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「組織 の 組織」論 の 構想

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「組織 の 組織」論 の 構想
説
廿
a
甘ト Ⅰ
織
1
「細
の
の
倉
山
構想
嗣
健
た 5)
1.
本稿ではこうした 状況をふまえ
はじめに
あ げられることの
組織論は近年多様化の 様相を呈している。
そ
,比較的とり
少なかった第二の 領域につい
て,その重要性を喚起しその課題と 展望を明
れが,組織論をとりまく現代社会の動きや 隣接
らかにすることにしたい。 かかる意味で ,
学問の動向と 関連していることは 明らかであ
論文は,問題解決的であ る よ りは,問題提示的
であ る。 「組織の組織」論 (Theory of "The
Organizationof Organjzations") は決して確立
る釜 。
しかし諸学説が 一見乱立しているよ
思えるものの ,
う
に
いくつかの重要なテーマを 発
見することはそれほどむずかしいことではな
ⅠⅩ
この
。
された Domain ではなく,むしろこれからつく
りあ げるべき Domain であ ると考えられるから
その一つに,組織変化・組織変革に関する 議
に他ならない。
論 があ る。 組織移行管理
ganizational
Trans Ⅲ on)
(Managementof
Or,
の間頭 やイ / ベーシ
, ン および戦略変革マネジメントの 議論はそれ
にあ たるが。 進化論の立場やポリティク ス を 重
規 した立場等より ,多くの論者によってすでに
とりあ げられてきた 3)0
,組織論のなかに新たな動きが
台頭してきた。 組織論を,個別組織の行動・構
それに並んで
造・変化の解明という 枠をこえて, 組織の集
合 ・集合体 (Population of Organizations)を対
象とする組織研究の 新たな展開であ
る"
。
それ
11. 組織 問 関係諦の新たな 流れ
まず,われわれはこうしたテーマをとり扱っ
てきたと考えられる 組織間関係論
zation Theory)
(Interorgami-
の新しい動きに 着目すること
にしたい。 周知のごとく ,組織間関係論は60 年
代から始まり 70年代に急速な 展開が行われた 組
織論 の一分野であ る㈲。 すでにわれわれは 組織
間関係論に関するすぐれたレビューをもってい
る。 D. 弘山 etten, J. GaIaskiewicz, C. MuIford
は個別組織の 能力をこえた 社会問題の出現であ
などが含まれよ
り,きわめて今日的課題であ る技術革新や 地域
で 組織間関係論の 対象・射程・ 分析モデル・ 応
開発に対しても 組織レベルをこえた 集合体レベ
ルでの対処が 求められていることの 反映ともい
用について検討したことがあ
80 年代における 次の
えよ
ことにしたい。
う
。
また, 産業・ コ、 ュ ニティレベルに
おける本格的組織論必要性の
高まりでもあ っ
う
" 。 私自身も, 1981 年の時点
第一の展開として
4
る 8)。
ここでは,
つの展開に焦点をあ てる
,組織間関係の分析単位の
変化があ げられる。 この動向は一言でい
なら
ば,「Micro から Macro へ 」とでも称すること
ができる。 その意味では ,組織間関係のマクロ
分析の進展とでもいうことができる。 したがっ
う
本稿は昭和 61 年度組織学会研究発表大会報告に 加
筆・修正したものであ る。 報告に際し コメンテー
ターを お ひきうけいただいた 佐藤慶幸先生 ( 早稲田
大学 ) に深く感謝したい。
*
16@ (128)
横浜経営研究
第 Ⅶ 巻 第 2 号 (1986)
て ,組織間関係論は, 「組織と環境」 (O,ganization and Environment) 論の一環としてでは
なく,むしろ組織の集合体とりわけ 組織間の全
体 的特牲 一組織間の構造特性や 組織間の共同行
動 (Joint Action) 一 を分析する方向へ 展開され
提 とし,制度化された関係としての 組織フィー
ルドの特性に 注目している。 組織フィールドの
構造化 (Structuration) がなぜ生成・ 展開する
のかについて 解明している。 組織が制度化され
別組織の観点から ,それをとりまく環境にいか
た環境との同型化に 向かう傾向があ ることを 仮
定し ,組織フィールドの同型化に注目,強制型・
模倣型・規範型といった 3 つの同型化について
に適応してかくのか , また環境をいかに 自らに
論じている ", 。 組織間システムの 多様性減少機
有利な方向に 操作していくのかに 焦点をあ てて
いた。 近年の議論は 組織の集合体そのものを 分
能に注目しているといってよい。
析しようというところに 特色があ るといってよ
であ ろう 18,。
いであ ろう m0,。 かかる視点から ,そのためのコ
第三に注目すべき 点は,組織間関係のプロセ
ス志向アプローチの 台頭であ る 19)。 それは一時
ることになった 9)。 従来の組織間関係論が ,個
ンセプトや分析手法を 開発してきた "' 。
第二には,組織間関係論の新たな分析枠組・
社会における
伝播 (D 田 USion) 問題への新しい 視角を与える
モデルの出現であ る。 特に,重要なモデルとし
点 における組織間関係のスナップショットに 注
目するのではなく ,組織間関係の継 時的 ・ダイ
ては, AstleyandFombrun
ナ、 , クな側面を分析しようとするものであ
の CollectiveStrat-
モデル '2), Meyer.
る。
Scott や Dimaggio &
PoweIl の制度化モデルⅣをあ げることができ
織開発論
る 。 双方のモデルとも , 70 年代の支配的モデル
も 深く関連している。
であ った Pfe はer andSalancik
ムの組織化されていない 状態から組織化された
状態への移行プロセスを ,問題設定一目標設定
egy
によって集大成
かかる動ぎは ,組織の集合体レベルにおける組
( 特に組織開発のプロセス
)
の展開と
そこで組織間関係システ
された資源依存モデル (Resource Dependence
Model) に対する批判として 提示されている 点
一 構造化という 3 つの
に 共通点をもつ '。 '。
各フ,イズの要因を明らかにしている 20)0
CoIIectiveStrategy モデルは,組織の集合レ
ベルにおける 共同行動や協力体制に 焦点をあ て
ている。 資源依存モデルのように ,個別組織の
といった「自己
中心性」の視点を 重視するのではなく ,組織の
集合体の行動・ 構造・戦略に 注目している。 しか
も個体群生態学モデルが 強調する組織間の 競争
よりも組織間の 共同行動・協力体制を 重視して
いる。 こうした観点ょり ,組織間共同行動の類
型を,同種組織間のむすびつきであ るのか異種
観点から組織間関係をとり
扱
う
組織間のむすび つ ぎであ るのか,また相互関係
が直接的であ るのか間接的であ るのかに
よ
り,
索 出し,その類型の特色について 整理を試み ぬ ,
テレコ 、 ュ ニケーション 産業や金融業といった
産業分析も行っている '。 , 。
一方,制度化モデルは,組織が制度化された
組織間関係のなかに
ぅ
めこまれていることを 前
フ,イズとしてとらえ ,
第四に,上記の動きと深く連動しながら ,組
織間システムの 組織化に注目する 研究の急速な
展開しかも組織化の 主体であ る媒介組織に 焦点
をあ てた研究の台頭であ る。 ここでとりあ げら
れるテーマはまさにこれに 他ならない。 「組織
の組織」論は 組織間関係論の 最近の発展方向で
あ ると考えたい ", 。
I11. 「組織の組紙」論の 内容
では,
「組織の組織」論はどのような 内容を
さすのであ ろうか。 組織の組織ということばは
きわめて多義性をふくんだことばであ るからで
あ る。 そこでまず, このことばのもつ 意味を明
らかにすることからはじめることにしょう。
「組織の組織」
というコンセプトは 高田保馬 氏
によって社会秩序の 問題として社会構造論の 一
「組織の組織」論の 構想
( 山倉健嗣 )
(129)@ 17
環 としてとりあ げられ 2幻 ,国家および慣習の問
System, Organizational Field というコンセプ
題として展開された。 そしてそれを ぅ けた塩原
氏は「組織の 組織」論こそ 実質的な社会理論で
トでとり扱われてきたものは 含まれることにな
る 29,。 ここでは, こうしたコンセプトのもつ 相
あ ることを主張している 2% 。 また間氏は日本の
違よりも,その共通性に焦点をあ てることにし
使用者団体の 研究が「組織の 組織」の研究を 意
たい。 先にのべたよらに ,組織間関係のマクロ
味 することを明らかにしている
レベルの分析とでもいうことができるであ
ュ
24,。 一方, コ、
ニティ組織の 研究や産業組織の 研究も「組織
の組織」
の研究であ ったと考えられる , " 。
に Stigler が自らの著書 ヶこ Organization
(特
of
Industry とっけていることは 象徴的であ る力
こうしたこともふまえ ,われわれは,
「組織
0 組織」論を,組織集合体の「組織化」をとり
扱 領域であ ると考えたい。 すなわち,組織の
集合体 (CoIlectivityof Organizations) を分析
う
単位とし,その組織化に分析の 焦点をあ てるこ
ろう。
次に,組織化の意味内容を明らかにし ,
「組
織の組織」論の 間 題 領域を索出することにしょ
う。 ここでい 5 組織化とは,組織の集合体にお
いて,規則や規範が形成・ 維持していくことを
意味する。 アナロジカルに 言うならば,組織集
合体の 「公式組織」「非公式組織」 の形成・維
持とでもいえよう。 すなわち,組織化とは規則
および規範に よ る組織間の調整を 意味する。 し
たがって組織と 組織との関係がいかに 調整され
とになる。 したがって,多数の組織がいかに 一
ていくのかほ 重要な問題となる。 また組織化論
定の意思のもとに 調整され,いかなる調整の仕
では,組織間の対立や競争 ょ りも,組織間の協
組みをつくりあ げるのかが問われなければなら
力や協調が重視される。
ない。 こうした意味で ,
「組織の組織」論は ,
以上のように ,組織化は組織間の規則や規範
組織間関係の「組織化」論であ り,組織間調整
の形成・維持であ り,不確実性を減少していく
論とでもいうことができよう 26)。 そこでこの内
ことであ る。 そこで組織間秩序の 形成・維持が
容をより明らかにするために ,分析単位,組織 とりあ つかわれる。 また組織間の 規則の形成 お
化の意味,分析視角などについて若干の検討を
よび規範の形成は 組織間関係の " ターン化,安
行 ことにしたい。
定化であ ることから,組織間構造および見えな
う
「組織の組織」論の 分析単位は ,
何よりも組
い構造ともいうべき 組織間文化の 形成を意味す
織の集合体あ るいは集団であ り,そこにおける
る 3。, 。 こうした構造の 存在によって ,個別組織
組織間関係
は規制され, 自らの判断基準が 与えられること
(連結 )
であ
る ", 。
したがって他紙
織 との関連で,当該組織の構造・行動を 分析す
るのでも,組織セットモデルのように当該組織
になる。
とそれに関連する 組織との関係の ネ, トワーク
の規則・規範の 形成・維持の 規定田やその メヵ
を 分析するのでもない。
dyadic な 関係のみを分析するのでもない。 そ
れよりは, 複数組織からなる 組織間システム
(構造および行動等 ), 具体的には,特定の 問題
ニズム,変化プロセスの解明はきわめて 重要で
あ る。 組織間規則・ 規範がいかに 形成・変化す
るのかに焦点があ てられることになる。 そこで,
組織間構造および 組織間文化の 研究は主要なテ
ごとに形成される 組織間ネットワーク や 地理的
ーマを づ くりあ げることになる。 組織の集合体
範囲における 組織の集合体を 分析単位とする。
その意味で, 「組織の組織」論は ,組織分析と
社会分析との 橋渡しとしての 位置づげを占めて
レベルにおける 構造論・文化論の 再生であ
また組織と他組織との
いることになる 28)。 従来
organizati0naI Network,
Action
Set, Inter-
Transorganizational
したがって,
「組織の組織」論では ,組織間
ると
もいえ よう 。 組織間関係論で 従来最もとりあ げ
られてきたトピックは 組織間調整メカニズム
(協定,
Cooptation, Association,合弁など
)
の
個別的研究であ った 旺 。 ここではそれよりも ,
18@ (130)
横浜経営研究
第W 巻
組織間の協力行動・ 協力体制に焦点をあ てた調
整メカニズムの 統一的説明や 組織間構造形態
(階層型 ; 同盟型 ; 相互調節型 ) の解明を中心に
第 2 号 (1986)
織 とのダイナ, ,クな関係を問
される。
こうした視角に
う
ことが必要と
立つならば,組織間の合意
とりあ げることになる " 。 われわれは組織間規
(規則や規範 )
則・解明にとどまらず ,組織間規範の問題も積
極 的にとりあ っかちり。 こうした規範の 問題は
なぜ組織間において ,当然であると思われるも
のの見方や考え 方が形成・維持されるのかを 問
う ことにもつたがる。
また組織間調整のプロセスは 重視され ば げれ
ばならない。 われわれは一定の 状態よりもそれ
に至るプロセスを 強調するからであ る。 組織間
の組織化されていない 状態から組織化されてい
る状態への移行を 問題にすることになろう。
形成・変化していく 何 。 こうしたプロセスに よ
ではどのような 分析視角から ,かかる対象を
とり扱っていくのであ ろうか。 Astley & Van
り
はバーゲニンバや 妥協をつうじて
,組織間協力行動を保障する仕組みがっくら
れるといえ よう 。 そこで
よ
り豊かな理論展開を
展開するための 分析モデルを 必要としている。
その場合,資源依存モデルや CoIlective Strategy モデルに充分な 配慮が行われなければなら
ないであ ろう 39)0
IV. 組棚問 媒介 組 緩の研究
つとして,決
「組織の組織」論は 広範な問題領域をとり 扱
う。 基本概念ともい う べき組織間構造・ 組織間
文化についてほ 若干の検討を 行ったことがあ
と自由意思論 ひ,oIuntarism)
る。。 , 。 ここでは諸組織を 調整・媒介する 組織 (以
の 立場を設定している 鋤 。 われわれは,組織の
下 媒介組織と よぶ ) に関する研究について 整理
することにしたい。 媒介組織に焦点をあ てて組
織間関係の組織化を 分析しょうとするものであ
る。 それは,組織間関係の公式的システムの 研
究 であ り, 「組織の組織」論の 中核的テーマに
deVen は組織論を整理する 軸の
定論 (Determism)
1
集合体がそれをとりまく 環境によって 決定され
ると考える ( 環境 ) 決定論の立場ではなく ,そ
れが環境から 独立した主体としてむしろ 自らを
構成していく 自由意思論の 観点を重視したい。
Astley and Van de Ven に従い, Collective
Acti0n Wew
にもとづく理論として ,「組織の
組織」論を考えることにしたい
個体群生態学モデル
勒 。 したがって,
(PopuIationEcology Mo-
deI) とは分析単位は 同一であ るけれども,分析
視角のちがいにより 区別することができょ
ぅ
86)。
そこで組織間システムの 変化の要因は 環境の
変化ではなく ,組織間の内部要因 ( 内部の ヮ一
キング ) にもとめることになる。 組織間システ
ムは環境に対する 単なる反応者ではなく ,環境
でさえも積極的に 変更しょうとする 存在として
考えるわけであ る。
そこで,組織の集合体は単なる 構成単位の寄
せ 集めではない。 構成組織は異なった 利害や価
もなろう。
こうした研究は ,組織間関係論においては,
& Hylton 以来の古くからのテーマで
Ⅱ twak
あ
ったが,最近関心が高まっているテーマでも
あ る 41)o MetcCalfe@ Ste nn; LebIeblclandSalanて
clk@ Provan;
S aabe
士
なⅠ、42)0 連結組織
丘
等の研究
ヵミ
それ vこ他 なら
(Llnklng-plnOrganlzation
Ⅰ,
(Coordlnatlng Orgamization), ネ,ト プーク組織 (Network Organization),伸介組織 (IntermediafyOrganization) と称せられているものが 含まれる。 か
調整組織あ るし ]pま調整機関
かる分野は,経営史 ・社会学・政治学でも 注目
されている領域でもあ る。 経営 史 では, GaIambos4がによって業界団体の 歴史一般化して 第二
値をもちながら ,組織の集合体としてはまとま
った全体 (Integrated Whole) を構成している
次組織の議論として ,社会学では,
存在であ る ", 。 そこで組織間システムと 構成 組
の研究の一環として , また政治学では 圧力団体
コ、 ュ ニテ
ィの福祉団体やボランタリーアソシューション
「組織の組織」論の 構想
論や政治構造論としてとりあ
つかわれてきてい
る。 具体的には,業界団体 (T,adeAssociation),
っ
( 山倉健嗣 )
(131) 19
たことがあ る。 これは,組織問 調整の機能と
でも よ べるものであ ろう。
産業振興のための 組織,全米体育協会(NCAA),
第三には,組織間の機能的なつながりにとど
異業種交流グループ 等を対象として 展開されて
きた。。 ,。 このテーマでは ,同種組織の媒介組織
まらず,組織間の価値的つながりをつくりだす
のみならず,異種組織の媒介組織もとり 扱われ
る。 その組織は一時的組織であ る場合もあ れ
ば,継続的組織であ る場合もあ る。 媒介組織の
研究は, 組織間構造形態として , 連邦型 (Federation Type) に注目し, しかもその管理組
いった価値を 創出するという 機能であ る。 構成
組織間に我々意識や 信頼感といった 目にみえな
いものを醸成することであ る。
織に焦点をあ てる。。 '。
では媒介組織の 研究はどのような 問題領域を
とり扱うのであ ろうか。 従来の研究をふまえて
検討することにしたい。 第一のテーマは 媒介組
織の組織特性に 関する研究であ る。 成員資格・
権 限配分および 理事会・事務局に 関する決定が
論じられる。。 , 。 成員資格
( メンバーシップ )
問題は組織への 加入・脱退
(参加 )
の
にかかわる
ことであ る。 すなわち,組織間の協調・連帯
以上が媒介組織の 対内的機能,いわば構成 組
織 との関係における 役割であ るとするならば ,
次の機能は媒介組織の 対外的機能とでもいうこ
とができよう。 媒介組織は政府や 地方自治体に
対し,政治的影響力を行使するといった 機能を
担うとともに ,政府・地方自治体からの脅威に
対し
メンバ一に対する 防波堤としての 役割を
担う。。 '。 その意味で,媒介組織はそれ 自体とし
て環境に対する 影響力の主体であ るとともに,
環境圧力のターゲットともなっている。
したがって媒介組織が い かなる機能を 担って
問題であ り, なぜ参加するのか , いかなる手続
きとして行われるのかであ る。 また権 限配分問
題は決定事項の 権 限がどこに賦与されているの
と
いるのか, どの機能を重視しているのかについ
かの問題であ り, それが媒介組織であ るのか,
ての検討が行われ ば げればならない。 特に,時
間的経過のなかで ,媒介組織の機能が変化して
また構成組織であ るのかの問題であ る。 それと
いくかは重要な 問題であ る。
ともに,媒介組織の決定機関・執行機関であ
理事会および 事務局の構成や 規模および役割に
第三の研究は ,媒介組織の類型の索出であ る。
既存の研究で 掲げられた類型基準としては ,①
ついても検討され ば げればならない。 構成組織
媒介組織が担
の数や構成組織間の " ヮ 一関係等との 関連。こお
あ るのか複合機能であ るのか ; 親睦型 か 共同日
いてとり扱われることになろ
標型 かなど ) ②媒介組織の 成立理由によるも
の ",( 任意型 か 委任型 か ) ③媒介組織のメンバー
媒介組織のルールでもあ
扱われることになろ
う
う
る
。 このテーマ ほ
る規約分析としてとり
4% 。
第二のテーマは 媒介組織の機能にかかわって
5
機能によるもの ,。1
(単一機能で
からの「自立」の 程度によるものなどがあ る。
どのような基準が 適切であ るのかはどのような
いる。" 。 媒介組織は次のような 機能を担うと 考
問題を分析しようとするのかといった
えられる。 まず,媒介組織は組織間のコミュニ
ケーシ,ンネットワークの中心的位置を 占める
と大いに関連している。
第四の研究は 媒介組織の生成と 発展に関する
ことによって ,構成組織間の情報交換を円滑に
研究であ り,主たるテーマといってよ いであ ろ
はかる。 いわば組織間の 共通問題についての 情
ぅ
認識目的
。 なぜ媒介組織が 生成してきたのか ,発展し
親交換の「 場 」なっくることであ る。 第二の機
たのかを問
能として,単なる情報交換にとどまらず ,ネッ
成をもたらす 要因としては ,個別組織では処理
トワークの「中心」であ ることに よ り, 組織間
できない環境条件の 変化があ る。 それとともに ,
の意思統一をはかり ,共同行動を確保すると か
構成組織が多数であ ることも考慮すべきであ ろ
う
ことになろ
う
。 まず媒介組織の 生
20@ (132)
う
横浜経営研究
第Ⅶ巻
。 こうした要因とともに ,構成組織間の力関
第
2
号 (1986)
のか, また全般的に 評価するのか 等も問題とな
係も無視しえないであ ろう。 発展の問題も 環境
要因と内部要因との 相互作用においてとり 扱 う
ろ
ことになる。 Provan, Stern, Staber,Galambos
ために,業界団体 (Trade Association)に焦点
をあ てることにしたい。 従来組織間関係論は 企
業 レベル (特に水平的関係 ) において展開され
ることが少なかった 現状を考えると ,重要なテ
ーマとなろ 5,7,。 また日本組織の 解明において
も,個別組織とくらべると ,第二義的な意味しか
与えてこなかったが ,業界団体が企業と政府と
等の研究が参考となろ
う
。 2,。
第五には,媒介組織のパワーと 構成組織のオ
ートノ , 一にかかわるテーマであ る 捌 。 それは,
媒介組織と構成組織との 相互依存関係でとりあ
つかうことになる ; どのような条件のもとで ,
構成組織の自律性が 確保されるのか
がパワーをもつのかをと
う
,媒介組織
。 これを分析する 枠
う
。 比較的手薄な 領域であ ったと思われる。
こうしたテーマを
よ
り具体的に展開していく
の仲立ち役であ ることを考えると
,産業政策の
組としては,資源依存モデルが有効であ ろう。
媒介組織がもっている 資源・役割が 構成組織に
とって重要であ ればあ るほど, しかも媒介組織
以外から確保できなければできないほど ,構成
組織のオートノ ,一は低くなる。 一方構成組織
がもたらす資源・ 役割が媒介組織にとって 重要
形成と実施において ,業界団体に焦点をあ
であ ればあ るほど,構成組織のオートノ
Staber の Ph.D. 論文は,業界団体の包括的な
高くなるといえよ
う
,一は
。 こうした視点とともに ,
媒介組織がメンバ 一に対してどのような 代行機
関であ るのかの性格 づ げの分析も必要であ ろ
て
る意味は大きいと か わなければならない "' 。 し
,社会的条件
存在として,業界団体を考え
かも個別企業戦略の 形成に対して
づくりをしている
ると重要であ る。 こうした課題に 関しては,
Staber や Hunt 等の研究が注目に 値する。。 , 。
理論的・実証的研究であ り,組織特性や成長に
ついての優れた 研究であ る。 Hunt はアメリ ヵ
家庭電器工業会の 研究において ,かかる団体の
う 54)
品質・規格の 自己規制をもたらす
第六の研究は ,媒介組織の環境に対する 影響
力 に関する研究であ る。 それは政治過程論や 圧
力団体論とも 深く関連している。 すなわち,い
事務局のパワー・ 市場構造・政府規制という 脅
威の回避をかかげている。 そこで先ほどの 媒介
かにして媒介組織が 好都合な社会的・ 政治的環
織特性・機能・ 成長などのテーマについての 考
察を行わなければならないであ ろう。
境をつくりだしていくのかを 問 ことであ ると
ともに, どのような条件のもとで ,ポリティカ
う
,業界団体の組
組織の研究などもふまえながら
ルアグショ ソ をとるのかを 問わなければならな
要因として,
むすびにかえて
い。 前者の問題でほ ,媒介組織と他組織との関
係のネットワーク や 連合形成といった 要因㈲が,
後者の問題では
,環境からの脅威の程度,構成
われわれは,
について検討を
「組織の組織」論の 現状と課題
行ってぎた。
「組織の組織」論
クト の程度等が充
を組織間関係論の 80 年代の展開方向としてとら
分に配慮されなければならない。 6)。 こうした意
え,その問題領域や分析視角を明らかにした。
味で,協同行動のもとでのネット
そして「組織の 組織」論の重要なテーマであ
組織間の問題共有やコソ ブ
リ
ヴ一クの 動員
化や協同行動を 保障するメカニズムをと
になろ
う
う
こと
展望を試みた。
「組織の組織」論を 今後展開していくために
。
第七のテーマは 媒介組織の有効性
組織間媒介組織の 研究の射程・
る
(成果 )
で
は,単なるものの見方をこえて ,一層の分析枠
あ る。 どのような基準で 評価するのかにかかわ
組の開発が求められていると かえよう 。 それと
る。 媒介組織のとり 扱った問題ごとに 評価する
ともに経験的研究のつみ
重ねも必要としている。
「組織の組織」論の 構想
(133)@ 21
( 山倉健嗣 )
Wor
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ヮわ卸,
イ
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召Ⅰ
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28) T.G. Cummings, op. cit.
につ
2g) Action 睡 t, Interorganizational Network
いては, Aldrich and Whetten を参照のこと。
30) 組織間構造,組織間文化については , 拙稿 " 組
織間関係の国際比較 ", 横浜経営研究, 特別号,
1984.
31) J. Pfe はer and G. Salancik によって種々の 調整
メカニズムの 包括的研究への 整理・統合が 行われ
ていることは 注記したい。
32) 組織間構造形態については , D,Whetten, (1981),
山倉 (1984) を参照のこと。
33) 組織間規範の 問題は組織間信頼関係形成の
︶
︶
43
4
Transorganizational System は T.Cummings,
Orga ㎡zational Field については, Dimaggio
and Powe Ⅱを参照のこと。
問題
ともむすびついている。
82,
0 Ⅰの 君ノ ,
Ⅰ
977
・
・
・
・
Press, 1981.
39) どのような立場から 統合していくのかがきわめ
て重要なポイントⅡ こ なろ
う
。
しかも何を説明し
ょうとするのかも 重要であ る。
40) 拙稿 (1984) 参照。
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15
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け んし
横浜国立大学経営学部助教授
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