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Page 1 Page 2 Page 3 Page 4 本オ料および方法 63 考 察 67 才商 要
シ
ン
ビジウムの花飛び現象与こ
関する生理学的研究
人里予
女子r
乙
′・4445号
目
次
言
第1章
緒
第2章
花飛び現象とは
第3草
案験植物およびその栽培管理方法
……一---=-=-=一…=-……一一
10
第4章
高温および低湿処理期間の影響--…==り=-一-…-=---…-一一-=一
13
1
4
=-…-一一………----==‥一一=一…=一…--一)一一---1
材料および方法
13
結
果
14
考
察
18
摘
要
21
花膏の発育ステージと花飛び現象との関係←……---…--…----一
23
第5草
第1節
花茎基部の花膏について
=‥------…一-----…-…一…-一--…一一一
23
材料および方法
23
結
果
25
考
察
34
摘
要
37
第2節
花膏の着生位置と花飛び現象との関係=…--…一-=一-‥---==一
材料および方法
38
38
結
果
39
考
察
42
摘
要
45
花茎伸長について
47
第6章
材料および方法
48
結
果
49
考
察
54
摘
要
61
1
第7章
花膏の発育について
第1節
63
=→-………一=…-=----…=…=---一一一一---=
花膏の発育・開花ならびに花粉形成に及ぼすGA3の影響
一一一 63
材料および方法
63
結
果
64
考
察
67
摘
要
69
第2節
花飛び現象におけるエチレンの関与について==-…=…--…一
材料および方法
70
結
果
72
考
察
77
摘
要
82
第3節
花蓄の発育・開花ならびにジベレリン感受性に及ぼすエチ
レン生合成阻害剤の影響-…∼-=一--=→---=一---……=-…一--…一
83
材料および方法
83
結
果
84
考
察
93
摘
要
94
第8章
謝
70
総合考察
一一岬…=-=----=-…一…一里…---=-…-一一一-=←=--…一-一
辞一--一一-===---=一-…=一…-=一…一--=-==---…一----…一----一一---=-一
引用文献
---▼叩り-一=一一--一-一一-=一-…=…=一…=…一=-一-…一一==-…------
11
95
100
101
第1章
緒
言
我が国の花井生産は近年飛躍的に増加し、1989年には小売価格ベースで1兆
円を越え(68)、いわゆる1兆円産業の仲間入りをした。その後も毎年10%近
い着実な伸びを続けてきたが(59)、バブル経済の崩壊により今後の動向が注
目されている現状である。代表的な花井としては切花御三家と言われているキ
ク、カーネーション、バラがあり、これらの生産が1989年には全切花の本数で
約45%、生産額で60%、全花井生産でみてもその生産額の約40%を占めている。
これらに次ぐものとして宿根カスミソウやユリ類、代表的な鉢物である洋ラン
やシクラメンがある。
ラン科植物はイネ科植物とならんで単子葉植物ではもっとも進化したグルー
プとされ、熱帯から亜寒帯、低地から高山に至るまで幅広く分布している。そ
の数は約750属、20」川0種前後(15,000∼35,000種)とされ(22)、自生地の環
境に適応し、極めて多様に分化している。この内、生産園芸の対象となってい
るのはシンビジウム属、デンドロビウム属、ファレノブシス属など、10属ほ
どに過ぎないが、主として鉢物として用いられ、シクラメンとともに代表的鉢
物花井となっている。その生産量は1989年に約1,400万鉢であり(3)、これは
全鉢物の約7%、生産額では26%(全花井の約1割)に相当している。ランは
高級品とのイメージから主として贈答用として用いられている。シンビジウム
はランの中では比較的価格も安く、耐寒性もあり、栽培も容易であることなど
から、最も大量に生産・消費されており、ランの大衆化に大きく貢献している。
一卜
ちなみにその生産量は、1989年には516万鉢であり(3)、ラン全体の37%を占
めている0
これに続いて、デンドロビウム200万鉢、その他のラン685万鉢とな
っている。
シンビジウムの生産がこれほど増加した背景には、無菌播種法の開発、メリ
クローン苗の実用化、山上げ栽培の導入、観賞価値の高い優良品種の作出、高
価な水苔に変わる安価な植え込み材料の開発など、いくつかの技術上の革新に
負うところが大きい0
こうして順調に生産量を伸ばしてきたシンビジウム栽培
もいくつかの問題点を抱えている。すなわち、山上げ栽培の導入にともなう労
力・コストの増加、フザリウム菌による苗の腐敗病の発生、苗生産が一部の業
者にほぼ独占されているための苗代の高騰、苗から製品まで3年近く要する生
産効率の悪さとそれにもかかわらずランとしては安価なものとのイメージから
くる価格の低迷、品種の変遷が急で先を見越した多品種栽培が必要であるが、
品種特性の把握が追いつかず、栽培法を模索している間にどんどん品種が変わ
っていってしまうなどである。
これらの問題点の中でもシンビジウム栽培において最大のネックとなってい
るのは山上げ栽培である。山上げ栽培とは、夏の高温期間、すなわち6月上・
中旬から9月下旬頃まで、標高900m前後の山へシンビジウムを移し、避暑させ
るものである。山上げ地の条件としては、平坦地で標高が適当なことや、水が
豊富で交通の便もよく、距離的にも近いことなどが挙げられる。山地の多い我
が国ではあるが、条件に適うところは少なく、山上げ地に事欠く状況である。
-2-
この地方の山上げ地である愛知県北設楽郡設楽町の段戸山駒ケ原には、愛知県
下はもとより、静岡、三重、岐阜、滋賀の各県からもはるばる山上げされてい
る現状である。
そもそもシンビジウムの生産者が山上げ栽培を行うようになったのは、本研
究でとりあげた「花飛び」と呼ばれる現象を回避するためである。この現象は
夏季の高温条件によりシンビジウムの花芽(正確には総状花序)が発育途上で
枯死してしまう現象であるが、詳細については章を改め記載することにする。
このほか、山上げ栽培には山上げをすることによって株の充実が促進され、花
付きがよくなり、品質が改善されるなどの利点も挙げられている。近年では、
こちらの意味合いも強くなってきている。
このような利点もあるが、山上げ栽培では山上げ・山下げ時はもとより、山
での栽培管理にも多くの労力や時間、コストがかかるうえに、きめの細かい管
理もできない。このため、山上げを必要としない品種の作出や山上げ栽培に変
わる栽培法の開発が待たれている0本研究では、シンビジウムの生産者に山上
げ栽培を余儀なくさせている花飛び現象について、その発生機構を明らかにし、
山上げに代わる花飛び防止法の開発や、山上げを必要としない品種の作出に資
するべく、花飛び現象の発生に及ぼす温度や生長調節物質の影響を主として生
理学的に研究した。
-3-
第2草
花飛び現象とは
花芽や花序、花膏の発育が何らかの要因により途中で停止し、開花に至らず
枯死してしまう現象は、バラ(39,軋71,72)、球根類(8,9.12,13,14,32,33,
47・54,55・60)、落葉花木(11)など種々の植物で報告されている。これらの現
象はブラインド(Blind)、アボーション(Abortion)、ブラスチング(Blast-
ing)など、いろいろな言葉で呼ばれているが、「花飛び」もその一つである。
チューリップの球根生産においては、球根の肥大促進を目指して行われる摘花
作業を省略する目的で、「花飛ばし高温処理」と称し、植え付け前の球根を熱
処理し、開花させなくする技術が実用イヒには至らなかったが検討されたことも
ある(60)。
シンビジウム栽培においても夏季の高温時には花序が枯死したり、花善が黄変
して落ちる現象が発生し、生産者の間では「花(芽)が飛んでしまった」とか
「花飛びが起きた」などと表現されている0
本研究ではこれらの現象を花飛び
現象と呼んでいるが、典型的な花飛び現象は実験材料として用いたサザナミ`
ハルノウミ'(Fig・1)の場合には、花茎長が4cm前後の時期に発生する。最初
に花告が黄・褐変するが(Fig・2-B)、この時期には花膏は芭葉に包まれており、
外観からはわからない(Fig・2-A)0
やがて花序全体が黄・褐変し、枯死する。
この時の花被長は長くても8mmに満たず、開花時の1/4以下であるが、内外
花被片はもとより荊、ずい柱、子房などの花器管はすでに分化している(Fig.
3)0
典型的な花飛び現象の場合には、花茎伸長も花蓄の発育もともに初期で停
-4-
Fig.1.Experimentalplant
Cymbidium
Sazanami`har・u-nO-umi'in
-5一
fullbloom.
Fig.2.TypicalinflorescerlCe
blasting
(A)Threeinflorescences
whichis
front
to
not
halves
show
blast,ed
blasted
known
of
t,he
caused
are
froJn
the
seen.The
by
right
outside.(B)Same
bractsin
high
temperature.
one
flower
ones(center).
一6-
blasted,
asin(A).The
twoinflorescences
brown-COlored
was
buds(right)and
were
removed
non-
SpOr09enOuS
tlssue
anther
C01umn
ped⊥cel
1Tig・3.MedianIongitudinalsection
underg(パng
W11mtJT
blasting
SeaSOn・Outer
Iでnl()1'ed.AlIrloralorgans
at
of
naturalhigh
andinner
are
a
flower
bud
temperaruresinthe
perianths
have
welldifferentiated.
一7一
been
止する。この典型的な花飛び現象と花茎昆が40∼50cmとなり20前後の花をつけ
るiE常な開花(Flg.1)との間には種々の中間的な段階がみられる(F_ig.4)。
すなわち、花茎は5∼20珊ぐらいまで伸長するが全花曹が貴変して落ちてしま
うもの(Fig.十射
から、花茎がさらに伸長し基部の花吾が開花するもの(Fig
.十鋸、さらに上位の花蓄まで開花し花茎もそれに応じて伸長するもの、先端
の一部の花蕾を除き大部分が開花し花茎もよく伸長するもの(Fig.4-C)などで
ある。花茎伸長を伴わない典型的な花飛び現象はアポ、【ションと、花茎は伸長
するが花吾が開花に至らず落下してしまう現象はドロップ(Drop)などと呼ば
れることもあるが(29,報文1.2)、本論文では花吾が開花に至らず枯死して
しまう現象を-一括して花飛び現象と呼び、ニれには様々な程度のものがあると
して取り扱う。
¶8-
⊂一∈月→岳ぎ01p中馬ぎOT中空5∽JぎOt叫¢戸.p中名d{q巴¢■
J¢喜一】コく
(ご.雲苫○∈¢竜ぎコ∽雲q¢葛召呂JO雲{宅巴むむ芸.サ.書』
J¢■O一里盲○王室.`も宏一コ責Sゴ℃コ眉盲Oq再○}p¢篤ぎ〇一む当月∽
(U).(ご
.望月∽J¢已【】pβ亀喜一匂う召}貞一uO眉nq岳喜一}一己¢畠∽l月∽竃u一三uO
層ヒヨ00ぎー儀書q pヨq J¢■OT』
S賀0【票月盲告記名nq
J誕OT叫む声.p3欝{q巴申■名nq
一9-
第3章
実験植物およびその栽培管理方法
シンビジウムの改良は当初熱帯から亜熱帯にかけて自生する大型の原種をも
とに進められ、いわゆる大型シンビジウムが多数作出されたが、1960年代に入
り、その小型化、耐寒性の付与、花付きの改善などを目的に、中国、台湾、日
本などにも自生する温帯性の小型シンビジウムとの交配が盛んに行われた。こ
れに用いられた代表的な原種がキンリョウヘン(Cymbidium
pumil叩)である。
本研究に用いたサザナミ`ハルノウミ'(Fig.1)も、こうして作出された小型
シンビジウムであり(Fig.5)、1963年に広島県の菅波堅次氏により
List
of
Orchid
Hybrids
Sander's
に登録されたものである。本品種は現在の品種に比べ
れば花の大きさ、花弁の厚さや丸み、花色の鮮やかさ、葉の立性などの点で随
分見劣りがするが、キンリョウへンとの交配の第一世代として、その優れた性
質を受け継いでいる。すなわち、葉長が60cm前後と草姿がコンパクトで、耐寒
性もあり、花芽(総状花序)をよく着生し、多花性で栽培も容易である。ただ
非常に花飛びを起こし安い点が問題となるが、花飛び現象の研究にはたいへん
適した材料である。
実験植物として用いたサザナミ`ハルノウミ'はすべて株分け繁殖したもの
で、遺伝的にほぼ均一である。その全般的な栽培管理は以下のように行った。
まず、4月の上・中旬に過去2年間に発育した部分だけからなるように株分け
し、素焼の5号鉢に植えた。植え込み材料には川砂または軽石(日向土)とバ
-ク堆肥のヂリックス(高倉バーク肥料株式会社)またはライン有機(名古屋
一1(ト
ニ‡_
eわ㍑meロー
乙ou壬αγ乙1〟乃
C0lmaniae
e玩α明e祝m
C011土anum
Gottlanum
eわ㍑mel↓m
Shokei
′sum土da′
Gottianum
るれSも≦叩e
Dotterel
Sazanami
′Haru-nO-um土†
壬JαれSOγ㍑′し
P"m壬乙∽¶
Fig.5.Pedigree
to
of
Sander's
Cymbidium
List
of
Sazanami`Haru-nO-umi'(Drawn
Orchid
Hybrids).
-11-
according
パルプ株式会社)を3:1に混合したものを開いた。5月下旬から11月下旬ま
では本学の圃場に設けたベンチ上で栽培した。残りの期間は無加温のガラス室
(5∼20℃)で管理した。盛夏季には黒色のプラスチックネット(遮光率50%)
で遮光した。施肥は新芽の生長期である5月から9月まで油和を3回に分けて
施すとともに
液肥キクヨトップ(日東肥料工業株式会社、N:P:K=10:
10‥10)を800倍に希釈して週1回程度潅水がわりに与えた。潅水は盛夏季には
概ね朝夕各1回、冬季には週1∼2回、その他の時期には植え込み材料の乾き
具合いに応じて適宜行った。芽かきは行わなかった。株分けは3∼4年に1回
の割になるように毎年全体の1/3∼1/4の個体について行った。概略以上
のような栽培管理を行った材料の中から目的の大きさの花序を着生した個体を
選び、以下の実験に供試した。
-12-
第4章
高温および低温処理期間の影響
岩瀬と加古(29)はファイトトロンを用いた実験により、サザナミ`ハルノ
ウミ'では花飛び現象が高温(昼300c/夜250c)で多発し、低温(20℃/150c)
ではほとんど起こらないことや、高温と低温の中間の温度(23℃/18℃)では
花茎伸長を伴わない典型的な花飛びは減少するものの落書がかなり発生するこ
とを報告した。そこで本章では花飛び現象の発生に及ぼす高塩および低塩の処
理期間の影響について調べた。
材料および方法
第3章の方法に準じて栽培管理したサザナミ`ハルノウミ'より、比較的発
育初期の花序(長さ≦6cm)をもつ株を選び、1973年8月22日より高温(300c
/250c)または低湿(200c/140c)の処理を行った。処理には本学の自然光フ
アイトトロンを用いた。両温度処理とも20日、40日、60日の3期間行った。処
理後、高温処理区のものは低温へ、低温処理区のものは高温へそれぞれ移した。
60日間の低湿処理については、花序の発育程度と低温処理効果の関係をより詳
細に調べるため、同様の処理区をさらに1区設けた。この場合、結果は低塩処
理終了時の花茎長との関係で表した。また、別に1976年の10月下旬まで5∼25
Ocの圃場で種々の発育ステージまで育った花序をもつ株についても高温処理を
行い、花序の発育程度と高温の影響との関係を調べた。この場合の高温処理(
300c/25℃)は人工光のファイトトロン(葉面照度約5,0001x、12時間日長)で
-13-
行った。
果
結
20日間の高湿処理ではほとんど影響を受けず、大部分の花序が正常に開花し
た(Fig・6-A)。40日間の処理では処理開始時に比較的発育の進んでいた花序(
長さ3∼3・5cm)で花飛びが多く発生したが、それより若い花序では高温の影響
がばとんど見られなかった(Fig.6-B)。60日間の処理では大部分の花序が花茎
長4cm前後で枯死し、典型的な花飛び現象を起こした(Flg.6-C)。
低温処理の効果は処理期間が長くなるほど高まった(Fig.7)。20日間の処理
ではすべての花序が枯死した(Fig.7-A)。40日間の処理では処理時の花序長が
長かったものほど花茎が伸長する傾向がみられたが、それでも花茎長は正常な
ものの1/2程度しかなかった(Fig.トB)。これは主として花膏の着生してい
ない花茎部分の伸長によるものであった。また、花膏はばとんどが枯死した。
60日間の低温処理では処理開始時の花序長が2c皿以下のものを除き、大部分の
花序で花茎が40∼50cmに伸長し、開花も正常で20輪前後の花を咲かせた(Fig.
7-C)。
同様の結果は別に行った60日間の低温処理実験によっても得られた(Fig.8)。
ここでは低温処理終了時の花茎長との関係で示してあるが、花茎長5cIⅥ以下で
高温に移された花序では、花茎が10∼30cmの長さに伸長したものの、開花には
至らなかった。低温処理終了時の花茎長がさらに長くなるにつれて、開花数も
-14-
50
●
■Q
S〕①hOT叫
00●
h①きOT叫
O
∼.〇‥β
●●
メ{巾〕S
30
pむhUきOT叫
(∈0)
叫○
40
20
●
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●
●●●
●
0
0
1
2
3
4
5
0
Length
Fig・6.Effects
2
1
3
4
the
development
and80Wering
ofinflorescences
StageS.Afterthetreatmentplantsweregrown
Each
Of
the
0
1
2
3
4
5
ofhightemperaturepretreatmentfor20days(A),40days(B),Or60days
(C)on
Of
5
ofinflorescence(cm)
on
number
the
80Wer
the
treatment・Open
Stalks
at
abscissa
underlow
thelength
shows
circle,number
completion
of
atdifferentdevelopmental
temperature
ofinflorescences
offlorets80Wered;Closed
experiments・Thislegend
other五gures.
-15-
conditions.
atthebeginning
circlら1ength
was
also
applied
to
叫〇.〇Z
「■l
ぷ]ひ仁UJ
O
50
(∈U)
pUし=y三〇T叫
ヨ可〕∽
4
∩リ
S〕UhOT叫
hU>OT叫
0
0
1
2
3
4
5
0
Length
1
2
3
4
5
0
1
2
3
ofinflorescence(cm)
Fig・7・Effectsoflowtemperaturepretreatmentfor20days(A),40days(B),Or60days
(C)onthedevelopmentandAoweringofinnorescencesatdifferentdevelopmental
StageS・Afterthetreatmentplantsweregrownunderhightemperatureconditions.
Eachnumberontheabscissashowsthelengthofinflorescencesatthebeginning
Of
the
treatment.
-16-
4
5
叫〇.〇Z
月〕ひuむJ
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0
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●
●
●
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-
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■ヽ●
08言。
○
0
0
●
0
0Q
0
10
5
Length
flower
of
15
stalk(cm)
Fig.8.Effectsoflowtemperaturepretreatmentfor60daysonthe
development
ofinflorescences
and80Wering
developmentalstages(duplicated
Eachnumberonthe
Stalks
at
the
abscissa
end
of
-17-
thelow
different
at
experimentofFig.7-C).
depicts
temperature
thelength
offlower
treatment.
花茎最も増加した。花茎長10cm以上のものでは花茎伸長も開花も正常であった。
こうして、低温の効果も花序の発育ステージにより大きく異なることが示され
さらに、10月末まで圃場で栽培管理した株を高湿に
低湿処理をファイトトロンで行った場合と同様の結果が得られた(Fig.9)。
考
察
高湿の影響も低温の効果も処理期間が長くなるほど大きくなり(Figs.6,7)、
温度の影響が一見加算的であるようにも思われる。しかし、同一一の処理期間で
も処理時の花序の発育程度によって温度の影響が著しく異なる現象がみられた。
同様の現象は高温処理したチューリップでも見られているが(47,60)、この結
実は高温に感受性のステージ、すなわち高温の影響を受けて花飛びを起こす発
育段階で、低温または温度が高過ぎないことを要求するステージの存在を示唆
している。この場合の低湿としては20℃以下の湿度でよいが、14℃/10℃のほ
うがより効果的である(29)。∈.lowlmの場合、昼が200cまたは23℃で夜
が14℃以下の湿度を必要とするとの幸臣告がある(9)。このステージを経過して
しまえばもはや高温でも花飛びを起こさないものと思われれる(Figs.8,9)。
同様の発育ステージ依存性は高温やその他の要因によって起こるブラインド現
象でも知られている(12,33,39,54,72)。一般に花粉母細胞の減数分裂期が高
温や他の不適環境要因により障害を受けやすい発育ステージと言われ、多くの
-1呂-
pUhUき〇一叫
メT巾〕S
S〕むHO」叫
JUきOT叫
叫〇.〇之
叫.〇長一か仁山J
5
Length
of
10
flower
Fig・9.Development
high
stalk(cm)
and
temperature
丑orescences
aowering
under
conditions
ofin・
to丘uctuating
exposed
temperaturebetween50Cand25dc.
Each
numberontheabscissa
thelength
beginnlng
offlower
Of
the
-19-
shows
stalks
treatment.
at
the
研究者が感受性ステージを減数分裂期と関係付けている(27,28,50)。しかし、
次章で述べるようにサザナミ`ハルノウミ,の場合、花粉母細胞は花茎長が6
Cmの頃に減数分裂前期に入り、15cmまでこの時期が続くことから、減数分裂期
が感受性のステージとは考えにくい。
低温要求性は種子や芽の休眠打破、花芽の誘導、抽台などにおいてよく知ら
れている(10,66)0
本研究でも60日間の低湿(14℃/10℃)は花茎の伸長と花
膏の発育・開花の、何れも典型的な花飛び現象を起こす花序では起こらない2
つの発育過程の進行を誘起した(Figs・7-C.8)。低湿処理終了時の花茎長が5
C軋以下の花序では花吾が枯死してしまい、花茎も20cm程度までしか伸長しなか
った(Fig・8)。これ以上花茎が伸長するには花膏の正常な発育・開花が必要の
ようである0
花茎伸長に正常な花膏や花の存荏が必要であることば他の植物で
も報告されている(48)。この点については第6章で詳しく述べる。
花序の正常な発育開花には、60日間の低温処理が必要であった(Fig.7-C)。
本品種の花茎には約20の花吾があり、花茎の上部ほど発育が遅れている。感受
性のステージが存在するとすれば、発育の進んでいる花曹ほど早くこのステー
ジを経過し、先端の花膏ほど遅れることになる。したがって、個々の花膏につ
いては低温を必要とする期間はさらに短いものと思われる。実際、20日間の低
温処理でも開花させることが可能である(44)。
わが国に自生しているシンビジウムのシュンラン(∈.goeringii)の花芽は
明瞭な休眠性を示す。夏から秋にかけて形成された花芽は冬の低温を受けた後
-20-
早春に開花するQ
沢ら(52)は200cでは開花せず、5℃で60日間の低温処理が
花芽の休眠打破および開花には必要であると報告している。サザナミ・ハルノ
ウミ'の作出に際して母株として用いられたキンリョウヘンも10℃以下の低湿
を要求する(31)。また、キンリョウへンを交配親にもつMary
Pin。hessや
Minnekenも花飛びを起こしやすい。これらのことから、花飛びを起こす性質は
キンリョウヘンの影響が強いものと考えられてきた。しかし、本研究で用いた
低温は休眠打破や他の低温を要求する発育過程で必要とされる低湿に比べると
かなり高い(10,66)。また、∈.lowi即l些も低湿を要求するようであるし(9)、
⊆・eburn99P!やGLin中耳鱒、GL
traCyanum、L
giganteumなど、シンビジウ
ムの育種に用いられている原種の多くが花飛びを起こすことも明らかになって
きた(大野、未発表)。したがって、花飛びはキンリョウヘンの交配種に特有
の現象というより、シンビジウムの多くに共通にみられる現象と考えられる。
摘
要
サザナミ`ハルノウミ'の花序の発育に及ぼす温度の影響をファイトトロン
を用いて調べた。種々の発育ステージにある花序を高温(昼300c/夜250c)ま
たは低温(140c/10℃)でそれぞれ20、40、60日間処理した。処理終了後、高
温処理区のものは低温条件下に、低温処理区のものは高温条件下に移した。そ
の結果、高温処理の場合、20日間ではほとんど花序に影響を与えず、開花も正
常であった。40日間処理では発育の進んでいた花序で花茎伸長も花膏の発育も
-2ト
起こらず枯死する典型的な花飛び現象が発生した。さらに、60日間処理では発
育ステージにかかわらず大部分の花序が典型的な花飛びを起こした。.-…一方、低
温処理の場合には発育ステージが進んでいた花序ほど花茎は伸長した。しかし、
20日および40日間の処理では開花には至らず、開花を誘起するには60日間の低
温処理が必要であった。圃場の自然条件下(5∼250c)で10月下旬まで栽培し
た材料を高温条件下に移した場合にも、60日間の低温処理と同様の結果が得ら
れた0
高温ならびに低温の影響が、何れも処理時の花序の発育ステージにより
大きな差異を示したことから、高温や低湿に感受性のある発育ステージの存在
が示唆された。
-22-
第5草
花曹の発育ステージと花飛び現象との関係
前章において、シンビジウムの花飛び現象が高温(30℃/25。c)で誘起され、
花茎伸長も花曹の発育も起こらず枯死することや、低温により花飛びが抑制さ
れ、花茎伸長や花膏の発育が起こることが示された。また、これらの高温や低
温の影響が花序の発育ステージによって異なることから、高温に感受性の、あ
るいは低温または高過ぎない温度条件を必要とする発育ステージの存在が示唆
された0
そこで本章では、この発育ステージが花膏の発育過程のどの段階に相
当するのかについて、細胞学的および組織化学的手法を用いて研究した。
第1節
花茎基部の花蕾について
本品種の花序は約20の花蕾をつけるが、基部の花曹ほど大きく、発育過程が
進んでいると思われる。そこで本節では、まず花茎基部の花膏に着目し、花膏
の発育ステージと湿度の影響との関係を調べた。
材料および方法
1976年の11月末に種々の花茎長の花序をもつ株をファイトトロンの人工光高
温室(30℃/250c、葉面照度約5,0001x、12時間日長)に移し、花茎伸長と花曹
の発育・開花に及ぼす高温の影響を、著書節位との関係も含めて調査した。
また、花茎長と花膏の発育ステージとの相関を明らかにするために、種々の
花茎長の花序を採取し70%イソプロパノールで固定した(23)。本固定液は貯
-23-
蔵中における核DNAの加水分解を防ぐために用いた。それぞれの花序の基部
から2、3番目の花膏またはその荊をエタノール・n-ブタノールシリーズで
脱水し、パラブラスト(mp・56∼570c)に包埋した。ロータリーミクロトーム
を用いて厚さ10〃mの連続切片を作成した。切片はキシレン・エタノールシリー
ズでパラブラストを除去した。この切片の核DNAをフォイルゲン染色法によ
って染色した0
フォイルゲン染色は20℃の5N塩酸中で1時間加水分解した後、
シッフの試薬で1・5時間染色した。亜硫酸水で洗った後キシレン・エタノールシ
リーズで脱水し、カナダバルサムで封入した。
こうして作成した標本を削、て花膏の発育段階の指標とすべき花粉形成段階
を調べた。前における花粉形成過程をもって指標としたのは、荊が後に述べる
ように花蓄の発育にとって重要な器官であることや、花粉形成過程が花膏のス
テージを細分化するに適した質的変化に富んだ過程であることによる。花粉形
成過程は胞原細胞期、前減数分裂期、減数分裂期、四分子期に分けた。前減数
分裂期は更に細胞周期のG▲1、S,G≡の3期に分けた。減数分裂期は前期と中
期Ⅰ∼終期ⅠⅠに分けた。それぞれの時期は花粉形成組織の細胞分裂活性や形態
学的特徴などの観察および核DNAの顕微分光法による定量結果をもとに決定
した。細胞分裂活性は荊当たり1.000∼1,200の細胞について調べた。顕微分光
法にはオリンパスMMSP型顕微分光光度計を用いた。核DNAの定量は波長
560Ⅷ、直径2〃mのビームで核を走査し、吸光度を積分することにより行った。
結果は吸光度の積分値で表した。
一24-
連続高温条件下で枯死する花膏の発育ステージを明らかにするため、1976年
と1977年の2度にわたり、高温条件で生育した花序を枯死直前に採取し、70%
イソプロパノーールまたはFAA(ホルマリン:酢酸:70%エタノール=5‥
:90、Ⅴ/V/V)で固定した。後者の固定液の場合には、6時間固定した後流水で
一晩洗い、前項に準じて花粉形成段階を調べた。
果
結
Fig・10に示したように、種々の発育ステージにある花序を高湿に移した場合、
前章の結果と同様に、高温処理開始時の花茎長と密接な関係が見られた。3.5cm
以下の花序では花茎はほとんど伸長しなかったム
3.5cmから7cmぐらいまでは花
茎長が長かったものほどよく花茎が伸長した。7cm以上の花茎長の花序では、
花茎は45cIⅥ程度まで伸長し、通常の花茎長となった。開花した小花の数も同様
に処理時の花茎長と密接に関係し、4cm以下のものではほとんど開花しなかっ
た。花茎長が長くなるにつれ、基部から上部へと開花する小花が増え、7cm以
上の花茎長の花序では20輪ほどが開花し、正常に開花した場合の花序とほぼ同
様な開花数になった。
花茎基部の花膏における花粉形成組織の細胞分裂活性は花茎長4cm以下のも
のでは0.4∼3.2%であった(Fig.11)。花茎長4cmぐらいで前減数分裂期に入
るようで、4cm以上のものでは細胞分裂活性が認められなかった。
花茎長6cm以上の花膏では減数分裂の前期の像がみられ、15.5cI℃のものは減
一25-
5
盲U)
ヨ可霊HぎOT叫苫雲ぎヱ一再仁Th
p⊇刃
h㌫豆OT叫
叫0
已0可一丁SO旬
=nitiallength
Fig・10.Flower
stalk
elongation
hightemperature
stalk(Cm)
and80Wering
of30OC
development・The
flower
of
day
ofin80reSCenCeStranSferredt。
and250C
developmentalstageis
night
at
different
presented
as
stages
thelength
Offlowerstalksontheabscissa.Flowerbudsonthestalkarenumbered
acropetally・Verticalbarsandopencirclesshowthepositionof80retS
且owered
thelength
the
and
of80Wer
Stalks
at
end
of
respectively・Theopencircleswhicharenotaccompaniedwithvertical
barsindicate
that
buds
al180Wer
-26-
dropped
without80Werlng.
experiment,
of
3
2
軸内
忘ニ・誉コAT宅巾UTぢご∑
4
ュ
000
0
0
2
4
6
Length
8
10
of
the
and
amined・Figures
at6-15cm
15・5cm
flower
ofinflorescences
time
same
the
of
during
Differentlength
only
of
and
of
meiotic
-2ト
cells
stalk
were
their
metaphaseIto
stalklength.
16
18
stalk(cm)
Fig・11・Changesinmitoticactivity
microsporogenesis
1214
flower
elongation.
collected
basalbuds
prophase
undergoing
were
were
observed
telophaseIIat
at
ex-
Sporogenous
cell
Premeiotic
GI
Premeiotic
S-G2
Meiotic
prophase
=一
Metaphase
丁elophase
Ⅱ
0
Length
stage
tivity,nuClear
of
buds
DNA
was
stalk(cm)
Stalklength
basalbuds
the
microsporogenesisin
15
flower
of
between80Wer
Fig.12.Relationships
The
10
5
determined
analysis
and
-2恭一
and
stage
of
ofin80reSCenCeS・
based
on
mitotic
cytologlCalobservation・
ac-
下心TOnC
叫〇.〇Z
0
20
10
0
20
10
15
20
DNA
COntent
COntent
Sented
content
diagrams
Fig.13.Frequency
at
WaS
as
25
of Feulgen-Stained
eaCh
stage
meaSured
of
microphotometrically
totalextinction
per
units.
-29-
nuclearDNA
microsporogenesis.DNA
nucleusin
and
pre-
arbitrary
Tablel・Featuresofabortivebasalnowerbudscollectedjustbeforeabscission.
Length
Mitotic
Year
Experiment
Flower
stalk
(cm)
2
5
O
2
9
1
3
2
5
1
2
9
2
3
7
4
6
2
2
3
4
8
4
5
3
4
4
4
4
5
5
3
8
4
5
6
2
2
7
*;mean
*
Of14nowerbudsin
3.5
4.7
fourinnorescences.-;1ittle
-30-
000〇一〇
3
Control(Gl)
DNAcontent
(%)
(mm)
1
1976
1977
activity
Perianth
9
0
7
8
6
5
5
0
3.0
stained
and
not
measured.
Fjg・14・MedianIongi仁udinalsectionsofabortiveanthersinnowerbudscoIIected3ustbefore
abscission・FjguresarearrangedinorderofFeulgenstainability・Ofnucleiinthe
SpOrOgenOuStissue・All毎uresareinsamemagnincation(×4CO).E=epidermjs.
S=SpOrOgenOuStissue,T=tapetum.
A・NormalantheratpremejoticGlphase・B・Earlyphaseofabortion.A11nuc)ei
intbesporogenoustissueareofsimilarsizeaロdFeulgensねinability.Nomitotic
貝gures
is
are
seen・C・Middlephase・ReductionofFeulgenstainabjlityofnuclei
evidentin
the
sporogenous
tissue・D・Late
phase・Reduction
StajnabilitycanbeseeTlinalLnuclei,indicatingtheoccurrence
autolysis
CruShed
during
sporogenous
abortion・E・Finalphase・Stainabilityis
tissue(CS).
-31-
of
of
asin
nucJear
D.Note
Feulge
DNA
the
0
芯LU⊃〓-〇.〇N
10
0
-0
0
5
Fig・15.Frequency
diagrams
DNA
COllected
of
the
contentin
just
10
before
Feulgen-Stained
nuclear
basalbudsofinflorescences
abortion
under
continuous
hightemperaturecondition(300Cday/250Cnight).
Nucleiof
numberin
tissues
sporogenous
microphotometrically
for
figuresindicated
Tablel.
-32-
were
DNA
measured
content.Each
the
experimentin
数分裂の中期Ⅰ∼終期Ⅰ王にあった(Fig・12)。細胞分裂活性もみられず、減数
分裂期にも入っていなかった花蕾は前減数分裂期にあるものとし、その核DN
A量の頻度分布からさらにGi期とS-G2期に分けた。花茎長で4∼5c臥
∼6cmがそれぞれ前減数分裂期のGl、S-G2期に相当していた(Fig.12)。
花粉形成過程の各時期の典型的な核DNA量の頻度分布をFig.13に示した。
胞原細胞期では細胞周期が同調しておらず、G,期のDNA量に相当する2Cか
らG2期のそれに相当する4Cの種々のDNA量がみられた。減数分裂期の特徴
の一つである細胞周期の同調化は既に前減数分裂期のGl期で認められた。SG2期のものの中にはGl期に相当するDNA量をもつ核も一部見られたが、大
部分がGl期にあるものと区別する意味でS-G2期とした。大部分の核がG2期
にあるものは見られなかった。減数分裂前期のものは4CのDNA量をもつと
考えられるが、顕微分光法による測定値はかなり幅広い値をとった。
連続高温条件下で枯死する直前に採取した花膏では、細胞分裂活性が0であ
った(Tablel)。フォイルゲン染色性は花粉形成組織から減少し始め、ついに
は荊全体が染色されなくなった(Fig.14)。また、花粉形成組織は潰れてしま
った(Fig・14-E)。核DNAの分布はほぼ一つの山を示し(Fig.15)、最もよ
く染まった場合でも、その量は細胞周期のG一期に相当する2Cレベルであった。
そこでコントロール区の前減数分列期のGl期のものと比較すると(Tablel)、
子房を含めた小花梗長はばぼ同じであった。花茎長もほぼ同じかコントロール
区よりやや短かった。花被長もやや短かく、花粉形成組織の厚さも薄かったが、
-33-
5
細胞層数はばぼ同様であった。
考
察
花茎基部の花膏の花粉形成段階は花茎長と相関があった(Fig.12)。すなわ
ち、ほぼ花茎長4cmで前減数分裂期のG壬期に入り、この前減数分裂期は花茎長
の6c皿まで続き、その後減数分裂期に入ることが示された。テッポウユリでは
花蓄の長さとの間により密接な相関のあることが知られている(17,58)。シン
ビジウムでも花膏の大きさとの間の相関の方が高いが、この点については次節
で述べることとする。
前章で、花飛び現象を起こす高温の影響が処理時の花茎長によって大きく異
なることが示されたが、本節の実験によってもこのことが再確認された(Fig.
10)。花茎長5・5cm以上の花序では、高温に移しても大部分の花善が開花し、花
茎もよく伸長した0
3・5∼5・5cmの花序では、花茎は伸長したものの、大部分の
花善が花飛びを起こした。これらの花飛びを起こした花膏は高温処理開始時に
は胞原綿胞期の後(終)斯から前減数分裂期にあった(Fig.12)。花飛びを起
こさなかった5・5cm以上の花序では、ほとんどが減数分裂前期にあった。したが
って、高温に移した場合に花飛びを起こすか起こさないかの分かれ目となるク
リテイカルステージは前減数分裂期あたりと思われる。このクリティカルステー
ジ以前にある花膏を高温に移した場合、花飛びが起こるが、この様な高温など
の不適環境の影響を受けやすい発育ステージの存在が、ブラインドと呼ばれる
ー34-
現象などで報告されている。たとえば、雄ずいにおける減数分裂期が、テッポ
ウユリでは低照度の(33)、チューリップではエチレンの(42)、それぞれ障
害を受けやすい時期とされている0
バラの品種・パッカラ,では花弁やがくの
原基が分化する時期が(39・40)、またグラジオラスでは葉数が4∼6枚の時期
が挙げられている(55)0
さらに、Zieslinと鮎1evy(71)はバラの・パッカ
ラ'では前の分化時期にエチレン感受性が高いことを示した。酒井(50)はイ
ネの低塩障害について、岩掘ら(27)もトマトの高温障害で、それぞれ雄ずい
の減数分裂期が障害を受けやすい時期であることを示した。ただし、イネにお
いて低温障害を最も受けやすい時期は四分子斯から小胞子初期であることが、
後になってSatakeとHayase(51)により示された。これらの現象のいくつか
ば、花芽の発育における花器官の役割との観点から論じられており、不適環境
により花芽の分化や生長をコントロールしている植物ホルモンが変化したり、
ホルモンの供給源が欠如することによると考えられている(34.39,40,71)。
シンビジウムのサザナミ`ハルノウミ'の場合、上に述べた植物の場合と高
温の障害を受ける発育ステージは異なっているが、花器官と花膏の発育との関
係は当てはまるかも知れない。すなわち、高温では花粉形成が減数分裂過程へ
進行することなく停止してしまい、やがて核DNAも染色されなくなり、花粉
形成組織も潰れてしまうが、これにより花膏の発育・開花に必要な植物ホルモ
ンの供給が不足したり、異常になり、花飛びが起こるのかも知れない。花蕾の
発育・開花、花茎伸長に花器官が植物ホルモンを通じて重要な役割を演じてい
-35-
ることは第6章で示す。
連続高湿条件で花飛びを起こすステージは、顕微分光法による核DNAの定
量から、細胞周期のG瀾と推定された(Fig・15)。細胞周期の制御に関する研
究から、細胞周期が次のサイクルにはいるか否かを決定する重要な時期である
Restriction
pointがG瀾の後期に存在することが知られている(57)。測定
されたDNA量は2Cよりもかなり低い値を示すものがみられたが、これはす
でにDNAの自己分解(Autolysis)が起こっているためと考えられる。ところ
で、このGl期は胞原細胞のGI斯かそれとも花粉母細胞のGl期のどちらであろ
うか。胞原細胞では高温でも細胞分裂が起こること、前減数分裂期にはそれま
での体細胞分裂とは異なった細胞分裂、すなわち減数分裂のための準備(減数
分裂細胞分化)が起こらねばならないが、これが高塩などの影響を受けやすい
こと(25)、花膏の大きさや花粉形成組織の厚さは、コントロール区の前減数
分裂期のG一王期のものに比べて小さかったが、細胞層数はほぼ同様であったこと
(Fig・14)などから、前減数分裂期のGl期ではないかと考えられる。本実験で
は花茎基部の花曹にだけ注目したが、上位の花膏ほど発達が遅れていることか
ら、これらの花膏はもっと前の段階で枯死するかも知れない。
いずれにしろ、連続高温条件下では花粉形成は減数分裂過程まで進まない。
花粉形成が正常に進むことが花序の発育には不可欠のようである。これには低
温、あるいは高湿に過ぎない20℃以下の温度が胞原細胞期から前減数分裂期に
かけて必要と考えられる。
-36-
摘
要
花序の発育に及ぼす高温の影響を花粉形成過程との関連で調べた。花粉形成
は花茎の伸長とほぼ平行して進行していた。花茎の基部に着生している花膏で
は、花茎長4cmまでが胞原細胞期、4∼6cmが前減数分裂期、6∼15cmが減
数分裂前期にそれぞれ対応していた○
胞原細胞期に圃場の自然条件下からファ
イトトロンの高温条件下(300c/25℃)に移すと、花茎の伸長も花膏の発育も
起こらず花序は枯死した0
減数分裂前期のものは正常に開花した。胞原細胞期
と減数分裂期の間の前減数分裂期のものでは、花茎伸長は誘起されたものの大
部分の花善が開花に至らず、前減数分裂期がクリティカルステージと推定された。
一方、発育初期より連続して高温におかれた花序は前減数分裂期のDNA複製
過程(S期)には入らず発生を停止し、枯死することが示された。したがって、
基部の花蕾については前減数分裂期のG王期がその花茎伸長を伴わない典型的な
花飛び現象を起こすステージと推定された。
ー37-
第2節
花膏の着生位置と花飛び現象との関係
シンビジウムの花飛び現象の発生は花膏の発育ステージと密接に関係してい
る0
前節では花茎基部の花膏に着目し、花粉形成過程からみた花膏の発育ステ
その結果、これらの花膏では花粉形成が
ージと花飛び現象との関係を調べた0
減数分裂過程へと進まず、前減数分裂期のG瀾あたりで枯死してしまうことや、
減数分裂前期まで進んだ花膏は高温に移しても花飛びを起こさないことが示さ
れた0
シンビジウムの花序には約20の花善があり、これらは上部のものほど発
育が遅れている0
そこで、本節では花茎の基部以外の花曹についても、その発
育ステージと花飛び現象との関係を調べた。
材料および方法
花蓄の着生位置および大きさと花粉形成段階との相関を明らかにするため、
20℃を越えない低温条件で栽培した材料より種々の大きさの花曹を採取し、花
被長と着生位置を記録した。着生位置は最下部のものを1として、順に上部に
向かって番号をつけて表した。これらの花膏より荊を採取し、FAAで固定し
た。固定した薪は2つに分け、一方を花粉形成段階の観察に用いた。
花粉形成段階の観察は以下のようにして行った。捌空より胞原細胞、花粉母
細胞、あるいは小胞子を解剖顕微鏡下で摘出し、前節に準じてフォイルゲン染
色を行った。染色した細胞塊をスライドグラスに載せ、少量のグリセリンを含
む水を滴下し、カバーグラスをかけた。その上から軽くたたいて細胞をスライ
-38-
ドグラス上に広げ、光学顕微鏡下で花粉の発生段階を調べた。必要に応じ、残
る一方の荊を前節に準じてパラブラストに包埋し、切片を作成してから観察に
供した。
高温処理の影響を調べるため、種々の大きさの花序のそれぞれ4∼5花膏に
マジックインクで印をつけ、その花被長を記録した。マークのついていない花
膏の大きさはマークをつけた花書から内挿して求めた。これらの花序をつけた
株を高塩(300c/25℃)に移し、開花に及ぼす影響を調べた。別に行った同様の
実験では花飛びの兆候を示した花曹を採取し、FAAで固定し貯蔵した。これ
らの花膏の花粉形成段階は上記の方法に準じて調べた。
果
結
花膏の大きさおよび着生位置と花粉形成段階との関係はFig.16のとおりであ
った。花粉形成段階は花膏の着生位置によらず、花曹の大きさすなわち花被長
と密接に関係していた。すなわち着膏位置が異なっても花被長が同じであれば
ほぼ同様の花粉形成過程にあり、花被長が長いほど花粉形成も進んでいた。そ
こで着生位置を考慮せず、花被長を0.5mm間隔で区切り、それぞれの区間に含ま
れる各ステージにある花膏の割合を百分率で表した(Fig.17)。この図から花
被長が5・5mmでほぼ花粉形成過程は前減数分裂期に入り始め、5.5∼7mmでは胞原
細胞期、前減数分裂期、減数分裂前期の各花善が見られた。7mm以上の花膏は
すべて前減数分裂期または減数分裂前期にあった。減数分裂の中期から後期に
-39-
△
X
△
X
△
●
▲
△
▲
△
「コ
X
△△△
X
△
ヨ駄
△△
XXXx淑△
X
△
X)∝X△▲
X▲ゝ
△
※カ軋錮■△
X
芸10
△
加X▲△
血
■h
X▲
▲
▲ヨb
△△
△△
▲
△
X〉い■▲■▲
△
X▲仰!△△ム
5
10
15
0
00
○
0
0
●00
▲畑△
X
△△
0
●
㌔…DD ●㌔□
△
加■ム
×
△
△△△
▲
XX
△
△
)∝ 酪
X
ロ
△
X▲Jb
P→
ロ
△
00
X
■∫
△
皿□●●口
.亡
X X■X)∝
ロ●
○
△△
00
;=
000
(⊃
△
△
●○●
ニ15
△
▲
X
●
□
△
X
h
qJ
⊂〉
●
□
▲
j20
き
●
1
0
0
0
0
0
20
Perianthlength(mm)
0
25
30
Fig・16・Relatiopshipamongthesizeofflowerbuds,thepositionwithintheinfl。r。S。。n。。and
thestageofpo11endevelopment・282flowerbudswerecollectedfrom39inflorescencesformed
Ontheplantsculturedunderlowtemperaturesof50-200C・Thepositionofnowerbuds
WaSShownbynumberingacropetallyontheordinate・0verlappedplotsareshownwitha
Singlesymbol・ThisholdstrueforotherFigs・×,SpOrOgenOuSCe11;▲,premeiosis;△,meiotic
PrOphase;■・meioticmetaphaseI-telophaseII;□,uninucleatemicrospore;●,microspore
mitosIS;○,binucleatemicrospore.
ー40-
80
亀d盲岩岳d
60
40
10
15
20
25
Perianthle.ngth(mm)
Fig.17.Relationshipbetweenthelengthofperianthsandthestageofpollendevelopment・The
datapresentedinFig・Werereplottedwithindifferencetothepositionofflowerbuds・The
nowerbudsweredividedintogroupswiththeperianthlengthsofO・5mmrange・Thepercentageofnowerbudsateachstageofpollenformationwascalculatedwithinindividual
groups.Whenthenumberofnowerbudswassmallerthan5,theneighboringgrouporgroups
were
combined
untilthe
numberexceeded5.
-41-
ある花蕾は比較的狭い花被長の範剛こあった0
花被長と花粉形成過程との相関
は1核性花粉期以降次第に低くなった。
種々の花粉形成段階にある250の花膏に対する高温の影響をFig.18に示した。
花飛びの発生は処理時の花被長と密接に関係していた。すなわち、7.5mm以下の
花膏は高湿ではほとんど枯死してしまった0
7・5mmより長くなるにしたがい花飛
びは急激に減少し、9mm以上の花曹では90%以上が開花に至った。
花飛びを起こした花膏について、その大きさ(花被長)と枯死時の花粉形成
過程の関係を見ると(Fig・19)、花飛びは8mm以下の花吾が高温を受けた場合に
発生した。これらの花膏は13mmより短い花被長で枯死した。枯死時の花粉形成
段階は処理開始時にステージが進んでいたものほど進んだ段階で枯死する傾向
にあった。すなわち、6mm以下のものは大部分減数分裂過程に入らず枯死した。
6mm以上のものでは減数分裂期や減数分裂期を経た後の1核性、2核性花粉細胞
期など、種々の段階で枯死していた。
考
察
花粉の発生段階は花膏の着生位置によらず、花被長と密接な関係があった(
Fig・16)0
テッポウユリでは花粉形成の全過程を通じて花被長との間に密接な
関係のあることが知られている(17)。シンビジウムでは減数分裂期以前の相
関がより高く、それ以後でやや乱れる傾向が見られた。しかし、花飛び現象と
関係する減数分裂前期以前の高い相関から、高温処理時の花粉形成段階が花被
-42-
十
■
十
十
○
十
○
十
雪20
十
十
十十
+十十
十
一
ヰ+
竹
JむA;t}
十
十十
十
+
十+
十++
十
10 0
●-・・・・・・●-●
+
11+
十++・≠
十
十
◆
・什十
+
80
+
¶卜什†什十
十
轟音十♯ふ
十十十
廿十十
十
十
ち亡○コ芯Od
60
0
40
5
20
2
4
6
8
10
0
Perianthlength(mm)
Fig・1r8・Effectofhightemperaturesonthedevelopmentof
nowerbudsatvariousstagesofpollendevelopment.Plants
with46inflorescencesinatotalweretransferTedtohigh
temperatures(300Cday/25OCnight).Thedataobtained
frommorethan250flowerbudswereshown・Percentage
Ofnoweropening(●-●)withineachgroupofO.5mm
rangeofperianthlengthswascalculatedasshowninthe
legendforFig・17・+,blasted;○,nOrmalflower.
一43-
J妄〇こJ〇誌蔓-と・1三
+・什+
+廿≠・廿
ぎ…U乱0
十
5
⊂)
00
0
0
000
讐冤ど
(∈E)宅j妄ご:忘uヱ
0
享ギ▲】…叫
00
t再u叫h
▲
4
6
Initiallength
8
ofperianth(mm)
Fig.19.Thestageofpo11endevelopmentinflowerbudsblastedbyhightemperatures.Eightyflowerbudsfrom13innorescenceswereco11ected・Intheblastingnowerbuds,
premeioticstagewasnotseparatedfromsporogenousce11
Stage・becauseofdecreasIngFeulgenstainability.Thetwo
StageSareShownwiththecommonsymbol(▲).Theother
SymboIsarethesameasinFig.16.
-44-
10
長から推定され、各時期における高塩の影響を調べることが可能となった。こ
うして、花飛びは胞原細胞期および前減数分裂期の高湿によって引き起こされ
ることが推定された。また、減数分裂期は不適環境により障害を受けやすい時
期と言われているが(26,50)、シンビジウムの場合にはこの時期の高湿は花飛
びとは無関係であることが示された(Figs.17,18)。むしろ、減数分裂前期ま
で花粉形成が進んだ花曹は高温でも正常に開花に至ることが明らかとなり、こ
の時期が山下げが可能となる時期と言えよう。
高温で花飛びを起こした花膏の花粉形成段階は、高温処理開始時の花被長に
応じ、種々の過程にあった(Fig.19)。胞原細胞期にあった花膏では減数分裂
過程に入ることなく枯死し(Figs.17,19)、一員減数分裂前期まで進んだ花膏
は高温でも枯死しないことから、花粉母細胞が減数分裂細胞に分化するには前
減数分裂期を低湿で経ることを必要とすると考えられる。テッポウユリやエン
レイソウでも減数分裂細胞分化に前減数分裂期の温度が影響するといわれてい
る(25)。
摘
要
花飛び現象を誘起する高温の影響と花粉形成段階との関係を明らかにするた
め、花曹の外花被長と花粉形成段階との相関を調べた。その結果、花膏の着生
位置によらず、減数分裂期までは両者に密接な相関のあることが明らかとなっ
た。
-45-
この高い相関を基に花粉形成過程の各段階に及ぼす湿度の影響を調べたとこ
ろ、胞原細胞期にあった花曹は、高温(昼30℃/夜25。c)では減数分裂過程に
入ることなく枯死し、前減数分裂期のものは減数分裂をした後、種々の段階で
枯死した0
花粉形成が減数分裂前期まで進んだ花膏は、高温でも花飛びを起こ
さず、正常に開花した。
これらの結果から、少なくとも前減数分裂期には20℃以下の低湿が減数分裂
細胞分化や花粉形成、花膏の発育のために必要であることが示された。
-46-
第6章
花茎伸長について
前章ではシンビジウムの花飛び現象が花膏の発育ステージに極めて依存して
起こる現象であることが明らかとなった。そこで本章および次章でば、花飛び
現象の二大特徴である花茎伸長が起こらない点と花膏の発育が起こらず枯死す
る点について検討する。まず本章では花茎伸長が起こらない点について述べる。
発育中の花芽や花器官が花茎や花梗の伸長に関与していることはよく知られ
ている(37,48)。たとえば、チューリップ(21,48)、ラッパズイセン(20,
21)、ガーベラ(49)などでは花芽を摘除することにより花茎が短くなる。チ
ユーリップでは花被や雌ずいの一方または両方を除去することにより、最上位
の節間伸長が抑制される(21,46)。植物生長調節物質のオーキシンやジベレリ
ンが花茎伸長に影響を及ぼすことも報告されている(37,48)。花芽を摘除する
ことにより抑制されるチューリップの花茎伸長はインドール酢酸(IAA)や
ナフクレン酢酸(NAA)の処理で回復する(21,46)。IAAの同様の効果は
ラッパズイセンでも示されている(20,21)。ガーベラの花梗も花芽を除去する
ことによって伸長が抑制されるが、IAAとジベレリン酸(GA3)との組合せ
処理により伸長が回復する(49)。本章ではシンビジウムの花茎伸長に及ぼす
花膏や花器官、および植物生長調節物質のオーキシンとジベレリンの影響を調
べた。
-47-
材料および方法
200c以上にならない温度条件で栽培管理した材料から花茎長のそろった株
を選び、実験に用いた。まず、高温に移しても花飛びを起こさない花茎長9cm
以上の花序の花膏を、着生位置により上部(U)、中部(M)、下部(L)に
分け、ピンセットで摘善処理を行った。処理区としては中・下部(M+L)除
去区、上・中部(U+M)除去区、全花膏(U+M+L)除去区および対照区
を設けた。
花善からの花器官の除去は花被をピンセットで注意深く展開して行った。薪
だけを除去する場合には、花蕾の背軸側の花被に縦の切れ目を入れ、その切れ
目を通して除去した。この場合の対照区は切れ目だけを入れた。
生長調節物質処理は、NAA、IAA、GA3の何れも40ppmまたは50ppm水
溶液として散布した。対照区は蒸留水を散布した。展着剤にはTween20を約0.
05%の濃度で用いた。高温で花飛びを起こさない発育の進んだ花序では、西葉
をその中肋に沿って裂き、花膏を露出させて、その花曹に直接散布した。花飛
びを起こさない発育の進んだ花序の花書から荊を除去し、その除去部にNAA
処理を行う実験も設けた。この場合、NAAはラノリンペースト(0、100また
は500ppm
NAA:ラノリン=2:3、Ⅴ/V)として与えた。処理後は特に断わ
らない限り高温で栽培した。
-48-
結
果
花茎伸長に及ぼす花膏除去の影響をFig.20に示した。全花膏(U+M+L)
の除去は花茎伸長を著しく抑制した。上・中部の花膏(U+M)を除去するこ
とによっても花茎長はかなり短くなった。この場合、花膏を除去しなかった部
分の花茎は対照区と同程度に伸長した。上部の花膏を残し、中・下部の花膏(
M+L)を除去した場合には、花茎長はそれほど短くならず、花膏を残した部
分も除去した部分もともによく伸長した。芭葉の着生している花茎基部の伸長
は、全花蓄除去でやや抑制されたが、他の区ではそれほど花膏除去の影響はな
かった。
花書から花器官を除去することによっても花茎伸長が抑制された(Fig.21)。
特に花被全部を除去した場合と荊を除いた場合の影響が大きかった。花器官の
除去は花膏の発育・開花にも影響を及ぼした(Table2)。荊を除去した花膏は
すべて枯死した。ついで内花被除去の影響が大きく、85%の花善が開花しなか
った。外花被の除去と唇弁の除去の影響は小さく、約半数が開花に至った。
高温に移した場合、花善が枯死する花序に50ppm
NAAを散布し高湿に移し
た場合、花茎伸長が誘起され、花茎は正常な長さとなった(Fig.22)。花膏の
生長も促進されたが、開花には至らず、すべて枯死した。ただし、花膏は花茎
についたままで落下しなかった。対照区ではすべて落書し、花茎も20cm程度ま
でしか伸長しなかった。IAA処理によっても花茎伸長が促進されたが、その
効果はNAAに比して小さかった(データ略)。
-49-
ControI
M+L
Flower
U+M
bud
U+M+L
excision
Fig・20.Effectofflowerbudexcisionontheflowerstalkelongation・Flowerbudsweredividedintothreegroups:Upper(U),
middle(M)andlower(L)accordingtothepositiononthenowerstalk・Thelowertwogroups(M+L),theuppertwogroups
(U+M)ora11[hreegroups(U+M+L)offlowerbudswere
removed・Theexperimentwasconductedunderhightemperatures(300CdこIy/250Cnight).},thepartofnowerstalkbearingflowerbuds;□,thenowerbud-eXCisedpartofnowerstalk;
ロ,thepartofflowerstalkbelowthelowestnowerbud.The
numbersofiI-florescencesusedinthecontrol,M+L,U+M
andU+M+Lexcisionwere5,6,9and5,reSpeCtively.
ー50-
(E。)ゴ。)のJぎOt〓。J芯uj
10
20
Days
aft占r
30
40
treatment
Fig.21.Effectoffloralorganexcisiononthenowerstalkelongation.Plantsgrownunderlowtemperatures(5-20OC)ina
glasshousewereused.Antherswereexcisedthroughaslit
madein
the abaxialside
ofthe
nower
floral
buds.Excised
OrganSWereaSfollows;nOne(control,○),Slitonlywithout
emasculation(●),Outerperianths(△),allperianths(▲),Or
anthers(□).Treatedplantswereplacedunderthesameconditionsasbefore
treatment.Verticalbarsindicate
errors(n=4to6).
-5ト
standard
2.Effectofremovingfloralparts
Table
the
on
noweringof
Cymbidiumplantsmaintainedatlowtemperatures・
No・Ofnowerbuds
Flowenng
Excision
Opened
Blasted
Total
(%)
None(Control)
51
15
66
77
Outerperianths
34
44
78
44
Lip
35
36
71
49
Innerperianths
12
68
80
15
0
69
69
0
Anther
-52-
(∈。)ゴ。完J買0こJ。モぎj
Fig・22・StimulationofnowerstalkelongationbyNAA.Plants
grOWnatthelowtemperatures(5-200C)weretransferred
tohightemperatures(30。Cday′25OCnight),thenthenower
budsweresprayedwithO(●)or50(○)ppmNAAsolution.
Verticalbarsindicatestandarderrors(n=7).
-53-
荊を除去することによって花茎伸長が抑制されたが、荊除去部へラノリンペ
ーストとして100ppmまたは500ppmのNAAを与えることにより、花茎伸長が
回復した(Flg.23)。ただし、花膏は何れも開花しなかった。
40ppm
GA3処理によっても花茎伸長が誘起された(Fig.24,Table3)。こ
の場合にはオーキシン処理の場合と異なり、花曹の発育も起こり、60%以上の
花善が開花に至った。
NAA処理によってもGA3処理によっても花茎伸長が誘起されたが、前者の
場合には花善が枯死するのに対して、後者では正常に開花に至るという差異が
見られた。そこで花膏を除去した花茎に同様のNAAあるいはGA,処理を高温
(30Oc/25℃)と低温(180c/13℃)の両温度区を設けて行った(Fig.25)。
その結果、いずれの温度区でもNAA処理では花茎伸長が促進されたが、GA3
処理の効果はばとんど見られなくなった。
考
察
頭状花をつける植物で特に顕著であるが、花芽を除去することにより花茎長
が短くなることが知られている(20,21,46,49)。このことは総状花序をつける
シンビジウムにも当てはまることが示された(Fig.20)。花茎基部に花膏を残
した場合、上部の花蓄を除去した部分の花茎はほとんど伸長しなかったが、上
部の花膏を残した場合には、花膏を除去した中・下部もよく伸長した。このこ
とは花膏の花茎伸長に及ぼす影響が上方から基部に向かって及ぶことを示して
-54-
Fig・23・TheelongationofnowerstalksbyNAAappliedtoemasCulatednowerbuds・Plantsgrownatlowtemperatureswere
transferredtohightemperatures,thentheantherwasre_
movedfromeachflowerbud・Emasculatedflowerbudswere
treatedwithlanolinpastecontainingO(●),100(△)or500
(○)ppmNAAsolution・Verticalbarsindicatestandarderrors(n=5).
ー55-
(EE川一.や二号宇邑÷=忘uj
(∈。川●d)・≡芯L聖…こ」。一品uj
10
8
Days
24
-16
after
treatment
Fig・24・Effectsof.GA:iOnnOWerStalkelongationandnower
buddevelopment・Plantsgrownunderlowtemperatureswere
transferredtohightemperatures,thentheflowerbudswere
SPrayedwith40ppmGA:.(opensymboIs)ordisti11edwater
(closed symboIs)・Teninnorescences
were
usedin
treatment.
-56-
each
(ぎ)
P莞S月田
?N刊寸.∽l
箪l刊の.1寸
1.〇羽の.∽
1.〇¶の.C
l帽コ…uI
N盲U)曇雲Sお家芸七=宝ぎ3
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SUUuUU
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一‥くじ
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Spコq一望乏占-〇.〇N
刊
き○〓名uコt-き○払巴じきS】u再一d.S巴コ〕巴乱2U】竜三ぶp薫qヱu二言再ld≡、∼竃遥ミ∂ちぎてむきOGむ雲⊂○ぷdち二じ蔦葛ムAコ○∈○よ.のむlqd←
警-uむきOth
-再亡式
Fig.25.DifferenteffectbetweenNAAandGA30ntheelongationofnowerbud-eXCisedstalks・
A11nowerbudswereexcisedfromtheinnorescences,thentheflowerstalksweretreated
with40ppmNAA(◎),40ppmGA3(○)ordistilledwater(●).TreatedplantsweretransferredtolowtemperatureS(180Cday/130Cnight,A)orhightemperatures(B).Verticalbars
indicate
standard
errors(n=7).
-58一
おり、極性移動するオーキシンの関与を示唆している。実際、オーキシン処理
により花茎伸長が誘起されることが示された(F.1gs.22,23,25).オーキシンが
花芽を除去した花茎や花梗の伸長を促進することはチューリップ(21,46)、ラ
ッパズイセン(20,21)、ガーベラ(49)などでも知られている。また、発達中
の花芽からオーキシンが供給されるとの報告もある(16.37,48)。
花茎伸長に関与する花器官としては、除去処理の結果からラッパズイセンで
は雌ずいが(20,21)、チューリップでは雌ずいおよび花被が(21,46)、挙げ
られている。シンビジウムでは、これらと異なり荊除去の影響が大きかった(
Fig・21)。全花被を除去した場合にも著しく花茎伸長が抑制されたが、外花被、
内花被、唇弁をそれぞれ単独で除去した場合には、かなりの花蕾が開花に至っ
た(Table2)。したがって、花被の花茎伸長に対する関与を完全には否定でき
ないがその影響は小さいものと思われる。全花被を除いた場合の抑制は、荊が
露出したことによる章乞燥や光に曝されたことなどによる二次的影響かも知れな
い。
荊は花茎伸長のみならず花蕾の発育にとっても、重要な器官であることが明
らかになり、荊を除去した花膏はすべて枯死した(Table2)。花飛び現象が荊
における花粉形成段階と密接に関係して発生する現象であることや、高温で花
飛びを起こす花曹では、花粉形成が減数分裂過程へ進まず、花粉形成組織が崩
壊することを考え合わせると、高温により荊が正常に機能しなくなることによ
り、花粉形成の停止や花曹の発育不全、花茎伸長の欠如などの現象が起こるも
-59-
のと推察される。
荊を除去したことによる花茎伸長の抑制は除去部へのNAA処理で解除され
た(Fig・23)0
れる0
したがって、荊がオーキシンの供給源となっているとも考えら
実際、荊や花粉ではオーキシン含量が高いとの報告もある(41,43)。し
かし、荊が花膏の発育にとって重要な器官であることから(Table2)、その除
去によって花膏の発育が異常になり、荊以外の花器官からのオーキシン供給が
低下したことにより、花茎伸長が起こらなくなった可能性も否定できない。
オーキシン処理により花茎伸長は誘起されたが、花膏は開花に至らなかった。
これはオーキシン誘導によるエチレン生成(1)が起こったためと考えられる。
実際、エチレンにより花芽のブラスチングや花の萎ちょうが起こることが報告
されている(1,12,32)。シンビジウムの花蓄の発育に及ぼすエチレンの影響に
ついては次章で述べる。
こうしてシンビジウムの花茎伸長にオーキシンが関与していることが明らか
となったが、GA3処理によっても花茎伸長が起こることが見いだされた(Fig
24,Table3)。低湿から高温に移した場合に花飛びを起こす花序ではGA3に
より花茎伸長、花膏の発育・開花の何れも誘起され、ジベレリンがむしろ主要
な制限要因になっていることが示された。しかし、花茎伸長に対するこのGA3
の効果は、花膏を除去した花茎ではほとんど見られず(Fig.25)、花蕾の発育
を誘起することを通じての間接的なものと考えられる。すなわち、花曹を正常
に発育させることにより花書からオーキシンが供給されるようになるものと思
-60-
われる。花膏を除去した場合にジベレリンの効果が弱まることばチューリップ
(21・46)やラッパズイセン(20,21)でも見られている。一方、ガーベラでは
IAAに比べれば少し効果が弱いものの、GA,も花茎伸長を促進する(49)。
Okuboら(45)はジベレリン合成阻害剤のアンシミドールによる花茎伸長の抑制
がGA3処理で解除されることを示した。このようにジベレリンが花茎伸長に関
与している例もみられる。このようなGA‥∋の花茎伸長に及ぼす効果の差異は、
花茎の発育ステージに依存しているようで、ジベレリンは比較的初期の細胞分
裂を伴う時期に効果が高く、オーキシンは主として細胞伸長の場面に働くこと
によると考えられる(49)。
以上のことから、花飛び現象を起こした花序で花茎伸長がみられなかったり、
抑制されたりするのは、高温により花膏の発育が異常になって枯死してしまう
ために、花書からのオーキシン供給が停止したり不足したりするためと考えら
れる。
摘
要
花茎伸長における花器官および植物ホルモンの役割を明らかにするため、花
器官の除去や生長調節物質処理の花茎伸長に及ぼす影響を調べた。全花膏を除
去すると花茎伸長は著しく抑制された。花膏のうち、花茎基部側の2/3を除
去しても花茎伸長はほとんど影響を受けなかったが、先端側の2/3を除去す
ると、花膏を除去した部分の伸長が著しく抑制された。全花書から荊だけを除
-6ト
去しても、全花膏を除去した場合と同様、花茎は伸長しなくなった。全花書か
ら花被をすべて除去しても同様の結果が得られた。花飛び現象を起こす高温条
件では花茎が伸長しないが、NAA処理により花膏の有無に関係なく花茎伸長
が誘起された。荊除去部へNAA処理しても同様の効果が得られた。NAA処
理では、いずれの場合も花膏は開花に至らなかった。GA3処理は花茎伸長と花
蕾の発育・開花のいずれをも誘起したが、GA3の花茎伸長作用は花善を除去し
た花茎では見られなかった。これらの結果から、シンビジウムの花茎伸長には
発育中の花蓄によって供給されるオーキシンが主として関与しており、花曹の
発育や花茎伸長にとって荊が特に重要な器官であることや、GA3が直接花茎伸
長を誘起するのではなく、花膏を正常に発育させることにより花茎を伸長させ
ていることが示された。
-62-
第7章
花蕾の発育について
第6章では花茎伸長の研究から、花蕾がオーキシンの供給を通じて花茎伸長
に関与しており、花飛び現象において花茎伸長が抑制されるのは、花吾が正常
に開花に至らず枯死してしまうことによることが示された。そこで、本章では
花膏の発育が正常に進まず、枯死してしまう原因について検討を行った。
第1節
花膏の発育・開花ならびに花粉形成に及ぼすGA3の影響
第6章の花茎伸長に関する研究においてGA∋が花茎伸長のみならず、花膏の
発育・開花をも誘起することが明らかとなった。また第5章において、花飛び
を起こした花膏では花粉形成過程の種々の段階で発育が停止することを示した。
そこで本節では花膏の発育・開花に及ぼすジベレリンの影響についてあらため
て検討するとともに、花粉形成に及ぼす影響についても調べた。
材料および方法
花飛びを起こす花被長8m以下の花膏をもつ花序を選び、第5章第2節の方
法にしたがい、各花膏の花被長を記録した。50ppm
GA,溶液を散布した後、高
温(昼30℃/夜25℃)に移し、花曹の発育・開花に及ぼす影響を調べた。花粉
形成および小胞子の配列に及ぼすGA3の影響も同様にして調べたが、この場合
にはジベレリン処理は高温処理開始日から15日間毎日1回行った。これは用い
た材料が晩冬季のもので、日中の気温の上昇によるためか、花膏のジベレリン
-63-
感受性が低下していたからである。サンプリングは開花したものは開花時に、
開花しなかったものについては花飛びを起こした時点で、それぞれ窮または花
蓄を採取し、FAAで固定した。第5章に準じてフォイルゲン染色し、花粉形
成段階を観察した。
果
結
対照区では花被長7mm前後の花曹を境にして開花に至るか花飛びを起こすか
が分かれ、6.5mm以下の花膏はすべて枯死した(Fig.26)。そこで、6.5mm以下
の花膏に着目し、GA3の効果を見てみると、全ての花膏で発育が促進され、約
半数が開花に至った。残りの半数は生長は促進されたものの開花にまでは至ら
ず、途中で枯死した。
減数分裂期以降まで発育が進んだ花膏または花における小胞子の配列様式を
Table4
に示した。GA3処理により開花に至った花では、すべて2核性花粉期
まで進んでいた。GA=∋処理したにもかかわらず枯死した花膏では、ほとんどの
小胞子が1核性であった。一方、対照区の枯死した花膏では1核性と2核性の
両方の小胞子がみられた。両方とも同程度に含まれる荊も存在したが、どちら
か一方の比率の高いものが多かった。
小胞子の配列様式には同一の前においても種々のものがみられた(Table4)。
対照区の1核性の小胞子では二分子の比率が最も高く、ついで四分子、三分子
の順であった。2核性の小胞子では四分子が多く、二分子、三分子がこれに続
ー64-
△
餅
蝕望
▲
白
も▲.山
(E∈)毒_妄ご?急ぎ〓…叫h
0
△
0
▲.:三ユ・・
5
3
Initiallength
7
ofperianth(mm)
Fig.26.EffectofGA3tOWardnowerbud
developmentand
noweropeningunderhightemperature.GA3(50ppm)or
distilledwaterwasapplieddirectlytothe80Werbudsas
aslnglesprayatthestartoftheexperiment.0,nOrrnalnowerwithoutGA3treatment(control-nOrmalflower);●,flower
bud
blastedwithout
GA3treatment(control-blasted
nowerbud);△,nOWerinducedtoopenbyGA3treatment
(GA3-nOrmalnower);▲,nOWerbudblastedinspiteofGA3
treatment(GA3-blasted
flowerbud).
-65-
の
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m
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M
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寸
寸
M
いたo
GA二∋処理したにもかかわらず開花しなかった花膏では、四分子の比率は
低く、二分子が多かった。GA3処理により開花した花では、先に述べたように
花粉はすべて2核性であったが、その配列様式は対照区の2核性小胞子と同様
であった0
たo
四分子には四面体型、菱型、T字型、緑型などの配列様式がみられ
GA3処理や開花、不開花にかかわらず四分子の配列様式では、菱型の頻度
が最も高く、ついで四面体型が多かった。T字型や線型は少なかった。
考
察
ジベレリンが花飛びを抑制し、花膏の発育・開花を誘起することが本節の実
験においても再確認された(Fig.26)。前減数分裂期に相当すると思われる6
∼7mmの花膏のみならず、胞原綿胞期の花膏においてもGA3処理により開花が
誘起され、成熟花粉が形成されたことや、GA3の効果が不完全で花飛びを起こ
した花蓄の大部分では花粉形成が1核性小胞子期で停止した(Table4)ことか
ら、ジベレリンは減数分裂細胞分化だけでなく成熟花粉の形成にも関与してい
るものと考えられる。Einetら(34)もトマト花蕾の低照度下におけるアポー
ションの研究において、GA4.7とBA(ベンジルアミノプリン)との組合せ処
理が花粉母細胞の前減数分裂期におけるDNA合成および花膏の発育・開花を
誘起することを報告した。GA恒7だけの処理は効果が小さかった。他の植物で
も知られているように(8,56,62)、本研究の場合もジベレリンが有効であるに
は花曹がある程度低温を受けていることが必要であった(未発表)。したがっ
一67-
て、ジベレリンは完全に低温の代替をするのではなく、低温の不足を補完する
ように作用することが示された。これらのことから、胞原細胞期に短期間の低
温処理を行い、これにGA・∋処理を組み合わせることによって、シンビジウムの
花飛び現象が回避できるかも知れない
小胞子四分子の配列様式には数種類有り、ラン科を含むいくつかの種の植物
で、同一種内はもちろん、単一の南中においてさえも、これら数種の配列様式
のものが共存することが知られている(35)0本研究においても対照区やGA3
処理区の花飛びを起こした花膏やGA3処理で開花した花では、これらの四分
子型のいくつか、あるいは全部が観察された0
四分子に加え単分子、二分子、
三分子が何れの処理区でもかなり高い頻度でみられた。したがって、これら四
分子でない小胞子が高温のために生じ、花飛びの原因になっているとは考えに
くい0
むしろ、キンリョウヘンとの交配の第一世代によく見られる染色体の対
合の不完全さによるものと考えられる(15)o
GA3処理したにもかかわらず枯
死した花蓄は、対照区の枯死した花膏よりも花被長が長かったが、花粉形成段
階は対照区よりも遅れていた(Table4)。GA3処理によりシンビジウムの花
が大きくなることが報告されていることから(6,7)、これはGA3により花被
長は長くなったものの、処理効果が不完全で花粉形成が充分伴わなかったため
と思われる。また、開花しなかった花膏では小胞子はいずれも未熟であったの
に対し、GA3処理により開花した花では成熟花粉が形成されていた。したがっ
て、花膏の正常な発育が花粉の発達に、あるいは逆に花粉の発達が花曽の正常
-68-
な発育に不可欠のように思われる。
摘
要
GA3処理は低湿の不足を補完し、減数分裂細胞分化や花粉形成、花蕾の正常
な発育・開花を誘起した。小胞子は同一荊内においてさえ、さまざまな配列型
を示した01核性小胞子と2核性小胞子とでは、各配列型の存在比率に差が見
られた0
前者は対照区およびGA3処理区の花飛びを起こした花膏で見られ、大
部分が二分子で四分子の比率は低かった。後者は花飛びを起こした対照区の花
蓄とGA3処理により開花した花で見られ、四分子の比率が二分子よりかなり高
かった0
しかし、これらの四分子における各配列型の比率は花飛びの発生やG
A3処理により変化しなかった。
一69-
第2節
花飛び現象におけるエチレンの関与について
第6章で述べたように、低温から高湿に移した場合に花飛びを起こす花序で
は、ジベレリン処理により花膏の発育・開花、花茎伸長の何れも誘起され、ジ
ベレリンが制限因子になっていることが示された。一方、オーキシン処理では
花茎伸長は誘起されたが、花膏は開花に至らず、枯死してしまった。これは花
膏の発育にはジベレリンそのものが必要であることを示しているのかも知れな
いが、NAA処理によりエチレンが発生したためとも考えられる。実際、エチ
レンが花芽のブラスチングや花の萎ちょうを起こすことはよく知られている(
1,12,32,67)。また、高温などのストレスによってもエチレン生成が促進され
る(1)。さらに、De
MunkとGijzenberg(13)はエチレン処理によって引き
起こされるチューリップの花芽のブラスチングが、ジベレリンやサイトカイニ
ンで防止されることを報告している。これらのことから、高温で発生するシン
ビジウムの花飛び現象にもエチレンが関与している可能性が考えられた。そこ
で、花膏の発育に及ぼすエチレン発生剤の影響やエチレン作用の阻害剤である
チオ硫酸銀(STS)の効果を調べるとともに、ジベレリンとエチレンとの関
係についても検討した。
材料および方法
何れの実験にも5∼200cのガラス室で栽培した株を供試した。エチレン発生
剤としてはエセフォンを用いた。予備実験の結果に基づき(42)、処理濃度は
-70-
500ppmとした0
花茎長3∼16cmの花序に前章で述べたNAAやGA3処理の方法
に準じてエセフォン溶液を1回散布した0処理後も引続き同じガラス茎で栽培
し、花蕾の発育・開花に及ぼす影響を調べた。
STS処理は高温に移すと花飛びを起こす花被長2∼8mmの花膏をもつ花序
を用いて行った。STSはVeen(19)の方法にしたがい、2mM
Na2S203
とを等量混合して調製したo
AgNO3と1
GA3処理が花飛びの回避に有効であるこ
とが前節で示されたので、比較のために50p叩GA:ミ処理区も設けた。処理はそ
れぞれ高温処理開始時と1帽後、17日後の計3回行った。また、別にSTS処
理あるいはGA√き処理とエセフォン処理とを組み合わせた実験も行った。この場
合にはSTSとGA言の処理を高温処理開始時の夕方と翌日の午前に行い、同E]
の夕方にエセフォン処理を行った。対照区としては、何れも蒸留水を散布した。
花序のエチレン生成に及ぼすSTSあるいはGA3の影響を調べるため、花茎
長5∼6cmの花序の花膏に上記と同様にして1mM
STSまたは50ppm
5日毎に散布した。5日後と10日後におけるエチレン生成量を測定するため、
花序を採取し、芭葉を除去した。最上位の芭葉が着生していた節のすぐ下で花
茎を切断し、その上部の花曹のついている部分を測定に用いた。蒸留水0.5mlが
入った試験管(16・5×105mm)に切り取った材料を入れ、切口を浸漬した。二連
球を用いて試験管内の空気を外気と入れ換えた後、ダブルゴム栓で密閉した。
密閉した試験管は25℃の恒温器内(照度約4,0001x、白色蛍光灯照明)に置いた。
3時間後、ヘッドスペースの空気を1mlのツベルクリン注射用の注射器で各1
一71-
GA,を
軋
3回採取した0
採取後、試験管内の空気を再び外気と入れ換え、以下同様
にして以後のサンプルを採取した。
採取したガスサンプル中のエチレン量は、水素炎イオン化検出器(FID)
を備えた日立163型ガスクロマトグラフにより測定した。カラムにはユニビ
ーズA(60∼80メッシュ)を充填したステンレスカラム(200cmx3肌m¢)を使
用した0測定はカラム混郎0℃、注入口湿度1200c、キャリアーガス(窒素)流
量60ml/minの条件で行った。エチレン生成量(pmol/gFW/h)の算出に際し、
試験管の内容積は試験管に蒸留水を満たした時の重量増加から算出した。花序
の容積は花序におもりを付け、はかりの上に載せたビーカー中の蒸留水に、細
いワイヤーで吊して沈めたときの重量増加として測定した。
結
果
花曹の発育ステージにかかわらず、500ppmエセフォン処理により花被の発育
がほとんど起こらなくなり(Fig.27)、結果的にはすべての花善が落下した(
Fig・28)。さらに花茎の伸長もほとんど見られなかった(Fig.29)。対照区で
は花茎先端部の一部の花曹を除き、ほとんどの花蕾が正常に発育・開花し、花
茎も伸長した。
高温に移した時の開花率は処理時の花被長が長くなるほど高くなった(Fig.
30)o
STS処理は花飛びの発生を抑制した。その効果は4∼5mmの花膏に対
してはGA3の効果に比べて低かったが、4mmより′トさい花膏に対してはGA,
-72-
O
Control
●Ethephon
○
(∈∈)エ)U芋監;:忘じむ〓雲上h
①。遼寧還○
○
.〆〆●
5
Initia11ength
10
15
ofperianth(mm)
Fig・27.Effectofethephononthegrowthofnowerbudsatvari_
OuSdevelopmentalstages・Ethephon(500ppm)wasapplied
directIytothenowerbudsgrownunderlowtemperatures
(50∼200C),aSaSinglesprayatthebeginning.Afterapplicationofethephon,plantsweregrownunderthesameconditions
as
before
treatment.
一73-
●●●●
○●●
(芭。。叫SS…。Sq帽PコqJ買。己
●
■●●
O
Control
●Ethephon
○(p
5
Length
0
10
offlower
0
15
stalk(cm)
Fig・28.Ethephon-induced
abscission
ofnowerbuds.Fl。Wer
budsonthedifferentsizeofinnorescencesweretreatedas
describedinthelegendofFig・・・Percentageofnowerbud
abscissionareshownforeachinflorescence.
-74-
00
盲)≡}Sトぎ○…○忘じ三眉h
○
30
○
○
20
●
10
●
ql■
●〟
0
5
10
15
Initiallengthofflowerstalk(cm)
Fig・29・Effectofethephonontheelongationofnowerstalks.
DatawereobtainedonthesameinnorescencesasinFig.2.
-75-
10 0
00
0
(景)ぎてぎOth
60
40
3
4
5
6
7
Perianthlength(mm)
Fig・30・PreventionofnowerbudblastingunderhightemperaturesbySTS(1mM)andGA3(50ppm)treatments.cymbidiumplantswith80Werbudsatvariousdevelopmentalstages,
Whichweregrownatlowtemperatures,Weretransferredto
hightemperaturesandsprayedwithSTSorGA3afterO,10
and17days.
ー76-
8
と同程度に有効であった。しかし、3mmより小さい花膏では、これらの処理に
よっても開花にまで至るものは少なかった。
S
TSの花飛び抑制効果はエセフォン処理によっても消失しなかった(Flg.
31)。ただし、注意深い処理にもかかわらず、STSによるエチレン作用の阻
害効果は不完全で、引き続いて行ったエセフォン散布によりかなりの花善が20
mm前後まで生長した後落下した(Fig.31)。一方、GA,の効果はエセフォン処
理により完全に消失し、すべての花吾が開花に至らなかった(Fig.32)。
花序のエチレン生成量は、いずれの時期もGA、∋処理区で少ない傾向にあった
(Flg・33)。ST
S処理区では対照区のものよりも更に多量のエチレンが生成
されていた。5日後と10日では5日後の方が高い傾向にあった。
考
察
エセフォン処理は花膏の発育ステージによらず花飛びを誘導した(Figs.27∼
29)。このことからシンビジウムの花膏もシンビジウムの花(4,67)や他の植
物の花(67)と同様、エチレンに感受性を示し、障害を受けることが明らかと
なった。チューリップ(12,13,32)やテッポウユリ(14,32)の花膏もエチレン
の障害を受けることが報告されている。
S T
SもGA3もどちらも高温による花飛びを抑制した(Fig.30)。しかし、
これら2つの物質の作用性には著しい差異が認められた。すなわち、S
効果はエセフォンによっても消失しなかったが(Fig.31)、GA3の効果は完全
-77-
T
Sの
(∈∈)宅曇妄ご:忘uむ〓雲上h
。爛禦雛△
30
00
△
△
○
△
△△△
20
○
△△
△
△
△
△
2
。。感謝・●●●
4
Initia11ength
6
8
10
ofperianth(mm)
Fig.31.Effectofsubsequentapplicationofethephonfollowing
STStreatmentsforthedevelopmentofnowerbudsatvari-
OuSStageS.Aftertransferringplantstohightemperatures,
thenowerbudsweretreatedwithlmMSTS.STStreatment
WaSrepeatedinthenextmornlng,thenfollowedby500ppm
ethephon(△)ordistilledwater(○)treatmentintheevening.
The
water
served
as
followed
treatment
another
control.
-781
byethephon
treatment(●)
(∈∈)宅鳶旨ご:忘uヱ一票…h
Fig・32・Effectofsubsequentapplicationofethephonfo1lowing
GA3treatmentSOnthedevelopmento‖lowerbudsatvariOuSStageS・GA3andethephontreatmentswereconductedin
thesimilarnlethodtoSTSandethephontreatments.Thecon-
trol(A)andGA3treatmentS(B)werefollowedbydistilled
Water(○)orethephon(●)treatment.
-79-
Fig.33.EvolutionofethylenebySTS-treated(△),GA3-treated
(○)ornon-treatedcontrQl(●)inflorescences.Plantsgrown
atlowtemperaturesweretransferredtohightemperatures.
Then,1mMSTSor50ppmGA3WaSapplieddirectlytothe
flowerbudsat5dayintervals.After5days(A)orlOdays
(B),treatedinnorescenceswerecutoffandthebractswere
removed.Eachbract-remOVedinnorescencewiththeflower
Stalkcutbeneaththeuppermostbractwasplacedinatest
tubeimmerslngthecut-endoftheflowerstalkintoO.5mldis-
tilledwater,andincubatedat250Cincontinuouslight(ca.
4,0001Ⅹ)for3hrinindividualgassampling.Eachvalueis
themeanofthreedeterminationsoflmlgassamples.Data
Onthreeinnorescencesarepresented
ー80-
foreach
treatment.
に消失した(Fig.32)。チューリップではGA3のブラスチング抑制効果はエチ
レン処理後もみられたと報告されている(13)。本研究の結果は、ST
Sが従
来から言われているように(64)、エチレン作用の抑制を通じて花飛びを防止
したことを示している。このことは、ST
S処理では対照区よりも多量のエチ
レンが生成されていたにもかかわらず、花飛びが抑制されたことからも支持さ
れる。GA3の効果はエセフォン処理により完全に消失したことから、GA3と
ST
Sとは別の機構で花飛びを抑制しているものと考えられる。GA,処理区の
エチレン生成量が少なかった(Fig.33)ことを考えあわせると、エチレンレベ
ルを低く抑えることによりGA3は花飛びを防止しているものと考えられる。た
だし、ジベレリンがエチレン生成を抑制することは一般的現象としては認知さ
れていない。Daiら(11)は光条件下で育てた矯性エンドウの節間において、G
A3がポリアミン合成を促進することを示した。ポリアミンがエチレン生合成の
前駆体であるS-アデノシルメチオニン(S
ポリアミンがエチレン生合成経路のS
AM)を経て合成されることや、
AMからアミノシクロプロパンカルポン
酸(ACC)へのステップを抑制するとの報告(18)もあり、ジベレリンはポ
リアミン合成を促進することによってエチレン生成を抑制しているかも知れな
い。
S
T
S処理によりエチレン生成がむしろ高まる現象がみられたが(Fig.33)、
同じ様な現象がトマト(5)や
卜におけるエチレン生成の促進は、A
LeDtOSpermum(70)でも報告されている。トマ
C
-8ト
C合成とA
C
Cからエチレンへの過程
の両方の促進によるようである。一方、ST
Sがエチレン生成を抑えるとの報
告(63)やエチレン生成に影響しないとの報告(24,38)もある。本研究でみら
れたエチレン生成の促進は、STSから遊離した銀イオンの毒性によるストレ
スエチレンの発生(65)によるのかも知れない。しかし、銀イオンの毒性はか
えってエチレン生成を抑制するとの報告もある(38)。あるいは、ST
チレン作用を阻害することにより、エチレン生合成のエチレンによる自己抑制
(Autoinhibition)の機構がはたらかなくなったためかも知れない(5)。
摘
要
花飛び現象にエチレンが関与しているかを調べた。エチレン発生剤のエセフ
オン(500ppm)は花膏の発育ステージに関係なく花飛び現象を誘起した。1mM
ST
Sおよび
50ppm
GA3はいずれも高温による花飛びを回避させたが、両者
の作用性には顕著な差異が見られた。すなわち、STSの効果はエセフォン処
理により打ち消されなかったが、GA3の効果はエセフォン処理により消失した。
さらに、STS処理区の花序は対照区の花序より多量のエチレンを発生したが、
GA3処理区ではそのエチレン発生量は対照区よりも少なかった。以上の結果か
ら、ST
Sはエチレンの作用を抑制することにより、GA3はエチレンの生成量
を低いレベルに保つことにより、それぞれ花飛びを回避させたものと推察され、
高温によるシンビジウムの花飛び現象にエチレンが関与していることが示され
た。
-82-
Sがエ
第3節
花膏の発育・開花ならびにジベレリン感受性に及ぼす
エチレン生合成阻害剤の影響
前節においてはエチレン作用の阻害剤であるST
Sなどを用いた実験により、
シンビジウムの花飛び現象にエチレンが関与していることが明らかとなった。
また、GA3はSTSとは異なった機構で花飛びを抑制していることも示された。
この場合のGA3処理は低温処理終了直後から開始したものであるが、GA,処
理の開始時期を遅らせると花飛び抑制効果がばとんど見られなくなることが報
告されている(42)。花飛び現象にエチレンが関与しているならば、エチレン
の生合成を阻害することによっても花飛びが抑制されるはずである。また、G
A3処理の時期を遅らせた場合には、その間の高温により花序では花飛びへの過
程が進行し、エチレン生成も高まっていることが前節の結果から予想される。
そこで本節では、花飛び現象の発生に及ぼすエチレン生合成阻害剤の影響を明
らかにするとともに、処理開始時期を遅らせた場合に見られるGA3の花飛び抑
制効果の減少、すなわち花膏のジベレリン感受性の低下にもエチレンが関与し
ているか否かを調べた。
材料および方法
20℃を越えない温度条件下で発育した花茎長3.0∼3.5cmの花序をもつ株を供
試した。高温処理は自然光のファイトトロン(昼温310c/夜温25℃)または温
室内に設けたビニール(三井流滴
0.10RB、三井東圧株式会社)張りのフレー
-83-
ム(30∼350c/25∼26℃)で行った。エチレン生合成経路の阻害剤としては、
C
アミノシクロプロパンカルポン酸(A
C)合成酵素の阻害剤であるアミノエ
O A)、およびエチ
トキシビニルグリシン(AVG)とアミノオキシ酢酸(A
レン合成酵素(E
F
E)の阻害剤であるアミノイソ酪酸(AIB)を用いた(
69,Fig.34)。何れの阻害剤も展着剤として約0.05%のTween
20を含む水溶液
として、第6章の生長調節物質処理法に準じて散布処理した。AVGは250pp臥
AO
Aは250、1,000または2,000ppm、AIBは0.5%の濃度でそれぞれ用いた。
阻害剤処理は高湿処理開始時を含め数回行った。処理目については図表の表題
中に示した。
GA3処理に対する花曹の感受性低下に関する実験では、1,000ppmAOA処理
を高温処理開始時と1日後、6日後の計3回、GA3処理に先立って行うととも
に、18日後、25日後、33日後、40日後にも行った。GA∋処理は高温処理開始7
日後から始め、8日後と19日後の計3回行った。
果
結
A
C
Gの影響をTable
た。250ppm
C合成酵素の阻害剤の一つであるAV
5とFig.35に示し
AVGは花飛びを抑制し、45%の花蕾が開花に至るとともに、花茎
も40cIm近くまで伸長した。対照区では全花善が途中で落ちてしまい、花茎も16
cm程度にしか伸長しなかった。
A
C
C合成酵素のもう一つの阻害剤であるAOAの場合には、250ppmでは効
一84-
】ACC
†
Nethionine
-
ACC
SAll
こ
ACC
==
C2114
synthase
bud
blasting
`A完On' 会
心
△
AVG
Flower
--一一-一一一一+
EFE
(STS)
AIB
(GA3)
AOA
Fig・34.Ethylene
PreSent
blasting
biosynthesis
pathway
WOrk.Inhibitory
are
also
anditsinhibitors
effects
shown.Open
of
GA3
usedin
and
STS
arrowsindicateinhibition.
Abbreviations:ACC=1-aminocyclopropane-1-Carboxylicacid;AIB;α-aminoiso-butyricacid;AOA三2-aminooxyacetic
acid;AVG=aminoethoxy-Vinylglycine;EFE;ethylene-formingenzyme;GA3=gibbere11icacid;MACC;l-(maIonylamino)
CyClopropane-1-Carboxylicacid;SAM;S-adenosylmethionine;STS;Silverthiosulfate.
-85-
on
flower
the
bud
Table5.InhibitoryeffectofAVGontheoccurrenceofflowerbudblastingcausedbyhightemperatures
Of30-35℃day/25-26℃night.AVGtreatmentwasconductedonda〉′0,1and8.
Treatment
No.of
innorescences
ControI
AVG(250ppm)
Z
Mean±standard
Lengthofflowerstalk(cm)Z
Initial
Final
3.3±0.1
16.3±6.3
3.3±0.1
38.7±2.3
error.
-86-
No.offlowerbuds
Opened
Blasted
Flo\\・erlng
Total
(%)
Fig.35.AVGindu⊂ddevelop血entO川owerbudsatbigbtemperaturesof30一諮℃day/25
-26℃night.A,COntrOl.B.AVGtreatment,AVGwasgivenondayO,1and8.(Pots
are15⊂mirldiameter).
-87-
果がみられなかった(データ略)。1,000ppmでは花飛びが抑制された(Table
7のAO
A+Hご0およびFig.3トC参照)。開花にまで至った花蕾は15%と少な
かったが、花茎先端部の花蓄でも正常に発育するものが見られるなど、明瞭な
処理効果が認められ
花茎長も30cm以上となった。2,000ppmAO
A処理も同様
A処理を低温をまったく受けてい
に有効であった(データ略)。1.000p叩AO
ない花序にも行ってみたところ、花飛び抑制効果がみられたが(Fig.36)、花
蓄の発育は緩慢で、開花までに長時日を要した。1,000および2,000ppmAO
理では芭葉に入れた切れ目など、処理に際して傷のついた部分では黒変が生じ
る薬害が一部にみられた。
エチレン合成酵素の阻害剤であるAIB処理は0.5%のかなり高濃度で行った
が、2回の実験とも効果はまったく認められなかった(Table6)。
GAヨ処理の開始時期を遅らせ、高温に移した7日後に開始した場合には、G
A三の効果は僅かに基部の数花膏でみられたに過ぎなかった(Table7、Fig.37
-B)。AO
A処理でもGA≒=と同程度に開花が誘起された。ただし、AOAの効
果はGAヨの場合と異なり、花膏の着生位置とは無関係で、花茎上部の花膏も開
花に至り(Fig.37-C)、結果として花茎長はGAヨ処理区よりも長くなった。G
A′∋処理に先立ちAOA処理した区(AOA+GA享)では、花膏はGA?によく
反応し、最終的には50%近い花吾が開花した(Table7、Fig・37-D)。また、花
茎も約40cmに伸長した。
ー88-
A処
Fig.38.AOAinduceddevelopmentoEflowerbudswhi亡hhadnotbeenexposedtoanylow
temperatures▲A.blasledinflorescen⊂e(arrow)incontrol・B・AOAtreatment・AOA
solution(1000pp雨wasa叩1ied7timesduringJ5days・(Potsare15cmindiameter)・
-89-
Table6・LesseffectivenessofAIBininhibitingnowerbudblasting・Experiment-1and-2wereconducted
inavinylframeandaphytotron・reSPeCtively・lnexperiment-1,AIBwasappIiedondayO,1,
7,8and9(ondaYO,1and8・tWiceada〉,)・Inexperiment-2,AIBapplicationwasconductedon
day
Ex㌍riment
O,1,4.5,11,17,19.24and29.
No.of
Treatment
innorescences
No.offl。Werbuds
InitiaI
Fina1
ControI
3.3±0.1
16.7±1.6
0
AIB(0.5%)
3.4±0.1
13.2±3.6
1
ControI
3.3±0.1
15.3±2.3
AIB(0.5%)
3.3±0.1
14.3±2.9
1
2
Z
Lengthofnowerstalk(cm)2
Mean±standard
error.
-90-
0pened
Blasted
Flowerlng
Total
(%)
buds
by
GA3reSpOnSiveness
AOA
application.After
Table7.Prevention
of reductionin
of nower
transfertohightemperturesof31℃day/25℃night,1000ppmAOAwasapplied7timesintotal
(ondayO,1,6,18,25,33and40).Treatmentwith50ppmGA3WaSStarted
after7daysdelay
andrepeatedtwotimes(onday8and19).
No.of
Treatment
inflorescences
Initial
Final
Opened
Blasted
Flowerlng
Total
4
3.3±0.1
15.3±2.3
0
67
67
H20+GA3
6
3.2±0.1
26.6±3.6
18
91
109
AOA+H20
5
3.3±0.1
32.6±1.0
15
82
97
46
52
98
5
Mean±
standard
3.2±0.1
40.8±4.5
error.
-91-
(%)
O171547
H20+H20
AOA+GA3
z
No・Offlowerbuds
Lengthofflowerstalk(cm)Z
Fig・37・EEfectofAOAonGA3reSpOnSivenesso川owerbuds・A・COntrOl(HzO+HzO)・B.GA3
treatment(H20+GA3)・CIAOA【reatment(AOA+H20)・D.AOA+GA3trea[ment.For
details・See[hetextandtheIegendofTable7・(Potsare15cmindiameter)
l†?:l
考
察
C
用いたエチレン生合成阻害剤の内では、A
C合成酵素の阻害剤だけが有効
であった(Tables5、6、7)。レタスの根で報告されているように(2)、AV
Gの方がA
OAよりも低濃度で効果があった。AO
A処理が低温をまったく受
けていない花序の花飛び抑制にも有効であったのは注目に値する(Fig.36)。
すなわち、これは低温処理を行わないで開花を誘起できた最初の事例であり、
山上げ栽培や他の低温処理法に代わる花飛び防止法の開発を可能にするかも知
れない。
AIB処理の効果はまったく見られなかった(Table
6)。これにはAIBの
エチレン合成酵素に対する親和性の低さやマロニル化によるマロニルAIBの
形成などが関係しているかも知れない(53)。たとえAIBによるエチレン合
成酵素の阻害が完全であっても、専乞燥によるストレスがかかった条件下ではリ
ポキシゲナーゼ系などを通してACCからエチレンが合成されるとの報告もあ
る(30)。
いずれにせよ、本節の実験によって得られた結果からもシンビジウムの花飛
び現象にエチレンが関与していることが確認された。また、AO
A処理により
花膏のGA,に対する感受性が高湿でも保持されたことから(Table
、花蓄のジベレリン感受性の消失にもエチレンが関与していることが示された。
高温では花曹中のアブシジン酸(AB
A)含量が4∼5倍に高まることから(
36)、エチレンの関与によって起こるジベレリン感受性の低下はジベレリンの
-93-
7,Fig.37)
作用を抑制するA
BAが増加したことによるのかも知れない。
摘
要
エチレン作用の阻害剤などを用いた前節の研究により花飛び現象にエチレンが
関与していることが明らかとなった。そこで本節では、花飛び現象の発生に及
ぼすエチレン生合成阻害剤の影響を調べた。
A
CC合成酵素の阻害剤である250ppm
AVG処理では花飛び現象の発生が抑
制された。同濃度のAOAは効果がなかったが、1,000ppmおよび2,000ppmでは
花飛びを抑制した。AOAは低湿を受けていない花序に対しても有効であった。
エチレン合成酵素の阻害剤であるAIBは0.5%の高濃度処理にもかかわらず、
まったく効果を示さなかった。
高温処理開始時からのGA3処理が花飛びの回避に有効なことはすでに示され
ていたが、処理開始を1週間遅らせた場合にはGA3の効果が著しく低下した。
一方、AO
A処理した花膏は1週間後からのGA3処理にもよく反応し、約半数
が開花した。このことから処理時期を遅らせた場合にみられるGA3の花飛び抑
制効果の減少、すなわち花膏のジベレリン感受性の低下もエチレンの作用によ
ることが示唆された。
エチレン生合成阻害剤を用いた本節の結果からも、シンビジウムの花飛び現
象にエチレンが関与していることが確認された。
ー94-
第8章
総合考察
シンビジウムの花芽は25℃以上の高湿条件では「花飛び」と呼ばれる現象を
起こす。この現象は当初、シンビジウムの小型化、多花性や耐寒性の付与など
のために用いられた原種であるキンリョウへンの形質に由来すると考えられた。
しかし、キンリョウヘンが明瞭な休眠性を示し、100cよりも低い低温を要求す
るのに対し(31)、花飛びを起こす栽培品種では休眠性は認められず、要求す
る低温も比較的高く200c以下の温度でよいことや、キンリョウヘンがかかって
いない品種にも花飛び現象がみられることなどは、キンリョウヘンの影響とし
ては説明ができなかった。シンビジウムの原種の性質に関する研究は少なく、
花飛び現象に類似の現象については、休眠性をもつ温帯性シンビジウムに閲す
る研究(52)を除けば、わずかにCasamajor(9)が
⊆.lowianumについて昼温
が20℃ないし23℃で夜温が14℃以下のときには開花するが、それより高い湿度
では花序が枯死することを報告しているにすぎない。そこで、シンビジウムの
改良に用いられている主要な原種の性質を現在調査中であるが、大部分の原種
で花飛び現象を起こすことが確認されつつある。これらの原種は東南アジアの
熱帯から亜熱帯にかけての地域の標高500∼2,000m前後の卓比較的高地に自生し
ている(61)。花飛び現象の進化的意義は不明であるが、何か子孫を残すのに
有利というより、この現象があるために比較的冷涼な地域に現在見られると考
えたはうがよいのではないかと思われる。いずれにせよ、栽培品種の大部分は
約70種ある原種の内のこれら少数の原種問およびその交配種間での複雑な交配
-95-
の結果作出されたものである。したがって、花飛び現象は本研究で用いたサザ
ナミ`ハルノウミ'のようなキンリョウヘンの子孫のみならず、現在栽培され
ている品種に共通にみられる現象のようである。
本研究によりシンビジウムの花膏の発育過程には湿度が200c以下の低温であ
ることを必要とする段階のあることが明らかとなった。この段階は胞原細胞期
の後期から前減数分裂期に相当している。低温期間が不充分な場合にはGA・3処
理により花膏の発育・開花が誘起される。したがって、この場合にはジベレリ
ンが制限因子となっていると考えられる。ただし、高温に移すとジベレリンの
作用を抑制するABAが花膏で4∼5倍に増加することが最近示されたので(
36)、ジベレリンの絶対量には変化がなくても、相対的にジベレリン不足の現
象となっているかも知れない。ジベレリンは花粉母細胞の前減数分裂期におけ
るDNA合成に必須との報告(34)もあり、本研究でも花粉母細胞の減数分裂
細胞分化や成熟花粉の形成に必要であることが示された。また、荊が花膏の発
育にとって極めて重要な器官で、その除去は花曹の死につながることや、花飛
びの発生が花粉の形成過程と密接に関係していることなどを考え合わせると、
正常な前における正常な花粉形成が花膏の発育・開花に必要と思われる。花飛
びはいわば高温による前の除去、すなわち前の機能不全の結果と解釈できよう0
GA3以外にもエチレン作用の阻害剤であるSTSやエチレン生合成の阻害剤
であるAOAやAVGによっても花飛びが回避されるので、花膏が枯死してい
く過程にはエチレンが関与しているものと思われる。このことばジベレリン処
-96-
理区でエチレン生成が低下していたことからも支持される。ジベレリンがどの
ような機構でエチレン生成量を低下させているのかはよくわかっていない。い
ずれにしろ、ジベレリンが制限因子となり、花膏の発育が抑制されるとともに、
エチレン生成も高まり、花善から供給されるオーキシンが減少するため、花茎
伸長が不十分となり、花膏もやがて枯死してしまうものと考えられる。
低温期間を経ることなくずっと高温条件下(昼300c/夜25℃)に置かれた花
序は典型的な花飛び現象を起こす。すなわち、花茎伸長も起こらず花膏も前減
数分裂期に入る前後で枯死してしまい、ついには花序全体が黄・褐変し枯れて
しまう。この場合には、GA3の効果はまったく認められない。したがって、内
生ジベレリン含量を測定していないので断定的なことは言えないが、ジベレリ
ン以外の制限因子があるようにも考えられる。たとえば、ジベレリンに対する
受容体の欠如などを含む感受性の問題や、ジベレリンの作用を抑制するABA
の蓄積などである。前述のように、低温から高温に移した花序では花書中のA
B
A含量が4∼5倍にも高まることが最近示された(36)。したがって、高温
条件でも同様のことが起こっている可能性もある。また、従来花曹を正常に発
育させるには200c以下の低温が不可欠であったが、エチレン生合成阻害剤を散
布し続けることにより、発育は非常に緩慢であるが連続高湿条件でも開花する
ケースが出てきた(Fig.36)。このことばエチレンの関与をあらためて示すと
ともに、花膏の緩慢な発育はエチレン以外の制限因子の存在も示唆している。
本研究により花飛び現象の核心である、花茎伸長を伴わないいわゆる典型的
一97-
な花飛び(Fig.2)が起こる機構の解明への基礎が固まってきた。今後は本研究
を基に、花飛び現象の核心に迫る研究が期待される。これには近年ルビーアイ
ズ`ゴールデンスター'のメリクローン変異体として発見された花飛びを起こ
しにくい変異体を用いた比較研究が有益な情報をもたらしてくれよう。また、
近年発達の著しい分子生物学的手法も有力な手段となろう。
本研究の延長線上に山上げによらない実用的花飛び防止法が見つかるかどう
かばなんとも言えない。仮に見つからなくても花序の発育生理に関する多くの
情報が得られることだろう。また、もし見つかったとしても、なお解決を迫ら
れる問題が現時点で既に予想されている。一つは山上げの目的が近年花飛び防
止のためだけでなくなってきていることによる。すなわち、いったん小型化し
たシンビジウムが花を大きく立派にする方向で改良が進められ、花だけでなく
葉やバルブ(偽球茎)も大きくなり、株全体が再び大型化してきた。そのため、
夏季のような高塩条件で栽培したのでは葉が徒長ぎみになり、株が充分充実せ
ず、花芽を着生しにくくなる点である。もう一つは、高温ではピンクから赤色
系のアントシアニンによる花色発現が悪くなる点である。これらの問題につい
ても既に取り組みが始まっているが、別の方法を模索する生産者も現れている。
すなわち、長野県の松本市近郊で見られるような山上げ栽培ならぬ「山(高冷
地)での栽培」がそれである。これは山上げの労力やコストと暖房費などを比
較してのことであり、新たな産地や生産者の出現にはなっても、現在の生産者
の大部分にとっては採用できない方法である。そこで、花飛びも起こさず山上
-98-
げの必要もない栽培の容易な品種の作出も待たれている。しかし、このような
観点での育種はこれまで皆無といってよい。花飛びを起こしにくい変異体も見
つかっているし、花飛びを起こさない
∈.ensifolium
や
∈.aloifoliumのよ
うな原種もいくつか存在するので、このような品種の作出も充分可能と考えら
れる。苗代が高いばかりか生産効率も悪いうえに、製品の価格も比較的安価で、
栽培上の問題も多く、シンビジウム生産を取り巻く現実はかなり厳しいものが
ある。花飛び現象に関する本研究がシンビジウム生産に少しでも寄与できれば
幸いである。
-99-
謝
辞
なかなかまとまらない本研究に対し、多大の忍耐と寛容をもって御指導、御助言
をいただくとともに、叱時激励下さった山木昭平教授に深く感謝いたします。手塚
修文助教授には今年こそ学位をと絶えず励ましていただくと共に、何かと御教示を
受けました0山口大学農学部加古舜治教授には本研究の端緒を開いていただくとと
もに御指導いただきました0本学名誉教授山本幸男先生には示唆に富んだ御指摘を
いただきました0作物科学講座河野恭康教授には顕微分光法ついて御教示いただく
とともに、何かと便宜をはかっていただきました0静岡大学理学部伊藤道夫教授に
は花粉形成過程に関する結果について御検討いただき、有益な御指摘と御教示を得
ました0以上記して厚く謝意を表します。遅々として進まない本研究を暖かく見守
り、研究させて下さった諸先輩ならびに関係の諸氏にもお礼申し上げます。榊原孝
平技官にはとりわけ長年にわたり実験材料の栽培管理はもとより、何かにつけ御援
助いただきました。本研究の同技官に負うところは極めて大であります。また、フ
ァイトトロンの鈴木竹次郎元技官、神野雅宏技官をはじめとして、利用させていた
だいた諸施設の皆様にも大変お世話になりました。誠にありがたく存じております。
なお、本論文を研究の当初より花飛び現象に関心を示され、結果を楽しみにされ
るとともに何かと御助言下さり、筆者の学位取得を気遣われながら先年逝去された
本学名誉教授鳥潟博高先生に捧げたいと思います。
-100一
弓l月∃文南犬
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-106-
and
endo-
44・大野
始・榊原孝平・1981・シンビジウムの「花飛び」現象に関する研究
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46・Op
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elongation
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47・Rees,A・R・andJ・B・Briggs・1976・Highqtemperature
(吐土地)ofbulbs
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48・Sachst
and
treatment
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cv.Rose
C。pla。d
f。r
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gerbera
by
fl。Wer
auxin
and
the
gibberellic
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51・Satake・T・andJ・Hayase・1970・Male
treatment
at
the
young
by
sterilitycaused
microspore
-107-
stagein
rice
plants.V.
cooling
of
Estimations
to
Stage
52・沢
ofpollendevelopmentalstage
coolness・Proc・Crop
完・志佐
andthemostsensitive
Sci・Soc・Jap.39:468-473.
誠・鳥潟博高・1967・Cy血diumの開花生理に関する研究
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retardant
of
andM.Acosta.
andmechanism
of
cut
senescence・Sci.Hortic.44:127-134.
carnation
a-aminoisobutyric
acid
54・Shillo・R・andA・H・Halevy・1976・Inflorescence
other
plant
55・Shillo,R・and
mentalfactors
a
development
floweringandblastedgladiolus
Of
as
plantsin
of
to
development
various
environ-
relation
parts・Sci.Hortic.4:79-86.
A・H・Halevy・1976・The
flowering
on
effect
of
of
gladiolus・Ⅰ・Lightintensity.Sci.
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58・Taylor・J・H・and
R・D・McMaster・1954・Autoradiographic
ー108-
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Bragt,J・and
requirement
K・J・Van
of
tulip
Ast・1976・Substitution
by
cv・Apeldoorn
of
GA3・Scientia
the
cold
Hortic.4:117-
122.
63・Veen,H・1979・Effects
in
cut
of
silver
on
ethylene
synthesis
and
action
carnation.Planta145:467-470.
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experimentaltoolin
SCience・Scientia
Hortic.20:211-224.
65・Veen,H・and
Silver
S・C・Van
as
plant
related
66・Vegis・A・1963・Climatic
De
Geijn・1978・Mobility
tolongevity
of
controlof
-109-
cut
form
andionic
carnations.Planta140:93-96.
germination.bud
break,and
of
dormancy・InEnvironmentalControlofPlantGrowth(L.T.Evans,
ed・)・PP・265-287・Academic
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71・Zieslin・N・andA・H・Halevy・1976aFlowerbudatrophyin
rOSeS・IV・The
activity
of
Baccara
various
growth
substancesinleaves
of
floweringandnon-floweringshoots・Physiol・Plant.37:317-325.
72・Zieslin,N・andA・H・Halevy・1976・Flower
rOSeS・Ⅴ・The
effect
budatrophyin
of
different
Physiol・Plant.37:326q330.
-110-
growthsubstances
Baccara
on
flowering.
幸匡文目録
1・Ohno,H・and
S・Kako・1978.Development
ofinflorescencesin
Gsmbb(蜘).Ⅰ.Differencein
depending
Controlin
developmentalstage
the
on
temperature
ofinflorescences.Envir。n.
Biol.16:73-80.
2・Ohno・H・and
S・Kako.1978.Development
ofinflorescencesin
馳mbidium(吐坤e).II.An
for
StageS
effects
the
effect
estimation
high
of
of
criticaland
ab。rtive
temperature.Environ.Controlin
Biol.16:8卜91.
3・Ohno,H・1991・Microsporogenesis
by
affected
high
temperature
and
bud
flower
and
gibberellic
blasting
as
Cymbidium
acidin
(Orchidac些些).J.Japan.Soc.Hort.Sci.60‥149L157.
4・Ohno,H・1991・Participation
induced
by
high
of
temperaturein
flower
ethylenein
bud
blasting
Cymbidium(坤ae).J.Japan.
Soc.Hort.Sci.60:415-420.
5・Ohno・H・and
S・Kako・1991・Roles
hormonesin
flower
floralorgans
of
stalk
elongation
of
and
phyto-
Cymbidium(蜘).
J.Japan.Soc.Ilort.Sci.60:159-165.
6・Ohno・H・1992・Effects
high
temperatureinduced
of
ethylene
blasting
NIOC'92(NagoyaInternationalOrchid
biosynthesisinhibitors
of
Cymbidium
flower
on
buds.Proc.
Congress'92),Pp.129-133.
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