給見通しの変化(つづき) 平成6(1994)年∼ 2000年度 項 目 / 年 度 2010年度 1992年度(実績) 一次エネルギー総供給 現行施策織込ケース 新規施策追加ケース 現行施策織込ケース 新規施策追加ケース 5.91億kl 5.82億kl 6.62億kl 6.35億kl 5.41億kl 構成比 (%) 実数 構成比(%) 実数 構成比(%) 実数 構成比(%) 実数 構成比(%) エネルギー別/区分 実数 石 油 石油(LPG輸入除く) LPG輸入 3.15億kl 2.95億kl 1,530万t 58.2 54.5 3.7 3.16億kl 2.93億kl 1,770万t 53.4 49.5 3.9 3.08億kl 2.85億kl 1,740万t 52.9 48.9 3.9 3.31億kl 3.04億kl 2,080万t 50.1 46.0 4.1 3.03億kl 2.77億kl 2,000万t 47.7 43.6 4.1 11,630万t 16.1 13,400万t 16.6 13,000万t 16.4 14,000万t 15.3 13,400万t 15.4 4,070万kl 10.6 5,400万kl 12.8 5,300万kl 12.9 6,000万kl 12.7 5,800万kl 12.8 10.0 3,100億 kwh (4,560万 kw) 12.1 3,100億 kwh (4,560万 kw) 12.3 4,800億 kwh (7,050万 kw) 16.2 4,800億 kwh (7,050万 kw) 16.9 3.3 860億kwh (2,220万 kw) 3.4 1,050億 kwh (2,650万 kw) 3.5 1,050億 kwh (2,650万 kw) 3.7 石 炭 天然ガス 原子力 2,230億kwh (3,440万kw) 水 力 790億kwh (2,100万kw) 3.8 860億kwh (2,220万 kw) 地 熱 55万kl 0.1 100万kl 0.2 100万kl 0.2 380万kl 0.6 380万kl 0.6 新エネルギー等 670万kl 1.2 940万kl 1.6 1,210万kl 2.0 1,150万kl 1.7 1,910万kl 3.0 合 5.41億kl 100.0 5.91億kl 100.0 5.82億kl 100.0 6.62億kl 100.0 6.35億kl 100.0 計 21 需給見通しの変化(つづき) 平成17(2005)年∼ 単位:原油換算百万kl 2010年度 項 目 / 年 度 1990年度 2000年度 省エネ進展&高成長 &原子力LOW レファレンス 一次エネルギー国内供給 エネルギー別/区分 512 実数 構成比(%) 588 実数 構成比(%) 607 実数 構成比(%) 566 実数 構成比(%) 石 油 271 52.8 274 46.5 233 38.4 198 35.1 LPG 19 36 3.6 19 32 3.2 23 37 3.7 28 50 5.0 石 炭 86 16.8 107 18.1 106 17.4 95 16.8 天然ガス 53 10.4 79 13.5 108 17.8 108 19.1 原子力 49 9.6 75 12.7 90 14.8 88 15.6 水 力 22 4.2 20 3.4 20 3.2 20 3.5 地 熱 0 0.1 1 0.1 1 0.1 1 0.1 新エネルギー等 12 2.4 14 2.4 27 4.4 27 4.8 水力・地熱・新エネルギー 等 35 6.7 35 6.0 47 7.7 47 8.4 22 需給見通しの変化(つづき) 単位:原油換算百万kl 平成20(2008)年∼ 項 目 / 年 度 2020年度 2005年度 現行固定ケース 一次 エネルギー 国内供給 エネルギー別 /区分 2030年度 587 構成比 (%) 実数 努力継続ケース 651 構成比 (%) 実数 最大導入ケース 601 構成比 (%) 実数 現行固定ケース 561 構成比 (%) 実数 努力継続ケース 685 構成比 (%) 実数 最大導入ケース 601 構成比 (%) 実数 526 構成比 (%) 実数 石 油 255 43 248 38 232 39 209 37 245 36 220 37 183 35 LPG 18 3 19 3 18 3 18 3 19 3 19 3 18 3 石 炭 123 21 136 21 121 20 110 20 146 21 123 20 95 18 天然ガス 88 15 107 16 87 14 79 14 129 19 94 16 73 14 原子力 69 12 99 15 99 17 99 18 99 15 99 17 99 19 水 力 17 3 19 3 19 3 19 3 19 3 19 3 19 4 地 熱 1 0 1 0 1 0 1 0 1 0 1 0 1 0 16 3 22 3 22 4 26 5 26 4 26 4 38 7 新エネルギー 等 23 ●我が国石炭政策の今後の方向性 24 日本の石炭政策の基本 (1)石炭利用技術の開発と国際展開 (2)海外炭の安定供給確保 ○ 革新的ゼロエミッション石炭火力 発電の開発 −石炭火力発電の高効率化 −二酸化炭素の地下貯留(CCS) 酸化炭素 地 貯留( ) ○ 自給率はほぼゼロ −世界最大の石炭輸入国。 −国内石炭需要の99.3%は海外に 依存 依存。 (国内生産は1960年代の5000万 トンをピークに現在は約100万トン のみ) ○ クリーン・コール・テクノロジー (CCT)の海外協力 −モデル事業 −人材育成 −石炭火力の設備診断 ○ 厳しい地質条件の中で築き上げ た高度な石炭生産・保安技術を海 外へ移転することにより、安定的 な石炭生産に貢献。 25 石炭課予算の全体像 クリーンコールテクノロジー(CCT)の普及 ○石炭火力発電は、世界のCO2排出の3割を占める。 ○Cool Earthーエネルギー革新技術計画(本年3月)の重点的に取り組むべきエネ ルギー革新技術21に、高効率石炭火力発電、二酸化炭素回収・貯留(CCS)が位 置づけ。 ○「低炭素社会づくり行動計画」 (本年7月閣議決定)において、石炭のクリーンな 利用、すなわち「ゼロエミッション石炭火力発電」の実現を目指すと提言。 ○石炭火力発電の設備診断など海外でのCCTの推進・普及も重要。国内における CCTの推進・普及も、着実に実施。 【国内におけるゼロエミッション石炭火力の実現】 革新的ゼロエミッション石炭火力発電プロジェクト(NEDO交付金) 【34.5 (32.5)】 戦略的石炭・ガス化燃焼技術開発(NEDO交付金)【2.8(1.8)】 海外炭の安定供給確保 ○我が国は世界最大の石炭輸入国(99%以上海外炭依存)。 ○我が国の1次エネルギーの約2割、発電量の約3割は石炭。 ○石炭需要の増加等により世界の石炭需給が逼迫し、石炭価格も急騰。 ○インドネシア、中国など、国内需要急増により国内へ優先配分。 ○中国、インドの海外炭輸入量の拡大等を背景に、我が国の海外炭確 保策の強化が必要。 ○また、海外炭の供給力を拡大させる上での産炭国のインフラ整備も重 要。 【日本企業へ海外炭調達支援】 海外地質構造調査(NEDO交付金)【7.0(7.0)】 民間企業による調査が難しい産炭国において、 相手国政府機関等と共同で地質構造調査を実施 【国際的なゼロエミッション石炭火力の協力】 酸素燃焼国際共同実証事業(日豪カライドA)(補助金)【5.9(3.5)】 石炭ガス化技術等実証普及事業(補助金) 【0.8(4.0)】 石炭火力発電原油増進回収国際共同実証事業(中国CCS-EOR)(補助 金) 【2.3(新規)】 【国内におけるCCTの推進・普及】 無触媒石炭乾留ガス改質技術開発(NEDO交付金)【1.0(1.7)】 石炭灰有効利用技術(補助金) 【0.5(0.5)】 CCT推進事業(NEDO交付金) 【0.9(0.9)】 成果普及促進事業(補助金) 【0.1(0.2)】 【海外でのCCTの推進・普及】 クリーン・コール・フォー・アジア協力推進事業(補助金)【12.0(新規)】 国際石炭利用対策事業(モデル事業等)(NEDO交付金) 【11.9(7.9)】 石炭液化協力事業(NEDO交付金) 【1.5(6.0)】 クリーン・コール・テクノロジーの普及事業(ERIA)(委託) 【0.5(新規)】<通政局計上> 海外炭開発可能性調査(NEDO交付金)【1.4(0.9)】 民間企業の海外資源探査を支援(2/3助成金) 海外炭開発高度化等調査(補助金) 【1.1(1.1)】 【未利用資源の開発】 石炭生産技術開発(低品位炭改質技術開発)(補助金)【9.7(8.6)】 【産炭国の人材育成】 産炭国石炭産業高度化事業(炭鉱技術移転事業)(補助金) 【33.8(33.8)】 【日本国内の資源人材育成】 国際資源開発人材育成事業(補助金) 【2.0(2.0)】 【21年度予算(政府原案)額:129.6億円】 (20年度予算額:116.5億円) 26 : 21年度新規事業 石炭利用技術の開発と国際展開施策の体系 (1)革新的ゼロエミッション石炭火力発電の開発 ○石炭火力発電の高効率化 ○二酸化炭素の地下貯留(CCS) 革新的ゼロエミッション石炭火力発電プロジェクト 戦略的石炭・ガス化燃焼技術開発 酸素燃焼国際共同実証事業(日豪カライドA) 石炭火力発電原油増進回収国際共同実証事業(中国CCS-EOR) (2)クリーン・コール・テクノロジー(CCT)の海外協力 ○モデル事業 ○人材育成 ○石炭火力の設備診断 クリーン・コール・フォー・アジア協力推進事業 国際石炭利用対策事業(モデル事業等) 27 石炭分野における国際協力の体系 (1)石炭利用技術の海外への協力 中国:日中省エネ環境総合フォーラム 中国における発電量の7割は、石炭。発電分科会を開催。 インド:日印エネルギーフォーラム イ ドにおける発電量の 割は 石炭 インドにおける発電量の8割は、石炭。 (2)石炭の安定供給確保対策 オーストラリア:日豪HLG インドネシア:日尼石炭政策対話 ベトナム:日越石炭・鉱物資源政策対話 モンゴル:日モンゴル鉱物資源開発官民合同協議会 28 海外炭の安定供給確保施策の体系 (1) 日本企業へ海外炭調達支援 ○基礎的地質・石炭鉱床情報の収集・解析・提供 → 海外地質構造調査 ○石炭鉱床の調査 → 海外炭開発可能性調査 ○イ ○インフラ整備状況等の調査 整備状況等 調査 → 海外炭開発高度化等調査 (2)産炭国の人材育成 → 産炭国石炭産業高度化事業 (3)未利用資源の開発 → 石炭生産技術開発(低品位炭改質技術開発) (4)日本国内の資源人材育成 → 国際資源開発人材育成事業 29 おわりに • 我が国エネルギー需給に占める石炭の役割は 時代によって大きく変化。 • 今後気候変動問題への対応を「経済と環境の 両立」を図りつつ進めていく上で、クリーンな石 炭利用が不可欠。 • クリーンな石炭利用に関する情報の発信が益々 重要。 30 ご清聴ありがとうございました