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平成22年度 健康科学大学自己評価報告書・本編

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平成22年度 健康科学大学自己評価報告書・本編
健康科学大学
Ⅰ
1
建学の精神・大学の基本理念、使命・目的、大学の個性・特色等
健康科学大学建学の精神・大学の基本理念
健康科学大学は、我が国の高度化・多様化する国民の医療・保健・福祉分野でのニーズ
に対応し得る人材の育成を目指しており、これらの分野のうち、理学療法・作業療法・福
祉心理分野の専門職を育成することを基本とし、豊かな教養と人間性高い倫理性に立脚し
た高度な専門性に加え、他の専門領域にも横断的・融合的に理解・研究・実践し得る人材
育成を目的としている。また、これからの福祉社会の形成に向かって様々な複合的な諸問
題に立ち向かえる問題解決型人材の育成をも目的としている。
こうした建学の精神・基本理念を要約すると、
「豊かな人間力」、
「専門的な知識・技術力」、
「開かれた共創力」の三つの力を育成するのが本学の目指す教育の方向であるといえる。
2
建学の精神・基本理念に基づく教育の目的と使命
「教育基本法及び学校教育法の精神に則り、本学創立の精神に基づく人間教育を行い、
広い教養と実務的な専門知識を授けるとともに、旺盛なる自主の精神と強い責任感を涵養
して、文化の向上と医療及び福祉の進歩に寄与し得る有為な人材を育成することを目的と
する」(『学則』第 1 条)。この目的を実現するために、具体的には、次のような人材育成
を目指した教育研究を行っている。
(1)
資質の高い医療技術者及び保健福祉技術者の養成
我が国における医療・保健・福祉を取り巻く環境がめまぐるしく変化する中で、質の高
い理学療法士・作業療法士・社会福祉士・精神保健福祉士等の供給は、ケアの時代におけ
る社会の要請にもかかわらず、非常に立ち遅れている。これらの職種は医療の現場におい
て、単に医師の補助的役割にとどまらず、医師と協調し高度な判断力と医療技術を有する
専門技術者としての力を充分に発揮すべきであり、医療の高度化に対応した資質の高い人
材が求められている。
こうした社会の要請に応え、本学では単なる知識の伝達にとどまらず専門技術者として
の高度な判断力を持ち、高い倫理観と人間性豊かな資質の高い医療技術専門職者と、保健
福祉技術専門職者を養成することを目標としている。
(2)
医療・福祉分野の指導者の育成
21 世紀はケアの時代といわれ、その高度化と複雑化は、ますます進展するものと予測さ
れる。したがって、これに的確に対応するためには、それぞれの領域における専門職者を
必要とすることは当然であるが、さらに今後それらの人材を教育・指導する指導者を育成
することが時代の要請に応えるためにも重要と考えられる。
本学は、こうした社会の要請に応え、優れた判断力と技術を有し、高い倫理性と豊かな
人間性、さらに高度な研究能力を兼ね備えた、医療・福祉分野の専門職を指導する指導者
の育成をも視野に入れている。
(3)
開かれた大学としての地域貢献・連携
開かれた大学として、本学における教育研究活動を、必要に応じて地域に還元するとと
もに、地域との連携による教育研究活動が非常に重要であるとの認識に立ち、積極的な取
組を行っているところである。本学の地域貢献・地域連携に係る具体的な活動例を以下に
1
健康科学大学
示す。
・
大学の教育研究情報の積極的公開・提供
・
市民公開講座、市民参加交流講座の開催
・
地域の医療福祉機関・福祉施設・ボランティア団体等と共同して、地域医療・福
祉の発展に寄与する活動
・
地域福祉の向上、地域経済の活性化、自然・文化環境の改善及び人材育成に寄与
するため富士河口湖町との「包括連携協定」の締結による活動
3
健康科学大学の個性・特色
本学の個性・特色は、本学の基本理念や教育の目的・使命を具現化するために行われて
いる教育研究活動そのものであるが、ここではその中から特色あるものの幾つかを示す。
(1)
カリキュラムに関連した個性・特色
本学の教育目的・目標を実現するために、非常に多彩な科目(全 271 科目)
①
を開講していること。
②
豊かな人間性と高い倫理性を備えた人材の育成を目指して、「総合基礎科目」
の充実を図るとともに、
「総合基礎科目」と「専門科目」が各学科・学年ごとに
バランスよく履修できるように、
「 くさび型カリキュラム」を導入していること。
③
医療・保健・福祉の分野においては、一人の人間をトータルにケアすること
ができるようにするため、関係者が連携して横断的・融合的に実践しうる人材
育成が大切であり、こうした人材の養成を目指して 3 学科共通の「専門基礎科
目」を設けていること。
1 年次生から 4 年次生までを含む少人数グループ編成による演習を取り入れ、
④
「専門科目」や臨床実習を経験した上級学生の具体的な意見やアドバイス等が
下級学生の刺激となるような授業展開をしていること。
⑤ 「プレースメントテスト(英語)」等を実施し、習熟度別のクラス編成を行っ
たり、「リメディアル教育(国語・数学)」を行ったりしていること。
(2)
①
その他の個性・特色
学生自身が学内業務を有償ボランティアとして行う「スチューデントジョブ
制度」を取り入れ、ボランティア精神や愛校心の向上を図っていること。
②
教員の研究活動の活性化を図るため、学内の「研究助成制度」を設け、多く
の教員に研究助成を行っていること。
2
健康科学大学
Ⅱ
1
2
健康科学大学の沿革と現況
本学の沿革
2002 年 12 月 19 日(文科高 8 号)
健康科学大学の設置認可
2003 年
4 月(平成 15 年度)
健康科学大学健康科学部開学
2003 年
4 月(平成 15 年度)
第 1 回入学式
2004 年
4 月(平成 16 年度)
第 2 回入学式
2005 年
4 月(平成 17 年度)
第 3 回入学式
2006 年
4 月(平成 18 年度)
第 4 回入学式
2006 年
9 月(平成 18 年度)
リハビリテーションクリニック開院
2007 年
3 月(平成 18 年度)
第 1 回卒業式
2007 年
4 月(平成 19 年度)
第 5 回入学式
2008 年
3 月(平成 19 年度)
第 2 回卒業式
2008 年
4 月(平成 20 年度)
福祉心理学科に発達臨床心理コース開設
2008 年
4 月(平成 20 年度)
第 6 回入学式
2008 年
9 月(平成 20 年度)
看護学科設置準備室開設
2009 年
3 月(平成 20 年度)
第 3 回卒業式
2009 年
4 月(平成 21 年度)
第 7 回入学式
2009 年 12 月(平成 21 年度)
看護学科設置準備室閉鎖
2010 年
3 月(平成 21 年度)
第 4 回卒業式
2010 年
4 月(平成 22 年度)
第 8 回入学式
本学の現況
○
大学名
健康科学大学
○
所在地
〒401-0380
○
学部の構成
(平成 22 年 5 月 1 日現在)
健康科学部
○
山梨県南都留郡富士河口湖町小立 7187 番地
入学定員
編入学定員
収容定員
理学療法学科
80
-
320
作業療法学科
80
5
330
福祉心理学科
100
20
440
合
260
25
1090
計
(平成 22 年 5 月 1 日現在)
学生数
健康科学部
1 学年
2 学年
3 学年
4 学年
合計
理学療法学科
82
102
91
115
390
作業療法学科
51
47
75
110
283
福祉心理学科
18
29
59
59
165
151
178
225
284
838
合
計
3
健康科学大学
○
(平成 22 年 5 月 1 日現在)
教員数
健康科学部
教授
准教授
講師
助教
助手
合計
理学療法学科
8
3
4
3
2
20
作業療法学科
9
5
2
2
0
18
福祉心理学科
7
5
3
0
2
17
24
13
9
5
4
55
合
○
専任教員数
計
特任教授
2
非常勤講師
36
客員教授
14
客員准教授
7
職員数(平成 22 年 5 月 1 日現在)
職
員
27
4
客員講師
1
健康科学大学
Ⅲ
基準ごとの評価
基準 1
建学の精神・大学の基本理念及び使命・目的
1-1
建学の精神・大学の基本理念が学内外に示されていること。
【1
事実の説明(現状)】
1-1-①
建学の精神・大学の基本理念が学内外に示されているか。
本学の建学の精神・大学の基本理念については、
「1
健康科学大学建学の精神・大学の
基本理念」において述べたが、これらは次に示す冊子あるいは方法・機会を通して広く学
内外に示している。
①「学生便覧」に建学の精神・大学の基本理念等を示すとともに、「学則」の第 1 条
に本学の教育目的を明記し、学内外に公示している。
②「健康科学大学健康科学部教育・研究年報」に建学の精神・大学の基本理念等を明
記し、学内外に公示している。
③「ホームページ」に本学教育の基本理念等を明記し、学内外に公示している。
④「キャンパスガイド」に本学教育の基本理念と目的等を明記するとともに、
「オープ
ンキャンパス」等の機会に説明を行っている。
⑤入学式の学長式辞や理事長祝辞等、大学の行事における挨拶等において、建学の精
神や大学の基本理念について触れ、内外の関係者の理解を深めるようにしている。
【2
1-1 の自己評価】
建学の精神や本学の基本理念、さらにそれを実践的に発展させた精神等は、現段階にお
いても学内外に様々な形で広く発信しているが、今後はさらに発信の機会や方法を増やし
ていく必要がある。また、これらがどの程度内外の関係者に理解されているかを調査し、
必要な場合には具体的な方途を検討したい。
【3
1-1 の改善・向上方策(将来計画)】
本学の建学の精神や基本理念について、学内においては「ホームページ」、入学式・卒
業式の学長式辞・理事長祝辞で更に周知を促進するように努める。また、学外に対しては
「ホームページ」、「キャンパスガイド」、「学生募集要項」等で一層周知の促進に努めると
ともに、後援会活動においては学生の保護者に対しても、本学の独自性をアピールしてい
るところであるが、更に積極的に取り組む方法を開発していく。
また、公開講座や地域支援活動等の折にも、本学の建学の精神や基本理念に関して、理
解を促す活動を行っていく。
5
健康科学大学
1-2
大学の使命・目的が明確に定められ、かつ学内外に周知されていること。
【1
事実の説明(現状)】
1-2-①
建学の精神・大学の基本理念を踏まえた、大学の使命・目的が明確に定められて
いるか。
医療・福祉の領域で活躍する専門技術者の養成を基本とし、あわせて豊かな人間性と高
い倫理性に立脚した高度な専門知識、他の専門領域も横断的・融合的に理解し、研究・実
践し得る人材の育成を目指し、またこれからの福祉社会の形成に向かって様々な複合的な
諸問題に立ち向かえる人材の育成を目標としている本学の建学の理念は、
「学則」に示され
た大学の目的・使命の中で明確に定められ、生かされている。
1-2-②
「1-1
大学の使命・目的が学生及び教職員に周知されているか。
建学の精神・大学の基本理念が学内外に示されていること」において述べたよう
に、学生に対しては入学式における学長式辞等を通して、あるいは「学生便覧」、「ホーム
ページ」に記載するなどして周知している。また、教職員に対しては、新任時の学長講話
に盛り込むとともに、
「健康科学大学健康科学部教育・研究年報」、
「キャンパスガイド」
「ホ
ームページ」等によって周知している。
1-2-③
大学の使命・目的が学外に公表されているか。
「健康科学大学健康科学部教育・研究年報」、
「ホームページ」、
「キャンパスガイド」、
「学
生募集要項」等によって学外に公表するとともに、「オープンキャンパス」や高校生・地域
住民・保護者等が大学を訪問する機会を捉えてこれらの内容の説明を行うなど、学外への
周知に努めている。また、地域連携においては、学長をはじめ各学科の教員が、各地で「健
康の増進」や「リハビリテーション」に関する講演等を行う機会に、本学の使命や目的等
に関する周知に努めている。
【2
1-2 の自己評価】
本学の使命・目的は、建学の精神や基本理念を踏まえて明確に示され、内外に広く周知
する努力は行われている。使命・目的を端的に集約すれば、①「豊かな人間力」、②「専門
的な知識・技術力」、③「開かれた共創力」の三つを兼ね備えた医療・福祉の専門的職業人
を育成するところにあるので、こうした短いキャッチフレーズで、今後はさらに印象深い
アピールを行っていく必要がある。
【3
1-2 の改善・向上方策(将来計画)】
自己評価においても触れたように、詳細に説明するよりも、短いキャッチフレーズで本
学の使命・目的を表現してアピールする方が効果的な面もあるので、こうした手法を取り入
れて内外に広く示していきたい。
また、大学の使命・目的を一歩でもおし進めるための教育研究活動の実践に、教職員が
一層努力していくようにしたい。
6
健康科学大学
【基準 1 の自己評価】
建学の精神及び使命・目的は明確に定められており「学生便覧」、「ホームページ」、「キ
ャンパスガイド」、「健康科学大学健康科学部教育・研究年報」等により学内外に周知する
努力が行われている。学内においては「ホームページ」、入学式・卒業式の学長式辞・理事
長祝辞でさらに周知を促進するように努める必要がある。また、学外に対しては「ホーム
ページ」、「キャンパスガイド」、「学生募集要項」等で一層周知の促進に努めるとともに、
後援会活動においては学生の保護者に対しても、本学の独自性をアピールしているところ
であるが、さらに積極的に取り組む方法を開発していく。
また、公開講座や地域支援活動等の折にも、本学の建学の精神や基本理念に関して、更
なる理解を促す活動を行っていく必要がある。
【基準 1 の改善・向上方策(将来計画)】
①教育研究活動及びその支援業務に、建学の精神及び大学の使命・目的を反映し続ける
には、短いキャッチフレーズでそれを示し、個々の教職員が常に建学の精神や大学の
使命・目的を意識するようにすることが重要である。
また、短いキャッチフレーズの底に流れる精神についての学習会を、学内において
積極的に企画していくようにしたい。
②これまでも様々な機会を捉えて本学の理念や特色を学外へも周知してきたが、学内同
様に、短いキャッチフレーズでアピールするとともに、既存の媒体に依存するだけで
なく、公開講座、後援会、同窓会等を活用することも計画している。
③富士河口湖町との包括連携協定に基づき、今後、地域福祉の向上、地域経済の活性化、
自然・文化環境の改善及び人材の育成に積極的に取り組んでいく過程の中で、本学の
建学の精神・大学の基本理念及び使命・目的の一層の浸透を図っていく。
7
健康科学大学
基準 2
2-1
教育研究組織
教育研究の基本的な組織(学部、学科、研究科、附属機関等)が、大学の使命・目
的を達成するための組織として適切に構成され、かつ、各組織相互の適切な関連性が
保たれていること。
【1
事実の説明(現状)】
2-1-①
教育研究上の目的を達成するために必要な学部、学科、附属機関等の教育研究組
織が、適切な規模、構成を有しているか。
(1)
規模・構成
本学の教育目的は、障害や疾病のある人々あるいは高齢の方々の QOL(Quality Of Life)
の向上を目指す取組みをサポートする質の高い医療スタッフや福祉に携わる人材の育成を
目指すとともに、彼らの卒業後の発展・向上をも支えることにある。平成 22(2010)年 5
月 1 日現在、55 人の専任教員(助手を含む)と 36 人の非常勤教員、29 人の職員(嘱託 2
人を含む)により、第 1 学年から第 4 学年を合わせて 838 人の学生の高等教育を担う組織
として運営している。健康科学大学の組織図を、図 2-1-1 に示す。
健康科学大学 組織図
理学療法学科
健康科学部
健康科学大学
作業療法学科
教授会
大学運営会議
学科長
学科会議
学長
就職委員会
広報委員会
学部長
学科長
学科会議
教務委員会
自己点検・自己評価委員会
学長
学生委員会
人権問題対策委員会
学部長
学外実習教育運営委員会
危機管理委員会
各学科長
FD委員会
共通科目長
研究委員会
図書館長
研究倫理委員会
クリニック院長
国家試験対策委員会
事務局長
紀要編集委員会
全学カリキュラム改革検討ワーキンググループ
福祉心理学科
学科長
学科会議
共通科目
科目長
共通科目担当者会議
年報委員会
入学試験委員会
アドミッションズ・オフィス
懲戒評議審査会
図書館
館長
図書館運営委員会
総務部
総務課
財務課
事務局
局長
管財課
教務部
教務課
学生課
入試広報課
健康科学大学リハビリテーショ ンクリニック
図 2-1-1
健康科学大学組織図
8
院長
リハビリテーションクリニック運営委員会
健康科学大学
(2)
学部の教育・研究組織
学則第 3 条及び図 2-1-1 に示すように、本学は医療技術の専門分野である「理学療法学
科」と「作業療法学科」、並びに社会福祉・臨床心理を専門とする「福祉心理学科」の 3
学科よりなる「健康科学部」1 学部によって構成されている。
また、学科とは独立した組織として、
「 リハビリテーションクリニック」を設置している。
この「クリニック」は、リハビリテーション医療に重点を置いた外来患者の診療により、
地域医療に貢献すると同時に、本学学生の臨床・実地教育及び教員の研究活動の場として
開設されたものである。
(3)
運営
本学の教育及び研究に関する事項については、「学則」に規定する「教授会」に加えて、
図 2-1-1 に示す各種委員会において審議され、運営されている。以下にそれぞれの組織の
主な活動状況を概観する。
1)
大学運営会議
学長、学部長、学科長、共通科目長、図書館長、リハビリテーションクリニック院長、
事務局長を構成員とする組織であり、月例の会議において教育・研究に関する全学的な事
項を審議している。審議事項には、大学で行う行事、各種規程の改定や制定、教員人事、
教育課程、学生に関する諸事項が含まれる。各種委員会で審議された事項について「教授
会」に諮る議事案の作成、及び学科間の調整もこの会議が担っている。
2)
教授会
「教授会」は、助教以上のすべての専任教員によって組織されている。
「教授会」におい
ては、
「学則」に定める事項、すなわち教育及び研究の方針、教育課程に関する事項、教員
の資格審査、学生の入退学、卒業及び厚生補導に関する事項などを審議し、決定している。
3)
学科ごとの会議
本学の教員は共通科目担当の教員もすべていずれかの学科に所属し、学科長のもとに開
催される学科ごとの会議に出席し、学科内の教育・研究に関する事項の審議に参加してい
る。
4)
共通科目担当者会議
「共通科目担当者会議」は、
「総合基礎科目」及び「3 学科共通専門基礎科目」の担当教
員によって構成される会議であり、共通科目長が主宰している。本学ではこれらの科目の
担当教員は 3 学科のいずれかに所属しているので、「共通科目担当者会議」は学科を超え
た組織であり、該当する科目の教育内容及び担当教員の選任、非常勤講師の選任などにつ
いて審議する。一部の学生の基礎学力増強のための科目の開講や「プレースメントテスト」
などの実施についてもこの会議で検討し実施策を起案している。
5)
各種委員会
図 2-1-1 に示すような委員会が設置され、それぞれの委員会規程による構成員により各
分野の審議事項を審議している。
9
健康科学大学
2-1-②
教育研究の基本的な組織(学部、学科、研究科、附属機関等)が教育研究上の目
的に照らして、それぞれ相互に適切な関連性を保っているか。
(1)
大学運営会議における調整
大学全体としての教育・研究活動の統合を図るために、2-1-①で示したように学長と各
部局長が月例の会議を開き、大学として行う事業の全般にわたり、連絡調整と意思決定機
関として機能している。なお、必要に応じて事務局の諸部局の担当者や各種委員会の委員
長などに直接報告や説明を求めたり、緊急事態には臨時の会議を開催したりしてその対応
策を検討している。
学内規則の制定・改定や学生の異動、教員人事など「教授会」の審議を要する事項につ
いてはこの会議で検討した上で提案している。
また、この会議での決定事項、連絡事項は学科長などにより「各学科会議」及び委員会
に伝達され、実行に移される。逆に必要に応じて各種委員会の委員長がオブザーバーとし
て「大学運営会議」に参加し、委員会からの提案事項についての説明を行うことにより「教
授会」に提案するための事前協議や調整を行っている。
(2)
教授会における調整
「大学運営会議」により選択・調整された議題について審議することにより、教育・研
究、学生及び教員人事に関することを決定するという機能を果たしている。加えて各種委
員会から全学的に意見を求めたり、連絡事項の周知・徹底を図るという役割も「教授会」
は担っている。
(3)
各種委員会における調整
図 2-1-1 の組織図に示すように、本学の委員会には全学的な委員会と、主に各学科など
の代表委員からなる「教授会」所管の委員会とがある。前者には「就職委員会」、「広報委
員会」、
「自己点検・自己評価委員会」等があり、後者には、
「教務委員会」や「学生委員会」
のように学科ごとの対応と同時に学科を超えた調整が必要な課題について検討・立案する
委員会がある。
各種委員会で起案され「教授会」に諮る必要のある議案については、前述のようにまず
「大学運営会議」で検討され全学的な調整を行った上で、提出することになっている。
【2
2-1 の自己評価】
本学発足当初、学長の諮問機関として「大学運営会議」の前身となる「運営委員会」を
設け、必要に応じて会議を開き、大学全体に関わる案件の検討と実施に当たっていたが、
学年進行に伴い、教員数や学生数が増加するとともに、本格的な学生の臨床実習開始に向
けて懸案事項が加速度的に増えてきた。そこで、上記に示したように「大学運営会議」を
位置づけ、大学運営の要としての役割を果たすことができるようにした。この「大学運営
会議」がうまく機能して全体的な調整役を果たしているため、学内の組織は正常に機能し
ていると評価することができる。
一方、本学創設期における法人の不祥事(特記事項Ⅱ「法人運営の改善について」参照)
もあり、何度か文部科学省の指導を受ける事態に直面したが、教育・研究の面に関する限
り、
「大学設置審議会」の最終審査もほぼ良好な評価を受けることができており、社会に出
た卒業生の活躍についても好意的な評価を受けることができている。
10
健康科学大学
しかし、受験生の減少、それに伴う学生の全体的な学力低下など、状況は年々変化して
いるので、教職員が一丸となって対応策の策定と実施に取り組んでいるところである。
なお、学外実習の受け入れ施設の開拓と維持のために、各学科が多大な時間とマンパワ
ーを注ぎ込んできたが、こうした成果を全学的に共有・活用し、協力施設等との連絡・調
整等をよりスムーズにするため、平成 20(2008)年度当初から実習関係のデータベースを作
る作業を進めてきた。その結果、各学科で従来管理していた協力施設のデータを共通のデ
ータとして管理・運営できるシステムが完成し、平成 21(2009)年度当初から機能している。
【3
2-1 の改善・向上方策(将来計画)】
学外実習は、教育上非常に重要な位置を占めているので、ここ数年実習場所の開拓に力
を注ぎつつ円滑な実施を試行してきた。平成 21 年度からは、事務処理や連絡・調整等の
問題点を解決するために共通データベースを構築したので、この活用によるスムーズな実
施が期待されている。今後は、このデータベースを改善しつつ活用することによって、さ
らにより良い体制の確立に向けて具体的に取り組んでいく予定である。これにより、教員
はより充実した実習指導に当たることができるようになる見込みである。
2-2
人間形成のための教養教育が十分できるような組織上の措置がとられていること。
【1
事実の説明(現状)】
2-2-①
(1)
教養教育が十分できるような組織上の措置がとられているか。
本学教育目的との関連
本学学士課程の教育目的は、①豊かな人間力の育成、②専門的な知識・技術力の育成、
③開かれた共創力の育成に集約されるが、特に、①と②の力を培うために多くの教養科目
を開設し、人間を対象とする医療や福祉の専門的職業人にふさわしい人材の育成に努めて
いる。教養教育に当たる科目は「総合基礎科目」として位置づけているが、この分野は、
単に専門科目の基礎としてだけでなく、
「英語Ⅰ」や「コンピュータリテラシー」などのよ
うに在学中も卒業後も基本的に必要な学習力をつける科目、医療福祉の基本的な考え方や
歴史を理解するための科目、人間及び地域社会についての理解や倫理観を深めるための科
目などが位置づけられ、卒業までに 35 単位以上の修得を義務づけている。
また、平成 19(2007)年度からは、「リメディアル教育」を取り入れて、新入生の学力や
コミュニケーション能力の向上に努めている。
(2)
「くさび型カリキュラム」の実施
前述のように本学においては、①豊かな人間力の育成、②専門的な知識・技術力の育成、
③開かれた共創力の育成を図るため、4 年間を通してこの 3 つの力がバランスよく育成さ
れるように、
「くさび型カリキュラム」を採用している。この「くさび型カリキュラム」に
関しては、
「基準 3」で詳述するが、下級学年で教養科目を集中的に履修し、上級学年に進
めば専門科目の履修に専念するという図式ではなく、両者が各学年でバランスよく履修さ
れるシステムの採用を意図したものである。
11
健康科学大学
2-2-②
(1)
教養教育の運営上の責任体制が確立されているか。
共通科目担当者会議の役割
「共通科目担当者会議」の概要は前述したが、この会議は、共通科目長が主宰し、教養
教育の在り方や 3 学科共通の「専門基礎科目」の充実に向けて年間数回の会議を開き、学
科を超えて検討しなければならない教養教育や「リメディアル教育」、さらには 3 学科共
通の「専門基礎科目」等について、教育内容・方法の改善充実方策等の諸問題を検討して
いる。
(2)
教養教育を担当する教員
教養教育を重視する観点から 7 人の専任教員を配置するとともに、「専門基礎科目」を
担当する専任教員 10 人にも教養科目を分担してもらうことにより、専任教員による手厚
い教養教育の指導が可能となっている。
また、専任教員に適任者はいないが、教養教育として重要と考えられる科目については、
非常勤講師を委嘱して対応している。ちなみに、平成 22(2010)年度において教養教育に関
わる非常勤講師は 14 人である。
【2
2-2 の自己評価】
本学と同類の他大学とを比較すると「教養教育科目」を担当する専任教員の多さは高く
評価されると考える。また、
「リメディアル教育」を取り入れた実践を行っているが、実施
の経緯を反省してさらに充実を図っていく必要がある。
学生のコミュニケーション能力については、その向上の必要性が当初より認識されてお
り、各学科でいくつかの演習的な科目の中で努力してきているが、入学してくる学生の状
況が多様化しているので、さらに充実させるための方策の検討が必要である。
なお、教養教育に関する組織上の措置や運営上の責任体制は、共通科目長を柱として、
整っているといえる。
【3
2-2 の改善・向上方策(将来計画)】
学生の実情に合わせた「リメディアル教育」やコミュニケーション能力のさらなる充実
が大きな課題となってきているので、専任教員を中心として、その内容の拡充が必要であ
る。日本語の表現力や基礎的な数学の力は、実施の経験を踏まえてさらなる充実を図って
いくための検討を行っているが、コミュニケーション能力の向上を目標とした科目の新設
も検討中である。
カリキュラムの改善については、「教務委員会」とは別に平成 20(2008)年度に「第二次
カリキュラム改革検討 WG(ワーキンググループ)」を立ち上げ(「第一次カリキュラム改
革検討 WG は平成 18(2006)年度に検討を行い平成 19(2007)年度から実施)、教養教育の在
り方も含めて、抜本的な改善に向けて検討を進めてきている。
12
健康科学大学
2-3
教育方針等を形成する組織と意思決定過程が、大学の使命・目的及び学習者の要求
に対応できるよう整備され、十分に機能していること。
【1
事実の説明(現状)】
2-3-①
教育研究に関わる学内意思決定機関の組織が適切に整備されているか。
(1)
教育研究に関わる基本的な意思決定の流れ
進行中の教育の内容や担当教員の変更、学生の履修状況と学習到達度の判定、入退学・
休学などは、基本的に学科の教員会議でまず検討し、
「教務委員会」や「大学運営会議」を
経て「教授会」で承認決定する。次年度の教育計画についても同様な流れで意思決定を行
っている。
教育研究に関わる学科予算の使途及び次年度の概算要求についても、基本的には「学科
会議」が発議し、
「大学運営会議」及び「教授会」での協議を経た上で、
「理事会」で承認・
決定している。
(2)
設備の整備や学生に対する賞罰等
また、学科を超えた共通設備の整備などに関しては、各学科及び各委員会からの要望も
聴取し、「大学運営会議」で調整した上で理事長に諮り、決定している。
学生の表彰については、学長が「大学運営会議」に諮って決定しているが、懲戒処分に
ついては、
「懲戒評議審査会」が調査し、懲戒の内容を「大学運営会議」に提案して「教授
会」で決定している。なお、学生が被害者になる可能性のある人権侵害問題については、
「人権問題対策委員会」で調査・審議して対応策を講じている。
2-3-②
教育研究に関わる学内意思決定機関の組織が大学の使命・目的及び学習者の要求
に対応できるよう十分に機能しているか。
(1)
本学の使命・目的を踏まえた意思決定機関の機能とその運用
様々な組織において、本学の教育研究に関わる意思決定を行うに当たっては、在学して
いる学生の立場を重視するとともに、大学の使命や目的を常に念頭に置いた判断を行うよ
うに努めている。
また、意思決定機関の決定に基づいて、日常的に学生や教員に対応していくためには、
大学事務局の機能が非常に重要であるが、大学事務局は、教員と連携を図りながら誠心誠
意学生への対応や教員の教育研究に対応しているので、円滑に機能しているとみることが
できる。
(2)
学生の要求への対応
学生からの教育内容や教育方法などに関する要望は、各「セメスター」の終わりに行う
学生による授業評価の自由記述欄、あるいは校内 4 ヵ所に設置された意見箱、及び「人権
問題対策委員会」の相談員への申し出など、複数のルートで意見聴取が行われ、精査検討
のうえ学生等の要望に応えている。
13
健康科学大学
【2
2-3 の自己評価】
本学における教育研究に関わる意思決定は、ほぼ良好に行われてきている。本学創設期
における法人の不祥事が明らかとなり、困難な対応を余儀なくされたにもかかわらず、大
学の運営は、大学の使命・目的及び学習者の要求に対応できるように十分に機能し、何ら
支障なく行われてきた。この点は、教職員が一丸となってこの難関を乗り切ろうという意
気込みがあったためである。
【3
2-3 の改善・向上方策(将来計画)】
自己評価においても述べたように、本学における教育研究に関わる意思決定は、ほぼ良
好に行われるように整備され機能している。今後においては、こうした機能を維持すると
ともに、残されている諸問題を洗い出すために、教職員及び学生に対するアンケート調査
などを実施し、教育研究に関わる諸問題や学習者が何を求めどのような改善を望んでいる
か等を探り、改善・向上の方向を見いだしていきたい。
【基準 2 の自己評価】
大学創設期以来今日に至るまで、教育研究組織や管理運営組織に関する諸々の整備に努
め、現在においてはシステム全体として、ほぼ完成され、適切に運用されているとみるこ
とができる。ここ数年、創設初期段階の教員の定年退職に伴い、教員構成が若手にシフト
してきているので、これまでの取組みを継承するとともに、大学としての実力を育成して
さらに発展させるべく努めることが大切である。
また、本学における教養教育に関連する科目は充実しており、組織的に活発に行われて
いて成果を上げているが、専門科目との関連性を考慮する必要性が指摘されているので、
この点に関するカリキュラムの見直しが必要である。
【基準 2 の改善・向上方策(将来計画)】
本学は規模が小さいこともあって、教育研究の基本的な組織は、大学の使命・目的を達
成するために整備され機能しているが、今後の改善方策を探るために、教職員及び学生に
対する調査などを実施し、教育研究に関わる諸問題や学習者が何を求めどのような改善を
望んでいるか等を探り、改善・向上の方向を見いだしていきたい。
また、本学における教養教育は、現在実施の経験や「専門科目」との関連性等を踏まえ
たカリキュラムの見直しを行っており、充実に向けた改善が行われる見通しである。
なお、本学は、一層地域社会の期待に応えることのできる大学として前進するために、
「大学院の設置」や「看護学科の新設」等の実現に向けて具体的な努力を鋭意してきたが、
その最中、創設期における法人の不祥事が発覚した。そのために、現在のところこれらの
計画の早急な実現は困難となっているが、この事態をできる限り早く脱却し、本来の発展
に向けて教職員一丸となって本学設置の理念と目的に向い、教育研究組織・運営等を大き
く発展させるべく取り組んでいかねばならない。その決意を新たにしているところである。
14
健康科学大学
基準 3
教育課程
3-1
教育目的が教育課程や教育方法等に十分反映されていること。
【1
事実の説明・現状】
3-1-①
建学の精神・大学の基本理念及び学生のニーズや社会的需要に基づき、学部、学科
又は課程、研究科又は専攻ごとの教育目的が設定され、学則等に定められ、かつ公
表されているか。
(1)
建学の精神・大学の基本理念
本学の建学の精神や教育理念は、高齢化・少子化・核家族化等、大きく変化する時代の
中にあって、その変化に対応し得る医療・福祉の専門職を世に送り出すため、「(前略)基
礎的で幅広い教養とともに新たな課題に対応できる判断力・創造力・実行力を身につけた
いわゆる『問題解決力』と人間をトータルに捉えて支援するという視点」で人材を育成し、
社会に貢献するところにある。
(2)
本学の教育目的
上記の建学の精神や教育理念を受けて、本学の教育目的は、
「学則」の第 1 条に「・・・
広い教養と実務的な専門知識を授けるとともに、旺盛なる自主の精神と強い責任感を涵養
して、文化の向上と医療及び福祉の進歩に寄与し得る有為な人材を育成することを目的と
する」と定められている。
この教育目的を具現化して、①生命に対する深い理解と他者と共感し交流できる感性を
持ち、共生の思想に基づく強い倫理観と使命感を備えた人材の育成豊かな人間力、②医療・
福祉に関する幅広い知識と先端の技術を身に付けたプロフェッショナルな人材の育成専門
的な知識・技術力、③地域社会における医療・福祉の向上を実現していくとともに、学際的
な研究・教育交流をグローバルな視点から推進できる国際的な人材の育成開かれた共創力
の三つの力の育成が大切であると捉えている。
この目的に添った人材の育成とともに、各学科においてはそれぞれ本学を卒業すること
によって次の表に示す資格取得を目指すこととなっており、この点も本学教育の大きな目
標となっている。
表
3-1-1 卒業により取得できる国家試験受験資格
理学療法学科
理学療法士国家試験受験資格
作業療法学科
作業療法士国家試験受験資格
福祉心理学科
社会福祉士国家試験受験資格
精神保健福祉士国家試験受験資格
なお、「福祉心理学科」においては、平成 20(2008)年度から「発達臨床心理コース」を
15
健康科学大学
設置したが、このコースは、人間の発達や臨床心理に関する学問を極め、
「ヒューマンサー
ビス」に関連した進路に進むことを目的としており、本学の教育目的に沿ったコースとし
て将来の発展が期待されている。
(3)
学部及び学科で育成する人材像
本学の教育目的を踏まえて、学部及び学科において育成する具体的な人材像(具体的教
育目的)を、「学則」第 3 条の 2 で次のように定めている。
「健康科学部」は、理学療法・作業療法・福祉心理分野における専門職の育成を基本と
し、豊かな人間性と高い倫理観を有し、高度な専門領域と他分野の専門領域を包括的に理
解し、実践し得る人材育成を目的とする。
「理学療法学科」は、「Evidence Based Medicine(E.B.M.:根拠に基づいた医療)」を
基本理念として、理学療法の知識と技術を修得し、理学療法の発展に寄与する専門職の人
材育成を目的とする。
「作業療法学科」は、医学的知識を基盤として、科学的思考を展開できる作業療法を身
につけ、医療現場等で主体的に問題を解決できる能力と行動力を持った専門職の人材育成
を目的とする。
「福祉心理学科」は、福祉及び保健・医療等の分野で様々な問題に柔軟に対応できる福
祉の専門職と、環境への不適応など心の悩みを抱える人たちに心理的支援を実践し得る専
門職の人材育成を目的とする。
(4)
本学の教育目的・目標等の公表
本学の建学の精神・教育理念、教育目的や学部・学科の具体的教育目的は、前述した通
りであるが、これらは「学生便覧」や「ホームページ」をはじめ、
「健康科学大学健康科学
部教育・研究年報」あるいは学生の「募集要項」等で広く公表している。
3-1-②
(1)
教育目的の達成のために、課程別の教育課程の編成方針が適切に設定されているか。
授業科目の編成方針(枠組みの設定)
「学則」第 13 条には、
「授業科目を分けて、総合基礎科目及び専門科目とする」と規定
されており、この規定の下に「総合基礎科目領域」と「専門科目領域」とが「くさび型」
の教育課程として機能するように各学科・各学年の履修科目を設定している(図 3-1-1 参
照)。こうした教育課程構成は、下級学年で「総合基礎科目」を集中的に履修し、上級学年
に進めば「専門科目」の履修に専念するという図式ではなく、
「総合基礎科目領域」と「専
門科目領域」が各学年でバランスよく履修され、
「専門的な知識・技術力」を持ったプロフ
ェッショナルな人材の育成とともに「豊かな人間力」と「開かれた共創力」の育成に貢献
し、本学の教育目的の達成にせまることを意図したものである。
【総合基礎科目領域】
1年次
2年次
3年次
【専門科目領域】
図 3-1-1
くさび型カリキュラム
16
4年次
健康科学大学
また、
「セメスター制」を採用し、前期・後期の学期ごとに履修科目を選定し、集中的・
段階的に学習がしやすい工夫も行っている。
(2)
具体的な授業科目の区分とその目的
前述した授業科目の編成方針に基づき、具体的には次のような科目領域・群に分けて、
それぞれの群に属する科目が全学的に広く履修できるような教育課程の編成を行っている。
以下においてこうした区分の基に教育課程の編成を行っている背景について述べる。
1)
総合基礎科目領域における科目群
本学が目指す専門職の人材養成は、いずれも「ヒューマンサービス」や「ヒューマンケ
ア」に関わる分野であり、これらの職種が人間の生命と深く関わることから、生命倫理や
人の尊厳を幅広く理解するとともに、変動する社会に対応できる豊かで幅広くグローバル
な能力を育成するため、「共通基礎科目群」、「情報と社会科目群」、「自然と人間科目群」、
「外国語科目群」の四つの科目群を合わせて「総合基礎科目領域」とした。それぞれの科
目群の特色は次の通りである。
ア
「共通基礎科目群」
4 年間の学習の基礎として、医療・福祉分野を目指す上で身に付けておきたい基礎的な
知識を習得するための科目群で、大学における勉学の進め方、レポート作成やプレゼン
テーションの方法等もこの科目群で学ぶ。
イ
「情報と社会科目群」
「社会学」「社会生活と法律」「社会生活と経済」、「統計学」、「情報科学」等の情報と
社会に関連する分野を学際的に学ぶ科目群である。この科目群においては、社会への奉
仕の精神や地元山梨の文化・産業に関する理解を深めるための科目も用意されている。
ウ
「自然と人間科目群」
科学的思考力や人間に対する理解力を深める科目群である。この科目群においては、
「哲学」や「生命倫理学」、
「心理学」等を通して、人間の心の側面に関して深く考察し、
こうした視点を豊かにしていく。
エ
「外国語科目群」
全ての学生に履修を課している英語のほか、選択科目として「スペイン語」、「ドイツ
語」、「中国語」を設け、国際感覚豊かな人間の育成に努めている。
2)
「専門科目領域」における科目群
「総合基礎科目領域」においても述べたように、
「ヒューマンサービス」や「ヒューマン
ケア」に関わる分野の人材養成のためには、単にそれぞれの分野の専門的知識・技術を育
成するのみならず、広い視野から自己の専門分野を捉えるとともに、関連する分野の専門
職と連携して問題解決を図る能力の育成が大切である。このため「専門科目領域」には、
各学科ごとの「専門科目」である「専門科目群」のみならず、
「3 学科共通専門基礎科目群」
や「専門基礎科目群」を設けた。それぞれの科目群の特色は次の通りである。
ア
「3 学科共通専門基礎科目群」
急速な高齢化や疾病構造の変化等に伴って、医療や福祉に関する社会のニーズは多
元化・複雑化し、質の高い医療・福祉の一体的なサービス供給が求められる時代とな
ってきている。こうした時代背景の中で、一人一人の障害者や高齢者が抱えている問
17
健康科学大学
題を解決するためには、医療や福祉の専門職がそれぞれの専門的知識・技能を発揮し
て、連携・協力して事に当たることがますます求められている。こうした連携プレー
をスムーズに行うことのできる専門職を育成するためには、共通の基盤となる知識・
技術の育成が大切である。
「3 学科共通専門基礎科目群」は、こうした人材の育成を意
図して設けたものである。
イ
各学科ごとの「専門基礎科目群」
それぞれの学科における専門分野の学習を支える科目として、学科ごとの「専門基
礎科目群」を設けている。なお、「福祉心理学科」においては、3 つのコース(「社会
福祉コース」、
「精神保健福祉コース」、
「発達臨床心理コース」)の専門性を支える科目
として、全ての「専門基礎科目」を共通に示している。
ウ
各学科ごとの「専門科目群」
医療・福祉に関わる専門職は、知識のみならず実践場面で必要な専門技術を十分に
身に付けることが大切である。こうした専門職にふさわしい知識と技術を総合的に身
に付けることが出来るように配慮した教育課程の編成が行われている。それぞれの学
科においては、国家試験受験資格取得にかかる指定科目等が無理なく履修できるよう
に、科目の学年配当や必修・選択などの配慮を行っている。
(3)
専門的職業人養成のための実習教育の重視
医療・福祉の専門技術者は、豊かな情操と確かな倫理観を持ち、豊富な教養と専門知識
に基づいて、医療・福祉サービスを現に実践する能力を持っていることが求められる。そ
のために「総合基礎科目領域」及び「専門科目領域」において「必修科目」と「選択科目」
を幅広く用意して学生の視野を広げ、専門的な理解力や知識・技術力を高めるとともに、
4 年間の大学教育を通して、学内実習・学外実習の機会を段階的に提供して実践的な能力
を育成している。
実習は大学の講義や演習等を通して学んだ原理や方法論を、実際の医療技術や対人援助
技術に活用し、その経験を通してさらに深い知識と高度な技術へと発展させていく機会と
なる。
学内実習あるいは見学実習や参加体験実習等は、1 年次からの教育課程に段階的に組み
込まれ、学外の臨床実習に先立って行われる。学内実習は、教員の指導のもとに学生同士
が擬似患者等となって知識に裏付けられた基本的技術を身に付け、学外実習において必要
となる基礎を習得するために行われる。また、見学実習や参加体験実習は、学生の視野を
広げるとともに学外の臨床実習に先立つ準備段階としての役割も担っている。
学外実習は、学内で学習した基本的知識や技術を施設や各種機関、病院等における体験
学習によって、実践的な理解力と応用力を高め、職業人としての資質を養うために行われ
る。また、特に学外実習は、医療・福祉専門技術者としての自覚を喚起し、自己を見つめ
て成長する機会ともなる教育方法であり、専門職養成の教育においては、欠くことのでき
ない重要な位置を占めるという認識に立って、これを重視している。
(4)
特定科目の履修要件の設定
各学科の「専門科目群」においては、履修の順次性等を勘案した履修指導が大切である。
このため、科目の学年配当や必修・選択必修・選択の区別などに配慮した教育課程の編成
を心掛けているが、各学科においては、別に特定科目の履修要件を設けて、履修の系統性
18
健康科学大学
が保たれるようにしている。以下に各学科の特定科目の履修要件の例を示す。
1)
理学療法学科
①
「臨床実習Ⅲ」
3 年次後期までに履修することができる必修の「専門基礎科目」、「専門科目」を
全て履修していることが履修の要件である。なお、実習中に定めた単位が取得でき
ないことが判明した場合は、この科目の単位は認めないこととなっている。
② 「理学療法学特論」等
「理学療法学特論Ⅰ」、「理学療法学特論Ⅱ」、「臨床実習Ⅳ」、「理学療法演習Ⅳ」
に関しては、以下の表 3-1-2 に示す単位の取得が必要条件となる。
表 3-1-2
科目区分
2)
取得単位数
総合基礎科目(外国語を除く)
29 単位以上
外国語科目
4 単位以上
専門基礎科目
23 単位以上
専門科目
48 単位以上
作業療法学科
①
「臨床実習」
ア
「臨床実習Ⅱ」
次の 3 点が履修の条件となる。
・「臨床実習Ⅰ」の単位を取得していること。
・2 年次前期までの必修の「専門基礎科目」と「作業療法専門科目」の単位を
取得していること。
・2 年次後期の必修の「専門基礎科目」と「作業療法専門科目」の期末試験受
験資格があること。
イ
「臨床実習Ⅲ」
2 年次までの必修の「専門基礎科目」と「作業療法専門科目」の単位及び 3 年次
前期の「作業療法専門科目(必修)」の単位を取得していることが履修の条件となる。
ウ
「臨床実習Ⅳ」
3 年次の必修の「専門基礎科目」と「作業療法専門科目」を取得していること
が履修の条件となる。
②
講義の履修順位
ア
各領域「作業療法学Ⅱ(精神障害・発達障害・老年期障害)」
「精神障害作業療法学Ⅱ」、「発達障害作業療法学Ⅱ」、「老年期障害作業療法学
Ⅱ」は、当該領域の「作業療法学Ⅰ」を取得していることが履修の条件となる。
イ
「運動学Ⅱ」
「運動学Ⅱ」は、「運動学Ⅰ」を取得していることが履修の条件となる。
19
健康科学大学
ウ
「身体障害作業療法学演習Ⅱ」
「身体障害作業療法学演習Ⅱ」は、「身体障害作業療法学演習Ⅰ」を取得して
いることが履修の条件となる。
エ
「卒業研究」
「研究法演習」を取得していることが履修の条件となる。
3)
福祉心理学科
①
「相談援助実習」(「社会福祉士コース」)
下記の表 3-1-3 に定める科目の単位取得が必要である。ただし、特に事情があ
る学生(例えば、編入学生等)に関しては、
「学科会議」で審議し、その結果によ
っては、学外実習を認めることができることとなっている。
なお、第 3 学年の前期終了時に下記の条件を満たすことができなかった学生の
うち、第 3 学年終了時に条件を満たすことができた場合は、第 4 学年において 3
年次分、4 年次分の実習を併せて行うことができる。
表 3-1-3
科目区分
総
合
基
礎
科
目
領
域
専
門
科
目
領
域
科
目
名
標準履修年次
単位数
人間と健康
1年
2 単位
基礎演習Ⅰ
1年
1 単位
基礎演習Ⅱ
1年
1 単位
社会保障論Ⅰ
1年
2 単位
1・2 年
2 単位
心理学Ⅰ
1年
2 単位
英語Ⅰ
1年
2 単位
英語Ⅱ
1・2 年
2 単位
心理学理論と心理的支援
1年
2 単位
社会保障論Ⅱ(平成 21 年度以降入学者)
1年
2 単位
現代社会と福祉Ⅰ(社会福祉原論Ⅰ)
1年
2 単位
現代社会と福祉Ⅱ(社会福祉原論Ⅱ)
1年
2 単位
相談援助の基盤と専門職Ⅰ(社会福祉援助技術論Ⅰ)
2・3 年
2 単位
相談援助の理論と方法Ⅰ(社会福祉援助技術論Ⅱ)
2・3 年
2 単位
3年
2 単位
社会生活と法律(平成 20 年度以前入学者のみ)
相談援助実習指導Ⅱ(社会福祉援助技術現場実習指導Ⅰ)
②
「精神保健福祉援助実習」(「精神保健福祉士コース」)
「社会福祉士コース」の場合と同様、一定の科目の単位取得が必要であり、そ
の科目名・標準履修年次・単位数が表に示されている(表は割愛)。
その他の条件は、「社会福祉士コース」と同様な定めがなされている。
③
「相談援助実習」、「精神保健福祉援助実習」
「相談援助実習」と「精神保健福祉援助実習」の両方を希望する学生は、上記の
①と②の両方の要件を満たす必要がある。
20
健康科学大学
3-1-③
(1)
教育目的が教育方法等に十分反映されているか。
全般的事項
3-1-①-(1)においても述べたように、本学の教育目的は、①「豊かな人間力」、②「専門
的な知識・技術力」、③「開かれた共創力」の 3 つの力を育成するところにある。この教育
目的を実現するために、科目領域・群を設けて多彩な科目を設定しているが、具体的な教
育方法においても様々な工夫を行っている。例えば、演習等においては、少人数によるき
め細かな指導を通して、大学生活の意義や学習への取り組み方法等の指導を徹底し、3 学
科共通の「専門基礎科目」においては、医療・福祉を幅広い立場から理解して、人間をト
ータルに捉えて対処できる共創力の育成に努めている。また、専門分野の科目においては、
単に知識の伝達に終わることのないようにするため、お互いに擬似患者等となって援助・
治療の実際を試みる方法、症例等の検討を通して学習する方法、障害当事者との交流を通
して学ぶ方法等を取り入れている。
また、専門性を高めて臨床場面においてそれが発揮できるように、一般的な講義や演習
における様々な指導方法の工夫の他、実験、学内実習、学外実習(施設や病院等における
実習)など、実際体験を通した能動的な学習を重視している。例えば学外実習に関してみ
ると、視野を広げるための見学実習(1 年次)に始まり、現場の実際に触れてその実態を
知る参加体験実習(2 年次)を経て、実際の臨床実習へと発展させるようなプログラムを
各学科において設定している。こうした学外における実習においては、実習協力施設の専
門職の方に指導を依頼するとともに、大学の担当教員が施設を訪問して連携しながら指導
する方法を取っている。こうした方法は、毎年度の初頭に学生全員へ配付されるシラバス
に詳細な内容が記載されていて、各学科の「オリエンテーション」でも学生に資料や口頭
で十分説明し、その内容が周知徹底されるようにしている。
なお、学外実習のスーパーバイザーの役割を担当している方々を毎年大学に招いて「指
導者会議」を開催し、実習に関連した様々な情報交換を行っている。
(2)
具体的な教育方法の工夫例
1)少人数による演習の実施
1 年次の必修として位置づけられている「基礎演習Ⅰ」においては、3 学科混合で 13~
14 名程度のクラス分けを行い、少人数できめ細かな指導が実施できる態勢を整えている。
また、
「日本語表現演習」や各学科において実施される専門的な演習においても、できる限
り少人数できめ細かな指導が行われるように努めている。
2)授業に於ける視聴覚機器等の日常的な活用
各教室には、パソコンやプロジェクター等が常備されており、授業においては常に新鮮
なデータを提供しながら講義が進められるように工夫されている。
3)少人数クラスによるきめ細かな外国語の履修
外国語、特に必修となっている「英語Ⅰ」は、「プレースメントテスト」結果に基づく
少人数のクラス分けを行うなどして、個々のニーズに応じたきめ細かな指導が行われるよ
うに配慮している。
4)外部講師を招き臨場感のある授業内容の重視
「専門科目」における講義や演習、実習においては、できる限り説得力と臨場感のある
授業を展開するため、外部の「特別非常勤講師」
(1~2 時間程度の短い授業時間を限定して
21
健康科学大学
依頼する講師)を数多く招いて専門的立場から部分的な内容の補足等を行ってもらってい
る。ちなみに、平成 21(2009)年度において招いた特別非常勤講師の数は 85 名(平成
19(2007)年度は 89 名、平成 20(2008)年度は 94 名)にのぼっている。
【2
3-1 の自己評価】
①
本学の教育目的は、
「豊かな人間力」、
「専門的な知識・技術力」、
「開かれた共創力」
の育成にあり、開学以来この目的実現のためのカリキュラムの整備や内容の充実に
努めてきた。特に、平成 18(2006)年度におけるカリキュラム改善のための検討を経
て、平成 19(2007)年度から現行のカリキュラムに移行したが、この改善は、本学教
育目的の更なる深化を目指したものとして評価したい(カリキュラム改善に関して
は後述)。
②
幅広い分野の講義等を提供し、豊かな人間性を育成したり、専門基礎分野と専門
分野の講義・演習・実習を調和的に提供して専門的な知識・技能を育成したり、学
科を越えた分野のカリキュラムを用意して、特に医療と福祉の分野の連携を深める
ことのできる人材の育成に努めたりしている点は、一定の評価をしてよいのではな
いか。
③
なお、本学の教育目的・目標をはじめ、具体的な教育活動に関する情報は、ホー
ムページや「健康科学大学健康科学部教育・研究年報」をはじめ、様々な機会を通
して広く公開するように努めている。
【3
3-1 の改善・向上方策(将来計画)】
①
カリキュラムや講義内容は、不断に見直しが行われなければならないという立場
に立ち、一層の充実のための取り組みを行う。
②
第一次のカリキュラムの改善によって、
「外国語履修」の見直し、3 学科共通の「専
門基礎科目」の創設、基礎学力向上を目指す科目の設定等、本学教育目的・目標の
実現に向けた改善は図られたが、今後に残されている課題も幾つか見受けられるの
で、現在これらを踏まえた改善を進めている。
③
医療と福祉の連携を重視した専門職の育成を目指すため、3 学科共通の「専門基
礎科目」を設けているが、この趣旨を一層明確にするための科目構成と各科目の内
容の吟味が大切であるため、その検討を進めている。
④
また、3 学科共通科目(「総合基礎科目領域」・「3 学科共通専門基礎科目群」)と
各学科専門科目との関連性の明確化、多様な科目を統合・整理(現在、270 以上の
科目を開講している)して、本学の教育目標に一層迫ることのできる系統性のある
カリキュラムの構築、さらに、学生が履修しやすいカリキュラムの態勢という観点
から、カリキュラムの改善に向けて検討しているところであり、ほぼその成案がで
きている(具体的な点は後述)。
22
健康科学大学
3-2
教育課程の編成方針に即して、体系的かつ適切に教育課程が設定されていること。
【1
事実の説明・現状】
3-2-①
(1)
教育課程が体系的に編成され、その内容が適切であるか。
基本的な考え方
3-1-①及び 3-1-②で述べたように、大学で用意する科目を大きく「総合基礎科目領域」
と「専門科目領域」に分け、
「総合基礎科目」と「専門科目」とがバランスよく履修できる
ように「くさび型」の教育課程の編成を基本に置いている。
「総合基礎科目領域」は、さら
に「共通基礎科目群」、「情報と社会科目群」、「自然と人間科目群」、「外国語科目群」の 4
つの内容の枠組みを設けて、それぞれの群が偏りなく履修できる体制を整えている。また、
「専門科目領域」は、「3 学科共通専門基礎科目群」、学科別の「専門基礎科目群」及び学
科別の「専門科目群」の枠組みを設けて、専門性を育成する基礎的な知識・技術の上に、
高い専門領域の学習ができる履修体制を整えている。
(2)
各学科の履修モデルの提示
学生が意欲的に学習に取り組んだり、それぞれの資格取得や卒業後の進路の希望などを
踏まえて系統的に履修科目の選択を行ったりできるようにするため、履修モデルを提案し、
全学履修ガイダンスを年度始めに実施するとともに、個々の学生の意欲と学習の系統性を
確保するために「基礎演習Ⅰ」の担当教員による個別の履修指導を行っている。
3 学科の学生は、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、精神保健福祉士などの国家試
験受験資格の取得を目指しており、専門科目の履修はその指定科目が中心となる。大学に
おける幅広い勉学の中で、こうした資格取得がスムーズに行われるように、学生に対して
個別に履修指導を行う指導教員(アドバイザー)を置き、授業の理解度を考慮しながら、
適切な履修方法を指導するよう努めている。
以下の表 3-2-1 に「理学療法学科」の履修モデルを示すが、「作業療法学科」や、「福祉
心理学科」
(「社会福祉士コース」、
「精神保健福祉士コース」、
「発達臨床心理コース」)にお
いても同様な履修モデルが学生便覧に示されており、学生が履修計画を作成する際の参考
となっている。
表 3-2-1
学年
1年
2年
理学療法学科(理学療法士受験資格取得)
総合基礎科目
専門科目
人間と健康(2)
生命科学(2)
統計学(2)
リハビリテーション概論(2) 生活と物理(2)
基礎演習Ⅰ(1)
基礎演習Ⅱ(1)
コンピュータリテラシ-Ⅰ(1)又はコンピュータリテラシ-Ⅱ(1)の
中から1科目を必修
英語Ⅰ-1(1)
英語Ⅰ-2(1)
(この他に選択科目から 6 単位を選択)
英語Ⅱ-1(1)
英語Ⅱ-2(1)
人間発達学(2)
解剖学実習Ⅰ(1)
生理学Ⅱ(2)
理学療法演習Ⅰ-2(1)
理学療法概論Ⅱ(1)
運動学Ⅱ(1)
臨床実習Ⅰ(1)
臨床心理学(2)
解剖学Ⅱ(1)
(この他に選択科目から 8 単位を選択) 病理学(1)
精神医学Ⅰ(1)
内科学(1)
理学療法演習Ⅱ-1(1)
理学療法診断学Ⅰ-1(1)
理学療法診断学Ⅱ(2)
23
解剖学Ⅰ(2)
生理学Ⅰ(2)
理学療法演習Ⅰ-1(1)
理学療法概論Ⅰ(1)
運動学Ⅰ(1)
物理療法学Ⅰ(1)
生理学実習(1)
整形外科学(2)
臨床医学総論(1)
神経内科学(2)
小児科学(1)
理学療法演習Ⅱ-2(1)
理学療法診断学Ⅰ-2(1)
運動学実習(2)
単位
38
単
位
40
単
位
健康科学大学
(選択科目から 2 単位を選択)
3年
医療と福祉(2)
4年
(必要に応じて選択科目を履修)
理学療法評価学(2)
物理療法学Ⅱ(1)
運動療法学(1)
運動解剖学(1)
臨床実習Ⅱ(2)
(この他に選択科目から 2 単位を選択)
リハビリテーション医学(1)
理学療法演習Ⅲ-1(1)
理学療法演習Ⅲ-2(1)
循環器系理学療法学(1)
代謝系理学療法学(1)
義肢装具学(1)
義肢装具学実習(1)
理学療法治療学総論(1)
運動系理学療法学Ⅰ(1)
運動系理学療法学Ⅱ(1)
神経系理学療法学Ⅰ(1)
神経系理学療法学Ⅱ(2)
日常生活活動学(1)
日常生活活動学実習(1)
臨床運動学(2)
呼吸器系理学療法学(1)
P.T.マネジメント(1)
高齢者理学療法学(1)
地域理学療法学(1)
臨床実習Ⅲ(5)
(この他に選択科目から 8 単位を選択)
理学療法学特論Ⅰ(1)
理学療法学特論Ⅱ(1)
臨床実習Ⅳ(10)
理学療法演習Ⅳ(2)
(必要に応じて選択科目を履修)
計
36
単
位
16
単
位
130
単
位
は全学共通必修科目
「単位の内訳」
総合基礎科目
全学共通必修科目
13 単位
(選択必修1単位及び外国語4単位を含む)
学科の必修科目
6 単位
選択科目
16 単位
計
35 単位
(3)
専門科目
専門基礎科目群の必修科目
専門科目群の必修科目
専門基礎科目群及び
専門科目群の選択科目
計
23 単位
62 単位
10 単位
95 単位
FD(Faculty Development)委員会による授業評価や授業改善研修会
各学期(前期・後期)の終了時に、学生による授業評価を実施し、その結果を各教員の
授業改善に役立てている。この学生による授業評価には、具体的な授業の進め方のよさや
問題点の指摘等があるので、各教員が授業を反省し改善するためのヒントとなっている。
また毎年、
「FD 委員会」主催の授業改善研修会を行い、授業を改善するための具体的取
り組みとして事例を各教員で紹介し合い、「研鑚」に努めている。
(4)
シラバスの修正
学生による授業評価や「FD 委員会」主催の授業改善研修会等を踏まえて、学生が興味
や関心を持って主体的に授業に参加するための工夫、学生参加型授業の工夫や、より分か
りやすい授業を展開するための工夫等を実現するために、毎年各授業のシラバスを見直し
ている。
(5)
教育課程の見直し作業
教育課程が適切であるか否かは、不断に評価を行い、その結果に基づいて改善充実を図
っていく必要がある。本学においては、こうした認識のもと、平成 18(2006)年度以降、
「カ
リキュラム改革検討 WG(ワーキンググループ)」を設置し、改善に関して検討を行ってい
る。カリキュラム改善のこれまでの具体的取り組みについて以下に述べる。
1)
第一次教育課程の改善
平成 18(2006)年の 1 月から 6 月にかけて、開学当時からのカリキュラムを見直し、実施
24
健康科学大学
の経験と本学の教育目的の更なる深化に向けて必要な改善を行った。この改善された教育
課程は、平成 19(2007)年度入学者から実施に移されている。改善の骨子は以下の通りであ
る。
平成 18 年 7 月 19 日
全学カリキュラム改革検討 WG 最終報告
全学カリキュラム改革検討 WG
「全学カリキュラム改革検討 WG」は、平成 19(2007)年度からのカリキュラム改善に向けて、平成 18(2006)
年 1 月から具体的な検討を開始し、3 月には改善のための検討課題を明確にして各部署における検討の依頼を
行った。3 月以降は、全学カリキュラム改革検討 WG と各部署における検討を並行して行いながら、今日まで
多くの課題の検討・整理を行ってきた。こうした検討の結果は、
「全学カリキュラム改革検討 WG 最終報告骨
子(案)」として 6 月開催の教授会において提示し、全学教員の意見を求めたところである。
「全学カリキュラ
ム改革検討 WG」においては、寄せられた意見を検討して必要な修正を加え、ここに最終報告(案)をまとめ
ることができた。
検討期間が短期間であったため、今後に残された課題も多いが、今回まとめられたカリキュラムの改善が、
本学教育の充実のために大きな役割を果たすことを期待したい。
Ⅰ
1
①
カリキュラム改善に関する全体的事項
カリキュラム改善に向けた検討の意義と目的
本学は平成 18(2006)年度をもって完成年度を迎え、大学設置審の「年次計画履行状況調査」等のいわゆ
るアフターケアが終了する。これにともない、平成 19(2007)年度以降のカリキュラムは、大学独自の自己
点検・自己評価に基づく大幅な改善が可能となる。
②
本学建学の目的は、医療・福祉に関する専門的な知識や技術だけではなく、豊かな人間性、高い倫理性、
幅広い分野の知識と教養を身につけた人材を育成し、世に送り出すことにある。また、医療・福祉・心理
の各専門領域を横断的・融合的に研究・実践する力を身につけて、将来は後進の教育に当たることのでき
る人材の育成をも視野に入れている。この建学の精神を一層具体化するために、これまでのカリキュラム
実施の経緯や反省を踏まえ、必要なカリキュラムの改善を図る。
③
カリキュラムは、本学が目指す特色ある教育や人材育成の方向を具体化するものであるから、建学の精神
を踏まえつつ、今一度、本学が目指すべき人材育成等の具体的イメージを明確にし、その実現に向けたカ
リキュラムの検討を行う。
④
3 学科それぞれに課せられた人材養成の目的を尊重しながらも、本学全体で取り組むべき課題を明確にし、
それらの課題の実現にふさわしいカリキュラムにするための改善を図る。
⑤
カリキュラムの検討・改善は不断に行わなければならないものであるから、今回の検討・改善はその一環
として位置付ける。
2
(1)
①
カリキュラム改善に向けた具体的な検討の結果等
現行の考え方を踏襲するもの
カリキュラムの大枠は、従来通り「総合基礎科目」、
「専門基礎科目」、
「専門科目」で構成する。また、
「総
合基礎科目」は、「共通基礎科目」、「情報と社会」、「自然と人間」、「外国語」とする。
②
第 1 学年から第 4 学年までの科目履修モデルは、従来通り「くさび型カリキュラム」を踏襲し、このく
さび形カリキュラムが一層明確になるような改善を行う。
③
卒業に必要な単位数については、現行通り 130 単位とし、
「総合基礎科目」、
「専門科目(「専門基礎科目」・
「専門科目」で構成)」のそれぞれの枠組みにおいて取得すべき単位数の内訳も現行通りとする。
(2)
各部署における検討結果
カリキュラム改善のための具体的検討は、「全学カリキュラム改革検討 WG」が示した検討課題(中間報告)
に基づき、各部署における「カリキュラム改革検討 WG」において行われた。具体的な検討課題項目はここで
は割愛する。
25
健康科学大学
各部署における検討結果の骨子は、別紙に示す通りである。なお、「総合基礎科目」の改善に関する検討結
果に関しては、「全学カリキュラム改革検討 WG」の報告に包含されている。
(3)
①
全学的視点から時間をかけて検討すべき今後の課題
「総合基礎科目」
・
「専門基礎科目」
・
「専門科目」の科目間の関連性、履修の順次性等については、今回十
分な検討を加えることができなかった。そこで、今後の改善において実施の経験等を踏まえた見直しを行う
必要がある。また、それぞれの枠組みにおける単位取得数の規定に関しても、必要な見直しを行う必要があ
る。
②
検討期間等の関係で、内容に関して十分に検討できなかった科目もみられる。こうした科目に関しては、
実施の経緯を踏まえつつ、内容の見直しを行い、その内容の更新、科目の統合や廃止、あるいは新たな科目
の設定等に時間を掛けて検討する必要がある。
③
学科間の転学科を想定して、カリキュラム上に工夫の余地がないかどうかを検討する。
④
学生の自主的・主体的なボランティア活動を、単位として認定できる方策に関して検討する必要がある。
⑤
昼休みの時間帯を固定する現行の時間割を改め、よりフレキシブルに昼休みが取れるようにすること等を
目的として、日課時限の工夫ができないかどうかを検討する必要がある。
⑥
「介護福祉士」など、新しい視点で人材養成を行う必要があるかどうか検討することが大切である。
2)
第二次教育課程の改善への取り組み
第一次教育課程の改善においては、時間を掛けて検討すべき幾つかの課題が残された。
また、
「総合基礎科目領域」と「専門科目領域」との関連が必ずしも明確でないという意見
や、学生がもっとゆとりを持って学べる態勢を整えるべきだという意見も聞かれ、これら
に対応するためのカリキュラムの改善が求められていた。こうした課題を検討するため、
平成 20(2008)年度から、第二次の教育課程改善のための検討を行ってきた。改善の主な内
容は、次の通りである。
平成 22 年 5 月
1
カリキュラム改善の意義と目的及び具体的改善の方向
カリキュラム改善の意義と目的
今回のカリキュラムの改善は、次のような意義と目的を実現するために行うものである。
①
本学は平成18(2006)年度をもって完成年度を迎え、大学設置審の「年次計画履行状況調査」等のいわゆ
るアフターケアが終了した。これにともない、平成19(2007)年度から実施されるカリキュラムの改善に向
けて、平成17(2005)年度の後半から平成18(2006)年度の前半に第一次カリキュラムの改善作業が行われた。
今回のカリキュラム改善は、この第一次カリキュラム改善に続く第二次カリキュラム改善と位置づけること
ができる。
② 本学建学の目的は、医療・福祉に関する専門的な知識や技術だけではなく、豊かな人間性、高い倫理性、
幅広い分野の知識と教養を身につけた人材を育成し、世に送り出すことにある。また、医療・福祉・心理の
各専門領域を横断的・融合的に研究・実践する力を身につけて、将来は後進の教育に当たることのできる人
材の育成をも視野に入れている。今回のカリキュラムの改善は、この建学の精神を一層具現化するために、
これまでのカリキュラム実施の経緯や反省を踏まえて、必要な改善を図るものである。
③ カリキュラムは、本学が目指す特色ある教育や人材育成の方向を具体化するものであるから、建学の精神
を踏まえつつ、今一度、本学が目指すべき人材育成等の具体的イメージを明確にし、その実現を図ることを
基本に据えて改善を行うものである。
④ また、本学に設置されている3学科それぞれに課せられた人材養成の目的を尊重しながらも、全学科で共
通に取り組むべき課題を明確にし、それらの課題の実現にふさわしいカリキュラムにするための改善も図る
こととした。
⑤ カリキュラムの検討・改善は不断に行わなければならないものであるから、今回の検討・改善はその一環
として位置付けることとした。
①
②
2 カリキュラム改善の具体的視点
学生が、ゆとりを持ってじっくり勉学に取り組むことのできるカリキュラムの実現を図ったこと。
専門領域を支える基礎学力の向上を図るための科目の充実を図ったこと。
26
健康科学大学
③
④
専任教員によって、密度の濃い充実した指導を行うことのできる体制を重視したこと。
国際的に活躍することのできる人材育成のため、「英語」科目の一層の充実を図るとともに、近隣諸国と
の交流をも視野に入れた外国語の再編を行ったこと。
⑤ 医療と福祉の連携によって、当事者主体の支援を行うことのできるチームアプローチ力を育成するため、
「専門基礎科目群」は全て3学科共通の科目として位置づけるとともに、当事者の理解を促すための「心理
学関連科目」の充実を図ったこと。
⑥ 「専門科目群」に関しては、細分化されている科目の統合を図るなどして、できる限り科目数の縮減に努
め、学生がゆとりを持って学業に取り組めるようにしたこと。
3 カリキュラムの枠組みの改善
カリキュラム改善の具体的視点を勘案して、カリキュラムの枠組みと卒業までに修得すべき単位数を次のよ
うに変更する。
① カリキュラムの枠組みを大きく分けて、「総合基礎科目領域」と「専門科目領域」とし、卒業に必要な単
位数を、「総合基礎科目領域」:25単位以上、「専門科目領域」:105単位以上とする。
② 「総合基礎科目領域」は、「共通基礎科目群」、「人間基礎科目群」及び「外国語科目群」によって構成
し、「専門科目領域」は、「専門基礎科目群」及び「専門科目群」によって構成する。
3)
発達臨床心理コースの設置
平成 20(2008)年度から、「福祉心理学科」に「発達臨床心理コース」が新たに設けられ
た。このコースは、「福祉心理学科」において、「社会福祉士」や「精神保健福祉士」の勉
学を行っている学生の中に、人間の発達や臨床心理に関する学問をさらに深く極めたいと
いう要望が根強くある点を踏まえて設けたコースである。したがって、
「福祉心理学科」に
おいては、従来の「社会福祉コース」、「精神保健福祉コース」とともに、第 3 のコースと
して「発達臨床心理コース」が位置付けられたわけである。このコースにおいては、発達
や臨床に関連する「心理学」を中心に学問を修めて大学を卒業することもできるし、
「発達
臨床心理」とともに「精神保健福祉士」の国家試験受験資格を取得して卒業することもで
きるようにカリキュラムが構成されている。
4)
社会福祉コースのカリキュラムの改善
平成 21(2009)年度からは、法律の改正に伴い、「社会福祉士」の国家試験資格受験資格
を取得するためには、新たなカリキュラムの枠組みで教育することとなった。これを受け
て、「福祉心理学科」の「社会福祉コース」のカリキュラムが改訂された。
3-2-②
(1)
教育課程の編成方針に即した授業科目、授業の内容となっているか。
全般的事項
教育課程の編成方針に即して授業科目が適切に履修されるように、3-1-②-(4)において詳
述した通り、重要な科目の履修に関しては、その前段階としての履修要件を設定するなど
の工夫を行っている。また、授業内容が教育課程の編成方針に即して適切に設定されるよ
うにするため、関係者間で検討するなどして全ての授業のシラバスを作成するとともに、
年度末には授業の反省や研修等を踏まえてその改善を図っている。
(2)
シラバスに掲載する基本的事項
シラバスに掲載する基本的事項は、科目名(科目の分類)、必修・選択の区分、担当教員、
単位数、標準履修年次、開講学期(前期・後期の別)、学習目標、授業概要、教科書、参考
書、成績評価方法、各授業時間(講義)における内容(できるだけ詳細に)、及び、備考の
13 項目から成る。
27
健康科学大学
(3)
授業内容の改善
毎学期末には、学生による授業評価を行っているが、この授業評価結果等を踏まえて、
各教員が授業の反省を行うとともに、教材の提示方法等具体的な授業方法の改善に関して
も、
「FD 委員会」主催の研修会等を通して「研鑽」を行い、改善に結びつけるよう努めて
いる。
また、「共通科目担当者会議」や「学科会議」等を通して、教育課程の編成方針に即し
た授業内容となっているかどうかの反省と検討を行っている。
3-2-③
年間学事予定、授業期間が明示されており、適切に運営されているか。
(1)
セメスターの採用と学事予定の設定
本学は「セメスター制(前期と後期)」を取り入れ、年度当初に授業時数を確保するこ
とを第一義として年間学事予定を設定している。これらの行事予定や授業回数は、年度当
初に学生に配付することとしている。
(2)
授業時数確保のための工夫
本学は標高約 1,000m の所に設置されているため、冬期の雪対策が大切である。すなわ
ち、雪や寒さのための路面凍結により安全通学が困難となり、授業時数の確保が困難とな
る事態が予想されるため、夏期休暇は短く設定され、主要な授業は 12 月中に終了するよ
うに計画されている。また、祝祭日が特定の曜日に偏り、その曜日の授業回数確保が困難
な場合には、学期末で調整を行い、授業回数が前期・後期ともに 15 週以上に渡って確保
できるように配置するとともに、補習や期末試験、追試・再試の期間を設定し、授業を行
う期間が年間 35 週以上に渡るよう努めている。なお、1 月~3 月の期間にできる限り学外
実習を設定するようにしている。
3-2-④
単位の認定、進級及び卒業・修了の要件が定められて、厳正に適用されているか。
(1)成績評価と単位の認定
学期毎の成績評価方法と単位の認定については、シラバスに記載されている。具体的な
方法としては、学期末試験、レポート提出、実技試験等があるが、これらとともに出席状
況を加味して評価し単位が認定される。いずれの方法によって評価するかは、授業内容や
授業の形式等によって教員が選択する。
複数の教員で担当する授業の場合は、その授業のコーディネーター役の教員が責任者と
なり、評価方法・単位の認定に関して担当者と相談の上適切な方法を選んで実施している。
評価の基準を表 3-2-2 に示す。
なお、必要に応じて追試験及び再試験を実施しているが、これらの具体的なやり方につ
いても「学生便覧」に記載されている。
表 3-2-2
成績評価の基準・判定
評価
100~80 点
79~70 点
69~60 点
59 点以下
成績表示
A
B
C
D
判定結果
合
格
不合格
28
健康科学大学
(2)
卒業要件
卒業要件は休学期間を除き、本学に 4 年以上(「学則」第 27 条第 1 項の規定により入学
を許可された者については、同条第 2 項に規定する在学すべき年数以上)在学し、所定の
課程を修めた者には「教授会」の議を経て学長が卒業を認定することとしている。所定の
課程に関しては、
「学則」第 20 条に定められている。具体的な卒業要件は以下の表に示す
通りである。また、所属学科以外で開講される専門科目の受講については、16 単位まで卒
業に必要な単位数として認めることができることとなっている。
表 3-2-3
①
卒業に必要な単位数
理学療法学科
授業科目区分
総合基礎科目
専門科目
総合基礎科目
外国語科目
自由選択
専門基礎科目
専門科目
自由選択
単位数合計
②
授業科目内容と単位数
15 単位(選択必修 1 単位を含む)
4 単位
16 単位
23 単位
62 単位
10 単位
130 単位
作業療法学科
授業科目区分
総合基礎科目
専門科目
総合基礎科目
外国語科目
自由選択
専門基礎科目
専門科目
自由選択
単位数合計
授業科目内容と単位数
15 単位(選択必修 1 単位を含む)
4 単位
16 単位
22 単位
53 単位
20 単位
130 単位
③福祉心理学科
・
社会福祉コース
授業科目区分
総合基礎科目
専門科目
総合基礎科目
外国語科目
自由選択
専門基礎科目
専門科目
自由選択
単位数合計
・
精神保健福祉コース
授業科目区分
総合基礎科目
専門科目
単位数合計
授業科目内容と単位数
17 単位(選択必修 1 単位を含む)
4 単位
19 単位
10 単位
46 単位(選択必修6単位を含む)
34 単位
130 単位
総合基礎科目
外国語科目
自由選択
専門基礎科目
専門科目
自由選択
授業科目内容と単位数
17 単位(選択必修1単位を含む)
4 単位
19 単位
14 単位
46 単位(選択必修6単位を含む)
30 単位
130 単位
29
健康科学大学
・
発達臨床心理コース
授業科目区分
総合基礎科目領域
専門科目領域
総合基礎科目
外国語科目
自由選択
専門基礎科目
専門科目
自由選択
単位数合計
(3)
授業科目内容と単位数
19 単位(選択必修1単位を含む)
4 単位
17 単位
20 単位
32 単位(選択必修6単位を含む)
38 単位
130 単位
授業時数と単位の関係
授業時数と単位の関係に関しては、「学則」第 14 条にその計算方法が記載されている。
その基準は下記の通りである。
①
講義・演習については、15 時間の授業をもって 1 単位とする。
②
外国語科目については、30 時間の授業をもって 1 単位とする。
③
実験、実習及び実技等については、45 時間をもって 1 単位とする。
④
教育上必要がある講義、演習、実験、実習および実技等については 30 時間をも
って 1 単位とすることができる。
なお、3-1-②の「(4)
特定科目の履修要件の設定」において述べたように、主要な特定
科目の履修のためには、幾つかの条件が設定されている。
(4)
他大学で修得した単位の認定
入学前に他の大学等で修得した単位については、学科により若干の差はあるものの 60
単位を超えない範囲において認定することとなっている。ただし、
「福祉心理学科」に編入
した者で専門分野が近い学校を卒業した者については、科目名や内容等を考慮して、
「取得
すべき科目と単位数」の内から 10 単位を限度として個別認定をすることができることと
なっている。
3-2-⑤
履修登録単位数の上限の適切な設定など、単位制度の実質を保つための工夫が行
われているか。
(1)
履修登録単位数の上限
授業科目をより深く実質的に学習できるようにすること、教室における授業と教室外の
主体的学習とを合わせた総合的学習が可能になるようにすること、単に大学だけの学習に
とらわれずに周辺地域等のフィールドを自らの学習に活かすことができるようにすること
等を目指して、各学期(前期・後期)における履修登録単位数の上限を設定している。履
修科目の上限については、「本学履修規程」第 2 条 4 項により各学期(前期・後期)原則
として 24 単位としており、各学生はこれを踏まえて履修している。
(2)
プレゼンテーションやレポート作成等学生の主体的学習の重視
第1学年において、
「基礎演習Ⅰ」及び「基礎演習Ⅱ」を必修として位置付け、大学生と
して主体的に学習に取り組むためのスキルを身に付けさせるようにしている。そのスキル
として重視しているのは、レポートの書き方、プレゼンテーションやディスカッションの
仕方、図書館利用の方法、主体的学習計画の立て方、ノートの取り方等である。
また、学生による教室外の主体的学習を奨励するため、各授業においては、課題を設け
30
健康科学大学
てそれに関するプレゼンテーションやディスカッションを行ったり、レポートの提出を求
めたりする活動を重視している。
3-2-⑥
教育内容・方法に、特色ある工夫がなされているか。
(1)
学生のニーズに応じた基礎学力の向上
「専門科目」を理解する上で必要な高校生レベルの知識や学力を補う必要がある学生を
「プレースメントテスト」等によって選定し、補習的要素を加味した「基礎数学演習」や
「日本語表現演習」などを開講して対応している。
(2)
独自に編修した教科書による英語の授業
「英語」の授業においては、リハビリテーションや福祉・支援の場面における会話や話
題を題材にしたテキストを使用している。このテキストは、教職員と学生とで協力して作
成した本学の「オリジナルテキスト」である。
(3)
特別非常勤講師の「招聘」
臨場感あふれる授業を展開するため、毎年多くの「特別非常勤講師」を招いている。
この「特別非常勤講師」とは、専門領域の授業において、医療や福祉の第一線で活躍して
いる職業人を招いて、1 時間ないし 2 時間程度の短い授業時間帯で、それぞれの分野の現
場の課題や解決手法の講義を分担してもらうというものであり、専任教員の担当する授業
を支えるものとして活用され効果をあげている。
(4)
国家試験に向けての態勢
本学は医療・福祉専門職につく人材の養成を目的としており、3 学科共通して国家資格
を得るための対策には力を入れている。具体的には、カリキュラム上の工夫とともに、補
習的な授業を定期的に行っている。
また、こうした授業においては、外部からの講師による特別授業も取り入れて学生の意
欲を喚起するとともに、模擬試験を実施したり個別指導を行ったりしている。
なお、卒業した者に対しても、「聴講生制度」により学生を受け入れて指導を行っている。
また、「福祉心理学科」では学科専用の「ブログ(掲示板)」を立ち上げ、現在の状況を掲
示板に入力することで、卒業後のフォローを行っている。
(5)
リハビリテーションクリニックの活用
本学の関連施設である「リハビリテーションクリニック」を活用した実践的な教育も行
われている。
3-2-⑦
学士課程、大学院課程、専門職大学院課程等において通信教育を行っている場合
には、それぞれの添削等による指導を含む印刷教材等による授業、添削等による指
導を含む放送授業、面接授業もしくはメディアを利用して行う授業の実施方法が適
切に整備されているか。
本学では通信教育を行っていないので該当しない。
31
健康科学大学
【2
3-2 の自己評価】
①
本学の教育課程において、
「総合基礎科目領域」及び「専門科目領域」における教
育方法(講義、演習、実験、実習、実技、学外実習)や配置(年次や前・後期別)
は体系化されており、各学科においては教育課程の編成方針に沿って授業科目や授
業内容の設定が適切に行われているといえる。また、授業期間並びに年間行事予定
(学年暦)についても、年度当初に配付する「学生便覧」に明確に記載し、授業と
の関連を考慮して適切に運営されている。
②
各学期における履修科目の上限については、
「学生便覧」の「履修規程」に、各学
期原則として 24 単位までと記載されている。また、卒業要件についても「学則」
で定められており、それに沿って適切に運用されている。
③
学生による授業評価は各学期末に行われ、その結果は集計されて教員全員に配布
されるとともに、図書館(学生閲覧用)と事務室にそれぞれ保管されている。教員
はこの学生による授業評価結果を受け止めて、以後のシラバスや授業の実施に反映
させている。
④
特色ある工夫については、独自に編修された英語教科書による授業や特別非常勤
講師の活用、本学の関連施設である「リハビリテーションクリニック」を活用した
教育等が主にあげられるが、その他にも各学科において独自に工夫を行っており、
教育の充実に役立っている。
⑤
国家試験対策では卒業生の国家資格取得を大目標としている。全員合格に向けて
各学科で対策を練っており、成果を上げている。
【3
3-2 の改善・向上方策(将来計画)】
①
日常的には「教務委員会」が中心となって教育課程について見直しを行っている
が、基本的な事項の見直しに関しては、
「 全学カリキュラム改善検討 WG」を設けて、
平成 23(2011)年度からのカリキュラム実施を見据えて検討作業を行っている。
②
学生による授業評価については、今後も「FD 委員会」が中心となって継続し、
授業の改善に役立てていく予定である。
③
学外実習を行うに当たっては、実習先の確保が非常に重要であるが、本学が希望
する施設のすべてにおいて必ずしも受け入れてもらえる状況ではない。教員のたゆ
まぬ努力によって相当数の実習先を確保できている状況であるが、今後ともに本学
の実習に関する理解を得る努力をたゆみなく行って、実習先の開拓に努める。
④
福祉心理学科関係の国家試験合格率は、当初から非常に高い比率を保っている。
また、理学療法学科及び作業療法学科における国家試験の合格者も、平成 20 年度
からはかなり高い比率を確保することができるようになった。こうした高い合格率
を維持していけるように、さらに国家試験対策を強化し、学生の全員合格を目標と
して取り組んでいく体制を整えつつある。また、国家試験に不合格となった者につ
いては、現在「聴講生」として受け入れて対応しているが、今後はさらにインター
ネット等の活用等によるフォロー体制を検討していく予定である。
32
健康科学大学
3-3
教育目標の達成状況を点検・評価するための努力が行われていること。
【1
事実の説明・現状】
3-3-①
学生の学習状況・資格取得・就職状況の調査、学生の意識調査、就職先の企業ア
ンケートなどにより、教育目的の達成状況を点検・評価するための努力が行われて
いるか。
(1)
学生の学習状況の把握と教育目的達成状況の点検‥評価
学生がどのような状況で授業に臨み授業をどのように理解・評価しているかは、授業毎
に「リアクションペーパー」を提出させたり、期末に行う学生による授業評価を通して、
大方を知ることができる。また、本学は学生数が少ないため、学生が教員の研究室を頻繁
に訪れるなどして、コミュニケーションが日常的に図られており、この機会を通して教員
は学生の学習状況を把握することに努めている。
こうして把握された資料を基に、個々の教員が担当科目の諸問題を分析して授業の改善
に役立てるとともに、各学科の会議や「教務委員会」に提起して、本学の教育目的の達成
状況を点検・評価する資料としている。なお、こうして提起された諸問題については、前
述したカリキュラムの改善のためなどに活かされている。
(2)
資格取得・就職状況の調査
その年の卒業生の国家資格取得状況はもとより、既卒者の国家資格取得状況の調査も毎
年行われており、これらの結果分析を踏まえて授業の改善や国家試験対策に活用する努力
が行われている。近年こうした努力の成果が実を結び、3 学科ともに高い国家試験の合格
率を得ることができるようになってきている。
また、就職状況に関しては、「就職委員会」が就職状況の調査を行い、その状況を毎年
数回「教授会」に報告している。就職委員会では、状況分析を行いつつ卒業生全員が希望
する職場に就職できるように努力を重ねている。
こうした資格取得や就職状況の分析は、前述したカリキュラムの改善のためなどに活か
すように努力している。
(3)
実習施設や富士河口湖町等からの意見聴取
毎年 1~2 回、本学学生の実習指導を依頼している施設職員の方々を対象とした「指導者
会議」を開催し、本学学生に対する様々な意見を聴取している。この「指導者会議」にお
いては、学生の専門的な知識・技能のみならず、コミュニケーション技能や一般的な態度
等についての意見も多く寄せられ、日常的な教育内容・方法の改善はもとより、カリキュ
ラムの改善の大きなヒントにもなっている。
また、今日まで本学と富士河口湖町との間で様々な活動の連携が行われてきたが、平成
22(2010)年 3 月には両者の間に「包括連携協定」が締結され、さらに進んだ連携が行われ
る運びとなった。両者の間の連携事業として考えられる点は、①富士河口湖町と「健康科
学大学地域連携講座」の共同開催、②「健康のまちづくり」事業の運営・事業実施に対す
る支援・協力、③演習(ゼミ)への講師派遣、課題提供、研究場所等、運営協力、④スポ
ーツイベント(マラソン大会)等への企画・運営の協力、⑤「ヘルスツーリズム」の展開
に向けた共同研究、実証実験等、⑥「大学ボランティアセンター」と各種事業のコーディ
33
健康科学大学
ネートなど多彩である。なお、これらの連携活動を通して様々な要望や意見が寄せられる
ので、これらは本学の教育目的の達成状況を点検・評価する上で貴重な資料となっている。
【2
3-3 の自己評価】
① 「1
事実の説明・現状」において述べたように、学生の学習状況等に対しては、
大学の規模が小さいという利点を活かして、きめ細かな対応が行われている。
②
国家資格取得の状況や就職の状況に関しては、毎年きめ細かなデータが取られて
いて、その分析に基づく指導の充実を図るべく努力が行われている。
③
就職先に対するアンケート調査は今のところ行われていないが、実習施設からの
意見聴取や富士河口湖町との意見交換等は、本学教育目的の達成状況を点検・評価
するよい機会となっている。
④
以上の点から、様々な角度からみた本学教育目的の達成状況の点検・評価は、概
ねうまく機能していると思われる。
【3
3-3 の改善・向上方策(将来計画)】
①
近い将来、卒業生本人や就職先の雇用主等に対するアンケート調査を実施し、本
学教育目的の達成状況の点検・評価を行う機会を設けたいと考えている。
②
また、地元の富士河口湖町との連携がある程度軌道に乗った段階においては、町
民を対象とした調査を行い、本学教育目的の達成状況を点検・評価する一助とした
い。
【基準 3 の自己評価】
本学においては、「豊かな人間力」、「専門的知識・技術力」、「開かれた共創力」の育成
に向けた教育を目指している。そのため特に、
「総合基礎科目」や「3 学科共通専門基礎科
目」を充実させて専門科目とのバランスを図り、段階的・縦断的に教育機能が有効に作用
するように努めている。また、それぞれの科目も、本学の教育目的に迫ることを目指して
内容の吟味と改善が不断に行われている。こうした見直しに、学生による授業評価等が有
効に機能しているといえる。
本学は、開学 4 年目において、これまでの反省の上に立って、教育目的の更なる達成を
目指す第一次カリキュラム改善を行った。この改善の評価に基づいて、現在は第二次カリ
キュラム改善を行っているところであり、前述したようにほぼその骨格がまとまりつつあ
る。
また、授業の充実・改善に向けた取り組みは、不断に行われなければならないものなの
で、
「教務委員会」や「FD 委員会」を中核として、組織的にこうした取り組みが行われる
ように努力していきたい。
【基準 3 の改善・向上方策(将来計画)】
平成 20(2008)年度から、「福祉心理学科」に「発達臨床心理コース」が新たに設けられ
たが、学外に対する宣伝が十分に行われているとは言い難い状況である。こうした宣伝も
含めて、本学のよさを(特に充実した教育内容に焦点を当てて)県内を中心に十分に宣伝
34
健康科学大学
し、優秀な学生をどのようにして集めるかが喫緊の課題であり、真剣に取り組まれつつあ
る。
第二次の教育課程改善作業は、ほぼ終わったので、今後はこの教育課程の科目に沿った
シラバスの検討を早急に行い、内容の充実に努めていきたい。
また、中長期的には、「大学院の設置」や「看護学科の設置」を視野に入れて、本学に
おける教育課程の在り方を再検討していきたい。そのためにも、中長期目標の制定と行動
計画を策定することが大切なので、
「将来計画委員会」を設置して具体的な取り組みを行う
とともに、それを裏付ける教育課程を検討していきたい。
35
健康科学大学
基準 4.学生
4-1
アドミッションポリシー(受入れ方針・入学者選抜方針)が明確にされ、適切に運
用されていること。
【1
事実の説明(現状)】
4-1-①
アドミッションポリシーが明確にされているか。
本学の教育の目標は、①「豊かな人間力」、②「専門的な知識技術力」、③「開かれた共
創力」を兼ね備えた資質の高い医療や福祉の専門的職業人を育成するところにある。この
ため、入学者選抜方針もこうした人材を育てるのにふさわしいことを前提として設定され
ている。具体的には、
「人間に接することが好きであり、支援する人々の幸せが同時に自分
の幸せと感じることのできる人」の受け入れを目指している。なお、こうした全体的なア
ドミッションポリシーに沿って、各学科においては、次のような具体的な方針を打ち出し
ている。
1)
理学療法学科
①
自ら学び、医学を通じて社会に貢献する意欲と情熱のある人
②
調和のとれた人間性と偏らない判断力を備えた人
③
医学を修得するための基礎学力と問題解決能力のある人
④
医療界で通用するコミュニケーション能力を備えた人
2)
作業療法学科
①
医学や作業療法について学ぶ意欲があり、未知の分野への探求心に富んだ人
②
「なぜ?」「どうして?」という疑問を持って、主体的に学ぶことができる人
③
豊かな感受性と思いやりの心を持ち、他人のつらさや喜びに共感できる人
④
自分の考えを伝え、話をよく聞くことができ、協調しながら行動できる人
3)
福祉心理学科
①
さまざまな分野に関心を持ち、柔軟で主体的に学ぶことのできる人
②
人間が好きで福祉や臨床心理に興味や関心がある人
③
豊かな情緒と感性を持ち、人と自分自身に誠実な人
④
福祉や心理の分野において活躍したいという情熱にあふれている人
上記のアドミッションポリシーの主旨等は「募集要項」、「ホームページ」にも記載し、
公表している。
4-1-②
(1)
アドミッションポリシーに沿って、入学者選抜等が適切に運用されているか。
入学試験の方法等
「大学案内」、「募集要項」及び「ホームページ」においてアドミッションポリシーを公
表し、受験生や関係者に周知を図っているが、このアドミッションポリシーに沿った人材
の受け入れのために、下記のような多彩な入学試験方法を採用している。
36
健康科学大学
表 4-1-1
本学の入学試験方法(2011 年度)
試験区分
①AO 入学試験
学科
選考方法・試験科目
作業療法学科
福祉心理学科
・第一次選考
出身高校からの調査書、エントリーシートでの書類審査、及び
面接により総合的に判定する。
・第二次選考
課題レポートにより総合的に判定する。
②特別選抜試験
・指定校制推薦入学試験
全学科
・社会人特別入学試験
全学科
・公募推薦入学試験
(Ⅰ期、Ⅱ期)
・自己推薦入学試験
(Ⅰ期、Ⅱ期)
③一般選抜試験
全学科
全学科
理学療法学科
・大学入試センター試験
利用入学試験
作業療法学科
福祉心理学科
・一般入学試験(Ⅰ期)
全学科
・一般入学試験(Ⅱ期)
全学科
・本学が指定する高等学校の学校長からの推薦書、調査書、志
望理由書等の書類審査及び面接により総合的に判定する。
・受験する年の 4 月 1 日現在満 20 歳以上の者を対象とし、出身
高等学校の調査書、志望理由書等の書類審査並びに小論文及
び面接により総合的に判定する。
・出身高等学校長からの推薦書、調査書、志望理由書等の書類
審査並びに小論文及び面接により総合的に判定する。
・出身高等学校の調査書、志望理由書等の書類審査並びに小論
文及び面接により総合的に判定する。
・出身高等学校の調査書及び大学入試センター試験の結果を総
合的に判定する。
①国語(近代以降の文章)
②数学(数学Ⅰ、数学Ⅰ・数学A)
③理科(理科総合 A、理科総合B、物理Ⅰ、化学Ⅰ、生物Ⅰ、
地学Ⅰ)
④地理歴史・公民(世界史 A、世界史 B、日本史 A、日本史 B、
地理 A、地理 B、現代社会、倫理、政治・経済)
⑤外国語(英語、ドイツ語、フランス語、中国語、韓国語)か
ら 3 教科に渡り 3 科目選択
・出身高等学校の調査書及び大学入試センター試験の結果を総
合的に判定する。
①国語(近代以降の文章)
②数学(数学Ⅰ、数学Ⅰ・数学 A)
③理科(理科総合A、理科総合 B、物理Ⅰ、化学Ⅰ、生物Ⅰ、
地学Ⅰ)
④地理歴史・公民(世界史 A、世界史 B、日本史 A、日本史 B、
地理 A、地理 B、現代社会、倫理、政治・経済)
⑤外国語(英語、ドイツ語、フランス語、中国語、韓国語)か
ら 2 教科に渡り 2 科目選択。
・出身高等学校の調査書及び筆記試験の結果を総合的に判定す
る。
①英語Ⅰ・Ⅱ、物理Ⅰ、生物Ⅰ、数学Ⅰ・数学 A、国語総合(古
文、漢文を除く)から 2 科目選択。
・出身高等学校の調査書、筆記試験及び面接の結果を総合的に
判定する。
①面接(必須)
②英語Ⅰ・Ⅱ、数学Ⅰ・数学 A、国語総合(古文、漢文を除く)
から 1 科目選択。
AO(アドミッションズ・オフィス)入試については、平成 20(2008)年度入学試験から
「福祉心理学科」に導入され、平成 21(2009)年度からは「作業療法学科」も加わり現在に
至っている。
(2)
アドミッションポリシーに沿った入学者確保の方策
アドミッションポリシーに沿った入学者を確保するため、毎年度「大学案内」や「募集
要項」を作成するとともに、同様の内容を「ホームページ」で公開するなどして広く本学
の入試に関する情報を公開している。また、
「大学案内」や「募集要項」等は、高校等の関
係機関に送付するとともに、山梨県内の高校を始め近県の高校を教職員が訪問して本学の
アドミッションポリシーや教育理念・目的等の周知に努めている。
(3)
入学試験体制とその運用
本学の入学試験については、「入学試験委員会(以下「入試委員会」という)」を中心と
37
健康科学大学
して全学体制で行われているが、その具体的な業務は、
「入試委員会」の指示の下に主とし
て「入試広報課」が行っている。
次に、入試に関わる具体的な作業や運用について述べる。
①
出願書類の受付は「入試広報課」行う。
②
入試問題については学内で作成し、印刷等は業者に委託している。
③
入学試験当日の体制については、本学に「入学試験実施本部」を置き、
「入試委員会委
員長」が本部長となって実施する。
④
合否判定は、作成された判定資料を基に「入試委員会」で審議後、
「教授会」に諮って
決定している。
⑤
合格発表は複数の教職員で必ずチェックを行い、発表する体制を取っている。また、
合格者の受験番号を「ホームページ」に公表し、併せて手続書類を発送している。
過去 5 年間の志願者・合格者・入学者一覧は、「自己評価報告書・データ編」を参照
⑥
されたい。
4-1-③
教育にふさわしい環境確保のため、収容定員と入学定員及び在籍学生数並びに授
業を行う学生数が適切に管理されているか。
(1)
学生定員に対する在学学生数等
平成 22(2010)年 5 月 1 日現在、健康科学部の収容定員は 1,090 人であるが、これに対し
て在籍学生数は 838 人であり、収容定員に対する在籍学生数の比率は 76.9%である。在籍
学生数は、学科・学年別でバラツキが見られるが、詳細は表 4-1-2 を参照されたい。
また、本学完成年度(平成 18(2006)年度)以降における学生定員に対する在籍学生数の
比率の推移をみると、平成 18(2006)年度 102.5%、平成 19(2007)年度 101.0%、平成
20(2008)年度 98.7%、平成 21(2009)年度 88.2%、平成 22(2010)年度 76.9%と年々減少し
てきている。これは、近年における入学志望者数と入学者数の減少を物語るものである(表
4-1-3)。
表 4-1-2
学 部
健
康
科
学
部
学部・学科の学生定員及び在籍学生数(2010 年 5 月 1 日現在)
入学
編入学
収容
学生
編入
定員
定員
定員
総数
学生数
1 年次
2 年次
3 年次
4 年次
理学療法
80
―
320
390
―
82
102
91
115
作業療法
80
5
330
283
0
51
47
75
110
福祉心理
100
20
440
165
4
18
29
59
59
260
25
1,090
838
4
151
178
225
284
学 科
合
計
表 4-1-3
在
籍
学
生
数
入学志望者数と入学者数の年次推移
年度(平成)
16 年度
17 年度
18 年度
19 年度
20 年度
21 年度
22 年度
総志望者数(人)
1,368
1,848
1,252
741
423
372
290
入学者数(人)
282
297
292
240
236
181
153
*入学者数には、編入学者数を含む。
38
健康科学大学
このような入学志望者数と入学者数の減少の原因としては、本学と同様の医療・福祉の
国家資格を目指す大学が近年急激に増加してきていること、少子化によって受験生が減少
してきていること等が挙げられるが、加えて、本学創設時の法人による不祥事のたび重な
る報道も大きな影響を与えていると思われる。
入学者数の減少傾向を学科ごとにみてみると、
「理学療法学科」は全年を通じて定員(80
人)を確保しているが、「作業療法学科」においては平成 20(2008)年度以降定員(80 人)
割れを起こし、ここ 2 年間は定員のおよそ 6 割の入学者に留まっている。また、「福祉心
理学科」においては、平成 16(2004)年度入学者に関して定員(100 人)を確保したものの、
他の年度においては定員を確保できていない状況であり、特に近年の入学者の減少は著し
く、平成 21(2009)年度は約 30%、平成 22(2010)年度は約 20%の入学者数に留まっている。
「福祉心理学科」の大幅な定員割れの原因は、先に挙げたものが主要因であることに変
わりはないが、加えて、こうした職種の社会的ニーズの高まりにもかかわらず、全国的に勤
務環境の相対的な低さが取りざたされていること等も大きく影響しているものと思われる。
(2)
本学入学志望者及び入学者の分析
上記のように本学の入学志望者数及び入学者数は、年々減少してきているが、この点を幾つ
かの観点から分析し、それに基づいた対応策を立てることとした。
1)
入学志望者及び入学者の地域分布
まず入学志望者の都道府県の分布状況をみると、「理学療法学科」においては、開学当初は
46 都道府県に分散していたが、平成 18(2006)年度からこうした傾向は縮小し、現在では 18 都
道府県となった。「作業療法学科」や「福祉心理学科」においても開学当初は多くの都道府県
からの志望者がみられたが、同様の学科を持つ大学が各地に設置されてきたことや、経済的問
題との関連でできるだけ親元に近い大学を選択する傾向が強まったこともあって、近年では、
山梨県の近隣県(東京も含む)に集中する傾向が強まっている。特に、山梨を含む 4 県(山梨・
長野・静岡・新潟)からの志望者・入学者が中心になっており、距離的にみると、およそ 300km
以内からの志願者が多い。開学初期はこれら 4 県からの志望者は 37%であったが、平成
19(2009)年度からは志望者の約 80%、入学者の約 85%を占めるに至っている。特に山梨県内
からの入学者は多く、平成 22(2010)年度においては 51%を占めている。
2)
入学者の分析
平成 22(2010)年度の「理学療法学科」入学者 82 人に対して、どの時点で進学を決断
したかについて分析した。その結果、指定校・公募推薦などの推薦入試合格者は志望校決
定時期が早く、4 月と 8・9 月にピークがあり、一方、本学の一般入試やセンター入試を経
た者は、8 月以降、特に 12 月に志望を決める受験生が多いことが分かった(図 4-1-1)。
また、「理学療法学科」受験生の高校偏差値分析を行ったところ、推薦入試志望者の高
校偏差値(46.5±6.0)は、本学の一般入試やセンター入試志望者の高校偏差値(50.8±6.0)
より有意に低いことがわかった(p=0.002)(図 4-1-2)。なお、同様な傾向は「作業療法学科」
においてもみられた。
この解析により、今後の高校訪問においては,春から夏にかけては推薦入学志望者を中
心に、偏差値が比較的低い高校を重点ターゲットとし、夏から秋にかけては本学一般入試
やセンター入試志望者を中心に、偏差値が比較的高い高校を重点ターゲットとして宣伝す
ることが大切だということが分かった。
39
健康科学大学
60.0
55.0
p=0.002
50.0
45.0
40.0
一般・センター
図 4-1-1
理学療法学科入学者の本学
図 4-1-2
推薦
高校偏差値の比較
入学志望を決めた時期
3)
入学者の入学試験種別の分析
本学開学当初においては、入学試験の中核は一般入試であったが、同種の大学が増加し
たことや少子化などの影響により入学志望者が減少するにつれ、本学入学志望者の受験形
態は変化してきており、推薦による入学者の比率が確実に高くなっている。
平成 22(2010)年度の本学入学者をみてみると、推薦入学者(指定校推薦・公募推薦・自
己推薦・社会人特別推薦)が主になってきている(計 68.8%)。このうち、指定校推薦・公
募推薦で 60.7%をも占めている。こうした結果から、推薦入試に力をいれなければならな
いことが分かる。同時に、本学の一般入試やセンター試験を通しての入学者を増やす努力
も必要であると考える。
(3)
1)
学生定員確保への取組み
入試方法の改善
入学志望者数の増加を図るため、ここ数年以下のような入試方法の改善を行うとともに、
受験を志望する者が読んでよく分かる「募集要項」の表現を目指して見直しを行ってきた。
①
(2)の 2)における分析のように、指定校・公募推薦に関しては、高校偏差値の見直しの
必要性が指摘されてきたので、この点の見直しを行ってきた。
②
平成 20(2008)年度から「福祉心理学科」において、平成 21(2009)年度からは「作業
療法学科」においても AO 入試を取り入れて本学入学志望者数の増加を図ってきた。
③
AO 入試と自己推薦入試との差別化を図るため、自己推薦入試においては、スポーツ
や芸術面で秀でた人材の募集にシフトすることとした。なお、平成 21(2009)年度から「理
学療法学科」においても自己推薦を取り入れた。
④
公募推薦を I 期・II 期と 2 回に増やして、受験の機会を拡大した。
⑤
平成 21(2009)年度まで一般入試の必須科目として位置づけていた「英語 I・II」を選択
科目として位置づけ直し、受験生が応募しやすくした。
⑥
センター試験の受験科目の変更を行い、受験生が応募しやすくした。
40
健康科学大学
2)
本学入学志望者の増加に向けた具体的取組み
開学以来今日まで、様々な方策を用いて本学志望者数の増加に向けた取組みを行ってき
たが、必ずしもそれが功を奏したとは言い難い状況であった。そこで、前述した「本学入
学志望者及び入学者の分析」等を踏まえて、これまでの取り組みを反省し、今後は次のよ
うな活動を行っていくことが確認されている。
①
広報活動の一層の充実:平成 22(2010)年度から、「入試広報課」の職員を増員(4 人
から 7 人に)するとともに、教職員全員体制で広報活動を行う方針である。この広報活
動においては、「大学案内」の送付、「ホームページ」の充実、「高校訪問」、「オープン
キャンパス」、「出前講義」、「公開講座」等のあらゆる機会を通して本学に興味を持って
もらうために、医療・福祉職は不況の現在でも就職率が高いこと、国家試験に合格すれ
ば間違いなく就職できること等を伝えて関心を持ってもらう必要がある。
また、本学創設期の法人による不祥事の影響は甚大で、特に山梨県内が一番大きかっ
たので(本学入学志望者は昨年度の 50~60%に減少)、山梨県内の志望者数を復活させる
ための信頼回復への取り組みが必要である。
②
「高校訪問」の一層の充実:昨年度(2009)は、当初「オープンキャンパス」や「会場
ガイダンス」に力をいれたが、今一つ高校生の反応の鈍さを感じたこと、加えて本学創
設期における法人の不祥事が発覚したことを受けて、急遽 11 月中旬から 12 月初旬にか
けて全教職員でおよそ 600 校の高校訪問を行った。この「高校訪問」の分析の結果、訪
問校からの入学者があったことが分かり、有効な手段であることを再確認した。そこで、
本年度は 5 月から精力的に 1,500~2,000 校の「高校訪問」を行っていく目標を立ててい
る。特に山梨県を含む 4 県(長野・静岡・新潟)に重点を置きたいと考えている。その
他の県においても、昨秋の訪問で興味を持ってもらった高校は再度訪問する予定であ
る。
この高校訪問においては、これまでの反省に基づき「高校訪問ツール」を作成し、全
教職員が必ず伝えなければならないことを徹底させることとした。「高校訪問ツール」
には、(a)就職率・国家試験合格率が高いこと、(b)授業料が格安であること、(c)教員が
親身になって接していること、(d)自然豊かであること、などの特徴が盛り込まれている。
特に「福祉心理学科」では、来年度から入学金を下げたこと、“社会福祉士”や“精神
保健福祉士”はこれからの我が国社会において重要な位置を占める安定した職業である
ことなどを伝えて、理解を促すよう努めることとしている。
なお、前述した「本学入学志望者及び入学者の分析」を踏まえ、年度当初(5 月~6
月)の高校訪問においては“推薦入学志望者”獲得に焦点を置き、比較的偏差値の低い
高校をターゲットとし、夏から秋にかけての後半の高校訪問においては、“一般入試・
センター入試志望者”に焦点を定めて、偏差値が比較的高い高校をターゲットとしてリ
クルートすることとした。
③ 「オープンキャンパス」の一層の充実:
「オープンキャンパス」は、大学を知ってもら
い教員を知ってもらうための最大のチャンスである。また高校生にとっても志望校決定
の大切なチャンスとなる。この「オープンキャンパス」についても、昨年度の反省に立
って高校生に興味を持ってもらえるように企画している。例えば、本学の「理学療法学
科」若手教員の中に「水泳日本代表飛込みチーム専属トレーナー」がいるので実技を披
41
健康科学大学
露してもらうなど、高校生に分かりやすく興味深い実技や講義、あるいは展示を行うべ
く企画している。また、在学生や卒業生にも積極的にかかわってもらい、高校生に学生
からの意見や助言をしてもらう予定である。
なお、毎回「オープンキャンパス」参加者を対象としたアンケートを実施し、改善す
るための材料としている。
④ 「ホームページ」の一層の充実:
「ホームページ」は全国の高校生に本学を知ってもら
う大切なツールである。全国からの受験や「オープンキャンパス」への参加へ導くため
にも充実させる必要がある。そこで、昨年 10 月に「ホームページ」のリニューアルを
行い、内容の充実を図るとともに、トップページを親しみやすいものに改善した。内容
改善の主なものを挙げると、“ホットニュ-ス”のバナーを設け、今一番大学から発信
したい記事を載せたこと、“学科ブログ”を設け、各学科で起こっている“ホットニュ
-ス”を発信するようにしたこと、内容を分かりやすく書き改めたこと等である。
⑤ 「地元の広報誌」
・
「新聞への記事掲載」と「Cable TV(ケーブルテレビ)」での放映:
地元の富士河口湖町とは最近「包括連携協定」を結び〔平成 22(2010)年 3 月〕、地域福祉
の向上、地域経済の活性化、自然・文化環境の改善及び人材育成等の活動を共にしてい
くこととなった。この機会に富士河口湖町の住民の方々はもちろん、山梨県内の住民の
方々にも本学をより良く知ってもらうために、「地元の広報誌」・「新聞への記事掲載」、
「Cable TV」による放映等、様々なメディアを通して報道してもらうこととした。こう
した報道を通して、本学の教育活動等を十分に理解してもらうとともに、本学創設期の
法人による不祥事に伴うマイナスイメージを払拭する機会にもしたい。
⑥
「公開講座」の開催及び「出前講義」の実施:健康科学大学をより知ってもらうため
に、様々な「公開講座」を開催したり、小・中・高校に教員が出張して授業を行う「出
前講義」を実施したりすることを企画している。
平成 22(2010)年度においては、まずは山梨県内で「公開講座」を実施する予定で
ある。具体的には、
「福祉心理学科」の教員が中心となり、
「山梨日日新聞」、
「山梨放送」、
「山梨県社会福祉協議会」、「山梨県社会福祉会」の後援を得て、医療福祉関係・精神保
健関係・心理学関係の講話を中心とした「公開講座」を開催する。また夏には、長野県
内で本学の 3 学科の教員による「公開講座」も企画している。
また、地域の小・中・高校への「出前講義」は、これまでも行ってきたが、今年度は
さらに積極的に「出前講義」を実現するため、小・中・高校向けの「出前講義メニュー」
を作成して配布し、学校教育の充実にも一役買いたいと考えている。
このような活動は、本学を知ってもらう機会となるばかりでなく、新たな本学受験志
望者の開拓にも効果があると考えている。
(4)
授業を行う適切な学生数の管理
本学は、開学当初から少人数による授業によって、きめ細かな指導の実現を目指してき
た。表 4-1-4 に平成 22(2010)年度前期における講義形式の授業の受講者の規模を示したが、
これをみると、受講者が 20 人以下の科目数の比率は 43.4%、21~50 人の科目数の比率は
31.9%であり、100 人以上の受講者科目数は僅かに 4.0%となっている。こうした実態から
みて、少人数による授業によってきめ細かな指導を行うというスタンスは、維持されてい
るとみることができる。
42
健康科学大学
表 4-1-4
講義形式科目の規模別科目数(平成 22 年度前期)
20 人以下
21~50 人
51~100 人
100 人以上
数
98
72
47
9
率
43.4%
31.9%
受講者の規模
科
比
目
20.8%
4.0%
なお、演習や実習の科目に関しては、少人数で授業を構成したり、小グループに分けて、
一つのグループを一人の教員が指導したりするなど、きめ細かな指導ができる体制を整え
ている。
【2
4-1 の自己評価】
本学においては、アドミッションポリシーに沿った人材の入学を促進するため、広くそ
のポリシーの宣伝に努めるとともに、受験の機会をできるだけ多くする努力を行ってきた。
こうした努力は、一定の評価に値するのではないかと考えるが、本学に類似した大学の増
加、少子化等の影響や本学創設期における法人の不祥事により、志願者数が減少してきて
いる。本学のアドミッションポリシーに沿った学生確保のためには、
「本学入学志望者及び
入学者の分析」で述べたように、これまでの反省をしなければならない点が多々あるので、
この点を踏まえた対応が今後に求められている。そこで今後は、
「 学生定員確保への取組み」
において述べた方針に沿って、これまで以上に教職員あげて努力をしなければならないと
考える。
さて、本学における入学試験の実施に関しては、「入試委員会」において検討し、全教
職員の協力を得て実施している。また、実施後に反省会を行い、試験別・会場別に反省点
を集約して次年度以降に反映させるようにしている。こうした反省の上に立った改善を今
後とも行っていくことが大切だと考える。
また、各科目の受講者数の規模は、大方少人数によるきめ細かな対応ができており、適
切であると考える。
【3
4-1 の改善・向上計画(将来計画)】
AO 入試は、平成 20(2008)年度の入試においてまず「福祉心理学科」で取り入れられ、
平成 21(2009)年度の入試からは「福祉心理学科」及び「作業療法学科」で取り入れるとい
う広がりを見せている。近い将来においては、
「理学療法学科」における導入も視野に入れ
なければならないと考える。
本学のアドミッションポリシーについては、まだまだ周知が不十分な面もあるので、広
く関係者に周知してもらうための記載の方法や宣伝の手段等について検討し、明確なメッ
セージとして発信していくように努めていきたい。
また、本学の入学志望者・入学者が減少してきている状況を打破するために、「学生定
員確保への取り組み」で述べた方針に基づいて具体的な対応を行っていくこととするが、
この方針によってどこまで入学者の確保ができるかは未知数なので、今後ともに毎年の状
況を細かく分析し、取り組みの方向を改善していくこととしたい。しかしながら、
「福祉心
理学科」の1学年定員(100 人)の入学者を確保するのは不可能だと思われるので、中・
43
健康科学大学
長期的には適正規模の定員に削減するとともに、安定的な大学経営を図るために、
「看護学
科」等の医療・福祉系の学科の新設を検討しなければならないと考える。
4-2
学生への学習支援の体制が整備され、適切に運営されていること。
【1
4-2 の事実の説明(現状)】
4-2-①
(1)
学生への学習支援体制が整備され、適切に運営されているか。
学習支援体制の全般的事項
本学においては、学習支援に対する特別な組織は設けていないが、図 4-2-1 に示すよう
な様々な側面から学生の支援を行っている。特に、新入生に関しては、入学直後に丁寧な
オリエンテーションを実施するとともに、
「基礎演習Ⅰ」の授業においても少人数のグルー
プによって、大学における学業に取り組む基本的姿勢やラーニング・スキルについての指
導を行っている。また、各学科ともに担任制を採用するとともに、
「オフィスアワー」を設
定して、個人的な悩み、国家試験や進路に対するアドバイス等、学生からの様々な相談に
きめ細かく対応している。
なお、「教務課」においても学習に関する相談を随時受け付け、その内容や対応した結
果等について教員へフィードバックしている。
「教務課」への相談は多様であるが、特に科
目履修に関する相談が多く見られる。また、編入学生からは単位認定や履修の方法につい
ての相談が多い。
学習支援全般
オフィスアワー制度、担任制
授業内容等の質問、相談
新入生教育
修学関係
学生委員会 教務委員会
教務課 学生課 図書館
オリエンテーション
基礎演習
「コンピュータリテラシー」
(PC 基本操作)
教務委員会 学生委員会
学外実習教育運営委員会
教務課 各学科
オリエンテーション(年次別)
国家試験対策指導 履修指導
学外実習対策指導
学生
学生生活
就職関係
学生委員会 学生課 保健室
学生相談室 図書館
学生相談
健康管理(健康相談)
宿舎、アルバイト
交通安全指導、学生生活指導
就職委員会 学生課
各学科
就職ガイダンス 就職セミナー
求人説明会 就職試験指導
図
4-2-1
学習支援相談体制
44
健康科学大学
(2)
図書館における学習支援
図書館においては、学生の学習に関する様々な支援を行っているが、特記すべき事項は、
開館時間の延長等である。開館時間は、平日は 9:00 から 18:10 までとなっているが、試験
期間中や国家試験直前の 2 か月程度は 20:00 まで延長するとともに長期休業期間中などに
おいても図書館を開放して具体的な学習支援を行っている。
(3)
国家試験受験に関する支援
国家試験への対応としては、少人数制の試験対策授業、長期休業中の教室開放、模擬試
験に対する一部経済的補助、願書の一括申請等の支援を行っている。本学ではまた、国家
試験対策委員会を設置し、学生の試験対策を協議してきめ細かな対応を行っている。
(4)
学外実習に関する支援
学外実習は、専門的職業人の育成にとって重要な役割を果たすことから、本学において
もその円滑な実施のための様々な支援に力を入れている。
特に学外実習のために、遠方の施設に出かける学生が多いことから、学外実習中の宿泊
施設としては、長期にわたる実習期間に鑑み、本学と業者との間で施設利用に関する契約
を締結し便宜を図っている。
なお、実習先における学生の事故等へ対応するため、保険に加入するなどして万全を期
するとともに、
「学外実習教育運営委員会」において事故防止対策の規定を設けて対応して
いる。
4-2-②
学士課程、大学院課程、専門職大学院課程等において通信教育を実施している場
合には、学習支援・教育相談を行うための適切な組織を設けているか。
本学では通信教育を実施していない。
4-2-③
学生への学習支援に対する学生の意見等を汲み上げる仕組みが適切に整備されて
いるか。
(1)
クラス担任制やオフィスアワーの活用
前述したように、3 学科ともに「クラス担任制」を導入するとともに、
「オフィスアワー」
を設定して学生の相談や学習支援に対応する努力を行ってきたが、今日では、学生が頻繁
に教員の研究室に出入りして大学生活や学習に関する相談をするようになってきている。
(2)
「学生意見箱」の設置とその活用
一人一人の学生のニーズに沿う学習支援等を行うため、
「意見箱」によって学生の意見・
要望を収集し、それに対応した学習支援等を行っている(後述の「学生意見箱」の箇所参
照)。
(3)
学生による授業評価の活用
「FD 委員会」と「教務課」とで連携し、大学の自己点検・自己評価活動の一環として
学生による授業評価を実施している。この授業評価は、平成 16(2004)年度に試行して若干
の修正を加えた後、平成 17(2005)年度から毎年正式に実施してきている。
授業評価は、前期及び後期の各授業(学外実習を除く全ての講義・実習・演習が対象)
において、次のような流れに沿って行われる。
45
健康科学大学
①
最終授業時に各教員が学生に評価シートを配付し、記入(無記名)させた後、学生が
回収して教務課に提出する。
②
「教務課」において評価シートの集計作業を行い、結果を各教員にフィードバックす
る。
③ 「教務課」において、
「学生による授業評価結果報告書」が作成され、教員全員と大学
図書館(学生閲覧用)、事務室等に配付される。
④
教員は、評価結果をもとに授業の改善を行う。
【2
4-2 の自己評価】
学生は、学習や大学生活に関する様々な不安や課題を抱えているので、それにきめ細か
く対応した支援を行っていく必要があるが、本学においては、前述したように可能な限り
学生からの生の声を聞くなどして学習等の支援を継続的に行っている。
また、授業評価も継続的に行われ、その結果に基づいて授業の内容・方法に関する見直
しと改善が行われている。
このように、学習等に関する学生の意見聴取のシステムは概ね良好に機能していると思
われるので、今後とも継続的に行っていくことが大切だと考える。
【3
4-2 の改善・向上方策(将来計画)】
学生への学習支援に対する意見の聴取やそれに対する対応は、現在順調に推移している
と思われるが、これまでの実施の経緯等を学生に示し、さらにどのような方法でそのニー
ズを汲み上げて対応する必要があるかを調査することが大切だと思われる。そのため近い
将来調査を行い、改善策等を得て、さらに充実した学生支援を行っていきたい。
4-3
学生サービスの体制が整備され、適切に運営されていること
【1
事実の説明(現状)】
4-3-①
(1)
学生サービス、厚生補導のための組織が設置され、適切に機能しているか。
全般的事項
本学における学生サービスや厚生補導に関しては、主として「学生委員会」と「学生課」
及び「管財課」がその任に当たっている。
本学の所在地は、富士山を中心とする国立公園内の標高約 1,000m の高地にある。大半
の学生は、麓の富士河口湖町周辺のマンションやアパートを借りて大学生活を送っている
が、大学はこれらの宿舎の紹介を行っている。
大学は、町から数 km 離れた所にあって、路線バスが運行されていないため、学生の通
学の便を図るため、
「スクールバス」を運行している。この「スクールバス」は、学期中は
もとより、大学の行事等にも対応して運行される。また、自家用車による通学者も半数以
上にのぼるため、これらの学生の駐車場確保にも努めている。
なお、冬季には降雪や路面凍結などにより、通学が困難になることも予想されるので、
夏季休暇を短く冬季休暇を長く設定している。
46
健康科学大学
(2)
学生委員会の活動
大学生活に関する日常的な学生サービスは、「学生委員会」において対応しているが、
この委員会は、各学科から選出された教員 2 人(計 6 人)と「学生課」担当職員で構成さ
れている。
「学生委員会」は毎月の定例会議を開催して学生のサービス体制の運用に努めているが、
こうした定例会議の他、緊急案件に関しては随時臨時の会議を開催し、迅速かつ適切な対
応を行っている。
また、「学生委員会」は学生にとって有益な情報を提供するための取組み(例えば、「交
通安全講話会」、
「年金セミナー」、
「多重債務回避情報会」等)を企画して実施したり、
「独
立行政法人日本学生支援機構」を中心とする奨学金の情報を提供して学生の経済的支援を
行うなどして学生の支援・サービスに努めてもいる。
さらに「学生委員会」は、図 4-3-1 に示した学生主体による「学友会」を支援し、学生
と協働で、学生たちが快適な大学生活を送ることができるように努めている。
「学友会」の
様々な活動については、
「学生委員会」委員が担当を決めて支援しやすい体制をとっている。
なお、平成 21(2009)年度からは、卒業生で構成する「同窓会」の設立に向けた支援も開
始した。
(3)
学生課による学生サービス
上記の「学生委員会」とは別に「学生課」は委員会決定の事項等に基づいて、以下に示
す詳細な学生サービス活動を日常的に展開している。
① 学生生活の支援に関すること
② 学生の課外活動に関すること
③ 奨学金に関すること
④ 学費の納入に関すること
⑤ 学生アルバイトに関すること
⑥ 学園祭・体育祭等のイベントに関すること
⑦ 学友会総会に関すること
⑧ 学生の事故等の対応に関すること
⑨ 学生向けの外部からのイベント支援に関すること
学友会組織図(改編案)
⑩
学生の宿舎組合との対応に関すること
⑪ その他
監査委員会
監査委員 3名(役員、委員以外)
◎ 学生委員 2名
執行委員会
学生総会
全学生の過半数以上
議長
副議長
書記
◎ 学生委員長
◎ 学生委員 全員
◎ 教務部長
選挙管
理委員
選挙管理委員
◎ 学生委員 2名
課外活動委員会
会長(委員長)
副会長 3名(各学科1名)
書記 3名(各学科1名)
会計 3名(各学科1名)
補佐 若干名(必要に応じ)
代議員 24名(各学科・学年2名)
課外活動委員長
文化祭実行委員長
体育祭実行委員長
卒業記念事業委員長
卒業アルバム編集委員長
謝恩会実行委員長
◎ 学生委員 2名
◎ 学生課員
委員長
◎ 学生委員 2名
◎ 学生課員
文化祭実行委員会
委員長
◎ 学生委員 3名
◎ 学生課員
クラブ
部長
会計
◎ 顧問 ※副顧問には職員も可
サークル
部長
会計
◎ 顧問 ※副顧問には職員も可
体育祭実行委員会
委員長
◎ 学生委員 2名
◎ 学生課員
卒業記念事業委員会
委員長
◎ 学生委員 3名
◎ 学生課員
卒業アルバム編集委員会
委員長
卒業記念祝賀会実行委員会
図 4-3-1
学友会組織図
47
委員長
健康科学大学
4-3-②
(1)
学生に対する経済的な支援が適切になされているか。
奨学金の貸与に関する支援
前述のように、「学生委員会」は奨学金の貸与に関する支援を学生課とタイアップして
行っている。奨学金申請対象は、「独立行政法人日本学生支援機構」が主なものであるが、
本学に在籍する学生の約半数がこの奨学金を申請し、申請者のほとんどがこれを得て学業
に励んでいる。ちなみに平成 21(2009)年度における奨学金の貸与者は 459 人(「第一種」
112 人、「第二種」347 人)であり、これは在籍学生の 47.8%に当たる。
(2)
無料スクールバスの運行
大学への通学の便を図るため、前述したように「スクールバス」を運行しており、学生
は無料で利用できる。なお、この「スクールバス」のルートは、学生が居住するアパート
を網羅するように配慮されている。
また、国家試験対策時や実習施設見学時、講演会やイベント開催時にも随時運行する等
の対応も行っている。
(3)
その他の支援
図書館においては、学生のリクエスト図書を随時受け付け、学生のニーズに応えるよう
にしている。
また、売店及び学生食堂を整備し、良質で安い昼食の提供等にも努めている。
4-3-③
学生の課外活動への支援が適切になされているか。
課外活動は、クラブとサークルに分かれるが、設立に際してはいずれも「学生委員会」
に届出をして許可を得るという手続を取っている。また、クラブやサークルには、顧問の
教職員を置くこととなっている。これらの届出を行ったクラブやサークルに対しては、
「学
友会」を通して経済的な支援を行っている。こうした手続等は、
「学生課外活動規程」に沿
って行われている。
なお、平成 21(2009)年度においては、7 つのクラブと 25 のサークルが登録されている。
4-3-④
(1)
学生に対する健康相談、心的支援、生活相談等が適切に行われているか。
全般的事項
学生に対する健康相談、心的支援、生活相談等は、
「図 4-3-2 学生相談に関する基本的流
れ図」に示すような分担を設けて行われている。また、心的支援や生活相談等に適切に対
応するため、学生の意見や要望を聞くための「学生意見箱」を常設している(図 4-3-3)。
これらに関して以下に若干の説明を加えたい。
(2)
保健室における保健相談・管理
本学には保健室が設置されており、学生の日々の健康管理や健康相談等はこの保健室を
中心に行っている。保健室には看護師が常駐しており、学生の日常における心身の健康相
談等に応じている。また、本学の常勤教員の中には、医師(内科、整形外科、精神科等)
がいることから、事例によってはこれらの教員による専門的相談・支援も行われている。
(3)
学生相談室における相談・支援
学生相談室が設置され、大学から委嘱された専門教員が個別相談等に対応している。学
生相談室は、
「学生委員会」が管理運営し、学生の相談に当たっているが、様々な相談につ
48
健康科学大学
いては、相談室のみならず原則として全教職員がこれに当たることができる体制を目指し
ている。
(4)
人権問題に係る対応
セクシャルハラスメントやアカデミックハラスメント等、人権問題に関わる対応は、
「人
権問題相談員」及び「人権問題対策委員会」を置いて慎重かつ迅速に対応している。
図 4-3-2
図 4-3-3
学生相談に関する基本的流れ図
学生意見・要望箱への対応に関する流れ図
49
健康科学大学
(5)
「学生意見箱」の設置と活用
学生が日頃感じている意見・要望、あるいは人権問題に関わる事柄を収集し、それを学
校の運営や学生の学業・生活に関わる諸問題の改善に役立てるべく、
「学生意見箱」を各棟
に常設している(図 4-3-3)。なお、この箱への投書は、記名で行うことを原則としている。
この箱の管理は「学生委員会」が行っており、毎月委員会開催日に委員全員の立会いの下
で箱を開き、公平・公正さを保つよう配慮している。学生からの意見等については、
「学生
委員会」が責任を持って対応することとしているが、その際、プライバシーの保護ととも
に、迅速に対応すること、可能な限り学生へのフィードバックを行うこと等を旨としてい
る。こうした学生からの意見等への対応手続きに関しては、別途に規定を設けている。
なお、箱の設置場所には、「ハラスメント防止に関するポスター」を貼り、ハラスメン
トに関する啓発を行っている。
4-3-⑤ 学生サービスに対する学生の意見等を汲み上げる仕組みが適切に整備されているか。
「4-2-③(2)」及び「4-3-④(5)」で示した「学生意見箱」には、学生サービスに関する意
見も数多く寄せられる。例えば、「学生食堂改善に関する意見」や、「スクールバスの増発
の要望」、あるいは「携帯電話受信の整備を進めて欲しいとの要望」等、様々である。これ
ら学生サービスに関する要望については、図 4-3-3 の「学生意見箱への対応に関する流れ
図」によって、「学生委員会」から各部署や責任者等へ伝達され、適切に対応されている。
こうして対応した結果については、
「掲示板」や「ホームページ」あるいは本人への直接伝
達などによってフィードバックしている。
学生サービスに対する意見は、この他にも「4-2-③(1)」で示した「クラス担任制」や「オ
フィスアワー」を通しても聴取して対応している。
【2
4-3 の自己評価】
学生サービスや厚生補導、課外活動の支援に関しては、概ねうまく対応できていると思
われる。また、学生の相談に関しては様々な種類・レベル等があるが、色々な角度からの
支援体制が、総合的に機能を果たしている。特に精神的な問題を抱えている学生に対して
は、
「クラス担任制」や「オフィスアワー」の設置等がうまく稼動し、迅速な対応ができて
いると評価することができる。なお、近年においては、
「学生表彰規程」、
「学生課外活動規
程」等が整備され、旺盛な勉学意欲や健全な学生生活を鼓舞する体制も整ってきている。
【3
4-3 の改善・向上方策】
学生の相談等に関しては、現状でかなりうまく推移していると思われるので、今後も現
状のきめ細かな対応を維持するように努めていく必要がある。
本学の特色としては、学生が日常的に教員の研究室に出入りするなど、相互の親密な関
係が構築されているので、今後もこうした関係を伝統として発展させていきたい。
また、学生相談の結果やどのようにフィードバックしたか等は、将来のデータベース管
理活用を念頭に情報の蓄積を行っているが、今後もこれを継続し、これが活用できるよう
な体制を整えていきたい。
50
健康科学大学
4-4
就職・進学支援等の体制が整備され、適切に運営されていること。
【1
事実の説明(現状)】
4-4-①
(1)
就職・進学に対する相談・助言体制が整備され、適切に運営されているか。
就職委員会の活動
学生の就職・進学に関する相談・助言体制を整備し、相談等の活動が円滑に機能するこ
とを意図して「就職委員会」を組織している。この「就職委員会」は、各学科から 2 名ず
つ選出された委員と「学生課」の職員とで構成され、学生の就職・進学に関する諸問題の
解決に取り組んでいる。
専門的な進路相談・指導は、各学科の「就職委員会」委員を中心として、卒業研究指導
教員や学年担任等が応じているが、
「学生課」に様々な相談を申し出る学生も多いため、教
員と職員が双方で学生の情報を共有して相談しやすい環境作りをしている。
また、就職・進学に対する学生の意識を高める目的で、3 年次より全学生を対象にオリ
エンテーション時に「就職・進学ガイダンス」を開催し、
「自己を理解する」ことから「具
体的な就職活動の仕方」までを外部講師も含めて指導している。一方、専門職としての意
識を高める進路指導を行うため、各学科ごとに OB・OG(Old Boy・Old Girl)からの講話など
を聞く機会を企画・実施するなどしている。
さらに 4 年次には、「就職・進学ガイダンス」のほかに夏休み中に「職場説明会」・「求
人説明会」を開催している。これは、本学の実習先、卒業生の就職先、山梨県下の病院・
施設等に呼びかけ、本学において人事担当者と学生が直接対話のできる場を提供するため
の企画である。
(2)
学生課
「就職委員会」の諸々の課題を検討し、その検討結果に基づき関連する日常的な業務を
行う事務組織は「学生課」である。
「学生課」は、求人開拓、就職関連の資料の収集と整理、
データ等のストック、「就職・進学ガイダンス」の開催、「求人説明会・職場説明会」の実
施、「個別相談」、「個別模擬面接」等に当たっている。
また、3 年次に「進路希望調査票」を、4 年時に「進路(就職)登録票」を提出させ、
就職希望や進学希望などの動向を把握するとともに、各学科にその内容をフィードバック
し、教員を含めて全学的に学生の指導に当たる体制を整えている。
なお、就職斡旋は卒業後 1 年以内にも対応することにしている。
業務の概要は、以下に示す通りである。
1)
①
資料コーナーの整備
年度ごとの求人情報を都道府県別にファイルし、また企業、病院・施設等のパンフレ
ットや募集要項を随時検索可能な状態に整備している。
②
「 就 職 試 験 対 策 用 ガ イ ド ブ ッ ク 」・「 問 題 集 」・「 公 務 員 試 験 対 策 用 問 題 集 」、
「SPI(Synthetic Personality Inventory)実践問題集」、
「企業情報ガイドブック」などを
整備している。
③
既卒者の就職試験内容のデータを保管し、在学生が就職試験時の対策として活用でき
るよう随時閲覧可能としている。
51
健康科学大学
2)
学生に対する個別相談
就職・進学に関わることについては、学生に対する窓口対応のみならず、電話、E メー
ル等での相談も受け付けており、遠方の実習先からの問い合わせにも随時対応している。
3)
求人情報の掲示
各学科の掲示板に、求人情報の概要を掲載し、多くの学生の目に触れるように配慮して
いる。
4)
求人票ファイルの整理と公開
求人票を受付日順に、学科別、都道府県別にファイルしている。また、希望求人票があ
れば、事務局でコピーすることも可能となっている。
なお、
「企業説明会・セミナー」、
「企業合同ガイダンス」、
「公務員採用情報」、
「求人案内ポ
スター」等を掲示するように努めている。
5)
就職資料の配布
「就職情報サイトの登録用紙(ハガキ)」や「就職パンフレット」等を展示するととも
に、学生が自由に持ち帰ることができるように配置している。
4-4-②
キャリア教育のための支援体制が整備されているか。
キャリア教育に関しては、本学は各学科ごとに対応がなされている。
「理学療法学科」や「作業療法学科」においては、実習先のスーパーバイザーや、卒業
生を定期的に招き、研究会や研修会を盛んに行っている。また、教員が臨床現場や判定会
議等へ赴き最新情報を入手して学生へフィードバックしている。
例えば「福祉心理学科」においては、1・2 学年から「基礎演習」において計画的にキャ
リア教育を行うとともに、3 学年以降においては実習先のスーパーバイザーや卒業生を招
くなど、現場における専門職としての職務の状況と自分たちの進むべき将来像を認識させ
るように努めている。また、希望する学生には、大学院受験や地方公務員受験、保育士受
験等の各分野別の進路指導もきめ細かく行っている。
【2
4-4 の自己評価】
平成 21(2009)年度の卒業時における就職・進学率は、
「理学療法学科」85%、
「作業療法
学科」74%、「福祉心理学科」48%となっている。このように、卒業時の就職・進学率は
特に高いとはいえないが、これは、国家試験の合否判定の後に就職活動を始めるという学
生がいること等が原因である。しかし、卒業後、平成 22(2010)年 5 月 1 日までに就職・進
学が決定した学生を含めると、「理学療法学科」99%、「作業療法学科」95%、「福祉心理
学科」90%となり、概ね就職・進学率は高位に安定しているといえる。
本学は、比較的小規模の大学であるため、教職員と学生との密度の高い関係が保たれて
おり、きめ細かな就職・進学指導ができているといえる。そのため、卒業生が近況報告な
どに研究室や「学生課」を訪れ、資料だけでは分からない就職先の状況等の情報を提供し
てくれている。
「職場説明会」や「求人説明会」は、学生にとって就職活動を本格的に考える絶好の機
会となっており、こうした機会における面談が切っかけとなって就職に至る学生も多数見
られるので、大学における取組みの成果が現れていると評価することができる。
52
健康科学大学
【3
4-4 の改善・向上方策(将来計画)】
就業に関する意識が希薄な学生もいることから、人としての生き方や就職の意義を認識
させたり、本人の希望と就職先の条件のミスマッチを防ぐために自己認識を明確にさせた
りするところから、キャリア教育や就職・進学に関する取組みを行っていかねばならない
状況である。そのために、現代の学生の就職に対する意識の変化等を的確に把握するとと
もに、就職指導の重要課題を教職員が共通に認識し、支援体制を強固なものにしていくこ
とが求められている。
また、学外実習等で来校できない学生に対しても、大学に届く求人情報を共有できるよ
うに、
「就職ホームページ」を立ち上げたので、これを活用した就職指導にも力を入れてい
きたい。
学生の自立心や精神的強さを育み、社会性や人間性に優れ、社会に貢献し得る学生の育
成に努めるため、日常の講義や実習だけではなく、様々な場面において教職員が一体とな
って支援していきたい。
【基準4の自己評価】
本学は開学 7 年を経過したところであり、平成 22(2010)年 3 月には第 4 回目の卒業式を
挙行して卒業生を送り出した。このように開学以来の歴史は浅いが、ヒューマンケアやリ
ハビリテーションに携わる専門家を育成する大学であるためか、入学してくる学生は人間
味にあふれている。この点は、日常的な挨拶にも現れており、教職員はもとより、本学へ
の訪問者に対しても自然な形で挨拶が行われている。この良き校風は、開学以来の伝統と
もなっており、本学学生の資質の一端を現すものであると捉えることができる。また、こ
うした態度の形成は、教職員と学生との日常的な人間関係がうまく保たれている点に由来
するものと思われる。例えば、学生の悩み相談や、勉学の質問など、気軽に教員の研究室
のドアをたたき、直接親密なコミュニケーションを取っていることなどがその例である。
しかしながら、長所と短所は裏表の関係にあるといわれるように、教職員と学生との密
度の濃い関係は、時として教員に依存する学生の精神構造を作り出す危険も潜んでいると
思われる。したがって、こうした危険性を認識しつつ、伝統の長所を生かしていく体制づ
くりを継続的に行っていくよう努力したい。
さて、本学における一番の懸案は、本学入学志望者及び入学者をどのようにして増加さ
せていくかである。この点に関する詳細は前述したが、過去の反省に立って教職員あげて
努力していく所存であり、その認識を新たにしているところである。
【基準 4 の将来計画】
本学においては、アドミッションポリシーに沿った入学者数をどのように確保するかが
現状における最大の課題である。この点に関しては、
「学生定員確保への取組み」で詳細に
述べた方針に基づいて、全教職員あげて具体的な取り組みを全力で行っていく所存である。
しかしながら、諸般の情勢からみて、
「福祉心理学科」の 1 学年定員(100 人)の入学者を
確保するのは不可能なので、中・長期的には「福祉心理学科」の定員を一部削減して適正
規模の定員にするとともに、小規模大学の安定的な経営を確保するため、削減した定員を
新設学科等の定員に切り換える対応策が必要だと考える。具体的には、
「看護学科」等の医
53
健康科学大学
療・福祉系学科の新設を検討する予定である。
本学の学生支援システムは幾つかの面でいまだ発展途上にあると思われるので、自己評
価でも示したように、様々な体制の長所・短所を見極めつつ、逐次修正して今後 2~3 年の
間に確固たるシステムを築いていきたい。そのために、意見・要望箱の内容や相談内容な
どは、今後の体制づくりのための重要な情報や資料を提供してくれるものと思われるので、
有意義なデータベースの構築を予定している。
54
健康科学大学
基準 5
5-1
教員
教育課程を遂行するために必要な教員が適切に配置されていること。
【1 事実の説明(現状)】
5-1-①
教育課程を適切に運営するために必要な教員が確保され、かつ適切に配置されて
いるか。
本学の教員構成は表 5-1-1 の通りであり、大学設置基準上必要な専任教員数と専任教員
数も表中に示している。この表にみられるように、大学設置基準を上回る専任教員を各学
科に配置しており、また、
「各学科が養成している専門職種の学校養成施設指定規則」に定
める専任教員要件も十分に満たしている。
表
5-1-1
専 任 教 員 数(人)
助
学部・学科
教
准
講
助
教
健康科学部
計
手
設
置
基
準
上
必
要
専
任
教
員
数
設
置
基
準
上
必
要
専
任
教
授
数
専
任
教
員
1
人
当
た
り
の
在
籍
学
生
数
授
授
師
教
理学療法学科
8
3
4
3
18
2
8
4
21.7
作業療法学科
9
5
2
2
18
0
9
5
15.7
福祉心理学科
7
5
3
0
15
2
14
7
11.0
24
13
9
5
51
4
31
16
(15)
(8)
46
24
健康科学部合計
(各学科の収容定員に応じ定める専任教員数の他に
大学全体の収容定員に応じ定める専任教員数)
合計
24
13
9
5
51
4
兼
任
(
非
常
勤
)
教
員
数
36
36
36
注)学長は「福祉心理学科」教授に含まれている(2010 年度)
5-1-②
教員構成(専任・兼任、年齢、専門分野等)のバランスがとれているか。
平成 22(2010)年 5 月 1 日現在、本学における専任教員数は 51 人、助手は 4 人、兼任教
員数は 36 人であり、兼任教員のうち「総合基礎科目」
(外国語含む)担当が 14 人、
「専門
基礎科目」担当が 14 人、
「専門科目」担当が 8 人である。開設授業科目における専任・兼
任比率は、「総合基礎科目」が 60.7%、「専門科目」では「理学療法学科」が 87.6%、「作
業療法学科」が 89.6%、
「福祉心理学科」が 78.1%である。このように、
「専門科目」の教
育はその大部分を専任教員が責任をもって実施している。
平成 22(2010)年度における教員の年齢の構成は、20 歳代から 70 歳代の範囲にちらばっ
ているが、最も多いのは 40 歳代(31.4%)であり、次いで 30 歳代が 27.5%、50 歳代が 25.5%
と、年齢構成はバランスのよいものになっている。男女比は、男性 70.6%、女性 29.4%の
構成である。
55
健康科学大学
【2
5-1 の自己評価】
本学の教員数は、設置基準上の法令的な数値を満たしており、また、教育課程を実施す
る上で適切に配置されている。
「専門科目」は、専任教員が主として担当しており、教員の専門分野・年齢・性別にお
いても、ほぼバランスが取れているといえる。
【3
5-1 の改善・向上の方策(将来計画)】
「福祉心理学科」及び「作業療法学科」は、学生数が減少して定員を下回っているので、
大学としてこの 2 学科の定員縮小と新学科設置を検討している。特に、「福祉心理学科」
の学生数の減少が顕著なので、新学科設置等将来計画に基づいて教員の再配置を中期的視
野から検討しているところである。
5-2
教員の採用・昇任の方針が明確に示され、かつ適切に運用されていること。
【1
事実の説明(現状)】
5-2-①
教員の採用・昇任の方針が明確にされているか。
本学の教員の任用は、設置に際しては文部科学省の審査を経て行われたが、完成年度以
後(平成 19(2007)年度)からは、「健康科学大学教員任用及び昇任資格審査規程」(平成
17 年 10 月 28 日理事長決裁)を設けて採用・任用に対応している。この規程においては、
教員の基本資格として本学の設立の趣旨・教育目標を充分に理解する者であること、人格・
識見に卓越していている者であること、学術に秀で研究・教育の能力及び業績を有する者
であること等が明記されている。また、教授、准教授、講師、助教、非常勤講師及び外国
人教員の資格がそれぞれに示されている。
なお、教員の採用に際しては、インターネット等を活用して広く公募することを原則と
している。
5-2-②
教員の採用・昇任の方針に基づく規程が定められ、かつ適切に運用されているか。
教員の採用・昇任は、前記した「健康科学大学教員任用及び昇任資格審査規程」によっ
て行われているが、具体的な手続きは、次に示す通りである。
(1)
新規採用人事
①
学科長は、本学の教育理念と目的に照らして必要な教員について、必要理由
等を記述した要望書を学部長に提出する。
②
学部長はそれを受けて「大学運営会議」に新規採用人事を提案し了承を得る。
③
学長は理事長に新規採用人事について打診する。
④
学長は、「教授会」において教員の新規採用人事に関する「資格審査委員会」
の立ち上げの承認を得る。
⑤
「資格審査委員会」は、教授会が選任した教授で構成する。委員長は委員の
互選で選出される。
「資格審査委員会」は、人事に関する資格審査を行い、適格・
不適格の結論を得る。
56
健康科学大学
⑥
「資格審査委員長」は、「審査報告書」を学長及び教授会に報告する。
⑦
学長は、
「教授会」の議を経て、教員任用候補を理事長に内申し、理事長はこ
れを決定する。
(2)
昇任人事
①
学科長は、研究業績等をみて昇任が適当と思われる教員について「昇任要望
書」を学部長に提出する。
②
学部長はこれを学長に報告し、学長は大学運営会議に諮り、了承を得る。
③
学長は、学部長・3 学科長・共通科目長・リハビリテーションクリニック院
長からなる昇任に係る「人事委員会」を立上げ、研究教育業績及び学内活動・
社会貢献等を検討し、昇任の適・不適を審査する。
④
学長は、
「教授会」の議を経て、昇任候補を理事長に内申し、理事長はこれを
決定する。
【2
5-2 の自己評価】
教員の新規採用、昇任は「教員任用及び昇任資格審査規程」に基づいて行われている。
新規採用人事においては、前述 5-2-②(1)の①②③が口頭で行われることが多かったが、
④以降は適正に行われている。昇任人事における 5-2-②(2)の①②も口頭で行われること
が多かった。③の資格審査は「資格審査委員会」により適正に行われている。ただし、教
員の新規採用、昇任どちらにおいても、教員の人事案件が理事会に報告されてこなかった
等、手続き的な面で改善を要する。
【3
5-2 の改善・向上の方策(将来計画)】
今後改善を要する事項は3つある。まず第1は、新規採用が必要かどうかを審議する組
織と手続きを規程上明確にすることであり、第2は理事会において大学教員人事に関する
案件を報告し、議事録に残すことである。第3に「教員任用及び昇任資格審査規程」を精
査し、新規採用・昇任に係る審査手続き等を分かりやすく改定することである。
また、教員の採用に当たっては、本学のホームページの活用をさらに進めるとともに、
インターネット等による公募を積極的に行うよう改善していく。
5-3
教員の教育担当時間が適切であること。同時に、教員の教育研究活動を支援する体
制が整備されていること。
【1
事実の説明(現状)】
5-3-①
教育研究目的を達成するために、教員の教育担当時間が適切に配分されているか。
教員の教育担当時間は、演習・実習等の授業科目を担当している教員は多い傾向がある
が、ほぼ適切に配分されている。
5-3-②
教員の教育研究活動を支援するために、TA(Teaching Assistant)
・RA(Research
Assistant)等が適切に活用されているか。
助手が TA の役割を果たしているので、教育研究活動の支援体制は適切に行われている
57
健康科学大学
といえる。助手は主として演習・実験、実習等の授業科目の学生の出欠確認・出席管理・
視聴覚教材の準備等も行うが、この他に実習関連として学生の実習に必要な連絡、書類送
付などの支援をしている。平成 22(2010)年度は、「作業療法学科」は助手がいないが、助
教が支援しており、一部の授業では「聴講生(卒業生)」が授業の補助をしている。
5-3-③
(1)
教育研究目的を達成するための資源(研究費等)が、適切に配分されているか。
各教員への研究費予算
本学では、大学教員として研究活動の活性化を図るため、各教員へ職位に応じて「個人
研究費」が配分されている。開学以降平成 20(2008)年度までは教授 50 万円、准教授 40
万円、講師 30 万円、助教 20 万円、助手 10 万円であったが、平成 21(2009)年度は、大学
予算削減のため研究費も削減された。しかし、若手教員の研究費は削減率を少なくするか
全く削減しない形の配分を行った。
(2)
学内研究助成費制度
平成 17(2005)年度より、「研究助成費」を設け、教員から申請された「研究計画書」を
「研究委員会」が審査して「研究助成費」として交付している。そのカテゴリーは、教員
個人が行う単年度「個人研究」、学内外の研究協力者と連携する 2 年度にわたる「共同研
究」、研究委員会が推薦して大学が選定する複数年度の「大学としての研究プロジェクト」
の 3 つである。
ちなみに、平成 20(2008)年度の「学内研究助成費」総額は 800 万円で、「個人研究」3
題、
「共同研究」14 題で分配され、平成 21(2009)年度の「学内研究助成費」総額は 500 万
円で、「共同研究」11 題に交付された。
【2
5-3 の自己評価】
教員の授業担当時間については、ほぼ適切である。
また、教員への「個人研究費」・「研究助成費」の制度は評価できるであろう。特に、学
内外の研究者と「共同研究」が盛んに行われていることは、高く評価できる。
研究活動を保障するために、助手を除く全教員に「研究日」が週 1 日認められており、
研究の他、博士課程でのキャリアアップなどにも活用されている。
【3
5-3 の改善・向上の方策(将来計画)】
教員の授業担当時間は適切であり、教員の教育研究活動を支援するために、助手の活用、
「個人研究費」、「学内研究助成費制度」が設けられていることは評価できる。今後は外部
資源の投入のための方策をさらに積極的に検討していきたい。
5-3
教員の教育研究活動を活性化するための取組みがなされていること。
【1
事実の説明(現状)】
5-4-①
(1)
教育研究活動の向上のために、FD 等組織的な取組みが適切になされているか。
FD 委員会等の取り組み
58
健康科学大学
1)
授業改善のための研究会
「FD 委員会」が研修会を開き、有効な教材の提示方法や教材作成の方法、有効な授業
方法等の研修を行い、教員の教育研究活動を活性化させるための取組みを行っている。
2)
学生による授業評価の導入と改善勧告・助言
本学は、毎学期末に学生による授業評価を組織的に行い、その結果を教員に還元してい
る。そのため、各教員は担当授業ごとに当該授業の改良・進化を図ることができる。極端
に低い評価の授業については、学長あるいは学部長が担当教員に改善を求めることができ
る。幸いなことに、このような例はこれまで皆無である。
(2)
文部科学省科学研究費補助金及び外部資金への応募
本学教員に交付された「科学研究費補助金」は、平成 18(2006)年:60 万円、平成 19(2007)
年:104 万円、平成 20(2008)年:670 万 8,000 円であった。その他の「外部資金」は、平
成 19(2007)年から 2 年間、企業による「寄附講座」が開設され、年間 3,000 万円の研究費
を得た。
「科学研究費補助金」については、多くが採択されるように講習会を開催し、応募書類
の作成方法や選考手順などの説明会を毎年度開いている。
(3)
学内研究助成費への積極的応募
本学には、「研究助成費」の制度があり、教員の研究活動活性化を図っている。これに
は「個人研究」、「共同研究」及び「大学としてのプロジェクト研究」の 3 つのカテゴリー
がある。
「個人研究」もさることながら、医療福祉関係の病院・施設等の専門職員を共同研
究者とした研究計画は毎年度少なくない。この種の「共同研究」は本学の教育目的に合致
するとともに、社会貢献に直結するものであり、今後の成果が大いに期待されると同時に、
教員の研究活動の活性化に大きな役割を果たしている。
(4)
健康科学大学紀要の刊行
教員の研究成果等を掲載した「健康科学大学紀要」を、毎年 1 巻刊行している。
平成 21 年(2009)年度の紀要第 6 号には 18 本の論文が掲載された。
5-4-②
教員の教育研究活動を活性化するための評価体制が整備され,適切に運用されて
いるか。
学生による授業評価によって、教育活動の向上を目指している。また、教員の評価につ
いては、毎年「健康科学大学健康科学部教育・研究年報」に研究、教育、地域の活動など
をまとめるなどして自己評価を行うとともに、教員相互の評価としても機能している。
【2
5-4 の自己評価】
「FD 委員会」、「研究委員会」を中心として教育研究活動の向上を目指して取り組んで
いる。学内の「研究助成費」への応募は多く、研究に対する教員の意欲は高い。
「研究助成
費」による研究の成果は、毎年実施される「研究委員会」主催の「研究報告会」で報告さ
れ、教員相互の評価としても機能している。
【3
5-4 の改善・向上の方策(将来計画)】
「学内研究助成費」の制度もあり、研究は活発に行われているが、「文部科学省科学研
59
健康科学大学
究費補助金」等の「外部資金」の獲得はまだ不十分であり、今後さらに多くの教員が申請・
獲得できるようなサポート体制を確立していく。
教員の評価体制については、学生による授業評価はなされているが、教員相互の評価体
制が不十分なので、「FD 委員会」などを中心に組織的に進めていく必要がある。
【基準 5 の自己評価】
本学の教員構成において、教育課程を遂行するために必要な教員は適切に配置されてい
る。兼任教員への依存は少なく、特に専門教育において兼任教員は一部に限られている。
教員の教育活動は活発かつ良好であり、
「英語」等の独自の教科書づくりなど教育の改善に
も努力している。
教員の採用・昇任の方法については、「教員任用及び昇任資格審査規程」に基づいて適
正に実施されている。
教員の教育研究活動の活性化のために、
「FD 委員会」、
「研究委員会」を中心にさらに改
善する必要があるとともに、教員の評価体制を積極的に検討する。
また、大学外部資金の獲得、特に、「科学研究費補助金」の獲得は次第に増加している
が、なお一層の努力を要する。
【基準 5 の改善・向上方策(将来計画)】
本学では、教員の教育研究活動に対する意欲は高く、教員相互に切磋琢磨している。ま
た、本学創設期における法人の不祥事により、様々な困難に直面したが、学生の教育には
全く支障なく、全教員が力を合わせてよりよい教育に向け取り組んでいる。
「福祉心理学科」では、全国的ないわゆる「福祉離れ」のために、入学者数の減少傾向
があった。そのため、平成 23(2011)年度から、「福祉心理学科」の定員数の削減(1 学年
定員 100 人を 40 人に)と「作業療法学科」の定員削減(1 学年定員 80 人を 60 人に)、及
び平成 23(2011)年度に、「看護学科」設立(1 学年定員 80 人)を計画し、「看護学科設置
準備室」を開設して準備を進めていたが、前述の不祥事などで文部科学省の指導を受ける
事態が続き、現在準備の断念を余儀なくされている。しかし、平成 21(2009)年度には、
不祥事に関する調査報告を終了し、文部科学省の指導のもとに法人は新体制を整え、新た
な一歩を踏み出したので、今後は一刻も早く所期の目的に向かって取り組むことができる
ように願うものであり、教職員あげてそのための努力をしていきたい。
60
健康科学大学
基準 6
6-1
職員
職員の組織編制の基本視点及び採用・昇任・異動の方針が明確に示され、かつ適切
に運営されていること。
【1
事実の説明(現状)】
6-1-①
大学の目的を達成するために必要な職員が確保され、適切に配置されているか。
職員の確保については、
「健康科学大学事務組織及び事務分掌規程」が制定されており、
その規程に基づいて人員の配置が行われている。平成 22(2010)年 5 月 1 日現在、専任職員
27 人、嘱託職員 2 人が確保されている。事務部門の組織図は、図 6-1-1 に示す通りである。
それぞれの部署には、業務の目的や内容に応じて必要とされる能力や資格、専門性、経験
を考慮し、適切な職員の採用と配置を行っている。
各課間の共通認識を図るための調整の場として、毎月 1 回「部課長会議」を開催し、そ
の内容や各課の予定については、課長を通じて全職員に伝達されている。
評議員会
総 務部
理 事 会
法人事務局
健康科学大学
大学事務局
総 務課
財 務課
※法人事務局
管 財課
監事
教 務部
教 務課
学 生課
入試広報課
図 書館
保 健室
リハビリテーション
ク リ ニ ッ ク
図 6-1-1
6-1-②
事 務室
事務部門組織図
職員の採用・昇任・異動の方針が明確にされているか。
職員の採用・異動については、「就業規則」に規定されている。
新設校であることを勘案し、安定した業務遂行力の蓄積を優先したため、定期的な異動
は実施していなかったが、今後は計画的に「ジョブローテーション」を実施していきたい。
6-1-③
職員の採用・昇任・異動の方針に基づく規程が定められ、かつ適切に運用されて
いるか。
採用については「就業規則」に規定されているが、実際の運用としては、事務局長が各
部署の責任者(部長・課長・係長・主任)の要望を調整し、次年度の大学の状況、重点事項
61
健康科学大学
等を勘案し、採用方針案を策定し、理事長の承認を得る形で行っている。
また昇任については、事務局長が各部署の責任者(部長・課長・係長)から上申書を提
出してもらい、昇任案を策定し、理事長の承認を得る形で行っている。
【2
6-1 の自己評価】
大学事務局の組織は、責任と権限を明確にしながら業務を遂行できるように、その整備
に努めている。しかし、職員の採用や昇進に関しては、その基準が現段階では明確に示さ
れていないので、この点に関する検討が必要である。
なお、これからの大学事務局業務には、高度な専門性が求められることから、一層の専
門性と安定した業務遂行能力を備えた職員確保のための人事管理に努める必要があると考
えている。
【3
6-1 の改善・向上方策(将来計画)】
本学の事務局は、責任と権限を明確にしながら、その業務を十分に遂行しているが、急
速な社会変化や高等教育を取りまく環境の変化に敏速に対応し、少子化時代を勝ち抜くた
めに、一層の事務組織の活性化が必要である。こうした活性化のためには、幅広い視野や
柔軟な思考と対応力、情報収集力とその情報を基にした分析力、企画力がこれまで以上に
必要になってくると考える。そのため各部署においては、これに対応できる専門性の蓄積・
研鑽と人員配置に努めていきたい。
6-2
職員の資質・能力の向上のための取組み(SD 等)がなされていること。
【1
事実の説明(現状)】
6-2-①
職員の資質・能力の向上のための研修、SD 等の取組みが適切になされているか。
本学における職員の教育研修は、現場訓練を中心にした「学内研修」と「学外研修」に
よって行っている。また、所轄官庁の動向や本学を取り巻く学外情報については、
「部課長
会議」等で情報の共有を図っており、更に各課の職員には、必要に応じて情報提供を行っ
ている。
なお、学外研修については、行政機関や各種団体の主催する業務上必要度の高い研修会
に参加するようにしている。
【2
6-2 の自己評価】
現在、各課の業務に関する専門性の蓄積に力点を置いている。そのために必要な学外で
開催される行政機関や各種団体の主催する研修等には、積極的に参加するように努めてお
り、そこでの成果が業務に反映され、かつ活かされている。
【3
6-2 の改善・向上方策(将来計画)】
上記「2
6-2 自己評価」で示したように、現段階においては、事務職員の学内外にお
ける研修を奨励し、専門性の獲得と蓄積に努めていかねばならないと認識している。その
62
健康科学大学
ため、特に学外で行われる研修には引き続き積極的に参加するようにしていきたい。
6-3
大学の教育研究支援のための事務体制が構築されていること。
【1
事実の説明(現状)】
6-3-①
教育研究支援のための事務体制が構築され、適切に機能しているか。
(1)
学生に対する教育研究支援
学生の教育研究支援については、「総務課」、「管財課」、「教務課」、「学生課」、「図書館」
及び「リハビリテーションクリニック」を中心に取り組んでいる。
(2)
教員に対する教育研究支援
教員に対する教育研究支援については、「総務課」、「管財課」、「教務課」、「図書館」、
リハビリテーションクリニック」及び「研究委員会」を中心に全学的に取り組んでいる。
(3)
図書館における教育研究支援
本学の図書館は、時代のニーズに合わせて「電子媒体(医学中央雑誌・メディカルオン
ライン・CINII(Citation Information by NII))」等を導入している。また、期末試験や国
家試験の勉学を支援するため、開館時間延長等を教職員の協力・連携によって行っている。
(4)
研究推進に関する支援
「研究委員会」において、「専任教員の研究方針及び実施計画に関する事項」、「研究活
動の評価及び結果報告に関する事項」、「本学及び学外からの『研究助成費用』の配分に関
する事項」、「本学及び学外からの『研究助成費用』の使途に関する事項」、「その他本学の
研究に関する事項」の 5 項目について協議・決定し、平成 16(2004)年度から教員等に対す
る研究及び研究倫理に関する支援を行っている。
なお、「研究費」の管理及び「科学研究費補助金」等の申請業務を事務局において行っ
ている。
(5)
リハビリテーションクリニックにおける支援
本学の関連施設である「リハビリテーションクリニック」においては、学生の臨床実習
及び研究に必要なデータの収集を行うなどして、学生・教員の教育研究の支援を行ってい
る。
【2
6-3 の自己評価】
学生に対する教育研究活動支援については、入学段階からのオリエンテーション、修学
支援、国家試験受験対策、研究支援等について「総務課」、
「管財課」、
「教務課」、
「学生課」、
「図書館」、「リハビリテーションクリニック」が教員組織と連携して行っており、効果的
に機能している。
また、教員に対する教育研究支援については、「総務課」、「管財課」、「教務課」、「図書
館」、「リハビリテーションクリニック」及び「研究委員会」を中心に全学的に取り組んで
いるが、
「科学研究費」等の外部からの研究資金への申請支援や研究費採択後の支援につい
ては、一層の充実が必要であると考えている。
63
健康科学大学
【3
6-3 の改善・向上方策(将来計画)】
教員の「科学研究費」等の外部からの研究資金への申請支援と研究費採択後の支援につ
いては、今後支援体制の一層の強化が必要であると考えている。また、学内での「研究報
告会」を定期的に実施することや 3 学科の連携による「共同研究」に対するバックアップ
体制を整えることが、諸機関との提携による研究費等の外部資金獲得につながるので、積
極的に取り組んでいきたい。
【基準 6 の自己評価】
①
本学においては、
「健康科学大学事務組織及び事務分掌規程」に従って、組織運営に必
要な人員の配置が行われている。また、職員の採用、昇任、異動については、詳細の規
程が未整備な部分もあるが、概ね適切に行われている。
②
職員の資質向上のための研修等の取組みについては、現場訓練を中心にしながら学外
の研修会にも積極的に参加するなど、適切に行われている。
③
教育研究を支援する体制としては、学生に向けては「教務課」、「学生課」、「図書館」
及び「リハビリテーションクリニック」が教員と共に適切に支援している。また、教員
に向けての支援については、「科学研究費」等の申請支援、研究採択後の支援により力
を入れる必要がある。
【基準 6 の改善・向上方針(将来計画)】
①
職員の資質向上という点では、当面は各職場におけるスキルアップに力を入れる必要
があると考えており、そのために、現場訓練による研修とともに学外で開催される研修
にも積極的に参加する。
②
職員の採用や昇進に関しては、その基準が現段階では明確に示されていないので、こ
の点に関する検討を行い、早急に基準を設定したい。
③
研究支援という点では、
「科学研究費」等の申請支援、採択後の支援に力を入れる必要
がある。そのため、「研究委員会」で具体策の検討を進めているが、その検討結果に基
づいて積極的な推進を図っていく。
64
健康科学大学
基準 7
7-1
管理運営
大学の目的を達成するために、大学及びその設置者の管理運営体制が整備されてお
り、適切に機能していること。
【1
事実の説明(現状)】
7-1-①
大学の目的を達成するために、大学及びその設置者の管理運営体制が整備され、適
切に機能しているか。
(1)
全般的事項
本学の目的は「学則」第 1 条において、「健康科学大学(以下「本学」という。)は、教
育基本法及び学校教育法の精神に則り、本学創立の精神に基づく人間教育を行い、広い教
養と実務的な専門知識を授けるとともに、旺盛なる自主の精神と強い責任感を涵養して、
文化の向上と医療及び福祉の進歩に寄与し得る有為な人材を育成することを目的とする。」
と規定されている。
これを具現化するために、教育研究活動を担う大学の教学組織の最高審議機関として
「教授会」が位置付けられており、経営方針を決定する「理事会」等のもとで管理運営が
行われている。
(2)
大学及び設置者の管理運営体制
本学の管理運営に関する方針は「学校法人富士修紅学院寄附行為」により明確に定めら
れている。それを達成するための管理機関として、
「理事会」、
「監事」、
「評議員会」を設置
している。それぞれの役割は以下のように規定されている。
1)
理事会
本学の業務を決定し、「理事」の職務の執行を監督する最高意思決定機関であり、「寄附
行為」に定められている 10 人の「理事」及び 2 人の「監事」で構成されている。
「理事会」は、表 7-1-1 に示す事項を管掌している。
表 7-1-1
理事会の審議事項
(1)
寄附行為及び学(院)則並びに重要な諸規定の制定・改廃に関する事項
(2)
業務運営及び事業計画に関する重要な事項
(3)
予算の編成及び決算に関する事項
(4)
資産の取得、処分及び管理に関する事項
(5)
役員及び評議員に関する事項
(6)
職員の任免等に関する重要な事項
(7)
職員の給与等に関する重要な事項
(8)
その他理事会が必要と認めた事項
(学校法富士修紅学院理事会規程第 4 条)
2)
評議員会
「評議員会」は、より幅広く、より多くの意見を本学の管理運営に反映させることを目
的とする「理事会」の諮問機関であり、
「理事会」は、予め「評議員会」から以下の事項に
関する意見を聞かなければならないこととなっている。
65
健康科学大学
表 7-1-2
一
評議員会の審議事項
予算、借入金(当該会計年度内の収入をもって償還する一時の借入金を除く。)
及び基本財産の処分並びに運用財産中の不動産及び積立金の処分
二
事業計画
三
予算外の新たな業務の負担又は権利の放棄
四
寄附行為の変更
五
合併
六
目的たる事業の成功の不能による解散
七
解散(合併又は破産による解散を除く。)した場合における残余財産の帰属者の
選定
八
収益事業に関する重要事項
九
寄附金品の募集に関する事項
十
剰余金の処分に関する事項
十一 その他この法人の業務に関する重要事項で、理事長において必要とみとめるもの
(「学校法人富士修紅学院寄附行為」第 21 条)
3)
監事
「監事」は以下の職務を遂行するとともに、「理事会」及び「評議員会」に出席して経
営面のみならず、教学面についても意見を述べている。
表 7-1-3
監事の職務事項
一
この法人の業務を監査すること。
二
この法人の財産の状況を監査すること。
三
この法人の業務又は財産の状況について、毎会計年度、監査報告書を作成し、当
該会計年度終了後 2 ケ月以内に理事会及び評議員会に提出すること。
四
第一号又は第二号の規定による監査の結果、この法人の業務又は財産に関し不正
の行為又は法令若しくは寄附行為に違反する重大な事実があることを発見した
ときは、これを文部科学大臣に報告し、又は理事会及び評議員会に報告すること。
五
前号の報告をするために必要があるときは、理事長に対して評議員会の招集を請
求すること。
六
この法人の業務又は財産の状況について、理事会に出席して意見を述べること。
(「学校法人富士修紅学院寄附行為」第 17 条)
7-1-②
管理運営に関わる役員等の選考や採用に関する規程が明確に示されているか。
「役員」等の選考及び採用に関しては、次の規程に基づき厳格に行われている。
表 7-1-4
役員に関する諸規程
(役員)
第5条
この法人に、次の役員を置く。
一
理事
8~10 人
二
監事
2人
66
健康科学大学
2
理事のうち 1 名を理事長とし、理事総数の過半数の議決により選任する。理事
長の職を解任するときも、同様とする。
3
理事(理事長を除く。)のうち 1 名を副理事長、2 名を常務理事とし、理事総数
の過半数の議決により選任する。副理事長及び常務理事の職を解任するときも、
同様とする。
(理事の選任)
第 12 条
理事は、次の各号に掲げる者とする。
一
大学学長
二
評議員のうちから評議員会において選任した者
三
学識経験者(前各号を除く。)のうちから理事会において選任した者
2
3~4 人
4~5 人
項第一号に規定する理事は、その職を退いたときは、理事の職を失うものとす
る。
(監事の選任)
第 15 条
監事は、この法人の理事、職員(学長(校長)、教員その他の職員を含む。
以下同じ。)又は評議員以外の者であって理事会において選出された候補
者のうちから、評議員会の同意を得て、理事長が選任する。
(監事の兼職禁止)
第 16 条
監事は、理事、評議員又は学校法人の職員と兼ねてはならない。
(役員の任期)
第 18 条
役員の任期は、3 年とする。
但し、欠員が生じた場合の補欠役員の任期は、前任者の残任期間とする。
2
役員は、再任されることができる。
3
役員は、その任期満了の後でも、後任者が選任されるまでは、その職務を行う。
(評議員会の意見具申等)
第 22 条
評議員会は、この法人の業務も若くは財産の状況又は役員の業務執行の
状況について、役員に対して意見を述べ、若しくはその諮問に答え、又は
役員から報告を徴することができる。
(評議員の選任)
第 23 条
一
評議員は、次の各号に掲げる者とする。
この法人の職員で、理事会において推薦された者のうちから評議員会におい
て選任した者
二
5~7 人
この法人の設置する学校を卒業した者で、年令 25 歳以上の者のうちから理事
会において選任した者
三
2
3~4 人
学識経験者及び功労者のうちから理事会において選任した者
9~10 人
前項第一号に規定する評議員は、この法人の職員の地位を退いたときは、評議
員の職を失うものとする。
(任期)
第 24 条
評議員の任期は、3 年とする。
但し、欠員が生じた場合の補欠評議員の任期は、前任者の残任期間とする。
67
健康科学大学
2
評議員は、再任されることができる。
3
評議員は、その任期満了の後でも後任者が選任されるまでは、なおその職務を
行う。
(学校法人富士修紅学院寄附行為)
7-1 の自己評価】
【2
①
本学創設期における法人の不祥事を起こした原因と責任を分析し、役員の選任につい
ては、一連の不正に関与した者(その者と関連する者を含む)を、今後経営には一切
関与させない旨の「理事会」決議が厳守され、
「理事・評議員」の派閥化の防止と「監
事」の独立性を確保するため、役員及び「評議員」の選任は推薦基準に基づき行われ
ている。
② 本法人の経営の透明性を確保するため、
「学校法人富士修紅学院」の設置する学校に在
学する者その他の利害関係人に対して本法人が保有する情報を公開する目的から、
「学
校法人富士修紅学院情報公開に関する規程」を制定し積極的な情報の公開に努めてい
る。
③ 「理事会」は、「定例理事会」と「臨時理事会」が開催されることになっている。「定
例理事会」は、毎年 3 月、5 月及び 10 月に開催される。「臨時理事会」は、必要に応
じて開催することになっている。現在、「理事」、
「監事」、「評議員」等の派閥化は解消
され、管理運営の透明性、適切性、円滑化が図られている。なお、
「寄附行為」に基づき
副理事長、常務理事(2 人)が選任され、原則週 1 回、理事長を含めた 4 人で、法人
運営の基本に関する事項、「理事会」、「評議員会」の議案に関する事項、「理事会」決
定事項の執行に関する事項、「理事会」から委任された事項、「理事会」に付議する事
項について協議している。
以上の点から管理運営体制が整備され適切に機能していると考えている。
【3
7-1 の改善・向上方策(将来計画)】
本学創設期に、「学校法人第一藍野学院」において発生したような不祥事を今後起こさ
ないために、法人名を改めて「学校法人富士修紅学院」として再出発したことを契機とし、
「役員」及び「評議員」の非派閥化に努め、厳正で適切な管理運営に努めていくこととす
る。今後、さらなる管理運営体制の改善と経営の透明性の確保が求められている中で、学
校法人が機動的かつ安定的に運営を行っていくために、
「理事」、
「監事」、
「評議員」それぞ
れの役割分担をさらに明確化し、3 者が協力して運営に参画することができるように努め
ていく。
68
健康科学大学
7-2
管理部門と教学部門の連携が適切になされていること。
【1
事実の説明(現状)】
7-2-①
管理部門と教学部門の連携が適切になされているか。
管理部門(理事長)と教学部門(学長)の職務権限は明確に区分されている。理事長の
権限は、「寄附行為」の規定に則り、「学校法人富士修紅学院」を代表する責任と権限を有
している。一方、学長は大学を統括し「学則」の規定に則り、大学運営に当たっている。
「理事会」には、学長と学部長が理事として出席し、
「評議員会」にも学長と、学部長、
教授 3 人が出席し、大学からの意見等を審議に反映させている。ここで決まったことは必
要に応じて、「教授会」、「事務局の会議」等を通じて報告されている。
なお、学長の諮問会議として「大学運営会議」が設置されている。
「大学運営会議」は、
①学長の管理運営責任に関する事項で学長から諮問された事項について審議する、②その
他、学長が必要と認めた事項の処理に当たる、という役割を担っており、管理部門と教学
部門の連携が図られている。
【2
7-2 の自己評価】
学長は「理事」として「理事会」に出席しており、法人の意思決定に参画している。小
規模な法人で構成員も少ないので、教職員の連携を図ることは困難ではなく適切になされ
ている。管理部門と教学部門の意思の疎通と情報の共有化を図るため、毎月 1 回「大学運
営会議」が開催され、組織運営・教学及び研究の諸問題について協議し適切に対応してい
る。
【3
7-2 の改善・向上方策(将来計画)】
役員の非派閥化を図るため、「役員」・「評議員」の推薦基準を制定し、管理部門と教学
部門の理事の定数のバランスが整えられた。現在のところ、管理運営体制に特に大きな課
題は無く、今後この体制を維持・継続し、常に円滑な意思疎通が図られるよう一層強化に
努める。
7-3
自己点検・評価等のための恒常的な体制が確立され、かつその結果を教育研究をは
じめ大学運営の改善・向上につなげる仕組みが構築されていること。
【1
事実の説明(現状)】
7-3-①
教育研究活動をはじめ大学運営の改善・向上を図るために、自己点検・評価の恒
常的な実施体制が整えられているか。
(1)
自己点検・評価活動
健康科学大学の「学則」第 2 条に基づき、教育・研究及び管理運営等について、本学教
職員が自己点検・評価を行うため「自己点検・自己評価委員会」が設置されている。
この委員会は、学長が委員長を勤め、学部長、各学科長及び共通科目長、リハビリテー
ションクリニック院長、図書館長、各学科からそれぞれ「教授会」において互選された者、
事務局長、事務局職員で構成されている。
69
健康科学大学
本学は既存の学校法人のもとで創設された経緯から、開学当初その規程等をほぼそのま
ま適用していたが、大学の実情に合わない部分が規程に含まれていたため、随時自己点検・
評価を行いながら改訂・整備を進め、平成 20(2008)年度までにほぼ完成した。このような
経緯があるため、「自己点検・評価報告書」を毎年作成してはいないが、平成 17(2005)年
度より「健康科学大学健康科学部教育・研究年報」を作成し、教育研究活動の成果を年度
単位でまとめてきている。
(2)
学外からの意見の反映
「ホームページ」上から大学に対しての質問や意見を E-Mail(電子メール)で受付けて
いる。投書された項目については担当者が責任を持って目を通し、問題解決のため最善の
努力をしている。
また、学生の保護者で組織する「後援会」は、本学の教育活動の支援に当たるとともに
その発展に寄与することを目的としているが、本学に対する要望等の聴取の場ともなって
いる。
なお、本学卒業生で組織する「同窓会」は、平成 22(2010)年 3 月に設立されたが、今後
は、この同窓会も本学に対する意見・要望を聴取する場ともなることが期待されている。
7-3-②
自己点検・評価の結果を教育研究をはじめ大学運営の改善・向上につなげる仕組
みが構築され、かつ適切に機能しているか。
本学は、平成 15(2003)年に開学した歴史の浅い大学なので、今日まで教育研究をはじめ
大学運営の改善・向上のための種々の検討を行い、整備に努めてきており、全体的な体制
が整った段階である。
平成 18(2006)年に「自己点検・自己評価規程」を定め、平成 20(2008)年度から全体的な
自己点検・評価を行っているが、公表する段階のまとめまでには至っていなかった。した
がって、今回の自己点検・評価のまとめは、最初のものである。この自己点検・評価の結
果は、各種の委員会をはじめ全教職員に公表し、教育研究及び大学運営の改善・向上につ
なげる実施体制を整えているところである。
7-3-③
自己点検・評価の結果が学内外に適切に公表されているか。
「自己点検・評価報告書」については、学内教職員への配布、図書館等での学生への閲
覧とともに、「ホームページ」等を通して学外関係者・機関に公表する計画である。
また、今回の自己点検・評価及び認証評価は初めての取組みであるが、今後は「自己点
検・自己評価委員会」をはじめ各種の委員会等で引き続き点検・評価を行い、大学運営に
反映させる計画である。
なお、前述のごとく、平成 17(2005)年度より「健康科学大学健康科学部教育・研究年報」
を作成しているが、これは大学のみならず、学外にも公表されている。
【2
7-3 の自己評価】
平成 17(2005)年度から「健康科学大学健康科学部教育・研究年報」を作成し、当該年度
の教育研究活動や成果を振返り、検証し翌年度以降に反映させる取組みを行ってきた。ま
70
健康科学大学
た、平成 18(2006)年に「自己点検・自己評価規程」を定めたが、全体を通した自己点検・
自己評価は今回が初めてであり、現在日本高等教育評価機構の評価を受けるべく、取りま
とめているところである。
今回の自己点検・評価の結果等は、報告書にまとめて関係者に公表し、教育研究及び管
理運営の充実のために役立てていきたい。
【3
7-3 の改善・向上方策(将来計画)】
毎年度自己点検・評価を実施し、年次報告書としてまとめ外部に公表することが今後の
課題といえる。この場合、
「ホームページ」等を活用して自己点検・評価に関する様々な意
見を聴取できるようにし、教育研究や運営上の改善に役立てるとともに、地域社会への貢
献という大学に課せられた使命が達成されるように努めていきたい。
【基準 7 の自己評価】
①
本学創設期において、法人による不祥事が発生したが、平成 22(2010)年度から法人名
を「学校法人富士修紅学院」と改めて再出発を図ったので、これを契機として役員及び
評議員の推薦基準を厳守し、役員及び評議員の非派閥化を堅持していかねばならない。
②
コンプライアンス体制の確保のため、
「理事会」主導のもとに「コンプライアンス委員
会規程」を制定し、「コンプライアンス委員会」が設置・開催された。また、「コンプラ
イアンス・マニュアル」が作成された。
③
不祥事を起こした原因を分析し、
「学校法人富士修紅学院」の設置する学校に在学する
者その他の利害関係者に対して、本法人が保有する情報を公開するため「学校法人富士
修紅学院情報公開に関する規程」を制定し、積極的な情報の公開に努め、再発防止策に
取り組んでいる。今後、さらなる管理運営体制の改善と経営の透明性の確保が求められ
ている中で、本学校法人が機動的かつ安定的に運営を行っていくために、「理事」、「監
事」、「評議員」それぞれの役割分担をさらに明確化し、3 者が協力して運営に参画する
ことができるよう努めなければならない。
④
管理部門と教学部門は、学長及び学部長の「理事会」への出席や「評議員」として学
内の教員が選任されていること、「大学運営会議」が毎月 1 回行われ全体の意思の疎通
と情報の共有化が図られていること等により、連携が図られているといえる。また、管
理運営に関する方針が明確であり、本学の目的を達成するために必要な体制が整備され
て機能的に管理運営がなされていると考えている。
【基準 7 の改善・向上方策(将来計画)】
①
本学創設期における法人の不祥事の原因を分析し、役員・評議員の非派閥化が図られ、
管理運営体制が刷新されるとともに、法人名も「学校法人富士修紅学院」と改められた。
現在は、規程に従って管理運営が適切に行われている。今後も一連の不正に関与した者
(その者と関連する者を含む)については、経営に一切関与させない旨の「理事会」決
議を引き続き常に点検し、二度とかかる不祥事が起きないよう再発防止に取り組んでい
きたい。
②
自己点検・評価結果の公表については、
「自己点検・自己評価報告書」の学内外への配
71
健康科学大学
布や本学の「ホームページ」等を通じて行っていく計画である。また、今後引き続き他
の方法による公表についても検討し、制度化していきたい。
③
自己点検・評価は、継続的に行わなければならない課題なので、
「自己点検・自己評価
委員会」を中核として、それぞれの委員会等で分担して検討を続けていく計画である。
72
健康科学大学
基準 8.財務
8-1
大学の教育研究目的を達成するために必要な財政基盤を有し、収入と支出のバラン
スを考慮した運営がなされ、かつ適切に会計処理がなされていること。
【1
8-1 の事実の説明(現状)】
8-1-①
大学の教育研究目的を達成するために、必要な経費が確保され、かつ収入と支出
のバランスを考慮した運営がなされているか。
本学は、平成 18(2006)年度に完成年度を迎えて以降、教育研究目的を達成するため、消
費収支上の収入範囲内におけるバランスの取れた運営に努めてきた。しかし、平成
21(2009)年度決算においては支出が収入を上回る支出超過に転じた。
支出超過の主な要因は、収入の減少にある。帰属収入の内訳については、90%以上を学
生納付金が占めているが、入学者は、平成 19(2007)年度より定員未充足となり、以降減少
し続けている。こうした収入の減少を補うため、
「管理経費」
「施設設備費」
「教育研究経費」
並びに「人件費」の削減など、収支の改善に努めている。しかしながら、本学創設期にお
ける法人の不祥事が明るみとなり、平成 16(2004)年度から平成 19(2007)年度において交
付された私立大学等経常費補助金の返還、平成 21(2009)年度からの同補助金の不交付(一
定期間)、同補助金返還に伴う金融機関からの 4 億円の借入金返済、平成 27(2015)年度ま
での設置に関する寄附行為変更認可申請に係る不認可、信用失墜による学生確保や外部資
金導入の困難性等が生じて収支の改善を圧迫しており、当該年度において支出の超過を解
消するには至らなかった。
また、法人全体においても、支出の超過となっており、現在黒字化に向け収支バランス
を考慮した運営に努めている。
8-1-②
適切に会計処理がなされているか。
「学校法人会計基準」及び本法人「経理規程」に基づき、適切に会計処理を行っている。
また、会計処理上の疑問な点等に関しては、その都度公認会計士と相談した上で処理して
いる。
8-1-③
会計監査等が適正に行われているか。
「私立学校振興助成法」による公認会計士の監査、本法人の「監事監査規程」に基づく
法人役員の「監事」による監査及び本法人「内部監査規程」に基づく法人事務局長の指揮
による内部監査を厳格に実施している。
本法人の「監事」は、「監事監査規程」による監査のほか、公認会計士の監査に全て同
席し連携を図っている。また、
「理事会」に毎回出席することによって、業務状況及び財政
状況等の運営全般について実態を把握し、意見を述べている。
73
健康科学大学
【2
8-1 の自己評価】
本学は、創設期における法人の不祥事による影響を受け、開学以来の危機的状況にある
が、この状況を打破するため、役員を始め教職員が一丸となって、迅速かつ適切に対処し、
教育研究目的を達成するために必要な財政基盤を維持しつつ、現状において最適な収支バ
ランスを考慮した運営に取り組んでいる。こうした取組みへの努力は、本学の主要財務比
率にもよく現れていると思われる。すなわち、収入面において寄附金、補助金及び学生納
付金が減少しているにもかかわらず、人件費及び教育研究経費などの比率は、大学法人の
全国平均と比較しても決して劣るものではない。今後、「経営改善計画」の履行に努め、
法人全体における黒字化に向けてさらなる財政基盤の確立に努めていく所存である。
また、会計処理においては「学校法人会計基準」に沿って行われており、定期的に実施
される公認会計士、「監事」及び内部による監査によりその適正さを確認している。
【3
8-1 の改善・向上方策(将来計画)】
「経営改善計画」の着実な履行に努める。収入の面では、最重要課題である学生確保へ
向けて、入試方法の改善や広報活動・高校訪問の充実などのほか本学入学者の経済的負担軽
減のための「入学金の減免」や「学納金の引下げ」等の実施を行っていく。
支出の面では、教職員の定期昇給の停止や給与の減額、その他の経費については過去の
実績に基づかずにゼロから予算策定を行うことによる大幅な削減、また部署や課毎に予算
管理を徹底するなど収支バランスを考慮した運営に努める。
なお、安定的な経営基盤を構築するため、中長期的には「大学院」の設置や「看護学科」
の新設に向けた取組みを行っていく必要があると考えている。
8-2
財務情報の公開が適切な方法でなされていること。
【1
8-2 の事実の説明(現状)】
8-2-①
財務情報の公開が適切な方法でなされているか。
「私立学校法」に定められた「財産目録」、
「貸借対照表」、
「収支計算書」、
「事業報告書」
及び「監査報告書」を事務局に備え付け、本法人の「情報公開に関する規程」によって、
学生、保護者、卒業生、その他利害関係者からの請求に応じて閲覧に供している。
「ホームページ」においては、「事業報告書」、「資金収支計算書」、「消費収支計算書」、
「貸借対照表」、「財産目録」及び「監査報告書」を公開している。また、学生の保護者で
結成された「後援会」が定期的に発行している「後援会便り」にも上記の内容の一部を掲
載している。
【2
8-2 の自己評価】
「私立学校法」の趣旨に沿った財務情報の公開がなされており、方法・内容ともに適切
である。
74
健康科学大学
【3
8-2 の改善・向上方策(将来計画)】
公共性の高い法人としての説明責任を果たし、関係者各位の理解と協力を一層得られる
ようにしていく観点から、
「みやすさ」及び「理解しやすさ」に配慮した情報公開に努める。
8-3
教育研究を充実させるために、外部資金の導入等の努力がなされていること。
【1
8-3 の事実の説明(現状)】
8-3-①
教育研究を充実させるために、寄附金、委託事業、科学研究費補助金、各種 GP
(Good Practice)などの外部資金の導入や収益事業、資産運用等の努力がなされ
ているか。
本学においては、寄附金及び補助金の帰属収入に占める割合は、大幅に低い値となって
いる。主な要因は、大学創設期における法人の不祥事の影響によるものである。寄附金に
ついては、主に企業からのもの及び保護者で組織されている「後援会」からのものであり、
これらは教育研究活動へと還元している。企業からの寄附金はこれまで1件あり、平成
19(2007)年度から平成 21(2009)年度までの 3 年契約(年間 3 千万円)であったが、上記不祥
事の影響により平成 21(2009)年度は契約解除となった。受入実績については、2 年間で 6
千万円であった。また、外部資金を導入するまでには至っていないが、本学と富士河口湖
町において「包括連携協定」を締結している。
科学研究費補助金の採択実績は、継続を含め平成 19(2007)年度 1 件 60 万円、20(2008)
年度 1 件 104 万円、平成 21(2009)年度 5 件 703 万円と増加傾向にある。
なお、収益事業及び資産運用は行っていない。
【2
8-3 の自己評価】
外部資金の導入については、近年学生確保が厳しく収入が減少し続けている中で重要性
が大きいことを認識している。具体的に寄附金、補助金及び委託事業については、社会的
信頼の回復に努めつつ役員が主体となり、随時導入先との面談を行っており獲得に向け努
めている。また、
「科学研究費補助金」については、学内説明会の実施及び個別に詳細な情
報提供を行うなど、積極的に募集を働きかけた結果、申請件数及び採択件数ともに増加し
てきている。
【3
8-3 の改善・向上方策(将来計画)】
日本私立学校振興・共済事業団による経常費補助金の交付、富士河口湖町による補助金
の交付並びに連携事業による収入などの導入に努める。
また、これまで寄附金を募ることは行っていなかったが、本学創設より 7 年が経過して
安定期に向かう必要があることから、
「後援会」や「同窓会組織」の協力を得るなどして受
け入れに向けての体制を整備し、積極的な働きかけを行っていく。
「科学研究費補助金」に
ついては、さらなる導入を図っていく。
75
健康科学大学
【基準 8 の自己評価】
本学は、創設期における法人の不祥事による影響等によって財政が圧迫されており、大
変厳しい状況にあるが、この状況を乗り越えるために社会的信頼の回復に努めつつ、学生
確保や補助金等外部資金による収入増に努めている。一方、支出の面では人件費やその他
の経費の削減、また予算管理の徹底などにより削減を図りつつ、教職員に対しては、こう
した取組みを通じて本学の置かれている状況への理解を求め、一丸となって最善の対応を
講じることができるように努めている。
また、会計処理及び会計監査については適正に実施しており、財務情報についても公開
方法・内容ともに適切である。
【基準 8 の改善・向上方策(将来設計)】
経営の健全化を骨子とする改善計画の着実な履行とともに、黒字化するための礎を築い
ていく。なお、改善計画履行状況の管理監督については、
「経営改善委員会」がこれに当た
る。
また、「ホームページ」等における情報公開については、閲覧者の理解が得られるよう
に、一層分かりやすい内容にするための見直しを行っていく。
76
健康科学大学
基準 9.教育研究環境
9-1
教育研究目的を達成するために必要なキャンパス(校地、運動場、校舎等の施設設
備)が整備され、適切に維持、運営されていること。
【1
事実の説明(現状)】
9-1-①
校地、運動場、校舎、図書館、体育施設、情報サービス施設、附属施設等、教育
研究活動の目的を達成するための施設設備が適切に整備され、かつ有効に活用されて
いるか。
健康科学大学
図
9-1-1
本学の位置と交通案内
77
健康科学大学
図 9-1-2
表
9-1-1
本学校舎の配置
大学設置基準と校地・校舎面積との比較
校地面積
設置基準上必要な
校舎面積
校地面積
75,342.0 m 2
(1)
設置基準上必要な
校舎面積
10,400.0 m 2
13,197.20 m 2
10,809.0m 2
本学の位置と施設
本学は、平成 15(2003)年に図 9-1-1 で示す位置に 75,342 m 2 の校地、4 棟延べ 13,197 m2
の校舎を整備し開学した。さらに、開学後も既存施設がより有効に使用できるようにする
ための改修工事などを行い、施設の充実に努めている。
(2)
校地・校舎面積等
現在の校舎の配置は図 9-1-2 に示す通りであり、大学設置基準と校地・校舎面積との比
較は表 9-1-1 に示す通りである。大学設置基準に定められている必要面積を充足すること
はもとより、各学科が養成している「専門職種の学校養成施設指定規則」に定められてい
る施設設備も充足し完備している。
78
健康科学大学
(3)
講義室とその設備
講義室は、50 人から 160 人まで収容できるものを整備している。全ての講義室には、
教員が使用するための視聴覚機器(マイク、プロジェクター、スクリーン、ノートパソコ
ン)が備え付けられており、これらの機器を活用して円滑な講義が行われている。これら
の他に、持ち運び可能な視聴覚機器も整備されており、必要に応じてゼミ室などで活用さ
れている。
なお、高度情報化社会への対応として、情報処理教育の充実を図るために学生実習用
の LAN(Local Area Network)端子及びプリンターを備えた「PC(Personal Computer)
ルーム」がある。学生は自分のノートパソコンを持参して、この教室で情報処理関係の授
業を受けている。
(4)
実験実習室と主な設備
実践的な専門知識及び技術を習得することを目的に、学部教育から各専門領域に必要と
なる研究機器を導入している。現在、表 9-1-2 に示した機器類等を使用して着実に教育、
研究実績を積み上げている。平成 20(2008)年度には、
「共同実験施設」及び「動物飼育室」
を整備し、「 in vivo」での電気生理学的研究や形態学的・組織学的研究の設備を整えた。
この実験施設は教員の研究に利用されているだけではなく、学部学生の卒業研究や解剖・
生理学の実習など、教育にも活用されている。本学の設備では足りない場合には、共同研
究を組んで他大学の設備を使用させてもらっている。
表
9-1-2
実験実習室と主な設備
室名
基礎医学実習室
主な設備
実験台、生物顕微鏡、人体標本模型、オシロスコープ、アンプ、レコーダー、
イオン交換器
ADL 訓練室
車椅子、介護リフト、昇降キッチン、水回り用車椅子、障害者用パソコン、電
動ギャッチベッド、トランスファーボード、トランスファーリフター
金工・木工・陶工実習室
木工金工台、木工用具一式、金工用具一式、電動ボール盤、電動ロクロ、手ロ
クロ、電気炉、陶芸セット
織物・手芸・レクリエーション・
卓上織機、マクラメセット、手芸セット、革細工用具一式、
絵画教室
ゲートボールセット、打楽器セット、電子キーボード
実習評価教室 C
視野計、各種知能検査(田中ビネー、WAIS-R、WIPPSI など)、調理用具一式、
食器一式
実習評価教室 D
治療台、定量知覚針、自動血圧計、筋電計、心電計、ベッドサイドモニター、
心電図学習システム、Power Lab、スパイロメーター、エルゴメーター、エア
ロバイク、エアロモニター、オートランナー、トレッドミル
機能訓練・治療室
呼気ガス分析器、身長計、背筋力計、体脂肪測定装置、等速性筋力測定器、関
節角度計、四肢装具、歩行訓練用斜面階段、歩行車、車椅子、超音波治療器、
ホットパック、パラフィン浴、経皮的電気刺激装置(TENS)
水治療室
浴槽(上肢用、上下肢用、全身用)、浴槽ストレッチャー、気泡浴装置(上下肢
用)、シャワー
義肢装具室
義足、義手、体幹装具、靴型装具、ギプスカッター、工具一式
共同実験室
ドラフトチャンバー、イオン交換器、超低温フリーザー、
蛍光顕微鏡、クリオスタット、実体顕微鏡、オシロスコープ、
Power Lab、卓上遠心機、浸透圧計、恒温槽、電子天秤、浸透圧計、血流計
実験動物飼育室
動物飼育機、カート、ケージ
PC ルーム
ノートパソコン、パソコン収納庫、プリンター
79
健康科学大学
(5)
附属図書館
本学の附属図書館は、1,255.9 m 2 の面積で、館内は「閲覧スペース」、
「グループ閲覧室」、
「検索スペース」、「視聴覚スペース」で構成されており、「学習席」は 118 席ある。館内
にはコピー機を 2 台設置している。
「視聴覚スペース」には音声又は映像再生装置(CD/
DVD プレーヤー、ビデオデッキ)が 3 セット設置され、視聴覚資料を自由に閲覧できる。
「グループ閲覧室」にはパソコン 3 台とプリンター2 台が設置されている。
図書館の蔵書は、図書が 27,244 冊、定期刊行物が 161 種類、視聴覚資料は 1,354 種類
である。その他に、3 種類のデータベースを利用できる。館内には蔵書の検索及び文献検
索用のパソコンが 3 台設置されている。蔵書検索、文献検索、データベースは学内 LAN
端末からも利用できる。所蔵していない資料の利用は、文献複写や現物貸借で対応してい
る。
平成 21(2009)年 8 月に OPAC(Online Public Access Catalog)の外部公開を開始し、
平成 22(2010)年 1 月には図書館のホームページを開設した。図書館のホームページにおい
ては、開館カレンダーや図書館からのお知らせ、リンク集等を公開している。また、国立
情報学研究所(NII)の目録所在情報サービス(NACSIS-CAT/ILL)に参加して学術情報の
提供に努めている。さらに、私立大学図書館協会に加入し、他大学の図書館との交流・協
力にも努めている。
(6)
運動場及び運動施設等
整地された運動場はないが、20,573m 2 の面積の緑地があり、学生はこの広場で種々の運
動を行っている。また、体育館などの運動施設はないが、部活動や体育祭などの際は、
「富
士河口湖町民体育館・グラウンド」、「山梨県富士北麓公園」のスポーツ施設などを有効に
利用している。
(7)
保健室
ベッドを備えた保健室が設置され、看護師が常駐して学生の怪我や病気、あるいは健康
管理に対応している。
(8)
食堂と売店
一度に 300 人程度を収容できる食堂を備えており、安価で栄養バランスの良い食事を提
供している。また、書籍や文房具、軽食や飲み物などを販売する売店もある。これらの食
堂や売店はいずれも専門業者に委託している。
(9)
学生の憩いスペース
B~D 棟の 1・2 階入り口付近に、テーブルと椅子を配置した学生が自由に活用できるスペ
ースが設けられており、学生の憩いの場として活用している。特に 2 階のスペースには、
LAN 端子(有線)も設置しており、学生は自分のノートパソコンを自由に接続して使用す
ることができる。
(10)
教員の研究室
専任教員全員に、個室の研究室が整備されている。
9-1-②
教育研究活動の目的を達成するための施設設備等が、適切に維持、運営されてい
るか。
施設設備は「管財課」が管理を行い、教員と連携しながら維持、改善に努めている。ま
80
健康科学大学
た、消防設備・電気設備・給排水衛生設備の保守・点検業務、警備業務や廃棄物処理など
専門性が要求される業務は業者に委託することにより、確実な保守管理を徹底し、教育研
究活動を円滑に行える環境の保持に努めている。
【2
9-1 の自己評価】
① 表 9-1-1 に示すとおり、大学設置基準を上回る校地・校舎を有している。しかし、校舎
内で休憩時間や放課後に学生が使える場所が不足しているという意見が出ており、検討
を要する。
②各講義室には、教員が使用するための視聴覚機器(マイク、プロジェクター、スクリー
ン、ノートパソコン)が整備されており、これらの機器を活用して円滑な講義が行われ
ている。
③ 学生駐車場は、平成 15(2003)年の開学時に 10,252 m2(約 300 台駐車可能)を整備し
た。その後、学生数の増加に伴い、平成 19(2007)年度に校庭の一部(4,194 m2;約 220
台駐車可能)を整備し、第 2 駐車場としている。なお、オートバイ等で通学する学生
のために、屋根付の駐輪場 134.4m 2 を整備している。このように、駐車場も駐輪場も、
充足している。
④ 図書館の蔵書は、教育研究に直接役立つものが多く、また情報が新しいという点におい
て充実している。
⑤ 機器類は、関学当初に導入したものが多く、入れ替え時期がまとまって到来する可能性
が十分に考えられるので、計画的な買い換え等が必要である。
【3
9-1 の改善・向上方策(将来計画)】
① 機器類などの設備が老朽化した場合には、入れ替えや修理等を行う必要がある。現時点
では目立った老朽化はみられない。今後、教育機器に関しては「教務委員会」、研究機
器に関しては「研究委員会」、施設に関しては「管財課」が中心となり、必要に応じて
随時、機器の入れ替えや修理等を進めていく。
② 図書館については、見計らい図書の導入や学生及び教員からのリクエストなどにより、
計画的に蔵書を増やし、さらに充実させるように努めている。
③ 学生サロンや体育館、運動場の要望が学生から出ている。これらを受けて、「理事会」
で検討を始めたところである。しかし、資金面の問題があるので、中長期的な対応とな
る見通しである。
9-2
施設設備の安全性が確保されていること。
【1
事実の説明(現状)】
9-2-①
(1)
施設設備の安全性(耐震性、バリアフリー等)が確保されているか。
耐震性等の対策
平成 15(2003)年度に開学した本学の建物は、昭和 56(1981)年以降の「建築基準法」
に基づく新耐震基準に適合した設計となっている。
81
健康科学大学
(2)
バリアフリー対策
障害のある学生の入学に伴い、車椅子のスペース確保、付き添いボランティアの休憩室、
開き戸から引き戸への変更、車椅子用トイレの設置などを行い、学内のバリアフリー化を
順次進めている。これにより、現在では車椅子で各講義室への移動ができるようになって
いる。しかし、エレベーターは A 及び D 棟にしか設置されていないため、B 及び C 棟 2
階の講義室に行くためには、A あるいは D 棟のエレベーターで 2 階に上がった後に渡り廊
下を通って移動しなければならないため不便である。また、B 及び C 棟の 3 階には教員の
研究室があるが、ここに車椅子で行くことはできない。
(3)
その他の安全対策
学内に「安全衛生委員会」を設置し、施設設備の安全対策について対応している。
消防設備、電気設備、エレベーター設備など、専門性が要求される業務は、それぞれ専
門の業者に委託し、点検や監視を行い、必要な措置を取ることで安全性を確保している。
また、夜間には警備員が駐在して巡回を行うのに加えて、機械警備を夜間・休日に導入し、
施設設備等の安全に万全を期すように努めている。
【2
9-2 の自己評価】
施設設備の耐震性は、新耐震基準を満たしており、また、専門業者による設備の点検や
監視が行われており、安全性は確保されている。バリアフリー化は徐々に進めているとこ
ろであるが、まだ十分とはいえない段階なので、今後さらに充実させる必要がある。
【3
9-2 の改善・向上方策(将来計画)】
開学から 7 年が経過したものの、施設設備の目立った老朽化はみられていない。今後は
事務局(管財課)を中心に、施設設備の劣化に注意し必要に応じて早めに対応するように
努めていきたい。また、中長期的な計画として、完全なバリアフリー化を目指し、具体的
な計画を「理事会」で検討しているところである。
9-3
アメニティに配慮した教育環境が整備されていること。
【1
事実の説明(現状)】
9-3-①
教育研究目的を達成するための、アメニティに配慮した教育研究環境が整備され、
有効に活用されているか。
(1)
図書館
図書館は平日午前 9 時~午後 6 時 10 分まで開館し、閲覧ならびに学習の場として提供
されている。なお、できる限り学生のニーズを踏まえて、定期試験前と試験期間中、ある
いは国家試験前の 2 ヶ月においては、開館時間を午後 8 時まで延長して学生の勉学に対す
る便宜を図っている。
(2)
スクールバス
開学時から、学生の通学を支援するため「スクールバス」を運行している。当初は運賃
を徴収していたが、学生の経済的負担に配慮し、平成 19(2007)年度からは無料化している。
82
健康科学大学
運行ルートは、学生が居住するアパートの所在地に合わせて適宜変更して通学しやすいよ
うに便宜を図っている。
(3)
保健室
看護師が常駐し、怪我や病気に対応するほか、健康相談を行ったり禁煙指導を行ったり
して、学生の心身の健康に寄与している。
(4)
喫煙場所の指定と禁煙支援
平成 18(2006)年度から、学内の喫煙場所を順次縮小し、現在構内の喫煙スペースは 6 か
所に限定して分煙に努めている。また、
「大学禁煙化プロジェクト」に加入し、保健室及び
「学生課」を窓口として禁煙を希望する学生を支援している。
(5)
食堂と売店
食堂の営業時間は、午前 11 時~午後 2 時で、多くの学生で賑わう。また、売店は、午
前 9 時~午後 5 時に営業している。売店では飲食物や文房具のみならず、専門書などの書
籍も販売しており、よく利用されている。
(6)
AED の整備
C 棟に AED(自動体外式除細動器)を備えるとともに、使用方法の講習会も開催し、緊
急事態への対応に備えている。
(7)
インターネットの活用
教職員及び学生への連絡事項は、本学の掲示板だけではなく、大学ホームページの「学
内掲示板」にも掲示される。
「学内掲示板」は、携帯電話からもアクセスできるため、よく
利用されている。また、教員・職員・学生間の連絡や、学生から教員へのレポート提出な
どで、メールが活用されている。
(8)
携帯電話用アンテナの設置
本学では携帯電話の電波条件が悪く、学生からの改善要望が出されていた。これを受け
て携帯電話大手 3 社に依頼することにより、大学近隣及び構内に携帯電話用アンテナが設
置され、現在では通話の不便が解消されている。
【2
9-3 の自己評価】
現存の教育研究環境は、アメニティに配慮して有効に活用されている。しかし、十分と
はいえず、「9-1」においても述べたように、学生サロンや体育館、運動場などの施設が求
められている。
【3
9-3 の改善・向上方策(将来計画)】
中長期的な計画として、学生サロンや体育館の建設、運動場の整備を「理事会」で検討
している。また、時代の変化に伴いアメニティの内容も変化することが予想されるので、
今後も教育環境については「教務委員会」や「学生委員会」が、研究環境については「研
究委員会」が中心となって、時代のニーズに対応した改善と充実に努めていく。
なお、受動喫煙防止対策をさらに進めるため、学内の全面禁煙を検討中である。
83
健康科学大学
【基準 9 の自己評価】
地域の体育館や運動場を利用しながらではあるが、必要な教育研究環境は整備されてい
る。また、施設設備の安全性は確保されており、適切に維持・運営されている。教育研究
環境は概ね快適であるが、学内に学生サロンや体育館、運動場などの施設を求める声は高
い。また、バリアフリーは一部に止まっており、今後完全にバリアフリー化を図る必要が
ある。
【基準 9 の改善・向上方策(将来計画)】
前述のように、施設設備の新設・拡充が必要なものもあるが、資金面から短期的な整備
は困難なので、現在、中長期的計画として「理事会」で検討しているところである。資金
の展望に基づいて実施可能な範囲を見極め、緊急性の高いものから順に改善を図っていく。
84
健康科学大学
基準 10.
社会連携
10-1
大学が持っている物的・人的資源を社会に提供する努力がなされていること。
【1
事実の説明(現状)】
10-1-①
大学施設の開放、公開講座、リフレッシュ教育など、大学が持っている物的・人
的資源を社会に提供する努力がなされているか。
(1)
公開講座の開催
本学は広く社会に向け、公開講座等を開講し、情報の発信に努めている。誰でも、いつ
でも、受講できる体制を整え、大学の物的、人的資源を社会に提供する努力を行っている。
平成 20(2008)年度と平成 21(2009)年度における大学主催の公開講座は、11 講座行われた
(表 10-1-1)。また、他の機関と連携して行っている公開講座としては、
「大学コンソーシ
アムやまなし」との共催で開催された(表 10-1-2)。
なお、平成 21(2009)年度からは、「地域連携講座」として、富士河口湖町との共催によ
り 5 回の講座を開催した(表 10-1-3)。また、これが契機となって、平成 22(2010)年 3 月
には、健康科学大学と富士河口湖町との間に、「包括連携協定」が結ばれた。
表 10-1-1
本学主催の公開講座の実施状況(平成 20・21 年度)
障害者からみた地域社会とその課題
―障害とは何かを考える―
(リハビリテーション特別講義)
目の見えない世界からみた地域社会とその課題
(リハビリテーション特別講義)
聴覚障害者のコミュニケーション能力の育成と地域社会
(リハビリテーション特別講義)
自立に向けた取組みと地域社会
(リハビリテーション特別講義)
―脳性麻痺の当事者として―
諸外国の人々の暮らしとリハビリテーションⅠ:世界のリハビリテーション動向-北欧・アメリカを中心に
(リハビリテーション特別講義)
諸外国の人々の暮らしとリハビリテーションⅡ:バングラディシュにおけるリハビリテーション事情を中心に
(リハビリテーション特別講義)
諸外国の人々の暮らしとリハビリテーションⅢ:ペルー・スリランカ等におけるリハビリテーション事情を中心に
(リハビリテーション特別講義)
諸外国の人々の暮らしとリハビリテーションⅣ:中国のリハビリテーション事情を中心に
(リハビリテーション特別講義)
理学療法士のための「ゼロから学ぶ神経生物学」
(学内外の理学療法士を対象とした公開講座)
よりよく長く生きるためのアンチエイジング医療
(「寄附講座」招聘の講師による公開講座)
運動と健康
(「寄附講座」招聘の講師による公開講座)
表 10-1-2
共催者との公開講座(平成 19~21 年度)
公開講座等名称
開催期間(延
べ日数・日)
共催者名
(公共団体・企業等の別)
受講者数
(延べ人数・人)
受講料徴収
の
有・無
長寿の秘訣
5日
特定非営利活動法人
大学コンソーシアムやまなし
720 人
無
85
健康科学大学
地域に根ざす大学
の役割
1日
特定非営利活動法人
大学コンソーシアムやまなし
(地域ベース講座)
131 人
無
健康を支えるコミ
ュニティ力の理解
と実践フォーラム
1日
特定非営利活動法人
大学コンソーシアムやまなし
(広域ベースリカレント講座)
25 人
無
講
受講者
表 10-1-3
回
日
富士河口湖町との地域連携講座(平成 21 年度)
程
テーマ
場
所
師・学生
1
7/11(土)
障害児をもつ母親への支援
中央公民館
本学教員及び学生 15 人
48 人
2
7/25(土)
児童虐待について
中央公民館
本学教員及び学生 15 人
62 人
3
8/8(土)
高齢者の健康づくり
中央公民館
本学教員及び学生 13 人
80 人
4
9/5(土)
発達段階と心の悩み
中央公民館
本学教員及び学生 7 人
25 人
5
9/26(土)
介護方法の実際
~体の動かし方・車椅子の使い方~
リハビリテーションクリニック
本学教員及び学生 10 人
9人
(2)
その他
本学においては、関連学会の研修会や山梨県内の医療機関の研修会の会場として大学の
施設を開放している。平成 21(2009)年度に本学で行われた研修会は 5 回で延べ 5 日を数え
ている。
【10-1 の自己評価】
本学は開学から 7 年が経過したが、この間、様々な人的・物的あるいは知的資源を積極
的に社会に還元してきた。特に地域に密着した情報の発信、例えば公開講座については頻
度・内容ともに充実させるよう努めてきている。
また、開学 2 年目から「大学コンソーシアムやまなし」に積極的に参加し、知的情報の
公開に努めている。
さらに、平成 21(2009)年度からは、「地域連携講座」として、富士河口湖町との共催に
より公開講座を開催したが、今後も地元と連携した活動を発展させていく計画である。
【10-1 の改善・向上方策(将来計画)】
今後ともに、本学の有する知的資源や研究で得た知見を広く社会に公開し、情報発信に
努めていきたい。特に地域との連携による教育研究は大切なので、富士河口湖町との間に
「包括連携協定」が結ばれたのを契機として、様々な活動を発展させるように努めていき
たい。
86
健康科学大学
10-2
教育研究上において、企業や他大学との適切な関係が構築されていること。
【1
事実の説明(現状)】
10-2-①
(1)
教育研究上において、企業や他大学との適切な関係が構築されているか。
全般的事項
本学においては、製薬会社との共同研究及び NPO 法人「大学コンソーシアムやまなし」
との連携を積極的に実施している。前者は平成 19(2007)・20(2008)年度において、後者は
平成 18 年(2006)年度から継続的に行ってきている。
以下においては、
「寄附講座」及び NPO 法人「大学コンソーシアムやまなし」との連携
について順に述べる。
(2)
企業との連携による研究活動
平成 19(2007)・20(2008)年度には、本学に「健康加齢医学講座」という寄附講座が、製
薬会社との共同研究という形で開設された。本講座では、
「温泉療法の効果判定尺度」、
「シ
ステイン配合剤の疲労に対する効果」などについての研究が行われ、その成果は、
「大学紀
要」に発表されるなど広く公表されている。特に、温泉療法の効果判定に関する研究は、
富士河口湖町の協力を得て、町民の方から被験者を募り、
「河口湖健康プラザ」の温泉で実
施しており、産官学の連携によって実施されたものである。またこの研究は、本学のリハ
ビリテーションクリニックの協力も得て行われた。
なお、「寄附講座」関連の公開講座を平成 19(2007)年 8 月に開催し、延べ約 450 人近く
の富士河口湖町町民が聴衆として参加した。演題は、
「よりよくより長く生きるためのアン
チエイジング医療」と「運動と健康」であった。
(3)
「大学コンソーシアムやまなし」との連携による活動
本学は、開学次年度から「大学コンソーシアムやまなし」に加盟し、山梨県内の 12 大
学と連携協力して、公開講座をはじめ様々な事業に参加してきている。
1)
コミュニティーカレッジ
「大学コンソーシアムやまなし」の中核事業である「コミュニティーカレッジ」には、開
学当初から参加してきた。平成 19(2007)年度における公開講座の内容は表 10-2-1 に示す
通りであるが、以降毎年行われている。これらの公開講座は、地域の人々に本学の専門性
をアピールするよい機会となっている。
表 10-2-1
コンソーシアムやまなしとの連携による公開講座
講義タイトル
2)
講師
第1回
健康とは?(現代における健康科学大学の考え方)
学長
第2回
加齢と老化
学長
第3回
健康長寿の秘訣
第4回
高齢者の心理
福祉心理学科
教授
第5回
高齢者のリハビリテーション
理学療法学科
教授
学長
地域アカデミーの開催
「大学コンソーシアムやまなし」の平成 20(2008)年度事業として「地域アカデミー」が
87
健康科学大学
企画され、県内の 5 大学が連携協力して大手旅行代理店協賛の「シニアサマーカレッジ」
が開催された。参加者は 10 人程度であったが、全国規模での開催であったので有意義で
あった。
3)
地域ベースの公開講座
平成 20(2008)年度開催の「大学コンソーシアムやまなし」の「リカレント公開講座(地
域ベース)」は、本学にて行われた。学長の「健康科学大学が地域に果たす役割」の基調講
演の後、テーマごとの分科会を設定し、ディスカッション形式で住民参加によるセッショ
ンを開催した(表 10-2-2)。
表 10-2-2
リカレント地域ベース公開講座
講義タイトル
講師
基調講演
健康科学大学が地域に果たす役割
学長
分科会①
家庭教育にいかすカウンセリング
福祉心理学科教員
分科会②
お酒と心の健康
福祉心理学科教員
分科会③
本当はこわい糖尿病合併症
理学療法学科教員
分科会④
発達障害の作業療法
作業療法学科教員
また、
「大学コンソーシアムやまなし」の事業の一環として、平成 22(2010)年 2 月 3 日、
「どうなる?地域の医療と暮らし」というテーマの「リカレント講座」を開催した。この
講座においては、学長が基調講演を行うとともに、①「地域の健康づくり」、②「地域の福
祉」、③「地域のリハビリテーション」の 3 つの分科会も行われた。
4)
その他の活動
「コンソーシアムやまなし」の事業においては、以上の他に「ガイダンスセミナー」や
「FD 研修会」、県内大学ボランティア学生による「花菱祭」等が毎年企画されており、本
学も参加している。
以上のほか、県内で就職・進学をするメリットの紹介を目的として、「合同進学フェア」
が毎年「大学コンソーシアムやまなし」の事業の一環として行われている。在学生や卒業
生による学生生活・就職に関する発表が行われ、毎年約 300 人の高校生や保護者及び教員
等が熱心に耳を傾けている。
【10-2 の自己評価】
① 企業との連携で「寄附講座」が置かれ、本学では「温泉療法研究会」を中心として研
究に取り組んだ。この研究においては、地域の協力が得られ、大きな成果をおさめる
ことができた。
② 「大学コンソーシアムやまなし」との連携による活動は、本学のアピールの機会であ
るとともに、県内大学との情報交換の場ともなっているので今後も積極的に参画する
とともに、県外の大学への情報発信にも努めていきたい。
【10-2 の改善・向上方策(将来計画)】
① 産官学連携については、企業だけでなく、行政や NPO 法人などとの連携も今後視野に
入れて積極的な姿勢で臨んでいきたい。
88
健康科学大学
②
「大学コンソーシアムやまなし」は、県内の大学、短期大学及び地域社会の連携を図
る重要な事業である。今後も引き続き積極的に関わる予定である。
③
地元の富士河口湖町と「包括連携協定」が結ばれたのを契機として、地元に目を向け
た教育研究や公開講座を積極的に取り上げていきたいと考えているが、この場合、医
療や福祉の分野以外の諸問題に関しては、他大学との連携による取組みも今後は視野
に入れていきたい。
10-3
【1
大学と地域社会との協力関係が構築されていること。
事実の説明(現状)】
10-3-①
(1)
大学と地域社会との協力関係が構築されているか。
宿舎組合との協力関係
本学は「富士箱根伊豆国立公園」内に位置している関係上、地域保全の観点からも地元
住民との連携・協力関係が大切である。また、学生の宿舎は、地域住民が経営するアパー
トやマンションに依存しており、
「 宿舎組合」との協力関係は欠かせないものとなっている。
この「宿舎組合」は、毎年「ほうとうを食べる会」を本学において開催しているが、この
活動を通して学生や教職員との交流が深められ、地元との連携が強化されている。
(2)
学園祭における地元との関わり
毎年 10 月に開催される「蒼麓祭(学園祭)」には、地元富士河口湖町や富士吉田市をは
じめ、県内から多くの人々が参加する。この時、学生たちは、健康を科学する知識や、日
ごろの学問の成果を人々に還元している(健康チェックなどのイベントがある)。また、こ
の「蒼麓祭」における大学と地域との活発な連携活動は、地域の活性化にも繋がっている
と思われる。
(3)
地元広報誌への投稿
開学以来本学は、地元の富士河口湖町の「広報誌」に、教員による様々な原稿を定期的
に寄稿し、町との連携に努めてきた。
(4)
公的委員としての協力
本学の教員の中には、県や市町村レベルの障害児教育計画や障害福祉計画等の委員を務
め、関係分野の発展に貢献している者が多い。
(5)
「IVV オリンピアード 2009」への協力
平成 21(2009)年 5 月には、スポーツの国際大会「IVV オリンピアード 2009」が山梨県
富士河口湖町を含む富士五湖地区で開催された。この折、本学の教職員及び学生がボラン
ティアとして協力して大きな成果をあげた。
(6)
リハビリテーションクリニックの役割
本学関連施設の「健康科学大学リハビリテーションクリニック」は、地元住民を中心と
して、県内外から様々な疾病をかかえた人々が来院する。特に、富士北麓地域のリハビリ
テーション専門の診療所として町民等の健康増進に寄与している。
また、このクリニックは、大学の臨床実習の現場としても大いに活用されている。
89
健康科学大学
(7)
富士河口湖町との包括連携協定
平成 21(2009)年度においては、10-1 において述べたように、富士河口湖町との共催で、
「地域連携講座」を開催した。この講座は、地域住民のニーズを踏まえて設定したので、
多くの住民の参加を得ることができた。
また、平成 22(2010)年 3 月には、富士河口湖町と「包括連携協定」を結んだ。この協定
によって、今後は様々な形で本学と富士河口湖町は連携することとなるが、その活動は、
本学の教育研究に大きく貢献するものと期待される。
(8)
その他の社会連携
平成 20(2008)年度に「子ども達の教育は、地域全体で担う」を柱に輝ける未来を建設
①
していく児童・生徒の健全育成を願い、学校、保護者、地域、行政及び各種団体が一
体となって連携し、地域ぐるみで教育と環境づくりに取り組むことを目的とする「南
都留地域教育推進連絡協議会」が発足したが、本学もこの協議会に参加し、地域の教
育と環境づくりに取り組んでいる。
「地域教育講演会」では、本学学長による講演(「地
域医療と教育」)が行われた。また、平成 20 年に開催された「南都留地域教育フォー
ラム」では、本学在校生が、「特別支援教育」についての発表を行った。
②
本学には、
「ボランティアセンター」が設置されていて、主に県内の施設や機関へのボ
ランティア派遣に貢献している。また、このボランティア活動は実習前の教育の機会
としても機能している。
図書館は月曜日から金曜日の午前 9 時から午後 6 時 10 分まで開館しており、夏休み
③
や冬春休みにも随時開館し、大学関係者以外の者であっても、一定の手続きを経れば
自由に図書を閲覧・借入できるシステムになっており、知識情報の公開に努めている。
本学は「健康科学大学紀要」を毎年 1 回刊行している。この研究紀要は、実習施設等
④
関係機関や大学、研究機関などへ送付され、活用されている。
⑤
本学の各教員は、県内外の様々な団体等から講師として招かれており、かつ、行政や
社会福祉協議会等の様々な委員等も務め、積極的な社会貢献を行っている(表 10-3-1、
表 10-3-2、表 10-3-3)。
【2
10-3 の自己評価】
本学の地域との連携は、概ねうまく行われていると評価できる。今後もさらに連携を深
め、地域とのよりよい関係を構築していきたい。
【3
10-3 の改善・向上方策(将来計画)】
① 「リハビリテーションクリニック」の活動や公開講座の開催、
「地域連携講座」の実施
等、地域住民との連携を更に強めるための取組みは、幾つか考えられるので、今後も
これまでの実践の延長線上に地道な活動を展開していく。
②
「大学コンソーシアムやまなし」の活動等を通して、県内の大学間の連携をさらに強
固にするための取組みを継続していく。
③
教員の社会的貢献活動などは積極的に継続していく。
④
企業や地域行政との「共同研究」については更に努力し、開かれた大学、地域に根づ
く大学にしていくよう努める。
90
健康科学大学
⑤ 平成 22(2010)年 3 月に富士河口湖町と「包括連携協定」を結んだ。この協定締結を契
機として関連する教育研究活動を積極的に推進していく。
【基準 10 の自己評価】
社会との連携は、地域に根ざす大学の使命として大切であるが、本学は開学当初から前
述のように地域との連携が具体的に行われており、しかもそれが発展的に維持されている
ことは大いに評価されるべきである。今後ともに本学の人的・物的資源を地域に還元する
とともに、地域からも学ぶという姿勢を持って、共に学び共に生きるという姿勢を貫き実
践していきたい。
このように、県内における地域との連携は順調と言えるが、日本あるいは世界という広
域に目を転じると、未だ十分にその役割を果たしているとは言い難い。各学科における教
育研究活動においては、それぞれの学会や専門職団体と連携するなどして情報を交換して
いるが、今後は、大学として特色ある情報を発信するという気概を持って取り組んでいく
必要がある。
【基準 10 の改善・向上方策(将来計画)
自己評価で述べた課題については、具体的な計画に着手すべきだと考える。特に地域社
会との連携による教育・研究が何よりも大切な時代なので、地域のニーズに謙虚に耳を傾け、
それを踏まえた教育研究を推し進めていく必要がある。とりわけ、平成 22(2010)年 3 月に
富士河口湖町と「包括連携協定」を結んだので、この協定締結を契機として関連する教育
研究活動を積極的に推進していく。
また一方においては、より広域との教育研究活動の連携を図っていくことも大切である。
その際、例えば、医療・福祉の現場での実践を念頭に作られた本学オリジナルの「英語教
科書」のような特色ある教育内容・方法の紹介をはじめ、重点研究の情報発信、全国規模
の学会の開催等も視野に入れて取り組んでいく。
91
健康科学大学
10-3-1
国
県
健康科学大学教員
平成 20~21 年度
社会連携先一覧
学科
職制
団体名等
委員会等
福祉心理
教授
福祉心理
教授
文部科学省
平成 20 年度自立教科等担当教員講習会に係る審査評価委員
福祉心理
教授
文部科学省
中央教育審議会初等教育中等教育分科会教育課程部会特別支援教育専門部会委員
福祉心理
教授
文部科学省
拡大教科書普及推進会議座長
福祉心理
教授
筑波大学附属視覚特別支援学校
学校評議員
福祉心理
教授
独立行政法人 国立特別支援教育総合研究所
研究協力者
福祉心理
教授
独立行政法人 国立特別支援教育総合研究所
運営委員会委員
福祉心理
教授
独立行政法人 国立特別支援教育総合研究所
辻村賞受賞
福祉心理
教授
独立行政法人 大学評価・学位授与機構
国立大学教育研究評価委員会専門委員
理学療法
教授
山梨県
アンチエージングドッグ・パイロット事業検討委員
作業療法
准教授
山梨県
広域特別支援連携協議会
作業療法
准教授
山梨県
発達障害者支援センター運営協議会委員
福祉心理
教授
山梨県
指定管理事業者選定委員会委員長
福祉心理
教授
山梨県
山梨県福祉障害者介護給付費等不服審査会委員
福祉心理
教授
山梨県
東部地域 LD 等専門家チーム会議委員
福祉心理
教授
山梨県
公立学校教員選考検査面接試問委員
福祉心理
教授
山梨県
富士北麓地区特別支援連携協議会委員
福祉心理
教授
山梨県
福祉保健部指定管理者選定委員会委員長
福祉心理
教授
山梨県
公共事業評価委員会委員
福祉心理
教授
山梨県
運営適正化委員会委員
福祉心理
教授
山梨県立盲学校
学校評議員
福祉心理
教授
山梨県立ふじざくら支援学校
学校評議員
福祉心理
教授
山梨県
スクールカウンセラー
福祉心理
教授
山梨県福祉サービス評価推進機構
内閣総理大臣賞受賞
認証公表専門委員会
委員長
評価・研究専門委員会委員
町
(
近
隣
)
視覚障害専門部会委員
運営企画委員会
委員
福祉心理
教授
山梨県社会福祉協議会
福祉サービス運営適正化委員会
福祉心理
教授
山梨県社会福祉協議会
やまなしの福祉
福祉心理
准教授
山梨県社会福祉協議会
「福祉のこころ醸成プログラム」検討会議委員
福祉心理
助教
山梨高次脳機能障害リハビリテーション講習会
運営委員会委員
作業療法
教授
東山梨行政事務組合
介護認定審査会委員
作業療法
教授
富士・東部地区
地域リハビリテーション広域支援センター連絡協議会委員
作業療法
准教授
富士河口湖町
第 2 期生涯福祉計画策定委員
作業療法
准教授
富士河口湖町
障害程度区分認定審査会委員
作業療法
准教授
富士・東部地区
富士北麓園域障害者自立支援協議会委員
作業療法
准教授
富士河口湖町
障害福祉計画策定委員会委員
福祉心理
教授
富士河口湖町
障害福祉計画策定委員会委員
92
委員
広報委員
健康科学大学
福祉心理
教授
富士・東部地区
富士北麓地域特別支援教育連携協議会委員
富士河口湖町
発達相談員
笛吹市社会福祉協議会
福祉サービス第三者委員会
西桂町
『すこやか相談』心理相談員
教授、
福祉心理
准教授
福祉心理
教授
会長
教授、
福祉心理
准教授
県
外
そ
の
他
(
学
会
等
)
作業療法
准教授
佐賀県
精神障害者バレーボール 佐賀県代表者チーム監督
作業療法
准教授
三郷市
発達支援相談員
作業療法
准教授
白井市
こども発達センター相談員
福祉心理
准教授
京都市
京都市民長寿すこやか推進協議会委員
福祉心理
准教授
京都市
基本計画審議会委員
学長
日本老年学会
理事
学長
長寿科学振興財団
理事
学長
骨粗鬆症財団
理事長
学長
日本骨粗鬆症学会
理事
学長
日本代替・相補:伝統医療連合会議
理事
学長
日本抗加齢協会
理事長
学長
日本学術会議
連携会員
学長
国際骨粗鬆症財団
理事
学長
上原記念生命科学財団
評議員
学長
加藤記念バイオサイエンス研究振興財団
理事
学長
パブリックヘルスリサーチセンター
評議員
学長
ぼけ予防協会
理事
学長
国際老年学協会
日本代表
理学療法
教授
日本病態栄養学会
評議員
理学療法
教授
日本健康医学会
評議員
理学療法
教授
日本糖尿病療養指導士認定機構
理事
理学療法
教授
理学療法学(日本理学療法士協会雑誌)
編集協力者
理学療法
教授
糖尿病ケア
編集委員
理学療法
教授
神奈川県糖尿病療養指導研究会
幹事
理学療法
教授
神奈川県糖尿病療養指導士認定機構
認定委員
理学療法
准教授
バイオメカニズム学会
評議員
理学療法
准教授
臨床歩行分析研究会
ニューズレター編集委員長
理学療法
講師
日本エアロビック連盟
指導専門委員
理学療法
講師
山梨県エアロビック連盟
常任理事
理学療法
助教
日本水泳連盟
医・科学委員
理学療法
助教
日本理学療法士協会
職能局付介護予防検討委員会
93
試験委員
飛込委員(強化部)
委員
健康科学大学
機関誌編集委員会委員
作業療法
教授
事例登録審査委員
日本作業療法士協会
学会演題査読委員
作業療法
教授
日本作業療法士協会
理事
作業療法
准教授
日本作業療法士協会
選挙管理委員長
作業療法
准教授
日本作業療法学会
演題審査委員
作業療法
准教授
活動分析研究会
茨城ブロック長
福祉心理
教授
赤尾育英奨学会
評議員
福祉心理
教授
日本地域福祉学会
関東甲信地域理事
福祉心理
教授
福祉情報システム研究会
幹事
福祉心理
准教授
山梨県社会福祉士会
理事
福祉心理
准教授
日本アルコール関連問題学会
評議員
福祉心理
准教授
日 本 アルコール関 連 問 題 ソーシャルワーカー協 会
常任理事
福祉心理
准教授
日本福祉心理学会
理事
表 10-3-2
学科
職制
理学療法
講師
公益法人制度対策委員会
平成 21 年度
健康科学大学教員学外共同研究先一覧
共同研究先
委員
研究テーマ
NPO 法人
フィットネス・ウォーキングコース実地調査
大学コンソーシアムやまなし
特定医療法人
理学療法
助教
血液疾患患者における抗がん剤治療が身体機能に及ぼす影響
北愉会札幌北愉病院
理学療法
助教
大隅鹿屋病院
足関節自動運動と静脈血流速度の変化
理学療法
助教
早稲田大学
競技スポーツ選手の腰部障害発生機序解明と予防策の考案
作業療法
教授
茨城県立医療大学
脳幹-脊髄における運動発現および運動障害に関与する中枢神経機構
医科学センター
表 10-3-3
健康科学大学教員
外部資金による研究一覧
平成 21 年度
学科
職制
機関名
研究テーマ
理学療法
助教
日本学術振興会
外肛門括約筋を支配する運動ニューロンから興奮性入力を受けるレンショウ細胞
理学療法
助教
日本学術振興会
脳卒中片麻痺患者の体力を制限する因子の特定
福祉心理
准教授
日本学術振興会
J.COSS 日本語文法理解テスト評価支援一体版・視覚版・簡易版の開発
福祉心理
准教授
文部科学省
高齢者支援に向けた地域住民のエンパワメント・プログラムの評価方法に関する研究
福祉心理
講師
文部科学省
ロールシャッハ・テストにおける切断部分反応と潜在的自尊心の関係
94
健康科学大学
基準 11
11-1
【1
社会的責務
社会的機関として必要な組織倫理が確立され、かつ適切な運営がなされていること。
事実の説明(現状)】
11-1-①
(1)
社会的機関として必要な組織倫理に関する規定がされているか。
全般的事項
本学は既存の学校法人のもとで創設された経緯から、その「就業規則」をほぼそのまま
適用してきたが、大学の実情に合わない部分が規程に含まれていたため全面的な改訂を平
成 20(2008)年度に行った。
これに加えて人権問題の発生を防止し、生じた場合の対応についてまず、平成 16(2004)
年度に「人権問題防止委員会」を設け、検討を始め、翌 17(2005)年度に問題発生の防止に
より一層力点をおくべく、「人権問題対策委員会」と改称し、実質的な活動を始めた。
個人情報保護に関する規定は、関連法律の制定に伴い、平成 17(2005)年度に「個人情報
保護規程」を制定し、学内はもとより、学外実習中の学生にも趣旨の徹底を図っている。
さらに平成 19(2007)年度には「公益通報者保護規程」、平成 20(2008)年には大学の「教
職員行動憲章」を制定して、教職員間や学生及び学外者との関係において大学人としてふ
さわしい行動を取ることができるように趣旨の徹底を図っている。
(2)
研究倫理委員会
人を対象とする研究や、実験動物を用いた研究では、国際的にも高いレベルの倫理的審
査を行う必要があるとされているが、このことは当初より本学においても認識されていた。
そこで、当初暫定的に「研究委員会」でその審査を行ってきたが、平成 20(2008)年 4 月に
「研究倫理委員会規程」を制定し、本学で行われる研究について計画段階から届出ること
を義務づけた。
11-2-②
(1)
組織倫理に関する規定に基づき、適切な運営がなされているか。
人権問題対策委員会
設立当初より教職員間はもとより教員と学生間の問題について、
「FD 委員会」などで注
意を喚起してきたが、平成 18(2006)年度に正式に「人権問題対策委員会」を設置するとと
もに、
「人権問題対策委員会規則」を制定した。これによりセクシャルハラスメントだけで
なく、アカデミックハラスメントやパワーハラスメントの発生を予防すべく、教職員はも
とより学生への周知・徹底を図っている。また、被害者が相談しやすいように複数の相談
員を委嘱するとともに、投書による相談もしやすい環境を作っている。毎年、新任教職員
と新入生に対して趣旨の徹底と具体的な対処法について説明している。
(2)
個人情報保護に関する規程
個人情報保護に関する法律の施行に伴い、本学でも平成 17(2005)年度に「個人情報保護
規程」を設け、その趣旨の周知・徹底を図ってきている。学生自身の個人情報の慎重な取
り扱いを教職員に徹底するとともに、学外実習の協力者などに関する個人情報の保護を実
習生となる学生に丁寧に指導している。当初は学生の指導のために必要な学生の個人情報
95
健康科学大学
まで教員に対してもアクセスを制限されていたが、学生の写真や帰省地などについては利
用目的を明らかにし、利用者の氏名を記録することにより利用できる体制になってきてい
る。
【2
11-1 の自己評価】
開設当初の 2~3 年は、授業の準備と実施が最優先された結果、規程の制定に手間取っ
①
たり、規程の趣旨の周知徹底が十分でなかったりしたが、現在までに概ね必要な規程と
その趣旨の徹底を図るための体制が作られてきている。
開学当初は「就業規則」等が教職員に明示されていない時期があったが、平成 19(2007)
②
年度の事務組織の改革後、改訂して明示された。
③
個人情報保護及び研究倫理については、概ね趣旨が徹底できているが、
「人権問題対策
委員会規則」については、趣旨の徹底を図ることに時間を要し、規程の制定に時間がか
かった。
④
医療及び福祉分野は人を対象とする専門職であり、その人材を養成する高等教育機関
としての本学の使命に照らして、人権尊重意識の向上は教育目標のなかでも重要な位置
を占める。学生に対しては、この点を意図した科目が「共通科目」にも開講され、「専
門科目」においては特に学外実習の準備期に徹底した指導を行っている。また、教職員
に対しては、FD 等を通して趣旨の徹底を図っている。
【3
11-1 の改善・向上方策(将来計画)】
現在、関連する幾つかの規程が制定され、運用され始めた段階である。今後においては、
運用の段階で明らかになってくる問題点をいち早く認識して、改善する必要があると思わ
れる。
特に人権問題については、その趣旨が学内関係者に十分周知されているとは言い難い面
もあるので、平成 22(2010)年 2 月に「ハラスメントに関する研修会」を開催したが、今後
も事例に則した研修などを繰り返し開催し、人権問題の趣旨の徹底を図っていく予定であ
る。
11-2
【1
学内外に対する危機管理の体制が整備され、かつ適切に機能していること。
事実の説明(現状)】
11-2-①
学内外に対する危機管理の体制が整備され、かつ適切に機能しているか。
創設当初より、授業中の構内火災発生を想定した避難訓練、あるいは緊急時における夜
間・休日の電話連絡体制や天災(豪雪、台風など)時における臨時休講の連絡体制等は整
えてきた。また、個々の事例に対応するための具体的な「危機管理マニュアル」を作成し、
関連する事務諸部門の職員に配布した。このマニュアルには、学生の関係する交通事故や
盗難、犯罪などへの対応も含まれている。
96
健康科学大学
【2
11-2 の自己評価】
大規模災害の発生に備えた具体的な「危機管理マニュアル」をもとに講習会及び避難訓
練等の具体化を計ることは勿論である。
一方、利益相反・責務相反問題に早急に取り組み、利益相反マネージメントポリシーを
制定し、具体的な活動を始める必要がある。大学の施設・設備を利用して得られた大学の
知的財産を不用意に頒布し、本務校の責務と相反するほどの兼業をもつなど、大学教員は
知的財産流失、利益相反・責務相反問題を常に抱えているので、規程の整備と活動態勢を
整える。
【3
11-2 の改善・向上方策(将来計画)】
大規模災害の発生に備えた具体的な「危機管理マニュアル」をもとにリーフレットを作
成し、周知徹底のための講習会及び訓練計画の具体化について検討いている。
11-3
大学の教育研究成果を公正かつ適切に学内外に広報活動する体制が整備されてい
ること。
【1
事実の説明(現状)】
11-3-①
大学の教育研究成果を公正かつ適切に学内外に広報活動する体制が整備されて
いるか。
(1)
全般的事項
本学における教育研究成果の発表は、主として「健康科学大学紀要」と「健康科学大学
健康科学部教育・研究年報」を印刷発行することによって行われている。大学における研
究活動が公正かつ適切に行われるようにするため、「研究倫理委員会」が組織されており、
研究を行う際はこの委員会に「研究計画書」を提出してチェックを受ける体制となってい
る。
また、大学主催の公開講座、「大学コンソーシアムやまなし」共催の公開講座などを通
して本学の学長や教員による広報活動が行われている。
特筆すべきことは、本学のような「コメディカル」と福祉分野の高等教育機関における
実践的な英語教育に適した教科書が市販されていないことから、これを自ら開発し作成し
た点である。この教科書を「ホームページ」を通して紹介したところ、全国から数件の問
い合わせが寄せられている。
(2)
教育・研究年報の作成
本学では開学 3 年目の平成 17(2005)年度より「健康科学大学健康科学部教育・研究年報」
を発行し、大学関連施設及び学外実習協力施設などに配布してきている。
年報の作成においては、
「年報委員会」を組織し、計画立案・編集をはじめ、内容のチェ
ックや校正等の全般をこの委員会が担っている。
年報においては、その第 1 部において、大学の組織・施設と教育内容の現状について記
載するとともに、各学科の状況や学部全体としての学習支援体制とその活動などを要約し
てある。第 2 部においては、学内の研究プロジェクトの紹介とその成果とともに、全専任
97
健康科学大学
教員の教育・研究業績を明らかにしている。
(3)
研究紀要の刊行
本学教員の「個人研究」や「共同研究」、教育・研究活動の紹介などを、毎年 1 回「健
康科学大学紀要」として刊行し、関連学会や大学などに配布している。またこの紀要は、
「図書館ホームページ」から最新 2 号分までのダウンロードが可能である。
研究紀要の作成は、
「紀要編集委員会」が担っており、計画立案・編集をはじめ、査読の
計画・実施等に関しても委員会が責任を持って行っている。
(4)
学内研究助成による研究成果の報告書作成
学内研究助成による研究成果は、年1回報告会を開催するとともに、報告書の刊行を行
っている。これらは、「研究委員会」が担当している。
【2
11-3 の自己評価】
教育・研究年報と紀要の発行は、大学における当然の公開活動であるが、特に地域の人
達にとっては公開講座などの方がなじみやすく、より直接的に貢献できる活動だと思われ
る。
一方、地域の初等中等教育機関に対する公開については、主として見学の受け入れや講
師の派遣など、かなりの時間とマンパワーを割いている。この分野については、
「広報委員
会」が対応している。
また、前述した本学の「特別研究プロジェクト」が作成した「英語」の教科書は、他大
学からの反響もあり、大学の広報活動に役立っていると思われる。
なお、大学の教育・研究成果は、この他個々の教員による学会専門誌などへの投稿・学
会発表等によって行われている。
【3
11-3 の改善・向上方策(将来計画)】
平成 21(2009)年に「ホームページ」をリニューアルし、従来よりも情報発信がしやすい
ホームページに切り替えることができた。このホームページを活用し、現在、学内外に本
学の情報を広く発信するための体制作りを進めているところである。本学が専門教育の教
育・研究の拠点となるためには、インターネットを介する情報発信と学問的なデータベー
スの構築が必要であり、そのための取り組みを地道に行いたいと考えている。
【基準 11 の自己評価】
開学して 7 年経過し、4 期までの卒業生を社会に送り出すことができた。その間、公開
講座などを通じて地域社会にも評価されるような貢献ができた。
本学創設期における法人の不祥事が明らかになり、特に地域社会に心配をかけているが、
大学内では教職員が一丸となって学生の教育に取り組んでいる。また、学生数の減少や、
入学生の低学力化に対応する方策を立て、実行してきている。平成 20(2008)年に行われた
進学関係の某社の調査では、本学の「オープンキャンパス」などにおいて本学を訪問した
高校生の間では、大学の雰囲気や教職員の態度に高い評価を得ている。
問題点は、少子化と同系統の大学の乱立により、地理的に不利で不便な本学が、将来と
もに優秀な学生を呼び寄せ、受け入れて行くことができるかどうかにある。
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健康科学大学
【基準 11 の改善・向上方策(将来計画)】
医療福祉関係の専門家を育成する高等教育機関としての基礎は固まってきていると考え
られるので、次の段階としてそれぞれの分野で一段と専門性の高い教育機関として「大学
院研究科」設置を目指して準備を進めている。
創設期において、財政面及び法人全体の事務体制が十分でなかったこともあって、第 1
期生の卒業に間に合うように創設準備を進めていた「大学院修士課程」の設立を断念せざ
るを得なかった。その後も本学創設期における法人の不祥事が明らかになり、文部科学省
の指導を受ける事態が続き、「大学院修士課程」の設立は現在も実現をみていない。
しかしながら、平成 21(2009)年度には、不祥事に関する調査報告も終了し、文部科学省
の指導のもとに法人は新体制を整え、平成 22(2010)年度からは「学校法人富士修紅学院」
として新たな一歩を踏み出したので、今後は一刻も早く前進的な方策が実施できるように
なることを願うものであり、教職員あげてそのための努力をしていきたい。
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