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巻頭言 ・機械の検定を安全な生産現場構築の切り札に! 川池 襄

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巻頭言 ・機械の検定を安全な生産現場構築の切り札に! 川池 襄
TIIS ニュース No.246
2011
246
TIISニュース 2011年10月10日発行
【編集・発行】
公益社団法人産業安全技術協会
〒350-1328 埼玉県狭山市広瀬台2丁目16番26号
TEL.04-2955-9901 FAX.04-2955-9902
ホームページ http://www.ankyo.or.jp
【印刷】株式会社PMC
CONTENTS
巻頭言 ................................................................................
3
トピックス ...........................................................................
4
基礎講座 . ...........................................................................
6
安全衛生フォーラム ............................................................
9
・機械の検定を安全な生産現場構築の切り札に!
川池 襄
・震災とマスクの必要性
・爆発圧力
・交流アーク溶接機用自動電撃防止装置の接続及び使用の安全
基準に関する技術上の指針
訪問記.................................................................................. 12
・株式会社やまびこ
海外だより........................................................................... 13
・DEKRA Certification B.V.視察
講習会の案内 .................................................................... 15
・安全技術講習会等のお知らせ
会員の声.............................................................................. 16
・海外認証制度への整合とT
I
ISに担っていただきたい役割
竹内 和之
表紙写真:安全衛生ポスター
「安全衛生を啓発するポスター」は、日本
をはじめ世界各国にあります。平成23年は、
古河鉱業足尾鉱業所所長であった小田川全
之(おだがわ まさゆき)氏が、当時アメリ
カで提唱されていた「セーフティ・ファース
ト」を「安全専一(あんぜんせんいち)」と名
付け、標示板を坑内外に掲示し、従業員の安
全意識の高揚を図るなど、わが国の事業場
で初めて自主的な安全運動を始めてから
100年に当たります。TIISニュース245号に
引き続いて、横書きの文章が「右から左」に
書かれていた時代のポスターを掲載し、先
人の安全啓発の試みに触れてみたいと思い
ます。
協会からのお知らせ............................................................. 17
・平成23年度理事会のお知らせ
・中野秀司氏に「緑十字賞」
・当協会ドメイン名の変更
・新入会員
・関係団体等からのお知らせ
ISO9001 認 証 取 得
JQA-QM3877検 定 部
2
TIIS ニュース No.246
巻頭言
機械の検定を安全な生産現場構築の切り札に!
一般社団法人 日本機械工業連合会 標準化推進部長
川池 襄 (かわいけ のぼる)
機械の検定は、機械の安全性を確認し労働災害の防止に寄与するものである。現在は特定の機械類が対象であ
り、国際規格(ISO/IECなど)のレベルと比較して見劣りするものもある。検定機関の活動を拡大し機械設備のよ
り高い安全性を確保するとともに我が国機械産業の市場競争力の向上をはかることはできないだろうか。
製造業における休業4日以上の労働災害による死傷者数(平成20年)は23,048人で、その内機械による死傷者
の割合は約40.0%、この状態は10年以上変化していない(厚生労働省 労働災害統計)。つまり機械を安全にし
なければ製造業における労働災害を大きく減少させることはできない。労働安全衛生法では、
「機械等に関する
規制」が示されており、①機械の構造の確認、②機械製造時の製造装置・検査装置などの整備、③機械が使用され
る場所での設置状態の確認、④保全・運用の確実性等の定期検査により「安全な機械が、安全に設置され、安全な
方法で使用されていること」を確実にしようとしている。
検定制度は、労働安全衛生法を根拠に機械等検定規則により定められ、前述の目的を達成するための手段のひ
とつである。欧州の機械指令によるCEマークを付けた機械は、
「安全な機械」であることを宣言している。検査対
象は、日本の検定が特定の機械に限定しているのに対し、欧州指令はほぼ全ての機械を対象としている。欧州も
日本も特定の機械類について、第3者機関による検査を義務付けている。欧州指令は国際規格やEN規格を基準と
している。設置段階での検査は、ドイツの強制法による損害保険の研究機関(IFA)での実施などがある。運用段階
での検査は実施されていない。
我が国の検定の仕組みを活用し、機械本体の検査と設置段階・運用段階の検査を現在の検定対象以外の機械類
にも適用し競争力につなげていくために、下記の活動を推進することを検討してはどうだろうか。
①型式検定に種々の検査基準を採用して競争力向上につなげる
国内の基準(構造規格・技術基準など)を満たすのは当然である。各種ニーズにマッチした基準を個々に作
成し、ふさわしい検定マークをつける。使用者は、使用方法・環境によって必要な機械を選択できるようにな
る。例として、ISOなどの国際基準・特定の用途・環境条件(耐震性・防爆・防水・高齢者による作業など)を満足
するなどがある。マークにより用途がわかればより使いやすい。
これらの追加基準と合格している機械を公表することで使用者が選択するための情報を提供する。つま
り「知らない安心」を「知らせる安全」にすることで競争力の向上が期待できる。ここではニーズにマッチし
た検査基準の公開が重要なポイントとなる。
②機械の設置状態の定期点検を実施することでサービスのレベル=競争力を確認できるようにする
検査・検定制度は、プレス機械やクレーンのように設置された状態での検査を義務付けている。機械の安
全性が確保されていても、種々の機械を組み合わせてラインを構成する時点で新たな危険状態が追加され
ることが多い。設置された状態での検査を実施することで、生産技術のエンジニアリングパワーの向上と機
械メーカの支援能力の向上が可能になる。
③保全・運用体制の評価の実施でサービスのレベルを向上する
機械の寿命管理・改善点の変更管理、安全基準の変更による更新などの仕組みは、定期的に評価されるべ
きでOHSMSのような自主検査ではカバーしきれないことが多い。
ここにあげた3つの活動は、機械の使用者による機械安全に係る活動の評価であるとともに機械メーカにとっ
ても競争力の新しい側面である。実現には機械メーカ・機械ユーザなどの幅広い協力関係が前提となるが期待で
きる効果は大きい。
3
TIIS ニュース No.246
トピック ス
◆震 災とマスクの必要性
等の発行期日のうち平成23年を省略しています。
東日本大震災がもたらした被害の概要
1)3月15日 平成23年東北地方太平洋沖地震に起因
3月11日に 東 日 本 大 震 災 が 東 北3県 と そ の 周 辺 地
して生じた事態に対応するための電離放射線障
域を襲い、未曽有の大津波と福島第一原子力発電所
害防止規則の特例に関する省令
の炉心溶融・水素爆発という大災害をもたらしまし
た。その結果、
9月11日現在で、この大震災による死者
2)3月18日 東北地方太平洋沖地震による災害復旧
工事における労働災害防止対策の徹底について
15,781人・行方不明者4,086人となり、計10,000家族が仮
3)3月28日 平成23年東北地方太平洋沖地震による
設住宅や賃貸住宅に移住し、なお6,000人が避難所生
災害復旧工事における労働災害防止対策の徹底
活をしています。更に、福島第一原子力発電所から半
について(その2)
径20km圏内は強制避難区域となっており、家は倒壊
を免れても住むことができない状態になっています。
被災地にはがれきの山とヘドロの堆積があり、海
から漂流して陸に上がった大型船や崩れた建物があ
り、農地は海水を含んで耕作が難しくなっています。 現 地 を 訪 れ た 人 は、テ レ ビ や 新 聞 で は 伝 わ ら な い
が、海 沿 い の 空 気 は 腐 敗 臭 に 満 ち て い る と 云 い ま
す。福島第一原子力発電所が立地する福島県及び周
辺では、空気中の放射線量の高まりのみでなく、広域
の土地の放射能汚染、農水産物の放射能汚染で苦し
んでいます。
4)4月11日 東日本大震災の復旧工事において使用
する呼吸用保護具の取扱いに関する特例について
5)4月22日 東日本大震災に係るがれき処理に伴う
労働災害防止対策の徹底について
6)4月25日 初めてがれき処理に従事する労働者等
の労働災害防止について
7)5月11日 福島県内の災害廃棄物を取り扱う業務
に係る措置について
8)5月17日 福島第一原子力発電所から20キロメー
トル圏内における作業に係る措置について
9)5月26日 東北地方太平洋沖地震に伴う津波によ
る毒物又は劇物の流出事故等に係る対応について
地 域住民と復旧作業員の安全衛生に係る行政的対応
このような災害からの復旧に向けた活動が行われ
ています。最初の活動は、生存者・死者・行方不明者の
捜索でした。警察官・消防隊員・自衛官、海外の救助隊
4
10)6月23日 放射性物質が検出された上下水道等副
次産物及び災害廃棄物の当面の取扱いについて
11)6月30日 石綿等が吹き付けられた建築物等からの
石綿等の飛散及びばく露防止対策の徹底について
等が多数現地に入り、倒壊した家屋や瓦礫の中の生
12)7月25日 被災地で健康を守るために
存者、死者を捜索しました。これと並行してヘドロと
その他、土壌汚染や住民の放射線被ばく、食品の放
瓦礫の片付け作業が進みました。大勢のボランティ
射能汚染等に関する法令・通知などが多数、国から交
アが現地に入り、土地や建物の内部を覆うヘドロを
付されています。
除去し、瓦礫を片付けました。住民は未だ寒い避難所
これらの法令は、
その背景にある災害の実態を彷彿
の暮らしで健康を維持することが困難な状態でした。
とさせます。最初の1)の省令は、津波で崩壊した原子
原子力発電所では、炉心溶融・水素爆発等による危険
力発電所の作業員に対して、年間累積被ばく線量の
な状態から、水冷却で安定化するための危険で困難
許容限界を100ミリシーベルトから250ミリシーベル
な作業が続けられています。
トに変更して復旧作業に当たらせるというものです。
このような震災後の住民及び復旧作業に従事する
2)及び3)の通達は、災害復旧工事が、石綿を使用した
人の健康と安全衛生に対して、行政は多数の法令や
建築物の解体、土砂崩落の危険がある場所での土砂
通達等を発表して、その確保に努めています。その中
の取扱い、種々の大型建設機械の取扱いや不安定な
の主な法令・通知等を以下に列挙します。なお、法令
場所での作業等の危険を含むことに対する警告です。
TIIS ニュース No.246
4)は、石綿を含むがれきの処理に当たる作業者に、必
た船の中には、海に戻すことができず、陸で解体され
要量の性能の保障された防じんマスクを供給する緊
るものが多くありますが、船の断熱材に石綿が使用
急手段として、国内の検定制度により保証された検
されているため、解体作業は石綿粉じんの発生を伴
定合格型式のみでなく、米国NIOSHの検定を合格し
います。政府は、この作業に従事する作業者用に電動
た防じんマスクをも使用してもよいとする特例許可
ファン付き防じんマスクを準備していると伝えられ
です。
ています。
5)と6)の通達は、がれき処理作業の持つ危険・有害
性に注意を喚起するもので、不特定な有害粉じん、感
原子力発電所の復旧作業で使用されるマスク
染性微生物の発生、危険・有害な化学品の散乱、釘な
原子力発電所の復旧作業に従事する作業員の呼吸
どの突起物の散乱などに対して、作業員の装備、服装
保護は最も厳重なものです。今回の大震災によって
などへの要求と安全衛生対策の徹底を求めています。
崩壊した原子炉の復旧作業時に着用する呼吸用保護
10)は一般住民の健康を守るための注意事項等の
具としては、給気式呼吸用保護具(空気呼吸器)とろ
情報提供です。被災地では雑多な発生源からの粉じ
過式呼吸用保護具があります。この場合に呼吸用保
んが舞っており、呼吸器疾患が多く発生したことが
護具の対象となる空気中成分は放射性微粒子と放射
報告されています。マスクの装着が勧められていま
性ガスです。微粒子の中の放射性元素はウラン235、
すが、防じんマスクやN95マスクは市民には入手困
ウ ラ ン238、プ ル ト ニ ウ ム な ど の 放 射 性 元 素 と そ の
難な状態でしたから、風邪・花粉用のプリーツマスク
核分裂生成物のヨウ素131・ヨウ素132及びセシウム
などが多く使用されました。
234・セシウム237などです。放射性ガスとしてはヨウ
素131を含むヨウ化メチルが注目されています。
被 災地でのマスクの使用について
これらの放射性物質に対して、プレッシャデマン
このように、被災地では種々の場面で呼吸保護が
ド式空気呼吸器は、面体内部が常に陽圧に保たれる
必 要 と な っ て い ま す。被 災 直 後 に 活 動 し た 警 察 官、
ことと、吸気源を環境空気に依存せず、高圧容器内の
消防隊員、自衛官らは、使い捨て式防じんマスクを装
清浄空気を面体内部に供給したものを吸気するため
着して生存者や死者の捜索をする様子が報道されて
に、最も安全性の高い呼吸用保護具です。
いました。国内のマスクメーカーのみでなく海外の
ろ過式呼吸用保護具としては有機ガス用防毒マスク
メーカーも、
( 社)日本保安用品協会の呼びかけで23
にL3又はS3クラスの高性能ろ過材を組み合わせた、
万5千枚の使い捨て式防じんマスクを寄付し、被災地
防じん機能付き防毒マスクが使用されます。面体は
の労働局に届けたと伝えられています。これらのマ
全面形か半面形ですが、その選択は作業環境の汚染
スクが有効に使用されたことが分かります。
( 社)日
度によります。高汚染区域での作業には電動ファン
本保安用品協会は、がれき作業やパトロールを行う
付き防じん機能付き防毒マスクの使用も始まってい
自治体職員や市民にマスク装着法の講習会を数回開
ます。原子力発電所で使用される吸収缶は有機ガス
催し、マスクの有効な装着方法の訓練をしました。
用として検定合格したものですが、特別に、活性炭に
市民生活の環境にも、倒壊家屋などのがれきから
トリエチレンジアミンやピペラジン等を添着してヨ
発生するコンクリートや断熱材・壁材などの粉じん
ウ化メチルの吸着能力を高めた缶が使用されていま
及び土埃などが押し寄せました。厚生労働省として
す。ヨウ化メチルに対する除毒能力は国の規格では
は使い捨て式防じんマスクの使用を薦めています
規定されていないので、メーカーからの性能情報に基
が、一般市民には産業用防じんマスクの入手は困難
づいて安全な使用をすることが求められています。
であり、風邪・花粉用のプリーツマスクが多く使用さ
酷暑の夏はマスク装着には厳しい季節でした。今
れていました。しかし高齢者が多い避難民の間で肺
後の被災者と復旧作業員の一層の安全衛生の確保が
炎様の症状が多く発生したと聞いています。
望まれます。
災害復旧作業は今後も長く続きます。陸に上がっ
(公益社団法人産業安全技術協会 参与 松村芳美)
5
TIIS ニュース No.246
基礎講座
◆爆発圧力
少し高くなるがその差はわずかである。しかし、容器
密閉容器内において、
爆発範囲内にある可燃性ガス、
容積の増大と共に、最大爆発圧力に達するまでの時
液体の蒸気又は粉じんと空気との混合物に点火源を
間が長くなるため、圧力上昇速度は遅くなる。図1に
与えると、容器内で火炎の伝ぱが生じ、内部の気体が
異なる容積の密閉容器内の爆発圧力波形の測定例を
熱膨張して容器内の圧力が急激に上昇する。容器の
示す。
強度がその内圧に耐えなければ容器は破壊し、内容
物 の 流 出 に 伴 っ て さ ら に 火 災 と な る 場 合 が あ る。
可燃物の爆発危険性を評価したり、容器の耐圧設計
100
90
6.5
V = 9.0 liter
V = 3.5
V = 0.85
を行う場合に、可燃性物質の爆発圧力特性に関する
知識は有用である。
P2 / P1
[密閉容器内でのガス爆発圧力特性]
密閉容器内でのガス爆発時の最大爆発圧力
(Pmax)は、近似的に次式によって示される。
10
0%
ignition
40ms
time
Pmax= P1×(n2・T2)/(n1・T1) ・・・・・(1)
ここでP1はガスの初圧、
n1、
n2は爆発前後のガスの
モル数、
T1、
T2は爆発前後のガスの温度である。Pmax
を計算するにはn2とT2の値がわかれば可能であるが、
容器内の可燃性混合気が擾乱状態にある場合や容
これを求めるには、通常、計算機を用いて化学平衡計
器内の空間が複雑な形状を有する場合には、未燃混
算によって爆発時の平均分子量と最高火炎温度を算
合気の乱れによる火炎面積の増大によって火炎速度
出する。計算結果は、器壁などへの熱損失を考慮しな
が速くなるため、圧力上昇速度も増大する。
い断熱火炎温度となるため、実際の火炎温度より約1
複数の容器が相互に連結されている系で爆発が
割ほど高い値となる。従って、ガス爆発(定容燃焼)の
生ずると、一つの容器内の爆発で生じたガスの膨張
最大爆発圧力は、ガスの種類、ガス濃度、初圧、初温、
により、未燃ガスが急速に他の容器内へ進入するた
容器容積などによって異なる。最も高い爆発圧力を
め、他の容器内の未燃ガス圧が上昇すると共に容器
生ずる燃料ガス組成は、燃料が空気中の酸素と過不
内 に 擾 乱 が 生 ず る。そ こ へ 火 炎 が 伝 ぱ し て く る た
足なく反応する組成(化学量論組成)より少し燃料が
め、その容器での爆発圧力上昇は急激で、かつ最大圧
過 剰 側 に あ る。一 般 の 炭 化 水 素 で は、n2 / n1 ≒1で、 力も過大なものとなる。このような現象は圧力重積
平 均 火 炎 温 度T2 は1,000~2,000 ℃ で あ る か ら(1)式
6
図1 容積が異なる密閉容器内の爆発圧力波形の測定例
(メタン濃度9.5%、初圧:大気圧、円筒容器、中心点火)
(Pressure Piling)と呼ばれる。
により、燃焼生成ガスは、初めの体積の4~8倍に膨張
支燃性ガスが空気ではなく、酸素富化雰囲気であ
し、密 閉 容 器 内 で は、爆 発 圧 力 も 初 圧 の4~8倍 に な
る場合、特に可燃性ガス/酸素の混合ガスの爆発範
る。粉じん爆発の場合、燃料が個体なのでその体積は
囲は、上限界において著しく広くなる。また、酸素と
気体燃料に比べると無視することができるのでその
の混合ガスの爆発圧力及び昇圧速度は、空気との混
分n1が小さくなり、爆発圧力はガス・蒸気より高くな
合ガスに比べて格段に大きくなる。大気圧、20℃の水
ることがある。最大爆発圧力は、初圧に比例し、初温
素/空気混合ガス及び水素/酸素混合ガスの化学量
に反比例して増大する。また、容器の容積が大きくな
論組成濃度における2ℓ球状容器中での爆発圧力波
ると、単位容積当りの器壁面積が小さくなり、壁面か
形の測定例を図2に示す。可燃性ガス/酸素混合ガス
らの熱損失の割合が減少するため、最大爆発圧力は
では、爆ごうが生じ易くなる。
TIIS ニュース No.246
の開口面積を決定する際に極めて有用である。
表1に代表的な可燃性ガス・蒸気・粉体の最大爆発圧
力及びKG、KSTの測定例を示す。
[引火性液体蒸気の爆発圧力]
密閉用器内のガソリン、エタノール、灯油などの引
火性液体では、液体の温度が引火点より高い場合に
点火源があれば爆発の危険性がある。灯油などのよ
うに引火点が常温より高い液体は、液体を加熱し、蒸
気濃度を爆発下限界(引火点)以上に高めれば、点火
図2 水素の空気中及び酸素中の爆発圧力波形
( 2ℓ球状容器、20℃、1気圧、化学量論組成)
[ガス爆発危険性の評価]
源により爆発が生じる。その時の爆発圧力は、温度に
依存する液体蒸気濃度によって変化する。図3に密閉
容器中で、灯油の液温を変化させたときの爆発圧力
可 燃 性 の ガ ス・蒸 気 の 爆 発 危 険 性 を 評 価 す る に
の波形を示す。引火点以上で爆発が生じ、温度の上昇
は、爆発の起こり易さ(感度)の指標となる最小発火
と共に最高圧力が高くなるが、蒸気濃度が爆発上限
エネルギーや発火温度、また、爆発の激しさ(威力)の
界に相当する液温約80℃以上になると爆発は生じな
指標となる最大爆発圧力、爆発圧力上昇速度、燃焼速
くなる。
度、K値(ガス・蒸気の爆発に対してはKG、粉じん爆発
に対してはKSTで示す)などが用いられる。中でも、密
表1 可燃性ガス・蒸気・粉体の最大爆発圧力
及びKG、KSTの測定例
閉容器内における爆発圧力特性の測定によって得ら
れるK値は、ガス・蒸気・粉体の爆発の威力を示す指
標として重要なものである。K値は、次式によって
定義される。
K =(dP/dt)max・V1/3[bar・m/s]・・・(2)
こ こ で、
(dP/dt)maxは 最 大 昇 圧 速 度、Vは 爆 発 容
器の容積である。この式は、容積の異なる爆発容器で
も、同じ条件(①同一圧力、同一混合ガス、②同じ形の
爆発容器、③同程度の擾乱状態、④同一の着火源と着
火位置)で爆発が生じた場合には、ほぼ同じK値が得
られることを意味している。またこの式は、爆発圧力
は時間の3乗に比例して増大するという、いわゆる3
乗則(Cubic Law)に基づいている。K値そのものは、
1m3の爆発容器における最大昇圧速度ということも
最大爆発圧力
(bar)
可燃性
KG or KST
(bar・m/s)
静止下
流動下
静止下
流動下
メタン
プロパン
都市ガス、6B
水素
7.3
7.3
7.3
7.0
8.7
8.7
8.5
7.7
55
75
140
550
460
500
650
1270
MEK
トルエン
メタノール
酢酸エチル
8.3
7.2
7.0
8.5
小麦粉
ポリエチレン
塩化ビニル
アルミ粉
56
56
66
67
7.9〜10.5
1.3〜7.9
7.5〜9.6
6.5〜13.0
80〜192
4〜120
37〜168
16〜1900
できる。
(2)式の単位の次元から分かるように、K値
は 圧 力[bar]
( 爆 発 圧 力)と 速 度[m/s]
( 火 炎 速 度)の
要素から成っており、火炎速度の大きな爆発性混合
物ほど大きな値を示す。また、火炎温度が高い(最大
爆発圧力が高い)物質ほど大きな値となり、ガス爆発
や粉じん爆発の威力を示す指標となる。
K値は、化学装置や容器内で生ずる万一の爆発に
対して、安全装置として用いられる爆発圧力放散口
図3 灯油の液温と飽和蒸気の爆発圧力
7
TIIS ニュース No.246
[水素の爆発限界と爆発圧力特性]
えられている。液体水素は、-253℃(20K)の極低温
東京電力福島第1原発事故で生じた水素爆発でし
であるため、漏洩した場合の水素ガスはかなり低温
ばしば取り上げられたように、水素の空気中での爆
であることが予測される。このような状態で空気と
発 濃 度 範 囲 は4~75vol.%で あ る こ と が 知 ら れ て い
混合して爆発が生じた場合の爆発圧力やその威力
る。特に下限界濃度近傍での爆発圧力特性は安全上
を予め把握しておく必要がある。最大爆発圧力は、
重要である。ここでは、水素/空気混合ガスの全爆
計算で予測し得るが、昇圧速度などの動的な特性は
発濃度範囲について、爆発圧力の測定を行った結果
実測でしか得られない。小型円筒容器(容積1ℓ)を
について示す。
用いて、室温から約-60℃までの低温域での化学量
混合ガスの爆発圧力特性の測定には、内容積2ℓ
論組成の水素/空気混合ガスの爆発圧力特性の測
の ス テ ン レ ス 製 円 筒 容 器(102mmφ ×210H 観 測 窓
定を行った。爆発容器は、-60℃まで冷却可能な低
付)を用いた。水素を空気と種々割合に予混合し、円
温恒温エタノール槽に浸積して温度制御を行った。
筒容器内で着火した場合の爆発圧力の測定値を図4
種々初期温度(T1)における爆発圧力波形の測定
に示す。
結果を図5に示す。初期圧力は何れも大気圧である。
(1)式 か ら 予 測 さ れ る よ う に 最 大 爆 発 圧 力(Pmax)
は、初 期 温 度(T1)が 低 い ほ ど 高 く な る。測 定 値 は
何れも断熱定容燃焼の計算値より4~8%低い値で
あった。これは、爆発容器が1ℓと小型であり、容器
形状が円筒状であるため、容積に対する表面積の割
合が大きくなり、熱損失が増大したためと考えられ
る。ここで注目すべき点は、初期温度が低くなると
反応速度が遅くなるため燃焼速度が低下して昇圧
速度が低下することが予測されるが、爆発威力の指
図4 水素/空気混合ガスの爆発圧力
標となる実際の最大昇圧速度((dP/dt)max)及び平
爆発上限界付近においては、ガス濃度変化に対す
均昇圧速度(ΔPmax /τ)は、測定の温度範囲でほ
る爆発圧力の変化が大きく、爆発限界が明瞭に判定
ぼ一定の値が得られたことである。このことは、低
できるが、下限界付近では爆発圧力の変化は、上限
温下でも爆発の威力は、最大爆発圧力の増大と、最
界と比べると小さい。下限界とされている水素濃度
大爆発圧力到達時間(τ)の増大で相殺され、初期温
4%では爆発圧力はわずかに5kPa程度であり、火炎
度によってあまり変わらないということができる。
は目視できない。5%では16kPaの過圧力が測定さ
れ、着 火 源 の 上 方 を 細 い 火 炎 が 狼 煙 状 に 伝 ぱ す る
が、火炎は下方や横方向へは伝ぱしない。6%でも
ほぼ同じ状況であるが、爆発圧力は32kPa程度とな
る。7%では56kPaの過圧力が測定されるが火炎は
やはり上方の一部分を伝ぱするのみである。8%に
なると爆発過圧力は100kPaを超えるようになり、爆
発の危険性は急激に高くなる。最大爆発圧力は、化
学量論組成である30%付近で得られる。そのときの
図5 低温下における水素(30% in Air)の爆発圧力波形
最大過圧力は650kPaになる。
[低温での水素/空気混合ガスの爆発圧力特性]
水素燃料自動車の開発では、液体水素の利用も考
8
(公益社団法人産業安全技術協会 会長 松井英憲)
TIIS ニュース No.246
安 全 衛 生 フォー ラ ム
◆交流アーク溶接機用自動電撃防止装置の
接続及び使用の安全基準に関する技術上
の指針
通達「交流アーク溶接機用自動電撃防止装置の接
我が国の産業職場で発生する感電災害は、全労働
T110706K0010.pdf
災害の中で占める割合は少ないが、感電災害の特徴
・別添1指針(別表付)
として、一旦災害が発生すると死亡災害になる危険
http://www.hourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/
性が高く、労働死亡災害で見れば、感電死亡災害は決
T110706K0011.pdf
して少ない災害ではない。感電死亡災害の一つに交
・別添2適用
流アーク溶接機を用いた溶接作業での感電災害があ
http://www.hourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/
る(下図参照)。
T110706K0012.pdf 続及び使用の安全基準に関する技術上の指針」
http://www.hourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/
交流アーク溶接機用自動電撃防止装置の接続及び使用の
安全基準に関する技術上の指針
(制定 平成23年6月1日技術上の指針公示第18号)
1 総則
1-1 趣旨
こ の 指 針 は、交 流 ア ー ク 溶 接 機 用 自 動 電 撃 防 止 装 置
(以下「電防装置」という。)の適正な接続及び使用を図
る た め、こ れ ら に 関 す る 留 意 事 項 に つ い て 規 定 し た も
の で あ る。た だ し、交 流 ア ー ク 溶 接 機(以 下「溶 接 機」と
厚生労働省では、交流アーク溶接作業による感電
及び感電による墜落等の災害が生じないように、交
流 ア ー ク 溶 接 機 用 自 動 電 撃 防 止 装 置(以 下「電 防 装
置」という。)を型式検定品の一つに指定し、当協会が
その登録検定機関として型式検定を実施している。
去る平成23年3月25日に電防装置の構造規格が改
正され、6月1日から適用されたが、電防装置がその効
いう。)の外箱内に組み込まれた電防装置については、
この指針中2-1、3、5-1⑴から⑶まで及び6⑴イからハの規
定は、適用しない。
1-2 用語の定義
この指針において、次の各号に掲げる用語の定義は、
それぞれ当該各号に定めるところによる。
⑴ 電防装置 溶接機を用いて金属の溶接(自動溶接を
除く。)、溶断等の作業を行うときに使用される装置
であって、溶接機の主回路を制御する主接点及び制
果を上げるためには、電防装置を使用する事業者や
御回路等を備え、溶接機の出力側無負荷電圧を自動
溶接作業者等が正しい取付け、使用及び点検・検査等
的に30V以下の安全電圧に低下させるように作動
を行うことが大切である。今般、厚生労働省では、電
防装置の選定・取付け・接続・使用及び点検・検査にお
ける留意事項を規定した指針(交流アーク溶接機用
自動電撃防止装置の接続及び使用の安全基準に関す
る技術上の指針)を平成23年6月1日付けで改正公
するものをいう。
⑵ 主接点 溶接機の主回路の一部を形成し、
電防装置の
作動により電気的に開閉する部分をいう。
具体的には、
電磁接触器の主接点及び半導体素子が用いられる。
⑶ 遅動時間 溶接機のアークの発生を停止させたと
きから電防装置の主接点が開路されるときまでの
時間をいう。
示した。以下に、同技術上の指針を紹介するので、作
⑷ 安全電圧 溶接機のアークの発生を停止させ、電防
業者の感電等の災害防止に活用されることを期待す
装置の主接点が開路された場合に溶接棒と被溶接
る。なお、詳細については下記サイトを参照下さい。
物との間に生ずる電圧をいう。
○労働安全衛生法第28条第1項の規定に基づく技術
上の指針に関する公示(基発0601第1号_H23_06_01)
⑸ 始動感度 電防装置を始動させることのできる電
防装置の出力回路の抵抗の最大値をいう。
⑹ 標準始動感度 定格入力電圧における始動感度を
9
TIIS ニュース No.246
いい、電防装置の銘板に記された値である。
⑺ 定格使用率 定格周波数及び定格入力電圧におい
て定格電流を断続負荷した場合の負荷時間の合計と
当該断続負荷に要した全時間との比の百分率をいう。
⑻ 表示灯 外部から電防装置の作動状態を判別する
ためのランプをいう。
⑼ 点検用スイッチ 電防装置の主接点の作動状態を
点検するためのスイッチをいう。
有するものを選定すること。
⑵ 電防装置と電流遠隔制御装置を併用する場合は、電
流遠隔制御装置の短絡子(接触子)の抵抗値より十
分に小さい始動感度を有するものを選定すること。
⑶ 電防装置とワイヤ送給装置(ワイヤ(溶加材)を自動
的に送給するために半自動溶接機に取り付けられ
て い る 装 置 で あ っ て、溶 接 機 の 出 力 側 を 当 該 装 置
2 電防装置の選定
の電源として用いるものをいう。)を併用する場合
2-1 溶 接機の種類及び定格等に応じた電防装置の選定
は、当該電防装置がワイヤインチング時に溶接機の
2-1-1 溶接機の種類に応じた電防装置の選定
無負荷電圧を出力しないような始動感度を有する
電 防 装 置 は、次 に 掲 げ る 当 該 電 防 装 置 を 取 り 付 け る
ものを選定すること。
溶接機(以下「取付溶接機」という。)の種類に応じ、それ
3 電防装置の接続
ぞれに適合した構造のものを選定すること。
3-1 接続の作業を行う者
⑴ コンデンサー内蔵形の溶接機(電源側に力率改善の
ためのコンデンサーを内蔵している溶接機をいう。)
電防装置の溶接機への取付け及び電防装置と溶接機
と の 配 線 は、電 防 装 置 の 構 造 や 性 能 に 習 熟 し た 電 気 取
⑵ コンデンサーを内蔵していない溶接機(電源側に力
扱者等(労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)第
率改善のためのコンデンサーを内蔵していない溶
36条第4号の業務に係る特別教育を受けた者その他これ
接機をいう。)
と 同 等 以 上 の 電 気 に 関 す る 知 識・技 能 を 有 す る 者 を い
2-1-2 取 付溶接機の定格等に応じた電防装置の選定
電防装置は、次に定めるところにより、取付溶接機の
う。6⑶において同じ。)に行わせること。
3-2 溶接機への取付け
定格等に適合した定格等を有するものを選定すること。
電 防 装 置 を 溶 接 機 に 取 り 付 け る 場 合 は、次 の 事 項 に
⑴ 定格入力電圧
ついて注意すること。
イ 電源を溶接機の電源側からとる構造の電防装置
⑴ 鉛直(やむを得ない場合にあっては、鉛直に対して
を使用する場合は、電防装置の定格入力電圧の値
が溶接機の定格入力電圧の値と等しいこと。
ロ 電源を溶接機の出力側からとる構造の電防装置
又は出力側の電圧変化を検出して主接点を開閉
する構造の電防装置を使用する場合には、電防装
置の外箱に表示してある適用溶接機(当該電防装
置を取り付けて使用することができる溶接機を
20度以内)に取り付けること。
⑵ 溶接機の移動、主接点の作動等による振動・衝撃で
取付け部が緩まないように確実に締め付け、かつ、
緩み止めを施すこと。
⑶ 表示灯が見やすく、かつ、点検用スイッチが操作し
やすいように取り付けること。
3-3 溶接機との配線
いう。別表において同じ。)の出力側無負荷電圧
電 防 装 置 と 溶 接 機 と の 配 線 を 行 う 場 合 は、次 の 事 項
の範囲が取付溶接機の出力側無負荷電圧の変動
について注意すること。
範囲を含むこと。
⑴ 溶接機の電源側に接続する線と出力側に接続する
⑵ 定格電流
イ 主接点を溶接機の電源側に接続する構造の電防
装置を使用する場合には、電防装置の定格電流の
値が取付溶接機の定格入力電流の値以上のもの
であること。
ロ 主接点を溶接機の出力側に接続する構造の電防
装置を使用する場合には、電防装置の定格電流の
値が取付溶接機の定格出力電流の値以上のもの
であること。
⑶ 定格使用率
電 防 装 置 の 定 格 使 用 率 は、取 付 溶 接 機 の 定 格 使 用
率以上のものであること。
⑷ 定格周波数
電 防 装 置 の 定 格 周 波 数 は、取 付 溶 接 機 の 定 格 周 波
数に適合したものであること。
2-2 作 業条件に応じた始動感度を有する電防装置の選定
10
⑴ 環境条件、被溶接物等を考慮して適正な始動感度を
線とを混同しないこと。
⑵ 接 続 部 分 は 容 易 に 緩 ま な い よ う に 確 実 に 締 め 付
け、かつ、緩み止めを施すこと。
⑶ 接続部分を絶縁テープ、絶縁カバー等により確実に
絶縁すること。
⑷ 電防装置外箱の接地端子を分電盤等の接地端子に
接地線を用いて接地すること。
⑸ 溶接機の端子の極性が指定されているものは、その
指定どおりに接続すること。
⑹ 電防装置と溶接機との間の配線及びその接続部分
に外力が加わらないようにすること。
3-4 接続後の作動等の確認
取付け及び配線の終了後、別表(省略)の左欄に掲げる
項目について、同表の中欄に掲げる方法その他同等の方
法により測定等を行った場合に、同表の右欄に掲げる基
準に適合することを確認し、その結果を記録すること。
TIIS ニュース No.246
なお、別表の右欄に定める基準を満たさないときは、
電 防 装 置 を 取 り 付 け た 溶 接 機 を 使 用 す る と き は、そ
直ちに、補修し、又は取り換えることにより当該基準を
の 日 の 使 用 を 開 始 す る 前 に、次 の 事 項 に つ い て 電 防 装
満たすようにすること。
置を点検すること。
4 使用上の注意
⑴ 電 防 装 置 を 取 り 付 け た 溶 接 機 は、次 に 定 め る 条 件
に適合する場所において使用すること。
イ 周 囲温度が、-10℃以上40℃以下の範囲にあるこ
と。ただし、周囲温度に適合する特殊な構造をも
つ電防装置を取り付けた溶接機については、この
限りでないこと。
ロ 湿気が多くないこと。
ハ 風雨にさらされないこと。
ニ 電 防装置の取付面が鉛直に対して20度を超える
傾斜を与えないこと。
なお、異常を認めたときは、直ちに、補修し、又は取り
換えること。
⑴ 電防装置の外箱の接地の状態
⑵ 電防装置の外箱のふたの状態
⑶ 電 防装置と溶接機との配線及びこれに附属する接
続器具の被覆又は外装の損傷の有無
⑷ 表示灯及び点検用スイッチの破損の有無
⑸ 点検用スイッチ及び表示灯による主接点の作動状
態の確認
⑹ 異音・異臭の発生の有無
5-2 点検を行う者
ホ 粉じんが多くないこと。
5-1の点検は、当該電防装置が取り付けられている溶
ヘ 油の蒸気が多くないこと。
接機を使用する溶接作業者(労働安全衛生規則第36条第
ト 有 害な腐食性ガス又は多量の塩分を含む空気が
3号 に 規 定 す る ア ー ク 溶 接 等 の 業 務 に 係 る 特 別 の 教 育
存在しないこと。
チ 爆発性雰囲気が存在しないこと。
リ 異常な振動又は衝撃の加わるおそれのないこと。
を受けた者をいう。)に行わせること。
6 定期の検査等
⑴ 電防装置については、その使用ひん度、設置場所そ
⑵ 電防装置を取り付けた溶接機の電源側の電圧が当
の他使用条件に応じて、6月以内ごとに1回、次の事
該溶接機の定格入力電圧の85%から110%までの範
項について検査を行い、その結果を記録すること。
囲にあること。
⑶ 主接点に電磁接触器を用いている場合、電磁接触器
なお、異常を認めたときは、直ちに、補修し、又は取
り換えること。
の可動部分に木片をはさむこと等により電防装置
イ 溶接機外箱への取付けの状態
の機能を失わせないこと。
ロ 電防装置と溶接機との外部配線の接続の状態
⑷ 断 続 的 な 溶 接 作 業 を 行 う 場 合、遅 動 時 間 内 は 溶 接
機の出力側無負荷電圧が発生しているので、溶接棒
ハ 外 箱 の 変 形、破 損 及 び ふ た の 開 閉 の 状 態 並 び に
ガスケットの劣化の状態
ホルダー(以下「ホルダー」という。)側の露出され
ニ 表示灯及び点検用スイッチの破損の有無
た充電部分に接触しないこと。
ホ ヒューズの異常の有無
⑸ 溶接作業を休止する場合には溶接機の電源を切る
ヘ 電 磁 接 触 器 の 主 接 点 及 び そ の 他 の 接 点(補 助 接
こと。ただし、溶接機が置かれている場所が溶接場
点、コンデンサー開閉用接点、保護用接点)の消耗
所から著しく離れており、かつ、休止時間が非常に
の状態
短い場合、溶接棒をホルダーから取りはずし、かつ、
ホルダーが被溶接物又は接地抵抗値の小さな物体
ト 表 示灯及び点検用スイッチによる主接点の作動
状態の確認
に接触しないように必要な措置を講じたときは、こ
チ 異音・異臭の発生の有無
の限りでないこと。
リ 強 制冷却用ファンを有する場合は冷却用ファン
⑹ 電 防 装 置 の 近 傍 に 高 周 波 発 生 装 置 が 存 在 し、電 防
の異常の有無
装置の作動に影響が考えられる場合には、あらかじ
⑵ 電防装置については、その使用ひん度、設置場所そ
め、高周波発生装置の高周波電流により電防装置に
の他使用条件に応じて、1年以内ごとに1回、別表の
異常な作動が起こらないことを確認した上で作業
左欄に掲げる項目について、同表の中欄に掲げる方
を行うこと。
法により測定等を行った場合に、同表右欄に掲げる
⑺ アークが容易に発生しない場合には、溶接棒の先端
を被溶接物に強く接触させ、そのまま溶接棒を引き
ずるような状態で溶接棒の先端を少しはね上げる
ようにすること。
⑻ 異常な発熱により、使用中に電防装置の機能を損な
うことがないこと。
基準に適合するか否かについて検査を行い、その結
果を記録すること。
な お、別 表 の 右 欄 に 定 め る 基 準 を 満 た さ な い と き
は、直ちに、補修し、又は取り換えることにより当該
基準を満たすようにすること。
⑶ 定期の検査は、電気取扱者等が行うこと。
5 点検
5-1 点検事項等
(公益社団法人産業安全技術協会 参与 市川健二)
11
TIIS ニュース No.246
訪問記
◆株式会社やまびこ
工具は、使用中に発せられる振動が、保持する手、前
今 回、
( 株)や ま び こ の 本 社(東 京 都 青 梅 市 末 広 町
腕、上腕、肩へと伝わり、それらの部分で障害が起こ
1-7-2)を訪問し、振動計測試験を見学する機会を得た
る危険性があるため、厚生労働省では、以前から行政
ので、振動工具のメーカである(株)やまびこを紹介
指導通達や振動障害防止対策の指針を公表し、災害
する。
防止に努めている。振動障害には、血液の抹消循環障
(株)やまびこは、1947年に共立農機(株)として創
害、神経線維の末梢神経障害あるいは手や腕の運動
立されたが、2009年10月1日に、
(株)共立と新ダイワ
機能障害がある。
工業(株)を吸収合弁して、新生「やまびこ」として誕
今回の訪問において、平成21年7月に出された新た
生し、チェーンソーやブッシュクリーナ等の屋外作
な振動障害予防対策 *)への取り組み状況等につい
業機械、防除や散布作業を行う乗用管理機や動力噴
ても見せて頂いた。
( 株)やまびこでは、刃の可動部分
霧機等の農業用管理機械、発電機や溶接機、エンジン
と手で保持する部分との間が物理的に分離され、防
カッター等の産業用機械を製造販売している会社で
振ゴムや防振スプリングを用いて直接振動が手に伝
ある。
わらないような機構により取り組んでいた。その後
チェーンソーやブッシュクリーナなどの主力製品
実機を使用した振動測定試験を見学した。
は、もともと山林育成のための機械として生まれた
もので、社名「やまびこ」は、その山の神に事業の発展
*)昭和50年頃の厚生労働省の指針では、
振動レベル
を誓うと共に、自然環境の育成と整備に貢献すると
に関係なく、振動ばく露時間を原則として1日2時間
いう理念を象徴するものとして名付けられ、4つの存
以 下 と 規 定 し て き た が、国 際 標 準 機 構(ISO)や 日 本
在意義(①世界最高の製品とサービスを提供する。②
産業衛生学会等において、振動レベルと振動ばく露
自然と環境の明日を担う人と企業に貢献する。③業
時間を考慮した振動に係る許容基準が公表されたこ
界のリーダーとして業界の成長を牽引する。④やま
とを受け、
「 振動障害等の防止に係る作業管理のあり
びこに繋がる全ての人々を幸福にする。)を基に社会
方検討会」を設置し、平成21年7月に新たな振動障害
に貢献している。
予防対策を発出し、今後は「周波数補正振動加速度実
振動工具には、チェーンソーやブッシュクリーナ
効値の3軸合成値」と「振動ばく露時間」で規定される
の よ う に エ ン ジ ン 駆 動 で 動 く も の の 他、電 気 ハ ン
1日8時間の等価振動加速度実効値(日振動ばく露量
マーのような電気駆動のもの、チッピングハンマー
A(8))の考え方に基づいて事前の振動障害予防対策
の よ う な 空 気 圧 駆 動 の も の が あ る。そ れ ら の 振 動
の作業管理ができるようになった。
写真1 チェーンソーの振動計測試験風景
12
写真2 振動工具の振動試験の見学に参加したメンバー
TIIS ニュース No.246
海外だより
◆DEKRA Certification B.V.視察
初 日 は、Erik氏、Arthur氏 よ り、DEKRAの 紹 介 が
去る6月、欧州の防爆構造電気機器検定の状況視察
あり、短時間ではありましたが施設見学を行いまし
のため、DEKRA Certification B.V.(オランダ)を訪問
た。以後、本質安全防爆構造の担当者のPaul氏や耐圧
しました。ご存知の方も多いと思われますがDEKRA
防 爆 構 造 担 当 のLeo氏 とIEC規 格 の 疑 問 点 や 欧 州 の
Certification B.V.(以 下、DEKRA)は、2011年1月 以 前
事情等について意見交換・質疑応答を行いました。因
では、KEMAの防爆機器の認証部門としても知られ
みにプロジェクトマネージャーは日本の主任検定員
ており、現在は、DEKRAの防爆機器の認証機関とし
や検定員に相当するようです。プロジェクトマネー
て活動しております。
ジャーの影響は大きいようでその者の見解や判断で
現 在、当 協 会 で は 輸 入 品 を 含 め 防 爆 構 造 電 気 機
試験対象や適否が左右されるようです。
械 器 具 検 定 処 理 の 迅 速 化 を 目 指 し て お り、DEKRA
施設見学では、事務棟から連絡通路を渡りラボの
サーティフィケーション・ジャパン株式会社(旧キー
一部を見学しました。防爆機器の試験装置の爆発試
マ・ク オ リ テ ィ・ジ ャ パ ン、KEMA Quality Japan)の
験設備や恒温恒湿槽の他、EMC試験設備や自動車の
スタッフからの提案もあり、今回、TIISから小金主任
ヘッドライトの反射効果の試験設備、ケーブルの機
検定員、後藤主任検定員が訪問しました。日程は、6月
械的強度の試験設備やバスタブの安全性の試験設備
6、7日の二日間で、施設見学及びDEKRA(オランダ)
等々を有し、クリスマスツリーの電飾の安全性評価
スタッフとの情報交換等をおこないました。また、東
までも行っており、医療機器や防爆の他、様々な安全
日本大震災から3ヶ月程でありましたがオランダで
性評価を行っています。
も関心が高かったようで、話題になりました。
防 爆 の 試 験 設 備 で、敷 地 内 に あ る 爆 発 試 験 設 備
DEKRAか らArthur vander Meijden氏(ラ イ ン マ
を 見 学 し ま し た。大 型 の 機 器 に つ い て は ド イ ツ の
ネ ー ジ ャ ー)、Erik Folgering, MSc氏(オ ペ レ イ シ ョ
DEKRA EXAMへ搬送するそうです。密閉型の試験
ンマネージャー)、Paul van Nijen氏(プロジェクトマ
槽 を 使 い、ガ ス 濃 度 に は 酸 素 濃 度 計 を 使 用 し て お
ネージャー)、Leo van Schie氏(プロジェクトマネー
り、圧力センサにはピエゾ素子式を使用し、基準圧力
ジャー)、Rudolf Pomme氏(サーティフィケイション
の測定に際し、4箇所同時に測定できるシステムを有
マ ネ ー ジ ャ ー)、DEKRAサ ー テ ィ フ ィ ケ ー シ ョ ン・
しており、基準圧力の測定の効率化を図っているそ
ジャパン株式会社から増喜氏、山口氏に、それぞれ対
うです。
応していただきました。また、1日目の昼食時には、奇
訪問時の話し合いについては詳細を割愛し、全体
しくも代表取締役社長Bert Zoetbrood氏と同席する
の印象について掻い摘んで述べると、次のようにな
ことになりました。
ります。
DEKRA(オ ラ ン ダ)の 詳 細 は、ホ ー ム ペ ー ジ 等 に
情報交換や質疑応答の中では、DEKRA側からは、
譲ることとして、ここでは、訪問時の様子について報
DEKRAの 認 証 品 を 以 っ てTIISへ 申 請 す る 場 合、円
告します。
滑に検定処理するための書類の整え方について質問
DEKRAはオランダのArnhem
(アーネム)という街
がありました。時間が限られていることも有り、本質
にあり通勤は、
自動車の他、
自転車通勤者が多く、オラ
安全防爆構造を除いて、主に耐圧防爆構造について
ンダの国民性で自転車用の道路も整備されています。
話が行われました。例えば日本では、1.5倍の圧力試
敷地はライン河の支流に面しているそうで投宿した
験に対し、欧州では4倍の圧力試験が主流であるため
ホテルから運河のように貨物船が行き交う様子も見
日本の検定合格品が4倍の圧力に持たない事例が多
られ、大型の機器の運搬は、河を利用するそうです。
いことが話題となりました。現行のIECの版を基に
13
TIIS ニュース No.246
話 が あ り、試 験 の 順 序 か ら、衝 撃 試 験 に お い て 不 具
合があると4倍の圧力に持たない例が多いとのこと
でした。
TIISで の 検 定 手 数 料 と 欧 州 機 関 で の 料 金 に つ い
て一概に比較することはできませんが、IEC規格に
準 じ た 申 請 品 の 場 合、試 験 項 目 が 多 く、試 験 の 順 序
も要求されます。DEKRAに限った話ではありませ
ん が、適 合 を 受 け る ま で の 料 金 は、行 う 試 験 や 評 価
内容によって加算される機関がほとんどです。従っ
て、試 験 や 評 価 の 数 が 多 い 機 器 の 場 合、効 率 的 に 行
うようにしているとのことでしたがそれなりの料
DEKRA事務棟正面玄関にて
(左より、小金氏、Leo氏、後藤氏、増喜氏)
金は発生するようです。
通 常、1件 の 申 請 に つ い て プ ロ ジ ェ ク ト マ ネ ー
ジャー1名が担当し、試験対象や試験条件等を技術要
員に指示するようです。プロジェクトマネージャー
が不在になると処理も滞ってしまうとのことであ
り、効率的に進めることが課題の一つであるとの話
に共感を得ました。
Leo氏は去る7月に日本へ来た際にTIISを来訪し、
その折にも情報交換を行いました。今回の訪問を通
じて海外の認証機関とも情報交換の機会を持つ必
要性を改めて感じました。
爆発試験設備
(左より、機械室、試験室及びガスボンベ庫、操作室)
DEKRA事務棟正面玄関にて
(左より増喜氏、Erik氏、Arthur氏、山口氏、小金氏、後藤氏)
ラボ前景
(公益社団法人産業安全技術協会 主任検定員 後藤 隆)
14
TIIS ニュース No.246
講習会の案内
◆安全技術講習会等のお知らせ
⑸ Q&A
当協会が平成23年10月、
11月に実施予定の安全技術
・募集定員 80名(予定)
講習会の概要をお知らせします。ご関心のある方々
・受講料 5万円(会員4万円)
は、是非ご参加下さいますようご案内申し上げます。
[静電気災害防止のためのリスクアセスメント]
(問い合わせ先)
〒350-1328 埼玉県狭山市広瀬台2-16-26
公益社団法人 産業安全技術協会 業務室
TEL: 04-2955-9901 Fax: 04-2955-9909
詳細は協会ホームページをご覧下さい。
http://www.ankyo.or.jp/teaching/index.htm
静電気による災害の防止は、分野を問わず産業界
が抱える課題の一つであり、年間約100件の静電気を
原因とする事故が発生しています。その問題を解決
するためには、正しい静電気現象の知識が必要なこ
[機械安全と防爆における機能安全]
とは言うまでもありませんが、潜在的な危険箇所・作
-機能安全の重要性とSIL(Safety Integrity Level)計算-
業を発見することも重要です。しかし、危険の程度を
評価せずに発生する静電気に対して対策を講じるこ
機能安全は、
“ ハードウエア”と“ソフトウエア”で
とは、物理的にも、経済的にも現実的ではありません。
安全関連系を構築する時に活用する手法です。
この講習会は、潜在的な静電気危険箇所・作業を発
既に世界市場では必須ですが、我が国ではそれを
見し、静電気災害を予防すると共に、特に火災・爆発
設計やマネジメントに使いこなすのはまだまだ、と
などの重大事故を防ぐことを目的として、静電気リ
いったところが現状のようです
スクアセスメント手法の紹介及びその付帯知識を習
本セミナーは、機能安全を取り入れて製品開発を
得していただくために開催致します。
計画・実行されている企業の管理者、開発・生産・品質
・日時・場所
保証、また、ソリューション営業担当等の方々を対象
⑴ 東京会場 平成23年11月18日(金)10:00-16:20
に、機械や防爆分野での「機能安全の重要性」および
「SIL計算の具体例」を説明します。さらに、当協会が
どのような取り組みで機能安全に関わり、皆様方を
支援させて頂くか等、その役割について紹介します。
・日時 平成23年10月28日(金)10:00−16:30
(社)日本ボイラ協会 JBAビル 講習室
(東京都港区新橋5-3-1:http://www.jbanet.or.jp/)
⑵ 大阪会場 平成23年11月29日(火)10:00-16:20
エル・おおさか(大阪府立労働センター)講習室南102
(大阪市中央区北浜東3-14:http://www.l-osaka.or.jp/)
・場所 機械振興会館6F66号室
・演題/講師
(〒105-0011東京都港区芝公園3-5-8)
⑴ リスクアセスメントとは
・演題/講師
(独)労働安全衛生総合研究所化学安全研究グループ
上席研究員 島田行恭氏
⑴ 機械安全と制御による安全
(一社)日本機械工業連合会 標準化推進部長
⑵ 静電気リスクアセスメント手法の紹介
川池襄氏
(独)労働安全衛生総合研究所電気安全研究グループ
⑵ 防爆EPL(Equipment protection levels)と機能安全
上席研究員 大澤 敦氏
(公社)産業安全技術協会 常務理事 永石治喜氏
⑶ 機能安全とSIL計算
⑶ 静電気リスクアセスメントのための測定
(公社)産業安全技術協会 技術指導部
(株)機能安全ネットワーク代表取締役社長
田辺安雄氏
⑷ TIISの機能安全評価サービス
(公社)
産業安全技術協会 主任試験員 石田豊氏
危険性評価試験室 主任試験員 泉 房男氏
・募集定員:東京・大阪会場とも各60名
・受講料: 16,000円(当協会会員:12,000円)
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TIIS ニュース No.246
会員の声
◆海外認証制度への整合とTIISに担ってい
ただきたい役割
で積み重ねてきた結果で出来上がり運用されてきた
新コスモス電機株式会社
いことだと容易に想像できるわけですが、昨今のア
技術開発本部 商品開発センター長 竹内 和之
ジ ア 圏 各 国 はATEXやIEC Exの 考 え を 受 け 入 れ た
新コスモス電機株式会社は1960年創立のガス警報
制度変更がなされてきている実績があります。
器メーカーで、工業用・家庭用のガス警報器、検知器
我が国を振り返ってみれば、現在は構造規格と国
の開発・製造・販売をおこなっています。
際整合防爆指針の二本立てで運用されているわけで
近 年 で は、環 境 測 定 を 目 的 と し た ニ オ イ 検 知 器
すが、国際整合防爆指針も最新のIEC規格からは遅
や、空気汚れを検知し換気扇の運転をコントロール
れている状態です。
することで、過度の換気を抑え節電を図る換気扇コ
常に最新のIEC規格と同期をとることは不可能で
ントローラーなどにも注力しており、
「 安全・安心・快
あり、さらに改版が行われていく規格に対し整合を
適な環境づくりに貢献する」を使命として、事業活動
続けていく作業は相当な困難を伴うことだと思われ
に取組んでいます。
ます。しかしながら、我が国が他国と比べて最新の国
防爆構造を持つ製品については工業用の定置式ガ
際規格に整合がとれない状況が続けば、国際的な防
ス検知警報装置・携帯用ガス検知器などで、約40年の
爆市場における国内防爆機器メーカーの競争力低下
実績がありますが、この数年、国際規格との整合を含
を招くことにつながってしまうでしょう。このよう
めた指針の見直しが加速されるなど大きな変化が続
な事態にならないためには、改版される規格への整
いており、新指針へ適合した機器への対応を含め対
合は避けられない課題だと思います。
応に追われる慌しい年が続いている状況です。
「同一型式の考え方など対象範囲の考え方」に対し
この度は、会員の率直な意見・要望として、日々の
ても、また「部品認証制度の有無」に対しても同様に
事業活動の中で感じている課題である【海外認証制
整合について考えていかなければならない課題だと
度 へ の 整 合】お よ び【TIISに 担 っ て い た だ き た い 役
思います。
割】について述べさせていただきたいと思います。
【海外認証制度への整合】
【TIISに担っていただきたい役割】
上記の海外認証制度への整合はもとより、TIISに
現在の日本における防爆市場は震災以降の安全意
担っていただきたいもう一つの役割は、国際的に認
識の高まりもあり一部では需要が伸びているもの
知されるIEC ExのCB(認証機関)およびTL(試験所)
の、基本的には成熟した市場であると言えます。この
になってもらうことです。
ような状況の中、自然な流れとして海外での市場を
TIISがCBお よ びTLと な れ ば、国 内 検 定 とIEC Ex
獲得すべく各社努力されているものと思います。
認証の双方に対応でき得る機関となり、様々なメー
当社も例外では無く、アジア・欧州・北米の各市場
カーがこれまで以上のメリットを享受できるものと
に向けた展開を始めております。
思われます。
その中で国内外での販売を見込む機器の開発を行
国内検定に合格すればIEC Exの認証が可能とな
う際の問題として、日本の防爆検定制度と海外認証
り、またその逆も可能となるような体制が構築され
制度の違いにより、当社においてはこの両制度への
ることを願っております。
対応のため非効率な手順での作業を行っていること
他方、当社が国際的市場の展開を始めた中で、最近
が挙げられます。おそらく各社同様の問題を抱えら
FS( 機 能 安 全)と い う 言 葉 に 出 会 い ま し た。1990年
れているのではないでしょうか。この要因として大
代 末 に 欧 州 を 中 心 に 策 定 さ れ た 考 え でIEC61508と
きくは次の三点があると考えています。
いう規格をベースとしたもので認証制度が敷かれて
1.適 用規格の違い(適用された時点でバージョン
いるものです。
が異なる)
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制度ですので、一朝一夕に制度を変えることは難し
こ のFSに つ い てTIISも 関 わ り を 始 め て い る と の
2.検 定範囲の考え方(同一型式の考え方を含めた)
ことですので、こちらでも大きな役割を担っていた
3.部品認証制度の有無
だけるよう期待をしています。
これら三点の要因の根本には、
「 国内は検定制度で
最後に、TIISとともに各業界の協力によって、国内
あり」
「 海外は認証制度である」という違いによると
外の防爆エリアでの災害防止に国内メーカーが役立
ころが大きいと思います。
てることを願い、
「会員の声」を締めたいと思います。
それぞれの制度とも、各国において長い歴史の中
TIIS ニュース No.246
協 会 からの お 知らせ
◆平成23年度理事会のお知らせ
◆当協会ドメイン名の変更
ankyo.or.jp → tiis.or.jp
・第3回理事会
日本の安協から世界のTIISへ
日時:平成23年12月9日(金)15:00−18:30
場所:KKRホテル東京
平成23年12月1日から、当協会のドメイン名(ankyo)
議題:事業収支報告
を新ドメイン名(tiis)に変更します。変更に伴い、会
事業計画及び実施状況
員の皆様には、登録されているメールアドレス、当協
その他
会のホームページアドレス等の変更など、お手数を
・第4回理事会
おかけしますがよろしくお願い申し上げます。
日時:平成24年3月2日(金)13:10−15:00
変更の理由は次の通りです。
場所:KKRホテル東京
1.現在、当協会の広報として、TIISニュース、メール
議題:事業収支報告
事業計画及び実施状況
平成24年度事業計画
マガジンTIISが定期的に配信されており、
「TIIS」
が国内でも広く浸透していること
2.当 協 会 の 英 語 表 記 はTechnical Institution of
平成24年度収支予算案
Industrial Safetyであり、国外において、多くの場
その他
合、TIISが使用されていること
3.社団法人産業安全技術協会が本年4月1日をもっ
◆中野秀司氏に「緑十字賞」
て公益社団法人産業安全技術協会となり、ドメイ
星和電機株式会社 照明社 ン名を変更するのに適時であること
製品認証・安全規格スペシャル
アドバイザーの中野秀司氏に、
4.日本の「安協」から世界の「TIIS」へ、当協会の国際
的認知度を高め、業務の国際化を目指すこと
10月12日(水)か ら 東 京 都 で 開
なお、ドメイン名の変更に伴い、12月1日からメー
催されます「第70回全国産業安
ルアドレス、ホームページのアドレスは次のように
全衛生大会 2010 in 東京」にお
変更になります。
いて、中央労働災害防止協会か
ら「緑十字賞」を授与されます。中野氏は防爆安全セ
ミナー講師や安全コンサルティングに従事する一
方、工 業 会 や 関 連 諸 団 体 を 通 じ て、産 業 分 野 で の 安
全意識の向上や「工場電気設備防爆指針」の作成・改
訂など、規格化に貢献されております。また、当協会
が公益社団法人として登記した4月から理事に就任
メールアドレス・ホームページアドレス
の変更
(現行)
ホームページアドレス:www.ankyo.or.jp
メールアドレス:○○@ankyo.or.jp
され、当協会の業務を支える役員としてご活躍をい
ただいております。ここにご披露申し上げるととも
に、心よりお祝い申し上げます。
(新:平成23年12月1日から)
新ホームページアドレス:www.tiis.or.jp
メールアドレス:○○@tiis.or.jp
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TIIS ニュース No.246
◆新入会員
○入会申込(平成23年10月1日現在)
会社名:
(株)三洋化学研究所
所在地:〒587-0012
大阪府堺市美原区多治井148-1
TEL:
(072)361-6633
代表者:代表取締役 武田明大
営業品目:医薬品製造業
会社名:
(株)三洋化学研究所 富山工場
所在地:〒939-2366
富山県富山市八尾町保内1-5-1
TEL 076-454-2307
代表者:代表取締役 武田明大
営業品目:医薬品製造業
会社名:山本電機インスツルメント(株)
所在地:〒564-0063
大阪府吹田市江坂町1-17-14
TEL 06-6386-1081
代表者:代表取締役 新谷光男
営業品目:工業用計測器製造・販売
◆関係団体等からのお知らせ
独立行政法人 労働安全衛生研究所
「平成23年度安全衛生技術講演会」のご案内
テーマ:時 代のニーズの変化に対応した労働安全
衛生(~働く人の命と健康を守る~)
○開 催日:大阪:11月30日(水)、名古屋:12月6日 (火)、東京:12月13日(火)
○時 間:10:00−16:30(大阪、名古屋、東京)
○会 場:
(大阪)エ ル・おおさか(大阪府立労働センター)
南ホール
(名古屋)アイリス愛知 コスモス (東京)女性
就業支援センター 4階ホール
○講演 10:20−15:40
・
「土砂災害はどのようにして発生するのか」
・
「最近の爆発・火災災害の傾向について」
昼休み(1時間)
・
「食品機械
・コンベア等の機械災害はどのよう
に防いだらよいのか」
・
「熱中症は何故なくならないのか」
・
「働く人のうつと自殺 現状と対策について」
○特別講演 15:40−16:30
「働く人の健康はどのように維持したらよいの
か —職場の喫煙対策と有酸素運動のススメ— 」
ボジョレーヌーヴォー
Beaujolais Nouveau
ボジョレーヌーヴォーはフランスのブルゴー
ニュ地方、ボジョレー地区でその年収穫されたガ
産業医科大学 産業生態科学研究所
健康開発科学研究室 大和 浩 教授
○参加費・定員:無料
○連絡先:
(独)労働安全衛生総合研究所
労働災害調査分析センター
担当:清水・高梨
メィ種のぶどうで造られる新酒のワインです。
毎年世界中のワイン好きが待ちわびるヌー
TEL 042-491-4512(代)FAX 042-491-7846
ヴォーは美味しさを最大限に引き出すマセラシオ
E-Mail: [email protected]
ン・カルボニック法という急速発酵技術で醸造、出
詳細は、
(URL)http://www.jniosh.go.jp/
荷されます。
そのため独特の鮮やかな美しい色合いと香りが
非常にフルーティで柔らかな味わいの仕上がりと
なり、これこそがボジョレーヌーヴォーの最大の
魅力です。
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