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二〇一五年度入試問題 - 多摩大学附属聖ヶ丘中学高等学校
多摩大学附属聖ヶ丘中学校 二〇一五年度入試問題 国語 第五回︵二月四日午前実施︶ 入学試験問題 国 語 二〇一五 年度 ( 二月四日午前) 一 開始の合図があるまで問題用紙・解答用紙にふれないでください。 多摩大学附属聖ヶ丘中学校 二 開始の合図があったら、最初に問題用紙十ページ、解答用紙二枚を確認してください。 三 解答用紙に受験番号と氏名を記入してから始めてください。 四 問題についての質問は受け付けません。印刷のはっきりしないところや用事がある時は、声を出さずに手をあげてください。 五 字数が指定されている問題は、句読点も一字として数えてください。 六 問題用紙は回収しません。 七 筆記用具の貸し借りはしないでください。 八 試験時間は五十分です。終了五分前になったら知らせます。 九 答案を書き終わっても座席からはなれないでください。 ─1─ 次の⑴~⑸の ─── 線部の漢字をひらがなに、⑹~⑽の ─── 線部のカタカナを漢字に改めなさい。 ⑶ ⑵ ⑴ 表裏一体を成す。 一念発起する。 大臣は去就を明らかにした。 モケイ作りに熱中する。 険しい表情。 ⑹ 薬のコウノウ。 ⑷ ⑺ ウモウ布団は暖かい。 青果を商う店。 ⑻ 病気回復のチョウコウが見られる。 ⑸ ⑼ 絵に関しては目がコえている。 ふ とん ⑽ ─2─ 一 ことわざに関する次の問いに答えなさい。 ア ( )が黒い。 ( )をさぐる。 ( )にすえかねる。 ( )も身の内。 イ ( )がかたい。 ( )がうまい。 ( )がすべる。 ( )から先に生まれる。 ウ ( )を並べる。 ( )を持つ。 ( )の荷が下りる。 ( )を落とす。 ⑴ ア 〜ウのグループについて、それぞれ( )の中に共通して入る、体の部位を表す漢字一字を答えなさい。 ⑵ 次の① ②の意味を持つことわざを含むグループはどれですか。ア〜ウの中から一つずつ選び、それぞれ記号で答えなさい。 気になることがなくなり、ほっとする。 ① それとなく相手の気持ちをうかがう。 ② ─3─ 二 (著作権上の問題により文章は掲載できません。類似問題については直接お問い合わせ下さい。) ─4─ 次のカタカナの文章を読んで、漢字とひらがなと読点を正しく用いて書き直しなさい。 三 次の文章を読んで、あとの問いに答えなさい。(なお、作問の都合上省略した部分があります。) はち う 情が浮かんでくる。なつかしい。 ふ ぜい つる 植えである。棒を二本立て、それに蔓をまきつけた、よ 最近、東京の下町に住む友人から宅配便がとどいた。何と、朝顔の鉢 く朝顔市で見かけるものだ。 そ つる を送ってくれたのかもしれない。そう思って指折り数えてみるとこちらへ来て十六年に ちょ そういえば朝顔市と聞くだけで、すぐ東京の下町、深川あたりの風 りん いま京都に住む私に、東京の夏の情緒 なる。 ざく せんりゅう が添えられていた。もっとも古風で代表的な、金魚の絵の丸いガラス玉に、これまた吊されたガラス棒 その上、朝顔には風鈴 が当たる仕組みのものだ。 さ ① がつけられている。川 柳 まがいの下手な俳句でも書けと、いわんばかりである。それが風にゆれてガラスとガラ 小さな短冊 すず スがふれる、いかにも涼しそうな音が、すぐ思い出される。 よし ず よし あし あ か いているとなると、 まったくみごとな、少年のころの夏休みである。 その下に、朝顔が咲 か こう けむ 取線香の煙りでもたっていれば、申し分がない。 蚊 むか しゅ ふう のき える時の趣向が、いろいろ工夫されていたことに気づく。朝顔の種子をまき、軒に風鈴を吊すだけで そう思うと、昔は夏を迎 すだれ はなく、障子はいっせいにはずされて、簾にかえられた。もちろん秋を迎えると、また元の障子にもどる。それでこそ、障子は たたみ 冬の季語となる。一年中ある近ごろの障子では、なぜ障子が冬の季語なのか、わからないはずだ。 0 0 と店の軒先にひるがえった。 0 の上にも葭簀がおかれた。畳では多少、ベタベタして暑い。だから葭(葦でもある)を編んだものに替えると、いかにもひ 畳 しょく はら んやりとした感 触 が足の裏につたわる。これまた夏の間だけで取り払われた。 0 家の中だけではない。町へ出ると「氷」と書いた布切れが、へんぽん あれは、あの小さな布に一字だけ書くのでなければ効果がない。かりに長い旗に「氷あります」と書いてあっても、イメージ ② にあわない。 ましてやブリキの看板に「氷」と書いてあっても、おそらく全く売れないだろう。 いがわかる。ソフトアイスの化物のような形が店先に ちが 今や「かき氷」の代わりがソフトアイスだ、といってみると、二つの違 ─5─ 四 しょく 立っているが、夏という感じはしない。口に入れた感 触 は同じだとしても、夏をしのいだ気には、まったくならない。 結局、私たちは「氷」の布のひるがえりを見ただけで、すでに「かき氷」を食べた気になる。 りん すず の音をきいても、何も気温が下がるわけではないのに、私たちは涼しさを感じる。 同じように、朝顔を見ても風鈴 すだれ よし ず たたみ あら だって風がなければ動かないのだし、葭簀張りだって、多少 畳 より目が粗いだけだ。 簾 つまりは、すべて涼しさを期待し、その期待だけで十分、実際に涼しくなったように感じるにすぎない。しかし、それにもか かわらず、実際に涼しいつもりでいる。 この「つもり」を昔の人は大事にしたのである。 かしこ ところが昨今は、「つもり」になっていたって仕様がないと思う風潮がさかんである。現実にクーラーを入れて室温を下げる のでなければ、バカバカしいと思う。 いのだろうか。室温はクーラーがなければ涼しくならないが、「ああ涼しい」と思うことは、 どうだろう。はたしてその方が賢 せん 簡単にできる。お金は一銭もかからない。 物は、大半が、どう思うかで決まってくるのではないか。 しろ のみならず、現実などという代 「あなたはしあわせかどうか」と聞かれて、客観的に答えることはむずかしい。主観的になら、いくらでも答えられる。 索した上で受け身で現実を判断するよりは、むしろ積極的に心を持ち出して、氷の布に涼しさを感 せんさく ( 1 )人間、事実を詮 じる方がよい。 ③ 、何の役にも立たないと考える風潮は、人間を貧しくしているのではないか。 涼しくなった「つもり」など ふう え こ 「 つもり」とは、人間の工夫する知恵として、大切なものだったと思う。 りょう をとる工夫は、いうまでもなく心と季節の往復運動によっている。夏に限らず、昔の日本人は季節に生活を上手に合わせる 涼 知恵をもっていた。 い色の衣服を ( 2 )冬。白い服はいかにも寒々としていて、見る人も着ている方も、やりきれない。だから反対に黒や濃 みんなが身につける。物理的にも濃い色は光を吸収するから暖かくもあるが、しかし物理的効果より「暖かそうな感じ」という 心理的な判断の方が大きいだろう。 ─6─ ( 3 ) 、 その反対が夏で、夏に濃い色のものを着ていると、いかにも暑そうである。だから白や青などのものを身につける。 ねら 涼しそうに思える。これまた光を反射させるから物理的にも涼しいのだろうが、物理的効果を狙って着ているのではない。見て はだか ④ しょう ろ 呂に入ると ふ いる他人が涼しさを感じるのだから、心理的なものであることは、はっきりしている。〔 あ 〕 六月一日、人びとはいっせいに冬服を夏服にかえた。重い冬服から軽い夏 ゆかた 昔は「衣がえ」が年中行事の一つでさえあった。 くつ 服に。靴も黒い靴から白い靴へ。 衣を着ることが、昔はふつうだった。〔 い 〕 そして男女とも夏になると浴 ぬ ( 4 )浴衣は、この文字といい「ゆかた」ということばといい、とても外出できるいでたちではなかった。風 かたびら (入浴用の着衣)がつまったものだ。 きの着物だったのだから。「ゆかた」は「湯帷子」 いで裸で風呂に入るようになったので、浴衣も一段 昇 格して、ふだん着になったというわけか。つまりは 近 ご ろ は 浴 衣 も脱 裸同然の着物も、夏ともなると市民権を得て、人にも見せられるようになる。〔 う 〕 そして浴衣を夏に着ることになると、今度は浴衣そのものが夏を感じさせるようになる。 浴衣がもつ夏の記号を応用しようとす ⑥ 季節に合わせたものが季節感として心に定着し、季節感が季節の服装を決定するという( ⑤ )が行われていた。 は 境期は寒暖ままならないから、数 ( 5 )今は、もういっせいの衣がえは、せいぜい学校の制服ていどだろうか。それも端 は 日はどちらでもよいという学校もある。ましてや履き物は、夏にサンダルが多くなるぐらいで、黒靴がおかしいといった画一性 はない。 逆に、昨今は浴衣まつりとよばれる行事が、地方行政の盛り上げに利用されている。 る意図的なもので、夏だから自然に浴衣になる、といったものではない。〔 え 〕 たが この不自然さも、生活習慣から季節感がなくなり、服装を季節の「感じ」の中から選びとることをしなくなった結果の、苦肉 の策なのであろう。 いに白い靴をはいて涼しくなった感じを分け合うという心の尊重の方が、大事だと思う。〔 お 〕 お互 白い靴をはいて涼しくなった「つもり」でいるという、この「つもり」というものは、じつはいろんなところで、大昔から行 われてきた。 ─7─ ぶ せま すみ だ たとえば能舞台。一人の女があの狭い能舞台を一まわりすると、もう京都から隅田川まで来たことになる。役者も来た「つも り」でいるし、観客にも、その「つもり」になってくれと要求する。 ほ す はま しょう じ しゃ なぎさ 同じ能で前場ではふつうの女だったものが、後場で小野小町の着物を着ると、それだけで小野小町になる。こんなに簡単に絶 世の美女になれるのだから、みんなもその「つもり」でやっているし、見ている。 ころも っては一隅に洲浜と称する石敷きの斜面を作る。そのことで、これは渚の「つもり」だという。 また庭園に池を掘 笠山の名の由来だ。 きぬがさ 天下、天皇が「雪を見たい」といわれた。大臣、「ははあ」とかしこまると山に衣をかけ、「陛 えん こんな話もある。ある夏の炎 下、雪が降りました」と言ったという。 ⑦ もり」であり、雪が降った「つもり」で見ているのである。京都の衣 これも雪を降らせた「ぱつ ん ほか 要するにこれらは一般的に見ると「見立て」とよばれる手法に他ならない。能舞台を旅路に見立てたのであり、衣を雪に見 立てたのである。 (中西進『日本人の忘れもの 3』より) そして、この見立てによって、日本人はじつに広大な風景も土地も、季節までも所有することができた。 つぼ およ くつ が何キロにも及ぶ海岸線と同じなのだ。白い靴一足が夏という季節そのものとひとしい。 洲浜一坪 りん すだれ すず 、一輪の朝顔、 簾 一枚、それらから涼しさを感じることも、無意識に心の中でそれぞれを夏に見立てているのである。 小さな風鈴 ぬ 問一 本 文中には次の一文が抜けています。どこに入りますか。〔 あ 〕〜〔 お 〕の中から一つ選び、記号で答えなさい。 夏の特権である。 ─8─ 問二 本 文中の( 1 )〜( 5 )にあてはまる言葉を、次のア〜オの中からそれぞれ一つずつ選び、記号で答えなさい。 ア すると イ そもそも ウ だから エ ところが オ たとえば ─ こう 線部①「まったくみごとな、少年のころの夏休みである」とありますが、筆者の「少年のころの夏休み」の思い 問三 出と結びつかないものを、次のア~オの中から一つ選び、記号で答えなさい。 か ア 朝顔 イ 風鈴 ウ 蚊取線香 エ 簾 オ ソフトアイス ─ 問四 ふう え 線部②「ましてやブリキの看板に『氷』と書いてあっても、おそらく全く売れないだろう」とありますが、その 理由を十五字以内で答えなさい。 ─ 線部③「『つもり』とは、人間の工夫する知恵として、大切なものだったと思う」とありますが、筆者がこう考え 問五 る理由を次のようにまとめました。( ア )・( イ )にあてはまる言葉を本文中から抜き出してそれぞれ答えなさい。 「つもり」になることは( ア )にでき、しかも現実の大半は( イ )で決まるようなものだから。 ─9─ ─ 問六 線部④「六月一日、人びとはいっせいに冬服を夏服にかえた」とありますが、なぜそうしたのですか。その理由 ぬ を「~ため」という形になるように、本文中から十五字以内で抜き出して答えなさい。 ゆかた 問七 本 文中の( ⑤ )にあてはまる言葉を、本文中から九字で抜き出して答えなさい。 ─ ぱん ほか 線部⑥「浴衣がもつ夏の記号」とありますが、これを具体的に述べている部分を、本文から十五字以内で抜き出 問八 して答えなさい。 ─ 問九 しん 線部⑦「要するにこれらは一般的に見ると見立てとよばれる手法に他ならない」とありますが、「見立てる」の意 味として最もふさわしいものを、次のア~エの中から一つ選び、記号で答えなさい。 たく ア 期待する イ 仮定する ウ 選択する エ 診断する ─ 10 ─ 問十 次 のア~カのうち、本文の内容にあうものは○、そうでないものには×を答えなさい。 ア 人 が暑い時に白い服を着るのは、物理的効果をねらったものである。 イ 昔 の日本人には季節感があったので、季節を生活に合わせる豊かな知恵を持っていた。 うば ウ 年 中行事がなくなったせいで、、日本人の生活から季節感が奪われてしまった。 エ 心 が豊かであった日本人は、「見立て」や「つもり」を日常的に行ってきた。 オ 日 本の伝統芸能である能は、「見立て」の手法がなければ成り立たないものである。 たく カ 各 地で行われている浴衣まつりは、日本人に根強く残る季節感を巧みに利用した行事の一つである。 問十一 あ なたが「総理大臣になったつもり」で、「日本を世界一住みよい国にする政策」を考え、二百字以内で、具体的に書 きなさい。 ─ 11 ─ 二〇一五年度 国語 解答用紙 受験番号 氏 名 ︵二月四日午前︶ 多摩大学附属聖ヶ丘中学校 得 点 * *印のところは、何も記入しないでください。 二 う ⑵ ① ⑴ ア ⑻ ⑸ 一 ⑴ ⑵ ⑼ しい えている ② ウ イ ⑽ ⑹ ⑶ ⑺ ⑷ 小 計 一 小 計 二 * 小 計 三 三 * * *実際の解答用紙はB4判です。 二〇一五年度 国語 解答用紙 受験番号 ︵二月四日午前︶ 多摩大学附属聖ヶ丘中学校 氏 名 得 点 * *印のところは、何も記入しないでください。 四 問一 問二 1 2 3 4 5 問三 問四 小 計 四 * 問五 ア イ 問六 ため 問七 問八 問九 問十 ア イ ウ エ オ カ 問十一 *実際の解答用紙はB4判です。 二〇一五年度 国語 模範解答・配点 受験番号 氏 名 ︵二月四日午前︶ 多摩大学附属聖ヶ丘中学校 得 点 * 10 0 *印のところは、何も記入しないでください。 一 う あきな きょしゅう ⑴ ⑸ 二 羽 ほっき 毛 ⑼ ⑻ ⑴ ア ⑹ ⑵ 腹 ア 模 兆 ひょうり 型 候 口 け わ しい 効 能 肥 えている 肩︵かた︶ ウ 三 ⑵ ① ウ イ ② ⑷ ⑶ ⑺ ⑽ 各1点 各2点 小 計 一 * 小 計 三 * 小 計 二 * 10 10 20 *実際の解答用紙はB4判です。 二〇一五年度 国語 模範解答・配点 受験番号 ︵二月四日午前︶ 多摩大学附属聖ヶ丘中学校 氏 名 *印のところは、何も記入しないでください。 四 問一 問二 1 う ウ 2 オ 3 ア 4 イ 5 エ 問三 オ 涼 し さ を 感 じ ら れ な い 問四 小 計 四 か ら 。 問五 ア * 60 簡 単 イ 心/どう思うか 涼 し く な っ た 感 じ を 分 問六 問七 け 合 う 問一 4点 問二 各2点 問三 4点 問四 6点 問五 各2点 問六 4点 問七 4点 問八 4点 問九 4点 問十 各1点 問十 10点 一 ため 心 と 季 節 の 往 復 運 動 浴 衣 そ の も の が 夏 を 感 問八 じ さ せ る イ 問九 問十 ア × イ ○ × ウ エ ○ ○ オ カ × 問十一 *実際の解答用紙はB4判です。 国語 合格者正解率 第5回 2 月 4 日午前(%・100 点満点) 1 漢字 2 語句 3 視写 4 長文読解 1 36.0 1 52.0 2 100 2 76.0 3 100 3 100 4 100 4 80.0 5 100 5 88.0 6 52.0 7 32.0 8 100 21 40.0 8 12.0 21 23 24 25 3 4 64.0 76.0 64.0 40.0 68.0 20.7 9 10 ア 10 イ 10 ウ 10 エ 10 オ 60.0 68.0 92.0 80.0 72.0 60.0 9 12.0 10 52.0 35.0 1 40.0 7 8.0 ☆合格者平均点 45.7 ☆合格者最高点 72 5ア 5イ 28.0 46.0 10 カ 11 56.0 29.6 6 20.0