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HIV-1 HIV-2 病原性が強い 病原性が弱い

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HIV-1 HIV-2 病原性が強い 病原性が弱い
感染と防御・第10回
代表的なウイルス感染症-2
ウイルス感染症の例として、後天性免疫
不全症候群(AIDS)について解説す
る。
後天性免疫不全症候群とは
後天性免疫不全症候群(エイズ:AIDS)を発症す
ると、無治療の場合、ほぼ100%死亡する。
AIDS(エイズ)は、Acquired Immunodeficiency
Syndrome(後天性免疫不全症候群)の略語。
免疫力が低下すると感染症にかかりやすくなる。
また、ガン細胞の増殖を抑制できなくなる。
後天性免疫不全症候群(AIDS)の発生
1980年頃、米国の同性愛者や薬物使用者に原因
不明の免疫不全が広まった。
ごく希な感染症が同時に発生
ニューモシスチス肺炎(カリニ肺炎)
免疫力が低下すると肺炎を起こす
真菌(Pneumocystisjiroveci)
AIDSにおいて最も多い致死的な日和見感染症
AIDSの症状
カポジ肉腫
AIDS患者は、カリニ肺炎やカポジ肉腫などの日
和見感染症を発症し、脳神経が冒されると痴呆
などの神経疾患を起こす。
ヒト免疫不全ウイルスの発見
1983年、モンタニエらはAIDSを引き起こす
病原体がHIVであることを明らかにした。
後天性免疫不全症候群とHIV
HumanImmunodeficiencyVirus
ヒト
免疫力が極度に低下した場合に発症
ヒトヘルペスウイルス8型(HHV-8:humanherpesvirus
8)別名カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス
後天性免疫不全症候群とHIV
AIDSはヒト免疫不全ウイルス(HIV)によっ
て引き起こされる。
HIVに感染すると、ほぼ100%AIDSを発
症する
HIV感染
免疫不全 ウイルス
HIVはレトロウイルス
AIDS
HIV-1とHIV-2
HIVの起源
HIVは、HIV-1とHIV-2に大別される
サル免疫不全ウイルスは、霊長類を宿主とする
ウイルスで、アフリカ大陸に広く分布している。
HIV-1
HIV-2
サル免疫不全ウイルス(SIV)
病原性が強い
病原性が弱い
世界的に多くの感 感染者はHIV-1よ
染者がいる
り少ない
HIVの起源は、アフリカに存在するサル免疫不全
ウイルス(SIV)と考えられている。
HIV-1はチンパンジーのSIVCPZが起源
HIV-2は灰色マンガベイのSIVSMが起源
サル免疫不全ウイルス(SIV)
SIVは、それぞれの自然宿主に対し病原性を示さ
ないと考えられている。
ウイルスと宿主
SIVCPZ
SIVSM
チンパンジー
無害
有害
灰色マンガベイ
有害
無害
ヒト
有害
有害
HIVの出アフリカ
20世紀後半、HIVはアフリカから世界中に拡散し
た。
アフリカ奥地の風土病だった
1960 70年頃には存在していたと推定されている。
戦争・開発などにより都市部へ拡散
「サハラの南」と「東南アジア」
全世界の約85%
HIVの特徴
世界のAIDS患者数
2010年末のHIV感染者(生存者)総数3,400万人、
年間死亡者180万人と推定されている。
HIVなどのレトロウイルスは、RNA遺伝子と逆転
写酵素を持つ。
gp120
感染者総数
34,000,000人
2011年の新規感染者数
2,700,000人
2011年の死亡者数
1,800,000人
国連AIDS合同計画(UNAIDS)WorldAIDSDayReport|2011
DNAポリメラーゼ
RNAポリメラーゼ
(DNA依存DNAポリメラーゼ) (DNA依存RNAポリメラーゼ)
マトリックス
HIVのRNA遺伝子は、DNAに逆転写された後、宿主
細胞DNAに取り込まれてプロウイルスになる。
宿主細胞
転写
RNA
DNA
逆転写酵素は限られたウイル
スにのみ存在するため、逆転
写は極めて希な反応といえる。
逆転写
逆転写酵素
HIV感染の自然経過
HIVは、性的接触、出産&授乳、医療行為(輸
血・臓器移植・血液製剤投与)、薬物濫用(注
射器の共有)などにより感染する。
母子感染
HIVに感染すると、一過性の急性HIV症候群と長
期の潜伏期間を経て、免疫力の低下(ヘルパーT
細胞の減少)に伴いAIDSを発症する。
血液感染
HIVの標的細胞
HIVは、免疫系の細胞(主にヘルパーT細胞とマク
ロファージ)に感染する。
gp120
宿主染色体 プロウイルス
(RNA依存DNAポリメラーゼ)
HIVの感染経路
性的接触
RNA
(2分子)
プロウイルスの複製
逆転写酵素(RT)とは、RNAを鋳型に相補的
なDNA鎖を合成する酵素である。
DNA
キャプシド
脂質膜
逆転写酵素(RT)
複製
逆転写酵素
gp41
CD4
HIVに感染したヘルパーT細胞は、平均2.2日で死滅する。
国内のHIV感染者数とAIDS患者数
国内HIV感染者数とAIDS患者数は、ともに増加傾
向にある。
薬害AIDS事件
血液製剤
献血で集められた血液にHIVが混ざっていた
1970年代後半から1980年代にかけて、HIVに汚染
された血液製剤を投与された者(主に血友病患
者)がHIVに感染した。
手術や分娩などの際に大量出血したり、血友病
患者で止血しない場合など緊急時の止血などに
投与されるものと、熱傷などに伴う低アルブミ
ン血症時などに用いるアルブミン製剤や、重篤
な感染症などの治療に用いる免疫グロブリン製
剤などがある。
医療行為に伴うHIVの集団感染がおきた
1970年代後半 1980年代
薬害AIDS事件
薬害AIDS事件
海外で安全な加熱製剤が開発された後も、国内
では非加熱製剤を使い続けたためにHIV感染が拡
大した。
加熱製剤の認可が遅れて被害が拡大
加熱製剤の承認:米国1983年、日本1985年
日本では約5千人の血友病患者らのうち1千8
百人余りが感染し、5百人以上が死亡した(2009
年12月31日現在)。
帝京大病院の医師だった安部英、厚生官僚だっ
た松村明仁、製薬会社ミドリ十字の代表取締役
だった松下廉蔵・須山忠和・川野武彦が業務上
過失致死容疑で逮捕・起訴された。
ミドリ十字
厚生官僚
一審無罪
有罪
血友病患者の約4割が感染
国内のHIV感染経路
我が国の初期のHIV感染者は、凝固因子製剤によ
るものが大多数を占めていたが、現在では性的
接触による感染者が主体となっている。
国内の年齢別HIV感染者割合
近年の傾向として、20 30歳代の感染者の増加
傾向が指摘されている。
AIDSの薬物治療とCD4+リンパ球数
抗HIV薬は、ウイルスの増殖を抑制することで主
にヘルパーT細胞の減少を阻止し、免疫力を高め
てエイズの進行を遅らせる。
抗HIV薬服用までの流れ
HIV感染者のAIDS発症予防やAIDS治療のためには、
詳細な抗HIV薬服用計画を立てる必要がある。
病気の説明
服薬オリエンテー
ション
定期検診
生活のリズム形成
服薬アセスメント
組み合わせの提案
外来カンファレン
スII
服薬スケジュール
立案
シミュレーション
服薬指導
服薬開始の検討
外来カンファレン
スI
患者と医療者の同意
により治療開始時
期・治療薬を最終決
定
組み合わせの決定
外来カンファレン
スIII
医師
上訴中
死亡
抗HIV薬服用開始の判断
症状あるいは、CD4陽性リンパ球やウイルスの数
に応じて治療開始を判断する。服薬は医師の指
導のもとで正しく行う必要がある。
AIDS及びAIDSに関連する重篤な症状が
有る場合
治療開始
CD4陽性リンパ球数≦200μlの場合
治療開始
CD4陽性リンパ球数200 350μlで、CD4
数の減少速度が年間100μlである場合、
治療開始を考慮
またはウイルス量が5万 10万コピー/
ml以上の場合
これらについて、少なくとも2回以上のデータを参考にする。
抗HIVウイルス治療薬の分類
抗HIV薬は、作用機序と構造の違いにより分類さ
れる。
・核酸系逆転写酵素阻害剤
・非核酸系逆転写酵素阻害剤
・プロテアーゼ阻害剤
・ウイルス侵入阻害剤
・インテグラーゼ阻害剤
(逆転写酵素阻害剤=RT阻害剤)
抗HIVウイルス薬の多剤併用療法
薬剤耐性ウイルスの出現を防ぐため、HIV感染症
には多剤併用療法をおこなう。
抗HIV薬は投与計画通り確実に服用しなくてはならな
い
確実な服用が必要
自己判断で抗HIV薬を減量又は中止すると、薬剤
耐性HIVが生じる危険性がある。
計画通り服用していても、効かなくなることがある
AIDSの薬物治療
現在使用されている抗HIV薬では、体内のHIVを
完全に排除できないため、生涯服薬の必要があ
る。
HIV感染者の体内からプロウイルスを完全に排除するこ
とは不可能
エイズの予防
HIVワクチンは実用化されていない。
AIDSの薬物治療
宿主細胞とともに休止状態になったプロウ
イルスは、免疫系や抗ウイルス薬に対して
抵抗性で、排除されにくい。
休止中の感染細胞をリザーバーという
宿主細胞が休止期に入るとウイルス抗原が
発現しなくなるため、体内から排除されな
い状態となる。
HIVの感染防止
AIDSの予防には、HIVの感染防止が最も重
要である。
性的接触による感染防止:コンドームの使用など。
母子感染防止:出産時、母親の血液が新生児に付着し
ないようにする。感染母の母乳を与えない。
注射器の共有による感染の防止:注射器(針)を使い捨
てにする。
輸血・血液製剤・臓器移植による感染の防止:HIVに汚
染された血液・臓器などを使用しない。
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